(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100624
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】ティーセット
(51)【国際特許分類】
A47J 31/02 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
A47J31/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004750
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】522503148
【氏名又は名称】Ecoinno Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140866
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 武史
(72)【発明者】
【氏名】劉 大維
(72)【発明者】
【氏名】亀井 佳男
【テーマコード(参考)】
4B104
【Fターム(参考)】
4B104AA02
4B104AA09
4B104BA43
4B104BA77
4B104BA87
4B104EA21
(57)【要約】
【課題】手間をかけずにお茶とコーヒーとのいずれも淹れることが可能なティーセットを提供すること。
【解決手段】茶及びコーヒーを淹れることが可能なティーセット1であって、カップ部10と、初期状態において、カップ部10の上に配置され、茶葉又はコーヒー豆を挽いた粉体を入れることが可能なフィルタ部14と、初期状態において、フィルタ部14の上に配置されるフタ部12と、を備え、フタ部12は、上方に膨出しており、頂部に取り外し可能なキャップ部12eが設けられ、茶を淹れる場合、初期状態から、フタ部12を外し、フィルタ部14に茶葉を入れた後、フィルタ部14に湯を注ぎ、コーヒーを淹れる場合、フタ部12からキャップ部12eを取り外し、カップ部10の上にフタ部12を配置し、キャップ部12eを取り外した後に形成された開口に、粉体を入れたフィルタ部14の下端側を挿入し、フィルタ部14に湯を注ぐ。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
茶及びコーヒーを淹れることが可能なティーセットであって、
茶又はコーヒーを貯留するカップ部と、
初期状態において、前記カップ部の上に配置され、茶葉又はコーヒー豆を挽いた粉体を入れることが可能なフィルタ部と、
初期状態において、前記フィルタ部の上に配置されるフタ部と、を備え、
前記フタ部は、上方に膨出しており、頂部に取り外し可能なキャップが設けられ、
茶を淹れる場合、初期状態から、前記フタ部を外し、前記フィルタ部に前記茶葉を入れた後、前記フィルタ部に湯を注ぐことで、前記カップ部に茶が貯留され、
コーヒーを淹れる場合、前記フタ部から前記キャップを取り外し、前記カップ部の上に前記フタ部を配置し、前記キャップを取り外した後に形成された開口に、前記粉体を入れた前記フィルタ部の下端側を挿入し、前記フィルタ部に湯を注ぐことで、前記カップ部にコーヒーが貯留されることを特徴とするティーセット。
【請求項2】
前記フィルタ部は、上方から下方に向けて外径が小さくなる本体と、前記本体の上端側において、外方向に突出する縁部と、を有し、
前記本体は、その外径が、
下端側が前記開口の内径より小さく、
上端側が前記開口の内径より大きく形成され、前記カップ部の上端側の内径より小さく形成されていることを特徴とする請求項1に記載のティーセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ティーセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているように、日本式お茶専用の急須のお茶注ぎ部の先端部に、コーヒーをこすためのフィルターを取り付け交換可能にすることによって、お茶用とコーヒー用とを兼ねる急須兼コーヒーメーカーが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、お茶とコーヒーとでは淹れる方法が異なっており、お茶の場合には、茶葉を開かせるためにお湯の中に茶葉を入れる必要があり、コーヒーの場合には、コーヒー豆をドリップするためにカップの底から上方に離した状態におく必要がある。このため、お茶とコーヒーの両方を出す場合には、お茶を淹れるための器具とコーヒーを淹れるための器具とを予め用意する必要がある。
【0005】
お茶用とコーヒー用とを兼ねる器具としては、特許文献1に記載された技術がある。しかし、急須の中に粉末状のコーヒー豆及び熱湯を入れて、コーヒーをカップに注ぐ際に、急須の中の細かいコーヒー豆がお茶注ぎ部に集中してしまい、急須のお茶注ぎ部からコーヒーが出にくくなる。このため、コーヒーをカップに注ぐまで時間がかかってしまい、使用者はその間急須を持っていなければならない。このように、手間がかかってしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決し、手間をかけずにお茶とコーヒーとのいずれも淹れることが可能なティーセットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下のようなティーセットを提供する。
【0008】
(1)茶及びコーヒーを淹れることが可能なティーセット(例えば、ティーセット1)であって、
茶又はコーヒーを貯留するカップ部(例えば、カップ部10)と、
初期状態において、前記カップ部の上に配置され、茶葉又はコーヒー豆を挽いた粉体を入れることが可能なフィルタ部(例えば、フィルタ部14)と、
初期状態において、前記フィルタ部の上に配置されるフタ部(例えば、フタ部12)と、を備え、
前記フタ部は、上方に膨出しており(例えば、フタ膨出部12a)、頂部に取り外し可能なキャップ(例えば、キャップ部12e)が設けられ、
茶を淹れる場合、初期状態から、前記フタ部を外し、前記フィルタ部に前記茶葉を入れた後、前記フィルタ部に湯を注ぐことで、前記カップ部に茶が貯留され、
コーヒーを淹れる場合、前記フタ部から前記キャップを取り外し、前記カップ部の上に前記フタ部を配置し、前記キャップを取り外した後に形成された開口に、前記粉体を入れた前記フィルタ部の下端側を挿入し、前記フィルタ部に湯を注ぐことで、前記カップ部にコーヒーが貯留されることを特徴とするティーセット。
【0009】
(1)によれば、お茶を淹れる際に、初期状態のティーセットのフィルタ部に茶葉を入れて湯を注ぐことによって、茶葉を湯の中に浸すことが可能になる。また、コーヒーを淹れる際に、フタ部からキャップを取り外し、フタ部とフィルタ部との配置を変えて、カップ部の上に膨出部分が上になるようにフタ部を載せ、キャップを取り外すことによって形成された開口にフィルタ部を挿入することによって、フィルタ部を、少なくともフタ部の膨出部分の高さ分だけカップ部の上方に位置付けることができる。そして、コーヒー豆の粉体をフィルタ部に入れて熱湯を注ぐことによって、フィルタ部をドリッパーとして使用してコーヒーをドリップすることができる。このように、フタ部とフィルタ部との配置を変えるという簡単な手間でお茶用及びコーヒー用のいずれの器具として使用することが可能になる。
【0010】
(2)(1)において、前記フィルタ部は、上方から下方に向けて外径が小さくなる本体(例えば、フィルタ膨出部14a)と、前記本体の上端側において、外方向に突出する縁部(例えば、フランジ部12b)と、を有し、
前記本体は、その外径が、
下端側が前記開口の内径より小さく、
上端側が前記開口の内径より大きく形成され、前記カップ部の上端側の内径より小さく形成されていることを特徴とするティーセット。
【0011】
(2)によれば、フィルタ部を開口にフィルタ部を挿入した場合に、フィルタ部の本体に開口の縁部が当接して、それ以上の挿入が規制される。このため、フィルタ部を、カップ部の上方に、フタ部の膨出部分以上の高さに位置付けることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、手間をかけずにお茶とコーヒーとのいずれも淹れることが可能なティーセットを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態におけるティーセット1の外観を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態におけるティーセット1を構成する部材を示す分解斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態におけるティーセット1に係るフィルタ部14の内部構成を示す斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態におけるティーセット1のお茶用としての使用形態を示す斜視図である。
【
図5】
図4においてフィルタ部14を持ち上げた状態を示す斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態におけるティーセット1をコーヒー用として使用する際のフィルタ部14の使用形態を示す斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態におけるティーセット1をコーヒー用として使用する際の使用形態を示す斜視図である。
【
図8】
図7において、フィルタ部14にコーヒー豆の粉体をセットし、熱湯を注ぐ状態を示す斜視図である。
【
図9】
図7において、コーヒーの抽出後にフィルタ部14を持ち上げた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態におけるティーセット1の外観を示す斜視図である。
図2は、本発明の一実施形態におけるティーセット1を構成する部材を示す分解斜視図である。
【0016】
ティーセット1は、カップ部10と、フタ部12と、フィルタ部14と、を備える。カップ部10、フタ部12及びフィルタ部14は、同一の部材によって構成されている。本実施形態によれば、出願人が開発を行うGCM(登録商標)という天然植物繊維の素材からなが、これに限らず、紙や樹脂等の任意の素材で形成してもよい。
【0017】
カップ部10は、下部から上方に向かって徐々に口径が拡がる。有底の略円筒形の容器体である。
【0018】
フタ部12は、カップ部10の上、及びカップ部10の上に載置したフィルタ部14の上のいずれにも配置可能であり、カップ部10の上或いはフィルタ部14の上を覆う部材である。フタ部12は、略円座形状の有底の筒形に形成されたフタ膨出部12aと、フタ膨出部12aの開口端部から径方向に外側に突出する平板リング状のフランジ部12bと、フタ膨出部12aの開口端部を外側に折り返すことによって形成され、フランジ部12bの内周から下方に突出する凸部12dと、を有する。
【0019】
フタ膨出部12aは、開口が形成されている下部から上部に向かって徐々に口径が狭まる側壁部と、側壁部の上部を覆う平板状の頂部からなる。フタ膨出部12aの側壁部と頂部との境界部分はなだらかな弧状に形成されている。フランジ部12bは、フタ膨出部12aの下部の開口端部から外側に突出する。
【0020】
フタ膨出部12aの頂部における板面の外周部に、複数の円弧状の長穴部12fが形成されている。複数の長穴部12fは円形に並べられており、隣り合う長穴部12f、12fとの間に支持片12gが形成されており、複数の長穴部12fによる円形の内側に円板状のキャップ部12eが形成される。すなわち、キャップ部12eは複数の支持片12gによって支持される。使用者が支持片12gを切断し、キャップ部12eを取り除くことにより、フタ膨出部12aの頂部に円形の開口12h(
図6参照)が形成される。
【0021】
フランジ部12bは、フランジ部12bの外周の一部から径方向に延出する平板状の延出部12cを備えている。延出部12cは使用者が摘まむことが可能な長さに延出している。
【0022】
フィルタ部14は、内部に茶葉又はコーヒー豆を挽いた粉体(以下、「コーヒー豆」ともいう。)を入れることが可能であり、カップ部10の上に載置される。フィルタ部14は、略円座形状の有底の筒形に形成されたフィルタ膨出部14aと、フィルタ膨出部14aの開口端部から径方向に突出する平板リング状のフランジ部14bと、を備える。
【0023】
フィルタ膨出部14aは、開口となる上部から下部に向かって徐々に口径が狭まる側壁部と、この側壁部の下部を覆う平板状の底部からなる。フランジ部14bは、フィルタ膨出部14aの上部の開口端部から外側に突出する。
【0024】
フランジ部14bは、フランジ部14bの外周の一部から径方向に延出する平板状の延出部14cを備えている。延出部14cは使用者が摘まむことが可能な長さに延出している。
【0025】
図3は、本発明の一実施形態におけるティーセット1に係るフィルタ部14の内部構成を示す斜視図である。
【0026】
フィルタ膨出部14aの開口端の縁部とフランジ部14bとの境界部位に段差部14dがリング状に形成されている。段差部14dの水平面は、フランジ部14bの上面よりも低い位置に配置されている。段差部14dの水平面に、複数の孔部14eが形成されている。フィルタ膨出部14aの底面に、複数の孔部14fが形成されている。
【0027】
フィルタ膨出部14aの外径は、下端側(底面側)がフタ部12のキャップ部12eを取り除くことによって形成された開口12h(
図6参照)の内径よりも小さく、上端側(フランジ部14b側)が開口12h(
図6参照)の内径よりも大きく、カップ部10の上端部の内径よりも小さい。このため、フィルタ部14をフタ部12の開口12hに挿入した場合に、フィルタ部14の側壁部が所定位置でフタ部12の開口12hの縁部に当接し、それ以上の挿入が規制される。
【0028】
また、フランジ部12b、14bの外径は、カップ部10の上端部の内径よりも大きい。このため、フランジ部12b、14bの部位をカップ部10の上端部に載せることが可能になり、これにより、フタ部12及びフィルタ部14をそれぞれ単独でカップ部10の上端部に載せることが可能である。
【0029】
段差部14dの段差の高さは、凸部12dの高さ以上に設定されている。また、フタ部12のフランジ部12bと、フィルタ部14とフランジ部14bとは同形である。
【0030】
図1はティーセット1の初期状態を示している。
図1に示すように、初期状態においては、カップ部10の上にフィルタ部14が載置され、フィルタ部14の上にフタ部12が載置されている。この際、フランジ部12bとフランジ部14bとが重なり合うとともに、凸部12dが段差部14dの内側に嵌合し、段差部14dの外側がカップ部10の上端部の内側に嵌合する。このため、初期状態においては、凸部12dと段差部14d、及び段差部14dとカップ部10の上端部との間にかかる摩擦力により、カップ部10と、フタ部12と、フィルタ部14とが一体となった状態で維持される。
【0031】
次に、本実施形態のティーセット1の使用方法について説明する。
【0032】
最初にお茶を淹れる場合について説明する。お茶を淹れる際には、まず、
図1に示す初期状態のティーセット1からフタ部12を取り外す。次に、
図4に示すように、フィルタ部14に茶葉を入れた後に、熱湯を注ぐ。フィルタ部14に注いだ熱湯は複数の孔部14f(
図3参照)からカップ部10に落下し、フィルタ部14に茶葉が浸るまで注ぎ込む。そして、再度、フタ部12をフィルタ部14の上に載せ、ティーセット1を
図1に示す状態とする。このとき、延出部12c(
図2参照)と延出部14c(
図2参照)とを重ねておくことが望ましい。
【0033】
この状態のまま所定時間おいて蒸らした後に、延出部12c及び延出部14cを手にとって、
図5に示すようにフタ部12とフィルタ部14とをカップ部10から取り外す。これにより、カップ部10にお茶を淹れることができる。
【0034】
次にコーヒーを淹れる場合について説明する。コーヒーを淹れる際には、まず、
図1に示す初期状態のティーセット1からフタ部12を取り外す。次に、
図6に示すように、フタ部12のキャップ部12eを取り除いて、フタ膨出部12aの底面に円形の開口12hを形成する。キャップ部12eは、キャップ部12eを押下することによって容易に外すことができる。
【0035】
次に、
図7に示すように、カップ部10の上に、開口12hが上になるようにフタ部12を載せ、更に、フィルタ部14のフィルタ膨出部14aを開口12hに挿入する。これにより、フィルタ部14のフィルタ膨出部14aの一部が開口12hの縁部に当接して、フィルタ部14がフタ部12に支持される。この際、フィルタ部14の底部は、カップ部10の開口と同じ位置もしくはそれよりも高い位置に配置される。
【0036】
次に、
図8に示すように、フィルタ膨出部14aの内部にコーヒー用のペーパーフィルターをセットし、その中に粉末状に挽いたコーヒー豆を入れる。そして、フィルタ膨出部14aに熱湯を注ぎ入れることにより、抽出されたコーヒーが孔部14f(
図3参照)から滴下してドリップコーヒーがカップ部10に貯留される。所定量の熱湯を注ぎ入れドリップが終了した後に、延出部12c及び延出部14cを手にとって、
図9に示すようにフタ部12とフィルタ部14とをカップ部10から取り外す。これにより、カップ部10にドリップコーヒーを淹れることができる。
【0037】
以上、説明したように構成された本実施形態のティーセット1によれば、お茶を淹れる際に、初期状態のティーセット1のフィルタ部14に茶葉を入れて熱湯を注ぐことによって、茶葉を熱湯の中に浸すことが可能になる。また、コーヒーを淹れる際に、フタ部12とフィルタ部14との配置を変えてフィルタ部14をカップ部10の上方に位置付け、コーヒー豆をフィルタ部14に入れて熱湯を注ぐことによって、フィルタ部14をドリッパーとして使用してコーヒーをドリップすることができる。このように、フタ部12とフィルタ部14との配置を変えるという簡単な手間でお茶用及びコーヒー用のいずれの器具として使用することが可能になる。
【0038】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の実施形態は上述した実施形態に限るものではない。例えば、上述した実施形態によれば、ティーセット1は、カップ部10と、フタ部12と、フィルタ部14とのセットで構成されているが、カップ部10の代わりに予め用意した他のカップを使用することも可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 ティーセット
10 カップ部
12 フタ部
12a フタ膨出部
12b フランジ部
12c 延出部
12d 凸部
12e キャップ部
12f 長穴部
12g 支持片
12h 開口
14 フィルタ部
14a フィルタ膨出部
14b フランジ部
14c 延出部
14d 段差部
14e、14f 孔部