(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100709
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】排水口フィルター
(51)【国際特許分類】
E03C 1/264 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
E03C1/264
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023223309
(22)【出願日】2023-12-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-03-06
(31)【優先権主張番号】P 2023013580
(32)【優先日】2023-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】523032630
【氏名又は名称】櫻井 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100182349
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 誠治
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 寛之
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061DA03
2D061DE15
(57)【要約】
【課題】溜まったゴミや排水口に指が接触せず、不快感や嫌悪感などを感じることなく取り外すことが可能な排水口フィルターを提供する。
【解決手段】排水口フィルター100は、平面状のシート110を組み立てて立体状にすることにより排水口Dに設置されるものであって、外周から中心にかけて形成される2辺を有する切欠部120を備え、切欠部120の一方の辺側110aには、他方の辺110bに向かって突出する差込み片130を備え、切欠部120の他方の辺側110bには、差込み片130を差し込み可能なスリット140が形成され、差込み片130をスリット140に差し込むことにより、2辺を密着させて組み立てられた底面の無い略円錐状又は下底面の無い略円錐台状になることを特徴とする。よって、溜まったゴミや排水口に指が接触せず、不快感や嫌悪感などを感じることなく取り外すことが可能となる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面状のシートを組み立てて立体状にすることにより排水口に設置される排水口フィルターであって、
外周から中心にかけて形成される2辺を有する切欠部を備え、
前記切欠部の一方の辺側には、他方の辺に向かって突出する差込み片を備え、
前記切欠部の他方の辺側には、前記差込み片を差し込み可能なスリットが形成され、
前記差込み片を前記スリットに差し込むことにより、2辺を密着させて組み立てられた底面の無い略円錐状又は下底面の無い略円錐台状になることを特徴とする、排水口フィルター。
【請求項2】
前記スリットが2以上設けられており、前記差込み片をいずれの前記スリットに差し込むかによって、略円錐状の底面又は略円錐台状の下底面の径が変わることを特徴とする、請求項1に記載の排水口フィルター。
【請求項3】
前記シートには、排水口に係止可能な複数の係止突部が径方向の複数箇所に設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の排水口フィルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水口に設置してごみを回収し、そのまま捨てることができる排水口フィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の排水口フィルターとしては、特開2017-227102号公報(特許文献1)に示されるものがある。同文献に開示される排水口フィルターは、略円錐台形状に形成されたごみ受けに水を通過させるための円形状又は楕円形状の複数の開口が形成されており、ごみ受けの縁部に排水口の淵に係止させるためのフランジ部が形成されて構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示されるような従来の排水口フィルターでは、使用後に排水口フィルターを排水口から取り外す際にフランジ部を摘まむため、溜まったゴミや排水口などに指が接触し、不快感や嫌悪感などを感じる場合があるという課題があった。
【0005】
そこで本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、溜まったゴミや排水口に指が接触せず、不快感や嫌悪感などを感じることなく衛生的に取り外すことが可能な排水口フィルターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明によれば平面状のシートを組み立てて立体状にすることにより排水口に設置される排水口フィルターであって、外周から中心にかけて形成される2辺を有する切欠部を備え、2辺を密着させて組み立てることにより略円錐又は略円錐台状になり、前記切欠部の一方の辺側には、他方の辺に向かって突出する差込み片を備え、前記切欠部の他方の辺側には、前記差込み片を差し込み可能なスリットが形成され、前記差込み片を前記スリットに差し込むことにより、底面の無い略円錐状又は下底面の無い略円錐台状になることを特徴とする、排水口フィルターが提供される。
【0007】
かかる構成によれば、使用後に排水口フィルターを排水口から取り外す際に、差込み片を摘まむことができるため、溜まったゴミや排水口に指が接触せず、不快感や嫌悪感などを感じることなく衛生的に取り外すことが可能である。
【0008】
また、組み立て後は変形の少ない構造となるため、排水口への着脱が容易となる。
【0009】
また、平面上のシートを組み立てて立体状にするため、保管や梱包をコンパクトにすることができる。
【0010】
また、本発明の応用例として様々なものが考えられる。例えば、前記スリットが2以上設けられており、前記差込み片をいずれの前記スリットに差し込むかによって、略円錐状の底面又は略円錐台状の下底面の径が変わるようにしてもよい。かかる構成によれば、組み立て時に差込み片を差し込むスリットの位置を変更することで排水口の大きさに合わせることができる。また、1つの排水口フィルターで口径の異なる排水口に使用することができるため、製造、販売の面でも有利である。
【0011】
また、前記シートには、排水口に係止可能な複数の係止突部が径方向の複数箇所に設けられているようにしてもよい。かかる構成によれば、係止突部によって排水口からの脱落を防止することができるとともに、係止突部が径方向の複数個所に設けられているため、1つの排水口フィルターで口径の異なる排水口に対応することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、排水口フィルターは、溜まったゴミや排水口に指が接触せず、不快感や嫌悪感などを感じることなく衛生的に取り外すことが可能である。本発明のその他の効果については、後述する発明を実施するための形態においても説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施形態の排水口フィルター100の全体構成を示す平面図である。
【
図2】排水口フィルター100を組み立てた状態を示す斜視図である。
【
図3】排水口フィルター100の作用を示し、(a)は排水口Dに取り付けた状態を示す斜視図であり、(b)は排水口Dから取り外す状態を示す斜視図である。
【
図4】第2の実施形態の排水口フィルター200の全体構成を示す平面図である。
【
図5】排水口フィルター200を排水口Dに取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図6】第3の実施形態の排水口フィルター300の全体構成を示す平面図である。
【
図7】排水口フィルター300の使用例を示し、(a)は口径の小さい排水口Dに取り付けた状態を示す斜視図であり、(b)は口径の大きい排水口Dに取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図8】排水口フィルターの縁部付近の形状を比較する図であり、(a)は排水口フィルター300の縁部付近の断面図であり、(b)は比較例の排水口フィルター600の縁部付近の断面図である。
【
図9】排水口フィルター300の縁部を排水口Dに係止させる状態を説明するための図であり、(a)は口径の小さい排水口Dの斜視図であり、(b)は排水口Dに係止突部360-2を係止させた状態を示す縦断面図である。
【
図10】排水口フィルター200の縁部を排水口Dに係止させる状態を説明するための図であり、(a)は口径の大きい排水口Dの斜視図であり、(b)は排水口Dに係止突部360-1を係止させた状態を示す縦断面図である。
【
図11】複数の排水口フィルター300を積み重ねた状態を比較する図であり、(a)は排水口フィルター300の縁部付近の断面図であり、(b)は比較例の排水口フィルター600の縁部付近の断面図である。
【
図12】第4の実施形態の排水口フィルター400全体構成を示す平面図である。
【
図13】第5の実施形態の排水口フィルター500の全体構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0015】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る排水口フィルター100の全体構成について、
図1及び
図2を参照しながら説明する。
図1は、第1の実施形態の排水口フィルター100の全体構成を示す平面図である。
図2は、排水口フィルター100を組み立てた状態を示す斜視図である。
【0016】
排水口フィルター100は、
図1及び
図2に示したように、平面状のシート110を組み立てて立体状にすることにより排水口Dに設置されるものであって、外周から中心にかけて形成される2辺110a、110bを有する切欠部120を備える。そして、切欠部120の一方の辺110a側には、他方の辺110bに向かって突出する差込み片130を備え、切欠部120の他方の辺110b側には、差込み片130を差し込み可能なスリット140が形成され、差込み片130をスリット140に差し込むことにより、2辺110a、110bを密着させて組み立てられた底面の無い略円錐状になることを特徴とする。以下、各構成要素について説明する。
【0017】
(シート110)
シート110は、
図1に示したように、略円形の平面状に構成されており、外周から中心にかけて形成される2辺110a、110bを有する略V字状の切欠部120が形成されている。一方の辺110aは外周から中心まで直線状に形成されており、他方の辺110bは外周から中心に向かう途中までは一方の辺110aとの間で略V字状を形成するように形成され、前記途中から中心までは、一方の辺110aと略平行に形成されている。シート110には、切欠部120を挟んで左右対称にほぼ全面にわたって複数の排水孔110cが形成されているが、切欠部120の周辺は略V字状に排水孔110cが設けられない部分が形成されている。この切欠部120の周辺の排水孔110cが形成されていない部分は、シート110を組み立てた際に重なり合う。排水孔110cは、ゴミの通過を防ぎつつ水を通過させるためのものである。排水孔110cは、一例として本実施形態では、細長いスリット状に形成されるが、ゴミの通過を防ぎつつ水を通過させることができればいかなる形状でもよい。
【0018】
(切欠部120)
切欠部120は、排水口フィルター100を立体状に構成するためのものである。切欠部120は、
図1に示したように、2辺110a、110bによって形成されている。すなわち、外周から中心に向かう途中までは略V字状に形成された谷部122と、谷部122の頂点から中心まで形成されるスリット状の直線部124とによって構成される。このような構成により、シート110を組み立てて立体状にした際に、
図2に示したように、中心付近においても2辺110a、110bが重なるため、密着させることができる。よって、切欠部120からゴミが通過してしまうことを防止することができる。
【0019】
(差込み片130)
差込み片130は、
図1に示したように、切欠部120の一方の辺110a側から他方の辺110bに向かって突出するように形成されている。差込み片130は、切欠部120の谷部122の幅と同程度の長さに形成されており、他方の辺110bの縁部とほぼ接触する位置まで延びている。差込み片130は、シート110と一体に形成されていてもよく、別体に構成されて一方の辺110aに連結されていてもよい。
【0020】
(スリット140)
スリット140は、差込み片130を差し込むためのものである。スリット140は、
図1に示したように、他方の辺110bの排水孔110cに近接した位置に径方向に形成されている。よって、
図2に示したように、スリット140に差込み片130が差し込まれると、排水口フィルター100が底面の無い略円錐状に構成される。
【0021】
以上、排水口フィルター100の構成について説明した。以下、排水口フィルター100の作用について、
図3を参照しながら説明する。
図3は、排水口フィルター100の作用を示し、(a)は排水口Dに取り付けた状態を示す斜視図であり、(b)は排水口Dから取り外す状態を示す斜視図である。
【0022】
排水口フィルター100は、
図3(a)に示したように、排水口Dに取り付けた際に、差込み片130が略円錐状の内側に向かって突出した状態になる。排水口フィルター100を排水口Dから取り外す際には、
図3(b)に示したように、突出した差込み片130を摘まんで取り外すことができる。
【0023】
(第1の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、使用後に排水口フィルター100を排水口Dから取り外す際に、差込み片130を摘まむことができるため、溜まったゴミや排水口Dに指が接触せず、不快感や嫌悪感などを感じることなく衛生的に取り外すことが可能である。
【0024】
また、排水口フィルター100は、組み立て後は変形の少ない構造となるため、排水口Dへの着脱が容易となる。
【0025】
また、平面上のシート110を組み立てて立体状にするため、保管や梱包をコンパクトにすることができる。
【0026】
また、差込み片130が略円錐状の内側に向かって突出した状態になるため、差込み片130の先端部を摘まみやすく、摘まむ際のゴミや排水口への指の接触をさらに防止することができる。
【0027】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る排水口フィルター200の構成について、
図4を参照しながら説明する。
図4は、第2の実施形態の排水口フィルター200の全体構成を示す平面図である。本実施形態は、上記第1の実施形態とは主に差込み片230の構成が異なるものであり、本実施形態では、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0028】
排水口フィルター200は、
図4に示したように、平面状のシート210を組み立てて立体状にすることにより排水口Dに設置されるものであって、外周から中心にかけて形成される2辺210a、210bを有する切欠部220を備える。そして、切欠部220の一方の辺210a側には、他方の辺210bに向かって突出する差込み片230を備え、切欠部220の他方の辺210b側には、差込み片230を差し込み可能なスリット240が形成され、差込み片230をスリット240に差し込むことにより、2辺210a、210bを密着させて組み立てられた底面の無い略円錐状になることを特徴とする。以下、第1の実施形態と実質的に同様の機能を有する構成については重複説明を省略し、本実施形態の特徴的な構成である差込み片230について主に説明する。
【0029】
差込み片230は、
図4に示したように、中心側と外周側の2つの辺からそれぞれ径方向に突出する突出片232を備えている。突出片232は、差込み片230の面と重なり合うように折り曲げ可能である。スリット240は、第1の実施形態のスリット140と同様に形成されている。
【0030】
差込み片230の構成の変更に伴って、切欠部220の形状も第1の実施形態の切欠部120の構成とは異なっている。切欠部220は、
図4に示したように、谷部222において一方の辺210aが第1の実施形態の谷部122の径方向の途中から略L字状に円周方向に広がっており、他方の辺210bは谷部222が広がる方向に直線部224から屈曲して構成されている。よって、谷部222の幅が第1の実施形態の谷部122の幅よりも広くなっている。また、直線部224は第1の実施形態の直線部124よりも若干長く構成されている。一方の辺210a又は他方の辺210bから排水孔210cまでの幅は第1の実施形態のものよりも広くなっている。排水孔210cは、第1の実施形態と同様に、複数の細長いスリット状に形成されているが、個々のスリットの長さが第1の実施形態の排水孔110cよりも短く構成されている。
【0031】
以上、排水口フィルター200の構成について説明した。以下、
図5を参照しながら排水口フィルター200の作用について説明する。
図5は、排水口フィルター200を排水口Dに取り付けた状態を示す斜視図である。差込み片230は、突出片232が重なり合うように折り曲げられた状態でスリット240に差し込まれた後、突出片232が開かれることによりスリット240から抜け出ることが規制されて、シート210が底面の無い略円錐状に組み立てられる。よって、排水口Dに取り付けられた排水口フィルター200にゴミや水圧などで大きな荷重がかかっても差込み片230がスリット240から抜け出て外れることが防止される。
【0032】
(第2の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、差込み片230に突出片232を設けたことにより、差込み片230がスリット240から抜け出て外れることを防止することができる。よって、排水口フィルター200は、ゴミや水圧などで大きな荷重がかかっても立体形状を保持することができる。
【0033】
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る排水口フィルター300の構成について、
図6~
図8を参照しながら説明する。
図6は、第3の実施形態の排水口フィルター300の全体構成を示す平面図である。
図7は、排水口フィルター300の使用例を示す。
図8は、排水口フィルターの縁部付近の形状を比較する図である。本実施形態は、上記第2の実施形態とは主に立体状に組み立てたときの径を変更することができる構成であることが異なるものであり、本実施形態では、上記第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0034】
排水口フィルター300は、
図6に示したように、平面状のシート310を組み立てて立体状にすることにより排水口Dに設置されるものであって、外周から中心にかけて形成される2辺310a、310bを有する切欠部320を備える。そして、切欠部320の一方の辺310a側には、他方の辺310bに向かって突出する差込み片330を備え、切欠部320の他方の辺310b側には、差込み片330を差し込み可能な第1スリットスリット340、第2スリット350が形成され、差込み片330を第1スリットスリット340又は第2スリット350に差し込むことにより、2辺310a、310bを密着させて組み立てられた底面の無い略円錐状になることを特徴とする。以下、第2の実施形態と実質的に同様の機能を有する構成については重複説明を省略し、本実施形態の特徴的な構成である第1スリット340、第2スリット350について主に説明する。
【0035】
排水口フィルター300は、
図6に示したように、シート310の一方の辺310aの側に第2の実施形態のスリット240と同様に第1スリット340が形成されている。また、第1スリット340よりも縁部寄りに、径方向に延びるように第2スリット350が形成されている。このように、シート310に2本のスリット340、350を設けたことにより、一方の辺310a又は他方の辺310bから排水孔310cまでの幅は第2の実施形態のものよりも広くなっている。排水孔310cは、第2の実施形態と同様に、複数の細長いスリット状に形成されている。
【0036】
差込み片330は、
図7に示したように、第1スリット340と第2スリット350のどちらにも選択的に差し込み可能となっている。差込み片330を第1スリット340に差し込んだとき(
図7(a))の方が、第2スリット350に差し込んだとき(
図7(b))よりも排水口フィルター300の径寸法が小さくなる。このように、差込み片330を第1スリット340と第2スリット350のどちらに差し込むかによって、立体状に組み立てたときの排水口フィルター300の略円錐状の底面の径を変更することができるため、排水口Dのサイズに合わせることができる。
【0037】
シート310の円周には、
図6に示したように、排水口フィルター300の縁部を排水口Dに係止可能とする3つの係止突部360-1、360-2、360-3が形成されている。3つの係止突部360-1、360-2、360-3は、排水口Dの径に合わせて選択的に使用可能である。3つの係止突部360-1、360-2、360-3は、径方向に等間隔に配置されており、
図8(a)に示したように、断面半円状に形成されている。なお、本実施形態では、係止突部360-1、360-2、360-3を3つ設けたが、係止突部の数は任意に設計することができる。
【0038】
以上、排水口フィルター300の構成について説明した。以下、排水口フィルター300の作用について、
図8に加え、
図9~
図11を参照しながら説明する。
図9は、排水口フィルター300の縁部を排水口Dに係止させる状態を説明するための図である。
図10は、排水口フィルター300の縁部を排水口Dに係止させる状態を説明するための図である。
図11は、複数の排水口フィルター300を積み重ねた状態を比較する図である。
【0039】
排水口フィルター300は、
図9に示したように、排水口Dに形成されている段差に縁部を係止させて排水口Dに取り付ける。排水口Dの径が小さい場合、
図9(b)に示したように、3つの係止突部360-1、360-2、360-3の内の中間の係止突部360-2を排水口Dに係止させて排水口フィルター300を取り付けることができる。
【0040】
また、
図10に示したように、排水口Dの径が大きい場合、
図10(b)に示したように、3つの係止突部360-1、360-2、360-3の内の一番外周側の係止突部360-1を排水口Dに係止させて排水口フィルター300を取り付けることができる。
【0041】
排水口フィルター300を保管したり梱包したりする場合、
図11(a)に示したように、積み重ねることができる。排水口フィルター300を積み重ねた場合、小さな係止突部360-1、360-2、360-3が径方向に複数あるため、かさ張ることなく積み重ねることができる。また、複数の排水口フィルター300を積み重ねる際も、係止突部360-1、360-2、360-3が径方向に複数あるため、積み重ねられた排水口フィルター300がずれても、なだれ落ちるようなことが無く安定した状態を保持することができる。
【0042】
一方、
図8(b)に示したように、比較例の排水口フィルター600の係止突部660を略三角形状とした場合、排水口フィルター600を積み重ねると、
図11(b)に示したように、係止突部660の突出高さが大きくなるため、かさ張ることになる。
【0043】
(第3の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、係止突部360-1、360-2、360-3によって排水口Dからの脱落を防止することができるとともに、係止突部360-1、360-2、360-3が径方向の複数個所に設けられているため、1つの排水口フィルター300で口径の異なる排水口に対応することができる。
【0044】
(第4の実施形態)
第4の実施形態に係る排水口フィルター400の構成について、
図12を参照しながら説明する。
図12は、第4の実施形態の排水口フィルター400全体構成を示す平面図である。本実施形態は、上記第1の実施形態とは主にスリットの数が異なるものであり、本実施形態では、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0045】
排水口フィルター400は、
図12に示したように、平面状のシート410を組み立てて立体状にすることにより排水口Dに設置されるものであって、外周から中心にかけて形成される2辺を有する切欠部を備える。そして、切欠部の一方の辺側には、他方の辺に向かって突出する差込み片430を備え、切欠部の他方の辺側には、差込み片430を差し込み可能な3つのスリット440が形成され、差込み片430を3つのスリット440のいずれかに差し込むことにより、2辺を密着させて組み立てられた底面の無い略円錐状になることを特徴とする。以下、第1の実施形態と実質的に同様の機能を有する構成については重複説明を省略し、本実施形態の特徴的な構成である3つのスリット440について主に説明する。
【0046】
排水口フィルター400は、
図12に示したように、3つのスリット440が形成されている。3つのスリット440は、第1の実施形態のスリット140と同様に中心からの放射線上に形成されている。排水口フィルター400は、3つのスリット440に選択的に差込み片430を差し込むことにより、立体状に組み立てたときの略円錐状の底面の径を3段階に変更することができる。なお、スリットの数をさらに増やすと、細かく前記径を変更することが可能になる。
【0047】
また、排水口フィルター400は、シート410の排水孔410cが網目状に構成されている点も第1の実施形態の排水孔110cと相違する点である。
【0048】
(第4の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、排水口フィルター400は、3つのスリット440に選択的に差込み片430を差し込むことにより、立体状に組み立てたときの略円錐状の底面の径を3段階に変更することができる。
【0049】
(第5の実施形態)
第5の実施形態に係る排水口フィルター500の構成について、
図13を参照しながら説明する。
図13は、第5の実施形態の排水口フィルター500全体構成を示す平面図である。本実施形態は、上記第1の実施形態とは組み立てたときの形状が異なるものであり、本実施形態では、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0050】
排水口フィルター500は、
図13に示したように、平面状のシート510を組み立てて立体状にすることにより排水口Dに設置されるものであって、外周から中心にかけて形成される2辺510a、510bを有する切欠部520を備える。そして、切欠部520の一方の辺510a側には、他方の辺510bに向かって突出する差込み片530を備え、切欠部520の他方の辺510b側には、差込み片530を差し込み可能なスリット540が形成され、差込み片530をスリット540に差し込むことにより、2辺510a、510bを密着させて組み立てられた底面の無い略円錐状になることを特徴とする。以下、第1の実施形態と実質的に同様の機能を有する構成については重複説明を省略し、本実施形態の特徴的な構成である組み立てたときに底面の無い略円錐状になる構成について主に説明する。
【0051】
排水口フィルター500は、
図13に示したように、切欠部520、差込み片530及びスリット540が形成されているが、切欠部520は、第1の実施形態の切欠部120より深さが浅く、径方向において四分の一の深さまでしか形成されていない。また、差込み片530は、第1の実施形態の差込み片130よりも外周方向に傾いて延びている。さらに、スリット540は、第1の実施形態のスリット140より傾斜角度が浅くなっている。
【0052】
切欠部520、差込み片530及びスリット540はシート510の2か所に点対象に形成されている。シート510の2か所において差込み片530をスリット540に差し込む。すると、排水口フィルター500は、下底面の無い略円錐台状に構成される。
【0053】
(第5の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、排水口フィルター500は、下底面の無い略円錐台状に構成されるため、様々な形状の排水口に対応することができる。
【0054】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0055】
例えば、上記第1の実施形態では、差込み片130をスリット140に差し込んで排水口フィルター100を構成したが、本発明はこの例に限定されない。スリットに差し込んだ差込み片を折り曲げてスリットからの抜けを防止するようにしてもよい。他の実施形態も同様である。
【0056】
以上説明した実施形態・応用例・変形例等は、適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0057】
100、200、300、400、500、600 排水口フィルター
110、210、310、410、510 シート
110a、210a、310a、510a 一方の辺
110b、210b、310b、510b 他方の辺
110c、210c、310c、410c 排水孔
120、220、520 切欠部
122、222 谷部
124、224 直線部
130、230、430、530 差込み片
140、240、440、540 スリット
232 突出片
340 第1スリット
350 第2スリット
360-1、360-2、360-3、660 係止突部
D 排水口