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特開2024-100996バッテリの拡張可能な直接リサイクルのための方法およびシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100996
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】バッテリの拡張可能な直接リサイクルのための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0525 20100101AFI20240719BHJP
【FI】
H01M10/0525
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024085499
(22)【出願日】2024-05-27
(62)【分割の表示】P 2021530289の分割
【原出願日】2019-11-26
(31)【優先権主張番号】62/772,243
(32)【優先日】2018-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521228570
【氏名又は名称】リー インダストリーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ヤング
(72)【発明者】
【氏名】シュー ハン
(72)【発明者】
【氏名】ジェン リー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ダブリュー. エリス
(72)【発明者】
【氏名】ノーラン シュミット
(57)【要約】
【課題】好適なバッテリの拡張可能な直接リサイクルのための方法およびシステムを提供すること。
【解決手段】方法は、少なくとも1つのバッテリを複数のコア区分に処理することを含む。複数のコア区分における各コア区分は、アノード区分と、カソード材料を含むカソード区分と、アノード区分とカソード区分との間に配置されたセパレータ区分と、電解質とを含む。方法は、複数のコア区分を溶媒の中に配置し、カソード材料の混合物を複数のコア区分から生産することも含む。溶媒と電解質とは、イオン伝導性媒体を形成し、カソード材料の混合物は、カソード材料中の活性元素の実質的に均質な分布によって特徴付けられる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、その開示が参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる2018年11月28日に出願され、「METHODS AND SYSTEMS FOR SCALABLE DIRECT RECYCLING OF BATTERIES」と題された米国特許出願第62/772,243号の優先権を主張する。
(技術分野)
【0002】
本開示は、概して、エネルギー貯蔵デバイスをリサイクルするためのシステム、装置、および方法に関し、より具体的に、リチウムイオンバッテリおよびその構成要素のリサイクルに関する。
【背景技術】
【0003】
リチウムイオンバッテリは、高電力および高エネルギー密度、長サイクル寿命、高電位、および低自己放電率を有する。結果として、それらは、通常、短期的エネルギー貯蔵のための最も有望なアプローチと見なされ、消費者電子機器、電気車両、およびグリッドエネルギー貯蔵において広く使用されている。しかしながら、リチウムイオンバッテリは、バッテリ材料供給量の限界、生産中または耐用年数終了の際の環境上の危険性、および高製造コストを含むいくつかの短所も有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
エネルギー貯蔵デバイスをリサイクルするためのシステム、装置、および方法が、開示される。いくつかの実施形態において、方法は、少なくとも1つのバッテリを複数のコア区分に処理することを含む。複数のコア区分における各コア区分は、少なくとも、少なくともアノード材料を含むアノード区分と、少なくともカソード材料を含むカソード区分と、アノード区分とカソード区分との間に配置されたセパレータ区分と、電解質とを含む。方法は、カソード材料および他の構成要素の混合物を複数のコア区分から生産するように、複数のコア区分を溶媒の中に配置することも含む。溶媒および電解質は、イオン伝導性媒体を形成し、カソード材料の混合物は、カソード材料中の活性元素の実質的に均質な分布によって特徴付けられる。
【0005】
いくつかの実施形態において、システムは、第1のデバイスと、第2のデバイスとを含む。第1のデバイスは、少なくとも1つのバッテリを複数のコア区分に処理するように構成され、複数のコア区分における各コア区分は、アノード区分と、カソード材料を含むカソード区分と、アノード区分とカソード区分との間に配置されたセパレータ区分と、電解質とを含む。第2のデバイスは、カソード材料の混合物を複数のコア区分から生産するように、複数のコア区分を受け取り、複数のコア区分を分散または溶解するように構成される。溶媒および電解質は、イオン伝導性媒体を形成し、カソード材料の混合物は、カソード材料中の活性元素の実質的に均質な分布によって特徴付けられる。
【0006】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのバッテリをリサイクルする方法は、複数のリチウムイオンバッテリを複数のコア区分に切断することを含む。複数のリチウムイオンバッテリにおける第1のリチウムイオンバッテリは、第1の電荷の状態(SOC)を有し、複数のリチウムイオンバッテリにおける第2のリチウムイオンバッテリは、第1のSOCと異なる第2のSOCを有する。複数のコア区分における各コア区分は、アノード材料を含むアノード区分と、カソード材料を含むカソード区分と、アノード区分とカソード区分との間に配置されたセパレータ区分と、電解質とを含む。方法はまた、カソード材料およびアノード材料の混合物を複数のコア区分から生産するように、複数のコア区分を溶媒の中に配置することを含む。溶媒および電解質は、イオン伝導性媒体を形成し、カソード材料およびアノード材料の混合物は、活性元素の非化学量論的化合物をカソード材料中に含み、カソード材料中の活性元素の実質的に均質な分布によって特徴付けられる。方法はさらに、カソード材料をカソード材料およびアノード材料の混合物から抽出することと、カソード材料およびアノード材料の混合物から抽出されるカソード材料を再リチウム化し、バッテリグレードカソード材料を生産することとを含む。
【0007】
以下により詳細に論じられる前述の概念および追加の概念の全ての組み合わせ(そのような概念は、互いに矛盾しないことを前提とする)は、本明細書に開示される本発明の主題の一部と見なされることを理解されたい。特に、本開示の最後に見られる請求される主題の全ての組み合わせは、本明細書に開示される本発明の主題の一部と見なされる。また、参照することによって組み込まれる任意の開示にも見られ得る本明細書で明示的に採用される専門用語は、本明細書に開示される特定の概念と最も一貫した意味が与えられるべきであることを理解されたい。
【0008】
他のシステム、プロセス、および特徴も、以下の図面および詳細な説明の精査に応じて、当業者に明白となるであろう。全てのそのような追加のシステム、プロセス、および特徴は、本説明内に含まれ、本発明の範囲内であって、付随の請求項によって保護されることが意図される。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
方法であって、前記方法は、
少なくとも1つのバッテリを複数のコア区分に処理することであって、前記複数のコア区分における各コア区分は、アノード区分と、カソード材料を含むカソード区分と、前記アノード区分と前記カソード区分との間に配置されたセパレータ区分と、電解質とを備えている、ことと、
前記複数のコア区分を溶媒の中に配置し、前記複数のコア区分からのカソード材料の混合物を生産することと
を含み、
前記溶媒と前記電解質とは、イオン伝導性媒体を形成し、前記カソード材料の前記混合物は、前記カソード材料中の活性元素の実質的に均質な分布によって特徴付けられる、方法。
(項目2)
前記少なくとも1つのバッテリは、リチウムイオンバッテリを含み、前記カソード材料は、LiCoO 、LiMn 、LiFe 1-t PO (LFMP)、またはLiNi Mn Co のうちの少なくとも1つを含み、a+b+c+d=1であり、A=Al、Zr、またはMgである、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記複数のコア区分を前記溶媒の中に配置することは、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N-メチル-2-ピロリデン(NMP)、またはジメチルアセトアミド(DMAc)のうちの少なくとも1つの中に前記複数のコア区分を配置することを含む、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記少なくとも1つのバッテリは、第1の電荷の状態における第1のバッテリと、前記第1の電荷の状態と異なる第2の電荷の状態における第2のバッテリとを含む、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記イオン伝導性媒体は、前記複数のコア区分における少なくとも1つのアノード区分からの伝導性炭素をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目6)
伝導性炭素を前記溶媒の中に添加し、前記イオン伝導性媒体の電子伝導性を増加させることをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記カソード材料の混合物は、電気化学プロセスを伴わずに生産される、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記カソード材料の混合物は、前記カソード材料中に前記活性元素のリチウム欠乏化合物を含む、項目1に記載の方法。
(項目9)
各コア区分における前記アノード区分は、アノード材料を含み、前記カソード材料の混合物は、前記複数のコア区分からのアノード材料をさらに含み、前記方法は、前記カソード材料と前記アノード材料との前記混合物から前記カソード材料を抽出することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目10)
前記カソード材料を抽出することは、密度ベースの分離プロセスを介して、前記カソード材料を前記アノード材料から分離することを含む、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記カソード材料を抽出することは、疎水性ベースの分離プロセスを介して、前記カソード材料を前記アノード材料から分離することを含む、項目9に記載の方法。
(項目12)
前記カソード材料を抽出することは、前記カソード材料の粒子サイズに基づいて、濾過分離プロセスを介して、前記カソード材料を分離することを含む、項目9に記載の方法。
(項目13)
前記カソード材料を抽出することは、渦電流分離プロセスを介して、前記カソード材料を分離することを含む、項目9に記載の方法。
(項目14)
前記カソード材料を抽出することは、熱処理プロセスを介して、前記カソード材料を分離することを含む、項目9に記載の方法。
(項目15)
前記カソード材料と前記アノード材料との前記混合物から抽出される前記カソード材料を再リチウム化し、バッテリグレードカソード材料を生産することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目16)
前記少なくとも1つのバッテリを前記複数のコア区分に処理する前、前記少なくとも1つのバッテリを非活性化することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目17)
前記少なくとも1つのバッテリを非活性化することは、前記少なくとも1つのバッテリを伝導性粉末と接触させ、前記少なくとも1つのバッテリを放電させることを含む、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記伝導性粉末は、金属、炭素、または導電性酸化物のうちの少なくとも1つを含む、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記少なくとも1つのバッテリを非活性化することは、前記少なくとも1つのバッテリを伝導性流体と接触させることを含む、項目16に記載の方法。
(項目20)
前記少なくとも1つのバッテリを非活性化後、伝導性針を使用して、前記少なくとも1つのバッテリを突き刺し、前記少なくとも1つのバッテリの放電の状態を推定することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目21)
超音波を前記溶媒の中に送達し、前記カソード材料の前記混合物の生産を促進することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目22)
前記複数のコア区分を乾燥させ、少なくとも摂氏400度まで加熱し、前記カソード材料の前記混合物の生産を促進することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目23)
前記複数のコア区分を第2の溶媒に移し、前記カソード材料の前記混合物の生産を促進することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目24)
超音波を前記第2の溶媒の中に送達し、前記カソード材料の前記混合物の生産を促進することをさらに含む、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記少なくとも1つのバッテリは、複数のバッテリを含み、前記方法は、前記複数のバッテリを、第1のカソード材料を有する第1のバッテリの群と、第2のカソード材料を有する第2のバッテリの群とにソートすることをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目26)
前記複数のバッテリをソートすることは、X線蛍光を使用して、前記複数のバッテリをソートすることを含む、項目25に記載の方法。
(項目27)
システムであって、前記システムは、
少なくとも1つのバッテリを複数のコア区分に処理するように構成された第1のデバイスであって、前記複数のコア区分における各コア区分は、アノード区分と、カソード材料を含むカソード区分と、前記アノード区分と前記カソード区分との間に配置されたセパレータ区分と、電解質とを備えている、第1のデバイスと、
前記複数のコア区分を受け取り、前記複数のコア区分を溶解させ、前記複数のコア区分からのカソード材料の混合物を生産するように構成された第2のデバイスと
を備え、
前記溶媒と前記電解質とは、イオン伝導性媒体を形成し、前記カソード材料の前記混合物は、前記カソード材料中の活性元素の実質的に均質な分布によって特徴付けられる、システム。
(項目28)
前記第1のデバイスは、リチウムイオンバッテリを処理するように構成され、前記カソード材料は、LiCoO 、LiMn 、LiFe 1-t PO (LFMP)、またはLiNi Mn Co のうちの少なくとも1つを含み、a+b+c+d=1であり、A=Al、Zr、またはMgである、項目27に記載のシステム。
(項目29)
前記第2のデバイスは、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N-メチル-2-ピロリデン(NMP)、またはジメチルアセトアミド(DMAc)のうちの少なくとも1つを保持するように構成されている、項目27に記載のシステム。
(項目30)
前記第2のデバイスは、電気化学プロセスを伴わずに、前記カソード材料の前記混合物を生産するように構成されている、項目27に記載のシステム。
(項目31)
前記第2のデバイスは、前記カソード材料中に前記活性元素のリチウム欠乏化合物を含む前記カソード材料の前記混合物を生産するように構成されている、項目27に記載のシステム。
(項目32)
前記第2のデバイスは、超音波を前記溶媒の中に送達し、前記カソード材料の前記混合物の生産を促進するように構成された超音波変換器をさらに備えている、項目27に記載のシステム。
(項目33)
前記複数のコア区分を加熱し、前記カソード材料の前記混合物の生産を促進するように構成された第3のデバイスをさらに備えている、項目27に記載のシステム。
(項目34)
前記複数のコア区分を受け取るように構成された第4のデバイスをさらに備え、前記第4のデバイスは、溶媒と超音波変換器とを備え、前記超音波変換器は、超音波を前記溶媒の中に送達し、前記カソード材料の前記混合物の生産を促進するように構成されている、項目27に記載のシステム。
(項目35)
各コア区分における前記アノード区分は、アノード材料を含み、前記カソード材料の前記混合物は、前記複数のコア区分からのアノード材料をさらに含み、前記システムは、前記カソード材料と前記アノード材料との前記混合物から前記カソード材料を抽出するように構成された第3のデバイスをさらに備えている、項目27に記載のシステム。
(項目36)
前記第3のデバイスは、前記カソード材料と前記アノード材料との前記混合物から前記カソード材料を抽出するために、密度ベースの分離プロセスを実施するように構成されている、項目35に記載のシステム。
(項目37)
前記第3のデバイスは、前記カソード材料と前記アノード材料との前記混合物から前記カソード材料を抽出するために、疎水性ベースの分離プロセスを実施するように構成されている、項目35に記載のシステム。
(項目38)
前記第3のデバイスは、前記カソード材料と前記アノード材料との前記混合物から前記カソード材料を抽出するために、濾過分離プロセスを実施するように構成されている、項目35に記載のシステム。
(項目39)
前記第3のデバイスは、前記カソード材料と前記アノード材料との前記混合物から前記カソード材料を抽出するために、渦電流分離プロセスを実施するように構成されている、項目35に記載のシステム。
(項目40)
前記カソード材料と前記アノード材料との前記混合物から抽出された前記カソード材料を再リチウム化し、バッテリグレードカソード材料を生産するために構成された第4のデバイスをさらに備えている、項目27に記載のシステム。
(項目41)
前記第1のデバイスが前記少なくとも1つのバッテリを前記複数のコア区分に処理するように構成される前に前記少なくとも1つのバッテリを非活性化するように構成された放電器をさらに備えている、項目27に記載のシステム。
(項目42)
前記放電器は、前記少なくとも1つのバッテリを受け取り、前記少なくとも1つのバッテリを放電させるための伝導性粉末を含む、項目27に記載のシステム。
(項目43)
前記伝導性粉末は、金属、炭素、導電性酸化物、または流体のうちの少なくとも1つを含む、項目27に記載のシステム。
(項目44)
前記少なくとも1つのバッテリを非活性化後、前記少なくとも1つのバッテリを突き刺し、前記少なくとも1つのバッテリの放電の状態を推定するように構成された伝導性針をさらに備えている、項目27に記載のシステム。
(項目45)
少なくとも1つのバッテリをリサイクルする方法であって、前記方法は、
複数のリチウムイオンバッテリを複数のコア区分に切断することであって、前記複数のリチウムイオンバッテリにおける第1のリチウムイオンバッテリは、第1の電荷の状態を有し、前記複数のリチウムイオンバッテリにおける第2のリチウムイオンバッテリは、前記第1の電荷の状態と異なる第2の電荷の状態を有し、前記複数のコア区分における各コア区分は、アノード材料を含むアノード区分と、カソード材料を含むカソード区分と、前記アノード区分と前記カソード区分との間に配置されたセパレータ区分と、電解質とを備えている、ことと、
前記複数のコア区分を溶媒の中に配置し、前記複数のコア区分からのカソード材料とアノード材料との混合物を生産することであって、前記溶媒と前記電解質とは、イオン伝導性媒体を形成し、前記カソード材料と前記アノード材料との前記混合物は、活性元素の非化学量論的化合物を前記カソード材料中に含み、前記カソード材料中の前記活性元素の実質的に均質な分布によって特徴付けられる、ことと、
前記カソード材料と前記アノード材料との前記混合物から前記カソード材料を抽出することと、
前記カソード材料と前記アノード材料との前記混合物から抽出された前記カソード材料を再リチウム化し、バッテリグレードカソード材料を生産することと
を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0009】
当業者は、図面が、主に、例証目的のためのものであり、本明細書に説明される本発明の主題の範囲を限定することを意図するものではないことを理解するであろう。図面は、必ずしも、正確な縮尺ではない。いくつかの事例において、本明細書に開示される本発明の主題の種々の側面は、異なる特徴の理解を促進するために、図面中で誇張または拡大されて示され得る。図面中、同様の参照文字は、概して、同一特徴(例えば、機能的類似および/または構造的類似元素)を指す。
【0010】
図1図1は、いくつかの実施形態による、バッテリのカソード材料をリサイクルする方法を図示するフローチャートである。
【0011】
図2図2は、いくつかの実施形態による、バッテリの拡張可能な直接リサイクル方法を図示するフローチャートである。
【0012】
図3図3Aおよび3Bは、それぞれ、いくつかの実施形態による、バッテリの非活性化および電荷状態推定を図示する。
【0013】
図4-1】図4A-4Dは、いくつかの実施形態による、バッテリを複数のコア区分に処理する方法を図示する。
図4-2】図4A-4Dは、いくつかの実施形態による、バッテリを複数のコア区分に処理する方法を図示する。
【0014】
図5図5A-5Cは、いくつかの実施形態による、図4A-4Dに図示される方法を介して、複数のコア区分に処理され得るバッテリの概略を示す。
【0015】
図6図6は、いくつかの実施形態による、バッテリの直接リサイクルにおける化学処理および分離の方法を図示するフローチャートである。
【0016】
図7図7は、いくつかの実施形態による、バッテリの直接リサイクルにおける化学処理および分離のためのシステムを図示する。
【0017】
図8図8A-8Cは、いくつかの実施形態による、バッテリの拡張可能な直接リサイクル中のリチウム平衡プロセスを図示する。
【0018】
図9図9A-9Cは、いくつかの実施形態による、シート形態における電極のリチウム平衡プロセスを図示する。
【0019】
図10A図10Aおよび10Bは、いくつかの実施形態による、再リチウム化の方法を図示する。
図10B図10Aおよび10Bは、いくつかの実施形態による、再リチウム化の方法を図示する。
【0020】
図11図11は、いくつかの実施形態による、バッテリの直接リサイクルにおける化学処理および分離の方法を図示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
リチウムイオンバッテリに関連付けられる短所に対処するために、リチウムイオンバッテリのリサイクルが、総耐用年数エネルギー消費、バッテリ材料需要、および製造コストを減少させるために採用されることができる。例えば、バッテリ生産の際、鍛造アルミニウムおよびカソード材料が、典型的に、それぞれ、工場での原材料入手から製品出荷までのエネルギー消費または温室効果ガス(GHG)放出量の約半分および10%~14%を占有する。アルミニウムおよびカソード材料をリサイクルすることは、したがって、バッテリ生産のエネルギー消費およびGHG放出量を有意に低減させることができる。
【0022】
バッテリのリサイクルは、少なくとも3つのアプローチを介して実装されることができる:精錬リサイクル、湿式冶金リサイクル、および直接リサイクル。精錬バッテリリサイクルでは、耐用年数を終えたバッテリは、直接、溶鉱炉の底部から、典型的に、合金の形態におけるCo、Ni、およびCu等の貴重な金属を回収するために精錬される。浸出プロセスが、通常、回収された金属を分離させるために実施される。
【0023】
精錬は、LiCoO、LiMn、およびLiNiMnCo(x+y+z=1)を含むいくつかのタイプのカソード材料からいくつかの元素(例えば、Co、Mn、Ni等)を経済的に回収するために採用されることができる。いくつかの実施形態において、x、y、またはzのうちの任意の1つは、ゼロであり得る。しかしながら、LFMPバッテリから回収される金属は、あまり貴重ではないので、精錬を介して、M=Mn、Ni、Co、V、または金属元素、またはいくつかの金属元素(LFMP)カソードの組み合わせであるLiFe1-tPOをリサイクルすることは、概して、経済的に有利ではない。加えて、精錬の際のリチウムおよびアルミニウムは、通常、最終的にスラグとなる。広範かつコストがかかる処理が、それらが新しいバッテリを構築するために使用され得る前、典型的に、金属を分離するために行われる。さらに、精錬プロセス自体は、多くの場合、広範な廃棄ガスを発生させ、それによって、後続廃棄物処置に起因して、全体的コストを増加させる。
【0024】
湿式冶金リサイクルプロセスは、さらなる処理の前、バッテリ成分を分離および/または隔離する。このアプローチは、Ni-MHバッテリをリサイクルするためにも適用可能である。リチウムイオンバッテリに関して、リチウムは、最終的に、LiCOとして回収され、Co、Ni、およびAl等の他の主要な材料も、回収されることができる。Ni-MHバッテリに関して、希土類およびニッケルが、回収されることができる。湿式冶金リサイクルは、高温および高体積を伴わないので、そのようなアプローチは、バッテリカソード材料の形態素を変化させ、それによって、カソード材料を、さらなる処理を伴わずに、再使用のために好適ではないものにする。湿式冶金リサイクルについてのさらなる情報は、「Reintroduction of lithium into recycled battery materials」と題された米国特許第8,846,225号(参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に見出されることができる。
【0025】
バッテリの直接リサイクルは、上で説明される2つのアプローチと比較して、貴重なカソード材料、およびアノード材料、集電体、結合剤、および電解質を回収することができる。アプローチは、低温プロセスのみを含み、貴重な材料の構造、形態素、および電気化学性質を保存することができる。直接リサイクルのいくつかの方法は、電極材料を回収する前、バッテリを個々の構成要素に物理的に分解することを含む。例えば、バッテリのカソード、アノード、およびセパレータが、アノード/カソード材料が、化学処理を介して回収され得る前に分離され得る。バッテリのそのような物理的分離は、通常、時間がかかり、バッテリを大規模にリサイクルすることを困難にし得る。
【0026】
直接リサイクルの効率を増加させ、直接リサイクルを産業レベルに拡張するために、本明細書に説明される方法およびシステムは、電極材料回収前、カソードをアノードから物理的に分離せずに、バッテリをリサイクルし得る拡張可能な直接リサイクル技法を採用する。本技法において、バッテリは、最初に、それぞれ、アノード区分と、カソード区分と、セパレータと、電解質とを含むより小さい部片(コア区分とも称される)に処理される。このプロセスは、例えば、パンチ機械(例えば、下記の図4A-4D参照)を介して、大規模に実施されることができる。
【0027】
個々の部片は、次いで、溶媒中で化学処理を受け、それは、電極材料を対応する集電体に接合し、コア区分からカソード材料の混合物(通常、また、コア区分からのアノード材料を含む)を生産する結合剤を溶解させることができる。溶媒および電解質はまた、イオン伝導性媒体を形成し、それは、混合物内のカソード材料中の活性元素(例えば、リチウム、陽子、および/またはヒドロキシル)の輸送を促進することができる。この輸送は、カソード材料中の活性元素の分布を実質的に均質化することができる。化学処理からのカソード材料は、通常、活性元素の比率に欠乏している(例えば、リチウム欠乏)。しかしながら、そのような欠乏は、活性元素の分布がカソード材料中で均一である限り、さらなる処理(例えば、再リチウム化)が、活性元素を補充し、バッテリグレードカソード材料を生産するために容易に実施され得るため、リサイクル技法の全体的効率に影響を及ぼさない。
【0028】
本明細書に説明される技法における各ステップは、容易に拡張され得るため、リサイクルプロセス全体はまた、大規模で実装されることができる。加えて、化学処理中の活性元素の輸送は、異なる電荷の状態におけるバッテリの同時リサイクルを可能にし、それによって、ある他のリサイクル技法における、電荷の状態を決定する、コストがかかり、時間がかかるステップを避ける。
【0029】
図1は、いくつかの実施形態による、バッテリのカソード材料をリサイクルする方法100を図示するフローチャートである。典型的に、バッテリのコストは、バッテリ構成要素材料(例えば、約50%以上)のコストに左右され、それは、次に、カソード材料のコストに左右される。例えば、バッテリ内のカソード材料は、同一バッテリ内の他の成分元素の約2~4倍も貴重であり得る。したがって、方法100を介してカソード材料をリサイクルすることは、コスト節約に有意な寄与を果たし得る。
【0030】
方法100は、110において、1つ以上のバッテリを、それぞれ、アノード区分と、カソード材料を含むカソード区分と、アノード区分とカソード区分との間に配置されたセパレータ区分と、電解質とを含む複数のコア区分に処理することを含む。各コア区分はまた、アノード区分に結合された第1の集電体区分、およびカソード区分に結合された第2の集電体区分等の集電体区分を含むことができる。換言すると、110における処理は、各バッテリ構成要素(例えば、アノード、カソード、セパレータ、および集電体)を複数の部片に変換する。
【0031】
いくつかの実施形態において、各コア区分は、1つのアノード区分と、1つのカソード区分とを含む。いくつかの実施形態において、各コア区分は、複数のアノード区分と、複数のカソード区分とを含むことができる。例えば、バッテリは、ゼリーロール構造体を有することができ、110における処理は、バッテリを円柱の側壁と垂直に切断することができる(例えば、図5A参照)。結果として、110における処理からの各コア区分も、アノードおよびカソードの複数の層を有するゼリーロールを含む。別の例において、バッテリは、バッテリセルのスタックを含む角柱構造体を有することができ、各スタックは、アノードと、カソードと、セパレータとを含む(例えば、図5B参照)。110における処理は、スタックの深度に沿って、バッテリを切断し、それによって、アノード/カソード/セパレータの組み合わせの複数の層を含むコア区分を生産することができる。したがって、方法100は、バッテリの構造体にかかわらず、実装され、実践においてより大きな柔軟性を実証し得る。
【0032】
いくつかの実施形態において、カソード区分および/またはアノード区分は、活性材料、伝導性材料(例えば、伝導性炭素)、結合剤、および集電体のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態において、各コア区分は、アノード区分、カソード区分、セパレータ、または電解質のうちの少なくとも1つを含むことができる。いくつかの実施形態において、各コア区分は、カソード区分のみを含むことができる。いくつかの実施形態において、各コア区分は、アノード区分のみを含むことができる。いくつかの実施形態において、各コア区分は、(1)電解質と、(2)カソード区分またはアノード区分のいずれかとのみを含むことができる。いくつかの実施形態において、各コア区分は、(1)電解質と、(2)セパレータと、(3)カソード区分またはアノード区分のいずれかとのみを含むことができる。いくつかの実施形態において、各コア区分は、加えて、バッテリパッケージング材料を含むことができる。
【0033】
いくつかの実施形態において、110における処理は、少なくとも1つのバッテリを切断することに先立って、少なくとも1つのバッテリを変形させ、複数のコア区分への少なくとも1つのバッテリの切断を促進することを含む。例えば、ゼリーロール構造体を伴うバッテリは、変形されたバッテリを作成するように、切断に先立って、切断方向に圧縮されることができる。切断方向に変形されたバッテリの厚さは、類似サイズの角柱バッテリの厚さに類似することができる。結果として、バッテリ毎の切断方向における類似厚は、複数のバッテリの同時切断を促進し、それによって、処理効率を改良する。
【0034】
方法100はまた、120において、カソード材料の混合物をコア区分から生産するように、コア区分を溶媒の中に配置することを含む、すなわち、異なるコア区分からのカソード材料は、一緒に混合し、混合物を形成する。混合物は、アノード材料、結合剤、セパレータ、および集電体等の他の材料も含むことができる。しかしながら、例証目的のために、本明細書における説明は、カソード材料に焦点を当てる。カソード材料を他の材料から分離することについてのさらなる詳細は、図6および7を参照して下記に見出されることができる。溶媒および電解質は、イオン伝導性媒体を形成し、カソード材料の混合物は、イオン伝導性媒体によって促進される混合物中の活性元素(またはそのイオン)の輸送に起因する、カソード材料中の活性元素の実質的に均質な分布によって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、イオン伝導性媒体はまた、電子に対して伝導性である。
【0035】
方法100は、種々のタイプのカソード材料を回収するために実装されることができる。いくつかの実施形態において、カソード材料は、LiCoO等のコバルトが豊富な材料を含むことができる。いくつかの実施形態において、カソード材料は、LiNiMnCo(x+y+z=1)、またはより一般的形式では、LiNiMnCo(A=Al、Zr、Mg等であり、a+b+c+d=1)等のニッケルが豊富な材料を含むことができる。いくつかの実施形態において、カソード材料は、LiMn等のL-M-O系を含むことができる。いくつかの実施形態において、カソード材料は、LiFe1-tPOを含むことができる。
【0036】
いくつかの実施形態において、カソード材料は、第2の材料によってコーティングされた第1の材料を含むことができる。例えば、カソード材料は、AlでコーティングされたLiCoOを含むことができる。いくつかの実施形態において、カソード材料は、第2の材料(ドーパントとも称される)でドープされた第1の材料(ホスト材料とも称される)を含むことができる。例えば、カソード材料は、LiMn2-xAl4-yを含むことができる。当技術分野において公知の任意の他の適切なカソード材料も、本明細書で使用されることができる。
【0037】
いくつかの実施形態において、バッテリのカソードは、本明細書に説明されるカソード材料のいずれかから作製され、炭素および結合剤(例えば、ポリフッ化ビニリデンまたはPVDF)と混合されたフィルムを含む。フィルムは、次いで、集電体(例えば、アルミニウムまたは銅)上に配置されることができる。耐用年数を終えたバッテリでは、カソード材料は、活性元素(例えば、リチウム)が枯渇している可能性がある。LiCoOを例として使用すると、カソード材料は、LiCoO(xは、1未満である(すなわち、x<1))として示され得る。別の例において、カソード材料は、LiNiMnCo(A=Al、Zr、Mg等であり、a+b+c+d=1)を含むことができ、耐用年数を終えたバッテリでは、カソード材料は、LiNiMnCo(xは、1未満である)として示され得る。
【0038】
バッテリ内のアノード区分のアノード材料も、種々のオプションを有することができる。いくつかの実施形態において、アノード材料は、黒鉛を含む。いくつかの実施形態において、アノード材料は、スズ、スズ-コバルト合金、シリコン、または酸化ケイ素を含む。いくつかの実施形態において、アノード材料は、LiTi12を含む。いくつかの実施形態において、バッテリのアノードは、結合剤(例えば、PVDF)と混合された黒鉛から形成され、アノード集電体(例えば、銅またはアルミニウム)上に配置されることができる。
【0039】
いくつかの実施形態において、バッテリ内の電解質は、リチウムベースの塩を有機溶媒中に含むことができる。リチウムベースの塩は、例えば、LiPFであることができる。有機溶媒は、例えば、炭酸エチレン(EC)、ジメチル炭酸(DMC)、エチルメチル炭酸(EMC)、炭酸ジエチル(DEC)、炭酸プロピレン(PC)、および/またはその組み合わせを含むことができる。
【0040】
方法100において使用される溶媒は、電極(カソードおよびアノードを含む)内の結合剤を溶解させるように構成され、さらに、イオン伝導性媒体を電解質と形成するように構成される。いくつかの実施形態において、溶媒は、PVDF等の結合剤を溶解し得る極性溶媒を含むことができる。そのような極性溶媒の例は、とりわけ、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N-メチル-2-ピロリデン(NMP)、およびジメチルアセトアミド(DMAc)を含むことができる。いくつかの実施形態において、溶媒は、水溶性結合剤を溶解し得る水を含むことができる。そのような結合剤の例は、とりわけ、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)およびカルボキシメチルセルロース(CMC)を含むことができる。
【0041】
方法100のステップ110における1つ以上のバッテリは、種々の技法を介して、複数のコア区分に処理されることができる。いくつかの実施形態において、パンチ機械が、バッテリを部片に切断するために採用されることができる(例えば、図4A-4D参照)。いくつかの実施形態において、バッテリは、レーザカッタを介して、切断されることができる。いくつかの実施形態において、バッテリは、ウォータージェットカッタを介して、切断されることができる。
【0042】
いくつかの実施形態において、110における処理は、回転式切断ホイールを用いて実施される。いくつかの実施形態において、110における処理は、フライナイフまたは鋸断ブレードを用いて実施され、それは、各コア区分のスタックの深度と垂直方向に沿って移動する。
【0043】
方法100を介してリサイクルされるべき各バッテリは、任意の適切な数のコア区分に処理されることができる。一方では、各バッテリから生産されるコア区分の数を増加させることは、各コア区分と溶媒の接触面積(または接触面積対体積の比率)を増加させ得る。他方では、バッテリをあまりに多くの部片に切断することは、望ましくない残骸および不純物を導入し得る。各バッテリから生産されるコア区分の数はまた、バッテリの寸法に依存し得る(例えば、より多数のコア区分は、より大きいバッテリから生産されることができる)。いくつかの実施形態において、各バッテリから生産されるコア区分の数は、約2~約50であることができる(例えば、約2、約3、約5、約10、約20、約30、約40、または約50であり、それらの間の任意の値および下位範囲を含む)。
【0044】
方法100におけるステップ120から生産されるカソード材料は、活性元素の実質的に均質な分布によって特徴付けられる。本明細書で使用されるように、活性元素の実質的に均質な分布は、カソード材料を形成する化合物中の活性元素の原子比率が、実質的に同一である状況を指す。例えば、カソード材料は、LiCoO、(xは、1に等しい)(例えば、完全にリチウム化される)または1未満(すなわち、リチウムが欠乏している)を含むことができ、ステップ120後に生産されるカソード材料中のLiCoOの異なる分子は、実質的に同一xを有する。
【0045】
いくつかの実施形態において、活性元素の均質分布は、原子比率分布の標準偏差によって特徴付けられることができる。例えば、カソード材料は、LiCoOを含むことができ、xの標準偏差は、0.1に実質的に等しいかまたはそれ未満(例えば、約0.1、約0.09、約0.08、約0.07、約0.06、約0.05、またはそれ未満であり、それらの間の任意の値および下位範囲を含む)であることができる。いくつかの実施形態において、xの平均値は、xとして示されることができ、各LiCoO分子中のxは、活性元素の均質分布を形成するように、x内で約10%(約10%、約9%、約8%、約7%、約6%、約5%、約4%、約3%、約2%、約1%、またはそれ未満であり、それらの間の任意の値および下位範囲を含む)、すなわち、0.9x~1.1xであることができる。上記の定義は、同様に、本明細書に説明される任意の他のカソード材料にも適用されることができる。
【0046】
カソード材料中の活性元素の分布を実験的に推定するために、少なくとも2つの方法が、採用されることができる。いくつかの実施形態において、混合物中の異なる場所におけるカソード材料が、サンプリングされ、例えば、誘導結合プラズマ原子放出分光法(ICP-AES)を使用して特性評価され、活性元素の原子比率を測定することができる。いくつかの実施形態において、X線断層撮影が、個々の粒子の活性元素均質性をマイクロスケールで測定するために採用されることができる。
【0047】
いくつかの実施形態において、方法100は、異なる電荷の状態を有するバッテリを一括リサイクルするために採用されることができる。例えば、バッテリは、第1の電荷の状態における第1のバッテリと、第2の電荷の状態を有する第2のバッテリとを含むことができる。ステップ120後、これらの異なるバッテリからのカソード材料は、一緒に混合され、混合物を形成し、ステップ120中に生じる輸送プロセスが、活性元素(例えば、Li)の分布を実質的に均質化することができる。ステップ120後のカソード材料は、次いで、再リチウム化され、バッテリグレードカソード材料を形成することができる。
【0048】
いくつかの実施形態において、方法100は、活性元素中に異なる欠乏度を有するバッテリを一括処理するために採用されることができる。例えば、バッテリは、Lix1CoOとして示される、第1のカソード材料を有する第1のバッテリと、Lix2CoO(x1は、x2と異なる)として示される第2のカソード材料を有する第2のバッテリとを含むことができる。方法100は、リチウム(例えば、Lix3CoO(x3は、x1およびx2と異なる)の均質分布を有する第1のカソード材料および第2のカソード材料の混合物をもたらし、後続再リチウム化のためにカソード材料を調製することができる。
【0049】
いくつかの実施形態において、活性元素の不均質性は、リサイクル前、単一バッテリ内で生じ得る。これらの事例において、異なるコア区分からのカソード材料は、活性元素中に異なる欠乏度を有し得、方法100は、活性元素分布を実質的に均質化し、後続再リチウム化のためにカソード材料を調製することができる。
【0050】
いくつかの実施形態において、ステップ120の間の活性元素の輸送は、溶媒および電解質によって形成されたイオン伝導性媒体中の1つ以上の添加剤によって改良されることができる。いくつかの実施形態において、添加剤は、コア区分のアノード区分からの伝導性炭素を含むことができる。これらの事例において、アノード区分は、黒鉛を含むことができる。いくつかの実施形態において、添加剤は、溶媒の中に添加される伝導性炭素を含むことができる。例えば、炭素粉末が、結果として生じるイオン伝導性媒体の伝導性を増加させるように、溶媒に添加されることができる。いくつかの実施形態において、添加剤は、媒体のイオン伝導性を改良するために溶媒に添加される、リチウム塩を含むことができる。
【0051】
いくつかの実施形態において、ステップ120の間の活性元素の輸送は、超音波混合によって改良されることができる。これらの事例において、超音波変換器が、輸送効率を増加させるように、超音波をイオン伝導性媒体を含む容器の中に送達するために採用されることができる。
【0052】
いくつかの実施形態において、方法100は、イオン伝導性媒体を攪拌することをさらに含むことができる。一例において、揺動プラットフォームが、輸送効率を増加させるように、イオン伝導性媒体を含む容器を保持し、容器に揺動運動を生じさせるために採用されることができる。別の例において、1つ以上のインペラまたはブレードが、イオン伝導性媒体を含む容器に結合され、イオン伝導性媒体を攪拌するように構成されることができる。
【0053】
いくつかの実施形態において、方法100はさらに、輸送効率を増加させるように、イオン伝導性媒体の温度を増加させることを含むことができる。例えば、加熱器が、イオン伝導性媒体を加熱するように、イオン伝導性媒体を含む容器に結合されることができる。いくつかの実施形態において、本明細書に説明される、輸送効率を改良する技法の任意の組み合わせが、採用されることができる。いくつかの実施形態において、方法100は、電解質、アノード材料、カソード材料、および汚染物質(例えば、溶解された電極結合剤)の濃度を制御するために、溶媒の除去および補充をさらに含むことができる。
【0054】
いくつかの実施形態において、方法100は、電気化学プロセスを伴わずに、実装されることができる。本明細書で使用されるように、電気化学プロセスは、電流の通過によって生じ、またはそれに付随し、2つの物質間の電子の移送を伴うプロセスを指す。これらの事例において、方法100は、活性元素の均質分布を有するカソード材料を調製するために採用され、これらのカソード材料は、大規模に活性元素でさらに補充されることができる。
【0055】
いくつかの実施形態において、カソード材料の混合物は、アノード材料、集電体、およびセパレータ等の他の構成要素をさらに含む。これらの事例において、カソード材料は、さらなる処理(例えば、再リチウム化)のために、混合物から抽出されることができる。いくつかの実施形態において、カソード材料(例えば、リチウム含有化合物)およびアノード材料(例えば、黒鉛等の炭素ベースの材料)は、異なる密度を有し、したがって、それらは、密度ベースの分離プロセス(例えば、遠心分離)を使用して、互いに分離されることができる。例えば、アノード活性材料は、約2g/ccの密度を有する黒鉛を含むことができ、カソード材料は、約4~5g/ccの密度を有する金属酸化物を含むことができる。そのような密度差異は、密度ベースの分離プロセスが、均一であるが、非化学量論的量のリチウムを有するカソード活性材料をもたらすことを可能にする。
【0056】
いくつかの実施形態において、他の構成要素からのカソード材料の分離は、濾過技法を備えている。これらの事例において、カソード材料は、他の構成要素のいくつかと異なる粒子サイズを有する。例えば、濾過技法は、異なる細孔サイズの1つ以上の篩を使用した、1つ以上の篩分ステップを含むことができる。いくつかの実施形態において、濾過技法は、粒子の凝集を破壊するための超音波変換器の使用を含む。いくつかの実施形態において、超音波変換器は、カソード材料を混合物の他の構成要素から分離するために使用される。例えば、カソード材料は、そのような超音波変換器を使用して、集電体またはセパレータから物理的に分離され得る。集電体、セパレータ、または他のより大きい部片は、バスケットまたは他の濾過デバイスを使用して濾過されることができる。
【0057】
いくつかの実施形態において、カソード材料の分離プロセスは、溶媒中で実施されることができる。いくつかの実施形態において、溶媒は、水である。他の実施形態において、溶媒は、限定ではないが、DMF、NMP、エタノール、メタノール、イソプロパノール、アセトン、EC、DMC、EMC、DEC、およびPCを含む、有機溶媒である。いくつかの実施形態において、添加剤が、分離プロセスを促進するために添加され得る。いくつかの実施形態において、添加剤は、溶液のpHを変化させる。いくつかの実施形態において、添加剤は、溶液のpHを上昇させる。いくつかの実施形態において、添加剤は、LiOH、NaOH、または類似添加剤である。いくつかの実施形態において、溶媒は、分離の率または有効性を増加させるために加熱され得る。
【0058】
いくつかの実施形態において、カソード材料の分離プロセスは、溶解技法を含む。カソード材料、アノード材料、集電体、電解質、および/またはセパレータの混合物中のある構成要素は、優先的に、溶媒中で溶解し得る。これらの構成要素は、溶解され、混合物の残りから分離されることができる。例えば、アンモニアの溶液が、Cuおよび/またはAl集電体または他の構成要素を混合物から溶解および除去するために使用されることができる。別の例において、水中のLiOH、NaOH、または類似添加剤の溶液が、Al集電体または他の構成要素を混合物から分離するために使用され得る。いくつかの実施形態において、混合物は、分離の率または有効性を増加させるために加熱され得る。
【0059】
いくつかの実施形態において、他の構成要素からのカソード材料の分離は、疎水性分離技法(浮選分離または泡沫浮選とも称される)を介して、行われることができる。浮選分離は、他の材料の疎水性を促進する促進剤(例えば、灯油)および発泡剤(例えば、長鎖アルコール、4-メチル-2-ペンタノール、マツ油)と混合される溶媒(例えば、水等の極性溶媒)を使用する。促進剤は、優先的に、疎水性である構成要素に結合する。溶媒は、主に、促進剤、発泡剤、および疎水性構成要素から成る泡沫を生産するように空気混入される。泡沫は、掻爬または他の表面収集機構を介して、溶液から分離される。親水性構成要素が、次いで、溶液から別個に収集される。これらの事例において、カソード材料は、他の構成要素のいくつかと異なる疎水性レベルを有する。例えば、LiCoO等のカソード材料は、親水性である傾向にある一方、黒鉛等のいくつかのアノード材料は、疎水性である傾向にある。したがって、アノード材料は、泡沫から除去されることができ、カソード材料は、泡沫の下層の溶液から収集される。いくつかの実施形態において、pH調整剤(例えば、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸リチウム、および水酸化リチウム)、解膠剤、および抑制剤(ある化合物の親水性を増加させるために使用される、例えば、石灰、シアン化ナトリウム、およびデキストリン)等の他の添加剤も、分離をさらに促進するために使用され得る。
【0060】
いくつかの実施形態において、他の構成要素からのカソード材料の分離は、加熱技法を介して行われることができる。加熱技法(熱処理とも称される)は、混合物のある構成要素の分解または水蒸気化を促進するように、カソード材料および他の構成要素の混合物を温度まで加熱することを含む。いくつかの実施形態において、ある構成要素の分解は、1つ以上のガス状化合物へである。例えば、混合物をある温度(例えば、摂氏400度)以上加熱することは、結合剤(例えば、PVDF)、電解質(例えば、EC、DMC、EMC、DEC、およびPC)、溶媒(他の分離プロセスまたは方法100のステップ120において使用されるそれらの溶媒等)、および/またはセパレータ(例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレン)を分解または水蒸気化することができる。そのような分解または水蒸気化は、ガス状化合物を形成することができ、それは、液体混合物から分離されることができる。いくつかの実施形態において、混合物は、摂氏約400、500、600、700、または800度以上の温度まで加熱される。いくつかの実施形態において、混合物は、空気中で加熱される。いくつかの実施形態において、混合物は、比較的に不活性または中性大気(例えば、N、Ar、He等)中で加熱される。いくつかの実施形態において、混合物は、還元雰囲気(例えば、CO/CO、HinN、Ar、またはHO)中で加熱される。
【0061】
いくつかの実施形態において、他の構成要素からのカソード材料の分離は、渦電流技法を介して、行われることができる。渦電流技法は、カソード材料および他の構成要素の混合物を1つ以上の回転磁気材料に輸送する、運搬システムを使用する。回転磁気材料は、カソード材料および他の構成要素の混合物を異なる磁化レベルに磁化させる、誘導場を作成する。カソード材料および他の構成要素の混合物は、次いで、電子伝導性と密度の構成要素の比率に応じて、異なる構成要素を異なる程度に誘引または反発のいずれかを行う、強磁石によって、異なる場所に吐出される。これらの事例において、カソード材料は、他の構成要素と異なる電子伝導性と密度の比率を有し、したがって、他の構成要素の場所と別個の場所に吐出される。
【0062】
いくつかの実施形態において、方法100は、バッテリを、それらを複数のコア区分に処理する前、非活性化することをさらに含むことができる。いくつかの実施形態において、非活性化は、各バッテリの正および負の電極の両方が伝導性粉末と電気接触するように、バッテリを伝導性粉末の中に配置することによって行われることができる(例えば、下記の図3A参照)。いくつかの実施形態において、非活性化は、各バッテリの正および負の電極の両方が伝導性流体と電気接触するように、バッテリを伝導性流体の中に配置することによって行われることができる。結果として、バッテリは、放電される。いくつかの実施形態において、伝導性流体は、伝導性粉末と、溶媒とを含むことができる。いくつかの実施形態において、伝導性粉末は、使用中、溶媒中に懸濁されることができる。伝導性粉末は、例えば、炭素、金属、導電性酸化物、または任意の他の適切な伝導性材料を含むことができる。溶媒は、例えば、シリコーン油、調理油、エチレングリコール、または任意の他の適切な溶媒を含むことができる。
【0063】
いくつかの実施形態において、溶媒は、水を含む。いくつかの実施形態において、緩衝剤または他のpH調節添加剤等の添加剤が、水性溶媒に添加されることができる。添加剤は、水性溶媒のpHを上昇させ、腐食を抑制することができる。加えて、溶媒の塩基性は、バッテリによって放出され得る酸性または酸形成化合物を中和することができる。いくつかの実施形態において、バッテリは、伝導性粉末またはスラリー中に完全に浸水されることができる。
【0064】
放電率は、通常、伝導性粉末の伝導性(または抵抗率)に依存する。したがって、異なる伝導性粉末が、放電率を調節するために使用されることができる。いくつかの実施形態において、伝導性粉末は、金属(例えば、アルミニウム粉末、鉄粉末、銅粉末、ステンレス鋼粉末等)を含む。いくつかの実施形態において、伝導性粉末は、炭素(例えば、黒鉛粉末、カーボンブラックナノ粉末、またはカーボンナノチューブ等)を含む。いくつかの実施形態において、伝導性粉末は、導電性酸化物(例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、ZnO、In、SnO、ニッケル酸化物、および酸化マンガン等)を含む。いくつかの実施形態において、伝導性粉末の性質(例えば、導電性または充塞密度)は、非伝導性または伝導性液体の組み込みによって、伝導性を調節するように修正されることができる。いくつかの実施形態において、伝導性粉末は、本明細書に説明される材料の任意の組み合わせを含むことができる。
【0065】
いくつかの実施形態において、伝導性粉末は、使用されている溶媒とのその親和性を増加させるようにさらに修正されることができる。例えば、水性溶媒では、炭素ベースの伝導性粉末は、酸化または分極され、水性溶媒中により均一に分散するあまり疎水性ではない化合物を形成することができる。伝導性粉末のこのより均一な分布は、溶液の伝導性を増加させることができる。
【0066】
いくつかの実施形態において、非活性化は、本明細書に説明される伝導性流体を使用して行われる。これらの事例において、伝導性流体の(かつ放電率に従う)伝導性は、粘度、伝導性流体中の伝導性粉末の濃度、および/または溶媒材料によって、調節されることができる。例えば、電子伝導性は、プラトーに到達するまで、粘度の増加に関して増加することができる。イオン伝導性はまた、その後イオン伝導性が減少を開始する偏向点に到達するまで、粘度の増加に関して増加することができる。
【0067】
いくつかの実施形態において、方法100は、バッテリを複数のコア区分に処理する前、バッテリの放電の状態を推定することをさらに含むことができる。いくつかの実施形態において、推定は、方法100におけるステップ110での安全な解体を可能にするように、バッテリが完全に放電されたかどうかを決定するために実施される。これらの事例において、伝導性釘が、バッテリを通して突き刺すために採用されることができる(例えば、下記の図3B参照)。バッテリが、そのような試験に合格する場合(例えば、煙または火災を伴わずに)、バッテリは、次いで、複数のコア区分に処理される。しかしながら、バッテリが、試験に合格しない場合、バッテリは、危険制御のために、塩水の中に配置され、さらに放電されることができる。
【0068】
いくつかの実施形態において、放電の状態の推定は、電圧測定技法を使用して実施される。いくつかの実施形態において、電圧測定技法は、放電媒体全体を通した伝導性プローブの設置を含む。バッテリの放電の状態は、有限元素分析または他の適切な方法を使用して各プローブにおいて測定された電圧から推定されることができる。他の実施形態において、電圧測定技法は、バッテリの放電の状態を推定するために、非接触電圧走査ツールを備えている。
【0069】
いくつかの実施形態において、放電の状態の推定は、電流測定技法を使用して実施される。放電の状態の変化は、電流と相関することができる。いくつかの実施形態において、ホール効果センサが、放電の状態を推定するために使用される。
【0070】
方法100の上記の説明は、主に、例証目的のためだけに、リチウムイオンバッテリを例として使用する。実践では、方法100は、任意の他の適切なタイプのエネルギー貯蔵デバイスをリサイクルするために採用されることができる。例えば、方法100は、リチウムイオンコンデンサおよびスーパーコンデンサ(超コンデンサとも称される)を含むコンデンサをリサイクルするために採用されることができる。
【0071】
図2は、いくつかの実施形態による、バッテリの拡張可能な直接リサイクルの方法200を図示するフローチャートである。方法200は、210において、バッテリの後続処理中、安全性を確実にするように、バッテリ(例えば、耐用年数を終えたバッテリ、および/または瑕疵バッテリ製品)を非活性化することを含む。非活性化は、バッテリを短絡させ、バッテリを完全に放電させる(例えば、本明細書に説明されるように伝導性粉末または流体を使用して)ことによって、達成されることができる。バッテリ構成要素廃棄物(例えば、瑕疵電極シート、残留スラリー)に関して、これらの廃棄物のリサイクルは、220または230から開始することができる。
【0072】
210の前または後に、バッテリは、元素分析ツール(例えば、X線蛍光)によって、カソード材料別にソートされることができる。カソード材料中の元素は、パウチカバーを撤去することの有無にかかわらず、識別されることができる。同一カソード材料を伴うバッテリは、さらなる処理のために、ともに群化されることができる。
【0073】
方法200はまた、220において、バッテリの物理的分解を含む。いくつかの実施形態において、バッテリは、角柱バッテリセルを含み、これらのセルのパウチは、220において、切断および除去される。いくつかの実施形態において、バッテリは、円筒形セルを含み、これらのバッテリのケースは、220において、切断および除去される。加えて、各バッテリはまた、複数のコア区分に処理され、そのような処理は、本明細書に説明される方法100におけるステップ110に実質的に類似することができる。いくつかの実施形態において、各コア区分は、少なくとも、アノード区分と、カソード区分と、その間に配置されたセパレータとを含む。ステップ220の出力は、(1)収集される、パウチおよび/またはケース材料と、(2)後続処理のためのコア区分とを含む。
【0074】
220からのコア区分は、次いで、230において処理され、それは、化学処理および分離を含む。このステップでは、コア区分は、集電体、カソード材料、アノード材料、電解質、およびセパレータの混合物から生じる電極の結合剤を溶解させる溶媒中に配置される。カソード材料の活性元素は、230の間に実質的均質化される(本明細書に説明される方法100におけるステップ120に類似する)。均質化されたカソード材料は、遠心プロセスを介して、抽出されることができる。金属部品(例えば、AlまたはCu集電体)、セパレータ、および電解質も、分離およびリサイクルされることができる。化学処理および分離プロセスのさらなる詳細は、図6および7を参照して下記に提供される。
【0075】
240では、カソード材料は、バッテリグレードカソード材料を生産するように処理される。本明細書に説明されるように、230から生産されるカソード材料は、通常、活性元素が欠乏しており、240における材料処理が、活性元素を補充するために採用される。例えば、リチウムイオンバッテリに関して、材料処理240は、カソード材料を再リチウム化することができる。材料処理のさらなる詳細は、下記に提供される(例えば、図10A-10B参照)。
【0076】
図3A-3Bは、それぞれ、いくつかの実施形態による、バッテリの非活性化および電荷状態推定を図示する。図3Aは、バッテリ330を非活性化する方法300を図示する。方法300では、正および負の電極に電気的に結合されたバッテリの2つのタブ335aおよび335b(2つの導線335aおよび335bとも称される)が、それぞれ、コンテナ310内に含まれる伝導性粉末320の中に配置される。伝導性粉末320は、バッテリ330を完全に放電させ、それによって、バッテリ330の後続処理中、安全性を確実にするように、バッテリ330を短絡させるように構成される。
【0077】
方法300における放電率は、伝導性粉末320の抵抗(または伝導性)に依存し得る。実践では、伝導性粉末320の抵抗は、粉末材料および/または粉末粒子サイズの選択によって、調節されることができる。換言すると、異なる粉末材料および/または粉末粒子サイズの使用は、バッテリ330の放電率を制御することができる。
【0078】
いくつかの実施形態において、伝導性粉末は、金属(例えば、アルミニウム粉末、鉄粉末、銅粉末、ステンレス鋼粉末等)を含む。いくつかの実施形態において、伝導性粉末は、炭素(例えば、黒鉛粉末、カーボンブラックナノ粉末、またはカーボンナノチューブ等)を含む。いくつかの実施形態において、伝導性粉末は、導電性酸化物(例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、ZnO、In、SnO、ニッケル酸化物、および酸化マンガン等)を含む。
【0079】
伝導性粉末320の粒子サイズは、例えば、約200nm~約1cm(例えば、約200nm、約300nm、約500nm、約1μm、約2μm、約3μm、約5μm、約10μm、約20μm、約30μm、約50μm、約100μm、約200μm、約300μm、約500μm、約1mm、約2mm、約3mm、約5mm、または約1cmであって、それらの間の任意の値および下位範囲を含む)であることができる。
【0080】
図3Aは、バッテリ330が、例証目的のためだけに、角柱構成を有することを示す。いくつかの実施形態において、バッテリ330は、円筒形構成等の任意の他の適切な構成を有することができる。これらの事例において、バッテリ330全体が、バッテリ330の2つの電極が伝導性粉末320を介して互いに電気接続するように、伝導性粉末320の中に浸漬されることができる。いくつかの実施形態において、方法300は、本非活性化のために、伝導性粉末320の代わりに、またはそれに加え、明細書に説明されるような伝導性流体を使用することができる。
【0081】
図3Bは、バッテリ330の放電状態を試験する方法301を図示する。方法301では、伝導性針350が、バッテリ330の電極の両方と電気接触するように、バッテリ330を通して穿刺するために採用される。いくつかの実施形態において、伝導性針350は、釘または任意の他の適切なツールによって置換されることができる。この穿刺プロセスは、図3Aに図示される非活性化方法300の安全性保証および品質制御として採用されることができる。いくつかの実施形態において、煙検出器またはガスセンサが、方法301の間、それぞれ、煙およびガスを検出するために採用される。非活性化300および/または放電状態試験301の間、バッテリ330が故障する場合、(例えば、バッテリ330が発火する)、故障したバッテリ300は、直ちに、液体(例えば、塩水)中に浸漬され、火災または煙を防止することができる。
【0082】
図4A-4Dは、いくつかの実施形態による、バッテリ470を複数のコア区分475に処理する方法400を図示する。方法400は、装置401を使用して実装され、それは、2つのばね420を介して基部430に結合されたダイ410と、2つの誘導柱450(誘導支柱450とも称される)に沿って移動可能である、パンチ440(カッタ440またはブレード440とも称される)とを含む。バッテリ470は、処理のために、ホルダ460上に設置される。いくつかの実施形態において、バッテリ470のパウチまたはケースは、バッテリ470がホルダ460上に設置される前に除去される。
【0083】
図4Aは、バッテリ470が、バッテリ470の少なくとも一部が、ダイ410の直上にあるように、ダイ410に向かって前進させられることを示す。このステップでは、ダイ410は、開放され、ばね420は、延長される(すなわち、圧縮されない)。いくつかの実施形態において、バッテリ470は、ダイ410に向かって手動で前進させられることができる。いくつかの実施形態において、コンベヤまたはプッシャ(図4Aに示されない)が、バッテリ470をパンチ440下に設置するために採用されることができる。
【0084】
図4Bは、パンチ440が、バッテリ470を切断するように、誘導柱450に沿って下に移動させることによって、バッテリ470に対して押圧されることを示す。いくつかの実施形態において、パンチ440は、バッテリ470に対して手動で押圧されることができる。いくつかの実施形態において、モータ(図4Aに示されない)が、パンチ440の運動を制御するために採用されることができる。いくつかの実施形態において、プッシャが、パンチのために、バッテリ470を押動させ、バッテリ470を徐々に前進させるために採用されることができる。このステップでは、ダイ410は、閉鎖され、ばね420は、圧縮される。
【0085】
図4Cでは、パンチ440は、上昇され、パンチ440の直下のバッテリ470の一部は、複数のコア区分475に切断される。シーケンスに配列される、5つのコア区分475が、図4Cに図示される。いくつかの実施形態において、パンチ440およびダイ410は、1回のパンチの際、バッテリ470を任意の他の数のコア区分に切断するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、パンチ440およびダイ410は、バッテリ470をコア区分475の2次元(2D)アレイに切断するように構成されることができる。
【0086】
図4Dでは、バッテリ475は、再び、前進させられ、前のパンチの間に生産されたコア区分475の収集を可能にする。加えて、前進はまた、処理の別の工程のために、バッテリ470の新しい部分をパンチ440下に設置する。このプロセスは、実質的にバッテリ470全体がコア区分に処理されるまで、継続することができる。
【0087】
図4A-4Dでは、1つのみのバッテリ470が、例証目的のためだけに示される。いくつかの実施形態において、バッテリ470は、複数のバッテリを含むことができる。パンチ440およびダイ410は、複数のバッテリ470をコア区分475の2Dアレイに切断するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、コア区分475は、図4Dに説明される方法を介して、除去されることができる。いくつかの実施形態において、ホルダ460は、切断後、コア区分475を別個の場所に解放するように開放され得るオリフィスを備えている。
【0088】
図5A-5Cは、いくつかの実施形態による、図4A-4Dに図示される方法を介して、複数のコア区分に処理され得るバッテリの概略を示す。図5Aは、円筒形構成を有するバッテリ501の概略を示す。バッテリ501は、少なくとも、アノード511と、カソード521と、その間に配置されたセパレータ531とを含む。アノード511、カソード521、およびセパレータ531のスタックは、次いで、ケース541(通常、金属ケース)内に含まれるゼリーロールに巻回され、それによって、円筒形構成をもたらす。方法400は、図5Aに図示されるように、AA線、またはA’A’線、または両方のいずれかに沿って、バッテリ501を切断するように実装されることができ、各結果として生じるコア区分は、カソード、アノード、およびセパレータの複数の巻きを含む、短縮されたゼリーロールを含むことができる。
【0089】
図5Bは、角柱ケース構成を有するバッテリ502の概略を示す。バッテリ502は、カソード512と、アノード522と、その間に配置されたセパレータ532とを含む。カソード512、アノード522、およびセパレータ532は、一緒にスタックされ、ケース542(通常、金属ケース)内に含まれ、それによって、角柱ケース構成を形成する、シート構造を形成する。方法400は、図5Bに図示されるように、BB線、またはB’B’線、または両方のいずれかに沿って、バッテリ502を切断するように実装されることができる。いくつかの実施形態において、バッテリ502は、マルチスタック構造を含むことができ、各スタックは、カソードと、アノードと、セパレータとを含む。結果として、方法400によって生産される各コア区分は、複数のカソード区分と、アノード区分と、セパレータ区分とを含む。いくつかの実施形態において、図5A-5Bに図示されるバッテリ501および502は、さらなる処理(例えば、パンチ)のために、外に押動され得るバッテリコアを暴露させるように、少なくとも一方の端部が切り広げられることができる。
【0090】
図5Cは、角柱パウチ構成を有するバッテリ503の概略を示す。バッテリ503は、カソード513と、アノード523と、その間に配置されたセパレータ533とを含む。カソード513、アノード523、およびセパレータ533は、一緒にスタックされ、パウチ543(通常、金属箔)内に含まれ、それによって、角柱パウチ構成を形成する、シート構造を形成する。方法400は、図5Cに図示されるように、CC線、またはC’C’線、または両方のいずれかに沿って、バッテリ503を切断するように実装されることができる。いくつかの実施形態において、バッテリ503は、マルチスタック構造を含むことができ、各スタックは、カソードと、アノードと、セパレータとを含む。結果として、方法400によって生産される各コア区分は、複数のカソード区分と、アノード区分と、セパレータ区分とを含む。
【0091】
図5A-5Cに図示されるようなAA、A’A’BB、B’B’、CC、およびC’C’の切断線は、バッテリ501-503の少なくとも1つの縁と略平行である。いくつかの実施形態において、任意の他の適切な切断線も、使用されることができる。例えば、バッテリ502および503の切断は、ケース/パウチの対角線に沿って生じることができる。
【0092】
図6は、いくつかの実施形態による、バッテリの直接リサイクルにおける、化学処理および分離の方法を図示するフローチャートである。方法600は、610において、バッテリから生産されるコア区分の超音波洗浄を含む。各コア区分は、少なくとも1つのアノード/カソード/セパレータアセンブリを含む。コア区分は、結合剤および電解質溶媒および電解質塩を溶解させる、溶媒の中に配置される。このステップでは、コア区分は、カソード/アノード材料(通常、粒子形態における)と、セパレータ部片と、集電体部片とを含む、個々の構成要素に分離される。これらの構成要素は、混合物中で一緒に混合される。
【0093】
方法600はまた、620において、分離機器(例えば、濾過器-混合器-乾燥器(FMD)および/またはバッチ遠心分離機または持続的に動作される傾瀉器等の遠心分離機タイプ機器)内のマルチステップ洗浄プロセスを介して、アノードおよびカソード材料の混合物を抽出することを含む。換言すると、このステップ中、アノードおよびカソード材料の混合物が、610において生産される混合物中の他の構成要素から分離される。アノードおよびカソード材料の混合物は、次いで、再リチウム化のために出される一方、構成要素の残り(例えば、結合剤、電解質塩等)は、さらなる分離を受ける。
【0094】
630では、蒸留カラムが、その個別の沸点に従って、マルチステップ洗浄620からの流出物の構成要素を分離するために使用される。流出物が、蒸留カラムを通して下に進行するにつれて、構成要素は、蒸発され、続いて、適切な凝縮温度で動作する、1つ以上の凝縮器によって凝縮される(640において)。凝縮器は、電解質溶媒(例えば、DMC)を抽出するように構成され、それは、次いで、施設外の溶媒回収会社に移すために収集される。溶媒回収システム(例えば、ステップ660参照)内に組み込まれ得る少なくとも1つの凝縮器は、適切な温度で動作し、蒸留カラムから退出する、洗浄溶媒水蒸気を凝縮する。この凝縮器から凝縮された洗浄溶媒は、他の動作(例えば、乾燥)から回収された溶媒と組み合わせられ、一次洗浄プロセス(例えば、620)に返される。蒸留カラムの底部から(例えば、ステップ630から)の液体流出物は、蒸発器内で蒸発され(650において)、水蒸気は、蒸留カラムを通して上に進行し、カラムを加熱し、水蒸気を個別の凝縮器に提供する。高沸点を伴う溶媒(例えば、ECおよびPC)が、固体(例えば、LiPF、PVDF、およびCMC)とともに、蒸発器から廃棄物流中に放出される。
【0095】
図7は、いくつかの実施形態による、バッテリの直接リサイクルの間の化学処理および分離のためのシステム700を図示する。化学処理および分離プロセスはさらに、3つの分離プロセス(すなわち、第1の分離プロセス、第2の分離プロセス、および第3の分離プロセス)と、それぞれ、一括構成または連続流動構成のいずれかにおいて実装され得る1つの溶媒回収プロセスとを含む。
【0096】
システム700は、バッテリのコア区分(例えば、図4A-4Dに図示される方法400によって生産される)を受け取るための洗浄設備712を含む。いくつかの実施形態において、洗浄設備712は、金属ワイヤバスケットを含む。いくつかの実施形態において、洗浄設備712は、穿孔されたバスケットを含む。任意の他の適切な設備も、使用されることができる。いくつかの実施形態において、各コア区分は、アノードシート(すなわち、銅集電体、活性アノード材料、およびアノード結合剤)、電解質充填セパレータ、およびカソードシート(すなわち、アルミニウム集電体、活性カソード材料、およびカソード結合剤)の複数の層を含む。
【0097】
システム700はまた、コア区分が装填される、洗浄設備712を受け取るための超音波洗浄機714を含む。超音波洗浄機714は、洗浄溶媒(例えば、N-メチル-2-ピロリデン、NMP、または水溶液等の有機溶媒)(本明細書では、洗浄溶媒とも称される)を含むように構成される。いくつかの実施形態において、超音波洗浄機714は、洗浄溶媒の上方に頭隙を画定し、頭隙は、不活性ガス(例えば、窒素)で充填されることができる。
【0098】
第1の分離プロセスは、超音波洗浄機714内で実装され、その中では、洗浄溶媒が、コア区分を懸濁させるようにプロペラまたは溶媒の流体噴流によって掻き混ぜられる。加えて、超音波変換器が、化学処理の効率を増加させるように、超音波を懸濁液の中に送達するために採用される。いくつかの実施形態において、超音波変換器は、超音波洗浄機714内に位置付けられることができる。いくつかの実施形態において、超音波変換器は、超音波洗浄機714の壁に隣接して位置することができる。
【0099】
掻混および超音波作用の結果として、コア区分は、構成要素に分離する。加えて、洗浄溶媒との超音波掻混は、アノードおよびカソード結合剤を溶解し、活性材料を集電体の表面から解放する。さらに、電解質溶媒(例えば、DMC、PC、およびEC)および電解質塩(例えば、LiPF)は、洗浄溶媒中に溶解する。超音波洗浄機714から出る懸濁液は、(1)アノードおよびカソードの両方からの微視的活性材料粒子と、(2)より大きいセパレータ部片と、(3)洗浄機から溢流し得る集電体材料のチップとを含む。これらの構成要素は全て、洗浄溶媒および電解質塩の混合物中に懸濁される。
【0100】
漉し器716が、システム700内で採用され、懸濁液を超音波洗浄機714から受け取る。漉し器716は、懸濁液が漉し器716を通過するとき、懸濁液中のセパレータ部片および残骸を除去するように構成される。ポンプ718(ダイヤフラムポンプ)が、漉し器716に動作可能に結合され、懸濁液を濾過器-混合器-乾燥器(FMD)720を通して押進させるように、十分な圧力を提供し、微視的活性材料は、懸濁液から分離される。いくつかの実施形態において、分離は、FMD720の代わりに、またはそれに加え、遠心機器によって達成されることができる。遠心機器は、例えば、傾瀉器を含むことができ、それは、材料の異なる密度に基づいて、混合物中の材料を分離し、異なる密度を伴う材料を異なる出口から外に放出させることができる。いくつかの実施形態において、分離は、液体中で混成させることによって、促進されることができる。例えば、混合物は、2つの固体材料を含むことができ、それぞれ、明確に異なる密度を有し、2つの固体材料の2つの密度間のある密度を有する、重い液体は、混合物の中に混成されることができる。重い液体の例は、とりわけ、ブロモホルム、テトラブロモエタン、ヨウ化メチレン、ポリタングステン酸ナトリウム、メタタングステン酸ナトリウム、およびメタタングステン酸リチウムを含むことができる。
【0101】
FMD720から出る濾過物は、洗浄機714の底部に位置するノズルを通して、洗浄機714に戻る。ノズルは、コア区分の掻混のための流体噴流を提供するように構成され得るか、または、掻混は、プロペラによって提供され得る。洗浄機714内の掻混および超超音波処理プロセスは、(1)コア区分の全てが、個々の構成要素に分離され、(2)カソード材料が、カソード集電体から除去され、(3)アノード材料が、アノード集電体から除去されるまで継続する。
【0102】
第1の分離プロセスは、一連の準対向流洗浄段階(例えば、3段階が、図示されるが、より多いまたはより少ない段階も、使用されることができる)において実施される。事前に規定された長さの時間後、洗浄機714は、FMD720から出る濾過物が、後続リサイクルのために第1の貯蔵タンク730a(R1)に方向転換されるにつれて、排水される。第1の洗浄段階では、FMD720は、後続洗浄段階から貯蔵される(タンクW2から供給される)濾過物で再充填され、それは、超音波洗浄機714からの液体より低い溶解された固体の濃度を有する。FMD720内の材料は、懸濁液中で掻き混ぜられ、事前に規定された長さの時間後、FMD720は、再び、FMD720から出る濾過物が、再使用のために、超音波洗浄機714に方向転換されるにつれて、排水される。第2の洗浄段階では、FMD720は、後続洗浄段階から貯蔵される(タンクW1から供給される)濾過物で再充填され、それは、洗浄段階1からの濾過物より低い溶解された固体の濃度を有する。FMD720内の材料は、懸濁液中で掻き混ぜられ、事前に規定された長さの時間後、FMD720は、再び、FMD720から出る濾過物が、後続再使用のために、貯蔵タンク730b(2回使用される流体のためのW2と指定される)に方向転換されるにつれて、排水される。第3の洗浄段階では、FMD720は、次いで、蒸留されたまたは新しい洗浄溶媒で再充填され、それは、溶解された固体を有していない。洗浄プロセスは、事前に規定された長さの時間後、FMD720が、再び、排水され、FMDから出る濾過物が、後続再使用のために、第3の貯蔵タンク730c(1回使用される流体のためのW1と指定される)に方向転換されるまで、再開される。
【0103】
最終洗浄後、FMD720内に留保された微視的固体は、FMD720を乾燥窒素で加圧することによって、流体から排水される。次いで、固体は、FMD720内において、真空下で加熱および攪拌され、乾燥を遂行する。いくつかの実施形態において、湿潤固体は、専用乾燥器(図7に示されない)内での乾燥のための遠心分離等の他のプロセスによって、懸濁液から除去されることができる。乾燥された固体(すなわち、アノードおよびカソード活性材料の混合物)は、再リチウム化等の後続処理のために、FMD720または専用乾燥器から放出される。
【0104】
第1の分離プロセス後、洗浄設備712は、裸集電体部片のみを含む。本時点で、洗浄設備712は、機械的に掻き混ぜられ、任意の残りの洗浄溶媒の排水を促すことができる。洗浄設備712は、次いで、洗浄機714から除去され、再循環ガス乾燥器740の中に設置される。加熱されたガス(例えば、窒素)は、集電体部片を掻き混ぜ、残留洗浄溶媒を蒸発させるように、乾燥器740を通して流動する。乾燥器740からのガスは、低温まで冷却され、溶媒水蒸気を凝縮させる。凝縮物は、次いで、後続精製および再使用のために、リサイクルタンク(R1)742に移される。溶媒水蒸気が、凝縮および除去された後、ガスは、再加熱され、乾燥器740の中に再循環され、追加の溶媒を蒸発させる。乾燥後、集電体部片は、洗浄設備712から第3の分離プロセスに移され、アルミニウムおよび銅薄片を分離する。
【0105】
溶媒回収プロセスでは、第1のリサイクルタンク730a(R1)からの溶媒混合物(例えば、電解質溶媒および塩と混合される洗浄溶媒)が、蒸留カラム750に移される。蒸留カラム750では、第1のリサイクルタンク730aからの流出物の構成要素は、その個別の沸点に従って分離される。流出物が、蒸留カラムを通して下に進行するにつれて、構成要素は、蒸発され、続いて、1つ以上の凝縮器によって凝縮され、次いで、コンテナ752内に貯蔵される。凝縮器および関連付けられるコンテナは、電解質溶媒(例えば、DMC)を抽出し、それは、次いで、施設外の溶媒回収会社に移される。少なくとも1つの凝縮器、例えば、774は、適切な温度で動作し、蒸留カラム750から退出する、洗浄溶媒(例えば、NMP)水蒸気を凝縮する。凝縮器774からの凝縮物は、洗浄プロセスにおける再使用のために収集される。蒸留カラム750の底部からの液体流出物は、蒸発器760内で蒸発され、結果として生じる水蒸気は、蒸留カラム750を通して上に進行し、蒸留カラム750を加熱し、水蒸気を個別の凝縮器に提供する。高沸点(例えば、ECおよびPC)を伴う溶媒は、固体(例えば、LiPF6、PVDF、およびCMC)とともに、蒸発器から、廃棄物流内に放出される。
【0106】
真空ポンプ772が、システム700内に含まれ、乾燥動作中、純洗浄溶媒水蒸気をFMD720から除去する。真空ポンプ772は、洗浄溶媒水蒸気を凝縮器774に放出し、そこで、水蒸気は、洗浄溶媒水蒸気とともに、蒸留カラム750から凝縮される。凝縮器774から退出する、非凝縮可能ガス(主に、窒素)は、吸着層776を通過し、残りの有機水蒸気を除去し、次いで、大気に放出される。第3の分離プロセスでは、アノード集電体部片(例えば、9.0g/cmの密度を伴う銅)は、振動分離プロセスを使用して、カソード集電体部片(例えば、2.7g/cmの密度を伴うアルミニウム)から分離される。
【0107】
真空ポンプ772は、システム700内に含まれ、乾燥動作中、純洗浄溶媒水蒸気を溶媒回収蒸留器760およびFMD720から除去する。真空ポンプ772は、洗浄溶媒水蒸気を圧力下で凝縮器774に放出し、そこで、洗浄溶媒は、再使用のために凝縮および収集される。非凝縮可能ガス(主に、窒素)は、吸着層776を通過し、残りの有機水蒸気を除去し、次いで、大気に放出される。第3の分離プロセスでは、アノード集電体部片(例えば、9.0g/cmの密度を伴う銅)は、振動分離プロセスを使用して、カソード集電体部片(例えば、2.7g/cmの密度を伴うアルミニウム)から分離される。
【0108】
図8A-8Cは、いくつかの実施形態による、バッテリの拡張可能な直接リサイクルの間のリチウム平衡プロセス800を図示する。プロセス800では、異なる電荷の状態におけるバッテリからのリチウム欠乏カソード活性材料820aおよび820bは、リチウム欠乏カソード材料820aおよび820bを、伝導性炭素814をリチウム含有塩溶液812中に含む、混合物810の中に懸濁させることによって、リチウム均質性に到達することができる。
【0109】
図8Aに図示されるように、カソードおよびアノード活性材料混合物(例えば、方法100におけるステップ120中、方法200におけるステップ230中、方法600、または方法700の間に生産される)が、リチウム塩溶液812中に浸漬され、懸濁液を形成する。溶媒は、水または有機溶媒(例えば、NMP、DMC)であることができる。リチウム塩は、例えば、LiPF、LiOH、LiSO、LiCl、またはLiNOであることができ、濃度は、塩の溶解度に応じて、約1M~約5Mの範囲内であることができる。いくつかの実施形態において、伝導性炭素814は、直接、アノード活性材料の伝導性構成要素によって寄与され得る。いくつかの実施形態において、伝導性炭素814は、外部源から混合物810の中に添加されることができる。
【0110】
図8Bは、リチウム欠乏カソード材料820aおよび820b間のリチウム含有量の均質性を達成するために、懸濁液がリチウム平衡プロセスを通して進むことを示す。リチウム欠乏カソード材料820aおよび820b(Lix1CoOおよびLix2CoOとして示される(x1>x2))および伝導性炭素814をリチウム塩溶液812中に懸濁後、電子およびリチウムイオンは、Lix1CoO820aからLix2CoO820bに流動を開始する。そのような輸送は、図8Cに図示されるように、懸濁液中の全ての粒子に関して、均質組成物LiCoOを生産する。
【0111】
本明細書に説明されるように、リチウム平衡プロセス800は、化学処理(例えば、方法100におけるステップ120、方法200におけるステップ230、方法600および700)の間に生じ、それによって、同時化学分離およびリチウム平衡を可能にし得る。これは、これらの処理ステップにおいて使用される溶媒NMPが、電極結合剤(例えば、PVDF、水性結合剤CMC等)を溶解させることができ、また、バッテリ電解質と混和性であって、イオン伝導性リチウム含有溶液を形成するためである。
【0112】
いくつかの実施形態において、リチウム平衡プロセスは、活性電極材料が、依然として、集電体に取り付けられているときの、化学処理前、シート形態において生じることができる。カソード材料でコーティングされた集電体の複数のシートが、電気的に接続されると、リチウムイオンおよび電子移送が、図8A-8Cに図示される類似機構に基づいて生じることができる。
【0113】
図9A-9Cは、いくつかの実施形態による、シート形態における電極のリチウム平衡プロセス900を図示する。プロセス900では、2つのカソードシート920aおよび920bが、容器910内に含まれるリチウム塩溶液915中に浸漬される。第1のカソードシート920aは、図9Aに図示されるように、Lix1CoOとして示される、第1のリチウム欠乏材料を含み、第2のカソードシート920bは、Lix2CoOとして示される、第2のリチウム欠乏材料を含む。
【0114】
図9Bは、2つのカソードシート920aおよび920bが、互いに電気的に結合され、それによって、2つのカソードシート920aと920bとの間の電子およびリチウムイオンの輸送を可能にすることを示す。より具体的に、リチウムイオンは、図9Cに図示されるように、第1のカソードシート920aから出て、第2のカソードシート920bに入り、それによって、同一カソード材料LiCoOを有する、2つのカソードシート930aおよび930bを生産する。
【0115】
いくつかの実施形態において、平衡後、カソード活性材料は、コア区分に関して上で説明されるものに類似する洗浄プロセスにおいて集電体から分離され、均一であるが、非化学量論的量のリチウムを有するカソード活性材料をもたらすことができる。
【0116】
均質リチウム分布を有する、リチウム欠乏カソード材料は、次いで、リチウム化学量論を決定するために査定されることができる。リチウム塩(例えば、LiOH、LiCO等)は、乾燥粉末または湿潤スラリー混合機器(例えば、回転式混合器、ブレンダ等)を使用して、リチウム欠乏に対処するために添加されることができ、すなわち、再リチウム化である。結果として生じる混合物は、熱処理され、リチウム化学量論を活性材料中に復元し、活性材料構造への損傷に対処することができる。
【0117】
リチウム欠乏カソード材料の再リチウム化は、少なくとも2つのアプローチを介して達成されることができる。第1のアプローチでは、リチウム含有材料が、採用される。リチウム含有材料は、再リチウム化されるべきリチウム欠乏カソード材料の粒子サイズに類似する、粒子サイズを有する。そのようなリチウム含有材料の例は、とりわけ、LiOH・HO粉末、LiCO、およびLiCHCOOを含む。本明細書における説明は、例証目的のためだけに、LiOH・HOを使用する。いくつかの実施形態において、本明細書に説明される任意の他のリチウム含有材料も、使用されることができる。
【0118】
本第1のアプローチでは、リチウム欠乏カソード材料(例えば、LiCoO(x<1))は、リチウム含有材料と均質に混合され、混合物を形成する。いくつかの実施形態において、混合物は、1モルのLiCoOと(1-x)モルのLiOH・HOの化学量論的比率にある。典型的に、完全に期間を終えた(すなわち、耐用年数を終えた)カソードからのLiCoOは、約0.5のx値を有する。この場合、1LiCoOと(1-x)LiOH・HOの質量比率は、約298.6ミリグラム(mg)~177.46mgである。
【0119】
いくつかの実施形態において、x値は、0.5から逸脱し得る(例えば、バッテリが、完全に期間を終えていない)。これらの事例において、x値は、誘導結合プラズマ原子放出分光法(ICP-AES)等の元素分析技法によって決定されることができる。(1-x)モルのLiOH・HOのモル量が、次いで、適宜、調節されることができる。
【0120】
いくつかの実施形態において、LiOH・HOの余剰量は、高温加熱の間、リチウム損失を補償するように、混合物に添加されることができる。いくつかの実施形態において、LiOH・HOの余剰量は、元の量の約3%~約8%(例えば、約3%、約3.5%、約4%、約4.5%、約5%、約6%、約7%、または約8%であって、それらの間の任意の値および下位範囲を含む)であることができる。
【0121】
結果として生じる均質混合物は、円筒形ペレット形態または任意の他の適切な圧密形態に押圧されることができる。ペレット形態は、再リチウム化の間、均一処理を促進することができる。円筒形ペレットは、次いで、空気中において高温で加熱される。加熱の高温は、100℃~約1000℃の任意の値(例えば、約100℃、約200℃、約300℃、約400℃、約500℃、約600℃、約700℃、約800℃、約900℃、または約1000℃であって、それらの間の任意の値および下位範囲を含む)であることができる。加熱の持続時間は、約1時間~約24時間(例えば、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約10時間、約12時間、または約24時間であり、それらの間の任意の値および下位範囲を含む)であることができる。いくつかの実施形態において、結果として生じる均質混合物は、直接、圧密形態を形成せずに、焼結されることができる。例えば、回転溶鉱炉が、直接、均質混合物を粉末形態において焼結させるために使用されることができる。
【0122】
いくつかの実施形態において、加熱において使用される高温は、500℃に実質的に等しいまたはそれを下回ることができ、それは、カソード材料の焼結温度を下回る。本温度範囲内の加熱は、エネルギーを節約し、材料および炭素堆積物内の残留有機物の分解を軽減させることができる。分解は、LiCoO結晶内の亀裂が、加熱の間、修復しないように防止し得るガスを形成し得るため、有害であり得る。不適正な亀裂修復は、粒子が破砕することを可能にし得、それは、次に、LiCoO粒子のサイズを減少させ得る。結果として、LiCoO粒子の粒子形態素は、新しいバッテリを形成するために使用されるものと異なり得る。
【0123】
加熱ステップは、下記の方程式(1)に従って、反応を駆動し、また、LiCoOを再結晶化させるようにもたらすことができる。
4LiCoO+4(1-x)LiOH・HO→4LiCoO+6(1-x)HO+(1-x)O(1)
方程式(1)からの結果として生じる再リチウム化カソード材料は、次いで、オーブンから除去されることができ、カソード製造のための原材料、すなわち、バッテリグレードカソード材料として再使用される準備ができる。
【0124】
図10Aおよび10Bは、いくつかの実施形態による、第2のアプローチによる、再リチウム化の方法1000を図示する。本明細書における方法1000の説明は、例証目的のためだけに、LiCoOをカソード材料として使用する。実践では、本明細書に説明される任意の他のカソード材料も、方法1000を介して、再リチウム化されることができる。
【0125】
方法1000は、リチウム欠乏カソード材料1011(例えば、方法100におけるステップ120、方法200におけるステップ230、方法600、または方法700から生産される)から開始する。1010では、リチウム欠乏カソード材料(例えば、粉末状LiCoO)が、少なくとも1つのリチウム塩を含む、カソード懸濁液1012の中に設置される。ここで使用され得るリチウム塩の例は、限定ではないが、水性懸濁液中に懸濁されたリチウム硫酸塩、硝酸リチウム、および塩化リチウムを含む。代替として、有機溶媒も、使用されることができ、そのような有機溶媒の例は、炭酸ジメチル(DMC)および炭酸エチレン(EC)を含むことができる。
【0126】
いくつかの実施形態において、カソード懸濁液1012の濃度は、約100マイクログラム(μg)/リットル(L)~約1mol/Lの人工または「純」溶液の海水リチウム濃度の範囲であって、リチウムベースの塩のみが溶液中にあることを意味し得る。いくつかの実施形態において、方法1000は、あらゆるリチウムイオン含有溶液を利用することができる。リチウム欠乏カソード材料は、体積比1対1の比率におけるリチウム塩懸濁液と組み合わせられることができる。
【0127】
方法1000の1020では、LiCoO/リチウム塩懸濁液1012中のLiCoOは、再リチウム化電気化学流動システム1015内で再リチウム化され、それは、図10Bに図示される。システム1015は、ガルバニセルを含み、それは、カソードチャンバ1022と、アノードチャンバ1040と、ガルバニセパレータ1030とを含む。カソードチャンバ1022およびアノードチャンバ1040は、とりわけ、ステンレス鋼、ガラス、またはポリマー等の任意の非反応性材料から作製されることができる。カソードチャンバ1022およびアノードチャンバ1040はそれぞれ、ガルバニセパレータ1030と界面接触する、開口部を有する。いくつかの実施形態において、第1のシール(例えば、ゴム、シリコーン、または他の弾力性材料から作製される)が、カソードチャンバ1022とガルバニセパレータ1030との間に配置され、漏出を防止することができる。いくつかの実施形態において、第2のシールが、アノードチャンバ1040とガルバニセパレータ1030との間に配置され、漏出を防止することができる。
【0128】
作業電極1072が、カソードチャンバ1022の中に挿入される。いくつかの実施形態において、作業電極1072は、ニッケルメッシュから作製されることができる。いくつかの実施形態において、作業電極1072は、炭素プレートから作製されることができる。対電極1073が、アノードチャンバ1040の中に挿入される。いくつかの実施形態において、対電極1073は、白金(Pt)メッシュを含むことができる。追加の基準電極(図10A-10Bに示されない)も、カソードチャンバ1022またはアノードチャンバ1040のいずれかの中に挿入されることができる。いくつかの実施形態において、基準電極は、Ag/AgClから作製されることができる。
【0129】
一定電流電力供給源1070が、導体を通して、作業電極1072および対電極1073のそれぞれに電気的に接続される。いくつかの実施形態において、作業電極1072は、集電体として機能する一方、リチウム欠乏カソード材料は、反応物として機能する。
【0130】
アノードチャンバ1040は、圧力源1062および給送パイプ1064を通して、リチウムリザーバ1060から供給され、そこに油圧接続される。いくつかの実施形態において、リチウムリザーバ1060は、アノードチャンバ1040の第2の体積を上回る第1の体積を有する。いくつかの実施形態において、リチウムリザーバ1060の総電荷貯蔵容量は、アノードチャンバ1040の電荷貯蔵容量を少なくとも5倍上回る。液体は、帰還パイプ1066を通して、リチウムリザーバ1060に返される。
【0131】
いくつかの実施形態において、圧力源1062は、遠心ポンプ等のポンプを含む。いくつかの実施形態において、任意の他の適切な技法が、使用されることができる。例えば、リチウムリザーバ1060は、重力を介して、アノードチャンバ1040に給送することができ、圧力源1062が、帰還パイプ1066内に配置されることができる。
【0132】
いくつかの実施形態において、アノードチャンバ1040内のリチウム塩含有溶液は、懸濁液1012を作製するために使用されるリチウム塩含有溶液と同一であり得る。これは、リチウム補充プロセスを省略し、枯渇されるリチウムを復元/補充するコストを減少させる能力を提供する。例えば、アノードチャンバ1040内のリチウム塩含有溶液は、「純」溶液であることができ、リチウムベースの塩のみが溶液中にあることを意味する。別の例において、リザーバ1060は、非リチウムベースの塩を含む、「非純」塩水プールであってもよく、アノードチャンバ1040内のリチウム塩含有溶液は、例えば、1~2重量パーセントのリチウムおよび任意の数の他の成分元素を含む、塩水プール中の塩水であり得る。
【0133】
いくつかの実施形態において、リザーバ1060は、海水を含み得、アノードチャンバ1040内のリチウム塩含有溶液も、約183マイクログラム(μg)/リットル(L)を含む、海水であり得る。さらに別の代替では、リザーバ1060は、リチウム含有廃棄物水を含み得る。また、さらに別の例において、リザーバ1060は、任意の数のリチウム含有鉱石、例えば、スポジュメン、アンブリゴナイト、レピドライト、またはユークリプタイトを含み得、アルカリ-金属水酸化物(例えば、KOH)溶液が、鉱石にわたって、またはそれを通して流動し、水酸化物溶液浸出効果に起因して、リチウムイオン含有溶液をもたらすことができる。
【0134】
さらに別の例において、リチウムリザーバ1060は、再リチウム化電気化学流動システム1015の動作中、枯渇されたリチウムを継続使用から再供給するために流動する、自然発生水の源であることができる。例えば、流動は、再リチウム化電気化学流動システムの動作中、自然発生水を圧送することによって引き起こされ得る。別の例において、流動は、限定ではないが、降雨、小川または川の流れ、海中温泉、潮流、または波の作用を含み得る自然発生事象に起因して生じる。また、さらに別の例において、潮流または波の作用は、リチウムリザーバ1060を充填するために使用されることができ、それは、続いて、重力下で、リチウム塩含有溶液をアノードチャンバ1040に流動させる。リチウム源にかかわらず、リザーバ1060からのリチウムの流動は、小川、海水、リチウム鉱石、または純リチウム塩であるかどうかにかかわらず、動作中、リチウムをアノードチャンバ1040内に含まれるリチウム塩含有溶液、アノード(正の)電極、最終的に、再リチウム化反応に補充することができる。
【0135】
ガルバニセパレータ1030は、リチウムイオンが効果的に通過することを可能にする、任意のタイプのガルバニセパレータを含むことができる。いくつかの実施形態において、ガルバニセパレータ1030は、セラミックセパレータを含む。いくつかの実施形態において、ガルバニセパレータ1030は、多孔性ポリマーセパレータを含む。いくつかの実施形態において、多孔性ポリマーセパレータは、純溶液が、通常、多孔性ポリマーセパレータを突き刺し得る非リチウムイオンを含まないので、リチウム塩含有溶液が、純リチウムベースの塩溶液であるときに使用されることができる。いくつかの実施形態において、リチウムイオンにのみ浸透性である、イオン選択的ポリマーが、純リチウム塩ベースの溶液および非純溶液(例えば、海水、海水塩水、および/またはリチウム鉱石ベースの溶液)のために使用されることができる。いくつかの実施形態において、セラミックセパレータは、純リチウム塩ベースの溶液および非純溶液(例えば、海水、海水塩水、および/またはリチウム鉱石ベースの溶液)のために使用されることができる。好適なポリマーセパレータの例は、限定ではないが、繊維紙(例えば、セルロースベース)、または約0.21×0.05μmの細孔サイズおよび約39%の多孔率を有する、3層ポリプロピレン-ポリエチレン-ポリプロピレン膜を含む。好適なセラミックセパレータの例は、限定ではないが、Li1+x+yAl(Ti、Ge)2-xSi3-yO、(Li、La)TiO、および(Li、La)ZrOを含む。
【0136】
動作時、カソードチャンバ1022は、水性懸濁液1012中に設置されたLiCoO2含有溶液で充填される。アノードチャンバ1040は、静的または流動条件下にあり得るリチウム塩含有溶液で充填される。いくつかの実施形態において、リチウム塩含有溶液は、静的条件下にあって、それによって、リザーバ1060と、圧力源1062と、流動および帰還パイプ1064および1066とを伴わずに、システム1015の動作を可能にすることができる。アノードチャンバリチウム塩含有溶液は、懸濁液1012を作製するために使用されるリチウム塩含有溶液と同一または異なる溶液であり得る。
【0137】
アノード電流が、アノードチャンバ1040に印加される、すなわち、電子が矢印1076の方向に流動するような一定電流電力供給源電位である。アノードチャンバ1040内の電解質(リチウム塩含有溶液)が、酸素発生反応(OER)1078を経るにつれて、カソードチャンバ1022内のLiCoOは、低減され、リチウムイオン1074が、LiCoOの中に介挿し、LiCoOを形成する。
【0138】
反応の理論的機構は、下記の方程式2-3に示される。
LiCoO+(1-x)Li+(1-x)e→LiCoO (2)
2HO→O+4H+4e (3)
【0139】
作業電極1072および対電極1073のそれぞれの電位は、作業電極1072の電位対基準電極の電位がAg/AgClに対して約-0.8V~約-1.0Vに到達するまで、基準電極に対して測定される。大部分のリチウムイオンバッテリカソード材料に関して、Ag/AgClに対して-0.8V~-1Vへの放電は、リチウム含有量を完全に復元することができる。
【0140】
再リチウム化電気化学流動システム1015の1つの利点は、リチウムイオン介挿の量が、カットオフ電位によって精密に制御されることができることである。他の再リチウム化アプローチは、典型的に、添加するためのリチウム含有材料の最適量を決定する前、リチウム枯渇の量(すなわち、LixCoO中のx値)の定量化を要求する。再リチウム化電気化学流動システム1015は、対照的に、バッテリカソード材料(例えば、LixCO2、LixFePO4)中の具体的リチウム含有量xが、一意の電極材料性質(例えば、開回路電圧、伝導性、リチウム輸送性質等)に対応するので、xを定量化せずに、電気化学再リチウム化プロセスのカットオフ電圧を制御することによって、xを1に完全に変換することができる。
【0141】
反応(2)-(3)後、LixCoOは、LiCoOに再リチウム化される。再リチウム化されたLiCoOは、再使用(例えば、新しいバッテリを作製する)ために、カソードチャンバ1022から除去されることができる。いくつかの実施形態において、LiCoOは、再使用の前、水でさらに洗浄され、乾燥されることができる。いくつかの実施形態において、再リチウム化LiCoOの形態素は、加熱プロセスを介して、改良され得、その後、再リチウム化LiCoOは、市販のLiCoOと同一結晶構造を有することができる。
【0142】
図11は、いくつかの実施形態による、バッテリの直接リサイクルにおける、化学処理および分離の方法1100を図示するフローチャートである。方法1100は、1110において、バッテリから生産されるコア区分を洗浄するために、混合機器(例えば、FMDおよび/またはバッチ遠心分離機または持続的に動作される傾瀉器等の遠心分離機タイプ機器)内での一次洗浄プロセスを含む。各コア区分は、図1を参照して説明される方法100におけるコア区分に実質的に類似することができる。例えば、各コア区分は、少なくとも1つのアノード/カソード/セパレータアセンブリを含むことができる。このステップでは、電解質(例えば、EC、DMC、およびPC)および結合剤(例えば、PVDFおよびCMC)等の有機構成要素のいくつかまたは全ておよび塩(例えば、LiPF)が、洗浄溶媒(例えば、NMP、DMF、DMSO、またはDMAc)中に溶解される。溶解された構成要素(例えば、溶媒、電解質、塩、および結合剤)は、溜漉、濾過、遠心分離、傾瀉、溶媒浣濯、加熱、空気乾燥、真空乾燥、またはそれらの任意の組み合わせ等の分離方法を介して、固体構成要素(例えば、アノードおよびカソード材料、セパレータ、集電体、およびバッテリケース)から分離される。いくつかの実施形態において、電解質または結合剤等のいくつかの有機構成要素は、固体構成要素と混合されたままであり得る。
【0143】
いくつかの実施形態において、方法1100はまた、1120において、1110における洗浄プロセスから退出する、固体構成要素内に残っている有機構成要素のいくつかまたは全てを除去または分解する、熱処理プロセスを含む。いくつかの実施形態において、熱処理プロセスはまた、セパレータの部片および/またはバッテリパッケージングの部片を除去または分解する。いくつかの実施形態において、固体構成要素は、摂氏少なくとも100度まで加熱される。いくつかの実施形態において、固体構成要素は、摂氏200、300、400、500、600、700、または800度まで加熱される。他の実施形態において、固体構成要素は、摂氏800度を上回るまで加熱される。いくつかの実施形態において、固体構成要素は、空気、酸素ガス、窒素ガスと混合される酸素ガス、または他の組み合わせ等の酸化大気中で加熱される。他の実施形態において、固体構成要素は、水素ガス、水蒸気と混合される水素ガス、窒素ガスと混合される水素ガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素と混合される一酸化炭素ガス、または他の組み合わせ等の還元雰囲気中で加熱される。さらに他の実施形態において、固体構成要素は、窒素ガス、アルゴンガス、または他の組み合わせ等の不活性大気中で加熱される。
【0144】
方法1100はまた、1130において、アノードおよびカソード材料の混合物を固体構成要素の残りから抽出するように構成される、分離プロセスを含む。分離は、例えば、超音波洗浄溶媒(例えば、NMP、DMF、DMSO、DMAc、エタノール、プロパノールまたは水、または酸性水、またはアルカリ水)中の超音波洗浄を介して、実施されることができる。このステップでは、固体構成要素は、カソード/アノード材料(通常、粒子形態における)、セパレータ部片、集電体部片、および/またはバッテリパッケージング部片を含む、個々の構成要素に分離される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの濾過システムが、より大きいセパレータ部片、集電体部片、および/またはバッテリパッケージング部片をアノードおよびカソード材料の混合物から分離するために採用される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの濾過システムは、別個の超音波変換器を含み、粒子の凝集を破壊する。アノードおよびカソード材料の混合物は、次いで、さらなる分離および/または再リチウム化のために出される一方、構成要素の残りは、廃棄される、またはさらなる分離を受けることができる。
【0145】
1140では、一次洗浄1110からの流出物中の構成要素は、その個別の沸点に従って分離される(例えば、蒸留カラムを使用して)。流出物が、蒸留カラムを通して下に進行するにつれて、構成要素は、蒸発され、続いて、適切な凝縮温度で動作する、1つ以上の凝縮器によって、凝縮される(1150において)。凝縮器は、電解質溶媒(例えば、DMC)を抽出するように構成され、それは、次いで、施設外の溶媒回収会社に移すために収集される。少なくとも1つの凝縮器が、溶媒回収システム内に組み込まれ、1170において、溶媒回収を達成するように、適切な温度で動作し、蒸留カラムから退出する、洗浄溶媒水蒸を凝縮する。本凝縮器から凝縮された洗浄溶媒は、他の動作(例えば、乾燥)から回収された溶媒と組み合わせられ、一次洗浄プロセス1110に返される。蒸留カラムの底部から(例えば、1140後)の液体流出物は、蒸発器内で蒸発され(1160において)、結果として生じる水蒸気は、蒸留カラムを通して上に進行し、カラムを加熱し、水蒸気を個別の凝縮器に提供する。高沸点(例えば、ECおよびPC)を伴う溶媒は、固体(例えば、LiPF6、PVDF、およびCMC)とともに、蒸発器から、廃棄物流内に放出される。
(結論)
【0146】
本発明の種々の実施形態が、本明細書に説明および図示されているが、当業者は、機能を実施し、および/または本明細書に説明される結果および/または利点のうちの1つ以上のものを取得するための種々の他の手段および/または構造を容易に想起し、そのような変形例および/または修正はそれぞれ、本明細書に説明される発明の実施形態の範囲内であると見なされる。より一般的に、当業者は、本明細書に説明される全てのパラメータ、寸法、材料、および構成が、例示的であることを意味し、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成が、本発明の教示が使用される、特定の用途または複数の用途に依存するであろうことを容易に理解するであろう。当業者は、日常的にすぎない実験を使用して、本明細書に説明される具体的発明の実施形態の多くの均等物を認識する、または確認することが可能であろう。したがって、前述の実施形態は、例としてのみ提示され、添付の請求項およびその均等物の範囲内において、本発明の実施形態は、具体的に説明および請求されるものと別様に実践され得ることを理解されたい。本開示の発明の実施形態は、本明細書に説明される各個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法を対象とする。加えて、2つ以上のそのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組み合わせも、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が、互いに矛盾しない場合、本本開示の発明の範囲内に含まれる。
【0147】
実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせを使用して実装され得る。ソフトウェアで実装されるとき、ソフトウェアコードは、単一のコンピュータの中で提供されるか、または複数のコンピュータの間で分散されるかどうかにかかわらず、任意の好適なプロセッサまたはプロセッサの集合の上で実行されることができる。さらに、コンピュータは、ラックマウント式コンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、またはタブレットコンピュータ等のいくつかの形態のうちのいずれかで具現化され得ることを理解されたい。加えて、コンピュータは、携帯情報端末(PDA)、スマートフォン、または任意の好適な携帯用または設備電子デバイスを含む、概してコンピュータと見なされないが好適な処理能力を伴うデバイスで具現化され得る。
【0148】
また、コンピュータは、1つ以上の入力および出力デバイスを有し得る。これらのデバイスは、とりわけ、ユーザインターフェースを提示するために使用されることができる。ユーザインターフェースを提供するために使用され得る出力デバイスの例は、出力の視覚的提示のためのプリンタまたはディスプレイ画面および出力の可聴提示のためのスピーカまたは他の音発生デバイスを含む。ユーザインターフェースのために使用されることができる、入力デバイスの例は、キーボード、およびマウス、タッチパッド、およびデジタイジングタブレット等のポインティングデバイスを含む。別の例として、コンピュータは、音声認識を通して、または他の可聴フォーマットにおいて、入力情報を受信し得る。
【0149】
そのようなコンピュータは、企業ネットワーク、インテリジェントネットワーク(IN)、またはインターネットとして等、ローカルエリアネットワークまたは広域ネットワークとしての形態を含む、任意の好適な形態の1つ以上のネットワークによって相互接続され得る。そのようなネットワークは、任意の好適な技術に基づき得、任意の好適なプロトコルに従って動作し得、無線ネットワーク、有線ネットワーク、または光ファイバネットワークを含み得る。
【0150】
(例えば、上記に開示される留保/送達構造を設計および作製する)本明細書で概説される種々の方法およびプロセスは、種々のオペレーティングシステムまたはプラットフォームのうちのいずれか1つを採用する、1つ以上のプロセッサ上で実行可能である、ソフトウェアとしてコード化され得る。加えて、そのようなソフトウェアは、いくつかの好適なプログラミング言語および/またはプログラミングまたはスクリプト作成ツールのうちのいずれかを使用して、書き込まれ得、また、フレームワークまたは仮想マシン上で実行される実行可能機械言語コードまたは中間コードとしてコンパイルされ得る。
【0151】
また、種々の本発明の概念が、1つ以上の方法として具現化され得、その例が提供されている。方法の一部として行われる作用は、任意の好適な方法で順序付けられ得る。故に、例証的実施形態において、逐次作用として示されるが、作用が例証されるものと異なる順序で行われる、実施形態も構築され得、それは、いくつかの作用を同時に行うことを含み得る。
【0152】
本明細書に述べられた全ての刊行物、特許出願、特許、記事、および他の参考文献は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。
【0153】
本明細書で定義および使用されるような全ての定義は、辞書の定義、参照することによって組み込まれる文献の定義、および/または定義された用語の通常の意味よりも優先されると理解されるべきである。
【0154】
明細書および請求項で使用されるような不定冠詞「a」および「an」は、これと異なることが明確に示されない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。
【0155】
明細書および請求項で使用されるような「および/または」という語句は、そのように結合された元素の「いずれか一方または両方」、すなわち、ある場合には接合的に存在し、他の場合においては離接的に存在する元素を意味すると理解されるべきである。「および/または」で記載される複数の元素は、同じように、すなわち、そのように結合された元素のうちの「1つ以上の」と解釈されるべきである。「および/または」節によって具体的に識別される元素以外に、具体的に識別される元素に関係しようと、無関係であろうと、他の元素が随意的に存在し得る。したがって、非限定的例として、「Aおよび/またはB」への言及は、「~を備えている(comprising)」等の制約のない用語と併せて使用されると、一実施形態ではAのみ(随意でB以外の元素を含む)、別の実施形態ではBのみ(随意でA以外の元素を含む)、さらに別の実施形態ではAおよびBの両方(随意で他の元素を含む)等を指すことができる。
【0156】
明細書および請求項で使用されるように、「または」は、上記で定義されるような「および/または」と同一の意味を有すると理解されたい。例えば、リスト内の項目を分離するとき、「または」または「および/または」は、包括的である、すなわち、少なくとも1つの包含であるが、また、いくつかの元素または元素のリストのうちの1つより多く、随意に、追加の記載されていない項目を含むと解釈されるものとする。対照的に明確に示される、「~のうちの1つのみ」または「~のうちの正確に1つ」等の「のみ」の用語、または請求項で使用されるときに、「~から成る」は、いくつかの元素または元素のリストのうちの正確に1つの元素の包含を指すであろう。一般に、本明細書で使用されるような用語「または」は、「いずれか一方」、「~のうちの1つ」、「~のうちの1つのみ」、または「~のうちの正確に1つ」等の排他性の用語が先行するときに、排他的代替(すなわち、「両方ではなく一方または他方」)を示すとしてのみ解釈されるものとする。「本質的に~から成る」は、請求項で使用されるとき、特許法の分野で使用されるようなその通常の意味を有するものとする。
【0157】
明細書および請求項で使用されるように、「少なくとも1つ」という語句は、1つ以上の元素のリストを参照して、元素のリストの中の元素のうちのいずれか1つ以上のものから選択される少なくとも1つの元素を意味するが、元素のリスト内に具体的に記載されたあらゆる元素のうちの少なくとも1つを必ずしも含まず、元素のリストの中の元素の任意の組み合わせを排除しないと理解されるべきである。この定義はまた、具体的に識別される元素に関係しようと、無関係であろうと、「少なくとも1つ」という語句が指す、元素のリスト内で具体的に識別される元素以外に、元素が随意で存在し得ることを許容する。したがって、非限定的例として、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」(または同等に「AまたはBのうちの少なくとも1つ」、または同等に「Aおよび/またはBのうちの少なくとも1つ」)は、一実施形態において、いずれのBも存在しない、随意で1つより多くを含む、少なくとも1つのA(および随意でB以外の元素を含む)、別の実施形態において、いずれのAも存在しない、随意で1つより多くを含む、少なくとも1つのB(および随意でA以外の元素を含む)、さらに別の実施形態において、随意で1つより多くを含む、少なくとも1つのA、および随意で1つより多くを含む、少なくとも1つのB(および随意で他の元素を含む)等を指すことができる。
【0158】
請求項および上述の明細書において、「comprising(備えている)」、「including(含む)」、「carrying(含む)」、「having(有する)」、「containing(含む)」、「involving(伴う)」、「holding(保持する)」、「composed of(から構成される)」、および同等物等の全ての移行句は、非限定的(open-ended)、すなわち、含むが、これに限定されないことを意味すると理解されるべきである。米国特許商標庁の米国特許審査手続便覧の第2111.03節に記載されている通り、移行句「consisting of(~から成る)」および「consisting essentially of(~から本質的に成る)」のみが、それぞれ限定的または半限定的な移行句とされるものとする。
図1
図2
図3
図4-1】
図4-2】
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
【外国語明細書】