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特開2024-100750緊締または把持装置およびワークピースを把持または緊締する方法
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  • 特開-緊締または把持装置およびワークピースを把持または緊締する方法 図1
  • 特開-緊締または把持装置およびワークピースを把持または緊締する方法 図2
  • 特開-緊締または把持装置およびワークピースを把持または緊締する方法 図3
  • 特開-緊締または把持装置およびワークピースを把持または緊締する方法 図4
  • 特開-緊締または把持装置およびワークピースを把持または緊締する方法 図5
  • 特開-緊締または把持装置およびワークピースを把持または緊締する方法 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100750
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】緊締または把持装置およびワークピースを把持または緊締する方法
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/06 20060101AFI20240719BHJP
   B25B 1/18 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
B23Q3/06 303D
B25B1/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024003945
(22)【出願日】2024-01-15
(31)【優先権主張番号】23151706
(32)【優先日】2023-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】596007164
【氏名又は名称】エスエムヴェー アウトブローク シュパンジステーメ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】SMW-Autoblok Spannsysteme GmbH
【住所又は居所原語表記】Wiesentalstrasse 28, D-88074 Meckenbeuren, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】エックハート マウラー
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン マーカート
【テーマコード(参考)】
3C016
3C020
【Fターム(参考)】
3C016CA07
3C016CB06
3C016CC01
3C020GG03
3C020GG06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】セーフトルクオフ信号が発せられた後でも、緊締または把持手段の間でワークピースを後緊締するための力を加えることができる電気的に作動する緊締または把持装置を提供する
【解決手段】モータの駆動軸を、ねじスピンドルによって延長することができ、この場合、蓄力器に予荷重がかけられることにより達成される。並目ねじスピンドルを使用する場合には特に、緊締または把持装置の効果的な後緊締を可能とする
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的な締付け装置を介して作動させられる少なくとも1つの緊締または把持手段を備えた緊締または把持装置であって、前記締付け装置は、
駆動軸を備えた電気モータと、
前記駆動軸を前記少なくとも1つの緊締または把持手段に接続するための力伝達手段と、
前記少なくとも1つの緊締または把持手段に予荷重を加えるための蓄力器と
を有し、
前記駆動軸は、前記電気モータと前記力伝達手段との間に軸受スリーブを有し、前記軸受スリーブに対して、前記電気モータは、ねじスリーブ内にガイドされたねじスピンドルによって、前記蓄力器の戻し力に抗して軸線方向で摺動可能に支持されており、前記蓄力器の前記戻し力は、前記緊締または把持手段の前進運動のために必要な前進力よりも大きい、緊締または把持装置において、
前記ねじスピンドルは、並目ねじスリーブ内にガイドされている並目ねじスピンドルとして形成されていることを特徴とする、緊締または把持装置。
【請求項2】
前記並目ねじスピンドルは、10mm~80mmの、好ましくは30mm~40mmの、極めて好ましくは35mmのピッチのねじ山を有している、請求項1記載の緊締または把持装置。
【請求項3】
前記ねじスピンドルは、前記電気モータに作用接続されていて、前記ねじスリーブは前記軸受スリーブ内に相対回動不能に収容されている、請求項1または2記載の緊締または把持装置。
【請求項4】
前記電気モータは、その終端位置で制動される、請求項1から3までのいずれか1項記載の緊締または把持装置。
【請求項5】
前記力伝達手段は伝動装置を含む、請求項1から4までのいずれか1項記載の緊締または把持装置。
【請求項6】
蓄力器として、少なくとも1つの好ましくは複数の圧縮ばね、好ましくはコイルばねまたはガス圧ばねから成る少なくとも1つのばねセットが設けられている、請求項1から5までのいずれか1項記載の緊締または把持装置。
【請求項7】
前記電気モータは、モータプレートに相対回動不能に結合されたモータケーシングを有し、前記蓄力器は一方では前記モータプレートに支持されていて、他方ではモータ固定軸受に支持されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の緊締または把持装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの緊締または把持手段は、セルフロック式の台形ねじスピンドルまたはボール循環式スピンドルによって駆動されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の緊締または把持装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの第1の緊締または把持手段は、固定軸受に対して緊締可能である、請求項1から8までのいずれか1項記載の緊締または把持装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの第1の緊締または把持手段は、調節可能な第2の緊締または把持手段に対して緊締可能である、請求項1から8までのいずれか1項記載の緊締または把持装置。
【請求項11】
それぞれ対を成して互いに対向するように配置され、それぞれ対を成して締付け装置によって操作される、調節可能な複数対の緊締または把持手段を備えたチャック本体を備える緊締または把持装置。
【請求項12】
電気的な締付け装置によってワークピースを把持または緊締する方法であって、前記締付け装置は、駆動軸を備えた電気モータ、前記駆動軸を少なくとも1つの緊締または把持手段に接続するための力伝達手段、ならびに前記少なくとも1つの緊締または把持手段に予荷重を加えるための蓄力器を介して、少なくとも1つの緊締手段を操作し、
前記駆動軸は、前記電気モータと前記力伝達手段との間に軸受スリーブを有し、前記電気モータは、前記ワークピースの当接に達した後、回転し続け、前記軸受スリーブの内側に設けられてねじスリーブ内にガイドされたねじスピンドルによって、前記モータは、前記緊締または把持手段の前進運動のために必要な前進力よりも大きい、前記蓄力器の戻し力に抗して軸線方向で摺動させられる、方法において、
前記ねじスピンドルは、並目ねじスピンドルであって、僅かな送り運動により、大きなばね変位が発生させられることを特徴とする、方法。
【請求項13】
前記電気モータは、終端位置に到達した後に、無電流状態に切り替えられる、請求項12記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的な締付け装置を介して作動させられる少なくとも1つの緊締または把持手段を備えた緊締または把持装置であって、締付け装置は、駆動軸を備えた電気モータ、駆動軸を少なくとも1つの緊締または把持手段に接続するための力伝達手段、ならびに少なくとも1つの緊締または把持手段に予荷重を加えるための蓄力器を有しており、駆動軸は、電気モータと力伝達手段との間に軸受スリーブを有しており、軸受スリーブに対して、電気モータは、ねじスリーブ内にガイドされたねじスピンドルによって、蓄力器の戻し力に抗して軸線方向で摺動可能に支持されており、蓄力器の戻し力は、緊締または把持手段の前進運動のために必要な前進力よりも大きい、緊締または把持装置に関し、ならびに、電気的な締付け装置を介してワークピースを把持または緊締する相応の方法に関する。
【0002】
このような緊締または把持装置は、欧州特許出願公開第2548681号明細書により既に公知である。さらに、米国特許出願公開第2016/158848号明細書、米国特許出願公開第2012/119451号明細書、および欧州特許出願公開第3175942号明細書も参照されたい。
【0003】
電気モータを備えた緊締チャックは、欧州特許出願公開第3059036号明細書から既に公知である。この明細書には、このような緊締チャックが、工具を、多面的に保持し、例えば加工ロボットによる加工中に支持する複数のクランプジョーを有することができることが記載されている。この場合、クランプジョーのそれぞれに、加工時の振動によりクランプジョーが緩んだ場合に、クランプジョーに力を加え付加的な緊締力を提供する蓄力装置を割り当てることができることも想定されている。
【0004】
しかしながら、このような蓄力装置は、この場合、緊締または把持装置の緊締後に生じるおそれのあるそのような緩みに対してのみ反応することができる。しかしながら後からの後緊締は、それ以上は不可能である。
【0005】
液圧式の緊締装置では、後緊締のために必要な力を、液圧アキュムレータが提供することができるのに対し、電気モータを使用する場合は、緊締後に電気モータを作動停止させる必要がある。いわゆるセーフトルクオフ信号が発せられて初めて、ワークピースのさらなる加工を開始することができる。したがって、液圧式の緊締装置においてはなお加えられる液圧力とは対照的に、モータ力は、後緊締のためにそれ以上は使用されず、ワークピースの純粋に機械的な弾性も、後緊締のためには十分ではない。
【0006】
したがって、本発明の根底にある課題は、セーフトルクオフ信号が発せられた後でも、緊締または把持手段の間でワークピースを後緊締するための力を加えることができる電気的に作動する緊締または把持装置を提供することである。
【0007】
この課題は、独立請求項である装置請求項1の特徴部による緊締または把持装置、ならびに並列独立請求項である方法請求項12の特徴部によるワークピースを把持または緊締する方法により解決される。このような装置またはこのような方法の有利な構成は、それぞれ後続の従属請求項から読み取ることができる。
【0008】
電気的な締付け装置を介して作動させられる少なくとも1つの緊締または把持手段を備えた緊締または把持装置であって、締付け装置は、駆動軸を備えた電気モータ、駆動軸を少なくとも1つの緊締または把持手段に接続するための力伝達手段、ならびに少なくとも1つの緊締または把持手段に予荷重を加えるための蓄力器を有している、緊締または把持装置が設けられている。この緊締または把持装置は、本発明によれば、駆動軸は、電気モータと力伝達手段との間に軸受スリーブを有しており、軸受スリーブに対して、電気モータは、ねじスリーブ内にガイドされたねじスピンドルによって、蓄力器の戻し力に抗して軸線方向で摺動可能に支持されており、蓄力器の戻し力は、緊締または把持手段の前進運動のために必要な前進力よりも大きいことを特徴とする。
【0009】
作動時に、このような配置に基づき、電気モータは駆動軸を駆動し、この駆動軸は、力伝達手段を介して、駆動力を、緊締または把持手段に伝達する。このようにして、緊締バイスの場合は、緊締手段を操作することができ、一方で、他の用途、例えば、グリッパアーム、ロボット等では、少なくとも1つの第1の緊締または把持手段が、第2の緊締または把持手段に対して、もしくは唯1つの緊締または把持手段が固定軸受に対して緊締される、原則的に任意のより多くの構造を作動させることができる。このような緊締手段を、緊締チャックに配置することもでき、この場合、対向する緊締手段が対を成して配置されている場合、より多数の、したがって2つの、4つの、または6つの緊締手段も使用することができる。緊締手段が片側だけで作動させられる限り、すなわち、対向側の緊締手段は使用されず、むしろ奇数の緊締手段を備えた緊締チャックが実現される場合、締付け装置は、1つだけの緊締手段を作動させるのに対し、対向側の緊締手段が設けられている場合には、締付け装置は、緊締バイスの場合と同様に、2つの緊締手段を操作することができる。
【0010】
この場合、まずは、ねじスピンドルとねじスリーブとの間の摩擦結合のために蓄力器が機能しているので、駆動軸に配置された軸受スリーブは、緊締または把持手段の送り運動中に電気モータと共に回転する。緊締または把持手段がワークピースに当接して初めて、必要なさらなる送り力が、ねじスピンドルとねじスリーブとの間の付着摩擦力を上回り、ねじスピンドルはねじスリーブの外にねじ出される。この場合、当接に達した後に、このためにさらに回転しなければならないモータの消費される力は、蓄力器へと導入され蓄力器を緊張させる。
【0011】
次いで、ワークピースが加工され、緊締または把持装置において緩みが生じると、これは、ねじスピンドルの戻り回転を生じさせるおそれがあるので、蓄力器の戻し力が、スピンドルが戻り回転し得ないように働き、これにより緊締または把持装置は、最終的に後緊締される。
【0012】
本発明によればさらに、ねじスピンドルは、並目ねじスリーブ内にガイドされている並目ねじスピンドルとして形成されていることが想定されている。このような並目ねじスピンドルは、通常のねじスピンドルとは異なり、特に大きなピッチを有している。ピッチとは、この場合、スピンドルが軸線を中心として一度回転する間に、スピンドルが長手方向で進む距離を、つまり2つのねじ山先端の間の間隔を意味する。具体的な構成では、並目ねじスピンドルのねじ山は、10mm~80mmの、好ましくは30mm~40mmの、極めて好ましくは35mmのピッチを有していてもよい。このように大きなねじ山ピッチにより、スピンドルの僅かな回転でさえ、蓄力器への大きな負荷となり、これにより蓄力器は、大きな力を力伝達手段に加えることができる。
【0013】
この場合さらに、ねじスピンドルは、電気モータに作用接続されていて、ねじスリーブは軸受スリーブ内に相対回動不能に収容されていることが想定されていてもよい。これは原則的には逆であってもよいが、これは好適な構成をなしている。この場合、ねじスピンドルは、駆動軸を延長し、軸受スリーブは、ねじスピンドルに対して長手方向で摺動することができる。この場合、ねじスリーブは、摩擦結合によって、軸受スリーブ内でクランプ嵌めにより保持されていてもよいが、有利には、ねじスリーブは付加的に、例えばヘッドレスボルトによって、軸受スリーブに相対回動不能に固定されており、これにより、より大きな力を加えることができるようになる。
【0014】
特に有利には、電気モータはさらに、その終端位置で制動されていてもよい。これにより、蓄力器のばね力による電気モータの戻り回転が阻止される。さらに、力伝達手段は、有利には、モータの有利な回転数に構造を適合させることができる伝動装置を含むことができる。
【0015】
具体的な構成では、蓄力器として、少なくとも1つの好ましくは複数の圧縮ばね、好ましくはコイルばねまたはガス圧ばねから成る少なくとも1つのばねセットが設けられていてもよい。ばねセットは好ましくは、電気モータの周囲に配置することができ、圧力負荷時に側方へのずれを阻止するために、ばねピンに被せ嵌めることができる。この場合、電気モータは、モータプレートに相対回動不能に結合されたモータケーシングを有していてもよく、蓄力器は一方ではモータプレートに支持されていて、他方ではモータ固定軸受に支持されている。これにより、蓄力器のばねのために、保持器が形成され、その結果、モータケーシングが軸受スリーブから離反する方に移動させられる場合に、モータプレートはモータ固定軸受に向かって移動させられ、ばねが逸脱する可能性はなくなる。ばねピンはこの場合、モータプレートに取り付けることができるが、この場合、ばねピンは、片側だけでモータ固定軸受に当接するので、ばねピンは、モータ固定軸受を貫通して、入力された力をかわすことができる。
【0016】
さらに、少なくとも1つの緊締または把持手段は、セルフロック式の台形ねじスピンドルまたはボール循環式スピンドルによって駆動されてもよい。セルフロック式のスピンドルは、動くためには、より高い付着摩擦力を克服しなければならない。このようなスピンドルにより駆動される緊締または把持手段の緩みは、これによりさらに困難になる。
【0017】
さらに、電気的な締付け装置によってワークピースを把持または緊締する方法であって、締付け装置は、駆動軸を備えた電気モータ、駆動軸を少なくとも1つの緊締または把持手段に接続するための力伝達手段、ならびに少なくとも1つの緊締または把持手段に予荷重を加えるための蓄力器を介して、少なくとも1つの緊締手段を操作する、方法が設けられている。この方法は、本発明によれば、駆動軸が、電気モータと力伝達手段との間に軸受スリーブを有しており、電気モータは、ワークピースの当接に達した後、回転し続け、軸受スリーブの内側に設けられてねじスリーブ内にガイドされたねじスピンドルによって、モータは、緊締または把持手段の前進運動のために必要な前進力よりも大きい、蓄力器の戻し力に抗して軸線方向で摺動させられることを特徴とする。
【0018】
上述した本発明を、以下に、1つの実施例につき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】電気モータによって、本発明による締付け装置を介して作動させられる、第1および第2の緊締手段を備えた緊締バイスを示す斜視図である。
図2図1による緊締バイスを示す側方の断面図である。
図3図2による緊締バイスの締付け装置を、非締付け状態で示す斜視図である。
図4図3による締付け装置を、非締付け状態で示す側方の断面図である。
図5図3による締付け装置を、締付け状態で示す側方の断面図である。
図6図3による締付け装置を、締付け状態で示す斜視図である。
【0020】
図1には、ケーシング20内に収容されている第1の緊締手段2および第2の緊締手段3を備えた緊締バイスの形態の緊締装置1が示されている。両緊締手段2および3は、ケーシング20に長手方向摺動可能にガイドされていて、図2の断面図に示された台形ねじスピンドル19によって互いに鏡像対称的に作動させられる。図2には、緊締装置1の側方の断面図がその限りで示されており、この緊締装置のケーシング20内では、第1の緊締手段2が、第2の緊締手段3に台形ねじスピンドル19を介して接続されている。台形ねじスピンドル19は、中心から鏡像対称的に延びるねじ山を有しているので、台形ねじスピンドル19の回転方向に応じて、緊締手段2および3は互いに接近移動するか、または互いに離反移動する。台形ねじスピンドル19は、その中心の領域にさらに、ねじ山付き区分を有していて、このねじ山付き区分は、緊締手段2および3の下方に配置された締付け装置の力伝達手段17に噛み合っている。締付け装置4の電気モータ5の力は、ねじ18を介して、最終的に台形ねじスピンドル19に、ひいては緊締手段2および3に伝達される。
【0021】
図3には、下面から図示された締付け装置4のみが示されている。電気モータ5は、この場合、まずはモータ固定軸受7を通って延在しており、このモータ固定軸受7において摺動可能に支持されている。電気モータ5においては、モータ固定軸受7に対向するモータプレート6において、相対回動不能かつ摩擦接続による接続が形成されている。モータプレート6とモータ固定軸受7との間には、蓄力器として、この場合6つの圧縮コイルばねから成るばねセット9が配置されていて、これらの圧縮コイルばねは、ばねピンによって固定されている、ばねピンは、モータプレート6に取り付けられていて、電気モータ5自体がモータプレートを、モータ固定軸受7に沿って滑動するように支持しており、この場合、ばねピンは、モータプレート6とモータ固定軸受7との間に可能な限り大きな間隔を画定するストッパをなしている。
【0022】
2つの伝動装置側面14の間には、力伝達手段17として歯車が配置されており、これらの歯車は、軸受側面15とモータ対応軸受8とにより側面固定された伝動装置18を介して、電気モータ5の、ここでは図示されていない駆動軸16に作用結合されている。伝動装置側面14を貫通して、電気モータ5の駆動軸16の一部である軸受スリーブ11がガイドされている。
【0023】
軸受スリーブ11は、図4において詳しく説明する中央の機能エレメントをなす。この断面図では、電気モータ5が、モータプレート6の向こう側で、ねじスピンドル13に接続されていて、このねじスピンドルは、対応するねじスリーブ12内に収容されていることがわかる。ねじスピンドル13は、具体的には、35mmのピッチを有した並目ねじスピンドルであり、ねじスリーブ12は、対応するねじ山を有しているので、ねじスピンドル13は、ねじスリーブ12に対する相対回動により、ねじスリーブから外に出される可能性がある。
【0024】
ねじスピンドル13とねじスリーブ12との間のこのような相対運動は、まず摩擦結合により阻止される。摩擦結合は、電気モータ5を、駆動軸16の方向に押すばねセット9の予荷重により形成される。電気モータ5の回転が、伝動装置18内での運動、力伝達手段17の回転、および最終的に緊締手段2および3の移動を生じさせることができ、かつそのための力が、ばねセット9によって生ぜしめられる、ねじスピンドル13とねじスリーブ12との間の摩擦結合よりも小さいならば、ねじスピンドル13とねじスリーブ12との間の相対運動は行われない。緊締手段2および3が、例えばワークピースを把持する場合に、当接に達した場合に初めて、送りのために必要な力が、摩擦結合よりも大きくなり、ねじスピンドル13は、ねじスリーブ12内で回転し始める。
【0025】
この状況は、図5に示されている。この図では、ねじスピンドル13は既に、ねじスリーブ12から特定の距離だけねじ出されており、これにより、モータプレート6は、モータ固定軸受7の方向に押された。このような摺動は、ばねセット9に対する押圧を必要とし、これにより、このために必要な力がばねセット内に蓄えられた。図6の斜視図でも示されているこの状況において、緊締手段2と3との間のワークピースが解除されると、ばねセット9は再度摺動し、ねじスピンドル13の戻り回転が、ばねセット9の力に抗してしか可能ではなく、場合によっては生じる運動が再び補償されるようにする。この場合、ねじスピンドル13のねじ山が、僅かな回転で既に、強力なばね力を生じさせるか、または逆に、ばねが大きな力でねじスピンドル13に作用することができるような並目ねじとして形成されているならば、特に有利である。
【0026】
したがって、セーフトルクオフ信号が発せられた後でも、緊締または把持手段の間でワークピースを後緊締するための力を加えることができる電気的に作動する緊締または把持装置が上述されている。
【符号の説明】
【0027】
1 緊締装置
2 第1の緊締手段
3 第2の緊締手段
4 締付け装置
5 電気モータ
6 モータプレート
7 モータ固定軸受
8 モータ対応軸受
9 ばねセット
10 モータケーシング
11 軸受スリーブ
12 ねじスリーブ
13 ねじスピンドル
14 伝動装置側面
15 軸受側面
16 駆動軸
17 力伝達手段
18 伝動装置
19 台形ねじスピンドル
20 ケーシング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】