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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100655
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】実装装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
H01L21/52 F
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115722
(22)【出願日】2023-07-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-04-19
(31)【優先権主張番号】P 2023004364
(32)【優先日】2023-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000149011
【氏名又は名称】株式会社大橋製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(72)【発明者】
【氏名】柏谷 尚克
(72)【発明者】
【氏名】北川 淳一郎
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 祐輔
【テーマコード(参考)】
5F047
【Fターム(参考)】
5F047FA07
5F047FA12
5F047FA51
(57)【要約】
【課題】実装する部品を加熱するためのヒータに関して生じていた重量増加等の問題を解決することができる実装装置を提供する。
【解決手段】実装装置21は、固定ユニットU1と、固定ユニットU1に、基板102に対して進退移動する向きに移動可能に保持される移動ユニットU2と、を備え、固定ユニットU1は、加熱ユニット23を有し、移動ユニットU2は、ヘッド部35と、ヘッド部35が先端に設けられた軸体14と、を有し、移動ユニットU2を固定ユニットU1に対して後退させた状態で、ヘッド部35及び/又は軸体14は加熱ユニット23に接触してヘッド部35が加熱され、移動ユニットU2を固定ユニットU1に対して前進させて基板102に対して部品103を押圧する状態で、ヘッド部35及び軸体14は加熱ユニット23に対して非接触である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対して部品を押圧するヘッド部と、当該ヘッド部を加熱する加熱ユニットとを備える実装装置であって、
固定ユニットと、
前記固定ユニットに、前記基板に対して進退移動する向きに移動可能に保持される移動ユニットと、を備え、
前記固定ユニットは、前記加熱ユニットを有し、
前記移動ユニットは、前記ヘッド部と、当該ヘッド部が先端に設けられた軸体と、を有し、
前記移動ユニットを前記固定ユニットに対して後退させた状態で、前記ヘッド部及び/又は前記軸体は前記加熱ユニットに接触して当該ヘッド部が加熱され、
前記移動ユニットを前記固定ユニットに対して前進させて前記基板に対して前記部品を押圧する状態で、前記ヘッド部及び前記軸体は前記加熱ユニットに対して非接触である実装装置。
【請求項2】
前記固定ユニットと前記移動ユニットは、前記基板に対して進退移動する向きに前記ヘッド部を付勢する弾性体は備えていない、請求項1に記載の実装装置。
【請求項3】
前記移動ユニットは、前記軸体の軸線回りに当該軸体を回転させるθ軸モータを有する、請求項1に記載の実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に部品を実装する際に使用される実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示されているように、導電性粒子と熱硬化性樹脂とを含んだ異方性導電フィルム(ACF)や異方性導電ペースト(ACP)等の接合部材を介して基板に部品(例えばLEDチップ)を実装することが行われている。このような実装に使用される実装装置は、載置した基板に対して進退移動可能な実装ユニットを備えている。そしてACF等を介して基板上に配置された部品を、実装ユニットの先端に設けたヘッド部で加圧及び加熱することにより、導電性粒子によって基板と部品とを電気的に接続するとともに熱硬化性樹脂を硬化させてこれらを相互に固着させることができる。
【0003】
特許文献1のヘッド部には、通電により加熱可能なヒータが設けられている。そして基板上に設けたACF等に対して実装ユニットで部品を加圧する際にヒータによって部品を加熱し、これによりACF等と部品を固着させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-118147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、ヘッド部にヒータを搭載すると、実装ユニットの重量が増すことになる。このため低い圧力で部品を実装する必要がある場合には、実装時に部品に加わる圧力を減らすべく、例えば実装ユニットの自重をキャンセルするための機構を設けなければならないため、装置の複雑化を招くことになる。
【0006】
また、ヘッド部を縦軸周りに回転できるように構成し、これによりヘッド部で保持した部品の向きを基板の向きに合せてから実装を行うアライメント機能を実装ユニットに持たせる場合は、ヘッド部に設けたヒータの配線によってヘッド部に許容される回転角度範囲が制限されることになる。
【0007】
このような点に鑑み、本発明は、実装する部品を加熱するためのヒータに関して生じていた従来の問題を解決することができる実装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、基板に対して部品を押圧するヘッド部と、当該ヘッド部を加熱する加熱ユニットとを備える実装装置であって、固定ユニットと、前記固定ユニットに、前記基板に対して進退移動する向きに移動可能に保持される移動ユニットと、を備え、前記固定ユニットは、前記加熱ユニットを有し、前記移動ユニットは、前記ヘッド部と、当該ヘッド部が先端に設けられた軸体と、を有し、前記移動ユニットを前記固定ユニットに対して後退させた状態で、前記ヘッド部及び/又は前記軸体は前記加熱ユニットに接触して当該ヘッド部が加熱され、前記移動ユニットを前記固定ユニットに対して前進させて前記基板に対して前記部品を押圧する状態で、前記ヘッド部及び前記軸体は前記加熱ユニットに対して非接触であることを特徴とする。
【0009】
このような実装装置において、前記固定ユニットと前記移動ユニットは、前記基板に対して進退移動する向きに前記ヘッド部を付勢する弾性体は備えていないことが好ましい。
【0010】
また前記移動ユニットは、前記軸体の軸線回りに当該軸体を回転させるθ軸モータを有することが好ましい。
【0011】
また本発明の実装装置における他の態様は、基板に対して部品を押圧するヘッド部を有する実装ユニットと、前記実装ユニットに対して接触して又は非接触で熱を伝えて前記ヘッド部を加熱する加熱ユニットと、を備えることを特徴とする。
【0012】
このような実装装置において、前記実装ユニットは、前記ヘッド部が先端に設けられた軸体と、当該軸体の軸線回りに当該軸体を回転させるθ軸モータを有することが好ましい。
【0013】
またこのような実装装置において、前記加熱ユニットは、前記軸体及び/又は前記ヘッド部に接触して当該ヘッド部を加熱する一方、当該ヘッド部が前記部品を押圧する際は当該軸体及び当該ヘッド部に対して非接触になる伝熱部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の実装装置は、加熱ユニットを固定ユニットに設けていて、ヘッド部を有して固定ユニットに移動可能に保持される移動ユニットには加熱ユニットを設けない構成を採用している。すなわち本発明においては、ヘッド部にヒータを搭載していた従来のものに比して移動ユニットの重量を軽くすることができる。また、本発明の実装装置にアライメント機能をもたせる場合は、従来のようにヘッド部の回転角度範囲がヒータの配線によって制限されることがない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る実装装置の第一実施形態に関し、実装ユニットと加熱ユニットを模式的に示した側面図である。
図2図1に示した実装ユニットと加熱ユニットの正面図である。
図3図2に示した加熱ユニットの変形例である。
図4】本発明に係る実装装置の第二実施形態を模式的に示した斜視図である。
図5図4に示した実装装置において、加熱ユニットでヘッド部を加熱する状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る実装装置の第一実施形態(実装装置1)について、図1図2を参照しながら説明する。以下の説明においてX方向、Y方向、Z方向とは、図面に示した矢印X、Y、Zの向きに対応し、X方向を前後方向、Y方向を左右方向、Z方向を上下方向として説明するが、係る方向は一例であって、本発明における実装装置の向きを限定する意図はない。
【0017】
実装装置1は、図2に示したように、表面にACF101を設けた基板102に対して、例えばLEDチップ、ICチップ、チップ抵抗の如き部品103を実装するための装置である。実装装置1は、実装ユニット2と加熱ユニット3を備えている。また実装装置1は、基板102のZ軸周りの向きと部品103のZ軸周りの向きを認識することができる不図示の認識機構を備えている。基板102や部品103のZ軸周りの向きは、例えば基板102や部品103にアライメントマークを設けるとともに認識機構にはアライメントマークの向きを画像認識により把握できる機能を設けておくことにより、認識することができる。
【0018】
まず実装ユニット2について説明する。本実施形態の実装ユニット2は、実装ユニット2を構成する各種部材が取り付けられるベース4を備えている。ベース4は、不図示のX方向移動手段とY方向移動手段に取り付けられていて、前後方向と左右方向に移動可能である。
【0019】
図示したようにベース4には、直動機構5、Z軸モータ6、ボールねじ7が取り付けられている。直動機構5は、上下方向に延在してベース4に対して不動に取り付けられるレール8と、レール8に支持されて上下方向に移動するスライダー9を備えている。Z軸モータ6は、ベース4の上部において、回転シャフトを下方に向けた状態でベース4に対して不動に取り付けられている。そしてボールねじ7は、上下方向に延在して、ベース4に対してベアリング等を介して回転可能に保持されるねじ軸10と、ねじ軸10が回転するとそれに応じてねじ軸10の軸線方向に沿って移動するナット11を備えている。ここでZ軸モータ6の回転シャフトは、ねじ軸10の上端部とカップリング等を介して連結していて、Z軸モータ6を駆動させるとねじ軸10は回転する。
【0020】
スライダー9には、ナット11を保持するハウジング12が取り付けられている。すなわちハウジング12は、ナット11によって駆動力が付与されていて、またスライダー9によって上下方向に移動するように支持されている。従ってZ軸モータ6を回転させると、その回転量及び回転方向に応じてハウジング12を上昇又は下降させることができる。また本実施形態のハウジング12は、後述する軸体14を回転可能に保持する機能と、軸体14の内部に設けられる吸引通路に通じているとともに不図示のポンプ等に接続できるように構成されていて、このポンプ等によって吸引通路の空気を吸引することが可能な継手機能を有している。
【0021】
ハウジング12には、θ軸モータ13が取り付けられている。θ軸モータ13は、ハウジング12の上部において、回転シャフトを下方に向けた状態でハウジング12に対して不動に取り付けられている。
【0022】
またハウジング12には、軸体14が取り付けられている。本実施形態の軸体14は、外径が円形になる中空状であって、内部には、ハウジング12に接続される不図示のポンプに通じる吸引通路が設けられている。また軸体14は、ハウジング12に対してベアリング等を介して回転可能に保持される。ここでθ軸モータ13の回転シャフトは、軸体14の上端部とカップリング等を介して連結していて、θ軸モータ13を駆動させると軸体14は、軸線Oを中心として周方向に0°~±360°無制限の範囲で回転する。
【0023】
そして軸体14の先端には、ヘッド部15が設けられている。本実施形態のヘッド部15は、軸体14に対して一体的に設けられていて、軸体14とともに前後、左右、上下方向に移動し、且つ軸線Oを中心として回転する。またヘッド部15は中空状であって、上述した吸引通路から空気を吸引することにより、ヘッド部15の下端面に接触する部品103を吸着することができる。
【0024】
次に加熱ユニット3について説明する。加熱ユニット3は、実装ユニット2とは分離して設けられていて、実装ユニット2に対して熱を伝えてヘッド部15を加熱する機能を有する。加熱ユニット3から実装ユニット2へ熱を伝えるにあたっては、熱伝導を利用してもよいし、対流を利用してもよいし、熱放射を利用してもよいし、電磁誘導を利用しても良い。図1図2に示した加熱ユニット3は、熱伝導を利用した一例であって、軸体14に接触することによって加熱ユニット3の熱を軸体14に伝え、これによりヘッド部15を加熱するものである。このような加熱ユニット3としては、例えば通電により加熱するヒータを用いることにより実現可能である。本実施形態の加熱ユニット3は全体的にブロック状であって不図示のヒータが取り付けられていて、図2に示すように軸体14に接触して加熱ユニット3の熱を伝える伝熱部16が、加熱ユニット3の側面に設けられている。
【0025】
加熱ユニット3は、上述した対流や熱放射や電磁誘導を利用し、図3に示すように実装ユニット2に対して非接触で熱を伝えるものでもよい。このように実装ユニット2に対して非接触で熱を伝えるものとしては、例えば熱風を発生させる熱風ヒータや、赤外線を放射する赤外線ヒータやIHヒータが挙げられる。そして、熱風ヒータからの熱風や赤外線ヒータからの赤外線やIHヒータからの電磁誘導によって軸体14に非接触で熱を伝えることにより、ヘッド部15を加熱することができる。
【0026】
次に、実装装置1によってACF101を設けた基板102に対して部品103を実装する方法について説明する。ここでACF101は、予め基板102に仮固定されているものとする。またACF101を設けた基板102は、部品103との実装を行う位置へ所定のタイミングで搬送されるものとする。そして部品103は、ヘッド部15で吸着されているものとする。
【0027】
まず、上述した不図示のX方向移動手段とY方向移動手段によって実装ユニット2を移動させ、図2に示すように加熱ユニット3の伝熱部16に軸体14を接触させる。加熱ユニット3の熱は、伝熱部16から軸体14を介してヘッド部15に伝わるため、ヘッド部15を加熱することができる。
【0028】
次いで、X方向移動手段とY方向移動手段によって実装ユニット2を、ACF101の直上まで移動させる。この状態において軸体14は、加熱ユニット3の伝熱部16に対して非接触の状態にある。なお、上述した認識機構によって基板102と部品103のZ軸周りの向きは認識されていて、部品103のZ軸周りの向きは、θ軸モータ13を駆動させることによって基板102のZ軸周りの向きに合せられている。そしてZ軸モータ6を駆動させてハウジング12を降下させることにより、ACF101に対して部品103を加圧する。上述したようにヘッド部15は、加熱ユニット3によって加熱されていたため、ヘッド部15の熱は、部品103を介してACF101にも伝えられる。従ってACF101に含まれる導電性粒子によって基板102と部品103とを電気的に接続するとともに熱硬化性樹脂を硬化させてこれらを相互に固着させることができる。
【0029】
なお上述した手順では、加熱ユニット3でヘッド部15を加熱する際、部品103はヘッド部15に吸着させていたが、加熱ユニット3でヘッド部15を加熱した後に部品103を吸着させてもよい。
【0030】
実装ユニット2は、従来の実装ユニットに搭載したヒータを備えていないため、従来よりも重量を軽くすることができる。このため、低い圧力で実装する必要がある部品103を用いる場合(例えば部品103のサイズが小さい(一例として部品103のX方向長さとY方向長さは1mm程度)場合や、部品103が圧力によって破損しやすい場合等)において、従来設けていた実装ユニットの自重をキャンセルするための機構を、本実施形態の実装ユニット2では省略することができる。
【0031】
また、ヒータを搭載する従来の実装ユニットにおいて、部品の向きを基板の向きに合せてから実装を行うアライメント機能を持たせる場合は、ヒータの配線によってヘッド部の回転角度範囲が制限されていた。一例としてヒータを搭載した従来の実装ユニットの回転角度範囲は、回転軸を中心として周方向に60°程度の範囲しかヘッド部を回転させることができなかった。これに対して本実施形態の実装ユニット2は、軸線Oを中心として周方向に0°~±360°無制限の範囲で回転することができる。
【0032】
本発明に係る実装装置は、図4図5に示した実装装置21のように具現化することも可能である。本実施形態の実装装置21は、実装ユニット22と加熱ユニット23を備えている。
【0033】
実装ユニット22は、実装ユニット22を構成する各種部材が取り付けられるベース24を備えている。本実施形態のベース24は、Z方向に沿って延在していて不図示のX方向移動手段とY方向移動手段に取り付けられている第一部材24aと、X方向に沿って延在していて第一部材24aの上端部に取り付けられている第二部材24bと、Z方向に貫通する円形状の孔を有し第一部材24aの中間部に取り付けられている第三部材24cと、X方向に沿って延在していて第一部材24aの下端部に取り付けられている第四部材24dとを備えている。本実施形態の第一部材24a、第二部材24b、及び第三部材24cは、例えばアルミニウム等の金属素材で形成され、第四部材24dは断熱性を有する素材(熱伝導率が低い素材)で形成されている。断熱性を有する素材としては、例えばガラス繊維を含むシートを積層させた素材やセラミック等が挙げられる。ベース24を構成する第一部材24a等の部材は、例えばボルト等によって相互に固定されている。
【0034】
ベース24には、上述した直動機構5、Z軸モータ6、ボールねじ7が取り付けられている。実装ユニット22が備える直動機構5、Z軸モータ6、ボールねじ7の構成や、直動機構5に含まれるレール8とスライダー9、及びボールねじ7に含まれるねじ軸10とナット11の構成は、上述した実装ユニット2と同様であるため、図面に同一の符合を付して詳細な説明は省略する。なお実装ユニット22において、ねじ軸10は第二部材24bの孔に挿通されて第二部材24bに回転可能に支持されている。第二部材24bを設ける主な目的は、ねじ軸10を安定的に回転させるためであって、ねじ軸10の長さや太さ等に応じて任意に設ければよい。
【0035】
スライダー9には、ナット11を保持するハウジング32が取り付けられていて、Z軸モータ6を回転させると、その回転量及び回転方向に応じてハウジング32を上昇又は下降させることができる。なおハウジング32は、上述したハウジング12と同様に、軸体14を回転可能に保持する機能と、軸体14の内部に設けられる吸引通路に通じているとともに不図示のポンプ等に接続できるように構成され、このポンプ等によって吸引通路の空気を吸引することが可能な継手機能を有している。
【0036】
ハウジング32には、上述したθ軸モータ13と軸体14が取り付けられている。上述したようにθ軸モータ13の回転シャフトは、軸体14の上端部とカップリング等を介して連結していて、本実施形態においても軸体14は、軸線Oを中心として周方向に0°~±360°無制限の範囲で回転する。
【0037】
軸体14の先端には、ヘッド部35が設けられている。本実施形態のヘッド部35は、軸体14よりも大径になる円板状のヘッド上部35aと、ヘッド上部35aよりも小径であって下端部が下方に向けて縮径し、下端面に不図示の部品を吸着するための吸着孔を有するヘッド下部35bとで構成されている。なおヘッド部35の内側には、軸体14の内側に設けられた吸引通路に通じる通路が設けられていて、この吸引通路から空気を吸引することにより、ヘッド下部35bの下端面に設けた吸着孔で不図示の部品を吸着することができる。
【0038】
なお図示は省略するが、本実施形態の実装装置21には、ヘッド部35で吸着した部品を基板に実装する際に部品に加わる力を計測するためのロードセルが設けられている。
【0039】
そして加熱ユニット23は、本実施形態では全体的に板状をなすように形作られていて、上述した第四部材24dに固定されている。本実施形態の加熱ユニット23は、通電により加熱するヒータを備えている。なおヒータは、不図示の配線によって電源とつながっていて、電源からヒータに電力を供給すると加熱ユニット23を加熱させることができる。なお、加熱ユニット23が固定されている第四部材24dは断熱性を有する素材で形成されているため、加熱ユニット23の熱は第一部材24aには伝わり難くなっている。
【0040】
また加熱ユニット23には、円形の貫通孔23aが設けられている。図示したように貫通孔23aには、軸体14が挿通されている。なお本実施形態において貫通孔23aの内径は軸体14の外径よりも大きく、軸体14は加熱ユニット23に対して非接触である。また軸体14の先端に設けたヘッド部35は、図示したように加熱ユニット23よりも下方に位置している。なお図4は、Z軸モータ6を回転させてハウジング32を下降させた状態を示していて、このときヘッド上部35aの上面は加熱ユニット23の下面から離反し、ヘッド部35は加熱ユニット23に対して非接触の状態にある。また図5は、Z軸モータ6を逆方向に回転させてハウジング32を上昇させた状態を示していて、このときヘッド上部35aの上面は加熱ユニット23の下面に接触し、これにより加熱ユニット23の熱がヘッド部35に伝わってヘッド部35は加熱される。
【0041】
このように構成される実装装置21において、加熱ユニット23は、ベース24、Z軸モータ6の他、レール8、ねじ軸10とともにZ方向に対して不動である。ここで、加熱ユニット23、ベース24、Z軸モータ6等のようにZ方向に対して不動な部材群をZ方向固定ユニットU1と称する。一方、軸体14とヘッド部35は、ハウジング32、θ軸モータ13の他、スライダー9、ナット11とともにZ方向に対して移動可能である。ここで、軸体14、ヘッド部35、ハウジング32等のようにZ方向に対して移動可能な部材群をZ方向移動ユニットU2と称する。
【0042】
なおZ方向固定ユニットU1とZ方向移動ユニットU2には、Z軸モータ6からヘッド部35に至る間において、ヘッド部35をZ方向に付勢する弾性体は設けられていない。すなわちヘッド部35は、Z軸モータ6が回転してハウジング32を上昇又は下降させる際の移動量の通りにZ方向に移動する。
【0043】
実装装置21によって図1図2に示したACF101を備える基板102に部品103を実装するにあたっては、図5に示すようにZ方向移動ユニットU2を上昇させてヘッド部35と加熱ユニット23を接触させておく。この状態においては加熱ユニット23の熱がヘッド部35に伝わるため、ヘッド部35は加熱される。なお、ACF101や部品103の種類にもよるが、上述した部品103を吸着した状態でヘッド部35を加熱してもよいし、部品103は吸着せずにヘッド部35を加熱しておき、基板102への実装の直前で加熱したヘッド部35で部品103を吸着するようにしてもよい。
【0044】
そして、X方向移動手段とY方向移動手段によって実装ユニット22をACF101の直上まで移動させ、また上述した認識機構によって基板102と部品103のZ軸周りの向きを認識させつつ、θ軸モータ13を駆動させて部品103と基板102のZ軸周りの向きを合せた後は、Z軸モータ6を駆動させて、Z方向固定ユニットU1に対してZ方向移動ユニットU2を下降させる。ここで、上述した加熱ユニット23はZ方向固定ユニットU1に設けられている。すなわちZ方向移動ユニットU2は、特許文献1の如きヘッド部にヒータを設けたものに比して軽量化されていてイナーシャが小さくなっているため、Z軸モータ6によって応答性よくZ方向に移動する。またZ方向移動ユニットU2の重量が軽いことから、上述した実装装置1と同様に実装装置21においても、Z方向移動ユニットU2の重量をキャンセルする機構なしに低い圧力で実装する必要がある部品103を基板102に対して好適に実装することができる。更に実装装置21は、Z方向固定ユニットU1とZ方向移動ユニットU2にヘッド部35をZ方向に付勢する弾性体は設けられておらず、それ故ヘッド部35をZ方向に精度よく移動させることが可能である。すなわち、基板102に部品103を実装するにあたっては、ヘッド部35で吸着させた部品103に加わる力を上述したロードセルで監視しつつ、ヘッド部35をZ方向に狙い通りに移動させることができるため、低い圧力で実装する必要がある部品103を更に好適に実装することができる。
【0045】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、上記の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば上述した実施形態の構成は、適宜追加、削除が可能であり、また一の実施形態の構成を他の実施形態に設けることも可能である。また、上記の実施形態における効果は、本発明から生じる効果を例示したに過ぎず、本発明による効果が上記の効果に限定されることを意味するものではない。
【0046】
例えば本実施形態のヘッド部15、35は、部品103を吸着する機能を有していたが、吸着機能を設けないものも本発明に含まれる。また加熱ユニット3で実装ユニット2を加熱する部位は、上述した軸体14以外の部位でもよいし、加熱ユニット3でヘッド部15を直接加熱してもよいし、軸体14とヘッド部15を両方加熱してもよい。また伝熱部16は、例えば平面状であって外形が円形になる軸体14に対して線状に接触するものでもよいし、半円状の凹部を設けてこの凹部で軸体14に対して面状に接触するものでもよい。また加熱ユニット3は、図示したように軸体14に対して左右方向の片側で接触するものでもよいし、左右方向に開閉可能な一対の部材で軸体14を挟持するように構成し、軸体14に対して左右方向の両側で接触するものでもよい。
【0047】
また加熱ユニット23によってヘッド部35を加熱するにあたっては、ヘッド部35を加熱ユニット23に接触させる場合に限られず、軸体14を加熱ユニット23に接触させて軸体14を介してヘッド部35を加熱する一方、ヘッド部35で部品103を実装する際は軸体14が加熱ユニット23に対して非接触になる構造(例えば上述した加熱ユニット3の変形例のように、軸体14に対して左右方向に開閉するように加熱ユニット23を構成し、ヘッド部35を加熱する際には加熱ユニット23で軸体14を挟持し、ヘッド部35で部品103を実装する際はヘッド部35が左右に開いて軸体14と加熱ユニット23が非接触になる構造)を採用してもよい。またヘッド部35を加熱するにあたっては、ヘッド部35と軸体14の両方を加熱ユニット23に接触させてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1、21:実装装置
2、22:実装ユニット
3、23:加熱ユニット
13:θ軸モータ
14:軸体
15、35:ヘッド部
16:伝熱部
102:基板
103:部品
O:軸線
U1:Z方向固定ユニット(固定ユニット)
U2:Z方向移動ユニット(移動ユニット)
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-12-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対して部品を押圧するヘッド部と、当該ヘッド部を加熱する加熱ユニットとを備える実装装置であって、
前記基板に対して進退移動する向きに不動であって、Z軸モータを有する固定ユニットと、
前記固定ユニットに、前記基板に対して進退移動する向きに移動可能に保持され、前記Z軸モータを駆動させると該基板に対して進退移動する移動ユニットと、を備え、
前記固定ユニットは、前記加熱ユニットを有し、
前記移動ユニットは、前記ヘッド部と、当該ヘッド部が先端に設けられた軸体と、を有し、
前記移動ユニットを前記固定ユニットに対して後退させた状態で、前記ヘッド部及び/又は前記軸体は前記加熱ユニットに接触して当該ヘッド部が加熱され、
前記移動ユニットを前記固定ユニットに対して前進させて前記基板に対して前記部品を押圧する状態で、前記ヘッド部及び前記軸体は前記加熱ユニットに対して非接触である実装装置。
【請求項2】
前記固定ユニットと前記移動ユニットは、前記基板に対して進退移動する向きに前記ヘッド部を付勢する弾性体は備えていない、請求項1に記載の実装装置。
【請求項3】
前記移動ユニットは、前記軸体の軸線回りに当該軸体を回転させるθ軸モータを有する、請求項1に記載の実装装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明は、基板に対して部品を押圧するヘッド部と、当該ヘッド部を加熱する加熱ユニットとを備える実装装置であって、前記基板に対して進退移動する向きに不動であって、Z軸モータを有する固定ユニットと、前記固定ユニットに、前記基板に対して進退移動する向きに移動可能に保持され、前記Z軸モータを駆動させると該基板に対して進退移動する移動ユニットと、を備え、前記固定ユニットは、前記加熱ユニットを有し、前記移動ユニットは、前記ヘッド部と、当該ヘッド部が先端に設けられた軸体と、を有し、前記移動ユニットを前記固定ユニットに対して後退させた状態で、前記ヘッド部及び/又は前記軸体は前記加熱ユニットに接触して当該ヘッド部が加熱され、前記移動ユニットを前記固定ユニットに対して前進させて前記基板に対して前記部品を押圧する状態で、前記ヘッド部及び前記軸体は前記加熱ユニットに対して非接触であることを特徴とする。