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特開2024-100682作業機械のクラッチ作動装置及び作業機械
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100682
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】作業機械のクラッチ作動装置及び作業機械
(51)【国際特許分類】
   A01D 69/08 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
A01D69/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023180765
(22)【出願日】2023-10-20
(31)【優先権主張番号】P 2023003434
(32)【優先日】2023-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(72)【発明者】
【氏名】福井 一
(72)【発明者】
【氏名】森川 裕
【テーマコード(参考)】
2B076
【Fターム(参考)】
2B076AA04
2B076DA06
2B076DA09
2B076DB06
(57)【要約】
【課題】第1クラッチのみを伝達状態とする場合でも作動部材の駆動に要する力を小さく抑えることが可能な作業機械のクラッチ作動装置及び作業機械を提供する。
【解決手段】第1操作部材11及び第2操作部材12は、作動部材13が第1位置から第2位置を通って第3位置へ移動するのに伴って、第1クラッチ21及び第2クラッチ22を、第1クラッチ21、第2クラッチ22の順で切り替える。作動部材13は、第1位置から第2位置へ移動する際に、第1操作部材11に作用するばね力の向きが反転する第1反転位置を通過する。作動部材13は、第2位置から第3位置へ移動する際に、第2操作部材12に作用するばね力の向きが反転する第2反転位置を通過する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1クラッチを切り替えるための第1操作部材と、
第2クラッチを切り替えるための第2操作部材と、
前記第1操作部材及び前記第2操作部材を作動させる作動部材と、を備え、
前記第1操作部材及び前記第2操作部材は、前記作動部材が第1位置から第2位置を通って第3位置へ移動するのに伴って、前記第1クラッチ及び前記第2クラッチを、前記第1クラッチ、前記第2クラッチの順で切り替え、
前記作動部材は、
前記第1位置から前記第2位置へ移動する際に、前記第1操作部材に作用するばね力の向きが反転する第1反転位置を通過し、
前記第2位置から前記第3位置へ移動する際に、前記第2操作部材に作用するばね力の向きが反転する第2反転位置を通過する、
作業機械のクラッチ作動装置。
【請求項2】
前記作動部材の前記第1位置から前記第3位置への移動は、前記作動部材の回転動作を含む、
請求項1に記載の作業機械のクラッチ作動装置。
【請求項3】
前記作動部材が前記第1位置にあるとき、前記第1クラッチ及び前記第2クラッチはいずれも遮断状態であって、
前記作動部材が前記第3位置にあるとき前記第1クラッチ及び前記第2クラッチはいずれも伝達状態である、
請求項1又は2に記載の作業機械のクラッチ作動装置。
【請求項4】
前記作動部材が前記第2位置と前記第3位置との間にある場合、前記第1操作部材は前記作動部材から機械的に切り離される、
請求項1又は2に記載の作業機械のクラッチ作動装置。
【請求項5】
前記作動部材が前記第1位置と前記第2位置との間にある場合、前記第2操作部材は前記作動部材から機械的に切り離される、
請求項1又は2に記載の作業機械のクラッチ作動装置。
【請求項6】
前記第2操作部材は、前記作動部材が前記第2位置から前記第3位置に向けて移動する際にのみ前記作動部材によって作動される第1操作子と、前記作動部材が前記第3位置から前記第2位置に向けて移動する際にのみ前記作動部材によって作動される第2操作子と、を有する、
請求項1又は2に記載の作業機械のクラッチ作動装置。
【請求項7】
前記第1操作部材及び前記第2操作部材は、前記作動部材が前記第3位置から前記第2位置を通って前記第1位置へ移動するのに伴って、前記第1クラッチ及び前記第2クラッチを、前記第2クラッチ、前記第1クラッチの順で切り替える、
請求項1又は2に記載の作業機械のクラッチ作動装置。
【請求項8】
前記作動部材の移動軌跡を含む仮想平面に直交する一方向から見て、前記作動部材は、前記第1操作部材と前記第2操作部材との間に配置されている、
請求項1又は2に記載の作業機械のクラッチ作動装置。
【請求項9】
前記作動部材は、アクチュエータによって駆動される、
請求項1又は2に記載の作業機械のクラッチ作動装置。
【請求項10】
前記第2操作部材に前記第2クラッチを連結する第2連結部材を支持する支持部材を更に備える、
請求項1又は2に記載の作業機械のクラッチ作動装置。
【請求項11】
前記支持部材は、前記第2連結部材を支持した状態で、前記第2操作部材の動作に伴って回転可能である、
請求項10に記載の作業機械のクラッチ作動装置。
【請求項12】
前記第2操作部材の可動範囲を規制する規制部材を更に備える、
請求項1又は2に記載の作業機械のクラッチ作動装置。
【請求項13】
請求項1又は2に記載の作業機械のクラッチ作動装置と、
前記第1クラッチ及び前記第2クラッチが搭載された機体と、
を備える作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1クラッチ及び第2クラッチを切り替えるための作業機械のクラッチ作動装置及び作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術として、圃場の未刈り穀稈を刈り取る刈取装置と、刈り取った穀稈を脱穀する脱穀装置と、を備え、圃場の未刈り穀稈を連続的に刈り取って脱穀し、穀粒を収集する作業機械(コンバイン)が知られている(例えば、特許文献1参照)。関連技術に係る作業機械は、脱穀装置への動力伝達を継断する第1クラッチ(脱穀クラッチ)と、刈取装置への動力伝達を継断する第2クラッチ(刈取クラッチ)と、を、所定の順序で入り切り作動させるクラッチ作動装置を備えている。
【0003】
このクラッチ作動装置は、単一の電動モータの駆動にて回動軸回りに回動可能な作動部材(回動部材)と、第1クラッチと作動部材をつなぐ脱穀リンク機構と、第2クラッチと作動部材とをつなぐ刈取リンク機構と、を備えている。クラッチ作動装置は、作動部材の初期位相から中途位相への回動にて、第2クラッチが切り状態のままで第1クラッチを入り作動させ、作動部材の中途位相から最終位相への回動にて、第1クラッチが入り状態のままで第2クラッチを入り作動させるように、両リンク機構と作動部材とが連動連結されている。
【0004】
関連技術では、脱穀リンク機構は第1クラッチを常時入り方向(伝達状態)に付勢するばね手段を有しており、作動部材が中途位相から最終位相に回動する間に、ばね手段が支点越えするように設定されている。また、刈取リンク機構が、第2クラッチを作動させる中継部材と、作動部材及び中継部材を連動して回動させる連係杆と、を有する。連係杆には、その長手方向に延びるガイド溝穴が形成されており、ガイド溝穴に挿入された枢支ピンを介して、連係杆と作動部材とが連結されている。そして、作動部材が初期位相から中途位相に回動するときは、枢支ピンがガイド溝穴内をスライドして中継部材を連動させず、作動部材が中途位相から最終位相に回動するときは、枢支ピンがガイド溝穴の縁部に当接して、連係杆を介して中継部材を入り方向に回動させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-200657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記関連技術の構成では、作動部材が初期位相から中途位相へ回動して第1クラッチを入り作動させる時点では当該ばね手段は支点越えをしないこととなる。そのため、第1クラッチのみを伝達状態とする場合、作動部材を駆動するのに比較的大きな力が必要となり、電動モータに掛かる負荷が大きくなる可能性がある。
【0007】
本発明の目的は、第1クラッチのみを伝達状態とする場合でも作動部材の駆動に要する力を小さく抑えることが可能な作業機械のクラッチ作動装置及び作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の局面に係る作業機械のクラッチ作動装置は、第1操作部材と、第2操作部材と、作動部材と、を備える。前記第1操作部材は、第1クラッチを切り替えるための部材である。前記第2操作部材は、第2クラッチを切り替えるための部材である。前記作動部材は、前記第1操作部材及び前記第2操作部材を作動させる。前記第1操作部材及び前記第2操作部材は、前記作動部材が第1位置から第2位置を通って第3位置へ移動するのに伴って、前記第1クラッチ及び前記第2クラッチを、前記第1クラッチ、前記第2クラッチの順で切り替える。前記作動部材は、前記第1位置から前記第2位置へ移動する際に、前記第1操作部材に作用するばね力の向きが反転する第1反転位置を通過する。前記作動部材は、前記第2位置から前記第3位置へ移動する際に、前記第2操作部材に作用するばね力の向きが反転する第2反転位置を通過する。
【0009】
本発明の一の局面に係る作業機械は、前記作業機械のクラッチ作動装置と、前記第1クラッチ及び前記第2クラッチが搭載された機体と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1クラッチのみを伝達状態とする場合でも作動部材の駆動に要する力を小さく抑えることが可能な作業機械のクラッチ作動装置及び作業機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態1に係る作業機械の概略左側面図である。
図2図2は、実施形態1に係る作業機械の概略平面図である。
図3図3は、実施形態1に係る作業機械のクラッチ作動装置、第1クラッチ及び第2クラッチを示す概略斜視図である。
図4図4は、実施形態1に係る作業機械のクラッチ作動装置、第1クラッチ及び第2クラッチを示す概略側面図である。
図5図5は、実施形態1に係る作業機械のクラッチ作動装置、第1クラッチ及び第2クラッチの示す概略側面図である。
図6図6は、実施形態1に係る作業機械のクラッチ作動装置を示す概略側面図である。
図7図7は、実施形態1に係る作業機械のクラッチ作動装置及び第1クラッチを示し、図5のA1-A1線断面に相当する概略断面図である。
図8図8は、実施形態1に係る作業機械のクラッチ作動装置の動作を示し、作動部材が第1位置にあるときの概略図である。
図9図9は、実施形態1に係る作業機械のクラッチ作動装置の動作を示し、作動部材が54.5度の位置にあるときの概略図である。
図10図10は、実施形態1に係る作業機械のクラッチ作動装置の動作を示し、作動部材が100度の位置にあるときの概略図である。
図11図11は、実施形態1に係る作業機械のクラッチ作動装置の動作を示し、作動部材が114度の位置にあるときの概略図である。
図12図12は、実施形態1に係る作業機械のクラッチ作動装置の動作を示し、作動部材が120度の位置にあるときの概略図である。
図13図13は、実施形態1に係る作業機械のクラッチ作動装置の動作を示し、作動部材が125度の位置にあるときの概略図である。
図14図14は、実施形態1に係る作業機械のクラッチ作動装置の動作を示し、作動部材が第2位置にあるときの概略図である。
図15図15は、実施形態1に係る作業機械のクラッチ作動装置の動作を示し、作動部材が155度の位置にあるときの概略図である。
図16図16は、実施形態1に係る作業機械のクラッチ作動装置の動作を示し、作動部材が170度の位置にあるときの概略図である。
図17図17は、実施形態1に係る作業機械のクラッチ作動装置の動作を示し、作動部材が195度の位置にあるときの概略図である。
図18図18は、実施形態1に係る作業機械のクラッチ作動装置の動作を示し、作動部材が230度の位置にあるときの概略図である。
図19図19は、実施形態1に係る作業機械のクラッチ作動装置の動作を示し、作動部材が第3位置にあるときの概略図である。
図20図20は、実施形態1の変形例に係る作業機械のクラッチ作動装置を示す概略斜視図である。
図21図21は、実施形態1の変形例に係る作業機械のクラッチ作動装置を示す概略側面図である。
図22図22は、実施形態2に係る作業機械の第2クラッチを示す概略斜視図である。
図23図23は、実施形態2に係る作業機械の第2クラッチを示す概略側面図である。
図24図24は、実施形態3に係る作業機械のクラッチ作動装置の構成を示し、作動部材が第3位置にあるときの概略斜視図である。
図25図25は、実施形態1に係る作業機械のクラッチ作動装置の動作を示し、作動部材が125度の位置にあるときの概略図である。
図26図26は、実施形態3に係る作業機械のクラッチ作動装置の動作を示し、作動部材が125度の位置にあるときの概略図である。
図27図27は、実施形態3に係る作業機械のクラッチ作動装置の動作を示し、作動部材が第3位置にあるときの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する趣旨ではない。
【0013】
(実施形態1)
[1]全体構成
まず、本実施形態に係る作業機械4の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。
【0014】
作業機械4は、作業領域G1内で何らかの作業を行う機械(装置)である。本開示でいう「作業」は、作業機械4が作業領域G1に対して実施する仕事であって、例えば、収穫、播種、施肥、農薬散布、植付け(田植え)又は均平等の各種の農作業、及び建設作業等の種々の作業を含む。本実施形態では一例として、作業機械4が行う作業は、作業領域G1での作物の収穫作業であることとする。
【0015】
本開示でいう「作業機械」は、例えば圃場等の作業領域G1において各種の作業を行う機械を意味し、一例として、収穫機械、トラクタ、播種機、田植機、散布機、噴霧機及び移植機等の農業機械(農機)である。作業機械4は、例えば、建設機械(建機)等であってもよい。本実施形態では、特に断りが無い限り、作業機械4が収穫機械であって、特に、収穫作業に加えて脱穀及び選別を行うコンバイン(コンバインハーベスタ)である場合を例に説明する。作業機械4としてのコンバインは、主として穀物の収穫作業に用いられ、圃場等の作業領域G1内を移動(走行)しながら、作物の刈り取りを行い、刈り取った作物を収穫する。特に、コンバインには、刈り取った作物全体を脱穀機(脱穀部43)に送り込む普通型(汎用)コンバインと、刈り取った作物の穂先のみを脱穀機に送り込む自脱型コンバインとがあるところ、本実施形態では、普通型コンバインを作業機械4の例として説明する。
【0016】
また、本実施形態では一例として、作業機械4は、人(オペレータ)の操作(遠隔操作を含む)により動作することとするが、これに限らず、作業機械4は、自動運転により動作する無人機であってもよい。さらに、本実施形態では、作業機械4は作業領域G1としての圃場を走行する「作業車両」を構成するが、作業機械4は、作業車両に限らず、例えば、ドローン又はマルチコプタ等の作業飛翔体等であってもよい。
【0017】
本開示でいう「対象領域」は、作業機械4が収穫作業を行う領域であって、例えば、稲、麦、大豆又はそば等の収穫対象となる作物(農産物)を生育する田んぼ、畑、果樹園及び牧草地等を含む。本実施形態では一例として、作業機械4による収穫対象が「稲」であって、作業領域G1が稲を生育する屋外の田んぼである場合を例に挙げて説明する。また、作業領域G1は圃場に限らず、例えば作業機械4が建設機械であれば、建設機械が作業を行う現場が作業領域G1となる。
【0018】
また、本実施形態では、説明の便宜上、作業機械4が使用可能な状態での鉛直方向を上下方向D3と定義する。さらに、図2に示すように、作業機械4(の運転部47)に乗っている人(オペレータ)から見た方向を基準として、左右方向D1及び前後方向D2を定義する。言い換えれば、本実施形態で用いられる各方向は、いずれも作業機械4の機体40を基準として規定される方向であって、作業機械4の前進時に機体40が移動する方向が「前方」、作業機械4の後退時に機体40が移動する方向が「後方」となる。同様に、作業機械4の右旋回時に機体40の前端部が移動する方向が「右方」、作業機械4の左旋回時に機体40の前端部が移動する方向が「左方」となる。ただし、これらの方向は、作業機械4の使用方向(使用時の方向)を限定する趣旨ではない。
【0019】
本実施形態に係る作業機械4は、図1及び図2に示すように、走行装置41、刈取部42、脱穀部43、選別部44、搬送装置45、動力部46、運転部47、藁処理部48及び排出装置49等を、作業機械4の本体である機体40に備えている。また、作業機械4は、刈取部42及び脱穀部43等のクラッチを切り替えるためのクラッチ作動装置1、穀粒を貯留するグレンタンク50、制御装置、通信端末、種々のセンサ、燃料タンク及びバッテリ等を、機体40に更に備えている。クラッチ作動装置1は、少なくとも第1クラッチ21(図3参照)及び第2クラッチ22(図3参照)を含む、作業機械4に設けられている複数のクラッチを作動させるための装置である。
【0020】
走行装置41は、作業機械4を前後方向D2及び左右方向D1に移動させることができる。例えば、作業機械4は、田んぼ又は畑等の圃場内を蛇行しながら収穫作業を実施する。一例として、作業機械4は、圃場内を外側から内側に向かって右(又は左)に旋回しながら移動してもよく、この場合、作業機械4の移動軌跡は渦巻き状の経路となる。
【0021】
刈取部42は、圃場の作物(本実施形態では一例として稲)を刈り取る。刈取部42は、リール421、カッター422、掻込オーガ423、搬送コンベア424、ロータ425及びフィーダハウス426等を有する。リール421は、回転することによって作物の穀稈をカッター422へ案内する。カッター422は、リール421によって案内された穀稈を切断する。これにより、圃場に生育されている作物は穀稈の途中で切断されることになり、少なくとも穂先を含む穀稈が作業機械4によって刈り取られることになる。
【0022】
掻込オーガ423は、このようにして刈り取られた穀稈をフィーダハウス426に掻き込む。具体的には、掻込オーガ423は、刈り取られた穀稈を、左右方向D1に搬送し、フィーダハウス426の前方位置に集合させる横送りスクリューである。
【0023】
フィーダハウス426は、刈取部42(の掻込オーガ423)と脱穀部43との間に、刈り取られた作物(穀稈)を通すための経路の外郭を構成する。本実施形態では、脱穀部43は刈取部42の斜め上後方に位置する。フィーダハウス426は、一例として、断面矩形状である中空筒状(角筒状)であって、刈取部42から脱穀部43に向けて斜め上方に延びるように配置されている。刈取部42で刈り取られた穀稈は、フィーダハウス426の前方側に開口する取込口からフィーダハウス426へと掻き込まれ、フィーダハウス426の内部空間を通して脱穀部43へと送られる。
【0024】
搬送コンベア424は、フィーダハウス426内に配置されている。搬送コンベア424は、掻込オーガ423によってフィーダハウス426の取込口の前方位置に集められ、取込口からフィーダハウス426に掻き込まれた穀稈を、フィーダハウス426の内部を通してロータ425まで搬送する。ロータ425は、搬送コンベア424により搬送されてくる穀稈を脱穀部43へ送り込む。
【0025】
脱穀部43は、刈取部42により刈り取られた穀稈に対する脱穀処理を実行する。脱穀処理では、穀稈から穀粒を含む脱穀物を分離する。脱穀物は脱穀部43から下方の選別部44へ落下する。
【0026】
選別部44は、脱穀部43から落下する脱穀物から、穀粒を選別する選別処理を実行する。選別部44は、例えば、脱穀物に対して斜め下方から風を当てつつ脱穀物をふるいにかけることにより、脱穀物から穀粒を選別する。
【0027】
脱穀部43は、例えば、穀稈を脱穀部43の前部から後方へ搬送しつつ穀稈に対する脱穀処理を実行する。同様に、選別部44は、例えば、脱穀物を選別部44の前部から後方へ搬送しつつ脱穀物に対する選別処理を実行する。
【0028】
搬送装置45は、横搬送部、縦搬送部452及び投入部453等を有する。横搬送部は、選別部44(及び脱穀部43)の下方に配置され、穀粒を左右方向D1に沿って搬送する横送りスクリューである。本実施形態では一例として、横搬送部は、脱穀部43で脱穀された穀粒を、縦搬送部452の入口に搬送するスクリューコンベアである。縦搬送部452は、横搬送部の出口と、グレンタンク50の上部に設けられた投入部453とをつないでおり、穀粒を上下方向D3に沿って搬送する。つまり、縦搬送部452は、横搬送部の出口に接続された下端部から、投入部453に接続された上端部へと穀粒を搬送することで、横搬送部で搬送された穀粒を、更に上下方向D3に沿って上方へと搬送する。
【0029】
投入部453は、縦搬送部452の出口(上端部)につながっており、縦搬送部452にて搬送された穀粒をグレンタンク50内に投入する。つまり、縦搬送部452の上端部まで搬送された穀粒は、投入部453にてグレンタンク50内へ投入される。その結果、穀粒は、横搬送部及び縦搬送部452にて、脱穀部43から(選別部44を経て)投入部453まで搬送され、投入部453にてグレンタンク50内へ投入される。
【0030】
グレンタンク50は、脱穀部43での脱穀処理にて得られる脱穀物(穀粒等)を貯留するタンク(容器)である。グレンタンク50は、脱穀部43に対して、機体40の幅方向である左右方向D1に並べて配置されている。本実施形態では一例として、機体40を左右方向D1において略均等に二分したときに、その左側部分に脱穀部43(及び選別部44)が位置し、右側部分にグレンタンク50が位置する。
【0031】
また、グレンタンク50は、閉位置と開位置との間で移動(回転)可能であって、例えば、選別部44の揺動軸受けのメンテナンス等に際して、グレンタンク50を開位置に移動させることでメンテナンス等の作業空間を確保しやすくなる。図2等では、グレンタンク50が閉位置にある状態を示している。
【0032】
排出装置49は、グレンタンク50内の穀粒を作業機械4の周囲の任意の場所へ排出する。排出装置49は、排出搬送路490及び搬送機構493等を有する。排出搬送路490は、グレンタンク50内の貯留物(穀粒)を排出するための経路である。排出搬送路490は、上下方向D3に延びる縦搬送路491と、上下方向D3に直交する方向(水平方向)に延びる横搬送路492と、を含んでいる。縦搬送路491の下端部はグレンタンク50につながっており、縦搬送路491の上端部は横搬送路492につながっている。これにより、グレンタンク50内の貯留物は、縦搬送路491を通して上方に搬送され、更に横搬送路492を通して水平方向に搬送され、横搬送路492の先端部から排出される。
【0033】
搬送機構493は、例えば、排出搬送路490内で回転することにより、排出搬送路490を通して穀粒を搬送するスクリュー(オーガ)である。つまり、縦搬送路491内では、搬送機構493としての縦オーガが回転することで穀粒を搬送し、横搬送路492内では、搬送機構493としての横オーガが回転することで穀粒を搬送する。
【0034】
藁処理部48は、脱穀処理にて発生する排藁(ワラ)等の排出物を排出する。つまり、脱穀部43での脱穀処理にて脱穀物(穀粒を含む)と分離された藁等は、排出物として藁処理部48へと搬送される。藁処理部48は、排出物を機体40の外部に排出するための排出口481(図1参照)を有する。藁処理部48は、例えば、脱穀部43の後方、つまり機体40の左後部に配置され、排出口481が後方に向けて開口する。藁処理部48は、排ワラカッター等を有し、排出物に対する裁断処理等を行った上で、排出口481から排出物を排出する。ただし、藁処理部48が裁断処理等を行うことは必須でない。
【0035】
動力部46は、走行装置41、刈取部42、脱穀部43、選別部44、搬送装置45、藁処理部48及び排出装置49等の駆動源である。動力部46は、動力源として、例えばディーゼルエンジン等のエンジンを有する。また、動力部46は、エンジンとモータ(電動機)とを含むハイブリッド式の動力源を有していてもよい。本実施形態では一例として、動力部46は、グレンタンク50の後方、つまり機体40の右後部に配置されている。動力部46は、ラジエータの目詰まりを防止してエンジンの冷却性能を維持するためのロータリスクリーンを有する。ロータリスクリーンは、動力部46の右側面に配置されている。
【0036】
運転部47には、操作者(オペレータ)が着席する運転座席、並びに、操作者により操作されるハンドル、各種の操作レバー及び各種の操作スイッチ等の操作装置が設けられている。本実施形態では、運転部47は、作業機械4の機体40の右側部分におけるグレンタンク50の前方(図2参照)に配置されている。さらに、運転部47は、刈取部42の後方に位置する。
【0037】
ここで、作業機械4の運転部47の種類としては、キャビンタイプ、キャノピータイプ及びフロアタイプ等がある。キャビンタイプの運転部47は、キャビンを備え、キャビンの内部のキャビン空間に操作者(オペレータ)が搭乗する。キャノピータイプの運転部47は、キャノピー(屋根)を備え、キャノピーの下方の空間に操作者が搭乗する。フロアタイプの運転部47は、キャビン及びキャノピー等を備えておらず、上方に開放された空間に操作者が搭乗する。本実施形態では一例として、運転部47がキャビンタイプである場合を例として説明する。
【0038】
本実施形態に係るクラッチ作動装置1は、作業機械4の機体40に搭載されているクラッチ(第1クラッチ21及び第2クラッチ22)を作動させて、これらのクラッチの切り替えを行う作業機械4(用)のクラッチ作動装置である。このように、本実施形態に係る作業機械4は、(作業機械4の)クラッチ作動装置1と、機体40と、を備えている。機体40には、第1クラッチ21及び第2クラッチ22が搭載されている。
【0039】
クラッチ作動装置1により作動される第1クラッチ21及び第2クラッチ22等のクラッチは、それぞれ動力の伝達モードを切り替える装置である。各クラッチは、例えば、動力部46から、作業機械4の各動作部(刈取部42、脱穀部43等)への動力の伝達経路に挿入されており、動力部46から各動作部へ動力を伝達するか否かの切り替えを行う。
【0040】
つまり、第1クラッチ21又は第2クラッチ22等のクラッチは、少なくとも動力を伝達する「伝達状態」と、動力を遮断する遮断する「遮断状態」と、を切り替え可能に構成されている。「伝達状態」は、クラッチのオン状態(入り状態)であって、クラッチの入出力間が機械的(物理的)に連結され、クラッチの入力側と出力側とが連動する状態である。「遮断状態」は、クラッチのオフ状態(切り状態)であって、クラッチの入出力間が機械的(物理的)に切り離され(解放され)、クラッチの入力側と出力側とが連動しない状態である。
【0041】
本実施形態では、第1クラッチ21が脱穀部43のクラッチ(脱穀クラッチ)であって、第2クラッチ22が刈取部42のクラッチ(刈取クラッチ)であることとする。つまり、脱穀部43のクラッチが第1クラッチ21の一例であって、刈取部42のクラッチが第2クラッチ22の一例である。したがって、第1クラッチ21が伝達状態にあれば、動力部46からの動力で脱穀部43を動作させることができるのに対し、第1クラッチ21が遮断状態にあれば、動力部46からの動力で脱穀部43を動作させることができない。同様に、第2クラッチ22が伝達状態にあれば、動力部46からの動力で刈取部42を動作させることができるのに対し、第2クラッチ22が遮断状態にあれば、動力部46からの動力で刈取部42を動作させることができない。
【0042】
クラッチ作動装置1の詳細な構成については「[2]クラッチ作動装置及びクラッチの構成」の欄で、クラッチ作動装置1の動作については「[3]クラッチ作動装置の動作」の欄でそれぞれ説明する。
【0043】
制御装置は、操作装置が受け付ける操作に応じて、クラッチ作動装置1、走行装置41、刈取部42、脱穀部43、選別部44、搬送装置45、動力部46、藁処理部48及び排出装置49等を制御する。制御装置は、CPU(Central Processing Unit)等の1以上のプロセッサと、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等の1以上のメモリとを有するコンピュータシステムを主構成とし、種々の処理(情報処理)を実行する。また、制御装置には、種々のセンサ等が電気的に接続されている。これにより、制御装置は、種々のセンサの検知結果を適宜取得可能である。本実施形態では、制御装置は、作業機械4全体の制御を行う統合コントローラであって、例えば、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)からなる。ただし、制御装置は、統合コントローラと別に設けられていてもよい。
【0044】
通信端末は、作業機械4の外部のサーバ等と通信を行う。ここでは、通信端末は、作業機械4の稼働状況、作業機械4の現在位置、作物の収穫量(収量)、作物の食味(水分含有量又はタンパク質含有量等を含む)、作業時間又は作業効率等に関する情報を、サーバ等に適宜送信する。本実施形態では、通信端末は、例えばGNSS(Global Navigation Satellite System)等の衛星測位システムを用いて、作業機械4の現在位置を検出可能に構成されている。また、通信端末は、作業機械4の運転支援又は自動運転等に係る制御情報をサーバ等から受信してもよい。
【0045】
[2]クラッチ作動装置及びクラッチの構成
次に、本実施形態に係るクラッチ作動装置1、及びクラッチ作動装置1によって作動されるクラッチ(第1クラッチ21及び第2クラッチ22)の構成について、図3図7を参照して説明する。また、図3図4及び図7では、第1クラッチ21及び第2クラッチ22がいずれも「遮断状態」にある状態を例示する。図5及び図6では、第1クラッチ21及び第2クラッチ22がいずれも「遮断状態」にある状態を実線で示し、第1クラッチ21及び第2クラッチ22がいずれも「伝達状態」にある状態を想像線(二点鎖線)で示す。
【0046】
クラッチ作動装置1は、図3及び図4に示すように、第1操作部材11と、第2操作部材12と、作動部材13と、を備えている。第1操作部材11は、第1クラッチ21を切り替えるための部材である。第2操作部材12は、第2クラッチ22を切り替えるための部材である。作動部材13は、第1操作部材11及び第2操作部材12を作動させる部材である。つまり、クラッチ作動装置1は、作動部材13が駆動されることによって、作動部材13にて第1操作部材11及び第2操作部材12を作動させ(駆動し)、第1クラッチ21及び第2クラッチ22をそれぞれ切り替え可能とする。ここで、第1操作部材11及び第2操作部材12は、それぞれ第1クラッチ21及び第2クラッチ22を操作するための別部材ではあるものの、単一部材(作動部材13)により作動させられることで、第1クラッチ21及び第2クラッチ22を互いに関連付けて操作することが可能である。
【0047】
上述したように、本実施形態では一例として、第1クラッチ21は脱穀部43のクラッチ(脱穀クラッチ)であって、第2クラッチ22は刈取部42のクラッチ(刈取クラッチ)である。そのため、第1操作部材11は、脱穀クラッチを切り替え操作するための脱穀クラッチアーム111を含み、第2操作部材12は、刈取クラッチを切り替え操作するための刈取クラッチアーム121を含む。
【0048】
また、クラッチ作動装置1は、作動部材13を電動モータ等のアクチュエータによって駆動する自動式であってもよいし、作動部材13をユーザ(オペレータ)が手動で駆動する手動式であってもよい。本実施形態では一例として、クラッチ作動装置1は自動式であって、作動部材13は、アクチュエータ14(図7参照)によって駆動される。これにより、手動式に比較して、第1操作部材11及び第2操作部材12を容易に作動させることが可能である。本実施形態では、アクチュエータ14は、出力軸141の回転力を、作動部材13を駆動するための動力として出力する電動モータである。そのため、作動部材13は、アクチュエータ14としての電動モータの出力軸141に取り付けられるモータギヤ131を含む。
【0049】
本実施形態では、アクチュエータ14としての電動モータは、クラッチ作動装置1の構成要素に含まれることとする。つまり、クラッチ作動装置1は、作動部材13を駆動するアクチュエータ14を備えている。アクチュエータ14は、例えば、ステッピングモータ等の動作量(回転角度)を制御可能な電動モータであって、制御装置からの制御信号に応じて駆動される。アクチュエータ14は、その出力軸141を正回転、逆回転の双方向に回転させることができ、例えば、作動部材13を、正回転方向に120度回転させたり、逆回転方向に90度回転させたりすることが可能である。さらに、アクチュエータ14は、アクチュエータ14への電力供給が停止した状態では、出力軸141を制動することで作動部材13の移動(回転)を抑制するブレーキ機能を有している。
【0050】
本実施形態では、第1クラッチ21としての脱穀クラッチは、図5に示すように、第1伝達ベルト211と、第1プーリ212と、第1従動プーリ213と、第1テンションアーム214と、第1テンションローラ215と、を有している。
【0051】
第1プーリ212及び第1従動プーリ213は、その軸方向を同一方向とし、かつ当該軸方向に直交する方向において互いに離間して配置されている。第1プーリ212は、動力部46につながっており、動力部46からの動力で回転することにより、動力部46からの動力を第1クラッチ21に入力する。第1従動プーリ213は、脱穀部43につながっており、第1クラッチ21の伝達状態において、第1クラッチ21から動力を取り出して脱穀部43に伝達する。
【0052】
第1伝達ベルト211は、環状のベルトであって、第1プーリ212及び第1従動プーリ213に巻き掛けられている。本実施形態では一例として、第1クラッチ21は、第1伝達ベルト211を緊張又は弛緩させることにより、伝達状態と遮断状態とを切り替えるテンションクラッチである。すなわち、第1伝達ベルト211が緊張した状態、つまりテンションがかけられた状態にあれば、第1伝達ベルト211が第1プーリ212の動力(回転力)を第1従動プーリ213に伝達し、第1従動プーリ213は第1プーリ212に連動して回転する。一方、第1伝達ベルト211が弛緩した状態、つまりテンションがかけられていない状態にあれば、第1伝達ベルト211が第1プーリ212の動力(回転力)を第1従動プーリ213に伝達せず、第1従動プーリ213は第1プーリ212に連動しない。
【0053】
第1テンションアーム214及び第1テンションローラ215は、第1伝達ベルト211の緊張と弛緩とを切り替えるための部材である。第1テンションアーム214は、長手方向の一端部を支点として回転可能に構成されている。第1テンションローラ215は、第1テンションアーム214の他端部(先端部)に取り付けられており、第1伝達ベルト211の外周面に対向する位置に配置されている。第1テンションアーム214が図5における反時計回り、又は時計回りに回転することにより、第1テンションローラ215は、図5に想像線(二点鎖線)で示す「緊張位置」と、図5に実線で示す「弛緩位置」と、の間で移動する。
【0054】
そして、第1テンションアーム214が図5の「反時計回り」に回転することで、第1テンションローラ215は、第1伝達ベルト211側に移動して第1伝達ベルト211の外周面に押し付けられる。このとき、図5において想像線(二点鎖線)で示すように、第1テンションローラ215が「緊張位置」に移動することで、第1伝達ベルト211を緊張させ、第1クラッチ21が伝達状態になる。一方、第1テンションアーム214が図5の「時計回り」に回転することで、第1テンションローラ215は、第1伝達ベルト211の外周面から離れる向きに移動する。このとき、図5において実線で示すように、第1テンションローラ215が「弛緩位置」に移動することで、第1伝達ベルト211を弛緩させ、第1クラッチ21が遮断状態になる。
【0055】
本実施形態では、第2クラッチ22としての刈取クラッチは、図5に示すように、第2伝達ベルト221と、第2プーリ222と、第2従動プーリ223と、第2テンションアーム224と、第2テンションローラ225と、を有している。第2プーリ222は、動力部46につながっており、動力部46からの動力で回転することにより、動力部46からの動力を第2クラッチ22に入力する。第2従動プーリ223は、刈取部42につながっており、第2クラッチ22の伝達状態において、第2クラッチ22から動力を取り出して刈取部42に伝達する。
【0056】
ここでは、第2クラッチ22の各部の構成についての詳しい説明を省略するが、第2クラッチ22は、第1クラッチ21と同様に、第2伝達ベルト221を緊張又は弛緩させることにより、伝達状態と遮断状態とを切り替えるテンションクラッチである。すなわち、第2伝達ベルト221、第2プーリ222、第2従動プーリ223、第2テンションアーム224及び第2テンションローラ225は、それぞれ第1伝達ベルト211、第1プーリ212、第1従動プーリ213、第1テンションアーム214及び第1テンションローラ215に相当する。
【0057】
そして、第2テンションアーム224が図5の「時計回り」に回転することで、第2テンションローラ225は、第2伝達ベルト221側に移動して第2伝達ベルト221の外周面に押し付けられる。このとき、図5において想像線(二点鎖線)で示すように、第2テンションローラ225が「緊張位置」に移動することで、第2伝達ベルト221を緊張させ、第2クラッチ22が伝達状態になる。一方、第2テンションアーム224が図5の「反時計回り」に回転することで、第2テンションローラ225は、第2伝達ベルト221の外周面から離れる向きに移動する。このとき、図5において実線で示すように、第2テンションローラ225が「弛緩位置」に移動することで、第2伝達ベルト221を弛緩させ、第2クラッチ22が遮断状態になる。
【0058】
第1操作部材11の脱穀クラッチアーム111は、第1クラッチ21(脱穀クラッチ)を切り替え操作するように、第1クラッチ21の第1テンションアーム214に、第1連結部材31及び第1クラッチばね32を介して連結されている。つまり、クラッチ作動装置1において作動部材13が駆動され、第1操作部材11の脱穀クラッチアーム111が作動されると、第1連結部材31及び第1クラッチばね32を介して第1テンションアーム214が駆動され、第1クラッチ21が切り替え操作される。
【0059】
第2操作部材12の刈取クラッチアーム121は、第2クラッチ22(刈取クラッチ)を切り替え操作するように、第2クラッチ22の第2テンションアーム224に、第2連結部材33及び第2クラッチばね34を介して連結されている。つまり、クラッチ作動装置1において作動部材13が駆動され、第2操作部材12の刈取クラッチアーム121が作動されると、第2連結部材33及び第2クラッチばね34を介して第2テンションアーム224が駆動され、第2クラッチ22が切り替え操作される。
【0060】
本実施形態では一例として、第1連結部材31は剛性の連結ロッドであって、第1クラッチばね32は引っ張りコイルばねである。第1連結部材31の長手方向の一端部は、第1テンションアーム214における第1テンションローラ215が取り付けられた先端部に連結され、第1連結部材31の長手方向の他端部は、第1クラッチばね32を介して脱穀クラッチアーム111に連結される。これにより、第1操作部材11は、脱穀クラッチアーム111にて第1クラッチばね32及び第1連結部材31を介して、第1テンションアーム214の先端部を引っ張ることで第1テンションアーム214を回転させ、第1テンションローラ215を弛緩位置から緊張位置へ移動させる。
【0061】
また、本実施形態では一例として、第2連結部材33はワイヤであって、第2クラッチばね34は引っ張りコイルばねである。第2連結部材33の長手方向の一端部は、第2クラッチばね34を介して、第2テンションアーム224における第2テンションローラ225が取り付けられた先端部に連結され、第2連結部材33の長手方向の他端部は刈取クラッチアーム121に連結される。これにより、第2操作部材12は、刈取クラッチアーム121にて第2連結部材33及び第2クラッチばね34を介して、第2テンションアーム224の先端部を引っ張ることで第2テンションアーム224を回転させ、第2テンションローラ225を弛緩位置から緊張位置へ移動させる。図4では、第2連結部材33の中間部分を破断して一点鎖線で模式的に示している。
【0062】
本実施形態に係るクラッチ作動装置1は、図6及び図7に示すように、第1操作部材11、第2操作部材12、作動部材13及びアクチュエータ14に加えて、ボディ15及びガイド部材16等を更に備えている。ボディ15には、少なくともアクチュエータ14の本体が固定されている。ガイド部材16は、ボディ15に固定されている。
【0063】
作動部材13は、上述したように、モータギヤ131を有している。作動部材13のモータギヤ131は、アクチュエータ14の出力軸141に取り付けられることによって、ボディ15に対して、アクチュエータ14の出力軸141を中心に回転可能に支持される。さらに、アクチュエータ14は、その出力軸141を正回転、逆回転の双方向に回転させることが可能であるため、モータギヤ131についても同様に、アクチュエータ14によって駆動されることで、正回転(図6では反時計回り)、逆回転(図6では時計回り)の両方に回転可能である。モータギヤ131の外周にはギヤの歯が設けられており、モータギヤ131は、第1操作部材11の脱穀クラッチアーム111と噛み合うように構成されている。
【0064】
作動部材13は、作動ピン132を更に有している。作動ピン132は、出力軸141と平行な円柱状の部品であって、モータギヤ131に対して固定されている。これにより、モータギヤ131がアクチュエータ14によって駆動されることで、作動ピン132は、出力軸141の周りを正回転(図6では反時計回り)、逆回転(図6では時計回り)の両方に回転(公転)移動する。
【0065】
第1操作部材11は、上述したように、脱穀クラッチアーム111を有している。脱穀クラッチアーム111は、ボディ15に対して、回転軸112を中心に回転可能に支持される。回転軸112は、その軸方向を出力軸141と同一方向とし、かつ当該軸方向に直交する方向において出力軸141から離間して配置されている。脱穀クラッチアーム111の外周にはギヤの歯が設けられており、脱穀クラッチアーム111は、モータギヤ131と噛み合うように構成されている。ここで、脱穀クラッチアーム111及びモータギヤ131は、それぞれ外周の周方向の一部にのみ歯が設けられている間欠ギヤ(間欠歯車)である。
【0066】
ここで、ボディ15は、第1操作部材11の可動範囲を制限するための第1ストッパ151及び第2ストッパ152を有している。第1ストッパ151及び第2ストッパ152は、脱穀クラッチアーム111から見て、脱穀クラッチアーム111の回転方向の両側に配置されている。
【0067】
第1操作部材11は、第1支持部113を更に有している。第1支持部113は、第1クラッチばね32を支持する部品であって、脱穀クラッチアーム111に対して固定されている。これにより、脱穀クラッチアーム111が回転することで、第1クラッチばね32を支持する第1支持部113は、回転軸112の周りを正回転(図6では時計回り)、逆回転(図6では反時計回り)の両方に回転(公転)移動する。
【0068】
第2操作部材12は、上述したように、刈取クラッチアーム121を有している。刈取クラッチアーム121は、回転部材1211と、リンク部材1212と、枢支軸1213と、を含んでいる。
【0069】
回転部材1211は、アクチュエータ14の出力軸141に、軸受け(ベアリング)142を介して取り付けられることによって、ボディ15に対して、アクチュエータ14の出力軸141を中心に回転可能に支持される。しかも、回転部材1211と出力軸141との間に軸受け部材142が介在することで、回転部材1211と出力軸141とは相対的に回転自在である。したがって、アクチュエータ14の出力軸141の回転力は回転部材1211に伝達されず、出力軸141は回転部材1211に対して空転する。回転部材1211及びリンク部材1212は、それぞれ長さを有する板状の部材であって、各々の長手方向の一端部同士が枢支軸1213にて枢支されている。これにより、リンク部材1212は、枢支軸1213を中心に回転可能な状態で回転部材1211に連結される。
【0070】
ここで、回転部材1211のうち長手方向において枢支軸1213とは反対側の端部には、第1ピン受け部1214が形成されている。第1ピン受け部1214は、平面視において外方に向けて開放された窪みであって、作動部材13の作動ピン132を受けるための部位である。これにより、作動部材13が駆動されて作動ピン132が出力軸141の周りを正回転(図6では反時計回り)方向に回転すると、作動ピン132は、第1ピン受け部1214に嵌った状態で回転部材1211を正回転(図6では反時計回り)方向に回転させる。
【0071】
第2操作部材12は、第2支持部123を更に有している。第2支持部123は、第2連結部材33を支持する部品であって、刈取クラッチアーム121のリンク部材1212のうち長手方向において枢支軸1213とは反対側の端部に固定されている。これにより、刈取クラッチアーム121の回転部材1211が回転することで、第2連結部材33を支持する第2支持部123は、第2連結部材33を引っ張る向きに移動する。
【0072】
第2操作部材12は、刈取クラッチアーム121からなる第1操作子とは別に、第2操作子122を更に有している。第2操作子122は、刈取クラッチアーム121の回転部材1211を逆回転(図6では時計回り)方向に回転させるための部材である。第2操作子122は、長さを有する板状の部材であって、長手方向の一端部が、回転部材1211の長手方向の他端部(枢支軸1213とは反対側の端部)に連結軸124にて枢支されている。これにより、第2操作子122は、連結軸124を中心に回転可能な状態で刈取クラッチアーム121(回転部材1211)に連結される。
【0073】
第2操作子122は、長手方向の他端部(連結軸124とは反対側の端部)が、ガイドピン1221にてガイド部材16に連結されている。ガイド部材16は、長さを有する板状の部材であって、長手方向に沿って形成されたガイド溝161を有する。ガイドピン1221は、ガイド溝161内をガイド溝161の長手方向に沿って移動可能となるように、ガイド溝161に挿入されている。これにより、刈取クラッチアーム121の回転部材1211が正回転方向に回転するのに伴い、第2操作子122は、ガイドピン1221をガイド溝161に沿って移動させつつ、ガイドピン1221を支点に回転(自転)する。
【0074】
ここで、第2操作子122の長手方向の一端部(連結軸124側の端部)には、第2ピン受け部1222が形成されている。第2ピン受け部1222は、平面視において外方に向けて開放された窪みであって、作動部材13の作動ピン132を受けるための部位である。これにより、作動部材13が駆動されて作動ピン132が出力軸141の周りを逆回転(図6では時計回り)方向に回転すると、作動ピン132は、第2ピン受け部1222に嵌った状態で第2操作子122を移動させ、刈取クラッチアーム121の回転部材1211が逆回転方向に回転させる。
【0075】
また、クラッチ作動装置1は、第1クラッチ21(脱穀クラッチ)及び第2クラッチ22(刈取クラッチ)だけでなく、例えば、動力部46から藁処理部48及び選別部44等へ動力を伝達するか否かの切り替えを行うクラッチの切り替えを行ってもよい。本実施形態では一例として、第1操作部材11には、図3及び図4に示すように、第3連結部材35及び第4連結部材36が連結されている。第3連結部材35及び第4連結部材36は、それぞれ動力部46から藁処理部48及び選別部44への動力の伝達経路に挿入された第3クラッチ及び第4クラッチに連結される。これにより、クラッチ作動装置1において作動部材13が駆動され、第1操作部材11が作動されると、第1クラッチ21だけでなく、第3クラッチ及び第4クラッチについても切り替え操作される。
【0076】
そのため、第1操作部材11は、第3クラッチアーム114及び第4クラッチアーム115を更に有する。第3クラッチアーム114及び第4クラッチアーム115は、リンクアーム116を介して脱穀クラッチアーム111に連結されている。リンクアーム116は、例えば、第1支持部113にて脱穀クラッチアーム111に支持されており、第3クラッチアーム114及び第4クラッチアーム115を、脱穀クラッチアーム111に連動させる。
【0077】
ここにおいて、本実施形態では、作動部材13の移動軌跡を含む仮想平面に直交する一方向から見て、作動部材13は、第1操作部材11と第2操作部材12との間に配置されている。ここで、第1操作部材11と第2操作部材12との間は、第1操作部材11と第2操作部材12とが対向する方向(図6では上下方向)において、第1操作部材11と第2操作部材12との間に該当する範囲を意味する。言い換えれば、作動部材13の移動軌跡を含む仮想平面に直交する一方向から見た図6において、作動部材13から見て、第1操作部材11と第2操作部材12とが対向する方向の両側に、それぞれ第1操作部材11及び第2操作部材12が位置する。
【0078】
このように、第1操作部材11及び第2操作部材12を作動させるための作動部材13は、第1操作部材11と第2操作部材12との間に配置されている。したがって、作動部材13の移動軌跡を含む仮想平面内において、作動部材13、第1操作部材11及び第2操作部材12を比較的コンパクトに配置しやすい。
【0079】
[3]クラッチ作動装置の動作
次に、上述したように構成される本実施形態に係るクラッチ作動装置1の動作について、図8図19を参照して詳しく説明する。以下では、図8に示す作動部材13、第1操作部材11及び第2操作部材12の各々の位置を「初期位置」と定義する。
【0080】
ここで、作動部材13は、一方向(正回転方向)に移動することで作動部材13の初期位置である「第1位置」から、可動範囲の終端位置である「第3位置」まで移動することとする。本実施形態では、作動部材13は、アクチュエータ14の出力軸141を中心とするモータギヤ131の回転によって移動する。つまり、本実施形態でいう作動部材13の移動は「回転移動」である。そこで、以下では、作動部材13の第1位置(初期位置)からの回転角度(回転量)によって、作動部材13の位置を表すこととする。
【0081】
同様に、第1操作部材11の脱穀クラッチアーム111は、回転軸112を中心とする回転によって移動するため、脱穀クラッチアーム111の初期位置からの回転角度(回転量)によって、第1操作部材11(脱穀クラッチアーム111)の位置を表すこととする。同様に、第2操作部材12(の刈取クラッチアーム121)の回転部材1211は、出力軸141を中心とする回転によって移動するため、回転部材1211の初期位置からの回転角度(回転量)によって、第2操作部材12(刈取クラッチアーム121)の位置を表すこととする。
【0082】
図8図19は、作動部材13を、初期位置である「第1位置」から可動範囲の終端位置である「第3位置」にかけて徐々に正回転(図中、反時計回り)方向に移動させる場合の、各位置(各回転角度)でのクラッチ作動装置1の状態を表している。ここで、図8図12では第1クラッチ21及び第2クラッチ22が遮断状態にあり、図13図18では第1クラッチ21が伝達状態、第2クラッチ22が遮断状態にあり、図19では第1クラッチ21及び第2クラッチ22が伝達状態にあることと仮定する。以下では、クラッチ作動装置1における第1操作部材11、第2操作部材12及び作動部材13の動作を主に説明するため、第3クラッチアーム114及び第4クラッチアーム115等の図示を適宜省略する。
【0083】
[3.1]正回転時の動作
ここではまず、作動部材13が正回転(図8では反時計回り)方向に回転(移動)する際のクラッチ作動装置1の動作について説明する。
【0084】
図8は、作動部材13が初期位置としての第1位置にある状態を示す。つまり、図8においては、作動部材13の位置(回転角度)は「0度」である。このとき、作動部材13のモータギヤ131と第1操作部材11の脱穀クラッチアーム111とは、噛み合った状態にある。作動部材13は、アクチュエータ14のブレーキ機能によって定位置に維持されるので、ギヤ同士の噛合により、第1操作部材11(脱穀クラッチアーム111)についても定位置に維持される。
【0085】
図8の状態では、第1操作部材11(脱穀クラッチアーム111)は、第1支持部113が第1クラッチばね32で引っ張られることにより、逆回転(図8では反時計回り)方向に付勢されている。さらに、第1ストッパ151によって脱穀クラッチアーム111の逆回転方向への回転が規制されている。また、第2操作部材12(刈取クラッチアーム121)は、第2支持部123が第2クラッチばね34で引っ張られることにより、逆回転(図8では時計回り)方向に付勢されている。さらに、ガイドピン1221がガイド溝161の長手方向の一端縁に接触することで、刈取クラッチアーム121の逆回転方向への回転が規制されている。
【0086】
そのため、図8においては、第1操作部材11(脱穀クラッチアーム111)及び第2操作部材12(刈取クラッチアーム121)の位置(回転角度)は、いずれも初期位置であって「0度」である。しかも、第1操作部材11の脱穀クラッチアーム111は、回転が規制されている逆回転方向へのばね力を第1クラッチばね32から受けるので、脱穀クラッチアーム111と噛み合うモータギヤ131には、第1クラッチばね32からのばね力が作用しない。したがって、アクチュエータ14のブレーキ機能への負荷が抑制される。
【0087】
図9は、出力軸141が回転して、作動部材13が第1位置から正回転方向へ「54.5度」回転した状態を示す。つまり、図9においては、作動部材13の位置(回転角度)は「54.5度」である。このとき、作動部材13のモータギヤ131と第1操作部材11の脱穀クラッチアーム111とは、噛み合った状態にある。そのため、第1操作部材11は、モータギヤ131の回転に伴って初期位置から正回転(図9では時計回り)方向へ回転する。一方、第2操作部材12については、出力軸141に対して空転するため初期位置に維持される。
【0088】
したがって、図9においては、第1操作部材11(脱穀クラッチアーム111)の位置(回転角度)は「65.4度」となり、第2操作部材12(刈取クラッチアーム121)の位置(回転角度)は「0度」である。このとき、第1操作部材11は、第1支持部113が第1クラッチばね32で引っ張られることにより、逆回転(図9では反時計回り)方向に付勢されている。ただし、作動部材13は、アクチュエータ14のブレーキ機能によって定位置に保持されるので、ギヤ同士の噛合により、第1操作部材11についても定位置に保持される。
【0089】
図10は、出力軸141が更に回転して、作動部材13が第1位置から正回転方向へ「100度」回転した状態を示す。つまり、図10においては、作動部材13の位置(回転角度)は「100度」である。このとき、作動部材13のモータギヤ131と第1操作部材11の脱穀クラッチアーム111とは、噛み合った状態にある。そのため、第1操作部材11は、モータギヤ131の回転に伴って正回転(図10では時計回り)方向へ更に回転する。一方、第2操作部材12については、出力軸141に対して空転するため初期位置に維持される。
【0090】
したがって、図10においては、第1操作部材11(脱穀クラッチアーム111)の位置(回転角度)は「120度」となり、第2操作部材12(刈取クラッチアーム121)の位置(回転角度)は「0度」である。このとき、第1操作部材11は、第1支持部113が第1クラッチばね32で引っ張られることにより、逆回転(図10では反時計回り)方向に付勢されている。ただし、作動部材13は、アクチュエータ14のブレーキ機能によって定位置に保持されるので、ギヤ同士の噛合により、第1操作部材11についても定位置に保持される。
【0091】
図11は、出力軸141が更に回転して、作動部材13が第1位置から正回転方向へ「114度」回転した状態を示す。つまり、図11においては、作動部材13の位置(回転角度)は「114度」である。このとき、作動部材13のモータギヤ131と第1操作部材11の脱穀クラッチアーム111とは、噛み合った状態にある。そのため、第1操作部材11は、モータギヤ131の回転に伴って正回転(図11では時計回り)方向へ更に回転する。一方、第2操作部材12については、出力軸141に対して空転するため初期位置に維持される。
【0092】
したがって、図11においては、第1操作部材11(脱穀クラッチアーム111)の位置(回転角度)は「137度」となり、第2操作部材12(刈取クラッチアーム121)の位置(回転角度)は「0度」である。
【0093】
ところで、図11において、第1支持部113は支点を通過するため、第1操作部材11に第1クラッチばね32から作用するばね力の向きが反転する。本開示において、第1操作部材11に作用するばね力の向きが反転するときの作動部材13の位置を「第1反転位置」という。つまり、本実施形態では、図11に示すように、第1位置から「114度」回転したときの作動部材13の位置が「第1反転位置」となる。
【0094】
すなわち、図11に示すように、第1仮想直線L1を設定した場合に、第1クラッチばね32が連結される第1支持部113の軸心が、第1仮想直線L1上に位置するときに、第1操作部材11に第1クラッチばね32から作用するばね力の向きが反転する。第1仮想直線L1は、第1操作部材11における脱穀クラッチアーム111の回転中心となる回転軸112の軸心と、第1クラッチばね32が連結される第1支持部113の軸心とが、第1クラッチばね32からのばね力の作用方向に平行な一直線上に並ぶときの、当該直線である。
【0095】
このように、図11の位置を境にして、第1操作部材11に第1クラッチばね32から作用するばね力は、逆回転(図11では反時計回り)方向から正回転(図11では時計回り)方向へと切り替わる。したがって、図11の位置においては、理論上、第1操作部材11の回転方向においては、第1クラッチばね32から第1操作部材11へ、ばね力が作用しないこととなる。
【0096】
図12は、出力軸141が更に回転して、作動部材13が第1位置から正回転方向へ「120度」回転した状態を示す。つまり、図12においては、作動部材13の位置(回転角度)は「120度」である。このとき、作動部材13のモータギヤ131と第1操作部材11の脱穀クラッチアーム111とは、噛み合った状態にある。そのため、第1操作部材11は、モータギヤ131の回転に伴って正回転(図12では時計回り)方向へ更に回転する。一方、第2操作部材12については、出力軸141に対して空転するため初期位置に維持される。
【0097】
したがって、図12においては、第1操作部材11(脱穀クラッチアーム111)の位置(回転角度)は「144度」となり、第2操作部材12(刈取クラッチアーム121)の位置(回転角度)は「0度」である。このとき、第1操作部材11は、第1支持部113が第1クラッチばね32で引っ張られることにより、正回転(図12では時計回り)方向に付勢されている。ただし、作動部材13は、アクチュエータ14のブレーキ機能によって定位置に保持されるので、ギヤ同士の噛合により、第1操作部材11についても定位置に保持される。
【0098】
図13は、出力軸141が更に回転して、作動部材13が第1位置から正回転方向へ「125度」回転した状態を示す。つまり、図13においては、作動部材13の位置(回転角度)は「125度」である。この位置の手前までは、作動部材13のモータギヤ131と第1操作部材11の脱穀クラッチアーム111とは、噛み合った状態にある。そして、図13の状態では、モータギヤ131と脱穀クラッチアーム111との噛み合いは解消され、第1操作部材11は作動部材13から機械的に切り離される。そのため、第1操作部材11は、モータギヤ131の回転に伴って正回転(図13では時計回り)方向へ更に回転する。一方、第2操作部材12については、出力軸141に対して空転するため初期位置に維持される。
【0099】
したがって、図13においては、第1操作部材11(脱穀クラッチアーム111)の位置(回転角度)は「150度」となり、第2操作部材12(刈取クラッチアーム121)の位置(回転角度)は「0度」である。このとき、第1クラッチ21が伝達状態に切り替わり、第2クラッチ22が遮断状態を維持する。
【0100】
また、図13において、第1操作部材11は、第1支持部113が第1クラッチばね32で引っ張られることにより、正回転(図12では時計回り)方向に付勢されている。さらに、第2ストッパ152によって脱穀クラッチアーム111の正回転方向への回転が規制されている。つまり、第1操作部材11の脱穀クラッチアーム111は、回転が規制されている正回転方向へのばね力を第1クラッチばね32から受けるので、脱穀クラッチアーム111と噛み合うモータギヤ131には、第1クラッチばね32からのばね力が作用しない。よって、アクチュエータ14のブレーキ機能への負荷が抑制される。
【0101】
図14は、出力軸141が更に回転して、作動部材13が第1位置から正回転方向へ「145度」回転した状態を示す。つまり、図14においては、作動部材13の位置(回転角度)は「145度」である。このとき、モータギヤ131と脱穀クラッチアーム111とは噛み合っておらず、第1操作部材11は作動部材13から機械的に切り離されている。そのため、第1操作部材11は出力軸141に対して空転し、図13と同じ位置に維持される。一方、第2操作部材12については、刈取クラッチアーム121の第1ピン受け部1214に、作動部材13の作動ピン132が接触する。ただし、この位置の手前までは、作動ピン132は第1ピン受け部1214に接触しておらず、第2操作部材12は、出力軸141に対して空転するため初期位置に維持される。
【0102】
したがって、図14においては、図13と同様に、第1操作部材11(脱穀クラッチアーム111)の位置(回転角度)は「150度」であって、第2操作部材12(刈取クラッチアーム121)の位置(回転角度)は「0度」である。
【0103】
本実施形態では、図14に示す作動部材13の位置(145度)を、「第2位置」の一例とする。「第2位置」は、初期位置である「第1位置」と可動範囲の終端位置である「第3位置」との間に位置する中間位置である。つまり、作動部材13は、第1位置から第2位置を通って第3位置へ移動(回転)することになる。
【0104】
図15は、出力軸141が更に回転して、作動部材13が第1位置から正回転方向へ「155度」回転した状態を示す。つまり、図15においては、作動部材13の位置(回転角度)は「155度」である。このとき、第1操作部材11は出力軸141に対して空転するため、図13と同じ位置に維持される。一方、第2操作部材12については、第1ピン受け部1214に接触した作動ピン132が回転することにより、刈取クラッチアーム121が作動ピン132に押されるようにして、モータギヤ131の回転に伴って初期位置から正回転(図15では反時計回り)方向へ回転する。
【0105】
したがって、図15においては、第1操作部材11(脱穀クラッチアーム111)の位置(回転角度)は「150度」であって、第2操作部材12(刈取クラッチアーム121)の位置(回転角度)は「10度」となる。このとき、第2操作部材12は、第2支持部123が第2クラッチばね34で引っ張られることにより、逆回転(図15では時計回り)方向に付勢されている。ただし、作動部材13は、アクチュエータ14のブレーキ機能によって定位置に保持されるので、作動ピン132が第1ピン受け部1214に押し付けられることにより、第2操作部材12についても定位置に保持される。
【0106】
図16は、出力軸141が更に回転して、作動部材13が第1位置から正回転方向へ「170度」回転した状態を示す。つまり、図16においては、作動部材13の位置(回転角度)は「170度」である。このとき、第1操作部材11は出力軸141に対して空転するため、図13と同じ位置に維持される。一方、第2操作部材12については、第1ピン受け部1214に接触した作動ピン132が回転することにより、刈取クラッチアーム121が作動ピン132に押されるようにして、モータギヤ131の回転に伴って正回転(図16では反時計回り)方向へ更に回転する。
【0107】
したがって、図16においては、第1操作部材11(脱穀クラッチアーム111)の位置(回転角度)は「150度」であって、第2操作部材12(刈取クラッチアーム121)の位置(回転角度)は「25度」となる。このとき、第2操作部材12は、第2支持部123が第2クラッチばね34で引っ張られることにより、逆回転(図16では時計回り)方向に付勢されている。ただし、作動部材13は、アクチュエータ14のブレーキ機能によって定位置に保持されるので、作動ピン132が第1ピン受け部1214に押し付けられることにより、第2操作部材12についても定位置に保持される。
【0108】
ところで、本実施形態では、第2操作部材12が第2操作子122を有するので、第1操作子としての刈取クラッチアーム121の移動(回転)に伴って、第2操作子122も移動する。具体的に、第2操作子122は、ガイドピン1221をガイド溝161に沿って移動させつつ、ガイドピン1221を支点に回転(自転)する。これにより、第2ピン受け部1222にて刈取クラッチアーム121の第1ピン受け部1214の開口を閉じるように、第2操作子122の姿勢が変化する。その結果、図16に示すように、第2操作部材12は、第1操作子(刈取クラッチアーム121)と第2操作子122との間に、作動ピン132を挟み込むことになる。
【0109】
図17は、出力軸141が更に回転して、作動部材13が第1位置から正回転方向へ「195度」回転した状態を示す。つまり、図17においては、作動部材13の位置(回転角度)は「195度」である。このとき、第1操作部材11は出力軸141に対して空転するため、図13と同じ位置に維持される。一方、第2操作部材12については、第1ピン受け部1214に接触した作動ピン132が回転することにより、刈取クラッチアーム121が作動ピン132に押されるようにして、モータギヤ131の回転に伴って正回転(図17では反時計回り)方向へ更に回転する。
【0110】
したがって、図17においては、第1操作部材11(脱穀クラッチアーム111)の位置(回転角度)は「150度」であって、第2操作部材12(刈取クラッチアーム121)の位置(回転角度)は「50度」となる。このとき、第2操作部材12は、第2支持部123が第2クラッチばね34で引っ張られることにより、逆回転(図17では時計回り)方向に付勢されている。ただし、作動部材13は、アクチュエータ14のブレーキ機能によって定位置に保持されるので、作動ピン132が第1ピン受け部1214に押し付けられることにより、第2操作部材12についても定位置に保持される。
【0111】
図18は、出力軸141が更に回転して、作動部材13が第1位置から正回転方向へ「230度」回転した状態を示す。つまり、図18においては、作動部材13の位置(回転角度)は「230度」である。このとき、第1操作部材11は出力軸141に対して空転するため、図13と同じ位置に維持される。一方、第2操作部材12については、第1ピン受け部1214に接触した作動ピン132が回転することにより、刈取クラッチアーム121が作動ピン132に押されるようにして、モータギヤ131の回転に伴って正回転(図18では反時計回り)方向へ更に回転する。
【0112】
したがって、図18においては、第1操作部材11(脱穀クラッチアーム111)の位置(回転角度)は「150度」であって、第2操作部材12(刈取クラッチアーム121)の位置(回転角度)は「85度」となる。
【0113】
ところで、図18において、第2支持部123は支点を通過するため、第2操作部材12に第2クラッチばね34から作用するばね力の向きが反転する。本開示において、第2操作部材12に作用するばね力の向きが反転するときの作動部材13の位置を「第2反転位置」という。つまり、本実施形態では、図18に示すように、第1位置から「230度」回転したときの作動部材13の位置が「第2反転位置」となる。
【0114】
すなわち、図18に示すように、第2仮想直線L2を設定した場合に、第2クラッチばね34が連結される第2支持部123の軸心が、第2仮想直線L2上に位置するときに、第2操作部材12に第2クラッチばね34から作用するばね力の向きが反転する。第2仮想直線L2は、第2操作部材12における刈取クラッチアーム121の回転中心となる出力軸141の軸心と、第2クラッチばね34が連結される第2支持部123の軸心とが、第2クラッチばね34からのばね力の作用方向に平行な一直線上に並ぶときの、当該直線である。
【0115】
このように、図18の位置を境にして、第2操作部材12に第2クラッチばね34から作用するばね力は、逆回転(図18では時計回り)方向から正回転(図18では反時計回り)方向へと切り替わる。したがって、図18の位置においては、理論上、第2操作部材12の回転方向においては、第2クラッチばね34から第2操作部材12へ、ばね力が作用しないこととなる。
【0116】
図19は、出力軸141が更に回転して、作動部材13が第1位置から正回転方向へ「240度」回転した状態を示す。つまり、図19においては、作動部材13の位置(回転角度)は、可動範囲の終端位置である「第3位置」であって、本実施形態では「240度」である。このとき、第1操作部材11は出力軸141に対して空転するため、図13と同じ位置に維持される。一方、第2操作部材12については、第1ピン受け部1214に接触した作動ピン132が回転することにより、刈取クラッチアーム121が作動ピン132に押されるようにして、モータギヤ131の回転に伴って正回転(図19では反時計回り)方向へ更に回転する。
【0117】
したがって、図19においては、第1操作部材11(脱穀クラッチアーム111)の位置(回転角度)は「150度」であって、第2操作部材12(刈取クラッチアーム121)の位置(回転角度)は「95度」となる。このとき、第1クラッチ21が伝達状態を維持し、第2クラッチ22が伝達状態に切り替わる。
【0118】
また、図19において、第2操作部材12は、第2支持部123が第2クラッチばね34で引っ張られることにより、正回転(図19では反時計回り)方向に付勢されている。ただし、ガイドピン1221がガイド溝161の長手方向の他端縁に接触することで、刈取クラッチアーム121の正回転方向への回転が規制されるため、第2操作部材12は定位置に保持される。さらに、第1操作部材11の脱穀クラッチアーム111は、回転が規制されている正回転方向へのばね力を第1クラッチばね32から受けるので、脱穀クラッチアーム111と噛み合うモータギヤ131には、第1クラッチばね32からのばね力が作用しない。よって、アクチュエータ14のブレーキ機能への負荷が抑制される。
【0119】
[3.2]逆回転時の動作
次に、作動部材13が逆回転(図8では時計回り)方向に回転(移動)する際のクラッチ作動装置1の動作について説明する。
【0120】
作動部材13が逆回転方向に回転する際の動作は、基本的には、作動部材13が正回転方向に回転する際の動作とは逆の動作になる。つまり、作動部材13は、可動範囲の終端位置である「第3位置」から初期位置である「第1位置」にかけて徐々に逆回転(図中、時計回り)方向に移動するので、図19の状態から始まって、図18図17、・・・、図8の状態まで、クラッチ作動装置1の状態が変化する。
【0121】
ここで、第2操作部材12(刈取クラッチアーム121)を逆回転(図中、時計回り)方向に作動させるために、第2操作部材12は第2操作子122を有している。具体的には、図16図19の状態では、第2操作部材12は、第1操作子(刈取クラッチアーム121)の第1ピン受け部1214と、第2操作子122の第2ピン受け部1222との間に、作動ピン132を挟み込んでいる。
【0122】
つまり、第2操作子122の第2ピン受け部1222に対して、作動部材13の作動ピン132が接触する状態にある。そのため、図19の状態(作動部材13の位置:240度)から、図16の状態(作動部材13の位置:170度)にかけて、作動部材13が逆回転方向に回転すると、第2ピン受け部1222に接触した作動ピン132が回転する。このとき、第2操作部材12については、第2操作子122が作動ピン132に押されるようにして、刈取クラッチアーム121がモータギヤ131の回転に伴って逆回転方向へ回転する。
【0123】
そして、図14の状態(作動部材13の位置:145度)まで作動部材13が回転し、第2操作部材12が初期位置に到達すると、作動ピン132は第2操作子122の第2ピン受け部1222から離脱する。その結果、図14の状態(作動部材13の位置:145度)から、図8の状態(作動部材13の位置:0度)にかけて、作動部材13が逆回転方向に回転する間には、第2操作部材12は、出力軸141に対して空転するため初期位置に維持される。
【0124】
[3.3]まとめ
以上説明したように、第1操作部材11及び第2操作部材12は、作動部材13が第1位置から第2位置を通って第3位置へ移動するのに伴って、第1クラッチ21及び第2クラッチ22を、第1クラッチ21、第2クラッチ22の順で切り替える。すなわち、作動部材13が正回転方向に回転し、図8に示す第1位置から、図14に示す第2位置を通って、図19に示す第3位置へ移動するのに伴い、図13の状態で第1クラッチ21が切り替わり、図19の状態で第2クラッチ22が切り替わる。具体的には、本実施形態に係るクラッチ作動装置1は、作動部材13が第1位置から第2位置に移動する際に、第1クラッチ21を伝達状態に切り替え、作動部材13が第2位置から第3位置に移動する際に、第2クラッチ22を伝達状態に切り替える。
【0125】
ここで、作動部材13は、第1位置から第2位置へ移動する際に、第1操作部材11に作用するばね力の向きが反転する第1反転位置を通過する。さらに、作動部材13は、第2位置から第3位置へ移動する際に、第2操作部材12に作用するばね力の向きが反転する第2反転位置を通過する。本実施形態では一例として、図11に示す作動部材13の位置(114度)が「第1反転位置」であって、図18に示す作動部材13の位置(230度)が「第2反転位置」である。すなわち、作動部材13は、図8に示す第1位置から、図14に示す第2位置へ移動(回転)する際、図11に示すように第1操作部材11に作用するばね力の向きが反転する第1反転位置を通過する。同様に、作動部材13は、図4に示す第2位置から、図19に示す第3位置へ移動(回転)する際、図18に示すように第2操作部材12に作用するばね力の向きが反転する第2反転位置を通過する。
【0126】
この構成によれば、作動部材13が第1位置から第2位置へ移動(回転)して第1クラッチ21を切り替える際には、第1操作部材11に作用するばね力の向きを反転させることが可能である。同様に、作動部材13が第2位置から第3位置へ移動(回転)して第2クラッチ22を切り替える際には、第2操作部材12に作用するばね力の向きを反転させることが可能である。そのため、例えば、第1クラッチ21のみを伝達状態とする場合でも、作動部材13を駆動するのに要する力を比較的小さく抑えることができる。結果的に、アクチュエータ14に掛かる負荷を小さく抑えることができ、かつ別途、作動部材13をロックするためのロック機構を設ける必要もない。
【0127】
また、作動部材13の第1位置から第3位置への移動は、作動部材13の回転動作を含む。すなわち、作動部材13は第1位置から第3位置にかけて直進駆動されるのではなく、回転駆動される。これにより、作動部材13の移動軌跡の専有面積を比較的小さく抑えることができ、クラッチ作動装置1の小型化を図りやすい、という利点がある。
【0128】
また、作動部材13が第1位置にあるとき、第1クラッチ21及び第2クラッチ22はいずれも遮断状態である。作動部材13が第3位置にあるとき第1クラッチ21及び第2クラッチ22はいずれも伝達状態である。すなわち、クラッチ作動装置1は、作動部材13が第1位置から第2位置を通って第3位置へ移動するのに伴って、まず第1クラッチ21を遮断状態から伝達状態に切り替え、次に第2クラッチ22を遮断状態から伝達状態に切り替える。これにより、単一部材(作動部材13)にて第1操作部材11及び第2操作部材12を作動させつつも、第1クラッチ21のみを伝達状態とすることが可能となる。
【0129】
また、作動部材13が第2位置と第3位置との間にある場合、第1操作部材11は作動部材13から機械的に切り離される。すなわち、本実施形態では、第1操作部材11の脱穀クラッチアーム111及び作動部材13のモータギヤ131が間欠ギヤ(間欠歯車)であることで、第2位置から第3位置にかけては、第1操作部材11は作動部材13から機械的に切り離され、作動部材13に連動しない。これにより、単一部材(作動部材13)にて第1操作部材11及び第2操作部材12を作動させつつも、第1操作部材11が作動される範囲を制限することができる。
【0130】
また、作動部材13が第1位置と第2位置との間にある場合、第2操作部材12は作動部材13から機械的に切り離される。すなわち、本実施形態では、作動部材13が作動ピン132にて第2操作部材12の刈取クラッチアーム121を押す構成を採用していることで、第1位置から第2位置にかけては、第2操作部材12は作動部材13から機械的に切り離され、作動部材13に連動しない。これにより、単一部材(作動部材13)にて第1操作部材11及び第2操作部材12を作動させつつも、第2操作部材12が作動される範囲を制限することができる。
【0131】
ところで、第2操作部材12は、第1操作子(刈取クラッチアーム121)と、第2操作子122と、を有する。第1操作子としての刈取クラッチアーム121は、作動部材13が第2位置から第3位置に向けて移動する際にのみ作動部材13によって作動される。第2操作子122は、作動部材13が第3位置から第2位置に向けて移動する際にのみ作動部材によって作動される。すなわち、本実施形態では、第2位置と第3位置の間を、作動部材13が正回転方向に回転(移動)する場合には、第1操作子(刈取クラッチアーム121)及び第2操作子122のうちの第1操作子が、作動部材13により作動される。一方、第2位置と第3位置の間を、作動部材13が逆回転方向に回転(移動)する場合には、第1操作子(刈取クラッチアーム121)及び第2操作子122のうちの第2操作子122が、作動部材13により作動される。
【0132】
この構成によれば、第2操作部材12は、作動部材13が第2位置から第3位置へ移動する際と、作動部材13が第3位置から第2位置へ移動する際とで、別々の操作子が操作される。そのため、第2操作部材12は、作動部材13の移動する向きによらず、作動部材13に連動することが可能となる。したがって、クラッチ作動装置1は、(遮断状態から伝達状態に切り替える)入り作動時と、(伝達状態から遮断状態に切り替える)切り作動時とで第2クラッチの切替タイミングのずれを小さく抑えやすい、という利点がある。
【0133】
さらに、第2操作子122は、第1操作子(刈取クラッチアーム121)に対して相対的に移動可能に連結されている。本実施形態では一例として、第2操作子122は、刈取クラッチアーム121に連結軸124にて枢支されることで、連結軸124を中心に回転可能な状態で刈取クラッチアーム121に連結されている。これにより、第2操作部材12は、第1操作子と第2操作子122とを有しながらも、単一の作動部材13にて作動可能となる。
【0134】
より具体的には、作動部材13が第3位置にある状態では、第2操作部材12は、第1操作子と第2操作子122との間に作動部材13の一部を挟み込む。本実施形態では一例として、第2ピン受け部1222にて第1ピン受け部1214の開口を閉じるように、第2操作子122の姿勢が変化することで、第2操作部材12は、第1操作子(刈取クラッチアーム121)と第2操作子122との間に、作動部材13の作動ピン132を挟み込む。これにより、作動部材13が正回転方向に回転する際には、作動部材13の一部(作動ピン132)にて第1操作子を作動させ、一方、作動部材13が逆回転方向に回転する際には、作動部材13の一部(作動ピン132)にて第2操作子122を作動させることができる。
【0135】
また、作動部材13は、第2位置から第3位置に向けて移動する際には第1操作子(刈取クラッチアーム121)を第3位置側に押し、第3位置から第2位置に向けて移動する際には第2操作子122を第2位置側に押す。本実施形態では、作動部材13が、図14に示す第2位置から図19に示す第3位置へ移動(回転)する際、作動ピン132にて第1操作子(刈取クラッチアーム121)の第1ピン受け部1214を第3位置側(正回転方向)に押すことで、第1操作子を作動させる。一方、作動部材13が、図19に示す第3位置から図14に示す第2位置へ移動(回転)する際、作動ピン132にて第2操作子122の第2ピン受け部1222を第2位置側(逆回転方向)に押すことで、第2操作子122を作動させる。このような構成により、第2操作部材12は、第1操作子と第2操作子122とを有しながらも、単一の作動部材13にて作動可能となる。
【0136】
さらに、本実施形態に係るクラッチ作動装置1は、作動部材13が正回転方向に回転(移動)する場合だけでなく、逆回転方向に回転(移動)する際にも、第1クラッチ21及び第2クラッチ22の切り替えを行う。すなわち、作動部材13が逆回転方向に回転し、図19に示す第3位置から、図14に示す第2位置を通って、図8に示す第1位置へ移動するのに伴い、図18の状態で第2クラッチ22が切り替わり、図12の状態で第1クラッチ21が切り替わる。具体的には、本実施形態に係るクラッチ作動装置1は、作動部材13が第3位置から第2位置に移動する際に、第2クラッチ22を遮断状態に切り替え、作動部材13が第2位置から第1位置に移動する際に、第1クラッチ21を遮断状態に切り替える。
【0137】
このように、第1操作部材11及び第2操作部材12は、作動部材13が第3位置から第2位置を通って第1位置へ移動するのに伴って、第1クラッチ21及び第2クラッチ22を、第2クラッチ22、第1クラッチ21の順で切り替える。これにより、クラッチ作動装置1は、作動部材13を双方向に駆動可能とすることで、第1クラッチ21及び第2クラッチ22の双方向の切り替えが可能となる。
【0138】
また、本実施形態では、例えば、作動部材13に第1操作部材11を連動させるための機構として「ギヤ」を用いている。したがって、ギヤ比の設定次第で、作動部材13の移動量に対する第1操作部材11の移動量を調節することが可能である。例えば、本実施形態では、作動部材13のモータギヤ131を第1操作部材11の脱穀クラッチアーム111よりも大径とし、作動部材13の移動量(回転量)を増幅して第1操作部材11に伝達する。これにより、作動部材13の僅かな移動であっても、第1操作部材11及び第2操作部材12の各々を大きく作動させることが可能である。
【0139】
[4]変形例
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0140】
クラッチ作動装置1の各部についての具体的形状及び寸法等は、実施形態1で示した例に限らない。また、第1クラッチ21及び第2クラッチ22の各々がテンションクラッチであることも必須ではなく、例えば、爪クラッチ等であってもよい。
【0141】
第1連結部材31が剛性の連結ロッドであることは必須でなく、第1連結部材31は例えばワイヤであってもよい。また、第2連結部材33がワイヤであることは必須でなく、第2連結部材33は例えば剛性の連結ロッドであってもよい。
【0142】
また、第1クラッチばね32及び第2クラッチばね34の各々は、引っ張りコイルばねに限らず、例えば、圧縮コイルばね、板ばね若しくはトーションばね等、又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0143】
また、上述した作動部材13、第1操作部材11(脱穀クラッチアーム111)及び第2操作部材12(刈取クラッチアーム121)の位置(回転角度)は、一例に過ぎない。これらの位置は、例えば、作動部材13、第1操作部材11及び第2操作部材12の位置関係、大きさ又はギヤ比等によって、適宜変更可能である。
【0144】
また、作動部材13は、回転駆動される構成に限らず、例えば、直進駆動されてもよい。この場合、直進駆動される作動部材13の可動範囲の一端側に第1位置が設定され、他端側に第3位置が設定され、これら第1位置と第3位置との間に第2位置が設定される。
【0145】
また、アクチュエータ14は、電動モータに限らず、例えば、油圧アクチュエータ又は空気圧アクチュエータ等であってもよい。さらに、アクチュエータ14は、回転力を出力する構成に限らず、例えば、リニアモータ又はシリンダ等のように、直進動作する構成であってもよい。アクチュエータ14が直進動作する場合に、作動部材13は、直進駆動されてもよいし、直進運動を回転運動に変換する機構を介して回転駆動されてもよい。
【0146】
また、第1クラッチ21は、脱穀クラッチに限らず、例えば、作業機械4が摘取ロボットである場合に、摘取装置のクラッチ等であってもよい。第2クラッチ22は、刈取クラッチに限らず、例えば、作業機械4が摘取ロボットである場合に、ロボットアームのクラッチ等であってもよい。
【0147】
また、図20及び図21に示す変形例のように、作動部材13は、モータギヤ131と脱穀クラッチアーム111との噛み合いが解消された状態から、モータギヤ131と脱穀クラッチアーム111とが再び噛み合う動作を補助する補助部材133を更に有してもよい。すなわち、実施形態1では、第1操作部材11が作動部材13から機械的に切り離された状態で、作動部材13が逆回転方向に回転し、図13に示すように、モータギヤ131及び脱穀クラッチアーム111の1つ目の歯(ギヤ)同士が噛み合うことで、モータギヤ131と脱穀クラッチアーム111とが再び噛み合う。この場合、モータギヤ131と脱穀クラッチアーム111との噛み合いが確実に行われやすい。
【0148】
一方、変形例として、作動部材13が補助部材133を有する場合、第1操作部材11が作動部材13から機械的に切り離された状態で、作動部材13が逆回転方向に回転し、補助部材133を脱穀クラッチアーム111の引掛部117に引っ掛けることで、脱穀クラッチアーム111を逆回転方向に回転させることができる。引掛部117は、脱穀クラッチアーム111と一体化され、脱穀クラッチアーム111と共に、回転軸112を中心に回転する。この場合、補助部材133にて脱穀クラッチアーム111を逆回転方向に回転させることで、モータギヤ131と脱穀クラッチアーム111とを強制的に噛み合わせることが可能である。
【0149】
具体的に、図21の左側に示すように、第1クラッチ21の伝達状態から、作動部材13が逆回転(図中、時計回り)方向に回転することで、補助部材133が引掛部117を押して、脱穀クラッチアーム111を逆回転(図中、反時計回り)方向に作動させる。これにより、図21の右側に示すように、モータギヤ131と脱穀クラッチアーム111とが強制的に噛み合わされ、作動部材13が逆回転方向に更に回転することで、第1クラッチ21が遮断状態に切り替わる。そのため、当該変形例によれば、モータギヤ131及び脱穀クラッチアーム111の1つ目の歯を保護しやすい。
【0150】
(実施形態2)
本実施形態に係る作業機械4は、クラッチ作動装置1により作動されるクラッチの構成が、実施形態1に係る作業機械4と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0151】
本実施形態では、第2クラッチ22の構成が実施形態1とは相違する。第2クラッチ22はテンションクラッチであるので、第2伝達ベルト221を緊張又は弛緩させることにより、伝達状態と遮断状態とを切り替える。この種のテンションクラッチにおいては、遮断状態では、第2伝達ベルト221にテンションがかからないため、例えば、第2伝達ベルト221の伸び又は芯ずれ等に起因して、第2伝達ベルト221の連れ回り、又は第2伝達ベルト221が外れやすくなる等の不具合を生じる可能性がある。
【0152】
そこで、本実施形態では、第2クラッチ22は、図22及び図23に示すように、遮断状態において、第2伝達ベルト221を第2テンションローラ225との間に挟み込む保持部材226を更に有し、上述した不具合の発生を抑制する。具体的に、保持部材226は、第2テンションアーム224に固定されている。第2テンションアーム224は、略三角形の板状部材であって、3つの角部にそれぞれ、支持軸227、第2テンションローラ225及び保持部材226が固定されている。第2テンションアーム224は、支持軸227を支点に回転可能に支持されており、第2テンションアーム224が回転することで、第2テンションローラ225が「弛緩位置」と「緊張位置」との間を移動する。
【0153】
本実施形態では一例として、保持部材226は、ばね支持アーム228の固定軸を兼ねている。保持部材226は、第2プーリ222の回転軸と平行な方向に長さを有する円柱状の部材である。ばね支持アーム228は、長さを有する板状部材であって、長手方向の一端部に第2クラッチばね34が取り付けられる。保持部材226は、第2テンションアーム224と、ばね支持アーム228の長手方向の他端部とを連結し、第2テンションアーム224の回転に連動してばね支持アーム228を回転させる。
【0154】
ここで、第2伝達ベルト221は、その一部を、保持部材226と第2テンションローラ225との間に通すように配置されている。保持部材226は、第2伝達ベルト221の内側であって、第2伝達ベルト221を介して第2テンションローラ225と対向する位置に配置されている。さらに、保持部材226が第2伝達ベルト221の摺動を阻害しないように、保持部材226と第2テンションローラ225との間には、第2伝達ベルト221の厚みよりやや大きな隙間が確保される。
【0155】
この構成によれば、遮断状態(図22及び図23の左側の状態)においては、保持部材226が強制的に第2伝達ベルト221を緩めるので、第2伝達ベルト221の連れ回りが生じにくい。また、遮断状態において、保持部材226と第2テンションローラ225との間に第2伝達ベルト221の一部が挟まれるので、第2伝達ベルト221が外れやすくなる等の不具合も生じにくい。ただし、保持部材226と第2テンションローラ225との間には、第2伝達ベルト221の交換等のメンテナンスが可能なだけの隙間が確保されていることが好ましい。
【0156】
また、上述したような構成は、第2クラッチ22に限らず、第1クラッチ21又はその他のクラッチに採用してもよい。
【0157】
実施形態2の構成(変形例を含む)は、実施形態1で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
【0158】
(実施形態3)
本実施形態に係る作業機械4は、図24に示すように、クラッチ作動装置1Aの構成が、実施形態1に係る作業機械4と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0159】
本実施形態に係るクラッチ作動装置1Aは、図24に示すように、支持部材37と、規制部材1215と、を備えている。支持部材37は、ワイヤからなる第2連結部材33を支持する部材である。規制部材1215は、刈取クラッチアーム121の可動範囲(回転範囲)を制限するための部材である。
【0160】
より詳細には、支持部材37は、ワイヤからなる第2連結部材33をクランプするクランプ部371を有するワイヤステー(ワイヤクランプ)である。支持部材37は、クランプ部371で第2連結部材33を支持した状態で、第2連結部材33の根本(連結板153に保持されている部分)付近の姿勢(曲率)を所定範囲内に維持する。支持部材37は、直接的又は間接的に、ボディ15に支持されている。したがって、第2連結部材33は、支持部材37により、直接的又は間接的に、ボディ15に支持されることになる。
【0161】
本実施形態では一例として、ボディ15には、リンクアーム116を第3クラッチアーム114及び第4クラッチアーム115に連結するための連結板153が固定されている。支持部材37は、軸部372を介して連結板153に回転可能に支持される。これにより、支持部材37は、軸部372の軸心を通る回転軸Ax1を中心に回転可能な状態で、連結板153を介して間接的に、ボディ15に支持される。
【0162】
ここで、軸部372は、回転軸Ax1の一方側から見て、クランプ部371から離間した位置に配置されている。具体的に、第2連結部材33の長手方向において、第2支持部123とクランプ部371との間に軸部372が位置するように、クランプ部371及び軸部372の位置関係が規定されている。
【0163】
また、規制部材1215は、刈取クラッチアーム121の正回転(図24では反時計回り)方向への可動範囲を規制する。本実施形態では一例として、規制部材1215は、回転部材1211の長手方向の一端部(出力軸141とは反対側の端部)に設けられている。規制部材1215は、刈取クラッチアーム121の枢支軸1213がボディ15側に延長されて構成されている。つまり、規制部材1215は、枢支軸1213と一体化されている。
【0164】
規制部材1215は、刈取クラッチアーム121の正回転方向への回転時に、第2ストッパ152に接触することで、それ以上の刈取クラッチアーム121の正回転方向への回転を規制(禁止)する。つまり、本実施形態では、刈取クラッチアーム121の可動範囲の規制に、脱穀クラッチアーム111の正回転方向への回転を規制するための第2ストッパ152が兼用されている。
【0165】
ところで、支持部材37を備えない実施形態1のクラッチ作動装置1では、図25に想像線(二点鎖線)で示すように、ワイヤからなる第2連結部材33がその自重により、根本(連結板153に保持されている部分)付近で屈曲する可能性がある。第2連結部材33が屈曲した場合、第2連結部材33の動作不良につながる可能性もある。
【0166】
また、規制部材1215を備えない実施形態1のクラッチ作動装置1では、第2クラッチ22(刈取クラッチ)を遮断状態から伝達状態へと切り替える際に、アクチュエータ14のオーバランによって、第2操作子122の変形等を生じる可能性がある。すなわち、例えば、アクチュエータ14の制御値の設定ミス等に起因して、アクチュエータ14にオーバランが生じると、刈取クラッチアーム121が第1クラッチばね32に接触する位置まで回転することがある。そのため、最悪の場合、第2操作子122が変形して、ガイドピン1221がガイド溝161から外れる等の不具合につながる可能性がある。
【0167】
本実施形態に係るクラッチ作動装置1Aは、支持部材37及び規制部材1215を備えることで、これらの不具合を解消可能である。
【0168】
すなわち、本実施形態に係るクラッチ作動装置1Aは、支持部材37を更に備える。支持部材37は、第2操作部材12に第2クラッチ22を連結する第2連結部材33を支持する。このクラッチ作動装置1Aでは、図26に示すように、支持部材37が、クランプ部371で第2連結部材33を支持することで、第2連結部材33の根本(連結板153に保持されている部分)付近の曲率が所定範囲内に維持される。そのため、ワイヤからなる第2連結部材33がその自重を受けても、根本付近で屈曲しにくくなる。図26は、作動部材13が第1位置から正回転方向へ「125度」回転した状態を示す。
【0169】
さらに、支持部材37は、第2連結部材33を支持した状態で、第2操作部材12の動作に伴って回転可能である。そのため、図27に示すように、出力軸141が回転して、刈取クラッチアーム121が作動(回転)して第2連結部材33が移動しても、これに追従するように、支持部材37は、クランプ部371で第2連結部材33を支持したままで回転する。具体的に、クランプ部371から離間した位置にある回転軸Ax1を中心に、支持部材37が回転するので、第2連結部材33の根本(連結板153に保持されている部分)付近の曲率が所定範囲内に維持される。図27は、作動部材13が第1位置から正回転方向へ「240度」回転した状態を示す。
【0170】
また、実施形態に係るクラッチ作動装置1Aは、規制部材1215を更に備える。規制部材1215は、第2操作部材12の可動範囲を規制する。具体的に、図27に示すように、刈取クラッチアーム121が正回転(図27では反時計回り)方向へ回転すると、規制部材1215が第2ストッパ152に接触し、それ以上の刈取クラッチアーム121の正回転方向への回転を規制(禁止)する。そのため、アクチュエータ14のオーバランが抑制され、第2操作子122の変形等を抑制することができる。
【0171】
また、クラッチ作動装置1Aが、支持部材37と規制部材1215との両方を備えることは必須ではなく、支持部材37と規制部材1215とのいずれか一方のみを備えてもよい。
【0172】
また、上述したような構成は、支持部材37及び規制部材1215の具体的な構成は、上述した例に限らず、適宜変更可能である。例えば、規制部材1215は、枢支軸1213とは別に設けられてもよいし、第2ストッパ152とは別の部位に接触することで、刈取クラッチアーム121の回転を規制してもよい。
【0173】
実施形態3の構成(変形例を含む)は、実施形態1又は実施形態2で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
【0174】
〔発明の付記〕
以下、上述の実施形態から抽出される発明の概要について付記する。なお、以下の付記で説明する各構成及び各処理機能は取捨選択して任意に組み合わせることが可能である。
【0175】
<付記1>
第1クラッチを切り替えるための第1操作部材と、
第2クラッチを切り替えるための第2操作部材と、
前記第1操作部材及び前記第2操作部材を作動させる作動部材と、を備え、
前記第1操作部材及び前記第2操作部材は、前記作動部材が第1位置から第2位置を通って第3位置へ移動するのに伴って、前記第1クラッチ及び前記第2クラッチを、前記第1クラッチ、前記第2クラッチの順で切り替え、
前記作動部材は、
前記第1位置から前記第2位置へ移動する際に、前記第1操作部材に作用するばね力の向きが反転する第1反転位置を通過し、
前記第2位置から前記第3位置へ移動する際に、前記第2操作部材に作用するばね力の向きが反転する第2反転位置を通過する、
作業機械のクラッチ作動装置。
【0176】
<付記2>
前記作動部材の前記第1位置から前記第3位置への移動は、前記作動部材の回転動作を含む、
付記1に記載の作業機械のクラッチ作動装置。
【0177】
<付記3>
前記作動部材が前記第1位置にあるとき、前記第1クラッチ及び前記第2クラッチはいずれも遮断状態であって、
前記作動部材が前記第3位置にあるとき前記第1クラッチ及び前記第2クラッチはいずれも伝達状態である、
付記1又は2に記載の作業機械のクラッチ作動装置。
【0178】
<付記4>
前記作動部材が前記第2位置と前記第3位置との間にある場合、前記第1操作部材は前記作動部材から機械的に切り離される、
付記1~3のいずれかに記載の作業機械のクラッチ作動装置。
【0179】
<付記5>
前記作動部材が前記第1位置と前記第2位置との間にある場合、前記第2操作部材は前記作動部材から機械的に切り離される、
付記1~4のいずれかに記載の作業機械のクラッチ作動装置。
【0180】
<付記6>
前記第2操作部材は、前記作動部材が前記第2位置から前記第3位置に向けて移動する際にのみ前記作動部材によって作動される第1操作子と、前記作動部材が前記第3位置から前記第2位置に向けて移動する際にのみ前記作動部材によって作動される第2操作子と、を有する、
付記1~5のいずれかに記載の作業機械のクラッチ作動装置。
【0181】
<付記7>
前記第1操作部材及び前記第2操作部材は、前記作動部材が前記第3位置から前記第2位置を通って前記第1位置へ移動するのに伴って、前記第1クラッチ及び前記第2クラッチを、前記第2クラッチ、前記第1クラッチの順で切り替える、
付記1~6のいずれかに記載の作業機械のクラッチ作動装置。
【0182】
<付記8>
前記作動部材の移動軌跡を含む仮想平面に直交する一方向から見て、前記作動部材は、前記第1操作部材と前記第2操作部材との間に配置されている、
付記1~7のいずれかに記載の作業機械のクラッチ作動装置。
【0183】
<付記9>
前記作動部材は、アクチュエータによって駆動される、
付記1~8のいずれかに記載の作業機械のクラッチ作動装置。
【0184】
<付記10>
前記第2操作部材に前記第2クラッチを連結する第2連結部材を支持する支持部材を更に備える、
付記1~9のいずれかに記載の作業機械のクラッチ作動装置。
【0185】
<付記11>
前記支持部材は、前記第2連結部材を支持した状態で、前記第2操作部材の動作に伴って回転可能である、
付記10に記載の作業機械のクラッチ作動装置。
【0186】
<付記12>
前記第2操作部材の可動範囲を規制する規制部材を更に備える、
付記1~11のいずれかに記載の作業機械のクラッチ作動装置。
【0187】
<付記13>
付記1~12のいずれかに記載の作業機械のクラッチ作動装置と、
前記第1クラッチ及び前記第2クラッチが搭載された機体と、
を備える作業機械。
【符号の説明】
【0188】
1,1A クラッチ作動装置
4 作業機械
11 第1操作部材
12 第2操作部材
13 作動部材
14 アクチュエータ
21 第1クラッチ
22 第2クラッチ
33 第2連結部材
37 支持部材
40 機体
121 刈取クラッチアーム(第1操作子)
122 第2操作子
1215 規制部材
図1
図2
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