(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100683
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】物理層衝突回避装置及びその緊急送信方法
(51)【国際特許分類】
H04L 47/6275 20220101AFI20240719BHJP
【FI】
H04L47/6275
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023181604
(22)【出願日】2023-10-23
(31)【優先権主張番号】112101676
(32)【優先日】2023-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】509164038
【氏名又は名称】九暘電子股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】黄 俊穎
【テーマコード(参考)】
5K030
【Fターム(参考)】
5K030GA02
5K030LA03
5K030LA04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】物理層衝突回避(PLCA)装置及びその緊急送信方法を提供する。
【解決手段】PLCAネットワークにおいて緊急送信を実行する方法は、PLCA装置が緊急送信モードに入ったという判断に応答して、第1のパケット送信を実行している第1のPLCA装置を見つける工程と、第1のPLCA装置の第1の送信優先度がPLCA装置の送信優先度より低いとの判断に応答して、第1のPLCA装置の第1のパケット送信を中止する工程と、PLCA装置が対応するパケット送信を実行する番であるとの判断に応答して、緊急送信モードに対応する緊急パケットを送信する工程と、を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理層衝突回避ネットワークに属する物理層衝突回避装置であって、
通信回路と、
前記通信回路に接続され、
前記物理層衝突回避装置が緊急送信モードに入ったという判断に応答して、前記物理層衝突回避ネットワークから、対応する第1のパケット送信を実行している第1の物理層衝突回避装置を見つけ、
前記第1の物理層衝突回避装置の第1の送信優先度が前記第1の物理層衝突回避装置の送信優先度より低いとの判断に応答して、前記第1の物理層衝突回避装置の前記第1のパケット送信を中止し、
前記物理層衝突回避装置が対応するパケット送信を実行する順番であるとの判断に応答して、少なくとも1つの緊急パケット 前記緊急送信モードに対応する少なくとも1つの緊急パケットを送信するように前記通信回路を制御する様に構成されたコントローラと、
を備える物理層衝突回避装置。
【請求項2】
前記物理層衝突回避ネットワークは、前記物理層衝突回避装置及び少なくとも1つの他の物理層衝突回避装置を備え、
前記物理層衝突回避装置及び前記少なくとも1つの他の物理層衝突回避装置はそれぞれ、対応する送信機会に従って、前記物理層衝突回避ネットワーク内で対応するパケット送信を実行する、請求項1に記載の物理層衝突回避装置。
【請求項3】
前記コントローラは、
現在の送信機会を判断し、それに応じて、前記対応する第1のパケット送信を現在実行している第1の物理層衝突回避装置を判断するように構成された、請求項2に記載の物理層衝突回避装置。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記現在の送信機会が前記物理層衝突回避装置に属するとの判断に応答して、前記物理層衝突回避装置が前記パケット送信を実行する番であると判断するように構成された、請求項3に記載の物理層衝突回避装置。
【請求項5】
前記物理層衝突回避装置及び前記少なくとも1つの他の物理層衝突回避装置は、それぞれ対応するノード番号を有し、
前記コントローラは、
前記第1の物理層衝突回避装置の前記ノード番号が前記物理層衝突回避装置の前記ノード番号より大きいとの判断に応答して、
前記前記第1の物理層衝突回避装置の第1の送信優先度が前記物理層衝突回避装置の前記送信優先度より低いと判断し、
前記第1の物理層衝突回避装置の前記ノード番号が前記物理層衝突回避装置の前記ノード番号より小さいとの判断に応答して、
前記前記第1の物理層衝突回避装置の第1の送信優先度が前記物理層衝突回避装置の前記送信優先度より高いと判断するように構成された、請求項2に記載の物理層衝突回避装置。
【請求項6】
前記コントローラはさらに、
前記前記第1の物理層衝突回避装置の第1の送信優先度が前記物理層衝突回避装置の前記送信優先度より低いとの判断に応答して、前記第1の物理層衝突回避装置が前記第1のパケット送信を完了するのを待つように構成された、請求項1に記載の物理層衝突回避装置。
【請求項7】
前記コントローラはさらに、
前記物理層衝突回避ネットワーク内に干渉パケットを送信するように前記通信回路を制御することによって、前記第1の物理層衝突回避装置の前記第1のパケット送信を中止するように構成された、請求項1に記載の物理層衝突回避装置。
【請求項8】
前記第1の物理層衝突回避装置の前記第1のパケット送信を中止した後、
前記コントローラはさらに、
前記第1の物理層衝突回避装置の後に対応する第2のパケット送信を実行する少なくとも1つの第2の物理層衝突回避装置を前記物理層衝突回避ネットワークから見つけ、
各前記第2の物理層衝突回避装置の第2の送信優先度が前記物理層衝突回避装置の前記送信優先度より低いとの判断に応答して、各前記第2の物理層衝突回避装置に対応する前記第2のパケット送信を中止するように構成された、請求項1に記載の物理層衝突回避装置。
【請求項9】
前記コントローラは、
各前記第2の物理層衝突回避装置が前記対応する第2のパケット送信を実行するときに、前記物理層衝突回避ネットワーク内に対応する干渉パケットを送信するように前記通信回路を制御することによって、各前記第2の物理層衝突回避装置に対応する前記第2のパケット送信を中止するように構成された、請求項8に記載の物理層衝突回避装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの緊急パケットの送信時間の合計は、前記物理層衝突回避装置の予め設定された最大送信時間よりも大きい、請求項1に記載の物理層衝突回避装置。
【請求項11】
前記コントローラはさらに、
前記少なくとも1つの緊急パケットに対応する前記パケット送信が完了したとの判断に応答して、前記緊急送信モードを終了するように構成された、請求項1に記載の物理層衝突回避装置。
【請求項12】
物理層衝突回避装置に適した、物理層衝突回避ネットワークにおいて緊急送信を実行する方法であって、
前記物理層衝突回避装置が緊急送信モードに入ったという判断に応答して、前記物理層衝突回避ネットワークから、対応する第1のパケット送信を実行している第1の物理層衝突回避装置を見つけることと、
前記第1の物理層衝突回避装置の第1の送信優先度が前記第1の物理層衝突回避装置の送信優先度より低いとの判断に応答して、前記第1の物理層衝突回避装置の前記第1のパケット送信を中止することと、
前記物理層衝突回避装置が対応するパケット送信を実行する順番であるとの判断に応答して、前記緊急送信モードに対応する少なくとも1つの緊急パケットを送信することと、を備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理層衝突回避(PLCA)技術に関し、特に、物理層衝突回避装置及び物理層衝突回避ネットワークにおける緊急送信の実施方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既存の技術では、10BASE-T1Sがコントローラエリアネットワーク(CAN)バスなどの既存のマルチポイントネットワークと置き換わると期待されている。CAN(Controller Area Network)バスは、搬送波感知多重アクセス/衝突検出(CSMA/CD、Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)プロトコルを通じて、識別情報をプリセットし、送信中に優先順位を調停することで、データパケットの送信遅延を短縮し、予測可能な送信時間という目標を達成する。
【0003】
IEEE 802.3cg-2019基準に基づいて、PLCAノードは帯域幅を均等に共有する。ユーザは、一部のノードの優先順位が高くなるように最大バースト数(maximum burst count)を調整して帯域幅を調整できるが、優先順位の高いこれらのPLCAノードは、データパケットを送信するために自分の送信機会(transmission opportunity,TO)を待つ必要がある。これは、データパケットが送信されるまでに(他のノードがパケット送信を完了するまでに)長い時間がかかる可能性があることを意味する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これを考慮して、本発明は、上記の技術的課題を解決するために使用できる、物理層衝突回避装置及び物理層衝突回避ネットワークにおける緊急送信方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態は、物理層衝突回避ネットワークに属する物理層衝突回避装置を提供する。物理層衝突回避装置は、通信回路とコントローラとを含む。コントローラは、通信回路に接続され、以下の動作を実行するように構成される。物理層衝突回避装置が緊急送信モードに入ったという判断に応答して、対応する第1のパケット送信を実行している第1の物理層衝突回避装置を見つける。第1の物理層衝突回避装置の第1の送信優先度が第1の物理層衝突回避装置の送信優先度よりも低いとの判断に応答して、第1の物理層衝突回避装置の第1のパケット送信を中止する。物理層衝突回避装置が対応するパケット送信を実行する番であるとの判断に応答して、通信回路は緊急送信モードに対応する少なくとも1つの緊急パケットを送信するように制御される。
【0006】
本発明の一実施形態は、以下の動作を含む、物理層衝突回避装置に適した、物理層衝突回避ネットワークにおいて緊急送信を実行する方法を提供する。物理層衝突回避装置が緊急送信モードに入ったという判断に応答して、対応する第1のパケット送信を実行している第1の物理層衝突回避装置を見つける。第1の物理層衝突回避装置の第1の送信優先度が第1の物理層衝突回避装置の送信優先度よりも低いとの判断に応答して、第1の物理層衝突回避装置の第1のパケット送信を中止する。物理層衝突回避装置が対応するパケット送信を実行する番であるとの判断に応答して、緊急送信モードに対応する少なくとも1つの緊急パケットが送信される。
【発明の効果】
【0007】
上記に基づいて、本発明の実施形態によって提供される方法は、緊急送信モードに入るPLCA装置が、より低い送信優先度を有する他のPLCA装置のパケット送信を適時に中止することを可能にし、それによって待機時間を短縮する効果を達成する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態によるPLCAネットワークの概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるPLCAメカニズムの概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるPLCAネットワークにおいて緊急送信を実行する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1を参照すると、
図1は、本発明の一実施形態によるPLCAネットワークの概略図である。
図1において、PLCAネットワーク100は、PLCA装置10~1Nを含み、PLCA装置10~1Nは、同一または類似の構造を有していても良い。PLCA装置10を例に挙げると、それは、通信回路102とコントローラ104を含む。
【0010】
一実施形態では、通信回路102は、例えば、PLCA装置10とPLCAネットワーク100内の他のPLCA装置との間の通信を実現するために使用されて良い。通信回路101は、PLCA装置10~1N間のパケット交換に使用される通信プロトコルに応じた対応する通信機能を有する通信モジュールとして実現されても良い。
【0011】
一実施形態では、PLCA装置10~1Nは、例えば、パケット交換にCSMA/CDプロトコルを使用することができる。この場合、通信回路102は、例えば、CSMA/CD機能を備えた通信モジュールとして実現されても良いが、これに限定されない。
【0012】
コントローラ104は、通信回路102に結合されており、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、従来のプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、複数のマイクロプロセッサ、1つ以上の複合デジタル信号処理マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、他のタイプの集積回路、ステート・マシン、アドバンスト・リスク・マシン(ARM)ベースのプロセッサなどであっても良い。
【0013】
図1において、PLCA装置11~1Nの構造は、PLCA装置10の関連説明を参照することができ、ここでは説明を繰り返さない。
【0014】
本発明の実施形態では、PLCA装置10~1Nはそれぞれ、対応する送信機会に従って、PLCAネットワーク100内で対応するパケット送信を実行する。
【0015】
図2を参照すると、
図2は、本発明の一実施形態によるPLCAメカニズムの概略図である。
図2に示す状況では、PLCA装置10~1Nが実際にPLCAメカニズムを動作させる前に、PLCA装置10~1Nの対応するノード識別子は手動で設定されても良いし、PLCAネットワーク100内のPLCA装置10~1Nのそれぞれのノード識別子は、特定のメカニズムに基づいて決定されても良い。
【0016】
本開示の実施形態では、各PLCA装置10~1Nのノード識別子が対応するノード番号によって表現され、各PLCA装置10~1Nのノード番号はPLCAネットワーク100内の各PLCA装置10~1Nの送信優先度に対応しても良いと仮定する。
【0017】
一実施形態では、例えば、より低いノード番号を有するPLCA装置は、より高い送信優先度を有していても良いが、これに限定されない。説明を容易にするために、以下では、PLCA装置10~1Nのノード番号がそれぞれノード番号0~Nであると仮定するが、これは単なる例であり、本発明の可能な実施を限定することを意図するものではない。
【0018】
図2において、PLCA機器10~1Nのノード番号をそれぞれノード番号0~Nと仮定しているので、これは、PLCA機器10~1Nの送信優先度が順に低くなるということを意味する。この場合、PLCAメカニズムが動作している場合には、PLCA装置10~1Nの送信機会210~21Nが順番に配置される。
【0019】
この場合、PLCAメカニズムが動作しているときは、PLCA装置10~1Nは、対応する送信機会で順次送信され、PLCA装置1Nに対応する送信機会21Nが終了した後(例えば、送信優先度が最も低いPLCA装置)、再びPLCA装置10(例えば、最も高い送信優先順位を有するPLCA装置)に対応する送信機会210の順番となる。さらに、各PLCA装置10~1Nは、現在の送信機会がどのPLCA装置に対応するかを決定しても良い。
【0020】
一実施形態では、PLCA装置10~1Nのうちの1つが緊急送信モードに入る場合において、このPLCA装置が現在の送信機会に対応するPLCA装置でないときは、このPLCA装置は、対応する送信機会で送信するために長時間待機する必要がある可能性がある。
【0021】
例えば、PLCA装置13が対応する送信機会213を実行するときに、PLCA装置11が緊急送信モードに入ると仮定すると、PLCA装置11は、PLCA装置13~11N、10が対応する送信契機213~21N、210を順次完了するのを待つ必要があり、PLCA装置11に対応する送信契機211を実行したときに、緊急送信モードに対応するパケットを送信することができる。さらに、緊急送信モードに入るPLCA装置11が対応する送信機会211を実行する番である場合でも、PLCA装置11によって実行される送信時間も、予め設定された最大送信時間(例えば、上記最大バースト数)に制限されるため、緊急送信モードに対応したパケットを完全に送信できない可能性がある。
【0022】
これを考慮して、本発明は、上記の技術的課題を解決するために使用され得る、PLCAネットワークにおける緊急送信のための方法を提供する。これについては以下でさらに説明する。
【0023】
図3を参照すると、
図3は、本発明の一実施形態によるPLCAネットワークにおいて緊急送信を実行する方法のフローチャートである。本発明の一実施形態では、
図3の方法は、
図1のPLCA装置10~1Nのいずれかによって実行されても良い。説明を容易にするために、以下では、
図3の各工程はPLCA装置10によって実行されると仮定し、
図3の各工程の詳細は
図1の内容と組み合わせて以下に説明する。
【0024】
まず、工程S310において、PLCA装置10が緊急送信モードに入ったという判断に応答して、コントローラ104は、対応する第1のパケット送信を実行している第1のPLCA装置をPLCAネットワーク100から見つける。
【0025】
上述したように、各PLCA装置10~1Nは、現在の送信機会がどのPLCA装置に対応するかを判断することができる。これに基づいて、一実施形態では、コントローラ104は、現在の送信機会を判断し、それに応じて、対応する第1のパケット送信を現在実行している第1のPLCA装置を判断することができる。
【0026】
図2を例にとると、コントローラ104が現在の送信機会が送信機会211であると判断したと仮定すると、コントローラ104は、PLCA装置11が、対応する第1のパケット送信を現在実行している第1のPLCA装置であると判断することができる。別の例として、コントローラ104が、現在の送信機会が送信機会21Nであると判断したと仮定すると、コントローラ104は、PLCA装置1Nが、対応する第1のパケット送信を現在実行している第1のPLCA装置であると判断することができるが、これに限定されない。
【0027】
さらに、
図2の状況では、コントローラ104が、現在の送信機会がPLCA装置10に属する送信機会210であると判断した場合、コントローラ104は、PLCA装置10がパケット送信を実行する番であると判断することができるが、これに限定されない。
【0028】
次に、工程S320において、第1のPLCA装置の第1の送信優先度がPLCA装置10の送信優先度より低いとの判断に応答して、コントローラ104は、第1のPLCA装置の第1のパケット送信を中止する。
【0029】
上述したように、各PLCA装置10~1Nの送信優先度は、各PLCA装置10~1Nのノード番号として表すことができ、ノード番号が小さいほど送信優先度が高いことになる。これに基づいて、コントローラ104は、例えば、第1のPLCA装置のノード番号がPLCA装置10のノード番号より大きいかどうかを判断することによって、第1のPLCA装置の第1の送信優先度がPLCA装置10の送信優先度より低いかどうかを判断する。
【0030】
第1の実施形態では、第1のPLCA装置のノード番号がPLCA装置のノード番号より小さいとの判断に応答して、コントローラ104は、第1のPLCA装置の第1の送信優先度がPLCA装置10の送信優先度より高いと判断することができる。この場合、コントローラ104は、例えば、第1のPLCA装置が第1のパケット送信を完了するのを待つことができるが、これに限定されない。
【0031】
第2の実施形態では、第1のPLCA装置のノード番号がPLCA装置10のノード番号より大きいとの判断に応答して、コントローラ104は、第1のPLCA装置の第1の送信優先度がPLCA装置10の送信優先度より低いと判断することができる。この場合、コントローラ104は、第1のPLCA装置の第1のパケット送信を中止することができる。一実施形態では、コントローラ104は、例えば、通信回路102を制御して、PLCAネットワーク100内に干渉パケットを送信し、第1のPLCA装置の第1のパケット送信を中止することができる。この場合、第1のPLCA装置に対応する送信機会は、次の送信機会が早く開始されるように早く終了することができる。このようにして、PLCA装置10の待機時間を短縮する効果が得られ、PLCA装置10は、対応する送信機会をより早く実行することができる。
【0032】
さらに、第1のPLCA装置の第1のパケット送信を中止した後、コントローラ104は、第1のPLCA装置の後に対応する第2のパケット送信を実行する1つまたは複数の第2のPLCA装置をPLCAネットワーク100から見つけ、各第2のPLCA装置の第2の送信優先度がPLCA装置10の送信優先度よりも低いかどうかを判断しても良い。
【0033】
一実施形態では、各第2のPLCA装置の第2の送信優先度がPLCA装置10の送信優先度よりも低いとの判断に応答して、コントローラ104は、各第2のPLCA装置に対応する第2のパケット送信を中止しても良い。
【0034】
例えば、コントローラ104は、各第2のPLCA装置が対応する第2のパケットを実行しているときに、各第2のPLCA装置に対応する第2のパケット送信を中止するように、通信回路102を制御することによって、対応する干渉パケットをPLCAネットワーク100内に送信することができる。
【0035】
図2を例にとると、コントローラ104は、現在の送信機会がPLCA装置11に対応する送信機会211であると判断したと仮定する。この場合、コントローラ104が、PLCA装置11の送信優先度がPLCA装置10の送信優先度より低いと判断した後、コントローラ104は、通信回路102を制御して、PLCAネットワーク100内に干渉パケットを送信し、PLCA装置11のパケット送信を中止することができる。このようにして、送信機会211をより早く終了し、送信機会212をより早く開始することができ、それによって送信機会210の順になるのがより早くなり、これにより、PLCA装置10は、緊急送信モードに対応する緊急パケットを送信することができる。
【0036】
次に、コントローラ104は、PLCA装置12(すなわち、PLCA装置11の後に対応するパケット送信を実行するPLCA装置)の送信優先度がPLCA装置10の送信優先度よりも低いと判断した後、コントローラ104は、通信回路102を制御して、PLCAネットワーク100内に干渉パケットを送信し、PLCA装置12のパケット送信を中止することができる。このようにして、送信機会212をより早く終了し、送信機会213をより早く開始することができる。
【0037】
上記の原理に基づいて、コントローラ104は、各PLCA装置13~1Nが対応する送信機会213~21Nを実行するときに、対応する干渉パケットを使用して、各PLCA装置13~1Nのパケット送信を中止することができる。このようにして、PLCA装置10の待機時間を短縮することができ、PLCA装置10の送信機会210をより早く開始することができる。
【0038】
工程S330において、PLCA装置10が対応するパケット送信を実行する順である(すなわち、PLCA装置10に対応する送信機会の順である)との判断に応答して、コントローラ104は、通信回路102を制御して、緊急送信モードに対応する緊急パケットを送信する。
【0039】
一実施形態では、PLCA装置10は、すべての緊急パケットが送信されるまで、継続的に緊急パケットを送信することができる。言い換えれば、PLCA装置10が緊急パケットを送信するために使用する送信時間の合計は、PLCA装置10の予め設定された最大送信時間より大きくてもよいが、これに限定されない。
【0040】
一実施形態では、緊急パケットに対応するパケット送信が完了したとの判断に応答して、コントローラ104は、緊急送信モードを終了するようにPLCA装置10を制御することができる。この場合、PLCA装置10は、他のPLCA装置のパケット送信を干渉パケットで中止することを停止し、PLCA装置10~1Nを従来のPLCAメカニズムに基づいて動作させることができるが、これに限定されない。
【0041】
本発明の概念を理解しやすくするために、以下では
図2を例としてさらに説明する。第3の実施形態では、PLCA機器13が送信機会213を実行したときに、PLCA機器12が緊急送信モードに入ると仮定すると、PLCA装置12は、前述の教示に従って、PLCA装置13~1N(その送信優先度がPLCA装置12より低い)のうちの少なくとも1つに対応するパケット送信を中止することができ、それによって、送信機会213~21Nのうちの少なくとも1つを短縮することができる。
【0042】
そして、送信機会21Nが終了すると、再び送信機会210が開始される。この場合、PLCA装置10の送信優先度はPLCA装置13の送信優先度よりも高いため、PLCA装置13は、PLCA装置10が対応するパケット送信を完了するのを待つことになる。すなわち、PLCA装置13は、例えば干渉パケットを送信することによって、送信機会210を短縮しようとしない。同様に、PLCA装置11及び12の送信優先度はPLCA装置13の送信優先度よりも高いため、PLCA装置13は、PLCA装置11及び12が対応するパケット送信を完了するのを待つことになる。すなわち、PLCA装置13は、例えば干渉パケットを送信することによって、送信機会211及び212を短縮しようとしない。
【0043】
送信機会212が終了した後、PLCA装置13は、対応する送信機会213で必要な緊急パケットを送信することができる。上記教示によれば、送信機会213~21Nのうちの少なくとも1つが短縮されるため、送信機会213をより早く開始することができ、PLCA装置13の待機時間を短縮することができる。
【0044】
まとめると、本開示の実施形態によって提供される方法は、緊急送信モードに入るPLCA装置が、より低い送信優先度を有する他のPLCA装置のパケット送信を適時に中止することを可能にし、それによって待機時間を短縮する効果を達成する。
【0045】
以上、実施形態を参照して本発明を詳細に説明したが、これらは本発明を限定するものではない。当業者は、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく変更及び修正を加えることが可能であることを理解すべきである。したがって、本開示の保護範囲は、以下の特許請求の範囲によって定義されるものとする。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の物理層衝突回避装置及び物理層衝突回避ネットワークにおいて緊急送信を実行する方法は、緊急送信モードに入るPLCA装置が、より低い送信優先度を有する他のPLCA装置のパケット送信を適時に中止できるようにするのに適しており、これにより、より高い優先順位を有するPLCAノードは、データパケットを送信する順番を待つ必要がなくなる。
【符号の説明】
【0047】
100: PLCA ネットワーク
10~1N: PLCA装置
102: 通信回路
104: コントローラ
210~21N: 送信機会
S310~S330: 工程
【外国語明細書】