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  • 特開-洗浄装置及び洗浄方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100626
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】洗浄装置及び洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
H01L21/304 645C
H01L21/304 642A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004755
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】509181046
【氏名又は名称】学校法人西日本工業学園
(74)【代理人】
【識別番号】100172225
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 宏行
(72)【発明者】
【氏名】川崎 敏之
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA09
5F157AA98
5F157AA99
5F157BB07
5F157BB64
5F157BG32
5F157BG36
5F157BG63
5F157BG84
5F157BG85
5F157BG86
5F157BG95
5F157CF44
5F157CF46
5F157CF48
5F157DB02
5F157DB03
5F157DB13
(57)【要約】
【課題】半導体基板や電子部品実装基板の製造時に形成される小型化された孔部や溝部の内側や基板表面加工面、基板切断面等の加工面の洗浄を行うために、加工面に液体を確実に到達させることのできる洗浄装置及び洗浄方法を提供することを目的とする。
【解決手段】洗浄装置100は、半導体基板300を洗浄する洗浄液200に向かってプラズマを照射するプラズマ照射部160と、プラズマのプラズマ照射条件を制御する制御部140と、を備え、プラズマ照射部160により洗浄液に向かってプラズマを照射する時に、制御部140によりプラズマ照射条件を制御して洗浄液200に直進流を発生させる。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を洗浄する洗浄液に向かってプラズマを照射するプラズマ照射部と、
前記プラズマのプラズマ照射条件を制御する制御部と、を備え、
前記プラズマ照射部により前記洗浄液に向かってプラズマを照射する時に、前記制御部により前記プラズマ照射条件を制御して前記洗浄液に直進流を発生させる、
洗浄装置。
【請求項2】
前記プラズマ照射部は、プラズマを発生させるための交流電圧源及びガス発生部と、プラズマを外部に出力するプラズマヘッドと、を備え、
前記プラズマのプラズマ照射条件は、前記交流電圧源の電圧、前記交流電圧源の周波数、前記ガス発生部から出力されるガスの種類、前記プラズマヘッドと洗浄液の距離のうち少なくとも一つを含む、
請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記プラズマ照射部により洗浄液に向かってプラズマを照射する時に、前記制御部は、前記プラズマ照射条件を制御することで前記洗浄液に直進流及び渦流を発生させる、
請求項1または2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記プラズマ照射部により洗浄液に向かってプラズマを照射する時に、前記制御部により前記プラズマ照射条件を制御して前記洗浄液に直進流を発生させることで、前記基板の孔部内の洗浄を行う、
請求項1または2に記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記プラズマ照射部により洗浄液に向かってプラズマを照射する時に、前記制御部により前記プラズマ照射条件を制御して前記洗浄液に直進流及び渦流を発生させることで、前記基板の孔部内の洗浄及び前記洗浄液の攪拌を順に行う、
請求項1または2に記載の洗浄装置。
【請求項6】
基板を洗浄する洗浄液に向かってプラズマを照射し、
前記プラズマのプラズマ照射条件を制御し、
前記洗浄液に向かってプラズマを照射する時に、前記プラズマ照射条件を制御して前記洗浄液に直進流を発生させる、
洗浄方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に半導体基板や電子部品実装基板等の基板の洗浄装置及び洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、半導体に用いられる貫通電極基板の製造方法が記載されている。貫通電極基板には、複数の貫通孔(孔部)が設けられる。この孔部のサイズは、例えば25μmであると記載されている。そして、孔部のサイズは半導体の小型化に伴い、日々小さくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-39678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
貫通孔(孔部)が設けられた半導体基板を製造する際には、孔部を形成した後に洗浄(エッチングを含む)が必要になる。その際に、水やエッチング液などの洗浄液を孔部内に侵入させなければ、洗浄もエッチングも不可能である。しかしながら、孔部のサイズが小さいと、表面張力の作用により、液体である洗浄液を孔部内に侵入させることが困難となる。
【0005】
そこで本発明は、半導体基板や電子部品実装基板の製造時に形成される小型化された孔部や溝部の内側や基板表面加工面、基板切断面等の加工面の洗浄を行うために、加工面に液体を確実に到達させることのできる洗浄装置及び洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の洗浄装置は、基板を洗浄する洗浄液に向かってプラズマを照射するプラズマ照射部と、前記プラズマのプラズマ照射条件を制御する制御部と、を備え、前記プラズマ照射部により前記洗浄液に向かってプラズマを照射する時に、前記制御部により前記プラズマ照射条件を制御して前記洗浄液に直進流を発生させる。
【0007】
本発明の洗浄方法は、基板を洗浄する洗浄液に向かってプラズマを照射し、前記プラズマのプラズマ照射条件を制御し、前記プラズマ照射部により洗浄液に向かってプラズマを照射する時に、前記制御部により前記プラズマ照射条件を制御して前記洗浄液に直進流を発生させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、半導体基板や電子部品実装基板の製造時に形成される小型化された孔部や溝部の内側や基板表面加工面、基板切断面等の加工面の洗浄を行うために、加工面に液体を確実に到達させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施の形態の洗浄装置の概略の一例を示す図
図2】本発明の一実施の形態の洗浄装置の構成の一例を示す図
図3】本発明の一実施の形態の洗浄装置による発生した直進流と渦流を示す図
図4】本発明の一実施の形態の洗浄装置による直進流と渦流を説明する図
図5】本発明の一実施の形態の洗浄装置による発生した流れのコントロールの一例を示す図
図6】本発明の一実施の形態の洗浄装置におけるパルス電圧源の周波数によって流れが変化することを示す図
図7】本発明の一実施の形態の洗浄装置におけるパルス電圧源の電圧によって流れが変化することを示す図
図8】本発明の一実施の形態の洗浄装置おける発生ガスの種類によって流れが変化することを示す図
図9】本発明の一実施の形態の洗浄方法の一例を示すフロー図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(洗浄装置100の概略説明)
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、方法、フロー等は説明のための例示であって、システム、プログラム、コンピュータ、ケーブルなどの仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
まず、本実施の形態における洗浄装置100について説明する。図1は、本発明の一実施の形態の洗浄装置の概略の一例を示す図である。図2は、本発明の一実施の形態の洗浄装置の構成の一例を示す図である。
【0012】
洗浄装置100は、洗浄液200内に入っている半導体基板300を洗浄する。半導体基板300は、孔部310を備える。洗浄装置100は、一般的なプラズマ発生機能を備えるとよく、低温プラズマであることが好ましい。本実施形態においては、ガス発生部110から発生されるヘリウムなどのガスと、パルス電圧源120からのパルス高電圧が印加された電極121を備え、プラズマヘッド130からプラズマを発生させることができる。
【0013】
そして、洗浄装置100は、プラズマヘッド130から発生するプラズマを活用して、半導体基板300の洗浄を効果的に行うことができる。プラズマヘッド130と洗浄液200とは、照射距離Xだけ離れている。なお、洗浄装置100は、例えばガラス管の周りに取り付けた電極に交流電圧を印加することでプラズマを発生させる機能を備えるなど、図1以外のプラズマ発生の構成を備えても良い。
【0014】
詳細には、洗浄装置100は、ガス発生部110、パルス電圧源120、電極121、プラズマヘッド130、駆動部131、制御部140、記憶部150を備える。ガス発生部110は、ヘリウムやアルゴンなどのガスを発生させる。パルス電圧源120は交流電圧源であればよく、その中でも正弦波交流高電圧源やパルス電圧源120であることが好ましい。
【0015】
プラズマヘッド130は、発生したプラズマを外部に出力する出口である。駆動部131は、照射距離Xが変化するようにプラズマヘッド130を高さ方向に駆動することや、水平方向(横方向及び奥行方向)に駆動することができる。なお、ガス発生部110、パルス電圧源120、プラズマヘッド130、駆動部131は、プラズマ照射部160に含まれる。ただし、プラズマ照射部160は、ガス発生部110、パルス電圧源120、プラズマヘッド130、駆動部131の全てを備える必要はなく、プラズマを照射することができれば良い。
【0016】
制御部140は、ガス発生部110における、ガスの種類、ガスの量などを制御する。また、パルス電圧源120における電圧の周波数、大きさを制御する。また、制御部140は、駆動部131を制御する。すなわち、制御部140は、パルス電圧源120の電圧、パルス電圧源120の周波数、ガス発生部110から出力されるガスの種類、プラズマヘッド130と洗浄液200の距離、のうち少なくとも一つを含むプラズマのプラズマ照射条件を制御することができる。なお、詳細は後述するが、プラズマ照射条件を調整することで、洗浄液200の流れに変化を制御することができる。
【0017】
記憶部150には、ガス発生部110におけるガスの種類、ガスの量、パルス電圧源120における電圧の周波数、大きさの初期値や過去の履歴を記憶する。
【0018】
洗浄液200は、水やエッチング液であると良い。エッチング液である場合、弱酸性であることが好ましく、エッチングも行うことができる。特に、半導体基板300に孔部310を生成した時、半導体基板300の樹脂等が溶けて孔内に付着(スミア)したような残渣(ゴミ)が残ることがある。このような場合はエッチング液で洗浄する事で洗浄を効果的に行うことができる。
【0019】
また、洗浄液200は、界面活性剤を含んでもよい。また、洗浄液200は、プラズマが照射されることによって反応し、新たな化学物質を生成することや、汚れを分解することができる場合がある。この新たに生成された化学物質によって、半導体基板300の洗浄を効果的にすることもできる。
【0020】
洗浄の対象である半導体基板300は、先行技術文献にて先述した特許文献1に記載されるような一般的な半導体基板であり、貫通孔などの孔部310を備える。孔部310は貫通孔に限られず、孔であればよい。孔部310の幅のサイズは、例えば数十μm~数mmである。このように小さな孔部310に対して、自然流の洗浄液200を入り込ませ孔部310内を洗浄することは困難である。そこで、以下、洗浄液200に対してプラズマを照射することで、流れを発生させ洗浄を行うことについて説明する。
【0021】
(直進流と渦流について)
本実施形態においては、制御部140によってプラズマ照射条件を変更することで、洗浄液200内に直進流と渦流を発生させることができる。そこで、これから直進流と渦流の発生について説明する。図3は、本発明の一実施の形態の洗浄装置による発生した直進流と渦流を示す図である。図4は、本発明の一実施の形態の洗浄装置による直進流と渦流を説明する図であり、流体解析をおこなった結果を示している。図5は、本発明の一実施の形態の洗浄装置による発生した流れのコントロールの一例を示す図である。図3、4においては、(a)は洗浄液200に直進流が発生した場合を示し、(b)は洗浄液200に渦流が発生した場合を示す。
【0022】
図3(a)、4(a)においては、直進流が発生しているので、洗浄液200がプラズマヘッド130のある側(上方)から半導体基板300のある側(下方)に向かう流れが発生している。この流れの大きさや強さは、照射するプラズマの照射条件によって制御するとよい。この上方から下方への流れによって、半導体基板300の孔部310に洗浄液200を押し入れることができる。その結果、洗浄液200によって孔部310内を洗浄することができる。
【0023】
図3(b)、4(b)においては、中心では下方から上方に向かった流れが起こり、その流れが外側に向かい、外側では上方から下方に向かう流れを持つ渦流が発生している。渦流であるので、洗浄液200を効果的に攪拌することができる。半導体基板300の周りには汚れが集中している可能性があるし、時間が経つと共に必要な化学反応が起こりにくくなる可能性があるが、攪拌をすることで洗浄液200全体の状態を均等にすることができる。これによって、一部に偏るのではなく、洗浄液200全体を効果的に活用することができるので、洗浄も効果的に行うことができる。
【0024】
図5は、プラズマの照射条件を変更することによって、変化する洗浄液200の流れを示している。図5(a)では大きな渦流が発生しているが、プラズマの照射条件を変更することで、図5(b)のように小さな渦流となる。そして、さらにプラズマの照射条件を変更するによって、図5(c)のように直進流とすることができる。また、さらにプラズマの照射条件を変更するによって、図5(d)のように直進流の速度を速めることができる。力強い直進流となる。
【0025】
そして、さらにプラズマの照射条件を変更するによって、図5(e)のように直進流の速度を減衰することができる。このように、プラズマの照射条件を変更するによって、洗浄液200の流れを制御することができる。この流れをそれぞれ活用して、小型化された孔部310を備える半導体基板300の洗浄を行うことができる。また、プラズマの発生場所や発生させるプラズマのサイズ、強さを変更することで、小型化された孔部310に液体を押し込むために必要な流れをピンポイントで発生させることも可能である。
【0026】
(プラズマの照射条件について)
洗浄液200の流れを制御するためには、プラズマの照射条件を適宜変更、設定する。プラズマの照射条件とは、例えば、パルス電圧源120の電圧の大きさ、パルス電圧源120の周波数、ガス発生部110から出力されるガスの種類、プラズマヘッド130と洗浄液200の距離、のうち少なくとも一つを含む。
【0027】
また、プラズマの照射条件として、洗浄液200に界面活性剤を混入するか否か、及び混入した界面活性剤の濃度を含んでもよい。すなわち、プラズマの照射条件として、液体200の表面張力の大きさを含んでもよい。図5(a)から図5(e)の流れの変化は、界面活性剤の濃度を変化させることによって生じている。図5(a)では洗浄液200の界面活性剤の濃度が最も低く、図5(e)に進むほど、界面活性剤の濃度が高くなる。これらプラズマの照射条件を適宜設定することで、所望の流れを発生させることができる。そして、それによって、半導体基板300の洗浄が可能となる。
【0028】
プラズマの照射条件の一例としてのパルス電圧源120の周波数について説明する。図6は、本発明の一実施の形態の洗浄装置によるパルス電圧源の周波数によって流れが変化することを示す図である。具体的には、パルス電圧源120の周波数と、洗浄液200の流れとの関係を示している。洗浄液200の流れとは、図3において洗浄液200の中心の流れを測定しており、上方から下方の流れの場合はマイナス、下方から上方への流れの場合はプラスとなる。
【0029】
条件1では、パルス電圧源の周波数が5kHzである。条件2では、パルス電圧源の周波数が10kHzである。条件1と2においては、パルス電圧源の周波数以外の条件は全て同一である。条件1の流れはマイナスであって直進流であることを示しており、条件2の流れはプラスであって渦流であることを示している。すなわち、プラズマの照射条件の一例としてのパルス電圧源120の周波数を変化させることによって、洗浄液200の流れを制御することができる。
【0030】
次にプラズマの照射条件の一例としてのパルス電圧源120の電圧の大きさについて説明する。図7は、本発明の一実施の形態の洗浄装置におけるパルス電圧源の電圧によって流れが変化することを示す図である。具体的には、パルス電圧源120が出力する電圧の大きさと、洗浄液200の流れとの関係を示している。条件3では、パルス電圧源が出力する電圧が13kVである。
【0031】
条件4では、パルス電圧源の周波数が16kVである。条件3と4においては、パルス電圧源120が出力する電圧の大きさ以外の条件は全て同一である。そして、条件3の流れはマイナスであって直進流であることを示しており、条件4の流れはプラスであって渦流であることを示している。すなわち、プラズマの照射条件の一例としてのパルス電圧源120が出力する電圧の大きさを変化させることによって、洗浄液200の流れを制御することができる。
【0032】
次にプラズマの照射条件の一例としてのガスの種類について説明する。図8は、本発明の一実施の形態の洗浄装置おける発生ガスの種類によって流れが変化することを示す図である。具体的には、ガス発生部110から発生されるガスの種類と、洗浄液200の流れとの関係を示している。条件5では、ガスの種類はヘリウムである。条件6では、カスの種類はアルゴンである。条件5と6においては、ガスの種類以外の条件は全て同一である。
【0033】
そして、条件5の流れはマイナスであって直進流であることを示しており、条件6の流れはプラスであって渦流であることを示している。すなわち、プラズマの照射条件の一例としてのガスの種類を変化させることによって、洗浄液200の流れを制御することができる。
【0034】
プラズマの照射条件は、他にも照射距離Xの大きさであっても良いし、その他の条件であっても良い。プラズマの照射条件を適宜設定することで、所望の流れを発生させることができる。そして、それによって、半導体基板300の洗浄が可能となる。
【0035】
(制御方法に関する制御部140の制御手順)
次に、制御方法に関する制御部140の制御手順について説明する。図9は、本発明の一実施の形態の洗浄方法の一例を示すフロー図である。なお、これらの処理は、図9で示した順序には限定されない。すなわち、あるステップでその前段のステップの結果を利用する関係にある等の制約がない限り、順序を入れ替えてもよい。
【0036】
プラズマヘッド130より、プラズマが洗浄液200に向かって照射される(ST1)。なお、プラズマ照射は、ST2以降であっても良い。そして、制御部140は、プラズマの照射条件の調整を行う(ST2)。前述した通り、プラズマの照射条件とは、例えば、パルス電圧源120の電圧の大きさ、パルス電圧源120の周波数、ガス発生部110から出力されるガスの種類、プラズマヘッド130と洗浄液200の距離、のうち少なくとも一つを含む。また、プラズマの照射条件として、洗浄液200に界面活性剤を混入するか否か、及び混入した界面活性剤の濃度を含んでもよい。そして、調整されたプラズマ照射条件において、プラズマを照射する(ST3)。
【0037】
そして、調整したプラズマ条件によって所望の流れが発生していたら(ST4:YES)、プラズマの照射を継続し(ST5)、その後洗浄を終える。調整したプラズマ条件において所望の流れが発生していなければ(ST4:NO)、ST2に戻る。なお、所望の流れとは、例えば直進流や渦流のことである。
【0038】
(まとめ)
洗浄装置100は、半導体基板300の基板を洗浄する洗浄液200に向かってプラズマを照射するプラズマ照射部160と、プラズマのプラズマ照射条件を制御する制御部140と、を備え、プラズマ照射部100により洗浄液に向かってプラズマを照射する時に、制御部140によりプラズマ照射条件を制御して洗浄液200に直進流を発生させる。これによって、半導体基板300に設けられる小型化された孔部310の内側の洗浄を行うために、孔部310に液体を侵入させることができる。
【0039】
また、プラズマ照射部160は、プラズマを発生させるための交流電圧源であるパルス電圧源120及びガス発生部110と、プラズマを外部に出力するプラズマヘッド130と、を備え、プラズマのプラズマ照射条件は、交流電圧源であるパルス電圧源120の電圧、交流電圧源であるパルス電圧源120の周波数、ガス発生部110から出力されるガスの種類、プラズマヘッド130と洗浄液の距離のうち少なくとも一つを含む。これによって、プラズマのプラズマ照射条件を適切に制御し、半導体基板300に設けられる小型化された孔部の内側の洗浄を行うために、孔部に液体を侵入させることができる。
【0040】
また、プラズマ照射部160により洗浄液200に向かってプラズマを照射する時に、制御部140は、プラズマ照射条件を制御することで洗浄液200に直進流及び渦流を発生させる。これにより、効果的に半導体基板300に設けられる小型化された孔部の内側の洗浄を行うために、孔部に液体を侵入させることができる。
【0041】
プラズマ照射部160により洗浄液200に向かってプラズマを照射する時に、制御部140によりプラズマ照射条件を制御して洗浄液200に直進流を発生させることで、半導体基板300の孔部内の洗浄を行う。これによって、半導体基板300に設けられる小型化された孔部310の内側の洗浄を行うために、孔部310に液体を侵入させることができる。
【0042】
プラズマ照射部160により洗浄液200に向かってプラズマを照射する時に、制御部140によりプラズマ照射条件を制御して洗浄液200に直進流及び渦流を発生させることで、半導体基板の孔部内の洗浄及び洗浄液の攪拌を順に行う
。これによって、半導体基板300に設けられる小型化された孔部310の内側の洗浄を行うために、効果的に孔部310に液体を侵入させることができる。
【0043】
洗浄方法は、半導体基板を洗浄する洗浄液に向かってプラズマを照射し(ST1)、プラズマのプラズマ照射条件を制御(調整)し(ST2)、洗浄液に向かってプラズマを照射する時に、プラズマ照射条件を制御して洗浄液200に直進流を発生させる。
【0044】
以上、半導体基板300を一形態として説明したが、基板としては半導体基板の他、電子部品を実装するプリント基板である電子部品実装基板にも適用出来るものである。また、孔部310に加えて溝部や切断部、表面加工部等の加工面の洗浄に適用出来るものである。
【産業上の利用可能性】
【0045】
半導体基板や電子部品実装基板の製造時に形成される小型化された孔部や溝部の内側や基板表面加工面、基板切断面等の加工面の洗浄を行うために、加工面に液体を確実に到達させることのできる洗浄装置及び洗浄方法を提供する。
【符号の説明】
【0046】
100 洗浄装置
110 ガス発生部
120 パルス電圧源
121 電極
130 プラズマヘッド
131 駆動部
140 制御部
150 記憶部
200 洗浄液
300 半導体基板
310 孔部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9