(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100946
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】給湯制御の方法、プログラムおよびハイブリッド給湯システム
(51)【国際特許分類】
F24H 1/18 20220101AFI20240719BHJP
F24H 4/02 20220101ALI20240719BHJP
F24H 15/16 20220101ALI20240719BHJP
F24H 15/219 20220101ALI20240719BHJP
F24H 15/269 20220101ALI20240719BHJP
F24H 15/238 20220101ALI20240719BHJP
F24H 15/395 20220101ALI20240719BHJP
F24H 1/14 20220101ALI20240719BHJP
【FI】
F24H1/18 H
F24H4/02 F
F24H15/16
F24H15/219
F24H15/269
F24H15/238
F24H15/395
F24H1/14 B
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024083959
(22)【出願日】2024-05-23
(62)【分割の表示】P 2020170277の分割
【原出願日】2020-10-08
(71)【出願人】
【識別番号】000170130
【氏名又は名称】パーパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083725
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100140349
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 継立
(74)【代理人】
【識別番号】100153305
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 卓弥
(74)【代理人】
【識別番号】100206933
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】辰己 敏也
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 和樹
(57)【要約】
【課題】ランニングコストを最小化できる沸き上げ温度を求め、この沸き上げ温度への自動変更を可能にする。
【解決手段】貯湯ユニット(4)から取り出した下層水を第一の給湯手段(HPユニット6)で所定温度の温水に沸き上げて貯湯ユニットに貯湯し、貯湯ユニットの中層水を第二の給湯手段(ガス給湯器8)で所定温度に沸き上げて貯湯ユニットに貯湯し、貯湯ユニットから出湯させる給湯システムの給湯制御方法であって、制御部(ハイブリッド制御部9)が、温水の沸き上げ温度をパラメータとし、一定期間の給湯で生じた消費電力量と消費ガス量とを用いてランニングコストの最小値またはその近傍値を算出する工程と、第一の給湯手段の温水の沸き上げ温度をランニングコストが最小値または近傍値となる沸き上げ温度に変更する工程とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯湯ユニットから取り出した下層水を第一の給湯手段で所定温度の温水に沸き上げて前記貯湯ユニットに貯湯し、前記貯湯ユニットの中層水を第二の給湯手段で所定温度に沸き上げて前記貯湯ユニットに貯湯し、前記貯湯ユニットから出湯させる給湯システムの給湯制御方法であって、
制御部が、前記温水の沸き上げ温度をパラメータとし、一定期間の給湯で生じた消費電力量と消費ガス量とを用いてランニングコストの最小値またはその近傍値を算出する工程と、
前記制御部が、前記第一の給湯手段の前記温水の沸き上げ温度を前記ランニングコストが前記最小値または前記近傍値となる沸き上げ温度に変更する工程と、
を含むことを特徴とする、給湯制御方法。
【請求項2】
さらに、前記制御部が、前記ランニングコストの前記最小値または前記近傍値の算出に、前記第一の給湯手段または前記第二の給湯手段の給湯効率、料金単価、給湯量、稼働期の何れかまたは二以上を変動要素に用いることを特徴とする、請求項1に記載の給湯制御方法。
【請求項3】
さらに、前記制御部が、少なくとも給湯温度、前記沸き上げ温度または前記ランニングコストの何れかまたは二以上を含む提示情報を生成する工程と、
情報提示部が、前記提示情報を提示する工程と、
を含むことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の給湯制御方法。
【請求項4】
貯湯ユニットから取り出した下層水を第一の給湯手段で所定温度の温水に沸き上げて前記貯湯ユニットに貯湯し、前記貯湯ユニットの中層水を第二の給湯手段で所定温度に沸き上げて前記貯湯ユニットに貯湯し、前記貯湯ユニットから出湯させる給湯システムに搭載するコンピュータによって実行するためのプログラムであって、
前記温水の沸き上げ温度をパラメータとし、一定期間の給湯で生じた消費電力量と消費ガス量とを用いてランニングコストの最小値またはその近傍値を算出する機能と、
前記第一の給湯手段の前記温水の沸き上げ温度を、前記ランニングコストが前記最小値または前記近傍値となる沸き上げ温度に変更する機能と、
を前記コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項5】
さらに、前記ランニングコストの前記最小値または前記近傍値の算出に、前記第一の給湯手段または前記第二の給湯手段の給湯効率、料金単価、給湯量、稼働期の何れかまたは二以上を変動要素に用いる機能を前記コンピュータに実行させるための請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
さらに、少なくとも給湯温度、前記沸き上げ温度または前記ランニングコストの何れかまたは二以上を含む提示情報を生成し、この提示情報を情報提示部に提示する機能を前記コンピュータに実行させるための請求項4または請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
給水に応じて出湯する貯湯ユニットと、
前記貯湯ユニットから下層水を取り出して沸き上げた温水を前記貯湯ユニットに貯湯する第一の給湯手段と、
前記貯湯ユニットから取り出した中層水を燃料ガスの燃焼により沸き上げて前記貯湯ユニットに貯湯する第二の給湯手段と、
前記温水の沸き上げ温度をパラメータとし、一定期間の給湯で生じた消費電力量と消費ガス量とを用いてランニングコストの最小値またはその近傍値を算出し、前記第一の給湯手段の前記温水の沸き上げ温度を、前記ランニングコストが前記最小値または前記近傍値となる沸き上げ温度に切り替える制御部と、
を備えることを特徴とする、ハイブリッド給湯システム。
【請求項8】
さらに、前記制御部が前記ランニングコストの前記最小値または前記近傍値の算出に、前記第一の給湯手段または前記第二の給湯手段の給湯効率、料金単価、給湯量、稼働期の何れかまたは二以上を変動要素に用いることを特徴とする、請求項7に記載のハイブリッド給湯システム。
【請求項9】
さらに、情報提示部を備え、前記制御部が少なくとも給湯温度、前記沸き上げ温度または前記ランニングコストの何れかまたは二以上を含む提示情報を生成し、この提示情報を前記情報提示部に提示させることを特徴とする、請求項7または請求項8に記載のハイブリッド給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は給湯熱源にたとえば、ヒートポンプユニット(以下、「HPユニット」と称する)およびガス給湯器を併用し、蓄熱に貯湯ユニットを用いたハイブリッド給湯の制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱源にHPユニットを用いた給湯手段、熱源に燃料ガスの燃焼熱を用いた給湯手段を併用し、蓄熱に貯湯ユニットを用いたハイブリッド給湯システムが実用化されている。
【0003】
このハイブリッド給湯システムに関し、過去の運転履歴に基づき、当日における複数の使用予定時刻を推定し、使用予定時刻における予想気温を示す予想気温情報を取得し、予想気温情報が示す予想気温と基準温度の差に応じて沸き上げ設定温度と沸き上げ設定量の何れか一方を補正し、給湯需要に適合する沸き上げ設定温度または沸き上げ設定量の何れかまたは双方を設定することが開示されている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ハイブリッド給湯システムでは、エネルギーコストの異なる電力と燃料ガスを熱源に使用し、ガス給湯器の優れた機能やガス給湯器にはないHPユニットの優れた機能を併用して両者の利点を生かし、ランニングコストを低減させる狙いがある。ガス給湯器は、高温度の給湯が可能であるが、HPユニットは、低温度で連続的に給湯することにより稼働効率が高められるなどの利点がある。従来のハイブリッド給湯システムでは、HPユニットの稼働効率が良い低い温度に沸き上げ、これを貯湯ユニットに貯湯し、この貯湯ユニットから給湯する。この貯湯ユニットからの給湯では給湯熱量が不足する場合は、この不足分をガス給湯器による加熱で補うという稼働方法が採られてきた。しかしながら、一定期間の給湯によっては、ガス給湯器の稼働率が高くなったり、HPユニットの休止時間が長くなったりすることなどに起因し、ランニングコストが悪化するという課題が指摘されている。
【0006】
たとえば、一日の給湯需要が5,000リットルであり、一日の内で常に給湯需要がある飲食店などの店舗、断続的に給湯需要がある飲食店などの店舗を比較する。
図20は、横軸に時刻、縦軸に給湯需給割合(%)を取り、時刻別-給湯需給割合パターンを示している。但し、1日(24時間)を100%とする。
この事例では、店舗Aでは常時、給湯需要が多く、これに対し、店舗Bでは給湯需要時間が少ない。つまり、店舗Aでは、HPユニットの運転時間が長いので、沸き上げ温度を65℃とすれば、コストを削減できる。
【0007】
一方、店舗Bでは、給湯の停止時間が長く、貯湯ユニットはいわゆる満蓄状態となり、HPユニットの運転停止時間が長くなる。この場合、沸き上げ温度85℃とすれば、HPユニットの運転時間が長くなるので、65℃に沸き上げ温度を設定した場合と比較し、コストを低減できる。
HPユニットの消費電力量(電気料金)はHPユニットの稼働時間、沸き上げ温度、効率などに依存し、ガス給湯器の消費ガス量(ガス料金)は稼働時間、給湯設定温度、給水温度などに依存する。したがって、ランニングコストの削減は、給湯量を賄うために必要となるHPユニットの消費電力量とガス給湯器の消費ガス量の割合の最適化にあると言える。
【0008】
しかしながら、HPユニットの電気料金はHPユニットの効率、その沸き上げ温度(蓄熱温度)、給湯需要およびその変動、季節による外気温度などの変動要素の影響を受ける。さらにHPユニットの効率や能力は、給水温度の影響を受ける。ガス給湯器のガス料金もまた、給湯需要およびその変動、外気温度などの変動要素の影響を受ける。
このような課題に対し、発明者は、一定期間の給湯におけるランニングコストの最小値を算出し、この最小値を充足可能なHPユニットの沸き上げ温度を選択することにより、その沸き上げ温度に随時に切り替えることがランニングコストの低減に有効であるとの知見を得た。
そこで、本発明の目的は上記課題および知見に基づき、ランニングコストを最小化できる沸き上げ温度を求め、この沸き上げ温度への自動変更を可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の給湯制御方法の一側面によれば、貯湯ユニットから取り出した下層水を第一の給湯手段で所定温度の温水に沸き上げて前記貯湯ユニットに貯湯し、前記貯湯ユニットの中層水を第二の給湯手段で所定温度に沸き上げて前記貯湯ユニットに貯湯し、前記貯湯ユニットから出湯させる給湯システムの給湯制御方法であって、制御部が、前記温水の沸き上げ温度をパラメータとし、一定期間の給湯で生じた消費電力量と消費ガス量とを用いてランニングコストの最小値またはその近傍値を算出する工程と、前記制御部が、前記第一の給湯手段の前記温水の沸き上げ温度を前記ランニングコストの前記最小値または前記近傍値となる沸き上げ温度に変更する工程とを含む。
この給湯制御方法において、さらに、前記制御部が、前記ランニングコストの前記最小値または前記近傍値の算出に、前記第一の給湯手段または前記第二の給湯手段の給湯効率、料金単価、給湯量、稼働期の何れかまたは二以上を変動要素に用いてもよい。
この給湯制御方法において、さらに、前記制御部が、少なくとも給湯温度、前記沸き上げ温度または前記ランニングコストの何れかまたは二以上を含む提示情報を生成する工程と、情報提示部が、前記提示情報を提示する工程とを含む。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明のプログラムの一側面によれば、貯湯ユニットから取り出した下層水を第一の給湯手段で所定温度の温水に沸き上げて前記貯湯ユニットに貯湯し、前記貯湯ユニットの中層水を第二の給湯手段で所定温度に沸き上げて前記貯湯ユニットに貯湯し、前記貯湯ユニットから出湯させる給湯システムに搭載するコンピュータによって実行するためのプログラムであって、前記温水の沸き上げ温度をパラメータとし、一定期間の給湯で生じた消費電力量と消費ガス量とを用いてランニングコストの最小値またはその近傍値を算出する機能と、前記第一の給湯手段の前記温水の沸き上げ温度を、前記ランニングコストが前記最小値または前記近傍値となる沸き上げ温度に変更する機能とを前記コンピュータに実行させる。
このプログラムにおいて、さらに、前記ランニングコストの前記最小値または前記近傍値の算出に、前記第一の給湯手段または前記第二の給湯手段の給湯効率、料金単価、給湯量、稼働期の何れかまたは二以上を変動要素に用いる機能を前記コンピュータに実行させてもよい。
このプログラムにおいて、さらに、少なくとも給湯温度、前記沸き上げ温度または前記ランニングコストの何れかまたは二以上を含む提示情報を生成し、この提示情報を情報提示部に提示する機能を前記コンピュータに実行させてもよい。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明のハイブリッド給湯システムの一側面によれば、給水に応じて出湯する貯湯ユニットと、前記貯湯ユニットから下層水を取り出して沸き上げた温水を前記貯湯ユニットに貯湯する第一の給湯手段と、前記貯湯ユニットから取り出した中層水を燃料ガスの燃焼により沸き上げて前記貯湯ユニットに貯湯する第二の給湯手段と、前記温水の沸き上げ温度をパラメータとし、一定期間の給湯で生じた消費電力量と消費ガス量とを用いてランニングコストの最小値またはその近傍値を算出し、前記第一の給湯手段の前記温水の沸き上げ温度を、前記ランニングコストが前記最小値または前記近傍値となる沸き上げ温度に切り替える制御部とを備える。
このハイブリッド給湯システムにおいて、さらに、前記制御部が前記ランニングコストの前記最小値または前記近傍値の算出に、前記第一の給湯手段または前記第二の給湯手段の給湯効率、料金単価、給湯量、稼働期の何れかまたは二以上を変動要素に用いてもよい。
このハイブリッド給湯システムにおいて、さらに、情報提示部を備え、前記制御部が少なくとも給湯温度、前記沸き上げ温度または前記ランニングコストの何れかまたは二以上を含む提示情報を生成し、この提示情報を前記情報提示部に提示させてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 1週間程度の一定期間の給湯に対し、そのランニングコストの最小値またはその近傍値を算出し、このランニングコストを充足できる最適な沸き上げ温度を選択し、自動切替えが可能となり、ランニングコストの低減を図ることができる。
(2) 電気または燃料ガスの料金単価を設定するだけで、ランニングコストの最小値またはその近傍値から最適な沸き上げ温度が自動設定されるので、ユーザの手間がなく、利便性の高いシステムを実現できる。
(3) 第一および第二の給湯手段の連係動作により、貯湯ユニットの容量を抑制でき、システムのコンパクト化を図ることができる。
(4) 季節的な稼働条件や設置環境が異なっても、ランニングコストの最小値または近傍値の算出で吸収できるので、利便性が高く信頼性の高いハイブリッド給湯システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施の形態に係る給湯制御を示すフローチャートである。
【
図2】第1の実施の形態に係るハイブリッド給湯システムを示す図である。
【
図3】第2の実施の形態に係るハイブリッド給湯システムを示す図である。
【
図7】Aはリモコンユニットを示す図であり、Bは開閉蓋を開き、設定操作部を示す図である。
【
図8】ハイブリッド制御部のハードウェアを示す図である。
【
図11】ランニングコストの算出処理を示すフローチャートである。
【
図14】実施例に係るシミュレーションの処理手順を示すフローチャートである。
【
図15】Aは設定条件テーブルを示す図であり、BおよびCはHPユニット仕様テーブルを示す図である。
【
図16】シミュレーション結果テーブルを示す図である。
【
図17】Aは設定条件テーブルを示す図であり、BおよびCはHPユニット仕様テーブルを示す図である。
【
図18】シミュレーション結果テーブルを示す図である。
【
図19】沸き上げ温度設定・給湯温度設定テーブルを示す図である。
【
図20】給湯需給割合のパターン事例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態に係る給湯制御工程を示している。
図1に示す工程は一例であり、斯かる工程に本発明が限定されるものではない。
この給湯制御工程は本開示の給湯制御方法またはプログラムにより実現される。
図1において、Sは工程、Sに付した番号は工程順の一例である。この給湯制御工程の説明にはハイブリッド給湯システム2(
図2)の各機能部を引用する。
【0015】
この給湯制御工程には、沸き上げ温度自動切替モードの判定(S101)、効率情報の取得確認(S102)、料金単価情報の取得判定(S103)、給湯需要情報の取得判定(S104)、稼働期の判定(S105)、ランニングコストRCの算出(S106)、沸き上げ温度Thの選択(S107)、沸き上げ温度Thの自動切替え(S108)などが含まれる。
沸き上げ温度自動切替モードの判定(S101): ハイブリッド制御部9で沸き上げ温度自動切替モードが設定されたかの判定を行う。沸き上げ温度自動切替モードは、リモコンユニット10(
図2)からユーザ操作により指定される。沸き上げ温度自動切替モードの指定に基づき、ハイブリッド制御部9が沸き上げ温度自動切替モードを実行する。
【0016】
効率情報の取得判定(S102): ハイブリッド制御部9は、HPユニット6のCOP(Coefficient Of Performance:成績係数)、ガス給湯器8の給湯効率などの効率情報を取得しているか稼働情報データベース(DB)104(
図9)を用いて判定する。COPは成長係数であり、HPユニット6の省エネルギー性能を表す指標であり、ガス給湯器8の給湯効率とともに、ハイブリッド給湯システム2のランニングコストに密接に関係する。
料金単価情報の取得判定(S103): ハイブリッド制御部9が料金単価情報を取得しているかを判定する。料金単価には消費電力の料金単価、消費ガスの料金単価が含まれ、前者は消費電力量から、後者は消費ガス量からのランニングコスト算定に用いられる。
【0017】
給湯需要情報の取得判定(S104): ハイブリッド制御部9が給湯需要情報を取得しているかを判定する。給湯需要は貯湯ユニット4からの給湯量であり、一定期間たとえば、1週間における給湯量である。1週間の起点および終点はたとえば、同一曜日の到来時点を基準とすればよい。給湯需要情報を取得する一定期間は10日間、20日間、1カ月などであってもよい。
稼働期の判定(S105): 稼働期はハイブリッド給湯システム2が稼働している時季を示す。この時季はたとえば、着霜期、冬期、中間期、夏期を想定し、これら時季は外気温度によって特定される。たとえば、着霜期<10℃、8℃<冬期<18℃、16℃<中間期<25℃、23℃<夏期とすればよい。
【0018】
ランニングコストRCの算出(S106): ハイブリッド制御部9がHPユニット6の複数の沸き上げ温度Thたとえば、65℃、85℃をパラメータにしてランニングコストRCを算定する。
ランニングコストRCは、複数の沸き上げ温度Thをパラメータにし、HPユニット6のCOP、ガス給湯器8の給湯効率、電気およびガスの料金単価、一定期間の給湯量、稼働期を表す温度設定を用いて一定期間の消費電力量および消費ガス量を求めランニングコストを積算する。この場合、沸き上げ温度Th=65℃、75℃、85℃、給湯温度連動値をパラメータにして複数のランニングコストRCを算定する。
【0019】
沸き上げ温度Thの選択(S107): ハイブリッド制御部9は、パラメータに用いて沸き上げ温度Thごとに算定されるランニングコストRCの結果から、ランニングコストRCの最小値またはその近傍値を選択し、この最小値またはその近傍値に該当する最適な沸き上げ温度Thを選択する。
沸き上げ温度Thの自動切替え(S108): ハイブリッド制御部9は、選択した沸き上げ温度ThをHPユニット6のHP制御部30に設定する。これにより、HPユニット6の沸き上げ温度Thはハイブリッド制御部9により自動切替えが実行される。
【0020】
<ハイブリッド給湯システム2>
図2は、第1の実施の形態に係るハイブリッド給湯システム2の一例を示している。
図2に示す構成は一例であり、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
このハイブリッド給湯システム2は、貯湯ユニット4、HPユニット6、ガス給湯器8、ハイブリッド制御部9、リモコンユニット10および情報提示部11を備える。この例では、ハイブリッド制御部9を独立して示しているが、このハイブリッド制御部9は貯湯ユニット4に貯湯制御部13とともに設置してもよいし、リモコンユニット10に設置してもよい。
【0021】
貯湯ユニット4は貯湯タンク12および貯湯制御部13を備え、貯湯タンク12に給水Wを受けるとともに、HPユニット6で沸き上げられた温水HWを貯湯し、出湯時の不足熱量をガス給湯器8の加熱によって補い、設定温度での出湯を行う。貯湯タンク12は貯湯手段の一例である。給水Wは給水管14で貯湯タンク12の底部に供給する。温水HWは過圧逃し弁16を備える給湯管18より供給する。
貯湯制御部13は貯湯ユニット4からの出湯を制御し、設定温度での出湯の不足熱量を算出し、この不足熱量を含む制御情報をハイブリッド制御部9に提供する。
【0022】
HPユニット6は第一の給湯手段の一例である。このHPユニット6は、熱媒循環路20、空気熱交換器22、コンプレッサ24、熱媒熱交換器26、膨張弁28およびHP制御部30を備える。熱媒循環路20は、給水Wの加熱媒体である熱媒HMを循環させる。空気熱交換器22は空気32の熱との熱交換により、熱媒HMを加熱する。コンプレッサ24は圧縮によって熱媒HMを高温化し高圧化する。
熱媒熱交換器26は熱媒循環路20に流れる熱媒HMと、第一の貯湯循環路34に流れる給水Wとを熱交換し、熱媒HMの熱で給水Wを加熱する。貯湯タンク12の低層部からの給水Wは貯湯循環路34から熱媒熱交換器26に流れ、この熱媒熱交換器26から温水HWが貯湯タンク12の上層部に供給される。熱交換によって膨張した熱媒HMの圧力は膨張弁28により調圧される。
HP制御部30は、沸き上げ温度Thがハイブリッド制御部9より設定され、給水Wをこの沸き上げ温度Thに加熱して温水HWにする。
【0023】
ガス給湯器8は第二の給湯手段の一例である。このガス給湯器8は、第二の貯湯循環路36に連結され、バーナ38、一次熱交換器40、二次熱交換器42、給湯制御部44などを備える。第二の貯湯循環路36には貯湯タンク12の中層からの温度の低い温水HWを取り出し、加熱によって不足熱量が補完された温水HWが貯湯ユニット4の上層に供給される。
バーナ38は、燃料ガスGの燃焼手段の一例であり、燃料ガスGの燃焼によって燃焼排気EGを発生する。二次熱交換器42は燃焼排気EGの下流側から主として潜熱を温水HWに熱交換する。一次熱交換器40は二次熱交換器42を通過した温水HWの供給を受け、燃焼排気EGの上流側から主として顕熱を温水HWに熱交換する。
給湯制御部44は、ハイブリッド制御部9からの制御情報を受け、貯湯ユニット4からの温水HWを加熱し、設定温度での出湯の不足熱量を補填する。
【0024】
そして、ハイブリッド制御部9は、
図1で説明したハイブリッド制御を実行し、一定期間としてたとえば、1週間の給湯量を用いて複数の沸き上げ温度ThをパラメータとするランニングコストRCの最小値を算出し、この最小値に該当するランニングコストRCから沸き上げ温度Thを選択し、この沸き上げ温度ThをHP制御部30に提供し、HPユニット6の沸き上げ温度Thの自動切替えを行う。
この沸き上げ温度Thの選択について、ランニングコストRCの最小値を基準とすればよいが、この最小値の近傍値からランニングコストRCを選択し、そのランニングコストRCから沸き上げ温度Thを選択してもよい。
リモコンユニット10は、沸き上げ温度Thの設定モードの設定など、各種制御のリモート指示に用いられる。
情報提示部11はたとえば、リモコンユニット10に搭載され、沸き上げ温度Thなどの情報提示に用いられる。
【0025】
<第1の実施の形態の効果>
この第1の実施の形態によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 1週間程度の一定期間の給湯に対し、HPユニット6の沸き上げ温度Thをパラメータにしてハイブリッド給湯システム2のランニングコストRCの最小値またはその近傍値を算出し、ランニングコストRCの最小値またはその近傍値に該当する沸き上げ温度Thを選択できるとともに、HPユニット6の沸き上げ温度Thを自動切替えでき、ランニングコスト低減を図ることができる。
(2) 電気または燃料ガスの料金単価を設定するだけで、稼働期の選択は温度情報の取得で行えるので、ランニングコストRCの最小値またはその近傍値から最適な沸き上げ温度が自動設定でき、ユーザの手間がなく、利便性の高いシステムを実現できる。
(3) HPユニット6およびガス給湯器8の連係動作により、貯湯ユニット4の貯湯タンク12の容量抑制に貢献でき、システムのコンパクト化を図ることができる。
(4) 季節的な稼働条件や設置環境が異なっても、ランニングコストRCの最小値または近傍値の算出でランニングコストRCの誤差が吸収できるので、利便性が高いハイブリッド給湯システム2を提供できる。
【0026】
〔第2の実施の形態〕
図3は、第2の実施の形態に係るハイブリッド給湯システム2を示している。
図3に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されるものではない。
このハイブリッド給湯システム2は、独立した機器として貯湯ユニット4、HPユニット6、ガス給湯器8およびリモコンユニット10で構成される。
【0027】
<貯湯ユニット4>
図4は、貯湯ユニット4の一例を示している。
貯湯タンク12には底部に給水管14が接続され、この給水管14から水道水などの給水Wが貯湯タンク12の低層側に供給される。温度センサ46-1は給水温度を検出する。温度センサ46-2は出湯管48に流れる温水HWの温度を検出する。温度センサ46-3は貯湯タンク12の上層温度、温度センサ46-4は貯湯タンク12の中層温度、温度センサ46-5は貯湯タンク12の中層温度、温度センサ46-6は貯湯タンク12の下層温度を検出する。
【0028】
混合弁50は、出湯管48とバイパス管52の合流点に設置され、温水HWと上水側からの給水Wとを混合し、その混合水を給湯管18に流す。この混合比率はバイパス管52側と出湯管48側の開度によって決定される。流量センサ54は、バイパス管52からの給水Wのみ、この給水Wと出湯管48からの温水HWの混合温水、または出湯管48からの温水HWのみの流量の有無または通過流量を検出する。温度センサ46-7は給湯管18を通過する温水HWの温度を検出する。
【0029】
貯湯循環路34は貯湯タンク12とHPユニット6との間に連結された循環路である。この貯湯循環路34は、往き管34-1、戻り管34-2およびバイパス管34-3を備える。往き管34-1は、貯湯タンク12の下層水をHPユニット6に導く管路であり、循環ポンプ56、温度センサ46-8を備える。温度センサ46-8は、貯湯タンク12からHPユニット6に流れる給水Wの温度を検出する。
【0030】
戻り管34-2はHPユニット6で加熱した温水HWを貯湯タンク12の上層に導く管路であり、温度センサ46-9、切替え弁58を備える。温度センサ46-9はHPユニット6からの温水HWの温度を検出する。切替え弁58は、温度センサ46-9の温度T9が下限温度に到達したとき、温水HWの流れ方向をバイパス管34-3から戻り管34-2に切り替える。
【0031】
貯湯循環路36は貯湯タンク12とガス給湯器8との間に連結された循環路である。この貯湯循環路36は、往き管36-1、戻り管36-2、循環ポンプ60を備える。貯湯タンク12の温水HWの加熱時、循環ポンプ60を駆動する。この循環ポンプ60の駆動時、貯湯タンク12の中層水が往き管36-1により取り出されてガス給湯器8に循環し、このガス給湯器8による加熱後、戻り管36-2より貯湯タンク12の上層部に戻される。
そして、貯湯ユニット4には外気温度を検出する温度センサ46-10が設置されている。この温度センサ46-10の検出温度は、稼働期が着霜期、冬期、中間期、夏期かなど、稼働期に該当する時季の判別に用いられる。
【0032】
貯湯制御部13は、各温度センサ46-1、46-2、46-3、46-4、46-5、46-6、46-7、46-8、46-9、46-10の検出温度、流量センサ54の検出流量を取得し、混合弁50、切替え弁58の切替え制御出力、循環ポンプ56、60の制御出力を生成し、貯湯ユニット4の貯湯制御を行う。
【0033】
<HPユニット6>
図5は、HPユニット6の一例を示している。このHPユニット6は一例として、熱媒熱交換器26、空気熱交換器22、コンプレッサ24、膨張弁28および熱媒循環路20を備え、CO
2熱媒サイクルを構成している。熱媒熱交換器26は、貯湯タンク12側の給水Wと熱媒循環路20側の熱媒HMとの熱交換を行う。温度センサ46-11は熱媒熱交換器26の入側温度を検出し、温度センサ46-12はその出側温度を検出する。
空気熱交換器22はファン62の回転で大気と熱媒循環路20を循環する圧縮前の熱媒HMとの熱交換を行い、熱媒HMに吸熱させる。コンプレッサ24は電力により熱媒の圧縮を行う。温度センサ46-13はHPユニット6に取り込まれる外気の温度を検出する。温度センサ46-14は空気熱交換器22の出側温度を検出し、温度センサ46-15はコンプレッサ24の出側温度を検出する。
【0034】
HPユニット6は常時、動作状態に維持し、単独運転で給湯需要に備えて貯湯タンク12の温水熱量を補填する。貯湯タンク12の下層水温度が上限温度に到達した場合には、温度センサ46-11の検出温度が上昇するので、HPユニット6の動作を停止させればよい。
【0035】
<ガス給湯器8>
図6は、ガス給湯器8の一例を示している。ガス給湯器8と貯湯タンク12の間に連結された貯湯循環路36は往き管36-1、戻り管36-2を備える。
往き管36-1には流量センサ64、温度センサ46-16が設置され、戻り管36-2には温度センサ46-17が設置されている。
流量センサ64にはガス給湯器8に流れる貯湯タンク12の中層水の流量が検出される。温度センサ46-16は、ガス給湯器8に入る中層水温度を検出する。温度センサ46-17はガス給湯器8から貯湯タンク12に戻される温水HWの温度を検出する。
ガス給湯器8には流量センサ64の下流側および温度センサ46-17の上流側に二次熱交換器42と一次熱交換器40をバイパスするバイパス管、バイパス管と貯湯循環路が合流するところに混合弁を備えてもよい。
【0036】
<リモコンユニット10>
図7のAは、リモコンユニット10の一例を示している。
このリモコンユニット10には、情報提示部11の情報提示画面66、給湯ボタン68、給湯ランプ69、常時沸き上げボタン70、常時沸き上げランプ71、スケジュール運転ボタン72、スケジュール運転ランプ73が備えられるとともに、開閉蓋74が設置されている。
情報提示画面66には沸き上げ温度、給湯温度、ハイブリッド動作などを表す動作情報が提示される。
給湯ボタン68は、給湯動作の開始または停止のために操作し、給湯動作中、給湯ランプ69が点灯する。常時沸き上げボタン70は、常に温水HWを貯湯タンク12に充填する際に操作し、その動作時、常時沸き上げランプ71が点灯する。スケジュール運転ボタン72はたとえば、営業時間に合わせて温水HWの沸き上げなどのスケジュール設定のために操作し、スケジュール運転時、スケジュール運転ランプ73が点灯する。
【0037】
図7のBは、開閉蓋74を開いたリモコンユニット10の設定操作部76を示している。
この設定操作部76には、沸き上げ設定ボタン78、急速ボタン80、営業設定ボタン82、休止設定ボタン84、使用状態確認ボタン86、メニューボタン88、給湯温度設定ボタン90、決定ボタン92、前画面に戻るためのもどるボタン94が備えられる。
沸き上げ設定ボタン78は、貯湯タンク12に貯湯する温水HWの沸き上げ温度の設定の際、操作する。また沸き上げ設定ボタン78によって、沸き上げ温度自動切替モードの選択が可能である。
急速ボタン80は、急速運転時たとえば、営業時間外の温水供給のための沸き上げ時に操作する。
営業設定ボタン82は、店舗の営業時間などの時間設定に用いる。休止設定ボタン84は、定休日以外の休日時などの休止設定に用いる。
使用状態確認ボタン86は、使用状態の確認のために操作する。メニューボタン88は、リモコン設定に用いる。給湯温度設定ボタン90は、沸き上げ設定ボタン78、使用状態確認ボタン86、メニューボタン88等に連動し、設定温度の上昇または下降、各種設定パラメータを選択するために操作する。決定ボタン92は、選択された温度または各種設定パラメータを確定するために用いる。もどるボタン94の操作により、選択された温度または各種設定パラメータを確定せず、前画面に戻る。
【0038】
<電力消費、ガス消費およびハイブリッド給湯システム2のランニングコスト>
1) 電力消費
HPユニット6ではコンプレッサ24、ファン62の駆動モーターなどの機能部が電力負荷であるから、稼働期間に電力を消費する。したがって、HPユニット6単体のたとえば、一定期間の消費電力に関するランニングコストは、その間の消費電力量に料金単価を乗算して求めることができる。
その他の電力消費について、貯湯ユニット4では混合弁50、循環ポンプ56、60、切替え弁58、貯湯制御部13などの機能部が電力負荷であるから、稼働期間に電力を消費する。ガス給湯器8にもバーナ38の燃料切替え機構、給湯制御部44などの機能部が電力負荷であるから、稼働期間に電力を消費する。また、ハイブリッド制御部9やリモコンユニット10においても、電力消費がある。しかしながら、これらの電力消費は、HPユニット6の消費電力に対して小さな値であるので、ハイブリッド給湯システム2のランニングコストRCの算定には省略してもよい。
【0039】
2) ガス消費
ガス給湯器8ではガス給湯による稼働期間、バーナ38の燃焼で燃料ガスGを消費する。したがって、ガス給湯器8の一定期間のガス消費に関するランニングコストRCは、ガス消費量に料金単価を乗算して算出することができる。
【0040】
<ハイブリッド制御部9のハードウェア>
図8は、ハイブリッド制御部9のハードウェアと、貯湯制御部13、HP制御部30、給湯制御部44およびリモコン制御部96の連係関係を示している。
ハイブリッド制御部9は、プロセッサ98、記憶部100、入出力部(I/O)102を備えている。
プロセッサ98は記憶部100にあるOS(Operating System)により情報処理を実行する。この情報処理には給湯制御プログラムなどの各種のプログラムを実行し、ランニングコストの最小値またはその近傍値の算出、この最小値またはその近傍値の実現に最適な沸き上げ温度の決定など、各種の制御が含まれる。
記憶部100にはOSの他、給湯制御プログラムが格納されており、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random-Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory )などの記憶素子で構成できる。
I/O102はプロセッサ98の制御により、貯湯制御部13、HP制御部30、給湯制御部44およびリモコン制御部96との情報の授受を行う。
【0041】
リモコン制御部96は図示しないが、ハイブリッド制御部9と同様のプロセッサなどのコンピュータ機能を備え、ハイブリッド制御部9から送出される沸き上げ温度を表す温度情報などの各種の提示情報を情報提示部11に提示する。設定操作部76の構成は既述したので、その説明を割愛する。
貯湯制御部13には既述の温度センサ46-1~46-10、混合弁50、流量センサ54、循環ポンプ56、60、切替え弁58が接続されている。各種センサの検出情報は貯湯制御部13を通してハイブリッド制御部9に伝達される。
給湯制御部44には既述の流量センサ64、温度センサ46-16、46-17が接続されている。同様に、各種センサの検出情報は給湯制御部44を通してハイブリッド制御部9に伝達される。
【0042】
<プロセッサ98による情報処理>
プログラムの実行によるプロセッサ98の情報処理には
a)貯湯制御部13、HP制御部30、給湯制御部44、リモコン制御部96の連係制御
b)給湯需要情報の取得
c)消費電力量および消費ガス量の算出
d)沸き上げ温度の設定
e)効率情報の取得
f)稼働期情報の取得および稼働期の判定
g)ランニングコストRCの算出
h)沸き上げ温度Thの選択および自動設定
i)稼働情報DB104の生成
j)稼働情報およびランニングコストRCの提示
などが含まれる。
【0043】
<稼働情報DB104>
図9は、稼働情報DB104の一例を示している。この稼働情報DB104には稼働情報ファイル106が格納されている。この稼働情報ファイル106には日時部108、稼働期部109、算定期間部110、貯湯ユニット部112、HPユニット部114、ガス給湯器部116、給湯需給割合部118、ランニングコスト部120、沸き上げ温度部122が設定されている。
【0044】
日時部108は、稼働期間などの日時を示す日時情報が格納される。稼働期部109には着霜期、冬期、中間期、夏期などの稼働期を示す稼働期情報が格納される。稼働期はたとえば、着霜期、冬期、中間期、夏期などの時季が設定される。これらの時季は温度センサ46-10の検出温度からハイブリッド制御部9が判定し設定する。
算定期間部110は、ランニングコストRCの算定期間としてたとえば、1週間などの算定期間を表す期間情報が格納される。
【0045】
貯湯ユニット部112には、貯湯ユニット4の稼働情報が格納される。この貯湯ユニット部112には給水温度部112-1、出湯量部112-2、給湯負荷部112-3が設定されている。給水温度部112-1には給水Wの給水温度を表す温度情報が格納される。出湯量部112-2には貯湯ユニット4からの温水HWの出湯量を示す出湯量情報が格納される。給湯負荷部112-3には給湯温度など、貯湯ユニット4に対する給湯負荷を示す負荷情報が格納される。
【0046】
HPユニット部114には、HPユニット6の稼働情報が格納される。このHPユニット部114にはCOP部114-1、稼働時間部114-2、消費電力部114-3、料金単価部114-4、コスト情報部114-5が設定されている。
COP部114-1にはHPユニット6のCOP情報が格納される。稼働時間部114-2にはHPユニット6の稼働時間を表す時間情報が格納される。消費電力部114-3には、HPユニット6の消費電力を表す電力情報が格納される。料金単価部114-4には、消費電力の料金単価、たとえば、商用交流電源の料金単価を表す単価情報が格納される。コスト情報部114-5にはたとえば、消費電力、稼働時間および料金単価の積で与えられるコスト情報が格納される。
【0047】
ガス給湯器部116には、ガス給湯器8の稼働情報が格納される。このガス給湯器部116には稼働時間部116-1、消費ガス量部116-2、料金単価部116-3、コスト情報部116-4が設定されている。
稼働時間部116-1には、ガス給湯器8の稼働時間を表す時間情報が格納される。消費ガス量部116-2には、ガス給湯器8の稼働時間におけるガス給湯器8から消費ガス量を表す消費ガス量情報が格納される。料金単価部116-3には、消費ガスの料金単価、たとえば、LPガスや都市ガスの料金単価を表す単価情報が格納される。コスト情報部116-4にはたとえば、消費ガス量と料金単価の積で与えられるコスト情報が格納される。
【0048】
給湯需給割合部118には給湯需要に対する負担配分としてHPユニット6とガス給湯器8の給湯需給割合を表す比率情報が格納される。この給湯需給割合部118にはHPユニット部118-1、ガス給湯器部118-2が設定される。HPユニット部118-1には給湯需要に対するHPユニット6が負担する需給量を表す比率情報が格納される。
ガス給湯器部118-2には給湯需要に対するガス給湯器8が負担する需給量を表す比率情報が格納される。このガス給湯器部118-2の需給量には給湯温度に対する貯湯ユニット4の不足熱量の補完情報が含まれる。
【0049】
ランニングコスト部120には、ランニングコストを表すコスト情報が格納される。このランニングコスト部120には沸き上げ温度部120-1、最小値部120-2が設定されている。
沸き上げ温度部120-1にはランニングコストRCを算出する際のパラメータ情報が格納される。この沸き上げ温度部120-1には65℃部120-11、75℃部120-12、85℃部120-13、給湯温度連動部120-14が設定されている。
【0050】
65℃部120-11には、パラメータに65℃を用いた場合のランニングコストを表すコスト情報が格納される。75℃部120-12にはパラメータに75℃を用いた場合のランニングコストを表すコスト情報が格納される。85℃部120-13にはパラメータに85℃を用いた場合のランニングコストを表すコスト情報が格納される。また、給湯温度連動部120-14にはパラメータに給湯温度連動値を用いた場合のランニングコストを表すコスト情報が格納される。
【0051】
最小値部120-2にはランニングコストRCの最小値またはその近傍値を表すコスト情報とともに、このコスト情報に該当する沸き上げ温度Thを表す温度情報が格納される。
そして、沸き上げ温度部122には、ランニングコストRCの最小値またはその近傍値に該当する最適な沸き上げ温度Thを表す温度情報が格納される。
【0052】
<給湯制御>
図10は、ハイブリッド給湯システム2の給湯制御を示している。
このハイブリッド給湯システム2の給湯制御には、沸き上げ温度Thの設定(S201)、HPユニット6による温水HWの沸き上げ(S202)、貯湯ユニット4による貯湯(S203)、給湯要求(S204)、設定温度での出湯判定(S205)、不足熱量の算出(S206)、ガス給湯器8による温水加熱(S207)、設定温度での出湯判定(S208)、設定温度での出湯(S209)などが含まれる。
【0053】
沸き上げ温度Thの設定(S201): ハイブリッド制御部9には、沸き上げ温度Th=65℃、75℃、85℃および給湯温度連動などの沸き上げ温度が設定される。なお、この沸き上げ温度Thは、リモコンユニット10の設定操作部76からユーザによる設定も可能である。
HPユニット6による温水HWの沸き上げ(S202): ハイブリッド制御部9は、リモコンユニット10の給湯ボタン68の「入」入力を受け、稼働状態に移行する。これにより、HPユニット6のHP制御部30が稼働開始を受け、HPユニット6による温水HWの沸き上げが開始される。
貯湯ユニット4による貯湯(S203): 貯湯ユニット4はHPユニット6による沸き上げに基づき、温水HWの貯湯が行われる。
【0054】
給湯要求(S204): 給湯需要の発生により、貯湯ユニット4が給湯要求を受けると、貯湯ユニット4の温水HWが給湯需要箇所に供給される。
設定温度での出湯判定(S205): ハイブリッド制御部9は、給湯要求を契機として、貯湯制御部13から設定温度での給湯が可能かを貯湯ユニット4の蓄熱情報を用いて判定する。設定温度での給湯が可能であれば(S205のYES)、設定温度での出湯(S209)が実行される。
【0055】
不足熱量の算出(S206): 設定温度での出湯が可能でなければ(S205のNO)、貯湯制御部13が不足熱量を算出し、不足熱量を補完するための制御情報をハイブリッド制御部9に提供する。
ガス給湯器8による温水加熱(S207): ハイブリッド制御部9は、不足熱量を補充するための制御として、循環ポンプ60を駆動する。この循環ポンプ60の駆動により、貯湯タンク12から中層水が循環路36の往き管36-1を通してガス給湯器8に給水される。この給水が給湯要求となり、ガス給湯器8が給湯を開始する。つまり、この給湯要求により、バーナ38が着火し、稼働状態に移行する。これにより、中層水は高温の温水HWに加熱されて戻り管36-2より貯湯タンク12の上層部に戻される。
【0056】
設定温度の出湯判定(S208): ハイブリッド制御部9は、貯湯制御部13から設定温度での給湯が可能かを貯湯ユニット4の蓄熱情報を用いて判定する。設定温度での給湯が可能であれば(S208のYES)、設定温度での出湯(S209)が実行される。設定温度での給湯が可能でなければ(S208のNO)、不足熱量の算出(S206)およびガス給湯器8による温水加熱(S207)が再度実行される。
設定温度での出湯(S209): 斯かる制御により、ハイブリッド給湯システム2から設定温度での出湯が得られる。
【0057】
<ランニングコストRCの算出および沸き上げ温度自動切替え>
図11は、ハイブリッド給湯システム2のランニングコストRCの算出および沸き上げ温度自動切替え制御を示している。
ハイブリッド給湯システム2のランニングコストRCの算出および沸き上げ温度自動切替え制御には、算定期間判定(S301)、沸き上げ温度Thの設定(S302)、HPユニット6の消費電力量の算出(S303)、ガス給湯器8の消費ガス量の算出(S304)、ランニングコストRCの最小値またはその近傍値の算出(S305)、沸き上げ温度Thの選択(S306)、沸き上げ温度Thの自動切替え(S307)などが含まれる。
【0058】
算定期間判定(S301): ハイブリッド制御部9は、算定期間を判定する。この算定期間はたとえば、1週間である。1週間であれば、同一曜日間の7日間が算定期間となる。この例では、ハイブリッド制御部9が1週間の経過を判定している。
沸き上げ温度Thの設定(S302): ハイブリッド制御部9は、複数の沸き上げ温度Thを設定する。既述の通り、ハイブリッド制御部9は、複数のランニングコストRCを算出するためのパラメータとして、複数の沸き上げ温度Thを設定する。
【0059】
HPユニット6の消費電力量の算出(S303): ハイブリッド制御部9は、複数の沸き上げ温度Thをパラメータに算定期間におけるHPユニット6の消費電力量を算出する。
ガス給湯器8の消費ガス量の算出(S304): ハイブリッド制御部9は、ガス給湯器8の稼働期間における給湯需要を満たした消費ガス量を算出する。
ランニングコストRCの最小値またはその近傍値の算出(S305): ハイブリッド制御部9は、複数の沸き上げ温度Thに対応する消費電力量および消費ガス量を用いてランニングコストRCの最小値またはその近傍値を算出する。
【0060】
沸き上げ温度Thの選択(S306): ハイブリッド制御部9は、複数の沸き上げ温度ThからランニングコストRCの最小値またはその近傍値に該当する沸き上げ温度Thを選択する。
沸き上げ温度Thの自動切替え(S307): ハイブリッド制御部9は、選択した沸き上げ温度Thが現在、HPユニット6に設定されている沸き上げ温度Thと異なれば、最新の沸き上げ温度Thに切り替える。つまり、ユーザ操作なしで沸き上げ温度Thの自動切替えが実行される。
【0061】
<情報の提示>
図12は、リモコンユニット10の情報提示画面66による情報提示を示している。この情報提示には、使用状態確認メニュー画面124(
図12のA)、お湯メニュー画面126(
図12のB)、期間選択メニュー画面128(
図12のC)、使用量提示画面130(
図12のD)、使用量提示画面132(
図12のE)、使用量提示画面134(
図12のF)が含まれる。
使用状態確認メニュー画面124では
図12のAに示すように、タンク上部温度、お湯、電気の選択が可能で、選択に係る項目における使用状態が確認できる。この例では、お湯が選択されている。
お湯メニュー画面126では
図12のBに示すように、使用量、グラフ(使用量推移)の選択が可能で、選択された項目が表示される。
【0062】
期間選択メニュー画面128には
図12のCに示すように、1日のデータ、1週間のデータ、1カ月のデータ、1年のデータの選択が可能である。
使用量提示画面130、132には
図12のD、Eに示すように、特定月のお湯の使用量が提示される。
使用量提示画面134には
図12のFに示すように、前年同月のお湯の使用量が提示される。
【0063】
図13は、リモコンユニット10の情報提示画面66による使用量情報の提示を示している。この情報提示には、使用量推移画面136(
図13のA)、使用量推移画面138(
図13のB)が含まれる。
使用量推移画面136には
図13のAに示すように、一例として、特定月の第2週(今週)におけるお湯の使用量の推移を示すグラフ表示が提示される。
使用量推移画面138には
図13のBに示すように、一例として、特定月の第1週(前週)におけるお湯の使用量の推移を示すグラフ表示が提示される。
【0064】
<第2の実施の形態の効果>
この第2の実施の形態によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 第1の実施の形態と同様の効果が得られるとともに、ランニングコストRCや沸き上げ温度Thを情報提示部11の情報提示画面66によって容易に確認できる。
(2) 沸き上げ温度Thの選択とランニングコストRCの関係を明示できるので、ユーザのランニングコストRCや沸き上げ温度Thに対する納得感を得ることができ、利便性の高いハイブリッド給湯システム2を実現できる。
(3) 情報提示部11にランニングコストRCや沸き上げ温度Thを提示すれば、利便性の高いシステムを構成できる。
【実施例0065】
<ハイブリッド給湯システム2のランニングコストRCのシミュレーション>
図14は、ランニングコストRCのシミュレーション手順を示している。このシミュレーションは、ハイブリッド制御部9に搭載するシミュレーション可能なコンピュータを使用して行う。コンピュータは、0:00までに当曰の試算結果を算出し沸き上げ温度を決定する。
この手順には、時間帯ごとのシミュレーション(S401)、蓄熱量の算出(S402)、沸き上げ温度Th=65℃のシミュレーション(S403)、沸き上げ温度Th=85℃のシミュレーション(S404)、沸き上げ温度Thの決定(S405)などが含まれる。
【0066】
時間帯ごとのシミュレーション(S401): 前週の同じ曜日の給湯負荷データから時間帯ごとに試算する。先ずは0時台を試算する。給湯負荷データには前週データだけではなく、過去の同じ曜日のデータ平均値を用いてもよい。
蓄熱量の算出(S402): 貯湯タンク12の蓄熟量は温度センサ46-3、46-4、46-5、46-6の検出温度と直近水温から算出する。直近水温とは、前回通水時の温度センサ46-1の検出温度(記憶値)でよいし、前曰の直近水温平均値を使用してもよい。この検出温度については、直近水温の代わりに、設定条件テーブル140(
図15あるいは
図16)を用いて、外気温度を検出する温度センサ46-10の検出温度により判別される稼働期(着霜期、冬期、中間期、夏期)に対応する給水温度を使用してもよい。
【0067】
沸き上げ温度Th=65℃のシミュレーション(S403): 沸き上げ温度Th=65℃の場合についてシミュレーションを行う。
沸き上げ温度Th=85℃のシミュレーション(S404): 沸き上げ温度Th=85℃の場合についてシミュレーションを行う。
沸き上げ温度Thの決定(S405): 沸き上げ温度Th=65℃のランニングコストRCと、沸き上げ温度Th=85℃のランニングコストRCを比較し、ランニングコストRCの低い沸き上げ温度Thを決定する。
【0068】
シミュレーションの期日において、平均外気温度=20℃であるところ、中間期と判定する。タンク蓄熱量は4,320kcal{=(タンク温度65℃-直近水温17℃)×タンク容積90L)}である。
【0069】
<沸き上げ温度Th=65℃のシミュレーション(S405)>
まず、0時台のシミュレーションを行う。このシミュレーションでは、給湯負荷が0時台に均等利用されるものとして扱う。
0時台の給湯負荷は18,750kcal、貯湯タンク12の初期蓄熱量は4,320kcalなので、0時台の不足熱量は、18,750kcal―4,320kcal=14,430kcal
中間期にあるHPユニット6の沸き上げ温度Th=65℃の蓄熱能力は、HPユニットの能力(仕様値)5,074kcalに蓄熱効率0.90を乗算して求めた4,567kca1であるから、14,430kcal/4,567kca1=3.16時間(HPユニット6の必要稼働可能時間)
したがって、0時台のHPユニット6の稼働時間は1時間(60分間)
HPユニット6による加熱量は、4,567kcal×1時間:F=4,567kcal(0時台、HPユニット6による加熱量) 、この場合、不足熱量は、ガス給湯器8による加熱で補う。
14,430-4,567kcal=9、863kcal(ガス給湯器8による加熱量)
【0070】
ガス消費量は、9、863kcal/83.7%(ガス給湯器8の熱効率)= 11,784kcal (ガス消費量)
HPユニット6の消費電力量は、能力(仕様値)5.9kwをCOP4.4で除算しHP稼働時間60分間を乗算して求められ、1.341kWh(HPユニット6の沸き上げ温度Th=65℃消費電力)
0時台のシミュレーション終了、初期タンク蓄熱量および0時台のHPユニット6による加熱量は全て利用されるので、タンク蓄熱量は0kcal。
【0071】
次に、1時台のシミュレーションを行う。このシミュレーションでは、給湯負荷が1時台に均等利用されるものとして扱う。
0時台の給湯負荷は0kcal、貯湯タンク12の初期蓄熱量は0kcalなので、0時台の不足熱量は0kcal
中間期のHPユニット6の沸き上げ温度Th=65℃の蓄熱能力は、4,567kcalなので、1時台不足熱量はないが貯湯タンク12に蓄熱可能(65℃設定-17℃)×90L=4,320kcal(蓄熱可能量)
したがってHPユニット6の稼働可能時間は、4,320kcal:L/4,567kcal:D=0.95時間(57分間)
【0072】
1時台のHPユニット6の稼働時間は0.95時間(57分間)
1時台のHPユニット6の加熱量は、4,567kcal:D×0.95時間=4,320kcal
ガス給湯器8による加熱量は、不足熱量がないため0kcal
ガス消費量は、0kcal:H/83.7%(ガス給湯器8の熱効率)=0kcal
HPユニット6の消費電力量は、能力(仕様値)5.9kwをCOP4.4で除算しHP稼働時間57分間を乗算して求められ、 1,286kWh:K (HPユニット6の沸き上げ温度Th=65℃での消費電力)
上記で1時台の試算終了 タンク蓄熱量(満量)で4,320kcal
【0073】
以下同様の計算を23時台まで行う。
HPユニット6の消費電力の24時間合計とガス消費熱量の24時間合計を求める。
ガス消費熱量/ガス熱量(kcal/m3)=ガス使用量(m3)
以上の結果を用いて予め設定した電力料金とガス料金によりランニングコストRCを算出する。
【0074】
<沸き上げ温度Th=85℃のシミュレーション(S405)>
まず、0時台のシミュレーションでは、給湯負荷が0台に均等利用されるものとして扱う。
0時台の給湯負荷は18,750kcal、貯湯タンク12の初期蓄熱量は4,320kcalなので、0時台の不足熱量は、18,750kcal―4,320kcal=14,430kcal
中間期のHPユニット6の沸き上げ温度Th=85℃の蓄熱能力は、4,567kcalなので、
14,430kcal/4,567kcal=3.16時間(HPユニット6の必要稼働可能時間)
【0075】
0時台のHPユニット6の稼働時間は1時間(60分間)
0時台のHPユニット6による加熱量、4,567kcal×1時間=4,567kcal
不足熱量は、ガス給湯器8による加熱となる。
14,430-4,567kcal=9、863kcal(ガス給湯器8による加熱量)
9、863kcal/83.7%(ガス給湯器8の熱効率)= 11,784kcal (ガス消費量)
HPユニット6の消費電力量は、能力(仕様値)5.9kwをCOP3.4で除算しHP稼働時間60分間を乗算して求められ、1.735kWh(HPユニット6の沸き上げ温度Th=85℃の消費電力)
【0076】
上記で0時台のシミュレーション終了 貯湯タンク12の蓄熱量=0kcal
次に、1時台のシミュレーションでは、給湯負荷が1時台に均等利用されるものとして扱う。
0時台の給湯負荷は0kcal、貯湯タンク12の初期蓄熱量は0kcalなので、0時台の不足熱量は0kcal
中間期のHPユニット6の沸き上げ温度Th=85℃の蓄熱能力は、4,567kcalなので、1時台不足熱量はないが、貯湯タンク12に蓄熱可能(85℃設定-17℃)×90L=6,120kcal(蓄熱可能量)
6,120kcal/4,567kcal=1.34時間(HPユニット6の必要稼働可能時間)
【0077】
1時台のHPユニット6の稼働時間は1時間(60分間)
HPユニット6の加熱量は、4,567kcal×1時間=4,567kcal(1時台のHPユニット6の加熱量)
不足熱量がないため0kcal(ガス給湯器8の加熱量)
ガス消費量は、0kcal/83.7%(ガス給湯器8の熱効率)=0kcal
HPユニット6の消費電力量は、能力(仕様値)5.9kwをCOP3.4で除算しHP稼働時間60分間を乗算して求められ、1.735kWh(HPユニット6の沸き上げ温度Th=85℃消費電力)
上記で1時台の試算終了 タンク蓄熱量は4,644kcal
【0078】
以下、同様の計算を23時台まで行う。
23時台終了時の貯湯タンク12の蓄熱量と、0時台初めの貯湯タンク12の蓄熱量が同じになるように、0時台の値を調整する。
HPユニット6の消費電力の24時間合計とガス給湯器8のガス消費熱量の24時間合計により、予め設定した電力料金とガス料金によりランニングコストRCを算出する。
但し、ガス消費熱量/ガス熱量(kcal/m3)=ガス使用量(m3)
【0079】
図15は、沸き上げ温度Th=65℃設定における、設定条件テーブル140(
図15のA)、HPユニット仕様テーブル142(
図15のB)、HPユニット仕様テーブル144(
図15のC)を示している。
設定条件テーブル140は、
図15のAに示すように、年間月、給水温度および稼働期の関係を示している。
HPユニット仕様テーブル142は、
図15のBに示すように、能力(kW)、能力(kcal)、COP、消費電力(kW)について、中間期、夏期、冬期および着霜期のHPユニット6の仕様が記憶されている。
【0080】
図16は、沸き上げ温度=65℃設定のシミュレーション結果テーブル146を示している。
このシミュレーション結果テーブル146には、最大蓄熱量、HPユニット6の能力をパラメータにして、各時間帯の給湯量から、給湯需給割合、給湯負荷、終了時目標蓄熱量(蓄熱可能量)、蓄熱量開始(初期蓄熱量)、蓄熱量終了、HPユニット稼働時間、HPユニット消費電力量、HPユニットによる蓄熱量、蓄熱最低量、ガス給湯器稼働、ガス給湯器演算出力が算出されている。
【0081】
図17は、沸き上げ温度Th=85℃設定における、設定条件テーブル148(
図17のA)、HPユニット仕様テーブル150(
図17のB)、HPユニット仕様テーブル152(
図17のC)を示している。
設定条件テーブル148は、
図17のA示すように、年間月、給水温度および稼働期の関係を示している。
HPユニット仕様テーブル150は、
図17のBに示すように、能力(kW)、能力(kcal)、COP、消費電力(kW)について、中間期、夏期、冬期および着霜期のHPユニット6の仕様が記憶されている。
そして、HPユニット仕様テーブル152は、
図17のCに示すように、5月が中間期であり、その場合に設定されたHPユニット6の仕様を示している。
【0082】
図18は、沸き上げ温度=85℃設定のシミュレーション結果テーブル154を示している。
このシミュレーション結果テーブル154には、最大蓄熱量、HPユニット6の能力をパラメータにして、各時間帯の給湯量から、給湯需給割合、給湯負荷、終了時目標蓄熱量(蓄熱可能量)、蓄熱量開始(初期蓄熱量)、蓄熱量終了、HPユニット稼働時間、HPユニット消費電力量、HPユニットによる蓄熱量、蓄熱最低量、ガス給湯器稼働、ガス給湯器演算出力が算出されている。
【0083】
<沸き上げ温度設定と給湯温度設定の関係(標準)>
図19は、リモコンユニット10で選択された沸き上げ温度設定および給湯温度設定に対するHPユニット6およびガス給湯器8の沸き上げ温度を示し、給湯温度領域=標準の場合の沸き上げ温度設定・給湯温度設定に対するHPユニット6・ガス給湯器8の沸き上げ温度テーブル156(
図19のA)、給湯温度領域=高温の場合の沸き上げ温度設定・給湯温度設定に対するHPユニット6およびガス給湯器8の沸き上げ温度テーブル158(
図19のB)を示している。
リモコンユニット10での沸き上げ温度Th=65℃、75℃、85℃、給湯温度連動について、給湯温度領域が標準か高温かに応じて給湯温度の設定および沸き上げ温度Thの設定が可能である。
【0084】
<実施例の効果>
上記実施例によって本開示のハイブリッド給湯システム2の低コスト化が図られることが確認されている。
【0085】
〔他の実施の形態〕
(1) 上記実施の形態では、第1の給湯手段にHPユニット6を用いているが、HPユニット6以外の電熱源を用いてもよい。
(2) 上記実施の形態では、ガス給湯器8に二次熱交換器42を備えているが、一次熱交換器40のみの構成であってもよい。
(3)時季間の時期での給水温度またはHPユニット6の仕様値は、各時季において設定される給水温度、HPユニット6の仕様値の直線近似から求められた値を使用してもよい。
【0086】
以上の通り、本発明の技術の最も好ましい実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
本開示のハイブリッド給湯システムによれば、ランニングコストを最小化できる沸き上げ温度を求め、この沸き上げ温度への自動切替えが可能となり、利便性の高いハイブリッド給湯システムを構築できる。
さらに、情報提示部を備え、前記制御部が少なくとも給湯温度、前記沸き上げ温度または前記ランニングコストの何れかまたは二以上を含む提示情報を生成し、この提示情報を前記情報提示部に提示させることを特徴とする、請求項9ないし請求項11のいずれかに記載のハイブリッド給湯システム。