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特開2024-100678ポリウレタン発泡剤組成物及びこれを用いたポリウレタンフォームの製造方法{Foaming Agent Composition for Polyurethane and Method of Preparing Polyurethane Foam Using the Same}
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100678
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】ポリウレタン発泡剤組成物及びこれを用いたポリウレタンフォームの製造方法{Foaming Agent Composition for Polyurethane and Method of Preparing Polyurethane Foam Using the Same}
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/00 20060101AFI20240719BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20240719BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20240719BHJP
【FI】
C09K3/00 111B
C08G18/00 H
C08G101:00
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023177159
(22)【出願日】2023-10-13
(31)【優先権主張番号】10-2023-0005540
(32)【優先日】2023-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0107826
(32)【優先日】2023-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523388940
【氏名又は名称】セホ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SEHO INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(72)【発明者】
【氏名】イ ソンウク
(72)【発明者】
【氏名】キム ヒョンジン
(72)【発明者】
【氏名】デゥン ダプ
(72)【発明者】
【氏名】カン チャンホン
(72)【発明者】
【氏名】カン デクォン
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034BA03
4J034CA36
4J034CB01
4J034CC37
4J034CC44
4J034CC52
4J034CC62
4J034DB03
4J034DB07
4J034DF01
4J034DG02
4J034HA01
4J034HA02
4J034HA06
4J034HA07
4J034HC12
4J034HC64
4J034HC65
4J034HC67
4J034HC71
4J034JA01
4J034KA01
4J034KB02
4J034KB03
4J034KB05
4J034KC02
4J034KC08
4J034KC17
4J034KC23
4J034KD02
4J034KD04
4J034KD12
4J034KE02
4J034MA12
4J034NA01
4J034QB04
4J034QB13
4J034QB16
4J034QC01
4J034RA10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】非常に低い地球温暖化係数及びオゾン破壊係数を有し、硬質ウレタンフォーム断熱材規格を満たすように熱伝導率、吸水量、屈曲強度及び圧縮強度などの性能が向上したポリウレタンフォームを製造することができるポリウレタン発泡剤組成物及びこれを用いたポリウレタンフォームの製造方法を提供する。
【解決手段】ポリウレタン発泡剤組成物は、一定割合の化学的発泡剤であるグリセロールカーボネートと物理的発泡剤または化学的発泡剤(Physico-chemical Blowing Agent)を含み、これを利用して製造されたポリウレタンフォームは、非常に低い地球温暖化係数およびオゾン破壊係数を持つと同時に、硬質ウレタンフォーム断熱材規格を満たす水準まで向上した熱伝導率、吸水量、屈曲強度および圧縮強度の物性を持ち、内部収縮を防止する効果がある。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含むポリウレタン発泡剤組成物(Physico-chemical Blowing Agent):
(i) グリセロールカーボネート(glycerol carbonate)、および
(ii) 物理的発泡剤および/または化学的発泡剤。
【請求項2】
前記物理的発泡剤は、メチルホルメート(methyl formate)、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(1,3,3,3-tetrafluoropropene)、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(1-chloro-3,3,3-トリフルオロプロペン), cis-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(cis-1,1,1,4,4,4-hexafluoro-2-butene), ペンタフルオロプロパン(pentafluoropropane), 1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(1,1,1,3,3-pentafluorbutane), 1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン(1,1-dichloro-1-fluoroethane), トランス-1,2-ジクロロエチレン(trans-1,2-dichloroethylene), メチラール(methylal), c-ペンタン, n-ペンタン、i-ペンタン、1-クロロプロペン、2-クロロプロペン、3-クロロプロペンからなる群から1種以上選択されることを特徴とする、請求項1に記載のポリウレタン発泡剤組成物。
【請求項3】
前記化学的発泡剤は、多価アルコールベースの環状カーボネート(cyclic carbonate)であることを特徴とする、請求項1に記載のポリウレタン発泡剤組成物。
【請求項4】
前記多価アルコールは、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、エリスリトール、トレイトール、アラビトール、キシリトール、ガラクチトール及びイジトールからなる群から1種以上選択されることを特徴とする、請求項3に記載のポリウレタン発泡剤組成物。
【請求項5】
前記物理的発泡剤及び化学的発泡剤の含有量は、前記グリセロールカーボネート100重量部に対して、それぞれ0.01~99重量部及び0.1~30重量部であることを特徴とする、請求項1に記載のポリウレタン発泡剤組成物。
【請求項6】
前記グリセロールカーボネート100重量部に対して、メチル(2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルカーボネート(methyl (2-oxo-1,3-dioxolan-4-yl)methyl carbonate)を0重量部より多く10重量部以下、またはビス((2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)カーボネート(bis((2-oxo-1,3-dioxolan-4-yl)methyl)carbonate)を0重量部より多く5重量部以下さらに含む、請求項1に記載のポリウレタン発泡剤組成物。
【請求項7】
前記グリセロールカーボネート100重量部に対して、グリセロール0.01~30重量部をさらに含む、請求項1に記載のポリウレタン発泡剤組成物。
【請求項8】
前記グリセロールカーボネート100重量部に対して0.1~30重量部の水をさらに含む、請求項1に記載のポリウレタン発泡剤組成物。
【請求項9】
以下の工程を含むポリウレタンフォームの製造方法。
(a)ポリオール、界面活性剤、水、触媒、リン酸トリクロロプロピル及び請求項1~8のいずれか一項に記載のポリウレタン発泡剤組成物を含む第1液を調製する段階、
(b)第1液100重量部とポリイソシアネートを含む第2液を、第1液100重量部に対して100~150重量部を混合する段階、および
(c)前記第1液と前記第2液の混合物を反応させてポリウレタンフォームを製造する段階。
【請求項10】
前記ポリウレタンフォームの熱伝導率は0.018より大きく0.023W/m・K以下、吸水量は0より大きく3.0g/100cm2以下、曲げ破壊荷重は25Nより大きく100N以下、圧縮強度は10より大きく20N/cm2以下であることを特徴とする、請求項9に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン発泡剤組成物及びこれを用いたポリウレタンフォームの製造方法に関し、より具体的には、ポリウレタン発泡剤組成物において、一定割合の化学的発泡剤であるグリセロールカーボネートと物理的発泡剤を含み、非常に低い地球温暖化係数及びオゾン破壊係数を有し、同時に硬質ウレタンフォーム断熱材規格を満たすレベルの改善された熱伝導率、吸水量、屈曲強度及び圧縮強度の物性を有し、内部収縮を防止することができるポリウレタン発泡剤組成物及びこれを利用したポリウレタンフォームの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
低密度硬質(rigid)ポリウレタンフォームは、マットレスや枕などの寝具、家庭用椅子や自動車用シートなどのクッション材、屋根システム、ビルパネルなどの建築物の断熱材など様々な分野で使用されている。大規模な硬質ポリウレタンフォームを商業的に使用する上で重要な要素は、優れたバランス特性を提供する能力である。硬質ポリウレタンフォームは、優れた断熱性、優れた耐熱性、およびかなりの低密度で優れた構造的特性を提供することが知られている。発泡体産業は、加工条件の容易さのため、液体フルオロカーボン発泡剤を使用してきた。
【0003】
当業界では、発泡剤であるフッ素含有オレフィン化合物、例えばHFO-1234ze(1,3,3,3-テトラフルオロプロペン)、HCFO-1233zd(1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン)、HFC-245fa(ペンタフルオロプロパン)、HCFC-141b(1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン)などを使用して製造された発泡体は、低い熱伝導率及び高い寸法安定性を示すなど、その物性が優れているため、広く使用されていた。しかし、前記フッ素含有オレフィン化合物は、発泡剤のコストが高いだけでなく、地球温暖化係数(GWP、global warming potential)が非常に高く、環境問題がより重要視されている最近では、その使用が減少している。
【0004】
このようなフッ素含有オレフィン化合物の欠点を補完するために、イソ-ペンタン、ノルマル-ペンタン及びシクロペンタンなどの炭化水素発泡剤が使用できる。炭化水素発泡剤は、オゾン破壊係数(ODP、ozone depletion potential)が0(zero)であり、非常に低い地球温暖化係数を示すため、環境にやさしい発泡剤である。しかし、これらの発泡剤から製造された発泡体は、フッ素含有オレフィン化合物を発泡剤として使用して製造された発泡体に比べ、断熱効率が低いという欠点がある。また、炭化水素発泡剤は、ポリオールなどポリウレタンフォームの製造に必須的に使用される物質及び添加剤との混和性が十分でないため、工程及び設備が複雑化して非経済的であり、ポリウレタンフォームの様々な物性を改善するために添加剤などが追加的に組成物に含まれる場合、最終的に製造されるポリウレタンフォームの機械的物性が低下するという欠点がある。さらに、シクロペンタンの場合、それ自体の可燃性のため、実際の工程で使用する際の取り扱いに多くの困難を抱えている。
【0005】
また、フッ素含有オレフィン化合物の欠点を補完できるもう一つの化合物であるtrans-1,2-ジクロロエチレンは、沸点が48℃なので、室温で液体である無毒な物質である。オゾン層を破壊せず、大気寿命が非常に短いため、オゾン破壊係数が非常に低い。米国特許第7,144,926号は、trans-1,2-ジクロロエチレン及びハイドロフルオロカーボン化合物を含む組成物を開示しており、韓国登録特許第10-1532221号は、trans-1,2-ジクロロエチレンなどを含むハイドロハロオレフィン発泡剤、ポリオール、非シリコーン界面活性剤でありながら実質的にシリコーン界面活性剤がない界面活性成分、及び第3級アミン触媒の混合物を含むポリオールプレミックス組成物を開示している。しかし、前記特許は、GWPが高いハイドロフルオロカーボン(hydrofluoro carbon、HFC)を含むという点と、環境的な問題は少ないが、価格が非常に高く経済的なアクセスが難しいハイドロハロオレフィン(hydrofluoro olefin、 HFO)を含むという問題がある。
【0006】
一方、発泡剤としてメチルホルメートも使用できるが、公開特許第2016-0023050号には、ポリエステルポリオール及び/又はポリエーテルポリオールを含み、メチルホルメート発泡剤を含む硬質ポリウレタンフォーム形成用組成物を開示している。メチルホルメートを使用してポリウレタンフォームを製造する場合、発泡体の収縮が激しく、寸法安定性が不良であり、ポリオールなどポリウレタンフォームの製造に必須的に使用される物質との混和性及び貯蔵安定性も不安定であるという欠点がある。
【0007】
また、グリセロールカーボネート(glycerol carbonate、glycerine carbonate or 4-hydroxymethyl-2-oxo-1,3-dioxolane)を発泡剤として使用する研究が行われた(Matthieu O. Sonnati et al.、「Glycerol carbonate as a versatile building block for tomorrow: synthesis, reactivity, properties and applications」, Green Chem., 2013, 15, 283-306; 米国登録特許第5,703,136号; 欧州公開特許第0 419 114 A2号)。ところが、化学的発泡剤であるグリセロールカーボネートを単独で使用すると、内部熱の発生でフォームの不安定化(割れ)と反応性の速さ現象が発生するという問題がある。
【0008】
従って、従来のポリウレタンフォームの製造に使用される発泡剤の欠点を最小化しつつ、これを使用して製造されるポリウレタンフォームの物性が優れた新規な発泡剤及びこれを含むポリウレタンフォーム製造用組成物に対する必要性が要求されている実情である。
【0009】
そこで、本発明者らは、前記問題点を解決するために鋭意努力した結果、化学的発泡剤であるグリセロールカーボネートとメチルホルメートなどの物理的発泡剤及び/又は多価アルコールベースの環状カーボネートの化学的発泡剤を一定割合で含むポリウレタン発泡剤組成物(Physico-chemical Blowing Agent)を利用してポリウレタンフォームを製造する場合、熱伝導率、吸水量、屈曲強度及び圧縮強度などの物性が硬質ウレタンフォーム断熱材規格に非常に適合すると同時に、地球温暖化係数及びオゾン破壊係数が非常に低く、環境にやさしいポリウレタンフォームを製造できることを確認し、本発明を完成させることになった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国登録特許第5,703,136号
【特許文献2】欧州公開特許第0 419 114 A2号
【非特許文献】
【0011】
Matthieu O. Sonnati et al., “Glycerol carbonate as a versatile building block for tomorrow: synthesis, reactivity, properties and applications”, Green Chem., 2013, 15, 283-306
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、非常に低い地球温暖化係数及びオゾン破壊係数を有し、硬質ウレタンフォーム断熱材規格を満たすように熱伝導率、吸水量、屈曲強度及び圧縮強度などの性能が向上したポリウレタンフォームを製造することができるポリウレタン発泡剤組成物及びこれを用いたポリウレタンフォームの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、本発明は、(i)グリセロールカーボネート(glycerol carbonate)、および(ii)物理的発泡剤および/または化学的発泡剤を含むポリウレタン発泡剤組成物を提供する。
【0014】
本発明はまた、ポリオール、界面活性剤、水、触媒、リン酸トリクロロプロピル及び前記ポリウレタン発泡剤組成物を含む第1液を調製する段階、(b)第1液100重量部とポリイソシアネートを含む第2液を第1液100重量部に対して100~150重量部混合する段階、及び(c)前記第1液と前記第2液の混合物を反応させてポリウレタンフォームを製造する段階を含むポリウレタンフォームの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によるポリウレタン発泡剤組成物を用いて製造されたポリウレタンフォームは、非常に低い地球温暖化係数及びオゾン破壊係数を有すると同時に、硬質ウレタンフォーム断熱材規格を満たす水準までに向上した熱伝導率、吸水量、曲げ強度及び圧縮強度の物性を有する効果がある。
【0016】
また、後硬化が早く、スプレー作業時に特に有利で、エステルポリオールに適しているため難燃性が向上し、価格引き下げ効果がある。フォームの収縮防止のために使用されるが、粘度が高くて問題となるソルビトールベースのエーテルポリオールを使用しなくても収縮防止効果を持つことができる。
【0017】
また、システム製造後の貯蔵安定性があり、システム製造時の相溶性に優れた効果がある環境にやさしい発泡剤である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
他に定義されていない限り、本明細書で使用されるすべての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。一般に、本明細書で使用される命名法は、当技術分野でよく知られており、通常使用されるものである。
【0019】
本発明においては、ポリウレタンフォームを製造する工程で一定割合の化学的発泡剤であるグリセロールカーボネートと物理的発泡剤であるメチルホルメート及び/又は多価アルコールベースの環状カーボネートの化学的発泡剤を含むポリウレタン発泡剤組成物を利用する場合、熱伝導率、吸水量、屈曲強度及び圧縮強度などの物性が硬質ウレタンフォーム断熱材規格を満たすレベルに向上すると同時に、貯蔵安定性及び相溶性に優れ、地球温暖化係数及びオゾン破壊係数が非常に低く、環境にやさしいポリウレタンフォームを製造できることを確認した。
【0020】
したがって、本発明は、一観点において、(i)グリセロールカーボネート(glycerol carbonate)、および(ii)物理的発泡剤および/または化学的発泡剤を含むポリウレタン発泡剤組成物(Physico-chemical Blowing Agent)に関する。
【0021】
本発明はまた、ポリオール、界面活性剤、水、触媒、リン酸トリクロロプロピル及び前記ポリウレタン発泡剤組成物を含む第1液を調製する段階、(b)第1液100重量部とポリイソシアネートを含む第2液を第1液100重量部に対して100~150重量部を混合する段階、及び(c)前記第1液と前記第2液の混合物を反応させてポリウレタンフォームを製造する段階を含むポリウレタンフォームの製造方法に関する。
【0022】
以下、本発明によるポリウレタン発泡剤組成物及びこれを用いたポリウレタンフォームの製造方法を詳細に説明する。
【0023】
本発明は、ポリウレタンフォームを製造するための化学的発泡剤であるグリセロールカーボネートを含む発泡剤組成物であり、ポリウレタンフォームの化学的発泡剤であるグリセロールカーボネートとメチルホルメートなどの物理的発泡剤および/または多価アルコールベースの環状カーボネートの化学的発泡剤を適切かつ理想的な比率で含むことにより、化学的発泡剤であるグリセロールカーボネートを単独で使用する場合に発生する内部熱によるフォームの不安定化(割れ)と反応性の速さ現象を物理的発泡剤であるメチルホルメートで調節し、化学的発泡剤である多価アルコールベースの環状カーボネートで発泡及び架橋効果を促進させ、複合発泡剤としての機能を最適化することである。
【0024】
すなわち、化学的発泡剤であるグリセロールカーボネートは、構造に含まれる環状カーボネート(cyclic carbonate)とイソシアネートのNCOとの迅速な反応による二酸化炭素の放出により、ポリウレタン結合と同時に発泡が起こり、内部セル(cell)が生じるメカニズムを示す。このような化学的変化を通じた二酸化炭素の発生で生成されたポリウレタンフォームは、NCO結合によるウレタン架橋(cross link)の形成を増加させ、フォーム表面及び内部の強度を増加させる。しかし、このような反応は、初期発泡力の減少と内部発熱反応によるフォームの割れ現象を起こし、大きな問題点と判断される。そこで、低沸点の性質を利用して発泡力が速い物理的発泡剤の混合使用は、相互の長所を活用した安定した混合発泡剤(Physico-chemical Blowing Agent)の発見といえる。
【0025】
混合発泡剤を使用した発泡フォームの形成は、非常に小さく均一なセルの形成を示すことを確認し、これは熱伝導性に大きな影響を与え、断熱材として非常に良い性質を予測することができる。また、迅速な架橋反応の完成は、ポリウレタンボード用フォーム及びスプレー用フォームに非常に大きな利点として作用することができる。
【0026】
本発明は、まず、非常に低い地球温暖化係数及びオゾン破壊係数の基準を同時に満たす発泡剤組成物を提供する。
【0027】
ODP(オゾン破壊係数、Ozone Depletion Potential)は、オゾン破壊に直接または間接的に関与する化学物質のオゾン破壊能力を数値で表したものである。ODPは、塩化フッ化炭素の一種である三塩化フッ化炭素(CFC-11)1kgのオゾン破壊能力を1として、他の化学物質のオゾン破壊能力を比率で表す。つまり、(ある化合物1Kgが破壊するオゾン量/CFC-11 1Kgが破壊するオゾン量)で計算し、計算結果、オゾン破壊係数の数値が大きいほどオゾン破壊の程度が大きいことを意味する。
【0028】
温室効果ガスごとに地球温暖化に寄与する程度は異なり、一般的に二酸化炭素を基準に各ガス別の寄与度を明示したものを地球温暖化係数(GWP、Global Warming Potentials)といい、各国では温室効果ガスの排出量を算定する際、ガスごとの地球温暖化係数を考慮したCO2トン単位で排出量を算定している。
【0029】
「GWP」は、「The Scientific Assessment of Ozone Depletion, 2002, a report of World Meteorological Association's Global Ozone Research and Monitoring Project」に定義されているように、二酸化炭素対比、100年という期間に対して測定したものである。
【0030】
本発明による混合発泡剤組成物は、0ないし50以下の地球温暖化係数を有する。化学的発泡剤であるグリセロールカーボネートは、GWP値が0(zero)であり、また、オゾン破壊係数も0(zero)である。混合された物理的発泡剤は、非常に低い値を持つため、すなわちGWPとODPが「0」に近い値を持つ環境にやさしい発泡剤である。
【0031】
本発明のポリウレタン発泡剤組成物において、グリセロールカーボネート(glycerol carbonate)及び物理的発泡剤及び/又は多価アルコールベースの環状カーボネートの化学的発泡剤を含む。
【0032】
本発明において、前記物理的発泡剤は、メチルホルメート(methyl formate)、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(1,3,3,3-tetrafluoropropene, HFO-1234ze)、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(1-chloro-3,3,3-trifluoropropene, HCFO-1233zd)、cis-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(cis-1,1,1,4,4,4-hexafluoro-2-butene, HFO-1336mzz-Z)、ペンタフルオロプロパン(pentafluoropropane、HFC-245fa)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(1,1,1,3,3-pentafluorbutane, HFC-365mfc)、1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン(1,1-dichloro-1-fluoroethane, HCFC-141b)、トランス-1,2-ジクロロエチレン(trans-1,2-dichloroethylene)、メチラール(methylal)、c-ペンタン、n-ペンタン、i-ペンタン、1-クロロプロペン、2-クロロプロペン及び3-クロロプロペンからなる群から1種以上選択することができる。好ましくは、メチルホルメート、ペンタフルオロプロパン(pentafluoropropane, HFC-245fa)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(1,1,1,3,3-pentafluorbutane, HFC-365mfc)、1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン(1,1-dichloro-1-fluoroethane, HCFC-141b)を使用することができるが、これらに限定されない。特に、メチルホルメートは価格が安く、環境にやさしいという利点があるため好ましく使用され、他の種類の物理的発泡剤を適用して類似機能を実現することができる。
【0033】
本発明において、前記化学的発泡剤は、多価アルコールベースの環状カーボネート(cyclic carbonate)であってもよく、前記多価アルコールは、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、エリスリトール、トレイトール、アラビトール、キシリトール、ガラクチトール及びイジトールからなる群から1種以上選択することができる。
【0034】
本発明において、前記多価アルコールベースの環状カーボネートは、前記多価アルコールとDMC(dimethyl carbonate)と反応させて製造されるが、これらに限定されず、様々な環状カーボネート構造を含むことができる。
【0035】
多価アルコールに由来した環状カーボネートは、一分子内でイソシアネートと反応して成り立つ二つの結合により発泡及び架橋の効果を増加させるため、従来のグリセロールカーボネートを利用した単独効果より、混合されたときにより強い効果を発現させ、良い物理的性質を示すと予想される。環状カーボネートが保有する-OH基が機能性(functionality)を高めることでポリエステルポリオールを使用することができ、特に、追加的な架橋剤やポリオールの使用を減らすことができる。
【0036】
その結果、本発明による発泡剤組成物は、イソシアネートとの化学反応を通じて二酸化炭素(CO2)を放出し、余分なアルコール(-OH)から付加的な架橋反応が進行することができる。発泡剤の役割と架橋剤の役割を同時に遂行する化学的組成物として、GWP/ODPがゼロ(zero)の環境にやさしい発泡剤組成物である。
【0037】
高い機能性(functionality)とポリエステルポリオールの使用で高い圧縮強度を実現することができ、特に、分子量の大きい多価アルコールベースの環状カーボネートの含有量が多いほど収縮を防ぐことができ、反応性が速く、架橋反応を促進して触媒の使用量を減らすことができる効果がある。
【0038】
本発明において、グリセロールカーボネートは、グリセリンカーボネート(glycerine carbonate)または4-(ヒドロキシメチル)-1,3-ジオキソラン-2-オン(4-(hydroxymethyl)-1,3-dioxolan-2-one)と呼ばれ、化学式1の構造を有する。メチルホルメートは、化学式2の構造を持つ。
【化1】
【0039】
本発明のポリウレタン発泡剤組成物において、物理的発泡剤の含有量は、グリセロールカーボネート100重量部に対して0.01~99重量部であってもよく、前記範囲内で使用上の反応性、密度などの製品の物性を調節することができる。
【0040】
本発明によるポリウレタン発泡剤組成物において、物理的発泡剤の含有量が0.01重量部未満の場合には、フォームの内部熱による割れ現象が起こり、反応速度の調節が難しいという問題があり、99重量部を超える場合には、メチルホルメートの欠点であるシステムの貯蔵安定性及びフォームの収縮などの問題がある。
【0041】
本発明によるポリウレタン発泡剤組成物において、化学的発泡剤の含有量は、グリセロールカーボネート100重量部に対して0.1ないし30重量部であってもよい。
【0042】
本発明によるポリウレタン発泡剤組成物において、化学的発泡剤である多価アルコールベースの環状カーボネートの含有量がグリセロールカーボネートに対して30重量部を超えると、効果の増大が不十分で物性が良くなく、特に10重量部、15重量部、30重量部の実験時、多価アルコールベースの環状カーボネートの含有量が増加するほど内部収縮が少なく、圧縮強度が増加することを確認した。したがって、最も適切な含有比率は、グリセロールカーボネート100重量部に多価アルコールベースの環状カーボネートを30重量部以下で添加することが好ましく、使用上0.1~30重量部の範囲で適切な含有量を調節することが必要である。本発明のポリウレタン発泡剤組成物において、グリセロールカーボネート100重量部に対して、化学式3のメチル(2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルカーボネート(methyl (2-oxo-1,3-dioxolan-4-yl)methyl carbonate)を0重量部より多く10重量部以下、好ましくは0.01~10重量部または化学式4のビス((2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)カーボネート(bis((2-oxo-1,3-dioxolan-4-yl)methyl)carbonate)を0重量部より多く5重量部以下、好ましくは0.01~5重量部を追加的に含めることができるが、前記成分は、製造時に追加的に合成される成分で、CO2の安定的な供給及びMDIのNCOとの結合で別の架橋結合(cross link)の役割を果たす。
【化2】
【0043】
本発明のポリウレタン発泡剤組成物において、主な発泡剤であるグリセロールカーボネートの含有量が多く要求される一方、メチル(2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルカーボネートまたはビス((2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)カーボネートは、極少量を添加しても全く問題なく、メチル(2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルカーボネートの添加量が10重量部を超えるか、ビス((2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)カーボネートの添加量が5重量部を超える場合には、過度な架橋結合により発泡剤の役割を妨げるという問題がある。
【0044】
本発明のポリウレタン発泡剤組成物において、前記グリセロールカーボネート100重量部に対して、グリセロール(glycerol)0.01~3重量部をさらに含むことができる。グリセロールは、プロパン-1,2,3-トリオール(propan-1,2,3-triol)とも呼ばれ、化学式5の構造を持ち、ポリウレタンフォームの架橋結合(cross link)の役割を果たす。
【化3】
【0045】
また、本発明のポリウレタン発泡剤組成物において、多価アルコールソルビトールとジメチルカーボネート(dimethyl carbonate)から合成される多価アルコールベースの環状カーボネートは、4-(1,2,3,4-ヒドロキシブチル)-1,3-ジオキソラン-2-オン(4-(1,2,3,4-hydroxybutyl)-1,3-dioxolane-2-one、化学式6)であり、さらに6-(1,3-ジオキソラン-2-オン-4-イル)-2,4-7-トリオキサ-3-オキシ-ビシクロ[3.3.0]オクタン(6-(1,3-dioxolan-2-one-4-yl)-2,4-7-trioxa-3-oxy-bicyclo[3.3.0]octane、化学式6-1)およびソルビトール(sorbitol、化学式6-2)を含む。
【0046】
また、多価アルコールエリスリトールとジメチルカーボネート(dimethyl carbonate)から合成される多価アルコールベースの環状カーボネートは、4-(1,2-ジヒドロキシエチル)-1,3-ジオキソラン-2-オン(4-(1、2-dihydroxyethyl)-1,3-dioxolane-2-one、化学式7)であり、さらにエリスリトールビス(カーボネート)(erythritol bis(carbonate)、化学式7-1)およびエリスリトール(erythritol、式7-2)を含む。
【化4】
【化5】
【0047】
本発明において、多価アルコールとジメチルカーボネート(dimethyl carbonate)から合成される生成物は、前記化学式に限定されず、次のような化学式を含むことができる。
【化6】
【0048】
本発明によるポリウレタン発泡剤組成物において、グリセロールの添加量が0.01重量部未満である場合には、ポリオールの官能基(functionality)を下げることにより、フォームの強度が低くなり、収縮の原因となる問題があり、30重量部を超える場合には、多量のMDIを要求し、フォームの表面を粗くする問題がある。
【0049】
前記本発明のポリウレタン発泡剤組成物を使用して製造されたポリウレタンフォームの熱伝導率は0.023W/m・K以下、吸水量は3.0g/100cm2以下、曲げ破壊荷重は25N以上、圧縮強度は10N/cm2以上であってもよい。
【0050】
硬質ウレタンフォーム断熱材規格(KS M 3809による)の断熱材2種2号(密度35以上)において最も重要な物性の一つである熱伝導率が0.023以下であることを要求しているが、本発明によるポリウレタン発泡剤組成物はこれを満たす効果がある。
【0051】
本発明によるポリウレタンフォームの製造方法は、(a)ポリオール、界面活性剤、水、触媒、リン酸トリクロロプロピル及び前記ポリウレタン発泡剤組成物を含む第1液を製造する段階;(b)第1液100重量部とポリイソシアネートを含む第2液を第1液100重量部に対して100~150重量部混合する段階、及び(c)前記第1液と前記第2液の混合物を反応させてポリウレタンフォームを製造する段階を含む。
【0052】
本発明において、前記ポリオールは、1以上のポリオール成分の混合物であってもよく、2以上の反応性基、好ましくはOH基を含む任意のポリオール成分、特にヒドロキシル基価が200ないし600mg KOH/gの範囲であるポリエーテルアルコール及び/又はポリエステルアルコールであってもよい。具体例は、スクロースにグリセリンとプロピレングリコールを付加して得られるヒドロキシル基値が450ないし500mg KOH/gのポリオール25重量%ないし35重量%、スクロースにグリセリンとプロピレングリコールを付加して得られるヒドロキシル基値が360ないし400mg KOH/gのスクロースポリオール15重量%ないし25重量%、ソルビトールにプロピレングリコールを付加して得られるヒドロキシル基が460ないし520mg KOH/gであるソルビトールポリオール15重量%ないし25重量%及び臭素基が置換されたグリセリンにエチレンオキシドとプロピレンオキシドを付加して得られるヒドロキシル基が300ないし350mg KOH/gであるポリエーテルポリオール25重量%ないし35重量%を混合したポリオール混合物である。または、スクロースにグリセリンとプロピレングリコールを付加して得られるヒドロキシル基が450ないし500mg KOH/gであるポリオール30重量%、スクロースにグリセリンとプロピレングリコールを付加して得られるヒドロキシル基が360ないし400mg KOH/gであるスクロースポリオール20重量%、ソルビトールにプロピレングリコールを付加して得られるヒドロキシル基が460ないし520mg KOH/gであるソルビトールポリオール20重量%及び臭素基が置換されたグリセリンにエチレンオキシドとプロピレンオキシドを付加して得られるヒドロキシル基が300ないし350mg KOH/gであるポリエーテルポリオール30重量%を混合したポリオール混合物であってもよい。
【0053】
本発明において、前記触媒は、ポリイソシアネート中のイソシアネート基とポリオール中の活性水素含有基の反応を促進するものである。このような反応触媒としては、ジメチルシクロヘキシルアミンなどのアミン類及びカリウムオクトエートなどの塩を併用し、これらに限定されず、スズ触媒、ビスマス触媒及び亜鉛触媒等を用いることができる。これらの反応触媒の配合量は、前記反応促進に通常使用される量とする。また、触媒は必要に応じて1種単独で、または2種以上の任意の好ましい混合物として使用することができる。具体例は、ジメチルシクロヘキシルアミンとカリウムオクトエートを同じ重量で使用することである。前記アミン類触媒及びカリウムオクトエートは、それぞれポリオール100重量部を基準として0.5ないし2重量部ずつ含まれることが好ましい。0.5重量部未満で含まれる場合、反応促進効果が不足し、2重量部を超えて含まれる場合、触媒効率が低下するという欠点がある。
【0054】
本発明において、前記界面活性剤を含むが、好ましくはシリコーン系界面活性剤であり、具体例はL-6900である。これは、市販されている製品を使用することができる。シリコーン系界面活性剤は、ポリオール100重量部を基準として1ないし5重量部で含まれることが好ましい。シリコーン系界面活性剤が1重量部未満の場合、界面活性効果が微々たるものであり、5重量部を超過する場合、追加の界面活性効果がなく、原料の無駄を招くだけである。
【0055】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。これらの実施例は、あくまでも本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例によって限定されないことは、当業者にとって自明であろう。
【0056】
実施例
実施例1~6及び比較例1~2:ポリウレタンフォームの製造
表1に記載の通り、ポリオール100重量部(Polyether polyol (OHV= 400-490):20~30重量部とPolyester polyol (OHV=320):70~80重量部)、シリコーン系界面活性剤2重量部、TCPP 20重量部、CAT 1 3.5重量部、CAT 2 2.5重量部を添加した。これにH2O、NeXgener、MF、365/245, 141bを表1に記載の含有量で添加し、ポリウレタンフォームを製造した。
【0057】
ここで、NeXgenerは、グリセロールカーボネート+メチル(2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルカーボネート(A)+ビス((2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)カーボネート(B)+グリセロールであり、物理的発泡剤として、MFは、methyl formate、365/245はHFC-365mfc(70)/HFC-245fa(30)、HCFC-141b、HFO-1234zeおよびtrans-1,2-dichloroethyleneを使用した。前記実施例で使用したCAT1はペンタメチルジエチレントリアミンであり、CAT2はカリウムオクトエートである。
【0058】
実施例7~10及び比較例3:ポリウレタンフォームの製造
表2に記載のとおり、ポリオール85重量部(Polyester polyol (OHV= 320)、シリコーン系界面活性剤2.5重量部、TCPP 25重量部、CAT 1 0.6重量部、CAT 2 0.5重量部、CAT 3 0.6重量部、およびH2 O 5重量部を添加してポリウレタンフォームを製造した。
【0059】
ここで、Aは化学式3のメチル(2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルカーボネート(methyl (2-oxo-1,3-dioxolan-4-yl)methyl carbonate)、Bは化学式4のビス((2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)カーボネート(bis((2-oxo-1,3-dioxolan-4-yl)methyl)carbonate)であり、グリセリンは化学式5の化合物である。
【0060】
実施例11~14及び比較例4~5:ポリウレタンフォームの製造
表3に記載の通り、ポリオール85重量部(Polyester polyol (OHV= 320)、シリコーン系界面活性剤2.5重量部、TCPP 25重量部、CAT 1 0.3重量部、CAT 2 0.3重量部を添加してポリウレタンフォームを製造した。
【0061】
ここで、Cは多価アルコールであるソルビトールとDMCから合成された環状カーボネート(化学式6)であり、さらに生成される環状カーボネート(化学式6-1)及び原料(化学式6-2)を含み、Dは多価アルコールであるエリスリトールとDMCから合成された環状カーボネート(化学式7)であり、さらに環状カーボネート(化学式7-1)及び原料(化学式7-2)を含み、物理的発泡剤としてMethyl formate(MF)を使用した。ここで使用されるポリエステルポリオールは、OH基を含む任意のポリオール成分で、ヒドロキシル基値が305ないし345mg KOH/gの範囲を持ち、粘度が2500ないし3500cps/25℃の範囲を持つもので、使用したポリエステルポリオールは(株)セホのSP-320Gを使用したが、ポリエーテルポリオールを使用しても構わない。
【0062】
実験例
実験例1:硬質ウレタンフォームの見掛け密度測定
見掛け密度測定の測定は、KS M ISO 845と以下に従う。断熱板は、厚さを試料そのままにして、試料から約100mm*100mmの試験片を3つ切り出す。
密度(kg/m3) = m/V
【0063】
実験例2:硬質ウレタンフォームの収縮率測定
収縮率測定の測定は、フォーム試料を正確に50*50*50の立方体として試験片3つを裁断する。約零下30度(冷蔵庫冷凍室)、48時間放置してフォームの体積変化を測定した。
体積変化率(収縮率、%) = (V1-V2)/V1 * 100
体積は、水中浮遊法を用いた。
【0064】
実験例3:硬質ポリウレタンフォームの熱伝導率測定
前記実施例及び比較例で製造したポリウレタンフォームに対して、レーザーコム社の熱伝導率測定器(モデル番号:MA01906)を使用してKS L 9016に従って熱伝導率を測定した。
【0065】
実験例4:硬質ポリウレタンフォームの圧縮強度測定
前記実施例で製造したポリウレタンフォームについて、万能試験機を使用してKS M ISO 844に従って圧縮強度を測定した。
【0066】
実験例5:硬質ウレタンフォームの吸水量測定
1) 試料から表皮を除去し、100mm*100mm*25mmの試験片を3つ作り、寸法を測定する。
2) 試験片を約25℃のきれいな水を入れた容器の水面から50mm下に浸す。10秒後に試験片を取り出して30秒間放置した後、重量を測定し、これを基準重量(C)とする。次に再びきれいな水に浸し、24時間吸水させた後、重量(B)を測定する。吸水量は、次の式によって求める。
吸水量(g/100cm2 ) = (B-C)/ 表面積 * 100
【0067】
実験例6:硬質ポリウレタンフォームの曲げ破壊荷重測定
前記実施例で製造したポリウレタンフォームについて、万能試験機を使用してKS M ISO 1209-1、1209-2に従って曲げ破壊荷重を測定した。
【0068】
実施例1ないし6、及び比較例1ないし2の硬質ポリウレタンフォームの物性を表1に示した。
【0069】
【表1】
【0070】
本発明によるポリウレタン発泡剤組成物を使用して製造されたポリウレタンフォームの熱伝導率は0.023W/m・K以下、吸水量は3.0g/100cm2以下、曲げ破壊荷重は25N以上、圧縮強度は10 N/cm2以上で、硬質ウレタンフォーム断熱材規格(KS M 3809)を満たす効果がある。
【0071】
実施例7ないし10、及び比較例3の硬質ポリウレタンフォームの物性を表2に示した。ここで、フォームのcellは、微細なものからcell sizeが大きくなる順に非常に良好、良好、中程度、不良と表示し、フォームから収縮(Shrinkage)が一定時間以降(24h)にも来なければ非常に良好、一部微細な収縮が発生する場合、その程度に応じて良好、中程度、そして完全に収縮してフォームが減少する場合、不良と表示した。内部発熱は、発熱して煙が出る程度により、その量が多ければ不良、それより少なければ中程度、多くはないがあれば良好、煙がなければ非常に良好と表示した。friabilityは、フォームの表面に力を加えたとき、割れる程度として、表面に一定の力を加えて割れたら不良、そうでなければ非常に良好と表示した。使用したCAT 1、CAT 2およびCAT 3は、それぞれペンタメチルジエチレントリアミン、カリウムオクトエートおよびジメチルシクロヘキシルアミンである。
【0072】
【表2】
【0073】
表2に示すように、グリセロールカーボネートを単独で使用する場合には、反応性の速さなどの問題による激しい内部発熱と収縮を引き起こすが、AとBを適量混合して発泡させると、その程度が軽減されることが確認できる。前記結果により、グリセリンを適量添加すると、良好な水準まで発熱と収縮を抑制できることが分かる。しかし、A及びBの含有量が一定水準を超える場合、過度の発泡量と架橋反応により内部発熱を引き起こす可能性がある。
【0074】
実施例11ないし14、及び比較例4ないし5の硬質ポリウレタンフォームの物性を表3に示した。
【0075】
【表3】
【0076】
表3に示したように、水(H2O)の含有量が高いと、砕け現象(friability)などの問題が発生し、その含有量を最小化することが通常であるが、水は前記ポリウレタン発泡剤組成物と相互補完的な機能をするため、水の含有量を増やすと単独使用時に現れる内部発熱問題を解決し、架橋の役割を促進することができる。
【0077】
ポリウレタン発泡剤組成物としてグリセロールカーボネートを単独で使用する場合、内部収縮及びクラック(crack)が発生する可能性があるが、多価アルコールベースの環状カーボネートを30重量部添加するとこれを補完することができる。特に、発泡体製造にポリエステルポリオールを単独で使用する場合、通常使用されるMFは内部収縮が発生するが、多価アルコールベースの環状カーボネートを30重量部添加すると内部収縮がないことを確認した。
【0078】
以上、本発明の内容の特定の部分を詳細に説明したが、当業者にとって、これらの具体的な技術は単なる好ましい実施態様に過ぎず、これによって本発明の範囲が限定されるものではないことは明らかであろう。したがって、本発明の実質的な範囲は、請求項とそれらの等価物によって定義されるといえる。
【外国語明細書】