(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100862
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】血液培養測定システムにおける信号を正規化するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/64 20060101AFI20240719BHJP
G01N 21/80 20060101ALI20240719BHJP
G01N 33/483 20060101ALI20240719BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20240719BHJP
C12Q 1/06 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
G01N21/64 F
G01N21/80
G01N33/483 C
C12M1/00 A
C12Q1/06
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024080903
(22)【出願日】2024-05-17
(62)【分割の表示】P 2020571854の分割
【原出願日】2019-06-24
(31)【優先権主張番号】62/691,155
(32)【優先日】2018-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【弁理士】
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】ペティス ジェイムズ アール
(72)【発明者】
【氏名】アームストロング ロバート イー
(72)【発明者】
【氏名】ターナー デイヴィッド ジェイ
(57)【要約】
【課題】血液サンプル中の対象分析物の存在を示す光信号の検出を最適化するためのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】一態様において、センサを有する血液培養試験バイアルに血液サンプルを接種し、センサの励起周波数の光を試験バイアルに送信し、試験バイアルから放出された複数の蛍光信号の強度を測定し、複数の測定された蛍光信号は、試験バイアルから放出された蛍光信号の測定された強度に依存しない基準信号を使用することによって正規化される。別の態様において、測定システムは、極端なpH条件で実行する1又は2以上の基準バイアルからの蛍光信号を測定する。供試のサンプルを接種した試験バイアルから放出された蛍光信号が測定され、1又は2以上の基準バイアルから測定された信号と比較して、測定システムのハードウェア要素のバラツキに対処又はこれを軽減する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液サンプル中の対象分析物の存在を決定する方法であって、
センサを含む血液培養試験バイアルに前記血液サンプルを接種するステップと、
前記センサの励起周波数の光を前記試験バイアルに送信するステップと、
前記試験バイアルから放出された複数の蛍光信号の強度を測定するステップと、
前記試験バイアルから放出された蛍光信号の測定された強度に依存しない基準信号を使用して、測定された前記複数の蛍光信号を正規化するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記基準信号が、前記試験バイアル内の前記センサの要素の等吸収点である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記等吸収点が、前記試験バイアル内の前記センサの蛍光材料の等吸収点である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記等吸収点が、前記試験バイアル内の前記センサのインジケーター材料の等吸収点である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の測定された蛍光信号は、該複数の測定された蛍光信号を前記基準信号で除算することによって正規化される、請求項1から4の何れかに記載の方法。
【請求項6】
血液サンプル中の対象分析物の存在を決定するためのシステムであって、
センサを含み、前記血液サンプルを受け取るように構成された血液培養試験バイアルと、
前記センサの励起周波数の光を前記試験バイアルに送信するように構成された光源と、
前記試験バイアルから放出された複数の蛍光信号の強度を測定するように構成された1又は2以上の検出器と、
前記試験バイアルから放出された蛍光信号の測定された強度に依存しない基準信号を使用して、測定された前記複数の蛍光信号を正規化するように構成されたプロセッサと、
を備える、システム。
【請求項7】
前記基準信号が、前記試験バイアル内の前記センサの要素の等吸収点である、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記等吸収点が、前記試験バイアル内の前記センサの蛍光材料の等吸収点である、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記等吸収点が、前記試験バイアル内の前記センサのインジケーター材料の等吸収点である、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記複数の測定された蛍光信号を前記基準信号で除算することによって、前記複数の測定された蛍光信号を正規化するように構成されている、請求項6から9の何れかに記載のシステム。
【請求項11】
血液サンプル中の対象分析物の存在を決定する方法であって、
第1の基準流体を、センサを含む第1の基準バイアルに導入するステップを含み、
前記第1の基準流体が、前記第1の基準バイアル内の前記センサを第1の性能境界条件に曝すものであり、
前記方法は、
前記センサの励起周波数の光を前記第1の基準バイアルに送信するステップと、
前記第1の性能境界条件で実行する前記センサから放出された複数の蛍光信号の強度を測定して、第1の基準比を生成するステップと、
前記センサを含む血液培養試験バイアルに前記血液サンプルを接種するステップと、
前記センサの励起周波数の光を前記試験バイアルに送信するステップと、
前記試験バイアルから放出された複数の蛍光信号の強度を測定するステップと、
前記第1の基準比を使用して、前記試験バイアルから放出された、測定された前記複数の蛍光信号を正規化するステップと、
を含む、方法。
【請求項12】
前記第1の性能境界条件で実行する前記センサから放出された前記複数の蛍光信号の強度を測定するステップは、第1の発光フィルタ及び第2の発光フィルタを使用して前記複数の蛍光信号をフィルタ処理するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の基準比は、前記第1の発光フィルタを使用してフィルタ処理された第1の基準蛍光信号の測定された強度を、前記第2の発光フィルタを使用してフィルタ処理された前記第1の基準蛍光信号の測定された強度で除算することによって生成される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の発光フィルタを使用してフィルタ処理された試験バイアル蛍光信号の測定された強度を、前記第2の発光フィルタを使用してフィルタ処理された前記試験バイアル蛍光信号の測定された強度で除算して、試験バイアル比を生成するステップを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の基準比を使用して前記試験バイアルから放出された前記複数の測定された蛍光信号を正規化するステップは、前記試験バイアル比を前記第1の基準比と比較するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の基準バイアル及び前記試験バイアル内のセンサが、フルオロフォア及びpHインジケーターを含み、
前記方法が更に、前記試験バイアル比を前記第1の基準比と比較することによって、前記pHインジケーターのpH状態を決定するステップを含む、
請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記血液培養試験バイアルに前記血液サンプルを接種する前に、
第2の基準流体を、前記センサを含む第2の基準バイアルに導入するステップであって、前記第2の基準流体が前記第2の基準バイアル内の前記センサを第2の性能境界条件に曝す、前記ステップと、
前記センサの励起周波数の光を前記第2の基準バイアルに送信するステップと、
前記第2の性能境界条件で実行する前記センサから放出された複数の蛍光信号の強度を測定して、第2の基準比を生成するステップと、
を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記試験バイアルから放出された前記複数の測定された蛍光信号を正規化するステップは、前記試験バイアル比を、前記第1の基準比及び前記第2の基準比によって境界付けられた比の範囲と比較するステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の性能境界条件が低pH条件であり、前記第2の性能境界条件が高pH条件である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の基準バイアル及び前記試験バイアル内の前記センサが、フルオロフォア及びpHインジケーターを含み、前記第1の発光フィルタが、前記フルオロフォアの蛍光出力スペクトルの下端で波長範囲をフィルタ処理するように構成された狭帯域通過フィルタを含み、前記第2の発光フィルタが、前記pHインジケーターの吸光度ピークの波長又はそ近傍の波長をフィルタ処理するように構成された狭帯域通過フィルタを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
血液サンプル中の対象分析物の存在を決定するためのシステムであって、
センサと、前記センサを第1の性能境界条件に曝すように構成された第1の基準流体とを含む第1の基準バイアルと、
前記センサを含み、前記血液サンプルを受け取るように構成された血液培養試験バイアルと、
前記センサの励起周波数の光を前記第1の基準バイアル及び前記試験バイアルに送信するように構成された光源と、
前記第1の基準バイアル及び前記試験バイアルから放出された複数の蛍光信号の強度を測定するように構成された1又は2以上の検出器と、
前記第1の基準バイアルから放出された前記複数の蛍光信号の測定された強度から生成された第1の基準比を使用して、前記試験バイアルから放出された、測定された前記複数の蛍光信号を正規化するように構成されたプロセッサと、
を備える、システム。
【請求項22】
前記第1の基準バイアル及び前記試験バイアルから放出された前記複数の蛍光信号をフィルタ処理することが確認された第1の発光フィルタ及び第2の発光フィルタを更に備える、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記プロセッサは、前記第1の発光フィルタを使用してフィルタ処理された第1の基準蛍光信号の測定された強度を、前記第2の発光フィルタを使用してフィルタ処理された前記第1の基準蛍光信号の測定された強度で除算することによって、前記第1の基準比を生成するように更に構成される、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記プロセッサは、前記第1の発光フィルタを使用してフィルタ処理された試験バイアル蛍光信号の測定された強度を、前記第2の発光フィルタを使用してフィルタ処理された前記試験バイアル蛍光信号の測定された強度で除算して、試験バイアル比を生成するように更に構成される、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記プロセッサは、前記試験バイアル比を前記第1の基準比と比較することによって、前記試験バイアルから放出された複数の測定された蛍光信号を正規化するように構成されている、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記第1の基準バイアル及び前記試験バイアル内の前記センサが、フルオロフォア及びpHインジケーターを含み、前記プロセッサが、前記試験バイアル比を前記第1の基準比と比較することによって前記pHインジケーターのpH状態を決定するように構成されている、請求項24に記載のシステム。
【請求項27】
前記センサと、前記センサを第2の性能境界条件に曝すように構成された第2の基準流体とを含む第2の基準バイアルを更に備える、請求項24に記載のシステム。
【請求項28】
前記プロセッサは、前記試験バイアル比を前記第1の基準比及び前記第2の基準比によって境界付けられた比の範囲と比較することによって、前記試験バイアルから放出された前記複数の測定された蛍光信号を正規化するように構成されている、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記第1の性能境界条件が低pH条件であり、前記第2の性能境界条件が高pH条件である、請求項27に記載のシステム。
【請求項30】
前記第1の基準バイアル及び前記試験バイアル内の前記センサが、フルオロフォア及びpHインジケーターを含み、前記第1の発光フィルタが、前記フルオロフォアの蛍光出力スペクトルの下端で波長範囲をフィルタ処理するように構成された狭帯域通過フィルタを含み、前記第2の発光フィルタが、前記pHインジケーターの吸光度ピークの波長又はその近傍の波長をフィルタ処理するように構成された狭帯域通過フィルタを含む、請求項22に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、引用によりその全体が本明細書に組み入れられる、2018年6月28日に出願された米国仮出願第62/691155号の利益を主張する。
(分野)
【0002】
本開示は、限定ではないが、光学的血液培養測定システムのような蛍光検出システムの最適化に関する。より具体的には、本開示は、サンプル中の対象分析物の存在を検出するように構成された光学的血液培養測定システムにおける蛍光信号を正規化するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の説明)
特定の分野(例えば、医薬、薬剤、食品産業)において、特定のシステム(例えば、患者の血液、一組の製剤、食糧供給)における微生物汚染の迅速且つ正確な決定が望ましい。インジケーター材料と併用して蛍光材料を含むセンサを用いる方法が、生物活性を通じたサンプル中の微生物の間接的検出のために開発されてきた。これらの方法を用いる測定システムは、サンプル及びセンサを収容する容器又はバイアルから放出される蛍光信号を検出するために、蛍光センサ又は検出器を利用する。次に、検出器によって収集されたデータを処理するために、ソフトウェア及び/又はハードウェアシステムが利用される。検出器によって測定された信号は、例えば、結果として得られたデータ読み取り値における信号対ノイズ比を改善するために、1又は2以上の基準信号を使用して正規化することができる。特定の応用において、バイアルが測定システム内に配置されたときに初期検出器読み取り値が取得され、この初期読み取り値が基準信号として使用される。初期検出器読み取り値に基づく正規化は、幾つかの制限を受ける場合がある。
【0004】
一部のシステムにおいて、何れかの特定の時間における測定システムの出力は、バイアルが最初にシステムに配置された時点(「時間ゼロ」とも呼ばれる)で取得された初期検出器読み取り値に対する現在の検出器読み取り値の比に基づいて生成される。これらのシステムにおいて、現在の検出器読み取り値は、現在の検出器読み取り値を時間ゼロでの初期検出器読み取り値で除算することによって正規化される。任意の時点での検出器読み取り値をi読み取り値として定義し、初期検出器読み取り値をi読み取り値#1として定義し、初期検出器読み取り値が取得される時間をt読み取り値#1として定義すると、エンドユーザに提供される報告された測定システム読み取り値のバラツキは、次式:
報告された測定システム読み取り値のバラツキ=
Δ(i読み取り値/i読み取り値#1)+Δt読み取り値#1
で表すことができる。この式に示されるように、報告された測定システム読み取り値のバラツキの一因となる要素は、「ii読み取り値#1」として指定された初期システム読み取り値の何れかのバラツキである。このバラツキにより、測定システムの感度が低下する可能性がある。例えば、試験サンプルからの出力信号読み取り値の変化が、検出器のバラツキの結果ではなく微生物の存在の結果であることを見分けるには、出力読み取り値のより大きな変化が必要となる可能性がある。換言すると、検出器のバラツキは、サンプル内の分析物の存在を決定するのに必要な閾値測定に影響を与える場合がある。
【0005】
加えて、サンプルが収集されて試験バイアルに注入された時間と、バイアルが測定システムに配置された時間との間に遅延が存在することが多い。場合によっては、接種されたバイアルは、数時間後、或いは数日、例えば週末にわたって測定システム内に配置される。これは、初期検出器読み取り値がバイアルにサンプルを接種した後24~72時間にわたって取得されない可能性があることを意味する。サンプルがバイアルに配置されたときからバイアルが測定装置内に配置されたときまでの時間期間は、一般に遅延バイアルエントリー(DVE)と呼ばれる。DVE時間期間は、測定システム内にバイアルを配置する前に、細菌又は他の微生物の増殖を可能にする場合がある。測定システムに配置する前の細菌又は他の微生物の増殖は、初期検出器読み取り値基準信号に影響を与える可能性があり、その結果として、初期検出器読み取り値基準信号を使用して正規化された試験データに影響を与える可能性がある。
【0006】
測定システムによって出力された現在の検出器読み取り値を正規化するための基準信号として初期検出器読み取り値を使用することに関連して他の欠点が存在する。初期検出器読み取り値基準信号は、センサの温度変動により影響を受ける場合がある。周囲センサの温度変動は、センサ及び/又はセンサ装置のエンドユーザによる周囲環境の不十分な制御、システムに入った後のバイアル温度の変化、及び測定システムを通る空気の動きなどの外部要因によって引き起こされる可能性がある。センサ温度変動は、正確な読み取り値を提供するために補償が必要となる場合がある。
【0007】
現在の測定及びデータ処理技術はまた、対象分析物の存在の検出を遅らせる結果となる場合がある。ノイズ源からの信号の変化(ユーザの相互作用、温度変化など)は、微生物増殖のように見える可能性がある。検出器データを処理するために使用されるアルゴリズムは、これらの信号変化を補償するために移動平均を使用することができる。移動平均を使用して信号を平滑化すると、ランダムノイズを低減することができるが、微生物増殖によって引き起こされる信号変化の検出を遅延させる場合もある。光学式血液培養センサシステムはまた、インパルスノイズ(ボトル移動及び引き出し音など)を微生物増殖と見分ける必要があるので、これらのシステムにおける検出された信号を処理するアルゴリズムは、測定された信号の変化が確実に持続するようにある形態の遅延を利用する。このような持続的な信号変化は、信号変化がインパルスノイズではなく、血液培養ボトル内の微生物増殖に起因する場合に発生する可能性が高い。しかしながら、この固有の遅延により、サンプルが収集された時間から血液培養試験結果が生成された時間までの待機時間が長くなる一因となる可能性がある。
【0008】
現在の正規化技術はまた、測定システムの信号品質に関するリアルタイムのフィードバックを提供することができない。測定システムのシステムアーキテクチャは、誤った測定が行われる可能性がある。例えば、センサ内の蛍光材料を励起するための一部の光源要素は、これらの耐用寿命の間に発光強度を劣化させる可能性がある。光検出器の性能もまた、劣化する可能性がある。光源要素からのエネルギー放出又は光学検出器の感度の何れかの変化の結果として、測定システムによって不正確な試験データが報告される可能性がある。不正確なデータ測定の更なる原因は、測定システム装置の誤用(例えば、装置筐体のドアの衝撃音)を含む場合がある。測定システムの誤った取り扱いは、サンプル試験中に光学的照会経路において試験バイアルの位置合わせ不良を引き起こす可能性がある。加えて、試験バイアル内のセンサの化学成分の不一致の結果として、測定システムによって誤った試験データが報告されることになる可能性がある。
【0009】
開示された技術の実施形態は、光学的血液培養測定システムにおけるこれら及び他の欠点を解決又は軽減する。開示された技術の実施構成は、光学的血液培養測定システムの要素における上記のバラツキの原因に対処することができる。1つの実施構成において、要素は、光学的血液培養測定システムにて受け取られる血液培養バイアル内部に存在する。例えば、開示された技術の実施構成は、試験のために光学的血液培養測定システムにて受け取られた血液培養バイアル中の蛍光センサのバラツキに対処又は軽減することができる。別の実施構成において、要素は、光学的血液培養測定システムにて受け取られた血液培養バイアルから放出される信号を測定するシステム内の装置である。例えば、開示された技術の実施構成は、光学的血液培養測定システム内のセンサによって放出される蛍光信号を測定する装置のバラツキに対処又は軽減することができる。
【0010】
開示された技術の実施形態は、限定ではないが、Becton、Dickinson and CompanyによるBD BACTEC(登録商標)血液培養システムなど、光学的血液培養測定システムを参照して本明細書で記載されている。しかしながら、開示された技術の実施形態は、血液培養測定システムに限定されず、等吸収点などの検出器読み取り値の正規化のための基準信号として使用するのに好適な不変特性を有するセンサ又は他の材料に依存する他のタイプの光学的検出システムに適用できることは理解されるであろう。例えば、現在開示されている技術の実施形態は、免疫アッセイで実施することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の態様は、血液サンプル中の対象分析物の存在を検出するように構成された光学的血液培養測定システムにおいて蛍光信号を正規化するためのシステム及び方法を含む。
【0013】
一実施形態において、供試の血液サンプル中の対象分析物の存在を決定する方法が提供される。本方法は、センサを含む血液培養試験バイアルに血液サンプルを接種するステップと、センサの励起周波数の光を試験バイアルに送信するステップと、試験バイアルから放出された複数の蛍光信号の強度を測定するステップと、供試の血液サンプルを、接種された試験バイアルから放出された蛍光信号の測定された強度に依存しない基準信号によって複数の測定された蛍光信号を正規化するステップと、を含む。
【0014】
別の実施形態において、供試の血液サンプル中の対象分析物の存在を決定するためのシステムが提供される。本システムは、センサを含み且つ血液サンプルを受け取るように構成された血液培養試験バイアルと、センサの励起周波数の光を試験バイアルに送信するように構成された光源と、試験バイアルから放出された複数の蛍光信号の強度を測定するように構成された1又は2以上の検出器と、試験バイアルから放出された蛍光信号の測定された強度に依存しない基準信号によって複数の測定された蛍光信号を正規化するように構成されたプロセッサと、を備える。
【0015】
更なる実施形態において、血液サンプル中の対象分析物の存在を決定する方法が提供される。本方法は、第1の基準流体を、センサを含む第1の基準バイアルに導入するステップを含み、第1の基準流体は、第1の基準バイアル内のセンサを第1の性能境界条件に曝す。本方法はまた、センサの励起周波数の光を第1の基準バイアルに送信するステップを含む。本方法は更に、第1の性能境界条件で実行するセンサから放出された複数の蛍光信号の強度を測定して、第1の基準比を生成するステップを含む。本方法は、センサを含む血液培養試験バイアルに血液サンプルを接種するステップと、センサの励起周波数の光を試験バイアルに送信するステップと、試験バイアルから放出された複数の蛍光信号の強度を測定するステップと、を含む。本方法はまた、第1の基準比を使用して、試験バイアルから放出された複数の測定された蛍光信号を正規化するステップを含む。
【0016】
更に別の実施形態において、血液サンプル中の対象分析物の存在を決定するためのシステムが提供される。本システムは、センサと、センサを第1の性能境界条件に曝すように構成された第1の基準流体とを含む第1の基準バイアルを備える。本システムはまた、センサを含み、血液サンプルを受け取るように構成された血液培養試験バイアルを備える。本システムはまた、センサの励起周波数の光を第1の基準バイアル及び試験バイアルに送信するように構成された光源を備える。本システムは、第1の基準バイアル及び試験バイアルから放出された複数の蛍光信号の強度を測定するように構成された1又は2以上の検出器を備える。本システムはまた、第1の基準バイアルから放出された複数の蛍光信号の測定された強度から生成された第1の基準比を使用して、試験バイアルから放出された複数の測定された蛍光信号を正規化するように構成されたプロセッサを備える。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示の例示的な実施形態によるサンプル測定システムの概略図を示す。
【
図2】本開示の例示的な実施形態による、サンプル測定システムの様々な光学要素のスペクトル、並びに蛍光材料を含むセンサの吸収及び発光スペクトルを示すグラフを示す。
【
図3】本開示の例示的な実施形態による、蛍光材料を含むセンサの吸収及び発光スペクトルを示すグラフを示す。
【
図4】本開示の例示的な実施形態による、様々なpH状態でのpHインジケーターの吸収スペクトルを示すグラフを示す。
【
図5】本開示の例示的な実施形態による、様々なpH状態でのpHインジケーターの吸収スペクトルを示すグラフを示す。
【
図6】本開示の例示的な実施形態による、光学的血液培養測定システムにおいて蛍光信号を測定する要素のバラツキを正規化するためのプロセスを示すフローチャートを示す。
【
図7】本開示の例示的な実施形態による、血液サンプル中の対象分析物の存在を示す光信号の検出を最適化するためのプロセスを示すフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書に記載の何れかの特徴又は特徴の組み合わせは、このような何れかの組み合わせに含まれる特徴が、文脈、本明細書及び当業者の知見から明らかなように相互に矛盾がないという条件下で、本開示の範囲内に含まれる。加えて、何れかの特徴又は特徴の組み合わせは、本開示の何れかの実施形態から明確に除外することができる。本開示を要約する目的で、本開示の特定の態様、利点及び新規の特徴が本明細書に記載されている。勿論、必ずしも全てのそのような態様、利点、又は特徴が本開示の何れかの特定の実施形態に存在するとは限らないことは理解されたい。
【0019】
本明細書で提示された実施形態は、限定ではなく例証であることを理解されたい。以下の詳細な説明の意図は、例示的な実施形態を論じてはいるが、本開示の精神及び範囲に含むことができる実施形態の全ての修正形態、代替形態及び均等物を保護するものと解釈されるべきである。
【0020】
本明細書に記載の実施形態は、血液サンプルなどのサンプル中の対象分析物の存在を示す光信号の検出を最適化するためのシステム及び方法に関する。特定の実施形態において、細菌又は他の微生物などの対象分析物の存在は、サンプル内の分析物の増殖に関連付けられた、蛍光などの光学的特性の変化の検出に基づいて決定される。例えば、サンプルは、バイアル内の分析物の増殖に反応した光学的に測定可能な変化(例えば、色強度)を受ける1又は2以上の染料を含む、蛍光材料及びインジケーター材料を収容するバイアル又は他の容器に導入することができる。インジケーター材料は、バイアル内の状態の変化、又は限定ではないがバイアル内のpH条件の変化に反応して光学的に測定可能な変化(色の変化など)を受けるpHインジケーターなどのサンプルの特性の変化に反応して光学的に変化するように構成することができる。インジケーター材料の光学的変化は、例えば、蛍光材料の励起及び/又は蛍光信号の発光を調節することによって、蛍光材料の蛍光挙動を変化させることができる。特定の実施形態において、蛍光材料及びインジケーター材料は、試験バイアル内のセンサの一部とすることができる。
【0021】
1又は2以上の検出器は、バイアル内の蛍光材料によって放出された蛍光信号の強度を検出することができる。検出器によって検出されたデータを処理して、蛍光材料によって放出された蛍光信号の強度の変化を決定することによって、対象分析物の量の変化を間接的に決定することができる。
【0022】
本明細書に記載のシステム及び方法の実施形態は、光学的血液培養測定システムの要素のバラツキを考慮又は軽減することができる。開示された技術の実施構成は、光学的血液培養測定システムの要素における上記のバラツキの原因に対処することができる。一実施形態において、要素は、光学的血液培養測定システム中にある血液培養バイアルの内部に存在する。例えば、開示された技術の実施形態は、試験のために光学的血液培養測定システムにて受け取られた血液培養バイアル中の蛍光センサのバラツキに対処又はこれを軽減することができる。この実施構成に関して説明されたシステム及び方法の実施形態は、測定システム自体の性能特性の関数として変化しない基準信号を使用して、検出器読み取り値を正規化する。有利には、本開示による基準信号は、試験バイアル内のセンサの不変特性など、測定システム内にある要素の不変特性に基づくことができる。場合によっては、本開示による基準信号は、試験サンプルを接種した試験バイアルから放出された蛍光信号の測定された強度には依存しない。例えば、基準信号は、試験バイアルから放出された蛍光信号の測定値に伴って変化せず、又はこれらに関連しない場合がある。以下に記載する1つの非限定的な実施例において、基準信号は、試験バイアル中に存在するセンサの要素の等吸収点である。要素は、センサの蛍光材料又はインジケーター材料とすることができる。
【0023】
本開示の他の実施構成は、血液培養バイアルから放出された信号を測定するシステムのハードウェアによって導入されるバラツキに対処又はこれを軽減する。例えば、開示された技術の実施構成は、光学的血液培養測定システム内のセンサによって放出された蛍光信号を測定するシステムの一部を形成する、励起光、励起フィルタ、発光フィルタ、フォトダイオード、又はこれらの要素の任意の組み合わせのバラツキに対処又はこれを軽減する可能性がある。
図5~6を参照して以下に説明するように、測定システムは、試験バイアルで発生すると予想される極端な(例えば、高低pH)条件で実施する1又は2以上の基準バイアルからの蛍光信号を測定する。これらの測定値は、測定システムで受け取った試験バイアルの1又は2以上の性能境界条件を策定するのに使用される。測定システムは、供試のサンプルを接種した試験バイアルから放出された蛍光信号を測定する。これらの試験バイアルの蛍光信号は、1又は2以上の性能境界条件と比較して、測定システムのハードウェア要素のバラツキに対処又はこれを軽減することができる。
【0024】
本開示の実施形態は、光学的血液培養測定システムの要素のバラツキに対処するために、試験バイアルによって放出された蛍光信号を正規化することに関して説明する。本明細書に記載の基準信号及び基準比を使用して蛍光信号を調整、分割及び比較する方法は、蛍光信号を較正することとしても説明することができることが理解されるであろう。
【0025】
(試験バイアルに存在する要素のバラツキに起因したセンサ読み取り値のバラツキを正規化するために基準信号を使用した本開示の実施構成)
ここで、試験バイアル中に存在する要素のバラツキに起因したセンサ読み取り値のバラツキを正規化するために基準信号を使用する本開示の実施構成について、
図1から
図4を参照して説明する。基準信号は、測定システム自体の性能特性の関数として変化せず、供試のサンプルを接種した試験バイアルから放出された蛍光信号を正規化するために使用することができる。以下の実施例は、蛍光材料又はインジケーター材料など、試験バイアル中に存在する要素の等吸収点に関して説明されているが、本開示は、供試のサンプルを接種した試験バイアルから測定された蛍光信号によって変化も依存もしない他の基準信号に適用できることが理解されるであろう。
【0026】
図1は、本開示の例示的な実施形態による測定システム100の概略図を示す。測定システム100は、試験バイアル102、光源108及び検出器110を含む。
【0027】
試験バイアル102は、血液サンプルなどのサンプル104を受け取るように構成される。測定システム100は、試験バイアル102にて受け取ったサンプル104中の対象分析物の存在又は不在を決定するように構成される。対象分析物は、例えば、微生物又は細菌とすることができる。試験バイアル102は更に、蛍光材料及びインジケーター材料を含むセンサ106を収容することができる。バイアル102はまた、バイアル102内の微生物の増殖をサポートし得る液状培地を収容することができる。試験バイアル102は、例えば、血液培養ボトルとすることができる。
【0028】
光源108は、センサ106の蛍光材料を励起するために、1又は2以上の波長又は波長範囲で光を放出するように作動させることができる。特定の実施形態において、光源108は、1又は2以上の発光ダイオード(LED)を含むことができる。
【0029】
検出器110は、センサ106の励起に続いて、センサ106の蛍光材料によって放出された蛍光を検出するように構成することができる。検出器110は、シリコンフォトダイオード、PINシリコンダイオード、GaAsPフォトダイオード、又は他の何れかの好適な光検出器とすることができる。幾つかの実施形態において、検出器110は、光起電デバイス、光導電デバイス、光伝導デバイス、又はセンサ106から放出された信号を検出するための他の何れかの好適なデバイスを含むことができる。特定の実施形態において、センサ106によって放出された蛍光信号を測定するために、複数の検出器110を用いることができる。
【0030】
システム100は、光源108からの光をフィルタ処理して特定の波長又は波長範囲の光のみを蛍光材料に提供するように構成された1又は2以上の励起フィルタ114を含むことができる。例えば、特定の実施形態において、1又は2以上の励起フィルタ114は、蛍光材料の吸収スペクトルに対応する特定の波長又は波長範囲を蛍光材料に提供するように光をフィルタ処理することができる。
【0031】
システム100は、光をフィルタ処理して波長又は波長範囲を検出器110に提供するように構成された1又は2以上の発光フィルタ116を含むことができる。例えば、特定の実施形態において、1又は2以上の発光フィルタ116は、蛍光材料の発光スペクトルに対応する波長又は波長範囲を検出器110に提供するように光をフィルタ処理することができる。
【0032】
システム100で使用される蛍光材料は、光源108の発光スペクトル及び/又は検出器110の仕様に基づいて選択することができる。特定の実施形態において、蛍光材料は、1又は2以上のフルオロフォア(fluorophore)を含むことができる。本明細書に記載の実施形態で使用するのに好適とすることができるフルオロフォアの例には、限定ではないが、チオニン、ナフトフルオレセイン、カルボキシナフトフルオレセイン、3、3’ジメチルオキサジカルボシアニン、スルホローダミンB、ピロニンB、ローダミンB、ナイルレッドフェノキサゾン9、エバンスブルー、ローダミン6G過塩素酸塩、スルホローダミンG、7アミノアクチノミコンD、EOSIN、ローダミン110及びローダミン123が挙げられる。
【0033】
本明細書に記載されるように、センサ106内のインジケーター材料は、サンプル内の対象分析物の変化、例えば、サンプル内の分析物の濃度の変化に反応して、光学的変化を受ける場合がある。特定の実施形態において、試験バイアル中に存在する、CO2、O2、H2S、NH3、又は当技術分野で知られている他の何れかの好適な化合物のうちの1又は2以上についての濃度の変化に基づいて光学的特性の変化を受けるインジケーター材料が選択される。特定の実施形態において、サンプル内の分析物の濃度の変化に起因した試験バイアル内のpHの変化に基づいて光学的特性の変化を受けるインジケーターが選択される。
【0034】
特定の実施形態において、インジケーター材料は、pHインジケーターを含むことができる。本明細書に記載の実施形態で使用するのに好適とすることができるpHインジケーターの例には、限定ではないが、プロピルレッド、P-ニトロフェノール、アゾリトミン、クロロフェノールレッド、3,6-ジヒドロキシキサントン、アリザリン、ブロモキシレノールブルー、M-ジニトロベンゾイレン尿素、ブロモチモールブルー、オーリン(アソリン酸(Aosolic acid))、ニュートラルレッド、クレゾールレッド、ブロモクレゾールレッド、ブロモクレゾールパープル、レゾリック酸、ナイルブルー、フェノールレッド、ニトラミン、クレゾールパープル及びメチルイエローが挙げられる。
【0035】
インジケーター材料の光学的変化は、蛍光材料を励起する光又はセンサ106の蛍光材料から放出された光の量を変化させる光フィルタとして機能することができる。従って、サンプル内の対象分析物の濃度の変化は、センサ106のインジケーター材料の光学的特性を変化させることによって、検出器110によって検出された蛍光信号の変化を引き起こすことができる。その結果として、検出器110によって検出された蛍光信号の強度の変化は、サンプル内の対象分析物の濃度の変化を示すことができる。
【0036】
一例として、特定の実施形態において、システム100は、バイアル102内に配置されたサンプル内の細菌又は微生物の存在を検出するように構成される。細菌が対象分析物である実施形態において、インジケーターは、pHが変化するにつれて吸光度の変化を受けるように構成された、pHインジケーターとすることができる。バクテリアが増殖すると、CO2を吐出する。CO2は、バイアル102内で水性培地と混合して、炭酸を生成することができる。炭酸量の増加は、pHの低下をもたらす。バイアル102内のpHが低下するにつれて、pHインジケーターの吸光度が低下し、これにより多くの励起エネルギーがセンサ106内の蛍光材料に到達することが可能になり、蛍光材料からの蛍光発光の強度の増加をもたらす。本明細書に記載されるように、蛍光材料は、1又は2以上のフルオロフォアを含むことができる。検出器110は、増加した蛍光発光強度を検出することができ、CO2濃度の増加の間接測定として機能することができる。上記のように、CO2濃度は、細菌の増殖と直接に相関関係がある。従って、検出器110による増加した蛍光強度の検出は、サンプル内の細菌の存在を示すことができる。
【0037】
特定の実施形態において、測定システム100は更に、検出器110によって測定された蛍光強度の変化に基づいて、分析物の存在を決定する信号処理を実行するように構成されたプロセッサ112を含むことができる。特定の実施形態において、プロセッサは、コンピューターシステムの一部とすることができる。このようなコンピューターシステムはまた、メモリ、入力及びディスプレイのうちの1又は2以上を含むことができる。読み取り専用メモリ(ROM)、又はROMとランダムアクセスメモリ(RAM)の両方を含むことができるメモリは、命令及びデータをプロセッサ112に提供するように構成することができる。例えば、メモリは、信号処理機能を実行するプロセッサ112を構成するための命令を定義するデータ値を記憶する1又は2以上のモジュールを格納することができる。
【0038】
特定の実施形態において、1又は2以上の検出器によって検出された蛍光信号は、基準信号を使用してプロセッサ112によって正規化することができる。特定の実施形態において、測定システムは、測定システム自体の性能特性の関数として変化しない基準信号を使用して、検出器読み取り値を正規化する。例えば、試験バイアル内のセンサの不変特性など、測定システム中に存在する要素の不変特性に基づく基準信号を選択することができる。本開示の1つの非限定的な実施例において、試験サンプルが接種された試験バイアルから放出された蛍光信号の測定された強度に依存しない基準信号が選択される。例えば、基準信号は、試験バイアルから放出された蛍光信号の測定値に伴って変化せず、又はこれらに関連しない場合がある。以下の
図2~4に関して説明する非限定的な実施例において、基準信号は、試験バイアル中に存在するセンサの要素の等吸収点である。
【0039】
等吸収点は、一般に、サンプルの化学反応又は物理的変化の間にサンプルの総吸光度が変化しない波長、波数又は周波数として定義することができる。測定システム中に存在する要素の等吸収点は、検出器読み取り値を正規化するための基準信号として使用することができる。以下の
図2及び3を参照して詳細に説明する1つの非限定的な実施例において、センサ106の蛍光材料の等吸収点を決定及び使用して、基準信号を生成することができる。蛍光材料に関して、等吸収点は、蛍光材料の吸収スペクトルが蛍光材料の発光スペクトルと交差する特定の波長として定義することができる。以下の
図4を参照して詳細に説明する別の非限定的な実施例において、センサ106のインジケーター材料の等吸収点を決定及び使用して、基準信号を生成することができる。インジケーター材料がpHインジケーターである場合、等吸収点は、様々なpH条件のpHインジケーターの吸収スペクトルが交差する特定の波長として定義することができる。要素(例えば、蛍光材料、又はpHインジケーター)の等吸収点は、材料の固有の特性である。結果として、本開示による基準信号として等吸収点を使用することは、測定システムの性能特性に依存せず、又はこれに伴って変化しない。有利には、測定システム内に存在する要素の等吸収点は、測定システムによって検出された血液培養測定値のリアルタイムの連続的な正規化を可能にすることができる。ここで、このような等吸収点の実施例について、
図2に示された等吸収点205及び
図3に示された等吸収点305に関して説明する。
【0040】
図2は、LED光源、フォトダイオード検出器、励起フィルタ及び発光フィルタを含む測定システム100などの測定システムで使用することができる光学要素のスペクトルの例を示すグラフを示す。
図2はまた、試験バイアル内のCO
2状態を検出するように構成されたセンサ106のローダミンベースのフルオロフォアの吸収スペクトル及びローダミンベースのフルオロフォアの発光スペクトルを示す。
図2に示すように、等吸収点205は、フルオロフォアの吸収スペクトル及びフルオロフォアの発光スペクトルが交差する場所で発生する。この実施例において、等吸収点は、約550nmである。
【0041】
図3は、測定システム100などの測定システムで使用することができる酸素センサの吸収スペクトル及び発光スペクトルを示すグラフを示している。酸素センサの実施例は、米国特許第6,080,574号に記載されている。
図3に示すように、等吸収点305は、酸素センサの吸収スペクトル及び酸素センサの発光スペクトルが交差する場所で発生する。この実施例において、等吸収点は、約550nmである。等吸収点の存在は、
図2及び3の実施例に記載されたCO
2センサ又は酸素センサだけに限定されず、本開示による基準信号として等吸収点を使用することは、一般に、H
2S、NH
3、又は当技術分野で知られている他の何れかの好適な化合物用のセンサを含む様々な分析物センサに適用可能とすることができることが理解されるであろう。
【0042】
別の実施形態において、センサのインジケーター材料の等吸収点を使用して、検出器読み取り値を正規化するための基準信号を生成することができる。インジケーター材料がpHインジケーターである場合、等吸収点は、様々なpH状態のpHインジケーターの吸収曲線が交差する吸収スペクトル(すなわち、特定の波長)内の点として定義することができる。
【0043】
このような等吸収点の例は、
図4の等吸収点405及び410に示されている。
図4は、様々なpH状態の「pHインジケーター1」と表記された第1のpHインジケーター及び「pHインジケーター2」と表記された第2のpHインジケーター用の吸収スペクトルを示すグラフを示している。
図4は、pH8.41のpHインジケーター2の吸収スペクトルと、pH10.77のpHインジケーター2の吸収スペクトルを示す。
図4に示されるように、pH8.41及びpH10.77のpHインジケーター2の吸収スペクトルは、等吸収点405で重なり合う。この非限定的な実施例において、等吸収点405は、約484nmである。
図4はまた、pH6.51のpHインジケーター1の吸収スペクトル及びpH12.5のpHインジケーター1の吸収スペクトルを示す。
図4に示されるように、pH6.51及びpH12.5のpHインジケーター1の吸収スペクトルは、等吸収点410で重なり合う。この非限定的な実施例において、等吸収点410は、約489nmである。pHインジケーター1及びpHインジケーター2などのpHインジケーターの等吸収点は、センサ内のpHインジケーターの濃度に依存することが理解されるであろう。試験バイアルのセンサにおいて特定の濃度で提供されたpHインジケーターの特定の等吸収点は、経験的に又は他の何れかの好適な方法を使用して決定することができる。
【0044】
(測定システムのハードウェア要素のバラツキに起因したセンサ読み取り値のバラツキを正規化するための基準比を使用する本開示の実施構成)
次に、測定システムのハードウェア要素のバラツキに起因したセンサ読み取り値のバラツキを正規化するために基準比を使用する本開示の実施構成について、
図5及び
図6を参照して説明する。基準比は、測定システムの性能特性の関数として変化し、供試のサンプルを接種して同じ測定システムを使用して測定した試験バイアルから放出された蛍光信号を正規化するのに使用することができる。以下の実施例は、励起光、励起フィルタ、発光フィルタ及びフォトダイオードなど、測定システムの特定のハードウェア要素に関して説明されているが、本開示は、これらの要素の何れかに単独で又は組み合わせて適用することができ、並びに光学式血液培養測定システムの他のハードウェア要素に適用できることは理解されるであろう。
【0045】
以下の
図5及び
図6に関して説明する非限定的な実施形態において、2つの指定された波長でのpHインジケーターの吸光度の比は、試験バイアルからの検出器読み取り値を正規化又は較正するための基準比として使用できる相対尺度を提供する。第1の非限定的な実施構成において、検出器読み取り値は、2つの基準比を使用して正規化される。第2の非限定的な実施構成において、検出器読み取り値は、単一の基準比を使用して正規化される。
【0046】
検出器読み取り値を正規化するために2つの基準比を使用する実施構成において、2点正規化プロセスは、実際の試験試料の測定中に試験バイアル内に存在することが予期される可能性がある2つの極端な状態にバイアル内のpHインジケーターを曝すように設定された2つの基準バイアルを使用して実行される。2つの基準バイアルからの蛍光信号は、選択された基準を有する発光フィルタを含む測定システムを使用して測定され、選択された基準は、2つの基準バイアル内の極端な条件下で実行するpHインジケーターの予期された吸光度特性に基づいている。この実施例において、極端な条件とは、低pH条件と高pH条件である。2つの発光フィルタを使用して各基準バイアルから測定された蛍光信号の比は、各基準バイアル内の培地のpHに比例しており、同じpHインジケーターを用いる試験バイアルの血液培養試験中に取得された検出器読み取り値の比を正規化するための基準比として使用することができる。
【0047】
図5は、様々なpH状態において、インジケーター材料、この場合はpHインジケーターの吸収スペクトルを示すグラフを示している。
図6は、
図1に関して説明する測定システム100と同様の測定システムを使用して、2つの指定した波長でのpHインジケーターの吸光度の比に基づいて信号を決定するためプロセス600を示すフローチャートを示している。この実施構成における測定システムは、特定の選択された基準を有する励起フィルタ及び発光フィルタを含む。
【0048】
測定システムを正規化又は較正するプロセスは、2つの基準バイアルを含み、各バイアルは、pHインジケーター及びフルオロフォアを含有するセンサを含む。2つの基準バイアル内のセンサは、実際の試験試料バイアル内の試験試料評価中に存在すると予期された極端な条件に曝される。この非限定的な実施例における極端な条件は、高pH条件及び低pH条件である。
【0049】
2つの基準バイアルの単一のバイアルに関する読み取り値を取得するプロセス600は、ステップ610から始まり、LEDなどの光源が作動して、ある範囲の波長にわたって発光し、フルオロフォアを励起する。ステップ620において、励起フィルタは、LED光源によって放出された光をフィルタ処理する。励起フィルタは、励起フィルタによって定められたフィルタウィンドウ510が、pHインジケーター吸光度スペクトルの等吸収点を包含するか又はその近くにあるように選択することができる。この非限定的な実施例において、pHインジケーターの等吸収点は、約505nmである。励起フィルタがLED光源によって放出された光をフィルタ処理した後、ステップ630において、pHインジケーターは、LED光源によって放出された光の少なくとも一部を吸収する。pHインジケーターが、LED光源によって放出された光の少なくとも一部を吸収した後、ステップ640において、センサ内のフルオロフォアが、LED光源によって放出された光の少なくとも一部を吸収し、これに反応して蛍光信号を発光する。次に、ステップ650aにおいて、フルオロフォアによって放出された蛍光信号は、第1の発光フィルタによってフィルタ処理される。ステップ650bにおいて、フルオロフォアによって放出された同じ蛍光信号は、第2の発光フィルタによってフィルタ処理される。
【0050】
特定の実施形態において、第1の発光フィルタは、フルオロフォアの蛍光出力スペクトルの下端を包含するか、又は実質的にこれに近接したフィルタウィンドウ520を有する狭帯域通過フィルタとすることができる。例えば、フィルタウィンドウ520は、575nmを包含するか又は実質的にこれに近接することができる。第2の発光フィルタは、pHインジケーターの吸光度ピークを包含するか、又は実質的にこれに近接したフィルタウィンドウ530を有する狭帯域通過フィルタとすることができる。例えば、フィルタウィンドウ530は、620nmを包含するか、又は実質的にこれに近接することができる。従って、センサのpHが予期されたpHの極端の間で変化するときに第1の発光フィルタを使用して測定された信号変化は、第2の発光フィルタを使用して測定された信号の変化よりも小さくなる。2つの信号の比は、インジケーターのpHに比例することになる。
【0051】
フルオロフォアから放出された蛍光信号が第1の発光フィルタによってフィルタ処理された後、ステップ660aにおいて、結果として得られた信号は、第1のフォトダイオードによって検出される。ステップ660bにおいて、フルオロフォアから放出された同じ蛍光信号は、第2の発光フィルタによってフィルタ処理され、結果として得られた信号は、第2のフォトダイオードによって検出される。次に、第1及び第2のフォトダイオードの各々は、ステップ670a及び670bにおいて、検出された光強度に比例して電子信号を生成することができる。ステップ680において、第1のフォトダイオードにおいて検出された光強度に比例する信号と、第2のフォトダイオードにおいて検出された光強度に比例する信号とを比較する比が生成される。この比は、培地のpHに比例していることが分かった。この比はまた、575nm~620nmのpHインジケーターの吸光度スペクトルの平均勾配を示す。
【0052】
プロセス600は、2つの基準バイアル、すなわち、低pH限度基準バイアル及び高pH限度基準バイアルに対して実行することができる。例えば、低pH限度基準バイアル内のセンサは、試験事象中に試験バイアル内のセンサが曝されると予期されたpH条件の下方境界において極端な低pH条件に曝される。低pH限度基準バイアルによって生成された比は、低レベルの比を表す。高pH限度基準バイアル内のセンサは、試験事象中に試験バイアル内のセンサが曝されることが予期されたpH条件の上方境界で極端に高いpH条件に曝される。高pH限度基準バイアルによって生成された比は、高レベルの比を表す。低レベルの比と高レベルの比は、試験バイアルが実行すると予期することができる2つの性能境界条件(低pH条件と高pH条件)を表す。低レベルの比と高レベルの比は、測定システムのハードウェア要素の性能特性の範囲又は連続体の外側の境界を表すことができる。
【0053】
これらの2つの性能境界条件及びこれらが表す性能特性の範囲を用いて、同じ測定システムで受け取った試験バイアルからの読み取り値を正規化することができる。プロセス600は、試験サンプルが接種された後に、試験バイアルに対して繰り返すことができる。上記で説明した通り、ステップ680において、第1のフォトダイオードで検出された光強度に比例する信号と第2のフォトダイオードで検出された光強度に比例する信号とを比較する比が、試験バイアルに対して生成される。この試験バイアル比は、本開示の実施形態に従って、検出器読み取り値を正規化するために、基準バイアルから測定された基準比と比較することができる。第1の発光フィルタによって測定された蛍光信号と第2の発光フィルタによって測定された蛍光信号との比はまた、センサのpH状態を決定するために基準バイアルから取得した比と比較することができる。1つの非限定的な実施例において、低レベルの比及び高レベルの比によって境界付けられた比の範囲内の試験バイアル比の相対位置を用いて、試験バイアルの蛍光測定結果を正規化又は較正することができる。基準バイアルによって確立された比の範囲内の試験バイアル比の相対位置を用いて、試験バイアルからの信号が測定されている時点で、場合によってはリアルタイムで、測定システムのハードウェア要素のバラツキを評価することができる。別の非限定的な実施例において、基準バイアルによって確立された比の範囲外にある測定された試験バイアル比は、測定システムのハードウェア要素が動作不能、機能不良、又は予期した通りに機能していないことを示すことができる。
【0054】
本開示の実施構成は、単一の基準比を用いて、測定システムのハードウェア要素のバラツキに起因したセンサ読み取り値のバラツキを正規化することができる。この場合は、測定システムを正規化又は較正するプロセスは、pHインジケーター及びフルオロフォアを包含するセンサを含む1つの基準バイアルを含む。センサは、実際の試験試料バイアルにおける試験試料評価中に存在すると予期された極端な条件に曝される。この非限定的な実施例における極端な条件は、高pH条件又は低pH条件とすることができる。上記の方法600に従って、測定が行われて単一の基準比が生成される。プロセス600は、供試のサンプルが接種された試験バイアルに対する試験バイアル比の測定結果を取得するため及び試験バイアル比を生成するために繰り返される。単一の基準比を用いて、試験バイアルからの信号が測定されている時点で、場合によってはリアルタイムで、測定システムのハードウェア要素のバラツキを評価することができる。一例として、基準比と試験バイアル比との差を計算し、測定システムのハードウェア要素の性能特性の指標とする。別の例において、基準比より高いか又は低い試験バイアル比(基準比が低pH条件及び高pH条件を表すかどうかに応じて)は、測定システムのハードウェア要素が動作不能、機能不良、又は期待通りに機能していないことを示すことができる。
【0055】
図6に関して説明するような比の決定は、フォトダイオードの相対的感度、フォトダイオードの光学的結合及び発光フィルタの精度を単独で又は組み合わせて取得することを含む、複数の変数の影響を受ける場合があることを理解されたい。特定の実施形態において、
図6のプロセスは、サンプル測定中にボトル内に存在すると予期される可能性がある基準バイアルの様々な条件を使用して繰り返すことができる。この実施例における基準比は、供試の試料を含む試験バイアルから放出された蛍光信号の測定強度に依存しない。1又は2以上の基準比を使用して試験バイアルから蛍光信号を正規化するための実施構成は、
図2~
図4を参照して上記で説明した基準信号を使用した蛍光信号の正規化と併せて実行できることも理解されるであろう。
【0056】
本明細書に記載されるように、
図2~
図4に関して記載された等吸収点基準信号及び
図5及び
図6について記載された1又は2以上の基準比などの、試験バイアルから放出された蛍光信号の測定された強度に依存しない基準信号は、検出器110などの測定システムの検出器によって検出された蛍光信号を正規化するのに使用することができる。このような基準信号及び基準比は、バイアル内の蛍光材料の濃度又は異なるバイアル特性に基づいて変化することができる。しかしながら、本開示の実施形態による基準信号及び基準比は、特定の量のフルオロフォア及び特定のボトルデザインに対して一定又は実質的に一定であることは理解されるであろう。従って、
図2~
図4に関して本明細書に記載されているような基準信号及び
図5及び
図6に関して本明細書で記載される1又は2以上の基準比は、同じバイアルデザイン及び量又はセンサ内のフルオロフォアの濃度を有する複数の試験バイアルからのデータを正規化するのに使用することができる。特定の実施形態において、単一の基準信号は、複数の試験バイアルに使用することができる。同様に、単一の低レベルの比及び単一の高レベルの比を用いて、複数の試験バイアルからの蛍光信号を正規化することができる。或いは、他の実施形態において、新しい基準信号は、各試験バイアル及び/又は新しい低レベルの比に対して決定することができ、新しい高レベルの比は、各試験バイアルに対して決定することができる。基準信号は、経験的に決定することができる。他の実施形態において、既知の基準信号は、例えば、データベースから使用される。一例として、等吸収点は、特定のフルオロフォアに対して既知とすることができる。別の例として、等吸収点は、特定の供給源によって製造された特定のフルオロフォアに対して既知とすることができる。血液培養試験バイアルのロット、又はバッチの等吸収点、フルオロフォアの量及び/又はボトルの光学特性に基づく基準信号もまた、製造業者にて決定されて、血液培養試験バイアルの上又はこれと共に提供された標識を介して血液培養測定システムのユーザに送信することができる。
【0057】
(血液サンプル内の分析物の存在を決定するための例示的な方法)
図7は、血液サンプル中の対象分析物の存在を決定するためのプロセス700を示す。このプロセスは、ステップ710から始まり、
図1に関して説明するバイアル102などのセンサを有する血液培養試験バイアルは、血液サンプルが接種される。センサは、
図1に関して説明するようなセンサ106などの蛍光材料及びインジケーターを含むことができる。
【0058】
血液培養試験バイアルが接種された後、プロセス700は、ステップ720に移動し、励起光をセンサの励起周波数で試験バイアルに送信する。励起周波数は、蛍光材料の吸収スペクトル内の周波数又は周波数範囲とすることができる。光は、
図1に関して説明する光源108などの光源によって送信することができる。
【0059】
光が試験バイアルに送信された後、プロセス700は、ステップ730に移動し、試験バイアルから放出された蛍光信号の強度を測定する。本明細書に記載するように、蛍光信号は、センサの蛍光材料によって放出することができる。蛍光信号は、
図1に関して説明するように検出器110などの検出器によって測定することができる。特定の実施形態において、ステップ730において蛍光信号の強度を測定することは、第1の発光フィルタを使用して複数の蛍光信号をフィルタ処理することを含む。
【0060】
蛍光信号の強度を測定した後、プロセス700は、ステップ740に移動し、蛍光信号が、試験サンプルを接種した試験バイアルから放出された蛍光信号の測定強度に依存しない基準信号を使用して正規化される。幾つかの実施形態において、基準信号は、試験バイアル内のセンサの等吸収点とすることができる。幾つかの実施形態において、基準信号は、試験バイアル内のCO
2センサの等吸収点とすることができる。幾つかの実施形態において、等吸収点は、例えば、
図2及び
図3に関して説明するように、試験バイアル内のセンサの蛍光材料の等吸収点とすることができる。幾つかの実施形態において、等吸収点は、例えば、
図4に関して説明するように、試験バイアル内のセンサのpHインジケーターの等吸収点とすることができる。本開示の実施形態による基準信号を使用して、測定した蛍光信号を基準信号で除算することによって、ステップ740において測定した蛍光信号を正規化することができる。
【0061】
幾つかの実施形態において、ステップ730において、蛍光信号は、試験サンプルを接種した試験バイアルから放出された蛍光信号の測定強度に依存しない1又は2以上の基準比を使用して正規化される。ステップ730において、蛍光信号を正規化するのに使用される基準比は、例えば、
図5及び
図6に関して本明細書に記載するように、2つの特定波長でのインジケーター吸光度の比とすることができる。
【0062】
血液サンプル中の対象分析物の存在の検出を最適化する蛍光信号の正規化は、
図7に記載のプロセス700に関して説明されているが、当業者は、本明細書に記載の方法が血液サンプルに限定されず、当該技術分野において知られている何れかの培地における微生物の検出にも適用できることは理解されるであろう。更に、当業者は、本明細書に記載の方法が、蛍光信号を正規化することに限定されず、サンプル内の対象分析物を検出するために他のタイプの光信号を正規化するのにも適用できることは理解されるであろう。
【0063】
図2~
図4に関して説明する基準信号など試験バイアルから放出された蛍光信号の測定強度に依存しない基準信号の使用は、試験バイアルから放出された蛍光信号の強度に依存する基準信号に優る多くの利点を有することができる。本明細書に記載の実施形態による基準信号の使用は、報告された測定システム読み取り値のバラツキの原因として初期検出器読み取り値のバラツキを排除することによって、検出器感度を改善することができる。初期検出器読み取り値のバラツキは、測定システムの出力の不確定性の比例的に一因となり、測定システム自体の分解能と同等である。検出器読み取り値を正規化するための初期センサ読み取り値の使用が排除される本明細書に記載の実施形態において、検出器の感度が改善され、有利にはより高い解像度の測定システムをもたらす。
【0064】
更に、本明細書に記載の実施形態による基準信号及び1又は2以上の基準比の使用は、測定システムの出力信号が初期検出器読み取り値を使用して正規化されないので、DVEに起因した誤差を改善又は排除することができる。本明細書に記載の実施形態による基準信号の使用はまた、センサ温度バラツキを補償する必要性を排除する。
【0065】
本明細書に記載の実施形態による基準信号の使用はまた、測定システムの出力測定結果の移動平均を測定し維持する必要性を排除することができる。本開示の実施形態は、試験バイアル内の活動のリアルタイム測定を提供し、及び/又は現在の技術において安定した移動平均信号を確立するのに必要な1時間遅延程度を排除することができる。
【0066】
本開示の実施形態と関連した付加的な利点がある。測定システムにおける要素の等吸収点を含むか又はこれに関係している基準信号は、要素の所与の濃度に対してその特定の波長位置で変化しない。基準信号のこの相違がないことは、測定システムの検出器読み取り値の正規化を理想的に好適にする。同時に、本明細書に記載するように試験バイアルから放出された蛍光信号の測定強度に基づいて変化しない基準信号は、測定システム100などの測定システム用のリアルタイムの品質インジケーターとして機能することができる。本開示による基準比はまた、測定システムのリアルタイムの品質インジケーターとして機能することができる。基準信号が各試験バイアルを用いて又は基準バイアルを定期的に試験することによって決定された実施構成において、決定した基準信号又は過去基準信号又は予期される基準信号もしくは基準比に対して高すぎる又は低すぎる試験基準比は、測定システムが劣化又は障害があるというリアルタイムのインジケーターとすることができる。このような場合、測定システムは、指定された値の範囲外の強度を表示する評価試験バイアルの測定を自動的に無視するようにプログラムすることができる。
【0067】
例えば、本開示による基準信号の実施形態は、測定システムに配置されたバイアルサンプルの試験中に変化しないので、基準信号は、測定システムのエラーを決定するためにアッセイバイアル試験期間中に測定することができる。特定の実施形態において、測定システムは、基準信号がアッセイバイアル試験期間中に変化する場合、データを無視するように構成することができる。或いは、測定システムは、本明細書に記載の基準信号内で検出されたバラツキに基づいて、サンプル出力信号を補正又は適合させるようにプログラムすることができる。これらの利点はまた、本開示による基準比の使用にも適用可能である。
【0068】
加えて、測定システムからの等吸収点信号の読み取り値の絶対レベルは、測定システム自体の正常性を決定するのに有用とすることができる。等吸収点信号は、センサ内のフルオロフォアの量及び/又は濃度とボトルの光学的特性とにのみ基づいて変化すると予期され、この予期される範囲は、経験的試験、又は他の好適な方法によって決定することができる。確立された閾値を下回る等吸収点信号は、不良のボトル/センサ、又は劣化及び/又は欠陥のある測定システムを示すことができる。確立された閾値を下回る等吸収点信号の読み取り値の識別は、測定システムのオペレーターに警報して、これらの状態をチェックして是正することができる。
【0069】
加えて、本明細書に記載される基準信号の使用は、特定の試験バイアルの識別を可能にすることができる。意図的に、本開示による基準信号は、試験バイアル間で変化しない。結果として、基準信号は、試験バイアルと相関関係がありその同定を確認するために測定することができる識別マーカーとして機能することができる。この識別マーカーは、センサ含有試験バイアルが特定の製造業者により供給されていることの確認として使用することができる。識別マーカーは、競合他社が試験バイアルセンサの化学的構造をコピーしたという指標としても機能することができる。例えば、等吸収点での基準信号は、競合他社の試験バイアルに対して決定され、既知の試験バイアル基準信号と比較して、競合他社が特定の既知の試験バイアルセンサの化学的構造をコピーしたと決定することができる。
【0070】
本明細書に開示される実施構成は、サンプル中の対象分析物の存在を示す光信号の検出を最適化するためのシステム、方法及び装置を提供する。当業者は、これらの実施形態が、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの何れかの組み合わせで実施できることを理解するであろう。
【0071】
上記の恩恵に加えて、本明細書に記載のシステム及び方法の実施形態は、有利には、現行の血液培養測定システムの消耗要素を変更することなく実施することができる。例えば、本開示の技術の実施構成は、培地、栄養溶液及びセンサの易感染性の内容物を含むアッセイボトルを変更することなく実施することができる。更に、本明細書に記載のシステム及び方法の実施形態は、1回限りのコストで実施することができ、これは、特定の波長での光学的照会及び光学的測定を処理して本明細書に記載する基準信号を決定するための関連アルゴリズムコードを追加する総コストに限定することができる。
【0072】
開示された技術の実施形態は、血液培養測定システムに限定されず、等吸収点など検出器読み取り値を正規化するための基準信号として使用するのに好適な不変の特性を有するセンサ又は他の材料に依存する他のタイプの光学的検出システムにも適用できることは更に理解されるであろう。例えば、特定の実施形態において、開示された技術は、免疫アッセイが時間の関数として出力を監視している免疫アッセイ、並びに免疫アッセイがある時点の試験(すなわち、一時的試験)である免疫アッセイを含む、免疫アッセイに適用することができる。免疫アッセイが一時的試験である場合、等吸収点に対する試験出力の比は、アッセイ品質インジケーターとして、又は免疫アッセイがコピー又は偽造されたことを示す監視方法として使用することができる。
【0073】
本明細書に記載の機能は、プロセッサ可読媒体又はコンピューター可読媒体上に1又は2以上の命令として記憶することができる。「コンピューター可読媒体」という用語は、コンピューター又はプロセッサによってアクセスすることができる何らかの利用可能な媒体を指す。例として、限定ではないが、このような媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ、CD-ROM、又は他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置、又は他の磁気記憶デバイス、或いは、命令又はデータ構造の形式で所望のプログラムコードを記憶するのに使用することができ且つコンピューターによりアクセスすることができる他の何れかの媒体を含むことができる。本明細書で使用するようなディスク及びディスクは、コンパクトディスク(CD)、レーザーディスク(登録商標)、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピーディスク及びディスクが通常はデータを磁気的に再生し、一方でディスクがレーザーを使用して光学的にデータを再生するBlu-ray(登録商標)ディスクを含む。コンピューター可読媒体は、有形で非一時的とすることができる点に留意されたい。「コンピュータープログラム製品」という用語は、コンピューターデバイス、又はプロセッサによって実行、処理、又は計算することができるコード又は命令(例えば、「プログラム」)と組み合わされたコンピューターデバイス又はプロセッサを指す。本明細書で使用する場合の「コード」という用語は、コンピューターデバイス又はプロセッサによって実行可能なソフトウェア、命令、コード、又はデータを指すことができる。
【0074】
ソフトウェア又は命令は、伝送媒体にわたって送信することができる。例えば、ソフトウェアが同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、ツイストペア、デジタル加入者線(DSL)、又は赤外線、無線及びマイクロ波などのワイヤレス技術を使用して、ウエブサイト、サーバー、又はその他のリモートソースから送信される場合、同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、ツイストペア、DSL、又は赤外線、無線、マイクロ波などのワイヤレス技術が伝送媒体の定義に含まれる。
【0075】
本明細書に開示する方法は、記載された方法を達成するための1又は2以上のステップ又は動作を含む。方法のステップ及び/又は動作は、本開示の範囲から逸脱することなく、互いに置き換えることができる。換言すると、説明されている方法の適切な操作のために特定のステップ又は動作の順序が必要とされない限り、特定のステップ及び/又は動作の順序及び/又は使用は、本開示の範囲から逸脱することなく変更することができる。
【0076】
「決定する」という用語は、広範囲な動作を包含し、従って、「決定する」は、計算、コンピューティング、処理、導出、調査、検索(例えば、テーブル、データベース、又は別のデータ構造における検索)、確認及び同様のものを含むことができる。また、「決定する」は、受信(例えば、情報の受信)、アクセス(例えば、メモリ内のデータへのアクセス)及び同様のものを含むことができる。更に、「決定する」は、解決、選定、選択、確立及び同様のものを含むことができる。
【0077】
「に基づく」という表現は、別途明確に規定されていない限り、「のみに基づく」という意味ではない。換言すると、「に基づく」という表現は、「のみに基づく」と「少なくとも基づく」の両方を表している。
【0078】
上述の説明において、具体的な詳細事項は、実施例の完全な理解をもたらすために与えられる。しかしながら、これらの具体的な詳細事項なしでも実施例を実践できることは当業者には理解されるであろう。例えば、電気部品/デバイスは、不必要な詳細において実施例を曖昧にしないために、ブロック図で示すことができる。他の例では、このような要素、他の構造及び技術は、実施例を更に説明するために詳細に示すことができる。
【0079】
表題は、参照及び様々なセクションの位置特定を支援するために本明細書に含まれる。これらの表題は、これに関して記載される概念の範囲を限定するものではない。このような概念は、明細書全体に当てはまることができる。
【0080】
また、実施例は、フローチャート、フロー図、有限状態図、構造図、又はブロック図として示されたプロセスとして説明することができる点に留意されたい。フローチャートは、操作を逐次プロセスとして説明することができるが、操作の多くは、並行して又は同時に実行することができ、プロセスは、繰り返すことができる。加えて、操作の順序を再配置することができる。プロセスは、その操作が完了すると終了する。プロセスは、方法、関数、手順、サブルーチン、サブプログラム、その他に対応することができる。プロセスがソフトウェア関数に対応する場合、その終了は、関数の呼び出し、又はmain関数への関数の戻りに対応する。
【0081】
開示される実施構成に関する上述の説明は、あらゆる当業者が本開示の実施形態を実施又は利用することを可能にするために提供される。これらの実施構成に対する様々な修正は、当技術分野の当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義される一般原理は、本開示の精神又は範囲から逸脱することなく、他の実施構成に適用することができる。従って、本開示は、本明細書に示された実施構成に限定されるものではなく、本明細書に開示される原理及び新規の特徴と一致する最大範囲が与えられるものとする。
【符号の説明】
【0082】
700 プロセス
710 試験バイアルを接種する
720 光を送信する
730 蛍光信号を測定する
740 測定した信号を正規化する
Start 開始
End 終了
【手続補正書】
【提出日】2024-05-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液サンプル中の対象分析物の存在を決定する方法であって、
第1の基準流体を、センサを含む第1の基準バイアルに導入するステップを含み、
前記第1の基準流体が、前記第1の基準バイアル内の前記センサを第1の性能境界条件に曝すものであり、
前記方法は、
前記センサの励起周波数の光を前記第1の基準バイアルに送信するステップと、
前記第1の性能境界条件で実行する前記センサから放出された複数の蛍光信号の強度を測定して、第1の基準比を生成するステップと、
前記センサを含む血液培養試験バイアルに前記血液サンプルを接種するステップと、
前記センサの励起周波数の光を前記試験バイアルに送信するステップと、
前記試験バイアルから放出された複数の蛍光信号の強度を測定するステップと、
前記第1の基準比を使用して、前記試験バイアルから放出された、測定された前記複数の蛍光信号を正規化するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の性能境界条件で実行する前記センサから放出された前記複数の蛍光信号の強度を測定するステップは、第1の発光フィルタ及び第2の発光フィルタを使用して前記複数の蛍光信号をフィルタ処理するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の基準比は、前記第1の発光フィルタを使用してフィルタ処理された第1の基準蛍光信号の測定された強度を、前記第2の発光フィルタを使用してフィルタ処理された前記第1の基準蛍光信号の測定された強度で除算することによって生成される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の発光フィルタを使用してフィルタ処理された試験バイアル蛍光信号の測定された強度を、前記第2の発光フィルタを使用してフィルタ処理された前記試験バイアル蛍光信号の測定された強度で除算して、試験バイアル比を生成するステップを更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の基準比を使用して前記試験バイアルから放出された前記複数の測定された蛍光信号を正規化するステップは、前記試験バイアル比を前記第1の基準比と比較するステップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の基準バイアル及び前記試験バイアル内のセンサが、フルオロフォア及びpHインジケーターを含み、
前記方法が更に、前記試験バイアル比を前記第1の基準比と比較することによって、前記pHインジケーターのpH状態を決定するステップを含む、
請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記血液培養試験バイアルに前記血液サンプルを接種する前に、
第2の基準流体を、前記センサを含む第2の基準バイアルに導入するステップであって、前記第2の基準流体が前記第2の基準バイアル内の前記センサを第2の性能境界条件に曝す、前記ステップと、
前記センサの励起周波数の光を前記第2の基準バイアルに送信するステップと、
前記第2の性能境界条件で実行する前記センサから放出された複数の蛍光信号の強度を測定して、第2の基準比を生成するステップと、
を更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記試験バイアルから放出された前記複数の測定された蛍光信号を正規化するステップは、前記試験バイアル比を、前記第1の基準比及び前記第2の基準比によって境界付けられた比の範囲と比較するステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の性能境界条件が低pH条件であり、前記第2の性能境界条件が高pH条件である、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の基準バイアル及び前記試験バイアル内の前記センサが、フルオロフォア及びpHインジケーターを含み、前記第1の発光フィルタが、前記フルオロフォアの蛍光出力スペクトルの下端で波長範囲をフィルタ処理するように構成された狭帯域通過フィルタを含み、前記第2の発光フィルタが、前記pHインジケーターの吸光度ピークの波長又はその近傍の波長をフィルタ処理するように構成された狭帯域通過フィルタを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
血液サンプル中の対象分析物の存在を決定するためのシステムであって、
センサと、前記センサを第1の性能境界条件に曝すように構成された第1の基準流体とを含む第1の基準バイアルと、
前記センサを含み、前記血液サンプルを受け取るように構成された血液培養試験バイアルと、
前記センサの励起周波数の光を前記第1の基準バイアル及び前記試験バイアルに送信するように構成された光源と、
前記第1の基準バイアル及び前記試験バイアルから放出された複数の蛍光信号の強度を測定するように構成された1又は2以上の検出器と、
前記第1の基準バイアルから放出された前記複数の蛍光信号の測定された強度から生成された第1の基準比を使用して、前記試験バイアルから放出された、測定された前記複数の蛍光信号を正規化するように構成されたプロセッサと、
を備える、システム。
【請求項12】
前記第1の基準バイアル及び前記試験バイアルから放出された前記複数の蛍光信号をフィルタ処理することが確認された第1の発光フィルタ及び第2の発光フィルタを更に備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記プロセッサは、前記第1の発光フィルタを使用してフィルタ処理された第1の基準蛍光信号の測定された強度を、前記第2の発光フィルタを使用してフィルタ処理された前記第1の基準蛍光信号の測定された強度で除算することによって、前記第1の基準比を生成するように更に構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記プロセッサは、前記第1の発光フィルタを使用してフィルタ処理された試験バイアル蛍光信号の測定された強度を、前記第2の発光フィルタを使用してフィルタ処理された前記試験バイアル蛍光信号の測定された強度で除算して、試験バイアル比を生成するように更に構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記プロセッサは、前記試験バイアル比を前記第1の基準比と比較することによって、前記試験バイアルから放出された複数の測定された蛍光信号を正規化するように構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1の基準バイアル及び前記試験バイアル内の前記センサが、フルオロフォア及びpHインジケーターを含み、前記プロセッサが、前記試験バイアル比を前記第1の基準比と比較することによって前記pHインジケーターのpH状態を決定するように構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記センサと、前記センサを第2の性能境界条件に曝すように構成された第2の基準流体とを含む第2の基準バイアルを更に備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記プロセッサは、前記試験バイアル比を前記第1の基準比及び前記第2の基準比によって境界付けられた比の範囲と比較することによって、前記試験バイアルから放出された前記複数の測定された蛍光信号を正規化するように構成されている、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1の性能境界条件が低pH条件であり、前記第2の性能境界条件が高pH条件である、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1の基準バイアル及び前記試験バイアル内の前記センサが、フルオロフォア及びpHインジケーターを含み、前記第1の発光フィルタが、前記フルオロフォアの蛍光出力スペクトルの下端で波長範囲をフィルタ処理するように構成された狭帯域通過フィルタを含み、前記第2の発光フィルタが、前記pHインジケーターの吸光度ピークの波長又はその近傍の波長をフィルタ処理するように構成された狭帯域通過フィルタを含む、請求項12に記載のシステム。