(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100738
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】飛行体への荷物の搭載位置決定方法
(51)【国際特許分類】
B64C 17/02 20060101AFI20240719BHJP
B64F 1/32 20060101ALI20240719BHJP
B64U 80/20 20230101ALI20240719BHJP
B64U 10/13 20230101ALI20240719BHJP
B64C 27/08 20230101ALI20240719BHJP
B64U 101/64 20230101ALN20240719BHJP
【FI】
B64C17/02
B64F1/32
B64U80/20
B64U10/13
B64C27/08
B64U101:64
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024003163
(22)【出願日】2024-01-12
(31)【優先権主張番号】P 2023003652
(32)【優先日】2023-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】500293434
【氏名又は名称】インダストリーネットワーク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】大橋 俊夫
(57)【要約】
【課題】飛行体の飛行の安全性や制御性を高くすることが可能な飛行体への荷物の搭載位置決定方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の飛行体への荷物の搭載位置決定方法は、荷物10の重心を検出する重心検出ステップと、荷物10の表面に荷物10の重心の位置を示す重心表示を行う重心表示ステップと、荷物10の重心が飛行体100の重心を含み飛行体100の飛行が安定する所定の範囲に位置するように、重心表示を参照して荷物10の搭載位置を決定する位置決定ステップとを含む。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物の重心を検出する重心検出ステップと、
前記荷物の表面に前記荷物の重心の位置を示す重心表示を行う重心表示ステップと、
前記荷物の重心が飛行体の重心を含み前記飛行体の飛行が安定する所定の範囲に位置するように、前記重心表示を参照して前記荷物の搭載位置を決定する位置決定ステップとを含むことを特徴とする飛行体への荷物の搭載位置決定方法。
【請求項2】
前記位置決定ステップにおいては、前記飛行体の重心と前記荷物の重心とが一致するように、前記荷物の搭載位置を決定することを特徴とする請求項1に記載の飛行体への荷物の搭載位置決定方法。
【請求項3】
前記荷物は、内容物を直方体状の箱の中に固定したものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の飛行体への荷物の搭載位置決定方法。
【請求項4】
前記重心表示ステップにおいては、前記重心表示として、前記箱の面のうち、少なくともそれぞれ直交する3つの面に前記荷物の重心の位置を示す印を表示することを特徴とする請求項3に記載の飛行体への荷物の搭載位置決定方法。
【請求項5】
前記飛行体には、前記飛行体の重心の位置又は前記所定の範囲を示す搭載位置表示が存在することを特徴とする請求項1又は2に記載の飛行体への荷物の搭載位置決定方法。
【請求項6】
前記位置決定ステップにおいては、前記飛行体に搭載したときに所定の配置状態で配置される荷物収納容器の内部に、前記荷物収納容器を前記飛行体に搭載したときに前記荷物を含めた前記荷物収納容器の重心が前記所定の範囲に位置するように、前記重心表示を参照して前記荷物を固定し、その後、前記荷物収納容器を前記飛行体に搭載することを特徴とする請求項1に記載の飛行体への荷物の搭載位置決定方法。
【請求項7】
前記荷物収納容器には、前記荷物収納容器を前記飛行体に搭載したときにおける前記飛行体の重心の位置又は前記所定の範囲に対応する位置又は範囲を示す収納位置表示が存在することを特徴とする請求項6に記載の飛行体への荷物の搭載位置決定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体への荷物の搭載位置決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飛行体を用いた荷物の輸送が広く行われている。近年においては比較的小型の無人飛行体(いわゆるドローン等)の普及が著しく進んでおり、このような無人飛行体に荷物を搭載し、荷物を輸送することが検討されている(例えば、特許文献1参照。)。無人飛行体による荷物輸送の市場は急速に拡大していくとみられ、世界中の無人飛行体メーカーやベンチャー企業が開発に鎬を削る状況となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、荷物を輸送するための飛行体は、ユーザーの要求等に応じて多種多様な荷物を輸送することが求められる。このため、飛行体に荷物を無頓着に搭載すると、機体の重量バランスが崩れて飛行の安全性や制御性が損なわれてしまう場合がある。
【0005】
そこで、本発明は上記した課題に鑑みてなされたものであり、飛行体の飛行の安全性や制御性を高くすることが可能な飛行体への荷物の搭載位置決定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の飛行体への荷物の搭載位置決定方法は、荷物の重心を検出する重心検出ステップと、前記荷物の表面に前記荷物の重心の位置を示す重心表示を行う重心表示ステップと、前記荷物の重心が飛行体の重心を含み前記飛行体の飛行が安定する所定の範囲に位置するように、前記重心表示を参照して前記荷物の搭載位置を決定する位置決定ステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
飛行体には様々なタイプが存在するが、どのような飛行体であっても、重心が適切な位置に存在することが飛行の安全性や制御性の観点から重要である。飛行体の重心は、一般的には当該飛行体が安定し安全に飛行できるための最適な位置に設定されているが、飛行体が荷物を搭載した状態では、荷物の位置や重量により重心の位置が変動する。例えば、複数の回転翼(ローター又はプロペラ)を備えるマルチコプター型のドローンは、重心が最適な位置に無くても各回転翼が生み出す推力を調整することで継続的な飛行を実現可能ではあるが、重心が偏っていると特定の回転翼や当該回転翼の動力源(モーター等)に負荷が集中し、不具合や制御性低下の原因となることが考えられる。
【0008】
本発明の飛行体への荷物の搭載位置決定方法は、荷物の重心を検出する重心検出ステップと、荷物の表面に重心表示を行う重心表示ステップと、荷物の重心が所定の範囲に位置するように、重心表示を参照して前記荷物の搭載位置を決定する位置決定ステップとを含むため、荷物を搭載することによる重心の位置の偏りを低減することが可能となり、その結果、飛行体の飛行の安全性や制御性を高くすることが可能な飛行体への荷物の搭載位置決定方法となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態1に係る飛行体への荷物の搭載位置決定方法のフローチャートである。
【
図2】実施形態1における荷物10の斜視図である。
【
図3】実施形態1における飛行体100を説明するために示す図である。
【
図4】実施形態1における搭載スペース112の斜視図である。
【
図5】実施形態1における重心表示ステップS20を説明するために示す斜視図である。
【
図6】実施形態1における位置決定ステップS30を説明するために示す図である。
【
図7】実施形態2に係る飛行体への荷物の搭載位置決定方法のフローチャートである。
【
図8】実施形態2における荷物収納容器20の斜視図である。
【
図9】実施形態2における位置決定ステップS30aを説明するために示す図である。
【
図10】変形例における飛行体102を説明するために示す図である。
【
図11】変形例における飛行体104を説明するために示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の飛行体への荷物の搭載位置決定方法について、図に示す実施形態に基づいて説明する。以下に説明する各実施形態においては、全く同じ機能又は実質的に同じ機能を有する構成要素については、多少形状等が異なる場合であっても各実施形態で共通の符号を用い、既におこなった説明は省略する場合がある。なお、以下に説明する各実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、各実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0011】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る飛行体への荷物の搭載位置決定方法のフローチャートである。
図2は、実施形態1における荷物10の斜視図である。
図3は、実施形態1における飛行体100を説明するために示す図である。
図3(a)は飛行体100の斜視図であり、
図3(b)は飛行体100の正面図であり、
図3(c)は飛行体100の平面図であり、
図3(d)は飛行体100の左側面図である。
図3(b)~
図3(d)においては、胴体110の内部にある搭載スペース112の形状を破線で表示している。また、
図3(b)~
図3(d)においては、飛行体100の重心の位置を符号Cで表示している。これらは、後述する
図6(b)~
図6(d)及び
図9(a)~
図9(c)においても同様である。
図4は、実施形態1における搭載スペース112の斜視図である。
図4においては、視点に近い側の3つの内壁については透過させて表示している。また、透過させて表示している内壁に表示されている印M1(後述)及び補助線L1(後述)については、破線で表示している。これらは
図6(a)においても同様である。
【0012】
図5は、実施形態1における重心表示ステップS20を説明するために示す斜視図である。
図6は、実施形態1における位置決定ステップS30を説明するために示す図である。
図6(a)は位置決定ステップS30における搭載スペース112及び荷物10の斜視図であり、
図6(b)は荷物10を搭載した飛行体100の正面図であり、
図6(c)は荷物10を搭載した飛行体100の平面図であり、
図6(d)は荷物10を搭載した飛行体100の左側面図である。
【0013】
実施形態1に係る飛行体への荷物の搭載位置決定方法は、
図1に示すように、重心検出ステップS10と、重心表示ステップS20と、位置決定ステップS30とを含む。以下、実施形態1における荷物10及び飛行体100について説明した後、各ステップについて説明する。
【0014】
荷物10は、
図2に示すように、内容物(図示せず。)を直方体状の箱12の中に固定したものである。箱12の材料や構成は特に限定されないが、例えば、段ボールやプラスチック等の軽量で丈夫な材料からなるものを好適に用いることができる。
【0015】
飛行体100は、
図3に示すように、胴体110と、4つの固定翼120と、1つの固定翼120あたり2つ配置されている回転翼130とを備える。飛行体100は、固定翼120による水平飛行や、回転翼130による垂直離着陸が可能である。胴体110の内部には荷物10を搭載するための搭載スペース112が存在する。なお、搭載スペース112にアクセスするためのハッチ等については、一般的な事項であるため詳細な説明及び図示を省略するが、例えば、搭載スペース112の後方や上方を開閉可能な構造とすることができる。
【0016】
飛行体100には、飛行体100の重心Cの位置を示す搭載位置表示が存在する。具体的には、搭載スペース112の内壁に、飛行体100の重心Cの位置を示す印M1が表示されている(
図4参照。)。印M1は搭載スペース112を構成する6つの内壁に1つずつ存在するが、印M1が存在しない内壁があってもよい。なお、搭載スペース112の内壁には、各印M1を結ぶ補助線L1も表示されていることが好ましい。また、搭載位置表示は搭載スペース112の外側(胴体110の外面や搭載スペース112へのアクセス口付近等)に存在してもよい。
【0017】
搭載位置表示は、飛行体100の重心Cを含み飛行体100の飛行が安定する所定の範囲を示すものであってもよい。この場合の搭載位置表示は、例えば、重心Cを中心とする円状の表示や幅広の線状の表示とすることができる。本明細書における「飛行体の重心を含み飛行体の飛行が安定する所定の範囲」は、飛行体の種類、重量、大きさ、形状等により異なるが、例えば、飛行体の重心を中心とし、飛行体の全長の10%の直径を有する球状の範囲とすることができる。なお、搭載位置表示が上記所定の範囲を示す場合には、より望ましい範囲を示す表示(所定の範囲よりも狭い範囲を示す表示)や飛行体100の重心Cの位置を示す表示が所定の範囲を示す表示と同時に存在するようにしてもよい。
【0018】
重心検出ステップS10は、荷物10の重心を検出するステップである。荷物10の重心は、例えば、加速度センサを用いた三次元重心検知装置により検出することができる(例えば、国際公開第2013/061989号参照。)。また、荷物10の重心は、荷物10を第1の点で吊るして静止させ、その後第1の点とは異なる第2の点で吊るして静止させるような古典的な方法で検出することもできる。
【0019】
重心表示ステップS20は、
図5に示すように、荷物10の表面に荷物10の重心の位置を示す重心表示を行うステップである。重心表示ステップS20においては、重心表示として、箱12の面のうち、少なくともそれぞれ直交する3つの面に荷物10の重心の位置を示す印M2を表示する。重心表示ステップS20においては、箱12の全ての面(6つの面)に荷物10の重心の位置を示す印M2を表示してもよい。なお、重心表示ステップS20においては、各印M2を結ぶ補助線L2も表示することが好ましい。
【0020】
荷物10の重心の位置を示す印M2は、
図5に示すような点状のものであってもよいし、線が交差したものであってもよい。また、当該印M2は、筆記物等により記入されたものであってもよいし、印刷されたものであってもよいし、接着剤等により貼り付けられたマークであってもよいし、押しピンのようなものであってもよい。また、複数のテープ、紐、輪ゴム等を荷物10に巻き付け、その交差点を荷物10の重心の位置を示す印M2としてもよい。
【0021】
重心表示ステップS20における重心表示は、人間が実施してもよいし、装置により実施してもよい。また、重心検出ステップS10及び重心表示ステップS20は、一つの装置により自動で実施することとしてもよい。
【0022】
位置決定ステップS30は、
図6に示すように、荷物10の重心が飛行体100の重心Cを含み飛行体100の飛行が安定する所定の範囲に位置するように、重心表示を参照して荷物10の搭載位置を決定するステップである。位置決定ステップS30においては、飛行体100の重心Cと荷物10の重心とが一致するように、荷物10の搭載位置を決定することが好ましい。
【0023】
なお、実施形態1で説明する飛行体100は有人機であってもよいし、無人機であってもよいが、有人機の場合には、搭乗者(乗員や乗客)の人数、体格、着席位置等、場合により変動し、かつ、規制や規定が難しい要素が存在する。このため、有人機においては、飛行体100の重心Cと荷物10の重心とを一致させることは比較的困難であると考えられる。一方、無人機の場合には、上記した搭乗者に関する要素は排除できるため、飛行体100の重心Cと荷物10の重心との一致度を高くすることが比較的容易であると考えられる。以上から、実施形態1に係る飛行体への荷物の搭載位置決定方法(特に、飛行体100の重心Cと荷物10の重心とが一致するように荷物10の搭載位置を決定する場合)は、飛行体100が無人機である場合に特に好適に実施することができる。
【0024】
実施形態1においては、搭載スペース112の内壁に存在する飛行体100の重心Cの位置を示す印M1(搭載位置表示)と荷物10の重心の位置を示す印M2(重心表示)とを参照し、荷物10の搭載位置を決定する。なお、補助線L1,L2も荷物10の搭載位置を決定するために用いることができる。位置決定ステップS30における搭載位置の決定は、人間が実施してもよいし、装置により実施してもよい。
【0025】
荷物10の高さ方向の位置は、例えば、荷物10の下にスペーサーSを挿入することで調節することができる。スペーサーSとしては、重心への影響が少なくなるように、なるべく軽量なものを用いることが好ましい。また、荷物10の高さ方向の位置は、搭載スペース112の床面の一部又は全部が上下動可能である場合には、当該床面を上下動させることで調整することもできる。荷物10の搭載は、人間が実施してもよいし、装置により実施してもよい。位置決定後における飛行体100への荷物10の固定方法は特に限定されず、金具やベルト等を用いて実施することができる。荷物10の固定後、飛行体100を飛行させることにより荷物10を輸送することができる。
【0026】
なお、上記で説明した「位置決定後における飛行体100への荷物10の固定方法」は、「位置決定ステップS30で決定した搭載位置に荷物10を固定する固定ステップ」であるとも言える。上記の説明においては、固定のための用具として金具やベルト等を例示したが、例えば、ひもや面ファスナー等を用いることもできる。
【0027】
また、本明細書における「固定」は、荷物(必要な場合にはスペーサー等を含む)を搭載スペース等の底面に配置することに限られず、壁面や天面に配置することや、壁面や天面に接続されている荷物搭載用の器具等(フックや吊り金具等)で把持したり中吊りしたりすることも含む。さらに、荷物の固定は、搭載スペース等における余剰空間を詰め物により充填することにより実施してもよい。詰め物は、できるだけ軽量かつ扱いやすいものであることが好ましく、例えば、内部に空気を充填した樹脂製の袋、組み立て式又は中空成形の支持部材、紙や発泡樹脂からなる緩衝材を例示することができる。
【0028】
重心検出ステップS10及び重心表示ステップS20は飛行体100の外で実施し、位置決定ステップS30は飛行体100に荷物10を搭載するときに実施することができる。また、飛行体100が搭載スペース112内に荷物10の重心を検出可能な装置や荷物10に重心表示を行う装置を備えている場合には、重心検出ステップS10から位置決定ステップS30までのステップを、荷物10を飛行体100に搭載した状態で実施することができる。
【0029】
実施形態1に係る飛行体への荷物の搭載位置決定方法は、上記した重心検出ステップS10と、重心表示ステップS20と、位置決定ステップS30とを含むため、荷物10を搭載することによる重心の位置の偏りを低減することが可能となり、その結果、飛行体100の飛行の安全性や制御性を高くすることが可能な飛行体への荷物の搭載位置決定方法となる。
【0030】
[実施形態2]
図7は、実施形態2に係る飛行体への荷物の搭載位置決定方法のフローチャートである。
図8は、実施形態2における荷物収納容器20の斜視図である。
図8(a)は荷物収納容器20を外から見た場合の斜視図であり、
図8(b)は位置決定ステップS30aにおける荷物収納容器20の内部を示す斜視図である。
図8(b)においては、荷物収納容器20における視点に近い側の3つの面については透過させて表示している。また、透過させて表示している面に表示されている印M1a(後述)及び補助線L1a(後述)については、破線で表示している。
図9は、実施形態2における位置決定ステップS30aを説明するために示す図である。
図9(a)は荷物収納容器20及び荷物10を搭載した飛行体100の正面図であり、
図9(b)は荷物収納容器20及び荷物10を搭載した飛行体100の平面図であり、
図9(c)は荷物収納容器20及び荷物10を搭載した飛行体100の左側面図であり、
図9(d)は飛行体100(胴体110)の搭載スペース112内に荷物収納容器20が搭載されている様子を示す斜視図である。
図9(d)においては、胴体110の概形を楕円状の破線で表示している。また、搭載スペース112内の荷物収納容器20の外形も破線で表示している。
【0031】
実施形態2に係る飛行体への荷物の搭載位置決定方法は、基本的には実施形態1に係る飛行体への荷物の搭載位置決定方法と同様の方法であるが、位置決定ステップが実施形態1に係る飛行体への荷物の搭載位置決定方法の場合とは異なる。以下、実施形態2に係る飛行体への荷物の搭載位置決定方法について説明する。
【0032】
実施形態2に係る飛行体への荷物の搭載位置決定方法は、
図7に示すように、重心検出ステップS10と、重心表示ステップS20と、位置決定ステップS30aとを含む。重心検出ステップS10及び重心表示ステップS20は実施形態1における同名のものと同様のステップであるため、説明は省略する。また、荷物10及び飛行体100も実施形態1における同名のものと同様の物であるため、説明は省略する。
【0033】
位置決定ステップS30aは、「荷物10の重心が飛行体100の重心を含み飛行体100の飛行が安定する所定の範囲に位置するように、重心表示を参照して荷物10の搭載位置を決定する」という点では実施形態1における位置決定ステップS30と同様である。一方、位置決定ステップS30aにおいては、飛行体100に搭載したときに所定の配置状態で配置される荷物収納容器20を用いる(
図8(a)及び
図8(b)参照。)。位置決定ステップS30aにおいては、荷物収納容器20の内部に、荷物収納容器20を飛行体100に搭載したときに荷物10を含めた荷物収納容器20の重心が所定の範囲に位置するように、重心表示を参照して荷物10を固定する(
図8(b)参照。)。その後、荷物収納容器20を飛行体100に搭載する(
図9(a)~
図9(c)参照。)。
【0034】
実施形態2における荷物収納容器20は、蓋を閉じたときに飛行体100における搭載スペース112の内部形状(直方体状)とほぼ同じ外部形状となる箱状(直方体状)の容器である(
図9参照。)。このため、荷物収納容器20を飛行体100に搭載する場合には、搭載スペース112に搭載するときの方向や向きを決めておけば、荷物収納容器20は一定の配置状態で配置されることになる。このため、荷物収納容器20の外面には、飛行体100に搭載するときの方向や向きのうち少なくとも一方を示す注意書き、模様、記号等が表示されていてもよい。また、搭載方向や向きは、そのままでは人間には認識できない画像や機器等(例えば、バーコードやICチップ)を利用して表示されるものであってもよい。
【0035】
本明細書における「飛行体に搭載したときに所定の配置状態で配置される荷物収納容器」とは、荷物を内部に収納可能であり、かつ、外部形状、取付部、接続部等の関係により飛行体に搭載したときに位置及び向きの少なくとも一方が常に所定の状態となるように配置できる容器のことをいう。
【0036】
荷物収納容器20には、荷物収納容器20を飛行体100に搭載したときにおける飛行体100の重心の位置又は所定の範囲に対応する位置又は範囲を示す収納位置表示が存在する。なお、「収納位置表示」は、荷物収納容器20の存在による重心のずれが無い又は軽微である場合には、荷物収納容器20を飛行体100に搭載したときにおける飛行体100の重心の位置又は所定の範囲と一致する位置に設けることができる。また、「収納位置表示」は、荷物収納容器20の存在による重心のずれを考慮して、飛行体100の重心の位置又は所定の範囲からずらした位置に設けることもできる。
【0037】
実施形態2においては、飛行体100の重心Cの位置に対応する位置を示す印M1a(収納位置表示)と荷物10の重心の位置を示す印M2(重心表示)とを参照し、荷物収納容器20の内部における荷物10の固定位置を決定する。なお、補助線L1a,L2も荷物10の固定位置を決定するために用いることができる。位置決定ステップS30aにおける荷物の固定位置の決定は、人間が実施してもよいし、装置により実施してもよい。
【0038】
荷物10の高さ方向の位置は、例えば、荷物10の下にスペーサーSを挿入することで調節することができる。スペーサーSとしては、重心への影響が少なくなるように、なるべく軽量なものを用いることが好ましい。荷物10の固定は、人間が実施してもよいし、装置により実施してもよい。荷物10の固定方法は特に限定されず、金具、ベルト、ひも、面ファスナー等を用いて実施することができる。また、荷物10の固定は、荷物収納容器20の内部における余剰空間を詰め物により充填することにより実施してもよい。詰め物は、できるだけ軽量かつ扱いやすいものであることが好ましく、例えば、内部に空気を充填した樹脂製の袋、組み立て式又は中空成形の支持部材、紙や発泡樹脂からなる緩衝材を例示することができる。
【0039】
荷物10の固定後、荷物収納容器20を飛行体100の搭載スペース112に搭載し、必要であれば荷物収納容器20を飛行体100に固定して飛行体100を飛行させることにより、荷物10を輸送することができる。なお、実施形態2においては、荷物10を収納した荷物収納容器20を飛行体100の搭載スペース112に搭載することで荷物10の位置決定が可能であるため、飛行体100に搭載位置表示が存在していなくてもよい。
【0040】
実施形態2に係る飛行体への荷物の搭載位置決定方法は、位置決定ステップが実施形態1に係る飛行体への荷物の搭載位置決定方法の場合とは異なるが、重心検出ステップS10と、重心表示ステップS20と、位置決定ステップS30aとを含む。このため、実施形態2に係る飛行体への荷物の搭載位置決定方法は、実施形態1に係る飛行体への荷物の搭載位置決定方法と同様に、荷物10を搭載することによる重心の位置の偏りを低減することが可能となり、その結果、飛行体100の飛行の安全性や制御性を高くすることが可能な飛行体への荷物の搭載位置決定方法となる。
【0041】
また、実施形態2に係る飛行体への荷物の搭載位置決定方法は、位置決定ステップS30aにおいては、飛行体100に搭載したときに所定の配置状態で配置される荷物収納容器20の内部に、荷物収納容器20を飛行体100に搭載したときに荷物10を含めた荷物収納容器20の重心が所定の範囲に位置するように、重心表示を参照して荷物10を固定し、その後、荷物収納容器20を飛行体100に搭載する。このため、実施形態2に係る飛行体への荷物の搭載位置決定方法によれば、実質的に荷物10の搭載位置決定を飛行体100の外で実施することが可能となり、方法実施の自由度を高くすることが可能となる。
【0042】
また、実施形態2に係る飛行体への荷物の搭載位置決定方法においては、荷物収納容器20には、荷物収納容器20を飛行体100に搭載したときにおける飛行体100の重心Cの位置又は所定の範囲に対応する位置又は範囲を示す収納位置表示が存在する。このため、実施形態2に係る飛行体への荷物の搭載位置決定方法によれば、荷物10における重心表示と収納位置表示とを参照することにより、荷物10の固定位置を容易に決定することが可能となる。
【0043】
以上、本発明を上記の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0044】
(1)上記各実施形態において記載した諸要素の位置、大きさ等は例示であり、本発明の効果を損なわない範囲において変更することが可能である。
(2)上記各実施形態における飛行体100は例示である。本発明の方法は飛行体の種類(有人機であるか無人機であるか、回転翼機か固定翼機か等)を問わず適用することができる。
図10は、変形例における飛行体102を説明するために示す図である。
図10(a)は荷物10を搭載した(位置決定ステップ後の)飛行体102の平面図であり、
図10(b)は荷物10を搭載した飛行体102の左側面図である。
図11は、変形例における飛行体104を説明するために示す図である。
図11(a)は荷物10を搭載した(位置決定ステップ後の)飛行体104の平面図であり、
図11(b)は荷物10を搭載した飛行体104の左側面図である。例えば、
図10に示すように、マルチコプター型のドローンである飛行体102に本発明を適用することも可能である。また、
図11に示すように、主翼及び尾翼を備える固定翼機である飛行体104に本発明を適用することも可能である。
(3)飛行体における搭載位置表示は、荷物に飛行体の重心の位置又は所定の範囲を示す光を照射するLEDやレーザーマーカーであってもよい。
(4)上記各実施形態における荷物10の形状は例示であり、本発明の方法は荷物の形状を問わず適用することができる。
(5)上記実施形態2における荷物収納容器20は、蓋を閉じたときに飛行体100における搭載スペース112の内部形状とほぼ同じ外部形状となる箱状の容器であったが、本発明はこれに限定されるものではない。荷物収納容器は、箱状(直方体状)でなくてもよい。また、飛行体の搭載スペース等に荷物収納容器の位置や向きを規定する構造(例えば、ピン、ブロック、隔壁等)が存在する場合には、荷物収納容器は、当該構造に対応した外部形状を有していればよい。また、取付部や接続部のような構造により荷物収納容器を所定の状態で飛行体に固定する場合には、荷物収納容器の外部形状は特に限定されない。上記の例としては、飛行体の規定の位置に設けられた第1の接続部と、荷物収納容器の規定の位置に設けられ、かつ、定められた方向から第1の接続部に接続することで第1の接続部に固定される第2の接続部とを用いて荷物収納容器を飛行体に固定する場合が挙げられる。
(6)上記実施形態2のように、荷物収納容器を用いて機外で荷物の搭載位置を決定する場合には、荷物を荷物収納容器の内部に入れ、重心測定と荷物の移動とを繰り返すことで(又は、荷物を移動させながら重心測定を行うことで)荷物の適切な固定位置を決定することもできる。重心測定は、例えば、加速度センサを用いた三次元重心検知装置を用いて実施することができる。なお、この場合には、重心検出ステップ及び重心表示ステップは必須ではない。
【符号の説明】
【0045】
10…荷物、12…箱、20…荷物収納容器、100…飛行体、110…胴体、112…搭載スペース、120…固定翼、130…回転翼、C…飛行体の重心、L1,L1a,L2…補助線、M1…飛行体の重心の位置を示す印(搭載位置表示)、M1a…飛行体の重心の位置に対応する位置を示す印(収納位置表示)、M2…荷物の重心の位置を示す印、S…スペーサー