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特開2024-100858眼用インプラントおよび送達システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100858
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】眼用インプラントおよび送達システム
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
A61F9/007 160
A61F9/007 170
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024080663
(22)【出願日】2024-05-17
(62)【分割の表示】P 2023044963の分割
【原出願日】2019-02-19
(31)【優先権主張番号】62/633,823
(32)【優先日】2018-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(72)【発明者】
【氏名】ブランダ、ウェンディ
(72)【発明者】
【氏名】シフマン、レット
(57)【要約】
【課題】所定の期間にわたって治療薬を制御可能に放出する。
【解決手段】眼のシュレム管の一部に少なくとも部分的に存在するように適合された眼用インプラントは、湾曲した容積内に延在する細長いポリマー本体であって、該湾曲した容積の長手方向軸が円弧を形成している、細長いポリマー本体と、ポリマー本体の隙間空間内に配置された少なくとも1つの治療薬とを備え、ポリマー本体が0.127ミリメートル(0.005インチ)~1.016ミリメートル(0.04インチ)の直径を有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼のシュレム管の一部に少なくとも部分的に存在するように適合された眼用インプラントであって、
細長い管状本体であって、湾曲した長手方向軸と該細長い管状本体の内側表面から外側表面にまで延在する複数の開口とを含む、細長い管状本体と、
前記細長い管状本体内に配置された細長いポリマー本体と、
前記細長いポリマー本体内に配置された少なくとも1つの治療薬と、を備え、
前記細長い管状本体は、複数の支柱をさらに含み、
前記細長い管状本体の径方向における前記支柱の厚さは、前記細長い管状本体の他の部分よりも厚く形成されている、眼用インプラント。
【請求項2】
複数の前記開口は、微小孔を含む、請求項1に記載の眼用インプラント。
【請求項3】
前記治療薬が眼内圧低下薬である、請求項1に記載の眼用インプラント。
【請求項4】
前記眼用インプラントが植え込まれたときに、前記治療薬は、1年~15年の期間に亘って前記細長いポリマー本体から溶出するように構成される、請求項1に記載の眼用インプラント。
【請求項5】
前記細長い管状本体の外側表面上に配置されたヘパリン関連コーティングをさらに備える、請求項1に記載の眼用インプラント。
【請求項6】
少なくとも1つの前記治療薬は、前記細長いポリマー本体の隙間空間内に配置される、請求項1に記載の眼用インプラント。
【請求項7】
眼のシュレム管の一部に少なくとも部分的に存在するように適合された眼用インプラントであって、
細長い管状本体であって、湾曲した長手方向軸と該細長い管状本体の内側表面から外側表面にまで延在する複数の開口とを含む、細長い管状本体と、
前記細長い管状本体内の表面面積の少なくとも一部に沿って配置されたコーティングであって、該コーティングは、少なくとも1つの治療薬を含む、コーティングと、を備え、
前記細長い管状本体は、複数の支柱をさらに含み、
前記細長い管状本体の径方向における前記支柱の厚さは、前記細長い管状本体の他の部分よりも厚く形成されている、眼用インプラント。
【請求項8】
前記コーティングは、前記眼用インプラントが前記眼に植え込まれたときに、1年~15年の期間に亘って前記治療薬を放出するように構成される、請求項7に記載の眼用インプラント。
【請求項9】
前記コーティングは、前記細長い管状本体の前記内側表面だけに配置されている、請求項7に記載の眼用インプラント。
【請求項10】
前記コーティングは、前記細長い管状本体の前記外側表面だけに配置されている、請求項7に記載の眼用インプラント。
【請求項11】
前記コーティングは、前記細長い管状本体の前記表面面積の少なくとも25%を覆う、請求項7に記載の眼用インプラント。
【請求項12】
前記コーティングは、前記細長い管状本体の前記表面面積の少なくとも50%を覆う、請求項7に記載の眼用インプラント。
【請求項13】
前記治療薬は、眼内圧低下薬を含む、請求項7に記載の眼用インプラント。
【請求項14】
前記治療薬は、抗炎症剤を含む、請求項7に記載の眼用インプラント。
【請求項15】
前記治療薬は、Rhoキナーゼ(ROCK)阻害薬を含む、請求項7に記載の眼用インプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、限定するものではないが、医療装置および医療装置を製造するための方法に関する。本発明は、概して、眼内に植え込まれる装置に関する。より詳細には、本発明は、眼の1つの領域内から眼の別の領域への流体の移動を容易にする装置に関する。さらに、本開示は、眼用インプラントを眼内へ送達するためのシステム、装置、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国国立衛生研究所(The United States National Institutes of Health)(NIH)の国立眼科研究所(The National Eye Institute)(NEI)による草案によれば、今や緑内障は世界で不可逆的失明の第1位の原因であり、世界中で白内障に続き失明の第2位の原因である。従って、NEI草案は、「この病気の病態生理学および取扱いを決定するために相当の注目および資金を充て続けることが重要である」と結論付けている。緑内障研究者は、高い眼内圧と緑内障との間に強い相関を見出している。このため、眼科治療専門家は、眼圧計として知られている装置を用いて眼内圧を測定することにより、患者を緑内障に関して常時検査する。多くの現代の眼圧計は、眼の外表面に突然空気を吹き込むことによってこの測定を行う。
【0003】
眼は流体で満たされた球体として概念化することができる。眼の内部には2種類の液体がある。水晶体の後ろにある房は、硝子体液として知られる粘性流体で満たされている。水晶体の前にある房は、房水と知られる液体で満たされている。ヒトが物体を見るときは常に、硝子体液と房水との両方を通してその物体を見ている。
【0004】
ヒトが物体を見るときは常に、同じく角膜と眼の水晶体とを通してその物体を見ている。透明であるために、角膜および水晶体は血管を含まない。従って、血液が角膜および水晶体を通って流れ、これらの組織に栄養を与え、およびこれらの組織から老廃物を除去することはない。代わりに、これらの機能は房水によって行われる。眼を通る房水の連続的な流れは、血管のない眼の部分(例えば、角膜および水晶体)に栄養を与える。この房水の流れはまた、これらの組織から老廃物を除去する。
【0005】
房水は、毛様体として知られる器官によって産生される。毛様体は、房水を連続的に分泌する上皮細胞を含む。健康な眼では、新しい房水が毛様体の上皮細胞から分泌されると、房水が眼の前房から流出し、小柱網を通ってシュレム管に流れる。流出した房水は、シュレム管から強膜上静脈系に入り、静脈血とともに運ばれ、眼を離れる。
【0006】
眼の自然排液機構が適切に機能しなくなると、眼の内側の圧力が上昇し始める。研究者らは、高い眼内圧に長時間さらされると、眼から脳へ感覚情報を伝達する視神経の損傷を引き起こすことを理論化した。視神経に対するこの損傷は、通常、初期的に周辺視野の喪失につながる。緑内障が進行するにつれて、ますます多くの視野が失われ、後に患者は完全に失明する。
【0007】
薬物治療に加えて、緑内障のための様々な外科的処置が行われている。例えば、房水を前房から眼外静脈へ導くためにシャントが植え込まれた(非特許文献1)。他の早期緑内障治療インプラントは、前房から結膜下小疱までつながった(例えば、(特許文献1)および(特許文献2))。さらに他のものは、前房からシュレム管の内側の点までつながるシャントであった((非特許文献2);(特許文献3);(特許文献4))。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4968296号明細書
【特許文献2】米国特許第5180362号明細書
【特許文献3】米国特許第6450984号明細書
【特許文献4】米国特許第6450984号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】リーおよびシェッペンズ(Lee and Scheppens)著、「水性-静脈シャントおよび眼内圧(Aqueous-venous shunt and intraocular pressure)」、インベスチゲイティブ・オフサルモロジー(Investigative Opthalmology)、1966年2月
【非特許文献2】スピーゲル(Spiegel)ら著、「シュレム管インプラント:POAG患者の眼内圧を下げる新しい方法?(Schlemm’s canal implant:a new method to lower intraocular pressure in patients with POAG?)」、オプタルミック・サージェリ・アンド・レーザズ(Ophthalmic Surgery and Lasers)、1999年6月
【発明の概要】
【0010】
本発明は、医療機器のための設計、材料、および製造方法の代替形態を提供する。
第1の例示的な例では、眼のシュレム管の一部に少なくとも部分的に存在するように適合された眼用インプラントは、内側表面および外側表面を有する管状本体を含み得、管状本体は、湾曲した容積(curved volume)内に延在し、湾曲した容積の長手方向軸が円弧を形成している。複数の開放領域および支柱領域が管状本体内に形成され得、支柱領域は複数の開放領域を取り囲む。ポリマーロッドは、管状本体の湾曲した容積内に配置され得る。少なくとも1つの治療薬は、ポリマーロッドの隙間空間内に配置され得る。管状本体は、0.127ミリメートル(0.005インチ)~1.016ミリメートル(0.04インチ)の直径を有し得る。
【0011】
別の例示的な例では、眼のシュレム管の一部に少なくとも部分的に存在するように適合された眼用インプラントは、湾曲した容積内に延在する細長いポリマー本体を含み得、湾曲した容積の長手方向軸が円弧を形成している。少なくとも1つの治療薬は、ポリマー本体の隙間空間内に配置され得る。ポリマー本体は、0.127ミリメートル(0.005インチ)~1.016ミリメートル(0.04インチ)の直径を有し得る。
【0012】
別の例示的な例では、システムは、基端部から先端部まで延在する通路を画定するカニューレを含み得る。カニューレは、トラフを形成するためにカニューレの側壁および先端部を通って延在する先端開口と、湾曲した先端部分と、湾曲した中間部分と、基端部分とを有し得る。システムは、カニューレの通路内に配置された、治療薬を含むポリマー要素を含む眼用インプラントをさらに含み得る。システムは、眼用インプラントの相補的な相互係止部分と係合する先端の相互係止部分を有する送達ツールをさらに含み得る。
【0013】
いくつかの例および実施形態の上記概要は、本開示の各開示された実施形態またはすべての実施形態を説明することを意図するものではない。以下の図面の簡単な説明および詳細な説明は、これらの実施形態をより具体的に例示するものであるが、同じく例示的なものであり限定するものでない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本開示は、添付の図面に関連する様々な実施形態の以下の詳細な説明を考慮することにより、より詳細に理解され得る。
図1】ヒトの眼の一部とシュレム管内に配置された眼用インプラントの一部とを示す概略斜視図である。
図2A図1のインプラントの一部を示す拡大斜視図である。
図2B】コーティングを含む図1のインプラントの一部を示す別の拡大斜視図である。
図3図1および2の眼用インプラントの本体によって画定された容積を示す斜視図である。
図4】眼用インプラントの本体と交差する第1の面を示す斜視図である。
図5】眼用インプラントに適用される曲げモーメントを示す斜視図である。
図6A】圧力センサを含む眼用インプラントの一部の拡大斜視図である。
図6B】線B-Bに沿って取られた図6Aの例示的な圧力センサの断面図である。
図6C】圧力センサを含む眼用インプラントの別の部分の拡大斜視図である。
図7】植え込まれた眼用インプラントからデータを受信する電子装置の概略図である。
図8】別の例示的な眼用インプラントの側面図である。
図9A-9B】図9Aは、図8の断面線A-Aに沿って取られた図8の眼用インプラントの拡大断面図であり、9Bは、図8の断面線B-Bに沿って取られた図8の眼用インプラントの拡大断面図である。
図10】別の例示的な眼用インプラントの側面図である。
図11図10の断面線A-Aに沿って取られた図10の眼用インプラントの拡大断面図である。
図12】別の例示的な眼用インプラントの側面図である。
図13図12の断面線A-Aに沿って取られた図12の眼用インプラントの拡大断面図である。
図14】別の例示的な眼用インプラントの側面図である。
図15図14の断面線A-Aに沿って取られた図14の眼用インプラントの拡大断面図である。
図16】任意の例示的な眼用インプラントと共に使用するための例示的なプラグである。
図17】この詳細な説明による医療処置の概略表現である。
図18図17に示される送達システムおよび眼をさらに示す拡大斜視図である。
図19A-19B】19Aは、眼用インプラントと、眼用インプラントを摺動式に受け入れるように寸法決めされた通路を画定するカニューレとを含む送達システムを示す斜視図であり、図19Bは、図19Aに示される眼用インプラントおよびカニューレ108をさらに示す拡大詳細図である。
図20】詳細な説明に従うカニューレの斜視図である。
図21図20に示されるカニューレと、カニューレによって画定された通路内に存在する眼用インプラントとを含むアセンブリの斜視図である。
図22図21に示すアセンブリを含む概略斜視図である。
図23図22のアセンブリに示すカニューレの一部を示す拡大斜視図である。
図24】前の図23に示す眼用インプラントおよびカニューレを示す追加的な斜視図である。
図25図24に示す眼用インプラントおよびカニューレを示す追加的な斜視図である。
図26図24および25に示す眼用インプラントおよびカニューレを示す追加的な斜視図である。
図27図24に示すカニューレが引き抜かれて眼用インプラントの入口部分が眼の前房内に残り、眼用インプラントの残り部分がシュレム管内に残った後のシュレム管の斜視図である。
図28A-28B】28Aは、眼用インプラントと、眼用インプラントを摺動式に受け入れるように寸法決めされた通路を画定するカニューレとを含む別の例示的な送達システムを示す斜視図であり、28Bは、図28Aに示す眼用インプラントおよびカニューレをさらに示す拡大詳細図である。
図29図28に示す送達システムおよび眼をさらに示す拡大斜視図である。
図30図28に示す送達システムをさらに示す斜視図である。
図31図38に示すカニューレをさらに示す側面図である。
図31A図28に示すカニューレを示す追加的な側面図である。
図32図28に示すカニューレをさらに示す拡大詳細図である。
図33図28に示すカニューレの先端部をさらに示す拡大斜視図である。
【0015】
本開示は、様々な修正形態および代替形態が可能であるが、本開示の詳細は、図面において例として示されており、かつ詳細に説明される。しかしながら、本発明は、記載した特定の実施形態に本発明を限定するものではないことが理解されるべきである。反対に、本発明は、本開示の技術思想および範囲に含まれるすべての修正、均等物、および代替物を網羅する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の記載は、図面を参照して理解されるべきであり、図面は必ずしも一定の縮尺ではなく、図面中、いくつかの図を通して同様の参照番号は同様の構成要素を示す。詳細な説明および図面は、特許請求される発明を例示することを意図しており、限定することを意図していない。当業者であれば、記載されかつ/または示される様々な構成要素は、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な組合せおよび構成で構成され得ることを認識するであろう。詳細な説明および図面は、特許請求される本発明の例示的な実施形態を示す。
【0017】
特定の用語の定義は、特許請求の範囲または本明細書の他の箇所において異なる定義が与えられていない限り、以下に提供され、かつ適用される。
すべての数値は、本明細書中、明示的に示されているかどうかにかかわらず、「約」という用語で修飾されていると考えられる。「約」という用語は、一般に、当業者が、記載された値と同等である(即ち、同じまたは実質的に同じ機能または結果を有する)と見なし得る数字の範囲を指す。多くの場合、「約」という用語は、最も近い有効数字に丸められた数字を含んでもよい。「約」という用語の他の(即ち、数値以外に関連する)使用は、特に明記されていない限り、明細書に関連して理解され、かつそれと矛盾しないような、それらの通常かつ慣習的な定義を有すると仮定することができる。
【0018】
終点による数値範囲の記載は、その範囲内のすべての数値を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)。
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される際、単数形「1つの」、および「その」は、特に断りのない限り、単数形および複数形の対象を含むか、または指す。本明細書および特許請求の範囲で使用される際、「または」という用語は、特に断りのない限り、「および/または」を含むように一般的に用いられる。
【0019】
本明細書中の「ある実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」等への言及は、記載された実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含み得るが、すべての実施形態がその特徴、構造または特性を必ずしも含まなくてもよいことを示すことに注意されたい。さらに、そのような語句は、必ずしも同じ実施形態に言及しているとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、または特性がある実施形態に関連して記載されている場合、明示的に記載されているかどうかにかかわらず、それとは反対に明示的に記載されていない限り、他の実施形態に関連してそのような特徴、構造または特性に影響を及ぼすことは当業者の認識内にあるであろう。すなわち、以下に記載される様々な各要素は、特定の組合せで明示的に示されていないとしても、それにもかかわらず、当業者によって理解され得るように、他の追加的な実施形態を形成するかまたは記載された実施形態を実行および/もしくは強化するために組合せ可能であるか、または互いに構成され得ることが考えられる。
【0020】
以下の詳細な説明は図面を参照して理解されるべきであり、異なる図面中の同様の構成要素は同じ参照番号で識別される。各図面は、必ずしも一定の縮尺ではないが、例示的な実施形態を示し、本開示の範囲を限定することは意図されない。
【0021】
図1は、ヒトの眼20の一部を示す概略斜視図である。眼20は、2つの眼房を有する流体で満たされた球体として概念化されている。眼20の強膜22は、硝子体液として知られる粘性流体で満たされた後房24を取り囲む。眼20の角膜26は、房水として知られる流体で満たされた前房30を包み込む。角膜26は、眼20の縁28で強膜22と接する。眼20の水晶体32は、前房30と後房24との間に配置される。水晶体32は、多数の毛様小帯34によって適所に保持される。人間が物体を見るときは、常に、角膜、房水、および眼の水晶体を通して物体を見ている。透明であるために、角膜および水晶体は血管を含まない。従って、血液が角膜および水晶体を通って流れ、これらの組織に栄養を与え、およびこれらの組織から老廃物を除去することはない。代わりに、これらの機能は房水によって行われる。眼を通る房水の連続的な流れは、血管のない眼の部分(例えば、角膜および水晶体)に栄養を与える。この房水の流れはまた、これらの組織から老廃物を除去する。
【0022】
房水は、毛様体として知られる器官によって産生される。毛様体は、房水を連続的に分泌する上皮細胞を含む。健康な眼内では、房水の流れは、新たな房水が毛様体の上皮細胞によって分泌されるときに眼から流れ出る。この余分な房水は最終的に血流に入り、眼から排出される静脈血によって運ばれる。
【0023】
健康な眼では、房水は、小柱網36を通って前房30から流れ出て、虹彩42の外縁に位置するシュレム管38に流入する。房水は、多数の出口40を通過するように流れることによってシュレム管38を出る。シュレム管38を出た後、房水は静脈血流に吸収される。
【0024】
図1では、眼用インプラント100は、眼20のシュレム管38に配置されている。眼用インプラント100は、複数の組織支持フレーム104と、複数の背骨106とを含む本体102を有する。本体102はまた、第1の開口124を画定する第1の縁部120および第2の縁部122を含む。第1の開口124はスロットとして形成され、本体102の内側表面128によって画定された長尺状の流路126と流体連通している。図1を参照すると、第1の開口124は本体102の外側130に配置されていることが認識される。従って、流路126は、第1の開口124により半径方向に外向きの方向132に開口する。
【0025】
眼用インプラント100は、前房からの房水の流れを促進するために、ヒトの眼のシュレム管に挿入され得る。この流れは、シュレム管に沿った軸方向の流れ、前房からシュレム管への流れ、シュレム管と連通する出口を介してシュレム管から流出する流れを含む。眼内の所定位置にある場合、眼用インプラント100は、小柱網組織およびシュレム管組織を支持し、(小柱網を介した)前房とシュレム管との間の、およびシュレム管に沿ったポケットまたは区画間の改善された連通を提供する。図1に示されるように、インプラントは、好ましくは、第1の開口124がシュレム管内で半径方向外向きに配置されるように向けられる。
【0026】
図2Aは、前の図に示された眼用インプラント100の一部を示す拡大斜視図である。眼用インプラント100は、概ね湾曲した長手方向軸134に沿って延在する本体102を有する。本体102は、複数の組織支持フレーム104と、複数の背骨106とを有する。図2Aに示されるように、これらの背骨106およびフレーム104は、各Aが組織支持フレームであり、各Bが背骨である反復ABパターンで配置される。図2Aの実施形態では、1つの背骨が、各隣接する一対のフレーム104間に延在する。
【0027】
本体102のフレーム104は、第1の背骨140と第2の背骨142との間に配置された眼用インプラント100の第1のフレーム136を含む。図2Aの実施形態では、第1のフレーム136は、第1の背骨140と第2の背骨142との間に延在する第1の支柱144として形成される。第1のフレーム136は、第1の背骨140と第2の背骨142との間に延在する第2の支柱146も含む。図2Aの例示的な実施形態では、各支柱は、第1の背骨140と第2の背骨142との間で長手方向に延在する場合に円周方向に波状となっている。
【0028】
図2Aの実施形態では、本体102は、長手方向の半径150および横方向の半径148を有する。眼用インプラント100の本体102は、第1の開口124を画定する第1の縁部120および第2の縁部122を含む。第1の開口124は、本体102の内側表面128によって画定された長手方向流路126と流体連通する。第2の開口は、第1の支柱144の第2の縁部122Aと第2の支柱146の第2の縁部122Bとによって画定される。第1の開口124、第2の開口138、および眼用インプラント100によって画定される追加の開口は、眼用インプラント100を横切って横方向におよび/または眼用インプラント100を通過して横方向に房水が流れることを可能にする。本体102の外側表面127は、容積152を画定する。
【0029】
いくつかの例では、眼用インプラント100は、図2Bに示すように、インプラント100の内側表面128および/または外側表面127上に配置されたコーティング129をさらに含むことができる。コーティング129は、外側表面127および内側表面128の両方の上に示されているが、コーティング129は、外側表面127または内側表面128の一方のみの上に存在してもよい。さらに、コーティング129は、外側表面127および内側表面128の全体にわたって延在するものとして示されているが、いくつかの実施形態では、コーティング129は、外側表面127および/または内側表面128の一部のみを覆ってもよい。例えば、コーティング129は、眼用インプラント100の表面面積の10%以上、25%以上、50%以上、または75%以上を覆ってもよい。これらは単なる例である。いくつかの例では、コーティング129は、必要に応じて、インプラント100の表面面積の10%未満または75%超過を覆ってもよい。
【0030】
コーティング129は、治療薬から形成され得るか、またはそうでなければ治療薬を含み得る。いくつかの実施形態では、コーティング129は治療薬を放出し得る。コーティング129は、ある期間に亘って治療薬を制御可能に放出し得る。いくつかの実施形態では、治療薬は、眼用インプラント100に直接適用され得るが、他の実施形態では、眼用インプラントは、マトリックス材料内に分散され得る。例えば、治療薬は、生体適合性ポリマー材料または生分解性ポリマー材料内に分散され得る。マトリックス材料内の治療薬の濃度は、所望の治療に応じて変化し得る。
【0031】
生物活性剤-ポリマー複合材料層(単数または複数)を形成するために使用される生体適合性ポリマー材料は、生物活性材料の存在下で固化された複合材料層を形成することができる任意のポリマー材料を含み得る。本発明のポリマー材料は、親水性でも疎水性であってもよく、例えば、ポリカルボン酸、セルロースポリマー(酢酸セルロースおよび硝酸セルロースを含む)、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、架橋ポリビニルピロリドン、ポリ無水物(無水マレイン酸ポリマーを含む)、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ビニルモノマーのコポリマー(EVA等)、ポリビニルエーテル、ポリビニル芳香族、ポリエチレンオキシド、グリコサミノグリカン、多糖類、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレートを含む)、ポリアクリルアミド、ポリエーテル、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリアルキレン(ポリプロピレン、ポリエチレン、および高分子量ポリエチレンを含む)、ハロゲン化ポリアルキレン(ポリテトラフルオロエチレンを含む)、ポリウレタン、ポリオルトエステル、タンパク質、ポリペプチド、シリコーン、シロキサンポリマー、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PLGA)、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸吉草酸(polyhydroxybutyrate valerate)およびそれらのブレンドおよびコポリマー、並びに他の生分解性、生体吸収性、および生体安定性ポリマーおよびコポリマーである。ポリウレタン分散体(バイヒドロール(BAYHDROL(登録商標)他))およびアクリルラテックス分散体などのポリマー分散体からのコーティングも、本発明の範囲内である。ポリマーは、例えば、タンパク質ポリマー、フィブリン、コラーゲン、およびそれらの誘導体、多糖類(セルロース、デンプン、デキストラン、アルギン酸塩、およびこれらの多糖類の誘導体等)、細胞外マトリックス成分、ヒアルロン酸、または別の生物学的薬剤、またはこれらのいずれかの適切な混合物などであり得る。コーティング129は、単一のポリマーまたはコポリマーを含むことができる。コーティング129はまた、上記の材料の任意のコポリマーまたは物理的ブレンドを含み得る。
【0032】
眼用インプラントと共に使用される治療薬は、以下に提供される1つ以上の薬物を、単独でまたは組み合わせて含み得る。使用される薬物はまた、以下に提供される1つ以上の薬物の同等物、その誘導体、または類似体であり得る。薬物は、抗緑内障薬、眼科薬、抗菌剤(例えば、抗生物質、抗ウイルス剤、抗寄生虫剤、抗真菌剤)、抗炎症剤(ステロイドまたは非ステロイド性抗炎症剤を含む)を含む医薬品、ホルモン、酵素または酵素関連成分、抗体または抗体関連成分、オリゴヌクレオチド(DNA、RNA、短鎖干渉RNA、アンチセンスオリゴヌクレオチドなどを含む)、DNA/RNAベクター、ウイルス(野生型または遺伝子組み換え型)またはウイルスベクター、ペプチド、タンパク質、酵素、細胞外マトリックス成分、および1つ以上の生物学的成分を産生するように構成された生細胞を含む生物学的薬剤を含み得るが、これらに限定されない。特定の薬物の使用は、その主要な効果または規制当局が承認した治療適応または使用方法に限定されない。薬物はまた、別の薬物または治療薬の1つまたは複数の副作用を軽減または治療する化合物または他の物質を含む。多くの薬物には複数の作用機序があるため、以下のいずれか1つの治療クラス内の特定の薬物のリストは、その薬物の1つの可能な使用法の代表例にすぎず、眼科用インプラントシステムでのその使用範囲を制限することを意図していない。
【0033】
治療薬を当技術分野で公知の任意の数の賦形剤と組み合わせることができる。上記の生分解性高分子賦形剤に加えて、ベンジルアルコール、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、セチルアルコール、クロスカルメロースナトリウム、デキストラン、デキストロース、フルクトース、ゼラチン、グリセリン、モノグリセリド、ジグリセリド、カオリン、塩化カルシウム、ラクトース、ラクトース一水和物、マルトデキストリン、ポリソルベート、アルファ化デンプン、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、二酸化ケイ素、コーンスターチ、タルクなどを含むが、これらに限定されない他の賦形剤を使用することができる。1つ以上の賦形剤は、約1%、5%、または10%程度の低い総量で含まれてもよく、他の実施形態では、50%、70%または90%程度の高い総量で含まれてもよい。
【0034】
薬物の例は、種々の抗分泌剤を含み得、種々の抗分泌剤には、抗有糸分裂薬および他の抗増殖剤(とりわけ、アンジオスタチン、アネコルタブアセテート、トロンボスポンジン、VEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤等の抗血管新生剤と、ラニビズマブ(ルセンティス(LUCENTIS(登録商標)))およびベバシズマブ(アバスチン(AVASTIN(登録商標)))、ペガプタニブ(マクジェン(MACUGEN(登録商標)))スニチニブおよびソラフェニブ等の抗血管内皮増殖因子(抗VEGF)薬と、抗血管新生効果を有する種々の既知の小分子および転写阻害剤とを含む)や、既知の眼科薬のクラス(アドレナリン拮抗薬等の緑内障薬(例えば、アテノロールプロプラノロール、メチプラノロール、ベタキソロール、ベタキソロールカルテオロール塩酸塩、レボベタキソロール、レボブノロール、レボブノロール塩酸塩、チモロール、チモロールヘミヒドラート、マレイン酸チモロール等のβ遮断薬を含む))や、アドレナリン作動薬または交感神経刺激薬(エピネフリン、ジピベフリン、クロニジン、アパルクロニジン、ブリモニジン等)や、副交感神経刺激薬またはコレリン作動薬(ピロカルピン、カルバコール、フォスフォリンアイオダイド、フィゾスチグミン、サリチル酸塩、塩化アセチルコリン、エセリン、フルオロリン酸ジイソプロピル、臭化デカリリウム等)や、ムスカリン作用薬や、炭酸脱水酵素阻害剤(例えば、アセトゾラミド、ブリンゾラミド、ドルゾラミドおよびメタゾラミド、エトキソラミド、ダイアモックス、およびジクロルフェナミド等の局所的および/または全身的薬剤を含む)や、散瞳薬-毛様体調節薬(アトロピン、シクロペントレート、スクシニルコリン、ホマトロピン、フェニレフリン、スコポラミン、およびトロピカミド等)や、プロスタグランジン(プロスタグランジンF2アルファ、抗プロスタグランジン、プロスタグランジン前駆体、またはプロスタグランジン類似物質(ビマトプロスト、ラタノプロスト、トラボプロスト、タフルプロスト、およびウノプロストン等)等)や、ドコサノイド化合物(ウノプロストン等)がある。
【0035】
薬物の他の例は、抗炎症薬(例えば、糖質コルチコイドおよびコルチコステロイド(ベタメタゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾン21-リン酸、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン21-リン酸、酢酸プレドニゾロン、プレドニゾロン、フルオロメトロン、ロテプレドノール、メドリソン、フルオシノロンアセトニド、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、フルオロメトロン、フルチカゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、ロテプレドノール、リメキソロン等)と、非ステロイド系抗炎症薬(例えば、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ブロフェナク、ネパフェナク、およびケトロラック、サリチル酸塩、インドメタシン、イブプロフェン、ナキソプレン、ピロキシカム、ナブメトン、およびアルデヒドトラップを含む)とを含む)と、抗感染症薬または抗菌薬(例えば、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、セファレキシン、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコール、リファンピシン、シプロフロキサシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、ペニシリン、スルホンアミド、スルファジアジン、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルフィソキサゾール、ニトロフラゾン、プロピオン酸ナトリウム、アミノグリコシド(ゲンタマイシンおよびトブラマイシン等)を含む抗生物質等)と、フルオロキノロン(シプロフロキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン等)と、バシトラシン、エリスロマイシン、フシジン酸、ネオマイシン、ポリミキシンB、グラミシジン、トリメトプリム、およびスルファセタミドと、抗真菌薬(antifungals)(アムホテリシンBおよびミコナゾール等)と、抗ウイルス薬(イドクスウリジントリフルオロチミジン、アシクロビル、ガンシクロビル、インターフェロン等)と、抗真菌薬(antimicotics)と、免疫調節薬(例えば、クロモグリク酸ナトリウム、アンタゾリン、メタピレリン、クロルフェニラミン、セトリジン、ピリラミン、プロフェンピリダミン抗ヒスタミン薬(アゼラスチン、エメダスチン、およびレボカバスチン等)を含む抗アレルギー薬等)と、免疫学的薬(ワクチンおよび免疫刺激剤等)と、MAST細胞安定薬(クロモリンナトリウム、ケトチフェン、ロドキサミド、ネドクリミル、オロパタジン、およびペミロラスト毛様体切除剤(pemirolastciliary body ablative agents)(ゲンチマイシンおよびシドフォビル等)等)と、他の眼科薬(ベルテポルフィン、プロパラカイン、テトラカイン、シクロスポリンおよびピロカルピン等)と、細胞表面糖タンパク質受容体の阻害薬と、充血緩和薬(フェニレフリン、ナファゾリン、テトラヒドラゾリン等)と、脂質または降圧性脂質(hypotensive lipids)と、ドーパミン作動薬および/またはドーパミン拮抗薬(キンピロール、フェノルドパム、イボパミン等)と、血管痙攣抑制薬と、血管拡張薬と、抗高血圧薬、アンジオテンシン変換酵素(ACE:angiotensin converting enzyme)阻害薬と、アンジオテンシン-!受容体拮抗薬(オルメサルタン等)と、微小管阻害薬と、分子モーター(ダイニンおよび/またはキネシン)阻害薬と、アクチン細胞骨格調節薬(サイトカラシン、ラトランクリン、スウィンホリドA、エタクリン酸、H-7、Rhoキナーゼ(ROCK)阻害薬等)と、リモデリング阻害薬と、細胞外マトリックスのモジュレーター(tert-ブチルヒドロキノロンおよびAL-3037A等)と、アデノシン受容体作動薬および/または拮抗薬(ジシアノピリジン、N-6-シクロヘキシルアデノシン(cylclophexyladenosine)および(R)-フェニルイソプロピルアデノシン等)と、セロトニン作動薬と、ホルモン剤(エストロゲン、エストラジオール、黄体ホルモン、プロゲステロン、インスリン、カルシトニン、副甲状腺ホルモン、ペプチド、およびバソプレシン視床下部放出因子等)と、成長因子作動薬または成長因子(例えば、上皮成長因子、線維芽細胞成長因子、血小板由来成長因子、形質転換成長因子ベータ、ソマトトラピン、フィブロネクチン、結合組織成長因子、骨形成タンパク質(BMP)を含む)と、サイトカイン(インターロイキン、CD44、コクリン、および血清アミロイド(血清アミロイドA等)等)とを含み得る。
【0036】
他の治療薬は、神経保護薬(ルベゾール、ニモジピン、および関連化合物等で、血流促進薬、ナトリウムチャネル遮断薬、グルタミン酸阻害薬(メマンチン、神経栄養因子、一酸化窒素シンターゼ阻害薬等)を含む)と、フリーラジカルスカベンジャーまたは抗酸化剤と、キレート化合物と、アポトーシス関連プロテアーゼ阻害薬と、新規タンパク質合成を減少させる化合物と、放射線治療薬と、光線力学療法薬と、遺伝子治療薬と、遺伝的モジュレーターと、ドライアイ治療薬(シクロスポリンA、デルマルセント(delmulcents)、ヒアルロン酸ナトリウム等)とを含み得る。使用することができる他の治療薬は、他のベータ遮断薬(アセブトロール、アテノロール、ビソプロロール、カルベジロール、アスモロール、ラベタロール、ナドロール、ペンブトロール、およびピンドロール等)と、他のコルチコステロイドおよび非ステロイド性抗炎症薬(アスピリン、ベタメタゾン、コルチゾン、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルドロコルチゾン、フルルビプロフェン、ヒドロコルチゾン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、メクロフェナメート、メフェナム酸、メロキシカム、メチルプレドニゾロン、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、プレドニゾロン、プリオキシカム、サルサレート、スリンダク、およびトルメチン等)と、COX-2阻害薬(セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ等)と、他の免疫調節薬(アルデスロイキン、アダリムマブ(ヒュミラ(HUMIRA(登録商標)))、アザチオプリン、バシリキシマブ、ダクリズマブ、エタネルセプト(エンブレル(ENBREL(登録商標)))、ヒドロキシクロロキン、インフリキシマブ(レミケード(REMICADE(登録商標)))、レフルノミド、メトトレキサート、ミコフェノール酸モフェチル、スルファサラジン等)と、他の抗ヒスタミン剤(ロラタジン、デスロラタジン、セチリジン、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、デクスクロルフェニラミン、クレマスチン、シプロヘプタジン、フェキソフェナジン、ヒドロキシジン、およびプロメタジン等)と、他の抗感染薬(アミカシンおよびストレプトマイシン等のアミノグリコシド等)と、抗真菌薬(アムホテリシンB、カスポファンギン、クロトリマゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ボリコナゾール、テルビナフィン、ナイスタチン等)と、抗マラリア薬(クロロキン、アトバコン、メフロキン、プリマキン、キニジン、キニーネ等)と、抗マイコバクテリア薬(エタンブトール、イソニアジド、ピラジナミド、リファンピン、リファブチン等)と、抗寄生虫薬(アルベンダゾール、メベンダゾール、チアベンダゾール、メトロニダゾール、ピランテル、アトバクオン、ヨードキナオール、イベルメクチン、パロマイシン、プラジカンテル、トリマトレキサート等)と、他の抗ウイルス薬(アシクロビル、シドフォビル、ファムシクロビル、ガンシクロビル、バラシクロビル、バルガンシクロビル、ビダラビン、トリフルリジン、およびホスカメット等の抗CMVまたは抗ヘルペス薬を含む)と、プロテアーゼ阻害薬(リトナビル、サキナビル、ロピナビル、インジナビル、アタザナビル、アンプレナビル、ネルフィナビル等)と、ヌクレオチド/ヌクレオシド/非ヌクレオシド逆転写酵素阻害薬(アバカビル、ddl、3TC、d4T、ddC、テノホビル、エムトリシタビン、デラビルジン、エファビレンツ、およびネビラピン等)と、他の抗ウイルス剤(インターフェロン、リバビリンおよびトリフルリジエン等)、他の抗菌薬(エルタペネム、イミペネム、メロペネム等のカバペネムを含む)と、セファロスポリン系薬剤(セファドロキシル、セファゾリン、セフジニル、セフジトレン、セファレキシン、セファクロル、セフェピム、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフォテタン、セフォキシチン、セフポドキシム、セフプロジル、セフタキシジム、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフロキシム、ロラカルベフ等)と、他のマクロライドおよびケトライド系薬(アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシンおよびテリスロマイシン等)と、ペニシリン系(クラブラン酸の有無にかかわらず)(アモキシシイイン、アンピシリン、ピバンピシリン、ジクロキサシリン、ナフシリン、オキサシリン、ピペラシリン、およびチカルシリンを含む)と、テトラサイクリン(ドキシサイクリン、ミノサイクリン、テトラサイクリン等)と、他の抗菌薬(アズトレオナム、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、リネゾリド、ニトロフラントインおよびバンコマイシン等)と、アルファ遮断薬(ドキサゾシン、プラゾシン、テラゾシン等)と、カルシウムチャネル遮断薬(アムロジピン、ベプリジル、ジルチアゼム、フェロジピン、イスラジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニソルジピン、ベラパミル等)と、他の降圧剤(クロニジン、ジアゾキシド、フェノルドパン、ヒドララジン、ミノキシジル、ニトロプルシド、フェノキシベンザミン、エポプロステノール、トラゾリン、トレプロスチニルおよび硝酸塩ベースの薬剤等)と、抗凝固剤(ヘパリン、ダルテパリン、エノキサパリン、チンザパリン、フォンダパリヌクス等のヘパリンおよびヘパリノイドを含む)と、他の抗凝固剤(ヒルジン、アプロチニン、アルガトロバン、ビバリルジン、デシルジン、レピルジン、ワルファリン、およびキシメラガトラン等)と、抗血小板薬(アブシキシマブ、クロピドグレル、ジピリダモール、オプチフィバチド、チクロピジン、チロフィバン等)と、プロスタグランジンPDE-5阻害剤および他のプロスタグランジン剤(アルプロスタジル、カルボプロスト、シルデナフィル、タダラフィル、およびバルデナフィル)と、トロンビン阻害薬と、抗血栓薬と、抗血小板凝集剤と、血栓溶解剤および/または血栓溶解薬(例えば、アルテプラーゼ、アニストレプラーゼ、レテプラーゼ、ストレプトキナーゼ、テネクテプラーゼおよびウロキナーゼ等)と、抗増殖剤(シロリムス、タクロリムス、エベロリムス、ゾタロリムス、パクリタキセル、およびミコフェノール酸等)と、ホルモン関連薬(レボチロキシン、フルオキシメストロン、メチルテストステロン、ナンドロロン、オキサンドロロン、テストステロン、エストラジオール、エストロン、エストロピペート、クロミフェン、ゴナドトロピン、ヒドロキシプロゲステロン、レボノルゲストレル、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、ミフェプリストン、ノルエチンドロン、オキシトシン、プロゲステロン、ラロキシフェン及びタモキシフェンを含む)と、抗腫瘍剤(アルキル化剤(カルムスチン、ロムスチン、メルファラン、シスプラチン、フルオロウラシル3等)、およびプロカルバジン抗生物質様製剤(ブレオマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、マイトマイシン、およびプリカマイシン等)を含む)と、抗増殖剤(1,3-シスレチノイン酸、5-フルオロウラシル、タキソール、ラパマイシン、マイトマイシンC、およびシスプラチン等)と、代謝拮抗薬(シタラビン、フルダラビン、ヒドロキシ尿素、メルカプトプリン、5-フルオロウラシル(5-FU)等)と、免疫調節薬(アルデスロイキン、イマチニブ、リツキシマブ、トシツモマブ等)と、細胞分裂阻害薬のドセタキセル、エトポシド、ビンブラスチンおよびビンクリスチンと、放射性物質(ストロンチウム-89等)と、他の抗腫瘍剤(イリノテカン、トポテカン、ミトタン等)とを含み得る。
【0037】
図3は、前の図に示された眼用インプラントの本体によって画定された容積152を示す追加の斜視図である。図3を参照すると、容積152は、概ね湾曲した長手方向軸134に沿って延在することが理解されるであろう。容積152は、長手方向の半径150、横方向の半径148、およびほぼ円形の横方向の断面153を有する。
【0038】
図4は、眼用インプラント100と交差する第1の平面154および第2の平面155を示す斜視図である。図4では、第1の平面154は斜線を付けて描かれている。図4を参照すると、本体102の背骨106は、概ね互いに整列しており、第1の平面154は、図4に示す全ての背骨106と交差していることが理解されるであろう。図4の実施形態では、眼用インプラント100の本体102は、第1の平面154を中心に概して対称である。
【0039】
図4の実施形態では、本体102の可撓性は、本体102が第1の平面154に沿って曲がっているときに最大であり、本体102は、第1の平面154以外の平面(例えば、第1の平面154と交差する平面)に沿って曲がっているときに可撓性が低くなる。例えば、図4に示す実施形態では、本体102は、第2の平面155に沿って曲げられたとき、第1の平面154に沿って曲がるときに本体102が有する第1の可撓性より低い第2の可撓性を有する。
【0040】
換言すれば、図4の実施形態では、本体102の曲げ弾性率は、本体102が第1の平面154に沿って曲げられるときに最小である。本体102は、第1の平面154に沿って曲げられるときに第1の曲げ弾性率を有し、第1の平面154以外の平面(例えば、第1の平面154と交差する平面)に沿って曲げられるときにより大きな曲げ弾性率を有する。例えば、図4に示す実施形態では、本体102は、第2の平面155に沿って曲げられたとき、第1の平面154に沿って曲げられたときに本体102が有する第1の曲げ弾性率より高い第2の曲げ弾性率を有する。
【0041】
図5は、前の図に示された眼用インプラント100の一部を示す拡大斜視図である。図5の例示的な実施形態では、曲げモーメントMが眼用インプラント100の本体102に加えられている。曲げモーメントMは、第1の平面154にほぼ直交する第1の軸156の周りに作用する。第2の軸158および第3の軸160が同じく図5に示されている。第2の軸158は、第1の軸156に対してほぼ垂直である。第3の軸160は、第1の軸156に対して傾いている。
【0042】
本体102の内側表面128は、流路126を画定する。眼用インプラント100の本体102は、第1の開口124を画定する第1の縁部120および第2の縁部123を含む。眼用インプラント100の流路126は、第1の開口124と流体連通する。第2の開口138は、第1の支柱144の第2の縁部122Aと第2の支柱146の第2の縁部122Bとによって画定される。第1の開口124、第2の開口138、および眼用インプラント100によって画定される追加の開口は、眼用インプラント100を横切って横方向に、および/または眼用インプラント100を通過して横方向に房水が流れることを可能にする。
【0043】
図5に示されるように、眼用インプラント100は、第1の背骨140および第2の背骨142を有する。第1の支柱144および第2の支柱146は、第1の背骨140と第2の背骨142との間に延在する眼用インプラント100の第1のフレーム136を形成する。図5の例示的な実施形態では、各支柱は、第1の背骨140と第2の背骨142との間で長手方向に延在する場合に円周方向に波状となっている。
【0044】
図5の実施形態では、本体102の可撓性は、本体102が第1の軸156の周りに作用するモーメントによって曲げられるときに最大であり、本体102は、第1の軸156以外の軸(例えば、第2の軸158および第3の軸160)の周りに作用するモーメントによって曲げられるときに低い可撓性を有する。換言すれば、本体102の曲げ弾性率は、本体102が第1の軸156の周りに作用するモーメントによって曲げられるときに最小であり、本体102は、第1の軸156以外の軸(例えば、第2の軸158および第3の軸160)の周りに作用するモーメントによって曲げられるときにより大きい曲げ弾性率を有する。同様の構造を有するいくつかの例示的な眼用インプラントは、参照により本明細書に組み込まれる「眼用インプラントおよび送達システム(OCULAR IMPLANT AND DELIVERY SYSTEM)」と題する、共通に譲渡された米国仮出願番号第62/267,794に記載されている。
【0045】
図6Aは、図2および4に示される眼用インプラント100の一部を示す拡大斜視図である。眼用インプラント100は、詳細Aに示されるように、インプラント100の出口に隣接する眼用インプラント100の内側表面128に取り付けられた眼内圧力センサ180をさらに含み得る。圧力センサ180は、眼用インプラント100の内側表面128に取り付けられるように示されているが、圧力センサ180は、必要に応じて、開口124、138のうちの1つの内部に、または眼用インプラント100の外側表面上に取り付けてもよいことが想定される。圧力センサ180は、眼用インプラント100が一度植え込まれると、患者の眼内圧を連続的に測定することができる。
【0046】
圧力センサ180は、微小電気機械システム(MEMS)圧力センサであってもよい。圧力センサ180は、MEMS圧力センサとして記載される一方、MEMS圧力センサの代わりにまたはそれに加えて、他の圧力センサも使用し得ることが想定される。いくつかの例では、圧力センサ180は、およそ0.02ミリメートル(20マイクロメートル)~およそ1.0ミリメートルの範囲の幅を有することができる。しかしながら、圧力センサ180は、0.02ミリメートル(20マイクロメートル)よりも小さいか、または1.0ミリメートルよりも大きいことが企図される。いくつかの例では、圧力センサ180は、ナノメートル範囲の幅寸法を有することができる。さらに、1つの圧力センサ180のみが示されているが、眼用インプラント100は、必要に応じて2つ以上の圧力センサ180を含むことができる。例えば、第1の圧力センサが眼用インプラント100の第1の端部に配置され、第2の圧力センサが眼用インプラントの第2の端部に配置されてもよい。いくつかの例では、圧力センサ180は、図6Cに示されるように、インプラント100の基端部101に隣接する流路128内に設けられてもよい。圧力センサ180は、眼用インプラント100の送達中に送達装置(明示的に示されていない)がセンサ180を損傷するのを防止する保護カバーを含み得ることが想定されるが、これは必須ではない。
【0047】
MEMS圧力センサは、多くの場合、シリコン基板のダイの裏側に向かって凹部を異方性エッチングし、薄い可撓性のダイヤフラム182を残すことによって形成される。動作中、ダイヤフラム182の少なくとも1つの表面は、入力圧力(例えば、眼圧)にさらされる。ダイヤフラム182は、入力圧力の大きさに従って撓み、ダイヤフラム182上に配置されるか、またはダイヤフラム182内に埋め込まれた1つまたは複数の電気構成要素またはセンサ素子186(例えば、ピエゾ抵抗器)によって入力圧力が検出され得る。ピエゾ抵抗器186の抵抗の変化は、ピエゾ抵抗器によって少なくとも部分的に形成された抵抗ブリッジからの出力電圧信号の変化として反映される。いくつかの例では、ダイヤフラムは、サポートボスを追加することでより薄くすることができ、これはダイヤフラムの感度を平板ダイヤフラムよりも高めることを促進し得る。圧力センサ180のボンドパッド188に出力信号を提供する前に、センサ素子186があるレベルの信号処理を提供するように回路素子が接続されてもよい。信号処理は、センサ素子(例えば、ピエゾ抵抗器186)によって生成された生のセンサ信号をフィルタリング、増幅、線形化、較正、および/または他の方法で処理することができる。センサ素子186はピエゾ抵抗器として記載されているが、センサ素子は容量性圧力センサ180を提供するように選択されてもよいことが想定される。
【0048】
圧力センサ180は、図6Aの線B-Bで取られた例示的な圧力センサ180の断面である図6Bに示すように、第1の基板185および第2の基板183を含むことができる。いくつかの例では、第1の基板185は、必須ではないが、シリコンオンインシュレータ(SOI:silicon on insulator)技術を用いて形成された層状シリコン-インシュレータ-シリコン基板またはウェハであってもよい。必要に応じて他の基板を使用し得ることが考えられる。第1の基板185は、第1のシリコン層を含むことができる。絶縁層または酸化物層187が第1のシリコン層185上に配置されてもよい。いくつかの例では、絶縁層187は、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、サファイア、および/または任意の他の適切な絶縁材料から形成することができる。明示的に示されていないが、圧力センサ180は、絶縁層上に配置された第2のシリコン層を含むことができる。いくつかの例では、第2の基板183から離れる方を向く側で酸化物層187が露出されるように、第2のシリコン層を薄くするかまたは除去することができる。代替的に、およびいくつかの例では、第2のシリコン層および酸化物層187は初めから設けられない。
【0049】
第2の基板183は、必要に応じて、任意の半導体ウェハ(例えば、シリコンまたはゲルマニウム)または他の基板とすることができる。第1の基板185または第2の基板183のいずれかまたは両方に不純物をドープして、n型またはp型の外因性半導体を提供し得ることが想定される。例えば、第1の基板185がn型基板であり、第2の基板183がp型基板であってもよい。逆の構成も考えられ、または両方の基板が同じ極性にドープされてもよい。いくつかの例では、第1の基板185および/または第2の基板183は、エピタキシャル層を含むことができる。
【0050】
第1のシリコン層の一部など、第1の基板185の一部は、キャビティまたは凹部181の上に薄い可撓性ダイヤフラム182を残して除去され得る。いくつかの例では、ピエゾ抵抗器186は、圧力センサを形成するために、ダイヤフラム182の撓み/応力を測定するようにダイヤフラム182内にまたはその上に配置されてもよい。使用中、ダイヤフラム182の少なくとも1つの表面は、入力圧力にさらされ得る。次いで、ダイヤフラム182は、ダイヤフラム182にかかる圧力の大きさに応じて撓むことができる。次いで、ダイヤフラム182の撓みは、ピエゾ抵抗器186の抵抗の変化をもたらす。ピエゾ抵抗器186の抵抗の変化は、少なくとも部分的にピエゾ抵抗器186によって形成された抵抗性ブリッジの出力電圧信号の変化として反映されてもよい。出力電圧は、ダイヤフラム182に及ぼされる入力圧力の尺度を提供する。
【0051】
第2の基板183は、基板183が眼用インプラント100の内側表面128に面一に取り付けられることを可能にするように可撓性であり得ることが想定される。代替的にまたは追加的に、第2の基板183は、眼用インプラント100の湾曲内側表面128に概ね一致するように成形された湾曲外側表面(ダイヤフラム182から離れる方を向く)を有してもよい。圧力センサ180を形成する材料は、圧力センサ180が生体適合性であるように選択されてもよいことが想定される。
【0052】
上述したように、圧力センサ180はMEMS圧力センサとして記載されているが、圧力センサ180は他の適切な形態を取り得ることが想定される。1つの代替的な例では、圧力センサは、装置に組み込まれたセンサ素子なしに圧力の変化を検出するために電波を使用できるような方法で形成することができる。このような圧力センサは、可撓性ベース基板と、ベース基板上に配置された底部誘導コイルと、底部誘導コイル上に配置された感圧ゴムピラミッド層と、ゴムピラミッドの上部に配置された上部誘導コイルと、上部誘導コイルの上に配置された上部基板とを含んでもよい。センサに圧力が加えられると、誘導コイルは互いに近接する。誘導コイルによって反射された(印加された源からの)電波は、コイルがより接近して配置された場合、より低い共振周波数を有する。従って、電波の周波数はコイル間の距離を示すことができ、これが次いで装置にかかる圧力に相関される。
【0053】
圧力センサ180は、圧力センサ180からのデータを読取装置に無線で通信することを可能にするためにアンテナまたはインダクタ184をさらに備え得る。いくつかの例では、圧力センサ180は、圧力センサ180から身体の外側に位置する別の装置にデータを送信することが望まれる場合、限定しないが、セルラー通信、ジグビー(ZigBee(登録商標))、ブルートゥース(登録商標)(Bluetooth(登録商標))、ワイファイ(WiFi(登録商標))、IrDA、専用短距離通信(DSRC:dedicated short range communication)、エンオーシャン(EnOcean(登録商標))、Z-Wave、または、他の任意の適切な無線プロトコルなどの無線周波数通信プロトコルを使用してもよい。データは、携帯電話、タブレットまたはラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ポータブルハンドヘルドデバイス、そのようなパーソナルデジタルアシスタント(PDA:personal digital assistant)、または医療装置などであるがこれに限定されない特別に設計された装置を含むがこれらに限定されない任意の数のそのように適切にイネーブルにされた装置に伝送されてもよい。これは、医師、患者、または他の関係者が眼圧計を使用せずに眼圧を監視することを可能にし得る。いくつかの例では、圧力データは、遠隔装置から医師に自動的に伝送されてもよい。例えば、圧力センサ180を備えた眼用インプラント100が植え込まれると、図7に示すように、イネーブル状態の遠隔装置192を患者190の眼の通信範囲内入れることができる。これは、イネーブル状態の装置192が、圧力センサ180に記録された眼内圧データを受信することを可能にし得る。イネーブル状態の装置192は、データを医者に、例えば第2の遠隔装置に自動的に伝送するように構成されてもよい。
【0054】
前房からの房水の流れを促進するように構成および配置された、インプラント100などの眼用インプラントに加えて、またはその代わりに、眼内圧低下薬(またはコーティング129に関して本明細書に記載されているものを含むがこれらに限定されない任意の他の治療薬)を送達するために、眼用インプラントが提供されてもよい。図8は、ある期間にわたって眼に治療薬を送達するために使用され得る例示的なインプラント200の斜視図である。インプラント200は、数時間、数日、数週間、またはさらには数年の期間の間、制御された用量または速度で治療薬を送達するように構成され得ることが企図される。いくつかの例では、治療薬は、1~20年、5~15年、または約10年の期間の間送達され得ることが企図される。いくつかの例では、インプラント200は、必要に応じて、1年未満、または20年を超えて治療薬を送達するように構成され得る。インプラント200が治療薬を送達することができる時間の長さは、インプラントのサイズ、ステントに装填される治療薬の量、治療薬の送達速度、患者に依存する他の生物学的因子、および/またはそれらの組み合わせに依存し得ることが企図される。
【0055】
インプラント200は、眼用インプラント100に関して上述した本体102およびフレーム104と形状および機能が類似する本体部分202を含むことができる。本体部分202は、複数のスプライン204と、スプライン204の間に延在する複数の支柱208とを有するフレーム206を含み得る。フレーム206は、(上述の開口124と同様に)半径方向外向きに配置されるように構成された第1の開口210(または複数の開口)を含み得る。フレーム206は、半径方向内向きの位置(例えば、前房30に対向する)で配置されるように構成された第2の開口212(または複数の開口)を含み得る。長手方向に延在する流路220は、インプラント200の基端部216からインプラント200の先端部218にまで延在する。
【0056】
治療薬218が装填されたポリマーロッド214は、長手方向に延在する流路220内に配置される。例えば、ポリマーロッド214は、ポリシロキサン(例えば、シリコーン)、ポリウレタン、ポリ乳酸(PLA)、ポリビニルアルコール、ポリ乳酸-グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンテレフタレート、またはポリエステル、またはそれらの混合物、組み合わせ、ブレンドまたはコポリマー等の生体適合性ポリマーから形成され得るが、これらに限定されるものではない。いくつかの例では、架橋ポリマー系を使用して、高分子のクリープを回避することが望ましい場合がある。いくつかの例では、ポリマーロッド214の全部または一部が多孔質であってもよく、それにより、特定の物質がポリマーロッド214の側壁を通過してロッド214内の細孔または隙間空間(interstitial spaces)に浸透または拡散することが可能となる。ポリマーロッド214の多孔度(例えば、全容積に対する隙間容積の割合)は、例えば、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、または約80%以上であり得る。
【0057】
ポリマーロッド214には、治療薬218を装填することができる(例えば、図9Aおよび9Bを参照)。例えば、ポリマーロッド214の間隙空間は、1つまたは複数の治療薬218で満たされてもよい。ポリマーロッド214は、ロッド214が正確な量の治療薬を有するように、治療薬218で満たされ得ることが企図される。体内に植え込まれると、治療薬218は、ロッド214の多孔性側壁の平均孔径によって少なくとも部分的に決定される所定の期間に亘って、ポリマーロッド214の多孔性側壁を通って拡散し得る。従って、治療薬218の放出速度は、既知であり、かつロッド214の多孔度によって少なくとも部分的に決定され得る。例えば、ロッド214の多孔度は、分、時間、日、週、月、年などの期間にわたって治療薬218を制御可能に放出するように選択され得る。いくつかの実施形態では、ロッド214からの治療薬218の放出の持続時間は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約12時間、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約1週間、約2週間、約3週間、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約1年、約2年、約5年、約10年、またはそれ以上であり得る。従って、ポリマーロッド214は、治療薬放出の所望の速度が提供されるように、その多孔度に関して選択され得る。
【0058】
いくつかの例では、治療薬218およびポリマーロッド214を形成するためのモノマーまたはポリマーは、液体またはスラリーとして流路220に注入され、流路220内で固化され得る。ポリマーの固化は、装置200を、UV光源、熱、試薬などの架橋開始剤にさらすことを含み得ることが企図される。他の例では、ポリマーロッド214および治療薬218は、流路220の外側で形成され、その後、流路220に装填されてもよい。
【0059】
図9Aは、図8に示す断面線A-Aに沿って取られた眼用インプラント200の横方向断面図である。断面線A-Aは、これらの支柱の円周方向のうねりが最大になる点で、フレーム206の一対の支柱208と交差する。ポリマーロッド214は、流路220内に配置される。第1の開口212は、流路126と流体連通する。図9Bは、図8に示す断面線B-Bに沿って取られた眼用インプラント200の横方向断面図である。断面線B-Bは、眼用インプラント200の背骨204と交差する。いくつかの例では、フレーム206および/またはポリマーロッド214は、ロッド214を定位置に保持するためにスリーブ216により包まれ得る。スリーブ216は、溶出を制御するように構成されたシリコーンスリーブまたは他の多孔性材料であってもよいが、これは必須ではない。スリーブ216は、治療薬218の放出を制御するように選択された細孔のサイズを有し得ることが企図される。スリーブ216および/またはフレーム206には、治療薬218を眼の前房に向けるために、半径方向内側の表面に追加の開口または窓が設けられてもよい。いくつかの例では、スリーブ216(そのように提供される場合)、またはフレーム206およびロッド214の外側表面が、ヘパリンまたはヘパリン関連コーティングでコーティングされて、薬物の溶出を阻害し得る装置200の表面上への組織または他の破片の付着を防止するようにしてもよい。
【0060】
眼用インプラント200は、(眼用インプラント200が前房に配置されたとしても)眼用インプラント200が固定され、かつ自由に浮遊しないように、シュレム管に挿入され得る。これは、インプラント200が移動によって角膜または他の組織を損傷する可能性を低減し得る。さらに、インプラント200をシュレム管に配置することにより、治療薬218を、小柱網によってインプラント200に到達する房水と連続的に接触させることができる。
【0061】
図10は、前房からの房水の流れを促進するように構成および配置された、インプラント100などの眼用インプラントに加えて、またはその代わりに、ある期間に亘って治療薬を眼に送達するために使用され得る別の例示的なインプラント300の斜視図である。インプラント300は、数時間、数日、数週間、またはさらには数年の期間、制御された用量または速度で治療薬を送達するように構成され得ることが企図される。いくつかの例では、治療薬は、1~20年、5~15年、または約10年の期間の間送達され得ることが企図される。いくつかの例では、インプラント300は、必要に応じて、1年未満、または20年を超えて治療薬を送達するように構成され得る。インプラント300が治療薬を送達することができる時間の長さは、インプラントのサイズ、ステントに装填される治療薬の量、治療薬の送達速度、患者に依存する他の生物学的因子、および/またはそれらの組み合わせに依存し得ることが企図される。
【0062】
インプラント300は、基端部306から先端部304まで延在する細長い管状本体302を含み得る。管腔308は、基端部306から先端部304まで延在する。いくつかの場合において、先端部304は、眼を通過する前進を容易にするために先細状または先鋭状であり得るが、これは必須ではない。基端部306は、図19Aおよび19Bに関して説明されたものと同様に、送達装置上の嵌合特徴と係合するように構成されたインターロック特徴314を含み得る。細長い管状本体302は、上記のインプラント100と同様の方法で、その長手方向軸に沿って湾曲され得る。細長い管状本体302は、必要に応じて、ニチノール、ステンレス鋼、または他の材料であり得る。細長い管状本体302は、治療薬が管腔308から細長い管状本体302の外部の点まで(例えば、管腔308の頂部から管状本体302の外側の点まで)通過することを可能にするために、管状本体302の内側表面から外側表面にまで延在する複数の微小孔を含み得る。いくつかの例では、微小孔は、治療薬を眼の前房に向けるために、管状部材302の半径方向内側部分に存在してもよい。ただし、これは必須ではない。微小孔は、必要に応じて、管状本体302の半径方向外側部分、管状本体302全体、管状本体302の長さの一部、および/または管状本体302の周囲の一部上に存在してもよい。
【0063】
図10に示す断面線A-Aに沿って取られた眼用インプラント300の横方向断面図を示す図11に示されるように、治療薬312が装填されたポリマーロッド310が管腔308内に配置される。ポリマーロッド310は、ポリシロキサン(例えば、シリコーン)、ポリウレタン、ポリ乳酸(PLA)、ポリビニルアルコール、ポリ乳酸-グリコール酸共重合体(PLGA:poly(lactic-co-glycolic) acid)、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンテレフタレート、またはポリエステル、またはそれらの混合物、組み合わせ、ブレンドまたはコポリマー等の生体適合性ポリマーから形成され得るが、これらに限定されるものではない。いくつかの例では、架橋ポリマー系を使用して、高分子のクリープを回避することが望ましい場合がある。いくつかの例では、ポリマーロッド310の全部または一部が多孔質であってもよく、それにより、特定の物質がポリマーロッド310の側壁を通過してロッド310内の細孔または隙間空間に浸透または拡散することが可能となる。ポリマーロッド310の多孔度(例えば、全容積に対する隙間容積の割合)は、例えば、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、または約80%以上であり得る。
【0064】
ポリマーロッド310には、治療薬312を装填することができる。治療薬は、眼圧低下薬(または、コーティング129に関して本明細書に記載されているものを含むがこれらに限定されない任意の他の治療薬)であってもよい。例えば、ポリマーロッド310の隙間空間は、1つまたは複数の治療薬312で満たされてもよい。ポリマーロッド310は、ロッド310が正確な量の治療薬を有するように、治療薬312で満たされ得ることが企図される。体内に植え込まれると、治療薬312は、ロッド310および/または管状本体302の多孔性側壁の平均孔径によって少なくとも部分的に決定される所定の期間に亘って、ポリマーロッド310の多孔性側壁および管状本体302の多孔性壁を通って拡散し得る。従って、治療薬312の放出速度は、既知であり、かつロッド310の多孔度によって少なくとも部分的に決定され得る。例えば、ロッド310および/または管状本体302の多孔度は、分、時間、日、週、月、年などの期間にわたって治療薬312を制御可能に放出するように選択され得る。いくつかの実施形態では、ロッド310からの治療薬312の放出の持続時間は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約12時間、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約1週間、約2週間、約3週間、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約1年、約2年、約5年、約10年、またはそれ以上であり得る。従って、ポリマーロッド310および/または管状本体302は、治療薬放出の所望の速度が提供されるように、その多孔度に関して選択され得る。
【0065】
いくつかの例では、治療薬312およびポリマーロッド310を形成するためのモノマーまたはポリマーは、液体またはスラリーとして管腔308に注入され、管腔308内で固化され得る。ポリマーの固化は、デバイス300を、UV光源、熱、試薬などの架橋開始剤にさらすことを含み得ることが企図される。他の例では、ポリマーロッド310および治療薬312は、管腔308の外側で形成され、その後、管腔308に装填されてもよい。
【0066】
いくつかの例では、細長い管状本体302が、ヘパリンまたはヘパリン関連コーティングでコーティングされて、薬物の溶出を阻害し得るインプラント300の表面上への組織または他の破片の付着を防止するようにしてもよい。眼用インプラント300は、(眼用インプラント300が前房に配置されたとしても)眼用インプラント300が固定され、かつ自由に浮遊しないように、シュレム管に挿入され得る。これは、インプラント300が移動によって角膜または他の組織を損傷する可能性を低減し得る。さらに、インプラント300をシュレム管に配置することにより、治療薬312を、小柱網によってインプラント300に到達する房水と連続的に接触させることができる。
【0067】
図12は、前房からの房水の流れを促進するように構成および配置された、インプラント100などの眼用インプラントに加えて、またはその代わりに、ある期間に亘って治療薬を眼に送達するために使用できる別の例示的なインプラント330の斜視図である。インプラント330は、数時間、数日、数週間、またはさらには数年の期間、制御された用量または速度で治療薬を送達するように構成され得ることが企図される。いくつかの例では、治療薬は、1~20年、5~15年、または約10年の期間の間送達され得ることが企図される。いくつかの例では、インプラント330は、必要に応じて、1年未満、または20年を超えて治療薬を送達するように構成され得る。インプラント330が治療薬を送達することができる時間の長さは、インプラントのサイズ、ステントに装填される治療薬の量、治療薬の送達速度、患者に依存する他の生物学的因子、および/またはそれらの組み合わせに依存し得ることが企図される。
【0068】
インプラント330は、基端部336から先端部334まで延在する細長い本体332を含み得る。基端部336は、図19Aおよび19Bに関して説明されたものと同様に、送達装置上の嵌合特徴と係合するように構成されたインターロック特徴338を含み得る。細長い本体332は、概して多孔性を有しているが、それ以外は実質的に中実の断面を有し得る(例えば、図12に示す断面線A-Aに沿って取られた眼用インプラント300の横方向断面図を示す図13を参照されたい)。換言すれば、細長い本体332は、本明細書に記載されている他のインプラントの細長い管腔および/または流路を欠いていてもよい。細長い本体332は、上記のインプラント100と同様の方法で、その長手方向軸に沿って湾曲され得る。細長い本体332は、ポリシロキサン(例えば、シリコーン)、ポリウレタン、ポリ乳酸(PLA)、ポリビニルアルコール、ポリ乳酸-グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンテレフタレート、またはポリエステル、またはそれらの混合物、組み合わせ、ブレンドまたはコポリマー等の生体適合性ポリマーから形成され得るが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、ポリマーは生分解性であり得る。いくつかの例では、架橋ポリマー系を使用して、高分子のクリープを回避することが望ましい場合がある。いくつかの例では、細長い本体332の全部または一部が多孔質であってもよく、それにより、特定の物質が細長い本体332の側壁を通過して細長い本体332内の細孔または隙間空間に浸透または拡散することができる。細長い本体332の多孔度(例えば、全容積に対する隙間容積の割合)は、例えば、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、または約80%以上であり得る。
【0069】
細長い本体332には、治療薬340を装填することができる。治療薬は、眼圧低下薬(または、コーティング129に関して本明細書に記載されているものを含むがこれらに限定されない任意の他の治療薬)であってもよい。例えば、細長い本体332の隙間空間は、1つまたは複数の治療薬340で満たされてもよい。細長い本体332は、細長い本体332が正確な量の治療薬を有するように、治療薬340で満たされ得ることが企図される。体内に植え込まれると、治療薬340は、細長い本体332および/または管状本体332の多孔性側壁の平均孔径によって少なくとも部分的に決定される所定の期間に亘って、細長い本体332の多孔性側壁および管状本体332の多孔性壁を通って拡散し得る。従って、治療薬340の放出速度は、既知であり、かつ細長い本体332の多孔度によって少なくとも部分的に決定され得る。例えば、細長い本体332および/または管状本体332の多孔度は、分、時間、日、週、月、年などの期間に亘って治療薬340を制御可能に放出するように選択され得る。いくつかの実施形態では、細長い本体332からの治療薬340の放出の持続時間は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約12時間、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約1週間、約2週間、約3週間、約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5か月、約6か月、約1年、約2年、約5年、約10年、またはそれ以上であり得る。従って、細長い本体332および/または管状本体332は、治療薬放出の所望の速度が提供されるように、その多孔度に関して選択され得る。
【0070】
いくつかの例では、細長い管状本体332が、ヘパリンまたはヘパリン関連コーティングでコーティングされて、薬物の溶出を阻害し得るインプラント330の表面上への組織または他の破片の付着を防止するようにしてもよい。眼用インプラント330は、(眼用インプラント330が前房に配置されたとしても)眼用インプラント330が固定され、かつ自由に浮遊しないように、シュレム管に挿入され得る。これは、インプラント330が移動によって角膜または他の組織を損傷する可能性を低減し得る。さらに、インプラント400をシュレム管に配置することにより、治療薬340を、小柱網によってインプラント330に到達する房水と連続的に接触させることができる。
【0071】
図14は、前房からの房水の流れを促進するように構成および配置された、インプラント100などの眼用インプラントに加えて、またはその代わりに、ある時間に亘って治療薬を眼に送達するために使用できる別の例示的なインプラント350の斜視図である。インプラント350は、数時間、数日、数週間、またはさらには数年の期間、制御された用量または速度で治療薬を送達するように構成され得ることが企図される。いくつかの例では、治療薬は、1~20年、5~15年、または約10年の期間の間送達され得ることが企図される。いくつかの例では、インプラント350は、必要に応じて、1年未満、または20年を超えて治療薬を送達するように構成され得る。インプラント350が治療薬を送達することができる時間の長さは、インプラントのサイズ、ステントに装填される治療薬の量、治療薬の送達速度、患者に依存する他の生物学的因子、および/またはそれらの組み合わせに依存し得ることが企図される。
【0072】
インプラント300は、基端部356から先端部354まで延在する細長い管状本体352を含み得る。管腔358は、基端部356から先端部354まで延在する。いくつかの場合において、先端部354は、眼を通過する前進を容易にするために先細状または先鋭状であり得るが、これは必須ではない。基端部356は、図19Aおよび19Bに関して説明されたものと同様に、送達装置上の嵌合特徴と係合するように構成されたインターロック特徴360を含み得る。細長い管状本体352は、上述のインプラント100と同様の方法で、その長手方向軸に沿って湾曲され得る。細長い管状本体352は、必要に応じて、ニチノール、ステンレス鋼、または他の材料であり得る。
【0073】
図14に示す断面線A-Aに沿って取られた眼用インプラント300の横方向断面図を示す図15に示されるように、治療薬362は、管腔358内に装填され得る。治療薬362は、眼圧低下薬(または、コーティング129に関して本明細書に記載されているものを含むがこれらに限定されない他の治療薬)であってもよい。例えば、インプラント350の管腔358は、1つまたは複数の治療薬362で満たされてもよい。管腔358は、インプラント350が正確な量の治療薬362を有するように、治療薬362で満たされ得ることが企図される。
【0074】
管腔358は、図16に示されるプラグ364などの取り外し可能なプラグ、キャップ、またはストッパを使用して、先端部354および/または基端部356に隣接してブロックされるか、または塞がれ得る。いくつかの例では、プラグ364は、先細の構成を有し得る。他の実施形態では、プラグ364は、プラグ364の第1の端部から第2の端部まで均一な直径を有し得る。プラグ364は、管腔358内に摩擦嵌合を形成して、インプラント350の管腔358からの治療薬の流れを実質的にブロックすることができることが企図される。プラグ364は、治療薬362の拡散を制限または制御するように構成されたポリマーから少なくとも部分的に形成され得る。例えば、プラグ364は、ポリシロキサン(例えば、シリコーン)、ポリウレタン、ポリ乳酸(PLA)、ポリビニルアルコール、ポリ乳酸-グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンテレフタレート、またはポリエステル、またはそれらの混合物、組み合わせ、ブレンド、またはコポリマー等の生体適合性ポリマーから形成され得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ポリマーは生分解性であり得る。いくつかの例では、架橋ポリマー系を使用して、高分子のクリープを回避することが望ましい場合がある。いくつかの例では、プラグ364の全部または一部が多孔性であってもよく、それにより、特定の物質がプラグ364を通過して浸透または拡散することができる。プラグ364の多孔度(例えば、全容積に対する隙間容積の割合)は、例えば、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、または約80%以上であり得る。いくつかの例では、ポリマーが金属キャップまたはフレームに注入され得る。他の例では、プラグ356は、完全にポリマー材料から形成されてもよい。いくつかの例では、インプラント302の本体352はまた、本明細書に記載されるように、治療薬362の拡散をさらに制御するために多孔性であり得ることが企図される。
【0075】
体内に植え込まれると、治療薬362は、プラグ364の平均孔径によって少なくとも部分的に決定される所定の期間に亘って、多孔質プラグ364を通って拡散し得る。従って、治療薬362の放出速度は、既知であり、かつプラグ364の多孔度によって少なくとも部分的に決定され得る。例えば、プラグ364の多孔度は、分、時間、日、週、月、年などの期間にわたって治療薬362を制御可能に放出するように選択され得る。いくつかの実施形態では、インプラント350からの治療薬362の放出の持続時間は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約12時間、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約1週間、約2週間、約3週間、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約1年、約2年、約5年、約10年、またはそれ以上であり得る。従って、ポリマーロッド310および/または管状本体352は、治療薬放出の所望の速度が提供されるように、その多孔性に関して選択され得る。
【0076】
いくつかの例では、細長い管状本体352が、ヘパリンまたはヘパリン関連コーティングによりコーティングされて、薬物溶出を阻害し得るインプラント300の表面上への組織または他の破片の付着を防止するようにしてもよい。眼用インプラント350は、(眼用インプラント350が前房に配置されたとしても)眼用インプラント350が固定され、かつ自由に浮遊しないように、シュレム管に挿入され得る。これは、インプラント350の移動によって角膜または他の組織を損傷する可能性を低減し得る。さらに、インプラント350をシュレム管に配置することにより、治療薬362を、小柱網によってインプラント350に到達する房水と連続的に接触させることができる。
【0077】
図17は、この詳細な説明による医療処置の概略表現である。図17の処置では、医師は患者Pの眼400を治療している。図17の処置では、医師は、自らの右手RHに送達システム450のハンドピースを保持している。医師の左手(図示せず)は、ゴニオレンズ402のハンドルHを保持するために使用されてもよい。あるいは、一部の医師は、左手に送達システムハンドピースを、右手RHにゴニオレンズハンドルHを保持することを好み得る。眼用インプラント送達システムのさらなる詳細は、2007年11月20日に出願された米国特許出願第11/943,289号明細書、現在は米国特許第8,512,404号明細書に見出すことができ、その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0078】
図17に示す処理中、医師は、ゴニオレンズ402および顕微鏡404を使用して前房の内部を見ることができる。図17の詳細Aは、医師が見た画像の定型化されたシミュレーションである。カニューレ452の先端部分が詳細Aにおいて見ることができる。影のような線は、前房を取り囲む様々な組織(たとえば、小柱網)の下に横たわるシュレム管SCの位置を示す。カニューレ452の先端開口454は、眼400のシュレム管SCの近くに配置される。
【0079】
この詳細な説明による方法は、カニューレ452の先端部が眼の前房内に配置されるようにカニューレ452の先端部を眼400の角膜を通して前進させるステップを含むことができる。次いで、カニューレ452は、例えば、カニューレ452の先端部でシュレム管の壁を貫通することにより、眼のシュレム管に進入するために使用されてもよい。カニューレ452の先端開口454は、シュレム管によって画定された管腔と流体連通した状態に置かれてもよい。眼用インプラントは、先端開口454からシュレム管内に前進させることができる。シュレム管内への眼用インプラントの挿入は、眼の前房からの房水の流れを促進し得る。
【0080】
図18は、前の図に示された送達システム450および眼400をさらに示す拡大斜視図である。図18では、眼400の角膜426を通って延在する送達システム450のカニューレ452が示されている。カニューレ452の先端部分は、眼400の角膜426によって画定される前房の内部に配置される。図18の実施形態において、カニューレ452は、カニューレ452の先端開口454がシュレム管と流体連通した状態に置かれることができるように構成されている。
【0081】
図18の実施形態では、眼用インプラントは、カニューレ452によって画定された通路内に配置される。送達システム450は、カニューレ452の長さに沿って眼用インプラントを前進および後退させることができる機構を含む。先端開口がシュレム管と流体連通している間に、眼用インプラントをカニューレ452の先端開口を通して前進させることにより、眼用インプラントは眼400のシュレム管内に配置されてもよい。
【0082】
図19Aは、眼用インプラント550と、眼用インプラント550を摺動式に受け入れるように寸法決めされた通路を画定するカニューレ508とを含む送達システム500を示す斜視図である。送達システム500は、眼用インプラント550を患者の眼内の目標位置に向けて前進させるように使用されてもよい。いくつかの用途において適切であり得る目標位置の例は、シュレム管、小柱網、脈絡膜上腔および眼の前房内および周囲の領域を含む。図19Bは、送達システム500の眼用インプラント550およびカニューレ508をさらに示す拡大詳細図である。
【0083】
図19Aの送達システム500は、カニューレ508内の眼用インプラント550の前進および後退を制御することができる。眼用インプラント550は、先端開口がシュレム管と流体連通している間、カニューレ508の先端開口532を通して眼用インプラントを前進させることによって、目標位置(例えば、シュレム管)内に配置することができる。図19Aの実施形態では、眼用インプラント550は、説明のために、カニューレ508の先端開口532を通って前進されている。
【0084】
図19Aの送達システム500は、ハウジング502、スリーブ504、およびエンドキャップ510を含む。トラッキングホイール506が、図19Aのハウジング502の壁を貫通して延在する。トラッキングホイール506は、送達システム500の送達ツール552を前進および後退させることができる機構の一部である。送達ツール552は、図19Bのカニューレ508の先端開口を通って延在する。トラッキングホイールを回転させると、送達ツール552は、カニューレ508によって画定された通路に沿って軸方向に移動する。軸方向は、先端方向Dまたは基端方向Pであり得る。送達ツール552および送達ツール552を移動するための機構は、共通の譲受人に譲渡された米国特許出願第62/024,295号に記載され、それは参照によって本明細書に組み込まれる。
【0085】
図19Aの実施形態では、ハウジング502は、トラッキングホイール506を介した眼用インプラントの軸方向の前進および後退の制御を提供しながら、一方の手で握られるように構成される。送達システム500のハウジングは、手に対する指の有利な人間工学的関係をもたらす。この設計は、医師などの使用者が手の一部を使用して装置を安定させる一方、中指または人差し指を手の残りの部分から独立して自由に動かせるままにすることを可能にする構成を提供する。中指または人差し指は、眼用インプラントを前進および/または後退させるようにホイールを回転させるために独立して自由に動かすことができる。
【0086】
図19Bは、送達システム500の眼用インプラント550およびカニューレ508をさらに示す拡大詳細図である。カニューレ508は、基端部分540と、先端部534と、先端部534と基端部分540との間に延在する先端部分544とを有する略管状部材598を含む。図19の実施形態では、先端部分544は湾曲している。いくつかの有用な実施形態では、先端部分544は、眼の前房に受け入れられるように寸法決めされ、かつ構成されている。
【0087】
図19Bは、カニューレ508の先端開口532を通って延在する送達システム500の送達ツール552を示す。送達ツール552は、以下でより詳細に説明するように、眼用インプラント550の相補的な相互係止部分562との接続を形成するように構成される相互係止部分560を含む。図19の実施形態では、トラッキングホイールを回転させると、送達ツール552および眼用インプラント550が、カニューレ508によって画定された経路に沿って移動する。カニューレ508は、カニューレ508の先端部が眼の小柱網を通っておよびシュレム管内に進められることができるように寸法決めされ、かつ構成される。カニューレ508をこの方法で位置決めすることによって、先端開口532がシュレム管と流体連通した状態に置かれる。眼用インプラント550は、先端開口がシュレム管と流体連通する間に眼用インプラントをカニューレ508の先端開口532を通して前進させることによってシュレム管内に配置することができる。カニューレの先端部分は、小柱網およびシュレム管の壁のような組織を切断するように適合された鋭利なエッジを先端部534に設けるなどして、小柱網およびシュレム管の壁を切断するように構成された切断部分を含むことができる。
【0088】
図20は、本詳細説明によるカニューレ508の斜視図である。図20のカニューレ508は、中心軸596を有する略管状部材598を含む。図20の略管状部材598は、基端部分540と、先端部534と、先端部534と基端部分540との間に延在する先端部分544とを含む。先端開口表面542は、先端部534を通っておよびカニューレ508の側壁を通って延在する先端開口532を取り囲む。斜縁565は、先端開口表面542の先端部に配置され、先端部534から斜縁565の基端範囲567まで延在する。管状部材598は、先端開口532と、基端開口536と、基端開口536と先端開口532との間に延在する通路538とを画定する。
【0089】
図20の実施形態では、カニューレ508の基端部分540は実質的に直線であり、カニューレ508の先端部分544は湾曲しており、中心軸596は湾曲面548を画定する。湾曲面548は、湾曲の面とよばれることもある。湾曲面548は、カニューレ508を第1の部分PAおよび第2の部分PBに分割する。図20の実施形態では、第2の部分PBは、実質的に第1の部分PAの鏡像である。図20では、先端部分544が、介在要素なしに、先端部534と基端部分540との間に延在するように示されている。図20の実施形態では、先端部分544は、その全長に沿って湾曲している。
【0090】
この詳細な説明による方法は、ヒトの眼の角膜を通るようにカニューレ508の先端部534を前進させ、先端部534が眼の前房内に配置されるようにするステップを含むことができる。次いで、カニューレ508は、例えば、カニューレ508の先端部534を用いてシュレム管の壁を貫通することによって、眼のシュレム管に進入するために使用することができる。斜縁565は、以下でより詳細に説明するように、カニューレ508の先端開口532の少なくとも一部をシュレム管と連通した状態に置くためにシュレム管に挿入され得る。眼用インプラントは、カニューレの先端ポートからシュレム管内に前進させることができる。
【0091】
図20の実施形態では、カニューレ508の先端部分544は、トラフ554を画定する。いくつかの有用な実施形態において、トラフ554は、眼用インプラントがシュレム管内を前に進められているときに眼用インプラントの外側断面全体を受け入れるように構成されている。この場合、トラフ554は、眼用インプラントの幅よりも深い深さ寸法を有することができる。このカニューレ構成は、眼用インプラントがシュレム管内に前進されるときに眼用インプラントが小柱網の層と交差するのを有利に防止する。トラフ554はまた、後述するように、眼用インプラントの基端部分が送達ツールから解放されることを可能にするように構成されてもよい。
【0092】
カニューレ508は、トラフ554内に配置された圧力センサ580をさらに含むことができる。圧力センサ580は、上述の圧力センサ180と形状および機能が同様であってもよい。圧力センサ580は、カニューレのトラフ554内に取り付けられるように示されているが、圧力センサ580は、カニューレ508内またはカニューレ508上の他の位置に取り付けられてもよいことが企図される。圧力センサ580は、眼用インプラント550の植え込み中またはその直後に即時圧力読取り値を提供することができる。いくつかの例では、カニューレ508上の圧力センサ580から得られた圧力読取り値は、そのように設けられた場合、眼用インプラント550に取り付けられた圧力センサから得られた圧力読取り値と比較することができる。
【0093】
圧力センサ580は、微小電気機械システム(MEMS)圧力センサであってもよい。圧力センサ580は、MEMS圧力センサとして記載される一方、MEMS圧力センサの代わりにまたはそれに加えて、他の圧力センサも使用し得ることが企図される。さらに、1つの圧力センサ580のみが示されているが、カニューレ508は、必要に応じて2つ以上の圧力センサ580を含むことができる。MEMS圧力センサは、多くの場合、シリコン基板のダイの裏側に凹部を異方性エッチングし、薄い可撓性のダイヤフラムを残すことによって形成される。作動中、ダイヤフラムの少なくとも1つの表面は、入力圧力(例えば、眼圧)にさらされる。ダイヤフラムは、入力圧力の大きさに応じて撓み、これは、ダイヤフラム上に配置されるか、またはダイヤフラム内に埋め込まれた1つまたは複数の電気構成要素またはセンサ素子(例えば、ピエゾ抵抗器など)によって検出することができる。ピエゾ抵抗器の抵抗の変化は、ピエゾ抵抗器によって少なくとも部分的に形成された抵抗ブリッジからの出力電圧信号の変化として反映される。いくつかの例では、ダイヤフラムは、サポートボスを追加することでより薄くすることができ、これはダイヤフラムの感度を平板ダイヤフラムよりも高めることを促進し得る。圧力センサのボンドパッドに出力信号を提供する前に、センサ素子があるレベルの信号処理を提供するように回路素子が接続されてもよい。この信号処理は、センサ素子(例えば、ピエゾ抵抗器)によって生成された生のセンサ信号をフィルタリング、増幅、線形化、較正、および/または他の方法で処理することができる。センサ素子はピエゾ抵抗器として記載されているが、センサ素子は容量性圧力センサ580を提供するように選択されてもよいことが考えられる。
【0094】
圧力センサ580は、圧力センサ580からのデータを読取装置に無線で通信することを可能にするためにアンテナまたはインダクタをさらに備え得る。いくつかの例では、圧力センサ580は、圧力センサ580から身体の外側に位置する別の装置にデータを送信することが望まれる場合、限定しないが、セルラー通信、ジグビー(ZigBee(登録商標))、ブルートゥース(登録商標)(Bluetooth(登録商標))、ワイファイ(WiFi(登録商標))、IrDA、専用短距離通信(DSRC:dedicated short range communication)、エンオーシャン(EnOcean(登録商標))、または他の任意の適切な無線プロトコルなどの無線周波数通信プロトコルを使用してもよい。データは、携帯電話、タブレットコンピュータ、コンピュータ、ポータブルハンドヘルドデバイス、そのようなパーソナルデジタルアシスタント(PDA)、または特別に設計された装置を含むがこれらに限定されない任意の数のそのように適切にイネーブルにされた装置に伝送されてもよい。これは、医師、患者、または他の関係者が眼圧計を使用せずに眼圧を監視することを可能にし得る。
【0095】
図21は、前の図に示されたカニューレ508を含むアセンブリの斜視図である。説明のために、カニューレ508は、図26に断面で示されている。図21では、眼用インプラント550は、カニューレ508によって画定された通路538内に置かれているのが見られる。図21を参照すると、カニューレ508の先端部分544は、カニューレ508の中心軸596が湾曲面548を定めるように湾曲していることが理解されよう。図26を参照すると、湾曲面548は、カニューレ508を第1の部分および第2の部分PBに分割することが理解されよう。図21の例示的な実施形態では、カニューレ508の第2の部分PBのみが示されている。
【0096】
図22は、前の図に示されたアセンブリを含む概略斜視図である。図22の実施形態では、シュレム管SCの壁を貫通して延在するカニューレ508の先端部が示されている。カニューレ508の先端は、カニューレによって画定された通路がシュレム管によって画定された管腔と流体連通した状態に置かれることができるように、小柱網およびシュレム管の壁を切断および/または貫通するように構成された先鋭部分を含むことができる。カニューレの通路はシュレム管の管腔と流体連通した状態に置かれるため、眼用インプラント550をカニューレの先端開口からシュレム管内に前進させることができる。図22において、眼用インプラント550の先端部分は、カニューレ508の先端開口532を通して見ることができる。
【0097】
説明のために、仮想窓Wが図22においてカニューレ508の壁を貫通して切り取られている。送達ツール552の相互係止部分560および眼用インプラント550の相補的な相互係止部分562は、窓Wを通して見ることができる。図22の実施形態では、送達ツール552の相互係止部分560および眼用インプラント550の相補的な相互係止部分562は、眼用インプラント550の基端部549が送達ツール552の先端部551に対して基端側にあるように互いに係合する。送達ツール552の表面561は、送達ツール552の相互係止部分560と眼用インプラント550の相補的な相互係止部分562とが互いに外れないように、カニューレ508の壁に載っている。それらがこのように接続されると、送達ツールが送達システム機構によってカニューレ508に対して前進および後退されるにつれて、送達ツール552および眼用インプラント550が一緒に移動する。
【0098】
図23は、前の図に示されたカニューレ508の一部を示す拡大斜視図である。いくつかの有用な実施形態では、カニューレ508は、シュレム管SCへの実質的に接線方向の進入を達成するように湾曲している。図23の実施形態では、カニューレ508は、接触点PTでシュレム管SCの主要外壁と接触している。また、図23の実施形態では、カニューレ508の湾曲した先端部分は、眼の前房内に配置されるように寸法決めされている。
【0099】
図23に示されるように、カニューレ508の先端部534および斜縁は、斜縁565の基端範囲567までシュレム管に挿入されている。この位置で、トラフ554内に延在する眼用インプラント550を見ることができる。いくつかの有用な実施形態では、眼用インプラントは、カニューレの曲率半径よりも大きい曲率半径を有する。この構成により、眼用インプラントが送達システム500によって先端方向に押し込まれるとき、眼用インプラントは確実にトラフ554に沿って進む。
【0100】
図24は、前の図に示された眼用インプラント550およびカニューレ508を示す追加の斜視図である。図24を前の図と比較することにより、眼用インプラント550が先端方向Dに前進される一方、カニューレ508は静止したままであり、それにより、眼用インプラント550の先端部分がシュレム管SC内に配置されることが理解されるであろう。トラフ554は、カニューレ508の先端部分の縁部542によって画定された長尺状の開口532内に開口する。図24の実施形態では、カニューレによって画定された長尺状の開口は、眼用インプラントがシュレム管内で前進するとき、眼用インプラントの直接的な可視化を提供する。眼用インプラントの直接的な可視化を可能にする構成は、多くの臨床的利点を有する。医療処置中、小柱網を介してインプラントを見ることによってインプラントの進行を監視することは多くの場合に困難である。例えば、血液還流が血液をシュレム管に押し込んで、シュレム管に入ったインプラントの部分を医師が見ることを妨げる可能性がある。図24を参照すると、眼用インプラント550は、カニューレ508に沿って先端方向に前進するにつれて、トラフ554に沿って進む。トラフ開口は、医師が、インプラント構造体がシュレム管に入る前にトラフを通って進むとき、インプラント構造体を見ることによって、インプラントの進行を監視することを可能にする。トラフ開口はまた、医師が、シュレム管に進入するためにカニューレによって作られた切開に対する眼用インプラントの基端の位置を特定することを可能にする。
【0101】
図25は、眼用インプラント550およびカニューレ508を示す追加の概略斜視図である。図25の実施形態では、送達ツール552および眼用インプラント550の相互係止部分560および562は、それぞれ、カニューレ508によって画定された先端開口532に進入していることを見ることができる。図示されるように、眼用インプラント550は、(先の図に示された実施形態に対して)眼用インプラント550のより多くの部分がシュレム管SCの内側に配置されるように先端方向Dに前進されている。送達ツール552の相互係止部分560の対応する表面561は、カニューレ508の内壁に対して依然として当たっており、送達ツールを眼用インプラント550と相互係止された状態に維持する。
【0102】
図26は、眼用インプラント550およびカニューレ508を示す追加の概略斜視図である。図26に示すように、眼用インプラント550および送達ツール552は、送達ツール表面561および低減された直径部分563の一部が開口532に通されるようにさらに先端方向に前進され、それにより、送達ツールの湾曲部分553がその湾曲した休止位置に向かって移動することが許容され、それにより送達ツール係合表面560が眼用インプラント550上の相補的な係合表面562から外れて離れる。
【0103】
いくつかの有用な実施形態において、送達ツールは、インプラントから視覚的に区別するために着色されてもよい。眼用インプラントから外れた後、カニューレ508および送達ツール552は、図26に示す完全に展開された位置に眼用インプラント550を残して、シュレム管SCから引き抜くことができる。眼用インプラント550の送達が完了した後、送達ツールおよびカニューレは、少なくとも眼用インプラントの先端部分をシュレム管内に残して眼から取り除くことができる。
【0104】
図27は、眼用インプラント550の入口部分を眼の前房内に、および眼用インプラント550の残部をシュレム管内に残して、カニューレ(前の図に見られる)が引き抜かれた後のシュレム管SCの斜視図である。シュレム管内の眼用インプラント550の存在は、前房からの房水の流れを促進し得る。この流れには、シュレム管に沿った軸流、前房からシュレム管に入る流れ、およびシュレム管と連通する出口を介したシュレム管を離れる流れが含まれ得る。眼内の所定の位置にあるとき、眼用インプラント550は小柱網およびシュレム管組織を支持し、(小柱網を介した)前房とシュレム管との間の、およびシュレム管に沿ったポケットまたは区画間の連通を改善する。
【0105】
いくつかの例では、限定しないが、白内障手術などの別の矯正手術と組み合わせて、眼用インプラントをシュレム管に送達することが望ましい場合がある。眼用インプラントが別の外科処置中に配置されるとき、他の処置用に使用される同じ切開を通して眼用インプラントを挿入することが望ましい場合がある。図28Aは、眼用インプラント650を、限定しないが、白内障手術などの別の処置のために作られた切開位置を介して患者の眼の目標位置に前進させるために使用されてもよい別の例示的な送達システム600を示す斜視図である。送達システム600は、眼用インプラント650と、眼用インプラント650を摺動可能に受け入れるように寸法決めされた通路を画定するカニューレ608とを含んでもよい。送達システム600の態様は、形状および機能が送達システム500と同様であってもよいことが企図される。いくつかの用途において適切であり得る目標位置の例は、シュレム管、小柱網、脈絡膜上腔および眼の前房内および周囲の領域を含む。図28Bは、送達システム600の眼用インプラント650およびカニューレ608をさらに示す拡大詳細図である。
【0106】
図28Aの送達システム600は、カニューレ608内の眼用インプラント650の前進および後退を制御することができる。眼用インプラント650は、先端開口がシュレム管と流体連通している間、カニューレ608の先端開口632を介して眼用インプラント650を前進させることによって、目標位置(例えば、シュレム管)に配置され得る。図28Aの実施形態では、説明のために、眼用インプラント650は、カニューレ608の先端開口632を通って前進している。
【0107】
図28Aの送達システム600は、ハウジング602、スリーブ604、およびエンドキャップ610を含む。トラッキングホイール606は、図28Aにおいてハウジング602の壁を貫通して延在する。トラッキングホイール606は、送達システム600の送達ツール652を前進および後退させることができる機構の一部である。送達ツール652は、カニューレ608内に摺動可能に配置され、カニューレ608の先端開口を通って延在するように構成される。トラッキングホイールを回転させると、送達ツール652は、カニューレ608によって画定された通路に沿って軸方向に移動する。軸方向は、先端方向Dまたは基端方向Pであり得る。送達ツール652は、送達ツール152と形状および機能において類似し得る。
【0108】
図28Aの実施形態では、ハウジング602は、トラッキングホイール606を介した眼用インプラントの軸方向の前進および後退の制御を提供しながら、一方の手で握られるように構成される。ハウジング602のこの特徴は、手に対する指の有利な人間工学的関係をもたらす。この設計は、医師などの使用者が手の一部を使用して装置を安定させる一方、中指または人差し指を手の残りの部分から独立して自由に動かせるままにすることを可能にする構成を提供する。中指または人差し指は、眼用インプラントを前進および/または後退させるようにホイールを回転させるために独立して自由に動かすことができる。
【0109】
図28Bは、送達システム600の眼用インプラント650およびカニューレ608をさらに示す拡大詳細図である。カニューレ608は、基端部分640と、中間部分645と、先端部分644と、先端部634とを有する略管状部材698を含む。中間部分645は、基端部641に対して先端側の第1の地点643から先端部634に対して基端側の第2の地点647まで先端方向に延在してもよい。先端部分644は、第2の地点647から(図31に示される)カニューレ608の先端部634まで先端方向に延在してもよい。図28の実施形態では、先端部分644および中間部分645の両方が湾曲していてもよい。いくつかの例では、先端部分644が中間部分645よりも小さい曲率半径(従ってより高い曲率)を有していてもよいが、これは必須ではない。いくつかの有用な実施形態では、先端部分644および中間部分645は、眼の前房に受け入れられるように寸法決めされかつ構成されていてもよい。
【0110】
いくつかの例では、限定しないが、白内障手術などの別の眼科処置中、眼用インプラント650を配置することが望ましい場合がある。白内障手術のための切開の最適位置は、インプラント650などの眼用インプラントをシュレム管内に単に配置するための切開の最適位置と同じでない場合があることが想定される。従来の眼用インプラント送達システムの設計では、カニューレがシュレム管内に実質的に接線方向に進入することを可能にするために、インプラントが別の眼科処置と組み合わせて配置される場合、2つの別個の切開が必要とされ得る。先端部分644の両方の湾曲した構成は、カニューレ608がシュレム管内に実質的に接線方向に入ることを可能にするように構成され得る。さらに、中間部分645の湾曲した構成は、カニューレ608が、限定しないが、強角膜トンネル切開などの白内障手術に関連するおよび/またはそれに最適化された典型的な切開を介して前進されることを可能にし得る一方、カニューレ608がシュレム管内に実質的に接線方向に進入することをなおも可能にすることが企図される。これにより、1つの切開を使用して2種以上の眼の処置を行うことが可能になる。1つの切開を介して複数の処置を実施することは、患者の不快感および快復時間を減少させ得ることがさらに想定される。図28Bは、カニューレ608の先端開口632を通って延在する送達システム600の送達ツール652を示す。送達ツール652は、以下でより詳細に説明されるように、眼用インプラント650の相補的な相互係止部分662との接続を形成するように構成された相互係止部分660を含む。図28の実施形態では、トラッキングホイールを回転させると、送達ツール652および眼用インプラント650が、カニューレ608によって画定された経路に沿って移動する。カニューレ608は、カニューレ608の先端部が眼の小柱網を介してシュレム管内に前進され得るように寸法決めされかつ構成される。このようにカニューレ608を位置決めすることにより、先端開口632はシュレム管と流体連通した状態に置かれる。眼用インプラント650は、先端開口がシュレム管と流体連通している間、眼用インプラントをカニューレ608の先端開口632を通して前進させることによって、シュレム管内に配置することができる。カニューレ608の先端部分は、小柱網およびシュレム管の壁のような組織を切断するように適合された鋭いエッジを先端部634に設けることによってなど、小柱網およびシュレム管の壁を切断するように構成された切断部分を含むことができる。
【0111】
図29は、前の図に示された送達システム600および眼601をさらに示す拡大斜視図である。図29では、送達システム600のカニューレ608は、眼601の角膜603を通って延在するように示されている。カニューレ608の先端部分は、眼601の角膜603によって画定される前房の内側に配置される。図29の実施形態において、カニューレ608は、カニューレ608の先端開口632がシュレム管と流体連通した状態に置かれることができるように構成されている。例えば、カニューレ608の先端部分644および中間部分645は、カニューレ608が、別の視覚的外科処置のために作られた切開607を通って前進され得るような寸法および構成とすることができる。
【0112】
図29の実施形態では、眼用インプラントは、カニューレ608によって画定された通路内に配置される。送達システム600は、カニューレ608の長さに沿って眼用インプラントを前進および後退させることができる機構を含む。眼用インプラントは、先端開口がシュレム管と流体連通している間に眼用インプラントをカニューレ608の先端開口を通して前進させることによって眼601のシュレム管内に配置することができる。
【0113】
図30は、前の図に示された送達システム600をさらに示す斜視図である。図30では、説明のために、ハウジング602の一部が取り除かれている。送達システム600は、送達ツールサブアセンブリ670およびカニューレサブアセンブリ680を含む。送達ツールサブアセンブリ670は、回転ラックギヤ620および送達ツール(図示せず)を含む。図30の実施形態では、送達ツールは、カニューレ608によって画定された通路内に延在する。図30では、スリーブ604を越えて延在するカニューレ608を見ることができる。カニューレサブアセンブリ680は、カニューレ608、ハブ672、および延長管(不図示)を含む。図30の実施形態では、カニューレサブアセンブリ680の延長管は、回転ラックギヤ620によって画定される管腔の内側に配置される。
【0114】
送達システム600は、送達ツールサブアセンブリ670の動きを制御する機構617を含む。機構617は、ハウジング602内に配置される多数の構成要素を含み、それにはトラッキングホイール606、アイドラギヤ622、および回転ラックギヤ620が含まれる。図30の実施形態では、トラッキングホイール606およびアイドラギヤ622は両方とも、ハウジング602によって回転可能に支持されている。トラッキングホイール606上の歯はアイドラギヤ622上の歯と係合し、アイドラギヤ622上の歯が回転ラックギヤ620上の歯と係合する。トラッキングホイール606を反時計回り方向CCWに回転させると、アイドラギヤ622が時計回り方向CWに回転し、これにより、回転ラックギヤ620が先端方向Dに移動する。トラッキングホイール606を時計回り方向CWに回転させると、アイドラギヤ622が反時計回り方向CCWに回転し、これにより、回転ラックギヤ620が基端方向Pに移動する。他の実施形態では、アイドラギヤ622は、装置から除去されてもよく、この場合、トラッキングホイールが反時計回りに移動して、ラックギヤが基端方向に移動する。
【0115】
図30の実施形態では、スリーブ604がカニューレサブアセンブリ680に固定される。スリーブ604は、カニューレ608の向きをハウジング602に対して変えるために、ユーザによって回転されてもよい。スリーブ604は、(図示されるような)溝、ゴムコーティング、またはこの使用を容易にするための他の摩擦表面などの掴み特徴部を含むことができる。いくつかの用途では、カニューレと虹彩との間の正しい整列は、眼用インプラントが植え込まれる眼内のシュレム管または他の解剖学的構造に対して、コアチューブおよび/または眼用インプラントが正しい軌跡で前進されることを確実にするために有利である。装置は、回転中に眼用インプラントを装置内に整列された状態に維持するように構成されている。構成要素の選択されたグループは、眼用インプラントの軸方向移動を可能にすると同時に、それらが単一の本体として回転することを確実にするために一緒に合わせられる。図30の実施形態では、カニューレサブアセンブリ680および送達ツールサブアセンブリ670は、スリーブ604と調和してハウジング602に対して回転することができる。
【0116】
図30の実施形態では、回転ラックギヤ620は、回転前、回転中、および回転後に先端および基端方向に軸方向に移動する能力を維持しながら、スリーブ604と共に回転するように構成される。回転ラックギヤ620が先端方向および/または基端方向に移動するとき、カニューレ608に対する送達ツールの対応する動きが生じる。送達ツール652が眼用インプラント650に結合される場合、この動きは眼用インプラント650に伝達される。送達ツールサブアセンブリ670およびカニューレサブアセンブリ680は、以下でより詳細に説明されるように、キー付き構成で互いに係合する。このキー付き構成により、送達ツールサブアセンブリ670およびカニューレサブアセンブリ680は、互いに対して一定の回転向きを維持し、同時に送達ツールサブアセンブリ670がカニューレサブアセンブリ680に対して先端方向Dおよび基端方向Pに並行移動することを可能にする。
【0117】
いくつかの実施形態では、送達ツール652は、形状記憶材料(例えば、ニチノールなど)から形成され、送達ツール652の少なくとも一部は、それに外力が作用していないときに湾曲した休止形状を取る。送達ツール652は、例えば、送達ツール652をカニューレ608によって画定された通路の直線部分を通して挿入することにより、直線状の形状を取るように促すことができる。送達ツール652が、カニューレ608内などに閉じ込められたとき、相互係止部分は、相補的な相互係止部分と係合し、それにより送達ツールおよび眼用インプラントを一緒に接合し、および送達ツールおよび眼用インプラントがカニューレ608を通して一緒に移動することを可能にすることができるが、これについては以下でより詳細に記載する。
【0118】
図28図29、および図30は、カニューレ608のより詳細な図を示す。図31は、本詳細な説明によるカニューレ608の側面図であり、図32は、カニューレ608の拡大詳細図であり、図33は、カニューレ608の先端部分644の一部をさらに示す拡大斜視図である。カニューレ608は、中心軸696を有する略管状部材698を備える。一般に、管状部材698は、基端部641、基端部分640、中間部分645、先端部分644、および先端部634を含む。カニューレ608は、基端部641と先端部634との間の距離D1に延在し得る。管状部材698は、基端部641と先端部634との間の距離D1よりも長い中心軸696に沿った長さを有し得る。例のため、距離D1は、1.50~3.50インチ(3.81~8.89センチメートル)、2.0~3.0インチ(5.08~7.62センチメートル)の範囲内、またはおよそ2.50インチ(6.35センチメートル)であり得ることが企図される。カニューレ608は、任意の所望の距離D1に及び得ることが企図される。基端部分640は、基端部641から基端部641に対して先端側の地点643まで距離D2にわたって延在し得る。基端部分640は、距離D2が、中心軸696に沿って測定された基端部分640の長さにほぼ等しいかまたは等しいように概ね直線状であり得る。距離D2は、1.50~2.50インチ(3.81~6.35センチメートル)、1.75~2.25インチ(4.652~5.72センチメートル)の範囲内、またはおよそ2.0インチ(5.08センチメートル)であり得る。中間部分645は、第1の地点643と、カニューレ608の先端部634に対して基端側に位置する第2の地点647との間に延在し得る。中間部分645は、地点643から地点647に延在する距離D3に及び得る。距離D3は、0.15~0.50インチ(0.38~1.27センチメートル)、0.25~0.40インチ(0.64~1.02センチメートル)の範囲内、またはおよそ0.33インチ(0.84センチメートル)であり得る。中間部分645は、距離D3よりも長い管状部材698の中心軸696に沿った長さを有し得る。中間部分645と距離D3との長さの差は、以下でより詳細に説明するように、中間部分645の湾曲の程度によって決定され得る。先端部分644は、第2の地点647と先端部634との間に延在し得る。先端部分644は、地点647から先端部地点634に延在する距離D4に及び得る。距離D4は、0.05~0.30インチ(0.13~0.76センチメートル)、0.13~0.23インチ(0.33~0.58センチメートル)の範囲内、またはおよそ0.17インチ(0.43センチメートル)であり得る。先端部分644は、距離D4よりも長い管状部材698の中心軸696に沿った長さを有し得る。先端部分644と距離D4の長さの差は、以下により詳細に説明するように、先端部分644の湾曲の程度によって決定され得る。
【0119】
先端開口表面642は、先端部634を通っておよびカニューレ608の側壁を通って延在する先端開口632を取り囲む。斜縁665は、先端開口表面642の先端部に配置され、先端部634から斜縁665の基端範囲667まで延在する。管状部材698は、先端開口632と、基端開口636と、基端開口636と先端開口632との間に延在する通路638とを画定する。
【0120】
カニューレ608の基端部分640は実質的に直線であり、カニューレ608の中間部分645および先端部分644は湾曲し得る。図31の実施形態では、先端部分644はその全長に沿って湾曲しており、中間部分645はその全長に沿って湾曲している。中間部分645は、中心軸696から測定され、第1の曲率半径を定める第1の半径R1を有する湾曲を画定し得る。中心軸696に沿った中間部分645の長さは、以下の式1を使用して、円弧の測定値(度)および湾曲の半径によって決定され得る。
【0121】
【数1】
式中、Larcは円弧の長さであり、θは円弧の角度測定値(度)であり、rは円の半径である。いくつかの例では、中間部分645の角度測定値は、10°~25°の範囲内であってもよいが、他の角度が可能である。先端部分644は、第2の半径R2を有し、かつ第2の曲率半径を定める湾曲を画定することができる。中心軸696に沿った先端部分644の長さは、上の式1を使用した円弧の測定値(度)および湾曲の半径によって決定することができる。いくつかの例では、先端部分644の角度測定値は90°~110°の範囲内にあってもよいが、他の角度も可能である。第1の半径R1は、先端部分644が中間部分645よりも高い曲率を有するように、第2の半径R2より大きくてもよいことが企図される。この構成は、シュレム管または眼用インプラントが植え込まれる眼の他の解剖学的構造に対して正確な軌道で眼用インプラントを前進させ得る。例えば、この構成は、カニューレ608を、可視の眼の主軸に概ね沿って切開を介して前進させること、およびカニューレ608がシュレム管内に実質的に接線方向に入ることを可能にし得る。インプラント650の他の解剖学的位置への送達を容易にするために、第1の半径R1および第2の半径R2が選択されてもよいことが企図される。
【0122】
図31Aは、追加の側面図であり、図28に示されるカニューレの断面図を図示する。例えば、カニューレ608は、中心軸696を有する略管状部材698を含む。略管状部材698は、基端部641と、基端部分640と、中間部分645と、先端部分644と、先端部634とを含む。さらに、例えば、基端部分640の中心軸696は、中間部分645の第1の地点643における接線に対して接線方向にある。さらに、中間部分645の第2の地点647における接線は、先端部分644の第2の地点647における接線に対して接線方向にある。先端部分644の先端部634における接線および基端部分の中心軸696は、例えば、概ね90°~165°の範囲の角度を有する第3の半径R3を有し得る。
【0123】
この詳細な説明による方法は、ヒトの眼の角膜を通してカニューレ608の先端部634を前進させ、先端部634が眼の前房内に配置されるようにするステップを含むことができる。次いで、カニューレ608は、例えばカニューレ608の先端部634を用いてシュレム管の壁を貫通することにより、眼のシュレム管に進入するために使用することができる。斜縁665は、カニューレ608の先端開口632の少なくとも一部をシュレム管と連通した状態に置くために、シュレム管に挿入されてもよい。例えば、カニューレ608は、カニューレ608の先端部634および斜縁665が斜縁665の基端範囲667までシュレム管に挿入されるまで前進されてもよい。カニューレ608の通路がシュレム管の内腔と流体連通した状態で、眼用インプラントは、カニューレ608の先端ポートからシュレム管内に前進することができる。
【0124】
図32の実施形態および図33にさらに示される実施形態では、カニューレ608の先端部分644は、トラフ654を画定する。いくつかの実施形態では、トラフ654は、眼用インプラントがシュレム管内で前進されるときに眼用インプラントの外側断面全体を受け入れるように構成される。この場合、トラフ654は、眼用インプラントの幅よりも深い深さ寸法を有することができる。このカニューレ構成は、眼用インプラントがシュレム管内に前進されるときに眼用インプラントが小柱網の層と交差するのを有利に防止する。トラフ654はまた、眼用インプラントの基端部分が、上述のトラフ554と同様の方法で送達ツールから解放されることを可能にするように構成されてもよい。
【0125】
図28Bを簡単に参照すると、明示的に示されていないが、眼用インプラント650の前進中、送達ツール652の相互係止部分660および眼用インプラント650の相補的な相互係止部分662は、眼用インプラント650の基端部が送達ツール652の先端部に対して基端側にあるように互いに係合し得る。送達ツール652の表面661はカニューレ608の壁に当接し、送達ツール652の相互係止部分660と眼用インプラント650の相補的な相互係止部分662とが互いに外れるのを防止する。それらがこのように接続されると、送達ツールが送達システム機構によってカニューレ608に対して前進および後退されるにつれて、送達ツール652および眼用インプラント650が一緒に移動する。いくつかの実施形態では、眼用インプラント650は、カニューレ608の先端部分644の曲率半径よりも大きい曲率半径を有する。この構成により、眼用インプラントが送達システム600によって先端方向に押されるとき、眼用インプラントはトラフ654に沿って確実に進む。
【0126】
カニューレ608が所望の位置に配置されると、眼用インプラント650は、カニューレ608が静止されている間、先端方向に前進され得る。眼用インプラントがシュレム管内で前進されるとき、長尺状の開口632が眼用インプラント650の直接的な可視化を実現し得る。眼用インプラントの直接的な可視化を可能にする構成は、多くの臨床的利点を有する。医療処置中、小柱網を介してインプラントを見ることによってインプラントの進行を監視することは多くの場合に困難である。例えば、血液還流が血液をシュレム管に押し込んで、シュレム管に入ったインプラントの部分を医師が見ることを妨げる可能性がある。眼用インプラント650は、カニューレ608に沿って先端方向に前進されるにつれて、トラフ654に沿って進む。トラフ開口は、医師が、インプラント構造体がシュレム管に入る前にトラフを通って進むとき、インプラント構造体を見ることによって、インプラントの進行を監視することを可能にする。トラフ開口はまた、医師が、シュレム管に進入するためにカニューレによって作られた切開に対する眼用インプラントの基端の位置を特定することを可能にする。
【0127】
送達ツール652は、送達ツール表面661および低減された直径部分663の一部が開口632に通されるまで眼用インプラント650を先端方向に前進させてもよく、それにより、送達ツールの湾曲部分がその湾曲した休止形状に向かって移動することが許容され、それにより送達ツール係合表面660が眼用インプラント650上の相補的な係合表面662から外れて離れる。眼用インプラントから外れた後、カニューレ608および送達ツール652は、完全に展開された位置に眼用インプラント650を残してシュレム管から引き抜くことができる。眼用インプラント650の送達が完了した後、送達ツール652およびカニューレ608は、少なくとも眼用インプラント650の先端部分をシュレム管内に残して眼から取り除くことができる。眼用インプラント650の入口部分は眼の前房内に、および眼用インプラント650の残りの部分はシュレム管内に配置され得る。シュレム管内の眼用インプラント650の存在は、前房からの房水の流れを促進し得る。この流れには、シュレム管に沿った軸流、前房からシュレム管に入る流れ、およびシュレム管と連通する出口を介したシュレム管を離れる流れが含まれ得る。眼内の所定の位置にあるとき、眼用インプラント650は小柱網およびシュレム管組織を支持し、(小柱網を介した)前房とシュレム管との間の、およびシュレム管に沿ったポケットまたは区画間の連通を改善する。
【0128】
カニューレ608は、トラフ654内に配置された圧力センサ690をさらに含んでもよい。圧力センサ690は、上に記載した圧力センサ180と形状および機能が類似していてもよい。圧力センサ690はカニューレのトラフ654内に取り付けられるように示されているが、圧力センサ690はカニューレ608内または上の他の位置に取り付けられてもよいことが企図される。圧力センサ690は、眼用インプラント650の植え込み中またはその直後に即時圧力読取り値を提供することができる。いくつかの例では、カニューレ608上の圧力センサ690から得られた圧力読取り値は、そのように設けられた場合、眼用インプラント650に取り付けられた圧力センサから得られた圧力読取り値と比較することができる。
【0129】
圧力センサ690は、微小電気機械システム(MEMS)圧力センサであってもよい。圧力センサ690は、MEMS圧力センサとして記載される一方、MEMS圧力センサの代わりにまたはそれに加えて、他の圧力センサも使用し得ることが企図される。さらに、1つの圧力センサ690のみが示されているが、カニューレ608は、必要に応じて2つ以上の圧力センサ690を含むことができる。MEMS圧力センサは、多くの場合、シリコン基板のダイの裏側に凹部を異方性エッチングし、薄い可撓性のダイヤフラムを残すことによって形成される。作動中、ダイヤフラムの少なくとも1つの表面は、入力圧力(例えば、眼圧)にさらされる。ダイヤフラムは、入力圧力の大きさに応じて撓み、これは、ダイヤフラム上に配置されるか、またはダイヤフラム内に埋め込まれた1つまたは複数の電気構成要素またはセンサ素子(例えば、ピエゾ抵抗器など)によって検出することができる。ピエゾ抵抗器の抵抗の変化は、ピエゾ抵抗器によって少なくとも部分的に形成された抵抗ブリッジからの出力電圧信号の変化として反映される。いくつかの例では、ダイヤフラムは、サポートボスを追加することでより薄くすることができ、これはダイヤフラムの感度を平板ダイヤフラムよりも高めることを促進し得る。圧力センサのボンドパッドに出力信号を提供する前に、センサ素子があるレベルの信号処理を提供するように回路素子が接続されてもよい。この信号処理は、センサ素子(例えば、ピエゾ抵抗器)によって生成された生のセンサ信号をフィルタリング、増幅、線形化、較正、および/または他の方法で処理することができる。センサ素子はピエゾ抵抗器として記載されているが、センサ素子は容量性圧力センサ690を提供するように選択されてもよいことが考えられる。
【0130】
圧力センサ690は、圧力センサ690からのデータを読取装置に無線で通信することを可能にするためにアンテナまたはインダクタをさらに備え得る。いくつかの例では、圧力センサ690は、圧力センサ690から身体の外側に位置する別の装置にデータを送信することが望まれる場合、限定しないが、セルラー通信、ジグビー(ZigBee(登録商標))、ブルートゥース(登録商標)(Bluetooth(登録商標))、ワイファイ(WiFi(登録商標))、IrDA、専用短距離通信(DSRC)、エンオーシャン(EnOcean(登録商標))、または他の任意の適切な無線プロトコルなどの無線周波数通信プロトコルを使用してもよい。データは、携帯電話、タブレットコンピュータ、コンピュータ、ポータブルハンドヘルドデバイス、そのようなパーソナルデジタルアシスタント(PDA)、または特別に設計された装置を含むがこれらに限定されない任意の数のそのように適切にイネーブルにされた装置に伝送されてもよい。これは、医師、患者、または他の関係者が眼圧計を使用せずに眼圧を監視することを可能にし得る。
【0131】
眼用デバイスの構成要素は、金属、金属合金、ポリマー(そのいくつかの例が以下に開示される)、金属-ポリマー複合材、セラミック、それらの組み合わせおよび同類のもの、または他の適切な材料から作製されてもよい。適切なポリマーのいくつかの例は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えば、デュポン(DuPont)から入手可能なデルリン(DELRIN(登録商標)))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(例えば、ポリウレタン85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテル-エステル(例えば、DSMエンジニアリング・プラスチックス(DSM Engineering Plastics)から入手可能なアルニテル(ARNITEL(登録商標)))、エーテルまたはエステルベースのコポリマー(例えば、ユチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタレートおよび/またはデュポン(DuPont)から入手可能なハイトレル(HYTREL(登録商標))などの他のポリエステルエラストマー)、ポリアミド(例えば、バイエル(Bayer)から入手可能なデュレタン(DURETHAN(登録商標))またはエルフ・アトケム(Elf Atochem)から入手可能なクリスタミド(CRISTAMID(登録商標)))、エラストマー性ポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA、例えば、商品名ペバックス(PEBAX(登録商標))の下で入手可能)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、マーレックス(Marlex)高密度ポリエチレン、マーレックス(Marlex)低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(例えば、リクセル(REXELL(登録商標)))ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレン(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えば、KEVLAR(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン-12(エムス・アメリカン・グリロン(EMS American Grilon)から入手可能なグリラミド(GRILAMID(登録商標))など)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリ(スチレン-b-イソブチレン-b-スチレン)(例えば、SIBSおよび/またはSIBS50A)、ポリカーボネート、アイオノマー、生体適合性ポリマー、他の適切な材料、またはそれらの混合物、組合せ、コポリマー、ポリマー/金属複合材および同類のものを含んでもよい。いくつかの実施形態では、シースは、液晶ポリマー(LCP:liquid crystal polymer)とブレンドすることができる。例えば、混合物は約6%までのLCPを含むことができる。
【0132】
適切な金属および金属合金のいくつかの例は、ステンレス鋼(304V、304L、および316LVステンレス鋼等)、軟鋼、ニッケルチタン合金(線形弾性および/または超弾性ニチノール等)、ニッケル-クロム-モリブデン合金(例えば、UNS:N06625(INCONEL(登録商標)625等)、UNS:N06022(HASTELLOY(登録商標)C-22(登録商標)等)、UNS:N10276(HASTELLOY(登録商標)C276(登録商標)等)、その他のHASTELLOY(登録商標)合金、およびその他)、ニッケル銅合金(例えば、UNS:N04400(MONEL(登録商標)400、NICKELVAC(登録商標)400、NICORROS(登録商標)400、およびその他等)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、UNS:R30035(MP35-N(登録商標)等)、ニッケル-モリブデン合金(例えば、UNS:N10665(HASTELLOY(登録商標)ALLOY B2(登録商標)等)、他のニッケルクロム合金、他のニッケルモリブデン合金、他のニッケルコバルト合金、他のニッケル鉄合金、他のニッケル銅合金、他のニッケルタングステンまたはタングステン合金、およびその他等のその他のニッケル合金、コバルトクロム合金、コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、UNS:R30003(ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)、およびその他等)、プラチナ強化ステンレス鋼、チタン、それらの組み合わせ、およびその他、または他の適切な材料を含む。
【0133】
本明細書内で示唆されるように、市販のニッケル-チタンまたはニチノール合金のファミリー内に、従来の形状記憶および超弾性種と化学的に類似し得るが明確で有用な機械的特性を示し得る「線形弾性」または「非超弾性」と分類されるカテゴリがある。線形弾性および/または非超弾性ニチノールは、線形弾性および/または非超弾性ニチノールが、超弾性ニチノールが示すようにその応力/歪み曲線において相当の「超弾性プラトー」も「フラグ領域」も示さないという点で超弾性ニチノールと区別され得る。代わりに、線形弾性および/または非超弾性ニチノールでは、回復可能な歪みが増大すると、応力は、塑性変形が始まるまで実質的に線形の関係で、または幾分、しかし必ずしも完全でない線形の関係で、または少なくとも超弾性ニチノールの場合に見られ得る超弾性プラトーおよび/またはフラグ領域よりも線形である関係で増大し続ける。従って、本開示のために、線形弾性および/または非超弾性ニチノールは、「実質的に」線形弾性および/または非超弾性のニチノールと呼ばれてもよい。
【0134】
いくつかの例では、線形弾性および/または非超弾性ニチノールはまた、線形弾性および/または非超弾性ニチノールが(例えば、塑性変形前に)実質的に弾性のままでありながら最大約2~5%の歪みを受け入れることができる一方、超弾性ニチノールは塑性変形前に最大約8%の歪みを受け入れることができるという点で超弾性ニチノールと区別することができる。これらの材料の両方は、塑性変形前に約0.2~0.44パーセントの歪みのみを受け入れることができるステンレス鋼(その組成に基づいて区別することもできる)などの他の線形弾性材料と区別することができる。
【0135】
いくつかの実施形態では、線形弾性および/または非超弾性ニッケル-チタン合金は、広い温度範囲にわたる示差走査熱量測定(DSC:differential scanning calorimetry)および動的金属熱分析(DMTA:dynamic metal thermal analysis)分析によって検出可能なマルテンサイト/オーステナイト相変化を示さない合金である。例えば、いくつかの実施形態では、線形弾性および/または非超弾性ニッケル-チタン合金において約-60℃~約120℃の範囲のDSCおよびDMTA分析によって検出可能なマルテンサイト/オーステナイト相変化は存在しないことがあり得る。従って、このような材料の機械的曲げ特性は、この非常に広い温度範囲にわたり温度の影響に対して概ね不活性であり得る。いくつかの実施形態では、線形弾性および/または非超弾性ニッケル-チタン合金の周囲温度または室温における機械的曲げ特性は、例えば、それらが超弾性プラトーおよび/またはフラグ領域を表示しないという点で体温における機械的特性と実質的に同じである。換言すれば、広い温度範囲にわたり、線形弾性および/または非超弾性ニッケル-チタン合金は、その線形弾性および/または非超弾性特徴および/または特性を維持する。
【0136】
いくつかの実施形態では、線状弾性および/または非超弾性ニッケル-チタン合金は、約50~約60重量%ニッケルの範囲内にあり、残りは本質的にチタンである。いくつかの実施形態では、その組成物は、約54~約57重量%ニッケルの範囲内にある。適切なニッケル-チタン合金の一例は、古河テクノマテリアル社(日本国神奈川県)から市販されているFHP-NT合金である。ニッケルチタン合金のいくつかの例は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,238,004号明細書および同第6,508,803号明細書に開示されている。他の適切な材料は、ウルタニウム(ULTANIUM(商標))(ネオ-メトリクス(Neo-Metrics)から入手可能)およびゴム・メタル(GUM METAL(商標))(豊田(Toyota)から入手可能)を含み得る。いくつかの他の実施形態では、超弾性合金、例えば超弾性ニチノールを使用して所望の特性を達成することができる。
【0137】
様々な実施形態の多数の特徴が様々な実施形態の構造および機能の詳細と共に前述の説明に記載されているが、この詳細な説明は例示的なものに過ぎず、特に様々な実施形態によって示される部分の構造および配置に関して、添付の特許請求の範囲が表現されている用語の広範な一般的意味によって示される完全な範囲まで、細部における変更形態がなされ得ることを理解されたい。
以下に、上記実施形態から把握できる技術思想を付記として記載する。
[付記1]
眼のシュレム管の一部に少なくとも部分的に存在するように適合された眼用インプラントであって、
湾曲した容積内に延在する細長いポリマー本体であって、該湾曲した容積の長手方向軸が円弧を形成している、前記細長いポリマー本体と、
前記ポリマー本体の隙間空間内に配置された少なくとも1つの治療薬とを備え、
前記ポリマー本体が0.127ミリメートル(0.005インチ)~1.016ミリメートル(0.04インチ)の直径を有する、眼用インプラント。
[付記2]
前記ポリマー本体が、湾曲した容積内に延在する細長い管状本体内に配置され、前記湾曲した容積の長手方向軸が円弧を形成している、付記1に記載の眼用インプラント。
[付記3]
前記細長い管状本体が、該細長い管状本体の内側表面から外側表面にまで延在する複数の微小孔を含む、付記2に記載の眼用インプラント。
[付記4]
前記治療薬が眼内圧低下薬である、付記1に記載の眼用インプラント。
[付記5]
前記眼用インプラントが植え込まれたときに、前記治療薬は、1年~15年の期間に亘って前記ポリマー本体から溶出するように構成される、付記1に記載の眼用インプラント。
[付記6]
前記ポリマー本体の外側表面上に配置されたヘパリン関連コーティングをさらに備える、付記1に記載の眼用インプラント。
[付記7]
前記細長い管状本体の外側表面上に配置されたヘパリン関連コーティングをさらに備える、付記2に記載の眼用インプラント。
[付記8]
システムであって、
基端部から先端部まで延在する通路を画定するカニューレであって、トラフを形成するために前記カニューレの側壁および前記先端部を通って延在する先端開口と、湾曲した先端部分と、湾曲した中間部分と、基端部分とを有する前記カニューレと、
前記カニューレの通路内に配置された、治療薬を含むポリマー要素を含む眼用インプラントと、
前記眼用インプラントの相補的な相互係止部分と係合する先端の相互係止部分を有する送達ツールとを備えるシステム。
[付記9]
植え込まれたときに、前記治療薬は、1年から~15年の期間に亘って前記ポリマー要素から溶出するように構成される、付記8に記載のシステム。
[付記10]
前記治療薬が眼内圧低下薬である、付記8に記載のシステム。
[付記11]
前記ポリマー要素が、湾曲した容積内に延在する細長い管状本体内に配置され、前記湾曲した容積の長手方向軸が円弧を形成しており、前記細長い管状本体が、該細長い管状本体の内側表面から外側表面にまで延在する複数の微小孔を有する、付記8に記載のシステム。
[付記12]
前記ポリマー要素が、内側表面および外側表面を有する管状本体内に配置され、複数の開口領域および支柱領域が前記管状本体に形成され、前記支柱領域が前記複数の開口領域を取り囲み、前記管状本体は、湾曲した容積内に延在し、該湾曲した容積の長手方向軸が円弧を形成する、付記8に記載のシステム。
[付記13]
送達ツールの前記先端の相互係止部分および前記眼用インプラントの相補的な相互係止部分が、前記送達ツールの前記相互係止部分がカニューレのトラフに対して基端側にあるときに機械的相互係止接続を形成する、付記1に記載のシステム。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9A-9B】
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19A-19B】
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28A-28B】
図29
図30
図31
図31A
図32
図33
【手続補正書】
【提出日】2024-06-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼のシュレム管の一部に少なくとも部分的に存在するように適合された眼用インプラントであって、
細長い管状本体であって、湾曲した長手方向軸と、該細長い管状本体の内側表面から外側表面にまで延在する複数の開口と、を含む、細長い管状本体と、
前記細長い管状本体内に配置された細長いポリマー本体と、
前記細長いポリマー本体内に配置された少なくとも1つの治療薬と、を備える、
眼用インプラント。
【請求項2】
複数の前記開口は、微小孔を含む、請求項1に記載の眼用インプラント。
【請求項3】
前記細長い管状本体は、複数の支柱をさらに含む、請求項1に記載の眼用インプラント。
【請求項4】
前記治療薬が眼内圧低下薬である、請求項1に記載の眼用インプラント。
【請求項5】
前記眼用インプラントが植え込まれたときに、前記治療薬は、1年~15年の期間に亘って前記細長いポリマー本体から溶出するように構成される、請求項1に記載の眼用インプラント。
【請求項6】
前記細長い管状本体の外側表面上に配置されたヘパリン関連コーティングをさらに備える、請求項1に記載の眼用インプラント。
【請求項7】
少なくとも1つの前記治療薬は、前記細長いポリマー本体の隙間空間内に配置される、請求項1に記載の眼用インプラント。
【請求項8】
眼のシュレム管の一部に少なくとも部分的に存在するように適合された眼用インプラントであって、
細長い管状本体であって、湾曲した長手方向軸と、該細長い管状本体の内側表面から外側表面にまで延在する複数の開口と、を含む、細長い管状本体と、
前記細長い管状本体内の表面面積の少なくとも一部に沿って配置されたコーティングであって、該コーティングは、少なくとも1つの治療薬を含む、コーティングと、を備える、
眼用インプラント。
【請求項9】
前記コーティングは、前記眼用インプラントが前記眼に植え込まれたときに、1年~15年の期間に亘って前記治療薬を放出するように構成される、請求項8に記載の眼用インプラント。
【請求項10】
前記コーティングは、前記細長い管状本体の前記内側表面だけに配置されている、請求項8に記載の眼用インプラント。
【請求項11】
前記コーティングは、前記細長い管状本体の前記外側表面だけに配置されている、請求項8に記載の眼用インプラント。
【請求項12】
前記コーティングは、前記細長い管状本体の前記表面面積の少なくとも25%を覆う、請求項8に記載の眼用インプラント。
【請求項13】
前記コーティングは、前記細長い管状本体の前記表面面積の少なくとも50%を覆う、請求項8に記載の眼用インプラント。
【請求項14】
前記治療薬は、眼内圧低下薬を含む、請求項8に記載の眼用インプラント。
【請求項15】
前記治療薬は、抗炎症剤を含む、請求項8に記載の眼用インプラント。
【請求項16】
前記治療薬は、Rhoキナーゼ(ROCK)阻害薬を含む、請求項8に記載の眼用インプラント。