(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100677
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】転落防止装置
(51)【国際特許分類】
E04F 11/18 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
E04F11/18
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023172154
(22)【出願日】2023-10-03
(31)【優先権主張番号】P 2023004387
(32)【優先日】2023-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】505255909
【氏名又は名称】サンユウテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110179
【弁理士】
【氏名又は名称】光田 敦
(72)【発明者】
【氏名】岩川 光治
【テーマコード(参考)】
2E301
【Fターム(参考)】
2E301GG06
2E301HH18
2E301JJ12
2E301LL01
2E301LL22
2E301NN01
2E301NN32
(57)【要約】
【課題】部品点数が少なく簡単の構造で、経済性にすぐれ、ベランダ柵への取り付け作業も容易な転落防止装置を実現する。
【解決手段】転落防止装置1は、ベランダ柵3に沿って転落防止部材2を構成する複数の転落防止板10と、ベランダ柵3の支柱31に取り付けられ、転落防止板10を固定して取り付ける挟着固定装置6を備え、挟着固定装置6は、挟着固定本体18、押圧側挟着片19及び一対の固定背板片20を備え、挟着固定本体18は、固定部22と本体側挟着片21から形成され、固定部22は、固定片23と底部24から正面視で略U字形に形成され、底部24には押圧側挟着片19に向けて押圧用ボルト44が螺着され、固定背板片20は、固定片23に対応し、略同じ形状に形成されており、複数枚の転落防止板10は、ベランダ柵3に沿って連続的に起立して設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベランダ柵の横方向に沿って設けられる転落防止部材と、ベランダ柵の支柱に挟着して装着され、かつ転落防止部材を固定して取り付ける挟着固定装置と、を備えた転落防止装置であって、
挟着固定装置は、挟着固定本体と、押圧側挟着片と、挟着固定本体に螺着された押圧用ボルトと、を備えており、
挟着固定本体は、固定部と本体側挟着片から一体に形成されており、
本体側挟着片と押圧側挟着片は、互いに枢支され、押圧側挟着片が押圧用ボルトによって押圧されると、ベランダ壁の支柱を挟着する構成であり、
転落防止部材は、ベランダ柵に沿って互いに隙間をあけて連続的かつ起立して設けられる複数枚の転落防止板から成り、
固定部として、上方に起立した一対の固定片と、一対の固定片の下端部を橋絡する底部とから正面視で略U字形に形成された構成のものを含み、
一対の固定片に対応した略同じ形状の一対の固定背板片が設けられており、
一対の固定片と一対の固定背板片は、前記隙間をあけて互いに隣接した転落防止板における互いに対向する縁部の内側の部分を挟んでネジで固定するとともに、互いに隣接した転落防止板を連結可能な構成であることを特徴とする転落防止装置。
【請求項2】
ベランダ柵の横方向に沿って設けられる転落防止部材と、ベランダ柵の支柱に挟着して装着され、かつ転落防止部材を固定して取り付ける挟着固定装置と、を備えた転落防止装置であって、
挟着固定装置は、ベランダ側に配置される挟着固定本体と、外側に配置される押圧側挟着片と、挟着固定本体に螺着された押圧用ボルトと、を備えており、
挟着固定本体は、固定部と本体側挟着片から一体に形成されており、
本体側挟着片と押圧側挟着片は、それぞれ互いに枢支される膨出部を有し、該枢支された膨出部はベランダ壁の支柱の上から載置され、押圧側挟着片の上部が押圧用ボルトによって外側に押圧されると、本体側挟着片と押圧側挟着片がベランダ壁の支柱を上方から跨った状態で挟着する構成であり、
転落防止部材は、ベランダ柵に沿って互いに隙間をあけて連続的かつ起立して設けられる複数枚の転落防止板から成り、
固定部は、上方に起立した一対の固定片と、一対の固定片の下端部を橋絡する底部とから正面視で略U字形に形成されており、
固定部に正対する一対の固定背板片が設けられ、一対の固定背板片は、一対の固定片にそれぞれ対応した略同じ形状に形成されており、
一対の固定片と一対の固定背板片は、前記隙間をあけて互いに隣接した転落防止板における互いに対向する縁部の内側の部分を、縁部に沿って挟んでネジで固定するとともに、互いに隣接した転落防止板を連結可能な構成であることを特徴とする転落防止装置。
【請求項3】
ベランダ柵の横方向に沿って設けられる転落防止部材と、ベランダ柵の支柱に挟着して装着され、かつ転落防止部材を固定して取り付ける挟着固定装置と、を備えた転落防止装置であって、
挟着固定装置は、挟着固定本体と、押圧側挟着片と、挟着固定本体に螺着された押圧用ボルトと、を備えており、
挟着固定本体は、固定部と本体側挟着片から一体に形成されており、
本体側挟着片と押圧側挟着片は、互いに枢支され、押圧側挟着片が押圧用ボルトによって押圧されると、ベランダ壁の支柱を挟着する構成であり、
固定部は、固定孔が形成されており、該固定孔に水平に支持軸が固定されており、
転落防止部材は、複数の回転筒から成る構成であり、
回転筒は、互いに隣接する支柱に装着された挟着固定装置の固定部に固定され互いに端面が対向する支持軸によって、両端から挿入され支持される構成であり、
回転筒は支持軸が挿入された状態で、支持軸によって偏心して回転可能に支持されるように、回転筒の直径は支持軸の直径より大きい構成であることを特徴とする転落防止装置。
【請求項4】
ベランダ柵の横方向に沿って設けられる転落防止部材と、ベランダ柵の支柱に挟着して装着され、かつ転落防止部材を固定して取り付ける挟着固定装置と、を備えた転落防止装置であって、
挟着固定装置は、ベランダ側に配置される挟着固定本体と、外側に配置される押圧側挟着片と、挟着固定本体に螺着された押圧用ボルトと、を備えており、
挟着固定本体は、固定部と本体側挟着片から一体に形成されており、
本体側挟着片と押圧側挟着片は、それぞれ互いに枢支される膨出部を有し、該枢支された膨出部はベランダ壁の支柱の上から載置され、押圧側挟着片の上部が押圧用ボルトによって外側に押圧されると、本体側挟着片と押圧側挟着片がベランダ壁の支柱を上方から跨った状態で挟着する構成であり、
固定部は、水平方向に向けて固定孔が形成されており、該固定孔に水平に支持軸が固定されており、
転落防止部材は、複数の回転筒から成る構成であり、
回転筒は、互いに隣接する支柱に装着された挟着固定装置の固定部に固定され互いに端面が対向する支持軸によって、両端から挿入され支持される構成であり、
回転筒は、支持軸が挿入された状態で支持軸との間に隙間があり、支持軸によって偏心して回転可能に支持されるように、回転筒の直径は支持軸の直径より大きい構成であることを特徴とする転落防止装置。
【請求項5】
ベランダ柵の横方向に沿って設けられる転落防止部材と、ベランダ柵の支柱に挟着して装着され、かつ転落防止部材を固定して取り付ける挟着固定装置と、を備えた転落防止装置であって、
挟着固定装置は、ベランダ側に配置される挟着固定本体と、外側に配置される押圧側挟着片と、挟着固定本体に螺着された押圧用ボルトと、を備えており、
挟着固定本体は、本体側挟着片から形成されており、
押圧側挟着片は、固定部が取り付けられており、
本体側挟着片と押圧側挟着片は、それぞれ互いに枢支される膨出部を有し、該枢支された膨出部はベランダ壁の支柱の上から載置され、押圧側挟着片の上部が押圧用ボルトによって外側に押圧されると、本体側挟着片と押圧側挟着片がベランダ壁の支柱を上方から跨った状態で挟着する構成であり、
転落防止部材は、ベランダ柵に沿って連続的かつ起立して設けられる複数枚の転落防止柵から成り、
固定部は、本体側挟着片に固定して取り付けられ上方に起立した固定板と、固定板の上下に設けられた上枠把持部と下枠把持部と、を備え、
上枠把持部と下枠把持部は、それぞれ互いに隣接した転落防止柵の上枠と下枠を把持して、互いに隣接した転落防止柵を連結可能な構成であることを特徴とする転落防止装置。
【請求項6】
挟着固定本体は、ベランダに接地杆を介して接地した補強支持板が固定され、ベランダ側から支持されて補強される構成であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の転落防止装置。
【請求項7】
挟着固定本体は、ベランダに接地杆を介して接地した補強支持板が固定され、
補強支持板は、ベランダ外縁に沿って設けられた垂直断面が凸状の凸条縁部に締着された締着片及び該締着片に固定されたL形金具を介して、凸条縁部に取り付けられて、ベランダ側から支持されて補強される構成であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の転落防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幼児、子供がベランダやバルコニーから転落すること防止する転落防止装置に関する発明である。本発明の転落防止装置は、ベランダ及びバルコニーのいずれにも利用できるが、ここでは利用先を代表してベランダで説明する。
【背景技術】
【0002】
幼児、子供がベランダ柵を乗り越え、誤って転落する転落事故が生じている。特に、近年、高層マンション等のベランダから転落し、死傷するという痛ましい転落事故が多発している。
【0003】
従来、転落防止装置として、転落防止用の転落防止壁や柵を、固定装置によってベランダ柵に取り付けて、柵から上方に起立して取り付けたものが知られている(特許文献1、2参照)。
【0004】
また、柵の上方に、幼児、子供が手を掛けると回転してしまい、柵の乗り越えを防止する回転手摺を支持軸に対して同心で、または回転ベアリングを介して設けて成る、乗り越え防止用に手摺が知られている(特許文献3、4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭56-45033号公報
【特許文献2】特開2008-38462号公報
【特許文献3】特開2020-200674号公報
【特許文献4】特開2010-248771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の転落防止装置は、転落防止壁の取り付け構造が必ずしも簡単な構成ではなく、部品点数も多く、取り付け作業も必ずしも容易とは言えなかった。
【0007】
ところで、ベランダ柵に設置される転落防止装置は、ベランダといういわば屋外側に向けてされるために、風雨に晒されることが多く、また経年劣化もし易い。特に、風雨による外力をもろに受けると、ベランダ柵への転落防止装置の取付部は、繰り返し的に外力が作用し、その固定構造が緩んだり、破損したりし易い。
【0008】
ベランダの横幅は、建物によって異なるが、従来は、その横幅に対応して転落防止板(例えば、特許文献1の補助ガード等参照)や転落防止柵(例えば、特許文献2の嵩上げ用のフェンスの柵等参照)を横方向に向けて複数枚、ベランダ柵の上に沿って並べて起立するように取り付けて転落防止装置を形成していた。
【0009】
しかしながら、従来の転落防止装置では、風雨による外力や経年変化等に対する対策は、必ずしも万全とは言えず、また、転落防止板は、基本的には、転落防止板を個々にベランダ柵に固定する構造に関する技術であり、隣接する転落防止板の互いの結合については重視されていなかった。
【0010】
転落防止板(転落防止柵についても同様)を、個々にベランダ柵に取り付けても、複数枚の転落防止板は相互に固定されていないので、転落防止壁全体としての強度がでない。そこで、複数枚の転落防止板は、個々にベランダ柵に固定するとともに、隣接する転落防止板同士を互いに何らかの手段で結合するとよい。
【0011】
ところが、複数枚の転落防止板を相互に結合するために、隣接する転落防止板を互いに密着すると、ベランダ内への風通しが阻害され、しかも、ベランダ内は背の高い転落防止板で囲まれるために、密室的で息苦しくなり(密封性)、また、景観をも阻害する。このような点を考慮すると、隣接する転落防止板の間に、隙間を設ける構成とすることが好ましい。
【0012】
しかし、そのような構成の場合、複数枚の転落防止板を相互に結合する結合具が隙間から表出して見え、見栄えが悪くなり、また、結合具は、隙間から吹き込む風雨に曝され、風雨による強弱の変化する外力によって、結合具のねじ結合構造等にガタが生じ、固定が緩む等の問題が生じるおそれがある。
【0013】
本発明は、上記従来の問題を解決することを目的とするものであり、部品点数が少なく簡単の構造で、ベランダ柵への取り付け作業も容易であり、しかも、強固に取り付けることができ、また、ベランダ内への風通しを阻害せず見栄えや景観も損なうことなく、風雨等にさらされても、ガタツキを抑制し、ベランダ柵への固定が緩まず、はずれにくい、取り付け強度を維持可能な構成の転落防止装置を実現することを課題とする。
【0014】
回転手摺を設けて成る転落防止装置については、従来例のような支持軸に対して同心の回転手摺りは、滑らかな回転を確保するために、精度よく同心に製作する必要があり、特に、ベランダ柵の横幅方向にわたって同心に製作し、設置することは、きわめて難しく、また設置しても横幅方向の途中で撓んで、互いに接触して円滑な回転を阻害する等の問題も生じる。
【0015】
支持軸に対して回転手摺りを回転ベアリングを介して設ける構成であると、回転ベアリングが必要のために、その取り付けのために構成が複雑となり、回転ベアリング自体が高価である等の理由で、なかなか普及しにくい。
【0016】
本発明は、このような問題を解決することを目的とし、構成が簡単で、製作が容易であり、転落防止のために十分資する構成の回転筒を有する転落防止装置を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は上記課題を解決するために、ベランダ柵の横方向に沿って設けられる転落防止部材と、ベランダ柵の支柱に挟着して装着され、かつ転落防止部材を固定して取り付ける挟着固定装置と、を備えた転落防止装置であって、挟着固定装置は、挟着固定本体と、押圧側挟着片と、挟着固定本体に螺着された押圧用ボルトと、を備えており、挟着固定本体は、固定部と本体側挟着片から一体に形成されており、本体側挟着片と押圧側挟着片は、互いに枢支され、押圧側挟着片が押圧用ボルトによって押圧されると、ベランダ壁の支柱を挟着する構成であり、転落防止部材は、ベランダ柵に沿って互いに隙間をあけて連続的かつ起立して設けられる複数枚の転落防止板から成り、固定部として、上方に起立した一対の固定片と、一対の固定片の下端部を橋絡する底部とから正面視で略U字形に形成された構成のものを含み、一対の固定片に対応した略同じ形状の一対の固定背板片が設けられており、一対の固定片と一対の固定背板片は、前記隙間をあけて互いに隣接した転落防止板における互いに対向する縁部の内側の部分を挟んでネジで固定するとともに、互いに隣接した転落防止板を連結可能な構成であることを特徴とする転落防止装置を提供する。
【0018】
本発明は上記課題を解決するために、ベランダ柵の横方向に沿って設けられる転落防止部材と、ベランダ柵の支柱に挟着して装着され、かつ転落防止部材を固定して取り付ける挟着固定装置と、を備えた転落防止装置であって、挟着固定装置は、ベランダ側に配置される挟着固定本体と、外側に配置される押圧側挟着片と、挟着固定本体に螺着された押圧用ボルトと、を備えており、挟着固定本体は、固定部と本体側挟着片から一体に形成されており、本体側挟着片と押圧側挟着片は、それぞれ互いに枢支される膨出部を有し、該枢支された膨出部はベランダ壁の支柱の上から載置され、押圧側挟着片の上部が押圧用ボルトによって外側に押圧されると、本体側挟着片と押圧側挟着片がベランダ壁の支柱を上方から跨った状態で挟着する構成であり、転落防止部材は、ベランダ柵に沿って互いに隙間をあけて連続的かつ起立して設けられる複数枚の転落防止板から成り、固定部として、上方に起立した一対の固定片と、一対の固定片の下端部を橋絡する底部とから正面視で略U字形に形成された構成のものを含み、固定部に正対する一対の固定背板片が設けられ、一対の固定背板片は、一対の固定片にそれぞれ対応した略同じ形状に形成されており、一対の固定片と一対の固定背板片は、前記隙間をあけて互いに隣接した転落防止板における互いに対向する縁部の内側の部分を、縁部に沿って挟んでネジで固定するとともに、互いに隣接した転落防止板を連結可能な構成であることを特徴とする転落防止装置を提供する。
【0019】
本発明は上記課題を解決するために、ベランダ柵の横方向に沿って設けられる転落防止部材と、ベランダ柵の支柱に挟着して装着され、かつ転落防止部材を固定して取り付ける挟着固定装置と、を備えた転落防止装置であって、挟着固定装置は、挟着固定本体と、押圧側挟着片と、挟着固定本体に螺着された押圧用ボルトと、を備えており、挟着固定本体は、固定部と本体側挟着片から一体に形成されており、本体側挟着片と押圧側挟着片は、互いに枢支され、押圧側挟着片が押圧用ボルトによって押圧されると、ベランダ壁の支柱を挟着する構成であり、固定部は、固定孔が形成されており、該固定孔に水平に支持軸が固定されており、転落防止部材は、複数の回転筒から成る構成であり、回転筒は、互いに隣接する支柱に装着された挟着固定装置の固定部に固定され互いに端面が対向する支持軸によって、両端から挿入され支持される構成であり、回転筒は支持軸が挿入された状態で、支持軸によって偏心して回転可能に支持されるように、回転筒の直径は支持軸の直径より大きい構成であることを特徴とする転落防止装置を提供する。
【0020】
本発明は上記課題を解決するために、ベランダ柵の横方向に沿って設けられる転落防止部材と、ベランダ柵の支柱に挟着して装着され、かつ転落防止部材を固定して取り付ける挟着固定装置と、を備えた転落防止装置であって、挟着固定装置は、ベランダ側に配置される挟着固定本体と、外側に配置される押圧側挟着片と、挟着固定本体に螺着された押圧用ボルトと、を備えており、挟着固定本体は、固定部と本体側挟着片から一体に形成されており、本体側挟着片と押圧側挟着片は、それぞれ互いに枢支される膨出部を有し、該枢支された膨出部はベランダ壁の支柱の上から載置され、押圧側挟着片の上部が押圧用ボルトによって外側に押圧されると、本体側挟着片と押圧側挟着片がベランダ壁の支柱を上方から跨った状態で挟着する構成であり、固定部は、水平方向に向けて固定孔が形成されており、該固定孔に水平に支持軸が固定されており、転落防止部材は、複数の回転筒から成る構成であり、回転筒は、互いに隣接する支柱に装着された挟着固定装置の固定部に固定され互いに端面が対向する支持軸によって、両端から挿入され支持される構成であり、回転筒は、支持軸が挿入された状態で支持軸との間に隙間があり、支持軸によって偏心して回転可能に支持されるように、回転筒の直径は支持軸の直径より大きい構成であることを特徴とする転落防止装置を提供する。
【0021】
本発明は上記課題を解決するために、ベランダ柵の横方向に沿って設けられる転落防止部材と、ベランダ柵の支柱に挟着して装着され、かつ転落防止部材を固定して取り付ける挟着固定装置と、を備えた転落防止装置であって、挟着固定装置は、ベランダ側に配置される挟着固定本体と、外側に配置される押圧側挟着片と、挟着固定本体に螺着された押圧用ボルトと、を備えており、挟着固定本体は、本体側挟着片から形成されており、押圧側挟着片は、固定部が取り付けられており、本体側挟着片と押圧側挟着片は、それぞれ互いに枢支される膨出部を有し、該枢支された膨出部はベランダ壁の支柱の上から載置され、押圧側挟着片の上部が押圧用ボルトによって外側に押圧されると、本体側挟着片と押圧側挟着片がベランダ壁の支柱を上方から跨った状態で挟着する構成であり、転落防止部材は、ベランダ柵に沿って連続的かつ起立して設けられる複数枚の転落防止柵から成り、固定部は、本体側挟着片に固定して取り付けられ上方に起立した固定板と、固定板の上下に設けられた上枠把持部と下枠把持部と、を備え、上枠把持部と下枠把持部は、それぞれ互いに隣接した転落防止柵の上枠と下枠を把持して、互いに隣接した転落防止柵を連結可能な構成であることを特徴とする転落防止装置を提供する。
【0022】
挟着固定本体は、ベランダに接地杆を介して接地した補強支持板が固定され、補強支持板は、ベランダ外縁に沿って設けられた垂直断面が凸状の凸条縁部に締着された締着片及び該締着片に固定されたL形金具を介して、凸条縁部に取り付けられて、ベランダ側から支持されて補強される構成としてもよい。
【0023】
挟着固定本体は、ベランダに接地杆を介して接地した補強支持板が固定され、ベランダ側から支持されて補強される構成としてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る転落防止装置によれば、次のような効果を相乗的に奏する。
(1)部品点数が少なく簡単な構造であるので、経済性にすぐれ、ベランダ柵への転落防止部材の取り付け作業も容易である。
【0025】
(2)ベランダ柵に転落防止部材を強固に取付けることができ、風雨等による外力が加わっても、その外力を支柱方向にモーメントとして作用させてベランダ柵の支柱で受け止める構成であるために、ベランダ柵に転落防止部材を装着する挟着固定装置の挟着性能を低下させることがなく、その取付強度を維持し、はずれにくく、安全である。
【0026】
(3)ベランダ内への風通しも適度に損なうことなく、外部から見ても見栄えを損なうことなく、またベランダ側からみても景観を損なうことがない。
【0027】
(4)特に、転落防止部材を回転筒から成る構成では、支持軸に対し回転筒が偏心して回転可能な構成の転落防止回転枠を採用したので、同心のための構造や製作精度を気にすることなく、また回転ベアリング等が不要であり、構成が簡単で、製作も容易であり、経済的にも優れている。
【0028】
(5)さらに、支持軸に対し回転筒が偏心とすることで、支持軸と回転筒の常時の接触面積を少なくし、回転性能を低下することなく、また経時的な劣化による回転性能の低下を抑制する。さらに、風雨に対する外力を、支持軸に対する回転筒の偏心回転に利用し、外力による回転筒と支持軸間の接触部分に生じる作用力及び反作用に起因する、経年劣化、損傷等を抑制可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明に係る転落防止装置の実施例1を説明する図であり、(a)は正面図であり、(b)は側面図である。
【
図2】実施例1の転落防止装置の主要な構成部材を説明する斜視図である。
【
図3】実施例1の転落防止装置を説明する図であり、(a)は挟着固定本体の正面図であり、(b)は固定背板片の正面図であり、(c)は転落防止装置(転落防止板を除く)をベランダ柵の支柱に装着した状態を示す側面図である。
【
図4】(a)は実施例1の転落防止装置をベランダ柵に設置した状態を示す側面図であり、(b)は(a)の一部の拡大図である。
【
図5】実施例1の転落防止装置の補強支持板を説明する図であり、(a)は補強支持板の全体構成の斜視図であり、(b)は補強支持板をベランダ柵の支柱に固定する締め付け構造の平面図であり、(c)は締め付け構造の変形例の平面図である。
【
図6】実施例1の転落防止装置について、転落防止板を固定する前の状態を示す斜視図である。
【
図7】本発明に係る転落防止装置の実施例2を説明する図であり、(a)は正面図であり、(b)は側面図である。
【
図8】(a)は実施例2の転落防止装置をベランダ柵に設置した状態を示す側面図であり、(b)は実施例2の変形例の転落防止装置をベランダ柵に設置した状態を示す側面図である。
【
図9】実施例2の転落防止装置の主要部をより詳細に説明する図であり、(a)はベランダ柵の支柱に装着した状態を示す側面図であり、(b)は挟着固定本体の一部の垂直断面図であり、(c)は(b)において転落防止部材として回転筒を取り付けた状態を示す垂直断面図であり、(d)は(c)のD-D断面図である。
【
図10】(a)、(b)は、それぞれ実施例1及び実施例2の構成としたことによる、風雨等により作用する外力に対する顕著な作用効果を説明するための図である。
【
図11】(a)、(b)は、それぞれ実施例1及び実施例2におけるベランダ柵の横方向の端部における転落防止板及び転落防止のための回転筒の取付構造を説明する図である。
【
図12】本発明に係る転落防止装置の実施例3を説明する図であり、(a)は正面図であり、(b)は側面図である。
【
図14】実施例3の転落防止装置の要部を説明する側面図である。
【
図15】補強支持板による補強構造の変形例1を説明する図であり、(a)は全体構造の側面図を示し、(b)は要部を説明する図である。
【
図16】補強支持板による補強構造の変形例1を説明する図であり、(a)補強支持板と接地杆の正面を示し、(b)は平面図であり、(c)斜視図である。
【
図17】補強支持板による補強構造の変形例2を説明する図であり、(a)は全体構造の側面図を示し、(b)は平面図であり、(c)は側面図である。
【
図18】補強支持板による補強構造の変形例2を説明する図であり、(a)は斜視図であり、(b)は要部の断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明に係るベランダからの転落防止装置を実施するための形態を実施例に基づいて図面を参照して、以下に説明する。
【0031】
下記の実施例の説明では、建物から張り出して設けられたベランダから建物を背に外側を見て、建物側をベランダ側とし、屋外側をベランダの外側(又は単に「外側」)とし、ベランダ柵に沿っての横幅方向(長手方向)をベランダ柵の横方向とする。
【0032】
また、転落防止装置をベランダ内側(建屋側)から見ることを正面視とし、ベランダ横側から見ることを側面視とする。
【実施例0033】
本発明に係る転落防止装置は、各部分について新規な構成を採用することで、それらが相乗的に機能して、顕著な作用効果を奏するものであり、その詳細については、以下実施例1、2において説明するが、実施例1、2に共通する挟着固定装置の特徴を、下記の実施例1、2の説明で参照する
図10(a)、(b)において簡単に説明すると、次のとおりである。
【0034】
即ち、実施例1、2の転落防止装置1、81は、転落防止部材2(実施例1では転落防止板10、実施例2では回転筒88から成る)が、
図10(a)、(b)で矢印Fに示すように、外側から風雨等による外力を受けた場合、その外力は、押圧用ボルト44による押圧力が若干緩む方向であるが、枢支軸36を中心に、本体側挟着片21に支柱31への挟着を強める方向のモーメントMを与えるので、風雨等が吹き込んでも、転落防止装置1、81は、支柱31からはずれにくい。
【0035】
(実施例1)
本発明に係る転落防止装置の実施例1を
図1~6を参照して説明する。
全体構成:
実施例1の転落防止装置1は、
図1、
図2、
図4(a)等に示すように、転落防止部材2と、転落防止部材2をベランダ柵3の手摺り4に固定する複数の挟着固定装置6と、を備えている。
【0036】
転落防止装置1の転落防止部材2は、ベランダ5の横幅に応じて固定される複数枚(1枚の場合でも可能)の転落防止板10である。さらに、転落防止装置1は、必要に応じて、補強のために付設が可能な補強支持板11を有する。
【0037】
転落防止板10は、風雨に耐え、幼児や子供(以下「幼児等」という。)が外力を加えても破損しないような強度を有する板材から成る。板材としては、例えば、塩化ビニール、ポリカーボネート、アクリル樹脂、強化プラスチック、アルミ、強化木材等を利用し、ベランダから見た外部の景観を損なわないために透明としてもよいが、必ずしもその必要はない。
【0038】
転落防止板10には、少なくともその左右両側縁の内側に側縁に沿って、挟着固定装置6に固定するためにネジ挿通孔が形成されている。
図1、
図2に示すように、1~複数枚の転落防止板10が、挟着固定装置6によって、ベランダ柵3の横方向に沿ってベランダ柵3の手摺り4の上方に固定されて取り付けられことにより、手摺り4に沿った転落防止壁15が形成される。
【0039】
挟着固定装置:
挟着固定装置6は、
図1~
図4、
図6に示すように、挟着固定本体18と、押圧側挟着片19と、一対の固定背板片20と、を備えている。挟着固定本体18は、下側に設けられた本体側挟着片21と上側に設けられた固定部22から一体に形成されている。
【0040】
挟着固定本体18の本体側挟着片21と押圧側挟着片19は、
図3(c)、
図4(a)、
図6に示すように、ベランダ柵3の手摺り4の上に、傷付け防止片30(クッション材等)を介して載置され、ベランダ柵3の支柱31を上方から挟み付けることで、挟着固定本体18及び押圧側挟着片19は、手摺り4上でベランダ柵3の支柱31に固定される。
【0041】
そして、挟着固定本体18は、
図1、
図4に示すように、その固定部22の左右一対の固定片23と左右一対の固定背板片20の間に、転落防止板10を挟んでネジ止めして、転落防止板10をベランダ柵3に沿ってその上方に起立して固定する。
【0042】
挟着固定本体18の固定部22は、使用時にベランダ5の内側から見て、
図1、
図2、
図3(a)に示すように、正面視で全体的に略U字型に形成されている。挟着固定本体18の本体側挟着片21は、固定部22の底部24の偏寄した部位(
図2、
図3(a)では底部24の左側の部分)から下方に延び、かつ固定部22の平面に対してベランダ5の外側に垂直に起立するように形成されている。
【0043】
本体側挟着片21の上部には、
図2~
図4、
図6に示すように、ベランダ5の外側に向けて湾曲状に張り出した膨出部35が形成されており、その膨出部35に枢支軸36を挿通する枢支孔37(
図2参照)が形成されている。
【0044】
本体側挟着片21の下端部には、
図3(c)、
図4(a)に示すように、先端が外側に向けて当接片41が枢着されており、当接片41の内面には、傷付け防止片(クッション材、ゴム材等)42が貼り付けられている。本体側挟着片21には、補強支持板11の上部を固定するためのボルト孔43が形成されている。
【0045】
押圧側挟着片19は、
図2、
図3(c)、
図4(a)、
図6に示すように、挟着固定本体18の本体側挟着片21と略対称の形状をしており、本体側挟着片21側の膨出部35に対向するように膨出部47が形成され、この膨出部47に枢支軸36を挿通する枢支孔48が形成されている(
図2参照)。
【0046】
押圧側挟着片19は、その上部に、ベランダ5側に正対するように折り曲げられてなる被押圧片49が形成されている。被押圧片49は、挟着固定本体18における固定部22の底部24のボルト孔45に螺着された押圧用ボルト44の先端が、押し当てられるように構成されている。
【0047】
押圧側挟着片19の下端部には、
図3、
図4に示すように、先端がベランダの内側に向け、本体側挟着片21の本体側当接片41に対向するように当接片41が枢着されており、当接片41の内面には、傷付け防止片(クッション材、ゴム材等)42が貼り付けられている。
【0048】
以上の構成の挟着固定本体18の本体側挟着片21と押圧側挟着片19は、本体側挟着片21の膨出部35と押圧側挟着片19の膨出部47のそれぞれの枢支孔37、48を通して枢支軸36が挿通されて、互いに回転可能な対となった挟持構造となる。
【0049】
本体側挟着片21と押圧側挟着片19は、
図1(b)、
図3(c)、
図4(a)、
図6に示すように、押圧用ボルト44を被押圧片49に対して押し込むことで、ベランダ柵3の支柱31を上方から挟み付けて、挟着固定本体18をベランダ柵3に装着することが可能となる。
【0050】
本体側挟着片21及び押圧側挟着片19は、
図3(c)に示すように、それぞれ膨出部35及び47の下方は引っ込むように形成され、これによって、本体側挟着片21及び押圧側挟着片19の枢支軸36の下方には空間50が形成されている。
【0051】
挟着固定本体18の本体側挟着片21と押圧側挟着片19をベランダ柵3の支柱31を挟み付けて、挟着固定本体18をベランダ柵3に装着する場合、支柱31の上端部及び手摺り4は、空間50内に収まることとなる。
【0052】
挟着固定本体18の固定部22は、前記し、
図3(a)に示すように、ベランダ内側から見て正面視で全体的に略U字型に形成されている。より詳細には、固定部22は、上方に延びる左右の一対の固定片23と、左右の下端を繋ぐ底部24と、から一体に形成されている。左右の一対の固定片23には、それぞれ上下方向に間隔をおいてネジ挿通用のネジ孔が形成されている。
【0053】
左右一対の固定背板片20は、
図3(b)に示すように、それぞれ左右の固定片23に対応して、正面視で略同じ形状に形成されており、実施例1では、固定片23に対して合わせ易いように互いに分離されているが、U字型に一体に形成されていてもよい。左右一対の固定背板片20は、それぞれ左右の固定片23のネジ孔に対応して、ネジ挿通孔が上下方向に間隔おいて形成されている。
【0054】
左右の固定片23と左右の固定背板片20は、その間に隣接する2つの転落防止板10の互いに隣接する側縁に沿った内側の部分を、
図1、
図4(a)に示すように、サンドイッチ状に挟んでネジ止めし、これによって、互いに隣接する2つの転落防止板10を、互いに結合するとともに、挟着固定本体18の固定部22に固定して取り付けることができる。
【0055】
このような取付構造では、
図1(a)に示すように、左右の固定片23の間隔Lは、互いに隣接する転落防止板10の固定する隙間Sより大きい寸法で形成される。換言すると、互いに隣接する転落防止板10の固定する隙間Sは、左右の固定片23の間隔Lより小さい寸法である。このような取付構造は、実施例1のきわめて特徴的な構成である。その理由は、次のとおりである。
【0056】
ベランダ5及びベランダ柵3は、風雨に曝された場合、互いに隣接する転落防止板10の隙間から風雨がベランダ内に通過するが、仮に、固定部22及び固定背板片20を略U字型ではなく、例えば、矩形とした場合は、風雨が固定部22のより広い面積に直に当たる。
【0057】
風雨の強さは変化するので、そのために風雨にさらされる固定部22と固定背板片20で挟まれた隣接転落防止板10のネジ止め部には、強弱変化する力がもろに作用し、ネジ止め部のガタツキの発生の原因となる。
【0058】
また、固定部22と固定背板片20が矩形であると、ベランダ柵3の間がより広い面積で閉じられて外観上見栄えが悪く、ベランダ柵3の外観及びベランダ側から見た外側の景観も悪くなる。
【0059】
しかしながら、実施例1の
図1に示すように、固定部22をU字型とし、その左右の固定片23の間の間隔を、隣接する転落防止板10の隙間より大きい寸法とすることで、ベランダ柵3を通過する風雨は、固定部22に対しては、略U字型の固定部22の底部24にしか当たらない。
【0060】
そのために、風雨による強弱変化する力は、固定部22に対しては僅小の面積にしか作用しないので、ネジ止め部のガタツキの発生を抑制する。また、固定部22が矩形であると、ベランダ柵3の間を通して、底部24だけしか見えないので、見栄えがよい。
【0061】
挟着固定本体18における固定部22の底部24には、
図2に示すように、押圧用ボルト44を螺着するためのボルト孔45が形成されている。押圧用ボルト44は、ボルト孔45から螺着され、
図3(c)
図4(a)、
図6に示すように、その先端が押圧側挟着片19の被押圧片49に、図示しない緩衝材等を介して当接して押圧し、枢支軸36で枢支された押圧側挟着片19の下側を、ベランダ側に回動し、押圧側挟着片19の挟着当接片41及び傷つけ防止片42を、本体側挟着片21の挟着当接片41及び傷つけ防止片42に向けて押圧する。
【0062】
なお、
図1(a)、
図2に示すように、互いに隣接する2枚の転落防止板10を、挟着固定本体18に固定し、かつ2枚の転落防止板10を互いに結合するために、2枚の転落防止板10それぞれの隣接する縁部の内側を、挟着固定本体18をベランダ柵3の支柱31に装着する。
【0063】
なお、ベランダ柵3の横方向の端部では、転落防止板10には隣接する他の転落防止板10がないので、固定部22の固定片23はU字形を構成する左右一対でなく、
図11(a)に示すように、略I字形でよく、固定背板片20も左右一対ではなく、略I字形の固定片23に対応した形状の一枚の背板片でよい。
【0064】
図示はしないが、転落防止板10の横幅寸法(横幅が隣接する支柱31の間隔より長い場合等)に応じて、転落防止板10の横幅方向の中間部に、さらに1又は複数の挟着固定装置6をベランダ柵3の支柱31に装着し、転落防止板10の横幅方向の中間で、さらに挟着固定装置6を介してベランダ柵3に固定する構成としてもよい。なお、図示はしないが、挟着固定装置6を、例えば、プラスチック製のカバーでカバーして露出しない構成としてもよい。
【0065】
補強支持板:
補強支持板11は、
図1、
図4、
図6に示すように、挟着固定本体18をベランダ側から支持し補強する部材であり、
図1、
図2、
図4、
図5に示すように、側面視で細長い略矩形状の補強支持板本体部55と、この補強支持板本体部55の外縁に沿って側方に折り曲げられた補強支持板外縁端部56と、から一体に形成されている。
【0066】
補強支持板本体部55の上端部かつ外縁近傍に、
図2、
図4(a)、
図5(a)、
図6に示すように、外縁に沿ってボルト挿通用長孔57が上下方向に形成されている。また、
図2、
図4、
図5(a)に示すように、補強支持板本体部55の下端部かつ内縁近傍に、内縁に沿ってボルト挿通用長孔58が上下方向に形成されている。補強支持板本体部55の下端部には、水平方向に長いボルト挿通用長孔59が、水平方向に間隔をおいて複数(実施例2では2つ)形成されている。
【0067】
補強支持板11をさらに下方から支持する部材として、
図1(b)、
図2、
図4、
図5に示すように、接地杆63が設けられている。接地杆63は、長細い板杆から成り、上下長手方向に間隔をおいて、ボルト孔が形成されている。
【0068】
接地杆63の下端部には、
図1(b)、
図4、
図5(a)に示すように、垂直断面L形の接地片64が、その上端で接地杆63に内外に回転可能(揺動可能)に枢着されている。
【0069】
図4(a)、
図5(a)に示すように、本体側挟着片21のボルト孔43と補強支持板本体部55のボルト挿通用長孔57を通してボルト65が挿通され、このボルト65によって、本体側挟着片21に補強支持板11の上部が固定される。
【0070】
補強支持板本体部55のボルト挿通用長孔57におけるボルト65の挿通位置を調整することで、補強支持板11の本体側挟着片21への取り付け高さを調整することができる。
【0071】
そして、
図4、
図5(a)に示すように、補強支持板本体部55のボルト挿通用長孔58と接地杆63のボルト孔を通してボルト66が挿通され、このボルト66によって、補強支持板11の内側下部に接地杆63が固定される。
【0072】
補強支持板本体部55のボルト挿通用長孔58に対するボルト66の挿通位置を調整することで、接地杆63の補強支持板本体部55への取り付け高さを調整し、接地片64がベランダ5の床の前縁近傍に沿って形成された溝67の底に接地するようにすることができる。
【0073】
図4、
図5(b)に、補強支持板11をベランダ柵3の支柱31の下部に固定する固定具70を用いた締め付け構造74を示す。この固定具70は、水平断面が略T字形の締め付け片71と、締め付け片71に対向する水平断面が略一字形の背側締め付け片72と、一対の締め付け用ボルト73と、を備えている(
図5(b)参照)。
【0074】
締め付け片71は、
図5(b)に示すように、補強支持板11に、そのボルト挿通用長孔59に挿通されたボルトとナットで、固定される。そして、締め付け片71と背側締め付け片72の間に支柱31の下部を挟んで、締め付け用ボルト73によって、締め付ける。このようにして、挟着固定装置6を、補強支持板11によってベランダ5側から支持し、転落防止壁15を補強することができる。
【0075】
なお、固定具70の代わりに、
図5(c)に示すように、基端側に補強支持板11に形成した係止孔74に係入する掛け部75と、先端側に支柱31に係合する鈎部76と、を有する係止片77を用い、補強支持板外縁端部56に螺着した締め付け用ボルト78で、係止片77を引き寄せるようして固定する締め付け構造79としてもよい。
【0076】
(作用)
上記構成から成る実施例1の転落防止装置1について、ベランダ柵3に取り付けて設置する態様等を通して、その構成、作用をさらに説明する。
【0077】
転落防止装置1をベランダ柵3に設置するには、まず、
図3(c)、
図6に示すように、挟着固定本体18をベランダ柵3の支柱31に装着する。そのために、互いに枢支軸36で枢支された本体側挟着片21と押圧側挟着片19を、上方から支柱31を挟み込む(支柱31に跨る)ようにして、膨出部35、47をベランダ柵3の手摺り4の上に、傷付け防止片30を介して載置する。
【0078】
そして、固定部22の底部24のボルト孔45に螺着した押圧用ボルト44をねじこんで、その先端で押圧側挟着片19の被押圧片49を押圧する。
【0079】
すると、押圧側挟着片19の下側が枢支軸36を中心に本体側挟着片21に向けて回転し、本体側挟着片21と押圧側挟着片19は、それぞれ下端に設けられた当接片41、41によって、傷付け防止片42、42を介して、支柱31を挟み付ける。これによって、挟着固定本体18と押圧側挟着片19は、ベランダ柵3の支柱31に装着される。
【0080】
ベランダ柵3に取り付ける複数の転落防止板10に対応して複数の挟着固定装置6を配置し、それぞれ上記のようにしてベランダ柵3の支柱31に装着する。前記したとおり、挟着固定装置6は、互いに隣接する2つの転落防止板10を互いに結合する必要上、少なくとも隣接する2つの転落防止板10の隣接部(互いに隣接する2つの転落防止板10の連結部)に設ける必要がある。
【0081】
しかし、挟着固定装置6は、前記したとおり、転落防止板10の横幅の長さに応じて、転落防止板10の横幅方向の中間において、ベランダ柵3の支柱31に対し、さらに1又は複数取り付けて、転落防止板10を固定する箇所を横方向にさらに増やして、転落防止板10をより強力に固定する構成としてもよい。
【0082】
挟着固定本体18が、その本体側挟持片21と押圧側挟持片19でベランダ柵3の支柱31を挟みつけて挟持することによって、挟着固定装置6が支柱31に装着されると、
図3(c)、
図6に示すように、挟着固定本体18の固定部22は上方に起立した状態となる。
【0083】
複数(少なくとも2枚)の挟着固定本体18の固定部22に渡るように、ベランダ内側から転落防止板10が当接され、さらに転落防止板10には、挟着固定本体18の固定部22の左右の固定片23に対応し一対の固定背板片20がベランダ5の内側から当接され、
図4(a)に示すように、ネジで固定され、転落防止板10が固定片23と固定背板片20にサンドイッチ状に挟まれて、挟着固定装置6によって、ベランダ柵3の手摺り4に沿って起立して固定される。
【0084】
このようにして、複数の転落防止板10を、互いに間隔をおいて、対応する挟着固定装置6に固定して取り付けることで、
図1に示すように、ベランダ柵3の手摺り4の上方に、複数の転落防止板10が、互いに隣接するものの間に、間隔寸法Sの隙間をおいて起立し、連設して成る転落防止壁15が形成される。なお、ベランダ柵3の端部では、前記したとおり、
図11(a)に示すように、略I字形の固定片23と固定背板片20によって、転落防止板10を固定すればよい。
【0085】
次に、挟着固定本体18をベランダ5側から支持し、補強する補強支持板11による補強構造について説明する。補強支持板11は、ベランダの設置環境(例えば、風が強い地域、マンション等の建屋の階等)に応じて、複数の挟着固定本体18の全てに対してそれぞれ設けてもよいが、選択的に設けてもよく、又は全く設けない構成としてもよい。
【0086】
図4(a)、
図6に示すように、補強支持板本体部55の上部を、本体側挟着片21の横側面に当接し、ボルト65を、補強支持板本体部55のボルト挿通用長孔57を通して挿通し、本体側挟着片21のボルト孔43(
図2参照)に螺着して、補強支持板11を本体側挟着片21に固定する。
【0087】
補強支持板本体部55のボルト挿通用長孔57へのボルトの挿通位置を調整することで、本体側挟着片21に対する補強支持板11の取り付け高さを調整できる。
【0088】
そして、
図4、
図5(a)に示すように、補強支持板本体部55の下部におけるボルト挿通用長孔58を通してボルト66を挿通し、接地杆63のボルト孔に螺着して、補強支持板本体部55の内側下部に接地片64を固定する。補強支持板本体部55のボルト挿通用長孔58へのボルト66の挿通位置を調整することで、補強支持板11に対する接地杆63の取り付け高さを調整する。
【0089】
このように調整することで、接地杆63は、その接地片64がベランダ5の床の前縁近傍に沿って形成された溝67内に接地するようにする。ベランダ5の床面に溝67等が設けられ凹凸があっても、補強支持板11は、接地杆63及び接地片64を介してベランダ5の床面で下方から支持される。
【0090】
以上の構成から成る実施例1の転落防止装置1によると、次のような顕著な作用効果が生じる。
(1)挟着固定装置6は、本体側挟着片21と押圧側挟着片19をスプリング等設けることなく、押圧用ボルト44を利用して、ベランダ柵3の支柱31に挟持して装着することができ、転落防止板10をベランダ柵3に設置可能な構成であるので、転落防止装置1は、部品点数が少なく簡単な構造で、設置作業も簡単となり、経済性にすぐれている。
【0091】
(2)通常は、風雨は外側からベランダ側(マンション等の建物側)に向かって吹きこみ、転落防止板10に、ベランダ側への外力を加える。この外力は、従来の転落防止装置では、転落防止装置のベランダ柵への取付けを緩めたり、はずしたりする等、悪影響を及ぼすように作用する。
【0092】
実施例1の転落防止装置1は、
図10(a)に矢印Fで示すように、外側からベランダ側(マンション等の側)に向かって吹きこむ風雨による外力を転落防止板10で受けた場合、その外力は、押圧用ボルト44にとっては若干押圧を緩める方向であっても、枢支軸36を中心として、本体側挟着片21に支柱31への挟着を強める方向のモーメントMを与えるので、風雨等が吹き込んでも、転落防止装置1は、支柱31からはずれにくい。
【0093】
(3)挟着固定本体18の固定部22は、正面視で略U字形であるので、互いに隣接する転落防止板10の隙間に表出する挟着固定本体18の固定部22の面積は、底部24だけで僅少である。
【0094】
そのために、固定部22が風雨に曝される面積が小さくなり、風雨による、挟着固定装置6のベランダ柵3の支柱31への装着と、転落防止板10の固定に対するガタツキを抑制でき、転落防止壁15の強固な取り付けを維持し、はずれにくい、という効果がある。
【0095】
(4)上記のとおり、隣接する転落防止板10の隙間に表出する固定部22の面積は底部24だけで僅少であるために、ベランダ5の外観の見栄えを損なうことなく、ベランダ5側から外を見ても景観を損なうことが少ない。また、隣接する転落防止板10の間に、隙間を十分確保できるので、ベランダ側への風通しも維持できる。
【0096】
(実施例2)
本発明に係る転落防止装置の実施例2を
図7~9を参照に説明する。実施例2の転落防止装置81は、実施例1の転落防止装置1と同様に、ベランダ柵3の支柱31に装着して、転落防止部材2(実施例2の場合は複数の回転筒88)をベランダ柵3に取り付ける挟着固定装置(実施例2の場合は挟着固定装置82)を備えている点で同じである。
【0097】
特に、実施例2の転落防止装置81においても、挟着固定装置82の挟着固定本体83における、本体側挟着片21と押圧側挟着片19によってベランダ柵3の支柱31挟持して、顕著な作用効果を奏する新規な構成において、共通する。
【0098】
このような構成を採用することで、実施例1と同様の作用効果が生じる。即ち、実施例2の転落防止装置81は、転落防止部材2を構成する回転筒88が、
図10(b)で矢印Fに示すように、外側からベランダ側(マンション等の側)に向かって吹きこむ風雨等による外力を受けた場合、その外力は、押圧用ボルト44による押圧力を若干緩む方向であっても、枢支軸36を中心に、本体側挟着片21に支柱31への挟着を強める方向のモーメントMを与えるので、風雨等が吹き込んでも、転落防止装置81は、支柱31からはずれにくい。実施例2では、回転筒88は幼児が把持しにくいように径が大きい方がよい。しかし、径が大きいと風雨等を受けやすいが、上記のとおり、風雨等の外力に対しても、強度を有するので、回転筒88の径を大きくできる。
【0099】
しかしながら、実施例2においては、挟着固定装置82の挟着固定本体83に固定する転落防止部材2は、転落防止板10ではなく、複数の回転筒88であり、複数の回転筒88をベランダ柵3の横幅方向に連設して、転落防止回転枠84を構成するというに点において実施例1と相違する。
【0100】
従って、実施例2の転落防止装置81については、実施例1の転落防止装置1と異なる転落防止部材2を構成する回転筒88及び転落防止回転枠84と、回転筒88を回転可能に取り付ける挟着固定本体83の固定部90の構成を中心に説明する。実施例1と共通している部分の符号は同じ符号を使用する。
【0101】
転落防止回転枠84は、
図7、
図8、
図9に示すように、ベランダ柵3の横幅方向に沿って設けられる回転筒88と、回転筒88内に挿入され回転可能に枢支する支持軸89と、を備えている。回転筒88は、塩化ビニール、プラスチック、ステンレス等の材料で形成され、支持軸89は、ステンレスパイプ等の材料で形成される。
【0102】
図8、
図9に示すように、回転筒88に支持軸89が挿入された状態で、回転筒88と支持軸89が互いに偏心する(同心とならない)ように、回転筒88の直径は、支持軸89の直径より大きな寸法とする。例えば、回転筒88の直径は80mmとし、支持軸の直径は50mmとする。
【0103】
このような構成とすると、回転筒88は、支持軸89によって偏心して支持されるが、その外周面を把持しようとしても、回転筒88は、支持軸89で偏心して支持されているので、回転してしまう。
【0104】
即ち、実施例2の転落防止装置81は、従来例のように回転手摺りを同心とすることなく、逆転の発想の下に、あえて、支持軸89と回転筒88は同心ではなく偏心で回転可能な構成とした。これによるメリットは、後記する。
【0105】
回転筒88は、
図7(a)に示すように、ベランダ柵3の互いに隣接する支柱31の間隔内に丁度納まる長さである。要するに、ベランダ柵3の複数の支柱の間に、それぞれ回転筒88を設けて連設し、全体として転落防止回転枠84を構成する。
【0106】
挟着固定本体83は、その本体側挟着片21は実施例1と同じであるが、その固定部90は、
図7~9に示すように、挟着固定本体83の上部からベランダ側に突き出た構成をしている。
【0107】
この固定部90は、
図9に示すように、固定孔91が形成されており、この固定孔91に支持軸89が挿入されて固定されている。支持軸89は、その両端は、それぞれベランダ柵3の長手方向に隣接した支柱31に装着されている他の挟着固定本体83の方向に向けて伸びるように構成されている。
【0108】
より詳細には、支持軸89は、ベランダ柵3の支柱31に装着された挟着固定本体83の固定部90の固定孔91に挿通されて固定され、その一端は水平かつ横方向に隣接する支柱31に装着された挟着固定本体83に向けて伸び、その他端は水平かつ反対の横方向に隣接する他の隣接する支柱31に装着された他の挟着固定本体83に向けて伸びるように固定されている。
【0109】
このようにして、互いに隣接する支柱31に装着された挟着固定本体83の固定部90に固定された互いに隣接する2本の支持軸89は、互いに向かい合うように設けられている。そして、回転筒88は、
図7に示すように、その両端側から、互いに向きあう2本の支持軸89、89に、両端側から挿通されて、回転可能に支持されている。
【0110】
なお、ベランダ柵3の横方向の端部では、回転筒88には隣接する他の回転筒88がないので、支持軸89は、その中央部を固定孔91に挿通し固定した構成ではなく、
図11(b)に示すように、その一端のみをベランダ柵3の横方向の端部における固定部90の固定孔91に固定した構成とし、その支持軸89を回転筒88に挿入し偏心して回転可能に支持する構成とすればよい。
【0111】
(作用)
上記構成から成る実施例2の転落防止装置81について、ベランダ柵3に取り付けて設置する態様等を通して説明し、その構成、作用をより明確にする。
【0112】
実施例2の転落防止装置81では、
図7に示すように、挟着固定本体83は、ベランダ柵3の長手方向に間隔をおいて設けられた支柱31に装着される。そして、支持軸89は、挟着固定本体83の固定部90の固定孔91に挿通されて固定され、ベランダ柵3に沿って水平に設けられる。
【0113】
ベランダ柵3に沿って水平に設けられた支持軸89によって、ベランダ柵3に沿って、互いに隣接する支柱31間の全てに、回転筒88が、その両端から、互いに向き合う隣接する支持軸89によって、回転可能に取り付けられる。なお、ベランダ柵3の端部では、前記したとおり、
図11(b)に示すように、支持軸89の一端のみをベランダ柵3の横方向の端部における固定部90の固定孔91に固定し、その支持軸89を回転筒88に挿入し偏心して回転可能に支持する構成とすればよい。
【0114】
この実施例2の転落防止装置81は、その挟着固定本体83が実施例1の場合と同様に、ベランダ柵3の支柱31に簡単かつ強力に装着できる。また、回転筒88は、挟着固定本体83に固定した支持軸89に、同心とする必要なく挿通すれば回転可能となるので、従来例である特許文献3、4等に比べて、構成が簡単であり、ベランダ柵3への取り付けも簡単である。
【0115】
幼児等は、ベランダにおいて回転筒88の外周面に手をかけてベランダ柵3をよじ登ろうとしても、回転筒88は、
図9に示すように、支持軸89で偏心して支持されており、回転してしまう。そのために、ベランダ柵3の乗り越えを防止する。特に、背の低い幼児等の転落防止には、最適である。
【0116】
なお、
図8(b)は実施例2の変形例の要部を示す。この変形例に示すように、挟着固定装置82の押圧用ボルト92は、本体側挟着片21ではなく、反対側の押圧側挟着片19に螺着して、本体側挟着片21を押圧するような構成としてもよい。
【0117】
ところで、実施例2についても実施例1の場合と同様に、外側からベランダ側(マンション等の側)に向かって吹きこむ風雨による外力が、ベランダ側へ向かって転落防止回転枠84に作用する。
【0118】
しかし、実施例2の転落防止装置81も、実施例1と同じ構成の挟着固定本体83の本体側挟着片21と押圧側挟着片19を採用したので、この外力を、実施例1と同様に、
図10(b)に示すように、支柱31へ向かうモーメントとして作用させ、支柱31で受け止めるので、風雨が吹き込んでも、転落防止装置81は、支柱31からはずれにくい。
【0119】
また、実施例2では、隣接する支柱31にそれぞれ挟着固定装置82を装着し、その固定部90に、支持軸89を貫通して固定し、回転筒88は、互いに隣接した支持軸89に固定された支持軸89が両端から挿入され、回転可能に支持された構成を採用している。
【0120】
そして、回転筒88の直径は、前記したとおり支持軸89の直径より大きいが、転筒88の直径と支持軸89の直径は、従来例において同心とする構成と全く逆で、両者の間に隙間ができて、偏心するような寸法にそれぞれ形成されている(例えば、回転筒88の直径80mm、支持軸89の直径50mm等参照)。このような構成としたことにより、次のとおり、きわめて顕著な作用効果が生じる。
【0121】
(1)回転筒88は、支持軸89によって偏心して支持されるが、幼児等がその外周面を把持しようとしても、回転筒88は、支持軸89で偏心して支持されているので、回転してしまう。そのために、ベランダ柵3の乗り越えを防止する。
【0122】
(2)回転筒88と支持軸89を正確に同心であることを注意して製作する必要はなく、また、回転筒88と支持軸89の間にベアリングを設ける必要もないので、構成が簡単であり、製作も容易となり、経済的である。
【0123】
(3)回転筒88と支持軸89を正確に同心な構成と比較して、互いの接触面積が小さいので、接触面積が大きいことによる回転しにくい等の問題の発生を抑制する。特に、経時的に接触面が劣化した場合等に生じる、滑らかな回転が阻害されるようなことを抑制する。
【0124】
(4)回転筒88は、直径寸法が大きい方が、幼児等の手では把持しにくくなるので好ましい。しかし、支持軸89は強度の大きな材料が必要であり、その価格は高い。回転筒88と支持軸89を同心とすると、回転筒88をより大きな直径とすると、それに比例して支持軸89も大きな直径寸法とする必要があるので高価となる。
【0125】
しかし、実施例2では、回転筒88は、支持軸89に偏心して回転可能に支持されればよい構成としたことで、回転筒88を大きな直径寸法のものとしても、支持軸89は、強度的に回転筒88を支持可能であれば、回転筒88に比例して大きな直径寸法とする必要がないので、経済的に転落防止部材2を安上がりにでき、幼児等の手では把持しにくくさせることができる。
【0126】
(5)回転筒88は、支持軸89より大きな直径であり偏心して支持されているので、ベランダの外側から風雨による外力が作用すると、外力の一部は、回転筒88を支持軸89を中心に偏心的に回転させようとするエネルギーとして消費される(外力の一部が逃がされる)。
【0127】
(6)回転筒88は幼児が把持しにくいように径が大きい方がよい。しかし、径が大きいと風雨等を受けやすいが、実施例2の挟着固定装置82は、上記したとおり、風雨等の外力に対しても支柱31からはずれにくいので、回転筒88の径を適宜大きくできる。
【0128】
そのために、従来例のように、回転手摺りが支持軸によって同心で支持されている構成に比較して、外力により回転筒88が支持軸89に直接作用する力が少なくなるので、回転筒88と支持軸89の損傷や経時的な劣化が少なくなる。
【0129】
(実施例3)
本発明に係る転落防止装置の実施例3を
図12~
図14を参照して説明する。実施例3の転落防止装置101は、実施例1の転落防止装置1と同様に、ベランダ柵3の手摺り4に装着して、転落防止部材2(実施例3の場合は転落防止柵102)をベランダ柵3に取り付ける挟着固定装置6を備えている構成において同じである。
【0130】
しかしながら、実施例3においては、挟着固定装置6を介してベランダ柵3の手摺り4に固定する転落防止部材2は、実施例1のように転落防止板10ではなく、転落防止柵102であるというに点において実施例1と相違する。
【0131】
従って、実施例3の転落防止装置101については、実施例1の転落防止装置1と異なる転落防止部材2である転落防止柵102と、転落防止柵102を挟着固定装置6を介してベランダ柵3の手摺り4に取り付ける固定部110の構成を中心に説明する。実施例1と共通している部分の符号は同じ符号を使用する。
【0132】
実施例2の転落防止部材2は、
図12~
図14に示すように、転落防止柵102である。この転落防止柵102は、水平に配置された上枠103及び下枠104と、上枠103及び下枠104の間に横方向に一定の間隔で設けられた複数の縦桟105と、備えている。
【0133】
転落防止部材2である転落防止柵102は、
図12~
図14に示すように、実施例1と同様に、挟着固定装置6を介してベランダ柵3の手摺り4に固定して取り付けられる。
【0134】
挟着固定装置6は、実施例1と略同じであり、
図13、
図14に示すように、枢支軸36で互いに枢支された押圧側挟着片19と本体側挟着片21を備えている。本体側挟着片21は、実施例1と同様に、補強支持板11の上端に固定されて設けられる。
【0135】
挟着固定装置6のベランダ柵の手摺り4の取付は、押圧側挟着片19と本体側挟着片21によって、ベランダ柵の手摺り4を、上方から挟む。そして、押圧用ボルト44を回転し、その先端で押圧側挟着片19に設けた被押圧片を押圧し、両挟着片19、21でベランダ柵3の手摺り4を挟持する。これによって、挟着固定装置6は、ベランダ柵3の手摺り4に取り付けられる。
【0136】
ところで、実施例1では、
図1~
図4(a)に示すように、本体側挟着片21を備えた挟着固定本体18に固定部22を取付け、その固定片23に転落防止部材2(転落防止板10)を取り付ける構成としている。
【0137】
しかしながら、実施例3では、実施例1のように本体側挟着片21側には、転落防止部材2(転落防止柵102)を取り付ける構成としてはいない。即ち、実施例3では、実施例1のように本体側挟着片21には、固定部22を取り付けた構成(
図1~
図3)としてはいない。
【0138】
その替わりに、実施例3では、押圧側挟着片19の上端部に、固定部110が取り付けられており、この固定部110によって挟着固定装置6を介して、転落防止柵103(転落防止部材2)が手摺り4に取り付けられている。
【0139】
固定部110は、
図13、
図14に示すように、上下方向に細長い固定板111を備えている。固定板111は、その両縁に沿って、両側縁部112が折り曲げられて形成され、水平断面が略凹字形である。固定板111は、その下端部において、ボルト113で押圧側挟着片19の上端部に固定されている。
【0140】
固定板111の側面の上下の端部には、それぞれ転落防止柵102の上枠103及び下枠104を嵌合して把持する、上枠把持部116と下枠把持部117が設けられている。上枠把持部116と下枠把持部117は、共に、垂直断面が凹字形であり、上下互いに向き合うように対称に設けられている。
【0141】
転落防止柵の上枠103と下枠104は、それぞれ上枠把持部116と下枠把持部117に嵌合して把持されて、
図12~
図14に示すように、ベランダの手摺り4に沿ってその上方に付けられる。
【0142】
実施例3の構成によれば、実施例1と同様に、転落防止部材2(転落防止柵102)を、既設のベランダ柵3の上方に、簡単かつ強固に固定可能である。
【0143】
また、転落防止部材2を転落防止柵102とすれば、強風、豪雨の場合であっても、その風雨を全面的受けることがないので、気象環境に対しても好ましい。その意味であれば、転落防止柵102の縦桟105に替えて、図示はしないが、幼児が抜け出られないような網、孔抜き板等であってもよい。
【0144】
変形例1:
実施例1~実施例3における、補強支持板11による補強構造の変形例1を、
図15、
図16を参照して説明する。
【0145】
変形例1の補強構造では、実施例1~3と同様に、補強支持板11と、ベランダの溝67(又は床)に当接して補強支持板11を下方から支持する接地杆63と、を備えている(
図15、
図16参照)。
【0146】
補強支持板11の上部は、
図15aに示すように、本体側挟着片21に固定される。この固定は、実施例1~3の構成と同様であり、補強支持板本体部55のボルト挿通用長孔57におけるボルト65の挿通位置を調整することで、補強支持板11の本体側挟着片21への取り付け高さを調整することができる(
図2、
図4(a)、
図15(a)参照)。
【0147】
そして、
図15、
図16に示すように、補強支持板11のボルト挿通用長孔58と接地杆63のボルト孔(図示せず)を通してボルト66が挿通、螺着され、このボルト66によって、補強支持板11の内側下部に接地杆63が、取り付け高さが調整可能に固定される。
【0148】
接地杆63の下端部は、
図15、
図16に示すように、水平に折り曲げられて底部120が形成されている。底部120には、小さな係合孔121が形成されている。底部120は、当接プレート122及び両面接着テープ123を介して、ベランダの溝67(又は床)の表面に接着、固定される。
【0149】
当接プレート122の上面には、
図15(b)、
図16に示すように、上方に向けて突起124が設けられている。この突起124は、底部120の係合孔121に係合し、底部120が当接プレート122からずれない構成としている。このような構成によって、接地杆63は、補強支持板11を下方から支持する。
【0150】
なお、変形例1の補強構造において、補強支持板11は、既設のベランダ柵3の支柱31に沿って上方に起立されるが、外縁端部56(補強支持板11の外縁に沿って側方に折り曲げられた部分)を、ベランダ柵の支柱31に沿って当接した状態で、
図16に示すように、ボルト40で固定してもよい。
【0151】
変形例2:
実施例1~実施例3における、補強支持板11による補強構造の変形例2を、
図17、
図18を参照して説明する。変形例2の補強構造では、実施例1~3と同様に、補強支持板11と、ベランダの溝67(又は床)に当接して補強支持板11を下方から支持する接地杆63と、を備えている(
図17、
図18(a)参照)。
【0152】
補強支持板11の上部は、
図17aに示すように、本体側挟着片21に固定される。この固定は、実施例1~実施例3の補強構造と同様であり、補強支持板11の本体部55のボルト挿通用長孔57におけるボルト65の挿通位置を調整することで、補強支持板11の本体側挟着片21への取り付け高さを調整することができる。
【0153】
そして、
図17、
図18に示すように、補強支持板11のボルト挿通用長孔58と接地杆63のボルト孔(図示せず)を通してボルト66が挿通、螺着され、このボルト66によって、補強支持板11の内側下部に接地杆63が、取り付け高さが調整可能に固定される。
【0154】
変形例2の補強構造は、
図17(b)、(c)、
図18に示すように、補強支持板11を足元固定具131によって、ベランダ5の床のコンクリートの凸条縁部132に、固定する構成を特徴としている。
【0155】
なお、凸条縁部132は、その有無はベランダ5の構造によって異なるが、ベランダ5の外側縁に沿って、ベランダ5の床上に、垂直断面が凸字形に形成されており(
図17、
図18参照)、通常、これに、既設のベランダ柵3の支柱31の下端部が、固定され起立している(
図17(a)、(c)参照。
【0156】
足元固定具131は、
図17(b)、(c)、
図18に示すように、垂直断面が凹字形の締着片134と、垂直断面がクランク形の補助片135と、当接片137と、介装ゴム138と、水平視でL字形のL形金具139と、を備えている。
【0157】
変形例2の補強構造では、
図17(b)、(c)、
図18に示すように、凸条縁部132に、締着片134が、介装ゴム138を介して被せられている。締着片134には、その内端側から補助片135が載置されている。
【0158】
図17(b)、(c)、
図18に示すように、ボルト145が、補助片135の内側立下部136に形成された通し孔146を通し、さらに締着片134に形成されたネジ孔147に螺合され、その先端で、当接片137を、介装ゴム138を介してコンクリートの凸条縁部132に押圧する。
【0159】
さらに、ボルト145の頭部側にナット148が螺着されており、このナット148を補助片135の内側立下部136に向けて締め付けることで、締着片13を、補助片135と当接片137とともに、介装ゴム138を介してコンクリートの凸条縁部132に、締着して固定する。これによって、補強支持板11を、足元固定具131を介してコンクリートの凸条縁部132に固定される。
【0160】
L形金具139の内端側は、補強支持板11の下端部に当接し、ボルト150で固定される(
図17(b)、(c)参照)。L形金具139の外端側は、長孔141が形成されており、補助片135の外側立上部140に当接し、(
図18(a)参照)長孔141にボルト142が挿通されて、横方向の位置が調整され固定されている。
【0161】
このような構成の変形例2の補強構造によれば、補強支持板11の下部は、足元固定具131を介して、コンクリートの凸条縁部132に、強固に固定され支持され起立が可能となる。
【0162】
以上、本発明に係る転落防止装置を実施するための形態を、実施例1と実施例2に基づいて説明したが、本発明はこのような実施例に限定されることなく、特許請求の範囲記載の技術的事項の範囲内で、いろいろな実施例があることは言うまでもない。