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特開2024-100777画像形成装置および画像形成装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100777
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】画像形成装置および画像形成装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20240719BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240719BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20240719BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
B41J29/38 201
G03G21/00 502
G06F3/12 374
G06F3/12 322
G06F3/12 338
G06F3/12 378
G06F3/12 356
H04N1/00 912
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024072081
(22)【出願日】2024-04-26
(62)【分割の表示】P 2022146716の分割
【原出願日】2018-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【弁理士】
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】有福 直也
(57)【要約】
【課題】 外部端末から送信された印刷データに基づいて印刷を行う際の安全性を向上させることができる。
【解決手段】 本発明に係る画像形成装置10は、自動削除機能を設定可能である。自動削除機能とは、印刷ジョブテーブルに登録された印刷ジョブデータに基づく印刷ジョブの実行中に当該印刷ジョブが停止された場合に、当該印刷ジョブデータを当該印刷ジョブテーブルから自動的に削除する機能である。併せて、画像形成装置10は、人を検出する人検出センサを備える。その上で、画像形成装置10は、自動削除機能が設定されている状態において、印刷ジョブの実行中に当該印刷ジョブが停止された場合であって、人検出センサにより人が検出されなくなった場合に、当該印刷ジョブに対応する印刷ジョブデータを印刷ジョブテーブルから削除する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ジョブテーブルに登録された印刷ジョブデータに基づく印刷ジョブの実行中に当該印刷ジョブが停止された場合に当該印刷ジョブデータを当該印刷ジョブテーブルから自動的に削除する自動削除機能を設定可能な画像形成装置であって、
人を検出する人検出センサを備え、
前記自動削除機能が設定されている状態において、前記印刷ジョブの実行中に当該印刷ジョブが停止された場合であって、前記人検出センサにより前記人が検出されなくなった場合に、当該印刷ジョブに対応する前記印刷ジョブデータを前記印刷ジョブテーブルから削除する、画像形成装置。
【請求項2】
前記自動削除機能が設定されていない状態において、前記印刷ジョブの実行中に当該印刷ジョブが停止された場合であって、当該印刷ジョブが停止されてから所定時間が経過した場合に、当該印刷ジョブを再開する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記印刷ジョブが再開される場合に、当該印刷ジョブが再開されることをユーザへ報知する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記印刷ジョブが終了した場合に、当該印刷ジョブに対応する前記印刷ジョブデータを前記印刷ジョブテーブルから削除する、請求項1から3までのいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
印刷データを記憶する記憶手段をさらに備え、
所定のユーザ操作に従って、前記記憶手段から前記印刷データを読み出して、読み出された当該印刷データに基づく前記印刷ジョブデータを前記印刷ジョブテーブルに登録する、請求項1から4までのいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
表示手段をさらに備え、
前記記憶手段に記憶された前記印刷データに基づくサムネイル画像を含むとともに前記ユーザ操作を受け付ける画面を前記表示手段に表示させる、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
ユーザに文字列を入力させ、入力された当該文字列が予め定められた文字列と一致する場合に、前記画面を前記表示手段に表示させる、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
印刷ジョブテーブルに登録された印刷ジョブデータに基づく印刷ジョブの実行中に当該印刷ジョブが停止された場合に当該印刷ジョブデータを当該印刷ジョブテーブルから自動的に削除する自動削除機能を設定可能な画像形成装置の制御方法であって、
前記画像形成装置は、人を検出する人検出センサを備え、
前記自動削除機能が設定されている状態において、前記印刷ジョブの実行中に当該印刷ジョブが停止された場合であって、前記人検出センサにより前記人が検出されなくなった場合に、当該印刷ジョブに対応する前記印刷ジョブデータを前記印刷ジョブテーブルから削除する、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置および画像形成装置の制御方法に関し、特にたとえば、外部端末から送信された印刷データを受信して、受信した印刷データに従って記録媒体上に画像を形成する、画像形成装置および画像形成装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の背景技術の一例が特許文献1に開示される。背景技術の受信文書処理装置は、受信文書データを印刷中に障害を検出した場合には、障害が発生した旨を、表示装置を介してユーザに通知し、ユーザが入力装置から所定の入力操作を行った場合には、印刷処理を中止し、受信文書データをファイルとして特定のファイル格納領域に保存する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-234882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、背景技術の受信文書処理装置では、ユーザの入力操作が無ければ印刷を中止できないので、受信文書処理装置の近くにユーザが居ない場合またはユーザが通知に気付かない場合には、エラーが発生しても印刷が中止されないという問題がある。
【0005】
また、印刷の中止が指示されない場合、エラーの解消後に、受信文書データに従って印刷処理が実行されるので、印刷物を受け取るべき人がエラーの解消前に立ち去ってしまうと印刷物が他の人に持ち去られる可能性があり、安全性(セキュリティ)についての問題がある。
【0006】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、画像形成装置、制御プログラムおよび制御方法を提供することである。
【0007】
この発明の他の目的は、外部端末から送信された印刷データに基づいて印刷を行う際の安全性を向上させることができる、画像形成装置、制御プログラムおよび制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、画像形成装置に係る第1の発明、および、画像形成装置の制御方法に係る第2の発明を含む。
【0009】
画像形成装置に係る第1の発明は、自動削除機能を設定可能である。自動削除機能とは、印刷ジョブテーブルに登録された印刷ジョブデータに基づく印刷ジョブの実行中に当該印刷ジョブが停止された場合に、当該印刷ジョブデータを当該印刷ジョブテーブルから自動的に削除する機能である。併せて、本第1の発明は、人を検出する人検出センサを備える。その上で、本第1の発明は、自動削除機能が設定されている状態において、印刷ジョブの実行中に当該印刷ジョブが停止された場合であって、人検出センサにより人が検出されなくなった場合に、当該印刷ジョブに対応する印刷ジョブデータを印刷ジョブテーブルから削除する。
【0010】
なお、自動削除機能が設定されていない状態において、印刷ジョブの実行中に当該印刷ジョブが停止された場合であって、当該印刷ジョブが停止されてから所定時間が経過した場合は、当該印刷ジョブが再開される。
【0011】
また、印刷ジョブが再開される場合は、当該印刷ジョブが再開されることがユーザへ報知されてもよい。
【0012】
さらに、印刷ジョブが終了した場合は、当該印刷ジョブに対応する印刷ジョブデータが印刷ジョブテーブルから削除されてもよい。
【0013】
本第1の発明においては、印刷データを記憶する記憶手段が、さらに備えられてもよい。この記憶手段が備えられる構成においては、所定のユーザ操作に従って、当該記憶手段から印刷データが読み出され、読み出された印刷データに基づく印刷ジョブデータが、印刷ジョブテーブルに登録されてもよい。
【0014】
加えて、本第1の発明においては、表示手段が、さらに備えられてもよい。この表示手段が備えられる構成においては、前述の記憶手段に記憶された印刷データに基づくサムネイル画像を含むとともに、前述の所定のユーザ操作を受け付ける画面が、当該表示手段に表示されてもよい。
【0015】
また、ここで言う画面が表示手段に表示される際に、ユーザに文字列を入力させ、この入力された文字列が予め定められた文字列と一致する場合に、当該画面が表示手段に表示されるように構成されてもよい。
【0016】
画像形成装置の制御方法に係る第2の発明は、当該画像形成装置が、自動削除機能を設定可能であることを、前提とする。自動削除機能とは、印刷ジョブテーブルに登録された印刷ジョブデータに基づく印刷ジョブの実行中に当該印刷ジョブが停止された場合に、当該印刷ジョブデータを当該印刷ジョブテーブルから自動的に削除する機能である。併せて、本第2の発明は、画像形成装置が、人を検出する人検出センサを備えることを、前提とする。その上で、本第2の発明は、自動削除機能が設定されている状態において、印刷ジョブの実行中に当該印刷ジョブが停止された場合であって、人検出センサにより人が検出されなくなった場合に、当該印刷ジョブに対応する印刷ジョブデータを印刷ジョブテーブルから削除する。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、外部端末から送信された印刷データに基づいて印刷を行う際の安全性を向上させることができる。
【0018】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1はこの発明の一実施例である画像形成装置の外観を示す斜視図である。
図2図2図1に示す画像形成装置の電気的な構成を示すブロック図である。
図3図3はホーム画面の一例を示す図解図である。
図4図4は確認ウインドウを含むホーム画面の一例を示す図解図である。
図5図5は選択画面の一例を示す図解図である。
図6図6は通知ウインドウを含むホーム画面の一例を示す図解図である。
図7図7図2に示すRAMのメモリマップの一例を示す図解図である。
図8図8図2に示すCPUのデータ受信処理の一例を示すフロー図である。
図9図9図2に示すCPUのジョブ登録処理の一例を示すフロー図である。
図10図10図2に示すCPUの印刷処理の一例を示すフロー図である。
図11図11は第2実施例における認証ウインドウを含むホーム画面の一例を示す図解図である。
図12図12は第2実施例のジョブ登録処理の一例の一部を示すフロー図である。
図13図13は第3実施例の印刷処理の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施例]
図1はこの発明の一実施例である画像形成装置10の外観構成を示す斜視図である。図1を参照して、第1実施例では、画像形成装置10は、複写機能、プリンタ機能、スキャナ機能、ファクシミリ(FAX)機能およびインターネットFAX(I-FAX)機能などを有する複合機(MFP:Multifunction Peripheral)である。なお、この発明は複合機だけでなく、外部端末から送信された印刷データに基づいて印刷を行うことができる他の画像形成装置、たとえば印刷装置(プリンタ)およびファクシミリに適用可能である。
【0021】
なお、この明細書では、ユーザの立ち位置に対向する面、つまり後述する操作パネル26が設けられる側の面を前面(正面)として画像形成装置10およびその構成部材の前後方向(奥行方向)を規定し、画像形成装置10およびその構成部材の左右方向(横方向)は、ユーザから画像形成装置10を見た状態を基準として規定する。
【0022】
画像形成装置10は、画像読取部30、画像形成部32、給紙装置38および排紙トレイ40を含む装置本体36を備える。
【0023】
画像読取部30は、透明材によって形成される原稿載置台を備え、装置本体36に内蔵される。原稿載置台の上方には、ヒンジ等を介して原稿押えカバー30aが開閉自在に取り付けられる。この原稿押えカバー30aには、原稿載置トレイ34が設けられる。また、原稿押えカバー30aには、原稿載置トレイ34に載置された原稿を自動的に給紙するADF(自動原稿送り装置)が設けられる。
【0024】
また、画像読取部30は、光源、複数のミラー、結像レンズおよびラインセンサ等を備える。この画像読取部30は、原稿表面を光源によって露光し、原稿表面から反射した反射光を複数のミラーによって結像レンズに導く。そして、結像レンズによって反射光をラインセンサの受光素子に結像させる。ラインセンサでは、受光素子に結像した反射光の輝度または色度が検出され、原稿表面の画像に基づく読取画像データが生成される。ラインセンサとしては、CCD(Charge Coupled Device)またはCIS(Contact Image Sensor)等が用いられる。
【0025】
画像形成部32は、装置本体36に内蔵され、画像読取部30の下方に設けられる。この画像形成部32は、感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置および定着装置などを備える。画像形成部32は、給紙装置38等から搬送される記録媒体(用紙)上に電子写真方式によって画像を形成し、画像形成済みの用紙を排紙トレイ40に排出する。ただし、用紙上に画像を形成するための印刷画像データとしては、画像読取部30で読み取った画像データの他、外部コンピュータ(外部端末)から送信された印刷データ等が利用される。なお、印刷データには、画像データおよび文書データが含まれる。また、外部コンピュータとは、デスクトップPC、ノート(ラップトップ)PCおよびタブレットPC、スマートフォン、他の複合機および他のファクシミリ等である。さらに、記録媒体としては、紙からなる用紙に限定されず、OHPフィルムなどの紙以外のシートも用いられる。
【0026】
なお、詳細な説明は省略するが、画像形成部32は、カラーのプリント機能を備えており、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色について、感光体ドラムと、帯電器と、現像器と、転写ローラと、クリーニング装置を含む画像形成ステーションが構成される。たとえば、画像形成装置10は、タンデム式の画像形成装置であって、画像形成部32において、色毎の画像形成ステーションが一列に並んで配置される。
【0027】
排紙トレイ40は、画像読取部30および画像形成部32の間に設けられる。排紙トレイ40の底面は、画像形成部32によって区画される。また、排紙トレイ40の天面は、画像読取部30によって区画される。さらに、排紙トレイ40の左側面(正面から見た左側面)は、連結筐体42の右側面で規定される。つまり、排紙トレイ40の前面側、背面側および左側面側は、開口する。排紙トレイ40の底面は、連結筐体42側に向かって下り勾配となる傾斜面を有する。
【0028】
また、画像読取部30の前面側には、操作パネル26が設けられる。操作パネル26は、タッチパネル20付きのディスプレイ22および複数の操作ボタン26aを含む。
【0029】
タッチパネル20付きのディスプレイ22には、各種設定または印刷指示などをユーザから受け付けるためのソフトウェアキーおよびメッセージ等が表示される。ディスプレイ22には、画像形成装置10が実行可能な各種のジョブから所望のジョブを選択するための画面であるホーム画面100(図3参照)等の種々の操作画面が表示される。ただし、この第1実施例では、ジョブは、コピー(原稿のスキャンを含む)、印刷(プリント)およびファックスの送信などを意味する。
【0030】
操作ボタン26aは、ハードウェアキーであって、たとえば、ホームキー、省電力キーおよび主電源キーなどが含まれる。ホームキーは、ホーム画面をディスプレイ22に表示させるためのキーである。省電力キーは、消費電力が制限される省電力状態(省電力モード)と、消費電力が制限されない通常状態(通常モード)とを切り替えるためのキーである。ただし、操作ボタン26aは、ソフトウェアキーであっても良い。この場合、操作ボタン26aは、タッチパネル20付きのディスプレイ22に表示される。
【0031】
なお、ソフトウェアキーとは、たとえばタッチパネル20付きのディスプレイ22の表示面上にソフトウェア的に再現されたキー(アイコン)のことを言う。これに対して、ハードウェアキーとは、物理的な装置として設けられたキー(ボタン)のことを言う。また、操作パネル26における操作入力とは、ソフトウェアキーにおける操作入力(たとえばタッチパネル20へのタッチ入力)およびハードウェアキーにおける操作入力(操作ボタン26aのボタン操作)などの操作パネル26の各部への操作入力を意味する。
【0032】
図2図1に示す画像形成装置10の電気的な構成を示すブロック図である。図2を参照して、画像形成装置10はCPU12を含む。CPU12には、バス60を介してRAM14、タッチパネル制御回路16、表示制御回路18、操作ボタン検出回路24、HDD28、画像読取部30、画像形成部32、FAX通信部62および通信回路64が接続される。また、タッチパネル制御回路16にはタッチパネル20が接続され、表示制御回路18にはディスプレイ22が接続され、操作ボタン検出回路24には操作ボタン26aが接続される。
【0033】
CPU12は、画像形成装置10の全体的な制御を司る。RAM14は、CPU12のワーク領域およびバッファ領域として用いられる。
【0034】
HDD28は、画像形成装置10の主記憶装置であって、CPU12が画像形成装置10の各部位の動作を制御するための制御プログラムおよび各種データ等を適宜記憶する。ただし、HDD28に代えて、またはHDD28とともに、SSD、フラッシュメモリ、EEPROMなどの他の不揮発性メモリが用いられてもよい。
【0035】
タッチパネル制御回路16は、タッチパネル20に必要な電圧などを付与するとともに、タッチパネル20のタッチ有効範囲内でのタッチ操作(タッチ入力)を検出して、そのタッチ入力の位置を示すタッチ座標データをCPU12に出力する。
【0036】
タッチパネル20は、汎用のタッチパネルであり、静電容量方式、電磁誘導方式、抵抗膜方式、赤外線方式など、任意の方式のものを用いることができる。この第1実施例では、タッチパネル20としては、静電容量方式のタッチパネルが用いられ、ディスプレイ22の表示面上にタッチパネル20が設けられる。ただし、タッチパネル20とディスプレイ22とが一体的に形成されたタッチパネルディスプレイが用いられてもよい。
【0037】
表示制御回路18は、GPUおよびVRAMなどを含んでおり、CPU12の指示の下、GPUは、RAM14に記憶された画像生成データ74b(図7参照)を用いてディスプレイ22に種々の画面を表示するための表示画像データをVRAMに生成し、生成した表示画像データをディスプレイ22に出力する。ディスプレイ22としては、たとえばLCDまたはEL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどを用いることができる。
【0038】
操作ボタン検出回路24は、上述した操作ボタン26aの操作に応じた操作信号ないし操作データをCPU12に出力する。
【0039】
FAX通信部62は、ファクシミリモデム(FAXモデム)および網制御部(NCU)を含み、電話回線および回線交換機等を介して、PSTN(Public Switched Telephone Networks;公衆交換電話網)などの公衆通信回線に接続される。FAXモデムは、ファクシミリ通信(FAX通信)の規格に基づいて、符号化された送信画像データを公衆交換電話網での伝達に適した形式のアナログ信号に変調すると共に、他のFAX装置からのアナログ信号を復調して受信画像データを取得する。網制御部は、公衆交換電話網の閉結及び開放の回線制御を行うものであり、FAXモデムを公衆交換電話網に接続する。また網制御部は、予め定められたFAX通信のプロトコルに従って、画像データ及び制御信号等の送受信を行うと共に、FAX通信の自動発呼処理及び自動着呼処理を行う。
【0040】
通信回路64は、インターネットなどのネットワークに接続するための通信回路である。この通信回路64は、有線通信回路または無線通信回路であり、CPU12からの指示に従って、ネットワークを介して、外部コンピュータと通信する。また、通信回路64は、ネットワーク経由によるI-FAXの送受信等を行うための通信回路でもある。
【0041】
なお、図2に示す画像形成装置10の電気的な構成は単なる一例であり、これに限定される必要はない。たとえば、画像形成装置10には、画像形成部32における紙詰まりを検出するためのジャムセンサおよび給紙装置38における用紙の残量を検出するための用紙センサ等が設けられる。また、画像形成装置10には、音または音声(合成音声)を出力するスピーカが設けられても良い。
【0042】
このような構成の画像形成装置では、外部コンピュータ(外部端末)から送信された印刷データ(以下、「受信印刷データ」という。)に基づく印刷ジョブを実行中にエラーが発生した場合には、エラーが発生した旨を、ディスプレイを介してユーザに通知し、ユーザが印刷を中止するように指示した場合には、印刷を中止し、受信印刷データをファイルとして保存することがある。
【0043】
しかしながら、従来の画像形成装置では、ユーザの入力指示が無ければ印刷ジョブを中止できないので、画像形成装置の近くにユーザが居ない場合またはユーザが通知に気付かない場合には、印刷ジョブが中止されないという問題がある。また、印刷ジョブの中止が指示されない場合、エラーの解消後に、受信印刷データに基づく印刷ジョブが実行(再開)されるので、印刷物を受け取るべき人がエラーの解消前に立ち去ってしまうと印刷物が他の人に持ち去られる可能性があり、安全性(セキュリティ)についての問題がある。
【0044】
そこで、この第1実施例の画像形成装置10では、印刷ジョブの実行中に障害が発生した場合に、外部端末から送信された受信印刷データに基づく印刷ジョブのうち、安全性(セキュリティ性)を重視した印刷ジョブのデータを自動的に削除するようにした。
【0045】
以下、図3図6等を参照して画像形成装置10の動作例を説明する。図3はホーム画面100の一例を示す図解図である。図4は確認ウインドウ104を含むホーム画面100の一例を示す図解図である。図5は選択画面120の一例を示す図解図である。図6は通知ウインドウ106を含むホーム画面100の一例を示す図解図である。
【0046】
上述したように、画像形成装置10は、種々の機能を有する複合機であり、コピージョブ、印刷(プリント)ジョブ、スキャンジョブ、FAXジョブおよびI-FAXジョブ等を実行することができる。画像形成装置10の電源がオンされて、各機能を実行可能な待機状態にある場合、画像形成装置10のディスプレイ22には、図3に示すようなホーム画面100が表示される。このホーム画面100には、コピー、プリント、FAX(通常のFAXおよびI-FAXを含む)およびスキャンなどの各ジョブを選択して各ジョブにおける操作画面(設定画面)を表示するためのジョブ選択キー(アイコン)102の画像が表示される。
【0047】
たとえば、ユーザは、ジョブ選択キー102を操作(タッチ)して、所望のジョブの実行を指示することができる。したがって、画像形成装置10は、ユーザの指示に従って各ジョブを実行する。また、画像形成装置10は、プリントジョブについてのデータ、FAXジョブについてのデータまたはI-FAXジョブについてのデータ等の外部コンピュータから送信される受信印刷データを受信した場合には、その受信印刷データに基づく印刷ジョブ(プリントジョブ、FAXジョブおよびI-FAXジョブ)を実行する。
【0048】
ただし、詳細は後述するが、RAM14のデータ記憶領域74には、印刷ジョブを記憶しておいて、所定順に印刷するように制御するいわゆる印刷キュー機能に用いられる、印刷ジョブテーブルが記憶される。画像形成装置10で実行される印刷ジョブのデータ(印刷ジョブデータ)は、印刷ジョブテーブルに登録される(印刷キューに格納される)。図示は省略するが、印刷ジョブテーブルには、印刷ジョブを識別するための識別情報(ID)および印刷ジョブの優先順位等が記述される。なお、印刷ジョブの優先順位は、原則として、印刷ジョブテーブルに登録された順に設定される。また、印刷ジョブが終了すると、終了した印刷ジョブに対応する印刷ジョブデータは、印刷ジョブテーブルから削除(消去)される。
【0049】
また、第1実施例の画像形成装置10では、外部端末から送信される受信印刷データに基づく印刷ジョブを実行する際に、受信印刷データの取得後直ちに印刷ジョブを実行(印刷ジョブテーブルに登録)するのではなく、ユーザが確認した場合にのみ印刷ジョブが実行可能(印刷ジョブテーブルに登録可能)となるリテンション機能(保持機能)を備えている。このように保持機能が有効である場合には、印刷ジョブの実行にユーザの確認が必要であることから、安全性(セキュリティ性)が重視された状態であると考えられる。なお、図示は省略するが、保持機能の有効/無効は、所定のキー操作によって切り換え可能である。保持機能の有効/無効を切り替えるためのキー(保持機能切替キー)は、ハードウェアキーであっても良いし、ソフトウェアキーであっても良い。
【0050】
そして、画像形成装置10では、保持機能が無効な状態で受信印刷データが取得(受信)されると、その受信印刷データ(通常の受信印刷データ)に基づく印刷ジョブデータ(通常の印刷ジョブデータ)が自動的に印刷ジョブテーブルに登録される。ただし、通常の印刷ジョブデータには、通常の印刷ジョブデータであること、すなわち、保持機能付きでないことを示す情報が紐づけられる。
【0051】
一方、画像形成装置10では、保持機能が有効な状態、すなわち、安全性(セキュリティ性)を重視した状態で受信印刷データが受信されると、その受信印刷データは、保持機能付きの受信印刷データ(保持機能付きの印刷データに相当)として取り扱われる。保持機能付きの受信印刷データは、受信後一旦HDD28に記憶される。また、保持機能付きの受信印刷データに基づく印刷ジョブデータ(保持機能付きの印刷ジョブデータ)は、自動的に印刷ジョブテーブルに登録されない。
【0052】
その後、所定のユーザ操作(印刷指示)があったときに、HDD28から保持機能付きの受信印刷データが読み出されて、その保持機能付きの受信印刷データに基づく保持機能付きの印刷ジョブデータが印刷ジョブテーブルに登録される。ただし、保持機能付きの印刷ジョブデータには、保持機能付きの印刷ジョブデータであること、すなわち、保持機能付きであることを示す情報が紐づけられる。
【0053】
第1実施例の画像形成装置10では、HDD28に保持機能付きの受信印刷データが記憶されている場合、ディスプレイ22には、図4に示すような確認ウインドウ104を含むホーム画面100が表示される。確認ウインドウ104は、ディスプレイ22の表示が、ホーム画面100以外の操作画面からホーム画面100に遷移したときに表示されるウインドウであって、ホーム画面100の前面に重ねて、ディスプレイ22の表示領域の中央部に表示される。すなわち、確認ウインドウ104は、ポップアップで表示される。
【0054】
確認ウインドウ104は、HDD28に記憶される保持機能付きの受信印刷データの確認および保持機能付きの受信印刷データに基づく印刷ジョブ(保持機能付きの印刷ジョブ)についての印刷指示を行うための画面(ウインドウ)であり、確認ウインドウ104には、ユーザに保持機能付きの受信印刷データの確認を促すメッセージ(たとえば、“受信した印刷データがあります。印刷データを確認しますか?”等のメッセージ)が表示される。また、確認ウインドウ104には、保持機能付きの受信印刷データのリストを表示する“はい”ボタン104aおよび保持機能付きの受信印刷データのリストを表示しない“いいえ”ボタン104bが表示される。
【0055】
なお、確認ウインドウ104は、“はい”ボタン104aまたは“いいえ”ボタン104bをタッチする以外の操作ができないようになっており、その他の操作はできないようになっている。
【0056】
“いいえ”ボタン104bが選択された場合には、確認ウインドウ104が非表示にされ、ホーム画面100に戻る。一方、“はい”ボタン104aが選択された場合には、ディスプレイ22には、図5に示すような選択画面120が表示される。この選択画面120は、リスト表示部122および複数の指示アイコン126を含む。
【0057】
リスト表示部122には、HDD28に記憶される保持機能付きの受信印刷データに対応する選択アイコン124がリスト表示される。選択アイコン124には、保持機能付きの受信印刷データに含まれる画像(印刷画像)に基づくサムネイル画像および印刷画像に関連する情報を示す文字列および図形等が表示される。なお、保持機能付きの受信印刷データが複数の画像(頁)を含む場合には、選択アイコン124には、最初の頁(1枚目)の画像に基づくサムネイル画像が表示される。図5に示す例では、リスト表示部122には、第1の保持機能付きの受信印刷データに対応する選択アイコン124aと、第2の保持機能付きの受信印刷データに対応する選択アイコン124bが表示される。
【0058】
選択画面120では、選択アイコン124がユーザによってタッチされると、タッチされた選択アイコン124が選択された状態、すなわち、選択アイコン124に対応する保持機能付きの受信印刷データが選択された状態となる。なお、図5に示すように、選択アイコン124は、タッチされると、表示態様が変わる。たとえば、タッチされた選択アイコン124(たとえば選択アイコン124b)には、チェックマークが表示されたり、模様が付されたり、適当な色彩が付されたりする。このようにすれば、ユーザは、自身が選択したアイコンを認識することができる。
【0059】
図5に示す例では、複数の指示アイコン126として、印刷アイコン126a、削除アイコン126bおよび戻るアイコン126cが表示される。
【0060】
印刷アイコン126aには、選択された保持機能付きの受信印刷データに基づく保持機能付きの印刷ジョブを実行する(印刷指示を行う)機能が割り当てられる。したがって、リスト表示部122に表示される選択アイコン124が選択された状態で印刷アイコン126aがタッチされると、当該選択アイコン124に対応する保持機能付きの受信印刷データに基づく保持機能付きの印刷ジョブデータが印刷ジョブテーブルに登録される。なお、図示は省略するが、印刷ジョブテーブルに登録されている保持機能付きの印刷ジョブデータに対応する保持機能付きの受信印刷データに対応する選択アイコン124には、印刷ジョブテーブルに登録済であることが分かるように表示態様が変わるようにしても良い。そして、保持機能付きの印刷ジョブが終了すると、その保持機能付きの印刷ジョブに対応する保持機能付きの印刷ジョブデータが印刷ジョブテーブルから削除されるとともに、当該保持機能付きの印刷ジョブデータに対応する保持機能付きの受信印刷データがHDD28から削除され、また、その保持機能付きの受信印刷データに対応する選択アイコン124が削除される(表示されなくなる)。
【0061】
削除アイコン126bには、選択された保持機能付きの受信印刷データを削除する機能が割り当てられる。削除アイコン126bがタッチされると、選択中の選択アイコン124に対応する保持機能付きの受信印刷データがHDD28から削除され、また、その保持機能付きの受信印刷データに対応する選択アイコン124が削除される。
【0062】
戻るアイコン126cには、選択画面120を閉じて、ホーム画面100に戻る機能が割り当てられる。たとえば、選択画面120において戻るアイコン126cがタッチされると、ホーム画面100がディスプレイ22に表示される。
【0063】
また、第1実施例の画像形成装置10では、印刷ジョブの遂行に適さない所定のエラー(以下、「第1種類のエラー」ということがある。)が発生することがある。このような第1種類のエラーが発生した場合、印刷ジョブが実行中であれば、その印刷ジョブが停止(中断)される。このとき、印刷ジョブテーブルに登録されている印刷ジョブデータのうち、保持機能付きの印刷ジョブデータが自動的に削除される。ただし、保持機能付きの印刷ジョブデータ以外の印刷ジョブデータ、すなわち通常の印刷ジョブデータまたは画像読取部30で読み取った画像データに基づく印刷ジョブデータ等は削除されない。
【0064】
したがって、印刷ジョブテーブルに、保持機能付きの印刷ジョブデータおよび保持機能付きの印刷ジョブデータ以外の印刷ジョブデータが登録されている場合には、保持機能付きの印刷ジョブデータ以外の印刷ジョブデータの優先順位が繰り上げられる。
【0065】
また、保持機能付きの印刷ジョブの実行中に第1種類のエラーが発生した場合であっても、保持機能付きの印刷ジョブデータは削除される。したがって、保持機能付きの印刷ジョブの実行中に第1種類のエラーが発生した場合には、その保持機能付きの印刷ジョブは途中で取りやめとなる。一方、通常の印刷ジョブデータに基づく印刷ジョブ(通常の印刷ジョブ)の実行中に第1種類のエラーが発生した場合、その通常の印刷ジョブは、一時的に中断されるが、第1種類のエラーが解消すると再開される。
【0066】
第1実施例の画像形成装置10では、保持機能付きの印刷ジョブデータが削除された場合、ディスプレイ22には、図6に示すような通知ウインドウ106を含むホーム画面100が表示される。通知ウインドウ106は、ディスプレイ22の表示が、ホーム画面100以外の操作画面からホーム画面100に遷移したときに表示されるウインドウであって、ホーム画面100の前面に重ねて、ディスプレイ22の表示領域の中央部に表示される。
【0067】
通知ウインドウ106は、保持機能付きの印刷ジョブデータが削除された旨をユーザに通知するための画面(ウインドウ)であり、通知ウインドウ106には、保持機能付きの印刷ジョブデータが削除された旨のメッセージ(たとえば、“印刷中にエラーが発生したため印刷ジョブを削除しました。”等のメッセージ)が表示される。また、通知ウインドウ106には、通知ウインドウ106を閉じるための“OK”ボタン106aが表示される。なお、通知ウインドウ106は、“OK”ボタン106aをタッチする以外の操作ができないようになっており、その他の操作はできないようになっている。
【0068】
“OK”ボタン106aが選択されると、通知ウインドウ106が非表示にされ、ディスプレイ22には、図4に示すような確認ウインドウ104を含むホーム画面100が表示される。ここで、削除された保持機能付きの印刷ジョブデータの元になった保持機能付きの受信印刷データはHDD28から削除されていないため、ユーザは、その保持機能付きの受信印刷データを指定して再度印刷指示を行うことができる。
【0069】
画像形成装置10の上記のような動作は、CPU12がRAM14に記憶された制御プログラムを実行することによって実現される。具体的な処理については、後でフロー図を用いて説明する。
【0070】
図7図2に示すRAM14のメモリマップ70の一例を示す図解図である。図7に示すように、RAM14は、プログラム記憶領域72およびデータ記憶領域74を含む。RAM14のプログラム記憶領域72には、上述したように、制御プログラムが記憶される。制御プログラムは、表示プログラム72a、操作検出プログラム72b、通信プログラム72c、受信プログラム72d、切替プログラム72e、記憶プログラム72f、登録プログラム72g、エラー検出プログラム72h、削除プログラム72i、画像形成プログラム72jおよび画像読取プログラム72kを含む。
【0071】
表示プログラム72aは、後述する画像生成データ74bを用いて、ホーム画面100または選択画面120などの各種の画面をディスプレイ22に表示するためのプログラムである。
【0072】
操作検出プログラム72bは、画像形成装置10の各部への操作を検出するためのプログラムである。たとえば、操作検出プログラム72bは、タッチパネル20から出力されたタッチ座標データを取得して、ディスプレイ22に表示される各種の画面に含まれるソフトウェアキーが操作されたことを検出するためのプログラムである。また、操作検出プログラム72bは、操作ボタン26aからの操作入力を検出するためのプログラムでもある。
【0073】
通信プログラム72cは、外部コンピュータと、ネットワークを介して通信するためのプログラムである。
【0074】
受信プログラム72dは、外部のコンピュータから送信された受信印刷データを受信するためのプログラムである。ただし、受信時には、通信プログラム72cが実行される。
【0075】
切替プログラム72eは、保持機能の有効/無効を切り替えるための保持機能切替キーの操作に応じて、無効フラグ74eをオン/オフするためのプログラムである。すなわち、切替プログラム72eは、保持機能の有効/無効を切り替えるためのプログラムである。
【0076】
記憶プログラム72fは、保持機能が有効な状態で受信された保持機能付きの受信印刷データをHDD28に記憶するためのプログラムである。
【0077】
登録プログラム72gは、保持機能付きの受信印刷データに基づく印刷ジョブについての印刷指示を受け付けた場合に、保持機能付きの受信印刷データに基づく保持機能付きの印刷ジョブデータを印刷ジョブテーブルに登録するためのプログラムである。
【0078】
エラー検出プログラム72hは、ジャムセンサおよび用紙センサ等の出力に応じて、用紙詰まり、トナー切れ、用紙切れなどの、第1種類のエラーが発生しているかどうかを判断するためのプログラムである。
【0079】
削除プログラム72iは、第1種類のエラーが発生したと判断された場合に、印刷ジョブテーブルに登録されている印刷ジョブデータのうち、保持機能付きの印刷ジョブデータを削除するためのプログラムである。また、削除プログラム72iは、終了した印刷ジョブに対応する印刷ジョブデータを印刷ジョブテーブルから削除するためのプログラムでもある。さらに、削除プログラム72iは、保持機能付きの印刷ジョブが終了した場合に、その保持機能付きの印刷ジョブに対応する保持機能付きの受信印刷データをHDD28から削除するためのプログラムでもある。
【0080】
画像形成プログラム72jは、画像形成部32を制御して、多色または単色の画像を用紙に印刷するためのプログラムである。また、画像形成プログラム72jは、第1種類のエラーが発生したと判断された場合に、印刷ジョブを停止し、第1種類のエラーが解消したと判断された場合に印刷ジョブを開始(再開)するためのプログラムでもある。
【0081】
画像読取プログラム72kは、画像読取部30を制御して、原稿の画像を読み取り、読み取った画像に対応する画像信号(画像データ)を出力するためのプログラムである。
【0082】
なお、図示は省略するが、プログラム記憶領域72には、画像形成装置10が備える各種の機能を選択および実行するためのプログラムなども記憶される。
【0083】
RAM14のデータ記憶領域74には、操作入力データ74a、画像生成データ74b、テーブルデータ74c、印刷ジョブデータ74dおよび無効フラグ74eなどが記憶される。
【0084】
操作入力データ74aは、たとえば操作検出プログラム72bに従って検出(取得)されたタッチ座標データまたは/および操作データである。検出されたタッチ座標データまたは/および操作データは、時系列に従って記憶される。
【0085】
画像生成データ74bは、ディスプレイ22に表示される、ホーム画面100または選択画面120などの各種の画面に対応する表示画像データを生成するためのポリゴンデータまたはテクスチャデータ等のデータである。また、画像生成データ74bには、たとえばソフトウェアキーの画像データ等も含まれる。
【0086】
テーブルデータ74cは、上述した印刷ジョブテーブル等のデータである。印刷ジョブデータ74dは、印刷ジョブテーブルに登録された印刷ジョブのデータであり、印刷ジョブ毎に、用紙上に画像を形成するための印刷画像、印刷時の各種設定についての情報および保持機能付きかどうかについての情報を含む。無効フラグ74eは、保持機能が無効であるかどうかを判断するためのフラグである。無効フラグ74eがオンである場合に、保持機能が無効にされ、無効フラグ74eがオフである場合に、保持機能が有効にされる。
【0087】
なお、図示は省略するが、データ記憶領域74には、制御プログラムの実行に必要な他のデータが記憶されたり、制御プログラムの実行に必要なタイマ(カウンタ)およびレジスタが設けられたりする。
【0088】
図8図2に示すCPU12のデータ受信処理の一例を示すフロー図である。このデータ受信処理は、画像形成装置10の電源がオンされたときに開始される。
【0089】
図8に示すように、CPU12は、データ受信処理を開始すると、ステップS1で、外部コンピュータから送信された受信印刷データを受信したかどうかを判断する。ステップS1で“NO”であれば、つまり、受信印刷データを受信しないと判断した場合は、そのまま同じステップS1に戻る。一方、ステップS1で“YES”であれば、つまり、受信印刷データを受信したと判断した場合は、ステップS3で、保持機能は有効かどうかを判断する。ここでは、CPU12は、無効フラグ74eがオフであるかどうかを判断する。
【0090】
ステップS3で“YES”であれば、つまり、無効フラグ74eがオフであり、保持機能が有効であれば、ステップS5で、受信した受信印刷データを、保持機能付きの受信印刷データとしてHDD28に記憶し、ステップS1に戻る。一方、ステップS3で“NO”であれば、つまり、無効フラグ74eがオンであり、保持機能が無効であれば、ステップS7で、受信した受信印刷データに基づく印刷ジョブデータを通常の印刷ジョブデータとして印刷ジョブテーブルに登録して、ステップS1に戻る。
【0091】
次に、画像形成装置10のCPU12で実行されるジョブ登録処理について説明する。図9図2に示すCPU12のジョブ登録処理の一例を示すフロー図である。このジョブ登録処理は、HDD28に保持機能付きの受信印刷データが記憶された状態で、ホーム画面100以外の操作画面からホーム画面100に遷移したときに開始され、上述したデータ受信処理と並行して実行される。
【0092】
図9に示すように、CPU12は、ジョブ登録処理を開始すると、ステップS31で、ジョブ終了前に削除(後述するステップS71で削除)された保持機能付きの印刷ジョブデータが存在するかどうかを判断する。ステップS31で“YES”であれば、つまり、ジョブ終了前に削除された保持機能付きの印刷ジョブデータが存在すると判断した場合は、ステップS33で、通知ウインドウ106をホーム画面100の前面に重ねて表示して、ステップS35に進む。一方、ステップS31で“NO”であれば、つまり、ジョブ終了前に削除された保持機能付きの印刷ジョブデータが存在しないと判断した場合は、ステップS35で、確認ウインドウ104をホーム画面100の前面に重ねて表示して、ステップS37で、保持機能付きの受信印刷データの内容を確認するかどうかを判断する。ここでは、CPU12は、確認ウインドウ104に含まれる“はい”ボタン104aがタッチされたかどうかを判断する。
【0093】
ステップS37で“NO”であれば、つまり、“いいえ”ボタン104bがタッチされ、保持機能付きの受信印刷データの内容を確認しないと判断した場合は、ジョブ登録処理を終了する。なお、ジョブ登録処理が終了すると、ディスプレイ22には、確認ウインドウ104が表示されない通常のホーム画面100(図3参照)が表示される。
【0094】
一方、ステップS37で“YES”であれば、つまり、保持機能付きの受信印刷データの内容を確認すると判断した場合は、ステップS39で、ディスプレイ22に選択画面120を表示して、ステップS41で、保持機能付きの受信印刷データに基づく保持機能付きの印刷ジョブを実行するかどうかを判断する。ここでは、CPU12は、リスト表示部122に表示される選択アイコン124が選択された状態で印刷アイコン126aがタッチされたかどうかを判断する。
【0095】
ステップS41で“YES”であれば、つまり、保持機能付きの印刷ジョブを実行すると判断した場合は、ユーザが指定した保持機能付きの受信印刷データに基づく印刷ジョブデータを保持機能付きの印刷ジョブデータとして印刷ジョブテーブルに登録して、ステップS39に戻る。一方、ステップS41で“NO”であれば、ステップS45で、保持機能付きの受信印刷データを削除するかどうかを判断する。ここでは、CPU12は、リスト表示部122に表示される選択アイコン124が選択された状態で削除アイコン126bがタッチされたかどうかを判断する。
【0096】
ステップS45で“YES”であれば、つまり、保持機能付きの受信印刷データを削除すると判断した場合は、ステップS47で、ユーザが選択した保持機能付きの受信印刷データを削除して、ステップS39に戻る。一方、ステップS45で“NO”であれば、ステップS49で、ホーム画面100に戻るかどうかを判断する。ここでは、CPU12は、戻るアイコン126cがタッチされたかどうかを判断する。
【0097】
ステップS49で“NO”であれば、つまり、ホーム画面100に戻らないと判断した場合は、ステップS39に戻る。一方、ステップS49で“YES”であれば、つまり、ホーム画面100に戻ると判断した場合は、ジョブ登録処理を終了し、ホーム画面100に戻る。
【0098】
次に、画像形成装置10のCPU12で実行される印刷処理について説明する。図10図2に示すCPU12の印刷処理の一例を示すフロー図である。この印刷処理は、画像形成装置10の電源がオンされたときに開始され、上述したデータ受信処理およびジョブ登録処理と並行して実行される。
【0099】
図10に示すように、CPU12は、印刷処理を開始すると、ステップS51で、印刷ジョブテーブルに印刷ジョブデータが登録されているかどうかを判断する。ステップS51で“NO”であれば、つまり、印刷ジョブテーブルに印刷ジョブデータが登録されていないと判断した場合は、同じステップS51に戻る。一方、ステップS51で“YES”であれば、つまり、印刷ジョブテーブルに印刷ジョブデータが登録されていると判断した場合は、ステップS53で、優先順位が最上位である印刷ジョブデータに従って印刷ジョブを開始し、ステップS55で、第1種類のエラーが発生したかどうかを判断する。
【0100】
ステップS55で“NO”であれば、つまり、第1種類のエラーが発生していないと判断した場合は、ステップS57で、ステップS53で開始した印刷ジョブが終了したかどうかを判断する。ステップS57で“NO”であれば、つまり、印刷ジョブが終了していないと判断した場合は、ステップS55に戻る。一方、ステップS57で“YES”であれば、つまり、印刷ジョブが終了したと判断した場合は、ステップS59で、終了した印刷ジョブが保持機能付きの印刷ジョブかどうかを判断する。ここでは、CPU12は、終了した印刷ジョブの印刷ジョブデータに、保持機能付きの印刷ジョブデータであることを示す情報が紐づけられているかどうかを判断する。
【0101】
ステップS59で“NO”であれば、つまり、終了した印刷ジョブが通常の印刷ジョブであると判断した場合は、ステップS63に進む。一方、ステップS59で“YES”であれば、つまり、終了した印刷ジョブが保持機能付きの印刷ジョブであると判断した場合は、終了した保持機能付きの印刷ジョブに対応する保持機能付きの受信印刷データをHDD28から削除して、ステップS63に進む。ステップS63では、終了した印刷ジョブに対応する印刷ジョブデータを、印刷ジョブテーブルから削除して、ステップS51に戻る。
【0102】
また、ステップS55で“YES”であれば、つまり、第1種類のエラーが発生したと判断した場合は、ステップS65で、印刷ジョブを停止(中断)して、ステップS67で、第1種類のエラーが解消したかどうかを判断する。ここでは、CPU12は、各種センサの出力に応じて、印刷ジョブの遂行が可能かどうかを判断する。ステップS67で“YES”であれば、つまり、第1種類のエラーが解消したと判断した場合は、ステップS53に戻り、印刷ジョブを開始(再開)する。
【0103】
一方、ステップS67で“NO”であれば、つまり、第1種類のエラーが解消しないと判断した場合は、ステップS69で、保持機能付きの印刷ジョブがあるかどうかを判断する。ここでは、保持機能付きの印刷ジョブデータが印刷ジョブテーブルに登録されているかどうかを判断する。ステップS69で“NO”であれば、つまり、保持機能付きの印刷ジョブが無いと判断した場合は、ステップS67に戻る。一方、ステップS69で“YES”であれば、つまり、保持機能付きの印刷ジョブがあると判断した場合は、ステップS71で、保持機能付きの印刷ジョブデータを削除して、ステップS67に戻る。
【0104】
この第1実施例によれば、印刷ジョブの実行中にエラーが発生した場合に、外部端末から送信された受信印刷データに基づく印刷ジョブのうち、安全性を重視した状態で受信された保持機能付きの受信印刷データに基づく保持機能付きの印刷ジョブデータを自動的に削除するようにした。このため、外部端末から送信された印刷データに基づいて印刷を行う際の安全性を向上させることができる。
【0105】
また、第1実施例によれば、保持機能付きの印刷ジョブデータが削除された場合であっても、印刷ジョブが正常に終了するまで、保持機能付きの印刷ジョブデータに対応する保持機能付きの受信印刷データがHDD28に記憶されているので、ユーザは、その保持機能付きの受信印刷データを再度指定して印刷指示を行うことができる。したがって、安全性に加えて利便性の向上を図ることができる。
【0106】
さらに、第1実施例によれば、保持機能付きの受信印刷データに含まれる画像(印刷画像)に基づくサムネイル画像および印刷画像に関連する情報を含む確認ウインドウ104をディスプレイ22に表示するので、ユーザが保持機能付きの受信印刷データの内容を確認し易い。
【0107】
[第2実施例]
第2実施例の画像形成装置10は、画像形成装置10を利用しようとするユーザの認証処理を行い、予め登録されたユーザについてのみ保持機能付きの印刷ジョブについての印刷指示を許可するようにした以外は第1実施例と同じであるため、第1実施例と異なる内容について説明し、重複した説明については省略することにする。
【0108】
図11は第2実施例における認証ウインドウ108を含むホーム画面100の一例を示す図解図である。第2実施例の画像形成装置10では、HDD28に保持機能付きの受信印刷データが記憶されている場合、ディスプレイ22には、図11に示すような認証ウインドウ108を含むホーム画面100が表示される。認証ウインドウ108は、確認ウインドウ104で“はい”ボタン104aが選択された場合に表示されるウインドウであって、ホーム画面100の前面に重ねて、ディスプレイ22の表示領域の中央部に表示される。
【0109】
認証ウインドウ108は、画像形成装置10を利用しようとするユーザが、予め登録されたユーザ(登録ユーザ)であるかどうかを判定するためのパスワードを入力するための画面であり、認証ウインドウ108には、ユーザにパスワードの入力を促す旨のメッセージ(たとえば、“パスワードを入力してください”等のメッセージ)、入力ボックス108a、“OK”ボタン108bおよび“キャンセル”ボタン108cが表示される。
【0110】
入力ボックス108aには、タッチパネル20または操作ボタン26aが操作されて入力されたパスワード(文字列)が反映される。ただし、入力ボックス108aには、入力された文字に代えて、「*」が表示される。このように、本実施例では、入力された文字そのものは表示されない。これは、入力されたパスワードをそのまま表示することで、そのパスワードが第三者に見られることを防ぐためである。ただし、入力された文字数に応じて表示される「*」の数が増えるため、ユーザは、入力した(入力中の)パスワードの文字数(桁数)を認識できる。
【0111】
“OK”ボタン108bには、認証処理を開始する機能が割り当てられる。“OK”ボタン108bがタッチされると、入力ボックス108aに入力されたパスワード(入力パスワード)が予め登録されているパスワード(登録パスワード)と一致するかどうかが判断される。
【0112】
入力パスワードと登録パスワードとが一致する場合には、ディスプレイ22には、図5に示すような選択画面120が表示される。すなわち、保持機能付きの受信印刷データの確認および保持機能付きの印刷ジョブについての印刷指示を行うことができるようになる。
【0113】
一方、入力パスワードと登録パスワードとが一致しない場合には、認証ウインドウ108が閉じられて、確認ウインドウ104が表示されない通常のホーム画面100(図3参照)が表示される。また、“キャンセル”ボタン108cがタッチされた場合も、認証ウインドウ108が閉じられて、通常のホーム画面100が表示される。これらの場合、ユーザは、保持機能付きの印刷ジョブについての印刷指示をすることができない。すなわち、予め登録されたユーザ以外のユーザは、保持機能付きの印刷ジョブについての印刷指示をすることができない。
【0114】
また、第2実施例では、上述したような動作を実現するために、画像形成装置10のRAM14に記憶される制御プログラムには、入力パスワードと登録パスワードとが一致するかどうかを判断する認証プログラム(許可プログラム)が含まれる。また、RAM14のデータ記憶領域74には、登録パスワードについてのデータ(登録パスワードデータ)が記憶される。画像形成装置10の上記のような動作は、CPU12が認証プログラムを含む制御プログラムを実行することによって実現される。
【0115】
以下、フロー図を用いて、第2実施例におけるジョブ登録処理について説明するが、第1実施例で説明したジョブ登録処理と同じ処理については同じ参照符号を付し、重複した内容については、説明を省略するまたは簡単に説明することにする。
【0116】
図12は第2実施例のジョブ登録処理の一例の一部を示すフロー図である。図12に示すように、CPU12は、ジョブ登録処理を開始すると、ステップS37で“YES”であれば、ステップS91で、認証ウインドウ108をホーム画面100の前面に重ねて表示して、ステップS93で、認証成功かどうかを判断する。ここでは、入力ボックス108aに入力された入力パスワードが予め登録されている登録パスワードと一致するかどうかを判断する。ステップS93で“YES”であれば、つまり、認証に成功した場合は、ステップS39に進む。一方、ステップS93で“NO”であれば、つまり、認証に失敗した場合は、ジョブ登録処理を終了する。
【0117】
なお、ステップS37までの処理およびステップS39以降の処理の内容については、第1実施例と同じであるので説明を省略する。また、データ受信処理および印刷処理の内容については、第1実施例と同じであるので説明を省略する。
【0118】
この第2実施例によれば、画像形成装置10を利用しようとするユーザの認証処理を行い、予め登録されたユーザについてのみ保持機能付きの印刷ジョブについての印刷指示を許可するようにしたので、安全性をより向上させることができる。
【0119】
[第3実施例]
第3実施例の画像形成装置10では、第1種類のエラーの発生後、所定時間経過した場合に、保持機能付きの印刷ジョブデータが自動的に削除されるようにした以外は第1実施例と同じであるため、第1実施例と異なる内容について説明し、重複した説明については省略することにする。
【0120】
第3実施例の画像形成装置10では、第1種類のエラーが発生した場合、第1種類のエラーが発生した時から所定時間(たとえば、2~3分)が経過した場合に、保持機能付きの印刷ジョブデータが削除される。すなわち、第1種類のエラーが発生した時から所定時間が経過するまでは、保持機能付きの印刷ジョブデータが削除されない。したがって、第1種類のエラーが発生した時から所定時間が経過するまでの間に、第1種類のエラーが解消された場合、印刷ジョブテーブルに保持機能付きの印刷ジョブデータが登録された状態で、印刷ジョブが再開される。このようにするのは、所定時間以内にエラーが解消された場合、印刷指示を実行したユーザが対処した可能性が高く、印刷指示を実行したユーザが画像形成装置の近くに居ると考えられ、安全性の観点から保持機能付きの印刷ジョブデータを削除する必要が無く、むしろ印刷ジョブデータを削除しない方が、再度印刷指示を実行する必要が無く、使い勝手が良いからである。
【0121】
また、第3実施例では、上述したような動作を実現するために、画像形成装置10のRAM14に記憶される制御プログラムには、第1種類のエラーが発生した時から所定時間が経過したかどうかを判断する判断プログラムが含まれる。画像形成装置10の上記のような動作は、CPU12が認証プログラムを含む制御プログラムを実行することによって実現される。
【0122】
以下、フロー図を用いて、第3実施例における印刷処理について説明するが、第1実施例で説明した印刷処理と同じ処理については同じ参照符号を付し、重複した内容については、説明を省略するまたは簡単に説明することにする。
【0123】
図13は第3実施例の印刷処理の一例を示すフロー図である。図13に示すように、CPU12は、印刷処理を開始すると、ステップS67で“NO”であれば、ステップS111で、第1種類のエラーが発生した時から所定時間が経過したかどうかを判断する。ステップS111で“NO”であれば、つまり、第1種類のエラーが発生した時から所定時間が経過していないと判断した場合は、ステップS67に戻る。一方、ステップS111で“YES”であれば、つまり、第1種類のエラーが発生した時から所定時間が経過したと判断した場合は、ステップS69に進む。
【0124】
なお、ステップS67までの処理およびステップS69以降の処理の内容については、第1実施例と同じであるので説明を省略する。また、データ受信処理およびジョブ登録処理の内容については、第1実施例と同じであるので説明を省略する。
【0125】
この第3実施例によれば、第1種類のエラーの発生後、所定時間経過した場合に、保持機能付きの印刷ジョブデータが自動的に削除されるようにしたので、安全性に加えて利便性の向上を図ることができる。
【0126】
なお、第3実施例では、第1種類のエラーの発生後、所定時間経過した場合に、保持機能付きの印刷ジョブデータが自動的に削除されるようにしたが、第1種類のエラーの解消前に画像形成装置10の周囲(前方)からユーザが居なくなった場合に、保持機能付きの印刷ジョブデータが自動的に削除されるようにしても良い。この場合、画像形成装置10は、画像形成装置10の前方に存在する人(ユーザ)を検出するための人検出センサを備える。人検出センサとしては、たとえば距離センサ、焦電センサ、床センサ(圧力センサ)またはデジタルカメラ(イメージセンサ)を用いることができる。たとえば、距離センサとしては、赤外線センサ、超音波センサおよびレーザ距離センサ等が用いられる。人検出センサは、バス60を介してCPU12に接続される。CPU12は、人検出センサから出力される、距離データ、温度データまたは画像データ等のデータに応じて、画像形成装置10の前方の領域に、ユーザが存在するかどうかを判断する。
【0127】
また、第3実施例に示した態様は、第2実施例にも組み合わせて採用することが可能である。
【0128】
なお、上述の実施例で挙げた具体的な構成等は一例であり、実際の製品に応じて適宜変更することが可能である。また、上述の実施例で示したフロー図の各ステップは、同じ結果が得られるのであれば、処理される順番は適宜変更することが可能である。
【0129】
また、上述の実施例では、印刷ジョブが終了すると、その印刷ジョブに対応する印刷ジョブデータが印刷ジョブテーブルから自動的に削除されるようにしたが、これに限定される必要は無い。図示は省略するが、印刷ジョブが終了したときに、その印刷ジョブに対応する印刷ジョブデータを削除するかどうかをユーザに選択させる選択ウインドウがディスプレイ22に表示され、ユーザが印刷ジョブデータを削除するかどうかを選択できるようにしても良い。また、選択ウインドウが表示されてから、ユーザの入力操作が無い状態が所定時間継続した場合には、選択ウインドウが非表示にされても良い。選択ウインドウが非表示にされる場合、印刷ジョブデータを自動的に削除しても良いし、印刷ジョブデータを削除しなくても良い。
【0130】
さらに、上述の実施例では、保持機能付きの印刷ジョブの実行中に第1種類のエラーが発生した場合に、その印刷ジョブに対応する保持機能付きの印刷ジョブデータが削除されるようにしたが、これに限定される必要は無い。保持機能付きの印刷ジョブの実行中に第1種類のエラーが発生した場合に、保持機能付きの印刷ジョブデータが削除されずに、一時的にその印刷ジョブが中断され、第1種類のエラーが解消すると再開されるようにしても良い。この場合、保持機能付きの印刷ジョブを実行したユーザまたは保持機能付きの印刷ジョブの印刷物を受け取るべきユーザに対して、保持機能付きの印刷ジョブが再開される/再開された旨、または保持機能付きの印刷ジョブの印刷物が存在する旨を報知することが望ましい。たとえば、画像形成装置10がスピーカを備える場合には、音または音声で報知しても良いし、ユーザが使用する情報端末の宛先が画像形成装置10に登録されている場合には、電子メールで報知しても良い。
【0131】
さらにまた、上述の実施例では、保持機能付きの受信印刷データのリストが表示される場合に、保持機能付きの受信印刷データに含まれる印刷画像に基づくサムネイル画像が表示されるようにしたが、このサムネイル画像は表示されなくても良い。この場合、保持機能付きの受信印刷データの送信元についての情報または印刷画像に関連する情報等がリストに表示される。
【0132】
また、第1種類のエラーが発生した場合に印刷ジョブデータを自動的に削除する機能(自動削除機能)の有効/無効を切り換え可能としても良い。たとえば、自動削除機能の有効/無効は、所定のキー操作によって切り換え可能とされ、自動削除機能の有効/無効を切り替えるためのキー(自動削除機能切替キー)は、ハードウェアキーであっても良いし、ソフトウェアキーであっても良い。ただし、自動削除機能が有効にされる場合には、保持機能を有効にするように促す旨のメッセージが、ディスプレイ22に表示されたり、音声で出力されたりすることが望ましい。
【符号の説明】
【0133】
10 …画像形成装置
12 …CPU
14 …RAM
28 …HDD
30 …画像読取部
32 …画像形成部
62 …FAX通信部
64 …通信回路
図1
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