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特開2024-100704弾性波共振器を備えるマルチ経路フィルタ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100704
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】弾性波共振器を備えるマルチ経路フィルタ
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/17 20060101AFI20240719BHJP
   H03H 9/54 20060101ALI20240719BHJP
   H03H 9/70 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
H03H9/17 F
H03H9/54 A
H03H9/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】40
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023217989
(22)【出願日】2023-12-25
(31)【優先権主張番号】63/479817
(32)【優先日】2023-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/479913
(32)【優先日】2023-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】503031330
【氏名又は名称】スカイワークス ソリューションズ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SKYWORKS SOLUTIONS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】チェン、 イ
(72)【発明者】
【氏名】ニ、 チユアン
(72)【発明者】
【氏名】リン、 ウェンルイ
【テーマコード(参考)】
5J108
【Fターム(参考)】
5J108AA07
5J108JJ04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】通過帯域が相対的に広く、かつ、帯域外阻止率が高いマルチ経路フィルタ、マルチプレクサ、無線周波数モジュール、無線周波数システム、無線通信デバイス及び方法を提供する。
【解決手段】マルチ経路フィルタ10は、入力ポートRF_INから出力ポートRF_OUTまでに2つの信号経路を含む。第1信号経路は、直列弾性波共振器12を含む。第2信号経路は、シャント弾性波共振器14及び位相シフタ16を含む。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数信号をフィルタリングするマルチ経路フィルタであって、
前記マルチ経路フィルタのノードから前記マルチ経路フィルタの出力ポートまでの第1信号経路であって、直列弾性波共振器を含む第1信号経路と、
前記ノードから前記出力ポートまでの第2信号経路であって、シャント弾性波共振器及び位相シフタを含む第2信号経路と
を含む、マルチ経路フィルタ。
【請求項2】
前記マルチ経路フィルタは、少なくとも前記第1信号経路と前記第2信号経路との組み合わされたインピーダンス応答によって形成される通過帯域を有する、請求項1のマルチ経路フィルタ。
【請求項3】
前記通過帯域は少なくとも800メガヘルツに及ぶ、請求項2のマルチ経路フィルタ。
【請求項4】
前記通過帯域は、前記通過帯域の中心周波数の少なくとも20%となる帯域幅を有する、請求項2のマルチ経路フィルタ。
【請求項5】
前記通過帯域は第5世代ニューラジオ動作帯域に対応する、請求項2のマルチ経路フィルタ。
【請求項6】
前記第1信号経路のインピーダンスと前記第2信号経路のインピーダンスとは互いに前記通過帯域の外側でキャンセルし合って阻止を形成する、請求項2のマルチ経路フィルタ。
【請求項7】
前記マルチ経路フィルタは、Wi-Fi周波数帯域に対して少なくとも50デシベルの阻止率を有する、請求項1のマルチ経路フィルタ。
【請求項8】
前記第1信号経路の周波数応答と前記第2信号経路の周波数応答とが前記マルチ経路フィルタの通過帯域において組み合わされ、前記第1信号経路の周波数応答と前記第2信号経路の周波数応答とが、前記通過帯域の外側に存在する前記マルチ経路フィルタの阻止帯域のためにキャンセルされる、請求項1のマルチ経路フィルタ。
【請求項9】
前記位相シフタは伝送線路及びキャパシタを含む、請求項1のマルチ経路フィルタ。
【請求項10】
前記位相シフタはコイルインダクタ及びキャパシタを含む、請求項1のマルチ経路フィルタ。
【請求項11】
前記ノードと前記マルチ経路フィルタの入力ポートとの間に結合される第2直列弾性波共振器をさらに含む、請求項1のマルチ経路フィルタ。
【請求項12】
第2直列弾性波共振器及び第2シャント弾性波共振器をさらに含み、前記位相シフタは前記第2シャント弾性波共振器と前記出力ポートとの間に結合され、前記第2直列弾性波共振器は前記シャント弾性波共振器と前記第2シャント弾性波共振器との間に結合される、請求項1のマルチ経路フィルタ。
【請求項13】
前記ノードとグランドとの間に結合される第2シャント弾性波共振器をさらに含む、請求項1のマルチ経路フィルタ。
【請求項14】
前記直列弾性波共振器に直列の第2直列弾性波共振器をさらに含む、請求項13のマルチ経路フィルタ。
【請求項15】
前記マルチ経路フィルタは受信フィルタである、請求項1のマルチ経路フィルタ。
【請求項16】
前記マルチ経路フィルタはシングルエンド出力信号を前記出力ポートに与える、請求項1のマルチ経路フィルタ。
【請求項17】
前記直列弾性波共振器及び前記シャント弾性波共振器はバルク弾性波共振器である、請求項1のマルチ経路フィルタ。
【請求項18】
無線周波数信号をフィルタリングするマルチプレクサであって、
第1信号経路及び第2信号経路を含むマルチ経路フィルタと、
共通ノードにおいて前記マルチ経路フィルタに結合される第2フィルタと
を含み、
前記第1信号経路は、前記マルチ経路フィルタのノードから前記マルチ経路フィルタの出力ポートまでであり、
前記第1信号経路は直列弾性波共振器を含み、前記第2信号経路は前記ノードから前記出力ポートまでであり、
前記第2信号経路はシャント弾性波共振器及び位相シフタを含む、マルチプレクサ。
【請求項19】
前記第2フィルタは、弾性波共振器を含むラダーフィルタである、請求項18のマルチプレクサ。
【請求項20】
無線周波数モジュールであって、
第1信号経路及び第2信号経路を含むマルチ経路フィルタと、
無線周波数回路と、
前記マルチ経路フィルタ及び前記無線周波数回路を封入するパッケージ構造物と
を含み、
前記第1信号経路は、前記マルチ経路フィルタのノードから前記マルチ経路フィルタの出力ポートまでであり、
前記第1信号経路は直列弾性波共振器を含み、前記第2信号経路は前記ノードから前記出力ポートまでであり、
前記第2信号経路はシャント弾性波共振器及び位相シフタを含む、無線周波数モジュール。
【請求項21】
無線周波数信号をフィルタリングするマルチ経路フィルタであって、
入力ポートと出力ポートとの間に結合される帯域通過セクションであって、直列弾性波共振器を含む帯域通過セクションと、
第2弾性波共振器及び位相シフタを含む抽出器セクションと
を含み、
前記第2弾性波共振器及び前記位相シフタは、前記入力ポートと前記出力ポートとの間の信号経路に存在し、
前記マルチ経路フィルタは、少なくとも前記帯域通過セクションと前記抽出器セクションとの組み合わされたインピーダンス応答によって形成される通過帯域を有し、
前記マルチ経路フィルタは、前記通過帯域の外側に、少なくとも前記帯域通過セクションのインピーダンス応答と前記抽出器セクションのインピーダンス応答とのキャンセルによって形成される阻止帯域を有する、マルチ経路フィルタ。
【請求項22】
前記マルチ経路フィルタは、前記入力ポートにおいてシングルエンド入力信号を受信して前記出力ポートにおいてシングルエンド出力信号を与えるように構成される、請求項21のマルチ経路フィルタ。
【請求項23】
前記直列弾性波共振器及び前記第2弾性波共振器はバルク弾性波共振器である、請求項21のマルチ経路フィルタ。
【請求項24】
入力整合を目的として前記入力ポートに電気的に接続されるシャントインダクタをさらに含む、請求項21のマルチ経路フィルタ。
【請求項25】
出力整合を目的として前記出力ポートに電気的に接続される直列インダクタをさらに含む、請求項21のマルチ経路フィルタ。
【請求項26】
前記直列弾性波共振器に直列の第2直列弾性波共振器をさらに含む、請求項21のマルチ経路フィルタ。
【請求項27】
前記抽出器セクションは、前記直列弾性波共振器と第2直列弾性波共振器との間のノードに接続される、請求項26のマルチ経路フィルタ。
【請求項28】
グランドと、前記直列弾性波共振器と第2直列弾性波共振器との間のノードとの間に電気的に接続されるシャント弾性波共振器をさらに含む、請求項26のマルチ経路フィルタ。
【請求項29】
前記抽出器セクションは第3弾性波共振器を含み、前記位相シフタは、前記第3弾性波共振器と前記出力ポートとの間に結合される、請求項21のマルチ経路フィルタ。
【請求項30】
前記位相シフタはキャパシタ及び伝送線路インダクタを含む、請求項21のマルチ経路フィルタ。
【請求項31】
前記位相シフタは、キャパシタ、コイルインダクタ及び伝送線路インダクタを含む、請求項21のマルチ経路フィルタ。
【請求項32】
前記通過帯域は、少なくとも800メガヘルツに及ぶ、請求項21のマルチ経路フィルタ。
【請求項33】
前記通過帯域は、前記通過帯域の中心周波数の少なくとも20%の帯域幅を有する、請求項21のマルチ経路フィルタ。
【請求項34】
前記阻止帯域はWi-Fi周波数帯域に対応する、請求項21のマルチ経路フィルタ。
【請求項35】
前記阻止帯域は少なくとも50デシベルの阻止率を有する、請求項34のマルチ経路フィルタ。
【請求項36】
前記通過帯域は第5世代ニューラジオ動作帯域に対応する、請求項21のマルチ経路フィルタ。
【請求項37】
無線周波数システムであって、
アンテナと、
帯域通過セクション及び抽出器セクションを含むマルチ経路フィルタと、
前記アンテナを、前記マルチ経路フィルタを含む信号経路に選択的かつ電気的に接続するように構成されるアンテナスイッチと
を含み、
前記帯域通過セクションは入力ポートと出力ポートとの間に結合され、
前記帯域通過セクションは直列弾性波共振器を含み、
前記抽出器セクションは第2弾性波共振器及び位相シフタを含み、
前記第2弾性波共振器及び前記位相シフタは、前記入力ポートと前記出力ポートとの間の信号経路に存在し、
前記マルチ経路フィルタは、少なくとも前記帯域通過セクションと前記抽出器セクションとの組み合わされたインピーダンス応答によって形成される通過帯域を有し、
前記マルチ経路フィルタは、前記通過帯域の外側に、少なくとも前記帯域通過セクションと前記抽出器セクションとのインピーダンス応答のキャンセルによって形成される阻止帯域を有する、無線周波数システム。
【請求項38】
共通ノードにおいて前記マルチ経路フィルタに結合される第2フィルタをさらに含み、前記マルチ経路フィルタ及び前記第2フィルタはマルチプレクサに含まれる、請求項37の無線周波数システム。
【請求項39】
前記マルチ経路フィルタは受信フィルタである、請求項37の無線周波数システム。
【請求項40】
無線通信デバイスであって、
帯域通過セクション及び抽出器セクションを含むマルチ経路フィルタを含む無線周波数フロントエンドと、
前記無線周波数フロントエンドに結合されるアンテナと、
前記無線周波数フロントエンドと通信する送受信器と、
前記送受信器と通信するベース帯域プロセッサと
を含み、
前記帯域通過セクションは入力ポートと出力ポートとの間に結合され、
前記帯域通過セクションは直列弾性波共振器を含み、
前記抽出器セクションは第2弾性波共振器及び位相シフタを含み、
前記第2弾性波共振器及び前記位相シフタは、前記入力ポートと前記出力ポートとの間の信号経路に存在し、
前記マルチ経路フィルタは、少なくとも前記帯域通過セクションと前記抽出器セクションとの組み合わされたインピーダンス応答によって形成される通過帯域を有し、
前記マルチ経路フィルタは、前記通過帯域の外側に、少なくとも前記帯域通過セクションと前記抽出器セクションとのインピーダンス応答のキャンセルによって形成される阻止帯域を有する、無線通信デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権出願の相互参照
本願は、2023年1月13日に出願された「弾性波共振器を備えるマルチ経路フィルタ」との名称の米国仮出願第63/479,817号、及び2023年1月13日に出願された「無線周波数信号をフィルタリングするマルチ経路フィルタ」との名称の米国仮出願第63/479,913号の優先権の利益を主張し、これらそれぞれの開示は、その全体が参照により、すべての目的のためにここに組み入れられる。
【0002】
開示の技術は、弾性波共振器を含むフィルタに関する。本開示の実施形態は、無線周波数信号をフィルタリングするマルチ経路フィルタに関する。ここで、マルチ経路フィルタは弾性波共振器を含む。
【背景技術】
【0003】
弾性波フィルタは、無線周波数電子システムに実装することができる。例えば、携帯電話機の無線周波数フロントエンドにおけるフィルタは、一以上の弾性波フィルタを含み得る。複数の弾性波フィルタがマルチプレクサとして配列され得る。例えば、2つの弾性波フィルタをダイプレクサとして配列することができる。
【0004】
弾性波フィルタは、無線周波数信号をフィルタリングするべく配列される複数の音響共振器を含み得る。弾性波フィルタの例は、弾性表面波(SAW)フィルタ及びバルク弾性波(BAW)フィルタを含む。BAWフィルタはBAW共振器を含む。例示のBAW共振器は、薄膜バルク弾性波共振器(FBAR)及びソリッドマウント共振器(SMR)を含む。BAW共振器において、弾性波は圧電層のバルク内を伝搬する。
【0005】
通過帯域が相対的に広くかつ帯域外阻止率が高いフィルタが望ましい。かかるフィルタを、設計仕様を満たしながら弾性波ラダーフィルタによって実装することには技術的困難性が存在する。
【発明の概要】
【0006】
特許請求の範囲に記載されるイノベーションはそれぞれが、いくつかの側面を有し、そのうちの一つのみがその望ましい属性について全責任を負うものではない。特許請求の範囲を限定することなく、本開示のいくつかの顕著な特徴が以下に簡潔に記載される。
【0007】
本開示の一側面は、無線周波数信号をフィルタリングするマルチ経路フィルタである。マルチ経路フィルタは第1信号経路及び第2信号経路を含む。第1信号経路は、マルチ経路フィルタのノードからマルチ経路フィルタの出力ポートまで存在する。第1信号経路は直列弾性波共振器を含む。第2信号経路は当該ノードから出力ポートまで存在する。第2信号経路はシャント弾性波共振器及び位相シフタを含む。
【0008】
マルチ経路フィルタは、少なくとも第1信号経路と第2信号経路との組み合わされたインピーダンス応答によって形成される通過帯域を有し得る。通過帯域は、少なくとも800メガヘルツに及ぶ。通過帯域は、通過帯域の中心周波数の少なくとも20%となる帯域幅を有し得る。通過帯域は、第5世代ニューラジオ動作帯域に対応し得る。第1信号経路のインピーダンスと第2信号経路のインピーダンスとは互いに通過帯域の外側でキャンセルし合って阻止を形成し得る。
【0009】
マルチ経路フィルタは、Wi-Fi周波数帯域に対して少なくとも50デシベルの阻止率を有し得る。
【0010】
第1信号経路の周波数応答と第2信号経路の周波数応答とが、マルチ経路フィルタの通過帯域においてみ合わされ得る。第1信号経路の周波数応答と第2信号経路の周波数応答とが、通過帯域の外側に存在するマルチ経路フィルタの阻止帯域のためにキャンセルされ得る。
【0011】
位相シフタは伝送線路及びキャパシタを含み得る。位相シフタはコイルインダクタ及びキャパシタを含み得る。
【0012】
マルチ経路フィルタはさらに、マルチ経路フィルタの入力ポートと当該ノードとの間に第2直列弾性波共振器を含み得る。
【0013】
マルチ経路フィルタはさらに、第2直列弾性波共振器及び第2シャント弾性波共振器を含み得る。位相シフタは、第2シャント弾性波共振器と出力ポートとの間に結合され得る。第2直列弾性波共振器は、シャント弾性波共振器と第2シャント弾性波共振器との間に結合され得る。
【0014】
マルチ経路フィルタはさらに、当該ノードとグランドとの間に結合される第2シャント弾性波共振器を含み得る。マルチ経路フィルタはさらに、直列弾性波共振器に直列の第2直列弾性波共振器を含み得る。
【0015】
マルチ経路フィルタは受信フィルタとしてよい。
【0016】
マルチ経路フィルタは、シングルエンド出力信号を出力ポートに与える。
【0017】
直列弾性波共振器及びシャント弾性波共振器はバルク弾性波共振器としてよい。
【0018】
本開示の他側面は、無線周波数信号をフィルタリングするマルチ経路フィルタである。マルチ経路フィルタは、帯域通過セクション及び抽出器セクションを含む。帯域通過セクションは、入力ポートと出力ポートとの間に結合される。帯域通過セクションは直列弾性波共振器を含む。抽出器セクションは第2弾性波共振器及び位相シフタを含む。第2弾性波共振器及び位相シフタは、入力ポートと出力ポートとの間の信号経路に存在する。マルチ経路フィルタは、少なくとも帯域通過セクションのインピーダンス応答と抽出器セクションのインピーダンス応答との組み合わせによって形成される通過帯域を有する。マルチ経路フィルタは、少なくとも帯域通過セクションのインピーダンス応答と抽出器セクションのインピーダンス応答とのキャンセルによって形成される阻止帯域を有する。
【0019】
マルチ経路フィルタは、シングルエンド入力信号を入力ポートで受信し、シングルエンド出力信号を出力ポートに与える。
【0020】
直列弾性波共振器及び第2弾性波共振器はバルク弾性波共振器としてよい。
【0021】
マルチ経路フィルタはさらに、入力整合を目的として入力ポートに電気的に接続されるシャントインダクタを含み得る。
【0022】
マルチ経路フィルタはさらに、出力整合を目的として出力ポートに電気的に接続される直列インダクタを含み得る。
【0023】
マルチ経路フィルタはさらに、直列弾性波共振器に直列の第2直列弾性波共振器を含み得る。抽出器セクションは、直列弾性波共振器と第2直列弾性波共振器との間のノードに接続され得る。マルチ経路フィルタはさらに、グランドと、直列弾性波共振器と第2直列弾性波共振器との間のノードと間に電気的に接続されるシャント弾性波共振器を含み得る。
【0024】
抽出器セクションは第3弾性波共振器を含み得る。位相シフタは、第2シャント弾性波共振器と出力ポートとの間に結合され得る。
【0025】
マルチ経路フィルタは受信フィルタとしてよい。
【0026】
位相シフタはキャパシタ及び伝送線路インダクタを含み得る。位相シフタは、キャパシタ、コイルインダクタ及び伝送線路インダクタを含み得る。
【0027】
通過帯域は、少なくとも800メガヘルツに及ぶ。通過帯域は、通過帯域の中心周波数の少なくとも20%の帯域幅を有し得る。
【0028】
阻止帯域はWi-Fi周波数帯域に対応し得る。阻止帯域は、少なくとも50デシベルの阻止率を有し得る。
通過帯域は、第5世代ニューラジオ動作帯域に対応し得る。
【0029】
本開示の他側面は、ここに開示されるいずれかの適切な原理及び利点に係るマルチ経路フィルタと、マルチ経路フィルタに共通ノードにおいて接続される第2フィルタとを含むマルチプレクサである。
【0030】
本開示の他側面は、ここに開示されるいずれかの適切な原理及び利点に係るマルチ経路フィルタと、無線周波数回路と、マルチ経路フィルタ及び無線周波数回路を封入するパッケージ構造物とを含む無線周波数モジュールである。
【0031】
本開示の他側面は、アンテナと、ここに開示されるいずれかの適切な原理及び利点に係るマルチ経路フィルタと、アンテナとマルチ経路フィルタを含む信号経路とを選択的かつ電気的に接続するように構成されるアンテナスイッチとを含む無線周波数システムである。
【0032】
本開示の他側面は、ここに開示されるいずれかの適切な原理及び利点に係るマルチ経路フィルタを含む無線周波数フロントエンドと、無線周波数フロントエンドに結合されるアンテナと、無線周波数フロントエンドと通信する送受信器と、送受信機と通信するベース帯域プロセッサとを含む無線通信デバイスである。
【0033】
本開示の他側面は無線周波数信号処理の方法である。方法は、少なくともアンテナを介して無線周波数信号を受信することと、ここに開示されるいずれかの適切な原理及び利点に係るマルチ経路フィルタによって無線周波数信号をフィルタリングすることとを含む。
【0034】
本開示をまとめることを目的として、本イノベーションの所定の側面、利点、及び新規な特徴がここに記載されてきた。かかる利点の必ずしもすべてが、いずれかの特定の実施形態に従って達成されるわけではないことを理解すべきである。すなわち、本イノベーションは、ここに教示又は示唆され得る他の利点を必ずしも達成することなく、ここに教示される一つの利点又は複数の利点の一群を達成又は最適化する態様で具体化し又は実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本開示の実施形態が、添付図面を参照する非限定的な例を介して以下に記載される。
【0036】
図1A】一実施形態に係るマルチ経路フィルタの模式図である。
図1B図1Aのマルチ経路フィルタの信号経路の周波数応答及び位相のグラフである。
図2A】一実施形態に係るマルチ経路フィルタの模式図である。
図2B図2Aのマルチ経路フィルタの周波数応答及び位相差分のグラフである。
図3】一実施形態に係るマルチ経路フィルタの模式図である。
図4A図3のマルチ経路フィルタの周波数応答のグラフである。
図4B図3のマルチ経路フィルタの、周波数に対する位相のグラフである。
図5A】ラダーフィルタの模式図である。
図5B】一実施形態に係るマルチ経路フィルタの模式図である。
図6A図5Aのラダーフィルタと図5Bのマルチ経路フィルタの2つのバージョンとの周波数応答のグラフである。
図6B図5A及び図5Bのフィルタに関連付けられるアンテナポートにおけるスミスチャートである。
図6C図5A及び図5Bのフィルタに関連付けられる受信ポートにおけるスミスチャートである。
図6D図5A及び図5Bのフィルタに関連付けられる通過帯域における挿入損失のグラフである。
図7A】弾性波ラダーフィルタを備えるマルチプレクサを含む無線周波数システムの模式図である。
図7B】一実施形態に係るマルチ経路フィルタを備えるマルチプレクサを含む無線周波数システムの模式図である。
図8A図7Aのラダーフィルタの周波数応答と図7Bのマルチ経路フィルタの周波数応答とのグラフである。
図8B図7Aのラダーフィルタ及び図7Bのマルチ経路フィルタに関連付けられるアンテナポートにおけるスミスチャートである。
図8C図7Aのラダーフィルタ及び図7Bのマルチ経路フィルタに関連付けられる受信ポートにおけるスミスチャートである。
図8D図7Aのラダーフィルタ及び図7Bのマルチ経路フィルタに関連付けられる通過帯域における挿入損失のグラフである。
図9】一実施形態に係る帯域通過ラダー段を備えるマルチ経路フィルタの模式図である。
図10】一実施形態に係る位相シフタに結合される帯域通過段及び複数のシャント弾性波共振器を備えるマルチ経路フィルタの模式図である。
図11】一実施形態に係る例示の位相シフタを備えるマルチ経路フィルタの模式図である。
図12】一実施形態に係る例示の位相シフタを備えるマルチ経路フィルタの模式図である。
図13A】帯域通過フィルタの模式図である。
図13B】一実施形態に係るマルチ経路フィルタを含むダイプレクサの模式図である。
図13C】一実施形態に係るマルチ経路フィルタを含むマルチプレクサの模式図である。
図13D】一実施形態に係るマルチ経路フィルタを含むマルチプレクサの模式図である。
図13E】一実施形態に係るマルチ経路フィルタを含むマルチプレクサの模式図である。
図14】所定実施形態に係る例示のパッケージモジュールの模式的なブロック図である。
図15】所定実施形態に係る例示のパッケージモジュールの模式的なブロック図である。
図16】所定実施形態に係る例示のパッケージモジュールの模式的なブロック図である。
図17】一実施形態の携帯デバイスの模式的な図である。
図18】通信ネットワークの一例の模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
所定実施形態の以下の詳細な説明は、特定の実施形態の様々な記載を提示する。しかしながら、ここに記載されるイノベーションは、例えば特許請求の範囲により画定かつカバーされる数多くの異なる態様で具体化することができる。本明細書において、同じ参照番号が同一の又は機能的に同様の要素を示す図面が参照される。理解されることだが、図面に示される要素は必ずしも縮尺どおりとは限らない。さらに理解されることだが、所定の実施形態は、図面に示されるよりも多くの要素、及び/又は図面に示される要素の部分集合を含み得る。さらに、いくつかの実施形態は、2つ以上の図面からの特徴の任意の適切な組み合わせも含み得る。
【0038】
第5世代(5G)技術の開発により、バンドn77及びバンドn79のようなサブ6GHz帯をサポートするサブ6ギガヘルツ(GHz)フロントエンドモジュールに対して要求の厳しい仕様が作成されている。これらのような帯域は、その超広帯域幅及び厳しい相互変調歪み(IMD)仕様に起因して、新たなフィルタ設計上の課題を引き起こし得る。例えば、バンドn77は、低帯域(LB)及び/又は中高帯域(MHB)及び/又は5GHzWi-Fiの周波数において、24%のフラクショナル帯域幅と50デシベル(dB)を超える帯域外阻止率を有する帯域通過フィルタのための仕様を有し得る。
【0039】
集中素子フィルタがすべての阻止仕様を満たすことは可能であるが、かかるフィルタの通過帯域は相対的に高い挿入損失に遭遇し得る。かかる挿入損失により、フィルタ性能が競争力のないものとなり得る。バルク弾性波(BAW)フィルタは、有意な挿入損失のトレードオフなしに相対的に高い阻止率を達成できる。しかしながら、BAWラダーフィルタ段は、BAW共振器の電気機械結合係数(kt)の制限に起因して、高帯域(HB)及び/又はWi-Fi周波数帯域において十分な音響阻止率を与えることができない可能性がある。したがって、BAWフィルタの帯域幅を増加しながら、BAW共振器のkt制限を上回る阻止を可能にする新しいトポロジが望まれている。
【0040】
バンドn77受信フィルタの応答が、BAWラダー段と集中素子高域通過構成との組み合わせによって実装され得る。かかるフィルタは、競争力のある雑音指数(NF)を与えながらも大抵のIMD仕様を満たし得る。阻止仕様を満たすことが困難になるにつれて、阻止ノッチを深くするべく追加の集中素子が実装され得る。これはNFを劣化させ得る。また、現在のフィルタ設計が、厳しいNFのトレードオフなしで5GHzWi-Fiで帯域外阻止仕様を満たすには技術的課題が存在する。
【0041】
本開示の側面は、マルチ経路フィルタに関する。マルチ経路フィルタは、シングルエンドアプリケーションのための二重経路フィルタとしてよい。マルチ経路フィルタは、帯域通過セクション及び抽出器セクションを含み得る。帯域通過セクションは、マルチ経路フィルタの通過帯域に寄与し得る。帯域通過セクションは、少なくとも直列弾性波共振器を含み得る。抽出器セクションは、位相のずれた帯域阻止プロファイルを与え得る。抽出器セクションは、フィルタ入力ポートとフィルタ出力ポートとの間の信号経路にシャント弾性波共振器及び位相シフタを含み得る。帯域通過セクションの周波数応答と抽出器セクションの周波数応答とが組み合わされて相対的に広い通過帯域が形成され得る。帯域通過セクションと抽出器セクションとは、通過帯域の外側で互いにキャンセルし合い、阻止を形成し得る。このキャンセルは、ほぼキャンセルすること、ほぼ完全にキャンセルすること、又は完全にキャンセルすることを含み得る。マルチ経路フィルタは、無線周波数信号をフィルタリングし得る。
【0042】
ここに開示されるマルチ経路フィルタは、他のフィルタよりも優れた利点を達成し得る。ここに開示されるマルチ経路フィルタは、ラダー段トポロジにおけるBAW共振器の電気機械結合係数(kt)の限界を超える帯域幅及び阻止プロファイルを与え得る。ラティスフィルタが、相対的に広い帯域幅を与え得る。しかしながら、ラティスフィルタは、変圧器を備えるように実装されることが多い。ここに開示される位相シフタを備えるマルチ経路フィルタは、シングルエンドのマルチ経路フィルタを実装し得る。かかるフィルタは、バランを使用せずにラティス段の利益を達成し得る。ここに開示されるマルチ経路フィルタは、ラダー設計が技術的に阻止達成困難である周波数(例えばHB、5GWi-Fi等)において阻止を達成し得る一方で、ラダーフィルタに匹敵するフィルタ損失及び少ない共振器数を有し得る。阻止性能を改善するべく、所望によりマルチ経路フィルタに追加段を含めてよい。
【0043】
図1Aは、一実施形態に係るマルチ経路フィルタ10の模式図である。示されるように、マルチ経路フィルタ10は、直列弾性波共振器12を含む第1信号経路と、シャント弾性波共振器14及び位相シフタ16を含む第2信号経路とを含む。第1信号経路は直列経路としてよく、第2信号経路はシャント経路としてよい。無線周波数信号は、マルチ経路フィルタ10の入力ポートRF_inが受信し得る。無線周波数は、入力ポートRF_inから第1信号経路及び第2信号経路の双方を通ってマルチ経路フィルタ10の出力ポートRF_outまで伝搬し得る。マルチ経路フィルタ10は受信フィルタとしてよい。ここで、入力ポートRF_inはアンテナポートとしてよく、出力ポートRF_outは受信ポートとしてよい。
【0044】
マルチ経路フィルタは、マルチ経路フィルタの入力ポートと出力ポートとの間に2以上の信号経路を含み得る。マルチ経路フィルタ10は、図示のように二重経路フィルタである。マルチ経路フィルタ10は、シングルエンド入力及びシングルエンド出力の双方を有するシングルエンドアプリケーションを目的として配列される。マルチ経路フィルタ10の入力ポートは、シングルエンド入力信号を受信し得る。マルチ経路フィルタ10の出力ポートは、シングルエンド出力信号を与え得る。マルチ経路フィルタ10において、第1信号経路は帯域通過セクションを含み、第2信号経路は抽出器セクションを含む。帯域通過セクションと抽出器セクションとの組み合わせインピーダンスが、マルチ経路フィルタ10の通過帯域を形成し得る。抽出器セクションは、通過帯域の外側に阻止帯域を生成し得る。位相シフタが位相をシフトする結果、(a)帯域通過セクションの周波数応答に加算/結合される周波数応答を抽出器セクションが有して通過帯域が形成され、及び(b)通過帯域の外側において帯域通過セクションの周波数応答から減算/キャンセルされる周波数応答を抽出器セクションが有して阻止が高められる。
【0045】
直列弾性波共振器12及びシャント弾性波共振器14は、任意の適切な弾性波共振器であってよい。直列弾性波共振器12は、BAW共振器、弾性表面波(SAW)共振器、温度補償型SAW(TCSAW)共振器、多層圧電(MPS)SAW共振器、境界波共振器、ラム波共振器等としてよい。シャント弾性波共振器14は、BAW共振器、SAW共振器、TCSAW共振器、MPSSAW共振器、境界波共振器、ラム波共振器等としてよい。所定アプリケーションにおいて、直列弾性波共振器12及びシャント弾性波共振器14はBAW共振器であってよい。
【0046】
図1Bは、図1Aのマルチ経路フィルタ10の信号経路の周波数応答及び位相のグラフである。マルチ経路フィルタ10は、直列弾性波共振器12及びシャント弾性波共振器14を含み得る。これらは類似するが、シャント弾性波共振器14が、直列弾性波共振器12よりも近似的に500メガヘルツ(MHz)低い共振周波数を有する点が異なる。この共振周波数の差は、図1Bに反映されている。図1Bは、第1信号経路と第2信号経路との間の位相差すなわち位相デルタが、共振付近を除いて相対的に一貫していることを示す。
【0047】
図2Aは、一実施形態に係るマルチ経路フィルタ20の模式図である。マルチ経路フィルタ20は、図1Aのマルチ経路フィルタ10と同様であるが、シャント経路に異なる位相シフタが含まれる点が異なる。マルチ経路フィルタ20は、位相を180°プラス位相デルタをシフトし得る位相シフタ26を含む。シャント弾性波共振器14と直列弾性波共振器12との間の共振差(例えば500MHzの共振周波数差)からのわずかなインピーダンスの大きさの差に起因して、2つの経路間の位相差は180°に近いが正確には180°ではない場合に阻止が生じるはずである。インピーダンスキャンセルが理想に近い場合、鋭いノッチが生じ得る。シャント経路は、位相シフタ26がそのインピーダンスを帯域阻止から通過帯域に反転させることによって通過帯域の生成に寄与し得る。したがって、S21がマルチ経路フィルタ20の直列経路及びシャント経路双方の結合インピーダンス応答に基づき得るので、帯域幅が増加し得る。
【0048】
図2Bは、図2Aのマルチ経路フィルタ20の周波数応答及び位相差のグラフである。マルチ経路フィルタ20は、直列弾性波共振器12及びシャント弾性波共振器を含み得る。これらは類似するが、シャント弾性波共振器14が、直列弾性波共振器12よりも500MHz低い共振周波数を有する点が異なる。位相シフタ26は、図2Aを参照して説明される位相シフトを行い得る。図2Bは、図2Aのマルチ経路フィルタ20の周波数応答を示す。ここで、直列経路のインピーダンスとシャント経路のインピーダンスとが組み合わされて通過帯域が形成され、シャント経路が通過帯域の外側に阻止帯域を形成する。
【0049】
図3は、一実施形態に係るマルチ経路フィルタ30の模式図である。マルチ経路フィルタ30において、第1直列弾性波共振器32は、入力ポートRF_inとノードNとの間に結合される。マルチ経路フィルタ30は、ノードNから出力ポートRF_outへの2つの経路を含む。マルチ経路フィルタ30の2つの経路は、帯域通過経路及び抽出器経路である。帯域通過経路は、帯域通過周波数応答を有し得る。図示の帯域通過経路は、直列弾性波共振器12を含む。図示の抽出器経路は、シャント弾性波共振器14及び位相シフタ36を含む。抽出器経路は、位相のずれた帯域阻止プロファイルを形成し得る。帯域内では、帯域通過経路のインピーダンスと抽出器経路のインピーダンスとが組み合わされ、相対的に広い通過帯域が形成され得る。帯域外では、帯域通過経路と抽出器経路とが互いにキャンセルし合い、阻止が形成され得る。マルチ経路フィルタ30の帯域外キャンセルは、帯域通過経路の周波数応答から抽出器経路の周波数応答を減算することを含み得る。このキャンセルは、ほぼキャンセルすること、ほぼ完全にキャンセルすること、又は完全にキャンセルすることを含み得る。位相シフタ36は、抽出器経路が、帯域通過経路との帯域内及び帯域外の位相関係を有するように位相シフトを行い得る。マルチ経路フィルタ30はまた、入力整合ネットワーク38及び出力整合ネットワーク39を含む。入力整合ネットワーク38は、シャントインダクタであってよく、シャントインダクタを含んでもよい。出力整合ネットワーク39は、直列インダクタであってよく、直列インダクタを含んでもよい。
【0050】
図4Aは、図3のマルチ経路フィルタ30の周波数応答のグラフである。図4Bは、図3のマルチ経路フィルタ30の位相対周波数のグラフである。図4Aのグラフは、帯域通過経路及び抽出器経路の個別の周波数応答を示す。図4Aに示されるように、抽出器経路は、帯域通過経路単独と比べてフィルタの通過帯域を拡張する。これにより、相対的に広い通過帯域を生成することができる。
【0051】
ここに開示されるマルチ経路フィルタは、少なくとも600MHzの帯域幅を有し得る。帯域幅は、少なくとも800MHzとなり得る。帯域幅は、近似的に900MHzとなり得る。例えば、通過帯域は、3300MHzから4200MHzに及ぶバンドn77に対応し得る。帯域幅は、600MHzから1000MHzの範囲となり得る。相対的に広い通過帯域は、通過帯域の中心周波数の少なくとも12%となり得る。相対的に広い通過帯域は、通過帯域の中心周波数の少なくとも20%となり得る。例えば、相対的に広い通過帯域は、バンドn77フィルタの通過帯域の中心周波数の24%となり得る。相対的に広い通過帯域は、通過帯域の中心周波数の12%から30%の範囲となり得る。
【0052】
図5Aは、ラダーフィルタ50の模式図である。ラダーフィルタは、直列弾性波共振器52及び54と、シャント弾性波共振器56及び58とを含む。
【0053】
図5Bは、一実施形態に係るマルチ経路フィルタ60の模式図である。マルチ経路フィルタ60は、図3のマルチ経路フィルタ30と同様であるが、マルチ経路フィルタ60が、キャパシタ67A及び67Bと、コイルインダクタ68と、伝送線路インダクタ69A及び69Bとを含む位相シフタ66を含む点が異なる。位相シフタ66は、抽出器セクションのための位相シフタの例示の実施形態である。マルチ経路フィルタ60の弾性波共振器12、14及び32は、所定アプリケーションにおいてBAW共振器としてよい。
【0054】
図6Aは、図5Aのラダーフィルタ50の周波数応答、及び図5Bのマルチ経路フィルタ60の2つのバージョンの周波数応答のグラフである。これらのフィルタは、ドープされた圧電層を備えるBAW共振器を含んでいた。圧電層は、スカンジウム(Sc)がドープされた窒化アルミニウム(AlN)圧電層であった。異なるドープ濃度を有する2つのマルチ経路フィルタ60がシミュレーションされた。一方は30%のスカンジウムを含み、他方は35%のスカンジウムを含んでいた。図6Aは、ラダーフィルタ50が、純粋な帯域通過設計に起因して中央チャネル(mid channel)において良好な挿入損失を与え得ることを示す。しかしながら、ラダーフィルタ50のエッジロールオフは、マルチ経路フィルタ60よりも速い。これは、ラダーフィルタ50のBAW共振器の電気機械結合係数ktの限界に起因し得る。図6Aはまた、マルチ経路フィルタ60がラダーフィルタ50よりも広い通過帯域(同様のトリムによる)を与え得ることも示す。図6Aにおいて、マルチ経路フィルタ60の周波数応答におけるノッチは、音響及びインピーダンスのキャンセルによってもたらすことができる。(例えばスカンジウムの)ドーピング濃度が高いほど、音響的阻止を図6AにおけるHB及び/又はWi-Fi周波数まで引っ張ることができる。一般には、ドーピング濃度を調整して、周波数領域における音響的阻止を調整することができる。
【0055】
マルチ経路フィルタ60の二重経路設計は、特定の周波数においてもたらされる阻止に対する正確なインピーダンスキャンセルに依存し得る。したがって、マルチチップモジュール設計が、かかるインピーダンスキャンセルを実装するために重要となり得る。フィルタセクションが、50オームの入力/出力終端を備えるフルモジュールに対してシミュレーションされた。図6Aと同じフィルタに対するスミスチャート及び挿入損失のグラフが、図6B図6C及び図6Dに示される。図6Bは、アンテナポートにおけるスミスチャートである。図6Cは、受信ポートにおけるスミスチャートである。図6Dは挿入損失のグラフである。
【0056】
図7Aは、弾性波ラダーフィルタ73及び74を備えるマルチプレクサ72を含む無線周波数システム70の模式図である。無線周波数システム70において、マルチプレクサ72は、インピーダンスネットワーク76を介してアンテナスイッチ75に結合される。アンテナスイッチ75は、アンテナ77をマルチプレクサ72に選択的かつ電気的に接続することができる。図示されるように、マルチプレクサ72は、バンドn79受信フィルタ及びバンド77受信フィルタを含む。弾性波ラダーフィルタ73及び74はそれぞれがBAW共振器を含み得る。インピーダンスネットワーク76は、集積型パッシブデバイス(IPD)キャパシタを含み得る。インピーダンスネットワーク76は、シャントインダクタも含み得る。
【0057】
図7Bは、一実施形態に係るマルチ経路フィルタ60を備えるマルチプレクサ82を含む無線周波数システム80の模式図である。マルチ経路フィルタ60は、無線周波数システム80においてバンドn77受信フィルタとして配列される。無線周波数システム80は、他の点では、図7Aの無線周波数システム70と同様である。
【0058】
図8Aは、図7Aの弾性波ラダーフィルタ74及び図7Bのマルチ経路フィルタ60の周波数応答のグラフである。このグラフは、フルモジュールシミュレーションに対応する。図8Aは、弾性波ラダーフィルタ74と比べて、マルチ経路フィルタ60に対して円で囲まれた領域における有意な阻止改善を示す。このグラフは、マルチ経路フィルタ60が、2.4GHzWi-Fi帯域及び5GHzWi-Fi帯域の双方において、弾性波ラダーフィルタ74よりも有意に良好な阻止を与え得ることを示す。図8Aにおいて、マルチ経路フィルタ60もまた、弾性波ラダーフィルタ74よりも広い通過帯域を有する。シミュレーションを目的として、受信ポートは、低雑音増幅器入力インピーダンスにより終端された。
【0059】
図8Bは、図7Aの弾性波ラダーフィルタ74及び図7Bのマルチ経路フィルタ60についての曲線を有するアンテナポートのスミスチャートである。図8Cは、図7Aの弾性波ラダーフィルタ74及び図7Bのマルチ経路フィルタ60についての曲線を有する受信ポートのスミスチャートである。図8Dは、受信不整合が除去された図7Aの弾性波ラダーフィルタ74及び図7Bのマルチ経路フィルタ60についての通過帯域における挿入損失のグラフである。図8Dは、弾性波ラダーフィルタ74と比較したマルチ経路フィルタ60の通過帯域の下側チャネル(lower channel)における挿入損失改善を示す。
【0060】
図9は、一実施形態に係る帯域通過ラダー段を備えるマルチ経路フィルタ90の模式図である。マルチ経路フィルタ90は、帯域通過ラダー段及び二重経路段を含む。帯域通過ラダー段及び二重経路段は、マルチ経路フィルタ90においてカスケード接続される。帯域通過ラダー段は、直列弾性波共振器32及びシャント弾性波共振器94を含む。シャント弾性波共振器94は、ノードNとグランドとの間に接続される。二重経路段は、ノードNと出力ポートRF_outとの間に2つの信号経路、すなわち、(1)直列弾性波共振器12を含む直列経路、及び(2)シャント弾性波共振器14及び位相シフタ36を含むシャント経路、を含む。いくつかの実施形態において一つの帯域通過ラダー段が示されるにもかかわらず、所定アプリケーションにおいて、2以上の帯域通過ラダー段が実装されてよい。
【0061】
図10は、帯域通過ラダー段と、一実施形態に係る位相シフタ36に結合される複数のシャント弾性波共振器14及び104とを有するマルチ経路フィルタ100の模式図である。マルチ経路フィルタ100は、マルチ経路フィルタ100の入力ポートRF_inとマルチ経路フィルタ100の出力ポートRF_outとの間に位相シフタ36を介して結合される2つのシャント弾性波共振器14及び104を含む。
【0062】
マルチ経路フィルタ100の抽出器セクションは、シャント弾性波共振器14及び104と、位相シフタ36とを含む。いくつかの他のアプリケーションにおいて、3以上のシャント弾性波共振器がマルチ経路フィルタの抽出器セクションに含まれてよい。マルチ経路フィルタ100において、単一の位相シフタ36が、シャント弾性波共振器14及び104双方と出力ポートRF_outとの間に結合される。いくつかの他のアプリケーションにおいて、抽出器セクションの異なるシャント共振器を、異なるそれぞれの位相シフタを介して出力ポートに結合してよい。
【0063】
マルチ経路フィルタ100の帯域通過ラダー段は、(1)シャント弾性波共振器104及び14間に結合される直列弾性波共振器32と、(2)直列弾性波共振器14の電極に結合されるシャント弾性波共振器94とを含む。
【0064】
マルチ経路フィルタ100には、ノードNと出力ポートRF_outとの間に結合される直列弾性波共振器12が存在する。また、ノードNからシャント弾性波共振器14及び位相シフタ36を通って出力ポートRF_outまでのシャント経路も存在する。マルチ経路フィルタ100の周波数応答は、段間帯域通過ラダー段との抽出器セクション混合によってもたらされ得る。マルチ経路フィルタ100は、ハイブリッドマルチ経路ラダーフィルタと称してよい。
【0065】
図11は、一実施形態に係る例示の位相シフタ116を備えるマルチ経路フィルタ110の模式図である。マルチ経路フィルタ110は、直列弾性波共振器12を含む直列経路と、シャント弾性波共振器14及び位相シフタ116を含むシャント経路とを含む。位相シフタ116は、位相シフタ16、26及び36の例示の実施形態である。位相シフタ116は、伝送線路インダクタ119A、119B及び119Cと、キャパシタ117A及び117Bとを含む。位相シフタ116において、伝送線路インダクタ119A、119B及び119Cは直列に配列され、キャパシタ117A及び117Bはシャントに配列される。位相シフタ116は、ここに開示される任意の適切な位相シフトを実装し得る。キャパシタ117A及び117Bのキャパシタンスと、インダクタ119A、119B及び119Cのインダクタンスとが、かかる位相シフタを実装し得る。位相シフタ116は、シャントキャパシタ117A及び117Bと、直列伝送線路インダクタ119A、119B及び119Cとを備えるラダーネットワークを含み得る。ここに開示される位相シフトは、所定アプリケーションにおいて、シャントキャパシタ及び直列インダクタによって実装され得る。
【0066】
図12は、一実施形態に係る例示の位相シフタ66を備えるマルチ経路フィルタ120の模式図である。マルチ経路フィルタ120は、図10のマルチ経路フィルタ100と同様であり、位相シフタ36が位相シフタ66によって実装される。位相シフタ66は、位相シフタ16、26及び36の例示の実施形態である。位相シフタ66は図11の位相シフタ116と同様であるが、位相シフタ66がコイルインダクタ68を含む点が異なる。コイルインダクタ68は、印刷コイルインダクタであってよい。位相シフタ66は、位相シフタ116の伝送線路インダクタ119Bの代わりにコイルインダクタ68を含む。いくつかの他のアプリケーションにおいて、マルチ経路フィルタの位相シフタの2以上のインダクタが、コイルインダクタを含み得る。位相シフタは、マルチ経路フィルタのためにここに開示される位相シフト機能を実装するべく、任意の適切なキャパシタ及び任意の適切なインダクタを含み得る。
【0067】
ここに開示される弾性波フィルタは、無線周波数信号をフィルタリングするべく配列されてよい。所定アプリケーションにおいて、弾性波フィルタは、無線周波数帯域を通過させて当該無線周波数帯域の外側の周波数を減衰させるべく配列される帯域通過フィルタとしてよい。
【0068】
ここに開示される原理及び利点は、スタンドアロンフィルタに、及び/又は任意の適切なマルチプレクサにおける一以上のフィルタに実装することができる。フィルタは、第4世代(4G)ロングタームエボリューション(LTE)帯域及び/又は第5世代(5G)ニューラジオ(NR)帯域をフィルタリングするべく配列される帯域通過フィルタとしてよい。ここに開示されるいずれかの原理及び利点が、受信フィルタに実装されてよい。ここに開示されるいずれかの原理及び利点が、送信フィルタに実装されてよい。いくつかのアプリケーションにおいて、マルチプレクサの2以上のフィルタを、ここに開示されるいずれかの適切な原理及び利点に従って実装することができる。スタンドアロンフィルタ及びマルチプレクサの例が、図13Aから図13Eを参照して説明される。これらのフィルタ及び/又はマルチプレクサの任意の適切な原理及び利点は、互いに一緒に実装することができる。
【0069】
図13Aは、弾性波フィルタ160の模式図である。弾性波フィルタ160は、ここに開示されるいずれかの適切な原理及び利点に従って実装してよい。弾性波フィルタ160は帯域通過フィルタである。弾性波フィルタ160は、無線周波数信号をフィルタリングするべく配列される。弾性波フィルタ160は、第1入力/出力ポートRF_INと第2入力/出力ポートRF_OUTとの間に結合される一以上の弾性波デバイスを含む。弾性波フィルタ160は、相対的に広い通過帯域と、通過帯域の外側における阻止とを含む。
【0070】
ここに開示される実施形態は、スタンドアロンフィルタに、及び/又は任意の適切なマルチプレクサのフィルタに、実装してよい。フィルタは、4GLTE帯域及び/又は5GNR帯域をフィルタリングするべく配列される帯域通過フィルタであってよい。例示のマルチプレクサが、図13Bから図13Eを参照して説明される。これらのマルチプレクサの任意の適切な原理及び利点は、互いに一緒に実装してよい。
【0071】
図13Bは、一実施形態に係るマルチ経路フィルタを含むダイプレクサ162の模式図である。ダイプレクサ162は、共通ノードCOMにおいて一緒に結合される第1フィルタ160A及び第2フィルタ160Bを含む。ダイプレクサ162のフィルタの一方を送信フィルタとしてよく、ダイプレクサ162のフィルタの他方を受信フィルタとしてよい。いくつかの他例において、ダイバーシティ受信アプリケーションにおいてのように、ダイプレクサ162が2つの受信フィルタを含んでよい。代替的に、ダイプレクサ162は2つの送信フィルタを含み得る。共通ノードCOMはアンテナノードとしてよい。
【0072】
第1フィルタ160Aは、無線周波数信号をフィルタリングするべく配列される弾性波フィルタである。第1フィルタ160Aは、第1無線周波数ノードRF1と共通ノードCOMとの間に結合される一以上の弾性波共振器を含む。第1無線周波数ノードRF1は送信ノード又は受信ノードとしてよい。第1フィルタ160Aは、ここに開示されるいずれかの適切な原理及び利点に係るマルチ経路フィルタである。
【0073】
第2フィルタ160Bは、第2無線周波数信号をフィルタリングするべく配列される任意の適切なフィルタとしてよい。第2フィルタ160Bは例えば、弾性波フィルタ、ここに開示されるいずれかの適切な原理及び利点に係るマルチ経路フィルタ、LCフィルタ、ハイブリッド弾性波LCフィルタ等であってよい。第2フィルタ160Bは、第2無線周波数ノードRF2と共通ノードとの間に結合される。第2無線周波数ノードRF2は送信ノード又は受信ノードとしてよい。
【0074】
例示目的でフィルタ又はダイプレクサを備える例示的な実施形態が説明されるにもかかわらず、ここに開示されるいずれかの適切な原理及び利点は、共通ノードにおいて一緒に結合される複数のフィルタを含むマルチプレクサに実装してよい。マルチプレクサの例は、共通ノードにおいて2つのフィルタが一緒に結合されるダイプレクサ、共通ノードにおいて3つのフィルタが一緒に結合されるトライプレクサ、共通ノードにおいて4つのフィルタが一緒に結合されるクアッドプレクサ、共通ノードにおいて6つのフィルタが一緒に結合されるヘキサプレクサ、共通ノードにおいて8つのフィルタが一緒に結合されるオクタプレクサ等を含むがこれらに限られない。マルチプレクサは、異なる通過帯域を有するフィルタを含み得る。マルチプレクサは、任意の適切な数の送信フィルタ及び任意の適切な数の受信フィルタを含み得る。例えば、マルチプレクサは、すべての受信フィルタ、すべての送信フィルタ、又は一以上の送信フィルタ及び一以上の受信フィルタを含み得る。マルチプレクサの、一以上のフィルタを、ここに開示されるいずれかの適切な原理及び利点に従って実装してよい。
【0075】
図13Cは、一実施形態に係るマルチ経路フィルタを含むマルチプレクサ164の模式図である。マルチプレクサ164は、共通ノードCOMにおいて一緒に結合される複数のフィルタ160Aから160Nを含む。複数のフィルタは、任意の適切な数のフィルタを含み得る。例えば、3つのフィルタ、4つのフィルタ、5つのフィルタ、6つのフィルタ、7つのフィルタ、8つのフィルタ、又はこれよりも多い数のフィルタを含み得る。複数のフィルタのうちの一部又は全部を弾性波フィルタとしてよい。図示のように、フィルタ160Aから160Nはそれぞれが、共通ノードCOMとの固定電気接続部を有する。これは、ハードマルチプレクシング又は固定マルチプレクシングと称してよい。フィルタは、ハードマルチプレクシングアプリケーションにおいて、共通ノードとの固定電気接続部を有する。
【0076】
第1フィルタ160Aは、無線周波数信号をフィルタリングするべく配列される弾性波フィルタである。第1フィルタ160Aは、第1無線周波数ノードRF1と共通ノードCOMとの間に結合される一以上の弾性波デバイスを含み得る。第1無線周波数ノードRF1は送信ノード又は受信ノードとしてよい。第1フィルタ160Aは、ここに開示されるいずれかの適切な原理及び利点に係るマルチ経路フィルタである。マルチプレクサ164の他のフィルタは、一以上の弾性波フィルタ、ここに開示されるいずれかの適切な原理及び利点に係る一以上のマルチ経路フィルタ、一以上のLCフィルタ、一以上のハイブリッド弾性波LCフィルタ等、又はこれらの任意の適切な組み合わせを含んでよい。
【0077】
図13Dは、一実施形態に係るマルチ経路フィルタを含むマルチプレクサ166の模式図である。マルチプレクサ166は、図13Cのマルチプレクサ164と同様であるが、マルチプレクサ166がスイッチ式マルチプレクシングを実装する点が異なる。スイッチ式マルチプレクシングにおいて、フィルタは、スイッチを介して共通ノードに結合される。マルチプレクサ166において、スイッチ167Aから167Nは、対応するフィルタ160Aから160Nを共通ノードCOMに選択的かつ電気的に接続することができる。例えば、スイッチ167Aは、スイッチ167Aを介して第1フィルタ160Aを共通ノードCOMに選択的かつ電気的に接続することができる。スイッチ167A~167Nのうち任意の適切な数が、所与の状態において、対応するフィルタ160A~160Nを共通ノードCOMに電気的に接続することができる。同様に、スイッチ167A~167Nのうち任意の適切な数が、所与の状態において、対応するフィルタ160A~160Nを共通ノードCOMから電気的に分離することができる。スイッチ167Aから167Nの機能は、様々なキャリアアグリゲーションをサポートし得る。
【0078】
図13Eは、一実施形態に係るマルチ経路フィルタを含むマルチプレクサ168の模式図である。マルチプレクサ168は、マルチプレクサがハードマルチプレクシングフィルタとスイッチ式マルチプレクシングフィルタとの任意の適切な組み合わせを含み得ることを示す。ここに開示されるいずれかの適切な原理及び利点に係る一以上の弾性波フィルタを、マルチプレクサ168の共通ノードCOMにハードマルチプレクシングされるフィルタ(例えばフィルタ160A)としてよい。代替的又は付加的に、ここに開示されるいずれかの適切な原理及び利点に係る一以上の弾性波フィルタを、マルチプレクサ168の共通ノードCOMにスイッチマルチプレクシングされるフィルタ(例えばフィルタ160N)としてよい。
【0079】
ここに開示されるマルチ経路フィルタは、様々なパッケージモジュールに実装することができる。ここに開示されるマルチ経路フィルタの任意の適切な原理及び利点が実装され得るいくつかの例示のパッケージモジュールが、以下に開示される。例示のパッケージモジュールは、図示の回路素子を封入するパッケージを含んでよい。無線周波数コンポーネントを含むモジュールは、無線周波数モジュールと称してよい。無線周波数コンポーネントは、無線周波数回路と称してよい。図示の回路素子は、共通パッケージ基板に配置されてよい。パッケージ基板は、例えば積層基板としてよい。図14から図16は、所定実施形態に係る例示のパッケージモジュールの模式的なブロック図である。これらのパッケージモジュールの特徴の任意の適切な組み合わせを、互いに実装することができる。
【0080】
図14は、一実施形態に係る弾性波コンポーネント172を含む無線周波数モジュール170の模式図である。図示の無線周波数モジュール170は、弾性波コンポーネント172及び他の回路173を含む。弾性波コンポーネント172は、例えばフィルタの、弾性波デバイス174を含み得る。弾性波デバイス174は、所定アプリケーションにおいてBAWデバイスとしてよい。
【0081】
図14に示される弾性波コンポーネント172は、弾性波デバイス174と、端子175A及び175Bとを含む。弾性波デバイス174は、ここに開示されるいずれかの適切な原理及び利点に係るマルチ経路フィルタに含まれてよい。端子175A及び174Bは、例えば、入力接点及び出力接点としての役割を果たし得る。2つの端子が図示されるにもかかわらず、特定のアプリケーションに対して任意の適切な数の端子を実装してよい。弾性波コンポーネント172及び他の回路173は、図14において共通パッケージ基板176に存在する。パッケージ基板176は、例えば積層基板としてよい。端子175A及び175Bは、パッケージ基板176において、電気コネクタ178A及び178Bそれぞれを経由して接点177A及び177Bそれぞれに電気的に接続され得る。電気コネクタ178A及び178Bは、例えばバンプ又はワイヤボンドとしてよい。
【0082】
他の回路173が、任意の適切な付加的回路を含み得る。例えば、他の回路は、一以上の無線周波数増幅器(例えば一以上の電力増幅器及び/又は一以上の低雑音増幅器)、一以上の無線周波数スイッチ、一以上の付加的フィルタ、一以上のRF結合器、一以上の遅延線、一以上の位相シフタ等、又はこれらの任意の適切な組み合わせを含み得る。したがって、他の回路173は、一以上の無線周波数回路要素を含み得る。他の回路173は、所定アプリケーションにおいて無線周波数回路と称してよい。他の回路173は、弾性波デバイス174に電気的に接続され得る。無線周波数モジュール170は、例えば、無線周波数モジュール170の保護を与え及び/又は取り扱いを容易にする一以上のパッケージ構造物を含み得る。かかるパッケージ構造物は、パッケージ基板176の上に形成されるオーバーモールド構造物を含み得る。オーバーモールド構造物は、無線周波数モジュール170のコンポーネントの一部又は全部を封入することができる。
【0083】
図15は、一実施形態に係るフィルタ202Aから202Nと、無線周波数スイッチ204と、低雑音増幅器206とを含むモジュール200の模式的なブロック図である。フィルタ202A~202Nのうちの一以上のフィルタを、ここに開示されるいずれかの適切な原理及び利点に従って実装してよい。任意の適切な数のフィルタ202Aから202Nを実装してよい。図示のフィルタ202Aから202Nは受信フィルタである。フィルタ202Aから202Nのうちの一以上が、送信フィルタ及び/又は他の受信フィルタも含むマルチプレクサに含まれてよい。無線周波数スイッチ204は多投無線周波数スイッチとしてよい。無線周波数スイッチ204は、フィルタ202Aから202Nのうちの選択されたフィルタの出力を低雑音増幅器206に電気的に結合することができる。いくつかの実施形態において、複数の低雑音増幅器を実装してよい。モジュール200は、所定のアプリケーションにおいてダイバーシティ受信機能を含んでよい。
【0084】
図16は、マルチ経路フィルタを含む無線周波数モジュール210の模式図である。図示のように、無線周波数モジュール210は、ダイプレクサ181Aから181Nと、電力増幅器192と、選択スイッチとして構成される無線周波数スイッチ194と、アンテナスイッチ182とを含む。無線周波数モジュール210は、図示の要素を封入するパッケージを含んでよい。図示の要素は、共通パッケージ基板217に配置されてよい。パッケージ基板217は、例えば積層基板としてよい。電力増幅器を含む無線周波数モジュールは、電力増幅器モジュールと称してよい。無線周波数モジュールは、図16に示される要素及び/又は付加的な要素の部分集合を含んでよい。
【0085】
デュプレクサ181Aから181Nはそれぞれが、共通ノードに結合される2つの弾性波フィルタを含み得る。例えば、2つの弾性波フィルタは、送信フィルタ及び受信フィルタとしてよい。図示のように、送信フィルタ及び受信フィルタはそれぞれが、無線周波数信号をフィルタリングするべく配列される帯域通過フィルタであってよい。複数の受信フィルタのうち一以上を、ここに開示されるいずれかの適切な原理及び利点に係るマルチ経路フィルタとしてよい。代替的又は付加的に、複数の送信フィルタのうち一以上を、ここに開示されるいずれかの適切な原理及び利点に係るマルチ経路フィルタとしてよい。図16がダイプレクサを示すにもかかわらず、ここに開示される任意の適切な原理及び利点は、他のマルチプレクサ(例えばクアッドプレクサ、ヘキサプレクサ、オクタプレクサ等)及び/又はスイッチ式マルチプレクサに及び/又はスタンドアロンフィルタとともに実装することができる。
【0086】
電力増幅器192は無線周波数信号を増幅することができる。図示の無線周波数スイッチ194は多投無線周波数スイッチである。無線周波数スイッチ194は、電力増幅器192の出力を、デュプレクサ181Aから181Nの送信フィルタのうち選択された送信フィルタに電気的に結合することができる。いくつかの例において、無線周波数スイッチ194は、電力増幅器192の出力を、送信フィルタのうちの一を超えるものに電気的に接続することができる。アンテナスイッチ182は、デュプレクサ181Aから181Nのうちの一以上からの信号をアンテナポートANTに選択的に結合することができる。デュプレクサ181Aから181Nは、異なる周波数帯域及び/又は異なる動作モード(例えば異なる電力モード、異なる信号伝達モード等)に関連付けることができる。
【0087】
ここに開示されるマルチ経路フィルタは、無線通信デバイスに実装することができる。図17は、一実施形態に係るマルチ経路フィルタを含む無線通信デバイス220の模式的なブロック図である。無線通信デバイス220は携帯デバイスとしてよい。無線通信デバイス220は任意の適切な無線通信デバイスとしてよい。例えば、無線通信デバイス220は、スマートフォンのような携帯電話機としてよい。図示のように、無線通信デバイス220は、ベース帯域システム221、送受信器222、フロントエンドシステム223、一以上のアンテナ224、電力管理システム225、メモリ226、ユーザインタフェイス227、及び電池228を含む。
【0088】
無線通信デバイス220は、2G、3G、4G(LTE、LTEアドバンスト、及びLTEアドバンストプロ)、5GNR、WLAN(例えばWiFi)、WPAN(例えばBluetooth(登録商標)及び/又はZigBee(登録商標))、WMAN(例えばWiMax(登録商標))、及び/又はGPS技術を含むがこれらに限られない多種多様な通信技術を使用して通信するように使用することができる。
【0089】
送受信器222は、送信のためのRF信号を生成し、アンテナ224から受信した入来RF信号を処理する。RF信号の送信及び受信に関連付けられる様々な機能は、図17においてまとめて送受信器222として代表される一以上のコンポーネントによって達成することができる。一例において、所定タイプのRF信号を取り扱うべく別個のコンポーネント(例えば別個の回路又はダイ)を設けてもよい。
【0090】
フロントエンドシステム223は、アンテナ224に与えられ及び/又はアンテナ224から受信される信号のコンディショニングを支援する。図示される実施形態において、フロントエンドシステム223は、アンテナチューニング回路230、複数の電力増幅器(PA)801、複数の低雑音増幅器(LNA)812、複数のフィルタ233、複数のスイッチ234、及び信号分割/結合回路235を含む。しかしながら、他の実装例も可能である。フィルタ233は、フィルタここに開示されるいずれかの適切な原理及び利点に係る一以上のマルチ経路を含んでよい。
【0091】
フロントエンドシステム223は、送信のための信号の増幅、受信信号の増幅、信号のフィルタリング、異なる帯域間のスイッチング、異なる電力モード間のスイッチング、送信モード及び受信モード間のスイッチング、信号の二重化(デュプレクシング)、信号の多重化(マルチプレクシング)、又はこれらの任意の適切な組み合わせを含むがこれらに限られない一定数の機能を与えることができる。
【0092】
所定実装例において、無線通信デバイス220は、キャリアアグリゲーションをサポートするので、ピークデータレートを増加させる柔軟性が得られる。キャリアアグリゲーションは、周波数分割二重化(FDD)及び/又は時間分割二重化(TDD)の双方に使用することができるので、複数のキャリア及び/又はチャネルを集約(アグリゲーション)するべく使用してよい。キャリアアグリゲーションは、同じ動作周波数帯域内に連続キャリアが集約される連続アグリゲーションを含む。キャリアアグリゲーションは不連続でもよく、共通帯域内又は異なる帯域内で周波数が分離したキャリアを含んでもよい。
【0093】
複数のアンテナ224は、多種多様なタイプの通信のために使用されるアンテナを含み得る。例えば、アンテナ224は、多種多様な周波数及び通信規格に関連付けられる信号の送信及び/又は受信のためのアンテナを含み得る。
【0094】
所定実装例において、アンテナ224は、MIMO通信及び/又はスイッチ式ダイバーシティ通信をサポートする。例えば、MIMO通信は、単数の無線周波数チャネルを経由して多重データストリームを通信する多重アンテナを使用する。MIMO通信は、無線環境の空間的多重化(マルチプレクシング)の違いゆえに、高い信号対雑音比、改善されたコーディング、及び/又は信号干渉低減からの利益を受ける。スイッチ式ダイバーシティとは、特定の時刻に動作する特定のアンテナが選択される通信を称する。例えば、観測ビット誤り率及び/又は信号強度指標のような様々な因子に基づいて一群のアンテナから特定のアンテナを選択するようにスイッチを使用することができる。
【0095】
無線通信デバイス220は、所定実装例においてビームフォーミングとともに動作し得る。例えば、フロントエンドシステム223は、制御可能利得を有する増幅器と、アンテナ224を使用する信号の送信及び/又は受信のためのビームフォーミング及び指向性を与えるべく制御可能な位相を有する位相シフタとを含み得る。例えば、信号送信の文脈において、アンテナ224に与えられる送信信号の振幅及び位相が、アンテナ224から放射される信号が建設的及び破壊的な干渉を使用して結合されるように、制御され、所与の方向に伝播する強い信号強度を有するビームのような品質を示す集約送信信号が生成される。信号受信の文脈において、振幅及び位相は、信号が特定の方向からアンテナ224に到達するときに多くの信号エネルギーが受信されるように制御される。所定実装例において、アンテナ224は、ビームフォーミングを強化するべく一以上のアレイのアンテナ素子を含む。
【0096】
ベース帯域システム221は、音声及びデータのような様々なユーザ入出力(I/O)の処理を容易にするユーザインタフェイス227に結合される。ベース帯域システム221はベース帯域プロセッサを含み得る。ベース帯域システム221は、送受信器222に送信信号のデジタル表現を与え、これを送受信器222が処理して送信用のRF信号が生成される。ベース帯域システム221はまた、送受信器222により与えられる受信信号のデジタル表現も処理する。図17に示されるように、無線通信デバイス220の動作を容易にするべく、ベース帯域システム221がメモリ226に結合される。
【0097】
メモリ226は、無線通信デバイス220の動作を容易にするべく及び/又はユーザ情報の格納を与えるべく、データ及び/又は命令の格納のような多種多様な目的のために使用することができる。
【0098】
電力管理システム225は、無線通信デバイス220の、一定数の電力管理機能を与える。所定実装例において、電力管理システム225は、複数の電力増幅器231の供給電圧を制御するPA供給制御回路を含む。例えば、電力管理システム225は、電力付加効率(PAE)のような効率を改善するべく複数の電力増幅器231のうちの一以上に与えられる供給電圧を変化させるように構成してよい。
【0099】
図17に示されるように、電力管理システム225は、電池228から電池電圧を受ける。電池228は、無線通信デバイス220における使用のための、例えばリチウムイオン電池を含む任意の適切な電池としてよい。
【0100】
ここに開示される技術は、5Gアプリケーションにおける弾性波共振器を備えるフィルタに実装され得る。5G技術はここでは、5Gニューラジオ(NR)とも称する。5GNRは、ミリメートル波スペクトルによる通信、ビームフォーミング能力、高スペクトル効率波形、低レイテンシ通信、多重ラジオヌメロロジー、及び/又は非直交多重アクセス(NOMA)のような様々な特徴をサポートし及び/又はサポート予定である。かかるRF機能がネットワークに柔軟性を与えてユーザデータレートを向上させるにもかかわらず、かかる特徴をサポートするには一定数の技術的な課題がある。
【0101】
ここでの教示は、LTEアドバンスト、LTEアドバンストプロ及び/又は5GNRのようなアドバンストセルラー技術を使用する通信システムを含むがこれらに限られない多種多様な通信システムに適用可能である。ここに開示される特徴の任意の適切な組み合わせを含むマルチ経路フィルタが、周波数レンジ1(FR1)内の5GNR動作帯域の無線周波数信号をフィルタリングするべく配列され得る。FR1は、例えば、現行の5GNR仕様に特定されるように410MHzから7.125GHzとしてよい。ここに開示されるいずれかの適切な原理及び利点に係るマルチ経路フィルタが、第4世代(4G)ロングタームエボリューション(LTE)において無線周波数信号をフィルタリングするべく配列されてよい。ここに開示されるいずれかの適切な原理及び利点に係る弾性波フィルタが、4GLTE動作帯域及び5GNR動作帯域を含む通過帯域を有してよい。かかるフィルタは、E-UTRANニューラジオ・二重接続(ENDC)アプリケーションのような二重接続アプリケーションに実装することができる。
【0102】
ここに開示されるマルチ経路フィルタは、相対的に広い通過帯域を有し、さらには望ましい帯域外阻止を与えることができる。それと同時に、ここに開示されるマルチ経路フィルタは、低い挿入損失及び望ましいNFを達成することができる。かかる特徴は、5GNRアプリケーションにおいて有利となり得る。ここに開示されるマルチ経路フィルタは、弾性波ラダーフィルタによっては満たすことが困難な一以上の5GNR動作帯域のための設計仕様を満たし得る。
【0103】
図18は、通信ネットワーク410の一例の模式的な図である。通信ネットワーク410は、マクロセル基地局411、スモールセル基地局413、及びユーザ機器(UE)の様々な例を含む。ユーザ機器(UE)は、第1モバイルデバイス412a、無線接続車両412b、ラップトップ412c、静止無線デバイス412d、無線接続列車412e、第2モバイルデバイス412f、及び第3モバイルデバイス412gを含む。UEは無線通信デバイスである。図18に示されるマクロセル基地局411、スモールセル基地局413又はUEのうちの一以上が、ここに開示されるいずれかの適切な原理及び利点に係るマルチ経路フィルタのうちの一以上を実装してよい。例えば、図18に示される複数のUEのうちの一以上が、ここに開示されるいずれかの適切な原理及び利点に係る一以上のマルチ経路フィルタを含み得る。
【0104】
基地局及びユーザ機器の特定例が図18に示されるにもかかわらず、通信ネットワークは、多種多様なタイプ及び/又は数の基地局及びユーザ機器を含んでよい。例えば、図示の例において、通信ネットワーク410はマクロセル基地局411及びスモールセル基地局413を含む。スモールセル基地局413は、マクロセル基地局411と比べて相対的に低い電力、短い距離、及び/又は少ない同時ユーザで動作し得る。スモールセル基地局413、フェムトセル、ピコセル又はマイクロセルとも称してよい。通信ネットワーク410が2つの基地局を含むように示されるにもかかわらず、通信ネットワーク410は、これよりも多い又は少ない基地局及び/又は他のタイプの基地局を含むように実装してよい。
【0105】
ユーザ機器の様々な例が示されるにもかかわらず、ここでの教示は、携帯電話機、タブレット、ラップトップ、インターネットオブシングス(IoT)デバイス、ウェアラブル電子機器、加入者宅内機器(CPE)、無線接続車両、無線リレー、及び/又は多種多様な他の通信デバイスを含むがこれらに限られない多種多様なユーザ機器に適用可能である。さらに、ユーザ機器は、セルラーネットワークにおいて動作する現在利用可能な通信デバイスのみならず、ここに記載されかつ特許請求の範囲に請求される本発明のシステム、プロセス、方法及びデバイスに容易に実装可能な、その後開発される通信デバイスをも含む。
【0106】
図18の例示の通信ネットワーク410は、例えば4GLTE及び5GNRを含む様々なセルラー技術を使用する通信をサポートする。所定実装例において、通信ネットワーク410はさらに、WiFiのような無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)を与えるように適合される。通信技術の様々な例が与えられてきたにもかかわらず、通信ネットワーク410は、多種多様な通信技術をサポートするように適合され得る。
【0107】
通信ネットワーク410の様々な通信リンクが図18に描かれている。通信リンクは、例えば、周波数分割二重化(FDD)及び/又は時分割二重化(TDD)を使用することを含む多種多様な方法で二重化することができる。FDDは、信号の送信及び受信に異なる周波数を使用するタイプの無線周波数通信である。FDDは、高いデータレート及び低いレイテンシのような一定数の利点を与えることができる。これとは対照的に、TDDは、信号の送信及び受信にほぼ同じ周波数を使用するタイプの無線周波数通信であり、送信通信と受信通信とが時間で切り替わる。TDDには、スペクトルの効率的な使用、及び送受信方向間のスループットの可変的配分のような一定数の利点を与えることができる。
【0108】
所定実装例において、ユーザ機器は、4GLTE、5GNR及びWi-Fi技術の一以上を使用して基地局と通信することができる。所定実装例において、エンハンスト・ライセンス・アシステッド・アクセス(eLAA)が、一以上のライセンスされた周波数キャリア(例えばライセンスされた4GLTE及び/又は5GNR周波数)を、一以上の未ライセンスキャリア(例えば未ライセンスWi-Fi周波数)と集約するべく使用される。
【0109】
図18に示されるように、通信リンクは、UEと基地局との間の通信リンクのみならず、UE対UE通信及び基地局対基地局通信をも含む。例えば、通信ネットワーク410は、(例えばモバイルデバイス412gとモバイルデバイス412fとの間のような)自己フロントホール及び/又は自己バックホールをサポートするように実装することができる。
【0110】
通信リンクは、多種多様な周波数にわたって動作することができる。所定実装例において、通信は、6GHz未満の一以上の周波数帯域にわたって及び/又は6GHz超過の一以上の周波数帯域にわたって、5GNR技術を使用してサポートされる。所定実装例によれば、通信リンクは、周波数レンジ1(FR1)、周波数レンジ2(FR2)、又はこれらの組み合わせに役立ち得る。ここに開示される任意の適切な原理及び利点に従う弾性波フィルタiは、FR1内の無線周波数信号をフィルタリングすることができる。一実施形態において、携帯デバイスの一以上が、HPUE電力クラス仕様をサポートする。
【0111】
所定実装例において、基地局及び/又はユーザ機器はビームフォーミングを使用して通信する。例えば、ビームフォーミングは、高い信号周波数にわたる通信に関連付けられる高い損失のような、経路損失を克服するべく信号強度を収束させるべく使用することができる。所定実施形態では、一以上の携帯電話機のようなユーザ機器は、30GHz~300GHzの範囲のミリメートル波周波数帯域において、及び/又は6GHz~30GHz、詳しくは24GHz~30GHzの範囲の上側センチメートル波周波数において、ビームフォーミングを使用して通信する。
【0112】
通信ネットワーク410の異なるユーザが、利用可能な周波数スペクトルのような利用可能なネットワークリソースを、多種多様な態様で共有することができる。一例において、一周波数帯域を分割して多重周波数キャリアにするべく周波数分割多重接続(FDMA)が使用される。加えて、一以上のキャリアが特定の一ユーザに割り当てられる。FDMAの例は、シングルキャリアFDMA(SC-FDMA)及び直交FDMA(OFDMA)を含むがこれらに限られない。OFDMAは、利用可能な帯域幅を多数の相互に直交する狭帯域サブキャリアに分割するマルチキャリア技術であり、異なるユーザに別々に配分することができる。
【0113】
共有アクセスの他の例は、周波数リソースを使用するべくユーザに特定のタイムスロットが配分される時分割多重接続(TDMA)、各ユーザに固有の符号を配分することにより周波数リソースを異なるユーザ間で共有する符号分割多重接続(CDMA)、空間分割による共有アクセスを与えるべくビームフォーミングが使用される空間分割多重接続(SDMA)、多重アクセスを目的としてパワードメインが使用される非直交多重接続(NOMA)を含むが、これらに限られない。例えば、NOMAは、同じ周波数、時間及び/又は符号であるが異なる電力レベルにより多数のユーザにサービスを提供するべく使用され得る。
【0114】
エンハンストモバイルブロードバンド(eMBB)は、LTEネットワークのシステムキャパシティを増加させる技術を言及する。例えば、eMBBは、各ユーザに対して少なくとも10Gbpsのピークデータレートかつ最小100Mbpsの通信を言及してよい。超高信頼性低レイテンシ通信(uRLLC)は、例えば3ミリ秒未満の非常に低いレイテンシの通信のための技術を言及する。uRLLCは、自動運転及び/又は遠隔手術アプリケーション目的のようなミッションクリティカルな通信に使用することができる。大規模機械タイプ通信(mMTC)は、日常的な物体との無線接続に関連付けられる低コストかつ低データレートの通信、例えばインターネットオブシングス(IoT)アプリケーションに関連付けられる通信を言及する。
【0115】
図18の通信ネットワーク410は、eMBB、uRLLC及び/又はmMTCを含むがこれらに限られない多種多様なアドバンスト通信機能をサポートするべく使用することができる。
【0116】
上述された実施形態はいずれも、セルラーハンドセットのような携帯デバイスに関連して実装することができる。これらの実施形態の原理及び利点は、ここに記載される実施形態のいずれかから利益が得られる任意のアップリンク無線通信デバイスのような任意のシステム又は装置のために使用することができる。ここでの教示は、様々なシステムに適用可能である。本開示がいくつかの例示的な実施形態を含むにもかかわらず、ここに記載される教示は、様々な構造物に適用することができる。ここに説明された原理及び利点はいずれも、例えば、約450MHzから5GHzの周波数範囲、約400MHzから8.5GHzの周波数範囲若しくはFR1のような、約30kHzから300GHzの周波数範囲にある信号を処理するように構成されるRF回路に関連して実装することができる。
【0117】
本開示の側面は、様々な電子デバイスに実装することができる。電子デバイスの例は、消費者用電子製品、パッケージ状無線周波数モジュールのような消費者用電子製品の部品、アップリンク無線通信デバイス、無線通信インフラストラクチャ、電子試験機器等を含み得るがこれらに限られない。電子デバイスの例は、スマートフォンのような携帯型電話機、スマートウォッチ又はイヤーピースのような装着可能コンピューティングデバイス、電話機、テレビ、コンピュータモニタ、コンピュータ、モデム、ハンドヘルドコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、電子レンジ、冷蔵庫、自動車電子システムのような車載電子システム、産業ロボットのようなロボット、インターネットオブシングス・デバイス、ステレオシステム、デジタル音楽プレーヤー、ラジオ、デジタルカメラのようなカメラ、携帯型メモリーチップ、洗濯機又は乾燥機のような家電製品、周辺デバイス、腕時計、置時計等を含み得るがこれらに限られない。さらに、電子デバイスは未完成の製品も含んでよい。
【0118】
文脈が明確にそうでないことを示さない限り、明細書及び特許請求の範囲全体を通して、「含む」、「備える」等の用語は一般に、排他的又は網羅的な意味とは逆の、包括的な意味で、すなわち「~を含むがこれに限られない」意味で解釈されるべきである。具体的に記述されない限り、又は使用される文脈内でそうでないと理解されない限り、とりわけ「できる」、「し得る」、「してよい」、「かもしれない」、「例えば」、「のような」等のようなここで使用される条件的言語は一般に、所定の実施形態が所定の特徴、要素、及び/又は状態を含む一方で他の実施形態は含まないことを意図する。ここで一般に使用される用語「結合」は、2つ以上の要素が、直接に接続されるか、又は一以上の中間要素を経由して接続されるかのいずれかとなり得ることを言及する。同様に、ここで一般に使用される用語「接続」も、2以上の要素が、直接に接続されるか、又は一以上の中間要素を経由して接続されるかのいずれかとなり得ることを言及する。加えて、本願において使用される場合、用語「ここで」、「上」、「下」、及び同様の意味の用語は、本願全体を言及するものとし、本願のいずれか特定の部分を言及するわけではない。文脈上許容される場合、単数又は複数の数を使用する上記の詳細な説明における用語は、それぞれ複数又は単数の数も含み得る。
【0119】
所定の実施形態が記載されてきたが、これらの実施形態は例としてのみ提示され、本開示の範囲を限定する意図はない。実際のところ、ここに記載される新規な弾性フィルタは、様々な他の形態で具体化することができる。さらに、ここに記載される弾性フィルタの形態における様々な省略、置換及び変更が、本開示の要旨から逸脱することなくなし得る。上述の様々な実施形態の要素及び/又は作用の任意の適切な組み合わせを、さらなる実施形態を与えるべく組み合わせることができる。添付の特許請求の範囲及びその均等物が、本開示の範囲及び要旨に収まるかかる形態又は修正をカバーすることが意図される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図14
図15
図16
図17
図18
【外国語明細書】