(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100742
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】電圧不在テスタシステムに対する接続性検証
(51)【国際特許分類】
G01R 31/54 20200101AFI20240719BHJP
G01R 19/155 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
G01R31/54
G01R19/155
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024003264
(22)【出願日】2024-01-12
(31)【優先権主張番号】18/097,411
(32)【優先日】2023-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507202736
【氏名又は名称】パンドウィット・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ワリード・バリード
(72)【発明者】
【氏名】マスド・ボロウリ-サランサル
【テーマコード(参考)】
2G014
2G035
【Fターム(参考)】
2G014AA13
2G014AB26
2G014AB33
2G014AC18
2G035AC13
(57)【要約】
【課題】電圧不在テスタシステムに対する接続性検証
【解決手段】永続的に設置された電圧不在テスタ(AVT)は、電気機器内の主電力線へのシステムケーブルリードの接続性を検証するための接続性検証システムを含み得る。設置されたAVTは、機器への直接アクセスを最初に必要とすることなく、電気機器が電気的に安全な状態にあるか否かを示し得る。AVTテスト手順における1つのステップは、接続性検証システムによる接続性検証を含み得て、これは、設置されたAVTが、モニタリングしている機器に直接接続されるように、意図した通りに直接結合されていることを確認するサブ手順を含み得る。接続性検証システムは、AVTが電気機器の電力線上の実際の電圧を測定していること、及び未知の切断エラーまたは取り付け失敗に起因する無電圧条件を登録していないことを検証し得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器内の電力線への電圧不在テスタの接続性を検証するための方法であって、
デジタル信号生成器/変調器を使用してデジタル信号を所定の周波数範囲において生成及び変調することと、
前記デジタルシングルエンド信号を差動RF信号に変換することと、
狭帯域バンドパスLC共振フィルタを介して前記RF差動信号を高電圧電力線と結合することと、
前記差動RF信号をワイヤリード対にわたって送信することであって、前記ワイヤリード対における各ワイヤは、同じ位相を有する電力線に接続されている、前記送信することと、
RF検出器/復調器を使用して前記RF信号の振幅及び/または前記位相の変化を検出することと、
前記RF経路の特性インピーダンスに対する前記変化を分析することによって、前記ワイヤリード対における各ワイヤが同じ電力線に接続されているか否かを判定することと、
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記回路の前記RF経路の特性インピーダンスの前記変化を、前記RF検出器信号の出力の振幅及び/または位相の変化によって決定する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記出力の振幅及び/または位相に基づいて、前記ワイヤリード対における各ワイヤが前記同じ電力線に接続されているか否かを判定することは、
前記RF検出器の出力を、システム温度を変数とする直線回帰関数に基づいて計算される動的決定閾値と比較することと、
前記出力が前記接続性の判定ラインを上回るときに、前記ワイヤリード対における各ワイヤが前記同じ電力線に接続されていることを検証することと、を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記出力の振幅及び/または位相に基づいて、前記ワイヤリード対における各ワイヤが前記同じ電力線に接続されているか否かを判定することは、
前記RF検出器の出力を判定ライン/閾値と比較することと、
前記出力が前記接続性の判定ラインを上回るときに、前記ワイヤリード対における各ワイヤが前記同じ電力線に接続されていることを検証することと、を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記RF信号を前記回路にわたって送信する前に、アナログマルチプレクサ/デマルチプレクサを使用して前記RF信号生成器を前記回路に接続することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記RF信号を前記回路にわたって送信する前に、前記シングルエンド信号を差動平衡信号に変換することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記RF信号を前記電力線にわたって接続する前に、ディスクリートな狭帯域の共振バンドパスフィルタを介して、低電圧のRF信号を前記高電圧電力線から分離することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記RF信号生成器を前記回路に接続する前に、前記RF信号生成器をオフにした状態で前記RF検出器の前記出力を分析することによって前記テスタをテストすることをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記RF信号生成器を前記回路に接続する前に、前記RF信号生成器をオンにした状態で前記RF検出器の前記出力を分析することによって前記テスタをテストすることをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
接続性検証システムであって、
RF信号を生成するように構成された無線周波数(RF)信号生成器と、
前記RF信号生成器と通信するRF検出器と、
前記RF信号を差動RF信号に変換するように構成された他の回路を介して前記RF信号生成器に、及びRF検出器に結合された、特性インピーダンスを有する回路であって、前記回路はワイヤリード対を含み、前記ワイヤリード対における各ワイヤは電力線の同じ位相ワイヤに接続されている、前記回路と、を含み、
前記電力線の前記同じ位相ワイヤへの前記ワイヤリード対の接続性が、前記特性インピーダンス変化を分析することによって検証される、
前記接続性検証システム。
【請求項11】
前記回路は、前記RF信号をシングルエンドから差動に変換するように構成された少なくとも1つのLCバランを含み、前記LCバランの各出力は、LC共振フィルタを通して前記ワイヤリード対における1つのワイヤに接続されている、請求項10に記載の接続性検証システム。
【請求項12】
前記回路は、一次側と少なくとも2つの二次巻線を有する二次側とを含む信号変圧器を含み、前記信号変圧器の前記一次側は前記RF信号生成器によって駆動され、前記同じ位相に属する前記ワイヤリード対における各ワイヤは、前記2つの二次巻線の一方の側に接続され、前記二次巻線の他方の側は、整流器及び前記RF検出器に接続されている、請求項10に記載の接続性検証システム。
【請求項13】
前記回路は、一次側と少なくとも第1の二次巻線及び第2の二次巻線を有する二次側とを含む信号変圧器を含み、前記信号変圧器の前記一次側は前記RF信号生成器によって駆動され、前記第1の二次巻線は、前記同じ位相に属する前記ワイヤリード対における前記2つのワイヤにわたって接続され、前記第2の二次巻線は、前記RF検出器に接続されている、請求項8に記載の接続性検証システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許出願第63/141,569、号(2021年1月26日に出願)に対する利益を主張する米国特許出願第17/381,388号(2021年7月21日に出願)の一部継続出願である。なおこれらの文献の全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本開示は、接続性検証システム、より詳細には、電圧不在テスタへの接続性検証システムを対象とする。
【背景技術】
【0003】
電気機器を保守点検する際、作業者は、電圧の不在を検証するための電圧検証テストを必要とする安全規制に従わなければならない。このプロセスには、事故及び肉体的損傷を防ぐために厳格な遵守が必要であるが、ハンドヘルドの携帯型テスト機器を使用するときに複雑で時間のかかる可能性がある多くの段階が含まれる。また、ハンドヘルドのテスタを用いて電圧検証テストを実施する場合、保守点検されている機器について適切に電源が切られていないと、テストを行う個人が潜在的な電気的障害にさらされる。永続的に設置された電圧不在テスタがあれば、個人を有害な電圧及び電流にさらすことなく、このプロセスを自動化し得る。
【発明の概要】
【0004】
本開示の種々の態様は、電気機器内の電力(または接地)線への電圧不在テスタの接続性を検証することに関する。1つ以上の例示的な実施形態において、電気機器内の電力線への電圧不在テスタの接続性を検証するための方法が提供される。本方法は、RF信号生成器を使用して無線周波数(RF)信号を所定の周波数において生成することと、RF信号をワイヤリード対を含む回路にわたって送信することと、を含んでいてもよい。ワイヤリード対における各ワイヤは、同じ位相を有する電力線に接続してもよい。本方法はさらに、RF検出器においてRF信号を受信することと、RF検出器の出力を検知することと、出力の振幅及び/または位相に基づいて、ワイヤリード対における各ワイヤが同じ電力線に接続されているか否かを判定することと、を含んでいてもよい。
【0005】
実施態様は、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでいてもよい。たとえば、RF検出器の出力の振幅及び/または位相の変化は、回路の特性インピーダンスの変化を示してもよい。RF検出器の出力の振幅及び/または位相を分析することに基づいて、ワイヤリード対における各ワイヤが同じ電力線(すなわち、位相)に接続されているか否かを判定するステップは、振幅及び/または位相を、解析的に決定された閾値と比較することと、温度変化による部品公差の任意のずれを補償する直線回帰関数を使用して新しい閾値を計算することと、閾値検証アルゴリズムに従って、ワイヤリード対における各ワイヤが同じ電力線に接続されていることを検証することと、を含んでいてもよい。
【0006】
本方法はさらに、RF信号を回路にわたって送信する前に、アナログスイッチを使用してRF信号生成器を回路に接続することを含んでいてもよい。また、RF信号生成器を回路に接続する前に、本方法は、システムのベースラインをチェックして任意の異常挙動を決定するステップとして、RF信号生成器をオフにした状態でRF検出器の出力を分析すること、及び/またはRF信号生成器をオンにした状態でRF検出器の出力を分析することを含んでいてもよい。
【0007】
本開示の1つ以上のさらなる実施形態は、接続性検証システムを対象としている。接続性検証システムは、RF信号を生成するように構成された無線周波数(RF)信号生成器と、RF信号生成器と通信するRF検出器と、特性インピーダンスを有する回路と、を含んでいてもよい。回路は、RF信号生成器及びRF検出器に結合されていてもよく、ワイヤリード対を含んでいてもよい。ワイヤリード対における各ワイヤは、電力線の同じ位相ワイヤに接続してもよい。電力線の同じ位相ワイヤへのワイヤリード対の接続性を、RF検出器の出力レベルを分析することによって検証してもよい。
【0008】
実施態様は、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでいてもよい。回路は、RF信号をシングルエンドから差動に変換するための少なくとも1つのLCバランを含んでいてもよい。LCバランの各出力は、LC共振フィルタを通してワイヤリード対における1つのワイヤに接続してもよい。代替的に、回路は、一次側と少なくとも2つの二次巻線を有する二次側とを含む信号変圧器を含んでいてもよい。信号変圧器の一次側は、RF信号生成器によって駆動してもよい。同じ位相に属するワイヤリード対における各ワイヤは、2つの二次巻線の一方の側に接続してもよい。二次巻線の他方の側は、整流器及びRF検出器に接続してもよい。
【0009】
別の例として、回路は、一次側と少なくとも第1の二次巻線及び第2の二次巻線を有する二次側とを含む信号変圧器を含んでいてもよい。信号変圧器の一次側は、RF信号生成器によって駆動してもよい。第1の二次巻線は、同じ位相に属するワイヤリード対における2つのワイヤにわたって接続してもよい。第2の二次巻線は、RF検出器に接続してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の1つ以上の実施形態による、電圧不在テスタ(AVT)システムの高レベルのブロック図である。
【
図2】本開示の1つ以上の実施形態による、AVTシステムの適切な接続性を検証するための一般的方法を示す高レベルのフローチャートである。
【
図3】本開示の1つ以上の実施形態による、接続性検証(CV)システムのアーキテクチャを示すブロック図である。
【
図4】本開示の1つ以上の実施形態による、位相リード接続性テストシーケンスに対するサンプル真理表である。
【
図5】本開示の1つ以上の実施形態による、3相電気機器への位相リードの接続性を検証するための方法を示すサンプルフローチャートである。
【
図6】本開示の1つ以上の実施形態による、電気機器に対する接地リードの接続性を検証するための方法を示すサンプルフローチャートである。
【
図7】本開示の1つ以上の実施形態による、代替的な位相リード接続性検出器に対する変圧器配置を例示する図である。
【
図8】本開示の1つ以上の実施形態による、
図7に例示した変圧器配置を用いる接続性検証(CV)システムの代替的なアーキテクチャを示すブロック図である。
【
図9】本開示の1つ以上の実施形態による、
図8に示したコルピッツ発振器の概略図である。
【
図10】本開示の1つ以上の実施形態による、他の位相リード接続性検出器に対する代替的な変圧器配置を例示する図である。
【
図11】本開示の1つ以上の実施形態による、
図10に例示した変圧器配置を用いる接続性検証(CV)システムの別の代替的なアーキテクチャを示すブロック図である。
【
図12】本開示の1つ以上の実施形態による、接続性検出(CD)回路のアーキテクチャを示すブロック図である。
【
図13】
図12のCDシステムの高電圧側と低電圧側との間の結合及び絶縁を示す図である。
【
図14】
図12のCDシステムのRF生成回路及び検出回路を示す図である。
【
図15】
図12のCDシステムのシーケンスをテストするための真理表を示す図である。
【
図16】
図12のCDシステムの位相リード接続性手順のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
必要に応じて、本発明の詳細な実施形態を本明細書で開示する。しかし、当然のことながら、開示する実施形態は本発明の単なる例示であり、種々及び代替的な形態において具体化され得る。図は必ずしも一定の比率ではない。いくつかの特徴は、特定のコンポーネントの詳細を示すために誇張または最小化されている場合がある。したがって、本明細書で開示する具体的な構造上及び機能上の詳細は、限定であると解釈してはならず、単に、本発明を様々に使用することを当業者に教示するための代表的な根拠と解釈すべきである。
【0012】
電気機器に対して電源が切られた作業を行う前に、安全規制により、作業者は機器が電気的に安全な状態にあることを検証する必要がある。そうでないと証明されるまで、機器は電源に接続されているものとして扱うべきであり、必要な予防策が守られるべきである。機器が電気的に安全な状態にあることを検証するプロセスにおけるステップの1つには、電圧不在に対する多段階テストが含まれる。テストの前後に、テスタの機能を既知のソースに対しても検証しなければならない。携帯型テスタを使用する場合、これは時間のかかるプロセスであり、電気的障害にさらされることが含まれ得る。
【0013】
図1は、本開示の1つ以上の実施形態による、電圧不在テスタ(AVT)システム100を示す高レベルのブロック図である。AVTシステムを産業用電気機器内に永続的に設置して、多段階電圧検証プロセスを自動化してもよい。また、AVTシステムは、電気的に危険な機器にアクセスする前に電圧不在を検証することができ、ハンドヘルドの携帯型テスト機器によって要求される時間のほんの一部において安全性を高めることができる。したがって、AVTシステムは、最初に機器に直接アクセスすることなく、機器が電気的に安全な状態にあるか否かを示し得る。
【0014】
AVTシステムは、いくつかの回路、電源、及びモジュールを含んでいてもよい。1つ以上の実施形態によれば、これは、電源102、電力管理及び補助電源モジュール104、電圧存在検出回路106、ネットワーキングモジュール108、少なくとも1つの電圧不在検出回路110、少なくとも1つのテストザテスタ回路112、接続性検出回路114、コントローラ116、信号評価モジュール118、及びインジケーターモジュール120を含んでいてもよい。図示したように、少なくとも1つの電圧不在検出回路は、第1の電圧不在検出回路110a及び第2の電圧不在検出回路110bを含んでいてもよい。同様に、少なくとも1つのテストザテスタ回路は、第1のテストザテスタ回路112a及び第2のテストザテスタ回路112bを含んでいてもよい。さらに、AVTシステムは、それが設置される電気機器の主電力線122に直接接続してもよい。
【0015】
電圧不在の確実な検証には、保守点検されている電気機器内の主電力線へのAVTシステムのケーブルリードの接続性の確実な検証が必要である。接続性検証(CV)は、設置されたAVTシステムが、モニタリングしている電気機器またはデバイスに直接接続されるように、意図した通りに直接結合されていることを検証及び確認する、AVTデザイン内で実施されるステップである。したがって、接続性検証によって、AVTが、未知の切断エラーまたは取り付け失敗(たとえば、各位相に対するケーブルリードが互いに短絡しているか、または垂れ下がった状態である)に起因する無電圧状態を登録するのではなく、電力線上の実際の電圧を測定していることが保証され得る。
【0016】
産業用電気機器では、取り付け失敗は通常、欠陥のある終端、熱膨張、または振動による緩いまたは切断された接続である。AVTシステムのケーブルリードと回路導体との間の接続性の存在を検証することは、AVTから主電力線までシステム全体にわたって連続性があることを検証することによって達成することができる。それに合うように、AVTシステム100は、接続性検証システム124を含んでいてもよい。接続性検証システムは、AVTシステムが設置される電気機器の主電力線への適切な接続を検証して保証し得るサブシステムである。接続性検証システムは、3相システム、単相システム、ならびにDC電力システムにおける主電力線への適切な接続を検証し得る。
【0017】
高レベルでは、
図1に示したように、接続性検証システム124は、少なくとも接続性検出回路114及びコントローラ116を含んでいてもよい。接続性検証は、コントローラによって制御してもよい。コントローラは、システム診断に使用されるコアAVTシステムマイクロコントローラ、または接続性検証のための専用マイクロコントローラであってもよい。
【0018】
図2は、モニタリングしている電気機器の電力線へのAVTシステムの適切な接続性を検証するための一般的方法200を示す高レベルのフローチャートである。接続性検証手順は、ステップ205で開始される。テストは、ステップ210において提供されるように、テスト信号を各位相線に順次印加することによって、各位相またはワイヤに対して開始してもよい。各テスト信号を印加した後、ステップ215において提供されるように、コントローラが、接続性検証状態を示し得るテスト信号の結果を読み取って分析してもよい。コントローラは、ステップ220において、接続性検証結果が予想されるか否かを判定してもよい。テスト結果が予想されない場合、ステップ225において提供されるように、接続性検証手順は失敗したとみなしてもよい。他方で、テスト結果が予想された通りである場合、本方法200はステップ230に進んでもよい。ステップ230において、コントローラは、接続性検証手順におけるすべてのテストシーケンスが完了したか否かを判定してもよい。すべてのテストシーケンスが首尾よく完了したら、ステップ235において提供されるように、接続性検証テストに合格し、AVTシステムケーブルリードの適切な接続性が検証され得る。
【0019】
確実性を高めるために、手順はまた、各接続性検証テストの前後に実行される一連の自己診断シーケンスを使用して、すべての接続性検証のクリティカルなコンポーネント、回路、またはプロセスが動作可能であり、予想通りに行われることを保証してもよい。自己診断シーケンスはさらに、AVTシステムが、何らかのテスト条件の下で誤った結果をトリガする可能性がある内部のハードウェア障害を有していないことを保証し得る。さらに、この手順は、システムの機能が、AVTが設置された環境中に存在する可能性がある任意の望ましくない要因(たとえば、極端な温度、エージング、ノイズ、静電放電など)による悪影響を受けなかったことを確認することを助け得る。
【0020】
したがって、接続性検証の一部は、接続性検証システムの機能の確認を含んでいてもよく、これは、接続性検証結果の妥当性に確かさを加えることができる。
図2に全般的に示したように、すべての接続性検証テストシーケンスが予想される結果を提供した場合に、接続性検証テストに合格する。そうでない場合、接続性検証テストは不合格になる。障害が起きた場合、ソフトウェアは、エラーを報告する目的で、どの位相または位相(複数)が切断されているかを判定してもよい。
【0021】
永続的に設置された電圧テスタを用いた電圧の存在及び不在テストの間にシステムケーブルリードの接続性を検証するための種々の技術について、以下に詳細に説明する。本明細書で説明する接続性検証技術は、単相または多相のAC電力システム、ならびに任意のシステム接地トポロジ(たとえば、負、正、または高インピーダンス接地システムのいずれか)におけるDC電力システムに適用することができる。さらに、説明した接続性検証技術は、容量性負荷及び誘導性負荷に対してロバストである。したがって、接続性検証は、AVTと並列に接続されたキャパシタバンクの影響を受け得ない。
【0022】
第1の接続性検証(CV)技術
【0023】
図3は、本開示の1つ以上の実施形態による、接続性検証(CV)システム300のアーキテクチャを示すブロック図である。CVシステムは、無線周波数(RF)信号変調及び生成回路(しばしば、RF信号生成器と言われる)と、RF信号復調及び検出回路(しばしば、RF検出器と言われる)とから構成してもよい。CVシステム及び対応する回路は、複数のワイヤリード対を使用して同じ位相に属する2つのワイヤ間の連続性を検証するようにデザインしてもよい。ワイヤリードは、CV回路入力上で物理的に分離し、電力線側の同じ端子(すなわち、位相)に接続されている。したがって、多相電気機器の場合、各位相は2つのワイヤリードが必要となる場合がある。したがって、
図3に示したように、3相システムは、安全接地のための2つのワイヤに加えて、6つのワイヤを必要とする場合がある。CVシステムの種々のコンポーネントを低電圧と高電圧とに分離して、高電圧コンポーネントが高電圧ボード上に存在し、低電圧コンポーネントが1つ以上の低電圧ボード上に配置され得るようにしてもよい。
【0024】
RF変調/生成回路及び復調/検出回路の両方に対するRF信号を、コントローラによって駆動してもよい。CVシステムは、2つの独立したCV回路を実装してもよい。一方は、3つの冗長位相リードワイヤ専用であり(
図3に示したような3相システムの場合)、他方は、安全接地冗長リードワイヤ専用である。CVシステム内のこれらの2つの独立したCV回路は全般的に、以下では位相リード接続性検出器及び接地リード接続性検出器と参照され、以下でより詳細に順に説明する。
【0025】
A. 位相リード接続性検出器
【0026】
コントローラは、複数の周波数において方形波信号を変調/生成するために使用し得る高分解能タイマを含んでいてもよい。たとえば、高分解能タイマを、774kHz~830kHzの複数の周波数を生成するために使用してもよい。結果としての方形波信号は、所定の線路インピーダンスZpの全体にわたって外部バッファによって駆動してもよい。そして、方形波信号を、ローパスフィルタを使用して正弦波に変換してもよい。実施形態によれば、ローパスフィルタは、4次の受動型ローパスフィルタであってもよい。
【0027】
生成された正弦波RF信号を、アナログスイッチに供給してもよい。3相システムでは、アナログスイッチはデマルチプレクサであってもよい。たとえば、超低漏れ電流、1:3アナログデマルチプレクサを使用して、所定の周波数において生成されたRF信号を3相のワイヤ対にわたって順序付けてもよい。デマルチプレクサは、コントローラによって直接制御してもよい。そして、分配されたRF信号を、各位相専用の集中LCバランによって、不平衡(シングルエンド)から平衡(差動)に変換してもよい。バランの出力を、LC共振フィルタを通して各位相のワイヤ対に接続してもよい。LC共振フィルタは、直列のX1Y1キャパシタ及び高周波インダクタから構成されて、共振バンドパスフィルタを形成してもよい。一例として、X1Y1キャパシタは、定格760VAC/1500VDCであってもよく、一次(すなわち、電力線)回路と二次(すなわち、CV)回路との間に8KV強化絶縁を伴う容量結合を形成してもよい。
【0028】
RF復調/検出回路(たとえば、RF検出器)は、RFエンベロープ検出器を含んでいてもよい。エンベロープ検出器の入力を、ローパスフィルタの出力に接続してもよい。RFエンベロープ検出器の出力を、コントローラ上のADCピンに接続してもよい。
【0029】
CVシステムは、電気機器への電圧不在テスタの接続性を検証するために一連のテストを使用してもよい。
図4に、本開示の実施形態による、予想される結果の例を伴う位相リード接続性テストシーケンスに対するサンプル真理表400を示す。コントローラは、CVテストシーケンスを制御してもよい。
図5は、位相リードの接続性を検証するための方法500のサンプルフローチャートである。
【0030】
位相リードCVテストシーケンスを、
図4及び
図5に関して以下に詳細に説明する。図示及び記載したように、最初の2つのテストシーケンスは、自己診断シーケンスであってもよい。シーケンス1は、第1のCV自己診断シーケンスである。シーケンス1では、アナログデマルチプレクサ及びRF信号生成器は両方ともOFFである。したがって、シーケンス1は、デマルチプレクサならびにRF信号生成器がOFFである場合に、RF検出器の出力における任意の望ましくない信号が、コントローラによって検出されているか否かを検証することができる。また、シーケンス1中のRF検出器の出力における任意の信号を、RF検出器回路ならびにシステムノイズフロアのベースラインを確認するための基準信号として使用してもよい。
【0031】
シーケンス2は、第2のCV自己診断シーケンスであってもよい。
図4及び
図5に示したように、アナログデマルチプレクサがOFFのままで、RF信号生成器をターンオンしてもよい。シーケンス2は、CVシステムがRF信号を生成していること、及びRFエンベロープ検出器がそれを検出できることを検証することができる。
【0032】
シーケンス3、5、及び7は、CV自己診断の一部を形成してもよい。それぞれに対して、RF信号生成器は切断してもよいし、他の方法でOFFしてもよい。シーケンスに応じて、アナログデマルチプレクサは、対応する位相(L1、L2、またはL3)を、コントローラ上のS1~S2出力を使用してRF検出器に接続する。S1~S2出力は、デマルチプレクサのIN1及びIN2入力に接続されている。たとえば、シーケンス3、5、及び7は、RF検出器を位相L1、L2、及びL3にそれぞれ接続してもよい。RF信号生成器が切断されている場合、コントローラは、RF検出器の出力をサンプリングし、対応する位相の電力線上の任意のノイズ(たとえば、CVシステム/回路によって生成されるものと同様の周波数成分を有する望ましくない信号)を特徴付けて、任意の種類の誤検出を特定してもよい。シーケンス3、5、及び7は、CV回路における各位相のベースラインを提供してもよく、これは、ワイヤリードの特性インピーダンス及び電力線メインに接続されている負荷の性質に依存する。
【0033】
シーケンス4、6、及び8は、同じ位相に属する各ワイヤリード対の終端が接続されているか否かを検証し得るCVテストシーケンスである。これらのシーケンスは、異なる位相に属する2つのワイヤのいずれかが入れ替えられているか否かを検証してもよい。シーケンス4、6、及び8のそれぞれにおいて、RF信号生成器はアクティブであってもよい。シーケンスに応じて、アナログマルチプレクサは、シーケンス3、5、及び7の場合と同様に、対応する位相をRF検出器に接続する。コントローラは、RF検出器の出力をサンプリングして、検出信号を特徴付けてもよい。
【0034】
CVのプリンシパルは、主に、RF回路の特性インピーダンスZcに対する変化を検出することに依存する。デマルチプレクサがOFFで、RFがONであるときの公称インピーダンスは、Zc=Zpによって特徴付けてもよい。デマルチプレクサがターンオンされるか、他の方法で電力線位相に接続されているとき、2つのシナリオが生じ得る。1)同じ位相に属するワイヤリードが接続されていない、または2)同じ位相に属するワイヤリードが接続されている。
【0035】
同じ位相に属するワイヤリードが接続されていない第1のシナリオでは、インピーダンスは、Zwによって特徴付けてもよい。Zwは、リードワイヤの複素インピーダンスを表す。これは、ワイヤリードの自己インダクタンス、ならびに異なるワイヤリード間の容量性及び誘導性結合に依存する。Zpは、10フィートのワイヤリードを使用するとき、Zwのほぼ4(4)倍であってもよい。インピーダンスが比較的高い結果、RF検出器の出力における振幅が比較的大きくなる。
【0036】
同じ位相に属するワイヤリードが接続されている第2のシナリオでは、結果としてのインピーダンスは全般的に、第1のシナリオの場合と比べてはるかに低い。したがって、RF検出器の出力レベルは、インピーダンスが低いためにより低い。
【0037】
RF検出器の出力は、コントローラ上の内部のアナログ/デジタル変換器(ADC)によって検知してもよい。ADCは、検出信号をサンプリングして、それを所定の基準閾値と比較してもよい。CV回路テストシーケンス結果は、同じ位相に属する2つのワイヤが電力線端子に接続されているときにのみ真である。8つのテストシーケンス結果のうちのいずれかが偽であるとき、AVTはテスト手順を終了してもよく、エラーを報告してもよい。
【0038】
B.接地リード接続性検出器。
【0039】
図3を再び参照して、高分解能タイマを、接地リード接続性検出回路のための複数の周波数において方形波信号を変調/生成するために、コントローラによって使用してもよい。たとえば、高分解能タイマを使用して、2.2MHz~2.7MHzの複数の周波数を生成してもよい。生成された方形波信号を、所定の線路インピーダンスZgの全体にわたって外部バッファによって駆動してもよい。そして、方形波信号を、ローパスフィルタを使用して正弦波に変換してもよい。位相リード接続性検出回路と同様に、ローパスフィルタは、4次の受動型ローパスフィルタであってもよい。ローパスフィルタの出力は、安全性接地ワイヤ対に接続してもよい。たとえば、2.5MHz自己共振周波数を有するLC共振バンドストップフィルタを使用して、2つの接地リードを互いにガルバニックに接続してもよい。LC共振バンドストップフィルタは、高電流パワーインダクタ及びRFキャパシタを並列に含んでいてもよい。
【0040】
CVシステムは、接地リードCVテストシーケンスを使用して、電気機器内の接地リードへの電圧不在テスタの接続性を検証してもよい。接地リードCVテストシーケンスは、コントローラによって制御してもよい。
図6は、接地リードの接続性を検証するための方法600のサンプルフローチャートである。
図6に関して、接地リードCVテストシーケンスは、少なくともシーケンスAとシーケンスBとを含んでいてもよい。
【0041】
シーケンスAは、自己診断シーケンスであってもよい。シーケンスAでは、RF信号生成器はOFFであってもよい。したがって、シーケンスは、RF生成器がOFFである場合に、任意の望ましくない信号がコントローラによって検出されているか否かを検証することができる。また、シーケンスA中のRF検出器の出力における任意の信号を、RF検出器回路ならびにシステム接地ノイズフロアのベースラインを確認するための基準信号として使用してもよい。シーケンスAは、接地リードがいずれかの位相リードと入れ替えられているか否かを検出してもよい。
【0042】
シーケンスBは、接地ワイヤリード端が接続されているか否かを検証するテストシーケンスであってもよい。RF信号生成器は、アクティブである。コントローラは、RF検出器の出力をサンプリングして、検出信号を特徴付けてもよい。シーケンスBは、接地に属する2つのワイヤのいずれかが位相ワイヤと入れ替えられているか否かを検証してもよい。2つの接地ワイヤリード端が接続されていると、LC共振フィルタが短絡して、RF信号が減衰する。終端が緩いかまたは切断されると、LC共振フィルタはRFスイッチとして機能して、信号はRF検出器によって検出される。RF信号の減衰は、LC共振器の同調周波数及びコントローラによって生成されるRF信号の周波数に依存し得る。
【0043】
第2の接続性検証(CV)技術
【0044】
A. 位相リード接続性検出器
【0045】
図7及び
図8に、本開示の1つ以上の実施形態による、第2の接続性検証(CV)のコンセプトを例示する。
図7に、第2の接続性検証のコンセプトに対する変圧器配置700の2つの異なる概略図を例示す。
図8は、このコンセプトを用いる第2の接続性検証(CV)システム800のアーキテクチャを示すブロック図である。図示したように、第2の接続性検証のコンセプトは、高周波信号変圧器、RF信号生成回路、及びRF信号検出回路を使用してもよい。実施形態例では、変圧器は1:1:1巻数比を含んでいてもよい。RF信号生成回路は、少なくともRF信号生成器を含んでいてもよく、一方で、RF信号検出回路は、少なくともRF検出器を含んでいてもよい。前述したように、RF検出器はエンベロープ検出器であってもよい。この場合もやはり、生成回路及び検出回路の両方に対するRF信号は、コントローラ(図示せず)によって駆動してもよい。
【0046】
RF信号生成回路は、変圧器の一次側(P)を、たとえば1MHzの共振周波数において駆動してもよい。同じ位相に属する2つのワイヤのそれぞれは、変圧器の二次側(S)の2つの巻線の一方の側に接続してもよく、これは180°位相がずれていてもよい。変圧器の二次巻線の他方の側は、整流器及びRF検出器に接続してもよい。整流された信号は、負荷にわたって印加してもよく、その後、コントローラのADCによってサンプリングしてもよい。
【0047】
前述したように、
図7には、第2の接続性検証システムによって使用される変圧器配置700の2つの異なる概略図を例示する。
図7の概略図に示したスイッチは、同じ位相に属するワイヤリードが電力線に接続されているか否かを表している。前述と同様に、結果に対して2つのシナリオが存在し得る。1)同じ位相に属するワイヤリードが接続されている、及び2)同じ位相に属するワイヤリードが接続されていない。
【0048】
同じ位相に属するワイヤリードが接続されている第1のシナリオでは、変圧器の二次側巻線は直列になる。したがって、変圧器は電流源として機能し得る。結果として、同じ位相に属する接続されたワイヤリードが接続されているとき、コントローラのADCは、より大きな振幅を検知し得る。これは、RF信号検出器の出力における振幅が、ケーブルの自己インダクタンス、ならびに電力線に接続されている負荷の性質(すなわち、容量性、誘導性、または抵抗性)に依存するからである。振幅は、抵抗負荷の場合に最大になる。
【0049】
同じ位相に属するワイヤリードが接続されていない第2のシナリオでは、変圧器の二次巻線は切断されている場合があり、伝達されるエネルギーは最小限であり得る。リードワイヤの自己容量が、依然として、何らかのエネルギーを負荷に伝達させる可能性がある。RF検出器の出力を比較できる決定閾値を、リードワイヤの最大長さに対して特徴付けられる結合容量であり得る最悪の場合のシナリオを考慮するように規定してもよい。
【0050】
DC配電システムでは、DCバス上に存在し得る高い容量性負荷を有するキャパシタバンクは、変圧器の二次巻線内に誘導される電流をシンクすることができる。
図8に示すように、漏れ経路を備えたチャージポンプを追加することによって、小さいDC電圧を負荷上に構築することができる。構築されたDC電圧を、ある期間にわたってサンプリングし、所定の閾値と比較して接続性を検証してもよい。
【0051】
図8に示したように、容量性絶縁を、たとえば、機能安全用途に対して定格されたX1Y1キャパシタによって形成してもよい。DC経路は、たとえば、容量性絶縁にわたる2Mohmインピーダンスを使用して確立してもよい。
【0052】
B.接地リード接続性検出器
【0053】
接地リード接続性スキームは、
図8に示したようなコルピッツ発振器を実装してもよい。
図9に、1つ以上の実施形態によるコルピッツ発振器をより詳細に示す。コルピッツ発振器は、JFETベースの高利得コルピッツ発振器であってもよい。たとえば、コルピッツ発振器は、1.25MHzで変更されたJFETベースの高利得コルピッツ発振器であってもよい。発振周波数は、JFETベースを駆動する発振器フィードバック内のLCタンク回路によって決定され得る。タンク回路のインダクタLgは、システム接地として使用されないCVシステムの接地リードワイヤのうちの1つと直列に接続してもよい。
【0054】
接地リードが終端において切断されていると、タンク回路のインダクタLgはタンク回路から切断されて、発振器のフィードバックループは開いたままである。接地リードが接続されていると、インダクタLgがフィードバックループに入り、発振器が共振する。
図8に示したように、発振器の出力を、エンベロープ検出器などのRF検出器に接続してもよい。RF検出器の出力は、コントローラ上のADCチャネルによって検知され得る。この場合もやはり、RF検出器の出力レベルは、接地リードワイヤ対が電気機器接地に適切に接続されているか否かを示し得る。
【0055】
Lgの値は、共振タンクインダクタンスがリードワイヤの最大自己インダクタンスより所定の量だけ大きくなるように選択してもよい。所定の量は、リードワイヤの長さを変えてもコルピッツ発振器の発振周波数に著しい変化が起きないことを確実にするように選択してもよい。一例として、Lgの値は、共振タンクインダクタンスがリードワイヤの最大自己インダクタンスよりもほぼ100倍大きくなるように選択してもよい。
【0056】
第3の接続性検証(CV)技術
【0057】
図10及び
図11に、本開示の1つ以上の実施形態による第3の接続性検証(CV)のコンセプトを例示する。
図10に、第3の接続性検証のコンセプトに対する変圧器配置1000の概略図を例示する。
図11は、このコンセプトを用いる第3の接続性検証(CV)システム1100のアーキテクチャを示すブロック図である。図示したように、第3の接続性検証のコンセプトは、再び、3つの巻線、高周波信号変圧器、RF信号生成器、及び位相リードの接続性を検証するためのRF検出器を使用してもよい。実施形態例では、変圧器は1:1:2巻数比を含んでいてもよい。RF信号生成器及びRF検出器回路は、再び、コントローラ(図示せず)によって駆動してもよい。
【0058】
RF信号生成器は、変圧器の一次側(P)を、たとえば約2MHzの共振周波数において駆動してもよい。第1の二次巻線(S1)を、容量結合バリアの全体を通して同じ位相に属する2つのワイヤリードにわたって接続してもよい。容量結合バリア(容量性絶縁)は、
図11に示すように、各ワイヤリード上の2つのX1Y1安全定格キャパシタからなってもよい。第2の二次巻線(S2)を、エンベロープ検出器であってもよいRF検出器に接続してもよい。第2の二次巻線(S2)は、2(2)の比を有していてもよい。そして、負荷にわたって印加される整流された信号を、コントローラのADCチャネルによってサンプリングしてもよい。
【0059】
図10の概略図に示したスイッチは、同じ位相に属するワイヤリードが電力線に接続されているか否かを表す。前述と同様に、結果に対する2つのシナリオが存在し得る。1)同じ位相に属するワイヤリードが接続されていない、及び2)同じ位相に属するワイヤリードが接続されている。
【0060】
同じ位相に属するワイヤリードが接続されていない第1のシナリオでは、エネルギーは、変圧器の一次側(P)から二次側巻線へ、2の比(2倍)で伝達され得る。このシナリオでは、コントローラのADCチャネルは、対応するRF検出器から出力される、より大きな振幅を検知し得る。
【0061】
同じ位相に属するワイヤリードが接続されている第2のシナリオでは、変圧器の第1の二次巻線(S1)が短絡されて、変圧器コアにわたる磁束線に外乱が生じ得る。その結果、一次側から二次側に伝達されるエネルギーが低減され得る。したがって、コントローラADCは、対応するRF検出器の出力において、同じ位相に属するワイヤリードが切断されている場合と比べて、より少ない振幅を検知し得る。
【0062】
図11に示したように、第3の接続性検証のコンセプトは、前述した第2の接続性検証のコンセプトと同一または類似の接地リード接続性スキームを使用してもよい。
【0063】
CV技術IV
【0064】
図12に、CDデザインコンセプトのブロック図を示す。CD回路は主に、2つの部分で構成される。1)RF信号生成、及び2)RF信号検出である。CD回路は、同じ位相に属する2つのワイヤ間の連続性を検証することを目的とする。ワイヤは、CD回路上で物理的に分離し、電力線側で同じ端子(すなわち、位相)に接続している。各位相は2つのワイヤを必要とする。3相システムでは、安全接地のための2つのワイヤに加えて、6つのワイヤを必要とする。
【0065】
注記:本明細書に記載のCD技術は、単相または多相のAC電力システム、ならびに任意のシステム接地トポロジ(負、正、または高インピーダンス接地システム)におけるDC電力システムに適用することができる。さらに、説明したCD技術は、容量性負荷及び誘導性負荷に対してロバストである。CDは、AVTと並列に接続されたキャパシタバンクの影響を受けない。
【0066】
変調/生成及び復調/検出の両方に対するRF信号は、DMCUによって駆動される。システムは、2つの独立したCD回路を実装する。一方は、3つの冗長位相リードワイヤ専用であり、他方は、安全接地冗長リードワイヤ専用である。
【0067】
高分解能タイマを、774KHz~860KHzの複数の周波数を変調/生成するために使用する。生成された方形波信号を、所定の線路インピーダンスZPの全体にわたって外部バッファによって駆動し、その後、4次の受動型ローパスフィルタによって正弦波に変換する。超低漏れ電流、1:3アナログデマルチプレクサ(
図12のアナログスイッチA)を使用して、生成された周波数を3相のワイヤ対にわたってシーケンスした。マルチプレクサは、DMCUによって直接制御される。そして、分配されたRF信号を、各位相専用の集中LCバランによって、不平衡(シングルエンド)から平衡(差動)に変換する。バランの出力を、LC共振フィルタの全体を通して各位相のワイヤ対に接続する。LC共振フィルタは、直列のX1Y1キャパシタ及び高周波インダクタから構成され、共振バンドパスフィルタを形成する。X1Y1キャパシタは、定格760VAC/1500VDCで、一次回路と二次回路との間に8KV強化絶縁を伴う容量結合を形成する(
図13を参照)。
【0068】
アナログスイッチAは、1つ選択された位相のワイヤ対上で一度にRF信号を生成するために使用される双方向スイッチである。RF復調/検出回路は、RFエンベロープ検出器からなり、RFエンベロープ検出器の入力は、アナログスイッチAのCOM入力を駆動する4次の受動型ローパスフィルタの出力に接続されている。検出器は、同じ選択されたライン上のインピーダンス不平衡を検知する。RFエンベロープ検出器の出力は、DMCUのADCピンに接続されている。
【0069】
アナログスイッチBのMUXの3つの出力は、アナログスイッチAの3つの出力と並列に接続されている。その共通の入力は、RF検出回路(A)と同一のRF復調/検出回路(B)に接続されている。アナログスイッチBは、アナログスイッチAによって選択されていない他の2つの相上でのインピーダンス不平衡を検知することによって、異なる対に属するワイヤ間の交差を検出するために使用される。
図14を参照。
【0070】
DMCUは、2つのMUX選択デジタル信号を制御することによって、CDテストシーケンスを制御する。テストシーケンス及び予想される結果に対する真理表を、
図15に示す。
【0071】
シーケンスは、以下の通りである。
【0072】
シーケンス1:このシーケンスは、第1のCD自己診断シーケンスである。これは、アナログデマルチプレクサならびにRF生成器/変調器回路がOFFである場合に、何らかの望ましくない信号がDMCUによって検出されているか否かを検証する。それは、RF検出器回路ならびにシステムノイズフロアのベースラインを確認するための基準信号としても使用される。
【0073】
シーケンス2:このシーケンスは、第2のCD自己診断シーケンスである。これは、システムがRF信号を生成していること、及び両方のRFエンベロープ検出器がそれを検出できることを検証する。
【0074】
シーケンス3、6、9:RF信号生成器を切断する。シーケンスに応じて、アナログマルチプレクサは、対応する位相をRF検出器接続する。DMCUは、RF検出器の出力をサンプリングし、電力線上の任意のノイズ(たとえば、CD回路によって生成されたものと同様の周波数成分を有する望ましくない信号)を特徴付けて、任意の種類の誤検出を検証する。これらのシーケンスは、CD回路における各位相のベースラインを提供し、これは、ワイヤリードの特性インピーダンス及びメインに接続されている負荷の性質に依存する。
【0075】
シーケンス4、5、7、8、10、11:これらのシーケンスは、同じ位相に属するワイヤ端部(対)が接続されているか否かを検証する。それらはまた、異なる位相に属する2つのワイヤのいずれかが入れ替えられている否かも検証する。RF信号生成器は、アクティブである。シーケンスに応じて、アナログマルチプレクサAは、対応する位相をRF検出器Aに接続する。アナログマルチプレクサBは、他の2つの相を、RF検出器Bに1つずつ接続する。DMCUは、
図15の決定結果表に示すように、両方のRF検出器の出力をサンプリングして、検出信号を分析する。
【0076】
CDのプリンシパルは、主に、RF回路の特性インピーダンスZcに対する変化を検出することに依存する。DEMUXがOFFで、RFがONであるときの公称インピーダンスは、Zc=Zpによって特徴付けられる。DEMUXがターンオンされると、3つのシナリオが存在する。
【0077】
1.同じ位相に属するワイヤリードが接続されていない。この場合、インピーダンスは、Zw(リードワイヤの複素インピーダンス)によって特徴付けられる。これは、ワイヤリードの自己インダクタンス、ならびに異なるワイヤリード間の容量性及び誘導性結合に依存する。Zpは、定格1500Vの10ftの14AWGワイヤリードを使用したとき、Zwのほぼ4倍である。高いインピーダンスは、バランフィルタ上で非常に低負荷の電流が生じ、RFエンベロープ検出器における振幅はゼロに近くなる。
【0078】
2.同じ位相に属するワイヤリードが接続されている。この場合、結果として生じるインピーダンスは、バランフィルタにおける電流フローに起因して、第1のシナリオと比べてはるかに低い。RF検出器の出力レベルはより高くなる。
【0079】
3.ワイヤリードが2つの相の間で入れ替えられている。この場合、結果として生じるインピーダンスは、第1のシナリオにおいて生じるはずの約半分である。なぜなら、RF信号インピーダンス経路が、直列にある2つの相に対するRFフィルタからなるからである。その結果、シナリオ2と比べて、RF信号電力の半分が失われることになる。
【0080】
RFエンベロープ検出器の出力は、DMCU上の2つのADCチャネルによって検知される。ADCチャネルは、検出信号の振幅をサンプリングして、それを所定の基準閾値と比較する。統計データ分析に基づいて、2つの基準閾値を規定した。第1の閾値は、「一次閾値(CD_Thp)」と言われ、リードワイヤが入れ替えられていないことを検証するために使用される。データ分析により、ワイヤが入れ替えられていない(すなわち、適切に接続されているかまたは切断されている)とき、CD_Thpは、-40℃~80℃の温度範囲にわたって、100ADCカウント未満であることが示された。第2の閾値は、「二次閾値(CD_Sth)」と言われ、リードワイヤが適切に接続されていることを検証するために使用される。
【0081】
LC共振フィルタは、部品公差に起因する温度変化に非常に敏感であるので、動作温度範囲を2つの領域に分割し、データ分析に基づいて、CD_Thp及びCD_Thsに対する2つの異なる値を規定した。CD_Thp+及びCD_Ths+を、正の動作温度範囲(0℃~80℃)に対して規定し、CD_Thp-及びCD_Ths-を、負の動作温度範囲(-1℃~-40℃)に対して規定した。
【0082】
同じ位相に属する2つのワイヤが電力線端子に接続されているときにのみ、CD回路結果は真となる。11のシーケンスの結果のいずれかが偽であった場合、AVTはテスト手順を終了し、エラーが報告される。
図16に、位相リードCD手順を例示する。
【0083】
CV技術V
【0084】
セクションIVで説明したCV技術IVに、より多くのロバストネスを加えるために、各チャネルに対する接続性検出に使用する周波数を、隣接する位相上でのCVに使用する隣接する周波数から、200KHz帯域で離間して配置する。各位相専用の集中LCバランを、各位相に対して割り当てられた所定の周波数に合わせて調整する。同じことが、直列のX1Y1キャパシタ及び高周波インダクタから構成され、共振バンドパスフィルタを形成するLC共振フィルタに当てはまる(
図13を参照)。
【0085】
クロスワイヤの場合、位相ワイヤの交差に起因するコモンモード信号は、バンドパスフィルタによってさらに減衰し、その結果、接続されている、切断されている、及び入れ替えられていることを区別するためのマージンがはるかに多くなる。
【0086】
以上、典型的な実施形態について説明したが、これらの実施形態が本発明のすべての可能な形態を説明することは意図されていない。むしろ、明細書で使用した用語は、限定ではなく説明の用語であり、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく種々の変形を行ってもよいことが理解される。さらに、種々の実施する実施形態の特徴を組み合わせて、本発明のさらなる実施形態を形成してもよい。