(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100823
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】車載機器及びシステム等
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240719BHJP
G07C 5/08 20060101ALI20240719BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G07C5/08
H04N7/18 U
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024078518
(22)【出願日】2024-05-14
(62)【分割の表示】P 2022170402の分割
【原出願日】2018-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】391001848
【氏名又は名称】株式会社ユピテル
(72)【発明者】
【氏名】服部 哲也
(72)【発明者】
【氏名】清水 勇喜
(72)【発明者】
【氏名】庄司 孝平
(72)【発明者】
【氏名】喜多 政伸
(72)【発明者】
【氏名】小池 茂
(72)【発明者】
【氏名】依藤 勇規
(57)【要約】
【課題】リムーバブルメディアの持ち運びの手間を削減し、かつイベント発生時以外の種々のデータを有効に利用することが可能な車載機器及びシステム等を提供する。
【解決手段】本システムは、車両に搭載された車載機器から無線伝送路を経由して、車載機器識別情報、車載機器で取得された画像データ及び車両の走行状態を表す走行データを受信する。さらに、車載機器識別情報、画像データ、及び走行データを相互に関連付けてデータベースを作成し、ユーザから指示された検索条件に基づいてデータベースを検索し、検索結果を表示する機能を持つ。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イベント録画された動画のリストを画面に表示させる機能を備えたシステムであって、
録画された映像の日時情報、イベント発生要因、映像のサムネイル、及び、映像を見る指示を入力する入力部が含まれた画面を表示させる機能を備え、
前記録画された映像の日時情報を含むカレンダーと、及び、前記イベント発生要因の絞り込み条件を入力するための入力部を表示させる機能を備えたこと
を特徴とするシステム。
【請求項2】
前記入力された絞り込まれた条件に対応するイベント発生要因を持つ録画の履歴のみを表示させる機能を備えたこと
を特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記映像を見る指示の入力に応じて録画の詳細な情報を表示させる機能を備えたこと
を特徴とする請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
撮影日時、車両の時速、及び加速度に関する情報、現在位置情報、及び画像を表示し、前記加速度に関する情報は、時間を横軸としたグラフで表示し、車両の現在位置情報は、地図上の現在位置に相当する箇所に表示した車両のアイコンによって表示し、前記画像を表示する領域の下に、動画の再生、停止の操作を行うための操作パネルを表示させる機能を備えるシステムであって、
前記映像を見る指示に応じて表示される録画の詳細な情報として、これらを表示させる機能を備えること
を特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
所定の画面でユーザから車両が指定されたとき、前記その指定された車両で発生した前記イベント録画された動画のリストを表示させる画面を表示させる機能を備えること
を特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のシステムの機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車載機器及びシステム等に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2にドライブレコーダに関する発明が開示されている。
特許文献1に開示されたドライブレコーダは、車両の運転状況データを収集するデータ収集部と、運転状況データを不揮発的に格納する記憶部と、携帯電話端末との間で有線または無線による相互通信を行う通信部と、これらの各機能部を統括的に制御する制御部とを有している。制御部は、所定のトリガ条件が満足されたと判定した時に、通信部を制御して携帯電話端末に運転状況データを送信する。
【0003】
特許文献2に開示されたドライブレコーダは、少なくとも車両外部を撮像した映像信号から動画データを生成する動画データ生成手段と、イベント発生を検知した時、動画データを含む画像データを外部装置に送信する画像データ送信手段とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-238214号公報
【特許文献2】特開2009-32143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、ドライブレコーダ等のカメラで撮像された画像は、記憶装置に常時上書きされている。特許文献2に記載されたドライブレコーダは、イベント発生時の画像データを外部装置に送信するが、イベントが発生していないときの画像データは時間の経過とともに上書きされて消去されてしまう。
【0006】
画像データ等をリムーバブルメディアに記録し、画像データ等が上書きされる前に外部装置に画像データ等を引き渡すことにより、外部装置に画像データ等を蓄積することができる。ただし、この方法では、画像データ等が上書きされる前に定期的にリムーバブルメディアをドライブレコーダ等から取り外して、外部装置まで持ち運ばなければならない。本発明の目的は、リムーバブルメディアの持ち運びの手間を削減し、かつイベント発生時以外の種々のデータを有効に利用することが可能な車載機器及びシステム等を提供することである。
【0007】
本願の発明の目的はこれに限定されず、本明細書及び図面等に開示される構成の部分から奏する効果を得ることを目的とする構成についても分割出願または補正等により権利取得する意思を有する。例えば本明細書において「~できる」と記載した箇所を「~が課題である」と読み替えた課題が本明細書には開示されている。課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、この課題を解決するための構成についても単独で分割出願または補正等により権利取得する意思を有する。課題が明細書の記載から黙示的に把握されるものであっても、本出願人は本明細書に記載の構成の一部を補正または分割出願にて特許請求の範囲とする意思を有する。またこれら独立の課題を組み合わせた課題も開示されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)車両に搭載された車載機器から無線伝送路を経由して、車載機器識別情報、車載機器で取得された画像データ及び車両の走行状態を表す走行データを受信して、前記車載機器識別情報、前記画像データ、及び前記走行データを相互に関連付けてデータベースを作成し、ユーザから指示された検索条件に基づいて前記データベースを検索し、検索結果を表示する機能を持つシステムとするとよい。
【0009】
車載機器から本システムへの画像データや走行データの転送に際し、リムーバブルメディアの持ち運びの手間を削減し、かつイベント発生時以外の種々のデータを有効に利用することが可能になる。検索条件に基づいてデータベースを検索した結果を表示することにより、ユーザは、膨大なデータを含むデータベースから必要なデータを容易に見つけ出すことができる。ここで、ユーザには、車両の運転者、車両の運行を管理する運行管理者、本システムを管理するシステム管理者が含まれる。なお、運行管理者がシステム管理者を兼務してもよい。
【0010】
車載機器を搭載する車両には、一般の道路を走行する乗用車、トラック、バス等の車両、特定の構内を走行するフォークリフト等の特殊車両、軌道を走行する路面電車、鉄道を走行する列車等が含まれる。データ収集する対象の車載機器は、複数個にするとよい。これにより、より多くの情報を収集することができる。車載機器として、例えば撮像装置及び記憶装置が内蔵されたドライブレコーダ等を用いるとよい。無線伝送路として、電気通信事業者が提供する移動体通信網(例えばLTE規格の伝送路)、本システムのユーザが設置する無線LAN等を用いるとよい。例えば、移動体通信網や無線LANのアクセスポイントと車載機器との間に、無線伝送路(例えば、WiFi規格の伝送路)が形成される。アクセスポイントと本システムとの間の伝送路として、有線または無線の伝送路を用いるとよい。
【0011】
データを収集する対象の車両の移動範囲に応じて、無線伝送路として移動体通信網を利用するか、無線LANを利用するかを決定するとよい。例えば、フォークリフトのように特定の構内を移動する車両に搭載された車載機器からデータを収集する場合には、無線LANを利用するとよい。無線LANのアクセスポイントの数は、無線伝送路でカバーすべきエリアの広さや階層構造に応じて決定するとよい。長距離トラックやタクシーのように、無線LANでカバーできない広範囲を移動する車両からデータを収集する場合には、移動体通信網を利用するとよい。移動体通信網及び無線LANの両方の無線伝送路を用いて車載機器から本システムにデータを送信可能にするとよい。この場合、無線LANによる通信可能範囲内に車両が位置するときには、無線LAN経由で通信を行い、それ以外のときは移動体通信網経由で通信を行うとよい。
【0012】
無線LANの通信可能エリアの外を走行する可能性がある車両に搭載された車載機器は、GPS等によって取得された現在位置情報に基づいて、現在位置が無線LANの通信可能エリア内か否かを判定し、通信可能エリア内である場合にアクセスポイントを検索する機能をもつとよい。GPSの電波を受信できず、現在位置情報を取得できない場合(非測位時)には、一定の周期で定期的にアクセスポイントを検索するようにするとよい。
【0013】
基本的に無線LANの通信可能な構内で作業を行う車両に搭載される車載機器は、常時アクセスポイントを検索するようにするとよい。アクセスポイントを検知できないときには、アクセスポイントを検索する処理を繰り返し実行(リトライ)するようにするとよい。本システムは、リトライ回数またはリトライ周期を、非検知時間に対応して設定できる機能を持つとよい。例えば、非検知時間が長くなるに従って、リトライ周期を長くするとよい。例えば、非検知時間が10分以下のときにはリトライ周期を5秒とし、非検知時間が10分~1時間のときにはリトライ周期を2分とするとよい。非検知時間が所定の上限値、例えば1時間を超えたら、運行管理者に通報する機能を、本システムが備えるとさらによい。非検知時間とリトライ周期との対応関係は、アクセスポイントの設置状況等によって変更できるようにするとよい。
【0014】
無線伝送路として移動体通信網を用いる場合には、車載機器は、常時アクセスポイントを検索するようにするとよい。アクセスポイントを検知できないときには、アクセスポイントを検索する処理を繰り返し実行(リトライ)するようにするとよい。無線LANを用いる場合と同様に、リトライ回数またはリトライ周期を、非検知時間に対応して設定できる機能を本システムが持つとよい。
【0015】
車載機器識別情報は、複数の車載機器のうち1つの車載機器を特定するための情報である。1つの車載機器が1台の車両に固定的に搭載され、複数台の車両間で載せ替えられない場合は、車載機器識別情報によって車両を特定することができる。さらに、車両と運転者との対応関係が固定されている場合には、車載機器識別情報によって運転者を特定することができる。車載機器が複数の車両の間で載せ替えられて使用される場合には、システムに送信する情報に車両を識別するための車両識別情報を加えるとよい。さらに、1台の車両を複数の運転者が運転する可能性がある場合には、システムに送信する情報に運転者を識別するための運転者識別情報を加えるとよい。車載機器にリムーバブルメディアを装着して運用する場合、システムに送信する情報にリムーバブルメディアを識別するためのメディア識別情報を加えるとよい。運転者が特定のリムーバブリメディアを携帯して使用する場合には、リムーバブリメディア識別情報を、運転者を識別するための情報として利用することができる。
【0016】
車載機器で取得する画像データに、例えば、車両の前方画像のデータを含めるとよい。後方、側方、及び車内の少なくとも1つの画像データを含めるとさらによい。車両の後方等の画像データを含めることにより、より多くの情報を収集することができる。この画像データは、例えば動画データとするとよい。動画データを収集することにより、静止画では得られない動きに関する情報を得ることができる。車両での事故等の特定のイベント発生時に限らず、無線伝送路を経由した通信が可能である期間は、車載機器からシステムへ常時データ送信を行うとよい。これにより、イベント発生時以外の種々の情報をデータベース化することができる。
【0017】
走行データに、例えば日時情報、位置情報、速度情報、加速度情報、イベント発生要因情報、運転者の操作情報等を含めるとよい。日時情報は、画像データを撮像した日時を表す。位置情報として、例えば全地球測位システム(GPS)の受信機により取得される緯度経度の情報を用いるとよい。速度情報は、例えば車載機器が、CAN等の車載ネットワークを介して車両から取得するとよい。加速度情報は、車載機器に前後、上下、左右の加速度を測定する三軸加速度センサを搭載し、この加速度センサから取得するとよい。
【0018】
ユーザが指示する検索条件として、例えば日時または期間に関する情報、位置に関する情報、車両識別情報、運転者識別情報、イベント発生要因等を採用するとよい。位置に関する情報として、例えば、緯度経度、特定の交差点の名称、その交差点からの距離、住所、ある領域を複数の区画に分割した時の特定の区画を示す情報等とするとよい。ユーザに緯度経度等の特定の地点を指定させる場合には、画面に地図を表示し、表示された地図上の特定の箇所をポインティングデバイス(例えば、マウス、タッチパネル等)で指定させるようにするとよい。検索結果の表示には、例えば、地図形式、一覧表形式等を採用するとよい。
【0019】
イベント発生要因の例として、例えば、加速度(車両に加わる衝撃の大きさ)がしきい値を超えた、車両の走行速度が法定速度を超えた、乗員が車載機器のイベント記録操作を行った等の運転状況による要因等が挙げられる。法定速度を示す情報は、例えば車両前方の画像解析を行い、制限速度の道路標識から取得するようにするとよい。その他に、カーナビゲーション機器の地図情報に法定速度情報を追加しておき、車両の現在位置情報と地図情報に含まれる法定速度情報とに基づいて取得するようにしてもよい。
【0020】
本システムは、ユーザである事業所に設置するコンピュータ、例えばパーソナルコンピュータ等で実現するとよい。このコンピュータにデータベースソフトと、データベースを利用するアプリケーションプログラムをインストールすることにより、本システムを実現するとよい。アプリケーションプログラムは、例えばドライブレコーダで記録された画像データや走行データを閲覧するための従来のパソコン用ビューワに、データベースにアクセスする機能、及び検索条件を指定する機能等を追加することにより実現するとよい。データベースで抽出されたデータから、追加の検索条件で必要なデータを検索する機能をアプリケーションプログラムに持たせるとさらによい。
【0021】
本システムを、データベースサーバとクライアントとで構成してもよい。このとき、データベースサーバとクライアントとは、有線LANまたは無線LANで接続するとよい。このLANに接続されていない端末からは、データベースサーバにアクセスできないようにするとよい。これにより、データベースに格納されたデータが事業所外へ流出してしまうことを防止することができる。
【0022】
上記(1)及び以下に説明する(2)~(26)では、車両に搭載した車載機器から画像データや走行データを収集するシステムを例として記載しているが、車載機器に代えて、定点カメラで撮像された画像データを収集するシステムとしてもよい。定点カメラとして、例えば工場内の装置の動作状況の正常性を確認するために設置された監視カメラ、作業車両が移動する構内に設置された監視カメラ、不特定多数の者が通行する路上に設置された防犯カメラ、ビルの出入り口や廊下に設置された防犯カメラ等が挙げられる。このような定点カメラで取得されるデータには、走行データに相当するデータは存在しない。例えば、これらのカメラからデータベース化するシステムには、画像データ及び日時情報等を送信するとよい。また、車載機器識別情報に代えて、カメラを識別するための機器識別情報を定点カメラからデータベース化するシステムに送信するとよい。本システムが定点カメラからデータを収集する場合には、無線伝送路として無線LANを用いるとよい。無線LANのアクセスポイントが検知できない場合には、無線LANのシステムに何らかの異常が生じていると考えられる。その他に、無線伝送路を経由することなく、有線伝送路を経由して本システムにデータを転送してもよい。本願の出願人は、これらの定点カメラからデータを受信してデータベースを作成するシステムに関しても、特許を取得する意思を有する。
【0023】
本システムでは、無線通信可能な場合には、車載機器から本システムに常時画像データ及び走行データ等を送信するようにしたが、本システムから車載機器に特定のデータの送信を要求するコマンドを送信し、車載機器が、受信したコマンドで要求されている画像データ及び走行データを本システムに送信するようにしてもよい。例えば、本システムは、「何月何日何時何分から何分間の間に取得された画像データを送れ」というコマンドを送信する。車載機器は、要求内容に該当する画像データをリムーバブルメディアから読み出して、本システムに送信するとよい。一般的に、SDカード等のリムーバブルメディアは、読み出しと書き込みとを同時に行うことが困難である。このため、画像データの読み出し時には、書き込みを一旦停止させるとよい。なお、読み出すべきデータ量が少ない場合には、書き込みと読み出しとを同時に実行できる場合もある。読み出すべきデータ量が所定のデータ量より少ない場合には、書き込みを中断することなく、必要なデータを読み出すようにするとよい。
【0024】
(2)車載機器から前記画像データを受信した後、前記画像データの画像解析を行い、解析結果を前記画像データと関連付けて前記データベースに格納する機能を、さらに備えたシステムとするとよい。
【0025】
画像解析結果をデータベースに格納すると、データベースの検索時に画像解析を行うことなく、画像解析結果を検索のキーとして利用することができる。その結果、検索速度を速めることができる。
【0026】
例えば、画像解析によって、自車両の周囲で事故が発生したか否か、事故には至らなかったが、ヒヤリハット事例に相当する状況が生じたか否か、信号機が画像に写り込んでいるか否か、歩行者が画像に写り込んでいるか否か、所定の道路標識が画像に写り込んでいるか否か、画像に車両が写り込んでいるか否か、車両が写り込んでいる場合には、その車両の外観上の特徴、等を判定するようにするとよい。解析結果は、例えばテキストデータ化、コード化、またはフラグ化してデータベースに格納するようにするとよい。周囲の車両の外観的な特徴として、例えば車両の色、車両区分、ナンバープレート等の情報を採用するとよい。車両区分には、例えばバス、トラック、乗用車、オートバイ等を含めるとよい。例えば、ある時間帯に、ある場所で、赤色の乗用車の走行状態を知りたい場合には、車両の色及び車両区分に関する解析結果を利用することができる。また、事故の有無に関する解析結果を利用することにより、ある日時に、ある場所で発生した事故の画像がデータベースに格納されているか否かを容易に検索することができる。事故の画像がデータベースに格納されている場合、この画像は、事故原因特定の有益な情報となる。
【0027】
その他に、車内の画像を解析して運転者を顔認証により識別し、運転者識別情報をデータベースに格納するとよい。運転者の顔認証は、例えば運転席が空席になった後、運転者が運転席に着座したことを検知するごとに実行するとよい。
【0028】
上記(2)に記載のシステムでは、画像データの受信後、データベース化する前に画像解析を行ったが、急ブレーキ発生等のイベント発生要因でデータベースを検索し、抽出された画像データを再生している期間に、再生中の画像の解析を行い、ヒヤリハット事例が発生したか否かを判定する機能を、本システムが備えるとよい。ヒヤリハット事例の発生を検出したら、その時点で再生を停止し、画像の閲覧者にヒヤリハット事例の発生を通知する機能を、本システムが備えるとよい。
【0029】
その他の構成として、例えば工場内の装置の動作状況の正常性を確認するために設置された監視カメラからの画像データを解析するシステムとするとよい。装置が、異常発生時に警報ランプを点滅させる等の方法によって異常発生を報知する機能を持つ場合、画像解析によって警報ランプの点滅を検知し、異常発生の報知があったか否かを判定するとよい。解析結果として異常発生の有無に関する情報をデータベースに格納するとよい。
【0030】
(3)前記走行データは車載機器の現在位置情報を含んでおり、車載機器から前記走行データを受信した後、前記現在位置情報に基づいて、前記車両の現在位置を複数のグループのいずれかに分類し、前記走行データと、現在位置が属するグループの情報とを関連付けて前記データベースに格納する機能を、さらに備えたシステムとするとよい。
【0031】
グループを検索キーとしてデータベースを検索することにより、車両の位置の緯度経度で検索する場合と比べて、車両の位置に基づいて短時間に粗い検索を行うことができる。
【0032】
現在位置を分類する複数のグループとして、例えば、地図をメッシュで区切って複数の区画に分割し、分割された複数の区画を採用するとよい。区画の大きさとして、例えば一辺の長さが50m~100mの範囲内の正方形とするとよい。この場合、区画の境界線を含む一定幅の帯状の領域に存在する地点は、境界線の両側の2つの区画に属するようにするとよい。これにより、検索対象の地点が境界線の極近傍に位置する場合でも、必要なデータの検索漏れを回避することができる。
【0033】
その他に、現在位置を、複数の交差点の各々からの距離に基づいてグループ分けするとよい。例えば、交差点Aからの距離が100m以下のグループ、交差点Bからの距離が100m以下のグループ等に分類するとよい。このようにグループ分けすると、交差点の名称を検索キーとして、その交差点の近傍で取得された画像データ及び走行データを容易に抽出することができる。
【0034】
さらに、その他に、現在位置を分類する複数のグループとして、現在位置の住所、例えば市区町村名(住居表示の町名まで)を採用するとよい。このようにグループ分けすると、住所を検索キーとして、その住所内で取得された画像データ及び走行データを容易に抽出することができる。
【0035】
(4)画面に地図、及び検索条件を入力させるための入力領域を表示し、ユーザが画面に表示された前記入力領域に検索条件を入力すると、入力された検索条件を満たすデータ(レコード)を前記データベースから抽出し、抽出されたデータ(レコード)に含まれる現在位置情報で指定される地図上の位置にマークを表示する機能を、さらに備えたシステムとするとよい。
【0036】
ユーザは、検索条件を満たすデータが取得された位置を地図上で容易に把握することができる。例えば、検索条件として開始日時と終了日時、及びイベント発生要因を指定することにより、指定された開始日時から終了日時までの間に、指定されたイベント発生要因によるイベントが発生した地点を地図上に表示することができる。地図上に表示するマークとして、フラッグ模様、バルーン模様等のマークを用いるとよい。
【0037】
1つのウィンドウ内に、地図を表示するペインと、検索条件を入力させるペインとを表示するとよい。検索条件を入力させるペインには、検索条件の項目名とチェックボックスを表示するとよい。詳細な条件は、プルダウンメニュー、ポップアップメニュー等から選択させるようにするとよい。検索条件を絞り込むと、地図上に表示されるマークの個数が減少し、検索条件を緩めると、地図上に表示されるマークの個数が増加する。ユーザは、マークの増減を確認しながら、適切な検索条件を設定することができる。
【0038】
(5)画面に地図を表示し、表示された地図からユーザに一部の領域を指定させる機能、及び現在位置情報に対応する位置が、ユーザが指定した領域に含まれるデータ(レコード)を前記データベースから抽出し、抽出されたデータ(レコード)に対応する地図上の位置にマークを表示する機能を、さらに備えたシステムとするとよい。
【0039】
ユーザは、画面に表示された地図から一部の領域を指定することにより、直感的に位置を指定することができる。地図から一部の領域を指定する操作として、マウスによるドラッグ、タッチパネルにおけるピンチイン、ピンチオフ等を採用するとよい。さらに、上記(4)に示したように、位置情報以外の検索条件、例えば日時情報、イベント発生要因等をユーザに入力させるようにするとよい。地図上の領域、及びその他の検索条件を徐々に絞り込むことにより、必要な情報を容易に探し出すことができる。例えば、何月何日ごろ、どのあたりで急ブレーキをかけたかという記憶に基づいて、徐々に検索条件を絞り込むことができる。
【0040】
本システムをデータベースサーバとクライアントとで構成する場合、最初の粗い条件でデータベースを検索して抽出されたデータをクライアントに転送し、その後の検索条件の絞り込み時には、絞り込まれた検索条件でクライアントが受信データを検索する機能を備えるとよい。これにより、データベースへのアクセス回数を低減させることができる。
【0041】
(6)検索条件としてユーザに住所を入力させ、入力された住所の住所表示に変更の履歴があった場合、旧住所表示と現在の住所表示との両方をキーとして前記データベースを検索する機能を、さらに備えたシステムとするとよい。
【0042】
走行データ収集時点では、その時点の住所表示に基づいてデータベースが作成される。その後、市町村合併や住居表示の導入等によって住所表示が変更になっても、変更後の住所表示に基づいて必要なデータを抽出することができる。逆に、旧住所表示に基づいて検索条件を設定した場合でも、変更後の対応する住所表示を持つデータを抽出することができる。住所表示以外に、交差点名が変更になった場合にも、旧交差点名と新交差点名とのどちらを検索キーとしても、該当の交差点に関連付けられたデータを検索する機能を、本システムが備えるとよい。
【0043】
(7)車両に搭載された車載機器に設置されたリムーバブルメディアに記録された前記画像データ及び前記走行データを読み込み、前記データベースに格納する機能を、さらに備えたシステムとするとよい。
【0044】
無線伝送路による通信ができなかった期間にリムーバブルメディアに記録されたデータ、無線通信機能を持たない車載機器でリムーバブルメディアに記録されたデータ等をデータベースに格納することができる。無線伝送路による通信ができなかった期間のデータをデータベースに格納することにより、時間的に切れ目なく画像データ及び走行データをデータベース化することができる。無線通信機能を持たない車載機器からデータを取り込むことにより、データベースをより充実させることができる。リムーバブルメディアに記録されたデータを読み取るために、本システムにリムーバブルメディアのリーダを含めるとよい。
【0045】
車両の運行が終了した後にデータを無線伝送路経由で本システムに送信する場合には、データ送信が完了するまで車両のエンジンを稼動させておくことが望まれる。リムーバブルメディアを介してデータを本システムに読み込む場合には、車両の運行終了後にエンジンを停止させてもよい。リムーバブルメディアを介したデータ転送を併用することにより、運転者ごとの画像データ及び走行データにデータの欠損が生じにくいため、データベースに格納されたデータに基づいて運転者の評価を行う際に運転者ごとの評価に不公平が生じにくくなる。例えば、移動体通信網の電波が届かない僻地や山中を走行している期間の画像データや走行データを、運転者の評価に取り入れることができる。
【0046】
データベースの一つの属性として、データを取得した方法を識別するためのデータ取得方法識別情報を含めるとよい。データ取得方法識別情報によって、無線LAN経由、移動体通信網経由、リムーバブルメディア経由のいずれかを識別できるようにするとよい。ユーザは、データ取得方法識別情報を検索キーとしてデータベースを検索することができる。
【0047】
リムーバブルメディアの画像データや走行データに、無線伝送路経由で送信済か否かを識別するための送信済フラグを含めるとよい。リムーバブルメディアから本システムに画像データ及び走行データを読み込む際に、送信済フラグがセットされていない画像データ及び走行データを読み込み、送信済フラグがセットされている画像データ及び走行データは、本システムに読み込まない機能を本システムが持つとよい。リムーバブルメディアに送信済フラグが記録されない場合には、リムーバブルメディアからデータを読み込む際に、リムーバブルメディア識別情報、車載機器識別情報、画像取得時刻、画像のフレームカウンタ等に基づいて、リムーバブルメディアに記録されている画像データが既にデータベースに格納されているか否かを判定し、データベースに格納されていない画像データ等を読み込む機能を本システムが持つとよい。
【0048】
(8)車載機器の動作条件を決定する設定情報の変更を行う指令、及び車載機器のファームウェアの更新を行う指令の少なくとも一方の指令を、無線伝送路を経由して車載機器に送信する機能を、さらに備えたシステムとするとよい。
【0049】
運行管理者は、車載機器を搭載した車両に赴くことなく車載機器の設定情報の変更を行うことができる。また、システム管理者は、車載機器を搭載した車両に赴くことなく車載機器のファームウェアの更新を行うことができる。
【0050】
運行管理者またはシステム管理者が特定の車載機器を指定することなく、設定情報を変更またはファームウェアの更新を行う操作を行うと、本システムは、管理対象の全ての車載機器の設定情報の変更またはファームウェアの更新を行うようにするとよい。管理対象の複数の車載機器ごとに設定情報の変更またはファームウェアの更新の操作を行う場合と比べて、変更または更新の操作を簡略化することができる。
【0051】
さらに、本システムは、管理対象の複数の車載機器を複数のグループに分類し、グループごとに設定情報の変更またはファームウェアの更新を行う機能を持つとよい。例えば、車載機器が搭載された車両の運転者の安全運転度や熟練度に応じて、車載機器を分類するとよい。例えば、運転者を、安全運転度が高い、普通、及び低いの3つのグループに分類し、運転者と車載機器との対応関係に応じて、車載機器を3つのグループに分類するとよい。例えば、安全運転度が高い運転者が運転する車両においては、急発進や急ブレーキ等の加速度が大きくなる状況が発生しにくいため、加速度をトリガとしたイベントが発生しにくい。安全運転度が高い運転者の車両においても、ある程度のイベントを検出するために、イベントが発生したと判定する加速度のしきい値を、他のグループのしきい値より低く設定するとよい。逆に、安全運転度の低い運転者の車両においては、記録する画像データの解像度を他のグループより高くし、事故やヒヤリハット事例が生じたときの原因分析を行いやすくしておくとよい。また、運転中に危険な行為または動作を行う傾向が強い運転者を、特定のグループに分類し、その運転者に対応する車載機器においては、車内の画像を詳細に収集するように設定するとよい。ここで、「詳細に」の例として、解像度を高めること、フレームレートを高めること等が挙げられる。
【0052】
その他に、運転者が所属する社内の部門に応じて、車載機器のグループ分けを行うとよい。例えば、設計部門、営業部門、企画部門等の部門ごとにグループ分けを行うとよい。
【0053】
運行管理者またはシステム管理者が本システムを操作して車載機器の設定情報の変更またはファームウェアの更新の指示を行ったときに、無線通信が不可能である車載機器に対しては、設定情報の変更の予約、またはファームウェア更新の予約を行う機能を本システムが持つとよい。設定情報の変更の予約、またはファームウェア更新の予約が行われている車載機器が本システムと無線通信可能になったら、本システムが車載機器に設定情報の変更またはファームウェア更新の指令を送信するとよい。
【0054】
本システムから車載機器に、車載機器のリムーバブルメディアをフォーマット(初期化)する指令を送る機能を、本システムが持つとよい。例えば、車載機器のファームウェアを更新したことによりリムーバブルメディアをフォーマットし直す必要が生じた場合等に、本機能により車載機器のリムーバブルメディアをフォーマットするとよい。
【0055】
ファームウェアの更新及びリムーバブルメディアのフォーマット等の指令の送信は、システム管理者が本システム、例えばパソコンを操作して行うようにするとよい。リムーバブルメディアのフォーマットが必要なファームウェアの更新を行う場合には、システム管理者がファームウェアの更新の操作を行ったとき、リムーバブルメディアのフォーマットが必要であり、現在まで記録されている画像データ及び走行データが消去されてしまうことをシステム管理者に通知するようにするとよい。このとき、本システムに送信されていない画像データ及び走行データが車載機器に残っているか否かをシステム管理者に通知するようにするとさらによい。この通知を行った後、ファームウェアの更新を行うか中止するかをシステム管理者に選択させるようにするとよい。これにより、システム管理者が画像データや走行データを残しておきたいにも拘わらずこれらのデータが消去されてしまう事態の発生を防止することができる。
【0056】
本システムは、リムーバブルメディアに記録されている画像データ及び走行データの全てを本システムに送信した後にリムーバブルメディアをフォーマットするように車載機器に指令する機能を持つとよい。車載機器は、この指令を受信すると、リムーバブルメディアに記録されている画像データ及び走行データの全てを本システムに送信した後、自動的にリムーバブルメディアのフォーマットを開始する機能を持つとよい。
【0057】
システム管理者がファームウェアの更新を行う操作をしたとき、本システムは、ファームウェアの更新の指令を車載機器に送信する前に、ファームウェアの更新中は車載機器の録画が中断されることをシステム管理者に通知するとよい。本システムは、この通知を行った後、ファームウェアの更新を実行するか、中止するかをシステム管理者に選択させるようにするとよい。これにより、システム管理者は、録画を中断したくない場合にファームウェアの更新を中止することができる。
【0058】
(9) 前記データベースは、車両の運転者を識別する運転者識別情報を含み、前記運転者識別情報で特定される運転者ごとに、前記データベースのデータ管理条件を設定する機能を、さらに備えたシステムとするとよい。
【0059】
運転者ごとに最適なデータ管理条件を設定し、データを管理することができる。データ管理条件として、例えば、記憶容量上限値、データ保管期間、画像データの属性、イベント記録要否等を採用するとよい。
【0060】
データベースの記憶容量は有限であるため、データベースに蓄積されたデータ量が記憶容量の上限に達すると、過去のデータを消去するか、または新しいデータを格納することなく廃棄しなければならない。特定の運転者に対応する記憶領域の最大容量を大きくし、データ保管期間を長く設定しておくと、その運転者に関するデータが消去されにくくなる。例えば、重点的に管理したい運転者に関するデータの記憶領域の最大容量を、他の運転者に関するデータの記憶領域の最大容量より大きくすることにより、重点的に管理したい運転者に関するデータが消去されにくくなるという効果が得られる。
【0061】
重点的に管理したい運転者に関するデータの保管期間を、他の運転者に関するデータの保管期間より長くすることにより、重点的に管理したい運転者に関するデータをより長期間保管することができる。例えば、運転者によって、データ保管期間を1日に設定したり、1年に設定したりすることができるようにするとよい。
【0062】
画像データの属性として、例えば解像度、フレームレート等を採用するとよい。運行管理者が本システムを操作して運転者を指定して画像データの属性を入力すると、本システムは、指定された運転者が乗車する車両に搭載された車載機器識別情報を取得し、その車載機器識別情報に対応する車載機器に、入力された属性に変更する指令を送信するとよい。この指令を受信した車載機器は、記録及び送信する画像データの属性を変更するとよい。
【0063】
運行管理者が本システムを操作して運転者を指定してイベント記録要否を設定すると、本システムは、指定された運転者が乗車する車両に搭載された車載機器識別情報を取得し、その車載機器識別情報に対応する車載機器に、入力されたイベント記録要否の設定値に変更する指令を送信するとよい。この指令を受信した車載機器は、イベント記録要否の設定値に応じて、イベント記録を行う機能を有効にしたり、無効にしたりするとよい。
【0064】
これらの設定を運転者ごとに行う代わりに、複数の運転者を複数のグループに分類し、グループごとにこれらの設定を変更できるようにするとよい。例えば、運転者を運転技術や運転態度に応じて「優良」、「普通」、「危険」等のグループに分類するとよい。このようにすると、運転者一人ずつを指定してデータ管理条件を設定する場合と比べて、運行管理者によるデータ管理条件の設定操作を簡単化することができる。
【0065】
本システムは、このデータベースに基づいて、運転者ごとに労務管理情報を一覧表形式で出力する機能を持つとよい。また、労務管理情報を出力する対象となる運転者、勤務期間等を、運行管理者に入力させるようにするとよい。さらに、労務管理情報を事業所ごとに一覧表形式で出力する機能を持つとよい。
【0066】
本システムに、コンビニ、ATM、マンション、商店街等に設置された防犯カメラの画像データを収集する機能を持たせ、防犯カメラごとにデータ保管期間を設定できるようにするとよい。
【0067】
(10)前記データベースの複数の属性の内容を1つの画面に表示させ、ユーザに、属性ごとに印刷の要否を指令させる機能、及びユーザの指令によって印刷要とされた属性の内容をプリンタに印刷させる機能を、さらに備えたシステムとするとよい。
【0068】
運転者、運行管理者等のユーザは、1つの画面で複数の属性の内容を容易に把握することができる。また、ユーザは、画面に表示された内容を見ながら、印刷の要否を判断し、印刷すべき属性を容易に指令することができる。
【0069】
例えば、本システムは、1つのウィンドウを複数の領域(ペイン)に分割し、各ペインにデータベースの属性の内容を表示させるとよい。さらに、ペインごとに、ペイン内の隅に印刷要否ボックスを表示させ、ユーザは、この印刷要否ボックスをチェックすることにより、当該ペインに表示された属性の内容の印刷を指令するようにするとよい。また、ユーザが選択したペインの輝度を他のペインの輝度より高くすることにより、ユーザが印刷を指令したペインか否かを区別するようにするとよい。
【0070】
本システムは、印刷対象となったペインに応じて、印刷すべきペインの大きさ及びレイアウトを自動的に修正して印刷する機能を持つとよい。ユーザが印刷レイアウトを事前に登録しておける機能を持つとさらによい。印刷すべきペイン及び印刷レイアウトをユーザが選択すると、本システムは、選択されたペインの内容を、選択された印刷レイアウトで印刷する。例えば、ユーザは、車載機器で取得された画像を大きく印刷する画像重視のレイアウト、地図を大きく印刷する地図重視のレイアウト等を予め登録しておくことができる。
【0071】
本システムは、さらに、運転者をグループに分類した時のグループごと、または運転者ごとに、印刷レイアウトを登録しておく機能を持つとよい。ユーザが、印刷すべきペインを指定して印刷の指示を行うと、本システムは、印刷対象の運転者のグループ、または運転者に対して予め登録されている印刷レイアウトで印刷を行うとよい。
【0072】
1つの画面に、例えば、車載機器で取得された画像、車両の位置を含むある範囲の地図と車両位置を示すマーク、速度や加速度の測定値を示すグラフ、データベースの検索条件を入力するための検索条件の項目一覧、画像の再生停止早送り等の操作を行う操作パネル等を表示させるとよい。
【0073】
ユーザが検索条件の項目一覧から1つの項目を選択すると、検索条件の項目一覧を表示していたペインの表示内容を、選択された項目に関する詳細条件を入力するための表示に切り替えるとよい。例えば、検索条件の項目一覧からユーザが「運転者」という項目を選択すると、そのペインに運転者名の一覧を表示し、ユーザに運転者名を選択させるようにするとよい。また、ユーザが検索条件の項目一覧から「日時」を選択すると、そのペインを、年月日と時間帯を入力させる表示内容に切り替えるとよい。
【0074】
ユーザが、検索条件を入力するペインを操作して検索条件を入力すると、他のペインの表示内容を、ユーザが入力した検索条件を満足する情報に切り替えるとよい。例えば、ユーザが特定の運転者を選択すると、画像を表示するペインに、その運転者が乗車している車両の車載機器で取得された画像を表示するようにするとよい。
【0075】
(11)前記データベースは、画像を取得した日時情報及び位置情報を含み、日時情報及び位置情報の少なくとも1つに基づいて、複数の車載機器から取得した前記画像データ及び前記走行データの内容を画面に同時に表示させる機能を、さらに備えたシステムとするとよい。
【0076】
複数の車載機器において同時刻に取得された画像、または特定の位置関係を持つ複数の車載機器で取得された画像を、画面上で比較しながら閲覧することができる。例えば、ある時間帯に特定の場所を走行していた車両に搭載されている車載機器の画像を閲覧することにより、その特定の場所で発生した事故等に関するより多くの情報を得ることができる。例えば、複数台のトラックで引っ越しを行う場合、複数台のトラックにそれぞれ搭載されている車載機器の画像を同時に閲覧することにより、ある1台のトラックに起きた事故に関する情報を、他のトラックの画像から得ることができる。列車の先頭車両と最後尾の車両に車載機器を搭載しておき、先頭車両の車載機器で取得された画像と最後尾の車両に搭載された車載機器で取得された画像とを、同時に閲覧することができる。日時情報または位置情報に加えて、ユーザが指定した複数の車載機器識別情報に基づいて、画像データ及び走行データの内容を画面に同時に表示させる機能を持つとさらによい。
【0077】
(12)車載機器から、さらに無線伝送路の電波強度を示す電波強度情報を受信し、車載機器の現在位置情報と前記電波強度情報とを関連付けて前記データベースに格納し、電波強度の分布を可視化して画面に表示する機能を、さらに備えたシステムとするとよい。
【0078】
電波強度の弱いエリアを容易に知ることができる。この情報は、アクセスポイントの増設等を行う際の有効な情報として利用することができる。無線伝送路としてLTEを利用している場合には、この情報を移動体通信事業者に提供するとよい。自社で無線LANを構築している場合には、この情報を無線LANの管理部門に提供し、アクセスポイントの増設を促すようにするとよい。
【0079】
車載機器は、電波強度が0または弱すぎて無線通信によるデータ送信ができない場合には、電波強度と位置情報とを関連付けて記憶しておき、通信可能になったら、電波強度と位置情報とを本システムに送信するようにするとよい。これにより、本システムは、通信が不可能なエリアの電波強度に関する情報を取得することができる。
【0080】
例えば、本システムは、電波強度に応じて色分けした地図を表示することにより、電波強度の分布を表示する機能を備えるとよい。この地図上のアクセスポイントの箇所にアイコン等を表示する機能を備えるとさらによい。
【0081】
(13)リムーバブルメディアに画像データを上書きし、上書きした回数を記録する上書きカウンタを持つ車載機器から、上書きカウンタの値を、無線伝送路を経由して受信し、上書きカウンタの値が、推奨上書き上限値を超えたか否かを判定し、上書きカウンタの値が前記推奨上書き上限値を超えている場合には、リムーバブルメディアを交換するようにユーザに促す機能を、さらに備えたシステムとするとよい。
【0082】
リムーバブルメディアの上書き回数が推奨上書き回数上限値を超えると、書き込みエラーが発生しやすくなる。本システムによりリムーバブルメディアを交換するように促されたユーザ、例えば運行管理者やシステム管理者がリムーバブルメディアを交換することにより、書き込みエラーの発生を抑制することができる。推奨上書き回数上限値は、リムーバブルメディアの仕様等で決められている。
【0083】
車載機器または本システムが、リムーバブルメディアのフォーマットを行う機能を持つとよい。リムーバブルメディアをフォーマットするときには、上書きカウンタの値を、フォーマット後に引き継ぐようにするとよい。例えば、フォーマット前に上書きカウンタの値を読み出して記憶しておき、フォーマット後に、上書きカウンタにフォーマット前の値を書き込むとよい。
【0084】
(14)車載機器ごとに、データの受信を行っていない期間の長さを算出し、データの受信を行っていない期間の長さが所定の非通信時間上限値を超えているか否かを判定し、データの受信を行っていない期間の長さが所定の非通信時間上限値を超えている場合には、ユーザに報知する機能を、さらに備えたシステムとするとよい。
【0085】
本システムは、車載機器が正常に動作しており、車両が通信可能エリア内に位置する期間は、原則として車載機器から画像データや走行データを受信している。例えば、1日に1回、アクセスポイントを設置した事業所の駐車場に戻るような使用形態の車両に搭載された車載機器とは、1日に1回は通信を行うはずである。また、長距離トラックのように、事業所の駐車場を出たら、何日間かは戻らないような使用形態の車両に搭載された車載機器は、ある日数の間に1回は駐車場に戻って通信を行うはずである。通信を行わなかった日数が非通信時間上限値を超えている場合には、車載機器の故障、通信環境の異常、運転者が車載機器の電源スイッチをオフにした状態が継続している等の異常事態の発生が考えられる。データの受信を行っていない期間の長さが所定の非通信時間上限値を超えている場合に、本システムがユーザに報知する機能を持つことにより、このような異常事態の発生にユーザが気付くことができる。
【0086】
非通信時間上限値は、車両の使用形態等に応じて設定するとよい。運転者や、運転者のグループごとに非通信時間上限値を設定できるようにすると、さらによい。また、通信を行うための無線伝送路として、無線LANを用いているか、LTE等の移動体通信事業者の無線ネットワークを用いているかによって、非通信時間上限値を設定できるようにすると、さらによい。例えば、移動体通信事業者の無線ネットワークを利用する場合には、非通信時間上限値を短くしてもよい。例えば、車両が、無線ネットワークの通信可能エリア内を走行しているはずであるにもかかわらず、1時間以上通信がない場合には、運転者が車両のエンジンをオフにして休憩しているか、何らかの事故が発生したか等の何らかの想定外の状況が発生していると考えられる。
【0087】
(15)イベントの発生を検知する機能を持つ車載機器から、イベントが発生したことを知らせるイベント発生信号を受信し、イベント発生信号を受信すると、イベントが発生した車載機器を特定してユーザに報知する機能を、さらに備えたシステムとするとよい。
【0088】
運行管理者等のユーザは、管理対象の車両にイベント、例えば事故、危険運転等が発生したことを早期に知ることができる。車載機器は、例えば、車載機器に搭載した加速度センサで検出された加速度の値が所定のしきい値を超えると、イベントが発生したと判定するとよい。本システムは、例えば本システムのPCのアプリケーションプログラムにイベントの発生をプッシュ通知するとよい。本システムは、ユーザの携帯端末に電子メールを送信するか、SNS等のウェブサービスを利用してユーザに通知するようにするとよい。
【0089】
(16)ユーザに、運転者への連絡事項を入力させる機能、及び運転者への連絡事項が入力されると、連絡先の運転者が運転する車両の車載機器に連絡事項を出力させる指令を送信する機能を、さらに備えたシステムとするとよい。
【0090】
運行管理者等のユーザは、本システムを操作して運転者に連絡事項を知らせることができる。車載機器は、音声、文字または画像等により連絡事項を出力するとよい。
【0091】
連絡事項の入力に加えて、車載機器に連絡事項を出力させる条件をユーザに入力させる機能を持つとさらによい。この条件として、車両の位置に関する条件、例えば車両の現在位置が所定の範囲内であることというような条件を適用するとよい。例えば、車両の現在位置が事業所の駐車場内であることという条件を設定しておくと、車両が事業所の駐車場に戻ってきた時点で運転者に連絡事項を通知することができる。例えば、運転者に、「本日、18時からバーベキューパーティがあります。希望者は参加してください。」というような連絡事項を、駐車場に戻ってきた車両の車載機器から出力させるようにすることができる。
【0092】
連絡事項を出力させる条件として、連絡事項を出力する時間的な条件を設定できる機能を持つとさらによい。例えば、現在時刻が、設定された時間的条件を満たすようになると、本システムが車載機器に連絡事項を出力させる指令を送信するようにするとよい。または、本システムが車載機器に時間的条件を送信しておき、車載機器が、設定された時間的条件を満たすか否かの判定を行い、時間的条件を満たした時点で連絡事項を出力する機能を持つとよい。例えば、バーベキューパーティの開始時刻が18時である場合、時間的条件として、「18時より前であること」という条件を設定しておくと、車両が事業所の駐車場に戻ってきた時刻が、バーベキューパーティの開始時刻を過ぎている場合は、バーベキューパーティの開催の通知を行わないようにすることができる。
【0093】
その他に、運行管理者は、本システムを操作して、リムーバブルメディアを運行管理部門まで持参するように、運転者に通知することができる。例えば、無線伝送路を介して本システムに送信されなかった画像データや走行データが車載機器に残っている場合、未送信のデータが残っている車載機器を搭載した車両の運転者に対して、リムーバブルメディアを運行管理部門まで持参するように通知することができる。
【0094】
本システムを操作する運行管理者と、車載機器が搭載された車両の運転者とが、車載機器と本システムとを介して対話することができる機能を、本システム及び車載機器に持たせるとさらによい。この対話機能を用いて、運行管理者と運転者との一方から他方への即時性の高い連絡事項に関して、連絡事項を受けた方が即時に応答することができる。
【0095】
(17)画面に表示したウィンドウ内に地図を表示させ、ユーザがウィンドウの大きさを変えると、ウィンドウの大きさの変化に応じて、ウィンドウ内に表示されている地図の縮尺を変化させる機能を、さらに備えたシステムとするとよい。
【0096】
ウィンドウの大きさを変化させても、見たい範囲の地図が表示されるため、ウィンドウの大きさを変化させるたびに、地図の縮尺を調整する操作を行う必要がない。ポインティングデバイスを操作して地図の一部分を選択すると、選択された領域を拡大して表示する機能を持つとよい。ユーザは、詳細に見たい領域を容易に拡大して表示させることができる。ポインティングデバイスによる操作として、例えばマウスでドラッグする操作を採用するとよい。
【0097】
1つのウィンドウを複数のペインに区分し、複数のペインに、データベースの異なる属性の情報を表示させた状態で、ユーザが1つのペインを選択するとそのペインに表示されている情報を1つのウィンドウに拡大して表示させる機能を、本システムが持つとよい。例えば、講習会等の会場で大きなスクリーンに表示させて複数の受講者に種々の情報を見せている場合に、受講者に見やすいように必要な情報を即座に拡大して表示させることができる。
【0098】
(18)車両でイベントが発生したことを示す情報と、イベントが発生した地点の位置情報とを関連付けて前記データベースに格納する機能、及び地図上のある領域を複数の区画に区分し、前記区画ごとに、前記区画内でのイベントの発生頻度を、前記データベースを用いて求め、前記区画ごとのイベント発生頻度を表示する機能を、さらに備えたシステムとするとよい。
【0099】
ユーザは、区画ごとのイベント発生頻度を容易に把握することができる。イベントとして、例えば、事故の発生、または事故には至らなかったが事故に至る危険性が高い状況、例えば急ブレーキや居眠り運転等の発生等を採用するとよい。地図上のある領域を区分した複数の区画は、正方格子状(メッシュ状)、ハニカム状等とするとよい。発生頻度を表示する態様として、横軸を複数の区画に対応させたヒストグラムとするとよい。この表示態様では、区画ごとの発生頻度を容易に比較することができる。また、地図を表示して各区画を発生頻度に応じて色分けする機能を備えるとよい。この表示態様では、イベントの発生頻度の高いエリアを地図で容易に把握することができる。色分けする代わりに、地図上に発生頻度を数字で表示する機能を備えると、さらによい。
【0100】
ユーザが地図の縮尺を変更すると、地図の縮尺に合わせて各区画の大きさを変更する機能を持つとよい。地図の縮尺を小さくすると、広い領域内でのイベント発生頻度の分布をおおざっぱに把握することができる。イベント発生頻度の高い領域を選択して縮尺を大きくすると、イベント発生頻度のより細かな分布を把握することができる。
【0101】
本システムは、1つのウィンドウを、地図を表示するペインと検索条件の項目一覧を表示するペインとに区分する機能を備えるとよい。ユーザが、検索条件の項目一覧が表示されているペインを操作して位置情報に関連付けられた検索条件を指定、例えば特定のイベントが発生したという条件を指定すると、検索条件を満たすデータに関連づけられた位置情報に対応する地図上の位置に、ピン、フラッグ等のマークを表示させる機能を持つとよい。ユーザが、ポインティングデバイスを操作して地図上の1つのマークを選択すると、そのマークに対応する詳細な情報を表示させる機能を持つとさらによい。例えば、1つのマークにマウスのカーソルを重ねると、そのマークに対応するログデータ、例えば加速度データ、速度データ等を表示し、カーソルを重ねた状態でマウスをクリックすると、新しいウィンドウを開いてそのマークに対応する画像、例えば動画を表示する機能を備えると、さらによい。
【0102】
(19)インターネットに接続する機能、及びインターネットの他のサイトから前記データベースの利用要求を受信すると、前記データベースの内容を所定のアプリケーションプログラミングインタフェースで要求元のサイトに送信する機能を、さらに備えたシステムとするとよい。
【0103】
本システムを設置している事業所内にとどまらず他のサーバ等からも、インターネット経由で本システムのデータベースの内容を参照できるようになる。特に、データベースをドキュメント指向データベースとすると、本機能の実現が比較的容易になる。さらに、所定のアプリケーションプログラミングインタフェース(WebAPI)をサポートしているサーバやパソコン等でデータベースにアクセスできるため、このインタフェースを一般に公開すれば、不特定多数のユーザがこのデータベースにアクセスすることが可能になる。不特定多数のユーザは、自分の欲しい情報を取得するために、自由にアプリケーションプログラムを作成することができる。
【0104】
また、このWebAPIを介して、他社が管理するデータベースと、自社が管理するデータベースとを、少なくとも部分的に統合することができる。
【0105】
同一の車両に、車載機器としてイベントデータレコーダとドライブレコーダとを搭載しており、イベントデータレコーダのデータの送信先のシステムと、ドライブレコーダのデータの送信先のシステムとを別々に設置してもよい。ここで、イベントデータレコーダは、主として、衝突事故の前後の車両の情報を記録するための車載機器を意味し、画像データを記録しない。ドライブレコーダは、車両の周囲の画像や走行に関するデータを記録する車載機器を意味する。車両の走行状態に関する一部のデータは、イベントデータレコーダとドライブレコーダとで、重複して記録される。
【0106】
イベントデータレコーダのデータを蓄積するシステムと、ドライブレコーダのデータを蓄積するシステムとが所定のアプリケーションプログラミングインタフェースでデータベースを公開すると、アプリケーションプログラムがインストールされた1台のパソコンで、1台の車両のイベントデータレコーダのデータとドライブレコーダのデータとを結合して取り扱うことができる。1台の車両のイベントデータレコーダのデータと、ドライブレコーダのデータとを結合するために、同一の車両に搭載されたイベントデータレコーダの車載機器識別情報と、ドライブレコーダの車載機器識別情報とを予め関連付けておくとよい。この関連付け情報は、例えば2つのシステムにアクセスするパソコンが記憶しておくとよい。これらの車載機器識別情報に自動車登録番号を関連付けておくと、自動車登録番号に基づいて2つの車載機器識別情報を関連付けることができる。
【0107】
(20)インターネットに接続する機能、及び前記データベースに保管されているデータをブロックチェーンに送信する機能を、さらに備えたシステムとするとよい。
【0108】
ブロックチェーンに一度登録すると、各ブロックにタイムスタンプが付与され、基本的にデータの内容を遡及的に書き換えることができなくなるため、画像データや走行データの改ざんを抑止することができる。車両事故の当事者間で争いが生じた場合、ブロックチェーンに登録されたデータは、争いを解決するための有益な情報となり得る。データ格納先のブロックチェーンとして、パブリック型またはコンソーシアム型のブロックチェーンを用いることができる。
【0109】
事故の原因を解析する際に、運転者に有利な情報はブロックチェーンに送信し、不利な情報は送信しない機能を持つとさらによい。運転者に有利か不利かの判定は、本システムに、例えば下記の(21)に記載した機能を持たせることにより行うとよい。
【0110】
車載機器に、画像データや走行データをブロックチェーンに送信する機能を備えてもよい。特に、運転者に有利な情報はブロックチェーンに送信し、不利な情報は送信しない機能を備えた車載機器とするとよい。走行中にリアルタイムにブロックチェーンへ送信することで、改ざんがなかったことをより証明しやすくなるとともに、自分にとって不利なデータの公開を防止することができる。
【0111】
ブロックチェーン以外の公開データベースに、本システムまたは車載機器が取得したデータから所定のデータを抽出して送信するようにしてもよい。
【0112】
(21)事故発生原因の解明において、前記データベースに保管されている前記画像データ及び前記走行データが、前記画像データ及び前記走行データを取得した車載機器が搭載された車両の運転者にとって有利なデータか不利なデータかを判定する機能を、さらに備えたシステムとするとよい。
【0113】
事故に関する訴訟等において、容易に自分に有利な情報のみを抽出して開示することができる。有利な情報か不利な情報かは、例えば、車両の走行速度に基づいて判定するとよい。その他に、予めデータベースに交通規則情報を登録しておき、登録された交通規則情報と走行データとの照合による交通違反の有無等により、有利な情報か不利な情報かの判定を行う機能を備えるとよい。さらに、画像データを解析することによって交通規則情報を抽出し、抽出された交通規則情報と走行データとの照合による交通違反の有無等により、有利な情報か不利な情報かの判定を行う機能を備えるとよい。さらに、事故発生の前後の画像データや走行データを解析することによって、有利な情報か不利な情報かの判定を行う機能を備えるとよい。この解析を行うための人工知能(AI)の機能を本システムに搭載するとよい。
【0114】
交通規則を守って走行していることを示す情報は、運転者に有利な情報と判定し、交通規則に違反して走行していることを示す情報は、運転者に不利な情報であると判定するとよい。一時停止箇所で停止したことを示す画像データは、運転者に有利な情報と判定するとよい。逆に、一時停止箇所で停止しなかったことを示す画像データは、運転者に不利な情報と判定するとよい。画像データから信号の色を判定し、赤信号であるにもかかわらず交差点に進入したことを示す情報は、運転者に不利な情報であると判定するとよい。逆に、青信号で交差点に進入したことを示す情報は、運転者に有利な情報であると判定するとよい。
【0115】
例えば、パソコンの画面に、画像データから得られる動画と、動画の開始時点から終了時点までの期間、及び現在再生中の時点を示すタイムラインとを表示し、運転者に有利な情報であると判定された期間と不利な情報であると判定された期間とを、タイムライン上に認識可能に表示する機能を、本システムが備えるとよい。例えば、運転者に不利な情報であると判定された期間を赤色で表示し、有利な情報であると判定された期間を青色で表示する機能を備えるとよい。
【0116】
運転者に有利な情報のみを抽出して画面表示または印刷する機能を、本システムが備えるとよい。運転者に不利な情報は、暗号化して第三者が容易にアクセスできないようにする機能を備えるとさらによい。
【0117】
事故に関する訴訟が起きた場合、運転者に有利な情報のみを抽出して、訴訟に提出する意見書を自動作成する機能を、本システムが持つとさらによい。例えば、「交差点進入時に、当方側の信号は青でした。」、「事故発生時に、当方は法定速度を守って走行していました。」、「交差点の手前で、当方は一時停止しました。」というような文章を自動生成して意見書を作成するようにするとよい。
【0118】
(22)前記データベースに保管されている前記画像データに基づいて画像を画面に表示させ、前記画面に表示された画像を見たユーザにメモまたはタグを付させる機能、及び、ユーザが付したメモまたはタグを前記画像データと関連付けて前記データベースに格納する機能を、さらに備えたシステムとするとよい。
【0119】
画像を見ながらメモまたはタグを付しておくと、後から容易にメモまたはタグを付した画像を抽出することができる。例えば、画像に吹き出しのマークを挿入し、この吹き出しに簡単なテキスト情報を記入できるようにするとよい。例えば、吹き出しに、「この場所要注意」といったテキスト情報を付すことができる。よく利用されるテキスト情報を予めタグとして準備しておき、複数のタグから1つをユーザに選択させるようにするとさらによい。例えば、常時記録された動画(画像データ)を一定時間(例えば、1分、3分、5分等)ごとに区切って、区切られた動画の各々を1つの画像ファイルとしてデータベースに格納するとよい。また、イベント録画された画像データは、イベントごとに1つの画像ファイルとするとよい。メモまたはタグを、画像ファイルごとまたはイベントごとに付す機能を持つとよい。画面に画像ファイルの一覧を表示させるとともに、画像ファイルに付されたメモやタグを画像ファイルに関連付けて表示する機能を持つとさらによい。ユーザは、メモまたはタグが付された画像ファイルを容易に探し出すことができる。
【0120】
1つの画像ファイルの動画の開始時点から終了時点までの期間のある時点またはある期間を指定して、指定した時点に関連付けてメモまたはタグを付す機能を持つとさらによい。このようにすると、ユーザは、ある長さの動画から、メモまたはタグが付された見たい箇所を容易に探し出すことができる。例えば、ユーザは、ある期間を指定して、「この期間は事故がなかった。」、「この期間は法定速度を順守していた。」、「イベントは発生していないが、後からもう一度詳細に見ること」というようなメモを付すことができる。これらのメモやタグは、将来的にデータベースを活用するための有益な情報になる。
【0121】
(23)前記データベースに、車両の運転者を識別する運転者識別情報を格納する機能、及びユーザに特定の運転者を指定させる機能、及びユーザが指定した運転者に関連付けられている前記走行データを前記データベースから抽出し、抽出された走行データに関する情報を出力する機能を、さらに備えたシステムとするとよい。
【0122】
一人の運転者が複数台の車両を乗り換えた場合でも、運転者をキーとして、その運転者に関する画像データ及び走行データを、複数の車両にまたがってシームレスに統合することができる。例えば、一人の運転者がトラックを運転して作業場に戻り、作業場でフォークリフトを運転し、その後別のトラックを運転して作業場から荷物の輸送先に向かうような場合に、その運転者がトラックを運転し、フォークリフトを運転し、その後他のトラックを運転した期間の走行データに関する情報を、一連の流れで表示できるようにするとよい。これにより、運行管理者は、時間の経過とともに一人の運転者の作業内容がどのように変わったかを容易に確認することができる。
【0123】
複数の車両を所有する法人が複数の事業所を有し、事業所ごとに車両を割り振って車両の運行管理を行うような車両の使用形態が考えられる。このような使用形態の車両を管理しやすくするために、本システムのデータベースとして、車両が属する事業所を識別する事業所識別情報を格納する機能を持つものを採用するとよい。さらに、本システムは、ユーザに特定の事業所を指定させる機能、及びユーザが指定した事業所に関連付けられている走行データをデータベースから抽出し、抽出された走行データに関する情報を出力する機能を備えるとよい。本システムのこのような機能は、事業所ごとに車両の運行管理を行うのに便利である。例えば、一つの事業所に3台のトラックと3台のフォークリフトとが所属している場合、ユーザは、この事業所を指定することにより、指定した事業所に所属する3台のトラックと3台のフォークリフトとの走行データに関する情報を容易に入手することができる。さらに、その事業所に監視カメラが設置されている場合には、その監視カメラで取得された画像データを本システムに送信するとよい。本システムは、その監視カメラが設置されている事業所の事業所識別情報と、その監視カメラから送信された画像データとを関連付けてデータベースに格納する機能を備えるとよい。
【0124】
(24)前記データベースは、リレーショナルデータベース、ドキュメント指向データベース、グラフ型データベースの少なくとも1つであるシステムとするとよい。
【0125】
リレーショナルデータベースは、汎用性の高いデータベースであるため、データベースを種々の用途に活用することができる。
【0126】
ドキュメント指向データベースを利用する場合、GPSログの各カラムをJSON形式で取り込むとともに、元のデータもJSON形式で取り込んでおくとよい。元のデータにも検索をかけられるようにするとよい。例えば、時速80km以下の走行データのみを抽出するといった処理を容易に行うことができる。
【0127】
グラフ型データベースを利用する場合には、多数の車両、運転者、訪問先、安全でない運転をした場所等の関連をグラフ構造で格納するとよい。これにより、運転の仕方が似ている運転者、危ない場所に関連する車両や運転者等を容易に表示することができる。グラフ構造を図形として表示する機能を持つとさらによい。この機能は、巡回業務の効率化を図るために有効に利用することができる。
【0128】
運転者の生体情報と異常情報(場所と時刻と車両の挙動の異常の内容等)との関連をグラフ型データベースに格納するとよい。このようにすることで、運転者の生体状態と運転との関連性の可視化が容易になる。運転者の生体状態として、例えば顔向き脇見、目の開き具合に基づく居眠り、運転姿勢、心拍数等の情報を含めるとよい。異常情報として、例えば車線逸脱、車間距離異常、急ブレーキ、急発進等の発生の有無に関する情報を含めるとよい。さらに、点呼の結果を運転者の情報としてデータベースに格納するとよい。
【0129】
対面点呼に代わって国土交通大臣が認定した機器を使用して遠隔で点呼を行うIT点呼が認められている。例えば、事業所に待機している運行管理者が、事業所に設置した本システムと車載機器との間の無線通信を利用して、IT点呼を行う機能を、本システム及び車載機器に備えるとよい。本システムは、IT点呼を行った結果を運行管理者に入力させる機能、及び入力された点呼結果を運転者の情報としてデータベースに格納する機能を備えるとよい。さらに、車載機器から本システムに送信された運転者の画像データに基づいて画像解析を行い、運転者の健康状態や酒気帯びの有無等を判定する機能を、本システムが備えるとよい。本システムは、判定結果を運転者に関する情報としてデータベースに格納する機能を備えるとよい。
【0130】
グラフ型データベースを利用して、人員が不足している時間帯や場所を表示する機能を、本システムが備えるとよい。さらに、この情報に基づいて、求人広告を出す機能を備えるとよい。
【0131】
(25)特定の場所を撮像する固定カメラからの画像データを受信し、受信した画像データを、固定カメラを識別する固定カメラ識別子及び撮像された日時情報と関連付けて前記データベースに格納する機能を、さらに備えたシステムとするとよい。
【0132】
固定カメラで取得された画像データと、車両に搭載された車載機器で取得された画像データとを一括してデータベースで管理することができる。固定カメラで撮像する場所として、例えば、トラックやフォークリフトが走行する構内とするとよい。大きなトラックが停車している固定カメラの死角になっている場所の画像を、トラックやフォークリフト等の車載機器で撮像された画像データで補うことができる場合がある。固定カメラの死角になっている場所を撮像している可能性の高い車載機器は、日時情報、位置情報等に基づいて絞り込むことができる。
【0133】
(26)管理対象の車載機器の一覧を、車載機器ごとの動作状況とともに画面に表示する機能を、さらに備えたシステムとするとよい。
【0134】
運行管理者やシステム管理者等のユーザは、画面に表示された情報から、車載機器の動作状況を容易に把握することができる。一覧に表示する動作状況には、例えば、ファームウェアのバージョン、更新日、ファームウェア更新予約中の有無、異常ログの有無、設定項目ごとの設定値、直近の画像データ取得日時情報、直近の走行データ取得日時情報等を含めるとよい。この一欄を見たユーザが、一覧が表示された画面を介して車載機器の各種設定等の指令を行うことができる機能を、本システムが備えるとよい。
【0135】
ユーザが本システムにログインするときに使用するユーザIDのユーザ属性として、「運行管理者」と、「システム管理者」とを設けるとよい。運行管理者の属性のユーザIDでログインしたときと、システム管理者の属性のユーザIDでログインしたときとで、一覧に表示させる項目を異ならせるとよい。運行管理者の属性のユーザIDでログインしたときは、運行管理に必要な項目を表示させ、システム管理者の属性のユーザIDでログインしたときは、システム管理に必要な項目(例えば、ファームウェアのバージョン等)を表示させるとよい。
【0136】
本システムは、ユーザのログインがあったとき、ログインユーザのユーザ属性に応じて画面表示の内容を変えるとよい。例えば、運行管理者の属性のユーザIDでログインがあったときは、運行管理を行うのに必要な情報を取得しやすい画面表示にするとよい。システム管理者のユーザIDでログインがあったときは、システム管理に必要な情報を取得しやすい画面表示にするとよい。
【0137】
さらに、ユーザIDのユーザ属性として、「運転者」を設けるとよい。運転者の属性のユーザIDでログインすると、閲覧可能な画像データ及び走行データを、自分が運転した車両の車載機器で取得されたものに制限する機能を、本システムが持つとよい。さらに、運転者の属性のユーザIDでログインしたとき、データベースに格納されている自分に関するデータにもとづいて日報を作成することができる機能を、本システムが備えるとよい。
【0138】
さらに、本システムは、データベースのデータへのアクセスログを記録する機能を持つとよい。例えば、データにアクセスした日時、ユーザID、アクセス対象のデータ等を記録する機能を備えるとよい。アクセスログは、データの改ざん等が見つかったときの監査に利用することができる。また、アクセスログは、事故の捜査時に、データが改ざんされたものではないことを証明する証拠ともなり得る。
【0139】
(27)上記(1)から(26)までのいずれかのシステムの機能をコンピュータに実現させるためのプログラムとするとよい。
【0140】
このプログラムをインストールしたパソコンやサーバで、本システムの機能を実現することができる。
【0141】
(28)車両に搭載された撮像装置で取得された画像データ、及び前記車両の走行状態を表す走行データを、無線伝送路を経由して送信し、無線通信ができない期間には、前記画像データ及び前記走行データを記録し、無線通信可能になったら、記録されている前記画像データ及び前記走行データの少なくとも一部のデータを、無線伝送路を経由して送信する機能を備えた車載機器とするとよい。
【0142】
車載機器からリムーバブルメディアを介して走行データ及び画像データを外部の装置に引き渡す方式では、リムーバブルメディアを持ち運ぶ必要がある。本車載機器では、無線伝送路を経由して送信した走行データ及び画像データを、リムーバブルメディアを持ち運ぶことなく外部の装置に引き渡すことができる。無線通信が不可能なエリアを走行しているときに取得した走行データ及び画像データも、その一部を、無線伝送路を経由して外部の装置に引き渡すことができる。これにより、走行データ及び画像データ等の引き渡しの手間が省ける。車載機器として、例えばドライブレコーダを用いるとよい。データの送信先として、上述の(1)~(26)のいずれかに記載のシステムとするとよい。
【0143】
画像データには、例えば車両の前方、後方、側方等の画像、車内の画像等の少なくとも1つの画像のデータを含めるとよい。走行データには、例えば、位置情報(例えばGPSデータ)、日時情報、速度情報、加速度情報(例えば衝撃の大きさを示す情報)、車両に対して行われた操作を表す情報(例えば、ブレーキやアクセルの操作情報、操舵の情報等)を含めるとよい。無線通信ができない期間とは、車両が無線通信可能エリアの外を走行している期間、または無線通信システムに障害が発生しており、無線通信できない状態になっている期間等が含まれる。
【0144】
無線通信が可能になったときに送信するデータは、車載機器のデータ処理速度や無線伝送路の通信速度等に基づいて決定するとよい。例えば、データ処理速度や通信速度に十分な余裕がある場合には、すべての画像データ及び走行データを送信するとよい。データ処理速度や通信速度に余裕がない場合には、画像データ及び走行データのうち一部のデータのみを送信するとよい。送信するデータの種類は、予め車載機器に設定しておくとよい。
【0145】
車載機器に限らず、その他の撮像装置、例えば場所が固定された監視カメラ等にも、無線伝送路を経由して外部の装置にデータを送信できるよう機能を持たせるとよい。この場合には、走行データに相当するデータは送信されず、画像データ、機器の識別情報、日時情報等を送信するようにするとよい。無線伝送路の障害によってデータを送信することができない場合には、画像データ等を、撮像装置に搭載したリムーバブルメディア等の記憶装置に記録する機能を持つとよい。無線通信可能になったら、記録されている画像データ等の少なくとも一部のデータを、無線伝送路を経由して送信する機能を持つとよい。
【0146】
(29)無線通信ができない期間には、前記画像データ及び前記走行データをリムーバブルメディアに記録し、無線通信可能になったら、前記リムーバブルメディアに記録された前記走行データを、無線伝送路を経由して送信し、前記リムーバブルメディアに記録された前記画像データは送信しない機能を、さらに備えた車載機器とするとよい。
【0147】
通常、画像データのデータ量は走行データのデータ量より著しく多い。無線通信可能になった後に画像データを送信しないことにより、伝送速度に十分な余裕がない場合でも、現時点に取得された画像データと走行データとの送信を停止させることなく、無線通信できなかった期間の走行データを送信することができる。
【0148】
例えば、無線通信ができない期間が1時間程度であった場合、この期間に約8GBの画像データが蓄積される。SDカード等のリムーバブルメディアは、データの書き込みと読み出しとを同時に行うことを得意としていない。現在収集中の画像データをリムーバブルメディアに書き込みながら、無線通信ができなかった期間に書き込んだ画像データを読み出すことは困難である。さらに、約8GB程度にも及ぶ画像データを、現在収集中の画像データとともに無線伝送路を通して送信することは困難である。このような場合には、無線通信できなかった期間に収集された走行データを送信することにより、走行データの欠落を防止することができる。送信できなかった画像データは、リムーバブルメディア等を介して外部の装置に読み込ませるとよい。
【0149】
外部の装置に送信する走行データには、デジタルタコグラフ(デジタル式運行記録計)の技術基準で指定されている項目を含めるようにするとよい。例えば、時刻情報、瞬間速度情報、走行距離情報、車両を特定するための識別情報等を含めるとよい。これにより、本車載機器を、デジタルタコグラフの代用品として利用することができる。また、エンジンがオフにされている時間を外部の装置に送信するようにするとよい。そうすると、運行管理者は、外部の装置により、運転者が休憩している時間を容易に知ることができる。
【0150】
車載機器からこれらの情報を収集した外部の装置は、走行距離の日計、週計、月計等を、運転者ごと、車両ごとに表示する機能を持つとよい。また、走行距離を合計する期間を、外部の装置を利用するユーザが指定できる機能を持つと、さらによい。
【0151】
車載機器は、運転者の運転免許証の情報を読み込んで、これから運転する運転者を識別する情報を、画像データや走行データと関連付けて記録する機能を持つとよい。または、車載機器は、車内を撮像する機能を持ち、車内の画像に写り込んでいる運転者の画像を解析することにより、例えば顔認証等を行うことにより、運転者を特定する機能を持つとさらによい。
【0152】
(30)無線伝送路を介した接続状態、及び動作状態の少なくとも一方の情報を、無線伝送路を経由して送信する機能を、さらに備えた車載機器とするとよい。
【0153】
外部の装置のユーザは、無線伝送路を介した車載機器との接続状態、または車載機器の動作状態を知ることができる。例えば、車載機器と外部の装置とが接続されていない状態には、車両のエンジンがオフにされているため車載機器が動作していない状態、無線伝送路の電波が弱いために無線通信できない状態、車載機器の故障等によって通信できない状態等が含まれる。通信可能になったら、車載機器は、エンジンのオンオフの時刻情報、電波が弱くなって通信できなくなった時刻と通信が回復した時刻の情報等を送信する機能を持つとよい。さらに、車載機器の動作状態として、画像データや走行データを正常に録画しているか否かを表す情報を送信するとよい。
【0154】
車載機器は、接続状態や動作状態の履歴を記録するとともに、現在の接続状態や動作状態を表す情報を外部の装置にリアルタイムで送信するとよい。外部の装置は、リアルタイムに受信した接続状態や動作状態を表す情報を、ユーザに通知する機能を持つとよい。外部の装置を利用するユーザは、車載機器の動作状態をリアルタイムに知ることができる。特に、車載機器の動作状態が異常である場合に、ユーザに即座に通知するとよい。異常に気づいたユーザは、トラブルを回避するための何らかの対応を取ることが可能になる。例えば、過去にも撮像装置にエラーが多発しているような場合には、撮像装置を交換するという対応を取ることができる。また、過去にリムーバブルメディアへの書き込みエラーが多発している場合に、リムーバブルメディアを交換するという対応を取ることができる。
【0155】
(31)前記画像データを、リムーバブルメディアに順次上書き記録する機能、及び前記リムーバブルメディアに上書きされた回数を、前記リムーバブルメディアの記憶領域に確保された上書カウンタに格納し、前記上書カウンタの値を、無線伝送路を経由して送信する機能を、さらに備えた車載機器とするとよい。
【0156】
一般的に、リムーバブルメディアに上書きを繰り返すとリムーバブルメディアが劣化して書き込みエラーが発生しやすくなるため、上書き可能回数の上限値が決められている。上書きカウンタの値を受信した外部の装置のユーザが、上書きカウンタの値を確認することにより、リムーバブルメディアの交換時期を予測することができる。外部の装置は、残りの上書き可能回数をユーザに通知する機能を持つとよい。
【0157】
リムーバブルメディアのフォーマットを行う前後で、上書きカウンタの値を引く継ぐ機能を、車載機器が持つとよい。例えば、車載機器は、フォーマット前に上書きカウンタの値を読み出し、フォーマット後に上書きカウンタにフォーマット前の値を書き込む処理を行うとよい。上書きカウンタの値の引き継ぎ機能を設けることにより、リムーバブルメディアのフォーマット時に、ユーザは上書きカウンタの値を引き継ぐ操作を行う手間を省くことができる。
【0158】
(32)前記車両に発生したイベントを検出する機能、及びイベントの発生を検出すると、イベントが発生したことを、無線伝送路を経由して外部の装置に通知する機能を、さらに備えた車載機器とするとよい。
【0159】
外部の装置のユーザは、車両に何らかのイベントが発生したことを知ることができる。車載機器は、イベントの発生の通知をリアルタイムに行うようにするとよい。これにより、外部の装置のユーザは、イベントの発生に早期に気づくことができる。
【0160】
(33)イベント発生時点の前から後までの第1の期間の前記画像データの情報量よりも、前記第1の期間の前から前記第1の期間の開始時点までの第2の期間、及び前記第1の期間の終了時点から開始する第3の期間の前記画像データの情報量を少なくして、無線伝送路を経由して送信する車載機器とするとよい。
【0161】
第2の期間及び第3の期間の画像データの情報量を、第1の期間の画像データの情報量と等しくする場合と比べて、転送すべきデータ量を削減することができる。ここで、「情報量」とは、単位時間あたりの情報量を意味する。第1の期間の画像データの情報量が多いため、事故等のイベントの発生原因の探索に十分な情報を提供することができる。さらに、第1の期間の前後の第2の期間または第3の期間の画像データも、イベント発生原因の探索に役立てることができる。
【0162】
第2の期間及び第3の期間の画像データの情報量を少なくするには、例えば、解像度及びフレームレートの少なくとも一方を、第1の期間の画像データの解像度及びフレームレートより低くするとよい。その他に、さらに、第2の期間及び第3の期間の画像データの圧縮率を、第1の期間の画像データの圧縮率より高くするとよい。
【0163】
外部の装置から車載機器を制御して、第1の期間、第2の期間、及び第3の期間の長さを設定する機能を、外部の装置及び車載機器に備えるとよい。この機能は、無線伝送路を経由して外部の装置から車載機器に指令信号を送信して実現するようにするとよい。また、期間の長さは、イベントの種別ごとに設定できるようにするとよい。イベントの種別には、例えば、車両に加わった加速度(衝撃)が規定値以上、速度変化が規定値以上、エアバッグの動作ありという種別を含めるとよい。ユーザが外部の装置を操作して、この期間の長さを設定する操作を行う際に、設定しようとする期間の長さで、1つのイベントあたりの通信料を表示する機能を、外部の装置に備えるとよい。過去のイベントの発生頻度を表示して、同程度の頻度でイベントが発生した場合に一定期間(例えば1ヶ月)に発生する通信料を表示する機能を備えると、さらによい。
【0164】
さらに、外部の装置から車載機器を制御して、第1の期間、第2の期間、及び第3の期間の画像データの情報量に関する設定項目の値を設定する機能を、外部の装置及び車載機器に備えるとよい。設定項目には、解像度、フレームレート、圧縮率等を含めるとよい。外部の装置は、ユーザが設定しようとする設定項目の値を設定した場合に、実際に画像がどのように再生されるかを、サンプル画像を表示してユーザに確認させる機能を備えるとよい。
【0165】
車載機器は、画像を常時記録する常時記録機能と、イベント発生時に画像を記録するイベント記録機能とを備えるとよい。例えば、取得された画像データは、RAMのサイクリックメモリ領域に一旦記録して、サイクリックメモリ領域から読み出した後、常時記録用及びイベント記録用に画像処理し、常時記録及びイベント記録を行うとよい。ここで、画像処理とは、常時記録用及びイベント記録用の解像度、フレームレート、及び圧縮率になるように元の画像データを変換する処理を意味する。
【0166】
情報量の多い詳細な画像と、情報量の少ない粗い画像との2つの映像ストリームを作成し、それぞれRAMの異なる領域に記録するようにしてもよい。第1の期間の画像データは、詳細な画像が記録された領域から読み出し、第2の期間及び第3の期間の画像データは、粗い画像が記録された領域から読み出して、外部の装置に送信するとよい。
【0167】
(34)無線伝送路を経由して、外部の装置から連絡事項を受信すると、受信した連絡事項を音声で出力、または画面に表示する機能を、さらに備えた車載機器とするとよい。
【0168】
外部の装置のユーザ、例えば運行管理者から、車両の運転者に連絡事項を知らせることができる。上記(16)の項目で説明した機能を備えると、さらによい。
【0169】
(35)前記画像データを画像解析して前記画像データに含まれる文字を認識し、文字情報を音声に変換して出力する機能を、さらに備えた車載機器とするとよい。
【0170】
運転者が運転中に気づかなかった文字看板等があったことに気づくことができる。例えば、目的地に関する情報、例えば「〇〇、200m先を右折」という案内看板があったとき、運転者がこの案内看板を見落としても、右折すべきことに気づくことができる。
【0171】
例えば、画像解析によって店舗、病院、公共施設等の施設の文字情報を見つけると、車載機器がインターネットにアクセスしてその施設の住所を検索し、カーナビゲーションシステムと連動して、当該施設を目的地に設定する機能を、車載機器、及びカーナビゲーションシステムに備えるとよい。
【0172】
例えば、国道1号線を豊橋方面へ向かって岡崎から走行していると、「赤ちゃん筆センター」という看板が設置されていることに気づく。この看板の文字を認識して、自動的にインターネットを介して検索し、検索結果を、音声合成(TTS)機能を用いて読み上げるようにするとよい。このとき、検索結果から、現在地に最も近いものや、看板の中にある方向表示や距離表示を認識して、現在地からその範囲内や方向にあるものを抽出し、抽出した検索結果のみを読み上げるようにするとよい。
【0173】
例えば、「赤ちゃん筆センター」は、東京、川口、名古屋、豊川にある。美合を豊橋方面に向かって走行しているときに「赤ちゃん筆センター」の看板を認識した場合には、最も近く、かつ進行方向にある豊川の赤ちゃん筆センターのウェブページの内容を読み上げるようにするとよい。看板の中の電話番号に相当する数字列を認識した場合には、その電話番号で検索を行うとよい。
【0174】
音声出力の最後に、認識された施設を目的地に設定するか否かを運転者に問い合わせる音声、例えば「ここを目的地に設定しますか。」という音声を出力し、運転者からの音声による回答を待つ機能を備えるとよい。運転者が、目的地に設定することを肯定する回答を行うと、車載機器は、カーナビゲーションシステムと連動して、カーナビゲーションシステムが当該施設を目的地に設定して経路案内を開始するようにするとよい。
【0175】
特に、運転者が写り込んでいる画像を解析して運転者の視線を認識し、視線の先にある看板への注視が認められた場合には、その看板の解説を優先的に行う機能を、車載機器が備えるとよい。
【0176】
特に、自動運転が実現されると、運転者は運転操作から開放されて暇になる。例えば、車両からの景色をバーチャルの世界に置き換え、車両の動きに合わせてバーチャルの世界で移動し、赤信号になったらバーチャルの世界にモンスターを出現させるというようなゲームの研究が行われている。このようなゲームにおいて、音声による自動読み上げ機能を利用するとよい。
【0177】
本機能をキャンセルする機能を備えると、さらによい。例えば、大量の文字看板が設置されている道路を走行している場合、この機能をキャンセルしておくことにより、不要な音声出力が多発して運転の妨げになることを防止することができる。
【0178】
速度自動取締装置や移動式オービスが設置されていることを運転者に知らせるための文字標識、例えば、「速度自動取締装置設置路線」等の文字標識のうち「速度自動取締」とい文字を認識して、警報を発生する機能、または音声で警告を発出する機能を車載機器に備えるとよい。京都学府連事件の最高裁判決の「何人も、その承諾なしに、みだりにその容貌等を撮影されない自由を有する。」という規範に基づき、速度自動取締装置設置路線には、その旨を示す標識が、取締機の手前に設置されている。小型で可搬型の移動式オービスも自動で写真撮影を行うため、この規範に基づき、同様の文字標識が設置される。従って、この文字標識の存在に基づいて運転者に警報または警告を発出することにより、速度自動取締装置の設置箇所の手前で、運転者に交通ルールを守るように動機づけすることができる。
【0179】
車載装置が、速度自動取締装置の設置箇所のPOIファイルを有しており、速度自動取締装置の設置箇所が現在走行中の路線の所定距離(例えば2km)以内にある場合には、POIファイルに基づく警報または警告のみを発出し、文字標識に基づく警報または警告は発出しないようにするとよい。固定的に設置されている速度自動取締装置については、POIファイルに基づく警報または警告の発出のみで十分である。ところが、移動式オービスのように暫定的に設置されるものについては、POIファイルを予め作成しておくことができない。従って、移動式オービスについては、文字標識を認識することによる警報または警告の発出を行うようにするとよい。
【0180】
速度自動取締装置の設置を知らせる文字標識は、速度自動取締装置が設置された箇所までの2箇所に設置されている。1回目に文字標識を認識したときの警報または警告よりも、2回目に文字標識を認識したときの警報または警告を強くするとよい。例えば、運転者がより気づきやすい警報または警告を発出するとよい。右左折等によって速度自動取締装置の設置箇所から外れた場合には、警報または警告の発出を行わないようにするとよい。速度自動取締装置による速度の検出は、レーダーかレーザーを車両に向けて放射することにより行うため、このレーダーやレーザーの信号を検知(キャッチ)する機能を設け、これらの信号を検知した場合には、より強く警報または警告を発出する機能を備えるとよい。これらの信号が検出されている箇所を通過したら、通過したことを運転者に報知する機能を備えるとよい。
【0181】
さらに、ゾーン30エリアにおいては、標識を認識したことによる警報または警告の発出を行うときに、より強い警報または警告を発出するとよい。
【0182】
フォークリフト、ホイスト、クレーン等の荷役作業を行う車両や装置に、車載装置を搭載し、この車載装置に、荷物に付与されたバーコード等のマークを読み取る機能を備えるとよい。さらに、マーク等の他に、荷物に付与された文字を認識する機能を備えるとよい。荷物に付与されたマークや文字(以下、荷物識別情報という。)を読み取ることにより、荷物を特定することができる。この情報を荷役作業に活用することが可能になる。
【0183】
荷役作業車両や荷役装置に、天球カメラ(360度カメラ)や、周囲を撮像する複数のカメラを搭載するとよい。これらのカメラで撮像された画像から、周囲の荷物に付与された荷物識別情報を画像認識によって読み取り、運搬対象の荷物が保管されている場所を特定する機能を、車載機器に備えるとよい。運搬対象の荷物が保管されている場所(自車両を基準とした相対的な方向及び位置)を、表示画面上に表示する機能を備えると、さらによい。
【0184】
例えば、倉庫内の第1フォークリフトの前方に三ケ日みかんの段ボール箱、後方に温州みかんの段ボール箱、右方に青島みかんの段ボール箱、左方にポンカンの段ボール箱が配置されているとする。それぞれの段ボール箱には、内容物を識別するためのバーコードが付与されている。無線通信により、その倉庫から現在出荷対象である青島みかんの段ボール箱15個を、第1積載場に横付けされたA社の第5トラックに積み込む必要があるという情報が第1フォークリフトの車載機器に送信される。第1フォークリフトの車載機器には、LPWAやWiFi等による通信機能と、前後左右の4台のカメラと、ディスプレイが接続されている。ディスプレイには、「品名:青島みかん」、「個数:15個」、「場所:第1積載場」、「トラック:A社の第5トラック」といった情報が表示されるとともに、4台のカメラで撮像された画像のどれかに「青島みかん」を示すバーコードがないか画像認識を行う。本例の場合、右方を撮像しているカメラの画像内に「青島みかん」のバーコードがあると認定し、「運搬対象物は青島みかんで右側にあります。」という情報を表示するとともに、音声で同様の内容を報知する。ディスプレイには、例えば、積載対象物のある方向を矢印で表示したり、4つのカメラの画像のうち積載対象物が写っている範囲を目立つように表示したりするとよい。例えば、車載機器のリアルタイム画像中の運搬対象物が写っている領域を認識し(青島みかんのバーコードが付与されている段ボール箱を特定して、その範囲を認識し)、半透明で赤色のハッチングを付すとよい。
【0185】
みかんのような種類物(そこにあるその種類のものなら、どの段ボール箱でもよい)の例について説明したが、運搬対象物が特定物(Aさん宛の通信販売業者の荷物のようなもの)の場合には、箱の外観からはその特定の荷物を認識できないので、上記機能は特に有用である。例えば、A社、B社、C社、D社の各社宛の荷物が、外観は同じだが内容物が異なる場合、上記機能は特に有益である。
【0186】
運搬した段ボール箱の個数をカウントし、残りの運搬すべき段ボール箱の個数を報知する機能を備えるとよい。運び過ぎになりそうなときは、その旨を指摘する報知を行う機能を備えるとさらによい。運搬すべき荷物のある場所から、運搬先までの構内の走行ルートのナビゲーションを行う機能を備えるとさらによい。運搬対象物をフォークリフトのフォークに載せたとき、トラックに載せたとき、フォークから降ろしたとき、トラックから降ろしたときに、事務所のサーバやクラウドのデータベースやブロックチェーンに、荷物の運搬状況を記録する機能を備えるとよい。
【0187】
荷物に荷物識別情報を付与する代わりに、パレットやラックに付与してもよい。荷物識別情報として、例えば、バーコードの他に、二次元コードや、その他の各種コードを用いてもよい。
【0188】
(36)RFIDタグと通信し、前記RFIDタグに記憶された情報を読み取り、読取結果を記憶装置に格納する機能を、さらに備えた車載機器とするとよい。
【0189】
AmazonGoのように、買い物をするときにレジが不要で、商品を棚からとって店舗から出れば、自動的に決済が完了するシステムが将来的に登場すると考えられる。例えば、2025年までには、コンビニの全商品にRFIDタグを取り付ける(商品の製造時に取り付ける)ことが予定されている。商品に付されたRFIDタグを読み取ることにより、車両の乗員が購入して車内に持ち込んだ商品の情報を、車載機器に記憶することができる。例えば、購入した商品の一覧を作成することが可能になる。
【0190】
店舗の出入り口にカメラを設置し、購入者がRFID読み取り用のゲートを通過するときに購入者を撮影する機能を持つシステムを構築するとよい。購入者の画像から、購入者の年齢及び性別を判定し、商品の販売記録と関連付けて、購入者の年齢及び性別に関する情報を記録する機能を本システムに備えるとよい。
【0191】
コンビニでは、レジの決済確定ボタンが年齢と性別ごとに配置されており、店員が購入者の外観(見た目)で購入者の年齢と性別とを判断し、いずれかの決済確定ボタンを押すことで、購入者の年齢と性別の情報を入力している。購入者の画像から購入者の年齢と性別とを自動判定することにより、店員の手間を省くことができる。また、店員の主観を排除し、年齢及び性別を、より客観的に判定することができる。
【0192】
購入者の年齢及び性別に加え、服装の種別(作業着、学生服、スーツ等)、グループ種別(ひとり、カップル、ファミリー、子供連れ等)を自動判定して、商品の販売記録と関連付けて記録する機能を備えるとさらによい。本システムは、時間的に近接してゲートを出入りした人から同伴者の有無を判定し、この判定結果に基づいてグループ種別を判定するとよい。
【0193】
商品を持った複数の購入者が同時にRFIDの読み取りゲートを通過すると、どの購入者にどの商品の値段を課金すればよいか判断できなくなる。このため、RFIDの読み取りゲートは、原則として同時に一人しか通過できないようになると考えられる。従って、上述のように、時間的に近接してゲートを出入りした人から同伴者の有無を判定することができる。
【0194】
RFIDタグの読み取りから、次のRFIDタグの読み取りまでの期間にRFIDの読み取りゲートを通過した人を1つのグループとしてカウントする機能を備えるとよい。また、1つのグループとしてカウントする時間間隔の上限値を設定しておき、複数人がこの上限値を超えた時間間隔でゲートを通過した場合、これら複数人を同一のグループとカウントしない機能を備えるとさらによい。
【0195】
店舗の駐車場にカメラを設置し、同じ車両に乗り込んだ人を1つのグループと判定する機能を備えると、さらによい。この機能を備えると、複数人を1つのグループと判定する精度を高めることができる。
【0196】
購入者や同伴者の認識結果を、クラウド上のサーバに送信するか、または店舗に設置したローカルサーバに記憶させる機能を備えるとよい。
【0197】
(37)上記(28)から(36)に記載の車載機器の機能をコンピュータに実現させるためのプログラムとするとよい。
【発明の効果】
【0198】
車載機器から本システムへの画像データや走行データの転送に際し、リムーバブルメディアの持ち運びの手間を削減し、かつイベント発生時以外の種々のデータを有効に利用することが可能になる。
【0199】
本願の発明の効果はこれに限定されず、本明細書及び図面等に開示される構成の部分から奏する効果についても開示されており、当該効果を奏する構成についても分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。例えば本明細書において「~できる」と記載した箇所などは奏する効果を明示する記載であり、また「~できる」と記載がなくとも効果を示す部分が存在する。またこのような記載がなくとも当該構成よって把握される効果が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0200】
【
図1】
図1は、第1実施例によるサーバの機能を示すブロック図、及びサーバに接 続される機器の概略図である。
【
図2】
図2は、第2実施例による車載機器としてのドライブレコーダの機能を示す ブロック図である。
【
図3】
図3は、第3実施例によるサーバが入出力装置の表示画面に表示させるウィ ンドウの画像の一例を示す図である。
【
図4】
図4Aは、ペインに表示された地図からユーザが一部の領域を指定するとき の図であり、
図4Bは、ユーザが指定した領域の地図をペインに拡大して表示した図 である。
【
図5】
図5Aは、サーバの管理プログラムが起動されたときに入出力装置の表示画 面に表示されるウィンドウを示す図であり、
図5Bは、メインメニューが表示された ウィンドウを示す図である。
【
図6】
図6Aはホーム画面を示す図であり、
図6Bは接続状況画面を示す図である 。
【
図8】
図8は、録画の履歴が表示された画面を示す図である。
【
図9】
図9は、録画の詳細な情報が表示された画面を示す図である。
【
図10】
図10Aは、パスワードを変更するための画面を示す図であり、
図10B は、カメラの管理を行うための画面を示す図である。
【
図12】
図12Aは、加速度センサ(Gセンサ)設定を行う画面を示す図であり、
図12Bは、その他の設定を行う画面を示す図である。
【
図13】
図13Aは、アカウントの管理を行う画面を示す図であり、
図13Bは、 新規アカウントの登録を行う画面を示す図である。
【
図14】
図14Aは、運転者の管理を行う画面を示す図であり、
図14Bは、運転 者の新規登録を行う画面を示す図である。
【
図15】
図15Aは、営業所の管理を行う画面を示す図であり、
図15Bは、部署 の管理を行う画面を示す図である。
【
図16】
図16は、第5実施例によるサーバが入出力装置の表示画面に表示させた 内容を示す図である。
【
図17】
図17A及び
図17Bは、第6実施例によるサーバが、電波強度の分布を 表示した画面の一例を示す図である。
【
図18】
図18は、第7実施例によるドライブレコーダが記録する画像データの粗 さと、イベント発生時点との時間的関係を示す図である。
【
図19】
図19は、第8実施例によるサーバが表示画面に表示させた画像を示す図 である。
【
図20】
図20は、第9実施例によるサーバが表示画面に表示した画像を示す図で ある。
【
図21】
図21は、第10実施例によるサーバの機能によって表示画面に表示され た画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0201】
[第1実施例]
図1を参照して、第1実施例によるサーバ(システム)について説明する。
図1は、第1実施例によるサーバ40の機能を示すブロック図、及びサーバ40に接続される機器の概略図である。サーバ40は、送受信部41、データベース管理部42、画像解析部43、現在位置分析部44、SDカード読み取り部45、入出力部46、API部47、有利不利判定部48、及びデータベース50を含む。これらの各部の機能は、パーソナルコンピュータがプログラムを実行することにより実現される。データベース50には、リレーショナルデータベースが採用される。リレーショナルデータベースは汎用性の高いデータベースであるため、データベースを種々の用途に活用することができる。
【0202】
WiFi規格の無線LANを構築する複数のアクセスポイント35が、有線LAN37によりサーバ40に接続されている。アクセスポイント35ごとに、通信可能エリア36が画定されている。複数の車両31の各々に搭載されたドライブレコーダ30とアクセスポイント35との間に無線伝送路32が確立される。通信可能エリア36内に位置する車両31のドライブレコーダ30とサーバ40の送受信部41とが、無線伝送路32及び有線LAN37を介してデータ通信を行う。ドライブレコーダ30を搭載する車両31は、例えば一般の道路を走行する乗用車、トラック、バス等の車両、特定の構内を走行するフォークリフト等の特殊車両、軌道を走行する路面電車、鉄道を走行する列車等である。
【0203】
入出力部46は、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル等の入力装置、及びプリンタ、表示画面等の出力装置を含む入出力装置60を制御する。
【0204】
ドライブレコーダ30は、無線伝送路32及び有線LAN37を経由して、ドライブレコーダを識別するための車載機器識別情報、ドライブレコーダ30で取得された画像データ、及び車両31の走行状態を表す走行データを送信する。データベース管理部42は、ドライブレコーダ30から受信した車載機器識別情報、画像データ、及び走行データを相互に関連付けてデータベース50を作成する。さらに、データベース管理部42は、ユーザから指示された検索条件に基づいてデータベース50を検索し、検索結果を入出力装置60に出力する。
【0205】
ユーザからの指示は、ユーザが入出力装置60を操作することにより入出力部46からデータベース管理部42に与えられる。検索結果は、データベース管理部42が入出力部46に表示指令を与えることにより、入出力装置60の表示画面等に表示される。
【0206】
画像解析部43は、ドライブレコーダ30から受信した画像データの画像解析を行う。データベース管理部42は、画像解析部43による解析結果を画像データと関連付けてデータベース50に格納する。画像解析部43は、画像解析を行うことによって、自車両31の周囲で事故が発生したか否か、事故には至らなかったがヒヤリハット事例に相当する状況が生じたか否か、信号機が画像に写り込んでいるか否か、歩行者が画像に写り込んでいるか否か、所定の道路標識が画像に写り込んでいるか否か、画像に車両が写り込んでいるか否か、車両が写り込んでいる場合には、その車両の外観上の特徴を判定する。周囲の車両の外観的な特徴として、車両の色、車両区分、ナンバープレート等の情報が採用される。車両区分には、バス、トラック、乗用車、オートバイ等が含まれる。解析結果は、画像解析部43がテキストデータ化、コード化、またはフラグ化してデータベース管理部42に引き渡す。データベース管理部42は、テキストデータ化、コード化、またはフラグ化された解析結果をデータベース50に格納する。
【0207】
走行データは、ドライブレコーダ30を搭載している車両31の現在位置情報を含んでおり、現在位置分析部44は、ドライブレコーダ30から走行データを受信した後、現在位置情報に基づいて、車両31の現在位置を複数のグループのいずれかに分類する。データベース管理部42は、走行データと、現在位置が属するグループの情報とを関連付けてデータベース50に格納する。
【0208】
現在位置を分類する複数のグループとして、地図をメッシュで区切って複数の区画に分割し、分割された複数の区画を採用する。区画の大きさとして、例えば一辺の長さが50m~100mの範囲内の正方形とする。この場合、区画の境界線を含む一定幅の帯状の領域に存在する地点は、境界線の両側の2つの区画に属するようにする。これにより、検索対象の地点が境界線の極近傍に位置する場合でも、必要なデータの検索漏れを回避することができる。
【0209】
SDカード読み取り部45は、ドライブレコーダ30に装着されていたSDカードからのデータの読み取り制御を行う。データベース管理部42は、SDカード読み取り部45を介して、SDカードに記録された車載機器識別情報、画像データ及び走行データを読み込む。さらに、データベース管理部42は、SDカードから読み込んだ車載機器識別情報、画像データ及び走行データをデータベース50に格納する。
【0210】
サーバ40はインターネット70に接続する機能を持つ。API部47は、インターネット70の他のサイト71からデータベース50の利用要求を受信すると、データベース50の内容を所定のアプリケーションプログラミングインタフェース(API)で要求元のサイト71に送信する。さらに、データベース管理部42は、データベース50に保管されているデータをブロックチェーンに送信する機能を持つ。
【0211】
有利不利判定部48は、事故発生原因の解明において、データベース50に保管されている画像データ及び走行データが、画像データ及び走行データを取得したドライブレコーダ30が搭載された車両31の運転者にとって有利なデータか不利なデータかを判定する。
【0212】
次に、判定方法について説明する。有利不利判定部48は、車両の走行データ及び画像データに基づいて判定する。有利不利判定部48は、データベース50に登録された交通規則情報または画像データの解析結果から得られた交通規則情報と、走行データとを照合して交通違反の有無を判定し、交通違反があった場合には不利な情報と判定し、交通違反がなかった場合には有利な情報と判定する。例えば、一時停止箇所で停止したことを示す画像データは、運転者に有利な情報と判定する。逆に、一時停止箇所で停止しなかったことを示す画像データは、運転者に不利な情報と判定する。画像データから信号の色を判定し、赤信号であるにもかかわらず交差点に進入したことを示す情報は、運転者に不利な情報であると判定する。逆に、青信号で交差点に進入したことを示す情報は、運転者に有利な情報であると判定する。さらに、有利不利判定部48は、事故発生の前後の画像データや走行データを解析することによって、有利な情報か不利な情報かの判定を行う。有利不利判定部48には、この解析を行うための人工知能(AI)の機能が搭載されている。
【0213】
次に、第1実施例の優れた効果について説明する。
第1実施例では、ドライブレコーダ30からサーバ40への画像データや走行データの転送に際し、SDカードの持ち運びの手間を削減し、かつイベント発生時以外の種々のデータを有効に利用することが可能になる。検索条件に基づいてデータベースを検索した結果を表示することにより、ユーザは、膨大なデータを含むデータベースから必要なデータを容易に見つけ出すことができる。ここで、ユーザには、車両の運転者、車両の運行を管理する運行管理者、サーバ40を管理するシステム管理者が含まれる。なお、運行管理者がシステム管理者を兼務してもよい。
【0214】
画像解析部43による画像解析結果をテキストデータ化、コード化、またはフラグ化してデータベース50に格納することにより、データベース50の検索時に画像解析を行うことなく、画像解析結果を検索のキーとして利用することができる。その結果、検索速度を速めることができる。例えば、ある時間帯に、ある場所で、赤色の乗用車の走行状態を知りたい場合には、車両の色及び車両区分に関する解析結果を利用することができる。また、事故の有無に関する解析結果を利用することにより、ある日時に、ある場所で発生した事故の画像がデータベース50に格納されているか否かを容易に検索することができる。事故の画像がデータベース50に格納されている場合、この画像は、事故原因特定の有益な情報となる。
【0215】
現在位置分析部44が車両31の現在位置を複数のグループのいずれかに分類しているため、グループを検索キーとしてデータベース50を検索することにより、車両の位置の緯度経度で検索する場合と比べて、車両の位置に基づいて短時間に粗い検索を行うことができる。
【0216】
サーバ40がSDカード読み取り部45を有しているため、無線伝送路32による通信ができなかった期間にSDカードに記録されたデータ、無線通信機能を持たないドライブレコーダ30でSDカードに記録されたデータ等をデータベース50に格納することができる。無線伝送路32による通信ができなかった期間のデータをデータベース50に格納することにより、時間的に切れ目なく画像データ及び走行データをデータベース化することができる。無線通信機能を持たないドライブレコーダ30からデータを取り込むことにより、データベース50をより充実させることができる。
【0217】
データベース管理部42がAPI部47を介してインターネット上の他のサイトにデータベース50の情報を提供することにより、サーバ40を設置している事業所内にとどまらず他のサーバ等からも、インターネット経由でデータベース50の内容を参照できるようになる。さらに、所定のアプリケーションプログラミングインタフェース(WebAPI)をサポートしているサーバやパソコン等でデータベース50にアクセスできるため、このインタフェースを一般に公開すれば、不特定多数のユーザがこのデータベース50にアクセスすることが可能になる。不特定多数のユーザは、自分の欲しい情報を取得するために、自由にアプリケーションプログラムを作成することができる。また、このWebAPIを介して、他社が管理するデータベースと、自社が管理するデータベースとを、少なくとも部分的に統合することができる。
【0218】
データベース管理部42が、データベース50のデータをブロックチェーンに一度登録すると、各ブロックにタイムスタンプが付与され、基本的にデータの内容を遡及的に書き換えることができなくなる。このため、画像データや走行データの改ざんを抑止することができる。車両事故の当事者間で争いが生じた場合、ブロックチェーンに登録されたデータは、争いを解決するための有益な情報となり得る。データ格納先のブロックチェーンとして、パブリック型またはコンソーシアム型のブロックチェーンを用いることができる。
【0219】
第1実施例では、有利不利判定部48が、運転者に有利なデータか不利なデータかを判定するため、事故に関する訴訟等において、容易に自分に有利な情報のみを抽出して開示することができる。
【0220】
[第1実施例の変形例]
次に、第1実施例の変形例について説明する。
第1実施例では、アクセスポイント35とドライブレコーダ30との間の無線伝送路32として、無線LANを用いるが、変形例においては、無線LANに代えて電気通信事業者が提供する移動体通信網(例えばLTE規格の伝送路)を用いる。アクセスポイント35とサーバ40との間の伝送路として、有線LAN37に代えて無線伝送路を用いてもよい。
【0221】
データを収集する対象の車両31の移動範囲に応じて、無線伝送路として移動体通信網を利用するか、無線LANを利用するかを決定するとよい。例えば、フォークリフトのように特定の構内を移動する車両に搭載されたドライブレコーダ30からデータを収集する場合には、無線LANを利用するとよい。無線LANのアクセスポイント35の数は、無線伝送路でカバーすべきエリアの広さや階層構造に応じて決定するとよい。長距離トラックやタクシーのように、無線LANでカバーできない広範囲を移動する車両からデータを収集する場合には、移動体通信網を利用するとよい。移動体通信網及び無線LANの両方の無線伝送路を用いてドライブレコーダ30からサーバ40にデータを送信可能にするとよい。この場合、無線LANによる通信可能範囲内に車両が位置するときには、無線LAN経由で通信を行い、それ以外のときは移動体通信網経由で通信を行うとよい。
【0222】
無線LANの通信可能エリアの外を走行する可能性がある車両に搭載されたドライブレコーダ30は、GPS等によって取得された現在位置情報に基づいて、現在位置が無線LANの通信可能エリア内か否かを判定し、通信可能エリア内である場合にアクセスポイントを検索する機能を持つ。GPSの電波を受信できず、現在位置情報を取得できない場合(非測位時)には、ドライブレコーダ30は、一定の周期で定期的にアクセスポイント35を検索する機能を持つ。
【0223】
基本的に無線LANの通信可能な構内で作業を行う車両に搭載されるドライブレコーダ30は、常時アクセスポイント35を検索する。アクセスポイント35を検知できないときには、アクセスポイント35を検索する処理を繰り返し実行(リトライ)する。サーバ40は、リトライ回数またはリトライ周期を、非検知時間に対応して設定できる機能を持つ。例えば、非検知時間が長くなるに従って、リトライ周期を長くする。例えば、非検知時間が10分以下のときにはリトライ周期を5秒とし、非検知時間が10分~1時間のときにはリトライ周期を2分とする。非検知時間が所定の上限値、例えば1時間を超えたら、サーバ40が時間超過を検知し、運行管理者に通報する機能を備える。非検知時間とリトライ周期との対応関係は、アクセスポイント35の設置状況等によって変更できる機能を、ドライブレコーダ30が備えている。
【0224】
無線伝送路として移動体通信網を用いる場合には、ドライブレコーダ30は、常時アクセスポイント35を検索するようにするとよい。アクセスポイント35を検知できないときには、アクセスポイント35を検索する処理を繰り返し実行(リトライ)するようにするとよい。無線LANを用いる場合と同様に、リトライ回数またはリトライ周期を、非検知時間に対応して設定できる機能をサーバ40が持つとよい。
【0225】
車載機器識別情報は、複数のドライブレコーダ30のうち1つのドライブレコーダ30を特定するための情報である。1つのドライブレコーダ30が1台の車両31に固定的に搭載され、複数台の車両間で載せ替えられない場合は、車載機器識別情報によって車両31を特定することができる。さらに、車両と運転者との対応関係が固定されている場合には、車載機器識別情報によって運転者を特定することができる。ドライブレコーダ30が複数の車両の間で載せ替えられて使用される場合には、サーバ40に送信する情報に車両31を識別するための車両識別情報を加えるとよい。さらに、1台の車両1を複数の運転者が運転する可能性がある場合には、サーバ40に送信する情報に運転者を識別するための運転者識別情報を加えるとよい。ドライブレコーダ30にSDカードを装着して運用する場合、サーバ40に送信する情報にSDカードを識別するためのメディア識別情報を加えるとよい。運転者が特定のSDカードを携帯して使用する場合には、メディア識別情報を、運転者を識別するための情報として利用することができる。
【0226】
ドライブレコーダ30で取得する画像データに、例えば、車両31の前方画像のデータを含めるとよい。後方、側方、及び車内の少なくとも1つの画像データを含めるとさらによい。車両31の後方等の画像データを含めることにより、より多くの情報を収集することができる。この画像データは、例えば動画データとするとよい。動画データを収集することにより、静止画では得られない動きに関する情報を得ることができる。車両31での事故等の特定のイベント発生時に限らず、無線伝送路32を経由した通信が可能である期間は、ドライブレコーダ30からサーバ40へ常時データ送信を行うとよい。これにより、イベント発生時以外の種々の情報をデータベース化することができる。
【0227】
走行データに、例えば日時情報、位置情報、速度情報、加速度情報、イベント発生要因情報、運転者の操作情報等を含めるとよい。日時情報は、画像データを撮像した日時を表す。位置情報として、例えば全地球測位システム(GPS)の受信機により取得される緯度経度の情報を用いるとよい。速度情報は、例えばドライブレコーダ30が、CAN等の車載ネットワークを介して車両から取得するとよい。加速度情報は、ドライブレコーダ30に前後、上下、左右の加速度を測定する三軸加速度センサを搭載し、この加速度センサから取得するとよい。
【0228】
ユーザが指示する検索条件として、例えば日時または期間に関する情報、位置に関する情報、車両識別情報、運転者識別情報、イベント発生要因等を採用するとよい。位置に関する情報として、例えば、緯度経度、特定の交差点の名称、その交差点からの距離、住所、ある領域を複数の区画に分割した時の特定の区画を示す情報等とするとよい。ユーザに緯度経度等の特定の地点を指定させる場合には、入出力装置60の画面に地図を表示し、表示された地図上の特定の箇所を入出力装置60のポインティングデバイス(例えば、マウス、タッチパネル等)で指定させるようにするとよい。検索結果の表示には、例えば、地図形式、一覧表形式等を採用するとよい。
【0229】
イベント発生要因の例として、例えば、加速度(車両に加わる衝撃の大きさ)がしきい値を超えた、車両の走行速度が法定速度を超えた、乗員がドライブレコーダ30のイベント記録操作を行った等の運転状況による要因等が挙げられる。法定速度を示す情報は、例えば車両前方の画像解析を行い、制限速度の道路標識から取得するようにするとよい。その他に、カーナビゲーション機器の地図情報に法定速度情報を追加しておき、車両31の現在位置情報と地図情報に含まれる法定速度情報とに基づいて取得するようにしてもよい。
【0230】
本サーバ40は、ユーザである事業所に設置するコンピュータ、例えばパーソナルコンピュータ等で実現される。このコンピュータにデータベースソフトと、データベースを利用するアプリケーションプログラムをインストールすることにより、サーバ40を実現するとよい。アプリケーションプログラムは、例えばドライブレコーダ30で記録された画像データや走行データを閲覧するための従来のパソコン用ビューワに、データベース50にアクセスする機能、及び検索条件を指定する機能等を追加することにより実現するとよい。データベース50で抽出されたデータから、追加の検索条件で必要なデータを検索する機能をアプリケーションプログラムに持たせるとさらによい。
【0231】
第1実施例のサーバ40を、データベース管理機能を持つデータベースサーバと、その他の機能を持つクライアントとで構成してもよい。このとき、データベースサーバとクライアントとは、有線LANまたは無線LANで接続するとよい。このLANに接続されていない端末からは、データベースサーバにアクセスできないようにするとよい。これにより、データベースに格納されたデータが事業所外へ流出してしまうことを防止することができる。
【0232】
第1実施例によるサーバ40は、車両31に搭載したドライブレコーダ30から画像データや走行データを収集するが、ドライブレコーダ30に代えて、またはドライブレコーダ30に加えて、サーバ40が、定点カメラで撮像された画像データを収集する機能を持つとよい。定点カメラとして、例えば工場内の装置の動作状況の正常性を確認するために設置された監視カメラ、作業車両が移動する構内に設置された監視カメラ、不特定多数の者が通行する路上に設置された防犯カメラ、ビルの出入り口や廊下に設置された防犯カメラ等が挙げられる。このような定点カメラで取得されるデータには、走行データに相当するデータは存在しない。例えば、これらのカメラからサーバ40には、画像データ及び日時情報等を送信するとよい。また、車載機器識別情報に代えて、カメラを識別するための機器識別情報を定点カメラからサーバ40に送信するとよい。定点カメラからデータを収集する場合には、無線伝送路として無線LANを用いるとよい。無線LANのアクセスポイントが検知できない場合には、無線LANのシステムに何らかの異常が生じていると考えられる。その他に、無線伝送路を経由することなく、有線伝送路を経由してサーバ40にデータを転送してもよい。
【0233】
第1実施例では、無線通信可能な場合には、ドライブレコーダ30からサーバ40に常時画像データ及び走行データ等を送信するようにしたが、サーバ40からドライブレコーダ30に特定のデータの送信を要求するコマンドを送信し、ドライブレコーダ30が、受信したコマンドで要求されている画像データ及び走行データをサーバ40に送信するようにするとよい。例えば、サーバ40は、「何月何日何時何分から何分間の間に取得された画像データを送れ」というコマンドを送信する。ドライブレコーダ30は、要求内容に該当する画像データをSDカードから読み出して、サーバ40に送信する。一般的に、SDカードは、読み出しと書き込みとを同時に行うことが困難である。このため、画像データの読み出し時には、書き込みを一旦停止させるとよい。なお、読み出すべきデータ量が少ない場合には、書き込みと読み出しとを同時に実行できる場合もある。読み出すべきデータ量が所定のデータ量より少ない場合には、書き込みを中断することなく、必要なデータを読み出すようにするとよい。
【0234】
画像解析部43は、車内の画像を解析して運転者を顔認証により識別し、運転者識別情報をデータベース50に格納する機能を持つとよい。運転者の顔認証は、例えば運転席が空席になったことを画像解析により判定した後、運転者が運転席に着座したことを画像解析により検知するごとに実行するとよい。
【0235】
第1実施例では、画像データの受信後、データベース化する前に画像解析を行ったが、急ブレーキ発生等のイベント発生要因でデータベースを検索し、抽出された画像データを再生している期間に、再生中の画像の解析を行い、ヒヤリハット事例が発生したか否かを判定する機能を、サーバ40が備えるとよい。ヒヤリハット事例の発生を検出したら、その時点で再生を停止し、画像の閲覧者にヒヤリハット事例の発生を通知する機能を、サーバ40が備えるとよい。
【0236】
画像解析部43は、工場内の装置の動作状況の正常性を確認するために設置された監視カメラからの画像データを解析する機能を持つとよい。工場内の装置が、異常発生時に警報ランプを点滅させる等の方法によって異常発生を報知する機能を持つ場合、画像解析によって警報ランプの点滅を検知し、異常発生の報知があったか否かを判定するとよい。解析結果として異常発生の有無に関する情報をデータベース50に格納するとよい。
【0237】
現在位置分析部44は、車両31の現在位置を、複数の交差点の各々からの距離に基づいてグループ分けするとよい。例えば、交差点Aからの距離が100m以下のグループ、交差点Bからの距離が100m以下のグループ等に分類するとよい。このようにグループ分けすると、交差点の名称を検索キーとして、その交差点の近傍で取得された画像データ及び走行データを容易に抽出することができる。
【0238】
その他に、現在位置を分類する複数のグループとして、現在位置の住所、例えば市区町村名(住居表示の町名まで)を採用するとよい。このようにグループ分けすると、住所を検索キーとして、その住所内で取得された画像データ及び走行データを容易に抽出することができる。
【0239】
第1実施例では、ドライブレコーダ30から無線伝送路32を介してサーバ40にデータを送信するが、運行中に送信できなかったデータを車両の運行が終了した後に、ドライブレコーダ30のSDカードからサーバ40にデータを転送するようにするとよい。車両の運行が終了した後にデータを無線伝送路経由でサーバ40に送信する場合には、データ送信が完了するまで車両のエンジンを稼動させておくことが望まれる。SDカードを介してデータをサーバ40に転送する場合には、車両の運行終了後にエンジンを停止させてもよい。SDカードを介したデータ転送を併用することにより、運転者ごとの画像データ及び走行データにデータの欠損が生じにくいため、データベース50に格納されたデータに基づいて運転者の評価を行う際に運転者ごとの評価に不公平が生じにくくなる。例えば、移動体通信網の電波が届かない僻地や山中を走行している期間の画像データや走行データを、運転者の評価に取り入れることができる。
【0240】
データベース50の一つの属性として、データを取得した方法を識別するためのデータ取得方法識別情報を含めるとよい。データ取得方法識別情報によって、無線LAN経由、移動体通信網経由、SDカード経由のいずれかを識別できるようにするとよい。ユーザは、データ取得方法識別情報を検索キーとしてデータベースを検索することができる。
【0241】
SDカードの画像データや走行データに、無線伝送路経由で送信済か否かを識別するための送信済フラグを含めるとよい。SDカードからサーバ40に画像データ及び走行データを読み込む際に、送信済フラグがセットされていない画像データ及び走行データを読み込み、送信済フラグがセットされている画像データ及び走行データは、サーバ40に読み込まない機能をサーバ40が持つとよい。SDカードに送信済フラグが記録されない場合には、SDカードからデータを読み込む際に、メディア識別情報、車載機器識別情報、画像取得時刻、画像のフレームカウンタ等に基づいて、SDカードに記録されている画像データが既にデータベースに格納されているか否かを判定し、データベースに格納されていない画像データ等を読み込む機能をサーバ40が持つとよい。
【0242】
同一の車両31に、車載機器としてイベントデータレコーダとドライブレコーダ30とを搭載し、イベントデータレコーダのデータの送信先のサーバと、ドライブレコーダ30のデータの送信先のサーバ40とを別々に設置したシステムを構築するとよい。ここで、イベントデータレコーダは、主として、衝突事故の前後の車両31の情報を記録するための車載機器を意味し、画像データを記録しない。ドライブレコーダ30は、車両31の周囲の画像や走行に関するデータを記録する車載機器を意味する。車両の走行状態に関する一部のデータは、イベントデータレコーダとドライブレコーダ30とで、重複して記録される。
【0243】
イベントデータレコーダのデータを蓄積するサーバと、ドライブレコーダ30のデータを蓄積する第1実施例によるサーバ40とが所定のアプリケーションプログラミングインタフェースでデータベースを公開し、アプリケーションプログラムがインストールされた1台のパソコンに、1台の車両31のイベントデータレコーダのデータとドライブレコーダ30のデータとを結合して取り扱う機能を持たせるとよい。1台の車両31のイベントデータレコーダのデータと、ドライブレコーダ30のデータとを結合するために、同一の車両31に搭載されたイベントデータレコーダの車載機器識別情報と、ドライブレコーダ30の車載機器識別情報とを予め関連付けておくとよい。この関連付け情報は、例えば2つのイベントデータレコーダ用のサーバと、ドライブレコーダ30用のサーバ40とにアクセスするパソコンが記憶しておくとよい。これらの車載機器識別情報に自動車登録番号を関連付けておくと、自動車登録番号に基づいて2つの車載機器識別情報を関連付けることができる。
【0244】
有利不利判定部48は、事故の原因を解析する際に、運転者に有利な情報はブロックチェーンに送信し、不利な情報は送信しない機能を持つとよい。
【0245】
第1実施例では、サーバ40が画像データや走行データをブロックチェーンに送信する機能を持つが、ドライブレコーダ30が、画像データや走行データをブロックチェーンに送信する機能を備えてもよい。特に、ドライブレコーダ30は、運転者に有利な情報はブロックチェーンに送信し、不利な情報は送信しない機能を備えるとよい。走行中にリアルタイムにブロックチェーンへ送信することで、改ざんがなかったことをより証明しやすくなるとともに、自分にとって不利なデータの公開を防止することができる。
【0246】
ブロックチェーン以外の公開データベースに、サーバ40またはドライブレコーダ30が取得したデータから所定のデータを抽出して送信するようにしてもよい。
【0247】
データベース管理部42は、入出力装置60の画面に、画像データから得られる動画と、動画の開始時点から終了時点までの期間、及び現在再生中の時点を示すタイムラインとを表示し、運転者に有利な情報であると判定された期間と不利な情報であると判定された期間とを、タイムライン上に認識可能に表示する機能を備えるとよい。例えば、運転者に不利な情報であると判定された期間を赤色で表示し、有利な情報であると判定された期間を青色で表示する機能を備えるとよい。
【0248】
運転者に有利な情報のみを抽出して画面表示または印刷する機能を、有利不利判定部48が備えるとよい。運転者に不利な情報は、暗号化して第三者が容易にアクセスできないようにする機能を備えるとさらによい。
【0249】
事故に関する訴訟が起きた場合、運転者に有利な情報のみを抽出して、訴訟に提出する意見書を自動作成する機能を、有利不利判定部48が持つとさらによい。例えば、「交差点進入時に、当方側の信号は青でした。」、「事故発生時に、当方は法定速度を守って走行していました。」、「交差点の手前で、当方は一時停止しました。」というような文章を自動生成して意見書を作成する機能を備えるとよい。
【0250】
第1実施例では、データベース50としてリレーショナルデータベースを採用するが、リレーショナルデータベース以外に、またはリレーショナルデータベースに加えて、ドキュメント指向データベース、またはグラフ型データベースを採用してもよい。
【0251】
ドキュメント指向データベースを利用する場合、GPSログの各カラムをJSON形式で取り込むとともに、元のデータもJSON形式で取り込んでおくとよい。元のデータにも検索をかけられるようにするとよい。例えば、時速80km以下の走行データのみを抽出するといった処理を容易に行うことができる。
【0252】
グラフ型データベースを利用する場合には、多数の車両、運転者、訪問先、安全でない運転をした場所等の関連をグラフ構造で格納するとよい。これにより、運転の仕方が似ている運転者、危ない場所に関連する車両や運転者等を容易に表示することができる。グラフ構造を図形として表示する機能を持つとさらによい。この機能は、巡回業務の効率化を図るために有効に利用することができる。
【0253】
運転者の生体情報と異常情報(場所と時刻と車両の挙動の異常の内容等)との関連をグラフ型データベースに格納するとよい。このようにすることで、運転者の生体状態と運転との関連性の可視化が容易になる。運転者の生体状態として、例えば顔向き脇見、目の開き具合に基づく居眠り、運転姿勢、心拍数等の情報を含めるとよい。異常情報として、例えば車線逸脱、車間距離異常、急ブレーキ、急発進等の発生の有無に関する情報を含めるとよい。さらに、点呼の結果を運転者の情報としてデータベースに格納するとよい。
【0254】
対面点呼に代わって国土交通大臣が認定した機器を使用して遠隔で点呼を行うIT点呼が認められている。例えば、事業所に待機している運行管理者が、事業所に設置したサーバ40とドライブレコーダ30との間の無線通信を利用して、IT点呼を行う機能を、サーバ40及びドライブレコーダ30に備えるとよい。サーバ40は、IT点呼を行った結果を運行管理者に入力させる機能、及び入力された点呼結果を運転者の情報としてデータベース50に格納する機能を備えるとよい。さらに、ドライブレコーダ30からサーバ40に送信された運転者の画像データに基づいて画像解析を行い、運転者の健康状態や酒気帯びの有無等を判定する機能を、サーバ40が備えるとよい。サーバ40は、判定結果を運転者に関する情報としてデータベース50に格納する機能を備えるとよい。
【0255】
グラフ型データベースを利用して、人員が不足している時間帯や場所を表示する機能を、サーバ40が備えるとよい。さらに、この情報に基づいて、求人広告を出す機能を備えるとよい。
【0256】
第1実施例によるサーバ40は、特定の場所を撮像する固定カメラからの画像データを受信し、受信した画像データを、固定カメラを識別する固定カメラ識別子及び撮像された日時情報と関連付けてデータベース50に格納する機能を、さらに備えるとよい。
【0257】
固定カメラで取得された画像データと、車両に搭載されたドライブレコーダ30で取得された画像データとを一括してデータベース50で管理することができる。固定カメラで撮像する場所として、例えば、トラックやフォークリフトが走行する構内とするとよい。大きなトラックが停車している固定カメラの死角になっている場所の画像を、トラックやフォークリフト等のドライブレコーダ30で撮像された画像データで補うことができる場合がある。固定カメラの死角になっている場所を撮像している可能性の高いドライブレコーダ30は、日時情報、位置情報等に基づいて絞り込むことができる。
【0258】
[第2実施例]
次に、
図2を参照して第2実施例による車載機器について、ドライブレコーダを例にとって説明する。
図2は、第2実施例によるドライブレコーダ30の機能を示すブロック図である。ドライブレコーダ30は、処理部80、GPS受信機81、カメラ82、SDカードリーダライタ83、加速度センサ84、RFIDモジュール85、スピーカ86、ディスプレイ87、操作ボタン88、及びWiFi通信モジュール89を含む。
【0259】
スピーカ86及びディスプレイ87は、ユーザに種々の情報を報知するための出力手段として機能する。スピーカ86は、処理部80による制御に基づいて、音や音声により警報や種々の情報を発出する。ディスプレイ87は、処理部80による制御に基づいて種々の情報を画像で表示する。操作ボタン88は、ユーザがドライブレコーダ30に対して種々の指令を与える入力手段として機能する。
【0260】
GPS受信機81は、処理部80の指示に基づいて現在時刻における自車の位置情報を検出する。位置情報は、GPS衛星からの信号に基づいて求められた時刻、自車の速度、経度、緯度、高度等の情報を含む。処理部80は、これらの位置情報の履歴を記録する処理を行う。
【0261】
カメラ82は、車両の前方を動画として撮像する。カメラ82によって撮像された動画が画像データとして処理部80に取り込まれる。
【0262】
SDカードリーダライタ83は、処理部80による制御に基づいてSDカードのデータを読み取り、またはSDカードにデータを記録する。
【0263】
加速度センサ84として、3軸(x軸、y軸、z軸)それぞれの方向の加速度及び傾きを検出する3軸タイプのセンサが用いられる。加速度センサ84が、常時、検出値を処理部80に出力する。処理部80は、例えば10msごとに3軸の加速度情報を取得する。
【0264】
RFIDモジュール85は、処理部80からの指令により、RFIDタグ75からの信号を受信する。受信結果が処理部80に取り込まれ、処理部80はRFIDタグ75からの信号に含まれるID情報を読み取る。
【0265】
WiFi通信モジュール89は、処理部80からの指令により、アクセスポイント35を介してサーバ40(
図1)とのデータ通信を行う。
【0266】
処理部80は、車両のECU33から種々の走行データを取得する。この走行データには、速度情報、車両に対して行われた操作を表す情報(例えば、ブレーキやアクセルの操作情報、操舵の情報等)が含まれる。
【0267】
処理部80は、GPS受信機81から取得した位置情報、加速度センサ84から取得した加速度情報、カメラ82から取得した画像データ、ECU33から取得した走行データを、WiFi通信モジュール89を介してサーバ40(
図1)に送信する。無線通信ができない期間には、SDカードリーダライタ83に装着されているSDカードに、これらのデータを記録する。無線通信が可能になったら、SDカードに記録されている画像データ及び走行データの少なくとも一部のデータを、WiFi通信モジュール89を介してサーバ40(
図1)に送信する。無線通信が可能になったときに送信するデータは、ドライブレコーダ30のデータ処理速度や無線伝送路の通信速度等に基づいて決定される。例えば、データ処理速度や通信速度に十分な余裕がある場合には、すべての画像データ及び走行データを送信する。データ処理速度や通信速度に余裕がない場合には、画像データ及び走行データのうち一部のデータのみを送信する。送信するデータの種類は、予め処理部80に設定されている。無線通信ができない期間とは、車両が無線通信可能エリアの外を走行している期間、または無線通信システムに障害が発生しており、無線通信できない状態になっている期間等が含まれる。
【0268】
処理部80は、さらに、RFIDモジュール85から取得した信号に基づいて得られたID情報をSDカードに保存する。
【0269】
次に、第2実施例の優れた効果について説明する。
ドライブレコーダ30からSDカードを介して走行データ及び画像データをサーバ40に引き渡す方式では、SDカードを持ち運ぶ必要がある。第2実施例によるドライブレコーダ30では、無線伝送路を経由して送信した走行データ及び画像データを、SDカードを持ち運ぶことなくサーバ40に引き渡すことができる。無線通信が不可能なエリアを走行しているときに取得した走行データ及び画像データも、その一部を、無線伝送路を経由して外部の装置に引き渡すことができる。これにより、走行データ及び画像データ等の引き渡しの手間が省ける。
【0270】
次に、第2実施例の種々の変形例について説明する。なお、角変形例において、ドライブレコーダ30の機能に関連するサーバ40の機能についても説明する。
【0271】
〈無線通信可能になった後に送信するデータ〉
第2実施例では、無線通信可能になったら、SDカードに記録されている画像データ及び走行データの少なくとも一部のデータを、WiFi通信モジュール89を介してサーバ40(
図1)に送信する。本変形例においては、無線通信可能になったら、無線通信ができなかった期間にSDカードに記録された走行データを、無線伝送路を経由して送信し、SDカードに記録された画像データは送信しない。
【0272】
通常、画像データのデータ量は走行データのデータ量より著しく多い。無線通信可能になった後に画像データを送信しないことにより、伝送速度に十分な余裕がない場合でも、現時点に取得された画像データと走行データとの送信を停止させることなく、無線通信できなかった期間の走行データを送信することができる。
【0273】
例えば、無線通信ができない期間が1時間程度であった場合、この期間に約8GBの画像データが蓄積される。SDカードは、データの書き込みと読み出しとを同時に行うことを得意としていない。現在収集中の画像データをSDカードに書き込みながら、無線通信ができなかった期間に書き込んだ画像データを読み出すことは困難である。さらに、約8GB程度にも及ぶ画像データを、現在収集中の画像データとともに無線伝送路を通して送信することは困難である。このような場合には、無線通信できなかった期間に収集された画像データは送信せず、走行データを送信することにより、走行データの欠落を防止することができる。送信できなかった画像データは、SDカードを介してサーバ40(
図1)に読み込ませるとよい。
【0274】
〈走行データに含める項目〉
サーバ40に送信する走行データには、デジタルタコグラフ(デジタル式運行記録計)の技術基準で指定されている項目を含めるようにするとよい。例えば、時刻情報、瞬間速度情報、走行距離情報、車両を特定するための識別情報等を含めるとよい。これにより、ドライブレコーダ30を、デジタルタコグラフの代用品として利用することができる。また、エンジンがオフにされている時間をサーバ40に送信するようにするとよい。そうすると、サーバ40のユーザである運行管理者は、運転者が休憩している時間を容易に知ることができる。
【0275】
ドライブレコーダ30からこれらの情報を収集したサーバ40(
図1)は、走行距離の日計、週計、月計等を、運転者ごと、車両ごとに表示する機能を持つ。また、走行距離を合計する期間を、サーバ40(
図1)を利用するユーザが指定できる機能を持つ。
【0276】
〈運転者を特定する機能〉
ドライブレコーダ30は、運転者の運転免許証の情報を読み込んで、これから運転する運転者を識別する情報を、画像データや走行データと関連付けて記録する機能、及びサーバ40に送信する機能を持つ。または、ドライブレコーダ30は、車内を撮像する機能を持ち、車内の画像に写り込んでいる運転者の画像を解析することにより、例えば顔認証等を行うことにより、運転者を特定する機能を持つとさらによい。
【0277】
〈車載用途以外の用途〉
第2実施例では、車両に搭載されるドライブレコーダ30について説明したが、ドライブレコーダ30等の車載機器に限らず、その他の電子機器に同様の機能を持たせるとよい。このような電子機器は、例えば場所が固定された監視カメラ等から画像データを収集し、無線伝送路を経由してサーバ40(
図1)にデータを送信する。この場合には、走行データに相当するデータは送信されず、画像データ、機器の識別情報、日時情報等を送信する。無線伝送路の障害によってデータを送信することができない場合には、この電子機器は、画像データ等をSDカード等の記憶装置に記録する機能を持つ。無線通信可能になったら、記録されている画像データ等の少なくとも一部のデータを、無線伝送路を経由して送信する機能を持つ。
【0278】
〈接続状態及び動作状態を送信する機能〉
ドライブレコーダ30は、無線伝送路32を介した接続状態、及び動作状態に関する情報を、無線伝送路32を経由して送信する機能を備えている。
【0279】
サーバ40のユーザは、無線伝送路32を介したドライブレコーダ30との接続状態、またはドライブレコーダ30の動作状態を知ることができる。例えば、ドライブレコーダ30とサーバ40とが接続されていない状態には、車両のエンジンがオフにされているためドライブレコーダ30が動作していない状態、無線伝送路32の電波が弱いために無線通信できない状態、ドライブレコーダ30の故障等によって通信できない状態等が含まれる。通信可能になったら、ドライブレコーダ30は、エンジンのオンオフの時刻情報、電波が弱くなって通信できなくなった時刻と通信が回復した時刻の情報等を送信する機能を持つ。さらに、ドライブレコーダ30の動作状態として、画像データや走行データを正常に録画しているか否かを表す情報を送信する機能を持つ。
【0280】
ドライブレコーダ30は、接続状態や動作状態の履歴を記録するとともに、現在の接続状態や動作状態を表す情報をサーバ40にリアルタイムで送信する機能を持つ。サーバ40は、リアルタイムに受信した接続状態や動作状態を表す情報を、入出力装置60に出力することによりユーザに通知する機能を持つ。サーバ40を利用するユーザは、ドライブレコーダ30の動作状態をリアルタイムに知ることができる。特に、サーバ40は、ドライブレコーダ30の動作状態が異常である場合に、ユーザに即座に通知する機能を持つ。異常に気づいたユーザは、トラブルを回避するための何らかの対応を取ることが可能になる。例えば、過去にも撮像装置にエラーが多発しているような場合には、撮像装置を交換するという対応を取ることができる。また、過去にSDカードへの書き込みエラーが多発している場合に、SDカードを交換するという対応を取ることができる。
【0281】
〈上書きカウンタの値の送信機能〉
ドライブレコーダ30は、画像データをSDカードに順次上書き記録する機能、及びSDカードに上書きされた回数を、SDカードの記憶領域に確保された上書カウンタに格納し、上書カウンタの値を、無線伝送路32を経由して送信する機能を備えている。
【0282】
一般的に、SDカードに上書きを繰り返すとSDカードが劣化して書き込みエラーが発生しやすくなるため、上書き可能回数の上限値が決められている。上書きカウンタの値を受信したサーバ40は、上書きカウンタの値を確認することにより、SDカードの交換時期を予測することができる。サーバ40は、残りの上書き可能回数を入出力装置60に出力してユーザに通知する機能を持つ。この出力は、残りの上書き可能回数が一定の基準値を下回ったときに行うとよい。
【0283】
ドライブレコーダ30は、SDカードのフォーマットを行う前後で、上書きカウンタの値を引く継ぐ機能を、さらに備えている。例えば、ドライブレコーダ30は、フォーマット前に上書きカウンタの値を読み出し、フォーマット後に、上書きカウンタにフォーマット前の値を書き込む処理を行う。上書きカウンタの値の引き継ぎ機能を設けることにより、SDカードのフォーマット時に、ユーザは上書きカウンタの値を引き継ぐ操作を行う手間を省くことができる。
【0284】
〈イベント発生通知機能〉
ドライブレコーダ30は、車両31に発生したイベントを検出する機能、及びイベントの発生を検出すると、イベントが発生したことを、無線伝送路32を経由してサーバ40に通知する機能を備えている。
【0285】
サーバ40のユーザは、車両31に何らかのイベントが発生したことを知ることができる。ドライブレコーダ30は、イベントの発生の通知をリアルタイムに行うようにするとよい。これにより、サーバ40のユーザは、イベントの発生に早期に気づくことができる。
【0286】
〈文字認識機能〉
次に、ドライブレコーダ30の文字認識機能について説明する。
ドライブレコーダ30は、カメラ82で取得された画像データを画像解析して画像データに含まれる文字を認識し、文字情報を音声に変換して、スピーカ86から出力する機能を備えている。
【0287】
この機能により、運転者が運転中に気づかなかった文字看板等があったことに気づくことができる。例えば、目的地に関する情報、例えば「〇〇、200m先を右折」という案内看板があったとき、運転者がこの案内看板を見落としても、右折すべきことに気づくことができる。
【0288】
さらに、ドライブレコーダ30は、画像解析によって店舗、病院、公共施設等の施設の文字情報を見つけると、インターネットにアクセスしてその施設の住所を検索し、カーナビゲーションシステムと連動して、当該施設を目的地に設定する機能を、備えている。
【0289】
例えば、国道1号線を豊橋方面へ向かって岡崎から走行していると、「赤ちゃん筆センター」という看板が設置されていることに気づく。ドライブレコーダ30は、この看板の文字を認識して、自動的にインターネットを介して検索し、検索結果を、音声合成(TTS)機能を用いて読み上げる。このとき、検索結果から、現在地に最も近いものや、看板の中にある方向表示や距離表示を認識して、現在地からその範囲内や方向にあるものを抽出し、抽出した検索結果のみを読み上げる機能を、ドライブレコーダ30が備えている。
【0290】
例えば、「赤ちゃん筆センター」は、東京、川口、名古屋、豊川にある。美合を豊橋方面に向かって走行しているときに「赤ちゃん筆センター」の看板を認識した場合には、ドライブレコーダ30は、最も近く、かつ進行方向にある豊川の赤ちゃん筆センターのウェブページの内容を読み上げる。看板の中の電話番号に相当する数字列を認識した場合には、ドライブレコーダ30は、その電話番号で検索を行う機能を備えている。
【0291】
ドライブレコーダ30は、音声出力の最後に、認識された施設を目的地に設定するか否かを運転者に問い合わせる音声、例えば「ここを目的地に設定しますか。」という音声を出力し、運転者からの音声による回答を待つ機能を備えている。運転者が、目的地に設定することを肯定する回答を行うと、ドライブレコーダ30は、カーナビゲーションシステムと連動して、カーナビゲーションシステムに対して当該施設を目的地に設定させる機能を備えている。ドライブレコーダ30と連動するカーナビゲーションシステムは、当該施設までの経路案内を開始する。
【0292】
さらに、ドライブレコーダ30は、運転者が写り込んでいる画像を解析して運転者の視線を認識し、視線の先にある看板への注視が認められた場合には、その看板の解説を優先的に行う機能を備える。
【0293】
特に、自動運転が実現されると、運転者は運転操作から開放されて暇になる。例えば、車両からの景色をバーチャルの世界に置き換え、車両の動きに合わせてバーチャルの世界で移動し、赤信号になったらバーチャルの世界にモンスターを出現させるというようなゲームの研究が行われている。このようなゲームにおいて、音声による自動読み上げ機能を利用するとよい。
【0294】
ドライブレコーダ30は、本機能をキャンセルする機能を備える。例えば、大量の文字看板が設置されている道路を走行している場合、この機能をキャンセルしておくことにより、不要な音声出力が多発して運転の妨げになることを防止することができる。
【0295】
速度自動取締装置や移動式オービスが設置されていることを運転者に知らせるための文字標識、例えば、「速度自動取締装置設置路線」等の文字標識のうち「速度自動取締」とい文字を認識して、警報を発生する機能、または音声で警告を発出する機能を、ドライブレコーダ30が、さらに備えている。京都学府連事件の最高裁判決の「何人も、その承諾なしに、みだりにその容貌等を撮影されない自由を有する。」という規範に基づき、速度自動取締装置設置路線には、その旨を示す標識が、取締機の手前に設置されている。小型で可搬型の移動式オービスも自動で写真撮影を行うため、この規範に基づき、同様の文字標識が設置される。従って、この文字標識の存在に基づいて運転者に警報または警告を発出することにより、速度自動取締装置の設置箇所の手前で、運転者に交通ルールを守るように動機づけすることができる。
【0296】
ドライブレコーダ30が、速度自動取締装置の設置箇所のPOIファイルを有しており、速度自動取締装置の設置箇所が現在走行中の路線の所定距離(例えば2km)以内にある場合には、POIファイルに基づく警報または警告のみを発出し、文字標識に基づく警報または警告は発出しないようにする機能を備えている。固定的に設置されている速度自動取締装置については、POIファイルに基づく警報または警告の発出のみで十分である。ところが、移動式オービスのように暫定的に設置されるものについては、POIファイルを予め作成しておくことができない。従って、移動式オービスについては、文字標識を認識することによる警報または警告の発出を行う機能を、ドライブレコーダ30が備えている。
【0297】
速度自動取締装置の設置を知らせる文字標識は、速度自動取締装置が設置された箇所までの2箇所に設置されている。1回目に文字標識を認識したときの警報または警告よりも、2回目に文字標識を認識したときの警報または警告を強くする機能を、ドライブレコーダ30が備えている。例えば、2回目の文字標識を認識したときには、ドライブレコーダ30は運転者がより気づきやすい警報または警告を発出する。右左折等によって速度自動取締装置の設置箇所から外れた場合には、警報または警告の発出を行わない機能を、ドライブレコーダ30がさらに備えている。速度自動取締装置による速度の検出は、レーダーかレーザーを車両に向けて放射することにより行われる。ドライブレコーダ30は、このレーダーやレーザーの信号を検知(キャッチ)する機能を備えている。これらの信号を検知した場合には、ドライブレコーダ30は、より強く警報または警告を発出する機能を備えている。さらに、これらの信号が検出されている箇所を通過したら、通過したことを運転者に報知する機能を備えている。
【0298】
さらに、ゾーン30エリアにおいては、ドライブレコーダ30は、標識を認識したことによる警報または警告の発出を行うときに、より強い警報または警告を発出する機能を備えている。
【0299】
〈荷役作業車両におけるドライブレコーダの機能〉
次に、フォークリフト、ホイスト、クレーン等の荷役作業を行う車両や装置にドライブレコーダ30を搭載する例について説明する。このドライブレコーダ30は、荷物に付与されたバーコード等のマークを読み取る機能を備える。さらに、マーク等の他に、荷物に付与された文字を認識する機能を備える。荷物に付与されたマークや文字(以下、荷物識別情報という。)を読み取ることにより、荷物を特定することができる。この情報を荷役作業に活用することが可能になる。
【0300】
さらに、荷役作業車両や荷役装置に、天球カメラ(360度カメラ)や、周囲を撮像する複数のカメラが搭載される。これらのカメラで撮像された画像から、ドライブレコーダ30は、周囲の荷物に付与された荷物識別情報を画像認識によって読み取り、運搬対象の荷物が保管されている場所を特定する機能を備えている。運搬対象の荷物が保管されている場所(自車両を基準とした相対的な方向及び位置)を、ディスプレイ87に表示する機能を、ドライブレコーダ30が備えている。
【0301】
例えば、倉庫内の第1フォークリフトの前方に三ケ日みかんの段ボール箱、後方に温州みかんの段ボール箱、右方に青島みかんの段ボール箱、左方にポンカンの段ボール箱が配置されているとする。それぞれの段ボール箱には、内容物を識別するためのバーコードが付与されている。無線通信により、その倉庫から現在出荷対象である青島みかんの段ボール箱15個を、第1積載場に横付けされたA社の第5トラックに積み込む必要があるという情報が第1フォークリフトの車載機器に送信される。第1フォークリフトのドライブレコーダ30には、LPWAやWiFi等による通信機能と、前後左右の4台のカメラと、ディスプレイが接続されている。ディスプレイには、「品名:青島みかん」、「個数:15個」、「場所:第1積載場」、「トラック:A社の第5トラック」といった情報が表示される。ドライブレコーダ30は、4台のカメラで撮像された画像のどれかに「青島みかん」を示すバーコードがないか画像認識を行う。本例の場合、右方を撮像しているカメラの画像内に「青島みかん」のバーコードがあると認定し、「運搬対象物は青島みかんで右側にあります。」という情報を表示するとともに、音声で同様の内容を報知する。ディスプレイ87に、例えば、積載対象物のある方向を矢印で表示させる機能を、ドライブレコーダ30が備えている。さらに、4つのカメラの画像のうち積載対象物が写っている範囲を目立つように表示させる機能を、ドライブレコーダ30が備えている。例えば、ドライブレコーダ30のリアルタイム画像中の運搬対象物が写っている領域を認識し(青島みかんのバーコードが付与されている段ボール箱を特定して、その範囲を認識し)、半透明で赤色のハッチングを付す。
【0302】
みかんのような種類物(そこにあるその種類のものなら、どの段ボール箱でもよい)の例について説明したが、運搬対象物が特定物(Aさん宛の通信販売業者の荷物のようなもの)の場合には、箱の外観からはその特定の荷物を認識できないので、上記機能は特に有用である。例えば、A社、B社、C社、D社の各社宛の荷物が、外観は同じだが内容物が異なる場合、上記機能は特に有益である。
【0303】
ドライブレコーダ30は、運搬した段ボール箱の個数をカウントし、残りの運搬すべき段ボール箱の個数を報知する機能を備えている。運び過ぎになりそうなときは、その旨を指摘する報知を行う機能を備えている。さらに、運搬すべき荷物のある場所から、運搬先までの構内の走行ルートのナビゲーションを行う機能を備えている。運搬対象物をフォークリフトのフォークに載せたとき、トラックに載せたとき、フォークから降ろしたとき、トラックから降ろしたときに、事務所のサーバやクラウドのデータベースやブロックチェーンに、荷物の運搬状況を記録する機能を、ドライブレコーダ30が備えている。
【0304】
荷物に荷物識別情報を付与する代わりに、パレットやラックに付与してもよい。荷物識別情報として、例えば、バーコードの他に、二次元コードや、その他の各種コードを用いてもよい。
【0305】
〈RFIDタグ読取機能〉
次に、ドライブレコーダ30がRFIDタグの情報を読み取る機能について説明する。ドライブレコーダ30はRFIDタグと通信し、RFIDタグに記憶された情報を読み取り、読取結果を記憶装置に格納する機能を備えている。
【0306】
AmazonGoのように、買い物をするときにレジが不要で、商品を棚からとって店舗から出れば、自動的に決済が完了するシステムが将来的に登場すると考えられる。例えば、2025年までには、コンビニの全商品にRFIDタグを取り付ける(商品の製造時に取り付ける)ことが予定されている。ドライブレコーダ30は、車両の乗員が購入して車内に持ち込んだ商品に付されたRFIDタグの情報を読み取る。ドライブレコーダ30は、読み取った情報を記憶することにより、例えば、購入した商品の一覧を作成することが可能になる。
【0307】
次に、RFIDタグの読取機能の変形例として、店舗にカメラを設置する例について説明する。
本変形例による店舗用機器は、店舗の出入り口にカメラを設置し、購入者がRFID読み取り用のゲートを通過するときに購入者を撮影する機能を持つ。さらに、この店舗用機器は、購入者の画像から、購入者の年齢及び性別を判定し、商品の販売記録と関連付けて、購入者の年齢及び性別に関する情報を記録する機能を備えている。
【0308】
コンビニでは、レジの決済確定ボタンが年齢と性別ごとに配置されており、店員が購入者の外観(見た目)で購入者の年齢と性別とを判断し、いずれかの決済確定ボタンを押すことで、購入者の年齢と性別の情報を入力している。本変形例による店舗用機器の機能を用いて、購入者の画像から購入者の年齢と性別とを自動判定することにより、店員の手間を省くことができる。また、店員の主観を排除し、年齢及び性別を、より客観的に判定することができる。
【0309】
さらに、本変形例による店舗用機器は、購入者の年齢及び性別に加え、服装の種別(作業着、学生服、スーツ等)、グループ種別(ひとり、カップル、ファミリー、子供連れ等)を自動判定して、商品の販売記録と関連付けて記録する機能を備えている。さらに、本変形例による店舗用機器は、時間的に近接してゲートを出入りした人から同伴者の有無を判定し、この判定結果に基づいてグループ種別を判定する機能を備えている。
【0310】
商品を持った複数の購入者が同時にRFIDの読み取りゲートを通過すると、どの購入者にどの商品の値段を課金すればよいか判断できなくなる。このため、RFIDの読み取りゲートは、原則として同時に一人しか通過できないようになると考えられる。従って、上述のように、時間的に近接してゲートを出入りした人から同伴者の有無を判定することができる。
【0311】
本変形例による店舗用機器は、RFIDタグの読み取りから、次のRFIDタグの読み取りまでの期間にRFIDの読み取りゲートを通過した人を1つのグループとしてカウントする機能を、さらに備えている。また、1つのグループとしてカウントする時間間隔の上限値を設定しておき、複数人がこの上限値を超えた時間間隔でゲートを通過した場合は、これらの複数人を同一のグループとカウントしない機能を備えている。
【0312】
本変形例による店舗用機器は、店舗の駐車場に設置されたカメラからの画像を取り込む機能を備えている。店舗用機器は、駐車場に設置したカメラの画像から、同じ車両に乗り込んだ人を1つのグループと判定する機能を備えている。この機能を備えると、複数人を1つのグループと判定する精度を高めることができる。
【0313】
さらに、本変形例による店舗用機器は、購入者や同伴者の認識結果を、クラウド上のサーバに送信するか、または店舗に設置したローカルサーバに記憶させる機能を備えている。
【0314】
〈サーバとドライブレコーダとの情報伝達機能〉
次に、サーバ40を操作するユーザと、ドライブレコーダ30が搭載された車両31の運転者との間の情報伝達機能について説明する。
【0315】
サーバ40は、ユーザに、運転者への連絡事項を入力させる機能、及び運転者への連絡事項が入力されると、連絡先の運転者が運転する車両31のドライブレコーダ30に連絡事項を出力させる指令を送信する機能を備えている。ドライブレコーダ30は、無線伝送路32を経由して、サーバ40から連絡事項を受信すると、受信した連絡事項をスピーカ86から音声で出力、またはディスプレイ87にテキスト表示する機能を備えている。
【0316】
運行管理者等のユーザは、サーバ40を操作して運転者に連絡事項を知らせることができる。連絡事項を出力する指令を受信したドライブレコーダ30が、音声、文字または画像等により連絡事項を出力することにより、運転車が連絡事項に気付くことができる。
【0317】
サーバ40は、連絡事項の入力に加えて、ドライブレコーダ30に連絡事項を出力させる条件をユーザに入力させる機能を持つ。この条件として、車両の位置に関する条件、例えば車両の現在位置が所定の範囲内であることというような条件を適用することができる。例えば、車両の現在位置が事業所の駐車場内であることという条件を設定しておくと、車両が事業所の駐車場に戻ってきた時点で運転者に連絡事項を通知することができる。例えば、運転者に、「本日、18時からバーベキューパーティがあります。希望者は参加してください。」というような連絡事項を、駐車場に戻ってきた車両のドライブレコーダ30から出力させるようにすることができる。
【0318】
連絡事項を出力させる条件として、サーバ40は、さらに、連絡事項を出力する時間的な条件を設定できる機能を持つ。例えば、現在時刻が、設定された時間的条件を満たすようになると、サーバ40がドライブレコーダ30に連絡事項を出力させる指令を送信する。さらに、サーバ40が車載機器に連絡事項と時間的条件を送信しておく機能を持つ。ドライブレコーダ30は、設定された時間的条件を満たすか否かの判定を行い、時間的条件を満たした時点で連絡事項を出力する機能を持つ。例えば、バーベキューパーティの開始時刻が18時である場合、時間的条件として、「18時より前であること」という条件を設定しておくと、車両31が事業所の駐車場に戻ってきた時刻が、バーベキューパーティの開始時刻を過ぎている場合は、バーベキューパーティの開催の通知を行わないようにすることができる。
【0319】
その他に、運行管理者は、サーバ40を操作して、SDカードを運行管理部門まで持参するように、運転者に通知することができる。例えば、無線伝送路32を介してサーバ40に送信されなかった画像データや走行データがドライブレコーダ30に残っている場合、未送信のデータが残っているドライブレコーダ30を搭載した車両31の運転者に対して、SDカードを運行管理部門まで持参するように通知することができる。
【0320】
サーバ40を操作する運行管理者と、ドライブレコーダ30が搭載された車両の運転者とが、ドライブレコーダ30とサーバ40とを介して対話することができる機能を、サーバ40及びドライブレコーダ30が、さらに備えている。この対話機能を用いて、運行管理者と運転者との一方から他方への即時性の高い連絡事項に関して、連絡事項を受けた方が即時に応答することができる。
【0321】
[第3実施例]
次に、
図3を参照して第3実施例によるサーバについて説明する。以下、第1実施例によるサーバと共通の構成及び機能については説明を省略する。
【0322】
図3は、第3実施例によるサーバ40(
図1)が入出力装置60(
図1)の表示画面に表示させるウィンドウ61の画像の一例を示す図である。ウィンドウ61内に、地図を表示させるペイン(領域)62と、検索条件を入力させるペイン63とが確保されている。サーバ40は、入出力装置60の表示画面内のウィンドウ61のペイン62に地図を表示させ、ペイン63に検索条件に対応したリンクボタンを表示させる。ユーザがリンクボタンをクリックまたはタップすると、サーバ40は、各検索項目の詳細な条件を入力させるためのプルダウンメニュー、ポップアップメニュー、別ウィンドウ等を表示させる。ユーザは、プルダウンメニュー、ポップアップメニュー、別ウィンドウから、検索すべき日時情報、検索すべき車両の位置情報、検索すべきイベントの発生要因、検索すべき車両の種別、検索すべき運転者を特定する情報を入力する。
【0323】
ユーザが検索条件を入力すると、サーバ40は、入力された検索条件を満たすデータ(レコード)をデータベース50(
図1)から抽出し、抽出されたデータ(レコード)に含まれる現在位置情報で指定される地図上の位置にマーク64を表示する。ユーザが検索条件を変更すると、マーク64の位置及び個数も変化する。
【0324】
次に、第3実施例の優れた効果について説明する。
ユーザは、検索条件を満たすデータが取得された位置を地図上で容易に把握することができる。例えば、検索条件として開始日時と終了日時、及びイベント発生要因を指定することにより、指定された開始日時から終了日時までの間に、指定されたイベント発生要因によるイベントが発生した地点を地図上に表示させることができる。地図上に表示するマーク64として、フラッグ模様、バルーン模様等のマークを用いるとよい。
【0325】
検索条件を絞り込むと、地図上に表示されるマークの個数が減少し、検索条件を緩めると、地図上に表示されるマーク64の個数が増加する。ユーザは、マーク64の増減を確認しながら、適切な検索条件を設定することができる。検索条件を入力させるためのペイン63には、リンクボタンに代えて、検索条件の項目名とチェックボックスを表示してもよい。
【0326】
次に、第3実施例の変形例について説明する。本変形例では、サーバ40は、ペイン62に表示された地図からユーザに一部の領域を指定させる機能を持つ。
【0327】
図4Aは、ペイン62に表示された地図からユーザが一部の領域を指定するときの図である。ユーザは、マウスでドラッグ操作を行うことにより、地図から一部の領域65を指定する。サーバ40は、ユーザが指定した領域65に含まれる現在位置情報を持つデータ(レコード)をデータベース50(
図1)から抽出する。さらに、
図4Bに示すように、ユーザが指定した領域の地図をペイン62に拡大して表示し、抽出されたデータ(レコード)に対応する地図上の位置にマーク64を表示する。
【0328】
ユーザは、画面に表示された地図から一部の領域65を指定することにより、直感的に位置を指定することができる。地図から一部の領域65を指定する操作として、マウスによるドラッグの他に、タッチパネルにおけるピンチイン、ピンチオフ等を採用するとよい。地図上の領域を徐々に絞り込むことにより、必要な情報を容易に探し出すことができる。例えば、何月何日ごろ、どのあたりで急ブレーキをかけたかという記憶に基づいて、徐々に検索条件を絞り込むことができる。
【0329】
〈データベースサーバとクライアント〉
サーバ40の機能をデータベースサーバとクライアントとで構成する場合、最初の粗い条件でデータベースを検索して抽出されたデータをクライアントに転送し、その後の検索条件の絞り込み時には、絞り込まれた検索条件でクライアントが受信データを検索する機能を備えるとよい。これにより、データベースへのアクセス回数を低減させることができる。
【0330】
〈住所による検索〉
さらに、他の変形例では、サーバ40が、検索条件としてユーザに住所を入力させ、入力された住所の住所表示に変更の履歴があった場合、旧住所表示と現在の住所表示との両方をキーとしてデータベース50(
図1)を検索する機能を持つ。走行データ収集時点では、その時点の住所表示に基づいてデータベース50が作成される。その後、市町村合併や住居表示の導入等によって住所表示が変更になっても、変更後の住所表示に基づいて必要なデータを抽出することができる。逆に、旧住所表示に基づいて検索条件を設定した場合でも、変更後の対応する住所表示を持つデータを抽出することができる。住所表示以外に、交差点名が変更になった場合にも、旧交差点名と新交差点名とのどちらを検索キーとしても、該当の交差点に関連付けられたデータを検索する機能を、サーバ40が備えるとよい。
【0331】
〈地図の縮尺自動変更機能〉
第3実施例の他の変形例においては、ユーザがウィンドウ61(
図3)の大きさを変えると、ウィンドウ61の大きさの変化に応じて、ウィンドウ61内に表示されている地図の縮尺を変化させる機能を、サーバ40が備えている。
【0332】
ウィンドウ61の大きさを変化させても、見たい範囲の地図が表示されるため、ウィンドウ61の大きさを変化させるたびに、地図の縮尺を調整する操作を行う必要がない。
【0333】
〈ペインの拡大〉
1つのウィンドウを複数のペインに区分し、複数のペインに、データベースの異なる属性の情報を表示させた状態で、ユーザが1つのペインを選択するとそのペインに表示されている情報を1つのウィンドウに拡大して表示させる機能を、サーバ40が持つとよい。例えば、講習会等の会場で大きなスクリーンに表示させて複数の受講者に種々の情報を見せている場合に、受講者に見やすいように必要な情報を即座に拡大して表示させることができる。
【0334】
[第4実施例]
次に、
図5A~
図15Bを参照して、第4実施例によるサーバについて説明する。以下、第1実施例によるサーバと共通の構成については説明を省略する。
【0335】
図5Aは、サーバ40の管理プログラムが起動されたときに入出力装置60(
図1)の表示画面に表示されるウィンドウを示す図である。ユーザが管理プログラムを起動すると、サーバ40(
図1)は表示画面にログインを行うためのウィンドウを表示する。サーバ40は、ウィンドウに、企業コード、ログインID、及びパスワードを入力するための入力ボックス、及びログインボタンを表示する。ユーザが、企業コード、ログインID、及びパスワードを入力してログインボタンをクリックすると、サーバ40は、入力情報の正当性を確認する。入力情報が正当なものである場合には、サーバ40は、ウィンドウにメインメニューを表示する。
【0336】
図5Bは、メインメニューが表示されたウィンドウを示す図である。サーバ40は、ウィンドウ内に、ホームボタン、接続状況ボタン、録画一覧ボタン、設定ボタン、及びメッセージボックス66を表示する。サーバ40は、ユーザに通知すべきメッセージがある場合には、このメッセージボックス66にユーザに対するメッセージをテキストで表示する。なお、このメッセージボックス66は、以下に説明する種々の画面においても必要に応じて表示される。
【0337】
ユーザがホームボタンをクリックまたはタップすると、サーバ40はウィンドウ内に
図6Aに示すホーム画面を表示する。ユーザが接続状況ボタンをクリックまたはタップすると、サーバ40はウィンドウ内に
図6Bに示す接続状況画面を表示する。ユーザが録画一覧ボタンをクリックまたはタップすると、サーバ40はウィンドウ内に
図7に示す録画一覧画面を表示する。ユーザが設定ボタンをクリックまたはタップすると、詳細メニューが表示され、詳細メニューからユーザが選択した項目に応じて、サーバ40はウィンドウ内に
図10A~
図15Bのいずれかに示す設定画面を表示する。
【0338】
図6Aに示すように、ホーム画面には、直近の1週間においてイベント録画件数の多い上位10位までの車両について、録画件数、車両名、運転者名、営業所名、及び所属部署名が表示される。
【0339】
図6Bに示すように、接続状況画面には、接続状況を表示する対象を絞り込む条件を設定するための入力ボックスが表示される。絞り込み条件の入力ボックスとして、任意のキーワード、営業所名、及び所属部署名をそれぞれ入力する3つの入力ボックスが表示される。任意のキーワードは、ユーザがキーボードから入力する。営業所名及び所属部署名は、ユーザがプルダウンメニューから選択することにより入力する。
【0340】
ユーザが少なくとも1つの絞り込み条件を入力して「上の条件で絞り込む」ボタンをクリックまたはタップすると、サーバ40は、絞り込み条件に適合するデータをデータベース50(
図1)から抽出し、抽出されたデータに関する情報をウィンドウ内に表示する。表示される情報には、接続状態、車両名、運転者名、営業所名、所属部署名、IPアドレス、転送状況を示す情報が含まれる。
【0341】
図7に示すように、録画一覧画面には、録画一覧画面に表示する対象を絞り込む条件を設定するための入力ボックス、及びイベント発生要因を指定するチェックボックスが表示される。絞り込み条件の入力ボックスとして、任意のキーワード、営業所名、及び所属部署名をそれぞれ入力する3つの入力ボックスが表示される。任意のキーワードは、ユーザがキーボードから入力する。営業所名及び所属部署名は、ユーザがプルダウンメニューから選択することにより入力する。
【0342】
ユーザが少なくとも1つの絞り込み条件を入力して「上の条件で絞り込む」ボタンをクリックまたはタップすると、サーバ40は、絞り込み条件に適合する録画の1日当たりの件数を、車両名または運転者名ごとに直近の1週間についてウィンドウ内に表示する。
【0343】
ホーム画面(
図6A)、接続状況画面(
図6B)、及び録画一覧画面(
図7)において、ユーザが1つの車両名を、クリックまたはタップすることによって指定すると、サーバ40は、指定された車両で発生したイベント録画の履歴をウィンドウ内に表示する。
【0344】
図8は、録画の履歴が表示された画面を示す図である。この履歴には、録画された映像の取得日時情報、ファイル名、ファイルサイズ、記録時間、イベント発生要因、映像のサムネイル、及び「映像を見る」ボタンが含まれる。さらに、サーバ40は、表示されている録画履歴のうち最も古いものを取得した日時を含む1ヶ月分のカレンダー、及び絞り込み条件を入力するためのイベント発生要因のチェックボックスを表示する。ユーザがチェックボックスをチェックして絞り込みを行うと、サーバ40は、絞り込まれた条件に対応するイベント発生要因を持つ録画の履歴のみを表示する。
【0345】
ユーザが、録画の履歴から1つの「映像を見る」ボタンをクリックまたはタップして選択すると、サーバ40は、選択された録画の詳細な情報をウィンドウ内に表示する。
【0346】
図9は、録画の詳細な情報が表示された画面を示す図である。詳細な情報には、撮影日時、ファイルサイズ、記録時間、イベントトリガ、運転者名、車両の時速、及び加速度に関する情報、現在位置情報、及び画像が含まれる。加速度に関する情報は、時間を横軸としたグラフで表示される。車両の現在位置情報は、地図上の現在位置に相当する箇所に表示した車両のアイコンによって示される。画像を表示する領域の下に、動画の再生、停止、拡大等の操作を行うための操作パネルが表示される。
【0347】
次に、種々の設定画面について説明する。
図10Aは、パスワードを変更するための画面を示す図である。アカウント名を表示するとともに、新たなパスワードを入力する入力ボックスが表示されている。ユーザが新しいパスワードを入力して「この内容で保存」ボタンをクリックまたはタップすると、サーバ40は該当のアカウントのパスワードを再設定する。
【0348】
図10Bは、カメラの管理を行うための画面を示す図である。ユーザが、管理するカメラを指定するための絞り込み条件を入力して、「上の条件で絞り込む」ボタンをクリックまたはタップすると、サーバ40は、絞り込み条件に適応するカメラを抽出し、その一覧を表示する。この一覧には、該当のカメラを搭載している車両名、運転者名、カメラID、IPアドレス、及び「編集」ボタンが含まれる。
【0349】
ユーザが「編集」ボタンをクリックまたはタップして1つのカメラを選択すると、サーバ40は選択されたカメラに関する車両設定画面をウィンドウ内に表示する。
【0350】
図11Aは、車両設定を行う画面を示す図である。設定対象のカメラ名が表示されており、さらに、車両名、車両ナンバー、及び運転者名を入力するための入力ボックスが表示されている。ユーザが、設定対象のカメラが搭載される車両の車両名及び車両ナンバー、及びその車両の運転者名を入力して、「この内容で保存」ボタンをクリックまたはタップすると、サーバ40は、設定対象のカメラに、入力された車両名、車両ナンバー、及び運転者名を関連付けて、データベース50(
図1)に保存する。その後、サーバ40は、カメラ設定画面をウィンドウ内に表示する。
【0351】
図11Bは、カメラ設定を行う画面を示す図である。ユーザは、カメラ設定画面で、録画の解像度、録画コマ数、音声録音のオンオフ、イベント記録の警報/警告音のオンオフ、常時録画上書きのオンオフ、ワンタッチ記録/外部トリガ記録上書きのオンオフ、外部トリガ設定のオンオフ、無線LANタイムアウト時間、長時間運転判定のオンオフ、ランプ自動調整のオンオフ、設定の初期化、駆動輪1回転あたりのパルス数の設定を行うことができる。
【0352】
図12Aは、加速度センサ(Gセンサ)設定を行う画面を示す図である。ユーザは、Gセンサ設定のオンオフ、Gセンサ上書きのオンオフ、Gセンサイベント判定のしきい値の設定を行うことができる。Gセンサイベント判定のしきい値は、衝撃、急発進/急ブレーキ、急ハンドルの3種類の要因ごとに個別に設定することができる。
【0353】
図12Bは、その他の設定を行う画面を示す図である。ドライブレコーダ30ごとに、ファームウェアのアップデートを行うか否か、SDカードのフォーマットを行うか否か、記録領域の配分を変更するか否かの設定を行うことができる。
【0354】
図13Aは、アカウントの管理を行う画面を示す図である。アカウントの絞り込みを行うためのキーワードを入力するための入力ボックスが表示されている。ユーザがキーワードを入力して、「上の条件で絞り込む」ボタンをクリックまたはタップすると、サーバ40は、データベース50をキーワードで検索し、キーワードに該当するアカウントの名前、ログインID、役割、最終ログイン日、及び「編集」ボタンを表示する。ユーザが「編集」ボタンをクリックまたはタップしてアカウントを指定すると、サーバ40は、指定されたアカウントの名前、ログインID、及び役割を変更することができるようにする。
【0355】
図13Bは、新規アカウントの登録を行う画面を示す図である。アカウント名、アカウントID、パスワード、アカウントの役割を入力するための入力ボックスが表示される。ユーザが、これらの入力ボックスにデータを入力して、「この内容で保存」ボタンをクリックまたはタップすると、サーバ40は、入力されたアカウントの情報を新規にデータベース50に登録する。
【0356】
図14Aは、運転者の管理を行う画面を示す図である。ユーザが、運転者の絞り込みを行うための条件、すなわち運転者名(ドライバー名)、営業所名、所属部署名の少なくとも1つを入力ボックスに入力して、「上の条件で絞り込む」ボタンをクリックまたはタップすると、サーバ40は、データベース50を絞り込み条件で検索し、絞り込み条件に該当する運転者を抽出し、運転者ごとに、運転者の名前、所属する営業所名、所属部署名、当該運転者に割り当てられたデータベース50の記憶容量、当該運転者に関するデータの保持期間、「編集」ボタン、及び「連絡」ボタンを表示する。ユーザが「編集」ボタンをクリックまたはタップして運転者を指定すると、サーバ40は、指定された運転者の名前、営業所名、所属部署名、記憶容量、及びデータ保持期間を変更することができるようにする。ユーザが「連絡」ボタンをクリックまたはタップすると、サーバ40とドライブレコーダ30との情報伝達機能を用いて、当該運転者が乗車する車両のドライブレコーダ30に対してメッセージを送信するための画面を表示する。
【0357】
図14Bは、運転者の新規登録を行う画面を示す図である。運転者の名前、運転者が所属する営業所の名前、及び所属部署名を入力するための入力ボックスが表示される。ユーザが、これらの入力ボックスにデータを入力して、「この内容で保存」ボタンをクリックまたはタップすると、サーバ40は、入力された運転者の情報を新規にデータベース50に登録する。
【0358】
図15Aは、営業所の管理を行う画面を示す図である。営業所名を追加するための入力ボックス、及び現在登録されている営業所の一覧が表示される。ユーザが、営業所を追加する入力ボックスに営業所名を入力して、「追加する」ボタンをクリックまたはタップすると、サーバ40は、新しい営業所の名前をデータベース50に追加する。営業所の一覧が表示された欄に、営業所ごとに「編集」ボタンが表示されている。ユーザが「編集」ボタンをクリックまたはタップすると、サーバ40は、営業所名の修正、当該営業所名の削除を行うことができる。
【0359】
図15Bは、部署の管理を行う画面を示す図である。営業所の管理を行う画面と同様に、部署名を追加するための入力ボックス、及び現在登録されている部署の一覧が表示される。操作方法は、営業所の管理の場合と同様である。
【0360】
次に、
図5A~
図15Bに示した各画面に対応してサーバ40が持つ種々の機能について説明する。
【0361】
〈ドライブレコーダの動作条件の設定〉
図11B~
図12Aに示したように、ユーザが、ドライブレコーダ30の動作条件を決定する設定情報を変更する操作を行うと、サーバ40はドライブレコーダ30に対して、設定情報変更の指令を、無線伝送路32を経由して送信する。
図12Bに示したように、ユーザが、ファームウェアを更新する操作を行うと、サーバ40は、ドライブレコーダ30に対してファームウェアの更新を行う指令を、無線伝送路32を経由して送信する。
【0362】
ユーザである運行管理者は、ドライブレコーダ30を搭載した車両に赴くことなくドライブレコーダ30の設定情報の変更を行うことができる。また、ユーザであるシステム管理者は、ドライブレコーダ30を搭載した車両に赴くことなくドライブレコーダ30のファームウェアの更新を行うことができる。
【0363】
ユーザが特定のドライブレコーダ30を指定して、設定情報を変更またはファームウェアの更新を行う操作を行うと、サーバ40は、指定されたドライブレコーダ30の設定情報の変更またはファームウェアの更新を行う機能を持つ。さらに、ユーザが特定のドライブレコーダ30を指定することなく、設定情報を変更またはファームウェアの更新を行う操作を行うと、サーバ40は、管理対象の全てのドライブレコーダ30の設定情報の変更またはファームウェアの更新を行う機能を持つ。この機能を利用することにより、管理対象の複数のドライブレコーダ30ごとに設定情報の変更またはファームウェアの更新の操作を行う場合と比べて、変更または更新の操作を簡略化することができる。
【0364】
さらに、サーバ40は、管理対象の複数のドライブレコーダ30を複数のグループに分類し、グループごとに設定情報の変更またはファームウェアの更新を行う機能を持つ。サーバ40は、ユーザである運行管理者の操作により、ドライブレコーダ30が搭載された車両31の運転者の安全運転度や熟練度に応じてドライブレコーダ30を分類する機能を持つ。例えば、運転者を、安全運転度が「高い」、「普通」、及び「低い」の3つのグループに分類し、運転者とドライブレコーダ30との対応関係に応じて、ドライブレコーダ30を3つのグループに分類する。例えば、安全運転度が高い運転者が運転する車両においては、急発進や急ブレーキ等の加速度が大きくなる状況が発生しにくいため、加速度をトリガとしたイベントが発生しにくい。安全運転度が高い運転者の車両においても、ある程度のイベントを検出するために、サーバ40は、イベントが発生したと判定する加速度のしきい値を、他のグループのしきい値より低く設定する。逆に、安全運転度の低い運転者の車両においては、サーバ40は、記録する画像データの解像度を他のグループより高くし、事故やヒヤリハット事例が生じたときの原因分析を行いやすくしておく。また、ユーザが、運転中に危険な行為または動作を行う傾向が強い運転者を指定する操作を行うと、サーバ40は、当該運転者を特定のグループに分類し、その運転者に対応するドライブレコーダ30においては、車内の画像を詳細に収集するように設定する。ここで、「詳細に」の例として、サーバ40は、解像度を高めること、フレームレートを高めることの少なくとも一方の設定を実行する。
【0365】
さらに、サーバ40は、運転者が所属する社内の部門(所属部署)に応じて、ドライブレコーダ30のグループ分けを行う機能を持つ。例えば、サーバ40は、設計部門、営業部門、企画部門等の部門ごとにグループ分けを行う。
【0366】
ユーザである運行管理者またはシステム管理者がサーバ40を操作してドライブレコーダ30の設定情報の変更またはファームウェアの更新の指示を行ったときに、無線通信が不可能であるドライブレコーダ30に対しては、設定情報の変更の予約、またはファームウェア更新の予約を行う機能を、サーバ40が持つ。設定情報の変更の予約、またはファームウェア更新の予約が行われているドライブレコーダ30がサーバ40と無線通信可能になったら、サーバ40は、ドライブレコーダ30に設定情報の変更またはファームウェア更新の指令を自動的に送信する機能を持つ。
【0367】
図12Bに示した画面において、ユーザがSDカードのフォーマット(初期化)の操作を行うと、サーバ40は、ドライブレコーダ30にSDカードをフォーマットする指令を送る。例えば、ドライブレコーダ30のファームウェアを更新したことによりSDカードをフォーマットし直す必要が生じた場合等に、ユーザは、本機能を用いてドライブレコーダ30のSDカードをフォーマットすることができる。
【0368】
ユーザであるシステム管理者がファームウェアの更新の操作を行ったとき、サーバ40は、SDカードのフォーマットが必要か否かを判定する機能を持つ。フォーマットが必要である場合には、サーバ40は、「SDカードのフォーマットが必要であるため、画像データ及び走行データが消去されてしまう」ことをシステム管理者に通知する機能を持つ。さらに、サーバ40は、送信されていない画像データ及び走行データがドライブレコーダ30に残っているか否かをシステム管理者に通知する機能を持つ。サーバ40は、この通知を行った後、ファームウェアの更新を行うか中止するかをシステム管理者に選択させる機能を持つ。これにより、システム管理者が画像データや走行データを残しておきたいにも拘わらずこれらのデータが消去されてしまう事態の発生を防止することができる。
【0369】
さらに、サーバ40は、SDカードに記録されている画像データ及び走行データの全てをサーバ40に送信した後にSDカードをフォーマットするようにドライブレコーダ30に指令する機能を持つ。ドライブレコーダ30は、この指令を受信すると、SDカードに記録されている画像データ及び走行データの全てをサーバ40に送信した後、自動的にSDカードのフォーマットを開始する機能を持つ。
【0370】
ユーザであるシステム管理者がファームウェアの更新を行う操作をしたとき、サーバ40は、ファームウェアの更新の指令をドライブレコーダ30に送信する前に、ファームウェアの更新中はドライブレコーダ30の録画が中断されることをシステム管理者に通知する機能を持つ。サーバ40は、この通知を行った後、ファームウェアの更新を実行するか、中止するかをシステム管理者に選択させる機能を持つ。これにより、システム管理者は、録画を中断したくない場合にファームウェアの更新を中止することができる。
【0371】
〈運転車の管理機能〉
図14Aに示した運転者の管理を行う画面に関するサーバ40の機能について説明する。データベース50は、車両31の運転者を識別する運転者識別情報を含み、運転者識別情報で特定される運転者ごとに、データベース50のデータ管理条件を設定する機能を持つ。
【0372】
この機能により、運転者ごとに最適なデータ管理条件を設定し、データを管理することができる。データ管理条件として、例えば、記憶容量上限値、データ保管期間、画像データの属性、イベント記録要否等が採用される。
【0373】
データベース50の記憶容量は有限であるため、データベース50に蓄積されたデータ量が記憶容量の上限に達すると、過去のデータを消去するか、または新しいデータを格納することなく廃棄しなければならない。特定の運転者に対応する記憶領域の最大容量(記憶容量上限値)を大きくし、データ保管期間を長く設定しておくと、その運転者に関するデータが消去されにくくなる。例えば、重点的に管理したい運転者に関するデータの記憶領域の最大容量を、他の運転者に関するデータの記憶領域の最大容量より大きくすることにより、重点的に管理したい運転者に関するデータが消去されにくくなるという効果が得られる。
【0374】
重点的に管理したい運転者に関するデータの保管期間を、他の運転者に関するデータの保管期間より長くすることにより、重点的に管理したい運転者に関するデータをより長期間保管することができる。例えば、運転者によって、データ保管期間を1日に設定したり、1年に設定したりすることができる。
【0375】
画像データの属性として、例えば解像度、フレームレート等が採用される。ユーザである運行管理者がサーバ40を操作して運転者を指定して画像データの属性を入力すると、サーバ40は、指定された運転者が乗車する車両31に搭載されたドライブレコーダ30の車載機器識別情報を取得し、その車載機器識別情報に対応するドライブレコーダ30に、入力された属性に変更する指令を送信する機能を持つ。この指令を受信したドライブレコーダ30は、記録及び送信する画像データの属性を変更する機能を持つ。
【0376】
ユーザである運行管理者がサーバ40を操作して運転者を指定してイベント記録要否を設定すると、サーバ40は、指定された運転者が乗車する車両31に搭載されたドライブレコーダ30の車載機器識別情報を取得し、その車載機器識別情報に対応するドライブレコーダ30に、入力されたイベント記録要否の設定値に変更する指令を送信する機能を持つ。この指令を受信したドライブレコーダ30は、イベント記録要否の設定値に応じて、イベント記録を行う機能を有効にしたり、無効にしたりする機能を持つ。
【0377】
これらの設定を運転者ごとに行う代わりに、サーバ40は、複数の運転者を複数のグループに分類し、グループごとにこれらの設定を変更できる機能を持つ。例えば、サーバ40は、ユーザが操作することによって、運転者を運転技術や運転態度に応じて「優良」、「普通」、「危険」等のグループに分類する機能を持つ。このようにすると、運転者一人ずつを指定してデータ管理条件を設定する場合と比べて、運行管理者によるデータ管理条件の設定操作を簡単化することができる。
【0378】
サーバ40は、さらに、データベース50に基づいて、運転者ごとに労務管理情報を一覧表形式で出力する機能を持つ。また、労務管理情報を出力する対象となる運転者、勤務期間等を、ユーザである運行管理者に入力させる機能を持つ。さらに、サーバ40は、労務管理情報を事業所ごとに一覧表形式で出力する機能を持つ。
【0379】
サーバ40は、さらに、コンビニ、ATM、マンション、商店街等に設置された防犯カメラの画像データを収集する機能を持つ。このとき、サーバ40は、防犯カメラごとにデータ保管期間を設定できる機能を持つ。
【0380】
〈表示機能〉
次に、
図9に示した録画の詳細な情報が表示された画面に関するサーバ40の機能について説明する。
【0381】
サーバ40は、
図9に示したように、1つのウィンドウを複数の領域(ペイン)に分割し、各ペインにデータベースの属性の内容を表示させる。さらに、ペインごとに、ペイン内の隅に印刷要否チェックボックス67を表示させる。ユーザは、この印刷要否チェックボックス67をチェックすることにより、当該ペインに表示された属性の内容の印刷を指令する。サーバ40は、ユーザの指令によって印刷要とされた属性の内容をプリンタに印刷させる機能を備えている。
【0382】
運転者、運行管理者等のユーザは、1つの画面で複数の属性の内容を容易に把握することができる。また、ユーザは、画面に表示された内容を見ながら、印刷の要否を判断し、印刷すべき属性を容易に指令することができる。
【0383】
サーバ40は、印刷対象となったペインに応じて、印刷すべきペインの大きさ及びレイアウトを自動的に修正して印刷する機能を持つ。さらに、ユーザが印刷レイアウトを事前に登録しておける機能を持つ。印刷すべきペイン及び印刷レイアウトをユーザが選択すると、サーバ40は、選択されたペインの内容を、選択された印刷レイアウトで印刷する。例えば、ユーザは、車載機器で取得された画像を大きく印刷する画像重視のレイアウト、地図を大きく印刷する地図重視のレイアウト等を予め登録しておくことができる。
【0384】
サーバ40は、さらに、運転者をグループに分類した時のグループごと、または運転者ごとに、印刷レイアウトを登録しておく機能を持つ。ユーザが、印刷すべきペインを指定して印刷の指示を行うと、サーバ40は、印刷対象の運転者のグループ、または運転者に対して予め登録されている印刷レイアウトで印刷を行う。
【0385】
次に、
図9に示した録画の詳細な情報が表示された画面に関する機能の変形例について説明する。
【0386】
一つの変形例では、サーバ40は、印刷要否チェックボックス67を表示する代わりに、ユーザが選択したペインの輝度を他のペインの輝度より高くすることにより、ユーザが印刷を指令したペインか否かを区別する。
【0387】
図9に示した例では、1つの画面に、車載機器で取得された画像、画像の再生停止早送り等の操作を行う操作パネル、車両の位置を含むある範囲の地図と車両位置を示すマーク、画像表示時点における速度を示す図、加速度の測定値を示すグラフ、撮影日時等の情報を表示させている。その他に、速度の測定値の事件変化を示すグラフ、データベースの検索条件を入力するための検索条件の項目一覧を表示させる機能を、サーバ40が持つとよい。
【0388】
ユーザが検索条件の項目一覧から1つの項目を選択すると、サーバ40は、検索条件の項目一覧を表示していたペインの表示内容を、選択された項目に関する詳細条件を入力するための表示に切り替える。例えば、検索条件の項目一覧からユーザが「運転者」という項目を選択すると、そのペインに運転者名の一覧を表示し、ユーザに運転者名を選択させるようにする。また、ユーザが検索条件の項目一覧から「日時」を選択すると、そのペインを、年月日と時間帯を入力させる表示内容に切り替える。
【0389】
ユーザが、検索条件を入力するペインを操作して検索条件を入力すると、サーバ40は、他のペインの表示内容を、ユーザが入力した検索条件を満足する情報に切り替える。例えば、ユーザが特定の運転者を選択すると、画像を表示するペインに、その運転者が乗車している車両31のドライブレコーダ30で取得された画像を表示する。
【0390】
〈ユーザへの報知機能〉
次に、
図5Bに示したメニュー画面のメッセージボックス66に関する機能について説明する。
【0391】
ドライブレコーダ30は、SDカードに画像データを上書きし、上書きした回数を記録する上書きカウンタを持つ。サーバ40は、上書きカウンタの値を、無線伝送路32を経由して受信し、上書きカウンタの値が、推奨上書き上限値を超えたか否かを判定する機能を持つ。上書きカウンタの値が推奨上書き上限値を超えている場合には、SDカードを交換するようにユーザに促すメッセージをメッセージボックス66に表示する機能を持つ。
【0392】
SDカードの上書き回数が推奨上書き回数上限値を超えると、書き込みエラーが発生しやすくなる。サーバ40によりSDカードを交換するように促されたユーザ、例えば運行管理者やシステム管理者がSDカードを交換することにより、書き込みエラーの発生を抑制することができる。推奨上書き回数上限値は、SDカードの仕様等で決められている。
【0393】
ドライブレコーダ30またはサーバ40は、SDカードのフォーマットを行う機能を持つ。SDカードをフォーマットするときには、上書きカウンタの値を、フォーマット後に引き継ぐ機能を持つ。例えば、ドライブレコーダ30またはサーバ40は、フォーマット前に上書きカウンタの値を読み出して記憶しておき、フォーマット後に、上書きカウンタにフォーマット前の値を書き込む。
【0394】
サーバ40は、ドライブレコーダ30ごとに、データの受信を行っていない期間の長さを算出し、データの受信を行っていない期間の長さが所定の非通信時間上限値を超えているか否かを判定する機能を持つ。データの受信を行っていない期間の長さが所定の非通信時間上限値を超えている場合には、サーバ40は、メッセージボックス66に、データの受信を行っていない期間の長さが所定の非通信時間上限値を超えているというメッセージを表示して、ユーザに報知する機能を持つ。
【0395】
ドライブレコーダ30が正常に動作しており、車両31が通信可能エリア36内に位置する期間は、サーバ40は、原則としてドライブレコーダ30から画像データや走行データを受信している。例えば、1日に1回、アクセスポイント35を設置した事業所の駐車場に戻るような使用形態の車両31に搭載されたドライブレコーダ30とは、1日に1回は通信を行うはずである。また、長距離トラックのように、事業所の駐車場を出たら、何日間かは戻らないような使用形態の車両31に搭載されたドライブレコーダ30は、ある日数の間に1回は駐車場に戻って通信を行うはずである。通信を行わなかった日数が非通信時間上限値を超えている場合には、ドライブレコーダ30の故障、通信環境の異常、運転者がドライブレコーダ30の電源スイッチをオフにした状態が継続している等の異常事態の発生が考えられる。データの受信を行っていない期間の長さが所定の非通信時間上限値を超えている場合に、サーバ40がユーザに報知する機能を持つことにより、このような異常事態の発生にユーザが気付くことができる。
【0396】
サーバ40は、車両31の使用形態等に応じて非通信時間上限値を設定することができる機能を持つ。さらに、運転者や、運転者のグループごとに非通信時間上限値を設定できる機能を持つ。また、通信を行うための無線伝送路32として、無線LANを用いているか、LTE等の移動体通信事業者の無線ネットワークを用いているかによって、非通信時間上限値を設定できる機能を持つ。例えば、移動体通信事業者の無線ネットワークを利用する場合には、非通信時間の上限の値を短くしてもよい。例えば、車両が、無線ネットワークの通信可能エリア内を走行しているはずであるにもかかわらず、1時間以上通信がない場合には、運転者が車両のエンジンをオフにして休憩しているか、何らかの事故が発生したか等の何らかの想定外の状況が発生していると考えられる。
【0397】
イベントの発生を検知する機能を持つドライブレコーダ30から、イベントが発生したことを知らせるイベント発生信号をサーバ40が受信すると、サーバ40は、イベントが発生したドライブレコーダ30を特定して、イベントが発生したことをメッセージボックス66に表示してユーザに報知する機能を備えている。
【0398】
運行管理者等のユーザは、管理対象の車両31にイベント、例えば事故、危険運転等が発生したことを早期に知ることができる。ドライブレコーダ30は、例えば、ドライブレコーダ30に搭載した加速度センサで検出された加速度の値が所定のしきい値を超えると、イベントが発生したと判定する機能を持つ。
【0399】
その他の機能として、サーバ40において本アプリケーションプログラムが起動されていないとき、サーバ40は、本アプリケーションプログラムにイベントの発生をプッシュ通知する機能を備えるとよい。サーバ40は、イベントの発生を検知すると、本アプリケーションプログラムを起動して、メッセージボックス66にイベント発生を知らせるメッセージを表示する。その他に、サーバ40は、ユーザの携帯端末に電子メールを送信するか、SNS等のウェブサービスを利用してユーザに通知するようにするとよい。
【0400】
〈接続状況及び動作状況の表示機能〉
次に、
図6Bに示した接続状況表示画面に関するサーバ40の機能について説明する。
【0401】
サーバ40は、管理対象のドライブレコーダ30の一覧を、ドライブレコーダ30ごとの動作状況とともに画面に表示する機能を備えている。
【0402】
運行管理者やシステム管理者等のユーザは、画面に表示された情報から、ドライブレコーダ30の動作状況を容易に把握することができる。一覧に表示する動作状況には、
図6Bに示したように、ドライブレコーダ30の接続状態、IPアドレス、転送状況が含まれる。さらに、ファームウェアのバージョン、更新日、ファームウェア更新予約中の有無、異常ログの有無、設定項目ごとの設定値、直近の画像データ取得日時情報、直近の走行データ取得日時情報等が含まれる。ドライブレコーダ30の接続状態は、リンクボタンによって表示される。この一欄を見たユーザは、このリンクボタンをクリックまたはタップしてドライブレコーダ30を指定することにより、指定したドライブレコーダ30の各種設定等の指令を行うことができる機能を、サーバ40が備えている。
【0403】
〈ユーザの役割の種別〉
ユーザがサーバ40にログインするときに使用するユーザID(ログインID)のユーザ属性(役割)として、「運行管理者」と、「システム管理者」とが設けられている。運行管理者の属性のユーザIDでログインしたときと、システム管理者の属性のユーザIDでログインしたときとで、一覧に表示させる項目が異なる。運行管理者の属性のユーザIDでログインしたときは、運行管理に必要な項目を表示させ、システム管理者の属性のユーザIDでログインしたときは、システム管理に必要な項目(例えば、ファームウェアのバージョン等)を表示させる。
【0404】
サーバ40は、ユーザのログインがあったとき、ログインユーザのユーザ属性に応じて画面表示の内容を変える。例えば、運行管理者の属性のユーザIDでログインがあったときは、運行管理を行うのに必要な情報を取得しやすい画面表示にする。システム管理者のユーザIDでログインがあったときは、システム管理に必要な情報を取得しやすい画面表示にする。
【0405】
さらに、ユーザIDのユーザ属性として、「運転者」が設けられている。運転者の属性のユーザIDでログインすると、サーバ40は、閲覧可能な画像データ及び走行データを、ログインユーザが運転した車両31のドライブレコーダ30で取得されたものに制限する。さらに、運転者の属性のユーザIDでログインしたとき、サーバ40は、データベース50に格納されているログインユーザに関するデータにもとづいて日報を作成することができる機能を備えている。
【0406】
さらに、サーバ40は、データベース50のデータへのアクセスログを記録する機能を持つ。例えば、データにアクセスした日時、ユーザID、アクセス対象のデータ等を記録する機能を備える。アクセスログは、データの改ざん等が見つかったときの監査に利用することができる。また、アクセスログは、事故の捜査時に、データが改ざんされたものではないことを証明する証拠ともなり得る。
【0407】
[第5実施例]
次に、
図16を参照して第5実施例によるサーバ40及びドライブレコーダ30について説明する。以下、第1実施例によるサーバ40、及び第2実施例によるドライブレコーダ30と共通の構成については説明を省略する。
【0408】
第5実施例によるサーバ40のデータベース50は、画像を取得した日時を示す日時情報、及び画像を取得した位置を示す位置情報を含み、日時情報または位置情報に基づいて、または両者に基づいて、複数のドライブレコーダ30から取得した画像データ及び走行データの内容を画面に同時に表示させる機能を備えている。
【0409】
図16は、入出力装置60の表示画面に表示された内容を示す図である。1号車から4号車までの4台のバスが連なって運行しており、サーバ40は、1号車から4号車までの4台のバスに搭載されたドライブレコーダ30から取得した画像を、表示画面に日時を同期させて同時に表示する。さらに、画像の早送り、巻き戻し、停止等の操作を行う操作パネルを表示する。さらに、地図を表示し、表示中の画像の時刻における4台のバスの位置を、地図上にアイコンで表示する。例えば、
図16に示したように、1号車から4号車までのバスの位置を、丸付き数字で示す。
【0410】
複数のドライブレコーダ30において同時刻に取得された画像、または特定の位置関係を持つ複数の車載機器で取得された画像を、画面上で比較しながら閲覧することができる。例えば、ある時間帯に特定の場所を走行していた車両に搭載されているドライブレコーダ30の画像を閲覧することにより、その特定の場所で発生した事故等に関するより多くの情報を得ることができる。例えば、複数台のトラックで引っ越しを行う場合、複数台のトラックにそれぞれ搭載されているドライブレコーダ30の画像を同時に閲覧することにより、ある1台のトラックに起きた事故に関する情報を、他のトラックの画像から得ることができる。列車の先頭車両と最後尾の車両にドライブレコーダ30を搭載しておき、先頭車両のドライブレコーダ30で取得された画像と最後尾の車両に搭載されたドライブレコーダ30で取得された画像とを、同時に閲覧することができる。
【0411】
第5実施例の変形例として、日時情報または位置情報に加えて、ユーザが指定した複数の車載機器識別情報に基づいて、画像データ及び走行データの内容を画面に同時に表示させる機能を、サーバ40が持つ。ユーザが指定した任意の複数のドライブレコーダ30の画像を同時に表示画面に表示させることができる。
【0412】
[第6実施例]
次に、
図17A及び
図17Bを参照して第6実施例によるサーバ40及びドライブレコーダ30について説明する。以下、第1実施例によるサーバ40、及び第2実施例によるドライブレコーダ30と共通の構成については説明を省略する。
【0413】
第6実施例によるドライブレコーダ30は、無線伝送路32の電波強度を示す電波強度情報をサーバ40に送信する機能を備えている。サーバ40は、ドライブレコーダ30から電波強度情報を受信し、ドライブレコーダ30の現在位置情報と電波強度情報とを関連付けてデータベース50に格納する機能を備えている。さらに、サーバ40は、電波強度の分布を可視化して画面に表示する機能を備えている。
【0414】
図17Aは、電波強度の分布を可視化して示した画面の一例を示す図である。サーバ40は、画面に地図を表示し、地図内をメッシュで複数の区画に区分している。区画ごとに、電波強度に対応する大きさの円を表示している。相対的に大きな円が表示された区画では、電波強度が相対的に強い。サーバ40は、1つの区画に対応する電波強度として、当該区画内においてドライブレコーダ30が検知した電波強度の平均値を採用する。
【0415】
図17Bは、電波強度の分布を示した画面の他の例を示す図である。横軸を区画に対応させ、縦軸を電波強度に対応させた棒グラフで電波強度の分布を表示している。
【0416】
この機能により、ユーザは、電波強度の弱いエリアを容易に知ることができる。この情報は、アクセスポイントの増設等を行う際の有効な情報として利用することができる。無線伝送路32としてLTEを利用している場合には、この情報を移動体通信事業者に提供するとよい。自社で無線LANを構築している場合には、この情報を無線LANの管理部門に提供し、アクセスポイントの増設を促すようにするとよい。
【0417】
ドライブレコーダ30は、電波強度が0または弱すぎて無線通信によるデータ送信ができない場合には、電波強度と位置情報とを関連付けて記憶しておき、通信可能になったら、電波強度と位置情報とをサーバ40に送信する機能を持つ。これにより、サーバ40は、通信が不可能なエリアの電波強度に関する情報を取得することができる。
【0418】
次に、第6実施例の変形例について説明する。
第6実施例の本変形例によるサーバ40は、電波強度に応じて色分けした地図を表示することにより、電波強度の分布を表示する機能を備えている。また、この地図上のアクセスポイントの箇所にアイコン等を表示する機能を備えている。これにより、サーバ40のユーザは、アクセスポイントからの距離と電波強度との関係を容易に把握することができる。
【0419】
[第7実施例]
次に、
図18を参照して第7実施例によるドライブレコーダ30について説明する。以下、第2実施例によるドライブレコーダ30と共通の構成については説明を省略する。第7実施例によるドライブレコーダ30は、イベント発生を検知する機能、及びイベント発生時の前後の画像データを送信する機能を有する。
【0420】
図18は、ドライブレコーダ30が記録する画像データの粗さと、イベント発生時点との時間的関係を示す図である。ドライブレコーダ30は、イベント発生時点の前から後までの第1の期間の画像データの情報量よりも、第1の期間の前から第1の期間の開始時点までの第2の期間、及び第1の期間の終了時点から開始する第3の期間の画像データの情報量を少なくして、無線伝送路32を経由して送信する。
【0421】
第2の期間及び第3の期間の画像データの情報量を、第1の期間の画像データの情報量と等しくする場合と比べて、転送すべきデータ量を削減することができる。ここで、「情報量」とは、単位時間あたりの情報量を意味する。第1の期間の画像データの情報量が多いため、事故等のイベントの発生原因の探索に十分な情報を提供することができる。さらに、第1の期間の前後の第2の期間または第3の期間の画像データも、イベント発生原因の探索に役立てることができる。
【0422】
第7実施例では、ドライブレコーダ30は、第2の期間及び第3の期間の画像データの情報量を少なくするために、解像度及びフレームレートを、第1の期間の画像データの解像度及びフレームレートより低くする。さらに、第2の期間及び第3の期間の画像データの圧縮率を、第1の期間の画像データの圧縮率より高くする。
【0423】
サーバ40からドライブレコーダ30を制御して、第1の期間、第2の期間、及び第3の期間の長さを設定する機能を、サーバ40及びドライブレコーダ30が備えている。この機能は、無線伝送路32を経由してサーバ40からドライブレコーダ30に指令信号を送信することにより実現される。また、期間の長さは、イベントの種別ごとに設定できる機能を持つ。イベントの種別には、例えば、車両に加わった加速度(衝撃)が規定値以上、速度変化が規定値以上、エアバッグの動作ありという種別が含まれる。ユーザがサーバ40を操作して、この期間の長さを設定する操作を行う際に、設定しようとする期間の長さで、1つのイベントあたりの通信料を表示する機能を、サーバ40が備えている。さらに、過去のイベントの発生頻度を表示して、同程度の頻度でイベントが発生した場合に一定期間(例えば1ヶ月)に発生する通信料を表示する機能を、サーバ40が備えている。
【0424】
さらに、サーバ40からドライブレコーダ30を制御して、第1の期間、第2の期間、及び第3の期間の画像データの情報量に関する設定項目の値を設定する機能を、サーバ40及びドライブレコーダ30が備えている。設定項目には、解像度、フレームレート、圧縮率等が含まれる。サーバ40は、ユーザが設定しようとする設定項目の値を設定した場合に、実際に画像がどのように再生されるかを、サンプル画像を表示してユーザに確認させる機能を備えている。
【0425】
ドライブレコーダ30は、画像を常時記録する常時記録機能と、イベント発生時に画像を記録するイベント記録機能とを備えている。ドライブレコーダ30は、取得した画像データを、RAMのサイクリックメモリ領域に一旦記録して、サイクリックメモリ領域から読み出した後、常時記録用及びイベント記録用に画像処理し、常時記録及びイベント記録を行う。ここで、画像処理とは、常時記録用及びイベント記録用の解像度、フレームレート、及び圧縮率になるように元の画像データを変換する処理を意味する。
【0426】
次に、第7実施例の変形例について説明する。第7実施例では、画像データの解像度、フレームレート、及び圧縮率を調整することによって、画像データの情報量を調整するが、画像データの解像度、フレームレート、及び圧縮率の少なくとも1つを調整するようにしてもよい。
【0427】
また、他の変形例では、画像データをRAMのサイクリックメモリ領域に一旦記録する代わりに、情報量の多い詳細な画像と、情報量の少ない粗い画像との2つの映像ストリームを作成し、それぞれRAMの異なる領域に記録する。第1の期間の画像データは、詳細な画像が記録された領域から読み出し、第2の期間及び第3の期間の画像データは、粗い画像が記録された領域から読み出して、外部の装置に送信する。
【0428】
[第8実施例]
次に、
図19を参照して、第8実施例によるサーバ40について説明する。以下、第1実施例によるサーバ40と共通の構成については説明を省略する。
【0429】
第8実施例によるサーバ40は、車両31でイベントが発生したことを示す情報と、イベントが発生した地点の位置情報とを関連付けてデータベース50に格納する機能を有する。さらに、地図上のある領域を複数の区画に区分し、区画ごとに、区画内でのイベントの発生頻度を、データベース50を用いて求め、区画ごとのイベント発生頻度を表示する機能を備えている。
【0430】
図19は、第8実施例によるサーバ40が表示画面に表示させた画像を示す図である。サーバ40は、表示画面に地図、及び検索条件を入力するためのペインを表示する。表示された地図は、正方格子状のメッシュによって複数の区画に区分されている。検索条件を入力するペインには、検索対象とする期間に関する条件を入力する入力ボックス、及び検索対象とするイベント種別を指定するためのチェックボックスが表示されている。ユーザは、イベント種別として、事故、急ブレーキ、急ハンドル、急発進、居眠り運転の発生の中から少なくとも1つを指定することができる。
【0431】
サーバ40は、入力された期間内で、指定されたイベント種別に対応するデータ(レコード)をデータベース50から検索する。サーバ40は、検索条件を満たすデータを抽出し、抽出されたデータに対応するイベントが発生した地点を含む区画内に、丸付き数字で表示する。この数字は、当該区画内で発生したイベントの件数を示している。
【0432】
サーバ40のユーザは、区画ごと、及びイベント種別ごとに、イベント発生頻度を容易に把握することができる。また、イベントの発生頻度の高いエリアを地図で容易に把握することができる。
【0433】
次に、第8実施例の変形例について説明する。
地図上のある領域を区分した複数の区画として、正方格子状(メッシュ状)の他に、ハニカム状に区分する機能を備えるとよい。発生頻度を表示する態様として、地図上に発生頻度を数字で表示する代わりに、各区画を発生頻度に応じて色分けする機能を備えるとよい。また、地図上に発生頻度を表示する機能の他に、横軸を複数の区画に対応させたヒストグラムで表示する機能を備えるとよい。この表示態様では、区画ごとの発生頻度を容易に比較することができる。
【0434】
ユーザが地図の縮尺を変更すると、サーバ40は、地図の縮尺に合わせて各区画の大きさを変更する機能を持つ。地図の縮尺を小さくすると、広い領域内でのイベント発生頻度の分布をおおざっぱに把握することができる。イベント発生頻度の高い領域を選択して縮尺を大きくすると、イベント発生頻度のより細かな分布を把握することができる。
【0435】
また、他の変形例では、ユーザが、検索条件の項目一覧が表示されているペインを操作して特定のイベント種別を指定すると、検索条件を満たすデータに関連づけられた位置情報に対応する地図上の位置に、ピン、フラッグ等のマークを表示させる機能を持つ。ユーザが、ポインティングデバイスを操作して地図上の1つのマークを選択すると、そのマークに対応する詳細な情報を表示させる機能を持つ。例えば、1つのマークにマウスのカーソルを重ねると、そのマークに対応するログデータ、例えば加速度データ、速度データ等を表示し、カーソルを重ねた状態でマウスをクリックすると、新しいウィンドウを開いてそのマークに対応する画像、例えば動画を表示する機能を備える。
【0436】
[第9実施例]
次に、
図20を参照して、第9実施例によるサーバ40について説明する。以下、第1実施例によるサーバ40と共通の構成については説明を省略する。
【0437】
第9実施例によるサーバ40は、データベース50に保管されている画像データに基づいて画像を画面に表示させ、画面に表示された画像を見たユーザにメモまたはタグを付させる機能を備えている。さらに、サーバ40は、ユーザが付したメモまたはタグを画像データと関連付けてデータベース50に格納する機能を備えている。
【0438】
サーバ40は、常時記録された動画(画像データ)を一定時間(例えば、1分、3分、5分等)ごとに区切って、区切られた動画の各々を1つの画像ファイルとしてデータベース50に格納する。また、イベント録画された画像データは、イベントごとに1つの画像ファイルとしてデータベース50に格納する。サーバ40は、メモまたはタグを、画像ファイルごとまたはイベントごとに付す機能を備えている。さらに、サーバ40は、メモまたはタグを検索キーとしてデータベース50を検索する機能を備えている。
【0439】
図20は、サーバ40が表示画面に表示した画像を示す図である。
図9に示した情報に加えて、サーバ40は、メモを入力するための入力ボックス68、及びタグを入力するための入力ボックス69を表示する。ユーザは、メモを入力するための入力ボックス68に、画像に対応する種々のメモを入力することができる。さらに、ユーザは、タグを入力するための入力ボックス69に、画像に対応する種々のタグを入力することができる。タグは、ポップアップメニューやプルダウンメニュー等のメニューから選択することができる。サーバ40は、よく利用されるテキスト情報を予めタグとして準備している。
【0440】
ユーザは、画像を見ながらメモまたはタグを付しておくと、後から容易にメモまたはタグを付した画像を抽出することができる。
【0441】
次に、第9実施例の変形例について説明する。
変形例においては、サーバ40は、画像に吹き出しのマークを挿入し、この吹き出しに簡単なテキスト情報を記入できる機能を備えている。例えば、ユーザは、吹き出しに、「この場所要注意」といったテキスト情報を付すことができる。他の変形例では、サーバ40は、画面に画像ファイルの一覧を表示させるとともに、画像ファイルに付されたメモやタグを画像ファイルに関連付けて表示する機能を持つ。ユーザは、メモまたはタグが付された画像ファイルを容易に探し出すことができる。
【0442】
さらに他の変形例では、サーバ40は、1つの画像ファイルの動画の開始時点から終了時点までの期間のある時点またはある期間を指定して、指定した時点に関連付けてメモまたはタグを付す機能を持つ。このようにすると、ユーザは、ある長さの動画から、メモまたはタグが付された見たい箇所を容易に探し出すことができる。例えば、ユーザは、ある期間を指定して、「この期間は事故がなかった。」、「この期間は法定速度を順守していた。」、「イベントは発生していないが、後からもう一度詳細に見ること」というようなメモを付すことができる。これらのメモやタグは、将来的にデータベースを活用するための有益な情報になる。
【0443】
[第10実施例]
次に、
図21を参照して、第10実施例によるサーバ40について説明する。以下、第1実施例によるサーバ40と共通の構成については説明を省略する。
【0444】
第10実施例によるサーバ40は、データベース50に、車両31の運転者を識別する運転者識別情報を格納する機能、及びユーザに特定の運転者を指定させる機能、及びユーザが指定した運転者に関連付けられている走行データをデータベース50から抽出し、抽出された走行データに関する情報を出力する機能を備えている。
【0445】
図21は、第10実施例によるサーバ40の上記機能によって表示画面に表示された画像を示す図である。指定された運転者の名前を表示するとともに、その運転者が運転した車両31の履歴を表示している。各履歴に対応して「見る」ボタンを表示している。ユーザが「見る」ボタンをクリックまたはタップすると、ユーザが指定した履歴に対応する画像、速度情報、加速度情報、位置情報を画面上に表示する。位置情報は、地図、及び地図上のアイコンによって表示する。
【0446】
一人の運転者が複数台の車両を乗り換えた場合でも、運転者をキーとして、その運転者に関する画像データ及び走行データを、複数の車両にまたがってシームレスに統合することができる。例えば、一人の運転者がトラックAを運転して作業場に戻り、作業場でフォークリフトBを運転し、その後別のトラックCを運転して作業場から荷物の輸送先に向かうような場合に、その運転者がトラックAを運転し、フォークリフトBを運転し、その後他のトラックCを運転した期間の走行データに関する情報を、一連の流れで表示することができる。これにより、運行管理者であるユーザは、時間の経過とともに一人の運転者の作業内容がどのように変わったかを容易に確認することができる。
【0447】
次に、第10実施例の変形例について説明する。複数の車両を所有する法人が複数の事業所を有し、事業所ごとに車両を割り振って車両の運行管理を行うような車両の使用形態が考えられる。このような使用形態の車両を管理しやすくするために、サーバ40のデータベース50として、車両が属する事業所を識別する事業所識別情報を格納する機能を持つ。さらに、サーバ40は、ユーザに特定の事業所を指定させる機能、及びユーザが指定した事業所に関連付けられている走行データをデータベース50から抽出し、抽出された走行データに関する情報を出力する機能を備えている。サーバ40のこのような機能は、事業所ごとに車両の運行管理を行うのに便利である。例えば、一つの事業所に3台のトラックと3台のフォークリフトとが所属している場合、ユーザは、この事業所を指定することにより、指定した事業所に所属する3台のトラックと3台のフォークリフトとの走行データに関する情報を容易に入手することができる。
【0448】
その事業所に監視カメラが設置されている場合には、その監視カメラで取得された画像データをサーバ40に送信する。サーバ40は、その監視カメラが設置されている事業所の事業所識別情報と、その監視カメラから送信された画像データとを関連付けてデータベースに格納する機能を備えている。
【0449】
[第11実施例]
第11実施例によるプログラムは、上述の各実施例のサーバ40の機能をコンピュータに実現させる。また、第11実施例の変形例によるプログラムは、上述の各実施例のドライブレコーダ30の機能をコンピュータに実現させる。
【0450】
本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求の範囲とする意思を有する。
【0451】
本願発明は上述した実施の形態に記載の構成に限定されない。上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変形例の任意の構成要素と、発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素または発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。これらについても本願の補正または分割出願等において権利取得する意思を有する。
【0452】
また、意匠出願への変更出願により、全体意匠または部分意匠について権利取得する意思を有する。図面は本装置の全体を実線で描画しているが、全体意匠のみならず当該装置の一部の部分に対して請求する部分意匠も包含した図面である。例えば当該装置の一部の部材を部分意匠とすることはもちろんのこと、部材と関係なく当該装置の一部の部分を部分意匠として包含した図面である。当該装置の一部の部分としては、装置の一部の部材としても良いし、その部材の部分としても良い。全体意匠はもちろんのこと、図面の実線部分のうち任意の部分を破線部分とした部分意匠を、権利化する意思を有する。
【符号の説明】
【0453】
30 ドライブレコーダ
31 車両
32 無線伝送路
33 ECU
35 アクセスポイント
36 通信可能エリア
37 有線LAN
40 サーバ
41 送受信部
42 データベース管理部
43 画像解析部
44 現在位置分析部
45 SDカード読み取り部
46 入出力部
47 API部
48 有利不利判定部
50 データベース
60 入出力装置
61 ウィンドウ
62 地図を表示するペイン
63 検索条件を表示するペイン
64 マーク
65 一部の領域
66 メッセージボックス
67 印刷要否チェックボックス
68 メモを入力するための入力ボックス
69 タグを入力するための入力ボックス
70 インターネット
71 サイト
75 RFIDタグ
80 処理部
81 GPS受信機
82 カメラ
83 SDカードリーダライタ
84 加速度センサ
85 RFIDモジュール
86 スピーカ
87 ディスプレイ
88 操作ボタン
89 WiFi通信モジュール