(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100685
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】オンライン契約システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/00 20230101AFI20240719BHJP
【FI】
G06Q10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023185892
(22)【出願日】2023-10-30
(31)【優先権主張番号】P 2023004373
(32)【優先日】2023-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】514080763
【氏名又は名称】フリーサイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093104
【弁理士】
【氏名又は名称】船津 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】鬼頭 政人
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA20
5L049AA20
(57)【要約】
【課題】 契約書のテンプレートに利便性の高い機能を付与してオンライン契約の効率を向上させるオンライン契約システム及びプログラムを提供する。
【解決手段】 契約サーバ1が提供する本テンプレートに、契約締結に関連する締結の種類、署名方法、送り先、締結の有効期限等の情報(契約関連情報)、テンプレート及び契約書を検索可能とする検索項目、契約更新に必要なリマインダ等を登録し、当該契約関連情報に従ってオンラインでの契約書データを送信して署名を行い、締結の有効期限に基づくリマインドを実行し、検索項目でテンプレート及び契約書の検索を容易にし、リマインダによって契約の更新のリマインドを行うオンライン契約システム及びプログラムである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オンラインによって契約を締結する契約サーバを有するオンライン契約システムであって、
前記契約サーバは、契約当事者のユーザ端末に契約書データ作成のためのテンプレートを提供するものであり、
前記テンプレートには、契約締結の通知方法、送付先及び電子署名の方法の事項が登録され、
前記契約サーバは、前記テンプレートに登録された事項に基づいて、前記通知方法により前記契約書データがあることを前記送付先に通知し、前記電子署名の方法により契約締結の処理を実行することを特徴とするオンライン契約システム。
【請求項2】
前記テンプレートには、契約締結の有効期限が登録され、
前記契約サーバは、前記契約締結の有効期限が経過する前に、契約当事者のユーザ端末にリマインドの通知を行って契約締結を促すことを特徴とする請求項1記載のオンライン契約システム。
【請求項3】
前記テンプレートには、契約更新のリマインダ機能が設定可能であり、
前記契約サーバは、当該リマインダ機能が設定されていると、契約更新の有効期限を契約書データから取得し、当該有効期限が満了する前に、契約当事者のユーザ端末に契約更新のリマインドの通知を行うことを特徴とする請求項1又は2記載のオンライン契約システム。
【請求項4】
前記テンプレートには、検索項目を設定可能であり、
前記契約サーバは、設定された検索項目を用いて複数のテンプレート又は前記テンプレートに基づいて作成された契約書データを検索して前記検索項目を含むテンプレート又は契約書データを抽出することを特徴とする請求項1又は2記載のオンライン契約システム。
【請求項5】
前記テンプレートには、契約の種類に応じて承認者の順番が定められたルートテンプレートが対応付けられており、
前記契約サーバは、特定の契約のテンプレートが選択されて契約書が作成されると、前記対応付けられたルートテンプレートに従って次の順番の承認者に承認を促すことを特徴とする請求項1又は2記載のオンライン契約システム。
【請求項6】
前記契約サーバは、前記ルートテンプレートに従って最後の順番の承認者によって承認が為されると、当該承認された契約書データを前記送付先に送付することを特徴とする請求項5記載のオンライン契約システム。
【請求項7】
前記契約サーバは、契約当事者のユーザ端末に配付文書データ作成のための配付文書用テンプレートを提供するものであり、
前記配付文書用テンプレートには、配付文書の通知方法、送付先の事項が登録され、
前記契約サーバは、前記配付文書用テンプレートに登録された事項に基づいて、前記通知方法により前記配付文書データがあることを前記送付先に通知し、前記配付文書の送付の処理を実行することを特徴とする請求項1記載のオンライン契約システム。
【請求項8】
オンラインによって契約を締結する契約サーバで動作するコンピュータプログラムであって、
前記契約サーバを、契約当事者のユーザ端末に契約書データ作成のためのテンプレートを提供させ、
前記テンプレートに、契約締結の通知方法、送付先及び電子署名の方法の事項を登録させ、
前記テンプレートに登録された事項に基づいて、前記通知方法により前記契約書データがあることを前記送付先に通知し、前記電子署名の方法により契約締結の処理を実行するよう機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
前記契約サーバを、前記テンプレートに、契約締結の有効期限を登録させ、
前記契約締結の有効期限が経過する前に、契約当事者のユーザ端末にリマインドの通知を行って契約締結を促すよう機能させることを特徴とする請求項8記載のプログラム。
【請求項10】
前記契約サーバを、前記テンプレートに、契約更新のリマインダ機能を設定可能とし、
当該リマインダ機能が設定されていると、契約更新の有効期限を契約書データから取得し、当該有効期限が満了する前に、契約当事者のユーザ端末に契約更新のリマインドの通知を行うよう機能させることを特徴とする請求項8又は9記載のプログラム。
【請求項11】
前記契約サーバを、前記テンプレートに、検索項目を設定可能とし、
設定された検索項目を用いて複数のテンプレート又は前記テンプレートに基づいて作成された契約書データを検索して前記検索項目を含むテンプレート又は契約書データを抽出するよう機能させることを特徴とする請求項8又は9記載のプログラム。
【請求項12】
前記契約サーバを、前記テンプレートに、契約の種類に応じて承認者の順番が定められたルートテンプレートを対応付け、
特定の契約のテンプレートが選択されて契約書が作成されると、前記対応付けられたルートテンプレートに従って次の順番の承認者に承認を促すよう機能させることを特徴とする請求項8又は9記載のプログラム。
【請求項13】
前記契約サーバを、前記ルートテンプレートに従って最後の順番の承認者によって承認が為されると、当該承認された契約書データを前記送付先に送付するよう機能させることを特徴とする請求項12記載のプログラム。
【請求項14】
前記契約サーバを、契約当事者のユーザ端末に配付文書データ作成のための配付文書用テンプレートを提供させ、
前記配付文書用テンプレートに、配付文書の通知方法、送付先の事項を登録させ、
前記配付文書用テンプレートに登録された事項に基づいて、前記通知方法により前記配付文書データがあることを前記送付先に通知し、前記配付文書の送付の処理を実行するよう機能させることを特徴とする請求項8記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オンライン契約システムに係り、特に、契約書のテンプレート機能を改善できるオンライン契約システム及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来のオンライン契約システムにおいて、予め作成されたテンプレートを利用して契約書のデータを作成するものがあった。
【0003】
[関連技術]
尚、関連する先行技術文献として、特開平10-065762号公報「通信ソフトウェアの自動試験シミュレータ及びその自動試験方法」(特許文献1)、特開2009-200539号公報「画像処理装置」(特許文献2)、特開2020-173824号公報「知的情報管理のためのシステム及び方法」(特許文献3)がある。
【0004】
特許文献1には、テンプレートファイルに複数のプロトコルの通信形式を保持させることが記載されている。
特許文献2には、テンプレートに送信情報を埋め込むことが記載されている。
特許文献3には、テンプレートに基づいて契約書を生成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-065762号公報
【特許文献2】特開2009-200539号公報
【特許文献3】特開2020-173824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のオンライン契約システムでは、テンプレートを利用して契約書データを作成するものではあるが、テンプレートに様々な利便性の高い機能を付与して、オンライン契約の効率を向上させるものとはなっていないという問題点があった。
【0007】
尚、特許文献1~3には、契約書のテンプレートに利便性の高い機能を付与してオンライン契約の効率を向上させる構成についての記載がない。
【0008】
本発明は上記実状に鑑みて為されたもので、契約書のテンプレートに利便性の高い機能を付与してオンライン契約の効率を向上させるオンライン契約システム及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、オンラインによって契約を締結する契約サーバを有するオンライン契約システムであって、契約サーバが、契約当事者のユーザ端末に契約書データ作成のためのテンプレートを提供するものであり、テンプレートには、契約締結の通知方法、送付先及び電子署名の方法の事項が登録され、契約サーバが、テンプレートに登録された事項に基づいて、上記通知方法により契約書データがあることを上記送付先に通知し、上記電子署名の方法により契約締結の処理を実行することを特徴とする。
【0010】
本発明は、上記オンライン契約システムにおいて、テンプレートには、契約締結の有効期限が登録され、契約サーバが、契約締結の有効期限が経過する前に、契約当事者のユーザ端末にリマインドの通知を行って契約締結を促すことを特徴とする。
【0011】
本発明は、上記オンライン契約システムにおいて、テンプレートには、契約更新のリマインダ機能が設定可能であり、契約サーバが、当該リマインダ機能が設定されていると、契約更新の有効期限を契約書データから取得し、当該有効期限が満了する前に、契約当事者のユーザ端末に契約更新のリマインドの通知を行うことを特徴とする。
【0012】
本発明は、上記オンライン契約システムにおいて、テンプレートには、検索項目を設定可能であり、契約サーバが、設定された検索項目を用いて複数のテンプレート又はテンプレートに基づいて作成された契約書データを検索して検索項目を含むテンプレート又は契約書データを抽出することを特徴とする。
【0013】
本発明は、上記オンライン契約システムにおいて、テンプレートには、契約の種類に応じて承認者の順番が定められたルートテンプレートが対応付けられており、契約サーバが、特定の契約のテンプレートが選択されて契約書が作成されると、対応付けられたルートテンプレートに従って次の順番の承認者に承認を促すことを特徴とする。
【0014】
本発明は、上記オンライン契約システムにおいて、契約サーバが、ルートテンプレートに従って最後の順番の承認者によって承認が為されると、当該承認された契約書データを送付先に送付することを特徴とする。
【0015】
本発明は、上記オンライン契約システムにおいて、契約サーバが、契約当事者のユーザ端末に配付文書データ作成のための配付文書用テンプレートを提供するものであり、配付文書用テンプレートには、配付文書の通知方法、送付先の事項が登録され、契約サーバが、配付文書用テンプレートに登録された事項に基づいて、通知方法により配付文書データがあることを送付先に通知し、配付文書の送付の処理を実行することを特徴とする。
【0016】
本発明は、オンラインによって契約を締結する契約サーバで動作するコンピュータプログラムであって、契約サーバを、契約当事者のユーザ端末に契約書データ作成のためのテンプレートを提供させ、テンプレートに、契約締結の通知方法、送付先及び電子署名の方法の事項を登録させ、テンプレートに登録された事項に基づいて、上記通知方法により契約書データがあることを上記送付先に通知し、上記電子署名の方法により契約締結の処理を実行するよう機能させることを特徴とする。
【0017】
本発明は、上記プログラムにおいて、契約サーバを、テンプレートに、契約締結の有効期限を登録させ、契約締結の有効期限が経過する前に、契約当事者のユーザ端末にリマインドの通知を行って契約締結を促すよう機能させることを特徴とする。
【0018】
本発明は、上記プログラムにおいて、契約サーバを、テンプレートに、契約更新のリマインダ機能を設定可能とし、当該リマインダ機能が設定されていると、契約更新の有効期限を契約書データから取得し、当該有効期限が満了する前に、契約当事者のユーザ端末に契約更新のリマインドの通知を行うよう機能させることを特徴とする。
【0019】
本発明は、上記プログラムにおいて、契約サーバを、テンプレートに、検索項目を設定可能とし、設定された検索項目を用いて複数のテンプレート又はテンプレートに基づいて作成された契約書データを検索して検索項目を含むテンプレート又は契約書データを抽出する機能させることを特徴とする。
【0020】
本発明は、上記プログラムにおいて、契約サーバを、テンプレートに、契約の種類に応じて承認者の順番が定められたルートテンプレートを対応付け、特定の契約のテンプレートが選択されて契約書が作成されると、対応付けられたルートテンプレートに従って次の順番の承認者に承認を促すよう機能させることを特徴とする。
【0021】
本発明は、上記プログラムにおいて、契約サーバを、ルートテンプレートに従って最後の順番の承認者によって承認が為されると、当該承認された契約書データを送付先に送付するよう機能させることを特徴とする。
【0022】
本発明は、上記プログラムにおいて、契約サーバを、契約当事者のユーザ端末に配付文書データ作成のための配付文書用テンプレートを提供させ、配付文書用テンプレートに、配付文書の通知方法、送付先の事項を登録させ、配付文書用テンプレートに登録された事項に基づいて、通知方法により配付文書データがあることを送付先に通知し、配付文書の送付の処理を実行するよう機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、オンラインによって契約を締結する契約サーバが、契約当事者のユーザ端末に契約書データ作成のためのテンプレートを提供するものであり、テンプレートには、契約締結の通知方法、送付先及び電子署名の方法の事項が登録され、契約サーバが、テンプレートに登録された事項に基づいて、上記通知方法により契約書データがあることを上記送付先に通知し、上記電子署名の方法により契約締結の処理を実行するオンライン契約システムとしているので、契約締結を容易に行うことができ、オンライン契約の効率を向上させることができる効果がある。
【0024】
本発明によれば、テンプレートには、契約の種類に応じて承認者の順番が定められたルートテンプレートが対応付けられており、契約サーバが、特定の契約のテンプレートが選択されて契約書が作成されると、対応付けられたルートテンプレートに従って次の順番の承認者に承認を促す上記オンライン契約システムとしているので、承認の作業を効率的に行うことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】本テンプレートへの情報登録の概略を示す説明図である。
【
図3】契約関連情報に基づく処理のフロー図である。
【
図4】契約の有効期限に基づくリマインド処理のフロー図である。
【
図5】本テンプレートとルートテンプレートの関連図である。
【
図6】配付文書用テンプレートへの情報登録の概略を示す説明図である。
【
図7】配付関連情報に基づく処理のフロー図である。
【
図8】配付文書の有効期限に基づくリマインド処理のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係るオンライン契約システム(本契約システム)は、契約書のテンプレートに契約締結に関連する締結の種類、署名方法、送り先、締結の有効期限等の情報(契約関連情報)、テンプレート及び契約書を検索可能とする検索項目、契約更新に必要なリマインダ等を登録し、当該契約関連情報に従ってオンラインでの契約書データを送信して署名を行い、締結の有効期限に基づくリマインドを実行し、検索項目でテンプレート及び契約書の検索を容易にし、契約の更新のリマインドを行うものであり、契約締結、テンプレート又は契約書の検索、契約更新を容易に行うことができ、オンライン契約の効率を向上させることができるものである。
【0027】
[本契約システム:
図1]
本契約システムについて
図1を参照しながら説明する。
図1は、本契約システムの構成概略図である。
本契約システムは、
図1に示すように、オンライン契約の処理を行う契約サーバ1と、契約当事者のユーザ端末2,3とを備え、それらがネットワーク4を介して接続されている。尚、
図1では、説明を簡単にするために、ユーザ端末を2台描画しているが、本来は多くの端末がネットワーク4に接続されるものである。
【0028】
契約サーバ1が、ユーザ端末2に契約書のテンプレートを提供し、ユーザ端末2で当該テンプレートを利用して契約書データを生成し、契約締結先のユーザ端末3に送信する。
ユーザ端末3への送信は、契約サーバ1から契約書データが作成されたことを通知し、契約サーバ1が示すURL(Uniform Resource Locator)にユーザ端末3がアクセスすることで、契約書データを取得するものである。
【0029】
本実施の形態では、ユーザ端末2に提供するテンプレート(本テンプレート)に以下に説明する情報を登録できると共に、本テンプレートを利用する上での機能の拡充を図っている。
【0030】
[本契約システムの各部]
本契約システムの各部について具体的に説明する。
[契約サーバ1]
契約サーバ1は、契約当事者のユーザ端末2とユーザ端末3との間で、オンライン契約の締結を制御するコンピュータ装置である。
契約サーバ1は、契約書データを生成するユーザ端末2に契約書の本テンプレートを提供し、契約書データの作成を行わせる。
【0031】
契約サーバ1は、制御部11と、記憶部12と、インタフェース部13とを備え、記憶部12に記憶された処理プログラムを制御部11で実行することで、以下に説明する処理を行う。
【0032】
制御部11は、記憶部12に記憶された処理プログラムを実行し、オンライン契約を実現するものであり、本テンプレートをユーザ端末2に提供し、本テンプレートを用いた処理を実行する。当該処理については後述する。
【0033】
記憶部12は、本契約システムの特徴的な処理を実行する処理プログラムを記憶すると共に、複数の契約書データ、複数の本テンプレートを記憶するものである。
インタフェース部13は、ネットワーク4に接続するインタフェースである。
【0034】
[ユーザ端末2,3]
ユーザ端末2,3は、契約当事者(ユーザ)の端末であり、パーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォンを想定している。
特に、ユーザ端末2は、契約書を作成する端末であり、契約サーバ1から提供される複数の本テンプレートの中から目的のテンプレートを選択して、選択した本テンプレートを用いて契約書データを作成し、作成された契約書データが契約サーバ1により契約相手のユーザ端末3に送信される。
本テンプレートを利用することで、登録された送付先に登録された締結方法で契約締結を実行でき、契約締結を効率よく行うことができるものである。
【0035】
[ネットワーク4]
ネットワーク4は、インターネットを想定しているが、契約書データ等の通信は暗号化されている。
【0036】
[本テンプレート機能]
本テンプレートに関する機能として、情報登録機能と、その他の機能がある。以下、具体的に説明する。
【0037】
[情報登録機能:
図2]
まず、情報登録機能について
図2を参照しながら説明する。
図2は、本テンプレートへの情報登録の概略を示す説明図である。
図2に示すテンプレートは、本契約システムのユーザ端末2で契約書のテンプレートが選択され、当該テンプレートにおける情報登録が選択された場合に表示されるものである。
【0038】
本テンプレートに登録できる情報として、
図2に示すように、契約関連情報、検索項目、リマインダ等がある。
本契約システムでは、本テンプレートに登録された情報を契約サーバ1が読み取って、その登録情報に基づいて処理を実行するものである。
【0039】
[契約関連情報]
契約関連情報は、契約締結に関連する締結の種類、署名方法、送り先(送付先)、締結の有効期限等の情報である。
契約締結の種類は、締結の手段としてメールアドレス、SMS(Short Message System)又はURL(Uniform Resource Locator)のいずれかが設定される。URLによる締結は、チャットで連絡を取り合っている相手に、チャット欄に締結用のURLを貼り付けて、契約締結を促すものである。
【0040】
署名方法は、電子サイン又は電子署名のいずれかが設定される。
送り先は、メールアドレス、その他、相手方の必須設定情報が設定される。ユーザ端末2のテンプレートにおいては、相手方はユーザ端末3の利用者となる。
相手方の必須設定情報は、相手方について必ず設定しておくべき情報であり、相手方の複数承認、相手方の電話番号確認、本人確認書類の添付等がある。
【0041】
相手方の複数承認は、相手方が複数人で承認する場合に、一次受領者たる相手が承認の必要な担当者に順次転送できるような設定をするものである。
相手方の電話番号確認は、相手方の電話番号が登録され、確認用に利用されるものである。
本人確認書類の添付は、本人確認に必要な免許証等の書類を要求するもので、この添付書類がないと契約の締結ができないものである。
【0042】
締結の有効期限は、契約を締結するために相手方が対応しなければならない比較的短い有効期限の情報が設定される。
具体的には、契約書データを送信してから1週間、2週間、4週間などの候補から締結の有効期限が選択されて、設定されるものである。
【0043】
[契約関連情報に基づく処理:
図3]
契約関連情報に基づく処理について
図3を参照しながら説明する。
図3は、契約関連情報に基づく処理のフロー図である。
図3に示すように、契約サーバ1の制御部11が、本テンプレートに登録された契約関連情報を読み込み(S1)、設定された契約の締結の種類に従って設定された相手方の送付先に締結対象の電子契約があることを通知する(S2)。
【0044】
そして、契約の相手方が契約締結を行うか否かを判定し(S3)、契約の相手方が契約を行う場合(Yesの場合)は、処理S5に移行する。
また、契約の相手方が契約締結を行わない場合(Noの場合)は、締結の有効期限が到来する前に、契約サーバ1の制御部11は、相手方のユーザ端末3に締結のリマインドの通知を行い(S4)、処理S3に移行する。
更に、相手方が契約の締結を行う場合(Yesの場合)には、設定された署名方法を用いて締結を行わせる(S5)。
【0045】
[検索項目]
検索項目は、テンプレート又は作成した契約書を検索するための項目情報である。
本テンプレートに、検索項目として特定のキーワードを登録できるようにしている。
契約サーバ1の制御部11は、テンプレート又は作成された契約書データに登録されたキーワードを検索する処理を実行すると、検索対象のキーワードが含まれるテンプレート又は契約書データを抽出する。
【0046】
[リマインダ]
リマインダは、契約書自体の有効期限(契約の有効期限)に基づいてユーザ端末2,3に契約更新をリマインドする機能のオン/オフを設定する。
【0047】
[リマインドの処理:
図4]
契約の有効期限に基づくリマインド処理について
図4を参照しながら説明する。
図4は、契約の有効期限に基づくリマインド処理のフロー図である。
契約サーバ1の制御部11は、
図4に示すように、本テンプレートのリマインダ機能がオンに設定されているかどうかを判定し(S11)、オンに設定されていれば(Yesの場合)、本テンプレートによって作成された契約書データの中に契約の有効期限が設定されているか否かを判定する(S12)。
【0048】
そして、契約書データに契約の有効期限が設定されていれば(Yesの場合)、その有効期限の満了前に契約当事者のユーザ端末2、3に契約更新のリマインドを通知する(S13)。
また、契約書データに有効期限が設定されていなければ(Noの場合)、契約締結の日から契約の有効期限を算出する(S14)。
【0049】
具体的には、契約の有効期間を定めた条項から、有効期間の年数(締結の日から〇年)を読み込み、更に締結の日付を読み込んで、有効期限を算出する。
そして、処理S13に移行し、算出された有効期限の満了前にユーザ端末2、3に契約更新のリマインドを通知する。
ここで、契約の自動更新が契約書に規定されている場合は、契約終了又は契約改訂の申し出が可能な期間にリマインドを通知するようにしてもよい。
【0050】
[その他の機能]
本テンプレートに関するその他の機能は、利用と編集の権限を分けての権限管理機能と、本テンプレートの変更表示機能と、修正テンプレートの保存機能と、入力項目初期表示機能とがある。
【0051】
[権限管理機能]
権限管理機能は、本テンプレートを利用する権限と本テンプレートを編集できる権限を分けて管理する機能である。
具体的には、契約サーバ1の制御部11は、本テンプレートを利用できる権限を有するユーザと本テンプレートを編集できる権限を有するユーザをユーザID又はメールアドレス等でテーブルにより管理しており、利用権限のないユーザ又は編集権限のないユーザの利用又は編集を拒否する。
これにより、編集権限のあるユーザしか本テンプレートを編集できないので、テンプレートを勝手に編集されるのを防止できる。
【0052】
[変更表示機能]
変更表示機能は、本テンプレートにおける変更を表示する機能で、本テンプレートに最終更新日、最終更新者を表示するものである。
これにより、本テンプレートが、最終的にいつ誰によって変更されたのかをユーザは容易に認識できるものである。
【0053】
[修正テンプレート保存機能]
修正テンプレート保存機能は、修正されたテンプレートを再利用するために、その修正テンプレートを保存できるものである。
修正テンプレートは、別名で保存してもよく、上書き保存してもよい。
【0054】
[入力項目初期表示機能]
入力項目初期表示機能は、本テンプレートに設定する入力項目について、デフォルトとして予め設定された情報を初期表示し、設定項目の入力を容易にするものである。つまり、本テンプレートでは、デフォルトとして設定項目の情報が予め記憶されているものである。
本テンプレートに、情報登録する設定項目がデフォルトとして表示されれば、変更したい項目のみを変更することで、登録情報の設定を容易に行うことができるものである。
【0055】
[応用例:
図5]
次に、本契約システムの応用例について
図5を参照しながら説明する。
図5は、本テンプレートとルートテンプレートの関連図である。
本契約システムでは、本テンプレートへの機能を設定する場合、更に設定された本テンプレートの機能を利用する場合、電子契約を行うワークフローで処理が為される。
つまり、本テンプレートの機能設定及び機能編集は、編集権限があるユーザ端末のワークフローで処理がなされ、本テンプレートの利用は、利用権限があるユーザ端末のワークフローで処理がなされる。
【0056】
ワークフローは、ユーザ端末2が契約サーバ1にアクセスしてログインし、契約サーバ1から提供されるものである。
ログインは、後述する作成者(担当者)、承認者が各自のIDで行うことで、各自のワークフローが端末に表示されるようになっている。
【0057】
[ルートテンプレートの設定]
そして、編集権限があるユーザは、
図5に示すように、本テンプレートにルートテンプレートを対応付けることができる。
ルートテンプレートは、契約の種類に応じて承認者の順番が予め定められたテンプレートで、例えば、A契約書の場合、ルートテンプレートAでは、作成者が担当者、承認者が課長、部長(最終承認者)と承認ルートが定められ、また、B契約書の場合、ルートテンプレートBでは、作成者が担当者、承認者が課長(最終承認者)と定められている。
【0058】
更に、同じB契約書でも、契約の金額によっても異なるルートテンプレートに対応付けてもよい。
例えば、B契約書で、金額が100万円未満の場合では最終承認者を課長とするルートテンプレートB1を設定し、金額が100万円以上の場合では最終承認者を部長とするルートテンプレートB2を設定するものである。
【0059】
このようにして、本テンプレートの編集権限があるユーザによって、契約の種類に応じて本テンプレートとルートテンプレートとを対応付けるものである。
尚、ルートテンプレートにおいて、承認者を権限のある役職で設定しているのは、人事異動を考慮してのことであるが、承認者をメールアドレス等の個人IDで設定してもよい。
更に、ルートテンプレートにおける中間承認者を担当の作成者が変更するようにしてもよい。これは、中間承認者が長期出張等で不在の場合に有効である。
【0060】
[本テンプレートの利用]
本契約システムにおける電子契約書を作成する担当者のユーザ端末2では、利用権限のあるユーザが契約書を作成する際に、ワークフローで該当する特定の契約書のテンプレートを選択すると、当該契約書の種類及び契約金額に応じたルートテンプレートも紐付けられて選択される。
【0061】
そして、担当者のユーザのワークフローにおいて、本テンプレートで契約書が作成されると、対応付けられるルートテンプレートに基づいて次の承認者に作成された契約書データが転送されて承認を促し、承認者のワークフローで承認が為されると、更に次の承認者に契約書データが転送されて承認を促す。
【0062】
最終の承認者が承認を行うと、最終承認された契約書データを契約サーバ1が、契約当事者の相手方の送付先(ユーザ端末3)に契約書データを自動的に送付する。
このように、本テンプレートを選択すると、契約の種類と金額に応じて承認者のルートテンプレートが紐付けられ、ルートテンプレートに従って承認をワークフローで行うことができるようにしているので、作成者は承認者を設定するのに迷うことがなく、また承認ルートを誤ることを防止できるものである。
【0063】
[配付文書への本テンプレート適用:
図6]
次に、本テンプレートを契約書のテンプレートではなく、一方的に配付する配付文書に適用した場合について
図6を参照しながら説明する。
図6は、配付文書用テンプレートの情報登録の概略を示す説明図である。
本契約システムでは、上述したように、契約書のテンプレートに様々な機能を設定して、それら機能が実行されることで、契約作業の利便性を向上させるものであるが、契約書等の署名・合意文書に限らず、一方的に配付する配付文書にも本テンプレートを適用してもよい。
【0064】
本契約システムでは、契約書(署名・合意文書)のテンプレートと配付文書のテンプレートのいずれかが選択されるようになっており、配付文書の中の特定の配付文書のテンプレートが選択されると、
図6のテンプレート(配付文書用テンプレート)が表示されて、本テンプレートとほぼ同様の機能を情報登録により設定して、配付作業の利便性を向上させるものである。
尚、配付文書には、例えば、通知書、ニューズレター等が含まれる。
【0065】
配付文書用テンプレートは、
図6に示すように、配付関連情報として、a.配付の種類、c.送り先、d.受領の有効期限が登録(設定)可能で、検索項目、リマインダ(配付文書更新のリマインドのオン/オフ)も設定可能となっている。
尚、本テンプレートにはある署名方法と相手方必須設定が、配付文書用テンプレートでは設定できないようになっている。また、上記受領の有効期限を、例えば「1週間」とデフォルトで設定するようにしてもよい。
これら情報登録によって機能設定し、当該機能を実行するのは本テンプレートと同様である。
【0066】
[配付関連情報に基づく処理:
図7]
配付関連情報に基づく処理について
図7を参照しながら説明する。
図7は、配付関連情報に基づく処理のフロー図である。
図7に示すように、契約サーバ1の制御部11が、
図6の配付文書用テンプレートに登録された配付関連情報を読み込み(S21)、設定された配付書類の種類に従って設定された相手方の送付先に配付文書があることを通知する(S22)。
【0067】
そして、相手方が配付文書の受領を行うか否かを判定し(S23)、相手方が受領を行う場合(Yesの場合)は、処理S25に移行する。
また、相手方が配付文書の受領を行わない場合(Noの場合)は、受領の有効期限が到来する前に、契約サーバ1の制御部11は、相手方のユーザ端末3に受領のリマインドの通知を行い(S24)、処理S23に移行する。
更に、相手方が配付文書の受領を行う場合(Yesの場合)には、受領を行わせる(S25)。
【0068】
[リマインドの処理:
図8]
配付文書の有効期限に基づくリマインド処理について
図8を参照しながら説明する。
図8は、配付文書の有効期限に基づくリマインド処理のフロー図である。
契約サーバ1の制御部11は、
図8に示すように、配付文書用テンプレートのリマインダ機能がオンに設定されているかどうかを判定し(S31)、オンに設定されていれば(Yesの場合)、当該テンプレートによって作成された配付文書のデータの中に配付文書の有効期限が設定されているか否かを判定する(S32)。
【0069】
そして、配付文書のデータに配付文書の有効期限が設定されていれば(Yesの場合)、その有効期限の満了前に配付元の当事者のユーザ端末2に配付文書更新のリマインドを通知する(S33)。
また、配付文書のデータに有効期限が設定されていなければ(Noの場合)、配付の日から配付の有効期限を算出する(S34)。
そして、処理S33に移行し、算出された有効期限の満了前にユーザ端末2に配付文書更新のリマインドを通知する。
【0070】
また、本テンプレートに関するその他の機能としての権限管理機能と、テンプレートの変更表示機能と、修正テンプレートの保存機能と、入力項目初期表示機能についても、配付文書用テンプレートに適用するものである。
【0071】
[実施の形態の効果]
本契約システムによれば、契約サーバ1が提供する本テンプレートに、契約締結に関連する締結の種類、署名方法、送り先、締結の有効期限等の情報(契約関連情報)、テンプレート及び契約書を検索可能とする検索項目、契約更新に必要なリマインダ等を登録し、当該契約関連情報に従ってオンラインでの契約書データを送信して署名を行い、締結の有効期限に基づくリマインドを実行し、検索項目でテンプレート及び契約書の検索を容易にし、リマインダによって契約の更新のリマインドを行うものであり、契約締結、テンプレート又は契約書の検索、契約更新を容易に行うことができ、オンライン契約の効率を向上させることができる効果がある。
【0072】
本システムによれば、本テンプレートには、契約の種類に応じて承認者の順番が定められたルートテンプレートが対応付けられ、契約サーバ1が、特定の種類の本テンプレートが選択されて契約書が作成されると、それに対応付けられたルートテンプレートに従って次の順番の承認者に承認を促すようにしているので、承認の作業を効率的に行うことができる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、契約書のテンプレートに利便性の高い機能を付与してオンライン契約の効率を向上させるオンライン契約システム及びプログラムに好適である。
【符号の説明】
【0074】
1…契約サーバ、 2,3…ユーザ端末、 4…ネットワーク、 11…制御部、 12…記憶部、 13…インタフェース部