(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100707
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】取り外し可能な回転ベゼルを備える時計ケース
(51)【国際特許分類】
G04B 19/28 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
G04B19/28 B
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023219725
(22)【出願日】2023-12-26
(31)【優先権主張番号】23151795.4
(32)【優先日】2023-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】513233632
【氏名又は名称】ハリー・ウィンストン・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】フンベルト、 マルク
(72)【発明者】
【氏名】ビューラー、 ジョニー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】可能な限り少ない部品数で構成される設計を有する取り外し可能な回転ベゼルを提供する。
【解決手段】時計ケース10であって、中間部11と、ベゼル12と、中間部11)に対して回転可能に配置された接続リング13とを備え、接続リング13によって、弾性部材121によって生じる弾性復元力によってベゼル12が接続リング13に強制的に当接させられる位置でベゼル12を中間部11に締結することができ、接続リング13とベゼル12は、接続リング13とベゼル12との間の相対的移動を排除するために、ベゼル12が中間部11に締結されたときに互いに協働する少なくとも1つの連結部材を備え、接続リング13とベゼル12は、ベゼル12が弾性復元力に反する力を受けたときに、連結部材が互いに協働しなくなり、接続リング13と前記ベゼル12との間の回転及び平行移動の自由を許容するように構成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計ケース(10)であって、それは、中間部(11)と、ベゼル(12)と、前記中間部(11)に対して回転可能に配置された接続リング(13)とを備え、前記接続リング(13)によって、弾性部材(121)によって生じる弾性復元力によって前記ベゼル(12)が前記リングに強制的に当接させられる位置で前記ベゼル(12)を前記中間部(11)に締結することができ、前記接続リング(13)と前記ベゼル(12)は、前記接続リング(13)と前記ベゼル(12)との間の相対的移動を排除するために、前記ベゼル(12)が前記中間部(11)に締結されたときに互いに協働する少なくとも1つの連結部材をそれぞれが備え、前記接続リング(13)と前記ベゼル(12)は、前記ベゼル(12)が前記弾性復元力に反する力を受けたときに、前記連結部材が互いに協働しなくなり、したがって前記接続リング(13)と前記ベゼル(12)との間の回転自由を許容するように構成され、前記接続リング(13)と前記ベゼル(12)はさらに、それらが互いに対して所定の角度位置に配置されたときに分離できるように構成されることを特徴とする、時計ケース(10)。
【請求項2】
前記接続リング(13)は周縁肩部を備え、それは、半径方向リップ(112)によって形成された前記中間部(11)の軸方向軸受面に前記周縁肩部によって当接して配置される、請求項1に記載の時計ケース(10)。
【請求項3】
前記ベゼル(12)及び前記接続リング(13)の連結部材はそれぞれ結合要素を備え、前記結合要素は、互いに相補的な形状を有し、前記ベゼル(12)が前記中間部(11)に締結されたときに互いに協働し、前記ベゼル(12)が前記弾性復元力に反する力を受けたときに互いに分離される、請求項2に記載の時計ケース(10)。
【請求項4】
前記結合要素は、前記ベゼル(12)が前記弾性復元力に反する力を受けたときに、前記接続リング(13)に対する前記ベゼル(12)の第1の回転方向における回転を防止し、前記第1の回転方向とは反対の第2の回転方向におけるその回転を可能にするように構成される、請求項3に記載の時計ケース(10)。
【請求項5】
前記接続リング(13)は、前記中間部(11)に締結された弾性割出要素(134)と協働する歯部を備える、請求項1に記載の時計ケース(10)。
【請求項6】
前記接続リング(13)は、前記中間部(11)に締結された弾性割出要素(134)と協働する歯部を備え、前記歯部は、前記第1の回転方向においてのみ前記接続リング(13)の回転を可能にするように形作られる、請求項4に記載の時計ケース(10)。
【請求項7】
前記ベゼル(12)及び前記接続リング(13)の連結部材はそれぞれ平行移動停止要素を有し、前記平行移動停止要素は、前記ベゼル(12)が前記中間部(11)に締結されたときに互いに協働し、前記結合要素が互いに分離されかつ前記ベゼル(12)と前記接続リング(13)が所定の角度位置に配置されたときに互いに解放される、請求項3又は4に記載の時計ケース(10)。
【請求項8】
前記ベゼル(12)及び前記接続リング(13)の平行移動停止要素はそれぞれ半径方向舌片(123、138)によって形成され、前記舌片(123、138)は反対方向に延在し、それぞれが境界面(1230、1380)を備え、それらは、前記ベゼル(12)が前記中間部(11)に締結されたときに前記境界面(1230、1380)を介して互いに接する、請求項7に記載の時計ケース(10)。
【請求項9】
前記接続リング(13)の結合要素は、2つの半径方向傾斜部(136、137)の間に形成された凹部(135)によって形成され、半径方向傾斜部(136、137)の1つは、「傾斜端」と呼ばれる前記接続リング(13)の平行移動停止要素の側方端によって形成され、前記ベゼル(12)の結合要素は、前記凹部(135)に係合するように意図された半径方向突出部(122)によって形成される、請求項7又は8に記載の時計ケース(10)。
【請求項10】
前記ベゼル(12)及び前記接続リング(13)の平行移動停止要素はそれぞれ半径方向舌片(123、138)によって形成され、前記舌片(123、138)は反対方向に延在し、それぞれが境界面(1230、1380)を備え、それらは境界面(1230、1380)を介して協働し、前記接続リング(13)の舌片(138)の境界面は、傾斜端に追加の厚みを生じるように配置された傾斜部(1381)を有し、前記追加の厚みは、前記第2の半径方向傾斜部(137)を形成する、請求項9に記載の時計ケース(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計製造の分野、特に時計ケースに関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、取り外し可能な回転ベゼルを備える時計ケースに関する。
【背景技術】
【0003】
一部の時計は、ベゼルが締結された中間部から工具を使わずにベゼルを分離できるように設計されたケース、すなわち取り外し可能な方法で中間部に締結されたベゼルを備えるケースを有する。
【0004】
詳細には、このタイプのベゼルは、例えば、1つのベゼルを異なる装飾を特徴とする別のベゼルに交換することによって、時計ケースをカスタマイズすることを可能にし、メンテナンス作業を容易にする。
【0005】
取り外し可能なベゼルを備える既存の時計ケースの欠点の1つは、それらの製造の複雑さ及び/又はそれらの使用の複雑さであり、回転ベゼルの場合、これらの欠点はさらに大きくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、製造が可能な限り簡単でありながら、最も便利な方法で中間部から取り外したり、中間部に締結したりすることができるように、シンプルな設計、すなわち可能な限り少ない部品数で構成される設計を有する取り外し可能な回転ベゼルを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述の欠点を解決し、この目的のために、中間部と、ベゼルと、中間部に対して回転可能に配置された接続リングとを備え、接続リングによって、弾性部材によって生じる弾性復元力によって前記ベゼルが前記リングに強制的に当接させられる位置でベゼルを中間部に締結することができる時計ケースに関する。接続リングとベゼルは、前記接続リングと前記ベゼルとの間の相対的移動を排除するために、ベゼルが中間部に締結されたときに互いに協働する少なくとも1つの連結部材をそれぞれが備える。
【0008】
接続リングとベゼルは、ベゼルが弾性復元力に反する力を受けたときに、前記接続リングと前記ベゼルとの間の回転自由を許容するために、連結部材が互いに協働しなくなるように構成される。接続リングとベゼルはさらに、それらが互いに対して所定の角度位置に配置されたときにそれらを分離することができるように構成される。
【0009】
特定の実施形態では、本発明はさらに、以下の特徴の1つ以上を単独で又は技術的に可能な任意の組み合わせで備えることができる。
【0010】
特定の実施形態では、接続リングは周縁肩部を備え、接続リングは、半径方向リップによって形成された中間部の軸方向肩部に周縁肩部によって当接して配置される。
【0011】
特定の実施形態では、ベゼル及び接続リングの連結部材はそれぞれ結合要素を備え、前記結合要素は相補的な形状を有し、ベゼルが中間部に締結されたときに互いに協働し、ベゼルが弾性復元力に反する力を受けたときに互いに分離される。
【0012】
特定の実施形態では、結合要素は、ベゼルが弾性復元力に反する力を受けたときに、接続リングに対するベゼルの第1の回転方向における回転を防止し、第1の回転方向とは反対の第2の回転方向における回転を可能にするように構成される。
【0013】
特定の実施形態では、接続リングは、中間部に締結された弾性割出要素と協働する歯部を備える。
【0014】
特定の実施形態では、歯部は、第1の回転方向においてのみ接続リングの回転を可能にするように形作られる。
【0015】
特定の実施形態では、ベゼル及び接続リングの連結部材は、平行移動停止要素をそれぞれが備え、前記平行移動停止要素は、ベゼルが中間部に締結されたときに互いに協働し、結合要素が互いに分離されかつベゼルと接続リングが所定の角度位置に配置されたときに互いに解放される。
【0016】
特定の実施形態では、ベゼル及び接続リングの平行移動停止要素はそれぞれが半径方向舌片によって形成され、舌片は反対方向に延在し、それぞれが境界面を備え、舌片はベゼルが中間部に締結されたときに境界面を介して互いに接する。
【0017】
特定の実施形態では、接続リングの結合要素は、2つの半径方向傾斜部の間に画定された凹部によって形成され、傾斜部の1つは、「傾斜端」と呼ばれる接続リングの平行移動停止要素の側方端によって形成され、ベゼルの結合要素は、前記凹部に係合するように意図された半径方向突出部によって形成される。
【0018】
特定の実施形態では、ベゼル及び接続リングの平行移動停止要素はそれぞれ半径方向舌片によって形成され、舌片は反対方向に延在し、それぞれが境界面を備え、舌片は境界面によって協働し、接続リングの半径方向舌片の境界面は、傾斜端で追加の厚みを生じるように配置された傾斜部分を有し、前記追加の厚みは、第2の半径方向傾斜部を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照して、例として与えられ、決して限定するものではない以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【
図1】本発明の好ましい例示的な実施形態による時計ケースの正面図を示す。
【
図2】
図1の時計ケースの切断面A-Aに沿った断面図を示す。
【
図3】
図1のケースの切断面B-Bに沿った断面図を示す。
【
図4】
図1のケースの切断面C-Cに沿った断面図を示す。
【
図6】
図1に示す時計ケースの分解斜視底面図を示す。
【0020】
明確にするために、図は必ずしも縮尺どおりに描かれていないことに留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、
図1から
図6に示すように、接続リング13によってベゼル12が締結された中間部11を備える時計ケース10に関する。
【0022】
詳細には、接続リング13は、前記中間部11の筒状部111の周囲に、中間部11に対して回転するように配置される。
図2から
図4の断面図に示すように、筒状部111は軸方向の軸受面を形成する半径方向リップ112に接続され、接続リング13、より正確には前記接続リング13の周縁肩部が軸方向の軸受面に当接して配置される。この周縁肩部は、環状基部132から延びる筒状部131によって形成され、前記筒状部131と筒状部111とは同軸である。
【0023】
図2の断面図に示すように、ベゼル12が中間部11に締結されたときに、ベゼルは、少なくとも1つの弾性部材121によって生じる弾性復元力によって接続リング13に強制的に当接させられる。この軸受により、前記接続リング13と前記ベゼル12との間の相対的移動を排除するために、接続リング13とベゼル12内にそれぞれ含まれる連結部材が互いに協働することが可能になる。
【0024】
ここで、接続リング13のおかげで、ベゼル12は、ベゼル12が中間部11に締結されたときに中間部11に対する回転自由度の恩恵を受けることが理解される。
【0025】
有利には、
図5及び
図6に見られるように、接続リング13はその環状基部132に歯部133を備え、
図3に見られるように、歯部133は中間部11に締結された弾性割出要素134と協働する。好ましくは、歯部は、「第1の回転方向」と呼ばれる特定の回転方向においてのみ接続リング13の回転を可能にするように形作られる。その結果、ベゼル12は、中間部11に対して単一の回転方向に旋回することができる。
【0026】
有利には、接続リング13とベゼル12、特にそれらのそれぞれの連結部材は、ベゼル12が弾性復元力に反する力を受けたときに、連結部材が互いに協働しなくなり、したがって前記接続リング13に対して回転するようにベゼル12を解放するように構成される。ベゼル12が弾性復元力に反する力を受けたときに、以下でより詳細に説明するように、ベゼル12は、連結部材の係合解除を可能にするためにのみ必要な距離だけ軸方向に変位することに留意すべきである。この軸方向の変位は、ユーザには知覚できないか又はほとんど知覚できない。
【0027】
ベゼル12は、ベゼル12が特定の角度にわたって回転させた後にのみケース11から取り外すことができる。換言すれば、ベゼル12が弾性復元力に反する力を受けたときに、ベゼル12と接続リング13は、互いに所定の角度位置に配置することによって分離することができる。
【0028】
ベゼル12を中間部11から取り外すためにベゼル12が1つ以上の弾性部材121によって生じる弾性復元力に反する力を受けなければならないことは、ベゼル12の中間部11からの偶発的な分離を防止し、したがってベゼル12の締結を確実にするのに役立つ。
【0029】
ベゼル12及び接続リング13の連結部材は、
図5及び
図6の分解図に見られ、それぞれが結合要素を備える。力学の分野で認められる定義によれば、結合は、2つの部品の間で回転運動を伝達することを可能にする。したがって、連結部材が互いに協働するときに、結合要素は、ベゼル12と接続リング13が一体となって回転することを可能にする。
【0030】
この目的のために、接続リング13の結合要素は、好ましい例示的な実施形態では、2つの半径方向傾斜部間に形成された凹部135によって形成される。この例示的な実施形態では、半径方向傾斜部は外側に延在する。ベゼル12の結合要素は、
図6に見られる、凹部135の形状と相補的な形状の半径方向突出部122によって形成され、ベゼル12及び接続リング13の連結部材が互いに協働するときに凹部135に係合する。詳細には、この半径方向突出部122は、ベゼル12のスカート120から延びる。
【0031】
好ましくは、結合要素は、ベゼル12が弾性復元力に反する力を受けたときに、接続リング13に対するベゼル12の第1の回転方向における回転を防止するように有利に構成される。
【0032】
ベゼル12の第1の回転方向は、ベゼル12が中間部11に締結されたときの、中間部11に対するベゼル12の単一の回転方向に対応する。これにより、回転中にベゼル12が中間部11から誤って分離する危険性がなくなる。
【0033】
この目的のために、以下で「第1の半径方向傾斜部」136と呼ばれる半径方向傾斜部の1つが、ベゼル12の軸方向位置にかかわらず、すなわち、ベゼル12が弾性復元力に対抗する力を受けるか否かにかかわらず、半径方向突出部122のための傾斜部を構成するように、ある距離にわたって軸方向に延びる。
【0034】
ベゼル12及び接続リング13の連結部材は、それぞれが、
図2、
図3、
図5及び
図6に見られるように、平行移動停止要素をさらに含む。平行移動停止要素は、ベゼル12が中間部11に締結されたときに互いに協働し、結合要素が分離されかつベゼル12と接続リング13が互いに対して所定の角度位置に配置されたときに互いに解放される。
【0035】
より具体的には、ベゼル12及び接続リング13の平行移動停止要素は、それぞれが境界面1230、1380を備える半径方向舌片123、138によってそれぞれ形成され、舌片123、138は、ベゼル12が中間部11に締結されたときに境界面1230、1380を介して互いに接する。本発明の好ましい例示的な実施形態では、接続リング13の舌片138は外側に延在し、ベゼル12の舌片は内側に延在する。
【0036】
舌片123及び138は両方とも、機械的応力に対する抵抗を最大化するように適合された方法で境界面1230、1380上の軸方向の力を分散させるのに十分な大きさの扇形を画定する2つの側方端の間に延在する。
【0037】
好ましくは、「第2の半径方向傾斜部」137と呼ばれる半径方向傾斜部の1つが、以下で「傾斜端」と呼ばれる接続リング13の舌片138の側方端によって形成される。
【0038】
ベゼル12が中間部11に締結されたとき、ベゼル12及び接続リング13の舌片123及び138は、それらの境界面1230、1380によって互いに当接するように配置され、これにより、平行移動によってベゼル12が中間部11から外れるのを防ぐことができ、その結果、ベゼル12の半径方向突出部122が弾性復元力の作用下で凹部135に係合して第1の半径方向傾斜部136に接触するまで、ベゼル12は中間部11に対して旋回する。
【0039】
好ましい例示的な実施形態では、
図5の詳細図に示すように、接続リング13の舌片138の境界面1380は、傾斜端に追加の厚みを生じるように配置された傾斜部分1381を有する。詳細には、前記境界面1380は、ベゼル12が中間部11に締結されたときにベゼル12の舌片123の境界面1230が接する第1の部分と、傾斜部分1381によって構成され、第1の部分と共に、例えば145度から175度の非平坦角度αを形成する第2の部分とを備える。要約すると、この第2の部分によって生じる追加の厚みは、第2の半径方向傾斜部137を形成する。
【0040】
この特徴は、連結部材の設計及び製造を簡素化するのに役立つ。
【0041】
有利には、ケース10の組み立てを容易にするために、中間部11は、前記中間部11に対する前記接続リング13の回転自由度を許容しながら接続リング13を前記中間部11に締結するように意図された締結リング110を備えることができる。より具体的には、締結リング110は、筒状部111と半径方向リップ112とを備え、例えばねじ止めによって、中間体113に締結される。
【0042】
中間体113は、例えばねじ止めによって、中間体113の中央部1131に締結された接合片1130を備えることができ、締結リング110、接続リング13及びベゼル12のスカート120を受け入れるように意図された環状溝1132を備えることができる。詳細には、環状溝1132は、基部によって互いに接続された内側側面と外側側面との間に画定される。
図2から
図4の断面図に示す例では、締結リング110は内側側面に面して配置され、ベゼル12は外側側面に面して配置される。
【0043】
弾性割出要素134及び弾性部材121は、中間体113の中央部1131に収容され、環状溝1132の底部を通って延びる。
【0044】
以上のことから、ベゼル12は、中間体11に締結されたときに、環状溝1132の底部と境界面1380とによって形成された傾斜部間に定められた隙間を有して平行移動可能であることが理解される。この隙間は、上述のように、結合要素を互いに分離するためにのみ必要である。
【0045】
接合片1130は、メンテナンス作業を簡素化し、ベゼル12をカスタマイズする可能性に加えて、中間部11の一部をカスタマイズすることを可能にするために、好ましくは取り外し可能な方法で中央部1131に締結される。
【0046】
より一般的には、上述した例示的な実施形態は、非限定的な例として説明されており、したがって、他の代替実施形態も考えられることに留意されたい。
【0047】
詳細には、上述した例示的な実施形態では、締結リング110の半径方向リップ112、接続リング13の第1の半径方向傾斜部136及び舌片138は外側に延在し、接続リング13の環状基部132、舌片123及び半径方向タブ122は内側に延在するが、これらの要素を反対方向に配置することも考えられる。換言すれば、半径方向リップ112、接続リング13の第1の半径方向傾斜部136及び舌片138は内側に延在することができ、環状基部132、舌片123及び半径方向突出部122は外側に延在することができる。
【0048】
さらに、ベゼル12及び接続リング13はそれぞれが、図に示すようにいくつかの連結部材、例えば3つの連結部材を備えることができる。
【0049】
また、第2の半径方向傾斜部137を形成するために、傾斜部分1381を、例えば、ピン、適切に形作られた追加の厚みなどによって形成された同様の突出部分に置き換えることも可能である。また、境界面1380が第2の半径方向傾斜部137を形成するように単一の傾斜部分を形成することも可能であり、したがって舌片138の断面は凹部135に向かって増大する。また、前記舌片123が接続リング13のタブ138に当接したときに、半径方向タブ122が凹部125に収容されるように、ベゼル12の舌片123に対して半径方向タブ122を軸方向にオフセットさせることも可能である。この最後の例は、接続リング13の舌片138が任意の形状をとることを可能にする。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計ケース(10)であって、中間部(11)と、ベゼル(12)と、前記中間部(11)に対して回転可能に配置された接続リング(13)とを備え、前記接続リング(13)によって、弾性部材(121)によって生じる弾性復元力によって前記ベゼル(12)が前記接続リング(13)に強制的に当接させられる位置で前記ベゼル(12)を前記中間部(11)に締結することができ、前記接続リング(13)と前記ベゼル(12)は、前記接続リング(13)と前記ベゼル(12)との間の相対的移動を排除するために、前記ベゼル(12)が前記中間部(11)に締結されたときに互いに協働する少なくとも1つの連結部材をそれぞれが備え、前記接続リング(13)と前記ベゼル(12)は、前記ベゼル(12)が前記弾性復元力に反する力を受けたときに、前記連結部材が互いに協働しなくなり、したがって前記接続リング(13)と前記ベゼル(12)との間の回転自由を許容するように構成され、前記接続リング(13)と前記ベゼル(12)はさらに、前記接続リング(13)と前記ベゼル(12)が互いに対して所定の角度位置に配置されたときに分離できるように構成されることを特徴とする、時計ケース(10)。
【請求項2】
前記接続リング(13)は周縁肩部を備え、前記接続リング(13)は、半径方向リップ(112)によって形成された前記中間部(11)の軸方向軸受面に前記周縁肩部によって当接して配置される、請求項1に記載の時計ケース(10)。
【請求項3】
前記ベゼル(12)及び前記接続リング(13)の連結部材はそれぞれ結合要素を備え、前記結合要素は、互いに相補的な形状を有し、前記ベゼル(12)が前記中間部(11)に締結されたときに互いに協働し、前記ベゼル(12)が前記弾性復元力に反する力を受けたときに互いに分離される、請求項2に記載の時計ケース(10)。
【請求項4】
前記結合要素は、前記ベゼル(12)が前記弾性復元力に反する力を受けたときに、前記接続リング(13)に対する前記ベゼル(12)の第1の回転方向における回転を防止し、前記第1の回転方向とは反対の第2の回転方向における回転を可能にするように構成される、請求項3に記載の時計ケース(10)。
【請求項5】
前記接続リング(13)は、前記中間部(11)に締結された弾性割出要素(134)と協働する歯部を備える、請求項1に記載の時計ケース(10)。
【請求項6】
前記接続リング(13)は、前記中間部(11)に締結された弾性割出要素(134)と協働する歯部を備え、前記歯部は、前記第1の回転方向においてのみ前記接続リング(13)の回転を可能にするように形作られる、請求項4に記載の時計ケース(10)。
【請求項7】
前記ベゼル(12)及び前記接続リング(13)の連結部材はそれぞれ平行移動停止要素を有し、前記平行移動停止要素は、前記ベゼル(12)が前記中間部(11)に締結されたときに互いに協働し、前記結合要素が互いに分離されかつ前記ベゼル(12)と前記接続リング(13)が所定の角度位置に配置されたときに互いに解放される、請求項3又は4に記載の時計ケース(10)。
【請求項8】
前記ベゼル(12)及び前記接続リング(13)の平行移動停止要素はそれぞれ半径方向舌片(123、138)によって形成され、前記舌片(123、138)は反対方向に延在し、それぞれが境界面(1230、1380)を備え、前記舌片(123、138)は、前記ベゼル(12)が前記中間部(11)に締結されたときに前記境界面(1230、1380)を介して互いに接する、請求項7に記載の時計ケース(10)。
【請求項9】
前記接続リング(13)の結合要素は、2つの半径方向傾斜部(136、137)の間に形成された凹部(135)によって形成され、半径方向傾斜部(136、137)の1つは、「傾斜端」と呼ばれる前記接続リング(13)の平行移動停止要素の側方端によって形成され、前記ベゼル(12)の結合要素は、前記凹部(135)に係合するように意図された半径方向突出部(122)によって形成される、請求項7又は8に記載の時計ケース(10)。
【請求項10】
前記ベゼル(12)及び前記接続リング(13)の平行移動停止要素はそれぞれ半径方向舌片(123、138)によって形成され、前記舌片(123、138)は反対方向に延在し、それぞれが境界面(1230、1380)を備え、前記舌片(123、138)は境界面(1230、1380)を介して協働し、前記接続リング(13)の舌片(138)の境界面は、傾斜端に追加の厚みを生じるように配置された傾斜部(1381)を有し、前記追加の厚みは、前記半径方向傾斜部の1つ(137)を形成する、請求項9に記載の時計ケース(10)。
【外国語明細書】