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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100755
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】レーザ加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/08 20140101AFI20240719BHJP
【FI】
B23K26/10
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024033648
(22)【出願日】2024-03-06
(62)【分割の表示】P 2023004402の分割
【原出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】阿相 克
(72)【発明者】
【氏名】飯▲高▼ 誠
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168CB03
4E168CB07
4E168CB08
4E168FC01
4E168HA05
(57)【要約】
【課題】一つのレーザ加工装置で2D加工と3D加工とを簡単に切り換えできるレーザ加工システム提供する。
【解決手段】レーザ加工システム(ST)は、レーザビームで加工する第一のワークを保持するピボットテーブル(931)及びそれを少なくとも水平姿勢で姿勢変換させる駆動部(935)を有するピボットテーブルユニット(93)と、その両サイドに平行に敷設された一対のレール部(94,95)と、を備えた第一のレーザ加工ユニット(LU1)と、第二のワークを支持するワーク支持部(32)と、ワーク支持部(32)を支持するテーブルベース(31)と、テーブルベース(31)を支える支柱及び支柱を支持し、一対のレール部(94,95)の上を転動する車輪(313,314)を有するテーブル部(3)と、テーブルベース(31)が第一のレーザ加工ユニット(LU1)の上方に設置するとき、テーブル部(3)が一対のレール部(94,95)の上を車輪(313,314)のみで当接される第二のレーザ加工ユニット(LU2)と、を備えている。
【選択図】図8B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザビームで加工する第一のワークを保持するピボットテーブル、及び前記ピボットテーブルを少なくとも水平姿勢で姿勢変換させる駆動部を有するピボットテーブルユニットと、
前記ピボットテーブルユニットの両サイドに平行に敷設された一対のレール部と、を備えた第一のレーザ加工ユニットと、
第二のワークを支持するワーク支持部と、前記ワーク支持部を支持するテーブルベースと、前記テーブルベースを支える支柱及び前記支柱を支持し、前記一対のレール部の上を転動する車輪を有するテーブル部と、
前記テーブルベースが前記第一のレーザ加工ユニットの上方に設置するとき、前記テーブル部が前記一対のレール部の上を前記車輪のみで当接される第二のレーザ加工ユニットと、
を備えたレーザ加工システム。
【請求項2】
前記テーブル部を載せて移動可能な台車を備え、前記テーブル部は、前記台車から前記一対のレール部に載せ替え可能である請求項1記載のレーザ加工システム。
【請求項3】
前記一対のレール部の一方は、横断面形状が六角形の棒レールであり、前記棒レールを転動する前記車輪は、前記六角形に対応した糸巻ボビン状に形成されて転動の際に前記棒レールに直交する水平方向に位置決めされる請求項1記載のレーザ加工システム。
【請求項4】
前記テーブル部は、凹部が形成されたロック被係合部を有し、
前記第一のレーザ加工ユニット及び前記第二のレーザ加工ユニットは、出没する突出ロック部を有するテーブルロッカーを備え、
前記突出ロック部が突出して前記凹部に係合することで前記テーブル部の進退方向の位置決めをする請求項1記載のレーザ加工システム。
【請求項5】
前記レーザビームを射出するレーザ加工ヘッドの動作を制御する制御装置を備え、
前記テーブルロッカーの突出ロック部の動作はスイッチ操作で実行されて動作情報が前記制御装置に入力するようになっており、
前記制御装置は、前記突出ロック部が前記凹部に係合したと判定したら、インターロック領域を前記テーブル部を用いた加工に対応する領域に変更する請求項4記載のレーザ加工システム。
【請求項6】
前記テーブル部が進入する位置を検出する検出装置と、
前記レーザビームを射出するレーザ加工ヘッドの動作を制御し、前記検出装置で検出した前記テーブル部が前記ピボットテーブルユニットを覆う所定の位置にあるか否かを判定する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記テーブル部が前記所定の位置にあると判定したら、インターロック領域を前記テーブル部を用いた加工に対応する領域に変更する請求項1記載のレーザ加工システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工システムに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザビームによって、板金などの平板ワーク或いはパイプなどの棒状ワークを加工する2次元加工(以下、2D加工)、及び立体的に成型された立体ワークを加工する3次元加工(以下、3D加工)を行う場合、それぞれ2D加工用のレーザ加工装置及び3D加工用のレーザ加工装置を用いるのが一般的である。特許文献1には、棒状ワークを加工する2D加工用のレーザ加工装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5645595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
装置の設置スペース,装置立ち上げ時の段取り工数,及び装置のメンテナンス工数を削減する観点から、2D加工と3D加工とを、別々のレーザ加工装置ではなく一つのレーザ加工装置で行えることが望まれる。しかしながら、1つのレーザ加工装置で2D加工及び3D加工を行う場合、平板ワークを水平姿勢で保持する2D加工用のテーブルと立体ワークを姿勢変換可能に保持する3D加工用のテーブルとの切り換え作業と、位置調整作業とが煩雑で困難な作業となる。そのため、一つのレーザ加工装置で2D加工と3D加工とを簡単に切り換えできることが期待されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様は次の構成を有する。
レーザビームで加工する第一のワークを保持するピボットテーブル、及び前記ピボットテーブルを少なくとも水平姿勢で姿勢変換させる駆動部を有するピボットテーブルユニットと、
前記ピボットテーブルユニットの両サイドに平行に敷設された一対のレール部と、を備えた第一のレーザ加工ユニットと、
第二のワークを支持するワーク支持部と、前記ワーク支持部を支持するテーブルベースと、前記テーブルベースを支える支柱及び前記支柱を支持し、前記一対のレール部の上を転動する車輪を有するテーブル部と、
前記テーブルベースが前記第一のレーザ加工ユニットの上方に設置するとき、前記テーブル部が前記一対のレール部の上を前記車輪のみで当接される第二のレーザ加工ユニットと、
を備えたレーザ加工システム。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一態様によれば、一つのレーザ加工装置で2D加工と3D加工とを簡単に切り換えできる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明の実施の形態に係るレーザ加工システムのレーザ加工装置91を示す斜視図である。
図2A図2Aは、レーザ加工装置91のパーテーション本体911を取り外した状態を示す斜視図である。
図2B図2Bは、レーザ加工装置91が備える係合ピン部81を示す前面図である。
図3図3は、レーザ加工装置91が備えるピボットテーブルユニット93を示す斜視図である。
図4A図4Aは、レーザ加工装置91が備える平レール部94を示す前面図である。
図4B図4Bは、平レール部94の前部を示す上面図である。
図4C図4Cは、レーザ加工装置91が備える棒レール部95を示す前面図である。
図4D図4Dは、棒レール部95の前部を示す上面図である。
図5A図5Aは、レーザ加工装置91に装脱可能なテーブル部3として平板テーブル部3Aを備えたテーブル体1を示す斜視図である。
図5B図5Bは、レーザ加工装置91に装脱可能なテーブル部3として棒材テーブル部3Bを備えたテーブル体1を示す斜視図である。
図6A図6Aは、台車2から取り外したテーブル部3を示す斜視図である。
図6B図6Bは、テーブル体1が備える台車2を示す斜視図である。
図6C図6Cは、図6Bにおける矢視A図である。
図7A図7Aは、テーブル体1のキャスタ21dとその近傍を示す後面図である。
図7B図7Bは、テーブル体1のキャスタ21cとその近傍を示す後面図である。
図8A図8Aは、レーザ加工装置91にテーブル体1を連結した状態を示す模式的右側面図である。
図8B図8Bは、図8Aに対しテーブル部3をレーザ加工装置91の内部に移動した状態を示す模式的右側面図である。
図9A図9Aは、レーザ加工装置91の内部に移動したテーブル部3の左前部を示す前面図である。
図9B図9Bは、レーザ加工装置91に連結した台車2の左側の連結部分を示す上面図である。
図10A図10Aは、レーザ加工装置91の内部に移動したテーブル部3の右前部を示す前面図である。
図10B図10Bは、レーザ加工装置91に連結した台車2の右側の連結部分を示す上面図である。
図11図11は、レーザ加工装置91に連結した台車2の右側の連結部分を示す左側面部である。
図12A図12Aは、レーザ加工装置91が備えるテーブルロッカー98を示す斜視図である。
図12B図12Bは、テーブルロッカー98によるテーブル部3のテーブルベース31のロック状態を示す上面図である。
図13図13は、テーブル部3とピボットテーブルユニット93との高さの関係を説明するための模式的前面図である。
図14A図14Aは、ピボットテーブルユニット93を用いた3D加工から平板テーブル部3Aを用いた2D加工に切り換える手順及び状態遷移例を示したフロー図である。
図14B図14Bは、平板テーブル部3Aを用いた2D加工からピボットテーブルユニット93を用いた3D加工に切り換える手順及び状態遷移例を示したフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一態様のレーザ加工システムが備えるレーザ加工装置91について、図1図4Dを参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態のレーザ加工システムが備えるレーザ加工装置91を示す斜視図である。図2Aは、レーザ加工装置91のパーテーション本体911を取り外した状態を示す斜視図であり、図2Bは、レーザ加工装置91が備える係合ピン部81を示す前面図である。図3は、レーザ加工装置91が備えるピボットテーブルユニット93を示す斜視図である。図4Aは、レーザ加工装置91が備える平レール部94を示す前面図であり、図4Bは、平レール部94の前部を示す上面図である。図4Cは、レーザ加工装置91が備える棒レール部95を示す前面図であり、図4Dは、棒レール部95の前部を示す上面図である。説明の便宜上、上下左右前後の各方向を、図1に矢印で示された方向に規定する。
【0009】
以下の説明において、平板テーブル部3A(図5A参照)に支持された板金などの平板ワーク、及び棒材テーブル部3B(図5B参照)に保持された棒状ワークに対する2次元加工を2D加工と称する。また、ピボットテーブルユニット93(図3参照)で保持された立体ワークに対する3次元加工を3D加工と称する。ピボットテーブルユニット93は、直交する2軸まわりに独立回動可能なピボットテーブル931を有し、ピボットテーブル931によって立体ワークを姿勢変換可能に保持するテーブル装置である。レーザ加工システムST(図8A参照)は、レーザ加工装置91とテーブル部3(図5A参照)とを備えて構成されている。テーブル部3は、台車2と共にテーブル体1を構成する(図5A参照)。
【0010】
まず、レーザ加工装置91について説明する。図1に示されるように、レーザ加工装置91は、外観としてパーテーション本体911を備える。パーテーション本体911は、内部が空間とされた六面体の殻状に形成されており、前面に観音開きで開閉する左扉912及び右扉913を有し、右側面に外開きする側面扉914を有する。
【0011】
パーテーション本体911の内部には、レーザ加工ヘッド92,ピボットテーブルユニット93,平レール部94,棒レール部95,及び制御装置99が配置されている。パーテーション本体911の天板の中央部位にはカメラ装置97を有する。カメラ装置97は、パーテーション本体911の内部の平面画像を撮像し、制御装置99に向け出力する。後述のように、パーテーション本体911の内部にはテーブル部3が出入りする。
【0012】
図2を参照してパーテーション本体911の内部について説明する。
パーテーション本体911の内部には、直方体状に枠組みされたフレーム体96が配置されている。フレーム体96の上部には、前後に延びる左上フレーム96b及び右上フレーム96cが左右に離隔して平行に配置され、左上フレーム96b及び右上フレーム96cには、左右に延びるステー96dが前後方向に移動可能(矢印DRa)に支持されている。ステー96dは、キャリッジ92cを左右方向に移動可能(矢印DRb)に支持しており、キャリッジ92cは、レーザ加工ヘッド92を上下方向に移動可能(矢印DRc)に支持している。それぞれの移動は、制御装置99の制御の下、不図示の駆動部によって行われる。これにより、レーザ加工ヘッド92は、前後左右上下の各方向に、独立して及び同時に移動する。
【0013】
レーザ加工ヘッド92は、ヘッド本体部92aとヘッド本体部92aの先端に取り付けられたノズル92bとを有する。ノズル92bの先端からレーザビームが射出される。レーザ加工ヘッド92は、図2Aにおける前後方向に延びる回動軸まわり及び上下方向に延びる回動軸まわりに回動可能となっている。これにより、レーザ加工ヘッド92自体の3次元移動と併せレーザビームの光軸を任意の方向にして、ピボットテーブルユニット93に保持された立体ワークの任意の部位に対しレーザビームによる3次元加工(以下、3D加工)が可能となっている。
【0014】
ピボットテーブルユニット93は、パーテーション本体911が設置された床FLの概ね中央位置に配置されている。床FLには、ピボットテーブルユニット93の左右の両サイドに平行に離隔して前後に延びる一対のレール部として平レール部94及び棒レール部95が敷設されている。一対のレール部である平レール部94及び棒レール部95の設置高さは限定されない。
【0015】
フレーム体96の前下部には、左右に延びる前下フレーム96a1が設置され、前下フレーム96a1の前側に隣接して、高さが低く段となる下段フレーム96aが設置されている。下段フレーム96aにおける棒レール部95に対応した部位には、係合ピン部81が取り付けられている。
【0016】
係合ピン部81は、図2Bに示されるように、上方に突出した部位を有するプレート812と、プレート812に立設された係合ピン811とを有する。
係合ピン811は、頭部が棒レール部95の棒レール956(図10A参照:詳細は後述)に対応した高さに位置し、前面視において、棒レール956の左側近傍となる位置に配置されている。
【0017】
図2Aにおいて、フレーム体96の右側の前後中央付近には、上下に延びる右中央柱部96eが配置されている。右中央柱部96eの内側の面の上下方向における中央より少し下の部位には、テーブルロッカー98及びスイッチ982が取り付けられている。
【0018】
ピボットテーブルユニット93は、図3に示されるように、ピボットテーブル931,駆動部としてのCRモータ932,ベース933,軸部934,及び駆動部としてのCSモータ935を有する。
【0019】
ピボットテーブル931は円盤状に形成されており、ピボットテーブル931上には成型等で立体化された立体ワークが不図示の固定具によって固定される。ピボットテーブル931は、CRモータ932の駆動軸に連結されて軸線CRまわりに回動する(矢印DRd)。また、ピボットテーブル931及びCRモータ932は、一対の軸部934を介しベース933に対し軸線CSまわりに回動可能(矢印DRd1)に支持されている。ピボットテーブル931は、軸線CR及び軸線CSの2軸ではなく、軸線CRのみの1軸まわりに回動するものであってもよい。また、ピボットテーブル931は回動しない固定テーブルであってもよい。また、ピボットテーブル931は、軸線CR及び軸線CSに直交する、図3における左右方向に延びる軸線まわりも含めた3軸まわりに回動するものであってもよい。
【0020】
軸部934は、CSモータ935の駆動軸に連結されている。従って、ピボットテーブル931は、軸線CR及び軸線CSの2軸まわりに回動する。CRモータ932及びCSモータ935の動作は、制御装置99によって制御される。これにより、ピボットテーブルユニット93に取り付けられた立体ワークは、制御装置99の制御によって所望の姿勢とされレーザビームで3D加工される。
【0021】
図4A及び図4Bに示されるように、平レール部94は、前後に延びるレールフレーム942を有する。レールフレーム942は、横断面形状がコ字状を呈し、下方が開口側となる姿勢で床FLに設置された平レールベース941の上面に支持されている。レールフレーム942の前端部の左側面には、ブラケット943が上方に延びるように取り付けられており、右側面には、ねじ止め支柱945が上方に延びるように取り付けられている。ねじ止め支柱945は、上面に開口して下方にのびる雌ねじ部945aを有する。ブラケット943の左面の上部には、いわゆるパッチン錠(Lockable latch with catch)の被引っ掛け部材であるフック掛け具944が取り付けられている。
【0022】
図4C及び図4Dに示されるように、棒レール部95は、前後に延びるレールフレーム952と、レールフレーム952の上方に配置された棒レール956とを有する。レールフレーム952は、横断面形状がコ字状を呈し、下方が開口側となる姿勢で床FLに設置された棒レールベース951の上面に支持されている。
【0023】
棒レール956は横断面形状が正六角形を呈し、一辺が水平となる姿勢でレールフレーム952の上面に直接的又は間接的に取り付けられている。レールフレーム952の前端部の左側面には、ねじ止め支柱955が上方に延びるように取り付けられている。ねじ止め支柱955は、上面に開口して下方に延びる雌ねじ部955aを有する。レールフレーム952の左側面には、ブラケット953が上方に延びるように取り付けられている。ブラケット953の左側面の上部には、パッチン錠を構成するフック掛け具954が取り付けられている。
【0024】
平レール部94のレールフレーム942と、棒レール部95の棒レール956とは、テーブル部3をレーザ加工装置91の内部に移動させる際に、それぞれ後述するテーブルベース31のキャスタ311a,311d(図7A)と、キャスタ311b,311c(図7B)が乗るレールとして機能する。
【0025】
次に、パーテーション本体911の内部に出入りするテーブル体1について、図5A図7Bを参照して説明する。図5Aは、レーザ加工装置91に装脱可能なテーブル部3として平板テーブル部3Aを備えたテーブル体1を示す斜視図である。図5Bは、レーザ加工装置91に装脱可能なテーブル部3として棒材テーブル部3Bを備えたテーブル体1を示す斜視図である。図6Aは、テーブル部3を示す斜視図であり、図6Bは、テーブル体1が備える台車2を示す斜視図であり、図6Cは、図6Bにおける矢視A図である。図7Aは、テーブル体1のキャスタ21dとその近傍を示す後面図であり、図7Bは、テーブル体1のキャスタ21cとその近傍を示す後面図である。
【0026】
図5A及び図5Bに示されるように、テーブル体1は、台車2と、台車2に載せられたテーブル部3とを備える。テーブル部3は、図5Aに示される、平板ワークを載置するための平板テーブル部3Aと、図5Bに示される、棒状ワークを載置するための棒材テーブル部3Bとに変更可能となっている。まず、平板テーブル部3Aを備えたテーブル体1について説明する。
【0027】
テーブル体1が備える台車2は、図6Bに示されるように、扁平の四角枠体のフレーム体21を備えている。フレーム体21は、前後方向に延びる第1台車レール部24と、第1台車レール部24の右側に平行に離隔配置された第2台車レール部25と、左右の延び前後に離隔配置された一対の連結フレーム26とを有する。第1台車レール部24及び第2台車レール部25は、前端及び後端において連結フレーム26によって連結されている。
【0028】
フレーム体21の下面の四隅には、それぞれキャスタ21a~21dが取り付けられている。これにより、台車2は人力によって床FL上を移動可能となっている。
【0029】
第1台車レール部24は、図6B及び図7Aに示されるように、横断面形状がコ字状を呈し、上方が開口し前後に延びる姿勢で配置されたフレーム242を有する。図6Bに示されるように、フレーム242の左側面の後端部には、いわゆるパッチン錠である連結具の連結具基部247が取り付けられている。
【0030】
第2台車レール部25は、図6B及び図7Bに示されるように、横断面形状がコ字状を呈し、上方が開口し前後に延びる姿勢で配置されたフレーム252と、フレーム252の底部の上面252bに前後に延びる姿勢で固定された棒レール256とを有する。棒レール256は、レーザ加工装置91の棒レール956と同じ寸法の横断面形状を有する。すなわち、棒レール256は、横断面形状が正六角形を呈し、一辺が水平となる姿勢で上面252bに取り付けられている。図6B及び図6Cに示されるように、フレーム252の左側面の後端部には、いわゆるパッチン錠である連結具の連結具基部257が取り付けられている。また、フレーム252の左右の側部は、底部よりも後方側に延出しており、底部の先端部には、前方にV字形状で切り込まれた誘導切り込み部252aが形成されている。
【0031】
台車2は、前方側の連結フレーム26の前面に取り付けられた踏み込みストッパ22を有する。
【0032】
図5Aに示されるように、平板テーブル部3Aは、テーブルベース31,複数のワーク支持部32からなるワーク支持部群32G,回転駆動部34,ロック被係合部37を備えている。
テーブルベース31は、上下に薄い扁平で上方が開放した箱状部材である。ワーク支持部32は、上縁部のほぼ全範囲が鋸刃状に形成され前後に延びる薄板部材である。ワーク支持部32は、左右方向に平行に離隔して複数枚が整列配置され、ワーク支持部群32Gを構成している。このワーク支持部群32Gに平板ワークが載置される。
【0033】
テーブルベース31の内部空間の空気は、ダクト(不図示)を通して外部の集塵機で吸引される。これにより、レーザ加工によって生じたヒュームなどの不要物が強制的に排出される。
【0034】
回転駆動部34は、軸線CLBが左右方向に延びる姿勢の棒状ワークを、その一端部(右端部)側で保持する不図示のチャックと、チャックに保持した棒状ワークを軸線CLBまわりに回動させる不図示の駆動部とを有する。回転駆動部34の動作は、制御装置99によって制御される。回転駆動部34は、平板テーブル部3Aとしては使用しないが、後述の棒材テーブル部3Bに仕様変更した際に使用する。
【0035】
ロック被係合部37は、テーブルベース31の右後部の右側面に後方に突出するように取り付けられている。ロック被係合部37には、テーブルロッカー98(図2A及び図12A参照)における突出ロック部981が突出して係合し、テーブル部3の前後方向の移動が規制される。
【0036】
図5Aにおいて、テーブルベース31の四隅の下部には、4本の支柱312a~312dが取り付けられている。支柱312a~312dの下端部には、キャスタ311a~311dが取り付けられており、前後方向に人力で移動可能となっている。
【0037】
キャスタ311a,311d及びキャスタ311b,311cは、それぞれ台車2の第1台車レール部24及び第2台車レール部25に乗り、テーブル部3は台車2の上で前後方向に移動可能となっている。詳しくは、図7Aに示されるように、キャスタ311a,311dの円盤状の車輪313が第1台車レール部24のフレーム242の上面242bを転動し、図7Bに示されるように、キャスタ311b,311cの車輪314が第2台車レール部25の棒レール256上を転動するようになっている。
【0038】
車輪314は、円盤状の胴部314aと、その両端側の、胴部314aから軸に沿って離れるに従い外径が拡大する径拡張部314bとを有して、略糸巻ボビン状に形成されている。車輪314は、棒レール256に対し、径拡張部314bが棒レール256の傾斜面に当接するようになっている。これにより、テーブル部3は、フレーム242及び棒レール256に対する車輪313,314の当接によって上下方向の位置が決められ、棒レール256に対する車輪314の当接によって左右方向の位置が一定の精度で決められる。
【0039】
平板テーブル部3Aは、次のように一部の部材を置き換えることで、棒材テーブル部3Bに変更できる。具体的には、図5Bに示されるように、平板テーブル部3Aのワーク支持部32を、後部側の上縁部のみが鋸刃状に形成されているワーク支持部32Bに入れ換えてワーク支持部群32BGとする。さらに軸線CLB上に左右方向に移動可能な中間支持具342を取り付け、中間支持具342よりも左側の軸線CLB上に、左右方向に移動可能な端末支持具341を取り付ける。
これにより、軸線CLBを軸とする姿勢の棒状ワークは、左側の第1端部が端末支持具341によって支持され、反対側の第2端部が回転駆動部34によって保持されると共に、軸線CLBまわりに回動させてレーザ加工ヘッド92から射出されたレーザビームによって2D加工される。
【0040】
棒材テーブル部3Bは、上記手順と逆の手順で平板テーブル部3Aに戻すことができる。この方法では、台車2及びテーブルベース31を平板テーブル部3Aと棒材テーブル部3Bとで共用できる。もちろん、平板テーブル部3Aと棒材テーブル部3Bとをそれぞれ単独で備えておいてレーザ加工に利用してもよい。
【0041】
平板テーブル部3A及び棒材テーブル部3Bのいずれかのテーブル部3を搭載したテーブル体1は、レーザ加工装置91に対し台車2のレールとレーザ加工装置91のレールとを突き合わせた位置にして、台車2に搭載したテーブル部3をレーザ加工装置91の内部に送り込むことができる。また、同様にして、送り込んだテーブル部3を回収することができる。これについて、図8A及び図8Bを参照して説明する。
【0042】
図8Aは、レーザ加工装置91にテーブル体1を連結した状態を示す模式的右側面図であり、図8Bは、図8Aに対しテーブル部3をレーザ加工装置91の内部に移動した状態を示す模式的右側面図である。
【0043】
図8Aに示されるように、レーザ加工装置91の内部には、一対のレール部94,95が敷設されている。一対のレール部94,95は、詳しくは平レール部94及び棒レール部95である。棒レール部95と平レール部94との間には、ピボットテーブルユニット93が設置されている。レーザ加工装置91の停止状態で、ピボットテーブルユニット93の上方には、レーザ加工ヘッド92が待機状態とされている。
【0044】
図1に示される左扉912及び右扉913を開け、テーブル体1をレーザ加工装置91に連結する。詳しくは、テーブル部3を載せた台車2を、レーザ加工装置91に後述する所定の作業で連結する(図8Aの矢印DRe)。これにより、台車2のフレーム242及び棒レール256が、それぞれレーザ加工装置91のレールフレーム942及び棒レール956に突き合わされて実質的に連続した状態となる。そこでテーブル部3を、台車2からレーザ加工装置91の内部に人力で移動し(DRf)、後述の所定作業で所定の位置にロックする。
【0045】
ピボットテーブルユニット93は、テーブル部3がレーザ加工装置91の内部に移動しても、テーブルベース31の下側に入り込み干渉しないようになっている。そのため、テーブル部3が平板テーブル部3Aを有する場合は、ピボットテーブルユニット93を移設することなく、平板テーブル部3Aが支持した平板ワークに対しレーザ加工ヘッド92から射出されるレーザビームによって2D加工が可能となる。また、テーブル部3が棒材テーブル部3Bを有する場合も、ピボットテーブルユニット93を移設することなく棒材テーブル部3Bが支持した棒状ワークに対し、レーザ加工ヘッド92から射出されるレーザビームによって2D加工が可能となる。
【0046】
レーザ加工装置91の内部にテーブル部3が装着された状態では、ピボットテーブルユニット93は使用しない。そのため、インターロック領域の変更として、レーザ加工ヘッド92のピボットテーブルユニット93を用いる3D加工における動作範囲を、それよりも限定された2D加工における動作範囲に変更する。
【0047】
レーザ加工装置91内のテーブル部3は、ロックを解除し、連結させた台車2に再び人力で移載して(矢印DRg)、レーザ加工装置91から取り除くことができる。
【0048】
台車2のレールとレーザ加工装置91のレールとの連結は、いわゆるパッチン錠と称される連結具を用いる。また、レーザ加工装置91の内部に移動したテーブル部3の前後方向の位置決めにはテーブルロッカー98を用い、テーブル部3のロックは、ねじ止め支柱945,955に対し締め込み具35a,35bを締め込むことで行う。これらについて、図6A図9A図12Bとを参照して説明する。
【0049】
図9Aは、レーザ加工装置91の内部に移動したテーブル部3の左前部を示す前面図であり、図9Bは、レーザ加工装置91に接続した台車2の左側の連結部分を示す上面図である。図10Aは、レーザ加工装置91の内部に移動したテーブル部3の右前部を示す前面図であり、図10Bは、レーザ加工装置91に接続した台車2の右側の連結部分を示す上面図である。図11は、レーザ加工装置91に接続した台車2の右側の連結部分を示す左側面部である。図12Aは、レーザ加工装置91が備えるテーブルロッカー98を示す斜視図であり、図12Bは、テーブルロッカー98によるテーブル部3のテーブルベース31のロック状態を示す上面図である。
【0050】
図6Aは、テーブル部3を示す斜視図である。台車2からレーザ加工装置91の内部に移動した状態のテーブル部3のみを示している。
テーブル部3は、左前下のキャスタ311aにブラケット36aとブラケット36aに上下移動自由に支持された締め込み具35aとを有し、右前下のキャスタ311bにブラケット36bとブラケット36bに上下移動自由に支持された締め込み具35bとを有する。締め込み具35a,35bは、軸部の先端側に雄ねじを有する。
【0051】
まず、台車2をレーザ加工装置91の連結する際には、図9B及び図10Bに示されるように、平レール部94のレールフレーム942及び棒レール部95の棒レール956の前端それぞれに、第1台車レール部24のフレーム242及び第2台車レール部25のフレーム252の後端が対応するように台車2を移動する。
このとき、図10Bに示されるように、フレーム252の後端に形成した誘導切り込み部252aに、レーザ加工装置91側の係合ピン部81の係合ピン811が係合して、台車2の左右方向の位置が所定の位置となるように案内される。これにより、作業者は、台車2を、レール同士が突き当てられるように接近移動させれば、自ずと左右方向の位置決めがなされる。
【0052】
次いで、連結具基部247,257のフックをそれぞれフック掛け具944,954に引っ掛ける。図9B及び図10Bは、すでに引っ掛けた状態が示されている。これにより、フレーム242,252がそれぞれレールフレーム942,952に強く引き寄せられる。これにより、台車2はレーザ加工装置91に連結した状態で維持される。
【0053】
次いで、テーブルロッカー98を動作させる。図2A図12A,及び図12Bに示されるように、テーブルロッカー98は、右中央柱部96eに取り付けられている。テーブルロッカー98の下方には、スイッチ982が併設されており、作業者がスイッチ982をONにすることで突出ロック部981が通常状態から左方に突出し、OFFにすることで引き込まれて通常状態に復帰するようになっている(矢印DRh参照)。
【0054】
連結具基部247,257のフックをそれぞれフック掛け具944,954に引っ掛け、台車2をレーザ加工装置91に連結した状態でテーブル部3をレーザ加工装置91の内部に移動すると、テーブルベース31の右後端に取り付けられているロック被係合部37(図6A参照)が、図12Bに示されるようにテーブルロッカー98に対応した位置にくる。ロック被係合部37は、上面視において略台形形状で左方に抉られた凹部371が形成された部材である。
この状態で、スイッチ982をONにすることで、突出ロック部981が左方に突出しロック被係合部37に係合し、テーブル部3は前後方向に位置決めされる。また、テーブル部3がテーブルロッカー98でロック可能な位置にあるときに、不図示のコネクタとプラグの接続が行われ、テーブル部3の回転駆動部34とレーザ加工装置91の制御装置99との間の通信及び電源供給が確保されるようになっている。
【0055】
図9A及び図10Aに示されるように、テーブルロッカー98によってテーブル部3の前後方向の位置が決められると、締め込み具35a,35bは、それぞれ、ねじ止め支柱945,955の雌ねじ部945a,955aに螺合可能な位置にくる。そこで、作業者は、締め込み具35a,35bをねじ止め支柱945,955の雌ねじ部945a,955aに螺合させて締め込む。これにより、テーブル部3は、テーブルロッカー98によって決められた位置にしっかりと固定される。
【0056】
図11に示されるように、締め込み具35bを締め込む前の状態で、それを支持するブラケット36bは、ねじ止め支柱955との間に上下方向に隙間が生じるように作られている。従って、締め込み具35bを締め込むことでこの隙間がなくなり、ブラケット36bはねじ止め支柱955に当接するように押し付けられる。そのため、ブラケット36bを支持するキャスタ311bも、棒レール956に押し付けられるのでより確実にテーブル部3は固定される。この構成は、左側のねじ止め支柱945とブラケット36aとにおいても同様である。
【0057】
図13に示されるように、テーブル部3は、平レール部94及び棒レール部95の上を移動してレーザ加工装置91の内部の所定の位置に収められた状態で、テーブルベース31がピボットテーブルユニット93を覆い、テーブルベース31の下面と水平姿勢のピボットテーブルユニット93の上面との間に、上下方向で距離Haの隙間が生じるようになっている。これにより、3D加工に利用するピボットテーブルユニット93を設置したままで、テーブル部3による2D加工を実行することができる。
また、待機位置にあるレーザ加工ヘッド92は、テーブル部3が平板テーブル部3Aの場合は、ワーク支持部群32Gに対して干渉しない上方にある。また、テーブル部3が棒材テーブル部3Bの場合は、ワーク支持部群32BGはもとより、端末支持具341及び中間支持具342(図5B参照)と干渉しないよう十分上方にある。
【0058】
スイッチ982からはON/OFFを特定する信号が制御装置99に向け出力される。制御装置99は、スイッチ982がONとなったら、平板テーブル部3A及び棒材テーブル部3Bのいずれか一方の仕様とされたテーブル部3がレーザ加工装置91の内部に設置されたと判定し、インターロック領域をピボットテーブルユニット93を用いた場合の3D加工領域からテーブル部3を用いた場合の2D加工領域に変更する。
【0059】
スイッチ982のOFFからONへの切り換えに伴うインターロック領域の切り換えを、制御装置99の制御による切り換えとしてもよい。具体的には、制御装置99は、スイッチ982がONになった場合に、レーザ加工装置91内にテーブル部3が有るか否かをカメラ装置97(図1参照)が撮像したピボットテーブルユニット93方向の画像からテーブル部3の有無を解析する。制御装置99は、その解析結果に基づき、テーブル部3が有ると判定した場合にインターロック領域を切り換えるようにしてもよい。
【0060】
テーブル部3をレーザ加工装置91内から外部の台車2へ移動させる際には、スイッチ982がOFFになったら、制御装置99は、カメラ装置97が撮像したピボットテーブルユニット93方向の画像の監視を開始し、テーブル部3が外部に移動したか否かを判定する。すなわち、カメラ装置97は、テーブル部3の有無を検出する検出装置として機能する。検出装置は、画像を撮像するカメラ装置に限定されるものではなく、近接スイッチなどの非接触センサ、或いは接触センサなどであってもよい。
【0061】
上述の構成を有するレーザ加工装置91の内部にテーブル部3を配置する作業とその逆の作業について、それぞれ図14A図14Bを参照して説明する。
【0062】
図14Aは、ピボットテーブルユニット93を用いた3D加工から平板テーブル部3Aを用いた2D加工に切り換える際の手順及び状態遷移の例を示したフロー図である。図14Bは、2D加工から3D加工に切り換える手順及び状態遷移の例を示したフロー図である。図14A及び図14Bのフロー図に含まれる人為的動作は、自動機の動作に置き換えることも可能である。例えば、テーブル部3は作業者によって人力で移動させる例が示されているが、テーブル部3を自律走行するものに置き換えることができる。
【0063】
図14Aに示される3D加工から2D加工への切替作業において、まず作業者は、ピボットテーブルユニット93のピボットテーブル931を水平姿勢とし、レーザ加工ヘッド92は待機位置に移動する。その後、パーテーション本体911における開閉扉(左扉912及び右扉913)を開ける。これにより、制御装置99は、レーザ加工装置91を加工動作停止状態にする(S1)。
【0064】
作業者は、テーブル体1をレーザ加工装置91に接続する(S2)。詳しくは、第1台車レール部24及び第2台車レール部25を、レーザ加工装置91の平レール部94及び棒レール部95に接続する位置に移動する。その際、係合ピン部81の係合ピン811が、フレーム252の誘導切り込み部252aに誘導されて左右方向の位置合わせが行われる(S3)。
【0065】
次いで、作業者は、いわゆるパッチン錠である連結具基部257のフックを、連結具基部247に引っ掛けて固定する(S4)。これにより、テーブル体1の台車2がレーザ加工装置91に引き寄せられて連結される。
【0066】
作業者は、テーブル部3を押して台車2からレーザ加工装置91の内部に移動する(S5)。
【0067】
作業者は、テーブルロッカー98のスイッチ982をONにする(S6)。制御装置99は、スイッチ982がONになったことを受け、カメラ装置97から出力された撮像画像を解析してテーブル部3が所定位置にあるか否かを判定する(S7)。
【0068】
制御装置99は、テーブル部3が所定位置にない(S7:No)、と判定したら、不図示の出力装置からエラー情報を機械操作画面へのアラーム表示或いは音で出力する(S8)。作業者は、エラー情報を確認したら、テーブルロッカー98のスイッチ982をOFFにし(S81)、台車2の位置を確認して(S82)、工程(S6)に戻る。制御装置99は、テーブル部3が所定位置にある(S7:Yes)、と判定したら、インターロック領域を3D加工から2D加工に対応する領域に変更する(S9)。制御装置99は、この判定結果及びインターロック領域の変更を不図示の出力装置(ディスプレイなど)に表示する。
【0069】
作業者は、インターロック領域の変更を確認したら、締め込み具35a,35bを締め込んでテーブル部3をレーザ加工装置91にしっかり固定する(S10)。
【0070】
次いで、作業者は、連結具基部247及び連結具基部257のフック掛けを解除する(S11)。これにより、テーブル体1の台車2とレーザ加工装置91との連結が解除される。次に、作業者は、台車2を所定の待機場所へ移動し(S12)、開閉扉(左扉912及び右扉913)を閉じる。これにより、制御装置99は、レーザ加工装置91を加工動作可能状態とする(S13)。
【0071】
次に、図14Bに示される、テーブル部3を利用する2D加工からピボットテーブルユニット93を利用する3D加工への切替作業を説明する。
【0072】
まず、作業者は、ピボットテーブルユニット93のピボットテーブル931を水平姿勢とし、レーザ加工ヘッド92は待機位置に移動する。その後、パーテーション本体911における開閉扉(左扉912及び右扉913)を開ける。これにより、制御装置99は、レーザ加工装置91を加工動作停止状態とする(S21)。
【0073】
作業者は、テーブル体1をレーザ加工装置91に接続する。詳しくは、第1台車レール部24及び第2台車レール部25を、レーザ加工装置91の平レール部94及び棒レール部95に接続する位置に移動する。その際、係合ピン部81の係合ピン811が、フレーム252の誘導切り込み部252aに誘導されて左右方向の位置合わせが行われる(S22)。
【0074】
次いで、作業者は、いわゆるパッチン錠である連結具基部247,257のフックを、フック掛け具944,954に引っ掛けて固定する(S225)。これにより、テーブル体1の台車2がレーザ加工装置91に引き寄せられ、押し付けられた状態で連結される。作業者は、ONになっているテーブルロッカー98のスイッチ982をOFFにする(S23)。制御装置99は、スイッチ982がONからOFFになったことを受け、カメラ装置97から出力されるピボットテーブルユニット93方向の画像の監視を開始し、画像にテーブル部3が含まれるか否を常に画像解析して判定する。
【0075】
作業者は、締め込み具35a,35bを緩めて固定を解除し(S24)、テーブル部3を引いてレーザ加工装置91の内部から外部の台車2の上に移動する(S25)。
【0076】
制御装置99は、カメラ装置97からの撮像画像の解析によって、工程S25の動作に伴いテーブル部3が外部に移動してレーザ加工装置91内にない、と判定したら(S26:Yes)、インターロック領域を2D加工から3D加工に対応した領域に変更し(S28)、その旨を不図示の出力装置から出力する。制御装置99は、テーブル部がある、と判定したら(S26:NO)、エラー情報を出力し(S27)、工程(S25)へ戻る。
【0077】
次いで、作業者は、連結具基部247及び連結具基部257のフック掛けを解除する(S285)。これにより、テーブル体1の台車2とレーザ加工装置91の連結が解除される。
作業者は、テーブル部3が載った台車2を所定の待機場所へ移動し(S29)、開閉扉(左扉912及び右扉913)を閉じる。制御装置99は、開閉扉が閉じられたことを受けてレーザ加工装置91を加工動作可能状態とする(S30)。
【0078】
以上詳述のように、レーザ加工装置91は、レーザ加工として、3D保持治具であるピボットテーブルユニット93を用いた3D加工と2D保持治具であるテーブル部3を用いた2D加工とを、ピボットテーブルユニット93を移動させることなく実行できる。これにより、レーザビームによる2D加工と3D加工とを一つのレーザ加工装置で行うことができる。また、一つのレーザ加工装置での2D加工と3D加工との切り換えが容易である。
【0079】
レーザ加工装置91は、2D加工と3D加工との切り換えを、レーザ加工装置91へのテーブル体1の連結、及びその連結後のレーザ加工装置91内へのテーブル部3の移動で行う。この連結及び移動は、キャスタによるものであり作業者は単に押すだけであって負担は大変少ない。
【0080】
3D加工から2D加工への切り換えにおいて、テーブル体1の連結における位置決めは、係合ピン部81と誘導切り込み部252aとの係合によって自動的に行われる。また、レーザ加工装置91内におけるテーブル部3の位置決めは、左右方向については、一対のレールの内の一方を横断面形状が六角形の棒レール956とし、この棒レール956上を転動する車輪を六角形に対応した糸巻ボビン状の車輪314としたことで自動的になされる。また、前後方向については、テーブルロッカー98を動作させてロック被係合部37と係合させることで自動的に行われる。従って、3D加工から2D加工への切り換えにおいて、作業者が調整作業を行う必要はなく、切り換え作業は極めて簡単かつ容易である。
【0081】
一方、2D加工から3D加工への切り換えは、テーブルロッカー98の動作を解除し、キャスタ付きのテーブル部3をキャスタ付きの台車2に移動し、テーブル部3を載せた台車2をレーザ加工装置91から離脱させるのみで行うことができる。そのため、作業は大変簡単で作業者の負担はより少ない。
【0082】
2D加工と3D加工と切り換えに伴うインターロック領域の切り換えは、作業者が行うことなく制御装置99によって自動的に変更される。そのため、切り換え作業における作業者の負担はより少ない。
【0083】
上述のように、本発明の一態様のレーザ加工システムSTは、レーザビームで加工する第一のワークを保持するピボットテーブル931、及びピボットテーブル931を少なくとも水平姿勢で姿勢変換させる駆動部935を有するピボットテーブルユニット93と、ピボットテーブルユニット93の両サイドに平行に敷設された一対のレール部94,95と、を備えた第一のレーザ加工ユニットLU1(図8A参照)と、第二のワークを支持するワーク支持部32と、ワーク支持部32を支持するテーブルベース31と、テーブルベース31を支える支柱及び支柱を支持し、一対のレール部94,95の上を転動する車輪313,314を有するテーブル部3と、テーブルベース31が第一のレーザ加工ユニットLU1の上方に設置するとき、テーブル部3が一対のレール部94,95の上を車輪313,314のみで当接される第二のレーザ加工ユニットLU2(図8B参照)と、を備えている。
【0084】
これにより、一つのレーザ加工装置91で2D加工と3D加工とを簡単に切り換えできる。
【0085】
上記一態様は、テーブル部3を載せて移動可能な台車2を備え、テーブル部3は、レーザ加工装置91に連結した台車2から一対のレール部94,95に載せ替え可能としてよい。
【0086】
これにより、テーブル部3のレーザ加工装置91への出し入れ作業が容易になる。
【0087】
上記一態様を、一対のレール部94,95の一方は、横断面形状が六角形の棒レール956であり、棒レール956を転動する車輪314は、前記六角形に対応した糸巻ボビン状に形成されて転動の際に棒レール956に直交する水平方向に位置決めされるようにしてよい。
【0088】
これにより、レーザ加工装置91内でのテーブル部3の左右方向(進退方向に直交する水平方向)の位置決め作業が不要になる。
【0089】
上記一態様を、テーブル部3は、凹部371が形成されたロック被係合部37を有し、第1のレーザ加工ユニットLU1及び第二のレーザ加工ユニットLU2は、出没する突出ロック部981を有するテーブルロッカー98を備え、突出ロック部981が突出して凹部371に係合することでテーブル部3の進退方向の位置決めをするようにしてよい。
【0090】
これにより、レーザ加工装置91内でのテーブル部3の進退方向(前後方向)の位置決め作業が不要になる。
【0091】
さらに、レーザビームを射出するレーザ加工ヘッド92の動作を制御する制御装置99を備え、テーブルロッカー98の突出ロック部981の動作はスイッチ操作で実行されて動作情報が制御装置99に入力するようになっており、制御装置99は、突出ロック部981が凹部371に係合したと判定したら、インターロック領域をテーブル部3を用いた加工に対応する領域に変更するものであってよい。
【0092】
これにより、3D加工から2D加工への転換においてインターロック領域の変更が自動でなされるので作業者の負担が低減する。
【0093】
上記一態様は、テーブル部3が進入する位置を検出する検出装置97と、レーザビームを射出するレーザ加工ヘッド92の動作を制御し、検出装置97で検出したテーブル部3がピボットテーブルユニット93を覆う所定の位置にあるか否かを判定する制御装置99と、を備え、制御装置99は、テーブル部3が所定の位置にあると判定したら、インターロック領域をテーブル部3を用いた加工に対応する領域に変更するようにしてよい。
【0094】
これにより、インターロック領域の自動変更をより確実に行うことができる。
【0095】
本発明の実施例は、上述した構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形例としてもよい。
【0096】
テーブルロッカー98のスイッチ982の操作は、テーブルベース31がレーザ加工装置91内に進入してロック被係合部37が所定位置に達したことをセンサで検出し、制御装置99によって自動的にONにするよう構成してもよい。
台車2のキャスタ21a~21dを駆動する駆動部及びテーブル部3のキャスタ311a~311dを駆動する駆動部を備え、制御装置99の制御の下、台車2及びテーブル部3は自走するものとしてよい。
【0097】
2D加工及び3D加工それぞれのインターロック領域は、レーザ加工装置91の仕様に応じて適宜設定する。例えば、2D加工におけるインターロック領域は、図13に示されるように、レーザ加工ヘッド92のノズル92bの先端の高さが、平板テーブル部3Aのワーク支持部32の上端の高さ位置H32よりも下方へ行かない領域として設定する。また、3D加工におけるインターロック領域は、レーザ加工ヘッド92をレーザビームが水平に射出する姿勢としたときのノズル92bの先端の高さが、ピボットテーブルユニット93のピボットテーブル931を鉛直姿勢(図13に一点鎖線で示される)にしたときの下端部の高さ位置H93から上側を移動可能領域として設定することができる。
【0098】
また、制御装置99は、2D加工のインターロック領域において、ピボットテーブルユニット93のピボットテーブル931は水平姿勢で固定してCRモータ932及びCSモータ935の動作は無効とし、回転駆動部34の動作は有効とする。
また、制御装置99は、3D加工のインターロック領域において、ピボットテーブルユニット93のCRモータ932及びCSモータ935の動作は有効とし、回転駆動部34の動作は無効とする。
【符号の説明】
【0099】
1 テーブル体
2 台車
21 フレーム体
21a~21d キャスタ
22 踏み込みストッパ
24 第1台車レール部
242 フレーム
242b 上面
247 連結具基部
25 第2台車レール部
252 フレーム
252a 誘導切り込み部
252b 上面
256 棒レール
257 連結具基部
26 連結フレーム
3 テーブル部
3A 平板テーブル部
3B 棒材テーブル部
31 テーブルベース
311a~311d キャスタ
312a~312d 支柱
313,314 車輪
314a 胴部
314b 径拡張部
32,32B ワーク支持部
32G,32BG ワーク支持部群
34 回転駆動部
35a,35b 締め込み具
36a,36b ブラケット
341 端末支持具
342 中間支持具
37 ロック被係合部
371 凹部
81 係合ピン部
811 係合ピン
812 プレート
91 レーザ加工装置
911 パーテーション本体
912 左扉
913 右扉
914 側面扉
92 レーザ加工ヘッド
92a ヘッド本体部
92b ノズル
92c キャリッジ
93 ピボットテーブルユニット
931 ピボットテーブル
932 CRモータ
933 ベース
934 軸部
935 CSモータ
94 平レール部
941 平レールベース
942 レールフレーム
943 ブラケット
944 フック掛け具
945 ねじ止め支柱
945a 雌ねじ部
95 棒レール部
951 棒レールベース
952 レールフレーム
954 フック掛け具
955 ねじ止め支柱
955a 雌ねじ部
956 棒レール
96 フレーム体
96a 下段フレーム
96a1 前下フレーム
96b 左上フレーム
96c 右上フレーム
96d ステー
96e 右中央柱部
97 カメラ装置
98 テーブルロッカー
981 突出ロック部
982 スイッチ
99 制御装置
CS,CR,CLB 軸線
FL 床
Ha 距離
LU1,LU2 レーザ加工ユニッ
トST レーザ加工システム
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図13
図14A
図14B
【手続補正書】
【提出日】2024-03-28
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、レーザ加工装置に関する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明の1又はそれ以上の実施形態の一態様は次の構成を有する。
レーザビームを射出するレーザ加工ヘッドと、
前記レーザビームで加工する第一のワークを保持するピボットテーブルユニットと、
前記ピボットテーブルユニットの両サイドに敷設された一対のレール部と、
前記レーザ加工ヘッド,前記ピボットテーブルユニット,及び前記一対のレール部が内部に配置されたパーテーション本体と、
前記一対のレール部の上を移動して前記パーテーション本体の内部の所定位置に位置決めされると共に、位置決めされた状態で第二のワークを前記レーザビームで加工可能に保持するテーブル部と、
記テーブル部を前記所定位置でロックするロック部と、
を備えたレーザ加工装置である
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザビームを射出するレーザ加工ヘッドと、
前記レーザビームで加工する第1のワークを保持するピボットテーブルユニットと、
前記ピボットテーブルユニットの両サイドに敷設された一対のレール部と、
前記レーザ加工ヘッド,前記ピボットテーブルユニット,及び前記一対のレール部が内部に配置されたパーテーション本体と、
前記一対のレール部の上を移動して前記パーテーション本体の内部の所定位置に位置決めされると共に、位置決めされた状態で第2のワークを前記レーザビームで加工可能に保持するテーブル部と、
記テーブル部を前記所定位置でロックするロック部と、
を備えたレーザ加工装置
【請求項2】
制御装置を備え、
前記ロック部が前記テーブル部をロックしている状態において、前記制御装置によって、前記レーザ加工ヘッドによる加工領域が前記テーブル部を用いた場合の加工領域とされている請求項1記載のレーザ加工装置。