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特開2024-100637底質水質浄化材及びその製造方法、並びに底質及び水質の浄化方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100637
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】底質水質浄化材及びその製造方法、並びに底質及び水質の浄化方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/00 20060101AFI20240719BHJP
   C02F 1/68 20230101ALI20240719BHJP
   C02F 1/30 20230101ALI20240719BHJP
   C02F 1/36 20230101ALI20240719BHJP
   C02F 1/48 20230101ALI20240719BHJP
【FI】
C02F11/00 D
C02F1/68 510A
C02F1/68 520B
C02F1/68 520K
C02F1/68 520L
C02F1/68 520M
C02F1/68 530A
C02F1/68 540B
C02F1/68 540E
C02F1/30
C02F1/36
C02F1/48 B
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026964
(22)【出願日】2023-02-24
(62)【分割の表示】P 2023004599の分割
【原出願日】2023-01-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】514142290
【氏名又は名称】株式会社Santa Mineral
(74)【代理人】
【識別番号】100195327
【弁理士】
【氏名又は名称】森 博
(74)【代理人】
【識別番号】100229389
【弁理士】
【氏名又は名称】香田 淳也
(72)【発明者】
【氏名】古▲崎▼ 孝一
【テーマコード(参考)】
4D037
4D059
4D061
【Fターム(参考)】
4D037AA01
4D037AA02
4D037BA17
4D037BA26
4D037CA04
4D037CA13
4D059AA09
4D059BF20
4D059DA03
4D059DA22
4D059DA56
4D059DA61
4D059DA70
4D059DB08
4D059DB31
4D059DB32
4D061DA02
4D061DA03
4D061DB09
4D061EA13
4D061EB02
4D061EB04
4D061EB14
4D061EB37
4D061EB39
4D061ED12
4D061ED15
4D061FA07
4D061FA12
4D061GA18
4D061GC12
4D061GC14
(57)【要約】
【課題】有機物の分解作用に優れ、その作用を長期間維持可能な底質水質浄化材を提供する。
【解決手段】ミネラル成分を含有するミネラル機能水(a)と、フルボ酸を含有する腐植物質(b)と、鉄供給原料(c)とを含有する底質水質浄化材。当該底質水質浄化材を処理対象の水域に散布することより、水域の底質及び水質を浄化することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミネラル成分を含有するミネラル機能水(a)と、フルボ酸を含有する腐植物質(b)と、鉄供給原料(c)とを含有することを特徴とする底質水質浄化材。
【請求項2】
ミネラル機能水(a)が、下記の工程(1)で形成されたミネラル含有水(A)と、下記の工程(2)で形成されたミネラル含有水(B)とを、1:5~1:20(重量比)となる割合で含有する、ミネラル機能水である請求項1に記載の底質水質浄化材。
工程(1):
絶縁体で被覆された導電線と、キク科の草木植物及びバラ科の草木植物からなる草木植物原料、並びにカエデ、白樺、松及び杉から選択される1種以上の木本植物からなる木本植物原料を含有するミネラル付与材(A)と、を水に浸漬し、前記導電線に直流電流を導通させ、前記導電線の周囲の水に前記直流電流と同方向の水流を発生させ、前記水に超音波振動を付与して原料ミネラル水溶液(A)を形成し、次いで、原料ミネラル水溶液(A)に遠赤外線(波長6~14μm)を照射してミネラル含有水(A)を形成する工程であって、
水に対するミネラル付与材(A)の添加量が10~15重量%であり、前記導電線に導通させる直流電流における電流値及び電圧値が、それぞれ0.05~0.1A及び8000~8600Vの範囲であり、かつ、
ミネラル付与材(A)が、
前記草木植物原料として、野アザミ(葉部、茎部及び花部)、ヨモギ(葉部及び茎部)、ツワブキ(葉部及び茎部)を、それぞれ8~12重量%、55~65重量%、27~33重量%となる割合で混合し、乾燥させた後に粉砕したキク科植物の乾燥粉砕物、及び、
ノイバラ(葉部、花部)、ダイコンソウ(葉部及び茎部)、キイチゴ(葉部、茎部及び花部)を、それぞれ17~23重量%、8~12重量%、65~75重量%の割合で混合し、乾燥させた後に粉砕したバラ科植物の乾燥粉砕物を使用し、
当該キク科植物の乾燥粉砕物とバラ科植物の乾燥粉砕物とを、1:0.8~1:1.2(重量比)で混合して得られる草木植物原料(A1)と、
前記木本植物原料として、カエデ(葉部及び茎部)、白樺(葉部、茎部、及び樹皮部)、杉(葉部、茎部、及び樹皮部)を、それぞれ22~28重量%、22~28重量%、45~55重量%となる割合で混合し、乾燥させた後に粉砕した乾燥粉砕物からなる木本植物原料(A2)とを、
草木植物原料(A1)と木本植物原料(A2)の重量比で1:2.7~1:3.3となるように混合して得られるミネラル付与材(A’)である工程

工程(2):
互いに種類の異なる無機系のミネラル付与材(B)が充填され、直列に接続された第1通水容器から第6通水容器に至る6個の通水容器における、
第1通水容器内のミネラル付与材(B1)が、石灰石、化石サンゴ、貝殻をそれぞれ70重量%、15重量%、15重量%を含む混合物、
第2通水容器内のミネラル付与材(B2)が、石灰石、化石サンゴ、貝殻、活性炭をそれぞれ40重量%、15重量%、40重量%、5重量%を含む混合物、
第3通水容器内のミネラル付与材(B3)が、石灰石、化石サンゴ、貝殻をそれぞれ80重量%、15重量%、5重量%を含む混合物、
第4通水容器内のミネラル付与材(B4)が、石灰石、化石サンゴ、貝殻をそれぞれ90重量%、5重量%、5重量%を含む混合物、
第5通水容器内のミネラル付与材(B5)が、石灰石、化石サンゴ、貝殻をそれぞれ80重量%、10重量%、10重量%を含む混合物、
第6通水容器内のミネラル付与材(B6)が、石灰石、化石サンゴ、貝殻を60重量%、30重量%、10重量%を含む混合物、
であって、当該6個の通水容器に水を通過させてミネラル含有水(B)を製造するミネラル含有水(B)を形成する工程
である工程
【請求項3】
前記ミネラル機能水(a)が、株式会社理研テクノシステム製ミネラル機能水CAC-717である請求項2に記載の底質水質浄化材。
【請求項4】
フルボ酸を含有する腐植物質(b)が、泥炭由来の腐植物質である請求項1に記載の底質水質浄化材。
【請求項5】
鉄供給原料(c)が、粉末状の金属鉄である請求項1に記載の底質水質浄化材。
【請求項6】
請求項1に記載の底質水質浄化材の製造方法であって、
前記ミネラル機能水(a)と前記腐植物質(b)とを混合し、粘土状の混合物を得る工程と、
当該粘土状の混合物に鉄供給原料(c)を混合する工程と、
を有する製造方法。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかに記載の浄化材を、浄化対象の水底に散布又は沈設することを特徴とする底質及び水質の浄化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、底泥が堆積した水底の底質水質浄化材、並びに底質及び水質の浄化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
港湾、湖沼、干潟等の閉鎖性・半閉鎖性水域において、悪化した底質環境(水環境)の水質を改善するために、フルボ酸鉄を使用する方法が知られている(例えば、特許文献1,2)。
この方法では、まず、フルボ酸が水中の溶存している酸素と光反応し、過酸化水素を生成する。生成した過酸化水素は2価鉄(Fe2+)と反応(フェントン反応)し、3価鉄(Fe3+)とヒドロキシラジカルが生成する。生成したヒドロキシラジカルの強力な酸化作用によって、底質環境(水環境)に含まれるヘドロの有機質を分解することによって底質環境(水環境)が浄化される。しかしながら、フルボ酸鉄を使用する方法では、フェントン反応により2価鉄(Fe2+)が3価鉄(Fe3+)に変化してしまうと、光照射によって過酸化水素が生成してもヒドロキシラジカルが生成しなくなるという問題があった。
【0003】
一方、ミネラル成分を含有する水には、土壌改質作用、植物育成作用、有害化学物質分解作用、消臭作用、空気浄化作用等の効能がある可能性があるとされ、従来より、様々なミネラル含有水やミネラル含有水の製造設備が開発されている。
本発明者は、絶縁体で被覆された導電線及びミネラル付与材(A)を水に浸漬し、前記導電線に直流電流を導通させ、前記導電線の周囲の水に前記直流電流と同方向の水流を発生させ、前記水に超音波振動を付与して原料ミネラル水溶液(A)を形成する手段と、形成された原料ミネラル水溶液(A)に遠赤外線を照射してミネラル含有水(A)を形成する遠赤外線発生手段と、を備えたミネラル含有水製造装置(A)を開発している(特許文献3参照)。
また、本発明者らは、ミネラル含有水製造装置(A)と、互いに種類の異なるミネラル付与材(B)が充填された複数の通水容器と、複数の前記通水容器を直列に連通する送水経路と、複数の前記通水容器とそれぞれ並列した状態で前記送水経路に連結された迂回水路と、前記送水経路と前記迂回水路との分岐部にそれぞれ設けられた水流切替弁と、を備えたミネラル含有水製造装置(B)を備えたミネラル機能水製造設備を開発している(特許文献4参照)。そして、当該ミネラル機能水製造設備を用いると特徴的な波長の遠赤外線を発生する機能を有するミネラル機能水(遠赤外線発生水)が製造できることを報告している。
【0004】
一方、特許文献4で報告している装置においても、特にミネラル含有水製造装置(A)及び(B)で使用するミネラル成分の原料(ミネラル付与材)の種類や配合割合が複雑に関与しており、どのようなミネラル付与材を用いれば、どのような効能を発現するミネラル機能水を得られるかは必ずしも判明していなかったが、本発明者らは、特許文献4で開示したミネラル機能水製造設備を使用し、ミネラル付与材の種類や配合割合を中心に検討を重ねた結果、ある特定の条件で製造されたミネラル機能水が単細胞生物に対する優れた防除作用(特許文献5,6)や身体活性化作用(特許文献7)、炭化水素類の燃焼促進作用(特許文献8)、抗酸化作用(特許文献9)などを有することを発見している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-245118号公報
【特許文献2】WO2014/038596
【特許文献3】特許第4817817号公報
【特許文献4】特開2011-56366号公報
【特許文献5】特許第5864010号公報
【特許文献6】特許第6664707号公報
【特許文献7】特許第6030270号公報
【特許文献8】特許第6154085号公報
【特許文献9】特許第6185202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、従来から様々なミネラル含有水が報告されているが、ミネラル含有水の効果は科学的に実証されていないものも多くあり、ミネラル含有水の真の作用に付いては、未だ明確にされていない部分も多い。そのため、従来のミネラル含有水には、その効能を謳いながら実際には効能を有していないものや、効能を有しても実用には不十分であったり、効能の再現性が乏しいものも少なくない。本発明者が特許文献3,4で報告している装置において製造されるミネラル機能水においても、目標とする有効な効能を発現するミネラル機能水を確実に生産できているとはいえなかった。特に特許文献4で報告したミネラル含有水製造装置(A)及び(B)で使用するミネラル成分の原料(ミネラル付与材)の種類や配合割合が複雑に関与しており、どのようなミネラル付与材を用いれば、どのような効能を発現するミネラル機能水を得られるかは必ずしも判明していなかったのが実状であった。
そして、これまでミネラル機能水及びこれに由来するミネラル成分を使用した底質浄化や水質浄化技術については検討されていなかった。
【0007】
かかる状況下、本発明の目的は、ミネラル機能水由来の成分を含有し、優れた有機物の分解作用を継続的に発現する底質水質浄化材及びこれを使用した底質及び水質の浄化方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> ミネラル成分を含有するミネラル機能水(a)と、フルボ酸を含有する腐植物質(b)と、鉄供給原料(c)とを含有する底質水質浄化材。
<2> ミネラル機能水(a)が、下記の工程(1)で形成されたミネラル含有水(A)と、下記の工程(2)で形成されたミネラル含有水(B)とを、1:5~1:20(重量比)となる割合で含有する、ミネラル機能水である<1>に記載の底質水質浄化材。
工程(1):
絶縁体で被覆された導電線と、キク科の草木植物及びバラ科の草木植物からなる草木植物原料、並びにカエデ、白樺、松及び杉から選択される1種以上の木本植物からなる木本植物原料を含有するミネラル付与材(A)と、を水に浸漬し、前記導電線に直流電流を導通させ、前記導電線の周囲の水に前記直流電流と同方向の水流を発生させ、前記水に超音波振動を付与して原料ミネラル水溶液(A)を形成し、次いで、原料ミネラル水溶液(A)に遠赤外線(波長6~14μm)を照射してミネラル含有水(A)を形成する工程であって、
水に対するミネラル付与材(A)の添加量が10~15重量%であり、前記導電線に導通させる直流電流における電流値及び電圧値が、それぞれ0.05~0.1A及び8000~8600Vの範囲であり、かつ、
ミネラル付与材(A)が、
前記草木植物原料として、野アザミ(葉部、茎部及び花部)、ヨモギ(葉部及び茎部)、ツワブキ(葉部及び茎部)を、それぞれ8~12重量%、55~65重量%、27~33重量%となる割合で混合し、乾燥させた後に粉砕したキク科植物の乾燥粉砕物、及び、
ノイバラ(葉部、花部)、ダイコンソウ(葉部及び茎部)、キイチゴ(葉部、茎部及び花部)を、それぞれ17~23重量%、8~12重量%、65~75重量%の割合で混合し、乾燥させた後に粉砕したバラ科植物の乾燥粉砕物を使用し、
当該キク科植物の乾燥粉砕物とバラ科植物の乾燥粉砕物とを、1:0.8~1:1.2(重量比)で混合して得られる草木植物原料(A1)と、
前記木本植物原料として、カエデ(葉部及び茎部)、白樺(葉部、茎部、及び樹皮部)、杉(葉部、茎部、及び樹皮部)を、それぞれ22~28重量%、22~28重量%、45~55重量%となる割合で混合し、乾燥させた後に粉砕した乾燥粉砕物からなる木本植物原料(A2)とを、
草木植物原料(A1)と木本植物原料(A2)の重量比で1:2.7~1:3.3となるように混合して得られるミネラル付与材(A’)である工程

工程(2):
互いに種類の異なる無機系のミネラル付与材(B)が充填され、直列に接続された第1通水容器から第6通水容器に至る6個の通水容器における、
第1通水容器内のミネラル付与材(B1)が、石灰石、化石サンゴ、貝殻をそれぞれ70重量%、15重量%、15重量%を含む混合物、
第2通水容器内のミネラル付与材(B2)が、石灰石、化石サンゴ、貝殻、活性炭をそれぞれ40重量%、15重量%、40重量%、5重量%を含む混合物、
第3通水容器内のミネラル付与材(B3)が、石灰石、化石サンゴ、貝殻をそれぞれ80重量%、15重量%、5重量%を含む混合物、
第4通水容器内のミネラル付与材(B4)が、石灰石、化石サンゴ、貝殻をそれぞれ90重量%、5重量%、5重量%を含む混合物、
第5通水容器内のミネラル付与材(B5)が、石灰石、化石サンゴ、貝殻をそれぞれ80重量%、10重量%、10重量%を含む混合物、
第6通水容器内のミネラル付与材(B6)が、石灰石、化石サンゴ、貝殻を60重量%、30重量%、10重量%を含む混合物、
であって、当該6個の通水容器に水を通過させてミネラル含有水(B)を製造するミネラル含有水(B)を形成する工程
である工程
<3> 前記ミネラル機能水(a)が、株式会社理研テクノシステム製ミネラル機能水CAC-717である<1>または<2>に記載の底質水質浄化材。
<4> フルボ酸を含有する腐植物質(b)が、泥炭由来の腐植物質である<1>から<3>のいずれかに記載の底質水質浄化材。
<5> 鉄供給原料(c)が、粉末状の金属鉄である<1>から<4>のいずれかに記載の底質水質浄化材。
<6> <1>から<5>のいずれかに記載の底質水質浄化材の製造方法であって、前記ミネラル機能水(a)と前記腐植物質(b)とを混合し、粘土状の混合物を得る工程と、当該粘土状の混合物に鉄供給原料(c)を混合する工程と、を有する製造方法。
<7> <1>から<5>のいずれかに記載の底質水質浄化材を、浄化対象の水底に散布又は沈設する底質及び水質の浄化方法。
<8> <1>から<5>のいずれかに記載の底質水質浄化材を、浄化対象の水域に散布する底質及び水質の浄化方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、優れた有機物の分解作用を継続的に発現する底質水質浄化材、及びこれを使用した底質及び水質の浄化方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】ミネラル機能水製造設備の概略構成を示すブロック図である。
図2図1に示すミネラル機能水製造設備を構成するミネラル含有水(A)製造装置の一部をなすミネラル含有水溶液製造手段の模式図である。
図3図2のA-A線における一部省略断面図である。
図4図2に示す原料ミネラル水溶液製造手段に使用するミネラル付与材(A)の収納容器を示す斜視図である。
図5図2に示す原料ミネラル水溶液製造手段における導電線付近の反応状態を示す模式図である。
図6図1に示すミネラル機能水製造設備を構成するミネラル含有水(A)製造装置の一部をなす遠赤外線照射装置の概略断面図である。
図7図1に示すミネラル機能水製造設備を構成するミネラル含有水(B)製造装置のブロック図である。
図8図1に示すミネラル機能水製造設備を構成するミネラル含有水(B)製造装置を示す正面図である。
図9図8に示すミネラル含有水(B)製造装置の側面図である。
図10図8に示すミネラル含有水製造装置(B)の構成を示す一部省略斜視図である。
図11図8に示すミネラル含有水製造装置(B)を構成する通水容器の側面図である。
図12】ミネラル機能水(a)の分光放射率スペクトル、及び黒体の分光放射率スペクトル(理論値)である(測定温度:25℃、波長範囲:4~24μm、参照担体:セラミック粉末)。
図13】ミネラル機能水(a)の25℃における黒体に対する放射比率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下の例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。なお、本明細書において、「~」とはその前後の数値又は物理量を含む表現として用いるものとする。また、本明細書において、「A及び/又はB」という表現には、「Aのみ」、「Bのみ」、「A及びBの双方」が含まれる。
【0013】
本明細書において、「ミネラル機能水」とは、ミネラル成分を含有し、少なくとも一種以上の有効な効能を発現するものを意味する。
【0014】
また、本明細書において、「ミネラル含有水」とは、ミネラル機能水を製造する際における、前段階の原料水であり、ミネラル含有水もミネラル成分を含有する。詳細は本発明のミネラル機能水の製造方法として後述する。なお、ミネラル含有水はそれ自身が有効な効能を有していても、有していなくてもよい。
【0015】
なお、本明細書において、「ミネラル成分」は、狭義のミネラルの定義である「4元素(炭素・水素・窒素・酸素)を除外した無機成分(微量元素含む)」を意味するものではなく、無機成分と共存する態様であれば、狭義の定義で除外されている前記4元素(炭素・水素・窒素・酸素)を含んでいてもよい。そのため、例えば、「植物由来のミネラル成分」は、カルシウム等の植物由来の無機成分と共に、植物由来の有機成分が含まれる場合も含む概念である。
また、(ミネラル成分を構成する)無機成分としては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、及びリン等、微量元素として鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、及びモリブデン等がそれぞれ例示できるがこれに限定されない。
【0016】
<1.底質水質浄化材>
本発明は、ミネラル成分を含有するミネラル機能水(a)と、フルボ酸を含有する腐植物質(b)と、鉄供給原料(c)とを含有する底質水質浄化材(以下、「本発明の浄化材」)に関する。
本発明の浄化材は、「底質水質浄化作用」、すなわち、底質及び/又は水質に含まれる有機物を分解し、浄化する作用を有する。
【0017】
本発明の浄化材の特徴は、フェントン反応に寄与するフルボ酸を含有する腐植物質(b)及び鉄供給原料(c)と共に、ミネラル成分を含有するミネラル機能水(a)を含有することにある。ここで「フェントン反応」とは、2価鉄(Fe2+)と過酸化水素(H)の反応によって、3価鉄(Fe3+)と共にヒドロキシラジカルを発生させる反応を意味する。
【0018】
本発明の浄化材の浄化作用について説明する。
本発明の浄化材に含まれる腐植物質(b)に含有されるフルボ酸(fulvic acid)は、腐植物質のうち、アルカリに可溶であり、かつ、酸に可溶な成分であり、アルカリ性で水に可溶であり且つ酸性で沈殿する物質であるフミン酸(humic acid)や、溶解しない物質であるフミン(humin)と区別されている。
フルボ酸は、縮合芳香族構造にフェノール性水酸基、カルボキシル基を有する物質であるため、フルボ酸にはミネラル成分と複合化(キレート化)する作用がある。また、紫外線を吸収し、過酸化水素(H)を生成する作用を有する。
【0019】
本発明の浄化材に紫外線(例えば、太陽光)が照射されると、まず本発明の浄化材に由来するフルボ酸が光反応により、水中の溶存酸素と光反応し、過酸化水素を生成する。生成した過酸化水素は、鉄供給原料(c)から溶出した2価鉄イオンと反応し(フェントン反応)、2価鉄(Fe2+)を3価鉄(Fe3+)にすると共にヒドロキシラジカルを生成する。生成したヒドロキシラジカルは強い酸化作用を有し、水底や水中の有機物を酸化分解することによって水質及び底質の浄化をして行く。
【0020】
フェントン反応において、3価鉄(Fe3+)に変化し、2価鉄(Fe2+)が不足すると、フルボ酸の光反応により過酸化水素が生成しても反応が進行しなくなる。
特に処理対象の水域における底質や水質の場合に、有機物が多く存在する(すなわち、汚染されている)場合には、光照射時に2価鉄(Fe2+)が不足することがあり、フェントン反応による有機物分解が進行しづらくなる。
【0021】
本発明の浄化材が含有する電磁波放射性のミネラル成分は、ミネラル機能水(a)に由来するミネラル成分である。当該電磁波放射性のミネラル成分は還元力を有し、3価鉄(Fe3+)を2価鉄(Fe2+)に還元する作用を有する。
なお、本発明の浄化材において、ミネラル成分に由来する還元力は光照射の有無にかかわらず発現していると考えられる。
すなわち、光照射時にはミネラル成分に由来する還元力より、フェントン反応が優位になり2価鉄(Fe2+)を3価鉄(Fe3+)に酸化するが、光照射なし(暗状態)の時には、フルボ酸による過酸化水素生成が起こらないためフェントン反応が起こらず、ミネラル機能水(a)に由来するミネラル成分の還元作用により3価鉄(Fe3+)が2価鉄(Fe2+)に還元される。
そのため、光照射時(昼間)にフェントン反応が進行して、処理対象系の2価鉄(Fe2+)が不足しても、暗状態(夜間)とすることによって2価鉄(Fe2+)が増え、再度光照射時(昼間)に2価鉄(Fe2+)が不足することなくフェントン反応が進行する。
【0022】
本発明の浄化材は、フェントン反応を繰り返し行うことができ、優れた有機物の分解作用を継続的に発現することができる。
【0023】
以下、本発明の浄化材の構成成分について説明する。
【0024】
(ミネラル機能水(a)及びミネラル成分)
本発明の浄化材に含まれるミネラル機能水(a)に由来するミネラル成分は、下記の工程(1)で形成されたミネラル含有水(A)と、下記の工程(2)で形成されたミネラル含有水(B)とを、1:5~1:20(重量比)となる割合で含有する、ミネラル機能水に由来するミネラル成分である。
なお、「ミネラル機能水に由来するミネラル成分」とは、対象となるミネラル機能水から溶媒成分を除去した後に残存するミネラル成分を意味する。但し、上述の通り、植物由来のミネラル成分には、無機成分のみならず、植物由来の有機成分が含まれる。
【0025】
工程(1):
絶縁体で被覆された導電線と、キク科の草木植物及びバラ科の草木植物からなる草木植物原料、並びにカエデ、白樺、松及び杉から選択される1種以上の木本植物からなる木本植物原料を含有するミネラル付与材(A)と、を水に浸漬し、前記導電線に直流電流を導通させ、前記導電線の周囲の水に前記直流電流と同方向の水流を発生させ、前記水に超音波振動を付与して原料ミネラル水溶液(A)を形成し、次いで、原料ミネラル水溶液(A)に遠赤外線(波長6~14μm)を照射してミネラル含有水(A)を形成する工程であって、
水に対するミネラル付与材(A)の添加量が10~15重量%であり、前記導電線に導通させる直流電流における電流値及び電圧値が、それぞれ0.05~0.1A及び8000~8600Vの範囲であり、かつ、
ミネラル付与材(A)が、
前記草木植物原料として、野アザミ(葉部、茎部及び花部)、ヨモギ(葉部及び茎部)、ツワブキ(葉部及び茎部)を、それぞれ8~12重量%、55~65重量%、27~33重量%となる割合で混合し、乾燥させた後に粉砕したキク科植物の乾燥粉砕物、及び、
ノイバラ(葉部、花部)、ダイコンソウ(葉部及び茎部)、キイチゴ(葉部、茎部及び花部)を、それぞれ17~23重量%、8~12重量%、65~75重量%の割合で混合し、乾燥させた後に粉砕したバラ科植物の乾燥粉砕物を使用し、
当該キク科植物の乾燥粉砕物とバラ科植物の乾燥粉砕物とを、1:0.8~1:1.2(重量比)で混合して得られる草木植物原料(A1)と、
前記木本植物原料として、カエデ(葉部及び茎部)、白樺(葉部、茎部、及び樹皮部)、杉(葉部、茎部、及び樹皮部)を、それぞれ22~28重量%、22~28重量%、45~55重量%となる割合で混合し、乾燥させた後に粉砕した乾燥粉砕物からなる木本植物原料(A2)とを、
草木植物原料(A1)と木本植物原料(A2)の重量比で1:2.7~1:3.3となるように混合して得られるミネラル付与材(A’)である工程
【0026】
工程(2):
互いに種類の異なる無機系のミネラル付与材(B)が充填され、直列に接続された第1通水容器から第6通水容器に至る6個の通水容器における、
第1通水容器内のミネラル付与材(B1)が、石灰石、化石サンゴ、貝殻をそれぞれ70重量%、15重量%、15重量%を含む混合物、
第2通水容器内のミネラル付与材(B2)が、石灰石、化石サンゴ、貝殻、活性炭をそれぞれ40重量%、15重量%、40重量%、5重量%を含む混合物、
第3通水容器内のミネラル付与材(B3)が、石灰石、化石サンゴ、貝殻をそれぞれ80重量%、15重量%、5重量%を含む混合物、
第4通水容器内のミネラル付与材(B4)が、石灰石、化石サンゴ、貝殻をそれぞれ90重量%、5重量%、5重量%を含む混合物、
第5通水容器内のミネラル付与材(B5)が、石灰石、化石サンゴ、貝殻をそれぞれ80重量%、10重量%、10重量%を含む混合物、
第6通水容器内のミネラル付与材(B6)が、石灰石、化石サンゴ、貝殻を60重量%、30重量%、10重量%を含む混合物、
であって、当該6個の通水容器に水を通過させてミネラル含有水(B)を製造するミネラル含有水(B)を形成する工程
【0027】
当該ミネラル機能水の製造方法についての詳細は後述する。
【0028】
本発明の浄化材に使用されるミネラル機能水(a)としては、本発明者らが開発したミネラル機能水(「本発明のミネラル機能水」と称す場合がある。)が挙げられる。なお、本発明のミネラル機能水の共通の特徴として、植物由来のミネラル成分(特には植物由来の有機成分)を含むことが挙げられる。
【0029】
ミネラル機能水(a)として、株式会社理研テクノシステム製ミネラル機能水CAC-717が好適に使用される。詳細実施例で説明する。
【0030】
(腐植物質(b))
腐植物質(b)は、フルボ酸を含有する腐植物質である。
フルボ酸(fulvic acid)は、腐植物質のうち、アルカリに可溶であり、かつ、酸に可溶な成分であり、アルカリ性で水に可溶であり且つ酸性で沈殿する物質であるフミン酸(humic acid)や、溶解しない物質であるフミン(humin)と区別されている。
フルボ酸は、縮合芳香族構造にフェノール性水酸基、カルボキシ基を有する物質であるため、フルボ酸にはミネラル成分と複合化(キレート化)する作用がある。また、紫外線を吸収し、過酸化水素(H)を生成する作用を有する。
【0031】
腐植物質(b)は、本発明の効果を奏す限り、産地や組成は特に制限されないが、光照射により過酸化水素を生成しやすく、自身が酸化分解されづらい点で、泥炭由来の腐植物質であることが好ましい。
【0032】
(鉄供給原料(c))
鉄供給原料(c)は、鉄元素を供給する原料であり、金属鉄(Fe)、2価鉄を含む化合物、3価鉄を含む化合物を使用することができる。これらは単独でも、複数のものを混合して用いることもできる。
【0033】
鉄供給原料としての金属鉄としては、鉄材の粉末、鉄鉱石、砂鉄、鉄材などを挙げることができる。鉄供給原料は塊状であってもよいが、粉末であることが好ましい。
【0034】
鉄供給原料としての2価鉄の化合物としては、塩化鉄(II)、硝酸鉄(II)、硫酸鉄(II)、水酸化鉄(II)、酸化鉄(II)などの鉄化合物を挙げることができる。
【0035】
鉄供給原料としての3価鉄の化合物としては、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)などの水溶性の鉄化合物、;酸化鉄(III)、硝酸鉄(III)、水酸化鉄(III)などの不溶性の鉄化合物、;赤玉土、鹿沼土、ローム(アロフェン質の鉄分を多く含む土壌)、ラテライト(酸化鉄(III)を多く含む土壌);等を挙げることができる。 なお、3価鉄はフェントン反応には寄与しないが、上述の通り、本発明の浄化材では暗状態において、ミネラル機能水(a)由来のミネラル成分によって3価鉄は2価鉄に還元できるため、実質的に2価鉄を供給することができる。
【0036】
鉄供給原料として、金属鉄の粉末や安価な鉄化合物(塩化鉄、硫酸鉄などの鉄化合物:二価、三価のいずれでもよい)を用いることが好適である。
特に原料コストや安定供給の観点から、金属鉄を鉄供給原料として用いることが好適であり、粉末状の金属鉄であることが好ましい。
【0037】
本発明の浄化材は、ミネラル機能水(a)、腐植物質(b)及び鉄供給原料(c)を混合して製造することができる。
上述のように腐植物質(特にはフルボ酸)にはフェノール基やカルボキシル基が多く存在し、これらがミネラル機能水(a)由来のミネラル成分や鉄供給原料(c)由来の2価鉄、3価鉄と結合することによって本発明の浄化材は固形物とすることができる。
【0038】
ミネラル機能水(a)、腐植物質(b)及び鉄供給原料(c)の混合順序は制限はない。好適な例を挙げると、後述する実施例で示すように、ミネラル機能水(a)と腐植物質(b)とを混合し、粘土状の混合物を得る工程と、当該粘土状の混合物に鉄供給原料(c)を混合する工程と、を有する製造方法が挙げられる。
【0039】
本発明の浄化材におけるミネラル機能水(a)、腐植物質(b)及び鉄供給原料(c)の配合割合は、本発明の効果(目的とする浄化作用)を有する限り制限はなく、ミネラル機能水(a)、腐植物質(b)及び鉄供給原料(c)の種類や施用対象となる水域における有機物濃度等を考慮して適宜設定される。
【0040】
本発明の浄化材は、ミネラル機能水(a)(ミネラル機能水(a)由来のミネラル成分)、腐植物質(b)及び鉄供給原料(c)のみから構成されていてもよいが、これを他の材料(セラミック担体)と混合したり、担持して使用してもよい。
また、本発明の浄化材は直接処理対象の水域に散布してもよいが、通水性のある袋に詰めて沈降させて目的とする水底に保持させてもよい。
【0041】
本発明の浄化材の施用方法は目的に応じて適宜選択される。典型的には本発明の浄化材を浄化対象の水底に散布したり、袋詰めにして沈設する方法や、浄化対象の水域に散布する方法が挙げられる。
【0042】
本発明の浄化材を施用する水域は、典型的には海水であるが、淡水(河川や湖沼等)であってもよい。
【0043】
<2.ミネラル機能水の製造方法>
本発明の浄化材の製造に好適に使用される、ミネラル機能水(a)は、特許文献4(特開2011-56366号公報)で開示された装置を使用して、同文献で開示された方法に準じる方法で製造することができる。
【0044】
以下、特許文献2(特開2011-56366号公報)で開示された装置を使用する、本発明のミネラル機能水の製造方法の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明は、好適なミネラル機能水(a)のひとつである、株式会社理研テクノシステム製ミネラル機能水CAC-717を製造する方法に相当する。
【0045】
図1に示すように、ミネラル機能水製造設備1は、ミネラル含有水(A)製造装置2と、ミネラル含有水(B)製造装置3と、ミネラル含有水(A)製造装置2で製造されたミネラル含有水(A)44にミネラル含有水(B)製造装置3で製造されたミネラル含有水(B)45を混合してミネラル機能水47を形成する混合手段である混合槽46と、を備えている。
【0046】
ミネラル含有水(A)製造装置2は、水道から供給される水11と後述するミネラル付与材(A)12(図4参照)を原料として原料ミネラル水溶液(A)41を形成する原料ミネラル水溶液製造手段10と、原料ミネラル水溶液製造手段10で得られた原料ミネラル水溶液(A)41に遠赤外線を照射してミネラル含有水(A)44に変化させる遠赤外線発生手段43と、を備えている。
【0047】
ミネラル含有水(B)製造装置3は、外部から供給される水Wを通水容器51~56に通過させることによってミネラル付与材から溶出したミネラル成分を含有するミネラル含有水(B)45を形成する機能を有する。
【0048】
以下、ミネラル含有水(A)製造装置2及びミネラル含有水(B)製造装置3について詳細に説明する。
【0049】
(ミネラル含有水(A)製造装置)
次に、図2図6に基づいて、図1に示すミネラル機能水製造設備1を構成するミネラル含有水(A)製造装置2について説明する。図1に示すように、ミネラル含有水(A)製造装置2は、水道から供給される水11と後述するミネラル付与材(A)12(図4参照)を原料として原料ミネラル水溶液(A)41を形成する原料ミネラル水溶液製造手段10(図2参照)と、原料ミネラル水溶液製造手段10で得られたミネラル含有水(A)溶液41に遠赤外線を照射してミネラル含有水(A)44に変化させる遠赤外線発生手段43(図6参照)と、を備えている。
【0050】
図2図3に示すように、原料ミネラル水溶液製造手段10は、水11及びミネラル付与材(A)12を収容可能な反応容器13と、絶縁体14で被覆された状態で反応容器13内の水11に浸漬された導電線15と、反応容器13内の水11に超音波振動を付与するための超音波発生手段16と、導電線15に直流電流DCを導通させるための直流電源装置17と、導電線15の周囲の水11に直流電流DCと同方向の水流Rを発生させる手段である循環経路18a,18b及び循環ポンプPと、を備えている。直流電源装置17、超音波発生手段16及び循環ポンプPはいずれも一般の商用電源からの給電により作動する。
【0051】
反応容器13は、上面が開口した倒立円錐筒状であり、その頂点に相当する底部には排水口19が設けられ、この排水口19には循環ポンプPの吸込口P1に連通する循環経路18aが接続され、排水口19直下には循環経路18aへの排水量を調節するための開度調節バルブ20と、反応容器13内の水などを排出するための排水バルブ21が設けられている。
【0052】
循環ポンプPの吐出口P2には循環経路18bの基端部が接続され、循環経路18bの先端部は収容槽22に接続されている。収容槽22外周の底部付近には、収容槽22内の水11を反応容器13内へ送り込むための循環経路18cの基端部が接続され、循環経路18cの先端部は反応容器13の開口部に臨む位置に配管されている。循環経路18cには、収容槽22から反応容器13へ送り込む水量を調節するための開度調節バルブ23が設けられている。
【0053】
収容槽22の底部には、排水バルブ25及び水温計26を有する排水管24が垂下状に接続されている。必要に応じて排水バルブ25を開くと、収容槽22内の水が排水管24の下端部から排出することができ、このとき排水管24を通過する水11の温度を水温計26で計測することができる。
【0054】
図5に示すように、導電線15とこれを被覆する絶縁体14からなる複数の導電ケーブル29(29a~29g)はそれぞれ反応容器13内の深さの異なる複数位置に円環状をなすように配線され、これらの円環状の導電ケーブル29a~29gはいずれも反応容器13と略同軸上に配置されている。それぞれの導電ケーブル29a~29gの内径は倒立円錐筒状の反応容器13の内径に合わせて段階的に縮径しており、それぞれの配置箇所に対応した内径となっている。各導電ケーブル29a~29gは、反応容器13の壁体13aに設けられた絶縁性のターミナル30に着脱可能に結線されているため、必要に応じて、円環状の部分をターミナル30から取り外したり、取り付けたりすることができる。
【0055】
反応容器13内の軸心に相当する部分には、絶縁性の網状体で形成された有底円筒状の収納容器31が配置され、この収納容器31内にミネラル付与材(A)12が充填されている。この収納容器31はその上部に設けられたフック31fにより、反応容器13の壁体13a上縁部に着脱可能に係止されている。
【0056】
図2に示すように、循環経路18a,18bの外周にはそれぞれ導電ケーブル29s,29tが螺旋状に巻き付けられ、これらの導電ケーブル29s,29tに対し、直流電源装置17から直流電流DCが供給される。導電ケーブル29s,29tを流れる直流電流DCの向きは循環経路18a,18b内を流動する水流の向きと略一致するように設定されている。
【0057】
原料ミネラル水溶液製造手段10において、反応容器13内及び収容槽22内に所定量の水11を入れ、ミネラル付与材(A)12が充填された収納容器31を反応容器13内の中心にセットした後、循環ポンプPを作動させるとともに、反応容器13底部の開度調節バルブ20及び循環経路18cの開度調節バルブ23を調節して、反応容器13から排水口19、循環経路18a、循環ポンプP、循環経路18b、収容槽22及び循環経路18cを経由して再び反応容器13の上部に戻るように水11を循環させる。そして、直流電源装置17、超音波発生手段16を作動させると、収納容器31内のミネラル付与材(A)12から水11へのミネラル成分の溶出反応が始まる。
【0058】
原料ミネラル水溶液製造手段10を使用して原料ミネラル水溶液(A)を製造する際の作業条件は特に限定しないが、本実施形態では、以下の作業条件で原料ミネラル水溶液(A)の製造を行った。
(1)導電ケーブル29,29s,29tには電圧8000~8600V、電流0.05~0.1Aの直流電流DCを導通させた。なお、導電ケーブル29などを構成する絶縁体14はポリテトラフルオロエチレン樹脂で形成されている。
(2)反応容器13内に充填されたミネラル付与材(A)12は、水11に対し質量比で10~15%充填されている。ミネラル付与材(A)12の具体的な説明は後述する。
(3)水11は、直流電流DCが作用するように電解質を含むものであればよい。例えば、水100リットルに対して、電解質である炭酸ナトリウムを10g程度溶解したものなどを使用しているが、地下水であればそのまま使用することができる。
(4)超音波発生手段16は周波数30~100kHzの超音波を発生するものであり、その超音波振動部(図示せず)が反応容器13内の水11に直接触れて加振するように超音波発生手段16を配置している。
【0059】
このような条件で原料ミネラル水溶液製造手段10を稼働させると、反応容器13内には、左ねじ方向に回転しながら排水口19に吸い込まれる水流Rが発生し、排水口19から排出された水11は、前述した循環経路18a,18bなどを経由して、再び、反応容器13内へ戻るという状態が継続される。
【0060】
従って、水流Rによる撹拌作用、導電ケーブル29を流れる直流電流の作用及び超音波発生手段16が水11に付与する超音波振動により、ミネラル付与材(A)12からミネラル成分が速やかに水11中に溶出して、必要とするミネラル成分が適度に溶け込んだ原料ミネラル水溶液(A)を効率良く製造することができる。
【0061】
原料ミネラル水溶液製造手段10においては、円環状をした複数の導電ケーブル29a~29gを反応容器13内に略同軸上に配線するとともに、反応容器13内で左ねじ方向に回転する水流Rを発生させている。従って、一定容積の反応容器13内に比較的密状態の電気エネルギーの場を形成することができ、比較的小さな容積の反応容器13内で効率良く原料ミネラル水溶液(A)を製造することができる。
【0062】
また、反応容器13は倒立円錐筒状であるため、円環状をした複数の導電ケーブル29a~29gに沿って流動する水流Rを比較的容易且つ安定的に発生させることができ、これによってミネラル成分の溶出が促進される。また、倒立円錐筒状の反応容器13内を流動する水流Rは、反応容器13底部の排水口19に向かうにつれて流速が増大するため、ミネラル付与材(A)12との接触頻度も増大し、水11中に存在する自由電子eを捕捉してイオン化するミネラル量を増加させることができる。
【0063】
さらに、循環経路18b,18cの間に水11を貯留しながら排出する収容槽22を設けているため、反応容器13の容積を超える分量の水11を循環させながらミネラル溶出反応を進行させることが可能である。このため、原料ミネラル水溶液(A)を効率良く大量生産することができる。
【0064】
循環ポンプPを連続運転して、これらの反応を継続させると、最終的にはミネラル成分が溶出した原料ミネラル水溶液(A)が生成される。反応容器13底部の排水口19の大きさ、循環水量の多少、反応容器13の形状(特に、図2に示す軸心Cと壁体13aとの成す角度γ)などにより、水11中における自由電子eの出現状況をコントロールすることができ、ミネラル付与材(A)12に自由電子eが与える作用により、ミネラル成分の水溶性が左右される。
【0065】
原料ミネラル水溶液(A)が形成されたら、この原料ミネラル水溶液(A)41を、図6に示す処理容器40内へ移す。この場合、反応容器13内において収納容器31から漏出したミネラル付与材(A)12の残留物は反応容器13の底部にある排水バルブ21から排出することができる。処理容器40内に収容した原料ミネラル水溶液(A)41は、撹拌羽根42でゆっくりと撹拌しながら、処理容器40内部に配置された遠赤外線発生手段43により遠赤外線を照射する。
【0066】
なお、遠赤外線発生手段43は、波長6~14μm程度の遠赤外線を発生するものであれば良く、材質や発生手段などは問わないので、加熱方式であってもよい。ただし、25℃において、6~14μm波長域の黒体放射に対して85%以上の放射比率を有するものが望ましい。
【0067】
図2に示す原料ミネラル水溶液製造手段10においては、水流Rによる撹拌作用、導電線15を流れる直流電流DCの作用及び超音波振動により、ミネラル付与材(A)12に含まれるミネラル成分が速やかに水11中に溶出して、必要とするミネラル成分が適度に溶け込みミネラル水溶液41を効率良く製造することができる。
【0068】
そして、図6に示す遠赤外線発生手段43において、ミネラル水溶液41に遠赤外線を照射することにより、溶解したミネラル成分と水分子とが融合して電気陰性度の高まったミネラル含有水(A)44が形成される。
【0069】
ミネラル含有水(A)製造装置2において、前述した工程により形成されたミネラル含有水(A)44は、図1に示すように、送水経路57yを経由して混合槽46へ送り込まれ、混合槽46内において、ミネラル含有水(B)製造装置3から送り込まれたミネラル含有水(B)45と混合される。
【0070】
以下、ミネラル付与材(A)について説明する。
ミネラル付与材(A)は、キク科の草木植物及びバラ科の草木植物からなる草木植物原料、並びにカエデ、白樺、松及び杉から選択される1種以上の木本植物からなる木本植物原料を含有する。使用される部位は、葉部、茎部、花部、樹皮部等のミネラル成分が溶出しやすい部位が適宜選択され、そのまま用いてもよいが、乾燥物として用いてもよい。
なお、キク科及びバラ科以外の草木植物以外にも他の草木植物を含んでもよいが、キク科及びバラ科の草木植物のみであることが好ましい。
【0071】
ミネラル付与材(A)として、ミネラル付与材(A')が挙げられる。ミネラル付与材(A')は、前記草木植物原料として、野アザミ(葉部、茎部及び花部)、ヨモギ(葉部及び茎部)、ツワブキ(葉部及び茎部)を、それぞれ8~12重量%、55~65重量%、27~33重量%となる割合で混合し、乾燥させた後に粉砕したキク科植物の乾燥粉砕物、及び、
ノイバラ(葉部、花部)、ダイコンソウ(葉部及び茎部)、キイチゴ(葉部、茎部及び花部)を、それぞれ17~23重量%、8~12重量%、65~75重量%の割合で混合し、乾燥させた後に粉砕したバラ科植物の乾燥粉砕物を使用し、
当該キク科植物の乾燥粉砕物とバラ科植物の乾燥粉砕物とを、1:0.8~1:1.2(重量比)で混合して得られる草木植物原料(A1)と、
前記木本植物原料として、カエデ(葉部及び茎部)、白樺(葉部、茎部、及び樹皮部)、杉(葉部、茎部、及び樹皮部)を、それぞれ22~28重量%、22~28重量%、45~55重量%となる割合で混合し、乾燥させた後に粉砕した乾燥粉砕物からなる木本植物原料(A2)とを、
草木植物原料(A1)と木本植物原料(A2)の重量比で1:2.7~1:3.3となるように混合して得られるミネラル付与材である。
【0072】
ミネラル付与材(A')の中でも、特には前記草木植物原料として、野アザミ(葉部、茎部及び花部)、ヨモギ(葉部及び茎部)、ツワブキ(葉部及び茎部)を、それぞれ10重量%、60重量%、30重量%となる割合で混合し、乾燥させた後に粉砕したキク科植物の乾燥粉砕物、及び、ノイバラ(葉部、花部)、ダイコンソウ(葉部及び茎部)、キイチゴ(葉部、茎部及び花部)を、それぞれ20重量%、10重量%、70重量%の割合で混合し、乾燥させた後に粉砕したバラ科植物の乾燥粉砕物を、1:1(重量比)で混合して得られる草木植物原料(A1)と、
前記木本植物原料として、カエデ(葉部及び茎部)、白樺(葉部、茎部、及び樹皮部)、杉(葉部、茎部、及び樹皮部)を、それぞれ25重量%、25重量%、50重量%となる割合で混合し、乾燥させた後に粉砕した乾燥粉砕物からなる木本植物原料(A2)とを、草木植物原料(A1)と木本植物原料(A2)の重量比で1:3となるように混合して得られるミネラル付与材であることが好ましい。
このような草木植物原料(A1)として、株式会社理研テクノシステム製「P-100(品番)」、木本植物原料(A2)として、株式会社理研テクノシステム製「P-200(品番)」を好適に使用することができる。
【0073】
また、他のミネラル機能水を製造するためには、草木植物原料(A1)や木本植物原料(A2)の種類を変える。
また、草木植物原料(A1)や木本植物原料(A2)以外の動植物種もミネラル機能水の原料に成り得る。
【0074】
(ミネラル含有水(B)製造装置)
次に、図1図7に基づいて、ミネラル含有水(B)製造装置3の構造、機能などについて説明する。
図1図7に示すように、ミネラル含有水(B)製造装置3は、互いに種類の異なるミネラル付与材(B)が充填された第1通水容器51~第6通水容器56と、第1通水容器51~第6通水容器56を直列に連通する送水経路57と、第1通水容器51~第6通水容器56とそれぞれ並列した状態で送水経路57に連結された迂回水路51p~56pと、各迂回水路51p~56pと送水経路57との分岐部にそれぞれ設けられた水流切替弁51v~56vと、を備えている。
【0075】
水流切替弁51v~56vの切替操作は、これらの水流切替弁51v~56vと信号ケーブル59で結ばれた操作盤58に設けられた6個の切替ボタン51b~56bを操作することによって実行することができる。6個の切替ボタン51b~56bと6個の水流切替弁51v~56vとがそれぞれの番号ごとに対応しているので、切替ボタン51b~56bの何れかを操作すれば、それと対応する番号の水流切替弁51v~56vが切り替わり、水流方向を変えることができる。
【0076】
ここで、ミネラル付与材(B)51m~56mは、好適には石灰石、化石サンゴ、貝殻をベースとした原料を混合して製造することができる。
まず、石灰石、化石サンゴ、貝殻に含まれる成分を分析し、それぞれに二酸化ケイ素、酸化鉄、活性炭、窒化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウムの量を評価する。そして、各成分の含有量を基に、石灰石、化石サンゴ、貝殻を混合し、ミネラル付与材(B)51m~56mを製造する。
なお、上記ミネラル付与材(B)51m~56mは、石灰石、化石サンゴ、貝殻の混合比によって含有する成分をコントロールすることが望ましいが、原料とする石灰石、化石サンゴ、貝殻は、産地によって含有される成分が不足する場合があるので、必要に応じて二酸化ケイ素、酸化鉄、活性炭、窒化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウムを追加してもよい。特に活性炭は、石灰石、化石サンゴ、貝殻にほとんど含まれないため、通常、別途追加する。
【0077】
ミネラル付与材(B)51m~56mとして、
第1通水容器51内のミネラル付与材(B1)が、石灰石、化石サンゴ、貝殻をそれぞれ70重量%、15重量%、15重量%を含む混合物、
第2通水容器52内のミネラル付与材(B2)が、石灰石、化石サンゴ、貝殻、活性炭をそれぞれ40重量%、15重量%、40重量%、5重量%を含む混合物、
第3通水容器53内のミネラル付与材(B3)が、石灰石、化石サンゴ、貝殻をそれぞれ80重量%、15重量%、5重量%を含む混合物、
第4通水容器54内のミネラル付与材(B4)が、石灰石、化石サンゴ、貝殻をそれぞれ90重量%、5重量%、5重量%を含む混合物、
第5通水容器55内のミネラル付与材(B5)が、石灰石、化石サンゴ、貝殻をそれぞれ80重量%、10重量%、10重量%を含む混合物、
第6通水容器56内のミネラル付与材(B6)が、石灰石、化石サンゴ、貝殻を60重量%、30重量%、10重量%を含む混合物、であると、ミネラル含有水(A)と混合させた際に優れた防除作用を発現するミネラル含有水(B)を得ることができる。
【0078】
特に、ミネラル付与材(B1)~(B6)に使用される、石灰石、化石サンゴ、貝殻、活性炭が、以下の(1-1)~(1-4)であることが好ましい。
【0079】
(1-1)石灰石:
下記成分を含む火山性鉱床が混在する石灰岩を粉砕した、3cm程度の小石状物
炭酸カルシウム:50重量%以上
酸化鉄:3~9重量%の鉄
酸化チタン、炭化チタン、窒化チタンの合計:0.8重量%以上
炭酸マグネシウム:7~10重量%
このような石灰石として、株式会社理研テクノシステム製「CC-200(品番)」を好適に使用することができる。
【0080】
(1-2)化石サンゴ:
下記2種類の化石サンゴを1:9の重量比で混合し、3~5mmに粉砕した粒状物
地下約100メートルより産出し重圧により結晶組成が変性した化石サンゴ
沖縄奄美大島付近の陸地から産出する化石サンゴ(炭酸カルシウムやリン酸カルシウムその他微量元素を含む)
このような化石サンゴとして、株式会社理研テクノシステム製「CC-300(品番)」を好適に使用することができる。
【0081】
(1-3)貝殻:
アワビ、トコブシ、フジツボを同じ重量で混合し3~5mmに粉砕した粒状物
このような貝殻として、株式会社理研テクノシステム製「CC-400(品番)」を好適に使用することができる。
【0082】
(1-4)活性炭
活性炭は、任意の原料から製造したものを使用することができるが、好ましくはヤシガラを原料として製造した活性炭が挙げられる。例えば、タイ産のヤシガラを原料とした、株式会社理研テクノシステム製「CC-500(品番)」が挙げられる。
【0083】
前述した操作盤58の切替ボタン51b~56bを操作して、水流切替弁51v~56vを通水容器側へ切り替えれば、送水経路57を流れてきた水は、操作された水流切替弁より下流側にある第1通水容器51~第6通水容器56内へ流れ込み、水流切替弁51v~56vを迂回水路側へ切り替えれば、送水経路57を流れてきた水は、操作された水流切替弁より下流側の迂回水路51p~56pへ流れ込む。従って、切替ボタン51b~56bの何れかを操作して水流切替弁51v~56vを選択的に切り替えることにより、第1通水容器51~第6通水容器56ごとに異なるミネラル付与材(B)51m~56mから溶出するミネラル成分を選択的に溶け込ませたミネラル含有水(B)45を形成することができる。
【0084】
次に、図8図11に基づいて、実際のミネラル含有水(B)製造装置3の構造、機能などについて説明する。なお、図8図10においては、前述した迂回水路51p~56p,水流切替弁51v~56v,操作盤58及び信号ケーブル59を省略している。
【0085】
図8図9に示すように、ミネラル含有水(B)製造装置3は、架台60に搭載された略円筒形状の第1通水容器51~第6通水容器56と、これらの第1通水容器51~第6通水容器56を直列に連通する送水経路57と、を備え、水道から供給される水Wを貯留するための原水タンク63が架台60の最上部に配置されている。原水タンク63内には、水W中の不純物を吸着する機能を有する無機質多孔体64が収容されている。架台60の底部には複数のキャスタ61及びレベルアジャスタ62が設けられている。略円筒形状の第1通水容器51~第6通水容器56は、それぞれの軸心51c~56c(図9参照)を水平方向に保った状態で、直方体格子構造の架台60に搭載されている。第1通水容器51~第6通水容器56は架台60に対し着脱可能である。
【0086】
図10に示すように、第1通水容器51~第6通水容器56はいずれも同じ構造であり、円筒形状の本体部51a~56aの両端部に設けられたフランジ部51f~56fに円板状の蓋体51d~56dを取り付けることにより気密構造が形成されている。軸心51c~56cが水平状態のとき本体部51a~56aの最下部に位置する箇所に、送水経路57と連通する入水口57aが設けられ、入水口57aから遠い方の蓋体51d~56dの最上部に、送水経路57と連通する出水口57bが設けられ、出水口57bにはメッシュストレーナ57cが取り付けられている。本体部51a~56a外周の出水口57b直上部分には、第1通水容器51~第6通水容器56内のエアを逃がすための自動エア弁57dが取り付けられている。
【0087】
上流側の送水経路57から供給された水は入水口57aを通過して第1通水容器51~第6通水容器56内へ流入し、それぞれの内部に充填されたミネラル付与材(B)51m~56mと接触することにより各ミネラル成分が水中へ溶出するので、それぞれのミネラル付与材(B)51m~56mに応じたミネラル成分を含有した水となって出水口57bから下流側の送水経路57へ流出する。
【0088】
図8図10に示すミネラル含有水(B)製造装置3においては、図7に示す操作盤58の切替ボタン51b~56bの何れかを操作して、原水タンク63の水Wを、第1通水容器51~第6通水容器56の1個以上に通過させことにより、第1通水容器51から第6通水容器56にそれぞれ充填されたミネラル付与材(B)51m~56mにそれぞれ含まれている特徴あるミネラル成分を選択的に溶け込ませたミネラル含有水(B)45を形成することができる。
【0089】
また、ミネラル含有水(B)製造装置3においては、第1通水容器51~第6通水容器56が送水経路57で直列に連結されているため、当該送水経路57に連続的に水を流すことにより、第1通水容器51~第6通水容器56内のミネラル付与材(B)51m~56mに応じたミネラル成分が溶け込んだミネラル含有水(B)45を大量生産することができる。
【0090】
なお、ミネラル含有水(B)製造装置3において形成されたミネラル含有水(B)45は、第6通水容器56より下流側の送水経路57xを経由して混合槽46内へ送り込まれ、その内部において、図1に示すミネラル含有水(A)製造装置2で製造されたミネラル含有水(A)44と混合されることによってミネラル機能水47が形成される。
【0091】
ミネラル含有水(A)とミネラル含有水(B)の配合割合は、ミネラル含有水(A)及びミネラル含有水(B)に含まれる原料の種類、溶出する成分濃度を考慮して適宜決定されるが、ミネラル含有水(A)とミネラル含有水(B)との重量比([ミネラル含有水(A)]:[ミネラル含有水(B)])で、1:5~1:20の範囲であり、好適には1:7~1:12の範囲、より好適には1:10の範囲である。
ミネラル含有水(A)が少なすぎる(ミネラル含有水(B)が多すぎる)場合、及びミネラル含有水(A)が多すぎる(ミネラル含有水(B)が少なすぎる)場合には、ミネラル機能水の有効成分が希釈されて目的とする作用が不十分になるおそれがある。
【0092】
以上、本発明の浄化材に係るミネラル機能水(a)の製造方法の好適な実施形態を説明したが、目的とする本発明の浄化材(ミネラル機能水(a))が製造できればよく、上記好適な実施形態以外にも様々な構成を採用することもでき、制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用することができる。
【実施例0093】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0094】
<1.ミネラル機能水(a)の製造>
成分(a)(ミネラル機能水由来のミネラル成分)としてのミネラル機能水(a)として、株式会社理研テクノシステム製ミネラル機能水CAC-717(テラ・プロテクト(商品名)、CAC-717(品番)、開発品番号CA-C-01)を使用した。
【0095】
ミネラル機能水(a)(CAC-717)の製造は、上記本発明の実施形態で説明したミネラル機能水製造装置を用い、上述した製造方法にて、以下の原料及び方法で行った。なお、当該方法は、特許第5864010号における実施例1のミネラル機能水の製造方法に相当する。
【0096】
1.ミネラル含有水(A)の製造
ミネラル付与材(A)の原料として、草木植物原料(A1)として、株式会社理研テクノシステム製「P-100(品番)」、木本植物原料(A2)として、株式会社理研テクノシステム製「P-200(品番)」を使用した。
「P-100」は、以下のキク科植物の乾燥粉砕物及びバラ科植物の乾燥粉砕物を1:1(重量比)で混合した草木植物原料(A1)であり、「P-200」は、以下に記載の木本植物原料(A2)である。

(A1)草木植物原料(草木植物の乾燥物)
(A1-1)キク科植物の乾燥粉砕物
野アザミ(葉部、茎部及び花部)、ヨモギ(葉部及び茎部)、ツワブキ(葉部及び茎部)を、それぞれ10重量%、60重量%、30重量%となる割合で混合し、乾燥させた後に粉砕させたもの。
(A1-2)バラ科植物の乾燥粉砕物
ノイバラ(葉部、花部)、ダイコンソウ(葉部及び茎部)、キイチゴ(葉部、茎部及び花部)を、それぞれ20重量%、10重量%、70重量%の割合で混合し、乾燥させた後に粉砕させたもの。

(A2)木本植物原料(木本植物の乾燥物)
カエデ(葉部及び茎部)、白樺(葉部、茎部、及び樹皮部)、杉(葉部、茎部、及び樹皮部)を、それぞれ25重量%、25重量%、50重量%となる割合で混合し、乾燥させた後に粉砕させたもの。
【0097】
上記草木植物原料(A1)と木本植物原料(A2)を、1:3(重量比)で混合したミネラル付与材(A)を、図1に示すミネラル含有水(A)製造装置2における、原料ミネラル水溶液製造手段10(図2参照)に水に対して10~15重量%になるように入れ、原料ミネラル水溶液製造手段10の導電線に直流電流(DC8300V、100mA)を導通させ、導電線の周囲の水に直流電流と同方向の水流を発生させ、前記水に超音波振動(発振周波数50kHz、振幅1.5/1000mm)を付与して原料ミネラル水溶液(A)を形成した。次いで、後段の遠赤外線発生手段43に供給された原料ミネラル水溶液(A)に遠赤外線(波長6~14μm)を照射することにより実施例のミネラル含有水(A)を得た。ミネラル含有水(A)は、原料である草木植物原料(A1)と木本植物原料(A2)はほぼ完全に分解され、目視で観察できる固形物はほとんどなかった。
【0098】
2.ミネラル含有水(B)の製造
ミネラル付与材(B)の原料としては、石灰石、化石サンゴ、貝殻、活性炭を粉砕・混合した混合物を使用した。ミネラル付与材(B)の原料及び第1~6通水容器で使用した混合物(ミネラル付与材(B1)~(B6))は、以下の通りである。

(1)原料
(1-1)石灰石:株式会社理研テクノシステム製「CC-200(品番)」
下記成分を含む火山性鉱床が混在する石灰岩を粉砕した、3cm程度の小石状物
炭酸カルシウム:50重量%以上
酸化鉄:3~9重量%の鉄
酸化チタン、炭化チタン、窒化チタンの合計:0.8重量%以上
炭酸マグネシウム:7~10重量%

(1-2)化石サンゴ:株式会社理研テクノシステム製「CC-300(品番)」
下記2種類の化石サンゴを1:9の重量比で混合し、3~5mmに粉砕した粒状物
・地下約100メートルより産出し重圧により結晶組成が変性した化石サンゴ。
・沖縄奄美大島付近の陸地から産出する化石サンゴ(炭酸カルシウムやリン酸カルシウムその他微量元素を含む)

(1-3)貝殻:株式会社理研テクノシステム製「CC-400(品番)」
・アワビ、トコブシ、フジツボを同じ重量で混合し3~5mmに粉砕した粒状物

(1-4)活性炭(第2通水容器のみ使用):株式会社理研テクノシステム製「CC-500(品番)」
・タイ産のヤシガラ活性炭

(2)第1~6通水容器での使用割合
・第1通水容器:
ミネラル付与材(B1):石灰石、化石サンゴ、貝殻をそれぞれ70重量%、15重量%、15重量%混合したもの
・第2通水容器:
ミネラル付与材(B2):石灰石、化石サンゴ、貝殻、活性炭をそれぞれ40重量%、15重量%、40重量%、5重量%混合したもの(二酸化ケイ素と活性炭に相当)
・第3通水容器:
ミネラル付与材(B3):石灰石、化石サンゴ、貝殻をそれぞれ80重量%、15重量%、5重量%混合したもの
・第4通水容器:
ミネラル付与材(B4):石灰石、化石サンゴ、貝殻をそれぞれ90重量%、5重量%、5重量%混合したもの
・第5通水容器:
ミネラル付与材(B5):石灰石、化石サンゴ、貝殻をそれぞれ80重量%、10重量%、10重量%混合したもの
・第6通水容器:
ミネラル付与材(B6):石灰石、化石サンゴ、貝殻をそれぞれ60重量%、30重量%、10重量%混合したもの
【0099】
図1の構成のミネラル機能水製造設備1において、上記ミネラル付与材(B1)~(B6)を使用した第1~6通水容器に水を流通させることにより、ミネラル含有水(B)を得た。(B1)~(B6)はそれぞれ50kg(合計300kg)であり、流通させる水の量は1000kg、流速は500mL/40sで設定した。
【0100】
上記方法で形成したミネラル含有水(A)とミネラル含有水(B)とを1:10(重量比)となるように混合して、ミネラル機能水(CAC-717)を得た。
【0101】
ミネラル機能水をpHメータ(東興化学研究所製 ガラス電極式水素イオン濃度指示計 TPX-90)で測定したところ、pH12.5であった。
【0102】
図12にミネラル機能水(a)の分光放射率スペクトル、及び黒体の分光放射率スペクトル(理論値)(測定温度:25℃、波長範囲:4~24μm、参照担体:セラミック粉末)を示す。また、図13にミネラル機能水(a)の25℃における黒体に対する放射比率を示す図を示す。図13から、波長5~7μm間及び波長14~24μm間の平均放射比率を算出したところ、91.7%であった。
【0103】
<2.浄化材の製造>
実験に使用した浄化材を得た。成分(a)~(c)は以下の通りである。
成分(a):ミネラル機能水(a)由来のミネラル成分
成分(b):泥炭由来の腐植物質(ウクライナ産、フルボ酸:フミン酸=30:70)
成分(c):粉末状の金属鉄(粒径0.5mm以下)
【0104】
(実施例1)
まず、腐植物質(粘土状)60重量部に、上記ミネラル機能水(a)20重量部を加えて十分に混合することによって粘土状の固形物(半固形状)を得た。次いで、鉄粉20重量部を加えて混合することによって実施例1の浄化材(粒状物)を得た。なお、鉄粉を混錬する際に、粘土状の固形物が徐々に固まり粒状物となる。
【0105】
(比較例1)
ミネラル機能水(a)を使用せず、腐植物質60重量部に、水20重量部を加えて十分に混合することによって液状物を得た。次いで、鉄粉20重量部を加えて混錬することによって比較例1の浄化材(粒状物)を得た。
【0106】
<2.評価>
本発明の浄化材を、以下の方法で実証実験を行った。浄化材としては、上述の実施例1及び比較例1の浄化材を使用した。
【0107】
(評価用水性試料の作製)
市販の牛乳に適量の精製水に加えてCOD濃度40ppmの牛乳希釈水を作製し、これを評価用水性試料(処理対象の有機物を含む水の代替)とした。
【0108】
(試料溶液1)
評価用水性試料500mLに実施例1の浄化材を20g入れ、攪拌機で200rpm、15min処理し、実験例1の試料溶液を得た。
【0109】
(試料溶液2(対照))
また、実施例1の浄化材に代えて、比較例1の浄化材を使用した以外は試料溶液1と同様にして、対照実験用の試料溶液2を得た。
【0110】
<光照射照射試験>
試料溶液(試料溶液1,2)に対し、キセノンランプ(仕様BSO-X150)を12時間照射した後のCOD値、2価鉄(Fe2+)濃度及び3価鉄(Fe3+)濃度を下記の測定方法で測定した。更にキセノンランプを消灯し暗室で12時間静置した後にも同様に測定した。なお攪拌はキセノンランプ照射時のみとした。
【0111】
(測定方法)
・COD値の測定 : 過マンガン酸カリウム酸化法
・溶存鉄濃度測定: JIS K 0102 57.1還元 ο-フェナントロリン吸光光度法
・2価鉄(Fe2+)濃度測定: ο-フェナントロリン吸光光度法
・3価鉄(Fe3+)濃度測定: スルホサルチル酸吸光光度法
【0112】
表1に開始時(光照射前)、光照射12時間後(1回目)、暗室静置12時間後、光照射12時間後(2回目)、の試料溶液中のCOD値、溶存鉄濃度(Fe2+及びFe3+の合計)、2価鉄(Fe2+)濃度、3価鉄(Fe3+)濃度をまとめて示す。なお、溶存鉄、2価鉄及び3価鉄の濃度測定値は、小数点以下を四捨五入した値とした。
【0113】
【表1】
【0114】
表1の通り、開始時及び光照射12時間後(1回目)における比較から、実施例1の浄化材を用いた試料溶液1、比較例1の浄化材(対照試料)を用いた試料溶液2の両方において、COD値は同程度減少し、かつ、同程度で2価鉄濃度の減少と共に3価鉄濃度が上昇した。
この結果から、光照射によりフェントン反応が進行し、試料溶液中の腐植質成分により生成される過酸化水素を、2価鉄が触媒となり3価鉄に変化する過程で活性酸素ヒドロキシラジカルが生成され、このヒドロキシラジカルによる酸化分解で、COD値は両試料ともに同程度数値が減少していると判断した。
【0115】
一方、光照射が無い暗室静置12時間後の測定では、実施例1の浄化材を用いた試料溶液1では、3価鉄濃度の減少と共に2価鉄濃度の上昇が確認され、それぞれ開始時と同程度の濃度に戻った。このことから、実施例1の浄化材には暗状態において3価鉄を2価鉄に還元することができることが確認された。
これに対し、比較例1の浄化材(対照試料)を用いた試料溶液2では、2価鉄濃度、3価鉄濃度共に光照射12時間後の数値から変化はほぼ起きなかった。
【0116】
次いで、再度光照射を行うと、光照射12時間後(2回目)の通り、実施例1の浄化材を用いた試料溶液1では、COD値が減少し、かつ、2価鉄濃度の減少と共に3価鉄濃度が上昇することが確認された。
以上の結果から、実施例1の浄化材には暗状態において3価鉄を2価鉄に還元することができ、生成した2価鉄を使用して再度の光照射によりフェントン反応を繰り返して継続できることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明の浄化材は、有機物の分解作用に優れ、その作用を長期間維持可能であるため、底質及びそれに接する水質の改善に好適に使用できる。
【符号の説明】
【0118】
1 ミネラル機能水製造設備
2 ミネラル含有水(A)製造装置
3 ミネラル含有水(B)製造装置
10 原料ミネラル水溶液製造手段
11,W 水
12 ミネラル付与材(A)
13 反応容器
13a 壁体
14 絶縁体
15 導電線
16 超音波発生手段
17 直流電源装置
18a,18b,18c 循環経路
19 排水口
20,23 開度調節バルブ
21,25 排水バルブ
22 収容槽
24 排水管
26 水温計
29,29a~29g,29s,29t 導電ケーブル
30 ターミナル
31 収納容器
31f フック
40 処理容器
41 原料ミネラル水溶液(A)
42 撹拌羽根
43 遠赤外線発生手段
44 ミネラル含有水(A)
45 ミネラル含有水(B)
46 混合槽
47 ミネラル機能水
51 第1通水容器
52 第2通水容器
53 第3通水容器
54 第4通水容器
55 第5通水容器
56 第6通水容器
51a~56a 本体部
51b~56b 切替ボタン
51c~56c 軸心
51d~56d 蓋体
51f~56f フランジ部
51m~56m ミネラル付与材(B)
51p~56p 迂回水路
51v~56v 水流切替弁
57,57x,57y 送水経路
57a 入水口
57b 出水口
57c メッシュストレーナ
57d 自動エア弁
58 操作盤
59 信号ケーブル
60 架台
61 キャスタ
62 レベルアジャスタ
63 原水タンク
DC 直流電流
DW 水道水
R 水流
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2023-08-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミネラル成分を含有するミネラル機能水(a)と、フルボ酸を含有する腐植物質(b)と、鉄供給原料(c)とを含有し、
ミネラル機能水(a)が、下記の工程(1)で形成されたミネラル含有水(A)と、下記の工程(2)で形成されたミネラル含有水(B)とを、1:10(重量比)となる割合で含有する、ミネラル機能水であることを特徴とする底質水質浄化材。

工程(1):
絶縁体で被覆された導電線と、キク科の草木植物及びバラ科の草木植物からなる草木植物原料、並びにカエデ、白樺、松及び杉から選択される1種以上の木本植物からなる木本植物原料を含有するミネラル付与材(A)と、を水に浸漬し、前記導電線に直流電流を導通させ、前記導電線の周囲の水に前記直流電流と同方向の水流を発生させ、前記水に超音波振動を付与して原料ミネラル水溶液(A)を形成し、次いで、原料ミネラル水溶液(A)に遠赤外線(波長6~14μm)を照射してミネラル含有水(A)を形成する工程であって、
水に対するミネラル付与材(A)の添加量が10~15重量%であり、前記導電線に導通させる直流電流における電流値及び電圧値が、それぞれ0.05~0.1A及び8000~8600Vの範囲であり、かつ、
ミネラル付与材(A)が、
前記草木植物原料として、野アザミ(葉部、茎部及び花部)、ヨモギ(葉部及び茎部)、ツワブキ(葉部及び茎部)を、それぞれ10重量%、60重量%、30重量%となる割合で混合し、乾燥させた後に粉砕したキク科植物の乾燥粉砕物、及び、
ノイバラ(葉部、花部)、ダイコンソウ(葉部及び茎部)、キイチゴ(葉部、茎部及び花部)を、それぞれ20重量%、10重量%、70重量%の割合で混合し、乾燥させた後に粉砕したバラ科植物の乾燥粉砕物を使用し、
当該キク科植物の乾燥粉砕物とバラ科植物の乾燥粉砕物とを、1:1(重量比)で混合して得られる草木植物原料(A1)と、
前記木本植物原料として、カエデ(葉部及び茎部)、白樺(葉部、茎部、及び樹皮部)、杉(葉部、茎部、及び樹皮部)を、それぞれ25重量%、25重量%、50重量%となる割合で混合し、乾燥させた後に粉砕した乾燥粉砕物からなる木本植物原料(A2)とを、
草木植物原料(A1)と木本植物原料(A2)の重量比で1:3となるように混合して得られるミネラル付与材(A’)である工程

工程(2):
互いに種類の異なる無機系のミネラル付与材(B)が充填され、直列に接続された第1通水容器から第6通水容器に至る6個の通水容器における、
第1通水容器内のミネラル付与材(B1)が、石灰石、化石サンゴ、貝殻をそれぞれ70重量%、15重量%、15重量%を含む混合物、
第2通水容器内のミネラル付与材(B2)が、石灰石、化石サンゴ、貝殻、活性炭をそれぞれ40重量%、15重量%、40重量%、5重量%を含む混合物、
第3通水容器内のミネラル付与材(B3)が、石灰石、化石サンゴ、貝殻をそれぞれ80重量%、15重量%、5重量%を含む混合物、
第4通水容器内のミネラル付与材(B4)が、石灰石、化石サンゴ、貝殻をそれぞれ90重量%、5重量%、5重量%を含む混合物、
第5通水容器内のミネラル付与材(B5)が、石灰石、化石サンゴ、貝殻をそれぞれ80重量%、10重量%、10重量%を含む混合物、
第6通水容器内のミネラル付与材(B6)が、石灰石、化石サンゴ、貝殻を60重量%、30重量%、10重量%を含む混合物、
であって、当該6個の通水容器に水を通過させてミネラル含有水(B)を製造するミネラル含有水(B)を形成する工程
である工程
【請求項2】
フルボ酸を含有する腐植物質(b)が、泥炭由来の腐植物質である請求項1に記載の底質水質浄化材。
【請求項3】
鉄供給原料(c)が、粉末状の金属鉄である請求項1に記載の底質水質浄化材。
【請求項4】
請求項1に記載の底質水質浄化材の製造方法であって、
前記ミネラル機能水(a)と前記腐植物質(b)とを混合し、粘土状の混合物を得る工程と、
当該粘土状の混合物に鉄供給原料(c)を混合する工程と、
を有する製造方法。
【請求項5】
請求項1からのいずれかに記載の浄化材を、浄化対象の水底に散布又は沈設することを特徴とする底質及び水質の浄化方法。