(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101025
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】電動作業車
(51)【国際特許分類】
B60K 1/04 20190101AFI20240719BHJP
B62D 25/12 20060101ALI20240719BHJP
B62D 49/00 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
B62D25/12 A
B62D49/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024087257
(22)【出願日】2024-05-29
(62)【分割の表示】P 2021107500の分割
【原出願日】2021-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】山口 達也
(72)【発明者】
【氏名】尾畠 法夫
(72)【発明者】
【氏名】森岡 保光
(72)【発明者】
【氏名】三ツ井 遥己
(57)【要約】
【課題】カバー部材を支持する支持フレームを配置するためのスペースをバッテリの後方に確保する必要がなく、且つ、カバー部材が安定的に支持される電動作業車を提供する。
【解決手段】バッテリ4と、バッテリ4から供給される電力により駆動するモータと、モータにより駆動される走行装置と、バッテリ4を覆うと共に開閉可能に構成されたカバー部材12と、カバー部材12を支持する支持部と、を備え、支持部は、カバー部材12を支持する第1支持部81と、バッテリ4の上端面4aとの間に隙間Gが設けられるよう配置された第2支持部82と、を有しており、第1支持部81は、第2支持部82の上面から上方へ延びている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリと、
前記バッテリから供給される電力により駆動するモータと、
前記モータにより駆動される走行装置と、
前記バッテリを覆うと共に開閉可能に構成されたカバー部材と、
前記カバー部材を支持する支持部と、を備え、
前記支持部は、前記カバー部材を支持する第1支持部と、前記バッテリの上端面との間に隙間が設けられるよう配置された第2支持部と、を有しており、
前記第1支持部は、前記第2支持部の上面から上方へ延びている電動作業車。
【請求項2】
前記第2支持部は、前記バッテリの上端面を跨ぐ門型に構成されている請求項1に記載の電動作業車。
【請求項3】
前記バッテリの側部に段差部が設けられており、
前記バッテリの下部の前後方向の長さは、前記バッテリの上部の前後方向の長さよりも長く、
前記バッテリの下部の左右方向の長さは、前記バッテリの上部の左右方向の長さよりも長い請求項1または2に記載の電動作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリと、バッテリから供給される電力により駆動するモータと、モータにより駆動される走行装置と、を備える電動作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような電動作業車として、例えば、特許文献1に記載のものが既に知られている。この電動作業車(特許文献1では「トラクタ」)は、バッテリ(特許文献1では「走行用バッテリ」)を覆うカバー部材を備えている。このカバー部材は、水平軸芯(特許文献1では「開閉軸芯」)周りに揺動することによって開閉可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、カバー部材の支持構造については詳述されていない。ここで、例えば、バッテリの後方に、上下方向に延びる支持フレームが設けられると共に、当該支持フレームの上端部に、水平軸芯周りに揺動可能な状態でカバー部材が支持される構成が考えられる。
【0005】
しかしながら、この構成では、カバー部材を安定的に支持可能な程度に強固な支持フレームを設けるために、バッテリの後方に比較的広いスペースを確保する必要がある。これにより、搭載可能なバッテリのサイズが小さくなりがちである。その結果、バッテリの容量が小さくなりがちである。
【0006】
本発明の目的は、カバー部材を支持する支持フレームを配置するためのスペースをバッテリの後方に確保する必要がなく、且つ、カバー部材が安定的に支持される電動作業車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の特徴は、バッテリと、前記バッテリから供給される電力により駆動するモータと、前記モータにより駆動される走行装置と、前記バッテリを覆うカバー部材と、前記バッテリに支持された第1支持部と、を備え、前記カバー部材は、前記第1支持部に対して水平軸芯周りに揺動可能な状態で前記第1支持部に支持されており、且つ、前記水平軸芯周りに揺動することによって開閉可能に構成されており、前記第1支持部は、前記バッテリの側部に支持されていることにある。
【0008】
本構成によれば、カバー部材は、バッテリの側部に支持された第1支持部に支持される。そのため、カバー部材を支持するための支持フレームをバッテリの後方に設ける必要がない。また、バッテリをより運転部に近づけて配置することが可能となるため、バッテリを配置するスペースを広く確保することができる。そのため、バッテリのサイズや容量を上げることが可能であり、また、レイアウト性の向上を図ることができる。
【0009】
また、一般に、バッテリの側部は、バッテリの天板部に比べて、上から押し付けられる方向の力に対して強固である。そして、本構成によれば、カバー部材は、第1支持部を介してバッテリの側部に支持される。そのため、カバー部材がバッテリの天板部に支持される構成に比べて、カバー部材が安定的に支持される。
【0010】
従って、本構成によれば、カバー部材を支持する支持フレームを配置するためのスペースをバッテリの後方に確保する必要がなく、且つ、カバー部材が安定的に支持される電動作業車を実現できる。
【0011】
さらに、本発明において、前記バッテリの側部に取り付けられた第2支持部を備え、前記第1支持部は、前記第2支持部を介して前記バッテリの側部に支持されていると好適である。
【0012】
本構成によれば、カバー部材がバッテリの側部に支持される構成を、比較的簡素な構造により、確実に実現しやすい。従って、本構成によれば、カバー部材を支持する支持フレームを配置するためのスペースをバッテリの後方に確保する必要がなく、且つ、カバー部材が安定的に支持される電動作業車を、比較的簡素な構造により、確実に実現しやすい。
【0013】
さらに、本発明において、前記第2支持部は、前記バッテリの側部に設けられた前記バッテリの吊り下げ用の吊り下げ部に取り付けられていると好適である。
【0014】
バッテリの吊り下げ用の吊り下げ部は一般に高い強度を有するため、本構成によれば、第2支持部が安定的に支持される。これにより、カバー部材が安定的に支持される。
【0015】
さらに、本発明において、前記第2支持部は、前記バッテリの上端面を跨ぐ門型に構成されており、前記第2支持部の下端部が前記バッテリの側部に取り付けられており、前記バッテリの上端面と、前記第2支持部と、の間に隙間が設けられていると好適である。
【0016】
本構成によれば、バッテリの上端面と第2支持部との間に隙間が設けられているため、第2支持部からバッテリの上端面に荷重がかかることはない。そのため、カバー部材の荷重が第2支持部を介してバッテリの上端面にかかることを回避できる。
【0017】
しかも、本構成によれば、バッテリの上端面と第2支持部とが接している構成に比べて、バッテリの上端面からの放熱が第2支持部によって阻害される事態が起こりにくい。即ち、本構成によれば、バッテリからの放熱が好適に行われやすい。
【0018】
さらに、本発明において、前記バッテリの側部に段差部が設けられており、前記第2支持部は、前記段差部に取り付けられていると好適である。
【0019】
本構成によれば、強度が比較的高くなりやすい段差部に、第2支持部が支持される。そのため、バッテリの側部は強度が確保される方向に上方からの力を受けることとなるため、第2支持部が安定的に支持される。これにより、カバー部材が安定的に支持される。
【0020】
さらに、本発明において、オペレータが搭乗可能な運転部と、前記運転部と前記バッテリとの間に設けられた第3支持部と、を備え、前記第3支持部は、前記運転部における電装品を支持すると共に、前記バッテリに支持されていると好適である。
【0021】
本構成によれば、運転部における電装品が、第3支持部を介してバッテリに支持される。これにより、運転部における電装品が安定的に支持されやすい。
【0022】
さらに、本発明において、オペレータが搭乗可能な運転部と、前記運転部と前記バッテリとの間に設けられた第3支持部と、を備え、前記第3支持部は、前記運転部における電装品を支持すると共に、前記バッテリに支持されており、前記第2支持部と前記第3支持部とが連結されていると好適である。
【0023】
本構成によれば、第2支持部と第3支持部とが連結されることにより、第2支持部及び第3支持部が互いに補強される。これにより、カバー部材及び運転部における電装品が安定的に支持される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】カバー部材等の構成を示す一部破断右側面図である。
【
図3】走行用バッテリ等の構成を示す一部破断正面図である。
【
図4】第1支持部等の構成を示す一部破断正面図である。
【
図6】第2支持部の取り付け構造を示す分解斜視図である。
【
図7】その他の実施形態(2)における走行用バッテリ等の構成を示す一部破断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。尚、以下の説明においては、
図1、
図2、
図5、
図6に示す矢印Fの方向を「前」、矢印Bの方向を「後」として、
図3から
図7に示す矢印Lの方向を「左」、矢印Rの方向を「右」とする。また、
図1から
図4、
図6、
図7に示す矢印Uの方向を「上」、矢印Dの方向を「下」とする。
【0026】
〔トラクタの全体構成〕
図1に示すように、トラクタA(本発明に係る「電動作業車」に相当)は、左右の前車輪10(本発明に係る「走行装置」に相当)、左右の後車輪11(本発明に係る「走行装置」に相当)、カバー部材12を備えている。
【0027】
また、トラクタAは、機体フレーム2及び運転部3を備えている。
【0028】
機体フレーム2は、左右の前車輪10及び左右の後車輪11に支持されている。
【0029】
カバー部材12は、機体前部に配置されている。そして、運転部3は、カバー部材12の後方に設けられている。
【0030】
運転部3は、保護フレーム30、運転座席31、ステアリングホイール32を有している。オペレータは、運転座席31に着座可能である。これにより、オペレータは、運転部3に搭乗可能である。ステアリングホイール32の操作によって、左右の前車輪10は操向操作される。オペレータは、運転部3において、各種の運転操作を行うことができる。
【0031】
即ち、トラクタAは、オペレータが搭乗可能な運転部3を備えている。
【0032】
また、トラクタAは、走行用バッテリ4(本発明に係る「バッテリ」に相当)、モータM、伝動装置T、前伝動機構FTを備えている。
【0033】
カバー部材12は、機体左右方向に沿う開閉軸芯Q(
図2参照)(本発明に係る「水平軸芯」に相当)周りに揺動可能に構成されている。これにより、カバー部材12は、開閉可能に構成されている。そして、カバー部材12が閉状態であるとき、走行用バッテリ4は、カバー部材12に覆われている。即ち、トラクタAは、走行用バッテリ4を覆うカバー部材12を備えている。そして、走行用バッテリ4は、モータMへ電力を供給する。
【0034】
モータMは、走行用バッテリ4の下方に配置されている。そして、モータMは、走行用バッテリ4から供給される電力により駆動する。モータMの駆動力は、伝動装置Tへ伝達される。
【0035】
伝動装置Tは、走行用バッテリ4よりも後側であり、且つ、モータMの後方に配置されている。また、前伝動機構FTは、伝動装置Tから前側に延びている。そして、伝動装置Tは、モータMから受け取った駆動力を変速し、左右の後車輪11に伝達する。また、駆動力は、伝動装置Tから、前伝動機構FTを介して、左右の前車輪10にも伝達される。これにより、左右の前車輪10及び左右の後車輪11は駆動される。
【0036】
即ち、トラクタAは、走行用バッテリ4と、走行用バッテリ4から供給される電力により駆動するモータMと、を備えている。また、トラクタAは、モータMにより駆動される左右の前車輪10及び左右の後車輪11を備えている。
【0037】
図1に示すように、トラクタAの後部に、リンク機構LNが設けられている。リンク機構LNに、例えば耕耘装置等の作業装置(図示せず)を連結することができる。
【0038】
伝動装置Tは、モータMから受け取った駆動力の一部を作業装置に伝達可能に構成されている。これにより、作業装置が駆動される。
【0039】
以上の構成により、トラクタAは、左右の前車輪10及び左右の後車輪11によって走行しながら、作業装置によって作業を行うことができる。
【0040】
また、
図1に示すように、トラクタAは、油圧ポンプ60を備えている。油圧ポンプ60は、機体右側部に設けられている。油圧ポンプ60は、モータMからの駆動力により駆動する。そして、油圧ポンプ60は、機体の各部へ作動油を供給する。
【0041】
また、トラクタAの機体前部に、左右のサイドカバー35が設けられている。サイドカバー35は、空気が通過可能なグリル35aを有している。カバー部材12の左後部における下部、及び、右後部における下部は、サイドカバー35の外形に沿って切り欠かれている。
【0042】
〔機体前部の構成について〕
図2に示すように、トラクタAは、リザーブタンク5、インバータ14、ラジエータ15、補機用バッテリ18、電圧コンバータ19を備えている。カバー部材12が閉状態であるとき、リザーブタンク5、ラジエータ15、補機用バッテリ18、電圧コンバータ19は、カバー部材12に覆われている。
【0043】
インバータ14は、走行用バッテリ4の下方に配置されている。インバータ14は、走行用バッテリ4からの直流電力を交流電力に変換してモータMへ供給する。
【0044】
リザーブタンク5は、冷却水を貯留することができる。
【0045】
ラジエータ15及びウォータポンプ(図示せず)は、トラクタAにおける冷却水経路に含まれている。ウォータポンプが冷却水を圧送することにより、冷却水が、この冷却水経路を循環する。そして、冷却水は、ラジエータ15を通過することにより冷却される。
【0046】
補機用バッテリ18は、各種補機に電力を供給する。また、走行用バッテリ4から、電圧コンバータ19へ電力が送られる。そして、電圧コンバータ19は、走行用バッテリ4からの電力を降圧して補機用バッテリ18へ供給する。
【0047】
図2に示すように、走行用バッテリ4及びインバータ14は、機体フレーム2により支持されている。
【0048】
詳述すると、
図2に示すように、機体フレーム2に、インバータ支持部42が支持されている。インバータ支持部42は、水平姿勢の板状の部材である。インバータ支持部42に、インバータ14が載置されている。
【0049】
また、
図2に示すように、第1支持フレーム43a及び第2支持フレーム43bが、インバータ支持部42に支持されている。第3支持フレーム43cが、機体フレーム2に支持されている。そして、第1支持フレーム43a、第2支持フレーム43b、第3支持フレーム43cに支持された状態で、バッテリ支持部44が設けられている。バッテリ支持部44は、水平姿勢の板状の部材である。また、バッテリ支持部44は、走行用バッテリ4の左右端に亘る状態で設けられている。バッテリ支持部44に、走行用バッテリ4が載置されている。
【0050】
また、リザーブタンク5、ラジエータ15、補機用バッテリ18、電圧コンバータ19も、機体フレーム2により支持されている。
【0051】
〔段差部について〕
図2及び
図3に示すように、走行用バッテリ4は、バッテリ上部48と、バッテリ下部49と、を有している。バッテリ上部48は、バッテリ下部49の上方に位置している。
【0052】
図2に示すように、バッテリ下部49の前後方向の長さは、バッテリ上部48の前後方向の長さよりも長い。
図3に示すように、バッテリ下部49の左右方向の長さは、バッテリ上部48の左右方向の長さよりも長い。そのため、
図2及び
図3に示すように、バッテリ上部48とバッテリ下部49との間に、段差部4bが形成されている。
【0053】
段差部4bは、走行用バッテリ4の全周に亘って設けられている。言い換えれば、段差部4bは、走行用バッテリ4の前後左右の全ての側部に亘って設けられている。
【0054】
このように、走行用バッテリ4の側部に段差部4bが設けられている。
【0055】
〔フレーム部及び連結部について〕
図3及び
図4に示すように、カバー部材12は、正面視で門型のフレーム部12fと、連結部12gと、を有している。フレーム部12fは、カバー部材12における内壁側に設けられている。連結部12gは、フレーム部12fの上端部の下面から、下方へ突出している。
【0056】
尚、本実施形態においては、二つの連結部12gが設けられている。ただし、本発明はこれに限定されず、連結部12gの設けられる個数は一つでも良いし、三つ以上でも良い。
【0057】
〔第1支持部及び第2支持部について〕
図3及び
図4に示すように、トラクタAは、第1支持部81及び第2支持部82を備えている。
【0058】
図4から
図6に示すように、第2支持部82は、走行用バッテリ4の上端面4aを跨ぐ門型に構成されている。
図4に示すように、走行用バッテリ4の上端面4aと、第2支持部82と、の間に隙間Gが設けられている。また、第2支持部82は、段差部4bに取り付けられている。
【0059】
詳述すると、
図6に示すように、段差部4bには、吊り下げ部4cが形成されている。吊り下げ部4cは、走行用バッテリ4の吊り下げのために用いられるボルト孔である。尚、
図6には、走行用バッテリ4の右後部の吊り下げ部4cが図示されているが、走行用バッテリ4の右前部、左前部、左後部にも、吊り下げ部4cが形成されている。
【0060】
また、第2支持部82における左右の下端部には、それぞれ、取付部82aが設けられている。取付部82aは、水平姿勢の板状に形成されている。
【0061】
図6に示すように、右側の取付部82aが、第1ボルトb1によって、走行用バッテリ4の右後部の吊り下げ部4cに取り付けられる。左側の取付部82aが、第1ボルトb1によって、走行用バッテリ4の左後部の吊り下げ部4cに取り付けられる。
【0062】
即ち、第2支持部82は、走行用バッテリ4の側部に設けられた走行用バッテリ4の吊り下げ用の吊り下げ部4cに取り付けられている。また、以上で説明した構成により、第2支持部82の下端部が走行用バッテリ4の側部に取り付けられている。
【0063】
このように、トラクタAは、走行用バッテリ4の側部に取り付けられた第2支持部82を備えている。
【0064】
図4から
図6に示すように、第1支持部81は、第2支持部82の上端部における上面から、上方へ延びている。即ち、第1支持部81は、第2支持部82を介して走行用バッテリ4の側部に支持されている。
【0065】
尚、本実施形態においては、二つの第1支持部81が設けられている。ただし、本発明はこれに限定されず、第1支持部81の設けられる個数は一つでも良いし、三つ以上でも良い。
【0066】
このように、トラクタAは、走行用バッテリ4に支持された第1支持部81を備えている。また、第1支持部81は、走行用バッテリ4の側部に支持されている。
【0067】
図4及び
図5に示すように、右側の第1支持部81と右側の連結部12gとが、ピン6により、開閉軸芯Q周りに相対回転可能な状態で連結されている。また、左側の第1支持部81と左側の連結部12gとが、ピン6により、開閉軸芯Q周りに相対回転可能な状態で連結されている。
【0068】
これにより、カバー部材12は、左右の第1支持部81に対して開閉軸芯Q周りに揺動可能な状態で、左右の第1支持部81に支持されている。
【0069】
即ち、カバー部材12は、第1支持部81に対して開閉軸芯Q周りに揺動可能な状態で第1支持部81に支持されており、且つ、開閉軸芯Q周りに揺動することによって開閉可能に構成されている。
【0070】
〔第3支持部について〕
図2、
図5、
図6に示すように、運転部3の前部には、パネル部37及び表示装置38(本発明に係る「電装品」に相当)が設けられている。表示装置38は、パネル部37に取り付けられている。表示装置38は、各種の情報を表示することができる。
【0071】
図4から
図6に示すように、運転部3と走行用バッテリ4との間に、第3支持部83が設けられている。
図2に示すように、第3支持部83は、機体フレーム2に支持されている。第3支持部83は、機体上下方向に延びている。また、
図4から
図6に示すように、第3支持部83は、門型に構成されている。
【0072】
このように、トラクタAは、運転部3と走行用バッテリ4との間に設けられた第3支持部83を備えている。
【0073】
図2、
図5、
図6に示すように、第3支持部83の上面に、第1支持ステー85が連結されている。第1支持ステー85は、第3支持部83から後側へ延びている。
【0074】
また、第1支持ステー85の上面から、第2支持ステー86が上側へ延びている。第2支持ステー86の中途部に、第3支持ステー87が連結されている。第3支持ステー87は、左右方向に延びている。
【0075】
図2に示すように、第1支持ステー85の後部は、後下方へ延びている。そして、第1支持ステー85の後部に、第4支持ステー88が連結されている。第4支持ステー88は、左右方向に延びている。第4支持ステー88の左右端部は、後下方へ向けて折り曲げられている。
【0076】
パネル部37の上部は、第3支持ステー87の左端部及び右端部に取り付けられている。パネル部37の下部は、第4支持ステー88の左端部及び右端部に取り付けられている。即ち、パネル部37は、第1支持ステー85、第2支持ステー86、第3支持ステー87、第4支持ステー88を介して、第3支持部83に支持されている。
【0077】
この構成により、表示装置38は、パネル部37、第1支持ステー85、第2支持ステー86、第3支持ステー87、第4支持ステー88を介して、第3支持部83に支持されている。
【0078】
図4から
図6に示すように、第2支持部82の上端部の下面から、連結ステー89が後側へ延びている。連結ステー89の後端部は、第2ボルトb2により、第3支持部83の上端部に連結されている。即ち、第2支持部82は、連結ステー89を介して第3支持部83に連結されている。
【0079】
尚、本実施形態では、左右二つの連結ステー89が設けられている。ただし、本発明はこれに限定されず、連結ステー89の設けられる個数は一つでも良いし、三つ以上でも良い。
【0080】
この構成により、第2支持部82と第3支持部83とが連結されている。また、第3支持部83は、連結ステー89及び第2支持部82を介して、走行用バッテリ4に支持されている。
【0081】
即ち、第3支持部83は、運転部3における表示装置38を支持すると共に、走行用バッテリ4に支持されている。
【0082】
図4から
図6に示すように、第3支持部83に、複数の横フレーム84が取り付けられている。横フレーム84は、左右方向に延びている。横フレーム84は、第3支持部83に後側から取り付けられている。
【0083】
横フレーム84に、電子制御ユニット7が取り付けられている。これにより、電子制御ユニット7は、横フレーム84を介して第3支持部83に支持されている。電子制御ユニット7は、トラクタAの各部を制御する。
【0084】
〔前カバー部について〕
図2及び
図5に示すように、トラクタAは、前カバー部36を備えている。前カバー部36は、カバー部材12の後方に位置している。前カバー部36は、電子制御ユニット7及び第3支持部83を覆っている。また、前カバー部36は、パネル部37の外縁部を覆っている。
【0085】
図4に示すように、前カバー部36における内壁側に、左右二つの内側取付部36aが設けられている。また、
図4から
図6に示すように、第2支持部82の左端部及び右端部に、それぞれ、カバー取付ステー90が連結されている。各カバー取付ステー90は、第2支持部82から後上方へ延びている。
【0086】
そして、左側の内側取付部36aは、左側のカバー取付ステー90に取り付けられている。また、右側の内側取付部36aは、右側のカバー取付ステー90に取り付けられている。
【0087】
この構成により、前カバー部36は、カバー取付ステー90及び第2支持部82を介して、走行用バッテリ4に支持されている。
【0088】
また、
図2及び
図5に示すように、前カバー部36は、第2支持ステー86の上端部に取り付けられている。これにより、前カバー部36は、第2支持ステー86、第1支持ステー85、第3支持部83、連結ステー89、第2支持部82を介して、走行用バッテリ4に支持されている。
【0089】
以上で説明した構成によれば、カバー部材12は、走行用バッテリ4の側部に支持された第1支持部81に支持される。そのため、カバー部材12を支持するための支持フレームを走行用バッテリ4の後方に設ける必要がない。また、走行用バッテリ4をより運転部3に近づけて配置することが可能となるため、走行用バッテリ4を配置するスペースを広く確保することができる。そのため、走行用バッテリ4のサイズや容量を上げることが可能であり、また、レイアウト性の向上を図ることができる。
【0090】
また、一般に、走行用バッテリ4のようなバッテリの側部は、バッテリの天板部に比べて、上から押し付けられる方向の力に対して強固である。そして、以上で説明した構成によれば、カバー部材12は、第1支持部81を介して走行用バッテリ4の側部に支持される。そのため、カバー部材12が走行用バッテリ4の天板部に支持される構成に比べて、カバー部材12が安定的に支持される。
【0091】
従って、以上で説明した構成によれば、カバー部材12を支持する支持フレームを配置するためのスペースを走行用バッテリ4の後方に確保する必要がなく、且つ、カバー部材12が安定的に支持されるトラクタAを実現できる。
【0092】
〔その他の実施形態〕
(1)トラクタAは、エンジンを備え、ハイブリッド式に構成されていても良い。
【0093】
(2)
図7に示すように、バッテリ下部49の上端部に、機体左右方向に突出する突出部49aが設けられていても良い。この構成では、バッテリ上部48と突出部49aとの間に、段差部4bが形成されている。尚、
図7に示す例では、突出部49aは、バッテリ上部48の左右端よりも機体左右方向外側へ突出している。また、
図7に示す例では、バッテリ下部49のうち、突出部49aよりも下側の部分の左右方向の長さは、バッテリ上部48の左右方向の長さと同じである。
【0094】
(3)第1支持部81が、第2支持部82を介することなく、走行用バッテリ4の側部に直接的に支持されていても良い。
【0095】
(4)第2支持部82は、走行用バッテリ4の側部のうち、吊り下げ部4c以外の部分に取り付けられていても良い。
【0096】
(5)走行用バッテリ4の上端面4aと、第2支持部82と、が接していても良い。即ち、走行用バッテリ4の上端面4aと、第2支持部82と、の間に隙間Gが設けられていなくても良い。
【0097】
(6)第2支持部82は、走行用バッテリ4の側部のうち、段差部4b以外の部分に取り付けられていても良い。例えば、第2支持部82は、走行用バッテリ4の側面に取り付けられていても良い。また、走行用バッテリ4の側部に段差部4bが設けられていなくても良い。
【0098】
(7)連結ステー89が設けられていなくても良い。即ち、第2支持部82と第3支持部83とが連結されていなくても良い。また、第3支持部83は走行用バッテリ4に支持されていなくても良い。
【0099】
(8)一部または全ての部材の配置が、左右方向に反転していても良い。
【0100】
(9)開閉軸芯Qは、機体左右方向に沿っていなくても良い。例えば、開閉軸芯Qは、機体前後方向に沿っていても良い。
【0101】
尚、上述の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、トラクタだけではなく、コンバイン、田植機、建設作業機等の種々の電動作業車に利用可能である。
【符号の説明】
【0103】
3 運転部
4 走行用バッテリ(バッテリ)
4a 上端面
4b 段差部
4c 吊り下げ部
10 前車輪(走行装置)
11 後車輪(走行装置)
12 カバー部材
38 表示装置(電装品)
81 第1支持部
82 第2支持部
83 第3支持部
A トラクタ(電動作業車)
G 隙間
M モータ
Q 開閉軸芯(水平軸芯)