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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100640
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】注液装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/00 20060101AFI20240719BHJP
   B05B 1/02 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05B1/02
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032586
(22)【出願日】2023-03-03
(31)【優先権主張番号】112101708
(32)【優先日】2023-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】523078878
【氏名又は名称】辛耘企業股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】馮 傳彰
【テーマコード(参考)】
4F033
4F041
【Fターム(参考)】
4F033AA01
4F033AA14
4F033BA03
4F033DA01
4F033EA01
4F033GA03
4F033GA11
4F033NA01
4F041AA06
4F041AB01
4F041BA01
4F041BA05
4F041BA36
4F041BA60
(57)【要約】
【課題】作動流体の移送・注入停止後やノズル移動過程での液だれ・液漏れを確実に回避可能にする注液装置を提供する。
【解決手段】この注液装置はノズル、可動部材、制御弁を含み、ノズルは流路、バイパス通路、サックバック通路を有し、流路はノズルを貫通することで作動流体を移送・注入し、流路は液体排出口を有し、バイパス通路は第一ポート、導通位置、断流位置を有し、サックバック通路は第一ポートと液体排出口の間に位置する第二ポートを有し、第一ポートと第二ポートはそれぞれ流路と連通し、可動部材はバイパス通路内に設けられ、制御弁はノズルに設けられ、かつ流路の開閉のため可動部材を導通位置と断流位置の間で切り替えるのを制御し、可動部材が断流位置にある時、サックバックポンプで第一ポートと液体排出口の間に残留する作動流体を吸い戻す。これにより、ノズルは作動流体の移送・注入停止後やノズル移動過程でも液だれ・液漏れを回避できる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
注液装置であって、少なくとも1つの作動流体を移送・注入するのに用いられ、前記注液装置は、
少なくとも1つの流路、少なくとも1つのバイパス通路及び少なくとも1つのサックバック通路を有し、前記流路が貫通しており、かつ前記作動流体の移送・注入に用いられ、前記流路の末端には液体排出口が形成されており、前記バイパス通路は第一ポート、導通位置及び断流位置を有し、前記サックバック通路は第二ポートを有し、前記第一ポート及び前記第二ポートはそれぞれ前記流路と連通し、前記第二ポートが前記第一ポート及び前記液体排出口の間に位置するノズルと、
前記バイパス通路内に設置されている少なくとも1つの可動部材と、
前記ノズルの片側に設置され、前記流路を開閉するために前記可動部材を前記導通位置及び前記断流位置の間で切り替えるのを制御するのに用いられる制御弁と、
前記サックバック通路と接続されているサックバックポンプとを含み、
その中で、前記可動部材が前記断流位置にある時、前記サックバックポンプが前記第一ポート及び前記液体排出口の間に残留している前記作動流体を吸い戻す注液装置。
【請求項2】
その中で、前記制御弁は、高圧ガスによって前記可動部材が前記導通位置及び前記断流位置の間で往復移動するように制御する、請求項1に記載の注液装置。
【請求項3】
その中で、前記制御弁は、チャンバー及び導通ポートを有し、前記可動部材は仕切板及び前記仕切板に接続するロッドを含み、前記仕切板は前記チャンバー内に設けられ、かつ前記チャンバーを第一キャビティ及び第二キャビティに仕切り、前記導通ポートは前記第一キャビティと連通し、前記ロッドは前記第一キャビティから前記制御弁に穿設され、一部分は前記バイパス通路内に収容され、前記高圧ガスが前記導通ポートを経由して前記第一キャビティ内に進入した時、前記高圧ガスが前記仕切板を押動することで前記可動部材を前記導通位置まで移動させる、請求項2に記載の注液装置。
【請求項4】
その中で、前記制御弁は弾性部材を含み、前記弾性部材は前記第二キャビティ内に設けられ、前記弾性部材は前記仕切板及び前記チャンバーの内壁の間で弾性的に当接し、前記仕切板が前記高圧ガスの押動を受けていない時、前記弾性部材が前記仕切板を押動することで前記可動部材を前記断流位置まで移動させる、請求項3に記載の注液装置。
【請求項5】
その中で、前記制御弁はさらに断流ポートを有し、前記断流ポートは前記第二キャビティと連通し、前記高圧ガスが前記断流ポートを経由して前記第二キャビティ内に進入した時、前記高圧ガスが前記仕切板を押動することで前記可動部材を前記断流位置まで移動させる、請求項3に記載の注液装置。
【請求項6】
さらに少なくとも1つの弾性シール材を含み、前記弾性シール材は前記ロッドの前記仕切板から離れた一端に設けられ、前記可動部材が前記断流位置にある時、前記弾性シール材が前記流路の内壁で当接することにより前記流路を閉鎖する、請求項3に記載の注液装置。
【請求項7】
その中で、流路、バイパス通路、サックバック通路、可動部材及び制御弁の数量はいずれも複数であって、複数の注液管路群を構成しており、各前記注液管路群はそれぞれ独立して配置され、相異なる前記作動流体を移送・注入することができる、請求項1に記載の注液装置。
【請求項8】
その中で、前記ノズルは注水通路を有し、前記注水通路が前記ノズルを貫通しており、かつ前記流路に平行である、請求項1に記載の注液装置。
【請求項9】
さらに少なくとも1つの継手を含み、前記継手が前記サックバック通路に設けられ、かつチューブでサックバックポンプと接続されている、請求項1に記載の注液装置。
【請求項10】
その中で、前記バイパス通路が前記流路に対して垂直である、請求項1に記載の注液装置。
【請求項11】
その中で、前記サックバックポンプ圧値が0.5kg/cm~4kg/cmの間である、請求項1に記載の注液装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注液装置に関し、特に半導体分野で用いられ、ノズル内部に残留した作動流体を吸い戻すことが可能な注液装置を指す。
【背景技術】
【0002】
半導体分野においては、通常、化学液体を注液装置の送液ポンプで管路出口の先端のノズルまで圧送して流出させ、これにより基板の表面に塗布又は散布することで、基板に対し、エッチング又は洗浄等の工程を行う必要があるが、エッチングの効果及び洗浄の均一性はいずれも工程の成否に影響する重要な要素であり、従ってどのように制御して、送液ポンプで断流して液体の移送を停止した時に、化学液体が引き続き液だれ・液漏れすることなく工程品質に影響を与えないようにするか、並びにノズル移動の過程において液だれ・液漏れを回避するかは、やはり極めて重要である。
【0003】
一般的に、流体の液だれ・液漏れを防止する方法は、流体の注液装置内にサックバックバルブ(suck back valve)を設置することである。しかし、サックバックバルブは流体の送液ポンプの出口の先端に設置され、管路の出口の先端との距離が非常に離れているため、その吸い戻し力には限界があり、管路中に残留する液体が過度に多くなり、管路出口のノズルにおいて液だれ・液漏れの現象を引き起こし、特に粘度、比重、温度、揮発性、表面張力等、流体特性の相異なる液体を使用する場合は、さらに深刻である。どのようにすれば、流体特性の異なる流体を確実に断流できるか、またノズル移動時に残留している液体が液だれしないようにできるかは、速やかな改善が待たれる問題点である。
【0004】
この点を踏まえ、本発明の発明者は、上記従来技術の欠点について、特に研究に専念し、学理の運用を組み合わせ、上記問題点の解決に尽力し、即ち、これが本発明の発明者の改良の目標となった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、効果的かつ確実に、ノズルが作動流体の移送・注入を停止した後に液だれ・液漏れしないようにし、またノズル移動過程における液だれ・液漏れを回避可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は少なくとも1つの作動流体の移送・注入に用いられる注液装置を提供する。この注液装置はノズル、少なくとも1つの可動部材、少なくとも1つの制御弁及びサックバックポンプを含み、
ノズルは少なくとも1つの流路、少なくとも1つのバイパス通路及び少なくとも1つのサックバック通路を有し、
流路はノズルを貫通し、かつ上記作動流体の移送・注入に用いられ、流路の末端には液体排出口が形成されており、
バイパス通路は第一ポート、導通位置及び断流位置を有し、
サックバック通路は第二ポートを有し、
第一ポート及び第二ポートはそれぞれ流路と連通し、
第二ポートは第一ポート及び液体排出口の間に位置し、
可動部材はバイパス通路内に設けられ、制御弁はノズルの片側に設けられ、
制御弁は流路を開閉するために可動部材を導通位置及び断流位置の間で切り替えるのを制御するのに用いられ、
サックバックポンプはサックバック通路と接続され、可動部材が断流位置にある時、サックバックポンプは第一ポート及び液体排出口の間に残留する上記作動流体を吸い戻すことができる。
【0007】
本発明の実施例において、制御弁は高圧ガスによって、可動部材が導通位置及び断流位置の間で往復移動するように制御する。
【0008】
本発明の実施例において、制御弁はチャンバー及び導通ポートを有し、可動部材は仕切板及び仕切板に接続するロッドを含み、仕切板はチャンバー内に設けられ、かつチャンバーを第一キャビティ及び第二キャビティに仕切り、導通ポートは第一キャビティと連通し、ロッドは第一キャビティから制御弁に穿設され、一部分はバイパス通路内に収容され、上記高圧ガスが導通ポートを経由して第一キャビティ内に進入した時、上記高圧ガスは仕切板を押動することで可動部材を導通位置まで移動させる。
【0009】
本発明の実施例において、制御弁は弾性部材を含み、弾性部材は第二キャビティ内に設けられ、弾性部材は仕切板及びチャンバーの内壁の間で弾性的に当接し、仕切板が上記高圧ガスの押動を受けていない時、弾性部材は仕切板を押動することで可動部材を断流位置まで移動させる。
【0010】
本発明の実施例において、制御弁はさらに断流ポートを有し、断流ポートは第二キャビティと連通し、上記高圧ガスが断流ポートを経由して第二キャビティ内に進入した時、上記高圧ガスは仕切板を押動することで可動部材を断流位置まで移動させる。
【0011】
本発明の実施例において、さらに少なくとも1つの弾性シール材を含み、弾性シール材はロッドの仕切板から離れた一端に設けられ、可動部材が断流位置にある時、弾性シール材は流路の内壁で当接することにより流路を閉鎖する。
【0012】
本発明の実施例において、流路、バイパス通路、サックバック通路、可動部材及び制御弁の数量はいずれも複数であって、複数の注液管路群を構成しており、各注液管路群はそれぞれ独立して配置され、相異なる上記作動流体を移送・注入することができる。
【0013】
本発明の実施例において、ノズルは注水通路を有し、注水通路はノズルを貫通しており、かつ流路に平行である。
【0014】
本発明の実施例において、さらに少なくとも1つの継手を含み、継手はサックバック通路に設けられ、かつチューブでサックバックポンプと接続されている。
【0015】
本発明の実施例において、バイパス通路は、流路に対して垂直である。
【0016】
本発明の実施例において、サックバックポンプ圧値は0.5kg/cm~4kg/cmの間である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施例1の断面図である。
図2】本発明の実施例1の使用状態の図(一)である。
図3】本発明の実施例1の使用状態の図(二)である。
図4】本発明の実施例2の断面図である。
図5】本発明の実施例3の断面図である。
図6】本発明の実施例3の使用状態の図(一)である。
図7】本発明の実施例3の使用状態の図(二)である。
図8】本発明の吸い戻し秒数のデータの表とグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の詳細及び技術的内容について、図式を使用して下記の通り説明するが、添付の図式は説明のためにのみ用いるものであり、本発明に制限を加えるために用いるものではない。
【実施例0019】
本発明は、少なくとも1つの作動流体を移送・注入するのに用いられる注液装置を提供する。図1から図3を参照されたい。これらの図に示す通り、本発明の注液装置は主にノズル10、少なくとも1つの可動部材20、少なくとも1つの制御弁30及びサックバックポンプBを含む。注意しなければならないのは、本発明において応用可能な作動流体は、水、化学液体又は洗浄液等であり、本発明はこれについて多くの制限を行わないということである。ただ、異なる化学液体は相異なる流体特性(粘度、比重、温度、揮発性及び表面張力等)を有するため、明らかに本発明の注液装置を使用する必要があり、これによりノズルで液だれ・液漏れの状況が発生するのを回避するが、本発明の注液装置は、水又は洗浄液を作動流体として使用した場合でも全く影響はない。
【0020】
ノズル10は概ね柱体状を呈し、本実施例中のノズル10は円柱体であり、かつ末端は概ね円錐形を呈しているが、本発明はこれに限定するものではない。ノズル10は少なくとも1つの流路11、少なくとも1つのバイパス通路12及び少なくとも1つのサックバック通路13を有する。流路11は、垂直方向にノズル10を貫通し、かつ流路11の断面の形状は直線でも曲線でも、又は不規則な連続する弧線でもよく、本発明はこれについて多くの制限を行わない。流路11はチューブCによって送液ポンプAと接続され、作動流体の移送・注入を行うことができる。流路11の末端には液体排出口111が形成されており、即ち液体排出口111はノズル10の末端に位置する。バイパス通路12は、第一ポート121、導通位置122及び断流位置123を有する。図1から図3において、バイパス通路12の左から右の順に、導通位置122、断流位置123及び第一ポート121である。バイパス通路12は、第一ポート121を経由して流路11と連通している。本実施例において、バイパス通路12は流路11に対し垂直に連通しているが、本発明はこれに限定するものではない。サックバック通路13は、チューブCによってサックバックポンプBに接続されている。サックバック通路13は、第二ポート131を有し、かつサックバック通路13は第二ポート131を経由して流路11と連通している。第二ポート131は、第一ポート121及び液体排出口111の間に位置する。
【0021】
可動部材20は、バイパス通路12内に設置されている。制御弁30は、ノズル10の片側に設置されている。制御弁30は、チューブ(図示していない)を通じて高圧ガス(図示していない)を送り込むことで、可動部材20が導通位置122及び断流位置123の間で往復移動するのを制御することができ、これによって流路11を開閉する。具体的には、可動部材20が断流位置123にある時、流路11は閉鎖状態であって上記作動流体を通すことができず、また可動部材20が導通位置122にある時、流路11は開放状態であって上記作動流体を移送・注入することができる。さらに、可動部材20が断流位置123にある時、サックバックポンプBが第一ポート121及び液体排出口111の間に残留した上記作動流体を吸い戻すことができ、これにより効果的かつ確実に、上記作動流体が流路11内から液だれ・液漏れしないようにし、また本発明の注液装置の移動時において上記作動流体の液だれ・液漏れを回避可能にする。
【0022】
さらに説明すると、制御弁30はチャンバー31及び導通ポート32を有し、可動部材20は仕切板21及びロッド22を含む。仕切板21は、チャンバー31内に設置され、かつチャンバー31を第一キャビティ311及び第二キャビティ312に仕切っている。導通ポート32は第一キャビティ311と連通している。ロッド22の一端は仕切板21と接続し、かつ第一キャビティ311から制御弁30に穿設され、一部分はバイパス通路12内に収容されている。上記高圧ガスが導通ポート32から第一キャビティ311内に進入した時、上記高圧ガスは仕切板21を押動することで可動部材20を導通位置122まで移動させる。
【0023】
また制御弁30は、さらに弾性部材33を含む。弾性部材33は、第二キャビティ312内に設置されている。本実施例において、弾性部材33は圧縮ばねであるが、本発明はこれに限定するものではない。弾性部材33の両端は、仕切板21及びチャンバー31の内壁の間で弾性的に当接している。好ましくは、制御弁30は、さらに排気孔34を有し、かつ排気孔34は第二キャビティ312と連通している。これにより、上記高圧ガスが仕切板21を押動することで可動部材20を導通位置122まで移動させた時、仕切板21が弾性部材33を圧縮し、かつ第二キャビティ312内の空気が排気孔34を経由して外部環境に排出される。また断流しようとして流路11を閉鎖したい時、制御弁30によって上記高圧ガスを、導通ポート32を経由して第一キャビティ311から抜き取ることにより、仕切板21を上記高圧ガスの押圧から開放することで、弾性部材33が自身の圧縮後に発生する弾力で仕切板21を押動できるようになり、これによって可動部材20を断流位置123まで移動させる。
【実施例0024】
図4を参照されたい。図4に示す通り、これは本発明の実施例2であり、その主な違いは、弾性部材33を採用するのではなく、制御弁30がさらに断流ポート35を有する点である。断流ポート35は、導通ポート32の側方に位置し、かつ第二キャビティ312と連通している。これにより、断流しようとして流路11を閉鎖したい時、制御弁30によって、上記高圧ガスを第一キャビティ311内から導通ポート32を経由して抜き取り、また同時に上記高圧ガスを断流ポート35から第二キャビティ312内に送り込み、上記高圧ガスが仕切板21を押動できるようにすることで可動部材20を断流位置123まで移動させる。反対に、導通を回復させようとして流路11を開放したい時、制御弁30によって、上記高圧ガスを第二キャビティ312内から断流ポート35を経由して抜き取り、また同時に上記高圧ガスを導通ポート32から第一キャビティ311内に送り込み、上記高圧ガスが仕切板21を押動できるようにすることで可動部材20を導通位置122まで移動させる。
【0025】
さらに説明すると、本発明の注液装置は、さらに弾性シール材40及び継手50を含む。弾性シール材40は、ロッド22の仕切板21から離れた一端に設置されている。本実施例において、弾性シール材40はゴムブロックであるが、本発明はこれに限定するものではない。これにより、可動部材20が断流位置123にある時、弾性シール材40は流路11の内壁で当接して流路11を閉鎖し、かつ弾性シール材40が自身の弾性によって変形することにより密封性を効果的に確保して流路11を閉鎖できる。継手50はノズル10上に設置され、かつサックバック通路13と連通し、またチューブCによってサックバックポンプBと接続され、これにより、流路11を閉鎖した後に残留した作動流体を完全に吸い戻すことができる。その中で、サックバックポンプBの吸い戻し気圧が高ければ高いほど、サックバックポンプBが残留している作動流体を完全に吸い戻すのに必要な時間は短くなる。具体的には、図8を参照されたい。図8に示す通り、これはサックバックポンプBが異なる吸い戻し気圧下において必要とする秒数のデータの表及びグラフである。流路11を閉鎖した後、0.2秒遅れてサックバックポンプBを起動して吸い戻しを実施するように設定した場合、ポンプ圧が0.5kg/cmの時に必要な秒数は0.7秒であり、ポンプ圧が2kg/cmの時に必要な秒数は0.5秒であり、ポンプ圧が3.5kg/cmの時に必要な秒数は0.3秒である。故に、データの表及びグラフから、サックバックポンプBの吸い戻し気圧が高ければ高いほど、完全に吸い戻すのに必要な時間の秒数が短くなることは明らかである。
【実施例0026】
図5から図7を参照されたい。これらの図に示す通り、これは本発明の実施例3であり、その主な違いは、流路11、バイパス通路12、サックバック通路13、可動部材20及び制御弁30の数量がいずれも複数であって、また複数の注液管路群1をそれぞれ構成している点である。各注液管路群1は、それぞれ独立して配置され、また相異なる上記作動流体(本実施例において、好ましくは相異なる化学液体である)の移送・注入が可能であり、これにより異なる半導体製造プロセスのニーズに対応する。また、本実施例中のノズル10は、さらに注水通路14を有する。注水通路14はノズル10を貫通し、かつ流路11に平行であり、また注水通路14は清水の移送・注入のみに用いられ、これにより洗浄を行う。従って、本実施例の注液装置は、各注液管路群1によって相異なる化学液体を移送・注入可能であるだけでなく、注水通路14によって清水の移送・注入を可能とすることで多様化された使用配置を行うことができ、同時に注液装置において化学液体の液だれ・液漏れといった状況が発生するのを回避できる。
【0027】
注意する価値があるのは、清水の比重、粘度及び表面張力が比較的低いため、上記送液ポンプAが清水の供給を停止した時、水撃作用(Water Hammer)で発生した圧力差によって、弁ノズル構造内に残留した清水を注水通路14に沿って吸い戻すことができ、液だれ・液漏れの状況を発生させないので、注水通路14は、バイパス通路12及びサックバック通路13を別途設置しなくても液だれ・液漏れを回避できるという点である。
【0028】
上記内容を総合すると、本発明は産業上の利用性、新規性及び進歩性を兼ね備えており、特許出願要件に完全に適合するため、特許法に基づいて出願を行う。当然のことながら、さらに本発明はその他の多種の実施例を有することができ、本発明の精神及びその実質から乖離しない状況下において、当業者が本発明に基づき、各種の相応の変更及び変形を行うことはできるが、これらの相応の変更及び変形はいずれも本発明の特許請求の保護範囲に属するものとする。
【符号の説明】
【0029】
1 注液管路群
10 ノズル
11 流路
111 液体排出口
12 バイパス通路
121 第一ポート
122 導通位置
123 断流位置
13 サックバック通路
131 第二ポート
14 注水通路
20 可動部材
21 仕切板
22 ロッド
30 制御弁
31 チャンバー
311 第一キャビティ
312 第二キャビティ
32 導通ポート
33 弾性部材
34 排気孔
35 断流ポート
40 弾性シール材
50 継手
A 送液ポンプ
B サックバックポンプ
C チューブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8