(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100856
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】ガスタービンプラント、及びプラント
(51)【国際特許分類】
F02C 3/34 20060101AFI20240719BHJP
F01K 23/10 20060101ALI20240719BHJP
B01D 53/62 20060101ALI20240719BHJP
B01D 53/78 20060101ALI20240719BHJP
B01D 53/14 20060101ALI20240719BHJP
C01B 32/50 20170101ALI20240719BHJP
【FI】
F02C3/34 ZAB
F01K23/10 A
B01D53/62
B01D53/78
B01D53/14 200
C01B32/50
F02C3/34
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024080426
(22)【出願日】2024-05-16
(62)【分割の表示】P 2020123749の分割
【原出願日】2020-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】上地 英之
(72)【発明者】
【氏名】園田 隆
(72)【発明者】
【氏名】辻井 一記
(72)【発明者】
【氏名】永渕 尚之
(57)【要約】
【課題】白煙の発生をさらに抑制できる排気ガス処理設備を提供する。
【解決手段】ガスタービンプラントは、ガスタービンと、ガスタービンの排気ガスと水とを熱交換させることで蒸気を発生させる排熱回収ボイラーと、排気ガスに含まれる二酸化炭素を回収する吸収塔と、排気ガスの一部を抽気して、ガスタービンの吸気側に導くEGRラインと、排熱回収ボイラーから取り出された蒸気を熱媒体として、吸収塔を通過した排気ガスとを熱交換させて排気ガスを加熱する排気ガス加熱器と、EGRライン上に設けられ、EGRラインを流通する排気ガスと排気ガス加熱器から排出された熱媒体とを熱交換させることで、EGRラインを流通する排気ガスを加熱するEGR加熱器と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンと、
前記ガスタービンの排気ガスと水とを熱交換させることで蒸気を発生させる排熱回収ボイラーと、
前記排熱回収ボイラーから取り出された蒸気を熱媒体として、前記熱媒体と前記排熱回収ボイラーを通過した排気ガスとを熱交換させて前記排気ガスを加熱する排気ガス加熱器と、
を備えるガスタービンプラント。
【請求項2】
前記排熱回収ボイラーから排気された前記排気ガスに含まれる二酸化炭素を吸収する吸収塔を備え、
前記排気ガス加熱器は、前記排熱回収ボイラー及び前記吸収塔を通過した排気ガスと前記熱媒体とを熱交換させて前記排気ガスを加熱する請求項1に記載のガスタービンプラント。
【請求項3】
前記排熱回収ボイラーで発生した蒸気で駆動可能な蒸気タービンを備え、
前記排気ガス加熱器は、前記蒸気タービンから抽気された蒸気を前記熱媒体とする請求項1又は2に記載のガスタービンプラント。
【請求項4】
排気ガスと水とを熱交換させることで蒸気を発生させる排熱回収ボイラーと、
前記排熱回収ボイラーから取り出された蒸気を熱媒体として、前記熱媒体と前記排熱回収ボイラーを通過した排気ガスとを熱交換させて前記排気ガスを加熱する排気ガス加熱器と、
を備えるプラント。
【請求項5】
前記排熱回収ボイラーから排気された前記排気ガスに含まれる二酸化炭素を吸収する吸収塔を備え、
前記排気ガス加熱器は、前記排熱回収ボイラー及び前記吸収塔を通過した排気ガスと前記熱媒体とを熱交換させて前記排気ガスを加熱する
請求項4に記載のプラント。
【請求項6】
前記排熱回収ボイラーで発生した蒸気で駆動可能な蒸気タービンを備え、
前記排気ガス加熱器は、前記蒸気タービンから抽気された蒸気を前記熱媒体とする請求項4又は5に記載のプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガスタービンプラント、及びプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
化石燃料を用いる発電プラント、例えばガスタービンプラントでは、ガスタービンの運転に伴って排気ガスが発生する。この排気ガスには、二酸化炭素が含まれている。環境保全の観点から、二酸化炭素を可能な限り排気ガスから除去する技術が求められている。このような技術として、例えば下記特許文献1に記載された方法が知られている。特許文献1に係る方法では、排気ガスの少なくとも一部を吸収液に接触させることで、当該吸収液によって二酸化炭素を吸着除去する。
【0003】
ところで、プラントの運転状態によっては、排気ガスに水分(湿分)が含まれる場合がある。このような水分が凝縮すると、排気ガスの排出に際して白煙が発生する。白煙は、周囲の景観を損なうことに加えて、排気ガスの排出口近傍に排気ガスが直接降下することで、微量に残存する排気ガス中の窒素酸化物も随伴されるため、その抑制が求められている。そこで、下記特許文献1に係る技術では、排気ガスの熱によって使用済みの吸収液を加熱・再生させるとともに、再生された吸収液の熱を利用して排気ガスを加熱する方法を採っている。これにより、排気ガス中の水分が蒸発し、白煙の発生を抑制できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、再生された吸収液の熱は限定的であることから、当該吸収液を用いただけでは排気ガスを十分に加熱することができない虞がある。また、排気ガス中のCO2の回収を容易にするため、排気ガスを吸気に再循環させることによって、排気ガス中のCO2の濃度を高める技術があるが、この場合、同時に、排気ガス中の水分の濃度も高まるため、十分に加熱しないと白煙が発生する可能性が高い。したがって、特許文献1に記載された装置では、依然として白煙が発生してしまう可能性がある。
【0006】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであって、白煙の発生をさらに抑制できる排気ガス処理設備、及びガスタービンプラント、及びプラントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示に係るガスタービンプラントは、ガスタービンと、前記ガスタービンの排気ガスと水とを熱交換させることで蒸気を発生させる排熱回収ボイラーと、前記排気ガスに含まれる二酸化炭素を回収する吸収塔と、前記排気ガスの一部を抽気して、前記ガスタービンの吸気側に導くEGRラインと、前記排熱回収ボイラーから取り出された蒸気を熱媒体として、前記熱媒体と前記吸収塔を通過した排気ガスとを熱交換させて前記排気ガスを加熱する排気ガス加熱器と、前記EGRライン上に設けられ、前記EGRラインを流通する排気ガスと前記排気ガス加熱器から排出された前記熱媒体とを熱交換させることで、前記EGRラインを流通する排気ガスを加熱するEGR加熱器と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示のガスタービンプラントによれば、白煙の発生をさらに抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の第一実施形態に係るガスタービンプラントの構成を示す図である。
【
図2】本開示の第一実施形態に係るガスタービンプラントの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第一実施形態>
(ガスタービンプラントの構成)
以下、本開示の第一実施形態に係るガスタービンプラント100について、
図1を参照して説明する。
図1に示すように、ガスタービンプラント100は、ガスタービン1と、排熱回収ボイラー2と、蒸気タービン4と、排気ガス処理設備6と、EGRラインL2と、EGR加熱器7と、制御装置90と、を備えている。
【0011】
(ガスタービンの構成)
ガスタービン1は、圧縮機11と、燃焼器12と、タービン13と、を有している。圧縮機11は、吸気ラインLaを通じて導かれた外気を圧縮して高圧空気を生成する。吸気ラインLa上には、外気の温度を計測する外気温度計測部To、及び外気の湿度を計測する外気湿度計測部Hが設けられている。また、圧縮機11の吸気側には、吸気ダクト11Dと、この吸気ダクト11D内に配置されたフィルタFと、が設けられている。
【0012】
燃焼器12は、圧縮機11が生成した高圧空気に燃料を混合して燃焼させることで高温高圧の燃焼ガスを生成する。タービン13は、この燃焼ガスによって駆動される。タービン13の回転エネルギーは軸端から取り出されて例えば発電機Gの駆動に利用される。タービン13から排出される排気ガスは、排気ラインL1によって回収されて、排熱回収ボイラー2に送られる。
【0013】
(排熱回収ボイラーの構成)
排熱回収ボイラー2は、排気ラインL1中を流通する排気ガスと水とを熱交換させることで過熱蒸気を生成する。この過熱蒸気は、第一ラインS1を通じて蒸気タービン4に送られ、当該蒸気タービン4の駆動に用いられる。蒸気タービン4の回転エネルギーは例えば発電機Gの駆動に利用される。蒸気タービン4から排出された蒸気は復水器41によって回収される。復水器41では、外部から導かれた媒体と熱交換させることで蒸気を凝縮させて水を生成する。復水器41で生成された水は、第五ラインS5を通じて排熱回収ボイラー2に供給される。
【0014】
排気ラインL1上であって、排熱回収ボイラー2の下流側には、排気ガス処理設備6が設けられている。排気ガス処理設備6は、排気ラインL1中を流通する排気ガスを清浄な状態にして外気に放散させるために設けられている。排気ガス処理設備6は、二酸化炭素回収装置3と、排気ガス加熱器5と、を有している。
【0015】
(二酸化炭素回収装置の構成)
二酸化炭素回収装置3は、排気ガス中に含まれる二酸化炭素を回収除去するための装置である。二酸化炭素回収装置3は、冷却塔31(クエンチャ)と、吸収塔32と、再生塔33と、を有している。
【0016】
冷却塔31は、後述する吸収塔32における二酸化炭素の回収に先立って、排気ラインL1を流通する排気ガスを冷却するための設備である。排気ラインL1を流通する排気ガスの温度が90℃程度である場合、冷却塔31では、30℃程度まで排気ガスが冷却される。冷却塔31で冷却された排気ガスは排気ラインL1を通じて吸収塔32に送られる。
【0017】
吸収塔32は上下方向に延びる筒状をなしており、その下部には、冷却塔31から延びる排気ラインL1が接続されている。吸収塔32の内部では、二酸化炭素と化学結合することが可能な吸収液が上方から下方に向かって流れている。なお、このような吸収液として具体的には、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、ジイソプロパノールアミン(DIPA)、メチルジエタノールアミン(MDEA)を含むアミンの水溶液や水を含まない有機溶媒、その混合物、アミノ酸系の水溶液が好適に用いられる。また吸収液はアミン以外を用いても良い。
【0018】
吸収塔32内の下部に流入した排気ガスは、上方から流れる吸収液に対して接触しながら吸収塔32内を上昇する。この時、排気ガスに含まれる二酸化炭素が吸収液に化学吸収される。二酸化炭素が除去された残余の排気ガスは、吸収塔32の上部から再び排気ラインL1中に流入する。
【0019】
二酸化炭素を吸収した吸収液は、吸収塔32の下部に接続された吸収液回収ラインL4を通じて再生塔33に送られる。再生塔33は、二酸化炭素を吸収した状態の吸収液を再生する(二酸化炭素を分離する)ための装置である。再生塔33には、上述の排熱回収ボイラー2から取り出された蒸気が流れる第三ラインS3が接続されている。第三ラインS3上には、リボイラー34が設けられている。リボイラー34には、第三ラインS3を通じて排熱回収ボイラー2からの蒸気が供給される。リボイラー34では、この蒸気との熱交換によって、吸収液に含まれる水の一部が加熱されてストリッピングスチームとなる。ストリッピングスチームは、吸収液抽出ラインL7を通じて再生塔33内に送られる。再生塔33内で、ストリッピングスチームは吸収液回収ラインL4から供給された再生前の吸収液と接触する。これにより、再生前の吸収液から二酸化炭素が放散し、吸収液が再生される(二酸化炭素を含まない状態となる)。再生前の吸収液から放散された二酸化炭素は、再生塔33から不図示の二酸化炭素圧縮装置に送られる。また、リボイラー34から排出された蒸気は、第三ラインS3を通じて上述の復水器41に送られる。
【0020】
再生後の吸収液の一部(即ち、ストリッピングスチームとならなかった成分)は、再生塔33の下部に接続された吸収液供給ラインL5に送られる。吸収液供給ラインL5上には、不図示の熱交換器、ポンプ、及び冷却器が設けられている。ポンプを駆動することにより、再生塔33から熱交換器に、再生後の吸収液が供給される。これにより、再生前の吸収液と再生後の吸収液との間で熱交換が行われる。さらに、冷却器にて、再生後の吸収液は二酸化炭素を吸収するために適した温度へ適宜冷却される。低温となった再生後の吸収液は、吸収塔32の上部に供給される。
【0021】
(排気ガス加熱器の構成)
排気ガス加熱器5は、排気ラインL1を経て上記の二酸化炭素回収装置3から排出された排気ガスの白煙化を抑制するために排気ガスを加熱する。排気ガス加熱器5は熱交換器である。排気ガス加熱器5には、上述の第三ラインS3から分岐する第二ラインS2を通じて取り出された蒸気(一例として200℃~230℃)が熱媒体として流通する。つまり、排気ガス加熱器5は、排熱回収ボイラー2から取り出された蒸気を熱媒体として利用する。なお、「排熱回収ボイラー2から取り出された蒸気」とは、排熱回収ボイラー2から直接的に取り出された蒸気、及び排熱回収ボイラー2から蒸気タービン4の駆動に用いられた後抽気された蒸気の少なくとも一方を含む。これにより、排気ラインL1を流通する排気ガスと蒸気との間で熱交換が生じ、排気ガスの温度が上昇する。このとき、排気ガス中に含まれる水分(湿分)の少なくとも一部が蒸発する。排気ガス加熱器5を通過した熱媒体としての蒸気は、第二ラインS2を通じて、後述するEGR加熱器7に熱媒体として送られる。熱媒体は液相状態(水)であってもよいし、気相状態(蒸気)であってもよい。
【0022】
EGRラインL2は、二酸化炭素回収装置3の冷却塔31を通過した排気ガスの少なくとも一部を抽気して、ガスタービン1の吸気側(圧縮機11)に導く。より具体的には、EGRラインL2の一端は、上述した吸気ダクト11D内におけるフィルタFよりも上流側(つまり、外気に接する側)に設けられている。EGRラインL2上には、冷却塔31側からガスタービン1側に向かって順に、EGR加熱器7、及び排気ガス温度計測部Teが設けられている。EGR加熱器7は熱交換器である。EGR加熱器7では、上記の第二ラインS2を通じて排気ガス加熱器5から導かれた熱媒体と排気ガスとの間で熱交換が行われる。これにより、EGR加熱器7を通過した排気ガスは加熱される。一例として、冷却塔31から供給される排気ガスの温度が30℃程度である場合、EGR加熱器7を通過した後の排気ガスの温度は40℃程度とされることが望ましい。
【0023】
EGR加熱器7を通過した熱媒体は、第二ラインS2を通じて復水器41に導かれる。第二ラインS2上におけるEGR加熱器7と復水器41との間には、弁装置V(供給量調整部)が設けられている。この弁装置Vの開度を変化させることで、第二ラインS2を流通する熱媒体の流量が変化する。つまり、弁装置Vは流量調整弁である。弁装置Vの開度は、排気ガス温度計測部Teが計測した排気ガスの温度が計測した排気ガスの湿度、外気温度計測部Toが計測した外気の温度、及び外気湿度計測部Hが計測した外気の湿度に基づいて、制御装置90によって決定・調整される。
【0024】
(作用効果)
上記構成によれば、吸収塔32を通過した排気ガスは、排気ガス加熱器5によって加熱される。これにより、当該排気ガスに含まれる湿分が蒸発するため、排気ガスが外部に放散される際に白煙化する可能性をより一層低減することができる。さらに、上記構成では、EGRラインL2を通じて、冷却塔31から排出された排気ガスの一部がガスタービン1の吸気側に導かれる(再循環する)。このとき、排気ガス中に湿分が含まれていると、圧縮機11の吸気ダクト11Dに設けられたフィルタFに水分が付着して、吸気抵抗が増加する恐れがある。また、このような水分が水滴となって圧縮機11の動翼に衝突することで、エロージョンを発生させる虞もある。さらに、EGRラインL2によって、CO2のみならず、水分も濃縮されるため、白煙が生じる可能性が高くなる傾向にある。上記構成では、EGRラインL2を流通する排気ガスは、EGR加熱器7によって加熱される。これにより、当該排気ガスの湿度が低減されるため、フィルタFへの水分付着が抑制される。この結果、吸気抵抗の増加を抑えることができる。
【0025】
上記構成によれば、EGRラインL2を流通する排気ガスの温度に基づいて、EGR加熱器7に供給される熱媒体の量が調整される。これにより、EGR加熱器7による排気ガスの加熱量を変化させることができる。例えば、ガスタービン1に供給される排気ガスの温度が高すぎる場合には、供給量調整部としての弁装置Vの開度を小さくすることで熱媒体の量を減らし、当該温度を低くなる方向に変化させることができる。これにより、使用される熱媒体の量が削減され、プラントの効率を向上させることができる。反対に、排気ガスの温度が低すぎる場合には、熱媒体の量を増やすことで、当該温度を高くなる方向に変化させることができる。その結果、ガスタービン1に供給される排気ガスの温度が最適化され、外気と排気ガスとの混合ガス中で湿分が飽和しない状態とすることができる。
【0026】
上記構成によれば、EGRラインL2を流通する排気ガスの温度に加えて、ガスタービン1に供給される外気の温度にも基づいて、EGR加熱器7に供給される熱媒体の量が調整される。例えば、外気の温度が低い場合には、供給量調整部としての弁装置Vの開度を大きくすることで熱媒体の量を増やし、排気ガスの温度を上昇させる。その結果、ガスタービン1に供給される排気ガスの温度が最適化され、外気と排気ガスとの混合ガスの温度が露点を上回り、湿分が飽和しない状態とすることができる。
【0027】
上記構成によれば、EGRラインL2を流通する排気ガスの温度と外気の温度に加えて、外気の湿度にも基づいて、EGR加熱器7に供給される熱媒体の量が調整される。例えば、外気の湿度が過度に高い場合には、EGR加熱器7に供給される熱媒体の量を増やすことで、排気ガスの温度を上げる。一方で、外気の湿度が過度に低い場合には、EGR加熱器7に供給される熱媒体の量を減らすことで、排気ガスの温度を下げる。その結果、ガスタービン1に供給される排気ガスの温度、及び湿度が最適化され、外気と排気ガスとの混合ガス中で湿分が飽和しない状態とすることができる。
【0028】
以上、本開示の第一実施形態について説明した。なお、本開示の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。例えば、上記第一実施形態では、EGRライン上に排気ガス温度計測部Te、及び外気湿度計測部Hが設けられ、吸気ラインLa上には外気温度計測部Toが設けられている例について説明した。しかしながら、外気温度計測部Toを設けない構成や、外気湿度計測部Hを設けない構成を採ることも可能である。つまり、排気ガス温度計測部Teのみを備える構成を採ることが可能である。
【0029】
<第二実施形態>
次いで、本開示の第二実施形態について、
図2を参照して説明する。なお、上記第一実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。本実施形態では、蒸気タービン4の構成が第一実施形態とは異なっている。また、本実施形態では、第一実施形態で説明した排気ガス加熱器5に加えて、補助排気ガス加熱器5Bをさらに備えている。
【0030】
蒸気タービン4は、高圧蒸気タービン4Hと、低圧蒸気タービン4Lと、を有している。低圧蒸気タービン4Lと高圧蒸気タービン4Hは、同軸上に接続されていてもよいし、互いに独立していてもよい。高圧蒸気タービン4Hは、第一ラインS1を通じて排熱回収ボイラー2から導かれた蒸気によって駆動する。高圧蒸気タービン4Hを通過した蒸気は、低圧蒸気タービン4Lに導かれて当該低圧蒸気タービン4Lを駆動する。低圧蒸気タービン4Lを通過した蒸気は復水器41に送られる。
【0031】
高圧蒸気タービン4Hの中間段には、第六ラインS6が接続されている。第六ラインS6によって抽気された高温の蒸気(一例として250℃~350℃)は、後述する補助排気ガス加熱器5Bに熱媒体として送られる。なお、蒸気タービン4が1つのみのタービンを有する構成を採ることも可能である。この場合、第六ラインS6は、蒸気タービン4の高圧側の段に接続されることが望ましい。
【0032】
補助排気ガス加熱器5Bは、排気ラインL1における排気ガス加熱器5の下流側に設けられている。補助排気ガス加熱器5Bは熱交換器であり、高圧蒸気タービン4Hから抽気された蒸気と、排気ラインL1を流通する排気ガスとの間で熱交換をさせる。
【0033】
また、本実施形態では、補助排気ガス加熱器5Bを通過した熱媒体としての蒸気を、補助ラインS7を通じて、第二ラインS2に導くことが可能とされている。
【0034】
上記構成によれば、排気ガス加熱器5を通過した排気ガスは、補助排気ガス加熱器5Bによってさらに加熱される。これにより、排気ガス中に含まれる湿分がさらに減少し、白煙化が生じる可能性をより一層低減することができる。
【0035】
以上、本開示の第二実施形態について説明した。なお、本開示の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。
【0036】
例えば、各実施形態に共通する変形例として、蒸気タービン4から抽気された蒸気のみがEGR加熱器7に熱媒体として供給される構成を採ることも可能である。また、EGR加熱器7の熱媒体として、排熱回収ボイラー2から取り出された蒸気のみを用いることも可能である。さらに、これら蒸気タービン4から抽気された蒸気と排熱回収ボイラー2から取り出された蒸気とを併用することも可能である。このように、EGR加熱器7の熱媒体としては3種類の態様が考えられる。
また、排気ガス加熱器5は、蒸気タービン4から抽気された蒸気のみを熱媒体として用いることも可能である。さらに、上記実施形態のように排熱回収ボイラー2のみを排気ガス加熱器5の熱媒体とすることも可能である。排熱回収ボイラー2から取り出された蒸気と蒸気タービン4から抽気された蒸気とを併用して排気ガス加熱器5の熱媒体とすることも可能である。このように、排気ガス加熱器5の熱媒体としては3種類の態様が考えられる。つまり、上述のEGR加熱器7の熱媒体との組み合わせとして、計9種類の構成が考えられる。これら9種類の組み合わせから設計や仕様に応じて好適な構成を適宜選択することが可能である。
【0037】
<付記>
各実施形態に記載のガスタービンプラント100は、例えば以下のように把握される。
【0038】
(1)第1の態様に係るガスタービンプラント100は、ガスタービン1と、前記ガスタービン1の排気ガスと水とを熱交換させることで蒸気を発生させる排熱回収ボイラー2と、前記排気ガスに含まれる二酸化炭素を回収する吸収塔32と、前記排気ガスの一部を抽気して、前記ガスタービン1の吸気側に導くEGRラインL2と、前記排熱回収ボイラー2から取り出された蒸気を熱媒体として、前記吸収塔32を通過した排気ガスを加熱する排気ガス加熱器5と、前記EGRラインL2上に設けられ、前記EGRラインL2を流通する排気ガスと前記排気ガス加熱器5から排出される前記熱媒体とを熱交換させることで、前記EGRラインL2を流通する排気ガスを加熱するEGR加熱器7と、を備える。
【0039】
上記構成によれば、吸収塔32を通過した排気ガスは、排気ガス加熱器5によって加熱される。これにより、当該排気ガスに含まれる湿分が蒸発するため、排気ガスが外部に放散される際に白煙化する可能性を低減することができる。
【0040】
(2)第2の態様に係るガスタービンプラント100は、前記排熱回収ボイラー2から排気された排気ガスを冷却するクエンチャをさらに備え、前記EGRラインL2は、前記クエンチャから排出された排気ガスの一部を抽気して、前記ガスタービン1の吸気側に導く。
【0041】
上記構成では、EGRラインL2を通じて、クエンチャから排出された排気ガスの一部がガスタービン1の吸気側に導かれる(再循環する)。このとき、排気ガス中に湿分が含まれていると、圧縮機11の吸気ダクト11Dに設けられたフィルタFに水分が付着して、吸気抵抗が増加してしまう。しかしながら、上記構成では、EGRラインL2を流通する排気ガスは、EGR加熱器7によって加熱される。これにより、当該排気ガス中に含まれる湿度が低減され、外気と排気ガスとの混合ガス中で湿分が飽和しない状態とすることができる。
【0042】
(3)第3の態様に係るガスタービンプラント100は、前記EGRラインL2上における前記EGR加熱器7よりも前記ガスタービンの吸気側に設けられ、前記EGRラインL2を流通する排気ガスの温度を計測する排気ガス温度計測部Teと、前記排気ガスの温度に基づいて、前記EGR加熱器7に供給される前記熱媒体の量を調整する供給量調整部(弁装置V)と、をさらに備える。
【0043】
上記構成によれば、EGRラインL2を流通する排気ガスの温度に基づいて、EGR加熱器7に供給される熱媒体の量が調整される。これにより、EGR加熱器7による排気ガスの加熱量を変化させることができる。例えば、ガスタービン1に供給される排気ガスの温度が高すぎる場合には、供給量調整部が熱媒体の量を減らすことで、当該温度を低くなる方向に変化させることができる。反対に、排気ガスの温度が低すぎる場合には、供給量調整部が熱媒体の量を増やすことで、当該温度を高くなる方向に変化させることができる。その結果、ガスタービン1に供給される排気ガスの温度が最適化され、外気と排気ガスとの混合ガス中で湿分が飽和しない状態とすることができる。
【0044】
(4)第4の態様に係るガスタービンプラント100は、前記ガスタービン1が吸い込む外気の温度を計測する外気温度計測部Toをさらに備え、前記供給量調整部(弁装置V)は、前記排気ガスの温度、及び前記外気の温度に基づいて、前記EGR加熱器7に供給される前記熱媒体の量を調整する。
【0045】
上記構成によれば、EGRラインL2を流通する排気ガスの温度に加えて、ガスタービン1に供給される外気の温度にも基づいて、EGR加熱器7に供給される熱媒体の量が調整される。例えば、外気の温度が排気ガスの温度よりも低い場合には、供給量調整部は熱媒体の量を減らすことで、排気ガスの温度を外気の温度に近づける。その結果、ガスタービン1に供給される排気ガスの温度が最適化され、外気と排気ガスとの混合ガス中で湿分が飽和しない状態とすることができる。
【0046】
(5)第5の態様に係るガスタービンプラント100は、前記ガスタービンに供給される外気の湿度を計測する外気湿度計測部Hをさらに備え、前記供給量調整部は、前記排気ガスの温度、外気の温度、及び外気の湿度に基づいて、前記EGR加熱器に供給される前記熱媒体の量を調整する。
【0047】
上記構成によれば、EGRラインL2を流通する排気ガスの温度、及び外気の温度に加えて、外気の湿度にも基づいて、EGR加熱器7に供給される熱媒体の量が調整される。その結果、ガスタービン1に供給される排気ガスの温度、及び湿度が最適化され、外気と排気ガスとの混合ガス中で湿分が飽和しない状態とすることができる。
【0048】
(6)第6の態様に係るガスタービンプラント100は、前記排熱回収ボイラー2で発生した蒸気によって駆動する蒸気タービン4と、前記蒸気タービン4から抽気された蒸気と前記吸収塔32を通過した排気ガスとを熱交換させることで、排気ガスを加熱する補助排気ガス加熱器5Bと、をさらに備える。
【0049】
上記構成によれば、排気ガス加熱器5を通過した排気ガスは、補助排気ガス加熱器5Bによってさらに加熱される。これにより、排気ガス中に含まれる湿分がさらに減少し、白煙化の可能性をより一層低減することができる。
【0050】
(7)第7の態様に係るガスタービンプラント100は、前記排熱回収ボイラー2で発生した蒸気によって駆動する高圧蒸気タービン4Hと、該高圧蒸気タービン4Hから排出された蒸気によって駆動する低圧蒸気タービン4Lと、前記排気ガス加熱器5の下流側に設けられ、前記高圧蒸気タービン4Hから抽気された蒸気と前記排気ガス加熱器5を通過した排気ガスとを熱交換させることで、排気ガスをさらに加熱する補助排気ガス加熱器5Bと、をさらに備える。
【0051】
上記構成によれば、排気ガス加熱器5を通過した排気ガスは、補助排気ガス加熱器5Bによってさらに加熱される。これにより、排気ガス中に含まれる湿分がさらに減少し、白煙化の可能性をより一層低減することができる。
【符号の説明】
【0052】
100 ガスタービンプラント
1 ガスタービン
2 排熱回収ボイラー
3 二酸化炭素回収装置
4 蒸気タービン
4H 高圧蒸気タービン
4L 低圧蒸気タービン
5 排気ガス加熱器
5B 補助排気ガス加熱器
6 排気ガス処理設備
7 EGR加熱器
11 圧縮機
11D 吸気ダクト
12 燃焼器
13 タービン
31 冷却塔
32 吸収塔
33 再生塔
34 リボイラー
90 制御装置
F フィルタ
G 発電機
H 外気湿度計測部
P 給水ポンプ
Te 排気ガス温度計測部
To 外気温度計測部
L1 排気ライン
L2 EGRライン
L4 吸収液回収ライン
L5 吸収液供給ライン
L6 冷却ライン
L7 吸収液抽出ライン
S1 第一ライン
S2 第二ライン
S3 第三ライン
S4 第四ライン
S5 第五ライン
S6 第六ライン
V 弁装置(供給量調整部)