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特開2024-100722光起電力モジュールおよびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100722
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】光起電力モジュールおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/048 20140101AFI20240719BHJP
【FI】
H01L31/04 560
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024002201
(22)【出願日】2024-01-10
(62)【分割の表示】P 2023092812の分割
【原出願日】2023-06-06
(31)【優先権主張番号】202310089709.2
(32)【優先日】2023-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202310089760.3
(32)【優先日】2023-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】519095522
【氏名又は名称】ジョジアン ジンコ ソーラー カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】512083920
【氏名又は名称】晶科能源股分有限公司
【氏名又は名称原語表記】JINKO SOLAR CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1,Jinko Road, Shangrao Economic Development Zone Jiangxi 334100 CN
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】ハァォ グゥオ フェイ
(72)【発明者】
【氏名】郭志球
(72)【発明者】
【氏名】黄世亮
(72)【発明者】
【氏名】張寧波
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251BA11
5F251DA10
5F251EA03
5F251EA19
5F251JA03
5F251JA04
5F251JA05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】歩留まりを向上せる光起電力モジュールおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】接続部材が電池セルの表面とグリッド線構造の表面に位置し、接続部材が隣接する電池セルとそれぞれ電気的に接続された接続部材と、接続部材の表面を覆う複数の複合フィルムであって、第2方向に沿って、複合フィルムの両側が電池セルの表面を覆い、複合フィルムが接着剤層及び遮断層を備え、接着剤層が遮断層と接続部材の間に位置する複合フィルムと、複合フィルムの表面を覆う封止層であって、ここで、接着剤層と遮断層の少なくとも一方のガラス転移温度が封止層のガラス転移温度より大きい封止層と、封止層の電池セルから離れた側に位置するカバープレートと、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが、第1方向に沿って間隔をあけて配列された複数のグリッド線構造を備えた複数の電池セルと、
前記第1方向に沿って延在し、かつ第2方向に沿って間隔をあけて配列された複数の接続部材であって、各前記接続部材が隣接する電池セルと電気的に接続された接続部材と、
複数の複合フィルムであって、各前記複合フィルムが、対応する接続部材の表面を覆い、かつ前記対応する接続部材の両側に位置する電池セルの表面の部分を覆い、第1層及び第2層を備え、前記第1層が前記第2層と前記対応する接続部材の間に位置する複合フィルムと、を含む、
ことを特徴とする光起電力モジュール。
【請求項2】
前記第1層は接着剤層であり、前記第2層は遮断層であり、前記接着剤層と前記遮断層の少なくとも一方のガラス転移温度が前記封止層のガラス転移温度より大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の光起電力モジュール。
【請求項3】
前記複数の複合フィルムのうちの隣接する複合フィルム間の第1ピッチは、隣接する接続部材間の第2ピッチの5/6より小さく、
前記第1ピッチは、前記隣接する複合フィルムの対向するエッジ間の距離であり、
前記第2ピッチは、前記隣接する接続部材の対向するエッジ間の距離である、
ことを特徴とする請求項2に記載の光起電力モジュール。
【請求項4】
前記接着剤層の厚さと前記遮断層の厚さの比は1:5~75:1である、
ことを特徴とする請求項2に記載の光起電力モジュール。
【請求項5】
前記遮断層は一部の前記接着剤層を取り囲む、
ことを特徴とする請求項2に記載の光起電力モジュール。
【請求項6】
前記第2方向に沿って、隣接する前記複合フィルムは連続したフィルム層である、
ことを特徴とする請求項2に記載の光起電力モジュール。
【請求項7】
同じ予め設定された温度で、前記接着剤層の粘着度が前記遮断層の粘着度より大きい、
ことを特徴とする請求項2に記載の光起電力モジュール。
【請求項8】
前記遮断層の材料は前記接着剤層の材料と異なる、
ことを特徴とする請求項2に記載の光起電力モジュール。
【請求項9】
前記遮断層の材料は、PET、POE、液体シリカゲルまたはPVBを含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の光起電力モジュール。
【請求項10】
前記複数の電池セルの表面に位置する複数の接着剤ドットをさらに含み、各前記接着剤ドットが前記複数のグリッド線構造のうちの隣接するグリッド線構造の間に位置し、前記複数の接続部材が前記複数の接着剤ドットに位置する、
ことを特徴とする請求項2に記載の光起電力モジュール。
【請求項11】
前記接着剤層のガラス転移温度範囲は-55~0℃である、
ことを特徴とする請求項2に記載の光起電力モジュール。
【請求項12】
前記遮断層のガラス転移温度範囲は100~200℃である、
ことを特徴とする請求項2に記載の光起電力モジュール。
【請求項13】
各前記複合フィルムは、第1部分及び第2部分を含み、前記第1部分は、前記接続部材の表面を覆い、前記第2部分、前記接続部材及び前記電池セルの対応する位置にて接着隙間を取り囲むように形成し、
各前記複合フィルムの前記接着隙間に対応する箇所には、複数の排気孔を有し、かつ、前記複数の排気孔の前記電池セルの表面における正投影と前記接続部材の前記電池セルの表面における正投影が重なっていない、
ことを特徴とする請求項1に記載の光起電力モジュール。
【請求項14】
前記第1層の前記接着隙間に対応する箇所に第1開口があり、前記第2層の前記接着隙間に対応する箇所に第2開口があり、前記第1開口と前記第2開口がともに前記排気孔を構成し、ここで、前記第1開口の寸法が前記第2開口より小さい、
ことを特徴とする請求項13に記載の光起電力モジュール。
【請求項15】
前記複合フィルムの前記電池セルから離れた側の表面において、前記排気孔の面積を第1面積とし、前記複合フィルムの前記電池セルに近い側の表面において、前記排気孔の面積を第2面積とし、前記第1面積と前記第2面積との比の範囲は2~20である、
ことを特徴とする請求項13に記載の光起電力モジュール。
【請求項16】
前記第2面積の範囲は3μm~700μmである、
ことを特徴とする請求項15に記載の光起電力モジュール。
【請求項17】
前記第1方向に沿って、隣接する排気孔間の距離範囲は1mm~10mmである、
ことを特徴とする請求項13に記載の光起電力モジュール。
【請求項18】
複数の電池セルを提供することであって、各前記電池セルが第1方向に沿って間隔をあけて配列されたグリッド線構造を含むことと、
第2方向に沿って間隔をあけて配列された複数の接続部材を提供することであって、前記接続部材が前記電池セルの表面に位置し、かつ隣接する前記電池セルと電気的に接続されることと、
複数の複合フィルムを提供することであって、前記複合フィルムが前記接続部材の表面を覆い、前記第2方向に沿って、前記複合フィルムの両側が前記電池セルの表面を覆い、前記複合フィルムが第1層と第2層とを含み、前記第1層が前記第2層と前記接続部材との間に位置することと、を含む、
ことを特徴とする光起電力モジュールの製造方法。
【請求項19】
前記複合フィルムを製造する工程は、
配合比によって前記第1層の原料を均一に混合し、押出装置によって押し出して第1原料を形成し、配合比によって前記第2層の原料を均一に混合し、前記押出装置によって押し出して第2原料を形成することと、
配合比によって前記第1原料または前記第2原料のいずれか一方を成形装置に流し込み、初期フィルムを形成することと、
共押出し複合し、前記第1原料と前記第2原料の他方を前記成形装置に流し込み、スクリュー押出し複合によって前記複合フィルムを形成することと、を含む、
ことを特徴とする請求項18に記載の光起電力モジュールの製造方法。
【請求項20】
複数の複合フィルムを提供した後に、前記接続部材の少なくとも片側に位置する前記複合フィルムと前記電池セルの表面との間には挟角があり、前記挟角が前記接続部材の側面とともに接着隙間を取り囲むように形成し、
前記方法は、さらに、
複数の複合フィルムを提供した後、かつ封止層を提供する前に、前記複合フィルムの前記接着隙間に対応する箇所に複数の排気孔を形成することを含む、
ことを特徴とする請求項18に記載の光起電力モジュールの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の実施例は、光起電力分野に関し、特に太光起電力モジュールおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は光電効果または光化学効果によって光エネルギーを直接電気エネルギーに変換する装置である。単一のセルだけでは直接発電できない。複数のセルをPVリボンによって直列または並列接続し、厳密にモジュールに封止して使用しなければならない。太陽電池モジュール(太陽電池パネルとも呼ばれる)は、太陽光発電システムの中核部分であり、太陽光発電システムの中で最も重要な部分でもある。太陽電池モジュールの役割は、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換したり、蓄電池に送って貯蔵し、設備の運転を駆動したりすることである。
【0003】
セルは非常に脆弱で、電池セルを保護するために、一般的に電池モジュールの上下面に接着フィルムとカバープレートを設置する必要がある。カバープレートは一般的に太陽光発電ガラスで、太陽光発電ガラスは直接電池セルの上面に付着できず、その中で接着フィルムは接着作用を果たす必要がある。電池セル同士間の接続には通常、電流を収集するためのPVリボンが必要であり、通常のPVリボンは、溶接時にハンダ付けによってPVリボンと細かいグリッドとの間を合金化させる必要がある。電池効率と電池歩留まりを高めるように、通常、メイングリッドと細かいグリッド間の遮光と導電を均衡させているが、光起電力モジュールの歩留まりに影響する要因はたくさんある。
【0004】
また、PVリボンにおけるハンダの融点は一般的に高く、実際の溶接過程では、溶接温度はハンダ融点よりも20℃以上高い。電池セルは溶接中に反り変形が大きいため、溶接後、隠れクラックのリスクが大きく、破片率が高い。特にPERC電池(Passivated Emitter and Rear Cell、不動態化エミッタ及び裏面セル)は、自身の内部応力が大きく、溶接後に反り変形、破片が出やすく、モジュールの再修理率の上昇と歩留まりの低下を招く。このような背景の下で、溶接品質を改善するために、低温PVリボン及びメイングリッドレス技術はそれに応じて生まれていた。しかし、モジュールの歩留まりに影響する要素は依然として多く、例えば、PVリボンと細かいグリッド間の溶接効果や溶接歩留まりなどがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の実施例には、少なくとも光起電力モジュールの歩留まりの向上に有利である光起電力モジュールおよびその製造方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願のいくつかの実施例によれば、本願実施例の第1面では、光起電力モジュールが提供され、当該光起電力モジュールは、それぞれが、第1方向に沿って間隔をあけて配列されたグリッド線構造を備えた複数の電池セルと、第2方向に沿って間隔をあけて配列された複数の接続部材であって、前記接続部材が電池セルの表面と前記グリッド線構造の表面に位置し、前記接続部材が隣接する前記電池セルとそれぞれ電気的に接続された接続部材と、前記接続部材の表面を覆う複数の複合フィルムであって、前記第2方向に沿って、前記複合フィルムの両側が前記電池セルの表面を覆い、前記複合フィルムが接着剤層及び遮断層を備え、前記接着剤層が前記遮断層と前記接続部材の間に位置する複合フィルムと、前記複合フィルムの表面を覆う封止層であって、ここで、前記接着剤層と前記遮断層の少なくとも一方のガラス転移温度が前記封止層のガラス転移温度より大きい封止層と、前記封止層の前記電池セルから離れた側に位置するカバープレートと、を含む。
【0007】
いくつかの実施例では、隣接する前記複合フィルム間のピッチは、隣接する接続部材間のピッチの5/6より小さい。
【0008】
いくつかの実施例では、前記接着剤層の厚さと前記遮断層の厚さの比は1/5~75である。
【0009】
いくつかの実施例では、前記遮断層は一部の前記接着剤層を取り囲む。
【0010】
いくつかの実施例では、前記第2方向に沿って、隣接する前記複合フィルムは連続したフィルム層である。
【0011】
いくつかの実施例では、同じ予め設定された温度で、前記接着剤層の粘着度が前記遮断層の粘着度より大きい。
【0012】
いくつかの実施例では、前記遮断層の材料は前記接着剤層の材料と異なり、前記遮断層の材料の水透過率範囲は2~4g/mである。
【0013】
いくつかの実施例では、前記遮断層の材料は、PET、POE、液体シリカゲルまたはPVBを含む。
【0014】
くつかの実施例では、前記電池セルの表面に位置し、かつ隣接する前記グリッド線構造の間に位置する接着剤ドットをさらに含み、前記接続部材が前記接着剤ドットに位置する。
【0015】
いくつかの実施例では、前記接着剤層のガラス転移温度範囲は-55~0℃である。
【0016】
いくつかの実施例では、前記遮断層のガラス転移温度範囲は100~200℃である。
【0017】
本願のいくつかの実施例によれば、本願実施例の別の面では、光起電力モジュールの製造方法が提供され、当該光起電力モジュールの製造方法は、
複数の電池セルを提供することであって、各前記電池セルが第1方向に沿って間隔をあけて配列されたグリッド線構造を含むことと、
第2方向に沿って間隔をあけて配列された複数の接続部材を提供することであって、前記接続部材が前記電池セルの表面に位置し、かつ隣接する前記電池セルと電気的に接続されることと、
複数の複合フィルムを提供することであって、前記複合フィルムが前記接続部材の表面を覆い、前記第2方向に沿って、前記複合フィルムの両側が前記電池セルの表面を覆い、前記複合フィルムが接着剤層と遮断層とを含み、前記接着剤層が前記遮断層と前記接続部材との間に位置することと、
前記複合フィルムの表面を覆う封止層を提供することであって、ここで、前記接着剤層と前記遮断層の少なくとも一方のガラス転移温度が前記封止層のガラス転移温度より大きいことと、
前記封止層の前記電池セルから離れた側に位置するカバープレートを提供することと、
積層処理を行うことと、を含む。
【0018】
いくつかの実施例では、前記複合フィルムを製造する工程は、配合比によって前記接着剤層の原料を均一に混合し、押出装置によって押し出して第1原料を形成し、配合比によって前記遮断層の原料を均一に混合し、押出装置によって押し出して第2原料を形成することと、配合比によって前記第1原料または前記第2原料のいずれか一方を成形装置に流し込み、初期フィルムを形成することと、共押出し複合し、前記第1原料と前記第2原料の他方を前記成形装置に流し込み、スクリュー押出し複合によって前記複合フィルムを形成することと、を含む。
【発明の効果】
【0019】
本願実施例に提供された技術案は、少なくとも以下の利点を有する。
【0020】
接続部材と封止層との間に、接続部材の表面を覆う複合フィルムが設けられ、複合フィルムが接着剤層と遮断層を含み、接着剤層は接続部材と電池セルとの相対位置を固定し、溶融状態の封止層が接続部材を押して接続部材のずれを引き起こすことを防ぐことに用いられ、遮断層は積層処理時に溶融状態の封止層が接続部材と電池セルの間に流れ、ひいては電池セルと接続部材の間の電気的接続の問題を引き起こすことを防ぐことに用いられ、モジュールの溶接性を改善し、PVリボンの延在方向での引っ張り力を高め、モジュールの溶接品質を向上させ、モジュールのコールドはんだ接続などの問題を減らし、モジュールの製品品質を高め、モジュールの製造工程での再修理などの異常を低減し、モジュールの生産力を大幅に高めている。一方、接着剤層と遮断層のうちの少なくとも一方のガラス転移温度は封止層のガラス転移温度より高く、積層処理過程において封止層は溶融状態を呈しているが、接着剤層と遮断層の一方は比較的密な固体状態を呈している。これにより、溶融状態の接着フィルムがグリッド線構造と接続部材との間に流れることを防ぐことができる。また、接着剤層と遮断層は、封止層の一部として、接続部材表面の接着フィルムの厚さが薄いことに起因して接続部材が封止層を突き破るリスクを減らすことができ、複合フィルムは水分を遮断し、グリッド線構造の性能を高めることにも用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
一つ又は複数の実施例は、対応する添付の図面における図で例示的に説明され、これらの例示的な説明は、実施例を限定するものではなく、特に断りのない限り、添付の図面における図は比例上の制限を形成しない。本開示の実施例または従来技術における技術案をより明確に説明するために、以下では、実施例に必要な図面を簡単に説明する。明らかに、以下の説明における図面は、本開示のいくつかの実施形態に過ぎず、当業者にとっては、創造的な労働を払わずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
図1図1は本願の一実施例に係る光起電力モジュールの第1種構成を示す図である。
図2図2図1のc-c断面に沿う断面構成を示す図である。
図3図3図1のa-a断面に沿う第1種断面構成を示す図である。
図4図4は本願の一実施例に係る光起電力モジュールにおける複合フィルムの第1種構成を示す図である。
図5図5図1のa-a断面に沿う第2種断面構成を示す図である。
図6図6は本願の一実施例に係る光起電力モジュールにおける複合フィルムの第2種構成を示す図である。
図7図7図1のa-a断面に沿う第3種断面構成を示す図である。
図8図8は本願の一実施例に係る光起電力モジュールにおける複合フィルムの第3種構成を示す図である。
図9図9は本願の一実施例に係る光起電力モジュールの第2種構成を示す図である。
図10図10図9のc-c断面に沿う断面構成を示す図である。
図11図11は本願の一実施例に係る光起電力モジュールの第3種構成を示す図である。
図12図12は本願の一実施例に係る光起電力モジュールの第4種構成を示す図である。
図13図13図12のb-b断面に沿う断面構成を示す図である。
図14図14は、本願の一実施例における別の光起電力モジュールの構成を示す図である。
図15図15は、図14における固定フィルムの部分拡大構成を示す図である。
図16図16は、図14のAA1に沿う第1種断面構成を示す図である。
図17図17は、図14のAA1に沿う第2種断面構成を示す図である。
図18図18は、図14のAA1に沿う第3種断面構成を示す図である。
図19図19は、図14のAA1に沿う第4種断面構成を示す図である。
図20図20は、本願の一実施例に係る別の光起電力モジュールの製造方法に対応するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
背景技術から分かるように、現在の光起電力モジュールの歩留まりは劣っている。
【0023】
分析によると、光起電力モジュールの歩留まりが劣っている原因の1つは、太陽光が電池の正面から電池に入ると、正面の金属電極がシリコンウェハーの一部を遮り、電極に照射したこの部分の光エネルギーが電気エネルギーに変換できないことであることがわかった。この観点から、グリッド線は細かいほど良い。グリッド線の役割は電流を伝導することであり、抵抗率の観点から分析すると、グリッド線が細かいほど導電断面積が小さくなり、抵抗損失が大きくなることがわかった。したがって、メイングリッドと補助グリッドの設計の核心は遮光と導電のバランスを取ることであり、その後グリッド線と電気的に接触するPVリボンも遮光と導電のバランスを取る必要がある。また、従来技術では、PVリボンとグリッド線との合金化を実現するには、通常、PVリボンの温度よりも20℃高い温度でPVリボンのトップから電池セル方向へ放射して放熱する。このようなPVリボンの高溶融温度によって、溶接中のリフロー温度を高くする必要がある。これによって、電池セルに熱反りが発生しやすい。電池セルの熱反りによって形成されたスポット溶接部の完全性を損ない、その性能に影響を及ぼすおそれがある。電池セルの熱反りは、電池セルの破損、ヘッドインピロー欠陥、コールドはんだ接続などの、様々なスズはんだ欠陥を引き起こすおそれもある。
【0024】
また、接続部材が低融点金属をハンダとして採用した場合、積層処理を利用してグリッド線構造と接続部材との合金化を実現する。例えば、モジュール積層工程では、ラミネータの圧力と温度によって低融点金属とグリッド線構造を結合させる。しかしながら、接着フィルムの融点はPVリボン中のハンダの融点より低い。したがって、低融点金属とグリッド線構造とを溶接する過程では、通常、溶融状態にある接着フィルムの押圧によって、PVリボンがずれたり、接着フィルムがPVリボンと細かいグリッドとの間に溢れて電池セルの割れまたはコールドはんだ接続などの状況を発生させてしまい、電池性能に影響したり、グリッド線構造と接続部材との接触効果が悪くなることを招いたりする。
【0025】
本願の実施例では、光起電力モジュールが提供される。接続部材と封止層との間に、接続部材の表面を覆う複合フィルムが設けられ、複合フィルムが接着剤層と遮断層を含み、接着剤層は接続部材と電池セルとの相対位置を固定し、溶融状態の封止層が接続部材を押して接続部材のずれを引き起こすことを防ぐことに用いられ、遮断層は積層処理時に溶融状態の封止層が接続部材と電池セルの間に流れ、ひいては電池セルと接続部材の間の電気的接続の問題を引き起こすことを防ぐことに用いられ、モジュールの溶接性を改善し、PVリボンの延在方向での引っ張り力を高め、モジュールの溶接品質を向上させ、モジュールのコールドはんだ接続などの問題を減らし、モジュールの製品品質を高め、モジュールの製造工程での再修理などの異常を低減し、モジュールの生産力を大幅に高めている。一方、接着剤層と遮断層のうちの少なくとも一方のガラス転移温度は封止層のガラス転移温度より高く、積層処理過程において封止層は溶融状態を呈しているが、接着剤層と遮断層の一方は比較的密な固体状態を呈している。これにより、溶融状態の接着フィルムがグリッド線構造と接続部材との間に流れることを防ぐことができる。また、接着剤層と遮断層は、封止層の一部として、接続部材表面の接着フィルムの厚さが薄いことに起因して接続部材が封止層を突き破るリスクを減らすことができ、複合フィルムは水分を遮断し、グリッド線構造の性能を高めることにも用いられる。
【0026】
以下は図面を参照して本願の各実施例について詳しく述べる。本願の各実施形態では、読者が本願をよりよく理解できるようにするために、多くの技術的ディテールを提案していることを当業者は理解できる。ただし、これらの技術的なディテールと下記の各実施例による様々な変化や修正がなくても、本願の請求範囲における技術的手段を実現することができる。
【0027】
図1は本願の一実施例に係る光起電力モジュールの第1種構成を示す図であり、図2図1のc-c断面に沿う断面構成を示す図であり、図3図1のa-a断面に沿う第1種断面構成を示す図であり、図4は本願の一実施例に係る光起電力モジュールにおける複合フィルムの第1種構成を示す図であり、図5図1のa-a断面に沿う第2種断面構成を示す図であり、図6は本願の一実施例に係る光起電力モジュールにおける複合フィルムの第2種構成を示す図であり、図7図1のa-a断面に沿う第3種断面構成を示す図であり、図8は本願の一実施例に係る光起電力モジュールにおける複合フィルムの第3種構成を示す図であり、図9は本願の一実施例に係る光起電力モジュールの第2種構成を示す図であり、図10図9のc-c断面に沿う断面構成を示す図であり、図11は本願の一実施例に係る光起電力モジュールの第3種構成を示す図であり、図12は本願の一実施例に係る光起電力モジュールの第4種構成を示す図であり、図13図12のb-b断面に沿う断面構成を示す図である。
【0028】
ここで、図1図9図11および図12における光起電力モジュールの封止層およびカバープレートはいずれも図示されていないか、封止層およびカバープレートは透視状態であり、電池セルと接続部材との位置および接続関係を表示かつ説明している。図3図5図7図13における断面図は、セルの片側の各フィルム層構造のみを示しており、セルの他側の各フィルム層構造は、対応するセルの片側の各フィルム層構造と同じであってもよいし、異なってもよい。理解できるように、図3図5図7図13に示した光起電力モジュールは、積層処理が行われておらず、即ち、封止層が電池セル間の隙間を充填せず、かつ接続部材とグリッド線構造が合金化されていない構成を示す図である。上記の図面における光起電力モジュールが積層処理された後、複合フィルムの形態は変えることができる。具体的な形態は、本願の実施例では限定されていないが、複合フィルムは、依然として接続部材の表面を覆っている。
【0029】
図1図13に示すように、本願のいくつかの実施例によると、本願の実施例では、それぞれが、第1方向Xに沿って間隔をあけて配列されたグリッド線構造101を備えた複数の電池セル10と、第2方向Yに沿って間隔をあけて配列された複数の接続部材11であって、接続部材11が電池セル10の表面とグリッド線構造101の表面に位置し、接続部材11が隣接する電池セル10とそれぞれ電気的に接続された接続部材11と、接続部材11の表面を覆う複数の複合フィルム12であって、第2方向Yに沿って、複合フィルム12の両側が電池セル10の表面を覆い、複合フィルム12が接着剤層121及び遮断層122を備え、接着剤層121が遮断層122と接続部材11の間に位置する複合フィルム12と、複合フィルム12の表面を覆う封止層13であって、ここで、接着剤層121と遮断層122の少なくとも一方のガラス転移温度が封止層13のガラス転移温度より大きい封止層13と、封止層13の電池セル10から離れた側に位置するカバープレート14と、を含む光起電力モジュールが提供される。
【0030】
いくつかの実施例では、電池セル10は、PERC電池、PERT電池(Passivated Emitter and Rear Totally-diffused cell、不動態化エミッタおよび裏面全拡散型セル)、TOPCon電池(Tunnel Oxide Passivated Contact、トンネル酸化膜パッシベーションコンタクトセル)、HIT/HJT電池(Heterojunction Technology、ヘテロ接合型セル)のいずれかの1種を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例では、電池セル10は、単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池または多元化合物太陽電池であってもよく、多元化合物太陽電池は、具体的に硫化カドミウム太陽電池、ガリウム砒素太陽電池、セレン化銅インジウム太陽電池またはペロブスカイト太陽電池であってもよい。
【0031】
いくつかの実施例では、電池セル10はインターデジタルバックコンタクト(Interdigitated back contact、IBC)太陽電池である。IBC電池とは、正負金属電極が電池のバックライト面にくし形に配列された裏面接合型の太陽電池構造を指し、そのPN接合と電極は電池の裏面に位置し、すなわちIBC電池のエミッタ領域とベース領域の電極はいずれも裏面にあり、正面にグリッド線の遮蔽がなく、電池の光電変換効率を高めることができる。図面に示す断面図における電池セル10の片側の各フィルム層構造は電池セル10の他側の各フィルム層構造と異なり、電池セル10の各フィルム層構造には封止層13及びカバープレート14が含まれる。
【0032】
電池セル10は一体化電池または分割式電池である。分割式電池とは、完全な一体化電池がカット工程を経て形成された電池セルのことである。カット工程はレーザースロット+カット(Linear Spectral Clustering、LSC)工程と熱ストレス電池分離(TMC)工程を含む。いくつかの実施例では、分割式電池は半分分割電池であり、半分分割電池はハーフカット電池または2分割電池と理解できる。ハーフカット電池モジュールの役割は、抵抗損失を低減することで発電電力を高めることである。オームの法則から、太陽電池相互接続の電気損失は電流の大きさの二乗に比例することがわかる。電池を半分にカットすると、電流の大きさも半分になり、電気損失もフル寸法電池損失の1/4に低下する。電池の数が増えると、それに応じて電池ギャップの数も増え、モジュールのバックプレートの反射によって、電池ギャップは短絡電流の上昇に役立つ。また、ハーフカット電池モジュールは電池のPVリボンの幅を最適化することができ、従来はPVリボンの幅を増やして電気損失を低減することとPVリボンの幅を減らして遮光損失を低減することとのバランスを最適化する必要がある。ハーフカット電池モジュールは電池損失を低減しており、PVリボンの幅を細く設定することで、遮光損失を低減することができ、電池効率と発電消費電力の向上に役立つ。いくつかの実施例では、分割式電池は、3分割電池、4分割電池または8分割電池などであってもよい。
【0033】
いくつかの実施例では、光起電力モジュールは少なくとも2つの電池セル10を含み、異なる電池セル10間の電気絶縁を実現するために、少なくとも2つの電池セル10の間は、接続部材11によって直列または並列接続されることで電池ストリングセットを形成し、隣接する電池セル10間に電池ギャップを有する。
【0034】
いくつかの実施例では、グリッド線構造101は太陽電池セル内の光発生電流を収集して、電池セル10の外部に引き出すことに用いられる。電池セルはメイングリッドと補助グリッド線を含み、補助グリッド線とメイングリッドとの延在方向が交差し、補助グリッド線は基板の電流を収集することに用いられ、メイングリッドは補助グリッド線の電流をまとめてPVリボンに伝送することに用いられる。いくつかの実施例では、グリッド線構造101は補助グリッド線であり、補助グリッド線はサブグリッド線とも呼ばれ、電流を導くことに用いられる。電池セル10はメイングリッドレス設計であるため、キャリア輸送経路を短縮し、直列抵抗を低減し、ひいては正面受光面積を増加させ、モジュール電力を高め、短絡電流の向上に役立ち、グリッド線印刷用銀スラリーの使用量を減らして生産コストを下げることができる。
【0035】
いくつかの実施例では、グリッド線構造101は第1電極111と第2電極112とを含む。電池セル10の第1表面は第1電極111を備え、第1表面に対向する側、即ち第2表面は第2電極112を備え、第1電極111は正電極または負電極のうちの一方であり、第2電極112は正電極または負電極のうちの他方である。接続部材11はいずれかの電池セル10の第1電極111および隣接する電池セル10の第2電極112を接続する。
【0036】
いくつかの実施例では、図1および図2に示すように、電池セル10の第1表面がいずれも同じ側に向かっており、電池セル10の第2表面がいずれも同じ側に向かっており、あるいは、全ての電池セルの第1電極111がいずれも同じ側に向かっており、全ての電池セルの第2電極112がいずれも同じ側に向かっている場合、接続部材11が第1電極111と隣接する電池セル10の第2電極112を接続するように、接続部材11は自然に電池セルの第1表面から隣接する電池セルの第2表面に延びる必要がある。
【0037】
いくつかの実施例では、図9図10に示すように、電池セル10が第1表面、第2表面、第1表面および第2表面の順に配列されると、接続部材11は曲がらず、接続部材11は直接第1電極111とそれに隣接する電池セル10の第2電極112を接続する。
【0038】
いくつかの実施例では、接続部材11はPVリボンであり、PVリボンは電池セル10間の相互接続に用いられ、電流を集めて光起電力モジュールの外部素子に伝送する。PVリボンには、太陽電池ストリングとジャンクションボックスを接続するためのバスPVリボンと、電池セル10と電池セル10の間を接続するためのインターコネクションPVリボンがある。
【0039】
いくつかの実施例では、接続部材11はコア被覆構造であり、接続部材11は導電層と導電層の表面を被覆する溶接層とを含む。導電層は接続部材11の主な導電伝送層であるため、導電層の電気抵抗率が低いほど、接続部材11の電気損失が小さくなり、電池効率および発電電力が高くなる。導電層の材料は、銅、ニッケル、金、銀などの導電性の良好な導電材料または電気抵抗率の低い合金材料である。
【0040】
いくつかの実施例では、溶接層は、導電層の表面にメッキしてもよいし、導電層の表面にコーティングしてもよく、具体的には、電気メッキ法、真空蒸着法、スプレー塗布法、溶融メッキ法などの特殊な工程を用いて、溶接層のソース原料を一定の成分割合と厚さで導電層の周囲に均一に被覆することができる。溶接層の主な役割は、接続部材11に溶接可能性を満たさせ、かつ接続部材11を電池セル10のグリッド線構造101にしっかりと溶接し、良好な電流伝導の役割を果たすことである。
【0041】
いくつかの実施例では、溶接層の材料は、導電層より融点の低い金属材料または合金材料、例えば錫合金であり、錫合金は錫亜鉛合金、錫ビスマス合金または錫インジウム合金を含む。錫を溶接材料とする溶接は、錫の融点が低く、銅などの金属との親和性がよいため、溶接堅牢度がよい。錫鉛合金中の鉛はPVリボンの融点を下げることができ、錫と鉛は融点が183℃の共晶点を形成することができ、かつ良好な溶接性能と使用性能を有している。本願の開示実施例では、鉛の代わりに他の金属元素を使用したり、錫鉛合金にビスマス元素などの他の元素を添加したりしており、ビスマスを使うことで融点温度を下げ、表面張力を下げることができる。錫ビスマス合金の融点は139℃に下がり、低温溶接のニーズを満たすことができる。
【0042】
いくつかの実施例では、溶接層内にフラックスを有する。フラックスとは、溶接工程において溶接過程を助けたり、促したりするとともに、保護作用を備え、酸化反応を阻止する化学物質を指す。フラックスには、無機フラックス、有機フラックスおよび樹脂フラックスが含まれる。理解できるように、フラックスの融点は溶接層の融点より低く、溶融状態の溶接層の流動性を高め、溶接層とグリッド線構造101に良好な合金化を形成させる。
【0043】
いくつかの実施例では、第2方向Yに沿う断面において、接続部材11の断面の形状は円形で、円形PVリボンには配向問題と位置合わせ問題がなく、円形PVリボンは量産しやすい。いくつかの実施例では、接続部材11の断面形状は三角形または他の任意の形状であってもよく、PVリボンとグリッド線構造との接触面積を増やし、接続部材11とグリッド線構造101の位置合わせずれの問題を減らすことができる。
【0044】
いくつかの実施例では、接続部材11の電池セル10から離れた表面に光反射層があり、光反射層は溶接層の導電層と電池セル10から離れた外側面に位置する。光反射層は、接続部材11の電池セル10に対する遮蔽面積による電気的損失を改善することに用いられる。いくつかの実施例では、溶接層の外表面に光反射溝があり、光反射溝は溶接層から導電層方向に向かって凹んだ凹溝またはスロットであり、太陽光が光反射溝の側壁を経て電池セル10に反射され、太陽光の利用率を高めることができる。
【0045】
いくつかの実施例では、複合フィルム12とは、2種類以上の材料から一定の割合および一定の形態で構成されるフィルム層を指す。図1および図3に示すように、隣接する複合フィルム12間は接触しておらず、複合フィルム12は接続部材11の表面を覆い、かつ、複合フィルム12は接続部材11の第1方向Xに垂直な方向に沿った両側の電池セル10の表面にも位置している。これにより、複合フィルム12は接続部材11とグリッド線構造101の間の接触界面を完全に被覆することで、積層中に溶融状態の封止層がグリッド線構造101と接続部材11の接触界面に浸透し、接続部材11とグリッド線構造101の接触性能に影響し、ひいては光起電力モジュールの歩留まりに影響を与えることを防ぐことに用いられる。また、隣接する複合フィルム12同士は接触しておらず、非透明状態の複合フィルム12の電池セル10に対する遮蔽面積を減らして光学損失を下げることができる一方、複合フィルム12の柔らかさと浸透性能が封止層13よりも劣る可能性がある場合、隣接する複合フィルム12同士は接触せず、光起電力モジュールの内部欠陥(隙間または空気間隔)をできるだけ減らすことができる。したがって、空気をできるだけ排出し、空気が熱を受けて、封止層13または複合フィルム12が電池セル10表面から離脱し、ひいては水蒸気が電池セル10を腐食することを避けることができる。
【0046】
また、上記の複合フィルム12は後の積層処理後の封止層13の一部としても使用でき、接続部材11表面の接着フィルムの厚さを薄くして、接続部材11が封止層13を突き破るリスクを低減することに役立ち、かつ複合フィルム12が封止層13の一部であるため、封止層13の厚さを低減することができ、封止層13の製造コストを減らすことができる。封止層13の厚さが低くなると、封止層13自体の光に対する吸収が低下し、電池セル10の受ける太陽光が増加し、電池セル10の光電変換効率の向上に役立つ。複合フィルム12は水分を遮断して、グリッド線構造101の性能を高めることにも用いられる。
【0047】
いくつかの実施例では、隣接する複合フィルム12間のピッチは、隣接する接続部材11間のピッチの5/6より小さい。これにより、接続部材11を覆う複合フィルム12の面積が大きく、電池セル10表面に大きな遮蔽面積を持たせることがなく、製造コストと電池セル10の遮蔽面積を減らすことができる。
【0048】
なお、上記の隣接する複合フィルム12間のピッチは、隣接する複合フィルム12間の対向する側の距離であり、または複合フィルム12のエッジ間の距離と見なすことができる。隣接する接続部材11のピッチとは、接続部材11のエッジ間の距離を指す。隣接する複合フィルム12間のピッチが隣接する接続部材11間のピッチの5/6より小さいことから、複合フィルム12は電池セル10表面に位置しており、接続部材11とグリッド線構造101の接触構造をより密接に保護することができる。
【0049】
いくつかの実施例では、図11に示すように、第2方向Yに沿って、隣接する複合フィルム12は連続したフィルム層であり、即ち、隣接する複合フィルム12同士が接触しており、かつ同じオリジナルフィルム層である。これにより、光起電力モジュール製造において、複合フィルム12を敷設するステップでは、複合フィルム12と接続部材11の位置合わせ問題を考慮する必要がなく、光起電力モジュール製造の難しさをある程度で低下させる。
【0050】
なお、第2方向Yに沿って、複合フィルム12の電池セル10のエッジに近い側について、電池セルのエッジに最も近い接続部材11の表面を覆うだけでよく、あるいは、複合フィルム12のエッジと対向する電池セルのエッジとの第1ピッチは、接続部材11のエッジと対向する電池セルのエッジとの第2ピッチより小さいだけでよく、複合フィルム12のエッジと対向する電池セルのエッジとの第1ピッチが接続部材11のエッジと対向する電池セルのエッジとの第2ピッチより小さい場合の具体的な数値および範囲を限定しない。
【0051】
いくつかの実施例では、複合フィルム12が一体成形構造であり、この場合、接着剤層121と遮断層122との間に積層処理前のステップにずれや界面間欠陥がないため、複合フィルム12全体の性能を高めている。
【0052】
いくつかの実施例では、第1方向Xに沿って、複合フィルム12は複数の電池セル10における接続部材11を覆っており、即ち、複合フィルム12は隣接する電池セル10間の電池ギャップにも位置しているため、複合フィルム12の接続部材11に対する完全な被覆を実現しており、溶融状態の封止層13が電池セル10のエッジからグリッド線構造101と接続部材11の間に浸透することを防ぐ。
【0053】
理解できるように、電池セルにとって、第1方向Xに沿って、複合フィルム12の長さは電池セル10の長さより大きく、かつ複合フィルム12の長さは接続部材11の長さ以下であり、これによって、溶融状態の封止層13が電池セル10のエッジからグリッド線構造101と接続部材11の間に浸透しないことを確保し、かつ複合フィルム12の製造コストも低い。
【0054】
いくつかの実施例では、接着剤層121とは、粘着性を備える材料からなるフィルム層を指し、接続部材11を電池セル10に固定し、積層処理前のステップで接続部材11がずれることと、積層処理中に溶融状態の封止層が接続部材11を押すことで接続部材11がずれることを防ぐことに用いられる。
【0055】
いくつかの実施例では、接着剤層121の材料はEVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)、アクリレート系またはPE(ポリエチレン)などを含む。接着剤層121の材料がEVAの場合、接着剤層121は、接続部材11を電池セル10に固定するための粘着性を備えることを確保すると同時に、接着剤層121は一定の耐水性と耐食性を有し、溶融状態の封止層13が接続部材11とグリッド線構造101に浸透することを防止する遮断層と水蒸気を防止する保護層として使用されることができる。EVAの製造コストが低いため、複合フィルム12の製造コストもそれに応じて低くなる。
【0056】
接着剤層121の材料がアクリレート系の場合、アクリレート系は一定の透明性を有し、電池セル10の光学損失を軽減する。アクリレート系は直接温度の低い環境下で硬化することができ、かつ硬化速度が速く、電池セル10が受ける熱応力を低減し、電池セル10破損のリスクを減らし、光起電力モジュールの歩留まりの向上に役立つ。アクリレート系は耐水性に優れており、水蒸気による接続部材11のダメージを防ぐことに用いられることができる。
【0057】
いくつかの実施例では、接着剤層121の厚さの範囲は10μm~150μmである。接着剤層121の厚さの範囲は、10μm~130μm、10μm~109μm、10μm~85μm、10μm~139μm、30μm~150μm、68μm~150μm、102μm~150μmまたは49μm~124μmであっても良い。接着剤層121の厚さは、具体的には、15μm、29μm、65μm、89μm、106μm、134μmまたは150μmであっても良い。接着剤層121の厚さが上記範囲内にある場合、接着剤層121は接続部材11を電池セル10表面に固定するのに十分な厚さを有し、かつ後のステップでずれが生じせず、また、接着剤層121が光起電力モジュールの厚さを多く占めることもなく、光起電力モジュールの厚さをある程度で減らし、光起電力モジュールの高集積度を実現することができる。
【0058】
いくつかの実施例では、接着剤層121のガラス転移温度範囲は-55~0℃であり、接着剤層121のガラス転移温度範囲は、常温で接着剤層121が高い弾性状態を呈することを確保し、このように、接着剤層121が一定の粘着度を示して、複合フィルム12が接続部材11を固定しかつ接続部材11のずれを防止することができ、また、水蒸気と溶融状態の封止層が電池セル10と複合フィルム12の接触界面から侵入することを防止することができると同時に、接着剤層121内では、粘性のある純粋な高分子材料にガラス転移温度の比較的高い改質剤を加えることで、接着剤層121のガラス転移温度が封止層13のガラス転移温度より大きくなり、封止層が溶融状態を呈した時、接着剤層121はまだ溶融せず、ガラス状態を呈し、溶融状態の封止層は接着剤層121を通って接続部材11とグリッド線構造101の間に浸透できない。接着剤層121のガラス転移温度範囲は-58~-1℃、-48~-12℃、-31~-1℃または-38~-15℃である。
【0059】
ここで、ガラス転移温度(Tg)とは、ガラス状態から高弾性状態(ゴム状態)に変化する時の温度である。温度が低い場合、材料は剛性固体状であり、ガラスと似ているように、外力によって非常に小さな変形しか生じない。この状態はガラス状態である。温度が一定範囲に上昇し続けると、材料の変形が明らかに増加し、その後の一定の温度区間で変形が相対的に安定する。この状態は高弾性状態であり、温度が上昇し続けると変形量が徐々に増大し、材料が次第に粘性のある流体になり、このとき変形が回復できない。この状態はビスカスフロー状態である。ガラス転移温度はDSC(Differential scanning calorimetry、示差走査熱量測定)機器で測定することができる。
【0060】
いくつかの実施例では、遮断層122とは、一定の隔離性能を備えるフィルム層を指し、溶融状態の封止層13が接続部材11とグリッド線構造101の間に浸透することを防止し、水蒸気を遮断することに用いられる。遮断層122の材料は、PET(ポリエチレンテレフタレート)、POE(ポリオレフィンエラストマー)、液体シリカゲルまたはPVB(ポリビニルブチラール)を含む。POEは非極性材料で、優れた水蒸気遮断能力とイオン遮断能力を有し、水蒸気透過率はEVAフィルムの1/8程度である。分子鎖構造が安定しているため、劣化過程で分解して酸性物質を生じさせることがなく、優れた劣化防止性能を有する。PVBは耐水性、耐性、耐油性に優れ、かつPVB樹脂は優れた光学的鮮明度を有し、その屈折率はガラスに近く、積層ガラスを通して見た画像に光学的歪みや二重相が現れず、光起電力モジュール表面に接触する入射光の損失を減らすことができる。PVBは広い温度範囲で変形せず、柔軟性と組み合わせた堅牢性と優れた耐衝撃性を有し、各種ガラス表面との接着効率が極めて高い。液体シリカゲルは優れた引裂き強度、反発弾性、耐黄変性、熱安定性と耐熱劣化防止性などを有するとともに、粘着度が適度で、操作が容易で、製品の透明性が高い。
【0061】
いくつかの実施例では、遮断層122の厚さ範囲は20μm~50μmである。遮断層122の厚さ範囲は、20μm~45μm、20μm~38μm、20μm~31μm、25μm~50μm、36μm~50μm、23μm~48μm、31μm~42μmまたは30μm~40μmであっても良い。遮断層122の厚さは具体的に23μm、26μm、31μm、36μm、39μm、45μmまたは50μmであっても良い。遮断層122の厚さが上記の範囲内にある場合、遮断層122は水蒸気及び溶融状態を防止するための十分な厚さの封止層を有し、かつ遮断層122も光起電力モジュールの多くの厚さを占めることなく、光起電力モジュールの厚さをある程度低減し、光起電力モジュールの高集積化を実現する。また、遮断層122の光に対する吸収も少ないため、電池セルの光電変換効率の向上に役立つ。
【0062】
いくつかの実施例では、接着剤層121の厚さと遮断層122の厚さの比は1/5~75である。接着剤層121の厚さと遮断層122の厚さの比は、1/5~50、1/5~35、1/5~10、1~75、18~75、35~75、25~51または39~73であってもよい。接着剤層121の厚さと遮断層122の厚さの比は、具体的には、1.3、10.2、19.8、28、37、52、58、67.5または75であってもよい。接着剤層121の厚さと遮断層122の厚さは上記の範囲内にあり、接着剤層121の厚さが大きいと、遮断層122の割合が小さくなり、接着剤層121の柔らかさは遮断層122の柔らかさより大きくなり、接着剤層121の割合が多いと、複合フィルム12が接続部材11に近づきやすくなり、複合フィルム12と接続部材11の隙間が小さくなる。遮断層122の厚さが大きいと、遮断効果が高く、水蒸気などが電池セル10に浸入するのを防ぐことができる。ここで、柔らかさとは、フィルム層の柔軟性またはフィルム層と接続部材との密着度を指す。
【0063】
いくつかの実施例では、同じ予め設定された温度で、接着剤層121の粘着度が遮断層122の粘着度より大きく、この場合、接着剤層121は接続部材11と電池セル10の間の接着性能を確保するために十分な粘着度を持つことができ、複合フィルム12と電池セル10で形成された空間が封止層13の侵入を防ぐためにある程度の緻密性を持つようにする。
【0064】
いくつかの実施例では、積層硬化前の接着剤層121の粘着度範囲は8000~20000mPa・sである。接着剤層121の粘着度範囲によって、接着剤層121が硬化前に一定の流動性を有し、かつ緻密性が悪いため、空気を排出することができ、この後空気が熱で接着剤層121を押し開き、溶融状態のフィルムが接続部材とグリッド線構造の間に流れることを防ぐ。積層硬化後、接着剤層121の粘着度は10000~30000mPa・sに増え、接続部材11と電池セル10の表面に十分な接続力を持たせ、接続部材11に保護を提供し、積層時の封止層13の侵入とモジュールの長期間使用中の水蒸気の侵食を防ぐ。
【0065】
いくつかの実施例では、遮断層122の材料は接着剤層121の材料と異なり、遮断層122の材料の水透過率範囲は2~4g/mである。遮断層122の水透過率範囲は2~3.3g/m、2~2.8g/m、2~2.64g/m、2.35~3.89g/m、2.8~3.96g/mまたは2.6~3.35g/mであり、遮断層122の水透過率は具体的に2.05g/m、2.45g/m、2.98g/m、3.17g/m、3.56g/mまたは4g/mであってもよい。遮断層122が上記範囲内にあれば、遮断層122のバリア性能が良いことを示す。バリア性能とは水蒸気の遮断性能であり、包装材料の液体、水蒸気などの浸透物に対する遮断作用を指す。バリア性能が良く、溶融状態の封止層は遮断層122を通過できない。浸透した封止層の小分子や水蒸気などは通過できないため、接続部材11をよく保護することができる。
【0066】
ここで、水透過率(水蒸気透過率)は水蒸気透過量と水蒸気透過係数という2つの意味を含む。水蒸気透過量は一定の間、一定の温度と湿度条件下で水蒸気が材料を透過する重量を示す。水蒸気透過率は、規定された温度、相対湿度環境において、単位時間内に単位水蒸気圧差の下で、単位厚さ、単位面積あたりの試料を透過する水蒸気量を示す。
【0067】
いくつかの実施例では、遮断層122のガラス転移温度範囲は100~200℃であり、遮断層122のガラス転移温度範囲は130~200℃、153~200℃、189~200℃または150~184℃であってもよい。遮断層122のガラス転移温度範囲は、遮断層122のガラス転移温度が封止層13のガラス転移温度より大きいことを確保することに用いられ、封止層が溶融状態を呈している時、遮断層122はまだ溶融せずにガラス状態を呈しており、溶融状態の封止層は遮断層122を透過して接続部材11とグリッド線構造101の間に浸入することができない。
【0068】
いくつかの実施例では、遮断層122内に可塑剤を添加することにより、遮断層122の隔離性能を高めることができる。本願の実施例では、遮断層122内に粘性を有する小分子を加えることで、遮断層122と電池セルとの接続効果を強め、接続部材のずれや封止層の侵入を避けることもできる。本願の実施例では、遮断層122内にガラス転移温度の高い小分子を添加することにより、遮断層122のガラス転移温度をさらに高めることもできる。
【0069】
いくつかの実施例では、図5図6に示すように、遮断層122は一部の接着剤層121を取り囲んだ場合、遮断層122は接着剤層121を取り囲む。電池セル10と複合フィルム12の接触界面には、割合の大きい遮断層122があり、溶融状態の封止層13と水蒸気の浸入を防ぐことに用いられる。
【0070】
いくつかの実施例では、図7図8に示すように、接着剤層121は一部の遮断層122を取り囲み、かつ遮断層122と電池セル10が接触しなく、この場合、接着剤層121と電池セル10の接触面が多く、複合フィルム12と電池セル10の間の接着効果が高くなり、電池セル10と接続部材11の間にずれがある確率は低くなる。また、接着剤層121の緻密性が遮断層122の緻密性より悪い場合、接着剤層121、電池セル10及び接続部材11の間にある空気は接着剤層121を介して排出され、この後の積層処理またはいかなる熱処理過程において、複合フィルム12で包んだ空間内に空気があり、複合フィルム12が押し開かれ、ひいては複合フィルム12が電池セル10から離脱することを防ぐことができる。
【0071】
なお、上記の図6における光起電力モジュール複合フィルム12の形態で形成された被覆構造では、接着剤層121の側面に位置する遮断層122の幅は、実際の状況に応じて設定されるべきであり、接着剤層121と電池セル10の間に接触界面が存在し、かつ接触界面の割合が小さすぎてはいけず、接着剤層121の効果を十分に発揮する必要がある。
【0072】
いくつかの実施例では、太陽光の利用率を向上され、電池セルの光電変換効率を高めるように、複合フィルム12の電池セル10から離れた側に光反射層または発光溝がある。
【0073】
いくつかの実施例では、図12および図13に示すように、光起電力モジュールは、電池セル10の表面に位置し、かつ隣接するグリッド線構造101の間に位置する接着剤ドット102をさらに含み、接続部材11が接着剤ドット102に位置する。
【0074】
いくつかの実施例では、接着剤ドット102を作ることに用いられる接着剤材料は透明な接着剤を優先的に選択して、できるだけ電池セル表面における光線吸収可能な面積を確保し、接着剤ドット102の設置による電池セル10の表面における光線吸収面積が低下し、ひいては太陽電池の効率に影響することを避ける。
【0075】
いくつかの実施例では、1つの接続部材11にとって、接着剤ドット102の数は2~20個である。隣接する接着剤ドット102間のピッチは5mm~100mmである。接着剤ドット102の個数またはピッチによって、接続部材11と電池セル10の固定効果が良くなり、接続部材11が積層処理前および積層処理中にずれないと同時に、接着剤ドット102の数は電池セル10の光学的損失に影響し、より多くの電気的特性を得ることができる。
【0076】
理解できるように、前記光起電力モジュールにおける電池セル10はメイングリッドレス設計の電池セルであり、即ち、電池セル表面にメイングリッドを設置しておらず、接続部材11を介して細かいグリッドと直接合金化することで電池セル表面の電流収集を実現している。ただし、本願の実施例における光起電力モジュールの複合フィルムの提案は、メイングリッドを備えた通常の電池セルに同様に適用し、メイングリッドと接続部材との接触性を高めることに用いられ、光起電力モジュールの歩留まりを向上させる。
【0077】
いくつかの実施例では、封止層13は、第1封止層と、第2封止層と、を含み、第1封止層が電池セル10の正面または裏面のうちの一方を覆い、第2封止層が電池セル10の正面または裏面のうちの他方を覆い、具体的には、第1封止層または第2封止層のうちの少なくとも一方が、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)接着フィルム、エチレンオクテン共重合体(POE)接着フィルムまたはポリビニルブチラール(PVB)接着フィルムなどの有機封止フィルムであってもよい。
【0078】
いくつかの実施例では、封止層13の融点は積層処理時の積層温度より小さい。封止層13は、フィルムがラミネータの温度で溶融状態を呈し、そして、封止層13内の開始剤によってフィルム内の小分子が互いに結合して架橋状態の大分子で構成されるフィルム層を形成する。
【0079】
いくつかの実施例では、封止層13の融点と接続部材11の融点の大きさは、実際の状況に応じて設定できる。封止層13の融点が接続部材11の融点より大きい場合、接続部材11は、封止層13が溶融状態を呈する前に合金化することができ、溶融状態のフィルムがグリッド線構造101と接続部材11へ浸入し、接続部材11を押してずらすことを効果的に避けることができる。封止層13の融点が接続部材11の融点より小さい場合、積層温度を低く設定することで、電池セルが受ける熱応力を改善し、光起電力モジュールの歩留まりを高めることができる。
【0080】
いくつかの実施例では、接着剤層121と遮断層122のうちの少なくとも一方のガラス転移温度は封止層のガラス転移温度より大きい。封止層13が溶融状態を呈している時、接着剤層と遮断層のうちの一方は依然として良好な形態を維持しており、溶融状態のフィルムがグリッド線構造101と接続部材11に浸入し、接続部材11を押してずらすことを効果的に避けることができる。
【0081】
いくつかの実施例では、封止層のガラス転移温度は-70~-10℃であり、封止層のガラス転移温度は、積層処理中に封止層が溶融状態を呈することを確保することに用いられ、光起電力モジュールの各隙間を充填し、光起電力モジュールの歩留まりを高めることができる。
【0082】
いくつかの実施例では、カバープレート14はガラスカバープレート、プラスチックカバープレートなどの光透過機能を有するカバープレートであってもよい。具体的には、カバープレート14の封止層13に向かう表面は凹凸表面であってもよく、入射光線の利用率を高めることができる。カバープレート14は第1カバープレート及び第2カバープレートを含み、第1カバープレートが第1封止層に対向し、第2カバープレートは第2封止層に対向する。
【0083】
本願の実施例における光起電力モジュールは、接続部材11と封止層13の間に複合フィルム12を設置し、複合フィルム12が接続部材11の表面を覆い、複合フィルム12が、接着剤層121と、遮断層122とを含み、接着剤層121は接続部材11と電池セル10の間の相対位置を固定し、溶融状態の封止層13が接続部材11を押して接続部材11のずれを引き起こすことを防止することに用いられることができ、遮断層122は積層処理時における溶融状態の封止層13が接続部材11と電池セル10の間に流れて、電池セル10と接続部材11の間の電気的接続の問題を引き起こすことを防止することに用いられ、かつ、モジュールの溶接性を改善し、PVリボン方向の張力を高め、モジュールの溶接品質を高め、モジュールのコールドはんだ接続などの問題を減らし、モジュールの製品品質を高め、モジュールの製造過程における返品修理などの異常を低減し、モジュールの生産力を大幅に高めている。一方、接着剤層121と遮断層122の少なくとも一方のガラス転移温度は封止層13のガラス転移温度より大きく、積層処理中、封止層131は溶融状態を呈しているが、接着剤層121と遮断層122の一方は比較的密な固体状態を呈している。これにより、溶融状態のフィルムがグリッド線構造101と接続部材11の間に流れることを防ぐことができる。また、接着剤層121と遮断層122は封止層13の一部として使われることができ、接続部材11表面の封止層13の厚さが薄くて、接続部材11が封止層13を突き破るリスクを防ぐことができる。複合フィルム12は水分を遮断し、グリッド線構造の性能を高めることに用いられることができる。
【0084】
また、本願のいくつかの実施例によって、本願の実施例の別の形態では、上記の実施例に提供された光起電力モジュールを製造することに用いられる光起電力モジュールの製造方法がさらに提供され、上記の実施例と同じデバイスまたは対応する部品について、ここでは繰り返して説明する必要がない。
【0085】
いくつかの実施例では、光起電力モジュールの製造方法は、
複数の電池セルを提供することであって、各電池セルが第1方向に沿って間隔をあけて配列されたグリッド線構造を含むS1と、
第2方向に沿って間隔をあけて配列された複数の接続部材を提供することであって、接続部材が電池セルの表面に位置し、かつ隣接する電池セルと電気的に接続されるS2と、
複数の複合フィルムを提供することであって、複合フィルムが接続部材の表面を覆い、前記第2方向に沿って、複合フィルムの両側が電池セルの表面を覆い、複合フィルムが接着剤層と遮断層とを含み、接着剤層が前記遮断層と前記接続部材との間に位置するS3と、
複合フィルムの表面を覆う封止層を提供することであって、ここで、接着剤層と遮断層の少なくとも一方のガラス転移温度が封止層のガラス転移温度より大きいS4と、
封止層の電池セルから離れた側に位置するカバープレートを提供するS5と、
積層処理を行うS6と、を含む。
【0086】
いくつかの実施例では、複合フィルムを製造する工程は、配合比によって接着剤層の原料を均一に混合し、押出装置によって押し出して第1原料を形成し、配合比によって遮断層の原料を均一に混合し、押出装置によって押し出して第2原料を形成することと、配合比によって第1原料または第2原料のいずれか一方を成形装置に流し込み、初期フィルムを形成することと、共押出し複合し、第1原料と第2原料の他方を成形装置に流し込み、スクリュー押出し複合によって複合フィルムを形成することと、を含む。
【0087】
いくつかの実施例では、初期フィルムは第2原料から構成され、初期フィルムを形成した製造工程の後に、さらに、モールドによって初期フィルムを押し出しかつスロットし、初期フィルムの中に収容溝を形成することと、共押出し複合において半流体状態の第1原料を半流体状態の初期フィルムの収容溝に置き、スクリュー押出し複合して、成形モールドで押し出し、シート状を呈して穏やかに回転する冷却ロールのロール面に流し込み、フィルムシートを冷却ロール上で冷却降温定形し、牽引、エッジカットを経てから製品を巻き取ることと、を含む。
【0088】
いくつかの実施例では、S1とS2の間に、電池セルの表面に位置し、かつ隣接するグリッド線構造の間に位置する接着剤ドットを敷設することであって、接続部材が接着剤ドットに位置することを含む。接続部材を敷設した後、接着剤ドットに対する硬化を行い、接着剤ドットの粘着度を増やし、接続部材と電池セルとの間の硬化能力を高める。例えば、硬化前の接着剤ドットの粘着度は8000mPa・sであり、硬化後の接着剤ドットの粘着度は10000mPa・sである。
【0089】
上記のように、光起電力モジュールの技術では、通常、電池セルのメイングリッドとPVリボンとを溶接するとともに、隣接する2枚の電池セルの正負極をPVリボンで接続することで電池ストリングを構成し、そして、電池ストリングに対し一定の配列を行って回路接続を行い、さらに封止材で封止して光起電力モジュールを製造する。
【0090】
背景技術からわかるように、メイングリッドとPVリボンの溶接は、通常、一定数量の赤外ランプを並べて高温領域を形成してから行われ、PVリボン表面の錫鉛合金が高温で溶融し、PVリボンと電池表面のメイングリッドの銀ペーストを融合させる。ただし、高温工程で溶接する場合、代表的な溶接温度は220℃~350℃であるため、電池セルに応力による反りが発生し、隠れクラックや破片などの問題が発生しやすい。また、PVリボン線径および降伏強度の影響によって、従来の溶接方式では電池セルと電池セルの間に大きな応力が存在し、光起電力モジュールは屋外で風、雪などの天候条件下で隠れクラックが発生しやすく、光起電力モジュールの発電量の低下と信頼性の低下を招いている。
【0091】
赤外溶接の方法を避けるために、低融点の金属をハンダとしてPVリボンを製造し、固定フィルムでPVリボンを電池セルの表面に固定することができ、光起電力モジュールの積層工程では、ラミネータの温度と圧力を利用して低融点のPVリボンとグリッド線構造を結合させる。ただし、固定フィルムがPVリボンおよびPVリボンの両側の電池セルの表面を覆い、固定フィルムと電池セルの表面との間に挟角を形成し、この挟角とPVリボンの側面が接着隙間を取り囲むように形成し、接着隙間内の気体が積層中に熱を受けて膨張して固定フィルムの離脱を招き、ひいては溶融された接着フィルムがPVリボンと電池セル表面との間に流れ込みやすくなり、PVリボンとグリッド線構造の絶縁を引き起こすため、接着隙間間の空気を排出する必要がある。例えば、固定フィルムに対応する接着隙間に複数の排気孔を設け、接着隙間内の空気を排気孔から固定フィルムの電池セル表面から離れた側に排出するとともに、溶融された接着フィルムが排気孔から接着隙間に侵入して、PVリボンとグリッド線構造の絶縁を招くことを避けるために、特定構造の排気孔を採用して、溶融された接着フィルムが接着隙間に侵入する可能性を低減し、光起電力モジュールの歩留まりを高めることができる。
【0092】
本願のいくつかの実施例では、さらに、光起電力モジュールの歩留まりを高めるための光起電力モジュールが提供される。
【0093】
図14は、本願の一実施例における別の光起電力モジュールの構成を示す図であり、図15は、図14における固定フィルムの部分拡大構成を示す図であり、図16は、図14のAA1に沿う第1種断面構成を示す図であり、図17は、図14のAA1に沿う第2種断面構成を示す図であり、図18は、図14のAA1に沿う第3種断面構成を示す図であり、図19は、図14のAA1に沿う第4種断面構成を示す図である。以下、図面を参照して本実施例における光起電力モジュールについて詳しく説明する。
【0094】
図14図17に示すように、光起電力モジュールは、第1方向Xに沿って配列される複数の電池セル10と、第1方向Xに沿って延在する複数の接続部材11であって、接続部材11が電池セル10の表面に位置し、隣接する電池セル10が接続部材11を介して電気的に接続される接続部材11と、複数の固定フィルム12であって、各固定フィルム12が、1つの接続部材11の表面を覆い、かつ第1方向Xに垂直な接続部材11の両側の電池セル10の表面を覆い、ここで、図16に示すように、接続部材11の少なくとも片側に位置する固定フィルム12と電池セル10の表面との間には挟角αがあり、挟角αが接続部材11の側面とともに接着隙間103を取り囲むように形成し、固定フィルム12の接着隙間103に対応する箇所には、複数の排気孔104を有し、かつ、排気孔104の電池セル10の表面における正投影と接続部材11の電池セル10の表面における正投影が重なっていない固定フィルム12と、固定フィルム12の表面を覆い、かつ固定フィルム12から露出した電池セル10の表面を覆う封止層105と、封止層105の電池セル10から離れた表面を覆うカバープレート106と、を含む。
【0095】
本願の実施例における光起電力モジュールでは、複数の電池セル10が接続部材11を介して電気的に接続され、いずれかの電池セル10においても、各接続部材11が1つの固定フィルム12に対応し、固定フィルム12が接続部材11の表面および第1方向Xに垂直な接続部材11の両側の電池セル10の表面の一部を覆い、これによって、接続部材11を電池セル10の表面に固定させる。また、固定フィルム12は接続部材11と封止層105の間の隔離層とすることができ、封止過程において、固定フィルム12は溶融した封止層105が接続部材11と電池セル10の表面の間に流れ込むことを避けることができ、溶融した封止層105による接続部材11と電池セル10上のグリッド線構造の絶縁を避けることができる。ここで、接続部材11の少なくとも片側に位置する固定フィルム12と電池セル10の表面との間には挟角αがあり、当該角度αが接続部材11の側面とともに接着隙間103を取り囲むように形成し、固定フィルム12の接着隙間103に対応する箇所に排気孔104を有し、これによって、この後の積層過程において、接着隙間103内の空気が排気孔104を介して固定フィルム12の電池セル10の表面から離れた側に排出され、ひいては接着隙間103内の空気が熱を受けて膨張して固定フィルム12の離脱を招くことを避け、固定フィルム12の安定性を向上させ、光起電力モジュールの歩留まりを高めることができる。
【0096】
また、図15に示すように、排気孔104の固定フィルム12の接着隙間103に対応する位置は、グリッド線構造101を回避して設けられることができ、ひいては少量の溶融した封止層105が排気孔104を介して接着隙間103内に侵入して接続部材11とグリッド線構造101の絶縁を招くことを避けることができる。図15において、隣接するグリッド線構造101間に3つの排気孔104が設けられ、かつ接続部材11の両側の排気孔104の数が等しい場合を例に説明しているが、隣接するグリッド線構造101間の排気孔104の数量を限定するものではない。他の実施例では、隣接するグリッド線構造間の排気孔の数は、1つ、4つ、8つまたは10であってもよい。他の実施例では、接続部材の両側の排気孔の数が異なってもよい。なお、図15において、接続部材11両側の排気孔104が接続部材11に沿って対称的に設けられているが、排気孔104の接続部材11の両側における配列方式を限定するものではない。他の実施例では、接続部材の両側の排気孔は、第1方向垂直な方向に沿ってずれて設けられてもよい。
【0097】
なお、図16は、光起電力モジュールが積層処理されていない状態であり、図17は、光起電力モジュールが積層処理された状態である。図16図17に示すように、光起電力モジュールが積層処理されている時、接着隙間103中の空気は封止層105の押圧によって排気孔104から固定フィルム12の電池セル10の表面から離れた側に排出することができる。積層処理後、接着隙間103内の空気は完全に排出され、接着隙間103が消えてしまい、固定フィルム12が接続部材11の側面および電池セル10の表面に密着し、さらに接続部材11と電池セル10の表面の境界にも密着している。
【0098】
電池セル10の場合、電池セル10はPERC電池、PERT電池(Passivated Emitter and Rear Totally-diffused cell、不動態化エミッタおよび裏面全拡散型セル)、TOPCon電池(Tunnel Oxide Passivated Contact、トンネル酸化膜パッシベーションコンタクトセル)、HIT/HJT電池(Heterojunction Technology、ヘテロ接合型セル)のいずれか1種であってもよい。いくつかの実施例では、電池セル10は、単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池または多元化合物太陽電池であってもよく、多元化合物太陽電池は、具体的には硫化カドミウム太陽電池、ガリウム砒素太陽電池、セレン化銅インジウム太陽電池またはペロブスカイト太陽電池であってもよい。
【0099】
なお、説明の便宜上、図14では、2つの隣接する電池セル10が接続部材11を介して接続されているのみを示しているが、電池セル10の配列数量を限定するものではない。他の実施例では、電池セルの数は、4個、6個、8個または15個などであってもよい。また、図14において、電池セルの正面に第1電極があり、電池セルの裏面に第2電極があり、第1電極が正極または負極のいずれか一方であり、第2電極が正極または負極の他方である場合を例に説明しており、隣接する電池セルはいずれも正面が上向きになり、いずれかの電池セルの第1電極と隣接する電池セルの第2電極とが接続部材を介して電気的に接続されているが、隣接する電池セルの配列方式を限定するものではない。いくつかの実施例では、複数の電池セルは、第1方向に沿って正面と裏面が交互に上向きに配列してもよく、接続部材はいずれも電池セルの同じ側の表面に位置してもよい。
【0100】
いくつかの実施例では、電池セル10は、インターデジタルバックコンタクト(Interdigitated back contact、IBC)電池であってもよく、IBC電池とは、正負金属電極が電池のバックライト面にくし形に配列された裏面接合バックコンタクト型の太陽電池構造を指し、そのPN接合と電極は電池の裏面に位置し、すなわちIBC電池のエミッタ領域とベース領域の電極はいずれも裏面にあり、正面にグリッド線遮蔽がなく、電池の光電変換効率を高めることができる。つまり、電池セル10の裏面には、第1電極と第2電極があり、第1電極が正極または負極のいずれか一方であり、第2電極は正極または負極の他方であり、隣接する電池セルのいずれかの電池セル上の第1電極と隣接する電池セル上の第2電極とが接続部材を介して電気的に接続されている。
【0101】
いくつかの実施例では、電池ストリング群を形成するように、隣接する2つの電池セル10間は、接続部材11を介して直列または並列の方式で電気的に接続されてもよく、隣接する電池セル10間に電池隙間を備え、異なる電池セル10間の電気的絶縁を実現することができる。
【0102】
いくつかの実施例では、電池セル10の表面は、グリッド線構造を備えてもよく、グリッド線構造が太陽電池セル内の光発生電流を集めて電池セルの外部に引き出すことに用いられる。グリッド線構造は、メイングリッドと補助グリッド線を含んでもよく、補助グリッド線とメイングリッドの延在方向が互いに交差し、補助グリッド線が基板の電流を集めることに用いられ、メイングリッドが補助グリッド線の電流をまとめて接続部材に輸送することに用いられる。
【0103】
なお、図14図17に示すように、電池セル10の表面は補助グリッド線101のみを含み、即ち電池セル10がメイングリッドレス設計であり、接続部材11が固定フィルム12を介して電池セル10の表面に固定された後、積層工程によって接続部材11と補助グリッド線101とを直接合金化させると、隣接する電池セル10上の補助グリッド線101が接続部材11を介して直接電気的に接続され、メイングリッドの敷設を低減し、電池セル10の製造コストを下げることに役立つ。また、メイングリッドレス設計は、キャリア輸送経路を短縮させ、直列抵抗を低減し、ひいては正面の受光面積を増やし、モジュールの電力を高めることができる。
【0104】
なお、図14図15に示すように、補助グリッド線101が第2方向Yに沿って延び、かつ第1方向Xと第2方向Yが垂直である場合を例に説明しているが、第1方向Xと第2方向Yとの挟角を限定するものではない。他の実施例では、第1方向と第2方向との挟角は、30°、45°または60°であってもよい。
【0105】
いくつかの実施例では、電池セルの表面は、メイングリッドと補助グリッド線と、を含み、接続部材がメイングリッドの電池セルの表面から離れた側に位置し、メイングリッドと電気的に接触され、これによって、接続部材を介して隣接する電池セルのメイングリッドを電気的に接続する。本実施例では、電池セル表面のグリッド線構造の設置方式を限定しない。
【0106】
接続部材11の場合、接続部材11は、PVリボンを含み、PVリボンは、電池セル10間を相互接続し、電流を集めて光起電力モジュールの外部素子に輸送することに用いられる。いくつかの実施例では、PVリボンは、光起電力電池ストリングとジャンクションボックスとを接続するためのバスPVリボンと、隣接する電池セルを接続するためのインターコネクションPVリボンと、を含んでもよい。
【0107】
いくつかの実施例では、接続部材11は、導電層及び導電層の表面を被覆する溶接層から構成されてもよく、導電層の材料は銅、ニッケル、金、銀などの導電性の良好な導電材料または電気抵抗率の低い合金材料を含み、溶接層の材料は、錫亜鉛合金、錫ビスマス合金または錫インジウム合金などの融点の低い材料を含む。導電層の電気抵抗率が1×10-7Ω・mより小さく、あるいは導電率が1×107S/m以上である場合、導電層の電気損失を低減することができ、電池効率および発電電力の向上に役立つ。溶接層の材料は融点の低い材料から構成され、接続部材の低温溶接のニーズを満たすことに役立つ。
【0108】
いくつかの実施例では、溶接層内にフラックスがあってもよい。フラックスとは、溶接工程において溶接過程を助けたり、促したりするとともに、保護作用を備え、酸化反応を阻止する化学物質を指す。フラックスの融点は溶接層の融点より低いため、フラックスは溶融状態の溶接層の流動性を高めることに役立ち、接続部材とグリッド線構造をより良好に合金化させることができる。いくつかの実施例では、フラックスには無機フラックス、有機フラックス及び樹脂フラックスが含まれる。
【0109】
なお、図16に示すように、第1方向Xに垂直な平面において、接続部材11の断面形状が円形である場合を例に説明しているが、接続部材11の断面形状を限定していない。他の実施例では、第1方向Xに垂直な平面において、接続部材11の断面形状は、矩形、楕円形または多角形であってもよい。
【0110】
固定フィルム12の場合、固定フィルム12は接続部材11を電池セル10の表面に固定することに用いられ、電池セル10の表面と、固定フィルム12と接続部材11の側面との間には接着隙間103が形成され、固定フィルム12は接着隙間103に複数の排気孔104を有し、いくつかの実施例では、固定フィルム12の接着隙間103に向かう方向において、排気孔104の寸法が次第に小さくなる。この後の積層過程において、接着隙間103にある空気が熱を受けて膨張して固定フィルム12の離脱を招き、ひいては溶融された封止層105が接続部材11と電池セル10との表面の間に流れやすくなり、接続部材11とグリッド線構造の絶縁を引き起こす。これにより、固定フィルム12の接着隙間103に対応する箇所に複数の排気孔104を設けることで、この後の積層過程において、封止層105の押圧によって接着隙間103内の空気を排気孔104から固定フィルム12の電池セル10面から離れた側に排出することができる。また、固定フィルム12の接着隙間103に向かう方向において、排気孔104の寸法が次第に小さくなっているため、封止層105が積層過程で溶融されて一定の流動性を持ったとしても、封止層105は排気孔104を介して接着隙間103内に入ることができず、ひいては封止層105が排気孔104を通って接着隙間103に侵入することを避け、接続部材11とグリッド線構造との間の絶縁短絡を避けることができる。
【0111】
いくつかの実施例では、図16に示すように、固定フィルム12の接着隙間13に向かう方向において、排気孔104の形状は漏斗状を呈している。漏斗状の排気孔104を形成することにより、空気が接着隙間103から固定フィルム12の接着隙間103から離れた側に排出することに役立つと同時に、溶融後の封止層105が排気孔104を通って接着隙間103内に入ることを避けることができる。
【0112】
図18は光起電力モジュールの積層処理前の状態であり、いくつかの実施例では、図18に示すように、固定フィルム12の接着隙間103に向かう方向において、固定フィルム12はテーパ状に突出した突出部108を備え、突出部108の接着隙間103に近い端部に開孔があり、突出部108が排気孔104とされる。固定フィルム12にテーパ状の突出部108を形成させることによって、溶融した封止層105を固定フィルム12の接着隙間103に向かう方向に沿って押圧し、固定フィルム12の電池セル10から離れた側の表面と固定フィルム12の電池セル10に近い側の表面との間に圧力差を形成し、接着隙間103内の空気を排気孔104から固定フィルム12の接着隙間103から離れた側に排出することに役立つ。
【0113】
いくつかの実施例では、固定フィルム12は単層構造または多層構造であってもよく、例えば、いくつかの実施例では、固定フィルム12は2層構造であってもよく、具体的には、図19に示すように、図19は光起電力モジュールの積層処理前の状態であり、固定フィルム12は、接続部材11の表面を覆い、かつ第1方向Xに垂直な接続部材11の両側の電池セル10の表面を覆う第1固定フィルム121と、第1固定フィルム121の表面を覆う第2固定フィルム122と、を含んでも良い。
【0114】
第1固定フィルム121の場合、第1固定フィルム121の材料はエチレン酢酸ビニル共重合体(Ethylene Vinyl Acetate Copolymer、EVA)、アクリレート、ポリエチレン(Polyethylene、PE)など一定の粘性のある材質を含み、接続部材の固定効果を高め、積層成形中における接続部材の位置ずれを避けることができる。
【0115】
第2固定フィルム122の場合、第2固定フィルム122の材料はポリエチレンテレフタレート(Polyethylene glycol terephthalate、PET)などの材料であってもよい。封止層を構成する材料は一定の流動性を持っているため、積層成形過程において、封止層は接続部材と電池セル表面との間に侵入して、接続部材とグリッド線構造との絶縁短絡を招くおそれがあり、第2固定フィルムは接続部材と封止層との間の隔離保護層とすることができる。
【0116】
いくつかの実施例では、図19に示すように、第1固定フィルム121の接着隙間103に対応する箇所に第1開口212があり、第2固定フィルム122の接着隙間103に対応する箇所に第2開口222があり、第1開口212と第2開口222がともに排気孔104を構成し、ここで、第1開口212の寸法が第2開口222より小さい。積層処理過程において、接着隙間103内の気体は第1開口212の寸法に対する要求が低いため、第1開口212が小さくても、気体が第1開口212から固定フィルム12の電池セル10から離れた側に排出することができる。一方、溶融した封止層105の粘着度が大きく、溶融した封止層105の第1開口212に対する侵入難度が第2開口222より大きい場合、溶融した封止層105が固定フィルム12の接着隙間103に向かう方向に沿って接着隙間103に圧力を掛けることができるが、第1開口212を通って接着隙間103内に侵入できない。これにより、溶融した封止層105は固定フィルム12の接着隙間103に対応する箇所で圧力差を形成し、接着隙間103内の空気は排気孔104を通って排出できるが、封止層105は接着隙間103内に入ることができず、接着隙間103内の気体が完全に排出されるようになり、固定フィルム12は接続部材11の表面および電池セル10の表面に貼り付けることができ、電池セル10と接続部材11の境界にも貼り付けることができる。
【0117】
いくつかの実施例では、固定フィルム12の前記接着隙間103に向かう方向において、第1開口212の形状と第2開口222の形状はいずれも漏斗状を呈する。第1開口212の寸法が第2開口222より小さいため、積層中に溶融した封止層105は固定フィルム12の接着隙間103に対応する箇所に圧力差を形成することができ、第1開口212と第2開口222の形状がいずれも漏斗状を呈しているため、圧力差を均一に遷移させることができ、第1開口212と第2開口222の寸法差が大きすぎて、溶融した封止層105の押圧によって第2開口222が押し開かれ、溶融した封止層105が接着隙間103の内部に侵入することを避け、ひいては溶融した封止層105が接続部材11と電池セル10の表面の間に流れ込んで接続部材11とグリッド線構造の絶縁を招くことを避けることができる。
【0118】
いくつかの実施例では、固定フィルムは3層構造、5層構造または10層構造であってもよく、積み重なった複数層のサブ固定フィルムが固定フィルムを構成し、各層のサブ固定フィルムが接着隙間に開口を備え、複数のサブ固定フィルムの開口が共に排気孔を形成し、かつ固定フィルムの接着隙間に向かう方向において、複数層のサブ固定フィルムにおける開口の寸法が次第に小さくなり、排気孔の寸法が固定フィルムの接着隙間に向かう方向に沿って次第に小さくなるようにする。これにより、積層処理中、固定フィルムの接着隙間に向かう方向に沿って、封止層は排気孔で次第に変化する圧力差を形成することができ、接着隙間内の空気が排気孔を通って固定フィルムの接着隙間から離れた側に排出されることに役立つと同時に、封止層が排気孔を通って接着隙間内に侵入することを避けることができる。
【0119】
いくつかの実施例では、固定フィルム12の電池セル10から離れた側の表面において、排気孔104の面積を第1面積とし、固定フィルム12の電池セル10に近い側の表面において、排気孔104の面積を第2面積とし、第1面積と第2面積との比の範囲は2~20である。理解できるように、第1面積と第2面積との比が大きいほど、固定フィルム12の接着隙間103に向かう方向に沿って排気孔104の寸法変化が大きい。これにより、積層処理中、溶融した封止層105の排気孔104に与える圧力差が大きくなり、ひいては排気孔104の電池セル10に近い側が溶融した封止層105によって押し開かれ、溶融した封止層105が接着隙間103内に侵入することを招きやすい。第1面積と第2面積との比が小さいほど、固定フィルム12の接着隙間103に向かう方向に沿って排気孔104の寸法変化が小さくなる。これにより、積層処理中、溶融した封止層105の排気孔104に与える圧力差が小さいほど、排気孔104の電池セル10から離れた側が溶融した封止層105によって塞がれやすくなり、ひいては接着隙間103内の空気が固定フィルム12の接着隙間103から離れた側に排出されるのに不利となる。したがって、接着隙間103内の空気が固定フィルム12の接着隙間103から離れた側に排出されるとともに、排気孔104が溶融した封止層105による圧力差によって変形することを避けるように、第1面積と第2面積の比は、接着隙間103の実際寸法に応じて適切に調整する必要がある。
【0120】
いくつかの実施例では、第2面積の範囲は3μm~700μmであり、具体的には、第2面積は3μm、30μm、80μm、100μm、200μm、500μmまたは700μmであってもよい。理解できるように、第2面積は排気孔104の電池セル10に近い側の寸法であり、第2面積の寸法が大きいほど、相応する接着隙間103内の空気の排出速度が速くなるが、寸法が大きすぎると、溶融した封止層105が接着隙間103内に侵入することを招きやすい。第2面積の寸法が小さいほど、接着隙間103内の空気が固定フィルム12の接着隙間103から離れた側に排出されるのに不利となる。したがって、接着隙間103内の空気を排出しやすいとともに、溶融した封止層105が排気孔104を通って接着隙間103内に入ることを避けるように、第2面積の寸法は適切な範囲で調整する必要がある。
【0121】
いくつかの実施例では、第1方向に沿って、排気孔間の距離範囲は1mm~10mmであり、具体的には、排気孔間の距離は1mm、1.2mm、2.2mm、3.3mm、4.4mm、5.5mm、6.6mm、7.7mm、8.8mmまたは10mmであってもよい。理解できるように、接続部材と固定フィルムはいずれも第1方向に沿って延び、対応する接着隙間も第1方向に沿って延び、第1方向に沿って、排気孔間の距離が近いほど、接着隙間内の空気の排出速度が速くなる。ただし、距離が近すぎると、排気孔間の固定フィルムが溶融した封止層によって押されて変形し、排気孔に変形を生じさせてしまい、ひいては封止層が排気孔を通って接着隙間内に侵入することを招きやすい。これにより、接着隙間内の空気の排出速度を高めるとともに、排気孔間の距離が近すぎて固定フィルムと排気孔が変形することを避けるように、排気孔間の距離を適切な範囲内で選択する必要がある。
【0122】
いくつかの実施例では、電池セル10の表面に垂直な方向において、排気孔104から電池セル10の表面までの高さは接続部材11の高さの1/2より大きい。即ち、電池セル10の表面に垂直な方向において、排気孔104が接続部材11の上半分に位置し、積層処理中、固定フィルム12が接続部材11の側面に次第に密着するようになり、排気孔104と電池セル10の表面の挟角がますます小さくなる。これにより、溶融した封止層15が接着隙間103に侵入しにくくなり、溶融した封止層105が排気孔104を通って接着隙間103内に侵入するのを避けることに役立つ。
【0123】
封止層105の場合、いくつかの実施例では、封止層105は、第1封止層と、第2封止層と、を含み、第1封止層が電池セルの正面または裏面のいずれか一方を覆い、第2封止層が電池セルの正面または裏面の他方を覆い、具体的には、第1封止層または第2封止層の少なくともいずれか一方が、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)接着フィルム、ポリエチレン-オクテン共重合体(POE)接着フィルムまたはポリビニルブチラール(PVB)接着フィルムなどの有機封止フィルムであってもよい。
【0124】
カバープレート106の場合、いくつかの実施例では、カバープレート106はガラスカバープレート、プラスチックカバープレートなどの光透過機能を備えるカバープレートであってもよい。いくつかの実施例では、カバープレートの封止層に向かう表面は凹凸表面であってもよく、入射光線の利用率を高めることができる。いくつかの実施例では、カバープレートは、第1カバープレートと第2カバープレートと、を含み、第1カバープレートが第1封止層に対向し、第2カバープレートが第2封止層に対向する。
【0125】
本願の実施例における光起電力モジュールでは、複数の電池セル10は接続部材11を介して電気的に接続され、いかなる電池セル10においても、各接続部材11が1つの固定フィルム12に対応し、固定フィルム12は接続部材11の表面および第1方向Xに垂直な接続部材11の両側の電池セル10の表面の一部を覆い、接続部材11を電池セル10の表面に固定させる。また、固定フィルム12は接続部材11と封止層105の間の隔離層とすることができ、封止過程において、固定フィルム12は溶融した封止層105が接続部材11と電池セル10の表面の間に流れることを避けることができ、ひいては溶融した封止層105による接続部材11と電池セル10のグリッド線構造の絶縁を避けることができる。ここで、接続部材11の少なくとも片側に位置する固定フィルム12と電池セル10の表面との間には挟角αがあり、この挟角αは接続部材11の側面とともに接着隙間103を取り囲むように形成し、固定フィルム12の接着隙間103に対応する箇所に排気孔104があり、この後の積層過程において、接着隙間103内の空気が排気孔104を通って固定フィルム12の電池セル10表面から離れた側に排出されることに役立ち、ひいては接着隙間103内の空気が熱を受けて膨張して固定フィルム12を離脱させてしまうことを避け、固定フィルム12の安定性を向上させ、光起電力モジュールの歩留まりを高めることができる。
【0126】
本願のいくつかの実施例によって、本願の他の一実施例では、光起電力モジュールの製造方法が提供され、前記製造方法は前記光起電力モジュールを積層して封止された光起電力モジュールを製造することに用いられ、光起電力モジュールの歩留まりを高めることができる。なお、上記の実施例と同じ部分または相当する部分について、前記実施例の相応する説明を参照することができ、ここで繰り返して説明する必要がない。
【0127】
図20は、本願の一実施例における上記の他の光起電力モジュールの製造方法に対応するフローチャートであり、以下、図面を参照して本実施例における光起電力モジュールの製造方法について詳しく説明する。
【0128】
図20に示すように、光起電力モジュールの製造方法は、
複数の電池セルを提供し、電池セルが第1方向に沿って配列されるステップS1と、
複数の接続部材を電池セルの表面に固定し、接続部材が第1方向に沿って延在し、隣接する電池セルが接続部材を介して電気的に接続されるステップS2と、
各接続部材の表面に1つの固定フィルムを覆い、固定フィルムが第1方向に垂直な接続部材の両側の電池セルの表面をさらに覆い、ここで、接続部材の少なくとも片側に位置する固定フィルムと電池セルの表面との間には挟角があり、挟角が接続部材の側面とともに接着隙間を取り囲むように形成するステップS3と、
固定フィルムの接着隙間に対応する箇所に複数の排気孔を形成するステップS4と、
封止層とカバープレートを敷設して積層成形し、封止層が固定フィルムの表面を覆い、かつ固定フィルムから露出した電池セルの表面を覆い、カバープレートが封止層の電池セルから離れた表面を覆うステップS5と、を含む。
【0129】
本願の実施例における光起電力モジュールの製造方法は、接続部材を介して複数の電池セルを電気的に接続し、いかなる電池セルにおいても、各接続部材が1つの固定フィルムに対応し、固定フィルムが接続部材の表面及び第1方向に垂直な接続部材の両側の電池セルの表面の一部を覆い、接続部材を電池セルの表面に固定するようにする。また、固定フィルムは、接続部材と封止層との間の隔離層とすることができ、積層処理中、固定フィルムは溶融した封止層が接続部材と電池セルの表面との間に流れることを避け、ひいては溶融した封止層による接続部材と電池セル上のグリッド線の絶縁を避けるができる。さらに、接続部材の少なくとも片側に位置する固定フィルムと電池セルの表面との間に挟角があり、この挟角が接続部材の側面とともに接着隙間を取り囲むように形成し、固定フィルムの接着隙間に対応する箇所に複数の排気孔を形成することで、この後の積層成形過程において、接着隙間内に位置する空気が排気孔を通って固定フィルムの電池セルの表面から離れた側に排出されることに役立ち、ひいては接着隙間内の空気が熱を受けて膨張して固定フィルムの離脱を招くことを避け、固定フィルムの安定性を向上させ、ひいては光起電力モジュールの歩留まりを高めることができる。
【0130】
これにより、本願の実施例では下記の各項を保護する。
【0131】
1.光起電力モジュールであって、
第1方向に沿って配列される複数の電池セルと、
前記第1方向に沿って延在する複数の接続部材であって、前記接続部材が前記電池セルの表面に位置し、隣接する前記電池セルが前記接続部材を介して電気的に接続される接続部材と、
複数の固定フィルムであって、各前記固定フィルムが、1つの前記接続部材の表面を覆い、かつ前記第1方向に垂直な前記接続部材の両側の前記電池セルの表面を覆い、ここで、前記接続部材の少なくとも片側に位置する前記固定フィルムと前記電池セルの表面との間には挟角があり、前記挟角が前記接続部材の側面とともに接着隙間を取り囲むように形成し、前記固定フィルムの前記接着隙間に対応する箇所には、複数の排気孔を有し、かつ、前記排気孔の前記電池セルの表面における正投影と前記接続部材の前記電池セルの表面における正投影が重なっていない固定フィルムと、
前記固定フィルムの表面を覆い、かつ前記固定フィルムから露出した前記電池セルの表面を覆う封止層と、
前記封止層の前記電池セルから離れた表面を覆うカバープレートと、を含む。
【0132】
2.第1項に記載の光起電力モジュールによれば、前記排気孔の寸法が前記固定フィルムの前記接着隙間に向かう方向に沿って次第に小さくなる。
【0133】
3.第1項に記載の光起電力モジュールによれば、前記固定フィルムの前記接着隙間に向かう方向において、前記固定フィルムはテーパ状に突出した突出部を備え、前記突出部の前記接着隙間に近い端部に開孔があり、前記突出部が前記排気孔とされる。
【0134】
4.第1項に記載の光起電力モジュールによれば、前記固定フィルムは、前記接続部材の表面を覆い、かつ前記第1方向に垂直な前記接続部材の両側の前記電池セルの表面を覆う第1固定フィルムと、前記第1固定フィルムの表面を覆う第2固定フィルムと、を含み、前記第1固定フィルムの前記接着隙間に対応する箇所に第1開口があり、前記第2固定フィルムの前記接着隙間に対応する箇所に第2開口があり、前記第1開口と前記第2開口がともに前記排気孔を構成し、ここで、前記第1開口の寸法が前記第2開口より小さい。
【0135】
5.第4項に記載の光起電力モジュールによれば、前記固定フィルムの前記接着隙間に向かう方向において、前記第1開口の形状と前記第2開口の形状はいずれも漏斗状を呈する。
【0136】
6.第1項に記載の光起電力モジュールによれば、前記固定フィルムの前記電池セルから離れた側の表面において、前記排気孔の面積を第1面積とし、前記固定フィルムの前記電池セルに近い側の表面において、前記排気孔の面積を第2面積とし、前記第1面積と前記第2面積との比の範囲は2~20である。
【0137】
7.第6項に記載の光起電力モジュールによれば、前記第2面積の範囲は3μm~700μmである。
【0138】
8.第1項に記載の光起電力モジュールによれば、前記第1方向に沿って、前記排気孔間の距離範囲は1mm~10mmである。
【0139】
9.第1項に記載の光起電力モジュールによれば、前記電池セルの表面に垂直な方向において、前記排気孔から前記電池セルの表面までの高さは前記接続部材の高さの1/2より大きい。
【0140】
10.光起電力モジュールの製造方法であって、
複数の電池セルを提供し、前記電池セルが第1方向に沿って配列されることと、
複数の接続部材を前記電池セルの表面に固定し、前記接続部材が前記第1方向に沿って延在し、隣接する前記電池セルが前記接続部材を介して電気的に接続されることと、
各前記接続部材の表面に1つの固定フィルムを覆い、前記固定フィルムが前記第1方向に垂直な前記接続部材の両側の前記電池セルの表面をさらに覆い、ここで、前記接続部材の少なくとも片側に位置する前記固定フィルムと前記電池セルの表面との間には挟角があり、前記挟角が前記接続部材の側面とともに接着隙間を取り囲むように形成することと、
前記固定フィルムの前記接着隙間に対応する箇所に複数の排気孔を形成することと、
封止層とカバープレートを敷設して積層成形し、前記封止層が前記固定フィルムの表面を覆い、かつ前記固定フィルムから露出した前記電池セルの表面を覆い、前記カバープレートが前記封止層の前記電池セルから離れた表面を覆うことと、を含む。
【0141】
当業者が理解できるように、上記の各実施例は、本発明を実現するための具体的な実施例であるが、実際の応用において、形式及び細部で種々の変更を行うことができ、本発明の精神及び範囲から逸脱することない。当業者が本発明の範囲から逸脱しない範囲で、様々な変更および修正を行うことができ、したがって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によって定義される範囲に従うものとする。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20