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特開2024-100832イメージングにおける散乱評価および散乱補正を向上させるための方法および機器
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  • 特開-イメージングにおける散乱評価および散乱補正を向上させるための方法および機器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100832
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】イメージングにおける散乱評価および散乱補正を向上させるための方法および機器
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20240719BHJP
   A61N 5/10 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
A61B6/03 550K
A61N5/10 Z
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024079205
(22)【出願日】2024-05-15
(62)【分割の表示】P 2021531086の分割
【原出願日】2019-11-25
(31)【優先権主張番号】62/773,712
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/773,700
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/796,831
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/800,287
(32)【優先日】2019-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/801,260
(32)【優先日】2019-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/813,335
(32)【優先日】2019-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/821,116
(32)【優先日】2019-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/836,357
(32)【優先日】2019-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/836,352
(32)【優先日】2019-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/843,796
(32)【優先日】2019-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/878,364
(32)【優先日】2019-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】505172824
【氏名又は名称】アキュレイ インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】1240 Deming Way, Madison, WI 53717 U.S.A
(74)【代理人】
【識別番号】110004163
【氏名又は名称】弁理士法人みなとみらい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ギャニオン,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ベイ,チュアンヨン
(72)【発明者】
【氏名】ユイ,ジーツォン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイン,アミット
(72)【発明者】
【氏名】マウラー,ジュニア,カルヴィン アール.
(57)【要約】
【解決手段】
X線イメージング機器および関連する方法が提供され、広い体軸方向領域の広い開口スキャンおよび広い体軸方向領域内部での狭い体軸方向領域の狭い開口スキャンからの測定されたプロジェクションデータを受け取り、最適化された散乱評価手法を用いて広い体軸方向領域における評価された散乱を決定する。最適化された散乱評価手法は、狭い体軸方向領域にて測定された散乱と、狭い体軸方向領域における評価された散乱との間の差異に基づく。カーネルベースの散乱評価/散乱補正手法は、狭い体軸方向領域における散乱差異を最小化するようにフィッティングされ得る。その後、広い体軸方向領域に、フィッティングされた(最適化された)カーネルベースの散乱評価/散乱補正を適用する。最適化はプロジェクションデータのドメインまたは再構成ドメインにて生じ得る。繰り返しプロセスもまた利用される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージング機器であって、
放射線ビームを放出するための回転イメージング線源と、
前記イメージング線源から放射線を受け取るように位置づけられた検出器と、
前記放射線ビームの形状が、広い体軸方向領域の広い開口スキャンおよび前記広い体軸 方向領域内部にて狭い体軸方向領域の狭い開口スキャンのために構成されるように、前記 イメージング線源により放出された前記放射線ビームの前記形状を調整するように構成されたビームフォーマと、
データ処理システムであって、
広い体軸方向領域の広い開口スキャンおよび前記広い体軸方向領域内部にて狭い体軸方向領域の狭い開口スキャンからの測定されたプロジェクションデータを受け取り、
前記狭い開口スキャンのプロジェクションデータおよび前記狭い体軸方向領域に重複する前記広い開口スキャンのプロジェクションデータに基づく、前記狭い体軸方向領域において測定された散乱を決定し、
散乱評価手法を用いて前記狭い体軸方向領域に重複する前記広い開口スキャンのプロジェクションデータに基づき、前記狭い体軸方向領域において評価された散乱を決定し、
前記狭い体軸方向領域における前記測定された散乱と、前記狭い体軸方向領域における前記評価された散乱との間の差異を計算し、
前記狭い体軸方向領域における前記測定された散乱と、前記狭い体軸方向領域における前記評価された散乱との間の前記差異に基づく、前記散乱評価手法を最適化し、
前記最適化された散乱評価手法を用いて、前記広い開口スキャンのプロジェクションデータに基づく、前記広い体軸方向領域における評価された散乱を決定する、
データ処理システムと、を備える、イメージング機器。
【請求項2】
イメージング機器であって、
放射線ビームを放出するための回転イメージング線源と、
前記イメージング線源から放射線を受け取るように位置づけられた検出器と、
前記放射線ビームの形状が、広い体軸方向領域の広い開口スキャンおよび前記広い体軸方向領域内部にて狭い体軸方向領域の狭い開口スキャンのために構成されるように、前記イメージング線源により放出された前記放射線ビームの前記形状を調整するように構成されたビームフォーマと、
データ処理システムであって、
広い体軸方向領域の広い開口スキャンおよび前記広い体軸方向領域内部にて狭い体軸方向領域の狭い開口スキャンからの測定されたプロジェクションデータを受け取り、
前記狭い開口スキャンのプロジェクションデータに基づく、散乱を含まない狭い領域画像を再構成し、
散乱補正手法を用いて前記狭い体軸方向領域に重複する前記広い開口スキャンのプロジェクションデータに基づき、散乱補正された狭い領域画像を再構成し、
前記散乱を含まない狭い領域画像と前記散乱補正された狭い領域画像との間の差異を計算し、
前記散乱を含まない狭い領域画像と前記散乱補正された狭い領域画像との間の差異に基づく、前記散乱補正手法を最適化し、
前記最適化された散乱補正手法を用いて、前記広い開口スキャンのプロジェクションデータに基づく、散乱補正された広い領域画像を再構成する、
データ処理システムと、を備える、イメージング機器。
【請求項3】
前記広い開口スキャンおよび前記狭い開口スキャンが全周スキャンを含む、請求項1又は2に記載のイメージング機器。
【請求項4】
画像における散乱を評価する方法であって、
広い体軸方向領域の広い開口スキャンおよび前記広い体軸方向領域内部にて狭い体軸方向領域の狭い開口スキャンからの測定されたプロジェクションデータを受け取ることと、
前記狭い開口スキャンのプロジェクションデータおよび前記狭い体軸方向領域に重複する前記広い開口スキャンのプロジェクションデータに基づく、前記狭い体軸方向領域において測定された散乱を決定することと、
散乱評価手法を用いて前記狭い体軸方向領域に重複する前記広い開口スキャンのプロジェクションデータに基づき、前記狭い体軸方向領域において評価された散乱を決定することと、
前記狭い体軸方向領域における前記測定された散乱と、前記狭い体軸方向領域における前記評価された散乱との間の差異を計算することと、
前記狭い体軸方向領域における前記測定された散乱と、前記狭い体軸方向領域における前記評価された散乱との間の前記差異に基づく、前記散乱評価手法を最適化することと、
前記最適化された散乱評価手法を用いて、前記広い開口スキャンのプロジェクションデータに基づく、前記広い体軸方向領域における評価された散乱を決定することと、を含む、方法。
【請求項5】
前記狭い体軸方向領域における前記測定された散乱を決定することが、前記狭い体軸方向領域に重複する前記広い開口スキャンのプロジェクションデータから、前記狭い開口スキャンのプロジェクションデータを減算することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記広い開口スキャンのプロジェクションデータと、前記狭い体軸方向領域に重複する前記広い開口スキャンのプロジェクションデータを分離することを更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記広い体軸方向領域における評価された散乱と、前記狭い体軸方向領域における前記評価された散乱を分離することを更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記散乱評価手法が、前記狭い体軸方向領域における前記測定された散乱と、前記狭い体軸方向領域における前記評価された散乱との間の前記差異に基づき、改良されなければならないかどうかを決定することを更に含み、前記散乱評価手法を最適化することが繰り返し改良プロセスを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記散乱評価手法が改良されなければならないかどうかを決定することが、前記狭い体軸方向領域における前記測定された散乱と、前記狭い体軸方向領域における前記評価された散乱との間の前記差異を、閾値と比較することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
事前画像に基づく前記狭い体軸方向領域の位置を決定することを更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
前記広い開口スキャンからの前記プロジェクションデータに基づき、前記狭い体軸方向領域の位置を決定することを更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項12】
前記狭い体軸方向領域が、前記広い体軸方向領域内部にて、複数の狭い体軸方向領域を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項13】
画像における散乱を補正する方法であって、
広い体軸方向領域の広い開口スキャンおよび前記広い体軸方向領域内部にて狭い体軸方向領域の狭い開口スキャンからの測定されたプロジェクションデータを受け取ることと、
前記狭い開口スキャンのプロジェクションデータに基づく、散乱を含まない狭い領域画像を再構成することと、
散乱補正手法を用いて前記狭い体軸方向領域に重複する前記広い開口スキャンのプロジェクションデータに基づき、散乱補正された狭い領域画像を再構成することと、
前記散乱を含まない狭い領域画像と前記散乱補正された狭い領域画像との間の差異を計算することと、
前記散乱を含まない狭い領域画像と前記散乱補正された狭い領域画像との間の差異に基づく、前記散乱補正手法を最適化することと、
前記最適化された散乱補正手法を用いて、前記広い開口スキャンのプロジェクションデータに基づく、散乱補正された広い領域画像を再構成することと、を含む、方法。
【請求項14】
前記散乱補正手法が、前記散乱を含まない狭い領域画像と前記散乱補正された狭い領域画像との間の前記差異に基づき改良されなければならないかどうかを決定することを更に含み、前記散乱補正手法を最適化することが、繰り返し改良プロセスを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記散乱補正手法が改良されなければならないかどうかを決定することが、前記散乱を含まない狭い領域画像と前記散乱補正された狭い領域画像との間の前記差異と、閾値を比較することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
事前画像に基づいて前記狭い体軸方向領域の位置を決定することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記広い開口スキャンからの前記プロジェクションデータの再構成に基づき、前記狭い体軸方向領域の位置を決定することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
放射線治療送達装置であって、
患者サポートの周りに少なくとも部分的に位置づけられた回転可能ガントリシステムと、
前記回転可能ガントリシステムに連結され、かつ治療放射線源として構成されている、 第1の放射線源と、
前記回転可能ガントリシステムに連結され、前記治療放射線源よりも少ないエネルギー レベルを有するイメージング放射線源として構成されている、第2の放射線源と、
前記回転可能ガントリシステムに連結され、前記第2の放射線源から放射線を受け取る ように位置づけられた、放射線検出器と、
放射線ビームの形状が、広い体軸方向領域の広い開口スキャンおよび前記広い体軸方向 領域内部にて狭い体軸方向領域の狭い開口スキャンのために構成されるように、前記第2の放射線源により放出された前記放射線ビームの前記形状を調整するように構成されたビームフォーマと、
データ処理システムであって、
前記広い体軸方向領域および前記狭い体軸方向領域において測定されたプロジェクションデータを受け取り、
前記狭い開口スキャンのプロジェクションデータおよび前記狭い体軸方向領域に重複する前記広い開口スキャンのプロジェクションデータに基づく、前記狭い体軸方向領域において測定された散乱を決定し、
散乱評価手法を用いて前記狭い体軸方向領域に重複する前記広い開口スキャンのプロジェクションデータに基づき、前記狭い体軸方向領域において評価された散乱を決定し、
前記狭い体軸方向領域における前記測定された散乱と、前記狭い体軸方向領域における前記評価された散乱との間の差異を計算し、
前記狭い体軸方向領域における前記測定された散乱と、前記狭い体軸方向領域における前記評価された散乱との間の前記差異に基づく、前記散乱評価手法を最適化し、
前記最適化された散乱評価手法を用いて、前記広い開口スキャンのプロジェクションデータに基づく、前記広い体軸方向領域における評価された散乱を決定し、
前記評価された散乱に基づいた患者画像を再構成し、
適応可能なIGRT中に、前記患者画像に基づき前記第1の放射線源によって、前記患者に治療放射線の線量を供給するように構成されている、データ処理システムと、を備える、放射線治療供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年11月30日出願の米国特許仮出願第62/773,712号(代理人整理番号第38935/04001号);2018年11月30日出願の米国特許仮出願第62/773,700号(代理人整理番号第38935/04002号);2019年1月25日出願の米国特許仮出願第62/796,831号(代理人整理番号第38935/04004号);2019年2月1日出願の米国特許仮出願第62/800,287号(代理人整理番号第38935/04003号);2019年2月5日出願の米国特許仮出願第62/801,260号(代理人整理番号第38935/04006号);2019年3月4日出願の米国特許仮出願第62/813,335号(代理人整理番号第38935/04007号);2019年3月20日出願の米国特許仮出願第62/821,116号(代理人整理番号第38935/04009号);2019年4月19日出願の米国特許仮出願第62/836,357号(代理人整理番号第38935/04016号);2019年4月19日出願の米国特許仮出願第62/836,352号(代理人整理番号第38935/04017号);2019年5月6日出願の米国特許仮出願第62/843,796号(代理人整理番号第38935/04005号);および2019年7月25日出願の米国特許仮出願第62/878,364号(代理人整理番号第38935/04008号)を含む、11件の米国特許仮出願の利益を主張する。本出願はまた、「MULTIMODAL RADIATION APPARATUS AND METHODS」と題する代理人整理番号第38935/04019号;「APPARATUS AND METHODS FOR SCALABLE FIELD OF VIEW IMAGING USING A MULTI-SOURCE SYSTEM」と題する代理人整理番号第38935/04020号;「INTEGRATED HELICAL FAN-BEAM COMPUTED TOMOGRAPHY IN IMAGE-GUIDED RADIATION TREATMENT DEVICE」と題する代理人整理番号第38935/04011号;「COMPUTED TOMOGRAPHY SYSTEM AND METHOD FOR IMAGE IMPROVEMENT USING PRIOR IMAGE」と題する代理人整理番号第38935/04010号;「OPTIMIZED SCANNING METHODS AND TOMOGRAPHY SYSTEM USING REGION OF INTEREST DATA」と題する代理人整理番号第38935/04013号;「HELICAL CONE-BEAM COMPUTED TOMOGRAPHY IMAGING WITH AN OFF-CENTERED DETECTOR」と題する代理人整理番号第38935/04015号;「MULTI-PASS COMPUTED TOMOGRAPHY SCANS FOR IMPROVED WORKFLOW AND PERFORMANCE」と題する代理人整理番号第38935/04021号;「METHOD AND APPARATUS FOR SCATTER ESTIMATION IN CONE-BEAM COMPUTED TOMOGRAPHY」と題する代理人整理番号第38935/04012号;「ASYMMETRIC SCATTER FITTING FOR OPTIMAL PANEL READOUT IN CONE-BEAM COMPUTED TOMOGRAPHY」と題する代理人整理番号第38935/04014号;「METHOD AND APPARATUS FOR IMAGE RECONSTRUCTION AND CORRECTION USING INTER-FRACTIONAL INFORMATION」と題する代理人整理番号第38935/04022号を含む、同日に出願された10件の非仮出願である米国特許出願に関する。上記にて確認された1つまたは複数の特許出願および1つまたは複数の特許全ての内容は、本明細書に参照として完全に組み入れられる。
【0002】
開示された手法の態様は、プロジェクションデータにおける散乱の評価に関し、より詳細には、種々のイメージング手法中に、X線、コンピュータ断層撮影(CT)、およびコーンビーム型コンピュータ断層撮影(CBCT)スキャンを含む、より広い開口スキャンにおける散乱を評価するための狭い開口スキャンの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
コーンビームCTにおける散乱は、かなりの部分の検出された光子を占め得る。特に、散乱防止グリッドが広いコリメーション開口と共に使用されない際にはこうした状態となる。散乱は、コントラストおよび量的精度を含む画質に負の影響を与え得る。結果、散乱測定、散乱評価および散乱補正は、画像誘導放射線治療(IGRT)といった文脈の場合を含む、コーンビームCTデータの処理および画像再構成に適用され得る。IGRTは、CTといった医用イメージング手法を利用し、治療前、治療中、および/または治療後の患者の画像を収集することができる。
【0004】
フラットパネルを用いたコーンビーム型コンピュータ断層撮影(CBCT)にとって、コリメータの一部としての一対の高減衰ブレードを使用し、X線ビームが患者/パネル内部にて照らす体軸方向範囲を制限する開口を形成する。大きな開口により、スキャン中の患者の体軸方向の有効範囲を大きくすることが可能となる。したがって、より広い開口を用いることにより、患者の大きな体軸方向範囲を画像化する必要がある場合、総スキャン時間を減少させることができる。ただしそれと引き換えに、開口に伴って散乱量もまた増加するものの、その一次データは同様のままとなる。散乱補正がない場合、散乱の増加は画質および画像量に負の影響を与えることになる。
【0005】
ハードウェアベースの散乱減少には、検出器パネル表面上への散乱防止グリッドの使用、非常に狭い開口、線量補償フィルタ、患者と検出器との間での空気分離の使用などが挙げられる。従来の散乱防止グリッドは、X線散乱量を著しく減少させることができる。大きな欠点としては、このシステムは更に複雑なものであり、かつ大量の一次データもまた減少することである。非常に狭い開口を使用すると、散乱は著しく減少され得る(更に、効果的にはごくわずかなレベルとなる)。ただし、体軸方向の有効範囲は非常に小さく、その結果全体的なスキャン時間は実用的なものではなくなってしまう。
【0006】
ソフトウェアベースの散乱減少/散乱補正は、物理モデルを使用して取得されたデータにて散乱を評価することができる。これらの方法はデータ取得システムおよびX線と物質との間の相互作用プロセスの両方を試験することができる。前者は、全体的なイメージングチェインの主要な構成要素に関する詳細な知識、および治療計画CTまたは散乱補正を含まない初回再構成から取得され得る患者の情報を必要とする。これらの方法は、確率論的(例えば、モンテカルロ法シミュレーションベースのアプローチ)または決定論的(例えば放射伝達方程式ベースのアプローチ)のいずれかで達成され得る。前者は計算的には費用がかかるものであり、後者は一般には、本分野における未解決問題として考えられている。モデルベースの方法は、典型的には患者特有のものであり、より正確である場合がある。ただし、こうした方法はデータ取得システムおよび患者に関する多大な量の事前情報を必要とする。こうした方法の有効性は、モデリングの精度によって大きく左右されることがその原因である。更にはこうした方法には、計算用の電力と時間といった点において高度な要求が存在し、ワークフローおよびスループットにおいて大きな負の影響を生じさせる。次に、評価された散乱は画像再構成に先んじて、または画像再構成中にデータを補正するために使用される。
【0007】
ソフトウェアベースの散乱補正アプローチとしては、カーネルベースの散乱評価および散乱補正がある。カーネルベースのアプローチにおいては、物理測定または物質の複合体を推定するモンテカルロ法シミュレーションによって散乱カーネルが決定される。例えば、典型的な手法の1つは、所与のX線スペクトルおよび開口にて、異なる厚みの水層を有する散乱カーネルを測定するものである。検出器面へと投影された開口は、パネルの体軸方向の寸法と同等の大きさである。異なる水層におけるカーネルが測定/決定される場合、患者のスキャンにおける散乱補正のためにカーネルを使用し、患者の組織が異なる厚さの水層と同等であることを推定する。散乱評価および散乱補正のためのカーネルの適用には、空間領域または周波数ドメインのいずれかにおいてカーネルを使用する散乱逆重畳積分が含まれ得る。更に、物体の局所分散に適応し得る。例えば、測定された散乱データは一次カーネルおよび散乱カーネルの重畳結果であることが考慮され得る。逆重畳プロセスを実施し、事前に構築された適切なカーネルを用いることで、一次および散乱を分離することができる。
【0008】
カーネルベースの散乱評価/散乱補正は、その単純さによってCBCTに広く使用されている。ただし、この種類のアプローチにおける根本的な挑戦は、患者組織の分布が特に胸部領域および骨盤領域にて高度に非一様である場合に、その精度が劣化し得るという点である。更には開口サイズが大きい場合、アプローチの性能は、大きな開口に関連して向上した散乱に基づき劣化し得る。
【発明の概要】
【0009】
一実施形態では、イメージング機器は、放射線ビームを放出するための回転イメージング線源と、イメージング線源からの放射線を受け取るように位置づけられた検出器と、イメージング線源により放出された放射線ビームの形状を調整するように構成されたビームフォーマと、が含まれる。この放射線ビームの形状は、広い体軸方向領域の広い開口スキャン、および広い体軸方向領域内部の狭い体軸方向領域の狭い開口スキャンのために構成されることを目的としており、この場合、広い体軸方向領域における評価された散乱は、狭い体軸方向領域からのプロジェクションデータに基づいている。
【0010】
一実施形態に関して記載および/または例示された機能は、1つもしくは複数の他の実施形態において、同様の方法もしくは類似の方法で、および/または他の実施形態の特徴と組み合わせて、もしくはその代わりに使用され得る。
【0011】
本発明の説明は、特許請求の範囲で使用される単語または特許請求の範囲もしくは発明の範囲を何ら限定するものではない。特許請求の範囲にて使用される用語は、それらの完全に一般的な意味の全てを有する。
【0012】
本明細書内に組み入れられ、かつ本明細書の一部を構成する添付の図面において、本明細書の実施形態が例示され、これらは上にて提供される本発明の一般的な説明、および以下で提供される詳細な説明と共に、本発明の実施形態を例証するのに貢献している。図中にて例示されている要素の範囲(例えば、ボックス、一群のボックス、または他の形状)は、範囲の一実施形態を表すことが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、一要素は複数の要素として設計されることがある。または複数の要素は、一要素として設計されることがある。いくつかの実施形態では、別の構成要素の内部構成要素として示される要素は、外部構成要素として実装されることがあり、その逆の可能性もある。更には、要素は尺度どおりに描かれていないことがある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】開示された手法の一態様に関連する、例示的なX線イメージング機器の透視図である。
図2】開示された手法の一態様に関連する、例示的な放射線治療装置に組み込まれたX線イメージング機器の概略図である。
図3】標的の体軸方向領域をイメージングするための例示的なスキャン設計の概略図である。
図4】広いスキャン領域内部に狭いスキャン領域を有するスキャン設計を使用する、プロジェクションデータのドメインにおける散乱評価の例示的な方法を表すフローチャートである。
図5】広いスキャン領域内部に狭いスキャン領域を有するスキャン設計を使用する、プロジェクションデータのドメインにおける散乱評価の別の例示的な方法を表すフローチャートである。
図6】広いスキャン領域内部にて狭いスキャン領域を有するスキャン設計を使用する、プロジェクションデータのドメインにおける散乱評価の例示的な繰り返し方法を表すフローチャートである。
図7】広いスキャン領域内部にて狭いスキャン領域を有するスキャン設計を使用する、再構成ドメインにおける散乱補正の例示的な方法を表すフローチャートである。
図8】広いスキャン領域内部にて狭いスキャン領域を有するスキャン設計を使用する、再構成ドメインにおける散乱補正の例示的な繰り返し方法を表すフローチャートである。
図9】狭い/広いスキャン設計にて使用するための事前画像データから、狭いスキャンを決定する例示的な方法を表すフローチャートである。
図10】狭い/広いスキャン設計にて使用するための広いスキャンデータから狭いスキャンを決定する、例示的な方法を表すフローチャートである。
図11】放射線治療装置を用いるIGRTの例示的な方法を表すフローチャートである。
図12】画像ベースの例示的な供給前ステップを表すブロック図である。
図13】イメージングまたは画像ベースの供給前ステップ中に使用され得る、例示的なデータ源を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下は、本開示を通して使用され得る例示的な用語の定義を含む。全ての単語の単数形および複数形の両方は、それぞれの意味の範囲内にある。
【0015】
本明細書で使用される場合、「構成要素」は、ハードウェアの一部、ソフトウェアの一部、またはそれらの組合せとして定義され得る。ハードウェアの一部は、少なくともプロセッサ、およびメモリの一部を含み、このメモリは実行するための指示を含む。構成要素は装置に関連づけられてよい。
【0016】
本明細書で使用される場合、「回路」と同義である「論理」は、1つもしくは複数の機能、または1つもしくは複数の動作を実行するためのハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアおよび/またはそれぞれの組合せを含むが、これに限定されない。例えば、所望の用途または必要性を基にした場合、論理はソフトウェア制御マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)といった個別論理、または他のプログラム済の論理装置および/もしくはコントローラを含んでよい。論理はまた、ソフトウェアとして完全に組み入れられてもよい。
【0017】
本明細書で使用される場合、「プロセッサ」は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、中央処理装置(CPU)、およびデジタルシグナルプロセッサ(DSP)など、任意に組み合わせた状態である1つもしくは複数の実質的に任意の数のプロセッサシステム、または独立型プロセッサを含むがこれに限定されない。プロセッサは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、プログラム可能リードオンリーメモリ(PROM)、消去可能なプログラム可能リードオンリーメモリ(EPROM)、クロック、デコーダ、メモリコントローラ、または割り込みコントローラなど、プロセッサの操作を支持する種々の他の回路に関連づけられてよい。これらの支持回路は、プロセッサまたはその関連する電子パッケージの内部または外部にあってよい。支持回路はプロセッサと動作的に通信する状態である。支持回路は、ブロック図または他の図ではプロセッサと必ずしも分離した状態で示されていない。
【0018】
本明細書で使用される場合、「信号」は、アナログまたはデジタル信号、1つまたは複数のコンピュータ命令、ビットまたはビットストリームなどを含む1つまたは複数の電気信号を含むが、これらに限定されない。
【0019】
本明細書で使用される場合、「ソフトウェア」は、コンピュータ、プロセッサ、論理および/または他の電子装置に、機能、動作を実施させおよび/または所望の方式にて動作させる、1つまたは複数のコンピュータ可読命令および/または実行命令を含むがこれに限定されない。命令は、個別の用途を含むルーチン、アルゴリズム、モジュールまたはプログラムなどの種々の形式で組み入れられてよい。または動的にリンクされたソースまたはライブラリからコーディングしてよい。
【0020】
上記の例示的な定義が提供されているが、本明細書と一致する最も広い合理的な解釈がこれらのおよび他の用語に使用されることは、出願人の意図である。
【0021】
以下にてより詳細に記載されるように、開示された手法の実施形態は、X線スキャン、CTスキャンおよびCBCTスキャン中も、より広い開口スキャンからのデータにおける散乱を評価するために、より広い開口スキャン内部にて狭い開口スキャンからのデータを使用することを含むプロジェクションデータのイメージングにおける散乱を評価することに関する。いくつかの実施形態では、放射線治療供給装置および方法は、IGRTと連携させて、またはIGRTの一部として使用するために、CTの一体型低エネルギー放射線源を利用することができる。特に、例えば放射線治療供給装置および方法は、治療処置のための高エネルギー放射線源と連動して回転(例えば、ヘリカルまたはステップアンドシュート)画像取得を用い、ガントリでのイメージングのための低エネルギーに絞られた放射線源と組み合わせることができる。
【0022】
低エネルギー放射線源(例えばキロボルト(kV))は、イメージングのために、高エネルギー放射線源(例えばメガボルト(MV))の使用によるものよりも高品質の画像を生成することができる。kVエネルギーで生成された画像は、MVエネルギーによって生み出されたものよりも良好な組織コントラストを典型的には有する。高品質のボリュームイメージングは、適応可能な治療モニタリングを目的として、および治療計画/治療再計画を目的として、標的およびリスク臓器(OARS)の視覚化に必要とされ得る。いくつかの実施形態では、kVイメージングシステムはまた、位置決め、動体追跡および/または特徴付け性能または補正性能に使用され得る。
【0023】
画像取得手法には、複数回の回転スキャンが含まれるが、それ以外の場合ではこれらを使用することができる。この回転スキャンは例えば、連続スキャン(例えば、ガントリボアを通る患者サポートの長手方向の動きと共に、中心軸周りのヘリカル線源軌道を有する)、患者サポートの漸次的な長手方向の動きを伴う、非連続的なストップアンドリバース方式の全周スキャン、ステップアンドシュート方式の全周スキャンなどであってよい。
【0024】
種々の実施形態と関連して、イメージング機器は放射線源を絞る。これは、例えばビームフォーマを使用して例えばコーンビームまたはファンビームへと絞ることを含む。一実施形態では、絞られたビームは患者が移動する間に連続して回転するガントリと組み合わされ、これによってヘリカル画像取得を得ることができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、高品質のボリューム画像を完成させるため、増加したスキャン回転に関連する時間は、高いガントリレート/速度(例えば1分あたり最大10回転(rpm)、最大20rpm、最大60rpm、もしくはそれ以上のrpmを含む、高速スリップリング回転を例えば使用する)、高いkVフレームレート、および/またはスパースデータ再構成手法により減少され、放射線治療供給プラットフォーム上にてkV CTイメージングを提供することができる。検出器(種々の列/スライスサイズ、構成、ダイナミックレンジなどを有する)、スキャンピッチ、および/または動的コリメーションは、種々の実施形態では追加の特徴である。これには詳細に後述されるように、検出器の部分を選択的に照射すること、および有効な読出し領域を選択的に定義することが含まれる。特に、X線(低エネルギー)イメージング放射線源上で調整可能なビームフォーマ/コリメータを使用すること、および/または検出器の読出し範囲を最適化することで、画質を向上させることができる(以下に記載されるように散乱を評価することによる)。
【0026】
イメージング機器および方法は、放射線源により放出された放射線ビームの選択的かつ可変コリメーションを提供することができる。これは、放射線ビームの形状を調整して、関連する放射線検出器(例えば、X線放射線源からの放射線を受けるように位置づけられた放射線検出器)の全体の有効領域よりも少ない領域に照射させることを含む。例えば、イメージング機器のビームフォーマは、ヘリカルスキャン中のピッチ変動に伴い放射線ビームの形状を調整することができる。別の実施例では、ビーム開口は、種々の体軸方向の撮影領域(aFOV)要件のためにビームフォーマによって調整され得る。特に、aFOVは、狭い領域および広い領域を含む、種々の体軸(長手方向)長を有する領域をスキャンするために調整され得る。更に、検出器の一次領域のみを直接放射線に照射することにより、検出器の影領域は散乱のみを受け取ることが可能となる。いくつかの実施形態では、検出器の影領域における散乱測定(およびいくつかの実施形態では、周縁部領域における測定)を使用し、プロジェクションデータを受けている検出器の一次領域における散乱を評価することが可能である。
【0027】
イメージング機器および方法は、選択的かつ可変的な検出器の読出し領域および範囲を提供する。これは、読出し速度の向上のために、検出器の読出し範囲を調整して検出器の有効領域を制限することを含む。例えば、利用可能な影領域よりも少ないデータを読み出し、散乱評価のために使用することが可能である。選択的な読出しとビームフォーミングを組み合わせることで、散乱フィッティング手法の種々の最適化が可能となる。
【0028】
図1および図2を参照すると、イメージング機器10(例えば、X線イメージング機器)が示されている。イメージング機器10は、IGRTを含むがこれに限定されない種々の用途に使用され得る放射線治療装置(図2にて示される)に関連づけられるおよび/またはその中へと組み込まれてよいことが理解されるであろう。イメージング機器10は、ガントリ12と呼ばれる回転可能ガントリシステムを含む。これは、サポートユニットまたはハウジング14によって支持されるか、そうでない場合にはこの中に格納されている。本明細書におけるガントリは、標的の周りで回転する際、1つまたは複数の放射線源および/または関連する検出器を支持可能である1つまたは複数のガントリ(例えばリングまたはC-アーム)を備えるガントリシステムを指す。例えば、一実施形態では、第1の放射線源およびその関連する検出器は、ガントリシステムの第1のガントリに取り付け可能であり、第2の放射線源およびその連携された検出器は、ガントリシステムの第2のガントリに取り付け可能である。別の実施形態では、複数の放射線源および1つまたは複数の関連する検出器は、ガントリシステムの同じガントリに取り付け可能である。これは例えば、ガントリシステムが1つのみのガントリからなる場合を含む。ガントリ、放射線源および放射線検出器の種々の組合せは、同じ機器内部にて同じボリュームを画像化および/または処理するための種々のガントリシステム構成へと組み合わせられてよい。例えば、kV放射線源およびMV放射線源は、ガントリシステムの同じガントリまたは異なるガントリ上に取り付け可能であり、IGRTシステムの一部として画像化および/または治療するために選択的に使用され得る。異なるガントリへと取り付けられた場合、放射線源は独立して回転可能である。ただし、同じ(またはほぼ同じ)ボリュームを同時に画像化することも依然として可能である。回転可能リングガントリ12は、上述されるように10rpmまたはそれ以上の能力を有してよい。回転可能ガントリ12は、画像化および/または治療のために、患者がその中へとおよびそれを通って移動および位置づけ可能であるガントリボア16を定義する。一実施形態に従い、回転可能ガントリ12は、スリップリングガントリとして構成され、検出器によって受け取られた高品質のイメージングデータ用に十分な帯域幅を提供しながらも、イメージング放射線源(X線)および関連する放射線検出器の連続回転を提供する。スリップリングガントリは、装置に関連する電力および信号を運ぶケーブルの巻き取りおよび巻出しを目的とする交互方向でのガントリ回転を省くことができる。かかる構成により、IGRTシステムに組み込まれた場合であったとしても、CBCTを含む連続ヘリカル断層撮影が可能となる。
【0029】
患者サポート18は、回転可能ガントリ12に隣接して位置づけられ、典型的には水平位置にて、回転可能ガントリ12の中への長手方向の移動および内部での長手方向の移動に対して患者を支持するように構成される。患者サポート18は、例えば、ガントリ12の回転面に対して垂直な方向(ガントリ12の回転軸に沿って、またはこれに並行である)に患者を移動させることが可能である。患者サポート18は、患者および患者サポート18の動きを制御するための患者サポートコントローラへと動作可能に連結され得る。患者サポートコントローラは、命令されたイメージングおよび/または治療計画に従い、患者の長手方向軸を中心とした回転のため、回転可能ガントリ12および回転しているガントリへと取り付けられた放射線源と同期され得る。患者サポートはまた、患者サポートがボア16内部に存在する場合には限定された範囲で上下左右に動かされ、最適な治療のために患者位置を調整することが可能である。ガントリ12の前方から見た場合、軸x、yおよびzが示される。x軸は水平方向で右方向を指しており、y軸はガントリ面を指し、z軸は垂直方向で上方向を指している。x軸、y軸およびz軸は右手の法則に従う。
【0030】
他の変形例は、開示された手法の範囲から逸脱することなく使用され得ることが理解されるであろう。例えば、回転可能ガントリ12および患者サポート18は、サポートが回転可能ガントリ12に対して移動するように(一定速度または可変速度にて)制御される際、ガントリ12が「往復」方式(例えば、時計回りの回転および反時計回りの回転を交互する)にて患者サポート上に支持された患者の周りを回転する(上記のように、連続方式のものとは対照的に)ように、制御され得る。別の実施形態では連続ステップアンドシュート全周スキャンを用いることで、長手方向での患者サポート18の動き(ステップ)は、所望のボリュームが捕捉されるまで回転可能ガントリ12によるスキャン回転(シュート)と交互される。装置10は、ボリュームベースおよび平面ベースの画像取得を行う能力を有する。例えば、種々の実施形態では、装置10を使用してボリューム画像および/または平面画像を取得し、以下にて記載の関連する処理方法を実行してもよい。
【0031】
プロジェクションデータの生成のため、種々の他の種類の放射線源および/または患者サポートの移動を利用し、放射線源および患者の相対運動を取得してもよい。上記放射線治療装置10の種々の実施形態との組合せを含む、放射線源および/または患者サポートの非連続的な動き、連続しているが可変的な/非一定(直線および非直線を含む)な直線移動、速度、および/または軌道など、ならびにそれらの組合せが使用されてよい。
【0032】
図2にて示されるように、X線イメージング機器10は、回転可能ガントリ12に連結されるか、それ以外の場合にはこれによって支持されているイメージング放射線源30を含む。イメージング放射線源30は、高品質画像を生成するための放射線ビーム(32として一般には示される)を放出する。この実施形態では、イメージング放射線源はX線源30であり、これはキロ電圧(kV)源(例えば、約20kV~約150kVの範囲であるエネルギーレベルを有する、医療用X線源)として構成されている。一実施形態では、放射線のkV放射線源は、最大150keVであるキロ電子ボルトピーク光子エネルギー(keV)を含む。イメージング放射線源は、イメージングに適した任意の種類の伝送源であり得る。例えば、イメージング放射線源は例えば、X線発生源(CT向けのものを含む)または他の方法であってよく、十分なエネルギーおよび線束(例えばガンマ線源(例えばコバルト-57、122keVでのエネルギーピーク)、X線蛍光源(Pb k線を通過する蛍光源など、約70keVおよび約82keVでの2つのピーク)など)を用いて光子を生成する。本明細書におけるX線、X線イメージング、X線イメージング線源などの参照は、特定の実施形態にとって例示的なものである。他のイメージング伝送源は、種々の他の実施形態において互換可能に使用され得る。
【0033】
X線イメージング機器10はまた、回転可能ガントリ12に連結されるか、またはそれ以外の場合にはこれによって支持されている別の放射線源20を含むことができる。一実施形態に従い、放射線源20は、関心領域内で患者内部の腫瘍を治療するために使用される高エネルギーの放射線源などの治療放射線源として構成される。治療放射線源は、高エネルギーのX線ビーム(例えばメガ電圧(MV)X線ビーム)、および/もしくは高エネルギーの粒子ビーム(例えば電子ビーム、光子ビーム、もしくは炭素などの重イオンのビーム)または開示された手法の範囲から逸脱することなく、高エネルギー放射線の別の適した形態であり得ることが理解されるであろう。一実施形態では、放射線源20は、1MeV以上のメガ電子ボルトピーク光子エネルギー(MeV)を含む。一実施形態では、高エネルギーのX線ビームは、0.8MeVよりも大きな平均エネルギーを有する。別の実施形態では、高エネルギーのX線ビームは、0.2MeVよりも大きな平均エネルギーを有する。別の実施形態では、高エネルギーのX線ビームは150keVよりも大きな平均エネルギーを有する。一般には、放射線源20はイメージング放射線源30よりも高いエネルギーレベル(ピークおよび/または平均など)を有する。
【0034】
一実施形態では、放射線源20は治療放射線(例えばMV)を発生するLINACであり、イメージングシステムは相対的に低強度で低エネルギーのイメージング放射線(例えばkV)を生成する、独立したイメージング放射線源30を備える。他の実施形態では、放射線源20は例えばCo-60など、一般には1MeV超のエネルギーを有し得る放射性同位体であり得る。放射線源20は、治療計画に従い患者サポート18上に支持されている患者内部の関心領域(ROI)に対し、1つまたは複数の放射線ビームを放出可能である(22によって一般には示される)。
【0035】
いくつかの実施形態では、放射線源20、30は、互いと連携させて使用され、高品質かつより良好な利用画像を提供し得る。他の実施形態では、少なくとも1つの追加の放射線源は回転可能ガントリ12に連結され、かつ放射線源20、30のピーク光子エネルギーとは別のピーク光子エネルギーにて、プロジェクションデータを取得するように操作され得る。
【0036】
図1および図2はリングガントリ12に取り付けられた放射線源30を有するX線イメージング機器10を表すが、他の実施形態は、例えばC-アームガントリおよびロボットアームベースのシステムを含む、他の種類の回転可能なイメージング機器を含んでよい。ガントリベースのシステムにおいては、ガントリはアイソセンタを通過する軸の周りでイメージング放射線源30を回転させる。ガントリベースのシステムは、C-アームガントリを含む。この中でイメージング放射線源30はカンチレバー様の方式で上に取り付けられており、アイソセンタを通過する軸を中心として回転する。ガントリベースのシステムは、例えば回転可能ガントリ12といったリングガントリを更に含む。これは、中で患者の身体をリング/トロイドのボアを通って伸展させる環状形状を一般には有する。また、イメージング放射線源30は、リング円周上に取り付けられ、アイソセンタを通過する軸を中心に回転する。いくつかの実施形態では、ガントリ12は連続して回転する。他の実施形態では、ガントリ12は、繰り返し回転と逆回転するケーブルベースのシステムを利用する。
【0037】
検出器34(例えば2次元フラット検出器または湾曲検出器)は、回転可能ガントリ12と連結され得るか、またはそれ以外の場合にはこれによって支持され得る。検出器34(例えばX線検出器)は、X線源30から放射線を受け取るように位置づけられ、X線源30と連動して回転可能である。検出器34は、減衰されていない放射線量を検出またはこれを測定することができる。したがって、患者または関連する患者のROI(最初に生成されたものと比較して)によって実際に減衰されたものを推量することが可能である。検出器34は、放射線源30が患者の周りで回転し患者に対して放射線を放出する場合、異なる角度からの減衰データを検出またはその他の場合には収集することができる。
【0038】
検出器34は、開示された手法の範囲から逸脱することなく、大量の構成をとり得ることが理解されるであろう。図2に例示されるように、検出器34はフラットパネル検出器(例えば、マルチスライスフラットパネル検出器)として構成され得る。別の例示的な実施形態に従い、検出器34は湾曲検出器として構成され得る。
【0039】
コリメータまたはビームフォーマアセンブリ(36として一般には示される)は、イメージング(X線)源30に対して位置づけられ、X線源30により放出された放射線ビーム32の形状を選択的に制御および調整し、検出器34の有効領域の位置または領域を選択的に照射する。ビームフォーマはまた、放射線ビーム32を検出器34上に位置づける方法を制御することができる。一実施形態では、ビームフォーマ36は、単一の運動度/運動次元を有することがある(例えば、より薄いまたはより厚いスリットを作成するため)。別の実施形態では、ビームフォーマ36は、2つの運動度/運動次元を有し得る(例えば、種々のサイズにサイズ決めされた長方形を作成するため)。他の実施形態では、ビームフォーマ36は、例えば平行四辺形を含む、他の種々の動的に制御された形状にする能力を有してよい。こうした形状の全ては、スキャン中に動的に調整され得る。いくつかの実施形態では、ビームフォーマの遮断部分を回転および並進させることができる。
【0040】
ビームフォーマ36を制御し、多くの幾何学的形状でX線源30により放出された放射線ビーム32の形状を、動的に調整することができる。この幾何学的形状には、単列検出器幅または多列検出器を含むもの(これは検出器の有効領域の一部分にすぎない)と同様に低いビーム厚さ(幅)を有するファンビームまたはコーンビームが含まれるがこれに限定されない。種々の実施形態では、ビーム厚さは、より大きな検出器の有効領域のうち数センチメートルを照射してもよい。例えば、5~6センチメートルの検出器のうち、3~4センチメートル(検出器面の長手方向で測定)は、イメージング放射線32に選択的に照射されてもよい。この実施形態では、3~4センチメートルのプロジェクション画像データは、後述されるように、それぞれの読取り値を用いて、散乱データを捕捉するのに使用され得る、一方のまたは各側面における非照射の検出器領域のうち、約1~2センチメートルを用いて捕捉されてもよい。
【0041】
他の実施形態では、有効な検出器の大半の部分は、イメージング放射線に選択的に照射されてもよい。例えばいくつかの実施形態では、ビーム厚さは約2センチメートル、約1センチメートル、1センチメートル未満、または同様のサイズの範囲へと減少されてよい。これはより小さな検出器の場合も含む。他の実施形態では、ビーム厚さは約4センチメートル、約5センチメートル、5センチメートル超、または同様のサイズの範囲へと増加されてよい。これはより大きな検出器の場合も含む。種々の実施形態では、照射対有効検出器領域の比率は、30~90%、または50~75%であってよい。他の実施形態では、照射対有効検出器領域の比率は、60~70%であってよい。ただし他の実施形態では、種々の他の照射領域および有効領域のサイズまたは照射対有効検出器領域の比率は適することがある。ビームおよび検出器は、検出器の影領域(有効ではあるが直接放射線に照射されない)が周縁部領域を超えて散乱データを捕捉するには十分であるように構成され得る。
【0042】
種々の実施形態には、測定データが一次(照射)領域および影領域にとって十分であるが、速度および線量制御のために最適化もされるように、検出器の選択的照射を制御する特徴(例えば、ビームサイズ、ビーム/開口の中心、視準、コリメーション、ピッチ、検出器の読出し範囲、検出器の読出し中心など)の最適化が含まれてよい。X線源30からの放射線ビーム32が、例えば狭いおよび広いaFOVスキャンの組合せを含む、実施されている特定のイメージングタスクおよび散乱評価プロセスに基づいて同等、またはそれより小さいX線検出器34を射程に入れるように、ビームフォーマ36の形状/位置および検出器34の読出し範囲が制御され得る。
【0043】
ビームフォーマは、このビームフォーマにX線源30により放出された放射線ビーム32の形状を調整させる種々の方法で構成されてよい。例えば、コリメータ36は一連のジョー、またはX線源30からの放射線ビームが絞られた方式で通過し得る開口のサイズを画定および選択的に調整する他の適する部材を含むように構成され得る。1つの例示的な構成に従い、コリメータ36は上部ジョーおよび下部ジョーを含み得る。この場合、上部ジョーおよび下部ジョーは異なる方向(例えば平行な方向)に可動し、X線源30からの放射線ビームが通過する開口のサイズを調整し、かつ更には患者に対するビーム位置を調整して最適化されたイメージングおよび最小化された患者線量を目的として、画像化される患者の一部分のみを放射線照射する。例えば、コリメータはマルチリーフコリメータ(MLC)として構成され得る。これは、最小限の開放位置または閉鎖位置と、最大限の開放位置との間の1つまたは複数の位置へと移動するように操作可能である、複数の組み合わされたリーフを含み得る。リーフは、放射線源により放出される放射線ビームの所望の形状を獲得するために、所望の位置へと移動され得ることが理解されるであろう。一実施形態では、MLCにより、サブミリメートルの標的精度が可能となる。
【0044】
一実施形態に従い、X線源30からの放射線ビーム32の形状は画像取得中に変更され得る。別の言い方をすれば、例示的な一実施形態に従い、ビームフォーマ36のリーフ位置および/または開口幅は、スキャン前またはスキャン中に調整され得る。例えば一実施形態に従い、ビームフォーマ36は、放射線ビーム32は十分な一次領域/影領域を有する形状を有し、イメージング中に関心対象(例えば前立腺)のみを含むように調整されるよう、X線源30の回転中に選択的に制御および動的に調整され得る。X線源30により放出された放射線ビーム32の形状は、所望の画像取得に応じてスキャン中またはスキャン後に変更され得る。これは更に詳細に後述されるように、イメージングのフィードバックおよび/または治療的なフィードバックに基づいてよい。
【0045】
検出器24は、回転可能ガントリ12に連結、それ以外の場合にはこれに支持され、治療放射線源20からの放射線22を受け取るように位置づけられ得る。検出器24は、減衰されていない放射線量を検出またはこれを測定することができる。したがって、患者または関連する患者のROI(最初に生成されたものと比較して)によって実際に減衰されたものを推量することが可能である。検出器24は、治療放射線源20が患者の周りで回転し、患者に対して放射線を放出する場合、異なる角度からの減衰データを検出またはその他の場合には収集することができる。
【0046】
治療放射線源20は、ビームフォーマまたはコリメータを含むことができるか、またはそれ以外の場合ではこれに関連し得ることが理解されるであろう。治療放射線源20に関連しているコリメータ/ビームフォーマは、イメージング線源30に関するコリメータ/ビームフォーマ36と同様に、多くの方法において構成され得る。
【0047】
治療放射線源20は、イメージング線源30と同一平面、またはこれとは異なる面(オフセット)へと取り付けられ、構成され、および/または移動されてよい。いくつかの実施形態では、放射線源20、30の同時放射化により生じた散乱は、放射面をオフセットすることで減少されてよい。
【0048】
放射線治療装置と統合される際、イメージング機器10は画像を提供することができる。これは放射線供給処置(治療)をセットアップ(例えば位置合わせおよび/または登録)、計画および/または管理するために使用される。典型的なセットアップは、現在の(治療中の)画像と治療前画像の情報とを比較することで達成される。治療前画像の情報には、例えばX線、CTデータ、CBCTデータ、核磁気共鳴画像法(MRI)データ、陽電子放出断層撮影(PET)データまたは3D回転血管造影検査(3DRA)データおよび/または上述の機器もしくは他のイメージング診断手段から得られた任意の情報を含んでよい。いくつかの実施形態では、イメージング機器10は治療中の患者、標的またはROIの動きを追跡し得る。
【0049】
再構成プロセッサ40は、検出器24および/またはX線検出器34に動作可能に連結され得る。一実施形態では、再構成プロセッサ40は、検出器24、34により受け取られる、放射線源20、30からの放射線に基づく患者画像を生成させるように構成されている。再構成プロセッサ40は、以下により完全に記載される方法を実行するために使用されるように構成され得ることが理解されるであろう。機器10はまた、処理アルゴリズムおよび再構成アルゴリズムならびにソフトウェア、イメージングパラメータ、事前画像か、それ以外の場合では事前取得された画像からの画像データ(例えば計画画像)、治療計画などを含むがこれに限定されない情報を保存するのに適しているメモリ44を含むことができる。
【0050】
X線イメージング機器10は、操作者/ユーザインタフェース48を含むことができる。この場合、X線イメージング機器10の操作者は、X線イメージング機器10と相互作用するか、またはそれ以外の場合ではこれを制御し、スキャンに関連する入力またはイメージングパラメータなどを提供することができる。操作者インタフェース48は、キーボード、マウス、音声起動コントローラなどの任意の適した入力装置を含むことができる。X線イメージング機器10はまた、イメージング機器10の操作者に出力を提供するために、ディスプレイ52または他の人間が読取り可能な要素を含むことができる。例えば、ディスプレイ52により、操作者は再構成された患者画像およびイメージングパラメータまたはスキャンパラメータなど、X線イメージング機器10の操作に関連する他の情報を観察することができる。
【0051】
図2に示されるように、X線イメージング機器10は機器10の1つまたは複数の構成要素と動作可能に連結されたコントローラ(60として一般には示される)を含む。コントローラ60は、X線源30および/または治療放射線源20、ならびに回転可能ガントリ12の回転速度および位置を制御するガントリモータコントローラへと電力およびタイミング信号を提供することを含む、機器10の全体的な機能および操作を制御する。コントローラ60は、患者サポートのコントローラ、ガントリコントローラ、治療放射線源20および/またはX線源30に連結されたコントローラ、ビームフォーマ36のコントローラ、検出器24および/または検出器34に連結されたコントローラなどのうち、1つまたは複数を包含し得ることが理解されるであろう。一実施形態では、コントローラ60は、他の構成要素、装置および/またはコントローラを制御可能であるシステムコントローラである。
【0052】
種々の実施形態では、再構成プロセッサ40、操作者インタフェース48、ディスプレイ52、コントローラ60および/または他の構成要素は、1つもしくは複数の構成要素または装置と組み合わせられてよい。
【0053】
機器10は種々の構成要素、論理およびソフトウェアを含んでよい。一実施形態では、コントローラ60はプロセッサ、メモリおよびソフトウェアを含む。限定するわけではなく例として、X線イメージング機器および/または放射線治療システムは、特定の用途のため、イメージングおよび/またはIGRTに関連する1つまたは複数のルーチンまたはステップを実施可能である、種々の他の装置および構成要素(例えば、特にガントリ、放射線源、コリメータ、検出器、コントローラ、電源、患者サポート)を含むことができる。ルーチンには、イメージング、画像ベースの供給前ステップ、および/または個々の装置の設定、構成および/または位置(例えば、経路/軌道)を含む治療供給が含まれ得るが、これらはメモリ内に保存されてよい。更には、1つまたは複数のコントローラは、1つもしくは複数の装置および/またはメモリ内に保存された1つもしくは複数のルーチンもしくはプロセスに従い、構成要素を直接または間接的に制御することができる。直接制御の一例は、種々の放射線源またはイメージングまたは治療に関連するコリメータパラメータ(電力、速度、位置、タイミング、調節など)の設定である。間接制御の一例は、位置、経路、速度などを、患者サポートのコントローラまたは他の周辺装置へと通信することである。イメージング機器に関連することがある種々のコントローラのヒエラルキーは、任意の適した方法によって取り決められ、所望の装置および構成要素へと、適切なコマンドおよび/または情報を伝達することができる。
【0054】
加えて、当業者はこのシステムおよび方法は他のコンピュータシステム構成で実装されてよいことを理解するであろう。本発明の例示された態様は、分散コンピュータ環境にて実施されてよく、この環境では、特定のタスクは通信ネットワークを介して接続されるローカル処理装置またはリモート処理装置によって実行される。例えば一実施形態では、再構成プロセッサ40は個別のシステムに関連づけられてよい。分散コンピュータ環境では、プログラムモジュールはローカルおよびリモートメモリ保存装置の両方に配置されてよい。例えば、リモートデータベース、ローカルデータベース、クラウドコンピュータプラットフォーム、クラウドデータベースまたはそれらの組合せは、X線イメージング機器10を用いて利用され得る。
【0055】
X線イメージング機器10は、コンピュータを含む本発明の種々の態様を実施するための例示的な環境を利用することができる。このコンピュータは、コントローラ60(例えば、プロセッサおよびメモリ44であり得るメモリを含む)ならびにシステムバスを含む。システムバスは、プロセッサに対してのメモリを含むがこれに限定されない、システム構成要素に連結することができ、他のシステム、コントローラ、構成要素、装置およびプロセッサと通信することができる。メモリには、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードドライブ、フラッシュドライブおよびコンピュータ可読媒体の他の形態を含むことができる。メモリは、ルーチンおよびパラメータを含む、種々のソフトウェアおよび例えば治療計画を含み得るデータを保存することができる。
【0056】
治療放射線源20および/またはX線源30は、治療放射線源20およびX線源30の相対的な操作を制御するように構成されたコントローラ60に動作可能に連結され得る。例えばX線源30は治療放射線源20で制御することができ、かつこれと同時に操作可能である。これに加えてまたは代替的には、X線源30は実施される特定の治療計画および/またはイメージング計画に応じて、治療放射線源20により制御および順次操作することができる。
【0057】
X線源30およびX線検出器34は、多くの方法においてイメージングスキャン中に患者の周りで回転を提供するように構成され得ることが理解されるであろう。一実施形態では、患者サポート18の長手方向の動きを伴うX線源30の動きと照射を同期させることで、処置中、患者画像の連続ヘリカル取得を提供することができる。放射線源20、30および1つまたは複数の検出器24、34の連続回転(例えば、連続した患者の運動速度を有するガントリの連続回転および一定回転)に加え、開示された手法の範囲から逸脱することなく他の変形例が使用され得ることが理解されるであろう。例えば、回転可能ガントリ12および患者サポートは、サポートが回転可能ガントリ12に対して移動するように(一定速度または可変速度にて)制御される際、ガントリ12が「往復」方式(例えば、時計回りの回転および反時計回りの回転を交互する)にて患者サポート上に支持された患者の周りを回転する(上記のように、連続方式のものとは対照的に)ように、制御され得る。別の実施形態では連続ステップアンドシュート全周スキャンを用いることで、長手方向での患者サポート18の動き(ステップ)は、所望のボリュームが捕捉されるまで回転可能ガントリ12によるスキャン回転(シュート)と交互される。X線イメージング機器10は、ボリュームベースおよび平面ベースの画像取得を行う能力を有する。例えば種々の実施形態では、X線イメージング機器10を使用してボリューム画像および/または平面画像を取得し(例えばX線源30および検出器34の使用による)、以下に記載する散乱評価/散乱補正方法を含む関連する処理を実行することができる。
【0058】
プロジェクションデータの生成のため、種々の他の種類の放射線源および/または患者サポートの移動を利用し、放射線源および患者の相対運動を取得してもよい。上記放射線治療装置10の種々の実施形態との組合せを含む、放射線源および/または患者サポートの非連続的な動き、連続しているが可変的な/非一定(直線および非直線を含む)な移動、速度、および/または軌道など、ならびにそれらの組合せが使用されてよい。
【0059】
一実施形態では、ガントリ12の回転速度、患者サポート18の速度、ビームフォーマ36の形状および/または検出器34の読取り値は、画像取得中は全て一定であり得る。他の実施形態では、これらの変数のうち1つまたは複数は、画像取得中に動的に変化し得る。ガントリ12の回転速度、患者サポート18の速度、ビームフォーマ36の形状、および/または検出器34の読取り値は異なる因子と均衡させるために変更されてよい。この因子は例えば、画質および画像取得時間を含む。
【0060】
他の実施形態では、これらの特徴は1つまたは複数の他の画像ベースの作用または処置と組み合わせられる。この作用または処置は例えば、患者の設定、適応可能な治療モニタリング、治療計画などを含む。
【0061】
画質には多くの決定要素(例えば、X線源の焦点サイズ、検出器のダイナミックレンジなど)が存在する。kV CBCT画質の制限は散乱である。種々のアプローチを使用して散乱を減少させることができる。1つのアプローチは、(散乱を絞る)散乱防止グリッドを使用することである。ただし、動体追跡および補正を含む、kVイメージングシステム上の散乱グリッドの実装には問題がある場合がある。プロジェクションデータにおいて散乱の正確な評価は、画像データの品質を向上させるために必須である。種々の実施形態では、検出器34の広いaFOV領域にて取得されたプロジェクションデータにおける散乱は、広いaFOV領域内部の狭いaFOV領域にて取得された、(比較的散乱を含まない)プロジェクションデータに基づいて評価され得る。
【0062】
特に、散乱が最小限/ごくわずかであるか、または単純な手法を用いて正確に得られることができるかのいずれかであるように、データは狭い開口を使用して標的の狭い領域にて取得され得る。例えば、狭い開口データは、散乱を含まないか、ほとんど散乱を含まないか、またはそれ自身で散乱を補正するかであり、カーネルベースの散乱補正、コリメータ影フィッティング評価などを使用する。狭い開口は、例えばいくつかの実施形態では、2~3mm、1cm、2cmおよび/または広い開口よりも小さい任意のサイズを含む、特定の用途に適した任意のサイズであり得る。データはまた、広い開口を用いて標的の広い領域にて取得され得る。この場合、狭い領域は広い領域内部に存在する。広い開口はまた、例えばいくつかの実施形態では、5cm、10cm、15cm、20cmおよび/または狭い開口よりも大きい任意のサイズなどを含む、特定の用途に適した任意のサイズであり得る。種々の実施形態では、狭い開口データを使用して、カーネルベースの散乱評価および広い領域にて取得されたCBCTデータの補正を向上させることができる。広いスキャン内部で狭いスキャンを用いる、散乱評価を向上させるプロセスは、詳細に後述されるように、プロジェクションドメインまたは再構成のいずれかにて完成され得る。プロセスはまた、非繰り返しまたは繰り返し方式のいずれかにて実行され得る。
【0063】
例示的な実施形態では、図3は標的310の体軸方向領域を画像化するための例示的なスキャン設計300の例証を示す。大きい/広いaFOVビーム312を使用し、体軸長Wを伴って示されている標的310の広い領域314をスキャンする。小さい/狭いaFOVビーム316を使用し、体軸長N1を伴って示されている狭い領域318をスキャンする。狭い領域318は広い領域314内部にあり、体軸長N1は体軸長W未満である。いくつかの実施形態では、特に広い領域314の部分が体軸方向の変動を示す場合には、複数の狭いスキャンを利用して精度(散乱評価)を向上させることができる。例えば一実施形態では、別の狭いaFOVビーム320を使用し、体軸長N2を伴って示されている別の狭い領域322をスキャンすることができる。狭い領域322はまた、広い領域314内部に存在し、体軸長N2は体軸長W未満である。例示的なビーム312、316、320の全てが示されており、これは標的310を通って(絞られた)線源330から投影され、検出器334に入射している。任意の数の狭いスキャンは、広い領域314内部にて使用されてよい。
【0064】
体軸長N1は、狭い領域318のための狭いスキャンのプロジェクションデータが散乱を含まないか、最小限の散乱を有するか、および/または容易に得られる/補正される散乱を有するには、十分小さい。(広いスキャンにより散乱を含有する)広い領域314のための広いスキャンのプロジェクションデータの一部は、狭い領域318と重複する。狭い領域318における広いスキャンからのプロジェクションデータ(散乱を含む)と、狭い領域318における狭いスキャンからのプロジェクションデータ(散乱を含まない)とを比較(例えば両者間の差異を発見する)することで、狭い領域318における真の散乱の正確な評価(本質的には測定)がもたらされる。比較は、詳細に後述されるように、プロジェクションドメインまたは再構成のいずれかにて行われ得る。この実施形態では、広いスキャンは全周スキャンである。ただし他の実施形態ではヘリカル軌道および/または他のスキャン軌道を利用することができる。
【0065】
この比較の後、狭い領域318のための真の散乱を使用し、高信頼度にて全体の広い領域314に適用される散乱評価手法を最適化することができる。これは、標的が広い領域314にて最小限変化する場合には特に有効である。最適化は、詳細に後述されるように、非繰り返しまたは繰り返し方式のいずれかにて実行され得る。いくつかの実施形態では、複数の狭い開口データセット(例えば、狭い領域318、322)は、広いaFOV CBCTスキャン(例えば広い領域314)の体軸方向範囲にて取得され、散乱補正を向上させることができる。
【0066】
一実施形態では、散乱評価手法はカーネルベースの散乱評価/散乱補正を利用する。例えば、真の散乱は狭い領域318にとって既知であることから、カーネルベースの散乱評価手法によって生成された散乱評価が狭い領域318にとって決定された正確な散乱評価を得るために、狭い領域318における広いスキャンからのプロジェクションデータに適用されるカーネルベースの散乱評価手法は抑制され得る。そのため、抑制された(最適化された)カーネルベースの散乱評価手法は、向上した結果(例えば、非抑制用途に対する)を有する広い領域314のリマインダに適用され得る。カーネルベースの手法は、患者依存および/またはシステム依存因子に基づき、精度を向上させ得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、複数の広いaFOV領域(例えば、314)は、より大きな体軸方向範囲の一部としてスキャンされ得る。これらの広いaFOV領域314のそれぞれは、1つまたは複数の狭いaFOV領域(例えば318、322)を含み得る。
【0068】
図3に示されるように、スキャン設計300の一実施形態には、患者胸部(314)の大きなaFOV CBCTスキャンおよび狭い開口(318)を有する領域の補完スキャンが含まれ得る。いくつかの実施形態では、より最適な性能のため、その位置が大きなaFOV(314)内部に分布される複数の狭い開口スキャン(318、322)が決定および取得され得る。領域318、322に関連した1つまたは複数の狭い開口スキャンは、医療的に妥当なプロトコルを使用することができる。このことにより、狭い開口316、320によって射程に入れられる範囲の正確な再構成もまた、医療用途に使用され得る。いくつかの実施形態では、散乱補正を向上させるために使用される際にのみ、狭い開口スキャンは高速ガントリ回転およびスパース角度のサンプリングを使用し、全体のスキャン時間および患者線量に関する影響を最小化することができる。
【0069】
ビームフォーマ36によって作成された開口が十分に狭い場合(例えば、狭い領域318、322に関連したビーム316、320のそれぞれ)、プロジェクションデータにおける散乱は本質的には無視できる。したがって、一実施形態では、狭い開口データは散乱を含まないデータとして使用され得る。別の実施形態では、いくつかの単純な手法は有効かつ正確であり、かつプロジェクションデータにおける少量の散乱を評価することができる。このようにして、狭い開口データは散乱を含まないデータとするために補正された散乱である。例えば上述されるように、狭い開口データに対する単純かつ有効な散乱補正アプローチには、開口、カーネルベースの散乱補正などを形成するビームフォーマコリメータの影部分におけるデータを使用するフィッティングが含まれ得る。散乱を含まないデータとしての狭い開口データに対する参照は、狭い開口データに対する最初の散乱補正の結果であり得る。
【0070】
以下のフローチャートおよびブロック図は、上記システムに従い、散乱評価および散乱補正に関連する例示的な構成および方法論を例示する。例示的な方法論は論理、ソフトウェア、ハードウェアまたはそれらの組合せで実行されてよい。加えて、処置および方法は順に表されているが、ブロックは直列および/または並列を含む異なる順で実行されてよい。更には、追加のステップまたはそれよりも少ないステップが使用されてよい。
【0071】
図4は、上記のものといった、広いスキャン領域内部の狭いスキャン領域を有するスキャン設計を用いて、プロジェクションデータのドメインにおける散乱評価の例示的な方法400を表すフローチャートである。狭い領域からの狭いスキャンデータ410および広い領域からの広いスキャンデータ420は、例えば上記イメージング機器10を用いるデータ取得から提供または受信される。狭い領域は、例えば図3においては、上記のように広い領域内部にある。狭いスキャンデータ410は散乱を含まないが、広いスキャンデータ420は散乱を含有する。この実施形態では、ステップ412は狭い領域と重複する広いスキャンデータ420の一部を分離する。次に、ステップ414では、方法400は、分離された狭い領域に対応する広いスキャンデータ420の部分(散乱を含む)から、狭いスキャンデータ410(散乱を含まない)を減算する。得られたデータは、狭い領域における真の(測定された)散乱416である。
【0072】
ステップ422では、方法400は、散乱評価手法を用いて、広いスキャンデータ420における散乱を評価する。これには例えば、カーネルベースの散乱評価手法が含まれてよい。次に、ステップ424では、狭い領域での評価された散乱は、広い領域について評価された散乱と分離される。得られたデータは、散乱評価手法を用いた狭い領域での評価された散乱426である。
【0073】
次に、ステップ430では、方法400は狭い領域における真の(測定された)散乱416と、評価された散乱426との間の差異を決定する。この差異を使用し、ステップ432における散乱評価手法を最適化することができる。例えば、散乱評価手法は、評価された散乱426と真の散乱416との間の差異を最小化することによって最適化され得る。差異を最小化することは、種々の種類のフィッティングプロセスを含み得る。非繰り返しである一実施形態では、最適化プロセスは最小二乗法の解法を含み得る。次に、ステップ434では、最適化された(例えば、フィッティングされたカーネルベースの)散乱評価手法を使用し、精度が向上した広いスキャンデータ420の残りにおける散乱を再評価することができる。散乱評価は、広い領域の再構成中に使用され得る。
【0074】
図5は、上記のものといった、広いスキャン領域内部の狭いスキャン領域を有するスキャン設計を用いて、プロジェクションデータのドメインにおける散乱評価の別の例示的な方法500を表すフローチャートである。方法500は、方法400と同様であるが、この実施形態では、ステップ522では、方法500は散乱評価手法を用いる狭い領域と重複する広いスキャンデータ420の分離された部分における散乱を最初に評価するのみである点が除かれる。これは、方法400のステップ422および424におけるもののように、狭い領域を分離する前に全体の広いスキャンデータ420における散乱を評価するよりも、計算的には独立度が低下する。この実施形態では、分離された広いスキャンデータはステップ412に直接由来するものであり得る。得られたデータは、散乱評価手法を用いた狭い領域での評価された散乱426である。他のステップは方法400などで実行される。
【0075】
図6は、上記のものといった、広いスキャン領域内部の狭いスキャン領域を有するスキャン設計を用いて、プロジェクションデータのドメインにおける散乱評価の例示的な繰り返し方法600を表すフローチャートである。方法600は、方法500と同様であるが、この実施形態では、ステップ430の後、方法600は散乱評価手法の繰り返しの最適化を実施することが除かれる。特に、ステップ632では、方法600は、狭い領域における真の(測定された)散乱416と、評価された散乱426との間の差異が更なる改良または最適化を必要とするかどうかを決定する。種々の実施形態では、更なる改良がステップ632で必要とされるかどうかを決定するために、ステップ430からの差異(散乱評価手法による評価された散乱426が、真の散乱416にどの程度近いかを表す)は、種々の条件/解析に供されてよい。これは例えば、差異は閾値と比較されてよく、現在の繰り返しと1つまたは複数の事前繰り返しとの間の差異は、閾値またはレートと比較されてよく(例えば、評価に対する繰り返し/増加分の改良の収束率を決定するため)、繰り返しの数(ステップ522に対するループバック)は、閾値と比較されてよく、スキャンに関連する時間および/または繰り返しプロセスは閾値と比較されてよく(例えば、全体のワークフローを考慮するため)、これらの因子および/または加重平均などを含む他の因子の組合せを含む。
【0076】
ステップ632における解析によって、ステップ430からの差異が更なる改良を必要とすることを決定する場合、方法600はステップ634に進み、ステップ430からの差異を考慮して散乱評価手法を最適化する。例えば、散乱評価手法は、評価された散乱426と真の散乱416との間の差異を最小化することによって最適化され得る。差異を最小化することは、種々の種類のフィッティングプロセスを含み得る。複数の繰り返しの場合、ステップ634は更なる最適化であり得る。
【0077】
ステップ632における解析が、ステップ430からの差異が更なる改良を必要としないことを決定する場合、方法600はステップ636に進み、精度を向上させた状態で広いスキャンデータ420の残りに対して最適化された(例えば、フィッティングされたカーネルベースの)散乱評価手法を適用する。
【0078】
このようにして、カーネルベースの散乱評価と連携させることを含む、取得された狭い開口スキャンデータを使用して、イメージング診断手段における広い開口スキャンデータの散乱評価を向上させることができる。例えば、イメージングにはX線イメージング、CTイメージング、CBCTイメージングなどが含まれる。改善された/最適化された実施形態を含むカーネルベースの散乱評価および散乱補正を使用して、画質および量を向上させることができる。ビームフォーマ(例えば、一組のコリメータを有する)は、ビームの一部を有効に遮断し、イメージングのための開口を形成することができる。この場合、開口サイズを変更して非常に狭い開口データの取得を可能とすることができる。患者に対する開口位置は、患者に対して変更され得る。種々の実施形態では、大きなaFOV(広い領域)スキャンからのデータのカーネルベースの散乱評価は、同じ角度における小さなaFOV(狭い領域)での測定された散乱と比較される。測定された散乱は、同じ角度/観点での同様の領域における散乱を含むデータからの狭い開口スキャンの、散乱を含まないデータを減算した結果である。
【0079】
カーネルベースの散乱評価は、評価された散乱と測定された散乱との間の差異を最小化することによって最適化され得る。次に、最適化されたカーネルベースの散乱評価を大きなaFOVデータの残りに適用し、散乱補正の精度を向上させることができる。
【0080】
上述されるように、散乱評価手法の最適化は、再構成ドメインにもまた生じ得る。狭い開口スキャンデータから再構成された画像は、散乱を含まない画像であると見なされ得る。例えばカーネルベースの散乱補正手法を用いた、広い開口スキャンデータによる同様の領域の再構成は散乱を含まない画像と比較され得る。散乱補正手法を最適化して差異を最小化することができる。いくつかの実施形態では、例えば意図される医療用途のために、差異は一部の画像平面のみに焦点を合わせられ得る。例えば、広いaFOV画像が放射線治療に適応可能な計画のために使用される場合、量的な精度は線量計算のために重要であり、低コントラストの回復は、腫瘍の検出および線量計画用の描写のために重要である。
【0081】
図7は、上記のものといった広いスキャン領域内部の狭いスキャン領域を有するスキャン設計を用いて、再構成ドメインにおける散乱補正の例示的な方法700を表すフローチャートである。狭い領域からの狭いスキャンデータ410および広い領域からの広いスキャンデータ420は、例えば上記イメージング機器10を用いるデータ取得から提供または受信される。狭い領域は、例えば図3においては、上記のように広い領域内部にある。狭いスキャンデータ410は散乱を含まないが、広いスキャンデータ420は散乱を含有する。この実施形態では、ステップ712は狭いスキャンデータ410を用いて狭い領域を再構成する。得られた画像は、散乱を含まない狭い領域画像714である。
【0082】
ステップ722では、方法700は散乱補正手法を用いた広いスキャンデータ420を用いて、狭い領域を分離および再構成する。これは例えば、カーネルベースの散乱評価/散乱補正手法を含んでよい。得られた画像は、散乱補正された狭い領域画像724である。
【0083】
次に、ステップ730では、方法700は散乱を含まない狭い領域画像714と、散乱補正された狭い領域画像724の差異を決定する。この差異を使用し、ステップ732にて散乱補正手法を最適化することができる。例えば散乱補正手法は、散乱を含まない狭い領域画像714と散乱補正された狭い領域画像724との差異を最小化することで最適化され得る。差異を最小化することは、種々の種類のフィッティングプロセスを含み得る。非繰り返しである一実施形態では、最適化プロセスは最小二乗法の解法を含み得る。次にステップ734では、最適化された(例えばフィッティングされたカーネルベースの)散乱補正手法を使用し、精度を向上した状態で広いスキャンデータ420を用いた広い領域を再構成することができる。
【0084】
図8は、上記のものといった、広いスキャン領域内部の狭いスキャン領域を有するスキャン設計を用いて、再構成ドメインにおける散乱補正の例示的な繰り返し方法800を表すフローチャートである。方法800は、方法700と同様であるが、この実施形態では、ステップ730の後、方法800は散乱補正手法の繰り返しの最適化を実施することを除く。特に、ステップ832では、方法800は、散乱を含まない狭い領域画像714と、散乱補正された狭い領域画像724との間の差異が更なる改良または最適化を必要とするかどうかを決定する。種々の実施形態では、更なる改良がステップ832で必要とされるかどうかを決定するために、ステップ730からの差異(散乱補正手法を用いた散乱補正された狭い領域画像724が、散乱を含まない狭い領域画像714にどの程度近いかを表す)は、種々の条件/解析に供されてよい。これは例えば、差異は閾値と比較されてよく、現在の繰り返しと1つまたは複数の事前する繰り返しとの間の差異は、閾値またはレートと比較されてよく(例えば、評価に対する繰り返し/増加分の改良の収束率を決定するため)、繰り返しの数(ステップ722に対するループバック)は、閾値と比較されてよく、スキャンに関連する時間および/または繰り返しプロセスは閾値と比較されてよく(例えば、全体のワークフローを考慮するため)、これらの因子および/または加重平均などを含む他の因子の組合せを含む。
【0085】
ステップ832における解析が、ステップ730からの差異が更なる改良を必要とすることを決定する場合、方法800はステップ834に進み、ステップ730からの差異を考慮して散乱補正手法を最適化する。例えば散乱補正手法は、散乱補正された狭い領域画像724と散乱を含まない狭い領域画像714との間の差異を最小化することで最適化され得る。差異を最小化することは、種々の種類のフィッティングプロセスを含み得る。複数の繰り返しの場合、ステップ834は更なる最適化であり得る。
【0086】
ステップ832における解析が、ステップ730からの差異が更なる改良を必要としないことを決定する場合、方法800はステップ836に進み、精度を向上させた状態で広いスキャンデータ420の残りに対して最適化された(例えば、フィッティングされたカーネルベースの)散乱補正手法を適用することで、広い領域を再構成する。
【0087】
上述されるように、狭い開口データは医療的に妥当なプロトコルを使用して取得され得る。これらの実施形態では、データを使用して患者のこの部分の画像を正確に再構成することができる。患者の同じ部分の大きなaFOVデータから再構成された画像は、狭い開口再構成からの画像と比較され得る。再構成画像が、同じ部分における狭い開口画像(狭い領域)と一致するように、大きなaFOVデータ(広い領域)のカーネルベースの散乱補正は最適化され得る。結果的に、広い領域の残りの再構成画像は、最適化されたカーネルベースの散乱補正で向上される。一実施形態では、カーネルベースの散乱補正は、医療的に所望される判断基準を用いて、大きなaFOV(広い領域)画像と、患者の同じ部分における狭い開口画像(狭い領域)とを一致させることで最適化され得る。例えば、基準の1つは、腫瘍検出および描写のために低コントラストの回復を一致させることである。別の基準は、適応する放射線治療用の線量シミュレーションおよび線量計画のための量的精度を一致させることである。
【0088】
種々の因子を考慮し、例えば精度、時間、ワークフロー、利用可能なデータなどを基準とすることを含む、プロジェクションデータのドメインおよび/または再構成ドメインにおける上記方法を実行するかどうかを決定してもよい。いくつかの状況では、1つのみのドメインが利用可能であってもよいか、1つのドメインが好ましいものであってよい。例えば図3を参照すると、示されるように狭い領域ビーム320が傾斜する場合、狭い開口データによる正確な画像の再構成は可能とならない。したがって、狭い領域322に関連する狭いスキャンデータのみを使用し、プロジェクションドメインにおける散乱評価を向上させてよい。
【0089】
種々の実施形態では、画像の再構成は解析用の再構成および/または繰り返し再構成であり得る。
【0090】
1つまたは複数の狭い領域(例えば、図3に示される318、322)に対する、1つまたは複数の狭いスキャンの詳細(数、体軸方向の位置、角度、サイズ、狭い/広いサイズ比などを含む)は、種々の手法を用いて決定および/または最適化され得る。1つまたは複数のスキャンがまだ完了しない場合の実施形態では、1つまたは複数の狭いスキャンの詳細の決定には、例えば数、サイズ、比などを含む、同様の1つまたは複数の広いスキャンの詳細の決定が含まれ得る。最適化プロセスを実行し、狭いおよび/または広いスキャン詳細(数、体軸方向の位置、角度、サイズ、狭い/広いサイズ比などを含む)を決定し、全体のスキャン時間、ワークフローなどを含む上記種々の因子を最適化する。例えばいくつかの実施形態では、狭いスキャンは事前画像(例えば、計画CT画像、治療の事前のサブセッションからのCBCT画像など)から決定され得る。いくつかの実施形態では、狭いスキャンは、典型的な均一性/変動およびより広い領域の基盤として適した狭い面積に基づくものを含む、特定の広い領域に適した決定前の狭いスキャンのバンクから選択され得る。他の実施形態では、例えば、事前画像が利用できない場合には、スカウトスキャンおよび/または広い領域スキャンから再構成された画像を用いることで、狭いスキャンをオンザフライで決定することができる。
【0091】
例えば一実施形態では、広い領域スキャンが許容可能な画像再構成のために十分なデータを取得した後、広いスキャンデータの比較的高速の再構成を開始することができる。次に、広い領域の再構成画像を使用し、例えば均一性(またはその欠損)、体軸長、臨床プロトコルまたは散乱補正のみを目的とするプロトコルの使用に基づき、1つまたは複数の狭いスキャンを識別することができる。これらは、わずかなプロジェクション角度、ヘリカルスキャンのためのより大きなピッチなどを含み得る。いくつかの実施形態では、ワークフローといった他の因子は、狭いスキャンの数を決定する上で考慮されてよい。一実施形態では、コンピュータアルゴリズム/解析は、広い領域の再構成画像に基づく1つまたは複数の狭いスキャンの詳細を自動的に決定することができる。別の実施形態では、ユーザは広い領域の再構成画像の概説に基づく、1つまたは複数の狭いスキャンの詳細を決定することができる。次に狭い領域情報をシステムにフィードバックし、狭いスキャンを制御することができる。
【0092】
例えば図9は、上記のもののように、狭い/広いスキャン設計にて使用するための事前画像データからの狭いスキャンを決定する例示的な方法900を表すフローチャートである。患者の事前画像データ905(例えば事前画像であり、これは事前CT画像を含む、事前取得された計画画像であってよい)は、例えば別の線源からの、または上記X線イメージング機器10を用いたデータ取得から提供または受信される。ステップ910では、方法900は上記の事前画像データ905に基づく狭いスキャン詳細を決定する。上述されるように、この実施形態では、1つまたは複数の狭いスキャンの詳細の決定には、最適化プロセスを含む、1つまたは複数の広いスキャン詳細の決定が含まれ得る。次に、ステップ920では、方法900は例えば上記イメージング機器10を用いて狭い領域スキャンおよび広い領域スキャンを開始する。得られたデータは、1つまたは複数の狭い領域のための狭いスキャンデータ410および広い領域のための広いスキャンデータ420である。スキャンデータ410、420は、上記の散乱評価方法および散乱補正方法に従い使用されてよい。
【0093】
別の実施形態では、図10は上記のもののように、狭い/広いスキャン設計にて使用するための広いスキャンデータからの狭いスキャンを決定する例示的な方法1000を表すフローチャートである。ステップ1010では、方法1000は、例えば上記イメージング機器10を用いて、患者の広い領域スキャンを、サポートイメージングおよび/または治療対象へと実行する。得られたデータは、広い領域のための広いスキャンデータ420である。次に、ステップ1020では、広いスキャンデータ420を再構成するために方法1000が開始する。ステップ1030では、少なくとも部分的な患者の再構成画像に基づき、方法1000は上記のように、再構成画像に基づく狭いスキャン詳細を決定する。次に、ステップ1040では、方法1000は、例えば上記イメージング機器10を用いて、1つまたは複数の狭いスキャンを開始する。得られたデータは、1つまたは複数の狭い領域のための狭いスキャンデータ410である。スキャンデータ410、420は、上記の散乱評価方法および散乱補正方法に従い使用されてよい。
【0094】
このようにして、狭い開口スキャン(例えば、数、位置、角度、サイズなどを含む)は、広い開口スキャンからのデータ情報/画像情報の有効性により、事前画像を使用して決定され得るか、またはオンザフライで決定され得る。例えば、狭い開口スキャンのサイズおよび位置、ならびに狭い開口データが取得される角度がオンザフライで決定される場合、患者の画像は広い領域スキャンから最初に得られる。次に、広いスキャンデータの位置またはその全体を使用し、画像再構成を含む患者の画像が取得されるが、その一方で、大きなaFOVスキャンが終了した後に、大きなaFOVデータ取得(広い領域スキャン)は依然として(同時再構成/取得)または再構成を進行させている。狭い開口スキャン詳細の決定は、得られた患者の画像から決定される画像の不均一性を使用するアルゴリズム/ソフトウェアを使用することができる。
【0095】
プロジェクションドメインにおける散乱補正のために上記機器および方法を使用する際、各プロジェクション視点が平面画像である場合には、各プロジェクション視点に散乱補正が適用され得る。一実施形態では、1つまたは複数の平面X線画像を使用して(例えば、動体追跡のため)、事前に利用可能であるボリューム画像をカーネルベースの散乱評価手法と共に使用し、散乱補正のための(例えば、コントラスト向上のための)平面画像における散乱を評価してよい。上記方法は狭い開口データにおける測定された散乱を使用し、カーネルベースの散乱評価を向上することができる。
【0096】
別の実施形態では、第1の平面画像は、広い開口およびコリメータの影領域によって取得され得る。次に、コリメータ影部を使用し、影部フィッティング手法を用いて平面画像における散乱を評価することができる。次に、狭い開口データを使用し、狭い領域における散乱を測定することができる。結果を使用し、広い開口散乱評価のために影部フィッティング手法を改良することができる。
【0097】
上記機器および方法は、現存する手法以上の複数の利点を提供する。例えば、機器および方法は、CBCTにおける従来のカーネルベースの散乱評価および散乱補正アプローチの性能を向上させることができる。特に、高度に不均一な領域の患者スキャンの文脈にて、大きな体軸方向の撮影領域に関する向上が示され得る。
【0098】
一実施形態では、狭い開口によって射程に入れられた領域を最適化する際の、散乱評価/散乱補正用のカーネルベースモデルの使用は、従来のカーネルベースのアプローチよりも、広い領域の残りにとってはより正確である。狭い開口データ(散乱を含まない)は、カーネルベースのモデルを最適化または抑制するために補完的な情報を提供する。これにより、散乱評価/散乱補正中にカーネルベースモデルの精度は向上する。このようにして、最適化プロセスは非常に直接的なものとなり得るが、非常に有効である。
【0099】
上述されるように、狭い領域スキャンは、開口によって射程に入れられた狭い領域の正確な再構成を可能とする医療的に妥当なプロトコルを使用することができる。したがって、狭いスキャンに関連した線量およびスキャン時間が十分に利用され、廃棄されない。他の実施形態では、狭い領域スキャンは散乱補正目的のみのためのものであり得る。これらの実施形態では、取得は高速ガントリ回転を使用および/または角度的なスパースデータを取得することができる。結果として、患者線量およびスキャン時間における狭い領域スキャンの影響は最小化され得る。
【0100】
種々の実施形態は、異なるスキャン幾何学的形状、検出器の位置づけ(オフセット検出器を含む)、および/またはビームフォーマのウインドウ形状を利用することができる。いくつかの実施形態では、狭いおよび/または広いスキャン軌道は、検出器が中心に置かれる場合には180度であり得る。また、検出器がオフセットの場合には最大で360度であり得る。
【0101】
上記のように、開示された手法の態様は放射線治療装置およびIGRTと連携させて、またはIGRTの一部として使用することを目的とし、一体型キロ電圧(kV)CTを利用する方法で利用され得る。一実施形態に従い、画像取得方法論は、高速スリップリング回転を共に伴う、ヘリカル線源軌道(例えばガントリボアを通る患者サポートの長手方向の動きを共に伴う、中央軸を中心とする連続する線源回転)、またはkVビームコリメーションを伴う全周スキャンを含むか、そうでない場合にはこれを利用し、放射線治療供給プラットフォームにおけるkVのCTイメージングを提供する。かかる実施態様は、散乱の減少および散乱評価の向上を提供し、従来のシステムよりも高品質のkV画像を可能にすることができることが理解されるであろう。
【0102】
ボリューム画像を完成させるための複数のビーム回転に関連した任意の潜在的なスキャン時間の増加は、高いkVフレームレート、高いガントリレート、および/またはスパースデータの再構成手法によって軽減され得るか、そうでない場合にはオフセットされることが更に理解されるであろう。選択的に制御可能なコリメータ/ビームフォーマを上記のように提供することで、特定の用途および/または医療的な必要性に応じて、ユーザが画質に対する画像取得時間をトレードオフか、それ以外の場合ではこれを変更するシステムが可能となることが更に理解されるであろう。放射線治療供給装置を制御し、高速の画像取得時間(例えば動体追跡用)を伴う半回転または単一回転型のコーンビームCTスキャン(散乱によって画質を低減する可能性を有する)、およびより長い取得時間を伴うが散乱が減少することによって画像品質を上昇させる、狭い/スリットファンビームを有する全周または連続ヘリカル取得を提供することができることもまた理解されるであろう。1つまたは複数の最適化プロセスはまた、ビームの位置づけを決定し、読出し範囲を決定し、散乱の評価などを行うために上記実施形態の全てに適用可能である。
【0103】
図11は、放射線治療装置(例えば、イメージング機器10を含む)を用いた、IGRTの例示的な方法1100を表すフローチャートである。患者の事前画像データ1105は、使用(例えば、上記の事前CT画像を含む事前画像であり、事前取得された計画画像であってよい)のために利用可能である。いくつかの実施形態では、事前画像データ1105は、同様の放射線治療装置によるが、より早い時間で生成される。ステップ1110では、患者のイメージングは低エネルギー放射線源(例えば、X線源30からのkV放射線)を用いて実行される。一実施形態では、イメージングはファンビーム幾何学的形状またはコーンビーム幾何学的形状を有する全周スキャンを含む。ステップ1110は、上記の散乱評価手法および散乱補正手法を用いて、高品質(HQ)の1つまたは複数の画像またはイメージングデータ1115を生成する。いくつかの実施形態では、画質を調整し、画質/分解能と線量とのバランスを最適化してよい。換言すれば、全ての画像が最高品質である必要はない。または画質を調整し、画質/分解能と画像取得時間とのバランスを最適化またはトレードオフしてよい。イメージングステップ1110はまた、画像処理1120を含み、イメージングデータ/スキャンデータに基づく患者画像を生成することができる(例えば、上記方法に従う)。画像処理ステップ1120は、イメージングステップ1110の一部分として示されている。いくつかの実施形態では、画像処理ステップ1120は、画像処理が個別の装置によって実行される場合を含む、個別のステップである。
【0104】
次に、ステップ1130では、以下に記載の1つまたは複数の画像ベースの供給前ステップは、ステップ1110からのイメージングデータ1115に少なくとも部分的に基づいて実行される。更に詳細に後述されるように、ステップ1130は、治療処置および(その後の)イメージング計画に関連する種々のパラメータを決定することを含み得る。いくつかの実施形態では、画像ベースの供給前ステップ(1130)は、治療供給(1140)前により多くのイメージング(1110)を必要としてよい。ステップ1130は、適応可能な放射線治療ルーチンの一部として、イメージングデータ1115に基づく治療計画を適応させることを含み得る。いくつかの実施形態では、画像ベースの供給前ステップ1130は、リアルタイム治療計画を含んでよい。実施形態はまた、イメージング放射線源および治療放射線源の同時放射化、重複放射化および/または交互放射化を含んでよい。リアルタイム治療計画は、こうした種類のイメージングおよび治療放射線放射化手法(同時、重複および/または交互)のいずれかまたは全てに関与してよい。
【0105】
次に、ステップ1140では、治療処置の供給は、高エネルギー放射線(例えば、治療放射線源20からのMV放射線)の源を用いて実行される。ステップ1140は、治療計画に従って患者に治療線量1145を供給する。いくつかの実施形態では、IGRT方法1100は、種々の間隔にて追加のイメージングのためのステップ1110に戻り、その後、必要に応じて画像ベースの供給前ステップ(1130)および/または治療供給(1140)することを含んでよい。このようにして、高品質のイメージングデータ1115は、適応可能な治療が可能なある機器10を用いてIGRT中に生成および利用されてよい。上述されるように、ステップ1110、1130および/または1140は、同時に、重複して、および/または交互に実行されてよい。
【0106】
IGRTは、少なくとも2つの一般的な目標を含み得る。すなわち、(i)標的ボリュームに、高度な原体線量分布を供給すること、および(ii)全治療時を通して高精度で治療ビームを供給することである。第3の目標は、可能な限り部分あたり最小時間にて、2つの一般的な目標を達成することであり得る。治療ビームの正確な供給には、高品質の画像を使用して標的ボリュームの体位位置を識別および/または追跡する能力を必要とされる。供給速度を増加する能力は、治療計画に従い、正確に、精密におよび高速に放射線源を移動させる能力を必要とする。
【0107】
図12は、上記のステップ1130に関連し得る、例示的な画像ベースの供給前ステップ/オプションを表すブロック図1200である。上記のイメージング機器10(例えば、放射線治療装置の一部として)は、種々の方法にて使用され得るkV画像を生成することができる。これには、本発明の範囲から逸脱しない限り、画像ベースの供給前ステップ(1130)を目的とすることを含むことが理解されるであろう。例えば、放射線治療装置によって生成された画像1115を使用し、治療前に患者の位置合わせをすることができる(1210)。患者の位置合わせには、現在のイメージングデータ1115を、より早い治療前スキャンおよび/または治療計画を含む、計画に関連するイメージングデータと相関させることまたはこれに登録することが含まれ得る。患者の位置合わせはまた、患者が供給システムの範囲内部に物理的に存在しているかどうかを確認するための、放射線源に対する患者の物理的位置についてのフィードバックを含み得る。必要な場合には、患者はそれに合うように調整され得る。いくつかの実施形態では、患者の位置合わせのイメージングは、線量は最小化するものの、適正な位置合わせ情報を提供するように意図的により品質が低くてもよい。
【0108】
イメージング機器10によって生成された画像はまた、治療計画または治療再計画(1220)のために使用され得る。種々の実施形態では、ステップ1220は治療計画を確認すること、治療計画を修正すること、新規治療計画を作成すること、および/または一連の治療計画(時々「1日の計画」と呼ばれる)から治療計画を選択することを含み得る。例えば、イメージングデータ1115は、標的ボリュームまたはROIが治療計画を発展させた場合のものと同じことを示す。次に、治療計画を確認することが可能である。ただし、標的ボリュームまたはROIが同じものでない場合には、治療処置の再計画が必要となる場合がある。治療再計画の場合、イメージングデータ1115(ステップ1110にてX線イメージング機器10によって生成される)は高品質であるため、イメージングデータ1115は治療計画または治療再計画(例えば、新規治療計画または修正された治療計画を作成する)のために使用され得る。このようにして、異なる装置による治療前CTイメージングは必要とされない。いくつかの実施形態では、確認および/または治療再計画は、種々の治療の前および/または後に進行中の処置であってよい。
【0109】
別の例示的なユースケースに従い、イメージング機器10によって生成された画像を使用し、イメージング線量(1230)を計算することができる。これは、患者に対する全体線量を進行中に決定するために、および/またはその後のイメージング計画のために使用されてよい。その後のイメージングの品質はまた、例えば品質と線量のバランスをとるために、治療計画の一部として決定されてよい。別の例示的なユースケースに従い、イメージング機器10によって生成された画像を使用し、治療線量(1240)を計算することができる。これは、患者に対する全体線量を進行中に決定するために使用されてよい。および/または治療計画もしくは治療再計画の一部として含まれてよい。
【0110】
他の例示的なユースケースに従い、イメージング機器10によって生成された画像は、他のイメージング(1250)および/または他の治療(1260)パラメータまたは計画を計画または調整するのと関連させて使用され得る。これは例えば、適応可能な治療および/または治療計画の作成の一部として含まれている。別の例示的なユースケースに従い、イメージング機器10によって生成された画像は、適応可能な治療モニタリング(1270)と関連させて使用され得る。これには、治療供給をモニタリングし、必要に応じて適応させることが含まれ得る。
【0111】
画像ベースの供給前ステップ(1130)は、相互に排他的なものではない。例えば、種々の実施形態では、計算治療線量(1240)は単独のステップであり得る。ならびに/または適応可能な治療モニタリング(1270)および/もしくは治療計画(1220)の一部であり得る。種々の実施形態では、画像ベースの供給前ステップ(1130)は、自動的におよび/または人間による関与を伴い手動で実行され得る。
【0112】
画像放射線および散乱評価および散乱補正スキームの調整可能なコリメーション(開口)を含む、上記の装置および方法は、散乱評価の向上を提供する。これにより、CBCTを用いた従来の治療中のイメージングシステムよりも高品質のkV生成画像がもたらされる。
【0113】
図13は、イメージング(1110)中、および/またはその後の画像ベースの供給前ステップ(1130)中に利用され得る例示的なデータ源を表すブロック図1300である。検出器データ1310は、画像放射線検出器34によって受け取られた全てのデータを表す。プロジェクションデータ1320は、絞られたビーム領域にて入射する放射線により生成されたデータであり、上ではスキャン領域と呼ばれる。周縁部データ1330は、周縁部領域にて入射する放射線により生成されたデータである。散乱データ1340は、上記のような周縁部領域の外側の周辺領域および/または決定された散乱にて入射する放射線により生成されたデータである。別の実施形態では、2つの源20、30が同時またはインターリーブ方式にて操作される際には、散乱データ1340を使用して治療放射線源20(例えば、MV)からの散乱の残留効果を決定することができる。
【0114】
このようにして、周縁部データ1330および/または散乱データ1340を利用し、イメージングステップ1110によって生成された画像の品質を向上させてよい。いくつかの実施形態では、周縁部データ1330および/もしくは散乱データ1340は、プロジェクションデータ1320と組み合わせられ、ならびに/またはイメージング検出器34でのデータ収集の時間で、適用可能なイメージング設定1350、治療設定1360(例えば、同時イメージングおよび治療放射線の場合)、およびイメージング機器10に関連する任意の他のデータ1370といった観点にて解析されてよい。他の実施形態では、データは治療計画ステップ1130のために使用されてよい。
【0115】
開示された手法は、特定の態様、実施形態または実施形態に関して示され説明されてきたが、本明細書および添付の図面を読んで理解すると、同等の変更および修正が当業者に思い浮かぶことは明らかである。特に、上述の要素(構成要素、アセンブリ、装置、部材、組成物など)によって実行される様々な機能に関して、そのような要素を説明するために使用される用語(「手段」への参照を含む)は、特に指示されない限り、本明細書に示される例示的な態様、実施形態または開示された技術の実施形態における機能を実行する開示された構造と構造的に同等ではないとしても、記載された要素(すなわち、機能的に同等であるもの)の指定された機能を実行する任意の要素に対応することが意図される。更に、開示された手法の特定の特徴は、いくつかの例示された態様または実施形態のうちの1つまたは複数のみに関して上で記載されている場合があるが、そのような特徴は、任意の所与のまたは特定の用途にとって所望され、有利であり得るように、他の実施形態の1つまたは複数の他の特徴と組み合わせることができる。
【0116】
本明細書で説明した実施形態は、上記のシステムおよび方法に関連しているが、これらの実施形態は例示的であることを意図しており、これらの実施形態の適用性を本明細書に記載した説明のみに限定することを意図するものではない。本発明をその実施形態の説明によって例示してきたが、実施形態をある程度詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲をそのような詳細に限定し、あるいは決して限定することは、本出願人の意図ではない。さらなる利点および修正は、当業者には容易に明らかになるであろう。したがって、本発明のより広い態様は、図示および説明された特定の詳細、例示的な装置および方法、ならびに例示的な例に限定されない。したがって、出願人の一般的な発明概念の精神または範囲から逸脱することなく、そのような詳細から逸脱することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2024-05-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項18
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項18】
放射線治療供給装置であって、
患者サポートの周りに少なくとも部分的に位置づけられた回転可能ガントリシステムと、
前記回転可能ガントリシステムに連結され、かつ治療放射線源として構成されている、第1の放射線源と、
前記回転可能ガントリシステムに連結され、前記治療放射線源よりも少ないエネルギーレベルを有するイメージング放射線源として構成されている、第2の放射線源と、
前記回転可能ガントリシステムに連結され、前記第2の放射線源から放射線を受け取るように位置づけられた、放射線検出器と、
放射線ビームの形状が、広い体軸方向領域の広い開口スキャンおよび前記広い体軸方向領域内部にて狭い体軸方向領域の狭い開口スキャンのために構成されるように、前記第2の放射線源により放出された前記放射線ビームの前記形状を調整するように構成されたビームフォーマと、
データ処理システムであって、
前記広い体軸方向領域および前記狭い体軸方向領域において測定されたプロジェクションデータを受け取り、
前記狭い開口スキャンのプロジェクションデータおよび前記狭い体軸方向領域に重複する前記広い開口スキャンのプロジェクションデータに基づく、前記狭い体軸方向領域において測定された散乱を決定し、
散乱評価手法を用いて前記狭い体軸方向領域に重複する前記広い開口スキャンのプロジェクションデータに基づき、前記狭い体軸方向領域において評価された散乱を決定し、
前記狭い体軸方向領域における前記測定された散乱と、前記狭い体軸方向領域における前記評価された散乱との間の差異を計算し、
前記狭い体軸方向領域における前記測定された散乱と、前記狭い体軸方向領域における前記評価された散乱との間の前記差異に基づく、前記散乱評価手法を最適化し、
前記最適化された散乱評価手法を用いて、前記広い開口スキャンのプロジェクションデータに基づく、前記広い体軸方向領域における評価された散乱を決定し、
前記評価された散乱に基づいた患者画像を再構成し、
適応可能なIGRT中に、前記患者画像に基づき前記第1の放射線源によって、前記患者に治療放射線の線量を供給するように構成されている、データ処理システムと、を備える、放射線治療供給装置。