(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101005
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】塗布具
(51)【国際特許分類】
A45D 34/04 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
A45D34/04 510A
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024085919
(22)【出願日】2024-05-27
(62)【分割の表示】P 2020031085の分割
【原出願日】2020-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】520067600
【氏名又は名称】Wit株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154276
【弁理士】
【氏名又は名称】乾 利之
(72)【発明者】
【氏名】武田 綾子
(72)【発明者】
【氏名】野尻 英行
(57)【要約】
【課題】本発明は、塗布部材に形成された爪先部が挿入可能なスリット部を有し、簡易に爪先部に一定の幅で塗布液を塗布可能な塗布具を提供することを一の目的とする。
【解決手段】
本発明の塗布具は、塗布液が含侵した塗布部材と、塗布部材における表面から内部にかけて形成された爪先部が挿入可能なスリット部と、スリット部の内側面に形成され、挿入された爪先部の表面および/または裏面に前記塗布液を塗布可能な塗布部と、を有する。また、本発明の塗布具は、塗布部材の表面における前記スリット部の開口部近傍であって爪先部をスリット部に挿入した状態において指先が当接する領域に配置される指ガイド部を更に有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布液が含侵した塗布部材と、
前記塗布部材における表面から内部にかけて形成され、爪先部が挿入可能であると共に、挿入された爪先部を内側面により挟むスリット部と、
前記スリット部の内側面に形成され、挿入された爪先部の表面および/または裏面に前記塗布液を塗布可能な塗布部と、
前記塗布部材の表面における前記スリット部の開口部近傍であって爪先部をスリット部に挿入した状態において指先が当接する領域に配置され、前記塗布液の透過を抑制可能であり当接した指への塗布液の付着を防止可能な平面状の指ガイド部と、を備え、
前記塗布部材は、長手方向にのびる筒状であり、
前記スリット部の開口部および前記指ガイド部は、前記塗布部材の前記長手方向における端部に配置され、
前記スリット部は、前記長手方向にのびるように形成されており、
前記指ガイド部は、前記長手方向を垂線とする平面状に形成されている
塗布具。
【請求項2】
前記塗布部材における前記端部は、前記長手方向を垂線とする平面状の端面であり、
前記スリット部の開口部は、前記端面に形成された開口部分であり、
前記指ガイド部は、前記端面における前記開口部とは異なる領域に配置される
請求項1に記載の塗布具。
【請求項3】
前記スリット部に爪先部が挿入されると共に前記指ガイド部に指先が当接した状態において、該塗布具を爪先部の一端から他端に移動させた場合、
前記スリット部は、挿入された爪先部を内側面により挟んで該塗布具のブレを抑制し、
前記指ガイド部は、指先に当接した状態での該指先との相対的な摺動移動により該塗布具の移動をガイドする
請求項1または2に記載の塗布具。
【請求項4】
前記スリット部に爪先部が挿入されると共に前記指ガイド部に指先が当接した状態において、該塗布具を指先の形状に沿って移動させた場合、
前記スリット部は、挿入された爪先部を内側面により挟んで該塗布具のブレを抑制し、
前記指ガイド部は、指先に当接した状態での該指先との相対的な摺動移動により該塗布具の移動をガイドする
請求項1または2に記載の塗布具。
【請求項5】
前記スリット部は、
挿入された爪先部と該塗布具との相対移動をガイド可能である
請求項1から4のいずれかに記載の塗布具。
【請求項6】
前記指ガイド部は、
前記スリット部における開口部の近傍に、該開口部がのびる方向に沿って配置されている
請求項1から5のいずれかに記載の塗布具。
【請求項7】
前記指ガイド部における外縁は、
前記スリット部の前記開口部における外縁の全部または一部に重なるように配置されている
請求項6に記載の塗布具。
【請求項8】
前記指ガイド部は、
前記塗布部材の表面に直接配置された塗布液が浸透しない材質の被膜状部材である
請求項1から7のいずれかに記載の塗布具。
【請求項9】
前記塗布部材における前記スリット部を除く表面の全部または一部を被覆し、塗布液が浸透しない材質の被膜により構成されるコーティング部と、を更に有し、
前記指ガイド部は、
前記コーティング部の一部により構成されている
請求項1から7のいずれかに記載の塗布具。
【請求項10】
前記塗布部は、
前記スリット部の内側面のうち、前記指ガイド部に指先を当接した状態で挿入された爪先部の表面に当接して塗布液を塗布する第1塗布面を有する
請求項1から9のいずれかに記載の塗布具。
【請求項11】
前記塗布部は、
前記スリット部の内側面のうち、前記第1塗布面と反対側の内側面であって、前記指ガイド部に指先を当接した状態で挿入された爪先部の裏面に当接して塗布液を塗布する第2塗布面と、を更に有する
請求項10に記載の塗布具。
【請求項12】
前記塗布部は、
前記スリット部の内側面のうち、前記第1塗布面と反対側の内側面の表面に配置され、塗布液が浸透しない材質の被膜により構成される塗布面コーティング部を更に有する
請求項10に記載の塗布具。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載の塗布具を前記端部が露出した状態で収容する外筒部と、を更に有し、
前記スリット部の開口部および前記指ガイド部は、前記外筒部から露出した前記端部に配置されている
ペン型塗布具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布具に関する。詳細には、本発明は、爪先部に塗布液を塗布する塗布具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、爪先部に所定幅でマニキュア(塗布液)を塗布するフレンチネイルにおいて、一定の幅でマニュキュアを塗布することは困難であった。特に、自分自身で爪先部に一定の幅でマニュキュアをきれいに塗布することは困難であり、更には、利き手ではない手で爪先部に一定の幅でマニュキュアをきれいに塗布することは非常に困難であった。
【0003】
例えば、ブラシを使用してマニュキュアを爪先部に塗布する場合、塗布ラインが歪んだり、塗布ラインの外縁からマニュキュアがはみだしたりして、一定の幅でマニュキュアをきれいに塗布することは困難であった。特に、ブラシでの塗布には微妙な動きが必要なため、利き手ではない手で爪先部に一定の幅でマニュキュアをきれいに塗布することは非常に困難であった。
【0004】
また、例えば、マスキングテープを使用する場合、爪にマスキングテープを貼り、マニキュアを塗布した後、マスキングテープを剥がすことで爪先部に一定の幅でマニュキュアを塗布可能であるが、作業が煩雑であり手間がかかること、マスキングテープをはがす際に塗布済のマニュキュアが剥がれてしまう等の問題があった。
【0005】
これに対し、例えば、液体を吸収保持する多孔質体等からなる塗布主体に、爪先を誘導するネイルガイド部と、このネイルガイドに連設され表面を塗布用に平面としたネイル塗布部を有するネイルアート用塗布具が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に開示された技術は、爪先をネイルガイド部に当接させてマニュキュアを塗布するので、マニュキュアのラインの形状は爪先の外縁形状に影響されるという問題があった。
【0008】
また、爪先をネイルガイド部に当接させてマニュキュアを塗布するので、マニュキュアの幅を調整することができず、マニュキュアの幅が爪先部より狭い幅になってしまったり、爪先部よりも広い幅になってしまったりするという問題があった。
【0009】
また、フレンチネイルにおいて、爪先部の表面だけでなく、裏面にもネイルを塗布する場合があり、この場合にも好適に使用できる塗布具が求められている。
【0010】
本発明は、塗布部材に形成された爪先部が挿入可能なスリット部を有し、簡易に爪先部に一定の幅で塗布液を塗布可能な塗布具を提供することを一の目的とする。
また、本発明は、爪先部の両面に塗布液を塗布可能な塗布具を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、塗布液が含侵した塗布部材と、前記塗布部材における表面から内部にかけて形成された爪先部が挿入可能なスリット部と、前記スリット部の内側面に形成され、挿入された爪先部の表面および/または裏面に前記塗布液を塗布可能な塗布部と、を有する塗布具に関する。
【0012】
本発明の塗布具において、前記スリット部は、挿入された爪先部と該塗布具(塗布部材)との相対移動をガイド可能であることが好ましい。
【0013】
また、本発明の塗布具は、前記塗布部材の表面における前記スリット部の開口部近傍であって爪先部をスリット部に挿入した状態において指先が当接する領域に配置され、前記塗布液の透過を抑制可能であり当接した指への塗布液の付着を防止可能な指ガイド部と、を更に有することが好ましい。
【0014】
また、本発明の塗布具において、前記指ガイド部は、前記スリット部における開口部の近傍に、該開口部がのびる方向に沿って配置されていることが好ましい。
【0015】
また、本発明の塗布具において、前記指ガイド部における外縁は、前記スリット部の前記開口部における外縁の全部または一部に重なるように配置されていることが好ましい。
【0016】
また、本発明の塗布具において、前記指ガイド部は、前記スリット部に爪先部が挿入された状態において、該塗布具を爪先部の外縁に沿って移動させた場合、指先に当接して該塗布具の移動をガイドすることが好ましい。
【0017】
また、本発明の塗布具において、前記指ガイド部は、前記塗布部材の表面に直接配置された塗布液が浸透しない材質の被膜状部材であることが好ましい。
【0018】
また、本発明の塗布具は、前記塗布部材における前記スリット部を除く表面の全部または一部を被覆し、塗布液が浸透しない材質の被膜により構成されるコーティング部と、を更に有し、前記指ガイド部は、前記コーティング部の一部により構成されていることが好ましい。
【0019】
本発明の塗布具において、前記塗布部は、前記スリット部の内側面のうち、前記指ガイド部に指先を当接した状態で挿入された爪先部の表面に当接して塗布液を塗布する第1塗布面を有することが好ましい。
【0020】
本発明の塗布具において、前記塗布部は、前記スリット部の内側面のうち、前記第1塗布面と反対側の内側面であって、前記指ガイド部に指先を当接した状態で挿入された爪先部の裏面に当接して塗布液を塗布する第2塗布面と、を更に有することが好ましい。
【0021】
また、本発明の塗布具において、前記塗布部は、前記スリット部の内側面のうち、前記第1塗布面と反対側の内側面の表面に配置され、塗布液が浸透しない材質の被膜により構成される塗布面コーティング部を更に有することが好ましい。
【0022】
また、本発明の塗布具において、前記塗布部は、前記第1塗布面と前記第2塗布面とにより挿入された爪先部を挟むようにして、爪先部の表面および/または裏面に前記塗布液を塗布可能に構成されることが好ましい。
【0023】
また、本発明の塗布具において、前記塗布部材は、筒状の形状であり、前記スリット部は、前記塗布部材の端面に配置されていることが好ましい。
【0024】
また、本発明の塗布具において、前記スリット部の形状は、開口部が直線状または曲線状であり、該スリット部の深さは、前記開口部のいずれの位置における深さも同じ深さであることが好ましい。
【0025】
また、本発明の塗布具において、前記スリット部の形状は、開口部が直線状または曲線状であり、該スリット部の深さは、前記開口部がのびる方向において、中央側が深く、両端側が浅いことが好ましい。
【0026】
また、本発明の塗布具は、複数のスリット部を有することが好ましい。
【0027】
また、本発明の塗布具は、前記塗布具を一部が露出した状態で収容する外筒部と、を更に有し、前記スリット部の前記開口部は、上述の塗布具における前記露出した部分である露出部に配置されているペン型塗布具であることが好ましい。
【0028】
また、本発明の塗布具またはペン型塗布具は、前記塗布部からの塗布液の蒸発を抑制可能であって、該塗布具またはペン型塗布具に着脱可能なキャップ部と、を更に有することが好ましい。
【0029】
本発明は、上述の塗布具またはペン型塗布具を用いて爪先部に塗布液を塗布する方法であって、前記スリット部に爪先部が挿入された状態において、該塗布具を爪先部の外縁に沿って移動させることで爪先部に塗布液を塗布する塗布方法に関する。
【0030】
本発明は、上述の塗布具を製造する塗布具製造方法であって、塗布液が含侵された塗布部材と、塗布液が浸透しない材質の被膜により構成されるコーティング部とを有する塗布具原料部材であって、前記コーティング部により塗布液が含侵された塗布部材の表面における全部または一部が被覆されている塗布具原料部材に、スリット部を形成するスリット形成工程を含む塗布具製造方法に関する。
【0031】
本発明は、上述の塗布具を製造する塗布具製造方法であって、前記スリット形成工程により形成された前記スリット部の内側面のうち、前記第1塗布面と反対側の内側面の表面に前記塗布面コーティング部を形成する工程であって、前記第1塗布面と反対側の内側面の表面に前記塗布液が浸透しない材質の被膜を形成する塗布面コーティング工程を更に含む塗布具製造方法に関する。
【0032】
本発明は、上述の塗布具を製造するための塗布具原料であって、塗布液が含侵された塗布部材と、塗布液が浸透しない材質の被膜により構成されるコーティング部とを有する塗布具原料部材であって、前記コーティング部により塗布液が含侵された塗布部材の表面における全部または一部が被覆されている塗布具原料部材に関する。
【0033】
本発明は、塗布液が含侵した塗布部材と、前記塗布部材における表面から内部にかけて形成されたスリット部と、前記スリット部の内側面に形成された塗布部と、前記塗布部材の表面における前記スリット部の開口部近傍に配置され、前記塗布液の透過を抑制可能な指ガイド部と、を有する塗布具に関する。
【0034】
本発明は、塗布液が含侵した塗布部材と、前記塗布部材における表面から内部にかけて形成され、爪先部が挿入可能であると共に、挿入された爪先部を内側面により挟むスリット部と、前記スリット部の内側面に形成され、挿入された爪先部の表面および/または裏面に前記塗布液を塗布可能な塗布部と、前記塗布部材の表面における前記スリット部の開口部近傍であって爪先部をスリット部に挿入した状態において指先が当接する領域に配置され、前記塗布液の透過を抑制可能であり当接した指への塗布液の付着を防止可能な平面状の指ガイド部と、を備え、前記塗布部材は、長手方向にのびる筒状であり、前記スリット部の開口部および前記指ガイド部は、前記塗布部材の前記長手方向における端部に配置され、前記スリット部は、前記長手方向にのびるように形成されており、前記指ガイド部は、前記長手方向を垂線とする平面状に形成されている塗布具に関する。
【0035】
また、本発明において、前記塗布部材における前記端部は、前記長手方向を垂線とする平面状の端面であり、前記スリット部の開口部は、前記端面に形成された開口部分であり、前記指ガイド部は、前記端面における前記開口部とは異なる領域に配置されることが好ましい。
【0036】
また、本発明において、前記スリット部に爪先部が挿入されると共に前記指ガイド部に指先が当接した状態において、該塗布具を爪先部の一端から他端に移動させた場合、前記スリット部は、挿入された爪先部を内側面により挟んで該塗布具のブレを抑制し、前記指ガイド部は、指先に当接した状態での該指先との相対的な摺動移動により該塗布具の移動をガイドすることが好ましい。
【0037】
また、本発明において、前記スリット部に爪先部が挿入されると共に前記指ガイド部に指先が当接した状態において、該塗布具を指先の形状に沿って移動させた場合、前記スリット部は、挿入された爪先部を内側面により挟んで該塗布具のブレを抑制し、前記指ガイド部は、指先に当接した状態での該指先との相対的な摺動移動により該塗布具の移動をガイドすることが好ましい。
【0038】
また、本発明において、前記スリット部は、挿入された爪先部と該塗布具との相対移動をガイド可能であることが好ましい。
【0039】
また、本発明において、前記指ガイド部は、前記スリット部における開口部の近傍に、該開口部がのびる方向に沿って配置されていることが好ましい。
【0040】
また、本発明において、前記指ガイド部における外縁は、前記スリット部の前記開口部における外縁の全部または一部に重なるように配置されていることが好ましい。
【0041】
また、本発明において、前記指ガイド部は、前記塗布部材の表面に直接配置された塗布液が浸透しない材質の被膜状部材であることが好ましい。
【0042】
また、本発明は、前記塗布部材における前記スリット部を除く表面の全部または一部を被覆し、塗布液が浸透しない材質の被膜により構成されるコーティング部と、を更に有し、前記指ガイド部は、前記コーティング部の一部により構成されていることが好ましい。
【0043】
また、本発明において、前記塗布部は、前記スリット部の内側面のうち、前記指ガイド部に指先を当接した状態で挿入された爪先部の表面に当接して塗布液を塗布する第1塗布面を有することが好ましい。
【0044】
また、本発明において、前記塗布部は、前記スリット部の内側面のうち、前記第1塗布面と反対側の内側面であって、前記指ガイド部に指先を当接した状態で挿入された爪先部の裏面に当接して塗布液を塗布する第2塗布面と、を更に有することが好ましい。
【0045】
また、本発明において、前記塗布部は、前記スリット部の内側面のうち、前記第1塗布面と反対側の内側面の表面に配置され、塗布液が浸透しない材質の被膜により構成される塗布面コーティング部を更に有することが好ましい。
【0046】
また、本発明は、上述のいずれかに記載の塗布具を前記端部が露出した状態で収容する外筒部と、を更に有し、前記スリット部の開口部および前記指ガイド部は、前記外筒部から露出した前記端部に配置されているペン型塗布具に関する。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、塗布部材に形成された爪先部が挿入可能なスリット部を有し、簡易に爪先部に一定の幅で塗布液を塗布可能な塗布具を提供することができる。
また、本発明によれば、爪先部の両面に塗布液を塗布可能な塗布具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】第1実施形態の塗布具を説明する概略図である。
【
図2】第1実施形態の塗布具を説明する斜視図である。
【
図3】第1実施形態の塗布具を説明する図であって、(a)塗布具の上面図、(b)塗布具の正面図である。
【
図4】第1実施形態における塗布具の製造方法を説明する図である。
【
図5】第1実施形態の塗布具の使用方法を説明する図であって、(a)使用方法および表面側の塗布状態、(b)裏面側の塗布状態を説明する図である。
【
図6】第1実施形態の塗布具における変形例を説明する図であって、変形例(A)から(J)を説明する図である。
【
図7】第1実施形態の塗布具における変形例を説明する図であって、変形例(K)から(O)を説明する図である。
【
図8】第1実施形態の変形例(B)における塗布具の使用方法を説明する図であって、(a)使用方法および表面側の塗布状態、(b)裏面側の塗布状態を説明する図である。
【
図9】第1実施形態の変形例(C)における塗布具の使用方法を説明する図であって、(a)使用方法および表面側の塗布状態、(b)裏面側の塗布状態を説明する図である。
【
図10】第1実施形態の変形例(E)における塗布具の使用方法を説明する図であって、(a)使用方法、(b)使用方法および表面側の塗布状態、(c)裏面側の塗布状態を説明する図である。
【
図11】第1実施形態の変形例(J)における塗布具の使用方法を説明する図である。
【
図12】第2実施形態の塗布具を説明する図であって、(a)塗布具の上面図、(b)塗布具の正面図である。
【
図13】第2実施形態における塗布具の製造方法を説明する図である。
【
図14】第2実施形態の塗布具の使用方法を説明する図であって、(a)使用方法および表面側の塗布状態、(b)裏面側の塗布状態を説明する図である。
【
図15】第3実施形態の塗布具を説明する概略図である。
【
図16】第3実施形態の塗布具の使用方法を説明する図であって、(a)使用方法および表面側の塗布状態、(b)裏面側の塗布状態を説明する図である。
【
図17】第3実施形態の塗布具における変形例を説明する図であって、変形例(A)から(C)を説明する図である。
【
図18】第4実施形態の塗布具における実施例を説明する図であって、実施例(A)から(E)を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係る塗布具について説明する。
図1から
図11により、第1実施形態における塗布具について説明する。
図1は、第1実施形態の塗布具を説明する概略図である。
図2は、第1実施形態の塗布具を説明する斜視図である。
図3は、第1実施形態の塗布具を説明する図であって、(a)塗布具の上面図、(b)塗布具の正面図である。
図4は、第1実施形態における塗布具の製造方法を説明する図である。
図5は、第1実施形態の塗布具の使用方法を説明する図であって、(a)使用方法および表面側の塗布状態、(b)裏面側の塗布状態を説明する図である。
図6は、第1実施形態の塗布具における変形例を説明する図であって、変形例(A)から(J)を説明する図である。
図7は、第1実施形態の塗布具における変形例を説明する図であって、変形例(K)から(O)を説明する図である。
図8は、第1実施形態の変形例(B)における塗布具の使用方法を説明する図であって、(a)使用方法および表面側の塗布状態、(b)裏面側の塗布状態を説明する図である。
図9は、第1実施形態の変形例(C)における塗布具の使用方法を説明する図であって、(a)使用方法および表面側の塗布状態、(b)裏面側の塗布状態を説明する図である。
図10は、第1実施形態の変形例(E)における塗布具の使用方法を説明する図であって、(a)使用方法、(b)使用方法および表面側の塗布状態、(c)裏面側の塗布状態を説明する図である。
図11は、第1実施形態の変形例(J)における塗布具の使用方法を説明する図である。
【0050】
まず、
図1から
図3により、第1実施形態における塗布具1について説明する。
図1から
図3に示すように、塗布具1は、塗布部材10と、塗布部材10に形成されたスリット部20と、スリット部20の内側面に形成される塗布部21と、指ガイド部35,36と、塗布部材10におけるスリット部20を除く表面を被覆するコーティング部30と、を有する。本実施においては、指ガイド部35,36は、コーティング部30の一部を構成する。
【0051】
塗布部材10は、塗布液11が含侵した部材である。本実施形態において、塗布部材10は、円筒形状であるが、これに限定されず、例えば、多角柱(筒)状、円錐状、角錐状、立方体状、球体状や楕円体状等であってもよい。
【0052】
塗布部材10(塗布具1)の径は、例えば、5から15mm、好ましくは7から13mm、更に好ましくは8から11mmであるが、特に限定されない。使用性、外観や、後述する外筒部の内径等に応じて、適宜設定できる。
また、塗布部材10(塗布具1)の長さは、例えば、1から10cm、好ましくは2から8cm、更に好ましくは2から5cmmであるが、特に限定されない。使用性、外観、使用態様(使用期間、使い捨て等)や後述する外筒部の長さ等に応じて、適宜設定できる。
【0053】
塗布部材10は、例えば、毛細管力によって塗布液11を含侵保持するものが好ましい。塗布部材10は、例えば、成形した繊維体(フェルト、合成繊維)や、複雑な断面形状のある合成樹脂体により構成される。詳細には、塗布部材10は、例えば、連続気泡を有する多孔質体等の合成樹脂体や、起毛体や植毛体等の繊維体であり、好ましくは各種繊維を集束し合成樹脂で接着して得られる繊維束体等であり、更に好ましくは気孔率が50%以上の繊維束体である。
【0054】
塗布部材10における端面5には、スリット部20(開口部20a)が形成されている。塗布部材10には、スリット部20の内側面に形成され、爪先部220に塗布液11を塗布可能な塗布部21が形成されている。
【0055】
また、塗布部材10は、スリット部20を除く表面を塗布液11が浸透しない材質の被膜により構成されるコーティング部30により被覆されている。本実施形態において、塗布部材10は、スリット部20(塗布部21)のみが外部空間に露出しており、他の部分は外部空間に露出していない(コーティング部を除く)状態である。
【0056】
塗布液11は、例えば、顔料インク、染料インク、塗料やマニキュア液等である。顔料インクは、例えば、油性顔料インク、水性顔料インク、無溶剤顔料インク、ゲル状顔料インク、エマルジョン顔料インク等である。また、染料インクは、例えば、油性染料インク、水性染料インク、無溶剤染料インク、ゲル状染料インク、エマルジョン染料インク等である。また、塗料は、油性塗料、水性塗料、無溶剤塗料、ラッカー、合成樹脂塗料、酒精塗料等である。マニキュア液は、上述の顔料インク、染料インク、塗料に含まれるものであるが、例えば、油性マニキュア液、水性マニキュア液、無溶剤マニキュア液等である。マニキュア液は、アクリルやニトロセルロースなどの合成樹脂を着色し有機溶剤に溶いた一般的なマニキュア液でもよく、有機溶剤等を含まない水性マニュキュア液でもよい。
【0057】
塗布液11は、上述のように顔料インク、染料インク、塗料やマニキュア液であり、好ましくは有機溶剤を含まない顔料インク、染料インク、塗料やマニキュア液であり、更に好ましくは水性系の顔料インク、染料インク、塗料やマニキュア液である。本実施形態においては、塗布液11として、水性顔料インクが使用される。塗布液11の色は、白色、赤色、紅色等、何色でもよく、透明または半透明であってもよい。また、塗布液11は、パールやラメ等を含むものであってもよい。
【0058】
スリット部20は、塗布部材10における表面から内部にかけて形成されている。スリット部20は、爪先部220が挿入可能なスリットである。本実施形態において、スリット部20は、塗布部材10における端面5から内部にかけて形成されている。スリット部は、挿入された爪先部と該塗布具1(塗布部材)との相対移動をガイド可能である。スリット部20には、塗布部21が形成される。ここで、爪先部220は、爪210の先端部分であり、指200における指先205から延出した部分である。
【0059】
本実施において、スリット部20の形状は、開口部20aは直線状であり、開口部20aのいずれの位置における深さも同じ深さである形状である。ここで、スリット部20の形状は、これに限定されず、例えば、開口部20aは曲線状であってもよく、開口部20aがのびる方向において、中央側が深く、両端側が浅い形状であってもよい。
【0060】
また、本実施形態において、スリット部20は、塗布部材10の長手方向に平行にのびるように形成されているが、これに限定されず、塗布部材10の長手方向に交差する方向にのびるように(傾いて)形成されていてもよい。
【0061】
また、本実施形態において、スリット部20は、塗布部材10の端面5に形成されているが、これに限定されず、他の面(例えば、側面)に形成されていてもよい。スリット部20は、塗布部材10の形状にかかわらず、所望の面に形成可能である。
【0062】
また、本実施形態において、スリット部20は、1つであるが、これに限定されず、複数であってもよい。また、複数のスリット部20は、塗布部材10における同じ面に形成されていてよく、複数の面に形成されていてもよい。
【0063】
塗布部21は、スリット部20の内側面に形成される。塗布部21は、少なくとも挿入された爪先部220の表面に塗布液11を塗布可能な塗布部である。本実施形態においては、塗布部21は、挿入された爪先部220の表面および/または裏面に塗布液11を塗布可能な塗布部である。また、本実施形態において、塗布部21は、挿入された爪先部220の表面および裏面の両面に塗布液11を塗布可能な塗布部である。
【0064】
塗布部21は、少なくも爪先部220の表面側を塗布可能な塗布面22(第1塗布面)を有する。本実施形態において、塗布部21は、爪先部220の表面側を塗布可能な塗布面22(第1塗布面)と、爪先部220の裏面側を塗布可能な塗布面24(第2塗布面)と、を有する。ここで、爪先部220の裏面は爪先部220における指先205側の面であり、爪先部220の表面は裏面と反対側の面であり爪210の表面の一部である。
【0065】
塗布面22(第1塗布面)は、スリット部20の内側面のうち、指ガイド部である第1指ガイド部35に指先205を当接した状態で挿入された爪先部220の表面に当接して塗布液を塗布可能な塗布面である。
【0066】
塗布面24(第2塗布面)は、スリット部20の内側面のうち、塗布面22(第1塗布面)と反対側の内側面である。塗布面24(第2塗布面)は、指ガイド部である第1指ガイド部35に指先205を当接した状態で挿入された爪先部220の裏面に当接して塗布液11を塗布可能な塗布面である。
【0067】
本実施形態において、塗布面22および塗布面24の形状は、平面状であるが、これに限定されず、曲面状、波状、1または複数の突部を有する形状であってもよい。また、塗布面22と塗布面24との間の距離は、爪先部220が挿入可能な距離であればよく、特に限定されない。塗布面22と塗布面24との間の距離は、例えば、爪先部220の表面および裏面の両面に塗布液11を塗布可能な距離に設定される。塗布面22と塗布面24との間の距離は、例えば、爪先部220が挿入された状態において、塗布面22および塗布面24が面当接する距離であってもよい。
【0068】
ここで、本実施形態においては、後述の通り、第2指ガイド部36も本発明の指ガイド部として機能するので、塗布面24を爪先部220の表面側を塗布する第1塗布面とすることも可能である。
【0069】
塗布部21は、塗布面22(第1塗布面)と塗布面24(第2塗布面)とにより、挿入された爪先部220を挟むようにして、爪先部220の表面および/または裏面に塗布液11を塗布可能に構成される。塗布部21は、塗布面22(第1塗布面)と塗布面24(第2塗布面)とにより挿入された爪先部220を挟むので、塗布具1の移動を好適にガイド可能であると共に、爪先部220の表面および/または裏面の両面に塗布液11を塗布可能である。塗布部21は、塗布面22(第1塗布面)と塗布面24(第2塗布面)とにより挿入された爪先部220を挟むので、塗布具1をゆっくりと少しずつ移動させることができるので、爪先部220に所望の塗布液11のラインを簡易に形成できる。本実施形態においては、爪先部220の表面および裏面にの両面に好適に塗布液11を塗布可能に構成される。
【0070】
指ガイド部35,36は、塗布部材10の表面におけるスリット部20の開口部20a近傍に配置される。指ガイド部35,36は、爪先部220をスリット部20に挿入した状態において指先205が当接する領域に配置される。指ガイド部35,36は、塗布液11の透過を抑制可能であり当接した指への塗布液11の付着を防止可能に構成される。ここで、本実施形態においては、2つの指ガイド部35,36を有する。
【0071】
本実施形態において、指ガイド部35,36は、塗布部材10の端面5に配置される。指ガイド部35,36は、塗布部材10の表面におけるスリット部20の開口部20a近傍に配置される。指ガイド部35,36は、爪先部220をスリット部20に挿入した状態において指先205が当接する領域に配置される。
指ガイド部35,36は、スリット部20における開口部20aの近傍に、該開口部20aがのびる方向に沿って配置されている。指ガイド部35,36における外縁は、スリット部20の開口部20aにおける外縁の全部または一部に重なるように配置されている。本実施形態においては、指ガイド部35,36における外縁は、スリット部20の開口部20aにおける外縁の全部に重なるように配置されている。
【0072】
指ガイド部35,36は、スリット部20に爪先部220が挿入された状態において、該塗布具1を爪先部220の外縁に沿って移動させた場合、指先205に当接して該塗布具の移動をガイドする。指ガイド部35,36は、爪先部220に塗布液11を塗布する作業において、塗布具1の移動をガイドする。指ガイド部35,36は、爪先部220に塗布液11を塗布する作業において、塗布具1の指先205の一方の端部から他方の端部への塗布具1の移動をガイドする。
【0073】
指ガイド部35,36は、塗布部材10の表面に直接配置された塗布液が浸透しない材質の被膜状部材である。本実施形態においては、指ガイド部35,36は、後述のコーティング部30の一部である。
指ガイド部35,36は、塗布液11の透過を抑制可能であり当接した指200(指先205)への塗布液11の付着を防止可能に構成される。指ガイド部35,36は、爪先部220に塗布液11を塗布するための塗布具1の移動において、該指ガイド部35,36に当接した状態で相対的に摺動移動する指先205に塗布液11が付着することを防止する。
【0074】
ここで、本実施形態において、指ガイド部35,36は、後述するコーティング部30の一部であるが、これに限定されず、例えば、塗布部材10の表面に直接配置された樹脂や金属等により構成されるシートや板状の部材、液体樹脂を塗布部材10に塗布して硬化させた硬化部、後述する外筒の一部を延出させて塗布部材10の表面に配置した延出部であってもよい。
【0075】
コーティング部30は、本実施形態において、塗布部材10におけるスリット部20を除く表面の全部または一部を被覆し、塗布液11が浸透しない材質の被膜により構成される。本実施形態において、コーティング部30は、塗布部材10におけるスリット部20を除く表面の全部を被覆し、塗布液11が浸透しない材質の被膜により構成される。コーティング部30は、塗布部材10の略全表面を被覆する。コーティング部30は、スリット部20のみ被覆せず、外部空間に露出させる。ここで、コーティング部30は、塗布液11が浸透しない材質の被膜により構成されるが、被膜は均一の厚さである必要はなく、また、表面が面状である必要はなく、塗布液11が含侵した塗布部材10に指が直接当接しないように形成されていればよい。
また、本実施形態においては、上述の通り、指ガイド部35,36は、後述のコーティング部30の一部である。
【0076】
コーティング部30は、例えば、熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂等を塗布部材10の表面に塗布して硬化させることで形成される。この場合、後述の通り、塗布部材10の表面にコーティング部30を形成した後、スリット部20を形成することで、好適に塗布具1を得ることができる。
【0077】
コーティング部30は、上述の熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂等のほか、樹脂や金属等により構成されるシートや板状の部材を塗布部材10の全表面に配置することでも形成可能である。また、コーティング部30は、ビニールシートや金属薄膜を全表面に貼り付けたり、ビニールシートや金属薄膜により構成される袋に収容等することでも形成可能である。また、コーティング部30は、インジェクション成型により形成されてもよい。
【0078】
本実施形態において、コーティング部30は、スリット部20(塗布部21)のみを外部空間に露出させ、他の部分は外部空間に露出させない。これにより、爪先部220に塗布液11を塗布する作業において、塗布作業者は、塗布具1を直接手に持って塗布作業をすることができる。
【0079】
また、本実施形態の塗布具1は、使い捨てタイプでもよく、塗布液11を補充して長期間使用できるタイプでもよい。塗布液11の補充は、例えば、塗布部21に塗布液11を滴下してもよく、注射器タイプの補充器で塗布液11を注入してもよい。
【0080】
続けて、
図4により、本実施形態の塗布具1の製造方法について説明する。
まず、塗布液含侵工程ST10において、塗布部材原料15に塗布液を含侵させる。これにより、塗布液11を含侵した塗布部材10が製造される。
【0081】
続けて、コーティング工程ST20において、塗布部材10の全表面に紫外線硬化性樹脂を塗布する。そして、塗布部材10の表面に塗布された紫外線硬化性樹脂に紫外線を照射して硬化させる。これにより、塗布部材10の全面を被覆するコーティング部30が形成される。また、これにより、塗布液11が含侵された塗布部材10と、塗布液11が浸透しない材質の被膜により構成されるコーティング部30とを有する塗布具原料部材17が製造される。ここで、塗布部材10の表面における一部に紫外線硬化性樹脂を塗布することも可能である。この場合、塗布部材10の一部がコーティング部30により被覆された塗布具原料部材17が製造される。
【0082】
続けて、スリット形成工程ST30において、コーティング部30により塗布液11が含侵された塗布部材10の全表面が被覆されている塗布具原料部材17に、スリット部20を形成する。これにより、塗布具1が製造される。
本製造方法は、塗布具1を製造する方法の一例であって、他の製造方法によっても塗布具1を製造することができる。
【0083】
図5により、塗布具1の使用方法について説明する。詳細には、塗布具1を用いて爪先部220に塗布液11を塗布する塗布方法について説明する。
まず、塗布作業者は、塗布具1におけるスリット部20に爪先部220を挿入する。
続けて、塗布作業者は、指先205を指ガイド部35に当接させる。
【0084】
続けて、塗布作業者は、スリット部20に爪先部220が挿入された状態において、塗布具1を爪先部220の外縁に沿って移動させる。これにより、爪先部220に所定幅で塗布液11を塗布することができる。本実施形態においては、爪先部220の表面および裏面の両方に塗布液11を塗布することができる。
【0085】
図6から
図11により、第1実施形態の塗布具における変形例について説明する。
図6には、スリット部が一つの塗布具における変形例(A)から(J)が例示されている。
図7には、スリット部が複数の塗布具における変形例(K)から(O)が例示されている。
図6に示すように、変形例(A)は、端面5側からみて直線状のスリット部20が両端に達しないように形成され、側面側を開口させていない変形例である。
【0086】
変形例(B)および(C)は、スリット部20が端面5側からみて曲線状であり、かつ、スリット部20の深さ方向の底面の形状が側面からみて曲線状である変形例である。変形例(B)は、スリット部20の深さが深く、変形例(C)は、スリット部20の深さが変形例(B)よりも浅く形成されている。また、変形例(B)は、端面5側からみてスリット部20が両端に達するように形成され、側面側を開口させている変形例であり、変形例(C)は、端面5側からみてスリット部20が両端に達しないように形成され、側面側を開口させていない変形例である。
【0087】
変形例(D)は、スリット部20が側面6に形成されると共に、スリット部20の深さ方向が塗布部材の長手方向に交差する方向である変形例である。
【0088】
変形例(E)および(F)は、端面の位置がスリット部20を挟んで異なる位置(高さ)に形成されている変形例である。変形例(E)は、端面5と、スリット部20を挟んだ端面5Eであって端面5よりも位置が低い端面5Eとを有する変形例である。同様に、変形例(F)は、端面5と、スリット部20を挟んだ端面5Fであって端面5よりも位置が低い端面5Fとを有する変形例である。また、変形例(E)は、端面5側からみてスリット部20が両端に達するように形成され、側面側を開口させている変形例であり、変形例(F)は、端面5側からみてスリット部20が両端に達しないように形成され、側面側を開口させていない変形例である。
【0089】
変形例(G)は、変形例(E)における端面5Eが曲面状である変形例である。詳細には、変形例(G)は、端面5と、スリット部20を挟んだ端面5Gであって端面5よりも位置が低く、かつ、端部側に向かうにしたがって位置が低くなる曲面状の端面5Gを有する変形例である。
【0090】
変形例(H)は、直線状のスリット部20が端面5に形成されると共に、スリット部20の深さ方向が塗布部材の長手方向に交差する方向である変形例である。
【0091】
変形例(I)は、直線状のスリット部20が端面5に形成されると共に、端面5が曲面状である変形例である。
【0092】
変形例(J)は、スリット部20が側面6に形成され、深さ方向が塗布部材における短手方向(径方向)に平行である変形例である。変形例(J)は、端面5と、端面5よりも位置が低い端面5Jとを有し、かつ、スリット部20の内面が端面5Jと連続するように形成されている変形例である。変形例(J)は、側面からみると変形例(E)の端面側の構造に類似している変形例である。
【0093】
続けて、
図7に示すように、変形例(K)から(N)は、端面5に2つのスリット部が平行に形成された変形例であり、変形例(O)は、端面5に2つのスリット部が十字状に形成された変形例である。
変形例(K)は、端面5が平面状であり、端面5の中央にスリット部20が直線状に形成され、スリット部20と平行に直線状のスリット部20Kが外縁側に形成されている変形例である。スリット部20とスリット部20Kとの長さが異なり、指の種類に応じて使用可能な変形例である。
【0094】
変形例(L)は、変形例(K)における端面が多段状である変形例であって、端面5と、該端面5とスリット部20を挟んで並ぶ端面5Laであって端面5よりも位置が低い端面5Laと、端面5Laとスリット部20Lを挟んで並ぶ端面5Lbであって端面5Laよりも位置が低い端面5Lbと、を有する変形例である。スリット部20とスリット部20Lとの深さが異なり、爪先部の長さに応じて使用可能な変形例である。
【0095】
変形例(M)は、変形例(L)における端面の一部が傾斜状である変形例であって、外側に向かうにしたがって位置が低くなるよう傾斜した端面5Maおよび端面5Mbを有する変形例である。爪先部の長さに応じて使用可能であると共に、指ガイド部として機能する端面5Maおよび端面5Mbが指先の形状に対応した変形例である。
【0096】
変形例(N)は、変形例(M)における端面の他の部分も傾斜状である変形例であって、端面5Naおよび端面5Nbとは反対側に傾斜する端面5Ncを有する変形例である。端面5Ncは、端面5Naおよび端面5Nbとは反対の外側に向かうにしたがって位置が低くなるよう傾斜する。爪先部の長さに応じて使用可能であると共に、指ガイド部として機能する端面5Naおよび端面5Nbが指先の形状に対応した変形例である。また、端面5Ncにコーティング部を形成しないことで、別途の塗布部を形成することができる。
【0097】
変形例(O)は、端面5に2つのスリット部が十字状に形成された変形例である。スリット部20とスリット部20Oとの長さが異なり、指の種類に応じて使用可能な変形例である。
【0098】
図9から
図11により、塗布具1の変形例における使用方法について説明する。詳細には、変形例の塗布具を用いて爪先部220に塗布液11を塗布する塗布方法について説明する。
図8により、変形例(B)の塗布具1Bの使用方法について説明する。塗布具1Bは、長い爪先部220の塗布に適した変形例である。
まず、塗布作業者は、塗布具1Bにおけるスリット部20に爪先部220を挿入する。塗布作業者は、長い爪先部220をスリット部20に挿入する。
【0099】
続けて、塗布作業者は、指先205を指ガイド部35に当接させる。例えば、この状態において、爪先部220の先端(外縁)は、スリット部20の底面に当接する。
【0100】
続けて、塗布作業者は、スリット部20に爪先部220が挿入された状態において、塗布具1Bを爪先部220の外縁に沿って移動させる。スリット部20の底面が曲線状であるので、塗布具1Bはスムースの曲線状に移動され、爪先部220に所定幅で曲線状の塗布ラインを形成できる。また、爪先部220の表面および裏面の両方に塗布液11を塗布することができる。
【0101】
図9により、変形例(C)の塗布具1Cの使用方法について説明する。塗布具1Cは、短い爪先部220の塗布に適した変形例である。
まず、塗布作業者は、塗布具1Cにおけるスリット部20に爪先部220を挿入する。塗布作業者は、短い爪先部220をスリット部20に挿入する。
【0102】
続けて、塗布作業者は、指先205を指ガイド部35に当接させる。例えば、この状態において、爪先部220の先端(外縁)は、スリット部20の底面に当接する。
【0103】
続けて、塗布作業者は、スリット部20に爪先部220が挿入された状態において、塗布具1Cを爪先部220の外縁に沿って移動させる。スリット部20の底面が曲線状であるので、塗布具1Cはスムースの曲線状に移動され、爪先部220に所定幅で曲線状の塗布ラインを形成できる。また、爪先部220の表面および裏面の両方に塗布液11を塗布することができる。
【0104】
また、長い爪先部220の塗布に塗布具1Cを使用することもできる。この場合、爪先部220の全部ではなく、爪先部220の外縁側に所定幅の塗布ラインを形成できる。
【0105】
図10により、変形例(E)の塗布具1Eの使用方法について説明する。塗布具1Eは、爪210に爪先部220を越えた太い塗布ラインを形成可能な変形例である。
まず、塗布作業者は、塗布具1Eにおけるスリット部20に爪先部220を挿入する。
【0106】
続けて、塗布作業者は、指先205を指ガイド部35に当接させる。例えば、この状態において、塗布面22は、爪210の表面側において爪先部220を越えた範囲に当接する(爪先部を含み爪先部より爪の根元側まで当接)。
【0107】
続けて、塗布作業者は、スリット部20に爪先部220が挿入された状態において、塗布具1Eを爪先部220の外縁に沿って移動させる。これにより、爪先部220に上述の実施形態や変形例よりも幅が広い塗布ラインを形成できる。爪先部220を越えた範囲まで塗布された幅広の塗布ラインを形成できる。また、爪先部220の表面および裏面の両方に塗布液11を塗布することができる。
【0108】
図11により、変形例(J)の塗布具1Jの使用方法について説明する。塗布具1Jは、上述の塗布具1Eと同様、爪210に爪先部220を越えた太い塗布ラインを形成可能な変形例である。
まず、塗布作業者は、塗布具1Jにおけるスリット部20に爪先部220を挿入する。
【0109】
続けて、塗布作業者は、指先205を指ガイド部35に当接させる。例えば、この状態において、塗布面22は、爪210の表面側において爪先部220を越えた範囲に当接する(爪先部を含み爪先部より爪の根元側まで当接)。
【0110】
続けて、塗布作業者は、スリット部20に爪先部220が挿入された状態において、塗布具1Jを爪先部220の外縁に沿って移動させる。これにより、爪先部220に変形例(E)と同様に、上述の実施形態や変形例よりも幅が広い塗布ラインを形成できる。爪先部220を越えた範囲まで塗布された幅広の塗布ラインを形成できる。また、爪先部220の表面および裏面の両方に塗布液11を塗布することができる。
【0111】
本実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
本実施形態によれば、塗布具は、塗布液が含侵した塗布部材と、塗布部材における表面から内部にかけて形成された爪先部が挿入可能なスリット部と、スリット部の内側面に形成され、挿入された爪先部の表面および/または裏面に塗布液を塗布可能な塗布部と、を有する。これにより、塗布作業者は、スリット部に爪先部を挿入することで、簡簡易に爪先部に一定の幅で塗布液を塗布することができる。
【0112】
また、スリット部は、挿入された爪先部と該塗布具(塗布部材)との相対移動をガイド可能である。これにより、塗布作業者は、挿入された爪先部と該塗布具(塗布部材)とを相対移動させること、例えば、塗布具を爪先部の外縁方向に移動させることで、簡易に爪先部に一定の幅で塗布液を塗布することができる。
【0113】
また、塗布具は、爪先部をスリット部に挿入した状態において指先が当接する領域に配置され、塗布液の透過を抑制可能であり当接した指への塗布液の付着を防止可能な指ガイド部とを有する。これにより、塗布作業者は、簡易に爪先部に一定の幅で塗布液を塗布することができる。例えば、塗布作業者は、利き手ではない手で作業した場合でも簡易に爪先部に一定の幅で塗布ラインを形成できる。また、これより、塗布具は、指先の塗布液を付着させることなく、爪先部に塗布ラインを形成可能に構成される。
【0114】
また、本実施形態によれば、指ガイド部がスリット部における開口の近傍に、該開口部がのびる方向に沿って配置されている。これにより、塗布具は、指先を指ガイド部に好適に当接させることができると共に、指先に塗布液が付着することを防止できる。
【0115】
また、本実施形態によれば、指ガイド部における外縁は、スリット部の開口部における外縁の全部または一部に重なるように配置されている。これにより、塗布具は、指先に塗布液が付着することを好適に防止できる。
【0116】
また、本実施形態によれば、指ガイド部は、スリット部に爪先部が挿入された状態において、塗布具を爪先部の外縁に沿って移動させた場合、指先に当接して該塗布具の移動をガイドする。これにより、塗布作業者は、簡易に爪先部に一定の幅で塗布液を塗布することができる。例えば、塗布作業者は、利き手ではない手で作業した場合でも簡易に爪先部に一定の幅で塗布ラインを形成できる。また、これより、塗布具は、指先の塗布液を付着させることなく、爪先部に塗布ラインを形成可能に構成される。
【0117】
また、本実施形態によれば、指ガイド部は、塗布部材の表面に直接配置された塗布液が浸透しない材質の被膜状部材である。これより、塗布具は、指先の塗布液を付着させることなく、爪先部に塗布ラインを形成可能に構成される。また、これにより、指ガイド部が被膜状であるので、爪先部の根元までスリット部に挿入可能であり、より好適な塗布ラインを形成可能である。
【0118】
また、本実施形態によれば、塗布具におけるスリット部を除く表面を被覆し、塗布液が浸透しない材質の被膜により構成されるコーティング部と、を更に有する。これにより、塗布作業者は、塗布具を直接手に持って塗布作業をすることができる。また、これにより、塗布作業者は、塗布領域の微妙な調整も好適にすることができる。
また、塗布具の表面がコーティングされているので、容器等が不要であり、小型化可能である。また、持ち運びにおいて、バックやポーチ等に直接入れることが可能である。本実施形態の塗布具は、小型で塗布液の付着も防止できるので、収容性や持ち運び性に優れている。
【0119】
また、本実施形態によれば、指ガイド部は、コーティング部の一部により構成されている。これにより、塗布具は、製造性に優れる。本実施形態によれば、塗布具は、例えば、塗布液が含侵された塗布部材と、塗布液が浸透しない材質の被膜により構成されるコーティング部とを有する塗布具原料部材であって、コーティング部により塗布液が含侵された塗布部材の全表面が被覆されている塗布具原料部材に、スリット部を形成することで製造される。塗布具は、簡易に製造可能であり、製造性に優れる。
【0120】
また、本実施形態によれば、塗布具は、スリット部の内側面のうち、指ガイド部に指先を当接した状態で挿入された爪先部の表面に当接して塗布液を塗布する第1塗布面を有する。これにより、塗布具は、爪先部の表面に塗布液を塗布可能である。
【0121】
また、本実施形態によれば、塗布具は、スリット部の内側面のうち、第1塗布面と反対側の内側面であって、指ガイド部に指先を当接した状態で挿入された爪先部の裏面に当接して塗布液を塗布する第2塗布面を更に有する。これにより、塗布具は、爪先部の裏面に塗布液を塗布可能である。
【0122】
また、本実施形態によれば、塗布部は、第1塗布面と第2塗布面とにより挿入された爪先部を挟むようにして、爪先部の表面および/または裏面に塗布液を塗布可能に構成される。これにより、塗布具は、爪先部の表面、裏面または両面に塗布液を塗布可能であると共に、スリット部により爪先部を挟んでいるので、好適に塗布作業が可能に構成される。塗布作業者は、塗布具を爪先部の外縁に沿って移動させて塗布液を塗布するが、爪先部がスリット部に挟まれた状態であるので、塗布具がブレたりしし難く、きれいな塗布ラインを形成することができる。スリット部(塗布部、第1塗布面および第2塗布面)は、指ガイド部とともに、塗布具の移動をガイドする機能を有する。
【0123】
また、本実施形態によれば、スリット部の形状は、開口部が直線状または曲線状であり、スリット部の深さは、開口部のいずれの位置における深さも同じ深さである。また、本実施形態によれば、スリット部の形状は、開口部が直線状または曲線状であり、該スリット部の深さは、開口部がのびる方向において、中央側が深く、両端側が浅い。また、本実施形態によれば、塗布具は、複数のスリット部を有する。これにより、塗布具は、様々なバリエーションを有する。塗布具は、爪先部の長さや形状、形成したい塗布ラインの形状、複数種類の爪への対応や使用性に応じて、スリット部の形状や深さ、端面の形状、指ガイド部の形状等を設定可能に構成される。
【0124】
続けて、
図12から
図14により、第2実施形態における塗布具について説明する。
図12は、第2実施形態の塗布具を説明する図であって、(a)塗布具の上面図、(b)塗布具の正面図である。
図13は、第2実施形態における塗布具の製造方法を説明する図である。
図14は、第2実施形態の塗布具の使用方法を説明する図であって、(a)使用方法および表面側の塗布状態、(b)裏面側の塗布状態を説明する図である。なお、第1実施形態と同様の構成等については説明を省略し、相違する構成等について説明する。説明されていない構成等については、上述の第1実施形態における説明を援用する。
【0125】
図12に示すように、第2実施形態の塗布具100は、塗布面コーティング部24Aを有する点で、第1実施形態の塗布具と相違する。
具体的には、塗布具100における塗布部120は、スリット部20の内側面のうち、塗布面22(第1塗布面)と反対側の内側面の表面に配置され、塗布液11が浸透しない材質の被膜により構成される塗布面コーティング部24Aを更に有する。本実施形態において、塗布部120は、塗布面24(第2塗布面)の表面に配置され、塗布液11が浸透しない材質の被膜により構成される塗布面コーティング部24Aを更に有する。ここで、本実施形態においては、塗布面24(第2塗布面)は、塗布面コーティング部24Aにより表面が被覆されているので、爪先部220に塗布液11を塗布することはできない状態になっている。塗布面24(第2塗布面)は、塗布面コーティング部24Aが無い場合には塗布面として機能する面であり、他の実施形態との構造的な共通部分であり、他の実施形態での説明の流れとの関係で同様の名称を使用している。
【0126】
塗布面コーティング部24Aは、スリット部20の内側面のうち、塗布面22(第1塗布面)と反対側の内側面である塗布面24(第2塗布面)の表面を被覆する塗布液11が浸透しない材質の被膜である。そのため、塗布具100において、塗布面24(第2塗布面)は爪先部220の裏面を塗布液11で塗布できないように構成される。言い換えると、本実施形態の塗布具100は、爪先部220の表面側のみに塗布ラインを形成可能に構成される。
【0127】
続けて、
図13により、第2実施形態の塗布具100における製造方法について説明する。本実施形態の塗布具100における製造方法は、塗布面コーティング部24Aを形成する塗布面コーティング工程を更に有する点で、第1実施形態の塗布具1における製造方法と相違する。
まず、塗布液含侵工程ST110において、塗布部材原料15に塗布液を含侵させる。これにより、塗布液11を含侵した塗布部材10が製造される。
【0128】
続けて、コーティング工程ST120において、塗布部材10の全表面に紫外線硬化性樹脂を塗布する。そして、塗布部材10の表面に塗布された紫外線硬化性樹脂に紫外線を照射して硬化させる。これにより、塗布部材10の全面を被覆するコーティング部30が形成される。また、これにより、塗布液11が含侵された塗布部材10と、塗布液11が浸透しない材質の被膜により構成されるコーティング部30とを有する塗布具原料部材17が製造される。
【0129】
続けて、スリット形成工程ST130において、コーティング部30により塗布液11が含侵された塗布部材10の全表面が被覆されている塗布具原料部材17に、スリット部20を形成する。
【0130】
続けて、塗布面コーティング工程ST140において、スリット形成工程ST130において形成されたスリット部20の内側面のうち、塗布面22(第1塗布面)と反対側の内側面の表面に塗布面コーティング部24Aを形成する。つまり、塗布面コーティング工程ST140において、スリット形成工程S130により形成されたスリット部20の内側面である塗布面24(第2塗布面)の表面に塗布面コーティング部24Aを形成する。例えば、塗布面24(第2塗布面)の表面に紫外線硬化性樹脂を塗布する。そして、塗布面24の表面に塗布された紫外線硬化性樹脂に紫外線を照射して硬化させる。これにより、塗布面24の表面を被覆する塗布面コーティング部24Aが形成される。詳細には、塗布面24の表面に塗布液11が浸透しない材質の被膜である塗布面コーティング部24Aが形成される。
これにより、第2実施形態の塗布具100を製造することができる。本製造方法は、塗布具100を製造する方法の一例であって、他の製造方法によっても塗布具100を製造することができる。
【0131】
図14により、塗布具100の使用方法について説明する。詳細には、塗布具100を用いて爪先部220に塗布液11を塗布する塗布方法について説明する。
まず、塗布作業者は、塗布具100におけるスリット部20に爪先部220を挿入する。
【0132】
続けて、塗布作業者は、指先205を指ガイド部35に当接させる。例えば、この状態において、爪先部220の表面は、塗布面22に当接され、爪先部220の裏面は、塗布面コーティング部24Aに当接される。爪先部220の裏面は、塗布面24(第2塗布面)には当接されない。
【0133】
続けて、塗布作業者は、スリット部20に爪先部220が挿入された状態において、塗布具100を爪先部220の外縁に沿って移動させる。これにより、爪先部220の表面のみに所定幅で塗布ラインを形成できる。本実施形態においては、爪先部220の表面のみに塗布液11を塗布し、裏面には塗布しないようにすることができる。
【0134】
本実施形態によれば、第1実施形態における効果のほか、以下の効果を奏する。
本実施形態によれば、塗布部は、第2塗布面の表面に配置され、塗布液が浸透しない材質の被膜により構成される塗布面コーティング部を更に有する。これにより、塗布具は、爪先部の表面側のみに塗布ラインを形成することができる。
【0135】
また、本実施形態によれば、塗布具は、スリット形成工程により形成されたスリット部の内側面である第2塗布面の表面に塗布面コーティング部を形成することで製造される。塗布具は、第2塗布面の表面に、塗布液が浸透しない材質の被膜である塗布面コーティング部を形成することで製造される。これにより、第2実施形態の塗布具は、第1実施形態の塗布具を製造した後、第2塗布面の表面に塗布面コーティング部を形成することで製造することができる。また、これにより、第2実施形態の塗布具は、第1実施形態の塗布具の製造ラインに塗布面コーティング形成工程を付加することで製造することができる。第2実施形態の塗布具は、第1実施形態の塗布具と同じ製造ライン(スリット形成工程まで共通)により製造可能である。
【0136】
続けて、
図15から
図17により、第3実施形態における塗布具について説明する。
図15は、第3実施形態の塗布具を説明する概略図である。
図16は、第3実施形態の塗布具の使用方法を説明する図であって、(a)使用方法および表面側の塗布状態、(b)裏面側の塗布状態を説明する図である。
図17は、第3実施形態の塗布具における変形例を説明する図であって、変形例(A)から(C)を説明する図である。なお、第1実施形態または第2実施形態と同様の構成等については説明を省略し、相違する構成等について説明する。説明されていない構成等については、上述の第1実施形態または第2実施形態における説明を援用する。
【0137】
図15に示すように、第3実施形態の塗布具110は、第1実施形態または第2実施形態の塗布具を収容する外筒部300を有する点で、上述の塗布具と相違する。本実施形態の塗布具110は、ペンタイプの塗布具として使用可能なペン型塗布具である。
具体的には、本実施形態のペン型塗布具110は、第1実施形態または第2実施形態の塗布具1(100)を一部が露出した状態で収容する外筒部300と、を更に有する。そして、スリット部20の開口部20aおよび指ガイド部35は、塗布具1(100)における露出した部分である露出部105に配置されている。ここで、露出部150は、外筒部300から端面のみが露出したものでもよく、端面を含めた一定部分が露出したものであってもよい。
【0138】
外筒部300は、塗布具1(100)を収容する収容部310と、塗布作業者が把持する把持部320と、を有する。
収容部310は、塗布具1(100)を一部が露出した状態で収容する筒状の部分である。収容部310は、内側面に配置される複数の保持部315により塗布具1(100)を保持する。
【0139】
把持部320は、塗布作業者が把持する部分である。塗布作業者は、把持部320を握って塗布作業を行う。把持部320の内部には、塗布具1(100)の一部が収容配置されていてもよい。
【0140】
塗布具1(100)は、上述の通り、端面5側の一部が外部に露出して外筒部300に収容配置される。塗布具1(100)において、塗布作業に必要な部分が露出して配置されている。スリット部20の開口部20aおよび指ガイド部35は、塗布具1(100)における露出した部分である露出部105に配置されている。
【0141】
続けて、
図16により、ペン型塗布具110の使用方法について説明する。詳細には、塗布具110を用いて爪先部220に塗布液11を塗布する塗布方法について説明する。
まず、塗布作業者は、外筒部300における把持部320を握り、塗布具1におけるスリット部20に爪先部220を挿入する。
【0142】
続けて、塗布作業者は、指先205を指ガイド部35に当接させる。
続けて、塗布作業者は、スリット部20に爪先部220が挿入された状態において、外筒部300に収容された塗布具1を爪先部220の外縁に沿って移動させる。これにより、爪先部220に所定幅で塗布ラインを形成できる。本実施形態においては、爪先部220の表面および裏面の両方に塗布液11を塗布することができる。
【0143】
図17により、第1実施形態の塗布具における変形例について説明する。
図17には、塗布具110における変形例(A)から(C)が例示されている。
図17に示すように、変形例(A)は、外筒部300の収容部310における先端側が傾斜状に形成されている変形例である。ペン型塗布具110Aにおいて、収容部310の先端部は、径方向外側に向かうにしたがって把持部320側に向かう環状の傾斜面314を有する。これにより、塗布作業時において、指がぶつかる部分が少なくなり、塗布作業における作業性が向上する。
【0144】
また、変形例(B)は、第1実施形態における変形例(E)の塗布具1Eが外筒部300に収容配置された変形例であり、外筒部300における収容部310が塗布具1の端面形状に対応した形状の変形例である。ペン型塗布具110Bにおいて、収容部310の先端は2段になっており、指ガイド部36に対応した第1段部316と、指ガイド部35に対応した第2段部317と、を有する。
【0145】
また、変形例(C)は、塗布面22を有する肉薄部119が外筒部300から突出した変形例であり、外筒部300における収容部310が塗布面22を有する肉薄部119を外部に突出させる形状の変形例である。ペン型塗布具110Cにおいて、塗布具1Pは、塗布面22を有する部分であって、肉薄である肉薄部119を有する。収容部310の先端は2段になっており、指ガイド部35に対応した平坦部318と、肉薄部119を突出させる傾斜部319と、を有する。これにより、塗布作業において、肉薄部119が爪先部220の形状に対応して微変形するので、ペン型塗布具110Cは、塗布作業性に優れる。
【0146】
本実施形態によれば、第1実施形態および第2実施形態における効果のほか、以下の効果を奏する。
本実施形態によれば、塗布具は、第1実施形態および第2実施形態の塗布具を一部が露出した状態で収容する外筒部と、を更に有する。そして、スリット部の開口部および指ガイド部は、第1実施形態および第2実施形態の塗布具における露出した部分である露出部に配置されている。これにより、本実施形態のペン型塗布具110は、ペンタイプの塗布具として使用可能である。ペンタイプの塗布具になれた塗布作業者には好適な態様である。また、これによれば、塗布作業者は、把持部を持つ位置を調整することで、各自にとって好適な使用性を得ることができる。
【0147】
続けて、
図18により、第4実施形態における塗布具について説明する。
図18は、第4実施形態の塗布具における実施例を説明する図であって、実施例(A)から(E)を説明する図である。なお、第1実施形態から第3実施形態と同様の構成等については説明を省略し、相違する構成等について説明する。説明されていない構成等については、上述の第1実施形態から第3実施形態における説明を援用する。
【0148】
図18に示すように、第4実施形態の塗布具は、外筒部が薄壁状である点で第3実施形態における塗布具と相違する。本実施形態の塗布具は、ペンタイプの塗布具として使用可能なペン型塗布具である。
具体的には、本実施形態のペン型塗布具520AからEは、第1実施形態または第2実施形態の塗布具1(100)を一部が露出した状態で収容する薄壁状の外筒部400を有する。スリット部20の開口部20aおよび指ガイド部35は、塗布具1(100)における露出した部分である露出部に配置されている。
【0149】
外筒部400は、塗布具1(100)を収容する中空部を有する薄壁状の部分である。外筒部400は、例えば、ストロー状の部材により構成される。外筒部400は、中空部を有し、該中空部に塗布具1(100)を収容して保持する。外筒部400は、中空部の一端側に塗布具1(100)を収容して保持すると共に、他端部が封止されている。ここで、外筒部は、中空部内の気体体積の変化(膨張、収縮)による影響を抑制するための1または複数の通気孔を有していてもよい。
【0150】
外筒部400は、中空部の内側面と塗布具1(100)の外側面とを密着させることで塗布具1(100)を保持してもよく、塗布具1(100)の端面の外周や外側面に接着材を塗布して接着することで固定してもよい。
【0151】
外筒部400の長さは、例えば、3から15cm、好ましくは5から12cm、更に好ましくは6から10cmであるが、特に限定されない。外筒部400の長さは、使用性や外観に応じて、適宜設定できる。
外筒部400の内径は、塗布具1(100)の径と同様に設定できる。外筒部400の内径は、例えば、5から15mm、好ましくは7から13mm、更に好ましくは8から11mmであるが、特に限定されない。塗布具1(100)の径や保持方法に応じて、適宜設定できる。
【0152】
図18に示すように、実施例(A)のペン型塗布具520は、第1実施形態または第2実施形態の塗布具1(100)と、該塗布具1(100)を一部が露出した状態で収容する薄壁状の外筒部400と、を有する。本実施例においては、塗布具1(100)の端面のみ外部空間に露出して配置されている。塗布具1(100)は、外筒部400の中空部における一端側に、スリット部20の開口部および指ガイド部35が露出した状態で収容配置される。また、外筒部400の他端側は、例えば、圧着やヒートシールにより封止されている。
【0153】
実施例(B)は、実施例(A)における外筒部400が短い例である。他の構成については、実施例(A)と同様である。ペン型塗布具520Bは、長さが短いペン型塗布具であり、収納性等に優れている。
【0154】
実施例(C)は、実施例(A)における塗布具1(100)の端面および一部分が外部に露出した例である。ペン型塗布具520Cは、外筒部400の端部における爪先部220の位置規制を端面より下方(スリット部20の開口より奥)で行うので、ペン型塗布具520Aよりも爪先部220をスリット部20に深く挿入することができ、また、爪先部220のスリット部20の深さ方向に対する傾斜度合いを大きくすることができる。これにより、ペン型塗布具520Cは、使用性に優れている。
【0155】
実施例(D)は、実施例(A)における外筒部400に固定部材410が収容配置された例である。ペン型塗布具520Dは、外筒部400の中空部における他端側に収容配置される固定部材410を有する。本実施形態において、固定部材410は、塗布具1(100)に当接して塗布具1(100)の移動を規制する。また、固定部材410は、外筒部400の中空部内の空間を少なくする(無くする)ように配置され、内部気体の体積変化による影響を抑制する。
【0156】
実施例(E)は、実施例(D)にける固定部材が外筒部400と同様の薄壁状の円筒部材(例えば、樹脂製のストロー状部材)である例である。ペン型塗布具520Eは、外筒部400の中空部における他端側に収容配置される固定部材411を有する。固定部材411は、径が外筒部400より小さく、長さも外筒部より短い円筒部材であり、外筒部400の中空部に2重管のような態様で収容配置されている。また、外筒部400および固定部材411の他端側は、例えば、圧着やヒートシールにより一体的に封止されている。本実施形態において、固定部材411は、塗布具1(100)に当接して塗布具1(100)の移動を規制する。また、固定部材411は、外筒部400の中空部内の空間を調整ように配置され、内部気体の体積変化による影響を抑制する。ここで、上述のように、外筒部400および/または固定部材411は、中空部内の気体体積の変化(膨張、収縮)による影響を抑制するための1または複数の通気孔を有していてもよい
【0157】
本実施形態によれば、第1実施形態から第3実施形態における効果のほか、以下の効果を奏する。
本実施形態によれば、ペン型塗布具は、ペンタイプの塗布具として使用可能である。ペンタイプの塗布具になれた塗布作業者には好適な態様である。
また、本実施形態によれば、ペン型塗布具は、中空部を有する薄膜状の外筒部材を使用して製造できるので、製品コストを低減可能である。また、本実施形態のペン型塗布具は、例えば、ストロー状の外筒部に塗布具(塗布部材、塗布具原料部材)を挿入して接着固定するだけで製造することができるので、製造が簡易であり、かつ、製造コストを低減可能である。
【0158】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
上述の実施形態において、塗布部材に指ガイド部が形成されているが、これに限定されず、例えば、指ガイド部が形成されていない形態でもよい。この形態においては、スリット部が挿入された爪先と塗布具との相対移動をガイドする。スリット部は、主には塗布具における爪先部の外縁方向への移動をガイドする。また、スリット部は、爪先部が第1塗布面からの離間を抑制するよう爪先部と塗布具との相対移動をガイドする。
【0159】
また、上述の実施形態において、コーティング部は塗布部材の全表面に形成されているが、これに限定されず、塗布部材の表面の一部に形成されていてもよい。例えば、スリット部が形成された端面のみに形成されていてもよく、外筒から露出した部分のみに形成されていてもよい。
また、コーティング部は、硬化性樹脂等を塗布部材の表面にコーティングして形成するほか、例えば、上述の通り、インジェクション成型によっても形成できる。また、例えば、インジェクション成型により、指ガイド部、コーティング部および外筒部を一体的に形成することができる。このように成型した場合、例えば、指ガイド部およびコーティング部に対応する部分の膜厚を薄く、外筒部に対応する部分の膜厚を厚く成型することができる。
【0160】
また、上述の実施形態において、指ガイド部、コーティング部および塗布面コーティング部は、例えば、紫外線硬化性樹脂等のコーティング剤を塗布部材の表面等に塗布して形成されているが、これに限定されず、塗布部材の表面を溶融させ固化させることで形成されてもよい。指ガイド部、コーティング部および塗布面コーティング部の1以上は、例えば、合成樹脂素材により構成されてている塗布部材の表面等を加熱することで溶融させて形成することもできる。また、塗布部材の表面を加熱等により溶融させた状態で外筒部等に収容配置することもできる。この場合、指ガイド部、コーティング部および塗布面コーティング部の1以上の形成と、塗布部材の外筒部への固定とを行うとができる。
【0161】
また、上述の実施形態において、外筒部は、内側面に配置される複数の保持部により塗布具を保持しているが、これに限定されない。例えば、上述の通り、外筒部の内面と塗布具の外面とが密着することで保持されるようにしてもよく、外筒部の内面と塗布具の外面との間を接着剤等により固定してもよく、また、指ガイド部やコーティング部の一部を利用して(例えば、形成する際に塗布具(塗布部材)と外筒部の端部とにコーティング剤を塗布して)塗布具と外筒部とを固定するようにしてもよい。
【0162】
また、上述の実施形態においては、外筒部は主に細長の中空部を有する中空部材であるが、これに限定されず、塗布液が含侵された塗布具を収容する収容部を有していれば、形状や構造は特に限定されない。例えば、収容部を有する立方体状であってよく、球体状であってもよく、曲線状に湾曲した形状であってもよく、持ちやすいように工夫された形状であってもよい。
【0163】
また、上述の塗布具(ペン型塗布具を含む)は、塗布部からの塗布液の蒸発を抑制可能であって、該塗布具に着脱可能なキャップ部を更に有していてもよい。これにより、外部空間に露出した塗布部から塗布液の成分が蒸発することを抑制できるため好ましい。
【0164】
また、上述の実施形態における塗布具は、上述で説明した製造方法に限定されず、様々な方法で製造される。
例えば、第1実施形態の塗布具を製造する製造方法として、塗布部材の表面にコーティング部を形成するコーティング工程と、コーティング部が形成された塗布部材にスリット部を形成するスリット工程と、スリット工程の後に塗布液を塗布部材に含侵させる塗布液含侵工程と、を含む製造方法を例示できる。
【0165】
例えば、第2実施形態の塗布具を製造する製造方法として、塗布部材にスリット部を形成するスリット形成工程と、スリット部が形成された塗布部材の表面におよびスリット部にコーティング部および塗布コーティング部を形成するコーティング工程と、スリット部(内側面)に形成された塗布面コーティング部の一方を除去(例えば、切削等)するコーティング除去工程と、コーティング除去工程の後に塗布液を塗布部材に含侵させる塗布液含侵工程と、を含む製造方法を例示できる。
【0166】
また、例えば、第3実施形態または第4実施形態のペン型塗布具を製造する製造方法として、塗布部材を外筒部に収容させる収容工程と、外筒部から露出している塗布部材の露出部(例えば、端面)の表面にコーティング部を形成するコーティング工程(指ガイド部形成工程を兼ねる場合がある)と、コーティング部が形成された塗布部材の露出部(例えば、端面)にスリット部を形成するスリット工程と、スリット工程の後に塗布液を塗布部材に含侵させる塗布液含侵工程と、を含む製造方法を例示できる。
【符号の説明】
【0167】
1 塗布具
5 端面
7 側面
10 塗布部材
11 塗布液
20 スリット部
20a 開口部
21 塗布部
22 塗布面(第1塗布面)
24 塗布面(第2塗布面)
30 コーティング部
35 指ガイド部
200 指
205 指先
210 爪
220 爪先部
300 外筒部
310 収容部