(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100701
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】車両用制御装置及び車両用制御方法
(51)【国際特許分類】
B60W 50/00 20060101AFI20240719BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20240719BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20240719BHJP
B60W 40/08 20120101ALI20240719BHJP
B60W 50/04 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
B60W50/00
B60W60/00
B60W50/14
B60W40/08
B60W50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】32
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023210527
(22)【出願日】2023-12-13
(31)【優先権主張番号】P 2023004604
(32)【優先日】2023-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】久米 拓弥
(72)【発明者】
【氏名】和泉 一輝
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA57
3D241CA00
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CE02
3D241CE04
3D241CE05
3D241DA69Z
3D241DB01Z
3D241DB02Z
3D241DD04Z
(57)【要約】
【課題】長時間若しくは長距離の自動運転の継続による車両若しくは乗員の負荷を抑えることを可能とする。
【解決手段】自動運転を実施する車両で用いることが可能な自動運転ECU10において、自車の自動運転での連続走行時間若しくは連続走行距離である自動運転継続量を特定する継続特定部104と、継続特定部104で特定する自動運転継続量が所定の閾値を超えた場合に、自動運転での走行の制限である走行制限を行わせる走行制限部122とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転を実施する車両で用いることが可能な車両用制御装置であって、
前記車両の自動運転での連続走行時間若しくは連続走行距離である自動運転継続量を特定する継続特定部(104)と、
前記継続特定部で特定する前記自動運転継続量が所定の閾値を超えた場合に、自動運転での走行の制限である走行制限を行わせる走行制限部(122,122c,122d,122e,122f,122g,122h,122i)とを備える車両用制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用制御装置であって、
前記走行制限部は、前記車両の挙動が少ないタイミングで前記走行制限を行わせる車両用制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車両用制御装置であって、
前記走行制限部(122c)は、前記継続特定部で特定する前記自動運転継続量が所定の閾値を超えた場合の前記走行制限として、所定のタイミングとなるのを待ってから前記走行制限を行わせるタイミング走行制限と、前記タイミングとなるのを待たずに前記走行制限を行わせる即時走行制限とを、前記車両の走行環境及び前記車両の運転者の状態の少なくともいずれかに応じて切り替える車両用制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用制御装置であって、
前記走行制限部は、前記車両が片側複数車線の道路の追越車線以外の車線を走行している場合には、前記即時走行制限を用いる一方、前記車両が片側複数車線の道路の追越車線を走行している場合には、その追越車線から追越車線でない車線に移動してから前記走行制限を行わせる前記タイミング走行制限を用いる車両用制御装置。
【請求項5】
請求項3に記載の車両用制御装置であって、
前記走行制限部は、
前記タイミング走行制限と前記即時走行制限とを、前記車両の乗員の状態に応じて変化させるものであり、
前記乗員の状態が睡眠状態若しくは体調不良状態である場合に、前記乗員の状態が改善するのを待ってから前記走行制限を行わせる前記タイミング走行制限を用いる車両用制御装置。
【請求項6】
請求項3に記載の車両用制御装置であって、
前記タイミング走行制限と前記即時走行制限とを、前記車両の乗員の状態に応じて変化させるものであり、
前記乗員の状態が前記車両の周辺監視を行っている状態でない場合に、前記車両の周辺監視を行っている状態になるのを待ってから前記走行制限を行わせる前記タイミング走行制限を用いる車両用制御装置。
【請求項7】
請求項3に記載の車両用制御装置であって、
前記タイミング走行制限と前記即時走行制限とを、前記車両の乗員の状態に応じて変化させるものであり、
前記乗員の状態が、周辺監視義務のない自動運転時に前記車両の運転者が許可される、運転以外の行為であるセカンドタスク及びそのセカンドタスクに相当する行為のいずれかである特定行為を行っている状態である場合に、前記特定行為を行っていない状態になるのを待ってから前記走行制限を行わせる前記タイミング走行制限を用いる車両用制御装置。
【請求項8】
請求項3に記載の車両用制御装置であって、
前記走行制限部は、前記車両の後方の所定範囲内に後続車両が存在しない場合には、前記即時走行制限を用いる一方、前記所定範囲内に後続車両が存在する場合には、前記所定範囲内に後続車両が存在しなくなってから前記走行制限を行わせる前記タイミング走行制限を用いる車両用制御装置。
【請求項9】
請求項1に記載の車両用制御装置であって、
前記走行制限部は、前記継続特定部で特定する前記自動運転継続量が前記閾値を超えた場合に、自動運転での設定車速で走行させるフルモードと、自動運転での設定車速よりも低い車速に抑えて走行させる回復モードとを繰り返す前記走行制限を行わせる車両用制御装置。
【請求項10】
請求項1に記載の車両用制御装置であって、
前記車両の乗員に向けて報知を行わせる車内報知処理部(161)を備え、
前記車内報知処理部は、前記継続特定部で特定する前記自動運転継続量と前記閾値との差が設定値未満となった場合に、前記車両の乗員に向けて休憩を提案する報知と、前記休憩を行わなかった場合に行わせることになる前記走行制限についての報知とを行わせる車両用制御装置。
【請求項11】
請求項1に記載の車両用制御装置であって、
前記車両の乗員に向けて報知を行わせる車内報知処理部(161)を備え、
前記車内報知処理部は、前記継続特定部で特定する前記自動運転継続量と前記閾値との差が設定値未満となった場合に、前記車両の乗員に向けて前記車両の点検を促す報知を行わせる車両用制御装置。
【請求項12】
請求項1に記載の車両用制御装置であって、
前記車両の乗員に向けて報知を行わせる車内報知処理部(161)と、
前記車両のメンテナンスが必要か否かを特定するメンテナンス特定部(105)とを備え、
前記車内報知処理部は、前記車両の自動運転中に、前記メンテナンス特定部での特定結果をもとに、前記車両のメンテナンスが必要か否かを知らせる要否報知を定期的に行わせる車両用制御装置。
【請求項13】
請求項1に記載の車両用制御装置であって、
前記車両の自動運転での走行計画を決定する走行計画部(121)を備え、
前記走行計画部は、前記車両の自動運転継続量が規定量に達する予定の走行計画を決定する場合に、前記車両のメンテナンスを行うことができる地点を経由する経路を走行するように走行計画を決定する車両用制御装置。
【請求項14】
請求項1に記載の車両用制御装置であって、
前記車両は、遠隔操作によって自動運転が可能な遠隔操作車両であり、
前記車両を遠隔操作する監視センタの遠隔操作者に向けて報知を行わせるセンタ報知処理部(1071)を備え、
前記センタ報知処理部は、前記車両が遠隔操作によって自動運転中の場合であって、且つ、前記継続特定部で特定する前記自動運転継続量と前記閾値との差が設定値未満となった場合に、前記遠隔操作者に向けて休憩を提案する報知と、前記休憩を行わなかった場合に行わせることになる前記走行制限についての報知とを行わせる車両用制御装置。
【請求項15】
請求項1に記載の車両用制御装置であって、
前記車両は、遠隔操作によって自動運転が可能な遠隔操作車両であり、
前記車両を遠隔操作する監視センタの遠隔操作者に向けて報知を行わせるセンタ報知処理部(1071)を備え、
前記センタ報知処理部は、前記車両が遠隔操作によって自動運転中の場合であって、且つ、前記継続特定部で特定する前記自動運転継続量と前記閾値との差が設定値未満となった場合に、前記遠隔操作者に向けて遠隔操作の交代を提案する報知を行わせる車両用制御装置。
【請求項16】
請求項1に記載の車両用制御装置であって、
前記車両の走行環境を特定する走行環境特定部(101)と、
前記走行環境特定部で特定する前記走行環境が、前記車両の走行にとって悪条件であるほど、前記閾値を小さく変更する閾値変更部(123)とを備える車両用制御装置。
【請求項17】
請求項1に記載の車両用制御装置であって、
前記継続特定部で特定する前記自動運転継続量が前記閾値を超えた場合に、自動運転での設定車速よりも低い車速に抑えて走行させる前記走行制限を行わせる車両用制御装置。
【請求項18】
請求項9に記載の車両用制御装置であって、
前記走行制限部(122d)は、前記フルモードと前記回復モードとを繰り返す際の、前記フルモードを継続する期間である通常期間と、前記回復モードを継続する期間である回復期間との割合を、前記車両の負荷に関する情報である負荷関連情報に応じて変化させる車両用制御装置。
【請求項19】
請求項9に記載の車両用制御装置であって、
前記走行制限部(122e)は、前記フルモードと前記回復モードとを繰り返す際の、前記フルモードを継続する期間である通常期間と、前記回復モードを継続する期間である回復期間との割合を、前記車両の乗員の状態に応じて変化させる車両用制御装置。
【請求項20】
請求項19に記載の車両用制御装置であって、
前記走行制限部は、前記車両の乗員の状態が睡眠状態若しくは体調不良状態である場合に、前記通常期間よりも前記回復期間の割合を多くさせる車両用制御装置。
【請求項21】
請求項19に記載の車両用制御装置であって、
前記走行制限部は、前記車両の乗員の状態が、前記車両の周辺監視を行っている状態である場合に、前記回復期間よりも前記通常期間の割合を多くさせる車両用制御装置。
【請求項22】
請求項19に記載の車両用制御装置であって、
前記走行制限部は、前記車両の乗員の状態が、周辺監視義務のない自動運転時に前記車両の運転者が許可される、運転以外の行為であるセカンドタスク及びそのセカンドタスクに相当する行為のいずれかである特定行為を行っている状態である場合に、前記回復期間よりも前記通常期間の割合を多くさせる一方、前記特定行為を行っていない状態若しくは休憩の姿勢を取っている状態の場合に、前記通常期間よりも前記回復期間の割合を多くさせる車両用制御装置。
【請求項23】
請求項9に記載の車両用制御装置であって、
前記走行制限部(122f)は、前記車両が規定距離以上の走行である長距離走行を行った後、第1の規定期間内である短期間に再度走行を開始する場合には、前記回復モードから走行を開始させる制限を行う車両用制御装置。
【請求項24】
請求項9に記載の車両用制御装置であって、
前記走行制限部(122g)は、前記フルモードと前記回復モードとを繰り返す際の、前記フルモードを継続する期間である通常期間と、前記回復モードを継続する期間である回復期間との割合を、前記車両の荷台の重量が第1の閾値以上の場合には、前記回復期間よりも前記通常期間の割合を多くさせる一方、前記車両の荷台の重量が第1の閾値以下の第2の閾値未満の場合には、前記通常期間よりも前記回復期間の割合を多くさせる車両用制御装置。
【請求項25】
請求項9に記載の車両用制御装置であって、
前記走行制限部(122h)は、前記フルモードと前記回復モードとを繰り返す際の、前記フルモードを継続する期間である通常期間と、前記回復モードを継続する期間である回復期間との割合を、前記車両の走行路が下り勾配の場合には、前記通常期間よりも前記回復期間の割合を多くさせる一方、前記車両の走行路が上り勾配の場合には、前記回復期間よりも前記通常期間の割合を多くさせる車両用制御装置。
【請求項26】
請求項9に記載の車両用制御装置であって、
前記走行制限部(122i)は、第2の規定期間以上である長期間、継続して走行を休止していた後、再度走行を開始する場合には、前記回復モード若しくは手動運転から走行を開始させる制限を行う車両用制御装置。
【請求項27】
請求項26に記載の車両用制御装置であって、
前記走行制限部は、前記回復モード若しくは手動運転から走行を開始させる制限を行って走行を開始した後、前記車両のバッテリが健全な状態であることが判定された場合に、前記フルモードに切り替えさせる車両用制御装置。
【請求項28】
自動運転を実施する車両で用いることが可能な車両用制御装置であって、
前記車両の自動運転での連続走行時間若しくは連続走行距離である自動運転継続量を特定する継続特定部(104)と、
前記車両の自動運転の異常の有無を特定する異常特定部(108)と、
前記車両の乗員に向けて報知を行わせる車内報知処理部(161b)とを備え、
前記車内報知処理部は、前記継続特定部で特定する前記自動運転継続量が所定の閾値を超えた場合であって、且つ、前記異常特定部で自動運転の異常がないと特定する場合には、前記自動運転継続量の大きな自動運転であっても前記車両に問題がないことを示す報知を行わせる車両用制御装置。
【請求項29】
請求項28に記載の車両用制御装置であって、
前記車両のメンテナンスが必要か否かを特定するメンテナンス特定部(105)を備え、
前記車内報知処理部は、前記車両の自動運転中に、前記メンテナンス特定部での特定結果をもとに、前記車両のメンテナンスが必要か否かを知らせる要否報知を、自動運転開始から最初の要否報知までの間隔に比べ、最初の要否報知以降の要否報知の間隔を短くして、定期的に行わせる車両用制御装置。
【請求項30】
請求項29に記載の車両用制御装置であって、
前記車両の過去のメンテナンスの実施についてのメンテナンス情報を取得するメンテ情報取得部(109)を備え、
前記車内報知処理部は、前記メンテ情報取得部で取得した前記メンテナンス情報をもとに、メンテナンスの実施度合いに応じて、前記要否報知の間隔を変更する車両用制御装置。
【請求項31】
自動運転を実施する車両で用いることが可能な車両用制御方法であって、
少なくとも1つのプロセッサにより実行される、
前記車両の自動運転での連続走行時間若しくは連続走行距離である自動運転継続量を特定する継続特定工程と、
前記継続特定工程で特定した前記自動運転継続量が所定の閾値を超えた場合に、自動運転での走行の制限である走行制限を行わせる走行制限工程とを含む車両用制御方法。
【請求項32】
自動運転を実施する車両で用いることが可能な車両用制御方法であって、
少なくとも1つのプロセッサにより実行される、
前記車両の自動運転での連続走行時間若しくは連続走行距離である自動運転継続量を特定する継続特定工程と、
前記車両の自動運転の異常の有無を特定する異常特定工程と、
前記車両の乗員に向けて報知を行わせる車内報知処理工程とを含む、
前記車内報知処理工程では、前記継続特定工程で特定する前記自動運転継続量が所定の閾値を超えた場合であって、且つ、前記異常特定工程で自動運転の異常がないと特定する場合には、前記自動運転継続量の大きな自動運転であっても前記車両に問題がないことを示す報知を行わせる車両用制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用制御装置及び車両用制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、レベル0の手動運転機能以外にレベル1からレベル5までの自動運転機能を備える自動運転用コントロールユニットが開示されている。自動運転を行う車両としては、自家用車,旅客輸送車両等が知られている。自動運転では、運転者の運転操作が軽減若しくは免除されるため、運転操作による運転者の疲労が軽減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動運転では、運転操作による運転者の疲労が軽減されるため、手動運転時よりも長時間若しくは長距離の走行が行われやすい。しかしながら、自動運転で長時間若しくは長距離の走行が行われると、車両側の負荷が、手動運転時よりも大きくなることが考えられる。例えば、設定車速で下り坂を走行するための頻繁な制動によるブレーキの負荷増大が挙げられる。他にも、設定車速で走行するための頻繁な加減速による走行駆動源,タイヤの負荷増大が挙げられる。また、自動運転で長時間若しくは長距離の走行が行われると、乗員側の疲労以外の負荷が、手動運転時よりも大きくなることが考えられる。例えば、運転操作から長く離れることにより、手動運転への運転交代に迅速に対応しにくくなることが考えられる。他にも、長時間若しくは長距離の自動運転による車両への影響に乗員が不安を感じることが考えられる。
【0005】
この開示の1つの目的は、長時間若しくは長距離の自動運転の継続による車両若しくは乗員の負荷を抑えることを可能とする車両用制御装置及び車両用制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は独立請求項に記載の特徴の組み合わせにより達成され、また、下位請求項は、開示の更なる有利な具体例を規定する。特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、1つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の第1の車両用制御装置は、自動運転を実施する車両で用いることが可能な車両用制御装置であって、車両の自動運転での連続走行時間若しくは連続走行距離である自動運転継続量を特定する継続特定部(104)と、継続特定部で特定する自動運転継続量が所定の閾値を超えた場合に、自動運転での走行の制限である走行制限を行わせる走行制限部(122,122c,122d,122e,122f,122g,122h,122i)とを備える。
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の第1の車両用制御方法は、自動運転を実施する車両で用いることが可能な車両用制御方法であって、少なくとも1つのプロセッサにより実行される、車両の自動運転での連続走行時間若しくは連続走行距離である自動運転継続量を特定する継続特定工程と、継続特定工程で特定した自動運転継続量が所定の閾値を超えた場合に、自動運転での走行の制限である走行制限を行わせる走行制限工程とを含む。
【0009】
自動運転での走行を制限すれば、自動運転での車両側若しくは乗員側への負荷を軽減することが可能になる。よって、以上の構成によれば、自動運転の連続走行時間若しくは連続走行距離が長くなることによる車両側若しくは乗員側への負荷を軽減することが可能になる。その結果、長時間若しくは長距離の自動運転の継続による車両若しくは乗員の負荷を抑えることが可能になる。
【0010】
上記目的を達成するために、本開示の第2の車両用制御装置は、自動運転を実施する車両で用いることが可能な車両用制御装置であって、車両の自動運転での連続走行時間若しくは連続走行距離である自動運転継続量を特定する継続特定部(104)と、車両の自動運転の異常の有無を特定する異常特定部(108)と、車両の乗員に向けて報知を行わせる車内報知処理部(161b)とを備え、車内報知処理部は、継続特定部で特定する自動運転継続量が所定の閾値を超えた場合であって、且つ、異常特定部で自動運転の異常がないと特定する場合には、自動運転継続量の大きな自動運転であっても車両に問題がないことを示す報知を行わせる。
【0011】
上記目的を達成するために、本開示の第2の車両用制御方法は、自動運転を実施する車両で用いることが可能な車両用制御方法であって、少なくとも1つのプロセッサにより実行される、車両の自動運転での連続走行時間若しくは連続走行距離である自動運転継続量を特定する継続特定工程と、車両の自動運転の異常の有無を特定する異常特定工程と、車両の乗員に向けて報知を行わせる車内報知処理工程とを含む、車内報知処理工程では、継続特定工程で特定する自動運転継続量が所定の閾値を超えた場合であって、且つ、異常特定工程で自動運転の異常がないと特定する場合には、自動運転継続量の大きな自動運転であっても車両に問題がないことを示す報知を行わせる。
【0012】
自動運転での連続走行時間若しくは連続走行距離である自動運転継続量の大きな自動運転であっても車両に問題がないことを示す報知を行わせることで、乗員を安心させることが可能になる。よって、以上の構成によれば、自動運転継続量が大きな場合であっても、自動運転の異常がない場合に、報知によって乗員を安心させることが可能になる。その結果、長時間若しくは長距離の自動運転の継続による乗員の負荷を抑えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態1における車両用システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図2】実施形態1における自動運転ECUの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図3】実施形態1における自動運転ECUでの継続対応関連処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図4】実施形態2における車両用システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図5】実施形態2における自動運転ECUの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図6】実施形態2における自動運転ECUでの遠隔自動運転中の継続対応関連処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図7】実施形態3における車両用システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図8】実施形態3における自動運転ECUの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図9】実施形態3における自動運転ECUでの継続対応関連処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10】実施形態4における車両用システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図11】実施形態4における自動運転ECUの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図12】実施形態5における車両用システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図13】実施形態5における自動運転ECUの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図14】実施形態6における車両用システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図15】実施形態6における自動運転ECUの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図16】実施形態7における車両用システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図17】実施形態7における自動運転ECUの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図18】実施形態8における車両用システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図19】実施形態8における自動運転ECUの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図20】実施形態9における車両用システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図21】実施形態9における自動運転ECUの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図22】実施形態10における車両用システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図23】実施形態10における自動運転ECUの概略的な構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を参照しながら、開示のための複数の実施形態を説明する。なお、説明の便宜上、複数の実施形態の間において、それまでの説明に用いた図に示した部分と同一の機能を有する部分については、同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。同一の符号を付した部分については、他の実施形態における説明を参照することができる。
【0015】
(実施形態1)
<車両用システム1の概略構成>
以下、本開示の実施形態1について図面を用いて説明する。
図1に示す車両用システム1は、自動運転が可能な車両(以下、自動運転車両)で用いることが可能なものである。自動運転車両は、タクシー,バス等の乗員輸送車両であってもよいし、自家用車であってもよい。自家用車は、POV(Personally Owned Vehicle)と言い換えることもできる。
【0016】
車両用システム1は、
図1に示すように、自動運転ECU10、通信モジュール11、ロケータ12、地図データベース(以下、地
図DB)13、車両状態センサ14、周辺監視センサ15、車両制御ECU16、報知装置17、室内カメラ18、及びHCU(Human Machine Interface Control Unit)19を含んでいる。例えば、自動運転ECU10、通信モジュール11、ロケータ12、地
図DB13、車両状態センサ14、周辺監視センサ15、車両制御ECU16、及びHCU19は、車内LAN(
図1のLAN参照)と接続される構成とすればよい。車両用システム1を用いる車両は、必ずしも自動車に限るものではないが、以下では自動車に用いる場合を例に挙げて説明を行う。
【0017】
自動運転車両の自動運転の段階(以下、自動化レベル)としては、例えばSAEが定義しているように、複数のレベルが存在し得る。自動化レベルは、例えば以下のようにLV0~5に区分される。
【0018】
LV0は、システムが介入せずに運転者が全ての運転タスクを実施するレベルである。運転タスクは動的運転タスクと言い換えてもよい。運転タスクは、例えば操舵、加減速、及び周辺監視とする。LV0は、いわゆる手動運転に相当する。LV1は、システムが操舵と加減速とのいずれかを支援するレベルである。LV1は、いわゆる運転支援に相当する。LV2は、システムが操舵と加減速とのいずれをも支援するレベルである。LV2は、いわゆる部分運転自動化に相当する。なお、LV1~2も自動運転の一部であるものとする。
【0019】
例えば、LV1~2の自動運転は、安全運転に係る監視義務(以下、単に監視義務)が運転者にある自動運転とする。つまり、監視義務あり自動運転に相当する。なお、LV0~LV2の運転が監視義務のある運転に相当する。監視義務としては、目視による周辺監視がある。LV1~2の自動運転は、セカンドタスクが許可されない自動運転と言い換えることができる。セカンドタスクとは、運転者に対して許可される運転以外の行為であって、予め規定された特定行為である。セカンドタスクは、セカンダリアクティビティ,アザーアクティビティ等と言い換えることもできる。セカンドタスクは、自動運転システムからの運転操作の引き継ぎ要求にドライバが対応することを妨げてはならないとされる。一例として、動画等のコンテンツの視聴,スマートフォン等の操作,読書,食事等の行為が、セカンドタスクとして想定される。
【0020】
LV3の自動運転は、特定の条件下ではシステムが全ての運転タスクを実施可能であり、緊急時に運転者が運転操作を行うレベルである。LV3の自動運転では、システムから運転交代の要求があった場合に、運転手が迅速に対応可能であることが求められる。この運転交代は、車両側のシステムから運転者への周辺監視義務の移譲と言い換えることもできる。LV3は、いわゆる条件付運転自動化に相当する。LV4の自動運転は、対応不可能な道路,極限環境等の特定状況下を除き、システムが全ての運転タスクを実施可能なレベルである。LV4は、いわゆる高度運転自動化に相当する。LV5の自動運転は、あらゆる環境下でシステムが全ての運転タスクを実施可能なレベルである。LV5は、いわゆる完全運転自動化に相当する。LV4,LV5の自動運転は、例えば高精度地図データが整備された走行区間で実施可能とすればよい。高精度地図データについては後述する。
【0021】
例えば、LV3以上の自動運転は、監視義務が運転者にない自動運転とする。つまり、監視義務なし自動運転に相当する。LV3以上の自動運転は、セカンドタスクが許可される自動運転と言い換えることができる。例えば、LV4以上の自動運転は、運転者の睡眠が許可される自動運転とする。つまり、睡眠許可自動運転に相当する。本施形態の自動運転車両は、例えば自動化レベルが切り替え可能とすればよい。自動化レベルは、LV0~5のうちの一部のレベル間でのみ切り替え可能な構成であってもよい。本実施形態では、自動運転車両が、周辺監視義務なし自動運転を実施する場合を例に挙げて説明を行う。
【0022】
通信モジュール11は、自車の外部のセンタとの間で、無線通信を介して情報の送受信を行う。つまり、広域通信を行う。通信モジュール11は、センタから渋滞情報等を広域通信で受信する。通信モジュール11は、他車との間で、無線通信を介して情報の送受信を行ってもよい。つまり、車車間通信を行ってもよい。通信モジュール11は、路側に設置された路側機との間で、無線通信を介して情報の送受信を行ってもよい。つまり、路車間通信を行ってもよい。路車間通信を行う場合、通信モジュール11は、路側機を介して、自車の周辺車両から送信されるその周辺車両の情報を受信してもよい。また、通信モジュール11は、センタを介して、自車の周辺車両から送信されるその周辺車両の情報を広域通信で受信してもよい。
【0023】
ロケータ12は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機及び慣性センサを備えている。GNSS受信機は、複数の測位衛星からの測位信号を受信する。慣性センサは、例えばジャイロセンサ及び加速度センサを備える。ロケータ12は、GNSS受信機で受信する測位信号と、慣性センサの計測結果とを組み合わせることにより、自車の車両位置(以下、自車位置)を逐次測位する。自車位置は、例えば緯度経度の座標で表されるものとすればよい。なお、自車位置の測位には、車両に搭載された車速センサから逐次出力される信号から求めた走行距離も用いる構成としてもよい。
【0024】
地
図DB13は、不揮発性メモリであって、高精度地図データを格納している。高精度地図データは、ナビゲーション機能での経路案内に用いられる地図データよりも高精度な地図データである。高精度地図データには、例えば道路の三次元形状情報,車線数情報,各車線に許容された進行方向を示す情報等の自動運転に利用可能な情報が含まれている。他にも、高精度地図データには、例えば区画線等の路面標示について、両端の位置を示すノード点の情報が含まれていてもよい。地
図DB13には、経路案内に用いられる地図データも格納すればよい。なお、ロケータ12は、道路の三次元形状情報を用いることで、GNSS受信機を用いない構成としてもよい。例えば、ロケータ12は、道路の三次元形状情報と、周辺監視センサ15での検出結果とを用いて、自車位置を特定する構成としてもよい。道路の三次元形状情報は、REM(Road Experience Management)によって撮像画像をもとに生成されたものであってもよい。
【0025】
なお、外部サーバから配信される地図データを、通信モジュール11を介して広域通信で受信し、地
図DB13に格納してもよい。この場合、地
図DB13を揮発性メモリとし、通信モジュール11が自車位置に応じた領域の地図データを逐次取得する構成としてもよい。
【0026】
車両状態センサ14は、自車の各種状態を検出するためのセンサ群である。車両状態センサ14としては、車速センサ,把持センサ等がある。車速センサは、自車の速度を検出する。把持センサは、運転者がステアリングホイールを把持しているか否かを検出する。車両状態センサ14は、検出したセンシング情報を車内LANへ出力する。なお、車両状態センサ14で検出したセンシング情報は、自車に搭載されるECUを介して車内LANへ出力される構成であってもよい。
【0027】
周辺監視センサ15は、自車の周辺環境を監視する。一例として、周辺監視センサ15は、歩行者,他車等の移動物体、及び路上の落下物等の静止物体といった自車周辺の障害物を検出する。他にも、自車周辺の走行区画線等の路面標示を検出する。周辺監視センサ15は、例えば、自車周辺の所定範囲を撮像する周辺監視カメラ、自車周辺の所定範囲に探査波を送信する探査波センサである。探査波センサとしては、ミリ波レーダ、ソナー、LIDAR(Light Detection and Ranging/Laser Imaging Detection and Ranging)等が挙げられる。所定範囲は、自車の前後左右を少なくとも部分的に含む範囲としてもよい。周辺監視カメラは、逐次撮像する撮像画像をセンシング情報として自動運転ECU10へ逐次出力する。探査波センサは、障害物によって反射された反射波を受信した場合に得られる受信信号に基づく走査結果をセンシング情報として自動運転ECU10へ逐次出力する。
【0028】
周辺監視センサ15には、レインセンサ,温度センサ等を含んでもよい。レインセンサは、降雨,降雪を検出するセンサである。温度センサは、外気温を検出するセンサである。周辺監視センサ15で検出したセンシング情報は、車内LANを介さずに自動運転ECU10に出力される構成としてもよい。
【0029】
車両制御ECU16は、自車の走行制御を行う電子制御装置である。走行制御としては、加減速制御及び/又は操舵制御が挙げられる。車両制御ECU16としては、操舵制御を行う操舵ECU、加減速制御を行うパワーユニット制御ECU及びブレーキECU等がある。車両制御ECU16は、自車に搭載された各走行制御デバイスへ制御信号を出力することで走行制御を行う。走行制御デバイスとしては、電子制御スロットル,ブレーキアクチュエータ,EPS(Electric Power Steering)モータ等が挙げられる。
【0030】
報知装置17は、自車に設けられて、自車の室内へ向けて報知を行う。つまり、報知装置17は、自車の乗員に向けて報知を行う。報知装置17は、HCU19の指示に従って報知を行う。報知装置17は、表示装置171及び音声出力装置172を含む。
【0031】
表示装置171は、情報を表示することで報知を行う。表示装置171としては、例えばメータMID(Multi Information Display),CID(Center Information Display),HUD(Head-Up Display)等を用いることができる。メータMIDは、自車の室内のうちの運転席の正面に設けられる表示装置である。一例として、メータMIDは、メータパネルに設けられる構成とすればよい。CIDは、自車のインスツルメントパネルの中央に配置される表示装置である。HUDは、車室内のうちの例えばインスツルメントパネルに設けられる。HUDは、プロジェクタによって形成される表示像を、投影部材としてのフロントウインドシールドに既定された投影領域に投影する。フロントウインドシールドによって車室内側に反射された画像の光は、運転席に着座する運転者によって知覚される。これにより、運転者は、フロントウインドシールドの前方にて結像される表示像の虚像を、前景の一部と重ねて視認可能となる。HUDは、フロントウインドシールドの代わりに、運転席の正面に設けられるコンバイナに表示像を投影する構成としてもよい。音声出力装置172は、音声を出力することで報知を行う。音声出力装置172としては、スピーカ等が挙げられる。
【0032】
室内カメラ18は、自車の車室内の所定範囲を撮像する撮像装置である。室内カメラ18は、少なくとも自車の運転席を含む範囲を撮像することが好ましい。室内カメラ18は、自車の運転席の他、助手席及び後部座席を含む範囲を撮像しても構わない。室内カメラ18は、例えば近赤外光源及び近赤外カメラと、これらを制御する制御ユニット等とによって構成される。室内カメラ18は、近赤外光源によって近赤外光を照射された自車の乗員を、近赤外カメラによって撮影する。
【0033】
HCU19は、プロセッサ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、I/O、これらを接続するバスを備えるコンピュータを主体として構成される。HCU19は、不揮発性メモリに記憶された制御プログラムを実行することにより、乗員と自車のシステムとのやり取りに関する各種の処理を実行する。HCU19は、室内カメラ18で撮像した撮像画像を取得する。HCU19は、室内カメラ18で撮像した撮像画像から、自車の乗員の状態を特定する。例えば、自車の乗員の姿勢,瞼の開度から、乗員の休憩の有無を特定すればよい。HCU19は、報知装置17から報知を行わせる。
【0034】
自動運転ECU10は、例えばプロセッサ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、I/O、これらを接続するバスを備えるコンピュータを主体として構成される。自動運転ECU10は、不揮発性メモリに記憶された制御プログラムを実行することにより、自動運転に関する処理を実行する。この自動運転ECU10が車両用制御装置に相当する。なお、自動運転ECU10の構成については以下で詳述する。
【0035】
<自動運転ECU10の概略構成>
続いて、
図2を用いて自動運転ECU10の概略構成についての説明を行う。自動運転ECU10は、
図2に示すように、走行環境認識部101、行動判断部102、制御実行部103、継続特定部104、メンテナンス特定部105、及びHCU通信部106を機能ブロックとして備える。また、コンピュータによって自動運転ECU10の各機能ブロックの処理が実行されることが、車両用制御方法が実行されることに相当する。なお、自動運転ECU10が実行する機能の一部又は全部を、1つ或いは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。また、自動運転ECU10が備える機能ブロックの一部又は全部は、プロセッサによるソフトウェアの実行とハードウェア部材の組み合わせによって実現されてもよい。
【0036】
走行環境認識部101は、自車位置、地図データ、及び周辺監視センサ15から取得するセンシング情報から、自車の走行環境を認識する。自車位置は、ロケータ12から取得すればよい。地図データは、地
図DB13から取得すればよい。一例として、走行環境認識部101は、これらの情報を用いて、自車の周囲の物体の位置、形状、及び移動状態を認識し、実際の走行環境を再現した仮想空間を生成する。走行環境認識部101では、センシング情報から、自車の周辺車両について、その存在,自車に対する相対位置,自車に対する相対速度等も走行環境として認識すればよい。走行環境認識部101では、自車位置及び地図データから、地図上での自車位置を認識すればよい。走行環境認識部101は、通信モジュール11を介して周辺車両等の位置情報,速度情報等を取得できる場合には、これらの情報も用いて走行環境を認識すればよい。走行環境認識部101は、外気温,天候,路面状態等の走行環境も認識すればよい。外気温は、温度センサから取得した外気温から認識すればよい。天候は、レインセンサで検出した結果から認識すればよい。路面状態は、機械学習を利用し、周辺カメラで撮像した路面の画像から認識すればよい。この場合、砂地の路面等の各種の路面状態を機械学習した識別機を用いればよい。この走行環境認識部101が走行環境特定部に相当する。
【0037】
行動判断部102は、運転者と自車のシステムとの間で運転操作の制御主体を切り替える。行動判断部102は、運転操作の制御権がシステム側にある場合、走行環境認識部101による走行環境の認識結果に基づき、自車を走行させる走行計画を決定する。行動判断部102は、走行計画部121、走行制限部122、及び閾値変更部123をサブ機能ブロックとして備える。
【0038】
走行計画部121は、自車を自動運転で走行させる走行計画を決定する。走行計画部121は、走行計画として、長中期の走行計画と、短期の走行計画とを決定する。長中期の走行計画では、設定された目的地に自車を向かわせるための予定経路が決定される。走行計画部121は、この予定経路を、ナビゲーション機能の経路探索と同様にして決定すればよい。走行計画部121は、予定経路を走行する際の設定車速も決定すればよい。設定車速は、各走行区間の制限速度に応じて決定すればよい。設定車速は、例えば各走行区間の制限速度とすればよい。走行計画部121は、走行環境認識部101で生成した自車の周囲の仮想空間を用いて、長中期の走行計画に従った走行を実現するための短期の走行計画を決定する。具体的に、短期の走行計画として、車線変更のための操舵、速度調整のための加減速、及び障害物回避のための操舵及び制動等の実行を決定する。走行計画部121での他の処理、走行制限部122での処理、及び閾値変更部123での処理については、後述する。
【0039】
制御実行部103は、運転操作の制御権が自車のシステム側にある場合に、車両制御ECU16との連携により、走行制御を実行する。制御実行部103は、行動判断部102にて決定された走行計画に従って、自車の加減速制御及び操舵制御等の走行制御を実行する。
【0040】
継続特定部104は、自車の自動運転での連続走行時間若しくは連続走行距離である自動運転継続量を特定する。自動運転継続量は、自車が停車せずに自動運転での走行を継続する量とすればよい。継続特定部104は、制御実行部103で自動運転を継続している走行時間若しくは走行距離から、自動運転継続量を特定すればよい。継続特定部104での処理が、継続特定工程に相当する。
【0041】
走行計画部121は、自車の自動運転継続量が規定量に達する予定の走行計画を決定する場合に、以下のようにすることが好ましい。走行計画部121は、自車のメンテナンスを行うことができる地点を経由する経路を走行するように走行計画を決定することが好ましい。これによれば、自車のメンテナンスが必要になった場合に、メンテナンスを行い易くなる。規定量は任意に設定可能な値とすればよい。規定量は、後述の継続閾値と同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。メンテナンスを行うことができる地点としては、SA等の車両の乗り換え可能な地点,ディーラー等が挙げられる。自動運転継続量が規定量に達する予定の走行計画としては、例えば高速道路での停車なしでの長距離移動が挙げられる。
【0042】
走行制限部122は、継続特定部104で特定する自動運転継続量が所定の閾値を超えた場合に、自動運転での走行の制限(以下、走行制限)を行わせる。所定の閾値(以下、継続閾値)は、任意に設定可能な値とすればよい。継続閾値は、自動運転での停車なしでの走行の継続により、車両若しくは乗員に負荷を与えると推定される自動運転継続量とすればよい。ここで言うところの乗員の負荷は、疲労を除くものとする。自動運転での走行を制限すれば、自動運転での車両側若しくは乗員側への負荷を軽減することが可能になる。よって、以上の構成によれば、自動運転の連続走行時間若しくは連続走行距離が長くなることによる車両側若しくは乗員側への負荷を軽減することが可能になる。その結果、長時間若しくは長距離の自動運転の継続による車両若しくは乗員の負荷を抑えることが可能になる。走行制限部122での処理が、走行制限工程に相当する。
【0043】
走行制限部122での走行制限は、低速での走行とすればよい。ここで言うところの低速での走行とは、自動運転での設定車速よりも低い車速に抑えた走行である。これによれば、自車を停車できない状況である場合にも、自車の速度を抑える分だけ、車両側若しくは乗員側への負荷を軽減することが可能になる。その結果、長時間若しくは長距離の自動運転の継続による車両若しくは乗員の負荷を抑えることが可能になる。
【0044】
走行制限部122での走行制限は、一時的な停車としてもよい。つまり、走行の中断としてもよい。これによれば、自車を停車するので、車両側若しくは乗員側への負荷をより大きく軽減することが可能になる。その結果、長時間若しくは長距離の自動運転の継続による車両若しくは乗員の負荷を抑えることが可能になる。
【0045】
走行制限部122での走行制限は、自動運転の禁止としてもよい。つまり、手動運転への運転交代としてもよい。これによれば、自車の自動運転を終了するので、自動運転により生じる車両側若しくは乗員側への負荷を軽減することが可能になる。その結果、長時間若しくは長距離の自動運転の継続による車両若しくは乗員の負荷を抑えることが可能になる。
【0046】
走行制限部122での走行制限は、自動運転での設定車速で走行させるフルモードと、自動運転での設定車速よりも低い車速に抑えて走行させる回復モードとを繰り返すこととしてもよい。例えばフルモードは100km/h,回復モードは60km/hとすればよい。繰り返しの周期については、任意に設定可能とすればよい。これによれば、定期的に自車の速度を抑える分だけ、車両側若しくは乗員側への負荷を軽減することが可能になる。その結果、長時間若しくは長距離の自動運転の継続による車両若しくは乗員の負荷を抑えることが可能になる。
【0047】
走行制限部122は、走行制限を行わせる場合に、自車の状況に応じた走行制限を選択して行わせる構成としてもよい。自車の状況は、走行環境認識部101での認識結果から特定すればよい。例えば、自車が停車できない状況では、低速での走行を選択する等すればよい。自車が停車できる状況では、一時的な停車を選択する等すればよい。運転交代がしやすい状況では、自動運転の禁止を選択すればよい。運転交代がしやすい状況とは、高速道路の走行中が挙げられる。高速道路には、自動車専用道路も含ませればよい。以上の構成によれば、自車のおかれた状況において実施のできる、より有効性の高い種類の走行制限を行わせることが可能になる。
【0048】
走行制限部122は、継続特定部104で特定する自動運転継続量が継続閾値を超えた場合に、自車の挙動が少ないタイミングで走行制限を行わせることが好ましい。自車の挙動が多くなるタイミングで走行制限を行わせると、自車の挙動が乱れやすく、乗員の快適性を損ない易くなる。これに対して、以上の構成によれば、走行制限によって自車の挙動が乱れにくくなり、乗員の快適性を損ない難くなる。自車の挙動が少ないタイミングとしては、交差点以外の走行が挙げられる。交差点の走行か否かは、走行環境認識部101での認識結果から特定すればよい。自車の挙動が少ないタイミングとしては、直進路の走行が挙げられる。直進路の走行か否かは、走行環境認識部101での認識結果から特定すればよい。自車の挙動が少ないタイミングとしては、次回の停車予定地点への到達時が挙げられる。次回の停車予定地点への到達は、走行計画部121で決定した走行計画と自車位置とから特定すればよい。
【0049】
閾値変更部123は、走行環境認識部101で特定する走行環境が、自車の走行にとって悪条件であるほど、継続閾値を小さく変更することが好ましい。これによれば、自車の走行にとって悪条件であるほど、早いタイミングで走行制限を行うことが可能になる。自車の走行にとって悪条件であるほど、自動運転の継続による車両側の負荷が大きくなると考えられる。これに対して、以上の構成によれば、自車の走行環境に応じて、車両側の負荷が大きくなり過ぎないように走行制限を行うことが可能になる。悪条件の例としては、気温が高すぎる環境,気温が低すぎる環境が挙げられる。悪条件の例としては、天候が雨,雪の環境が挙げられる。悪条件の例としては、走行路が砂地の環境が挙げられる。悪条件の度合いは、悪条件でない度合いと悪条件である度合いとの2段階の度合いでもよいし、2段階よりも段階の多い度合いであってもよい。
【0050】
メンテナンス特定部105は、自車のメンテナンスが必要か否かを特定する。メンテナンス特定部105は、車両状態センサ14でのセンシング情報から、自車のメンテナンスが必要か否かを特定すればよい。例えば、車両状態センサ14で検出される値が正常値の範囲を外れる場合に、自車のメンテナンスが必要と特定すればよい。
【0051】
HCU通信部106は、HCU18へ向けた情報の出力処理と、HCU18からの情報の取得処理とを行う。HCU通信部106は、室内カメラ18で撮像した画像の情報等を取得する。HCU通信部106は、車内報知処理部161をサブ機能ブロックとして備える。車内報知処理部161は、HCU18に指示を送ることで、報知装置17での報知を間接的に制御する。つまり、車内報知処理部161は、自車の乗員に向けて報知を行わせる。
【0052】
車内報知処理部161は、継続特定部104で特定する自動運転継続量と継続閾値との差を逐次算出する。この差を、以下では余剰値と呼ぶ。余剰値は、行動判断部102で算出する構成としてもよい。車内報知処理部161は、余剰値が設定値未満となった場合に、休憩提案報知及び走行制限報知を報知装置17から行わせることが好ましい。設定値は、継続特定部104で特定する自動運転継続量が、継続閾値を超えそうと言える程度に小さい値とすればよい。設定値は、任意に設定可能とすればよい。報知装置17から行わせる休憩提案報知は、自車の乗員に向けて休憩を提案する報知である。この休憩提案報知は、表示装置171での表示によって行ってもよいし、音声出力装置172からの音声出力によって行ってもよい。報知装置17から行わせる走行制限報知は、乗員が休憩を行わなかった場合に行わせることになる走行制限についての報知である。走行制限報知には、例えば走行制限の内容の報知を含ませればよい。この走行制限報知は、表示装置171での表示によって行ってもよいし、音声出力装置172からの音声出力によって行ってもよい。以上の構成によれば、乗員側の疲労以外の負荷を、走行制限を行わずに軽減することが可能になる。他にも、乗員側の疲労以外の負荷を、乗員の休憩によって抑えるか、走行制限によって抑えるかを、乗員が選択可能になる。よって、より乗員にとって快適な手段によって、自動運転の継続による乗員側の疲労以外の負荷を抑えることが可能になる。
【0053】
車内報知処理部161は、余剰値が設定値未満となった場合に、点検促進報知を行わせることが好ましい。この設定値は、前述の設定値と同じ値としてもよいし、異なる値としてもよい。以下では、この設定値が、前述の設定値と同じ値である場合を例に挙げて説明を行う。点検促進報知は、自車の乗員に向けて自車の点検を促す報知である。点検促進報知は、表示装置171での表示によって行ってもよいし、音声出力装置172からの音声出力によって行ってもよい。点検促進報知では、例えば点検すると好ましい箇所を表示したりすればよい。以上の構成によれば、車両状態センサ14でのセンシング情報からはメンテナンスの必要性が特定できない異常も、乗員による点検によって確認することが可能になる。よって、自動運転の継続に対する乗員の不安をより解消しやすくなる。
【0054】
車内報知処理部161は、自車の自動運転中に、メンテナンス特定部105での特定結果をもとに、要否報知を報知装置17から定期的に行わせることが好ましい。要否報知とは、自車のメンテナンスが必要か否かを知らせる報知である。以上の構成によれば、要否報知を乗員が受けることで、自動運転の継続に対する乗員の不安をより解消しやすくなる。車内報知処理部161は、要否報知を行う周期を、タイマ回路等を用いて判断すればよい。この周期は任意に設定可能とすればよい。一例としては、要否報知を定期的に行う起点は、自動運転での走行の開始時とすればよい。なお、車内報知処理部161は、継続特定部104で特定する自動運転継続量が継続閾値を超えた場合に、要否報知を報知装置17から定期的に行わせる構成としてもよい。これによれば、メンテナンスが必要になる可能性のより低い期間については、必要性がより低い要否報知を抑え、煩わしさを低減することが可能になる。この場合には、要否報知を定期的に行う起点は、自動運転継続量が継続閾値を超えた時点となる。
【0055】
<自動運転ECU10での継続対応関連処理>
ここで、
図3のフローチャートを用いて、自動運転ECU10での自動運転継続時の対応に関連する処理(以下、継続対応関連処理)の流れの一例について説明する。
図3のフローチャートは、自車が自動運転による走行を開始した場合に開始される構成とすればよい。
【0056】
まず、ステップS1では、車内報知処理部161が、定期的な要否報知を行わせるタイミングか否かを判断する。そして、要否報知を行わせるタイミングであった場合(S1でYES)には、ステップS2に移る。一方、要否報知を行わせるタイミングでなかった場合(S1でNO)には、ステップS3に移る。
【0057】
ステップS2では、車内報知処理部161が、要否報知を行わせる。ステップS3では、継続特定部104が、自動運転継続量を特定する。なお、S3の処理は、S1の処理よりも前に行う構成としてもよい。
【0058】
ステップS4では、車内報知処理部161が、S3で特定した自動運転継続量と継続閾値との差である余剰値を算出する。そして、余剰値が設定値未満であった場合(S4でYES)には、ステップS6に移る。一方、余剰値が設定値以上であった場合(S4でNO)には、ステップS5に移る。
【0059】
ステップS5では、継続対応関連処理の終了タイミングであった場合(S5でYES)には、継続対応関連処理を終了する。一方、継続対応関連処理の終了タイミングでなかった場合(S5でNO)には、S1に戻って処理を繰り返す。継続対応関連処理の終了タイミングとしては、自動運転の終了、自車の停車等が挙げられる。
【0060】
ステップS6では、車内報知処理部161が、休憩提案報知と走行制限報知と点検促進報知とを報知装置17から行わせる。なお、S6では、休憩提案報知及び走行制限報知と点検促進報知とのうちのいずれか一方のみを行わせる構成としてもよい。
【0061】
ステップS7では、乗員が休憩を実施したか否かを判断する。乗員が休憩を実施したか否かの判断は、行動判断部102で行ってもよいし、HCU通信部106で行ってもよい。例えば、HCU19で特定した自車の乗員の休憩の有無から、乗員が休憩を実施したか否かを判断すればよい。他にも、自車の停車の有無から、乗員が休憩を実施したか否かを判断してもよい。そして、乗員が休憩を実施したと判断した場合(S7でYES)には、ステップS10に移る。一方、乗員が休憩を実施していないと判断した場合(S7でNO)には、ステップS8に移る。
【0062】
ステップS8では、継続特定部104が、自動運転継続量を特定する。ステップS9では、走行制限部122が、S8で特定した自動運転継続量が継続閾値を超えたか否かを判断する。そして、自動運転継続量が継続閾値を超えた場合(S9でYES)には、ステップS10に移る。一方、自動運転継続量が継続閾値を超えていなかった場合(S9でNO)には、ステップS10に移る。
【0063】
ステップS10では、継続対応関連処理の終了タイミングであった場合(S10でYES)には、継続対応関連処理を終了する。一方、継続対応関連処理の終了タイミングでなかった場合(S10でNO)には、S8に戻って処理を繰り返す。
【0064】
ステップS11では、走行制限部122が、自車の挙動が少ないタイミング(以下、制限タイミング)か否かを判断する。そして、制限タイミングであった場合(S11でYES)には、ステップS12に移る。一方、制限タイミングでなかった場合(S11でNO)には、S11の処理を繰り返す。ステップS12では、走行制限部122が、走行制限を行わせる。ここでの走行制限は、自車の低速での走行若しくは停車とする。
【0065】
ステップS13では、継続対応関連処理の終了タイミングであった場合(S13でYES)には、継続対応関連処理を終了する。一方、継続対応関連処理の終了タイミングでなかった場合(S13でNO)には、S1に戻って処理を繰り返す。
【0066】
(実施形態2)
前述の実施形態の構成に限らず、以下の実施形態2の構成としてもよい。以下では、実施形態2の構成の一例について図を用いて説明する。
【0067】
<車両用システム1aの概略構成>
図4に示す車両用システム1aは、遠隔操作による自動運転が可能な車両(以下、遠隔操作車両)で用いることが可能なものである。遠隔操作車両は、監視センタから送信される遠隔操作指令値に従って車両制御を行うことで、遠隔操作による自動運転を実現すればよい。遠隔操作による自動運転を、以下では遠隔自動運転と呼ぶ。遠隔自動運転では、例えばLV2以上の自動化レベルの自動運転を行うものとすればよい。以下では、遠隔自動運転では、LV2若しくはLV3の自動化レベルの自動運転を行うものとして説明する。
【0068】
車両用システム1aは、
図4に示すように、自動運転ECU10a、通信モジュール11a、ロケータ12、地
図DB13、車両状態センサ14、周辺監視センサ15、車両制御ECU16、報知装置17、室内カメラ18、及びHCU19を含んでいる。車両用システム1aは、自動運転ECU10の代わりに自動運転ECU10aを含む。車両用システム1aは、通信モジュール11の代わりに通信モジュール11aを含む。車両用システム1aは、これらの点を除けば、実施形態1の車両用システム1と同様である。
【0069】
通信モジュール11aは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の通信モジュール11と同様である。以下では、この異なる点について説明する。通信モジュール11aは、監視センタから遠隔操作指令値が送信されてきた場合には、この遠隔操作指令値を受信する。監視センタは、自動運転車両の遠隔操作を行うためのセンタである。監視センタでは、遠隔操作者が操作系に入力した運転操作に対応した遠隔操作指令値を送信する。遠隔操作者は、自車の外部で遠隔操作車両を遠隔操作する。通信モジュール11aは、広域通信によって監視センタから遠隔操作指令値を受信すればよい。
【0070】
<自動運転ECU10aの概略構成>
続いて、
図5を用いて自動運転ECU10aの概略構成についての説明を行う。自動運転ECU10aは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の自動運転ECU10と同様である。自動運転ECU10aは、走行環境認識部101、行動判断部102a、制御実行部103、継続特定部104、メンテナンス特定部105、HCU通信部106、及びセンタ通信部107を機能ブロックとして備える。自動運転ECU10aは、行動判断部102の代わりに行動判断部102aを備える。自動運転ECU10aは、センタ通信部107を備える。自動運転ECU10aは、これらの点を除けば、実施形態1の自動運転ECU10と同様である。この自動運転ECU10aも車両用制御装置に相当する。また、コンピュータによって自動運転ECU10aの各機能ブロックの処理が実行されることが、車両用制御方法が実行されることに相当する。
【0071】
行動判断部102aは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の行動判断部102と同様である。行動判断部102aは、走行計画部121a、走行制限部122、及び閾値変更部123をサブ機能ブロックとして備える。行動判断部102aは、走行計画部121の代わりに走行計画部121aを備える点を除けば、実施形態1の行動判断部102と同様である。
【0072】
走行計画部121aは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の走行計画部121と同様である。以下では、この異なる点について説明する。走行計画部121aは、監視センタから受信した遠隔操作指令値に沿った走行計画を決定する。これにより、遠隔操作車両は、遠隔操作指令値に従った自動運転を行うことになる。走行計画部121aは、遠隔操作指令値を、通信モジュール11aを介して取得すればよい。また、行動判断部102aは、遠隔自動運転の継続の可否を判断する。行動判断部102aは、例えば、監視センタとの通信状況が悪化した場合に、自動運転の継続ができないと判断すればよい。自動運転ECU10aは、行動判断部102aで自動運転の継続ができないと判断した場合に、遠隔操作車両の乗員による運転操作へ運転交代を行う。
【0073】
センタ通信部107は、通信モジュール11aを介して、監視センタへ向けた情報の出力処理と、監視センタからの情報の取得処理とを行う。センタ通信部107は、監視センタから送信されてくる遠隔操作指令値を取得する。センタ通信部107は、センタ報知処理部1071をサブ機能ブロックとして備える。センタ報知処理部1071は、監視センタに指示を送ることで、監視センタの報知装置での報知を間接的に制御する。つまり、センタ報知処理部1071は、監視センタの遠隔操作者に向けて報知を行わせる。
【0074】
センタ報知処理部1071は、自車が遠隔自動運転中の場合であって、且つ、余剰値が設定値未満となった場合に、休憩提案報知及び走行制限報知を監視センタから行わせる。余剰値は、継続特定部104で特定する自動運転継続量と継続閾値との差である。余剰値は、センタ報知処理部1071で算出する構成としてもよいし、行動判断部102で算出する構成としてもよい。継続閾値及び設定値は、実施形態1で述べたものと同様とすればよい。監視センタから行わせる休憩提案報知は、遠隔操作者に向けて休憩を提案する報知である。この休憩提案報知は、表示によって行ってもよいし、音声出力によって行ってもよい。監視センタから行わせる走行制限報知は、遠隔操作者が休憩を行わなかった場合に行わせることになる走行制限についての報知である。走行制限報知には、例えば走行制限の内容の報知を含ませればよい。走行制限報知は、表示によって行ってもよいし、音声出力によって行ってもよい。以上の構成によれば、遠隔操作者側の負荷を、走行制限を行わずに軽減することが可能になる。他にも、遠隔操作者側の負荷を、遠隔操作者の休憩によって抑えるか、走行制限によって抑えるかを、遠隔操作者が選択可能になる。よって、より遠隔操作者にとって快適な手段によって、自動運転の継続による遠隔操作者側の負荷を抑えることが可能になる。
【0075】
センタ報知処理部1071は、自車が遠隔自動運転中の場合であって、且つ、余剰値が設定値未満となった場合に、監視センタの遠隔操作者に向けて交代提案報知を行わせてもよい。交代提案報知は、遠隔操作の交代を提案する報知である。以上の構成によれば、遠隔操作者側の負荷を、遠隔操作者の交代によって軽減することが可能になる。
【0076】
<自動運転ECU10aでの継続対応関連処理>
ここで、
図6のフローチャートを用いて、自動運転ECU10aでの遠隔自動運転中の継続対応関連処理の流れの一例について説明する。
図6のフローチャートは、自車が遠隔自動運転による走行を開始した場合に開始される構成とすればよい。
【0077】
まず、ステップS21では、継続特定部104が、自動運転継続量を特定する。ステップS22では、センタ報知処理部1071が、S1で特定した自動運転継続量と継続閾値との差である余剰値を算出する。そして、余剰値が設定値未満であった場合(S22でYES)には、ステップS24に移る。一方、余剰値が設定値以上であった場合(S22でNO)には、ステップS23に移る。
【0078】
ステップS23では、継続対応関連処理の終了タイミングであった場合(S23でYES)には、継続対応関連処理を終了する。一方、継続対応関連処理の終了タイミングでなかった場合(S23でNO)には、S1に戻って処理を繰り返す。継続対応関連処理の終了タイミングとしては、遠隔自動運転の終了、自車の停車等が挙げられる。
【0079】
ステップS24では、センタ報知処理部1071が、休憩提案報知と走行制限報知と交代提案報知とを監視センタから行わせる。なお、S24では、休憩提案報知及び走行制限報知と交代提案報知とのうちのいずれか一方のみを行わせる構成としてもよい。
【0080】
ステップS25では、監視センタの遠隔操作者が休憩を実施したか否かを判断する。遠隔操作者が休憩を実施したか否かは、行動判断部102aで行ってもよいし、センタ通信部107で行ってもよい。例えば、通信モジュール11aを介して監視センタから取得する遠隔操作者の休憩の有無を特定可能な情報から、遠隔操作者が休憩を実施したか否かを判断すればよい。他にも、自車の停車の有無から、遠隔操作者が休憩を実施したか否かを判断してもよい。なお、遠隔操作者の交代が実施された場合には、遠隔操作者の休憩が実施されたものとすればよい。そして、遠隔操作者が休憩を実施したと判断した場合(S25でYES)には、ステップS28に移る。一方、遠隔操作者が休憩を実施していないと判断した場合(S25でNO)には、ステップS26に移る。
【0081】
ステップS26では、継続特定部104が、自動運転継続量を特定する。ステップS27では、走行制限部122が、S27で特定した自動運転継続量が継続閾値を超えたか否かを判断する。そして、自動運転継続量が継続閾値を超えた場合(S27でYES)には、ステップS29に移る。一方、自動運転継続量が継続閾値を超えていなかった場合(S27でNO)には、ステップS28に移る。
【0082】
ステップS28では、継続対応関連処理の終了タイミングであった場合(S28でYES)には、継続対応関連処理を終了する。一方、継続対応関連処理の終了タイミングでなかった場合(S28でNO)には、S25に戻って処理を繰り返す。
【0083】
ステップS29では、走行制限部122が、自車の挙動が少ないタイミング(つまり、制限タイミング)か否かを判断する。そして、制限タイミングであった場合(S29でYES)には、ステップS30に移る。一方、制限タイミングでなかった場合(S29でNO)には、S29の処理を繰り返す。ステップS30では、走行制限部122が、走行制限を行わせる。
【0084】
ステップS31では、継続対応関連処理の終了タイミングであった場合(S31でYES)には、継続対応関連処理を終了する。一方、継続対応関連処理の終了タイミングでなかった場合(S31でNO)には、S21に戻って処理を繰り返す。
【0085】
なお、自車が遠隔自動運転と遠隔操作によらない自動運転とを切り替え可能な場合には、実施形態1と実施形態2とを組み合わせた構成としてもよい。この場合、自車が遠隔操作中は、実施形態2の構成を適用すればよい。自車が遠隔操作によらない自動運転中は、実施形態1の構成を適用すればよい。
【0086】
(実施形態3)
前述の実施形態の構成に限らず、以下の実施形態3の構成としてもよい。以下では、実施形態3の構成の一例について図を用いて説明する。
【0087】
<車両用システム1bの概略構成>
図7に示す車両用システム1bは、自動運転車両で用いることが可能なものである。車両用システム1bは、
図7に示すように、自動運転ECU10b、通信モジュール11、ロケータ12、地
図DB13、車両状態センサ14、周辺監視センサ15、車両制御ECU16、報知装置17、及びHCU19を含んでいる。車両用システム1bは、自動運転ECU10の代わりに自動運転ECU10bを含む。車両用システム1bは、室内カメラ18を含まない。車両用システム1bは、これらの点を除けば、実施形態1の車両用システム1と同様である。
【0088】
<自動運転ECU10bの概略構成>
続いて、
図8を用いて自動運転ECU10bの概略構成についての説明を行う。自動運転ECU10bは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の自動運転ECU10と同様である。自動運転ECU10bは、走行環境認識部101、行動判断部102b、制御実行部103、継続特定部104、メンテナンス特定部105、HCU通信部106b、異常特定部108、及びメンテ情報取得部109を機能ブロックとして備える。自動運転ECU10bは、行動判断部102の代わりに行動判断部102bを備える。自動運転ECU10bは、HCU通信部106の代わりにHCU通信部106bを備える。自動運転ECU10bは、異常特定部108及びメンテ情報取得部109を備える。自動運転ECU10bは、これらの点を除けば、実施形態1の自動運転ECU10と同様である。この自動運転ECU10bも車両用制御装置に相当する。また、コンピュータによって自動運転ECU10bの各機能ブロックの処理が実行されることが、車両用制御方法が実行されることに相当する。
【0089】
行動判断部102bは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の行動判断部102と同様である。行動判断部102bは、走行計画部121をサブ機能ブロックとして備える。行動判断部102bは、走行制限部122及び閾値変更部123を備えない点を除けば、実施形態1の行動判断部102と同様である。
【0090】
異常特定部108は、自車の自動運転の異常の有無を特定する。例えば異常特定部108は、走行計画と、その走行計画に従った走行制御結果との乖離度合いから、自動運転の異常の有無を特定すればよい。一例として、この乖離度合いが規定値以上の場合に、自動運転の異常ありと特定すればよい。例えば、自動運転の継続によって車両部品に負荷がかかることで、この乖離度合いが大きくなるものとする。異常特定部108での処理が、異常特定工程に相当する。
【0091】
メンテ情報取得部109は、自車の過去のメンテナンスの実施についての情報(以下、メンテナンス情報)を取得する。例えば、メンテナンス情報は、自車で過去に実施されたメンテナンスの積算回数とすればよい。メンテナンス情報は、メンテナンスが行われるごとに、自車のECUに記憶されるものとすればよい。メンテ情報取得部109は、このECUに記憶されているメンテナンス情報を取得する構成とすればよい。
【0092】
HCU通信部106bは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1のHCU通信部106と同様である。HCU通信部106bは、車内報知処理部161bをサブ機能ブロックとして備える。車内報知処理部161bは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の車内報知処理部161と同様である。以下では、この異なる点について説明する。
【0093】
車内報知処理部161bは、自動運転継続量が継続閾値を超えた場合であって、且つ、異常特定部108で自動運転の異常がないと特定する場合に、正常報知を行わせる。正常報知は、報知装置17から行わせる。自動運転継続量は、継続特定部104で特定する。継続閾値は、実施形態1で説明したものと同様とすればよい。正常報知は、自動運転継続量の大きな自動運転であっても自車に問題がないことを示す報知である。この正常報知は、表示装置171での表示によって行ってもよいし、音声出力装置172からの音声出力によって行ってもよい。自動運転継続量の大きな自動運転であっても、正常報知を行わせることで、乗員を安心させることが可能になる。よって、自動運転継続量が大きな場合であっても、自動運転の異常がない場合に、正常報知によって乗員を安心させることが可能になる。その結果、長時間若しくは長距離の自動運転の継続による乗員の負荷を抑えることが可能になる。車内報知処理部161bでの処理が、車内報知処理工程に相当する。
【0094】
車内報知処理部161bは、自車の自動運転中に、メンテナンス特定部105での特定結果をもとに、要否報知を報知装置17から定期的に行わせることが好ましい。要否報知は、実施形態1で述べたものと同様とすればよい。車内報知処理部161bは、自動運転開始から最初の要否報知までの間隔に比べ、最初の要否報知以降の要否報知の間隔を短くすることが好ましい。例えば、1回目の要否報知は自動運転開始から500kmの走行継続で行い、2回目以降の要否報知は100kmの走行継続ごとに行えばよい。これによれば、メンテナンスが必要になる可能性の低い期間は要否報知の煩わしさを抑えつつ、要否報知を行わせることが可能になる。なお、実施形態1の車内報知処理部161でも、最初の要否報知までの間隔に比べ、最初の要否報知以降の要否報知の間隔を短くして要否報知を定期的に行わせてもよい。
【0095】
車内報知処理部161bは、メンテ情報取得部109で取得したメンテナンス情報をもとに、メンテナンスの実施度合いに応じて、要否報知の間隔を変更することが好ましい。この要否報知の間隔とは、定期的に行わせる要否報知の間隔である。一例としては、メンテナンスの実施度合いが高くなるのに応じて、要否報知の間隔を短くする。以上の構成によれば、メンテナンスの必要性の高さに応じて、要否報知の間隔を変化させることが可能になる。
【0096】
<自動運転ECU10bでの継続対応関連処理>
ここで、
図9のフローチャートを用いて、自動運転ECU10bでの継続対応関連処理の流れの一例について説明する。
図9のフローチャートは、自車が自動運転による走行を開始した場合に開始される構成とすればよい。
【0097】
まず、ステップS41では、メンテ情報取得部109がメンテナンス情報を取得する。ステップS42では、車内報知処理部161bが、S41で取得したメンテナンス情報をもとに、メンテナンスの実施度合いに応じて、要否報知の間隔を設定する。
【0098】
ステップS43では、車内報知処理部161bが、定期的な要否報知を行わせるタイミングか否かを判断する。そして、要否報知を行わせるタイミングであった場合(S43でYES)には、ステップS44に移る。一方、要否報知を行わせるタイミングでなかった場合(S43でNO)には、ステップS45に移る。ステップS44では、車内報知処理部161bが、要否報知を行わせる。
【0099】
ステップS45では、継続特定部104が、自動運転継続量を特定する。ステップS46では、車内報知処理部161bが、S45で特定した自動運転継続量と継続閾値との差である余剰値を算出する。そして、余剰値が設定値未満であった場合(S46でYES)には、ステップS47に移る。一方、余剰値が設定値以上であった場合(S46でNO)には、ステップS50に移る。
【0100】
ステップS47では、異常特定部108が、自車の自動運転の異常の有無を特定する。そして、自動運転の異常ありと特定した場合(S47でYES)には、ステップS48に移る。一方、自動運転の異常なしと特定した場合(S47でNO)には、ステップS49に移る。
【0101】
ステップS48では、車内報知処理部161bが、異常報知を、報知装置17から行わせ、ステップS50に移る。異常報知は、自車の自動運転に問題があったことを示す報知である。なお、S48の処理を省略し、異常報知を行わせない構成としてもよい。この場合、自車の自動運転に問題があったことを、ダイアグ情報として記録するが、異常報知は行わせない構成とすればよい。ステップS49では、車内報知処理部161bが、異常報知を、報知装置17から行わせ、ステップS50に移る。
【0102】
ステップS50では、継続対応関連処理の終了タイミングであった場合(S50でYES)には、継続対応関連処理を終了する。一方、継続対応関連処理の終了タイミングでなかった場合(S50でNO)には、S43に戻って処理を繰り返す。継続対応関連処理の終了タイミングとしては、自動運転の終了、自車の停車等が挙げられる。
【0103】
実施形態3の構成を、実施形態1,2の構成と組み合わせても構わない。また、実施形態1~3の構成は、レベル2以上の自動運転を行う自動運転車両に適用することが好ましい。実施形態1~3の構成は、レベル3以上の監視義務なし自動運転を行う自動運転車両に適用することがより好ましい。これは、自動化レベルの高い自動運転ほど、乗員が運転に関わらずに済むため、自動運転が長距離,長時間継続され易くなるためである。
【0104】
(実施形態4)
前述の実施形態の構成に限らず、以下の実施形態4の構成としてもよい。以下では、実施形態4の構成の一例について図を用いて説明する。
【0105】
<車両用システム1cの概略構成>
図10に示す車両用システム1cは、自動運転車両で用いることが可能なものである。車両用システム1cは、
図10に示すように、自動運転ECU10c、通信モジュール11、ロケータ12、地
図DB13、車両状態センサ14、周辺監視センサ15、車両制御ECU16、報知装置17、及びHCU19cを含んでいる。車両用システム1cは、自動運転ECU10の代わりに自動運転ECU10cを含む。車両用システム1cは、HCU19の代わりにHCU19cを含む。車両用システム1cは、これらの点を除けば、実施形態1の車両用システム1と同様である。
【0106】
HCU19cは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1のHCU19と同様である。以下では、この異なる点について説明する。HCU19cは、乗員の状態として、乗員の体調も特定すればよい。乗員の体調としては、例えば体調不良か体調良好かを区別して特定すればよい。乗員の体調は、例えば乗員の表情,姿勢等と体調との関係を学習した学習器を用いて特定すればよい。HCU19cは、乗員の状態として、乗員が睡眠状態か覚醒状態かを特定すればよい。HCU19cは、例えば乗員の瞼の開度から、乗員が睡眠状態か覚醒状態かを特定すればよい。HCU19cは、乗員の状態として、乗員が周辺監視を行っている状態か否かを特定すればよい。以下では、乗員が周辺監視を行っている状態を周辺監視状態と呼ぶ。HCU19cは、例えば乗員の視線方向から、乗員が周辺監視を行っている状態か否かを特定すればよい。HCU19cは、乗員の状態として、運転者がセカンドタスクを行っている状態か否かを特定すればよい。HCU19cは、乗員の状態として、運転者以外の乗員がセカンドタスクに相当する行為を行っている状態か否かを特定すればよい。以下では、乗員がセカンドタスク若しくはセカンドタスクに相当する行為を行っている状態をセカンドタスク状態と呼ぶ。セカンドタスク状態が、特定行為を行っている状態に相当する。HCU19cは、例えば運転者の顔向き,視線方向,姿勢等から、セカンドタスク状態か否かを特定すればよい。
【0107】
<自動運転ECU10cの概略構成>
続いて、
図11を用いて自動運転ECU10cの概略構成についての説明を行う。自動運転ECU10cは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の自動運転ECU10と同様である。自動運転ECU10cは、走行環境認識部101c、行動判断部102c、制御実行部103、継続特定部104、メンテナンス特定部105、HCU通信部106、及び乗員状態特定部110を機能ブロックとして備える。自動運転ECU10cは、走行環境認識部101の代わりに走行環境認識部101cを備える。自動運転ECU10cは、行動判断部102の代わりに行動判断部102cを備える。自動運転ECU10cは、乗員状態特定部110を備える。自動運転ECU10cは、これらの点を除けば、実施形態1の自動運転ECU10と同様である。この自動運転ECU10cも車両用制御装置に相当する。また、コンピュータによって自動運転ECU10cの各機能ブロックの処理が実行されることが、車両用制御方法が実行されることに相当する。
【0108】
走行環境認識部101cは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の自動運転ECU10と同様である。以下では、この異なる点について説明する。走行環境認識部101cは、自車が走行中の車線が、片側何車線の道路のどの車線かまで区別して認識することが好ましい。
【0109】
乗員状態特定部110は、自車の乗員の状態を特定する。乗員状態特定部110は、HCU通信部106を介してHCU19cから取得した乗員の状態を、乗員の状態として特定すればよい。本実施形態では、HCU19cで乗員の状態を特定する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、乗員状態特定部110は、HCU通信部106を介して取得する室内カメラ18での撮像画像から、乗員の状態を特定してもよい。乗員状態特定部110は、室内カメラ18での撮像画像以外から、乗員の状態を特定してもよい。例えば、乗員状態特定部110は、乗員がセカンドタスク若しくはセカンドタスクに相当する行為を実施しているか否かを、自車の操作デバイスで受け付ける入力から推定してもよい。一例として、CIDと一体化したタッチスイッチで入力を受け付けていることから、乗員がセカンドタスク若しくはセカンドタスクに相当する行為を実施していることを特定してもよい。
【0110】
行動判断部102cは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の行動判断部102と同様である。行動判断部102cは、走行計画部121、走行制限部122c、及び閾値変更部123をサブ機能ブロックとして備える。行動判断部102aは、走行制限部122の代わりに走行制限部122cを備える点を除けば、実施形態1の行動判断部102と同様である。
【0111】
走行制限部122cは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の走行制限部122と同様である。以下では、この異なる点について説明する。走行制限部122cは、継続特定部104で特定する自動運転継続量が前述の所定の閾値を超えた場合の走行制限として、以下のようにする。走行制限部122cは、タイミング走行制限と、即時走行制限とを、自車の走行環境及び自車の運転者の状態の少なくともいずれかに応じて切り替える。タイミング走行制限は、所定のタイミングとなるのを待ってから実行する走行制限である。以下では、この所定のタイミングを制限タイミングと呼ぶ。即時走行制限は、制限タイミングとなるのを待たずに行わせる走行制限である。自車の走行環境は、走行環境認識部101cで認識したものを用いればよい。運転者の状態は、乗員状態特定部110で取得したものを用いればよい。
【0112】
自動運転継続量が所定の閾値を超えた場合であっても、自車の走行環境,運転者の状態によっては、走行制限を即時行った方がよいか所定のタイミングを待ってから行った方がよいか異なる場合がある。これに対して、以上の構成によれば、自車の走行環境,運転者の状態に応じて好ましいタイミングで走行制限を開始することが可能になる。
【0113】
走行制限部122cは、タイミング走行制限として、自車が片側複数車線の道路の追越車線から追越車線でない車線に移動してから走行制限を行わせることが好ましい。この場合、制限タイミングは、自車が片側複数車線の道路の追越車線から追越車線でない車線に移動したタイミングとなる。追越車線でない車線とは、追越車線よりも低速での走行向けの車線である。自車が走行中の車線が、片側何車線の道路のどの車線かについては、走行環境認識部101cで認識すればよい。走行制限部122cは、追越車線を走行している場合には、その追越車線から追越車線でない車線に移動してから走行制限を行わせればよい。一方、走行制限部122cは、自車が道路の追越車線以外の車線を走行している場合には、即時走行制限を行わせればよい。つまり、自動運転継続量が前述の所定の閾値を超えたことをトリガに、走行制限を行わせればよい。
【0114】
追越車線でない車線に比べて後続車両の車速が高めの追越車線では、自車の走行制限が後続車両の円滑な走行を妨げやすい。これに対して、以上の構成によれば、後続車両の円滑な走行を妨げにくい状況となってから自車の走行制限を行うことが可能になる。その結果、後続車両の円滑な走行を妨げにくくしつつ、長時間若しくは長距離の自動運転の継続による車両若しくは乗員の負荷を抑えることが可能になる。
【0115】
続いて、走行制限部122cが、タイミング走行制限と即時走行制限とを、自車の乗員の状態に応じて変化させる場合の例について、以下で説明する。走行制限部122cは、乗員の状態として、乗員状態特定部110で特定したものを用いればよい。
【0116】
走行制限部122cは、乗員の状態が睡眠状態若しくは体調不良状態である場合に、乗員の状態が改善するのを待ってから走行制限を行わせるタイミング走行制限を用いることが好ましい。乗員の状態が睡眠状態であった場合には、覚醒状態となったことを、乗員の状態が改善したこととすればよい。乗員の状態が体調不良状態であった場合には、体調不良状態でなくなったことを、乗員の状態が改善したこととすればよい。自車の走行制限が行われる場合、車両の挙動の大幅な変化であったり、運転交代が必要となったりする。これらの変化に対して、乗員の状態が睡眠状態若しくは体調不良状態から改善してからの方が、対応しやすい。よって、以上の構成によれば、乗員が走行制限に対応しやすい状態となってから、走行制限を行わせることが可能になる。
【0117】
走行制限部122cは、乗員の状態が周辺監視状態でない場合に、周辺監視状態になるのを待ってから走行制限を行わせるタイミング走行制限を用いることが好ましい。前述した走行制限が行われる場合の変化に対して、乗員の状態が周辺監視状態でないよりも、周辺監視状態の方が対応しやすい。よって、以上の構成によっても、乗員が走行制限に対応しやすい状態となってから、走行制限を行わせることが可能になる。
【0118】
走行制限部122cは、乗員の状態がセカンドタスク状態である場合に、セカンドタスク及びセカンドタスクに相当する行為を行っていない状態になるのを待ってから走行制限を行わせるタイミング走行制限を用いることが好ましい。前述した走行制限が行われる場合の変化に対して、乗員の状態がセカンドタスク状態よりもセカンドタスク及びセカンドタスクに相当する行為を行っていない状態の方が対応しやすい。よって、以上の構成によっても、乗員が走行制限に対応しやすい状態となってから、走行制限を行わせることが可能になる。
【0119】
走行制限部122cは、タイミング走行制限として、自車の後方の所定範囲内に後続車両が存在しなくなってから走行制限を行わせることが好ましい。この場合、制限タイミングは、自車の後方の所定範囲内に後続車両が存在しなくなったタイミングとなる。ここで言うところの所定範囲は、任意に設定可能とすればよい。所定範囲は、例えば周辺監視センサ15のセンシング範囲としてもよい。走行制限部122cは、所定範囲内に後続車両が存在する場合には、所定範囲内に後続車両が存在しなくなってから走行制限を行わせればよい。一方、走行制限部122cは、所定範囲内に後続車両が存在しない場合には、即時走行制限を行わせればよい。つまり、自動運転継続量が前述の所定の閾値を超えた際に、所定範囲内に後続車両が存在しない場合に、即時走行制限を行わせればよい。
【0120】
自車の後方の所定範囲内に後続車両が存在する場合、自車の走行制限が後続車両の円滑な走行を妨げやすい。一方、自車の後方の所定範囲内に後続車両が存在しない場合には、存在する場合に比べ、自車の走行制限が後続車両の円滑な走行を妨げにくい。これに対して、以上の構成によれば、後続車両の円滑な走行を妨げにくい状況となってから自車の走行制限を行うことが可能になる。その結果、後続車両の円滑な走行を妨げにくくしつつ、長時間若しくは長距離の自動運転の継続による車両若しくは乗員の負荷を抑えることが可能になる。
【0121】
なお、行動判断部102cは、乗員の体調に応じて、サービスエリアへの退避等の退避行動を判断してもよい。例えば、乗員状態特定部110で乗員の体調不良を特定した場合に、退避行動を判断すればよい。行動判断部102cで退避行動を判断した場合に、走行計画部121が、現在位置からサービスエリア等の退避場所まで退避する走行計画を決定すればよい。
【0122】
(実施形態5)
前述の実施形態の構成に限らず、以下の実施形態5の構成としてもよい。以下では、実施形態5の構成の一例について図を用いて説明する。
【0123】
<車両用システム1dの概略構成>
図12に示す車両用システム1dは、自動運転車両で用いることが可能なものである。車両用システム1dは、
図12に示すように、自動運転ECU10d、通信モジュール11、ロケータ12、地
図DB13、車両状態センサ14d、周辺監視センサ15、車両制御ECU16、報知装置17、及びHCU19を含んでいる。車両用システム1dは、自動運転ECU10の代わりに自動運転ECU10dを含む。車両用システム1dは、車両状態センサ14の代わりに車両状態センサ14dを含む。車両用システム1dは、これらの点を除けば、実施形態1の車両用システム1と同様である。
【0124】
車両状態センサ14dは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の車両状態センサ14と同様である。以下では、この異なる点について説明する。車両状態センサ14dには、車両の負荷に関する情報を検出できるセンサも含むことが好ましい。車両の負荷に関する情報を以下では負荷関連情報と呼ぶ。負荷関連情報を検出できるセンサの例としては、温度センサ,音響センサ等が挙げられる。温度センサは、エンジンを走行駆動源とする車両であれば、負荷関連情報としてエンジン温度を検出する。温度センサは、負荷関連情報としてエンジン以外の車両部品の温度を検出する。例えば、車体の温度を検出すればよい。エンジン温度,車両部品の温度が適正な温度帯の中心値から外れているほど車両の負荷は大きいと考えられる。音響センサは、負荷関連情報としてタイヤからの異音を検出する。摩耗センサは、負荷関連情報としてブレーキパッドの減りを検出する。なお、音響センサが、摩耗センサの機能を担ってもよい。
【0125】
<自動運転ECU10dの概略構成>
続いて、
図13を用いて自動運転ECU10dの概略構成についての説明を行う。自動運転ECU10dは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の自動運転ECU10と同様である。自動運転ECU10dは、走行環境認識部101、行動判断部102d、制御実行部103、継続特定部104、メンテナンス特定部105、及びHCU通信部106を機能ブロックとして備える。自動運転ECU10dは、行動判断部102の代わりに行動判断部102dを備える点を除けば、実施形態1の自動運転ECU10と同様である。この自動運転ECU10dも車両用制御装置に相当する。また、コンピュータによって自動運転ECU10dの各機能ブロックの処理が実行されることが、車両用制御方法が実行されることに相当する。
【0126】
行動判断部102dは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の行動判断部102と同様である。行動判断部102dは、走行計画部121、走行制限部122d、及び閾値変更部123をサブ機能ブロックとして備える。行動判断部102dは、走行制限部122の代わりに走行制限部122dを備える点を除けば、実施形態1の行動判断部102と同様である。
【0127】
走行制限部122dは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の走行制限部122と同様である。以下では、この異なる点について説明する。走行制限部122dは、車両状態センサ14dで検出する負荷関連情報を取得することが好ましい。そして、走行制限部122dは、フルモードと回復モードとを繰り返す際の各モードの期間の割合を、負荷関連情報に応じて変化させることが好ましい。以下では、フルモードを継続する期間を通常期間と呼ぶ。以下では、回復モードを継続する期間を回復期間と呼ぶ。
【0128】
車両の負荷によって、フルモードと回復モードとを繰り返す際のどちらのモードの期間の割合を高くした方がよいか異なる場合がある。これに対して、以上の構成によれば、自車の負荷に応じて、フルモードと回復モードとを繰り返す際の各モードの期間の割合を、より好ましい割合とすることが可能になる。
【0129】
走行制限部122dは、負荷関連情報から推定される自車の負荷が高くなるのに応じて、通常期間よりも回復期間の割合を高く変化させればよい。回復モードは、フルモードに比べ、低い車速に抑えられるので車両の負荷は小さくなる。よって、以上の構成によれば、自車の負荷が高くなるのに応じて、通常期間よりも回復期間の割合を高く変化させ、自車の負荷を抑えることが可能になる。なお、通常期間よりも回復期間の割合を高く変化させる場合、回復期間の割合を100%としてもよい。回復期間の割合を100%とする場合には、フルモードと回復モードとの繰り返しを中止すればよい。負荷関連情報から推定される自車の負荷の区分は、高負荷と低負荷との2段階であってもよい。負荷関連情報からの自車の負荷の推定は、例えば走行制限部122dで行えばよい。例えば、走行制限部122dは、エンジン,車体等の温度が閾値範囲内の場合に低負荷と推定し、閾値範囲外の場合に高負荷と推定すればよい。例えば、走行制限部122dは、タイヤの異音が閾値未満の場合に低負荷と推定し、閾値以上の場合に高負荷と推定すればよい。例えば、走行制限部122dは、ブレーキパッドの減りが閾値未満の場合に低負荷と推定し、閾値以上の場合に高負荷と推定すればよい。ここで言うところの閾値は、負荷関連情報ごとに任意に設定可能な値とすればよい。
【0130】
(実施形態6)
前述の実施形態の構成に限らず、以下の実施形態6の構成としてもよい。以下では、実施形態6の構成の一例について図を用いて説明する。
【0131】
<車両用システム1eの概略構成>
図14に示す車両用システム1eは、自動運転車両で用いることが可能なものである。車両用システム1eは、
図14に示すように、自動運転ECU10e、通信モジュール11、ロケータ12、地
図DB13、車両状態センサ14、周辺監視センサ15、車両制御ECU16、報知装置17、及びHCU19cを含んでいる。車両用システム1eは、自動運転ECU10の代わりに自動運転ECU10eを含む。車両用システム1eは、HCU19の代わりにHCU19cを含む。車両用システム1eは、これらの点を除けば、実施形態1の車両用システム1と同様である。HCU19cは、実施形態4のHCU19cと同様である。
【0132】
<自動運転ECU10eの概略構成>
続いて、
図15を用いて自動運転ECU10eの概略構成についての説明を行う。自動運転ECU10eは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の自動運転ECU10と同様である。自動運転ECU10eは、走行環境認識部101、行動判断部102e、制御実行部103、継続特定部104、メンテナンス特定部105、HCU通信部106、及び乗員状態特定部110を機能ブロックとして備える。自動運転ECU10eは、行動判断部102の代わりに行動判断部102eを備える。自動運転ECU10eは、乗員状態特定部110を備える。乗員状態特定部110は、実施形態4で説明したのと同様である。自動運転ECU10eは、これらの点を除けば、実施形態1の自動運転ECU10と同様である。この自動運転ECU10eも車両用制御装置に相当する。また、コンピュータによって自動運転ECU10eの各機能ブロックの処理が実行されることが、車両用制御方法が実行されることに相当する。
【0133】
行動判断部102eは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の行動判断部102と同様である。行動判断部102eは、走行計画部121、走行制限部122e、及び閾値変更部123をサブ機能ブロックとして備える。行動判断部102eは、走行制限部122の代わりに走行制限部122eを備える点を除けば、実施形態1の行動判断部102と同様である。
【0134】
走行制限部122eは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の走行制限部122と同様である。走行制限部122eは、フルモードと回復モードとを繰り返す際の、通常期間と回復期間との割合を、自車の乗員の状態に応じて変化させることが好ましい。走行制限部122eは、乗員の状態として、乗員状態特定部110で特定したものを用いればよい。
【0135】
乗員の状態によって、フルモードと回復モードとを繰り返す際のどちらのモードの期間の割合を高くした方がよいか異なる場合がある。これに対して、以上の構成によれば、乗員の状態に応じて、フルモードと回復モードとを繰り返す際の各モードの期間の割合を、より好ましい割合とすることが可能になる。
【0136】
乗員の状態に応じた通常期間と回復期間との割合の変化の例として、例えば以下が挙げられる。走行制限部122eは、乗員の状態が睡眠状態若しくは体調不良状態である場合に、通常期間よりも回復期間の割合を多くさせればよい。回復モードは、フルモードに比べ、低い車速に抑えられるので車両の振動も少なくなる。よって、以上の構成によれば、車両の振動を抑えることで、睡眠状態の場合に睡眠を妨げにくくしたり、体調不良状態の場合に体調を悪化させにくくしたりすることが可能になる。なお、通常期間よりも回復期間の割合を高く変化させる場合、回復期間の割合を100%としてもよい。
【0137】
また、走行制限部122eは、乗員の状態が周辺監視状態である場合に、回復期間よりも通常期間の割合を多くさせればよい。乗員の状態が周辺監視状態である場合には、より大きな車両の挙動も乗員が容認しやすくなる。よって、以上の構成によれば、通常モードによる大きな車両の挙動を乗員が容認しやすい状況に絞って、通常期間の割合を増やすことが可能になる。
【0138】
また、走行制限部122eは、乗員の状態がセカンドタスク状態である場合に、回復期間よりも通常期間の割合を多くさせればよい。一方、乗員の状態がセカンドタスク状態である場合には、走行制限部122eは、乗員の状態が、セカンドタスク及びセカンドタスクに相当する行為を行っていない状態若しくは休憩の姿勢を取っている状態の場合には、通常期間よりも回復期間の割合を多くさせればよい。セカンドタスク状態である場合には、乗員がセカンドタスク若しくはセカンドタスクに相当する行為に意識が傾いているため、より大きな車両の挙動も乗員が容認しやすくなる。一方、セカンドタスク及びセカンドタスクに相当する行為を行っていない状態若しくは休憩の姿勢を取っている状態である場合には、車両の挙動が小さい方が好ましい。よって、以上の構成によれば、大きな車両の挙動を乗員が容認しやすい状況の場合には、通常期間の割合を増やす一方、大きな車両の挙動を乗員が容認しにくい状況の場合には、回復期間の割合を増やすことが可能になる。なお、通常期間よりも回復期間の割合を高く変化させる場合、回復期間の割合を100%としてもよい。
【0139】
(実施形態7)
前述の実施形態の構成に限らず、以下の実施形態7の構成としてもよい。以下では、実施形態7の構成の一例について図を用いて説明する。
【0140】
<車両用システム1fの概略構成>
図16に示す車両用システム1fは、自動運転車両で用いることが可能なものである。車両用システム1fは、
図16に示すように、自動運転ECU10f、通信モジュール11、ロケータ12、地
図DB13、車両状態センサ14、周辺監視センサ15、車両制御ECU16、報知装置17、及びHCU19を含んでいる。車両用システム1fは、自動運転ECU10の代わりに自動運転ECU10fを含む点を除けば、実施形態1の車両用システム1と同様である。
【0141】
<自動運転ECU10fの概略構成>
続いて、
図17を用いて自動運転ECU10fの概略構成についての説明を行う。自動運転ECU10fは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の自動運転ECU10と同様である。自動運転ECU10fは、走行環境認識部101、行動判断部102f、制御実行部103、継続特定部104、メンテナンス特定部105、及びHCU通信部106を機能ブロックとして備える。自動運転ECU10fは、行動判断部102の代わりに行動判断部102fを備える点を除けば、実施形態1の自動運転ECU10と同様である。この自動運転ECU10fも車両用制御装置に相当する。また、コンピュータによって自動運転ECU10fの各機能ブロックの処理が実行されることが、車両用制御方法が実行されることに相当する。
【0142】
行動判断部102fは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の行動判断部102と同様である。行動判断部102fは、走行計画部121、走行制限部122f、及び閾値変更部123をサブ機能ブロックとして備える。行動判断部102fは、走行制限部122の代わりに走行制限部122fを備える点を除けば、実施形態1の行動判断部102と同様である。
【0143】
走行制限部122fは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の走行制限部122と同様である。走行制限部122fは、自車が規定距離以上の走行を行った後、第1の規定期間内に再度走行を開始する場合には、回復モードから走行を開始させる制限を行う。規定距離以上の走行とは、車両電源のオフを挟まない規定距離以上の走行である。規定距離以上の走行を、以下では、長距離走行と呼ぶ。ここで言うところの規定距離とは、車両の負荷が大きいと推定される距離であって、任意に設定可能な値である。規定距離は、例えば数百kmとすればよい。第1の規定期間とは、走行によって上昇したエンジン,車体等の車両部品の温度が走行前に戻ると推定される期間であって、任意に設定可能な値である。以下では、第1の規定期間内を短期間と呼ぶ。第1の規定期間は、例えば1日としてもよいし、30分程度としてもよい。
【0144】
長距離走行を行った後に短期間で再度走行を開始する場合、車両側への負荷が大きくなる。以上の構成によれば、このような場合に、回復モードから走行を開始する制限を行うことで、車両側への負荷をより軽減することが可能になる。
【0145】
(実施形態8)
前述の実施形態の構成に限らず、以下の実施形態8の構成としてもよい。以下では、実施形態8の構成の一例について図を用いて説明する。
【0146】
<車両用システム1gの概略構成>
図18に示す車両用システム1gは、自動運転車両で用いることが可能なものである。車両用システム1gは、
図18に示すように、自動運転ECU10g、通信モジュール11、ロケータ12、地
図DB13、車両状態センサ14g、周辺監視センサ15、車両制御ECU16、報知装置17、及びHCU19を含んでいる。車両用システム1gは、自動運転ECU10の代わりに自動運転ECU10gを含む。車両用システム1gは、車両状態センサ14の代わりに車両状態センサ14gを含む。車両用システム1gは、これらの点を除けば、実施形態1の車両用システム1と同様である。
【0147】
車両状態センサ14gは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の車両状態センサ14と同様である。以下では、この異なる点について説明する。車両状態センサ14gには、自車の荷台の重量を検出できる重量センサも含む。
【0148】
<自動運転ECU10gの概略構成>
続いて、
図19を用いて自動運転ECU10gの概略構成についての説明を行う。自動運転ECU10gは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の自動運転ECU10と同様である。自動運転ECU10gは、走行環境認識部101、行動判断部102g、制御実行部103、継続特定部104、メンテナンス特定部105、及びHCU通信部106を機能ブロックとして備える。自動運転ECU10gは、行動判断部102の代わりに行動判断部102gを備える点を除けば、実施形態1の自動運転ECU10と同様である。この自動運転ECU10gも車両用制御装置に相当する。また、コンピュータによって自動運転ECU10gの各機能ブロックの処理が実行されることが、車両用制御方法が実行されることに相当する。
【0149】
行動判断部102gは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の行動判断部102と同様である。行動判断部102gは、走行計画部121、走行制限部122g、及び閾値変更部123をサブ機能ブロックとして備える。行動判断部102gは、走行制限部122の代わりに走行制限部122gを備える点を除けば、実施形態1の行動判断部102と同様である。
【0150】
走行制限部122gは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の走行制限部122と同様である。走行制限部122gは、フルモードと回復モードとを繰り返す際の、通常期間と回復期間との割合を、自車の荷台の重量に応じて変化させる。走行制限部122gは、荷台の重量として、車両状態センサ14gのうちの重量センサから取得したものを用いればよい。走行制限部122gは、荷台の重量が第1の閾値以上の場合には、回復期間よりも通常期間の割合を多くさせればよい。一方、走行制限部122gは、荷台の重量が第2の閾値未満の場合には、通常期間よりも回復期間の割合を多くさせればよい。
【0151】
第1の閾値は、車両の負荷が高いと推定される重量とすればよく、任意に設定可能な値とすればよい。第2の閾値は、第1の閾値以下である。第2の閾値は第1の閾値と同じ値であってもよいが、異なる値としてもよい。第2の閾値は、荷台に荷物が有るか否かを区別する値とすればよく、任意に設定可能な値とすればよい。以上の構成によれば、荷台の重量が大きく、走行にパワーがより必要な場合に、通常期間の割合を多くして、走行しやすくすることが可能になる。一方、荷台の重量が小さく、走行に必要なパワーがより小さい場合に、回復期間の割合を多くして、車両の負荷をより軽減することが可能になる。自車が荷下ろしをして荷台の重量が小さくなった場合には、回復期間の割合を多くして、荷物の重量によって生じた負荷から回復しやすくすることが可能になる。
【0152】
(実施形態9)
前述の実施形態の構成に限らず、以下の実施形態9の構成としてもよい。以下では、実施形態9の構成の一例について図を用いて説明する。
【0153】
<車両用システム1hの概略構成>
図20に示す車両用システム1hは、自動運転車両で用いることが可能なものである。車両用システム1hは、
図20に示すように、自動運転ECU10h、通信モジュール11、ロケータ12、地
図DB13、車両状態センサ14、周辺監視センサ15、車両制御ECU16、報知装置17、及びHCU19を含んでいる。車両用システム1hは、自動運転ECU10の代わりに自動運転ECU10hを含む点を除けば、実施形態1の車両用システム1と同様である。
【0154】
<自動運転ECU10hの概略構成>
続いて、
図21を用いて自動運転ECU10hの概略構成についての説明を行う。自動運転ECU10hは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の自動運転ECU10と同様である。自動運転ECU10hは、走行環境認識部101h、行動判断部102h、制御実行部103、継続特定部104、メンテナンス特定部105、及びHCU通信部106を機能ブロックとして備える。自動運転ECU10hは、走行環境認識部101の代わりに走行環境認識部101hを備える。自動運転ECU10hは、行動判断部102の代わりに行動判断部102hを備える。自動運転ECU10hは、これらの点を除けば、実施形態1の自動運転ECU10と同様である。この自動運転ECU10hも車両用制御装置に相当する。また、コンピュータによって自動運転ECU10hの各機能ブロックの処理が実行されることが、車両用制御方法が実行されることに相当する。
【0155】
走行環境認識部101hは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の自動運転ECU10と同様である。以下では、この異なる点について説明する。走行環境認識部101hは、自車の走行路の勾配を認識する。自車の走行路の勾配とは、自車が走行中の道路区間のうち、自車が進行する方向の道路区間の勾配である。走行環境認識部101hは、自車の走行路が上り勾配か下り勾配かを少なくとも区別して認識すればよい。なお、縦断勾配が規定値未満の場合は勾配なしと認定してもよい。規定値は、任意に設定可能な値とすればよい。
【0156】
行動判断部102hは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の行動判断部102と同様である。行動判断部102hは、走行計画部121、走行制限部122h、及び閾値変更部123をサブ機能ブロックとして備える。行動判断部102hは、走行制限部122の代わりに走行制限部122hを備える点を除けば、実施形態1の行動判断部102と同様である。
【0157】
走行制限部122hは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の走行制限部122と同様である。走行制限部122hは、フルモードと回復モードとを繰り返す際の、通常期間と回復期間との割合を、自車の走行路の勾配に応じて変化させる。走行制限部122hは、走行路の勾配として、走行環境認識部101dで認識したものを用いればよい。走行制限部122hは、走行路が下り勾配の場合には、通常期間よりも回復期間の割合を多くさせればよい。一方、走行制限部122hは、走行路が上り勾配の場合には、回復期間よりも通常期間の割合を多くさせればよい。
【0158】
以上の構成によれば、自車の走行路が上り勾配であって、走行にパワーがより必要な場合に、通常期間の割合を多くして、走行しやすくすることが可能になる。一方、自車の走行路が下り勾配であって、走行に必要なパワーがより小さい場合に、回復期間の割合を多くして、車両の負荷をより軽減することが可能になる。自車が上り勾配の後に下り勾配となる場合には、回復期間の割合を多くして、上り勾配の走行によって生じた負荷から回復しやすくすることが可能になる。なお、勾配なしの場合は、例えば通常期間と回復期間との割合をデフォルトのままとすればよい。他にも、例えば勾配なしの場合にも、通常期間よりも回復期間の割合を多くさせてもよい。
【0159】
(実施形態10)
前述の実施形態の構成に限らず、以下の実施形態10の構成としてもよい。以下では、実施形態10の構成の一例について図を用いて説明する。
【0160】
<車両用システム1iの概略構成>
図22に示す車両用システム1iは、自動運転車両で用いることが可能なものである。車両用システム1iは、
図22に示すように、自動運転ECU10i、通信モジュール11、ロケータ12、地
図DB13、車両状態センサ14i、周辺監視センサ15、車両制御ECU16、報知装置17、及びHCU19を含んでいる。車両用システム1iは、自動運転ECU10の代わりに自動運転ECU10iを含む点を除けば、実施形態1の車両用システム1と同様である。
【0161】
車両状態センサ14iは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の車両状態センサ14と同様である。以下では、この異なる点について説明する。車両状態センサ14iには、自車のバッテリの電池情報を検出するバッテリセンサも含む。バッテリセンサは、バッテリの電圧、電流、温度等を検出すればよい。
【0162】
<自動運転ECU10iの概略構成>
続いて、
図23を用いて自動運転ECU10iの概略構成についての説明を行う。自動運転ECU10iは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の自動運転ECU10と同様である。自動運転ECU10iは、走行環境認識部101、行動判断部102i、制御実行部103、継続特定部104、メンテナンス特定部105、HCU通信部106、及びバッテリ状態判定部111を機能ブロックとして備える。自動運転ECU10iは、行動判断部102の代わりに行動判断部102iを備える。自動運転ECU10iは、バッテリ状態判定部111を備える。自動運転ECU10iは、これらの点を除けば、実施形態1の自動運転ECU10と同様である。この自動運転ECU10iも車両用制御装置に相当する。また、コンピュータによって自動運転ECU10iの各機能ブロックの処理が実行されることが、車両用制御方法が実行されることに相当する。
【0163】
バッテリ状態判定部111は、自車のバッテリの状態を判定する。バッテリ状態判定部111は、車両状態センサ14iのうちのバッテリセンサで検出する電池情報から、バッテリの劣化状態を特定する。例えば、バッテリ状態判定部111は、この劣化状態として、SOH(State of Health)を特定する。そして、バッテリ状態判定部111は、特定した劣化状態から、バッテリが健全な状態であるか否かを判定する。例えばバッテリ状態判定部111は、バッテリのSOH(State of Health)が規定値以上であるか否かによって健全な状態か否かを判定すればよい。規定値は、バッテリが健全か否かを区別する値であって、任意に設定可能とすればよい。規定値は、例えば70%~80%とすればよい。
【0164】
行動判断部102iは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の行動判断部102と同様である。行動判断部102iは、走行計画部121、走行制限部122i、及び閾値変更部123をサブ機能ブロックとして備える。行動判断部102iは、走行制限部122の代わりに走行制限部122iを備える点を除けば、実施形態1の行動判断部102と同様である。
【0165】
走行制限部122iは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の走行制限部122と同様である。走行制限部122iは、第2の規定期間以上、継続して走行を休止していた後、再度走行を開始する場合には、回復モード若しくは手動運転から走行を開始させる制限を行う。ここで言うところの第2の規定期間とは、再度走行を開始させる場合の車両の負荷が大きくなると推定される期間である。以下では、第2の規定期間以上を長期間と呼ぶ。第2の規定期間は、例えば1か月とすればよい。例えば、回復モードから走行を開始させる制限は、走行の開始時に自動的に回復モードからの走行開始をさせるものとすればよい。例えば、手動運転から走行を開始させる制限は、手動運転に切り替えないと走行の開始ができないものとすればよい。
【0166】
長期間継続して走行を休止していた後に再度走行を開始する場合、車両側への負荷が大きくなる場合がある。以上の構成によれば、このような場合に、回復モード若しくは手動運転から走行を開始する制限を行うことで、車両側への負荷をより軽減することが可能になる。
【0167】
走行制限部122iは、回復モード若しくは手動運転から走行を開始させる制限を行って走行を開始した後、以下のようにすることが好ましい。走行制限部122iは、自車のバッテリが健全な状態であることが判定された場合に、フルモードに切り替えさせることが好ましい。バッテリが健全な状態であるか否かは、バッテリ状態判定部111での判定結果を用いればよい。
【0168】
バッテリが健全な状態でない場合には、走行の継続のためには車両の負荷を抑えることが好ましい。一方、バッテリが健全な状態である場合には、車両の負荷を抑えることよりも走行のしやすさを優先しやすい。これに対して、以上の構成によれば、自車の状態が、車両の負荷を抑えることよりも走行のしやすさを優先しやすい状態の場合に、フルモードに切り替え、走行しやすくすることが可能になる。
【0169】
(実施形態11)
前述の実施形態では、自動運転ECU10,10a,10b,10c,10d,10e,10f,10g,10h,10iが車両用制御装置に相当する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、自動運転ECU10,10a,10b,10c,10d,10e,10f,10g,10h,10i以外のECUが車両用制御装置に相当する構成としてもよい。
【0170】
(開示されている技術的思想)
この明細書は、以下に列挙された複数の項に記載された複数の技術的思想を開示している。いくつかの項は、後続の項において先行する項を択一的に引用する多項従属形式(a multiple dependent form)により記載されている場合がある。さらに、いくつかの項は、他の多項従属形式の項を引用する多項従属形式(a multiple dependent form referring to another multiple dependent form)により記載されている場合がある。これらの多項従属形式で記載された項は、複数の技術的思想を定義している。
【0171】
(技術的思想1)
自動運転を実施する車両で用いることが可能な車両用制御装置であって、
前記車両の自動運転での連続走行時間若しくは連続走行距離である自動運転継続量を特定する継続特定部(104)と、
前記継続特定部で特定する前記自動運転継続量が所定の閾値を超えた場合に、自動運転での走行の制限である走行制限を行わせる走行制限部(122)とを備える車両用制御装置。
【0172】
(技術的思想2)
技術的思想1に記載の車両用制御装置であって、
前記走行制限部は、前記車両の挙動が少ないタイミングで前記走行制限を行わせる車両用制御装置。
【0173】
(技術的思想3)
技術的思想1又は2に記載の車両用制御装置であって、
前記走行制限部は、前記継続特定部で特定する前記自動運転継続量が所定の閾値を超えた場合の前記走行制限として、所定のタイミングとなるのを待ってから前記走行制限を行わせるタイミング走行制限と、前記タイミングとなるのを待たずに前記走行制限を行わせる即時走行制限とを、前記車両の走行環境及び前記車両の運転者の状態の少なくともいずれかに応じて切り替える車両用制御装置。
【0174】
(技術的思想4)
技術的思想3に記載の車両用制御装置であって、
前記走行制限部は、前記車両が片側複数車線の道路の追越車線以外の車線を走行している場合には、前記即時走行制限を用いる一方、前記車両が片側複数車線の道路の追越車線を走行している場合には、その追越車線から追越車線でない車線に移動してから前記走行制限を行わせる前記タイミング走行制限を用いる車両用制御装置。
【0175】
(技術的思想5)
技術的思想3又は4に記載の車両用制御装置であって、
前記走行制限部は、
前記タイミング走行制限と前記即時走行制限とを、前記車両の乗員の状態に応じて変化させるものであり、
前記乗員の状態が睡眠状態若しくは体調不良状態である場合に、前記乗員の状態が改善するのを待ってから前記走行制限を行わせる前記タイミング走行制限を用いる車両用制御装置。
【0176】
(技術的思想6)
技術的思想3又は4に記載の車両用制御装置であって、
前記タイミング走行制限と前記即時走行制限とを、前記車両の乗員の状態に応じて変化させるものであり、
前記乗員の状態が前記車両の周辺監視を行っている状態でない場合に、前記車両の周辺監視を行っている状態になるのを待ってから前記走行制限を行わせる前記タイミング走行制限を用いる車両用制御装置。
【0177】
(技術的思想7)
技術的思想3又は4に記載の車両用制御装置であって、
前記タイミング走行制限と前記即時走行制限とを、前記車両の乗員の状態に応じて変化させるものであり、
前記乗員の状態が、周辺監視義務のない自動運転時に前記車両の運転者が許可される、運転以外の行為であるセカンドタスク及びそのセカンドタスクに相当する行為のいずれかである特定行為を行っている状態である場合に、前記特定行為を行っていない状態になるのを待ってから前記走行制限を行わせる前記タイミング走行制限を用いる車両用制御装置。
【0178】
(技術的思想8)
技術的思想3~7のいずれか1項に記載の車両用制御装置であって、
前記走行制限部は、前記車両の後方の所定範囲内に後続車両が存在しない場合には、前記即時走行制限を用いる一方、前記所定範囲内に後続車両が存在する場合には、前記所定範囲内に後続車両が存在しなくなってから前記走行制限を行わせる前記タイミング走行制限を用いる車両用制御装置。
【0179】
(技術的思想9)
技術的思想1~8のいずれか1項に記載の車両用制御装置であって、
前記継続特定部で特定する前記自動運転継続量が前記閾値を超えた場合に、自動運転での設定車速で走行させるフルモードと、自動運転での設定車速よりも低い車速に抑えて走行させる回復モードとを繰り返す前記走行制限を行わせる車両用制御装置。
【0180】
(技術的思想10)
技術的思想1~9のいずれか1項に記載の車両用制御装置であって、
前記車両の乗員に向けて報知を行わせる車内報知処理部(161)を備え、
前記車内報知処理部は、前記継続特定部で特定する前記自動運転継続量と前記閾値との差が設定値未満となった場合に、前記車両の乗員に向けて休憩を提案する報知と、前記休憩を行わなかった場合に行わせることになる前記走行制限についての報知とを行わせる車両用制御装置。
【0181】
(技術的思想11)
技術的思想1~10のいずれか1項に記載の車両用制御装置であって、
前記車両の乗員に向けて報知を行わせる車内報知処理部(161)を備え、
前記車内報知処理部は、前記継続特定部で特定する前記自動運転継続量と前記閾値との差が設定値未満となった場合に、前記車両の乗員に向けて前記車両の点検を促す報知を行わせる車両用制御装置。
【0182】
(技術的思想12)
技術的思想1~11のいずれか1項に記載の車両用制御装置であって、
前記車両の乗員に向けて報知を行わせる車内報知処理部(161)と、
前記車両のメンテナンスが必要か否かを特定するメンテナンス特定部(105)とを備え、
前記車内報知処理部は、前記車両の自動運転中に、前記メンテナンス特定部での特定結果をもとに、前記車両のメンテナンスが必要か否かを知らせる要否報知を定期的に行わせる車両用制御装置。
【0183】
(技術的思想13)
技術的思想1~12のいずれか1項に記載の車両用制御装置であって、
前記車両の自動運転での走行計画を決定する走行計画部(121)を備え、
前記走行計画部は、前記車両の自動運転継続量が規定量に達する予定の走行計画を決定する場合に、前記車両のメンテナンスを行うことができる地点を経由する経路を走行するように走行計画を決定する車両用制御装置。
【0184】
(技術的思想14)
技術的思想1~13のいずれか1項に記載の車両用制御装置であって、
前記車両は、遠隔操作によって自動運転が可能な遠隔操作車両であり、
前記車両を遠隔操作する監視センタの遠隔操作者に向けて報知を行わせるセンタ報知処理部(1071)を備え、
前記センタ報知処理部は、前記車両が遠隔操作によって自動運転中の場合であって、且つ、前記継続特定部で特定する前記自動運転継続量と前記閾値との差が設定値未満となった場合に、前記遠隔操作者に向けて休憩を提案する報知と、前記休憩を行わなかった場合に行わせることになる前記走行制限についての報知とを行わせる車両用制御装置。
【0185】
(技術的思想15)
技術的思想1~14のいずれか1項に記載の車両用制御装置であって、
前記車両は、遠隔操作によって自動運転が可能な遠隔操作車両であり、
前記車両を遠隔操作する監視センタの遠隔操作者に向けて報知を行わせるセンタ報知処理部(1071)を備え、
前記センタ報知処理部は、前記車両が遠隔操作によって自動運転中の場合であって、且つ、前記継続特定部で特定する前記自動運転継続量と前記閾値との差が設定値未満となった場合に、前記遠隔操作者に向けて遠隔操作の交代を提案する報知を行わせる車両用制御装置。
【0186】
(技術的思想16)
技術的思想1~15のいずれか1項に記載の車両用制御装置であって、
前記車両の走行環境を特定する走行環境特定部(101)と、
前記走行環境特定部で特定する前記走行環境が、前記車両の走行にとって悪条件であるほど、前記閾値を小さく変更する閾値変更部(123)とを備える車両用制御装置。
【0187】
(技術的思想17)
技術的思想1~16のいずれか1項に記載の車両用制御装置であって、
前記継続特定部で特定する前記自動運転継続量が前記閾値を超えた場合に、自動運転での設定車速よりも低い車速に抑えて走行させる前記走行制限を行わせる車両用制御装置。
【0188】
(技術的思想18)
技術的思想9~17のいずれか1項に記載の車両用制御装置であって、
前記走行制限部は、前記フルモードと前記回復モードとを繰り返す際の、前記フルモードを継続する期間である通常期間と、前記回復モードを継続する期間である回復期間との割合を、前記車両の負荷に関する情報である負荷関連情報に応じて変化させる車両用制御装置。
【0189】
(技術的思想19)
技術的思想9~18のいずれか1項に記載の車両用制御装置であって、
前記走行制限部は、前記フルモードと前記回復モードとを繰り返す際の、前記フルモードを継続する期間である通常期間と、前記回復モードを継続する期間である回復期間との割合を、前記車両の乗員の状態に応じて変化させる車両用制御装置。
【0190】
(技術的思想20)
技術的思想19に記載の車両用制御装置であって、
前記走行制限部は、前記車両の乗員の状態が睡眠状態若しくは体調不良状態である場合に、前記通常期間よりも前記回復期間の割合を多くさせる車両用制御装置。
【0191】
(技術的思想21)
技術的思想19に記載の車両用制御装置であって、
前記走行制限部は、前記車両の乗員の状態が、前記車両の周辺監視を行っている状態である場合に、前記回復期間よりも前記通常期間の割合を多くさせる車両用制御装置。
【0192】
(技術的思想22)
技術的思想19に記載の車両用制御装置であって、
前記走行制限部は、前記車両の乗員の状態が、周辺監視義務のない自動運転時に前記車両の運転者が許可される、運転以外の行為であるセカンドタスク及びそのセカンドタスクに相当する行為のいずれかである特定行為を行っている状態である場合に、前記回復期間よりも前記通常期間の割合を多くさせる一方、前記特定行為を行っていない状態若しくは休憩の姿勢を取っている状態の場合に、前記通常期間よりも前記回復期間の割合を多くさせる
【0193】
(技術的思想23)
技術的思想9~22のいずれか1項に記載の車両用制御装置であって、
前記走行制限部は、前記車両が規定距離以上の走行である長距離走行を行った後、第1の規定期間内である短期間に再度走行を開始する場合には、前記回復モードから走行を開始させる制限を行う車両用制御装置。
【0194】
(技術的思想24)
技術的思想9~23のいずれか1項に記載の車両用制御装置であって、
前記走行制限部は、前記フルモードと前記回復モードとを繰り返す際の、前記フルモードを継続する期間である通常期間と、前記回復モードを継続する期間である回復期間との割合を、前記車両の荷台の重量が第1の閾値以上の場合には、前記回復期間よりも前記通常期間の割合を多くさせる一方、前記車両の荷台の重量が第1の閾値以下の第2の閾値未満の場合には、前記通常期間よりも前記回復期間の割合を多くさせる車両用制御装置。
【0195】
(技術的思想25)
技術的思想9~24のいずれか1項に記載の車両用制御装置であって、
前記走行制限部は、前記フルモードと前記回復モードとを繰り返す際の、前記フルモードを継続する期間である通常期間と、前記回復モードを継続する期間である回復期間との割合を、前記車両の走行路が下り勾配の場合には、前記通常期間よりも前記回復期間の割合を多くさせる一方、前記車両の走行路が上り勾配の場合には、前記回復期間よりも前記通常期間の割合を多くさせる車両用制御装置。
【0196】
(技術的思想26)
技術的思想9~25のいずれか1項に記載の車両用制御装置であって、
前記走行制限部は、第2の規定期間以上である長期間、継続して走行を休止していた後、再度走行を開始する場合には、前記回復モード若しくは手動運転から走行を開始させる制限を行う車両用制御装置。
【0197】
(技術的思想27)
技術的思想26に記載の車両用制御装置であって、
前記走行制限部は、前記回復モード若しくは手動運転から走行を開始させる制限を行って走行を開始した後、前記車両のバッテリが健全な状態であることが判定された場合に、前記フルモードに切り替えさせる車両用制御装置。
【0198】
なお、本開示は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。また、本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された1つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の装置及びその手法は、専用ハードウェア論理回路により、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと1つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された1つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0199】
1,1a,1b,1c,1d,1e,1f,1g,1h,1i 車両用システム、10,10a,10b,10c,10d,10e,10f,10g,10h,10i 自動運転ECU(車両用制御装置)、101 走行環境認識部(走行環境特定部)、104 持続特定部、105 メンテナンス特定部、108 異常特定部、109 メンテ情報取得部、121 走行計画部、122,122c,122d,122e,122f,122g,122h,122i 走行制限部、123 閾値変更部、161,161b 車内報知処理部、1071 センタ報知処理部