(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100819
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0645 20230101AFI20240719BHJP
G06Q 10/083 20240101ALI20240719BHJP
【FI】
G06Q30/0645
G06Q10/083
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024078382
(22)【出願日】2024-05-14
(62)【分割の表示】P 2020065135の分割
【原出願日】2020-03-31
(31)【優先権主張番号】P 2019070802
(32)【優先日】2019-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】516066109
【氏名又は名称】株式会社リアライズコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】今福 洋介
(57)【要約】
【課題】将来の車両価値の予測精度を高める技術を提供する。
【解決手段】情報処理システムは、車両を借主に賃貸し、前記車両を運転する旨の契約を借主と交わした運転手に当該車両を運転させる場合、借主による車両の扱い方に関する基準、及び運転手による車両の扱いに関する基準を少なくとも含む所定の基準に基づいて、借主の与信を判断する。また、前記所定の判断基準は、さらに、前記車両の扱い方以外の前記貸主に関する第3基準を含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を貸主に賃貸して、前記車両を運転する旨の契約を前記貸主と交わした1以上の運転手に、当該車両を運転させる場合に利用される情報処理システムにおいて、
前記貸主による前記車両の扱い方に関する第1基準、及び、前記1以上の運転手の夫々による前記車両の扱い方に関する第2基準を少なくとも含む所定の判断基準に基づいて、前記貸主の与信を判断する与信判断手段
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記所定の判断基準は、さらに、前記車両の扱い方以外の前記貸主に関する第3基準を含む、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記与信判断手段により判断された前記貸主の与信に基づいて、前記車両の将来の価格を査定する査定手段
をさらに備える請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記与信判断手段により判断された前記貸主の与信に基づいて、前記車両又は新たな車両を前記貸主に賃貸する際の賃貸料を決定する賃貸料決定手段
をさらに備える請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、リース契約等がされている車両について、将来の車両の価値を予測する技術が提案されている。(例えば、特許文献1)。
例えば、車両をリースすることによって運営される投資ファンドにおいては、借主から得られるリース料や、リース期間終了後に車両を売却することにより得られる売却金等を元本として投資家へ分配される。そのため、将来の車両の価値の予測がファンド運営において重要であることはいうまでもない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の技術を含む従来技術では、将来の車両の価値は、車両自体に関する情報や、リース期間に関する情報に基づいて予測されるに過ぎない。即ち、車両がどのような(例えば運転技量の低い)借主によって、どのように(例えば乱雑に)使用されているか等の情報は考慮されていなかった。そのため、将来の車両の価値が必ずしも精度よく予測できているとはいえなかった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、将来の車両の価値を精度よく予測することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の情報処理システムは、
車両を貸主に賃貸して、前記車両を運転する旨の契約を前記貸主と交わした1以上の運転手に、当該車両を運転させる場合に利用される情報処理システムにおいて、
前記貸主による前記車両の扱い方に関する第1基準、及び、前記1以上の運転手の夫々による前記車両の扱い方に関する第2基準を少なくとも含む所定の判断基準に基づいて、前記貸主の与信を判断する与信判断手段、
を備える。
これにより、将来の車両の価値を精度よく予測することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、将来の車両価値を精度よく予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理システムが適用されるトラックファンドの運営形態の一例を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成の一例を示す図である。
【
図3】
図2の情報処理システムのうちサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】
図2の情報処理システムのうちサーバの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態が適用される情報処理システムが適用されるトラックファンドの運営形態の一例を示す図である。
図1に示すトラックファンドFの運営形態では、業務用貨物運搬用車両T(以下単に「車両T」と呼ぶ)を投資対象の1つとしてファンドマネージャFMがトラックファンドFを運営する。トラックファンドFでは、車両Tに対して複数の投資家Iから投資された資金を運用し、運用益を各投資家Iに還元する。
【0010】
トラックファンドFの投資対象は、車両Tであり、本明細書では業務用貨物運搬用車両が採用されているが、車両Tは特に限定されない。例えばトラックやトレーラー等の貨物運搬用車両、フォークリフト、ミキサー車、タンクローリー、ダンプカー、杭打ち車等の工事用車両、トラクター等の農業用車両、バス等の乗客を乗せるための車両、新車、等新古車等、あらゆる車両を含めることができる。
【0011】
なお、車両Tの中には、トラクターとトレーラー(荷台や客車)とに分割可能な牽引自動車を含めることができる。ここで、トラクターとトレーラーとは、移動時には結合されるが、保管時には分割が可能であるため、借主Rにとっては、トラクターが1台以上あれば、それより多くのトレーラーを保管しておくことも可能である。
【0012】
そこで、本実施形態は、トラクターとトレーラーを別々に取扱い、夫々単体でトラックファンドFの対象にすることができる。つまり、牽引自動車について「業務用貨物運搬用車両1台」と記述する場合には、「牽引自動車(トラクターとトレーラーがセット)で1台」という意の他、「トラクター1台」又は「トレーラー1台」の意も含んでいる。
また、本明細書において特に断りの無い限り、車両Tを単に中古車と呼ぶ場合には、業務用貨物運搬用車両の中古車を意味するものとする。
【0013】
売主Sは、ファンドマネージャFMとの車両Tの売買契約に基づいて車両Tを販売し対価を得る者であって、例えば業務上使用しなくなった車両Tを中古車として販売する中古車販売会社等の車両販売会社や車両を手放したい個人等が含まれる。
【0014】
投資家Iは、投資する資金等の資産を将来的に増加させることを主目的として、現在の資産をトラックファンドFに投じる活動を行う個人又は法人であって、例えば、個人投資家、機関投資家等が含まれる。なお、投資家IがトラックファンドFに出資する目的には、自身の出資額に対するトラックファンドFの損益額が、投資家Iの所望する金額になることが含まれる。
【0015】
借主Rは、ファンドマネージャFMとの賃貸借契約に基づいて、トラックファンドFの対象となる車両Tを1台以上賃借する者であって、例えば中古車を用いて運送業を営む運送会社等が含まれる。
【0016】
ファンドマネージャFMとは、車両Tを対象とするトラックファンドFの運営主体として、投資家Iから預かった資金を運用し、投資家Iの資産を増やすことを目的とする個人又は団体をいう。
【0017】
ファンドマネージャFMは、投資家Iから投資された資金で売主Sから車両Tを購入することで車両Tを仕入れ、仕入れた車両Tを借主Rに賃貸し、その賃貸料を得る。また、ファンドマネージャFMは、賃貸期間が終了した車両Tを借主Rから引き取り、次の借主Rに再度賃貸するか、又は処分する。このとき、車両Tを処分業者Uに下取りに出す際に得る車両Tの下取金や、車両Tをスクラップとして売却した売却益(処分代金)等がファンドマネージャFMに戻される。
即ち、ファンドマネージャFMは、車両Tを賃貸運用した結果として、借主Rから得られる車両Tの賃貸料と、N年後(Nは1以上の任意の整数値)の車両Tの下取金や売却益とに基づく収益を受け取る。このようにして、ファンドマネージャFMは、車両Tを調達し賃貸運用する結果として得られる収益を源泉として投資家Iにその収益を還元することができる。
【0018】
ここでトラックファンドFにおける運用対象である車両Tの価値について説明する。
N年後、車両Tの賃貸期間が終了すると、ファンドマネージャFMは、車両Tを借主Rから引き取り、次の新たな借主Rに再度賃貸するか、又は処分する。このとき、車両Tに対して新たな借主Rのニーズが合致しない場合、車両Tの新たな賃貸先は見つかりにくい。ここで借主Rのニーズとは、借主Rが例えば宅配便等の運送業者であれば、冷凍車やドライ車等といった収容庫内温度仕様で何年から何年までの年式、走行距離が何Km以内の車両を何台必要である、という情報、また借主Rが建設会社であれば、廃材を運搬する荷台を備えたトラック、つまり荷台に汎用性がある車両を何年から何年までの年式、走行距離は不問の車両が何台必要である、という情報である。
また車両は一般的に耐用年数も短く、機能や見た目としての劣化及び消耗等による資産価値の低下は避けられない。このような場合、車両Tを処分業者Uに下取りに出したとしても、下取り金からの収益についても多くは見込めないことが予想される。
【0019】
一方で、車両Tに対して借主Rのニーズが合致する場合、また、車両Tの機能や見た目としての劣化及び消耗が少ない場合には、車両Tの新たな賃貸先は見つかりやすいといえる。また同じ理由から、もし車両Tを処分業者Uに下取りに出したとしても、下取り金による収益は多くなることが見込まれる。そしてこのように、車両Tが借主Rのニーズと合致し、そしてその車両Tの劣化及び消耗が最小限であればあるほど、ファンドマネージャFMは、借主Rからより多くの賃貸料を得ることが可能になる。
【0020】
即ち、トラックファンドFにおいては、借主Rのニーズが合致する、すなわち汎用性が高い車両Tほど価値があるといえる。また、資産価値の低下についても、劣化及び消耗が進んでいない車両Tほど、トラックファンドFにおいては価値が高いものといえる。そしてこのような車両Tをより多く有することで、トラックファンドFとしての収益を多く得ることができる。
つまり、トラックファンドFを安定的に運営するためには、ファンドマネージャFMは、運用対象である車両Tの(N年後の)資産としての価値を正確に予測する必要がある。これにより、ファンド投資家の期待する利回りに加えて、N年後の価値に基づく収益還元をもさらに予測して運用することができるようになる。
【0021】
N年後の車両Tの価値を予測するため、ファンドマネージャFMはまず車両TのN年後の価格を査定する。N年後の査定価格にはN年後の車両Tの相場価格が参照される。ここで車両Tの相場価格とは、対象の車両Tが中古車や新古車等であれば、年式、走行距離に応じた中古市場の価格である。ここで年式が新しかったり、走行距離が短かったりすると相場価格は高くなり、つまり車両Tの査定価格は高くなる。
【0022】
N年後の車両Tの価値をさらに正確に予測するため、ファンドマネージャFMは、車両Tの価格の査定に加え、借主Rに対して与信審査を行う。
ここで一般的に与信審査とは、取引先と取引を行う場合に、取引先から代金を回収出来ないというリスクを伴うため、取引先の情報を収集することにより取引先が信用に値するかを審査することをいう。本実施形態においては、ファンドマネージャFMは、借主Rに関する情報を収集することにより、車両Tを貸し出すにあたり借主Rが信用に値するかを審査する。
【0023】
ファンドマネージャFMは、後述する与信判断の基準に基づき、借主Rの与信審査を行い、与信の諾否、及びその与信の度合について判断する。
そして、与信審査の結果、与信が高いと判断された借主Rは、車両Tの扱い方に関する信用度が高い借主Rとして、高ランクに格付けされる。ここでいう車両Tの扱い方に関する信用度が高い借主Rとは、例えば賃貸された車両Tに搭載される荷物が少ない、短距離間の移動である、車両Tが丁寧に扱われている、またドライバの教育が徹底されている、等の借主のことをいう。つまり、高ランクに格付けされる借主Rとは、車両Tの扱い方がよいと予想される借主Rであることを意味する。
また一方で与信が低いと判断された借主Rは、車両Tの扱い方に関する信用度が低い借主Rとして、低ランクに格付けされる。ここでいう車両Tの扱い方に関する信用度が低い借主Rとは、例えば、車両Tに搭載される荷物が重量物である、長距離間の移動である、車両Tが乱雑に扱われている、またドライバの教育がなされていない等の借主Rのことをいう。つまり、低ランクに格付けされる借主Rとは、車両Tの扱い方がよくないと予想される借主Rであることを意味する。
【0024】
ファンドマネージャFMは、N年後の車両Tの価値を予測するために、N年後の車両T自体の査定価格に加えて、この借主Rの格付を参照する。
具体的には例えば、N年後の車両T自体の査定価格が500万円であると仮定する。車両Tが高ランクの借主Rに対して賃貸された場合、車両Tは信用度の高い借主Rによって使用されることを意味するため、N年後の車両Tの資産としての価値は、車両T自体の査定価格500万円から殆ど変化がない。一方で、車両Tが低ランクの借主Rに対して賃貸された場合、車両Tは信用度の低い借主Rによって使用されることを意味するため、N年後の車両Tの資産としての価値は、車両T自体の査定価格500万円から大幅に下がるものと予想される。
即ち、ファンドマネージャFMは、借主Rの格付けに基づいて、N年後の車両Tの価値を精度よく予測することができるようになる。結果として、ファンドマネージャFMは、トラックファンドFを安定的に運営することができる。
【0025】
ファンドマネージャFMは、借主Rに対する与信審査を定期的に実行してもよい。即ち、ファンドマネージャFMは、借主Rに対する与信審査を、車両Tの賃貸期間中の一定期間毎に実行し、与信審査の結果に基づいて借主Rに対する格付を変更してもよい。
具体的には例えば、借主Rが賃貸期間中に車両Tの扱い方を改善したり、社員教育を実施することでドライバの運転技量に改善が見られたりした場合には、与信審査の結果に基づいて借主Rの格付が変更されてもよい。
また例えば、借主Rが賃貸期間中に賃貸料を延納した場合等には、車両Tの扱い方に関する信用度が低くなったとして、ファンドマネージャFMは、借主Rの格付を変更してもよい。
【0026】
さらにファンドマネージャFMは、借主Rの格付に基づいて、車両Tの賃貸料を変更してもよい。即ち、ファンドマネージャFMは、借主Rへの車両Tの賃貸期間中に、借主Rの格付変更に伴い賃貸料を変更してもよい。また、借主Rが新たな車両Tを賃借する際に、賃貸料を決定するための材料として、この格付が参照されてもよい。
借主Rは、自身の運送業の業務における改善活動の結果として、トラックファンドFにおける格付が上がったり車両Tの賃貸料が安くなるため、さらなる改善活動に対する意欲がわく。一方でファンドマネージャFMは、借主Rにおける車両Tの扱い方が改善されることで資産としての車両Tの価値が維持されるため、トラックファンドFにおける増益にもつなげることができる。
【0027】
以上のように、車両Tの相場価格や賃借ニーズのみならず、借主Rの与信審査の結果をも参照されることで、ファンドマネージャFMは、N年後の車両Tの価値を精度よく予測することができるようになる。
結果として、ファンドマネージャFMは、トラックファンドFを安定して運営することができるようになる。
【0028】
図2は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成の一例を示す図である。
【0029】
図2に示す情報処理システムは、ファンドマネージャFMが操作するサーバ1と、借主Rが操作する借主端末2と、借主Rと契約する車両Tを運転するドライバDが操作するドライバ端末3と、車両Tに搭載されるドライブレコーダ端末4とが、インターネット等の所定のネットワークNを介して相互に接続されることで構成される。
【0030】
サーバ1は、借主端末2、ドライバ端末3、及びドライブレコーダ端末4の各動作を管理すべく、各種処理を実行する。
借主端末2は、借主Rのうち例えば図示せぬ経営者によって操作される情報処理端末であって、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン等を含む。
ドライバ端末3は、車両Tを運転するドライバDによって操作される情報処理端末であって、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン等を含む。ドライバDは、車両Tを運転する旨の契約を借主Rと交わした運転手であって、借主Rに勤務する者であるかどうかは問わないものとする。
ドライブレコーダ端末4は、車両Tに搭載され、ドライバDにより操作される情報処理端末である。
借主端末2、ドライバ端末3、及びドライブレコーダ端末4は、サーバ1に対して、与信審査に必要な情報を送信する。
なお、サーバ1が実行するこれらの処理の詳細については、
図3及び4を参照して後述する。
【0031】
図3は、
図2の情報処理システムのうちサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【0032】
図3に示すサーバ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、出力部16と、入力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20と、を備えている。
【0033】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0034】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。
【0035】
出力部16は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、各種情報を画像や音声として出力する。
入力部17は、キーボードやマウス等で構成され、各種情報を入力する。
【0036】
記憶部18は、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部19は、インターネットを含むネットワークNを介して他の装置(
図2の例で借主端末2、ドライバ端末3、及びドライブレコーダ端末4)との間で通信を行う。
【0037】
ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア21が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア21から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。
また、リムーバブルメディア21は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0038】
なお、図示はしないが、
図2の情報処理システムのうち、本発明の一実施形態としての借主端末2、ドライバ端末3、及びドライブレコーダ端末4も、
図3に示すハードウェア構成を有している。
【0039】
図4は、
図2の情報処理システムのうちサーバの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0040】
サーバ1のCPU11においては、
図4に示すように、条件取得部110と、与信判断部120と、リース料決定部130と、価格査定部140とが機能する。
さらに、サーバ1の記憶部18の一領域には、車両DB40と、顧客DB50と、与信情報DB60が設けられている。
【0041】
車両DB40には、借主Rのニーズに応じてカテゴリ分けされた車両の情報が記憶されている。
ここで借主Rのニーズとは、借主Rが例えば宅配便等の運送業者であれば、冷凍車やドライ車等といった収容庫内温度仕様で何年から何年までの年式、走行距離が何Km以内の車両を何台必要である、という情報、また借主Rが建設会社であれば、廃材を運搬する荷台を備えたトラック、つまり荷台に汎用性がある車両を何年から何年までの年式、走行距離は不問の車両が何台必要である、という情報である。
カテゴリ分けとは、車両Tの属性(形式、仕様、年式、走行距離等)に基づいて、例えば人工知能(Artificial Intelligence)や機械学習等により車両Tを任意のグループに配分することをいう。車両Tは、複数のグループにまたがって配分される場合もある。
この他、車両DB40には、車両Tの相場価格が記憶されている。車両Tの相場価格は、対象の車両Tが、例えば中古車や新古車等であれば、年式や車種、走行距離に応じた中古市場の価格である。対象の車両Tが、例えば新車であれば、カーディーラー等のパンフレットに記載されている新車価格である。
【0042】
顧客DB50には、借主R等の顧客情報が記憶されている。具体的には、顧客DB50には、借主Rの与信審査に資する情報が記憶される。
【0043】
与信情報DB60には、借主Rの与信審査の結果が記憶される。
【0044】
CPU11の条件取得部110においては、路線情報収集部111と、ドライブレコーダ情報収集部112と、企業情報収集部113と、過去取引実績収集部114とが機能する。
【0045】
条件取得部110は、借主端末2、ドライバ端末3、及びドライブレコーダ端末4から送信されてきた与信審査に資する情報を、通信部19を介して取得する。
【0046】
路線情報収集部111は、例えば、借主Rが車両Tにどのような荷物を搭載するか、またどのような路線を用いて運用するか、等の情報を収集する。
即ち、路線情報収集部111は、借主Rとしての車両Tの扱い方に関する基準に基づく情報を収集する。
【0047】
ドライブレコーダ情報収集部112は、例えば車両Tに搭載されるドライブレコーダのデータや、外線電話に対する対応の仕方、車両Tの清掃状況、等に関する情報を収集する。
ドライブレコーダのデータからは例えばドライバの技量や、危険運転の有無等に関する情報を把握することができる。さらにドライブレコーダに記録されている音声等よりドライバの人格等が推測できるため、潜在的な事故率の予測をすることができる。
また外線電話に対する対応の仕方からは、例えばドライバに社員教育等がなされているかや、ドライバの人格や、ドライバのスケジュール管理の仕方等が推測できるため、車両Tの扱い方を予測することができる。
さらにまた車両Tの清掃状況からは、車両Tの扱い方、車両Tの消耗や劣化の具合を予測することができる。
即ち、ドライブレコーダ情報収集部112は、車両Tを運転するドライバの車両の扱い方に関する基準に基づく情報を収集する。
【0048】
企業情報収集部113は、例えば企業としての判断を行う者、即ち決裁者と企業の定性情報に関する基準に基づき情報を収集する。具体的には例えば、借主Rの中で営業的な判断を行う者、即ち決裁者は誰か、また借主Rの定性情報として、紹介者は誰か、事務所の整理整頓が行われているか、借主Rの経営者の人柄、考え方、個人資産、家族構成等が含まれる。また例えば、借主Rのコーポレート情報として、リース料をいくら払えるか、過去の取引実績について、ドライバの教育体制等に関する情報が含まれる。
即ち、企業情報収集部113は、借主Rの企業情報に関する基準に基づく情報を収集する。これらの情報から、後述する与信判断部120は、借主Rの車両Tに対する扱い方や考え方を予測することができる。
【0049】
過去取引実績収集部114は、例えば借主Rの過去の取引実績に関する基準に基づき情報を収集する。具体的には、借主Rが、過去に賃貸料を滞納していないか等の情報が収集される。これらの情報から、後述する与信判断部120は、借主Rの車両Tに対する扱い方や考え方を予測することができる。
条件取得部110を構成する夫々は、上述の基準に基づいて収集された情報を、顧客DB50へ格納する。
【0050】
CPU11の与信判断部120においては、審査部121と格付部122が機能する。
【0051】
審査部121は、条件取得部110において収集された夫々の情報に基づいて、借主Rの与信を審査する。
即ち、審査部121は、与信の諾否、あるいはその与信の度合を判断する。
【0052】
格付部122は、審査部121において審査した結果に基づいて借主Rを格付ける。
即ち、格付部122は、与信の諾否、あるいはその与信の度合に基づいて、借主Rを格付ける。具体的には例えば、与信が高いと判断された借主Rは、高ランクが付けられ、与信が低いと判断された借主Rには、低ランクが付けられる。
与信判断部120は、借主Rの与信審査の結果を、与信情報DB60へ格納する。
【0053】
CPU11のリース料決定部130は、与信判断部120において判断された借主Rの与信審査の結果に基づいて、賃貸料を決定する。
具体的には、リース料決定部130は、車両Tを借主Rに賃貸する際の賃貸料を、高ランクの借主Rに対しては安く設定し、低ランクの借主Rに対しては高く設定してもよい。
また例えば、リース料決定部130は、借主Rの与信審査の結果に基づいて、賃貸期間中に賃貸料を変更してもよい。
リース料決定部130は、決定された賃貸料に関する情報を、車両Tと関連付けることにより与信情報DB60に格納する。
【0054】
価格査定部140は、与信判断部120において判断された与信審査の結果と、車両Tの査定価格に基づいて、N年後の車両Tの価値を予想する。
価格査定部140は、N年後の車両Tの価値として、車両Tの相場価格や借主Rのニーズから決定される車両T自体の査定価格からではなく、その車両T自体の査定価格に対して借主Rの与信審査の結果を考慮して将来の価値としての車両Tの価格を予想する。
また図示はしないが当然ながら、借主Rとの取引の成立有無(取引Yes or No)や、借主Rへの車両Tの賃貸料、リース期間、他条件をも、N年後の車両Tの価格には考慮される。
【0055】
以上のように、与信判断部120において、借主Rの与信が審査されることにより、賃貸期間中の借主Rによる車両Tの扱い方を把握することができる。借主Rの与信の結果を車両T自体の査定価格に反映させることで、将来の車両Tの価格が精度よく予測されるようになる。
結果として例えば、ファンドマネージャFMは、ファンド運営を適切に継続することができるようになる。
【0056】
以下、情報処理システムの動作を説明する。
サーバ1では、条件取得部110が、借主Rの与信に関する情報を取得する。
続いて、与信判断部120は、条件取得部110により取得された借主Rの与信に関する情報に基づいて、借主Rの与信審査を実行する。
借主Rの与信審査がなされると、リース料決定部130は、与信判断部120において得られた与信審査の結果に基づいて、車両Tのリース料を決定する。
最後に、価格査定部140は、車両Tの査定価格、与信判断部120において得られた与信審査の結果等に基づいてN年後の車両Tの価格を予測する。
【0057】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0058】
例えば、
図3に示すハードウェア構成は、本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されない。
【0059】
また、
図4に示す機能ブロック図は、例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理装置に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは、特に
図4の例に限定されない。
【0060】
また、機能ブロックの存在場所も、
図4に限定されず、任意でよい。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0061】
各機能ブロックの処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0062】
このようなプログラムを含む記録媒体は、各ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される、リムーバブルメディアにより構成されるだけではなく、装置本体に予め組み込まれた状態で各ユーザに提供される記録媒体等で構成される。
【0063】
上述の実施形態では、借主Rの与信審査に資する情報は、借主端末2、ドライバ端末3、及びドライブレコーダ端末4を介して収集したがこれに限定されない。図示せぬ多種多様な端末から情報を収集し、その情報に基づいて、借主Rの与信審査をしてもよい。
【0064】
上述の実施形態では、与信審査の結果を、車両TのN年後の価格の予想、及び借主Rに対する賃貸料の決定のために利用したが、これに限定されず、与信審査の結果は様々な用途で活用することができる。例えば、与信審査の結果は車両Tの保険料の算出のために用いられてもよい。
【0065】
上述の実施形態では、ドライブレコーダ情報収集部112は、ドライブレコーダ端末4を介して、様々な車両メーカの車両に搭載されたドライブレコーダの情報を収集する。
そのため、収集されたドライブレコーダの情報を、例えば車両メーカ毎に抽出することで、車両メーカ毎の走行性能等、様々な情報を得ることができる。これらの情報は、荷主、保険会社、メーカに提供されてもよい。
【0066】
以上まとめると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理システム(例えば
図2、
図4のサーバ1等)は、車両を貸主(例えば
図1の借主R)に賃貸して、前記車両を運転する旨の契約を前記貸主と交わした1以上の運転手(例えば
図2のドライバD)に、当該車両を運転させる場合に利用される情報処理システムにおいて、前記貸主による前記車両の扱い方に関する第1基準(何を運ぶか、路線)、及び、前記1以上の運転手の夫々による前記車両の扱い方に関する第2基準(ドライブレコーダ、外線、清掃)を少なくとも含む所定の判断基準に基づいて、前記貸主の与信を判断する与信判断手段(例えば
図4の与信判断部120)を備える。
即ち、車両Tが賃貸される貸主や運転手の車両の扱い方等に関する基準に基づいて貸主の与信判断がなされるため、将来の車両の価値の予測に与信判断結果を反映することができる。つまり将来、車両Tを再賃貸する場合や売却する際の車両の価格を精度よく予測することができるようになる。そのため例えば車両を運用対象とするトラックファンド等においても、将来の車両の価格予測に基づき、ファンドを適切に運営することができるようになる。
【0067】
また、前記所定の判断基準(例えば
図4の条件取得部110)は、さらに、前記車両の扱い方以外の前記貸主に関する第3基準(企業判断、過去取引実績)を含む。
即ち、車両が賃貸される貸主の企業としての情報に関する基準に基づいて与信判断がなされるため、将来の車両の価値を精度よく予測することができる。結果として例えば、トラックファンド等においても、将来の車両の価格予測に基づき、ファンドを適切に運営することができるようになる。
【0068】
また、前記与信判断手段により判断された前記貸主の与信に基づいて、前記車両の将来の価格を査定する査定手段をさらに備える。
即ち、貸主の与信に基づいて、車両の将来の価格が精度よく査定されるようになる。結果として例えば、トラックファンド等において将来再賃貸する場合の賃貸料や、売却する場合の売却金を予測することができるため、ファンドを適切に運営することができる。
【0069】
さらにまた、前記与信判断手段により判断された前記貸主の与信に基づいて、前記車両又は新たな車両を前記貸主に賃貸する際の賃貸料を決定(前記車両の場合は賃貸料の見直しを意味する)する賃貸料決定手段(例えば
図4のリース料決定部130)をさらに備える。
これにより、貸主に対して車両が適正な賃貸料で貸し出されることが可能になる。結果として例えばトラックファンド等においても、貸主から適正な賃貸料(利益)を得ることができるため、ファンドを適切に運営することができるようになる。
【0070】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に添って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
【0071】
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものであるが、サーバのみを示すものであってもよい。
【符号の説明】
【0072】
1・・・サーバ、2・・・借主端末、3・・・ドライバ端末、4・・・ドライブレコーダ端末、11・・・CPU、12・・・ROM、13・・・RAM、14・・・バス、15・・・入出力インターフェース、16・・・出力部、17・・・入力部、18・・・記憶部、19・・・通信部、20・・・ドライブ、21・・・リムーバブルメディア、110・・・条件取得部、120・・・与信判断部、130・・・リース料決定部、140・・・価格査定部、40・・・車両DB、50・・・顧客DB、60・・・与信情報DB、FM・・・ファンドマネージャ、I・・・投資家、S・・・売主、R・・・借主、N・・・ネットワーク、T・・・車両
【手続補正書】
【提出日】2024-06-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を借主に賃貸して、前記車両を運転する旨の契約を前記借主と交わした1以上の運転手に、当該車両を運転させる場合に利用される情報処理システムにおいて、
前記借主の判断により決定される前記車両に関する情報から得られる、前記借主による前記車両の扱い方に関する第1基準、及び、前記1以上の運転手の夫々による前記車両の扱い方に関する第2基準を少なくとも含む所定の判断基準に基づいて、前記借主の与信を判断する与信判断手段、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記所定の判断基準は、さらに、前記借主としての判断を行う者に関する情報、及び前記借主の過去の取引実績に関する情報のうち少なくとも一部から得られる、前記車両の扱い方以外の前記借主に関する第3基準を含む、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記与信判断手段により判断された前記借主の前記与信に基づいて、前記車両の将来の価格を査定する査定手段、
をさらに備える請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記与信判断手段により判断された前記借主の前記与信に基づいて、前記車両又は新たな車両を前記借主に賃貸する際の賃貸料を決定する賃貸料決定手段、
をさらに備える請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項5】
車両を借主に賃貸して、前記車両を運転する旨の契約を前記借主と交わした1以上の運転手に、当該車両を運転させる場合に利用される情報処理システムが実行する情報処理方法において、
前記借主の判断により決定される前記車両に関する情報から得られる、前記借主による前記車両の扱い方に関する第1基準、及び、前記1以上の運転手の夫々による前記車両の扱い方に関する第2基準を少なくとも含む所定の判断基準に基づいて、前記借主の与信を判断する与信判断ステップ、
を含む情報処理方法。
【請求項6】
車両を借主に賃貸して、前記車両を運転する旨の契約を前記借主と交わした1以上の運転手に、当該車両を運転させる場合に利用されるコンピュータに、
前記借主の判断により決定される前記車両に関する情報から得られる、前記借主による前記車両の扱い方に関する第1基準、及び、前記1以上の運転手の夫々による前記車両の扱い方に関する第2基準を少なくとも含む所定の判断基準に基づいて、前記借主の与信を判断する与信判断ステップ、
を含む制御処理を実行させるプログラム。