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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101019
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】経口組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/10 20160101AFI20240719BHJP
【FI】
A23L33/10
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024086884
(22)【出願日】2024-05-29
(62)【分割の表示】P 2022071950の分割
【原出願日】2018-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】友澤 寛
(72)【発明者】
【氏名】尾上 貴俊
(72)【発明者】
【氏名】三井 雄史
(72)【発明者】
【氏名】高垣 欣也
(57)【要約】
【課題】 筋肉組織の維持・増強作用を有する経口組成物を提供すること。
【解決手段】 ケールとプロテイン、桑及びスクラロースから選ばれる少なくとも1種の他素材を含有することを特徴とする経口組成物である。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケールとプロテイン、桑及びスクラロースから選ばれる少なくとも1種の他素材とを含有することを特徴とする経口組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケールを含有する経口組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康に対する関心の高まり等を背景に、種々の健康食品の開発が行われており、健康食品に用いられる様々な素材の研究が行われている。
【0003】
例えば、ケールは、キャベツなどと同じアブラナ科植物の1種であり、ビタミンCなどのビタミン類、ミネラル類、食物繊維、クロロフィルなどに富み、また、胃炎や胃潰瘍の予防、肝機能の改善や便秘に有効であるなど、人体の健康維持に適する健康素材として注目を浴びている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、健康志向と同様に安全志向の高い昨今では、日常的に食されているケールのような安全な素材を用いたものが好まれ、このような食経験のあるケールが有する有用な機能をより活用することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-171932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、筋肉組織の維持・増強作用を有するケール含有経口組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、ケールと共に、特定の素材(他素材)を用いることにより、優れた筋芽細胞の増殖作用が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
[1]ケールと、プロテイン、ギムネマ、スクラロース、桑及びクマザサから選ばれる少なくとも1種の他素材とを含有することを特徴とする経口組成物。
[2]少なくとも2種の他素材を含有することを特徴とする上記[1]記載の経口組成物。
[3]ダイエットのために用いられることを特徴とする上記[1]又は[2]記載の経口組成物。
[4]ケールの乾燥粉末を含むことを特徴とする上記[1]~[3]のいずれか記載の経口組成物。
[5]ケールの乾燥粉末が、ケールの乾燥緑葉を粉砕し粉末化した乾燥粉末であることを特徴とする上記[4]記載の経口組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明の経口組成物は、優れた筋肉組織の維持・増強作用を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の組成物(ケール+クマザサ(+クマザサ以外の他素材))の分散試験の結果を示すグラフである。
図2】本発明の組成物(ケール+桑葉(+桑葉以外の他素材))の分散試験の結果を示すグラフである。
図3】本発明の組成物(ケール+プロテイン(+プロテイン以外の他素材))の分散試験の結果を示すグラフである。
図4】本発明の組成物(ケール+ギムネマ(+ギムネマ以外の他素材))の分散試験の結果を示すグラフである。
図5】本発明の組成物(ケール+スクラロース(+スクラロース以外の他素材))の分散試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の経口組成物は、ケールと、プロテイン、ギムネマ、スクラロース、桑及びクマザサから選ばれる少なくとも1種の他素材とを含有することを特徴とする。
【0012】
本発明の経口組成物は、優れた筋芽細胞の増殖作用を有し、筋肉組織の維持・増強を図ることができる。また、筋肉組織はエネルギー代謝が活発な組織であるため、この筋肉組織の維持・増強が図られることにより基礎代謝量が維持・増加し、ひいては肥満予防及び/又は解消作用によるダイエット効果を得ることができる。
【0013】
また、本発明のケール及び少なくとも1種以上の他素材を含む経口組成物は、ケール単独に比して高い分散性を有する。すなわち、本発明の経口組成物は、凝集しにくい粉体(粉末)である。この分散性の高い経口組成物は、単に混合するだけで調製できるものであり、その調製も容易である。例えば、凝集性が強く、塊を形成しやすい原料を混合する際には、その原料について粉砕機を用いた解砕等の前処理を行い、原料の流動性を確保したうえで仕込み、さらに、仕込み後は、再凝集しないようできるだけ速やかに給気し、流動を開始する必要があることが知られているが、このような煩雑な操作を行う必要がない。また、凝集性が強く、塊を形成しやすい原料と賦形剤を予め混合することで付着性を緩和できる場合があることも知られているが、このような添加も必要ない。
【0014】
また、ケール及び少なくとも1種以上の他素材を含む本発明の組成物は分散性が高いことから、さらにケール及び他素材以外の素材を混合して本発明の経口組成物とする場合にも、上記のような煩雑な操作を行う必要がなく、単に混合するだけで調製することができる。
【0015】
[ケール]
ケールは、アブラナ科植物である。本発明において用いるケールの品種は特に制限されるものではなく、キッチンケール、ツリーケール、ブッシュケール、マローケール、コラード、緑葉カンラン等の様々な種類のケールを用いることができる。ケールは、収穫後、直ちに乾燥、粉砕等の加工処理を施したものであることが好ましい。処理までに時間を要する場合には、ケールの変質を防ぐために低温貯蔵などの当業者が通常用いる貯蔵手段により貯蔵することが好ましい。本発明において用いる部位としては、葉が好ましく、葉の中でも緑葉が好ましい。また、葉と共に茎を含んでいてもよい。
【0016】
ケールは、粉砕物、搾汁、抽出物等として用いることができる。粉砕物としては、乾燥粉末、細片化物及びその乾燥物(乾燥細片化物)等を挙げることができる。搾汁や抽出物は、液状であってもよいが、ペースト状や乾燥粉末(搾汁末、エキス末)として用いることもできる。抽出物は、適当な溶媒を用いて抽出することで得ることができ、溶媒としては、例えば、水(温水、熱水)、エタノール、含水エタノールを用いることができる。ケールは、ケールの含有する栄養成分を有効に活用できることから、ケールの乾燥緑葉が好ましく、細片化物及びその乾燥物(乾燥細片化物)がより好ましく、粉砕し粉末化した乾燥粉末であることが特に好ましい。また、ケールの乾燥粉末は、粒径75μm以下のものが60%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、90%以上であることが特に好ましい。
【0017】
[他素材]
ケールと共に用いられる他素材は、プロテイン、ギムネマ、スクラロース、桑及びクマザサから選ばれる少なくとも1種であり、これらの他素材を少なくとも2種組み合わせて用いることが好ましい。他素材を2種以上組み合わせる場合、プロテイン及び桑の組合せ、又はギムネマ及びスクラロースの組合せが特に好ましい。すなわち、ケール、プロテイン及び桑を含む経口組成物、並びにケール、ギムネマ及びスクラロースを含む経口組成物は、その組合せの相乗的な作用により、特に優れた筋芽細胞の増殖作用を発揮することから好ましく、特に優れたダイエット(抗肥満)効果を期待することができる。
【0018】
(プロテイン)
プロテインは、動物や植物に含まれるタンパク質を抽出・精製したものであり、市販品を用いることができる。本発明においては、粉末状のものが好ましい。動物由来のプロテインとしては、例えば、ホエイプロテイン、カゼインプロテイン、エッグプロテイン、ビーフプロテイン等を挙げることができ、植物由来のプロテインとしては、例えば、ソイプロテイン、ピープロテイン、ライスプロテイン等を挙げることができる。本発明においては、植物由来のプロテインを用いることが好ましく、ケールと組み合わせることで、特に優れた筋芽細胞の増殖作用を発揮することから、中でも、大豆由来のプロテイン(ソイプロテイン)を用いることがより好ましい。また、ケールと組み合わせることで、特に優れた分散性向上作用を発揮することから、ソイプロテインは乾物換算でタンパク質含量が50%以上のものが好ましく、70%以上のものが好ましく、90%以上のものが特に好ましい。
【0019】
(ギムネマ)
ギムネマは、インドやスリランカを原産とするキョウチクトウ科に属する蔓性植物であり、例えば、Gymnema sylvestre(ギムネマシルベスタ)を挙げることができる。本発明において用いる部位としては、葉が好ましい。また、葉と共に茎を含んでいてもよい。ギムネマは、粉砕物、搾汁、抽出物等として用いることができる。粉砕物としては、乾燥粉末、細片化物及びその乾燥物(乾燥細片化物)等が挙げられる。搾汁や抽出物は、液状であってもよいが、ペースト状や乾燥粉末(搾汁末、エキス末)として用いることもできる。抽出物は、適当な溶媒を用いて抽出することにより得ることができ、溶媒としては、例えば、水(熱水)、エタノール、含水エタノールを用いることができる。本発明においては、ギムネマの乾燥粉末が好ましく、ケールと組み合わせることで、特に優れた筋芽細胞の増殖作用を発揮することから、ギムネマの葉の含水アルコール抽出物の乾燥粉末を用いることがより好ましい。また、ギムネマの葉の乾燥粉末は、ケールと組み合わせることで、特に優れた分散性向上作用を発揮することから、ギムネマ酸含量が5~80%であることが好ましく、10~60%であることがより好ましく、20~40%であることが特に好ましい。
【0020】
(スクラロース)
スクラロースは、蔗糖を原料として製造され、蔗糖の約600倍の甘味度を有する安全性の高いノンカロリー高甘味度甘味料である。本発明においては、液状、粉末状、固体状等の各種形態のものを用いることができ、市販品を用いることができる。本発明においては、粉末状のものが好ましく、ケールと組み合わせることで、特に優れた分散性向上作用を発揮することから、粒径は20メッシュ以下のものが80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、99%以上であることが特に好ましい。
【0021】
(桑)
桑は、クワ科植物である。本発明において用いる部位としては、葉が好ましく、葉の中でも緑葉が好ましい。また、葉と共に茎を含んでいてもよい。桑は、粉砕物、搾汁、抽出物等として用いることができる。粉砕物としては、乾燥粉末、細片化物及びその乾燥物(乾燥細片化物)等が挙げられる。搾汁や抽出物は、液状であってもよいが、ペースト状や乾燥粉末(搾汁末、エキス末)として用いることもできる。抽出物は、適当な溶媒を用いて抽出することにより得ることができ、溶媒としては、例えば、水(熱水)、エタノール、含水エタノールを用いることができる。本発明においては、桑の乾燥粉末が好ましく、ケールと組み合わせることで、特に優れた筋芽細胞の増殖作用を発揮することから、桑の乾燥緑葉を粉砕し粉末化した乾燥粉末を用いることがより好ましい。また、ケールと組み合わせることで、特に優れた分散性向上作用を発揮することから、桑の乾燥粉末は、粒径75μm以下のものが60%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、90%以上であることが特に好ましい。
【0022】
(クマザサ)
クマザサ(熊笹)は、イネ科植物である。本発明において用いる部位としては、葉が好ましく、葉の中でも緑葉が好ましい。また、葉と共に茎を含んでいてもよい。クマザサは、粉砕物、搾汁、抽出物等として用いることができる。粉砕物としては、乾燥粉末、細片化物及びその乾燥物(乾燥細片化物)等が挙げられる。搾汁や抽出物は、液状であってもよいが、ペースト状や乾燥粉末(搾汁末、エキス末)として用いることもできる。抽出物は、適当な溶媒を用いて抽出することにより得ることができ、溶媒としては、例えば、水(熱水)、エタノール、含水エタノールを用いることができる。本発明においては、クマザサの乾燥粉末が好ましく、ケールと組み合わせることで、特に優れた筋芽細胞の増殖作用を発揮することから、クマザサの乾燥緑葉を粉砕し粉末化した乾燥粉末を用いることがより好ましい。また、ケールと組み合わせることで、特に優れた分散性向上作用を発揮することから、クマザサの乾燥粉末は、350メッシュ以下のものが50%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、90%以上であることが特に好ましい。
【0023】
本発明の経口組成物は、一般的な食品、食品添加剤、飼料等の他、優れた筋芽細胞の増殖作用に基づくダイエット(抗肥満)効果を有することから、例えば、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等の所定機関より効能の表示が認められた機能性食品などのいわゆる健康食品や、医薬品(医薬部外品を含む)として用いることができる。
【0024】
すなわち、本発明の経口組成物は、いわゆる健康食品や医薬品等のダイエットのために用いられるダイエット用経口組成物として用いることができ、かかるダイエット用経口組成物としては、ケール及び所定の素材(他素材)を含有し、ダイエットに用いられる点において、製品として他の製品と区別することができるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物のいずれかに、ダイエット機能がある旨を表示したものが本発明の範囲に含まれる。なお、本発明のダイエット用経口組成物は、製品の包装等に、本発明における組合せの成分(ケール及び他素材)がダイエットの有効成分として表示されているものに限られない。例えば、有効成分を特定していないものであってもよく、ケールのみを有効成分として表示したものであってもよい。
【0025】
具体的に、いわゆる健康食品においては、「体重が気になる方へ」、「代謝を高める」、「肥満気味の方の体脂肪を減らすことを助ける」、「脂肪を代謝する力を高める」、「スタイルをサポート」等を表示したものを例示することができる。
【0026】
本発明の組成物の形態としては、例えば、錠状、カプセル状、粉末状、顆粒状、液状、粒状、棒状、板状、ブロック状、固形状、丸状、ペースト状、クリーム状、カプレット状、ゲル状、チュアブル状、スティック状等を挙げることができる。これらの中でも、錠状、カプセル状、粉末状、顆粒状、液状の形態が特に好ましい。具体的には、サプリメントや、ペットボトル、缶、瓶等に充填された容器詰飲料や、水(湯)、牛乳、果汁、青汁等に溶解して飲むためのインスタント飲料(粉末飲料)や、食品添加剤を例示することができる。これらは食事の際などに手軽に飲用しやすく、また嗜好性を高めることができるという点で好ましい。
【0027】
本発明の経口組成物におけるケール及び他素材(本発明の成分)の含有量としては、その効果の奏する範囲で適宜含有させればよい。
【0028】
一般的には、本発明の経口組成物が錠状、錠剤状等のサプリメントや医薬品の場合には、本発明の成分が乾燥質量換算で組成物全体の0.01~100質量%含まれていることが好ましく、0.1~80質量%含まれていることがより好ましく、1~60質量%含まれていることがさらに好ましい。
【0029】
本発明の経口組成物が容器詰飲料である場合には、本発明の成分が組成物全体の0.001~30質量%含まれていることが好ましく、0.01~20質量%含まれていることがより好ましく、0.1~15質量%含まれていることがさらに好ましい。
【0030】
また、本発明の経口組成物が青汁等のインスタント飲料である場合には、本発明の成分が乾燥質量換算で組成物全体の0.01~100質量%含まれていることが好ましく、0.1~80質量%含まれていることがより好ましく、1~60質量%含まれていることがさらに好ましい。
【0031】
本発明の効果をより有効に発揮させるためには、本発明の成分が乾燥質量換算で本発明の経口組成物全体の70%以上含まれていることが好ましく、80%以上含まれていることがより好ましく、90%以上含まれていることがさらに好ましく、100%であることが特に好ましい。
【0032】
本発明の経口組成物の摂取量としては特に制限はないが、本発明の効果をより顕著に発揮させる観点から、成人の1日当たり、ケール摂取量が乾燥質量換算で、0.01g/日以上となるように摂取することが好ましく、0.1g/日以上となるように摂取することがより好ましく、1g/日以上となるように摂取することがさらに好ましい。その上限は、例えば、30g/日であり、好ましくは20g/日であり、より好ましくは10g/日である。本発明の経口組成物は、1日の摂取量が前記摂取量となるように、1つの容器に、又は例えば2~3の複数の容器に分けて、1日分として収容することができる。
【0033】
ケール及び他素材の配合質量比としては、乾燥質量換算で、0.0001:1~10000:1であることが好ましく、0.001:1~1000:1であることがより好ましく、0.01:1~100:1であることがさらに好ましい。
【0034】
本発明の経口組成物は、必要に応じて、本発明の成分以外の他の成分を添加して、公知の方法によって製造することができる。本発明の成分以外の他の成分としては、例えば、水溶性ビタミン(ビタミンB1、B2、B3、B5、B6、B12、B13、B15、B17、ビオチン、コリン、葉酸、イノシトール、PABA、ビタミンC、ビタミンP)、油溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)等のビタミン類;カルシウム、マグネシウム、リン、鉄等のミネラル類;タウリン、ニンニク等に含まれる含硫化合物;ヘスペリジン、ケルセチン等のフラバノイド或いはフラボノイド類;コラーゲン等のタンパク質;ペプチド;アミノ酸;動物性油脂;植物性油脂;動物・(ケール及び本発明の他素材以外の)植物の粉砕物又は抽出物等を挙げることができる。
【0035】
本発明の経口組成物は、後述する実施例で示された筋芽細胞の増殖促進作用を奏することにより、筋芽細胞増殖用組成物、筋肉増強用組成物、筋量増加用組成物、エネルギー代謝活性化剤、ダイエット用組成物、脂肪組織低減用組成物、体脂肪低減用組成物として優れたものとなりうる。また、後述する実施例で示された分散性向上の作用を奏することにより、凝集しにくく分散性の高い、経口組成物として優れたものとなりうる。
【実施例0036】
以下、実施例に基づき、本発明を説明する。
[実施例1]
(原料)
ケールとしては、ケールの葉を乾燥して粉末化したケール乾燥粉末(粒径75μm以下が90%以上;東洋新薬社製)を用いた。
クマザサとしては、クマザサの葉を乾燥して粉末化したクマザサ乾燥粉末(350メッシュ以下が90%以上;市販品)を用いた。
桑葉としては、乾燥した桑の葉を、粉末化した桑葉乾燥粉末(粒径75μm以下が90%以上;東洋新薬社製)を用いた。
プロテインとしては、脱脂大豆から抽出した豆乳を酸沈して得られるカードを中和後、乾燥して20メッシュの篩にかけて得られる粉末状分離大豆タンパク(乾物換算でタンパク質含量90%以上;市販品)を用いた。
ギムネマとしては、ギムネマ・シルベスタの葉を含水エタノールで抽出し、その抽出物を乾燥して粉末化したギムネマ・シルベスタ末(エキス末;40メッシュ以下が90%以上、80メッシュ以下が85%以上、ギムネマ酸含量25~30%;市販品)を用いた。 スクラロースとしては、粉末状のスクラロースを20メッシュの篩にかけて得られたスクラロース粉末(市販品)を用いた。
【0037】
これらを表1に示す被験物質濃度(μg/mL)及び表2に示す配合割合にて原料を配合し、各試験を実施した。
【0038】
[試験例1]
(細胞増殖試験)
37℃、5%CO2インキュベーター内で、75cm2フラスコを用いて、マウス筋芽細胞(C2C12)を10%FBS-DMEMにより培養した。トリプシン処理により浮遊させた細胞を、75cm2フラスコからコラーゲンコートした96ウェルプレートの各ウェルに1ウェルあたり細胞数が8000となる細胞密度で播種した。
【0039】
37℃、5%CO2インキュベーターで24時間前培養後、10%FBS-DMEMで調製した被験物質を100μLウェルに添加した。
具体的に、被験物質の調製及び添加は、以下のように行った。
まず、被験物質が5mg/mlとなるように10%FBS-DMEMに懸濁させ、0.2μmのフィルターでろ過した。次いで、この被験物質が5mg/mlの懸濁液を、さらに10%FBS-DMEMで希釈し、表1に示す濃度となるようウェルに添加した。
【0040】
24時間培養後、PBSで2回洗浄しフィルター滅菌したMTT溶液(MTT500μg/ml in DMEM)を100μL添加し、さらに3時間培養した。PBSで2回洗浄し、0.04HCl in イソプロパノールを100μL添加した。
【0041】
色素が細胞外に溶出したのを確認し、吸光度(570nm、630nm)を測定し、細胞増殖率(% of control)を求めた。
【0042】
% of control =[SampleDate]/[ControlDate]×100
【0043】
Data =[(Sample570nm-Sample630nm)-(blank570nm-blank630nm)]
【0044】
Sample570nm、blank570nmは、570nmにおける吸光度の値であり、Sample630nm、blank630nmは、630nm(濁度)における吸光度の値である。
【0045】
その結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
表1に示すように、ケールと共に少なくとも1種以上の他素材を配合した本発明の組成物は、単独で配合した場合から想定される理論値(比較例の値を用いて配合比率を元に計算した値)よりも細胞増殖率の増加がみられた。すなわち、ケールと他素材の組合せによる相乗的な増加がみられた。特に、ケールと共に2種の他素材を配合した場合は、1種の他素材を配合した場合と比較してもその増加は顕著であり、中でも、ケール、桑及びプロテインを含む実施例7、ケール、ギムネマ及びスクラロースを含む実施例8では、特に顕著な増加がみられ、優れたダイエット効果が期待できる。
【0048】
[試験例2]
(分散性試験)
各原料を篩(呼び寸法:710)にかけた。2原料以上を組み合わせる場合は表2の割合に従って分散度を測定するために必要な量を計りとり、均一になるまで手で振ってビニール袋内で混合した。
【0049】
被験物質10gを計りとり、ホソカワミクロン社製の粉体特定評価装置「パウダテスタPT-X」を用いて分散度を測定した。分散度の測定は当該機器のマニュアルに従って行った。
【0050】
なお、分散度は以下のような方法によって測定される。
規定重量(W)の試料を規定の高さから受け皿に落下させて、受け皿に乗った試料の重量(W1)を測定する。さらに、次の式によって、分散度を算出する。
【0051】
分散度(%)=(W-W1)/W×100
【0052】
各被験物質の構成及びその結果を表2及び図1~5に示す。
【0053】
【表2】
【0054】
表2に示すように、ケールと共に他素材を配合した本発明の組成物は、ケール単独に比して、いずれも分散度が高く、分散性が向上した。また、各素材を単独で配合した場合から想定される分散度の理論値(比較例の値を用いて配合比率を元に計算した値)よりも分散度が高く、分散性が向上した。
【0055】
図1に示すように、ケールとクマザサにさらにクマザサ以外の他素材のいずれかを配合した本発明の組成物は、ケールとクマザサにさらにギムネマを配合した3種類の組合せ(実施例14)において、ケールとクマザサを配合した2種類の組合せ(実施例9)よりも、顕著な分散性の向上がみられた。ケールとクマザサにさらに桑葉、プロテイン、スクラロースからから選ばれる1つの他素材を配合した3種類の組合せ(実施例17、18、19)は、ケールとクマザサの2種類の組合せよりも分散性は低くなったものの、理想値よりも分散性の向上がみられた。
【0056】
図2に示すように、ケールと桑葉にさらに桑葉以外の他素材のいずれかを配合した本発明の組成物(実施例15、17、20、21)は、ケールと桑葉を配合した2種類の組合せ(実施例10)よりも、顕著な分散性の向上がみられた。
【0057】
図3に示すように、ケールとプロテインにさらにプロテイン以外の他素材のいずれかを配合した本発明の組成物は、ケールとプロテインを配合した2種類の組合せ(実施例11)よりも、ケールとプロテインにさらに桑葉、クマザサ、スクラロースから選ばれる1つの他素材を配合した3種類の組合せ(実施例15、18、23)において、顕著な分散性の向上がみられた。ケール、プロテインとギムネマを配合した3種類の組合せ(実施例22)は、ケールとプロテインを配合した2種類の組合せ(実施例11)と同程度の分散性であったものの、理想値よりも分散性の向上がみられた。
【0058】
図4に示すように、ケールとギムネマにさらにギムネマ以外の他素材のいずれかを配合した本発明の組成物は、ケールとギムネマにさらにクマザサを配合した3種類の組合せ(実施例14)は、ケールとギムネマを配合した2種類の組合せ(実施例12)よりもさらに分散性の向上がみられた。ケールとギムネマにさらにスクラロース、桑葉、プロテインから選ばれる1つの他素材を配合した本発明の組成物(実施例16、20、22)は、ケールとギムネマを配合した2種類組合せ(実施例12)よりも、分散性は低くなったものの、理想値よりも分散性の向上がみられた。
【0059】
図5に示すように、ケールとスクラロースにさらにスクラロース以外の他素材のいずれかを配合した本発明の組成物(実施例16、19、21、23)は、ケールとスクラロースを配合した2種類の組合せ(実施例13)よりも、顕著な分散性の向上がみられた。
【0060】
以上のことから、本発明の組成物は、ケールと共に他素材を単に混合するだけで、分散性の高い組成物が得られており、原料の処理、混合時の給気などの煩雑な操作を必要としないものであることがわかる。
【0061】
[配合例]
表3に示す粉末状の飲食用組成物(本発明の経口組成物)を調製した。得られた本発明の組成物3gを150mLの水と混合し、飲用したところ、ケールの臭いや味が改善され、総合的な嗜好性に優れた飲料が得られた。
【0062】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の経口組成物は、いわゆる健康食品等として用いることができることから、産業上有用である。
図1
図2
図3
図4
図5