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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010103
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】構内における電気自動車充電の検出
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20240116BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023183396
(22)【出願日】2023-10-25
(62)【分割の表示】P 2021519540の分割
【原出願日】2019-10-16
(31)【優先権主張番号】62/748,802
(32)【優先日】2018-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/420,597
(32)【優先日】2019-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】502303739
【氏名又は名称】オラクル・インターナショナル・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルー,ビビアン・チュン-フア
(72)【発明者】
【氏名】レオウ,ウエイ・リン
(72)【発明者】
【氏名】アイアンガー,ラジャゴパル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】発電設備、配電設備、電気グリッド設備および他の資産の健全性および信頼性を確実にするための対策を事前に講じることができるように、電気自動車の充電イベントを検出するコンピューティングシステム及びコンピュータ実装方法を提供する。
【解決手段】コンピューティングシステムにおいて、方法は、既知の電気自動車オーナーのセットからの電気消費データから、複数の時間間隔からの使用値を、各時間間隔中の電気消費のレベルを表す一連の記号のうちの1つ記号で符号化する前処理と、符号化により、各電気自動車オーナーについての記号の符号化消費パターンを検出する検出と、EV充電イベントを表すEV充電モチーフを識別する検証と、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサを備えたコンピューティングデバイスによって実行されるコンピュータ実装方法であって、
既知の電気自動車オーナーのセットから電気消費データの第1のセットを取出すステップを含み、前記電気消費データは、各々の電気自動車オーナーについての、1期間にわたる使用値の時系列を含み、前記コンピュータ実装方法はさらに、
各々の電気自動車オーナーについての使用値の前記時系列を、対応する使用値を含む複数の時間間隔のデータ構造に変換するステップと、
前記複数の時間間隔における前記使用値の各々を、対応する時間間隔中の電気消費のレベルを表す一連の記号のうちの1つの記号で符号化するステップとを含み、
前記符号化するステップで、各々の電気自動車オーナーについての複数の記号の符号化消費パターンを生成し、前記コンピュータ実装方法はさらに、
非充電モチーフから区別されるEV充電イベントを表す複数の記号の前記符号化消費パターンから複数の記号のシーケンスを含むEV充電モチーフを識別し、電気消費データの追加のデータセットについて繰返すステップと、
前記既知の電気自動車オーナーのセットから前記EV充電モチーフを識別し、前記非充電モチーフから区別するように、1つ以上の機械学習分類器を訓練するステップと、
電気消費データの未知のデータセットがEV充電イベントを含むかどうかを識別し、少なくとも前記EV充電モチーフに基づいて、前記未知のデータセットを、電気自動車充電を有するものとして、または電気自動車充電を有さないものとしてマーク付けするように、前記1つ以上の機械学習分類器を構成するステップとを含む、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記EV充電モチーフに対応する前記EV充電イベントに関して、前記EV充電イベント中に少なくとも電気消費値に基づいて前記EV充電イベントを特徴付ける1つ以上の充電特徴を生成するステップと、
前記1つ以上の充電特徴を前記EV充電モチーフに関連付けるステップと、
前記1つ以上の充電特徴を入力して、前記1つ以上の機械学習分類器をさらに訓練して、少なくとも前記1つ以上の充電特徴に基づいて非EV充電イベントから前記EV充電イベントを識別するステップとをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記1つ以上の充電特徴を生成するステップは、前記EV充電イベント中の電気の平均消費、前記EV充電イベントの開始時の電気消費の最初の急増の大きさ、前記EV充電イベントの終了時の前記電気消費の低下の大きさ、または、前記EV充電イベントの持続期間、うちの1つ以上を生成するステップを含む、請求項2に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
電気自動車充電から測定されたサブメータデータの対応する時系列から、各々の電気自動車オーナーに関する使用値の前記時系列についての回答キーを生成するステップと、
前記サブメータデータからの前記回答キーで、使用値の前記時系列における前記EV充電イベントを識別および検証するステップとをさらに含む、請求項1から3のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
持続的な高使用レベル記号のシーケンスを表す複数の記号の前記符号化消費パターンにおける複数の記号のシーケンスを識別することによって、電気自動車の疑わしい充電を識別するステップをさらに含む、請求項1から4のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記符号化するステップは、前記時系列における前記使用値の範囲に関して、低使用レベルから高使用レベルまでの電気消費のレベルを表す文字の符号化方式を適用するステッ
プを含む、請求項1から5のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
前記符号化するステップの前に、前記使用値を前記時系列で正規化する、請求項1から6のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
コンピューティングシステムであって、
少なくとも1つのメモリと、
前記少なくとも1つのメモリに接続する少なくとも1つのプロセッサと、
命令で構成された電気自動車検出モジュールが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体とを含み、前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
既知の電気自動車オーナーのセットから電気消費データの第1のセットを取出すことを実行させ、前記電気消費データは、各々の電気自動車オーナーについての、1期間にわたる使用値の時系列を含み、さらに、
各々の電気自動車オーナーについての使用値の前記時系列を、対応する使用値を含む複数の時間間隔のデータ構造に変換することと、
前記複数の時間間隔における前記使用値の各々を、対応する時間間隔中の電気消費のレベルを表す一連の記号のうちの1つの記号で符号化することとを実行させ、
前記符号化することで、各々の電気自動車オーナーについての複数の記号の符号化消費パターンを生成し、さらに、
非充電モチーフから区別されるEV充電イベントを表す複数の記号の前記符号化消費パターンから複数の記号のシーケンスを含むEV充電モチーフを識別し、電気消費データの追加のデータセットについて繰返すことと、
前記既知の電気自動車オーナーのセットから前記EV充電モチーフを識別し、前記非充電モチーフから区別するように、1つ以上の機械学習分類器を訓練することと、
電気消費データの未知のデータセットがEV充電イベントを含むかどうかを識別し、少なくとも前記EV充電モチーフに基づいて、前記未知のデータセットを、電気自動車充電を有するものとして、または電気自動車充電を有さないものとしてマーク付けするように、前記1つ以上の機械学習分類器を構成することと、を実行させる、コンピューティングシステム。
【請求項9】
前記命令はさらに、前記プロセッサに、
前記EV充電モチーフに対応する前記EV充電イベントに関して、前記EV充電イベント中に少なくとも電気消費値に基づいて前記EV充電イベントを特徴付ける1つ以上の充電特徴を生成することと、
前記1つ以上の充電特徴を前記EV充電モチーフに関連付けることと、
前記1つ以上の充電特徴を入力して、前記1つ以上の機械学習分類器をさらに訓練して、少なくとも前記1つ以上の充電特徴に基づいて非EV充電イベントから前記EV充電イベントを識別することと、を実行させるように構成された命令を含む、請求項8に記載のコンピューティングシステム。
【請求項10】
前記1つ以上の充電特徴を生成することを実行させるための前記命令は、前記EV充電イベント中の電気の平均消費、前記EV充電イベントの開始時の電気消費の最初の急増の大きさ、前記EV充電イベントの終了時の前記電気消費の低下の大きさ、または、前記EV充電イベントの持続期間、うちの1つ以上を生成することを含む、請求項8または9に記載のコンピューティングシステム。
【請求項11】
前記命令はさらに、前記プロセッサに、
電気自動車充電から測定されたサブメータデータの対応する時系列から、各々の電気自動車オーナーに関する使用値の前記時系列についての回答キーを生成することと、
前記サブメータデータからの前記回答キーで、使用値の前記時系列における前記EV充電イベントを識別および検証することと、を実行させる命令を含む、請求項8、9または10に記載のコンピューティングシステム。
【請求項12】
前記命令はさらに、前記プロセッサに、
持続的な高使用レベル記号のシーケンスを表す複数の記号の符号化消費パターンにおける複数の記号のシーケンスを識別することによって、電気自動車の疑わしい充電を識別することを実行させる命令を含む、請求項8から11のいずれか1項に記載のコンピューティングシステム。
【請求項13】
前記符号化することを実行させるための命令はさらに、前記プロセッサに、
前記時系列における前記使用値の範囲に関して、低使用レベルから高使用レベルまでの電気消費のレベルを表す文字の符号化方式を適用することを実行させるように構成される、請求項8から12のいずれか1項に記載のコンピューティングシステム。
【請求項14】
前記命令はさらに、前記プロセッサに、
電気グリッドにおけるEVオーナーの位置を識別することと、
複数のEVオーナーを有するエリアにおける負荷増加を表す、前記電気グリッド内のEVホットスポットを識別することと、を実行させる命令を含む、請求項8から13のいずれか1項に記載のコンピューティングシステム。
【請求項15】
前記命令はさらに、前記プロセッサに、
電気自動車充電を有するものとしてマーク付けされたアカウントに関して、
電子メッセージを生成し、前記アカウントに関連付けられたEVオーナーのリモートデバイスに前記電子メッセージを送信することを実行させる命令を含み、前記電子メッセージは、EV充電時間をオフピーク時間帯に変更する命令を含む、請求項8から14のいずれか1項に記載のコンピューティングシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
再充電可能バッテリの近年の進歩により、プラグイン電気自動車(electric vehicle:EV)およびハイブリッド自動車は、より多くの住民に利用可能となった。EVの採用は大幅に増加しつつある。時間が経つにつれて使用される車両の多くがEVになるであろうことが予想される。これらの車両は、市街の電気グリッドおよび電源に対して著しい負荷となる。なぜなら、動作させるためにEVを定期的に充電する必要があるからである。この結果、現在の電気公益事業者にとって、電気自動車のこのような大幅な普及に関する計画を立案できるようになる必要があるといった課題が生じる。
【0002】
たとえば、一般家庭では、それらの地域の電気公益事業者から平均して約1.0kWhの負荷を引出す。これは、洗濯機、乾燥機、オーブンなどの一般的な家電を含み得る。しかしながら、家庭用負荷は、天候に関連するHVACの使用などのいくつかの変動要素に応じて変化する可能性がある。プール、スパ、および現地での太陽光発電などの大きな変動要素もあり得る。
【0003】
対照的に、EVは、毎時3kW~4kW以上を引出すことができる。この場合、1のEVオーナー(owner)だけが4家庭分の負荷をサービス変圧器に間接的に追加することが
でき、これにより、その変圧器が過負荷になるというリスクが生じる可能性があるので、問題となる。現代の変圧器は、ある程度の過負荷に耐えることができるが、EVの人気および普及が高まるにつれて、単一の変圧器上で複数のEVをクラスタ化するリスクは、上述のリスクを増大させるだろう。さらに、次世代のEVについては、より高kWhの充電を必要とするより大型のバッテリを備えたものが市場に出回るよう準備されており、変圧器に対するリスクがさらに増大することとなる。
【0004】
顧客が電気自動車および付随する充電インフラを購入する際、EVが電気グリッドに対して高い負荷となることについて顧客が電気公益事業者に通知することは義務付けられていない。EVの普及率が十分に高まることで負荷が増大すると、電気設備の故障およびグリッド上の停電を引起こす可能性がある。
【0005】
公益事業者がグリッド上のEVを正確に識別することができれば、それらの発電設備、配電設備、電気グリッド設備および他の資産の健全性および信頼性を確実にするための対策を事前に講じることができるようになるだろう。グリッド上のEVを識別するための従来の技術は正確ではなかったか、または、EVを全く識別できなかった。
【0006】
電気自動車を充電するためにエネルギを消費するユーザアカウントを発見することは、電気公益事業者にとって重要である。電気自動車充電は電気グリッド上の著しい負荷となるので、電気自動車を所有する顧客の構内/位置を識別することに関心が向けられている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
概要
一実施形態においては、少なくとも1つのプロセッサを有するコンピューティングデバイスによって実行されるコンピュータ実装方法が開示される。当該方法は、既知の電気自動車オーナーのセットから電気消費データの第1のセットを取出すステップを含み、当該電気消費データは、各々の電気自動車オーナーについての、1期間にわたる使用値の時系
列を含み、当該方法はさらに、各々の電気自動車オーナーについての当該使用値の時系列を、対応する使用値を含む複数の時間間隔のデータ構造に変換するステップと、当該複数の時間間隔における前記使用値の各々を、対応する時間間隔中の電気消費のレベルを表す一連の記号のうちの1つの記号で符号化するステップとを含み、当該符号化するステップで、各々の電気自動車オーナーについての複数の記号の符号化消費パターンを生成し、当該方法はさらに、非充電モチーフから区別されるEV充電イベントを表す複数の記号の前記符号化消費パターンから複数の記号のシーケンスを含むEV充電モチーフを識別し、電気消費データの追加のデータセットについて繰返すステップと、当該既知の電気自動車オーナーのセットから当該EV充電モチーフを識別し、当該非充電モチーフから区別するように、1つ以上の機械学習分類器を訓練するステップと、電気消費データの未知のデータセットがEV充電イベントを含むかどうかを識別し、少なくとも当該EV充電モチーフに基づいて、前記未知のデータセットを、電気自動車充電を有するものとして、または電気自動車充電を有さないものとしてマーク付けするように、当該1つ以上の機械学習分類器を構成するステップとを含む。
【0008】
別の実施形態においては、開示されるコンピューティングシステムは、少なくとも1つのメモリと、当該少なくとも1つのメモリに接続する少なくとも1つのプロセッサと、命令で構成された電気自動車検出モジュールが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体とを含み、当該命令は、当該少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、当該プロセッサに以下を実行させる。
【0009】
当該命令は、当該少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、当該プロセッサに、既知の電気自動車オーナーのセットから電気消費データの第1のセットを取出すことを実行させ、当該電気消費データは、各々の電気自動車オーナーについての、1期間にわたる使用値の時系列を含み、さらに、各々の電気自動車オーナーについての当該使用値の時系列を、対応する使用値を含む複数の時間間隔のデータ構造に変換することと、当該複数の時間間隔における当該使用値の各々を、対応する時間間隔中の電気消費のレベルを表す一連の記号のうちの1つの記号で符号化することとを実行させ、当該符号化することで、各々の電気自動車オーナーについての複数の記号の符号化消費パターンを生成し、さらに、非充電モチーフから区別されるEV充電イベントを表す複数の記号の当該符号化消費パターンから複数の記号のシーケンスを含むEV充電モチーフを識別し、電気消費データの追加のデータセットについて繰返すことと、当該既知の電気自動車オーナーのセットから当該EV充電モチーフを識別し、当該非充電モチーフから区別するように1つ以上の機械学習分類器を訓練することと、電気消費データの未知のデータセットがEV充電イベントを含むかどうかを識別し、少なくとも当該EV充電モチーフに基づいて、当該未知のデータセットを、電気自動車充電を有するものとして、または電気自動車充電を有さないものとしてマーク付けするように当該1つ以上の機械学習分類器を構成することとを実行させる。
【0010】
図面の簡単な説明
本明細書中に援用され、その一部を構成する添付の図面は、開示されているさまざまなシステム、方法および他の実施形態を示す。図に示される要素の境界(たとえば、箱、箱の群または他の形状)が、これら境界の一実施形態を表わすことが認識され得る。いくつかの実施形態においては、1つの要素が複数の要素として実現されてもよく、または、複数の要素が1つの要素として実現されてもよい。いくつかの実施形態においては、別の要素の内部構成要素として示される要素が外部構成要素として実現されてもよく、この逆であってもよい。さらに、要素は縮尺通りに図示されないこともある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】EV充電イベントを検出するように構成されたコンピューティングシステムの一実施形態を示す図である。
図2】EV充電イベントを検出するとともに機械学習分類器を訓練するために、図1のシステムによって実行される方法の一実施形態を示す図である。
図3】アカウントメータおよび対応するEVサブメータからのkWh充電値を重ね合わせた例示的なグラフである。
図4】未知のデータセットからEV充電イベントおよびEVオーナーを検出する方法の一実施形態を示す図である。
図5】開示された例示的なシステムおよび/または方法で構成されたコンピューティングシステムの一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
本明細書中に記載されるシステムおよび方法は、一実施形態においては、エネルギを消費して電気自動車を充電する公益事業顧客アカウントから電気自動車(EV)充電イベントを識別するためにモチーフ発見および検出を用いる新規のシステムおよび方法を提供するものである。一実施形態においては、本システムおよび方法は、少なくともEV充電モチーフ/パターンおよび充電特徴に基づいて電気自動車充電を識別するように機械学習分類器を訓練することを含む。
【0013】
電気自動車を充電するためにエネルギを消費するユーザアカウントを発見することは、電気公益事業者にとって重要である。電気自動車充電は、電気グリッド上で著しい負荷となるので、これらの顧客を識別する(たとえば、アカウントおよび/または充電位置を識別する)ことは重要な関心事となっている。たとえば、複数のEVオーナーが同じ近所にいる場合、これらEVオーナーらは同じ電気変圧器を共有してもよい。この場合、過剰な電気が同時に引出されることで変圧器が過負荷状態になれば、変圧器に安全上の危険が生じる恐れがある。これにより、変圧器が物理的に破損したり、さらには機器が故障する可能性もある。発火のような公共の安全性に対する脅威は極端な状況をもたらす可能性がある。
【0014】
したがって、複数のEVオーナーが本システムおよび方法を用いて事前に識別されていれば、グリッドおよび/または設備における潜在的な問題を軽減または排除するための対策を取ることもできる。たとえば、EV付きの住宅の電力線が異なる変圧器にルーティング変更されてもよく、変圧器がより高容量の変圧器と交換もしくはサイズ変更されてもよく、および/または、EVオーナーに自身のEV充電時間の変更を要求する警告または通知が送信されてもよい。
【0015】
また、EVによってもたらされるグリッド上の大きな負荷を正確に識別できるという、公益事業者に対するいくつかの追加の利点もあり得る。これらの利点は、結果として生じる1つ以上のアクションを実行することを可能にし得る。これら1つ以上のアクションは、たとえば、(1)EVオーナーのアカウントをEV充電のための別の(より良い)電気料金率に変更してより望ましい顧客契約を誘導するためのメッセージを生成し、生成したメッセージをこれらEVオーナーに送信するアクションと、(2)オンピーク時間帯中またはオフピーク時間帯中にEVオーナーが充電中であるかどうかを識別するとともに、充電負荷をオフピーク時間帯にシフトするために1以上のEVオーナーに「使用時間」レートへの変更を実行させる充電時間および/またはアカウント設定を修正するための命令を生成して送信するアクションと、(3)複数のEVオーナーが存在する特定のエリアにおける著しい負荷増加を表し得るグリッド内のEV「ホットスポット」を識別するアクションと、(4)安全かつ適切な配電を確実にする(変圧器を調整またはサイズ変更する、電力線をルーティング変更する等)ために電気グリッド設備に補正アクションおよび修正を行うことができるように、EV電力取込みの傾向および速度をシステム全体レベルで、か
つよりローカライズされたレベルで識別するアクションとを含む。
【0016】
本開示全体を通じて、以下の用語は以下のとおりに用いられる。
EV:「電気自動車」の略称。
【0017】
EVオーナー:これは、電気自動車を所有および/または充電するアカウントの構内/位置を表す。
【0018】
非EVオーナー:これは、電気自動車を所有または充電しないアカウントの構内/位置を表す。
【0019】
既知のEVオーナー:アカウント(およびそれに関連する時系列データ)が電気自動車を充電するための電気を消費することを示すとともに、電気公益事業供給者に知られているラベル。これにより、既知のEVオーナーからのアカウント時系列データがEV充電イベントを有することが分かる。この情報は、アカウントデータからEV充電イベントを識別および検出するために、本システムの1つ以上の機械学習分類器に提供される。
【0020】
既知の非EVオーナー:アカウントが電気自動車に充電するための電気を消費しないことを示すとともに、電気公益事業供給者に知られているラベル。このため、既知の非EVオーナーのアカウント時系列データはEV充電イベントを含まない。この情報は、EV充電イベントから区別するために用いられ得る非EV充電イベントを識別および検出するために1つ以上の機械学習分類器に提供される。
【0021】
住宅メータ:これは、或る構内/位置における電気エネルギの消費を電気消費データとして記録する電子デバイスである。消費量は毎時キロワット(kilowatts per hour:kWh)であるが、他の単位が用いられてもよい。構内/位置と、これにより、住宅メータとは、顧客アカウントに関連付けられている。簡潔にするために「住宅」という語を用いているが、メータを有し得るものであれば如何なるのタイプの構内も含む。住宅メータは、電気を引出す全ての機器および部品を含む(EVが存在する場合は、EVも含む)構内全体の電気消費を測定する。測定されたデータは、通常、規則的な時間間隔(たとえば、5分、15分、1時間など)で収集される。間隔データのグループは時系列データと称される。一実施形態においては、住宅メータは、電気エネルギの消費を記録するとともに、監視および他の目的のためにネットワーク通信を介して電気供給者(公益事業会社)に情報を通信するスマートメータである。
【0022】
EVサブメータ:電気自動車のみの充電活動を直接監視して記録するための、既知のEVオーナーの構内に設置されるメータ。EVサブメータは、住宅メータと同様の装置であるが、住宅メータに加えて別途設置される装置である。EVサブメータは、電気自動車のみによって引出された電気をkWhで記録し、EV充電のみに用いられる電気の充電データを時系列で測定する。EVサブメータには他の電気消費構成要素は接続されない。
【0023】
アカウント時系列データ:ある期間にわたって全体的に住宅メータから測定および収集される、対象のアカウントについての電気消費をkWh単位で示すデータ。測定されたデータは、典型的には、時間間隔ごとに収集される。本明細書中では15分の時間間隔が記載されているが、他の間隔(たとえば、5分、30分、1時間など)が用いられてもよい。
【0024】
サブメータ時系列データ(EVサブメータデータ):電気自動車充電のみのための専用のEVサブメータから測定および収集される電気消費をkWh単位で表すデータ。当該データは、設定された時間間隔(たとえば、15分間の時間間隔)で定期的に収集されるが
、他の間隔(たとえば、5分、30分、1時間など)を用いることもできる。
【0025】
EV充電モチーフ/パターン:識別されたEV充電イベントに対応する文字または記号の符号化列。符号化列は、特定のEV充電イベントに基づいてさまざまな長さを有していてもよく、実装された符号化方式に基づいている。
【0026】
図1を参照すると、コンピュータ実装EV検出システム100の一実施形態が示される。EV検出システム100は、コンピューティングシステムにおいて実行するように構成されているとともに、EV充電モチーフを識別および検出するための新規の技術で構成されている。EV充電モチーフは、アカウント時系列データ110から識別され得る電気自動車充電イベントに関連付けられた記号の電気消費パターンを表す。従来の方策は、ある予め定義されたkWh規模の電気消費イベントを探すものであるため、精度が低く、ノイズに対するロバスト性と、不正確な検出をもたらす恐れのある他のデータ関連作用に対するロバスト性とが低い。本方策は、よりロバストであり、商品ブランドや充電器に依存するものではなく、充電データによって直接通知されるとともに、新しいEV充電モチーフが発見されてモチーフのライブラリに追加されるのに応じて時間とともに学習および適応させることができる。
【0027】
EV検出システム100全体は、3つの論理段階で構成されてもよく、各段階は、(1)前処理モジュール120、(2)検出モジュール130、および(3)検証モジュール140という実行可能なモジュールによって実装される。各モジュールのより詳細な構成および動作について添付の図面を参照して説明する。
【0028】
一実施形態においては、前処理モジュール120は、1つ以上のアカウントから時系列データを受信および/または取出し、当該データを必要に応じて間隔フォーマットに変換し、間隔データを、kWh値を量子化する文字列に符号化するように構成される。このモジュールについて図2を参照してより詳細に説明する。
【0029】
一実施形態においては、検出モジュール130は、既知のEVオーナーの複数のアカウントからの時系列データおよび符号化列を分析して、複数列のEV充電パターンに最もよく合致する指定された列(たとえば、単語/文字群)を検出するように構成される。サブメータ時系列上のEV充電イベントの一部として記録された充電特徴が、アカウント時系列データから取出され、その特徴としてEV充電イベントに関連付けられる。当該特徴について以下で説明する。検出モジュール130はまた、EV充電イベントではない充電パターンおよび特徴の種類を識別するために、既知の非EVオーナーのセットからのアカウント時系列データに対して同様の処理を実行する。検出モジュール130について図2を参照してより詳細に説明する。
【0030】
一実施形態においては、検証モジュール140は、少なくとも検出モジュール130によって発見されるパターンに基づいて、EV充電パターンがどのように見えるかを学習するために1つ以上の機械学習分類器を訓練するように構成される。当該訓練は、検出モジュール130によって発見される疑わしいEV充電イベントの各々に関連付けられた充電特徴を入力することを含む。文字のEV充電パターンとそれに対応する充電特徴との組合わせは、未知のアカウントから同様のEV充電イベントを検出および識別するように1つ以上の機械学習分類器を訓練する。以下の説明では、1つ以上の機械学習分類器を分類器と称する。
【0031】
分類器には、当該分類器からの判断を検証するための回答キーも入力される。回答キーは、分析されているラベル付きアカウントについてのサブメータ時系列データを含む。上述の通り、サブメータデータは、対応するアカウント時系列データがEV充電イベントを
有するか否かと、EV充電イベントがいつ起こるかとを識別する。次いで、分類器からの検出結果/予測160をサブメータデータと比較し、分類器の精度を検証し、結果160が不正確である場合には分類器をさらに訓練し得る。検証モジュール140について図2を参照してより詳細に説明する。
【0032】
図2を参照すると、図1のEV検出システム100によって実装および実行されるEV検出処理200の一実施形態が示される。処理200は、コンピューティングシステムによって実行されるコンピュータ実装処理である。説明される動作および機能は、少なくとも、メモリまたは記憶装置からデータにアクセスするとともに、メモリから読出されたデータおよび/またはメモリに書込まれたデータを生成するプロセッサによって実行される。
【0033】
図2は、処理フローの3つのカラムを示しており、各カラムは、データ利用可能性に応じて処理されている異なるタイプのデータを表す。ブロック210(最も左側のカラム)において、既知のEVオーナーからのアカウント時系列データが処理される。ブロック210a(中央カラム)において、既知の非EVオーナーからのアカウント時系列データが処理される。ブロック215(最も右側のカラム)において、EVサブメータデータが処理される。3つの処理カラムは、互いに異なる時間に実行され得るので、必ずしも同時に実行されない。
【0034】
図2の処理において、ブロック210、220、230および240は図1の前処理モジュール120に対応する。ブロック250および260は図1の検出モジュール130に対応し、ブロック270および280は検証モジュール140に対応する。前処理機能および検出機能は、既知のEVオーナー210からのアカウント時系列データと、既知の非EVオーナー210aからのアカウント時系列データとの両方のタイプのデータセットに対して実行されることに留意されたい。既知の非EVオーナーからのデータに対して実行される対応する機能は、220a、230a、240aなどの「a」で指定される。このため、ブロック220およびブロック220aの機能は、処理されているデータセットを除いて同じである。
【0035】
前処理段階(ブロック220、230、240)
図2を続けて参照すると、ブロック210において、既知のEVオーナーからの未処理のアカウント時系列データ110が取出されて、前処理モジュール120に入力されるという前処理が開始される。本処理は、複数の既知のEVオーナーに対して繰返されるものであって、時系列データのセットが利用可能である場合、各EVオーナーアカウントからの各々の時系列が個々に処理される。既知のEVオーナーごとに、それらの対応するサブメータ時系列データも同時に、またはその後の時間に入力される(ブロック215)。アカウント時系列データ110は、データをデータ構造に格納する記憶装置またはメモリからコンピューティングシステムのプロセッサによって読出されて取出される。以下の例では、アカウント時系列データ110は15分間隔でkWh充電値で記録される。
【0036】
ブロック220において、既知のEVオーナーの住宅からの未処理の15分間隔kWhデータは、長フォーマット時系列に変換される(すなわち、15分間隔データの場合、1日に96の間隔が存在する)。これにより、1行×96列のデータベクトルが生じる。30日分のデータが利用可能である場合、各住宅メータのベクトルは1行×(9630)列となるだろう。一実施形態においては、未知のkWh値または利用不可能なkWh値が4未満である複数の日からの時系列データのみが考慮される。この機能はまた、ブロック220aにおいて、既知の非EVオーナーからの15分間隔kWhデータに対して実行される。
【0037】
対応するEVサブメータレベルデータがEVオーナーにとって利用可能である場合、ブロック225において、EVが充電中であるときの時間間隔をラベル付けして識別する応答キーが生成される。次いで、識別された時間間隔を用いて、アカウント時系列データ内の対応する時間間隔を識別することで、EV充電が行われたかどうかとEV充電がいつ行われたかとを検証することができる。これは処理の後半で行なわれる。
【0038】
初めに、EVサブメータデータを見ることなくアカウント時系列データが分析される。前処理モジュール120は、既知のEVオーナーからその日中にEV充電活動があるか否かを検出するために、アカウント時系列データ110を分析する。上述したように、アカウント時系列データ110は、或る期間にわたる既知のEVオーナーからの住宅電気使用量(電気消費)をkWhで示す。或る住宅のメータは、その住宅全体によって引出されて用いられる電気を記録するので、EV充電に用いられる電気を、もしある場合には、他のすべての充電と組合わせて含む。これは、本明細書中においてアカウント時系列データと称される。
【0039】
一実施形態においては、EVサブメータデータ215は、取出される時系列充電データの第2のセットであって、EVサブメータから収集されたものである。たとえば、既知のEVオーナーは各々、電気自動車の充電活動を直接監視するためにそれらの構内に設置されたそれぞれのEVサブメータも含む。EVサブメータは住宅メータに追加される。上述したように、EVサブメータは、電気自動車によってのみ引出される電気を記録するので、EV充電に用いられる電気の充電データを時系列で含んでいる。これをサブメータ時系列データまたはEVサブメータデータと称する。こうして、サブメータデータを分析することにより、システムは、EV充電の開始と終了との時間間隔を容易に識別することができる。これらの時間間隔はマーク付けされて、ブロック225において生成された回答キーの一部となる。
【0040】
230において、アカウント時系列データが正規化され得る。一日中の住宅電気使用量は、kWh値に上昇スパイクおよび/または下降スパイクを含む極めて雑音の多いものとなり得る。一実施形態においては、前処理モジュール120は、時系列を、1日全体にわたる各メータの特定の規模および差異を表わすことができるシーケンスに換算するように構成される。これを実現するために、たとえば、1以上の既知のEVオーナーの各メータ毎のアカウント時系列におけるkWh値がそれ自体に正規化され、未処理のkWh値は各々、所与のアカウント時系列についての平均kWh値から外れたいくつかの標準偏差の基準となるように変換される。これらの値を正規化するための他の技術を実行してもよい。
【0041】
図2において、処理は、ブロック220および230から出て充電特徴を判断する判断ブロック260に入る矢印線を示す。これらの線は、以下に説明されるように、時系列からの充電データを抽出して用いることで充電特徴を生成することができるように、ブロック220および/または230からの時系列データが判断ブロック260に提供されることを表している。
【0042】
240において、時系列データのkWh値が符号化方式で符号化される。一実施形態においては、符号化は、メータにおいて収集された電気使用量の15分間隔kWhの各々を、一連の文字/記号のうちの1文字に符号化することを含む。したがって、一連の連続する時間間隔が一連の記号となる。たとえば、1タイプの符号化が、連続する文字のグループで実行されてもよい。
【0043】
たとえば、一実施形態においては、低使用レベルから高使用レベルまでの使用レベル文字を表す連続した6つのアルファベット文字が選択されてもよい。6文字からなる1つのグループは、「a,b,c,d,e,f」であってよく、「a」は最低使用レベルであり
、「f」は最高使用レベルである。したがって、1日の間に高使用レベルを有する時間間隔は「f」として符号化され得る一方で、より低い中間範囲レベルは「c」として符号化され得る。当然、使用レベルについてのより粗いまたはより微細な近似化および表現のために、より多くの文字またはより少ない文字を用いることができる。文字のシーケンスはまた、アルファベット順に連続している必要はない。たとえば、シーケンスは、文字をスキップしてもよく、a,c,e,g,i,kを含んでもよい。
【0044】
さらに、「a,b,c,d,e,f」に基づいた符号化方式の一例を図3に示す。この場合、アカウント時系列データ300のkWh値が時間間隔のグラフに表示されている。各時間間隔における各kWh値は、上述したように、使用レベルに基づいて符号化文字のうちの1つで符号化される。アカウントデータ300に関する一連の時間間隔について結果として得られる符号化列325が図3のグラフの下側に示されている。符号化列325の符号化文字は各々、その対応するkWh値および時間間隔の下に、ほぼ一列に配置されている。図3について以下でより詳細に説明する。
【0045】
一実施形態においては、(a)間隔長、(b)符号化の際に従うべき確率分布関数、および/または、(c)符号化の際に利用されるべきいくつかの文字、を含む符号化方式のパラメータが調整または修正され得る。
【0046】
低-高使用レベルは、特定の時系列の使用レベル(たとえば、ある範囲)全体に対して相対的であり、このため、特定のkWh値に依存するものではない。たとえば、或る1日のアカウント時系列が0kWh~3kWhのkWh値範囲を有していた場合、3kWhの値を有する時間間隔にはいずれも、最高使用レベルとして文字「f」が割当てられる。同様に、より大きな家からの別の時系列が0kWh~10kWhの範囲を有していた場合、10kWhの値を有する時間間隔にはいずれも、最高使用レベルとして文字「f」が割当てられるだろう。この符号化は、96個の時間間隔すべてに対して時系列で行われ、電気の消費パターンを表す符号化文字(記号)の列が生成される。符号化文字の列は、検出段階で用いるためにメモリに格納される。符号化はまた、ブロック240aにおいて、既知の非EVオーナーのセットからのアカウント時系列データに対して実行される。
【0047】
したがって、任意の所与の時系列についての符号化文字の符号化された消費パターンは、識別され得るとともに他の充電パターンと合致され得る充電パターンを含む。符号化文字は、当該システムが、kWh値を合致させようと試みるのではなく、異なる時系列データ(異なる消費者アカウント)間で同様の充電パターンを検出して合致させることを可能にする。上述の例では、第1のアカウントからの3kWh-3kWh-3kWhの3つの時間間隔値は、第2のアカウントからの10kWh-10kWh-10kWhの他の3つの時間間隔値とは合致しない。しかしながら、符号化後、両方のデータセットのうち3つの時間間隔は、同じ符号化列パターンf-f-fを有することによって合致することとなるだろう。なぜなら、それぞれのkWh値がそれぞれ対応する時系列データにおいて最高値となるからである。
【0048】
したがって、時系列データを文字列に量子化することにより、(1)時系列の次元を1文字列に集約すること、および、(2)特定の文字列に基づいて異常をより容易に検出すること、といった少なくとも2つの利点が可能となる。
【0049】
上述の第1の利点に関して、(住宅の大きさまたは住居における居住者の数によって容易に変化する可能性のある)kWh使用時系列からの実際の大きさまたは値に依存するのではなく、文字を符号化して、各メータの時系列をそれ自体に既に正規化している。このため、特定のメータの高使用量は、「より高い」文字によって容易に認識される(すなわち、低使用量は「a」または「b」に対応し、高使用量は「e」または「f」に対応し得
る)。したがって、符号化は、メータの固有の特性を時系列で保持するだけではなく、異なるさまざまなメータ間での比較も可能にする。
【0050】
列サーチアルゴリズムと組合わせると、列符号化は、必然的に、上述の第2の利点をもたらす。kWh数によって異常を識別するよりも、特定のパターンについて文字列をサーチする(たとえば、「語」をサーチする)方が容易である。疑わしいイベントの検出が完了すると、分類器は、以下で説明するように、偽陽性から外れた真陽性を識別するために、疑わしいEVイベントに関連する充電特徴に対して容易に訓練され得る。
【0051】
検出モジュール(ブロック250および260)
ブロック240でkWhデータが文字に符号化された後、時系列中の符号化文字がメモリから読出されて分析されることで、ブロック250で、EV充電パターンが検出される。EVサブメータデータが所与のアカウント時系列のために利用可能でない場合、検出モジュール130は、アカウント時系列データから符号化文字を分析するように構成されている。電気自動車充電が、典型的には、より高レベルのkWh使用量の何らかの持続期間によって特徴付けられるとすると、EV充電を示す時系列データのうち一部が連続した高使用文字の列となる可能性が非常に高い。
【0052】
(低-高使用レベル文字「a」,「b」,「c」,「d」,「e」および「f」を用いる)上述の符号化方式に基づいて、既知のEVオーナーアカウントは、EV充電を表す文字パターンを形成する高使用文字列を含む(たとえば、大部分がfであり、いくつかがeである)だろう。したがって、当該システムは、持続的な高使用レベル記号(たとえば、複数の連続するf、および、場合によってはいくつかのe)のシーケンスを表す記号の符号化消費パターンにおける一連の文字/記号を識別することによって電気自動車の疑わしい充電を識別するように符号化文字をサーチする。
【0053】
持続期間にわたる高使用文字のこの文字パターンはモチーフとして格納され、EV使用パターンのモチーフライブラリに格納される。高使用文字パターンは、いくつかの異なるEV充電パターン(モチーフ)を生成するために、複数の既知のEVオーナーアカウントにおいて見出される。次いで、EV充電パターンを用いて、EV充電が未知である他のアカウント時系列データセットから同様のEV充電パターンを識別および検出することができる。
【0054】
したがって、所与の時系列に対して、当該システムは、ある期間にわたる文字の全シーケンス中に、ほぼ連続して発生するさまざまな長さを持つ高使用文字をサーチするように構成されている。一実施形態においては、当該システムは、モチーフライブラリ内のモチーフとの列類似性についてサーチして、或るアカウントの符号化時系列全体にわたって高使用文字のうち潜在的に合致するものを戻す。当該サーチによって、1日の間に1つ以上の既知のEV充電モチーフと潜在的に合致するものが戻される場合、当該システムは、その日をEV充電活動を有するものとしてマーク付けする。一実施形態においては、サーチ機能は、システムの検出モジュール130のうち1つの構成要素である。
【0055】
ある位置/構内からのアカウント時系列データが、同じ位置/構内において収集されたEVサブメータデータと比較される。アカウントデータにおける疑わしい充電がサブメータデータからの充電のいずれかと時間間隔が重複している場合、疑わしい充電はEV充電を含んでいる。上述したように、EVサブメータデータにおいて発生する充電はいずれもEV充電であるはずである。次いで、当該システムは、疑わしい充電をEV充電としてマーク付けする。一例を図3に示す。
【0056】
図2のブロック250における一実施形態においては、当該システムは、持続的な一連
または一続きの高使用符号化文字を識別することによって疑わしいEV充電を検出する。次いで、疑わしいEV充電は、そのアカウントの対応するEVサブメータデータ(たとえば、生成された回答キー)を用いることによって、正しく識別および検証され得る。既知のEVオーナーの場合、アカウント時系列データからの時間間隔を対応するEVサブメータ時系列データと合致させることによって、アカウント時系列データにおいて疑わしいEV充電を識別して検証することができる。サブメータの15分間隔kWhは、EVオーナーが自身の電気自動車の充電の大体の開始時と、EV充電の停止時とを示すだろう。
【0057】
EVサブメータデータからの開始時間間隔および停止時間間隔が、疑わしいEV充電と比較して、対応するアカウント時系列データ内でマーク付けされて発見され得る。時間間隔が合致する(互いに重なる)場合、アカウントデータにおける疑わしいEV充電は真にEV充電である。疑わしいEV充電がEVサブメータからの充電時間間隔と重ならない場合、疑わしいEV充電はEV充電ではない。アカウント時系列データ300が、その対応するEVサブメータ時系列データ305と照合された(たとえば、重ね合わされた)例が図3に示される。
【0058】
図3において、x軸は15分の時間間隔であり、y軸は対応する時間間隔で記録されたkWh値を示す。また、1日24時間にわたって、時系列中に96kWhの値がある(たとえば、1×96ベクトルのkWh値)。図3は、1日分の時間間隔の一部のみを示す。概して、EV充電が行なわれるとき、EVサブメータデータ305内のkWh値は0kWhからはるかに高い値に急激に増加する。これは「上昇スパイク」点で示されている。さらに、kWhレベルは持続期間にわたってその高レベルのままとなる(「持続されたレベル」エリアによって表されている)。EV充電が停止すると、EVサブメータデータ305においてkWh値の大きさが急激に下がる(「下降スパイク」点で示される)。
【0059】
上昇スパイクの時間間隔および下降スパイクの時間間隔において、システムは、これらがEV充電イベント310を指定する開始時間間隔および停止時間間隔であることを認識する。EVサブメータデータ305からのEV充電がアカウントデータ300内の充電と重なっている時間間隔は、アカウントデータ300内のEV充電を識別する。アカウントデータ300中のkWh値が構内全体からのすべての電気充電を含んでおり、EV充電が充電の1構成要素であることに留意されたい。EVサブメータデータからの開始時間間隔および停止時間間隔を用いることで、システムは、アカウント時系列データ300のどこで実際のEV充電イベントが発生しているかを識別することができる。これはEV充電イベント310として識別される。
【0060】
EV充電イベント310の開始時間間隔および停止時間間隔が発見されると、システムは、EV充電イベント310の同じ期間に割り当てられた対応する符号化文字を識別する。図3に示されるように、アカウントデータ300についての符号化文字325は、EV充電イベント310中に列「ffffffefffffe」を含む。したがって、この符号化列は、既知のEV充電イベントを表わしており、符号化文字のうち認識された1つのEV充電パターン/モチーフとして格納される。列内の空間は不要であり、符号化文字を読み易くするために単純に示されている。
【0061】
再び図2を参照すると、ブロック260において、EV充電イベントおよびその開始時間間隔および停止時間間隔が識別されると、検出モジュール130は、EV充電イベントに関連付けられた充電特徴を識別する。たとえば、疑わしいEV充電イベントまたは識別されたEV充電イベントの前、最中および終わりに発生するアカウント時系列データ300に収集されたデータが読出される。充電特徴は、非EV充電からEV充電を特徴付けるのに役立つEV充電イベントから抽出および/または計算される。充電特徴は、EV充電を区別できるようにするために、EV充電が何に似ているのかと、何に似ていないのかと
をシステムが学習するのに役立つだろう。
【0062】
たとえば、システムは、kWh値を抽出し、さまざまな充電特徴を計算することができる。さまざまな充電特徴とは、たとえば、EV充電イベント中の電気の平均消費、EV充電開始時のkWhで示される最初の急激な増大の大きさ、EV充電終了時のkWhで示される低下の大きさ、EV充電イベントの持続時間、EV充電中のkWh値の標準偏差、EV充電イベント中の総kWh使用量、EV充電イベント中の最大kWh値および/または最小kWh値などである。これらの特徴の任意の組合わせが用いられてもよく、所与のデータセットに利用可能な充電データに基づいて他の特徴が計算されてもよい。符号化EV充電パターンと共に使用および格納される1つ以上の充電特徴は、関連付けられたEV充電イベントの充電特性またはシグネチャとして機能する。
【0063】
疑わしいEV充電がEVサブメータデータからのEV充電と重ならない場合、疑わしいEV充電は実際のEV充電ではない。システムは、上述のように、kWh値を抽出し得るとともに、この非EV充電パターンについてのさまざまな充電特徴を計算し得る。しかしながら、これらの充電特徴および関連する符号化文字パターンは、後続の判断の際に充電イベントを区別するのに用いることができる非EV充電特性として格納される。
【0064】
引き続き図2を参照すると、非EV充電イベントがなければ、検出モジュール130は、既知の非EVデータのために、ブロック250aおよび260aにおいて同様の処理を実行する。システムは、上述したように、非EV充電であることが分かっている符号化文字パターンを識別し、それらの関連する充電特徴を判断する。非EV充電の符号化パターンおよびそれらの充電特徴は、非EV充電が何に似ているかを特徴付ける。したがって、非EV充電データは、疑わしいEV充電が真にEV充電であるかまたは非EV充電であるかを判断するのを支援するために用いることができる。
【0065】
したがって、システムは、既知の非EVオーナーからのアカウント時系列データを対照グループとして用いて、既知のEVオーナーと比較して「真の陰性」サンプルを作成する。対照グループのメンバーからのkWhデータおよび時間間隔は、上述の既知のEVオーナーからの充電データおよび充電特徴と同じ方法または同様の方法で処理される。
【0066】
検証ブロック270および280
ブロック270において、EV充電パターンおよびそれらの関連する充電特徴が、1つ以上の機械学習分類器(単に、分類器)に入力される。このデータは、未知のデータセットからEV充電イベントを識別および検出するために、充電特徴から学習するように分類器を訓練する。同様に、非EV充電パターンおよびそれらの関連する充電特徴は、非EV充電パターンを識別して、それらをEV充電イベントから区別するように分類器を訓練するために入力される。
【0067】
分類器は、アカウント時系列データに対して何回でも訓練および実行させることができる。分類器は、既知のEV充電パターン/モチーフおよび充電特徴に基づいて、分類器がEV充電として識別した検出済みEVイベントのリストを生成するように構成される。ブロック280において、生成されたリストは、実際のEVサブメータデータからブロック225で生成された回答キーに対して比較および検証され得る。検証の結果を分類器にフィードバックして、不正確なEV充電イベントまたはミスしたEV充電イベントを訂正し、これにより分類器をさらに訓練し得る。
【0068】
一実施形態においては、分類器は、分析されている電気充電が真のEV充電である可能性がどの程度であるかを判断するように構成された機械学習アルゴリズムを含む。分類器は、検出モジュール130からの検出されたEV充電パターンおよびEV充電特徴を用い
てEV充電と非EV充電との差を学習するように訓練される。分類器はまた、既知の非EVオーナーからの充電特徴を用いて、真のEV充電と非EV充電とを区別する。EVサブメータデータからブロック225で生成された回答キーは、システムが分類器の結果をテストすることを可能にする。応答キーはまた、どの充電がEVオーナーからのものであり、どの充電が非EVオーナーからのものであるかを識別するように分類器を訓練するために用いられてもよい。
【0069】
既知のEVオーナーからの検出されたEV充電パターンおよび充電特徴と、既知の非EVオーナーからの充電特徴とを用いて、機械学習分類器は、観察された経験に基づいて学習する。このようにして、機械学習分類器は、それが訓練される際に用いられる検出情報の提供によりプログラム可能であり、分類器は、高い確率でEV充電の要素または特性を識別する能力を獲得する。
【0070】
EV充電パターンを探すように分類器を訓練することは、教師あり学習プロセスの一部である。教師あり学習は、提供されたサンプルに基づいて要素を認識する能力をコンピュータに提供する。この場合、これらのサンプルは、関連するEV充電イベントを特徴付けるEV充電パターンおよび充電特徴を含む。コンピュータは、サンプルを研究し、提供されたデータに基づいて新しいデータを認識する能力を展開する。1つ以上の実施形態においては、教師あり学習アルゴリズムは、決定ツリー、サポートベクトルマシン、ナイーブベイズ分類器、k最近傍および/または線形回帰を含み得る。
【0071】
一実施形態においては、機械学習分類器は、XGブーストで実装される。XGブーストは、勾配ブーストフレームワークの下で機械学習アルゴリズムを実装する。XGブーストは、高速かつ正確に多くのデータ科学問題を解決する並列ツリーブーストを提供する。分類器コードは、Hadoop、SGEおよびMPIなどのさまざまな分散環境上で実装および実行することができる。
【0072】
一実施形態においては、勾配ブーストは、回帰問題および分類問題のための機械学習技術であり、弱い予測モデル、典型的には決定ツリーの集合の形式で予測モデルを生成する。予測モデリングは、結果を予測するためにモデルが生成される処理である。結果が分類的なものであれば分類と称され、結果が数値的なものであれば回帰と称される。
【0073】
機械学習分類器が訓練されると、この機械学習分類器は、未知のアカウントが疑わしいEV充電を有するかどうかを識別するために用いられ得る。検出処理は、多数(数千、数万など)の未知のアカウントに対して系統的に実行することができる。したがって、未知のアカウントのメータから収集されたアカウント時系列データは、疑わしいEV充電の識別のために機械学習分類器に入力されてもよい。疑わしいEV充電が所与の時系列データセット内に発見された場合、関連するアカウントが疑わしいEVオーナーとしてマーク付けおよびラベル付けされる。次いで、結果として生じる1つ以上のアクションが、識別されたEVオーナーに基づいて実行され得る。この処理の一例について図4を参照して説明する。追加の入力を用いる他の分類器は、性能を改善するために分類器にカスケード接続されてもよい。
【0074】
本システムおよび方法によって実装される新規の技術は、EV検出についての質問に「はい/いいえ」で回答することで対応するものである。システムは、図2の処理から1つ以上のステップを用いて以下について解決することができる。
【0075】
(1)既知の電気自動車オーナーについて、その日中に充電活動があるかどうかを検出する。
【0076】
(2)既知の電気自動車オーナーについて、(アカウント時系列データで測定される)住宅の電気使用量に基づいて、電気自動車が充電のためにいつプラグインされたかを検出する。
【0077】
(3)アカウントの時系列について、EVが充電されているかどうか。
一実施形態においては、システムは、EV充電を識別するために、ロジスティック分類器および決定ツリーベースのアルゴリズム(たとえば、サポートベクトルマシン(Support Vector Machine:SVM)を実装および使用する。ロジスティック分類器の場合、0.5よりも大きい確率が割当てられている疑わしいEVイベントは、EV充電として分類される。当然、他の値が用いられてもよい。
【0078】
本検出システムに関して観察された、上記(1)を解決するための例示的な結果は以下の通りであった。
【0079】
精度=0.852564102564
【0080】
【表1】
【0081】
上記の質問(3)について、アカウント時系列データの所与のセットに基づいて、SVMモデルで実装される機械学習分類器は以下の結果を生成した。
【0082】
【表2】
【0083】
図4を参照すると、未知のアカウントのアカウントメータデータから疑わしいEV充電を識別および検出するためのEV検出処理400の一実施形態が示されている。ここで、未知アカウントとは、EVオーナーと、アカウントに関連付けられたEV充電とが存在するか否かが未知であるアカウントを意味する。方法400の検出処理は、未知のアカウントが電気自動車に関連付けられているかどうかを予測するために、訓練された上述の機械学習分類器を用いる。
【0084】
検出処理は、選択されたアカウントに対して、または多数(数千、数万など)の未知のアカウントに対して系統的に実行することができる。このため、未知のアカウントのメータから収集されたアカウント時系列データは、疑わしいEV充電の識別のために機械学習分類器に入力されてもよい。疑わしいEV充電が所与の時系列データセットにおいて見つかった場合、関連付けられたアカウントは、疑わしいEVオーナーとしてマーク付けおよびラベル付けされる。次いで、結果として生じる1つ以上のアクションが、識別されたEVオーナーに基づいて実行され得る。
【0085】
410において、未知のアカウントからのアカウント時系列データセットが、メモリまたはデータ記憶装置から読出されて、入力として提供される。420および430において、アカウント時系列データは、長フォーマット時系列(たとえば、データベクトル)に変換され、kWh値は、図2のブロック220および230において実行されるように正規化される。440において、正規化されたkWh値は、図2のブロック240において実行されるように符号化文字方式で符号化される。上述したように、例示的な方式は、低-高使用レベルa、b、c、d、e、fの6文字を用いる。
【0086】
450において、データベクトルからの符号化文字が機械学習分類器に入力される。符号化文字は、持続期間にわたって、行内の「f」文字の列などの高使用文字の文字パターンについてサーチされる。公知であるように、高使用文字の列はEV充電を表し得る。このような列が見つからない場合、アカウントは非EVオーナーとしてマーク付けされて、次のアカウント時系列が分析のために入力可能となる。高使用文字の列が見つかった場合、機械学習分類器は、対応する時間間隔およびkWh充電を疑わしいEV充電として識別する。
【0087】
460において、機械学習分類器は、図2のブロック260について上述した充電特徴と同様の態様で疑わしいEV充電から充電特徴を判断する。たとえば、疑わしいEV充電の前、最中および/または終わりに生じるアカウント時系列データにおいて収集されたkWhデータが、メモリまたはストレージから読出される。1つ以上の充電特徴が生成される。1つ以上の充電特徴は、たとえば、疑わしいEV充電中の電気の平均消費、疑わしいEV充電開始時のkWhで示される最初の急激な増大の大きさ、疑わしいEV充電終了時のkWhで示される低下の大きさ、疑わしいEV充電イベントの持続時間、疑わしいEV充電中のkWh値の標準偏差、疑わしいEV充電中の総kWh使用量、疑わしいEV充電中の最大kWh値および/または最小kWh値などである。これらの充電特徴の任意の組合わせが生成されてもよく、それらは、関連する疑わしいEV充電の充電特性(たとえばシグネチャ)を表す。
【0088】
470において、機械学習分類器は、疑わしいEV充電の充電特徴および符号化文字が、既知のEV充電パターン/モチーフおよびそれらの対応する既知の充電特徴のいずれかと合致するかどうかを判断する。この合致は、対応する種類の充電特徴を比較すること、および、これらの値がある程度(たとえば、設定された閾値量)に合致するかどうかを判断することに基づいていてもよい。たとえば、分類器は、疑わしいEV充電中に用いられた電気の平均消費が、合致するEV充電パターン/モチーフからの既知のEV充電イベント中に用いられた電気の平均消費と合致するかどうかを判断する。
【0089】
この比較が他の異なる種類の充電特徴に対して実行され得るとともに、合致結果の合計スコアが生成され得る。充電特徴の種類ごとの合致の類似性の閾値量が分類アルゴリズムにおいて定義および設定され得る。一実施形態においては、この合致は、図2の処理から学習されるように、既知のEV充電パターン/モチーフおよびそれらの対応する充電特徴から学習された観察を用いるパターン合致を含む。
【0090】
480において、疑わしいEV充電が1つ以上の既知のEV充電パターンと合致し、関連するEV充電特徴と指定された度合いで合致する場合、この疑わしいEV充電がEV充電としてマーク付けされ、そのアカウントが、可能性のあるEVオーナーアカウントとしてマーク付けされる。さらに、当該処理が追加のアカウントのために繰返されてもよい。電気自動車充電に関連付けられる可能性の高いアカウントを識別するリストまたは他のデータ出力が生成される。これらのアカウントはEVオーナーとしてマーク付けされる。
【0091】
疑わしいEV充電の充電特徴が既知のEV充電特徴の閾値内で合致しない場合、疑わしい充電は非EV充電としてマーク付けされ、アカウント時系列データセット中の他のいずれの疑わしいEV充電に対しても分析が繰返される。EV充電が識別されない場合、アカウントは非EVオーナーとしてマーク付けされる。時系列データセットに対して方法400の処理をさらに継続し、繰返してもよい。
【0092】
次いで、490において、1つ以上の結果アクションが、識別されたEVオーナーに基づいて実行され得る。一実施形態においては、結果として生じる1つ以上のアクションは、たとえば、EVオーナーのアカウントをEV充電のための別の(より優れた)電気レートに変更する(より望ましい顧客契約を提供する)ためのメッセージを生成して、当該EVオーナーのリモートデバイスに送信するアクションを含む。当該システムは、EVオーナーがオンピーク時間帯中またはオフピーク時間帯中に充電しているかどうかを識別し得る。オンピーク時間帯である充電時間に基づいて、システムは、命令付き電子メッセージを生成し、EVオーナーに関連付けられたリモートデバイスに送信し得る。電子メッセージは、充電時間をオフピーク時間帯に修正するための命令、および/または、EV充電負荷をオフピーク時間帯にシフトするために1以上のEVオーナーに「使用時間」レートへの変更を実行させるアカウント設定を修正するための命令を含み得る。
【0093】
結果として生じる別のアクションは、電気グリッド内のEVオーナーの位置を識別することと、EVオーナー同士の互いに対する位置を判断することとを含み得る。次いで、システムは、複数のEVオーナーを有する特定のエリアにおける著しい負荷増加を表し得るグリッド内のEV「ホットスポット」を識別することができる。
【0094】
本システムを用いてEVオーナーを定期的に監視および識別することに基づいて、当該システムは、EV電力取込みの傾向および速度をシステム全体レベルで、および/または、よりローカライズされたレベルで識別し得る。グリッド内の特定のエリアにおいて検出されたEVオーナーの数がある程度増加していれば、安全かつ適切な配電を確実にするために、電気グリッド設備に補正アクションおよび修正を行うことができる。これらのアクションは、変圧器の調整またはサイズ変更、電力線のルーティング変更などを含み得る。
【0095】
一実施形態においては、命令を生成することは、検出されたEV充電に関する情報および変化するEV充電挙動(たとえば、充電時間をオフピーク時間帯に変更すること)に関する情報を含む電子メッセージを生成することを含む。充電挙動を変化させることによって、電気グリッドに対する負荷を特定の時間において減らすことができる。次いで、電子メール、テキストメッセージ、電子電話メッセージ、または他の電子形式などの生成されたメッセージは、ネットワーク通信を介して、検出されたEVオーナーに関連付けられるリモートデバイスに送信され得る。
【0096】
別の実施形態においては、当該システムおよび方法は、検出されたEVオーナーに関連付けられた位置に物理的形式で配信されるべき生成メッセージのハードコピーを印刷するようにプリンタに命令するとともに当該プリンタを制御してもよい。
【0097】
上述の記載に基づく電気自動車検出システムの別の実施形態においては、以下の処理を実行してもよい。検出システムは、電気自動車(EV)オーナーから電気消費データの第1の時系列を受信し、前述のとおり、(メモリにアクセスするプロセッサによって)当該時系列を、EV充電パターンを含む記号のEV使用パターンに符号化し得る。次いで、検出システムは、プロセッサがメモリにアクセスすることによって、非電気自動車(非EV)オーナーからの電気消費データの第2の時系列を複数記号の非EV使用パターンに符号化し得る。次いで、検出システムは、電気消費データの未知の時系列から同様の電気自動車充電パターンを検出して識別するために、複数記号のEV使用パターン(EV充電パタ
ーンを含む)および複数記号の非EV使用パターンを用いて機械学習分類器を構成および訓練し得る。
【0098】
1巡以上の訓練を行なった後、機械分類器を用いて未知のデータセットを分析し得る。たとえば、電気消費データの第1の未知の時系列を受信したことに応答して、機械学習分類器は、分類器を訓練するのに用いられる情報に基づいて、電気消費データの第1の未知の時系列が同様の電気自動車充電パターンを含むかどうかを検出する。機械学習分類器は、検出結果に基づいて、第1の未知の時系列をEVオーナーまたは非EVオーナーとして識別する出力を生成する。これは、任意の数の未知の時系列のデータに対して繰返されてもよい。
【0099】
電気公益事業者は、精度が改善された本発明の電気自動車検出システムおよび方法を用いて、電気自動車を有するアカウントを識別することができる。上述したように、1以上のEVオーナーが識別された後にさまざまなアクションが実行され得る。識別されたEVオーナーの位置に基づいて、過負荷を受ける可能性のある電気グリッド上のネットワーク構成要素が識別され得る。過負荷は、複数のEVオーナーが同じ近隣の電気グリッド上で検出および発見される場合に起こる可能性がある。これは、電気グリッド上の負荷をより適切に制御すること、エネルギ効率プログラムを識別されたEVオーナーの対象とすること、需要応答プログラムを生成して識別されたEVオーナーの対象とすること、および/または、グリッド内のネットワーク構成要素への遅延アップグレード、もしくは、グリッドのネットワーク構成要素へのジャスト・イン・タイムのアップグレードを実行することに関して、公益事業者についての重要性を直接促進する。
【0100】
クラウドまたはエンタープライズの実施形態
一実施形態においては、本電気自動車充電検出システムは、エンタープライズ組織のためのアプリケーションまたは分散アプリケーションの集合を含むコンピューティング/データ処理システムである。当該アプリケーションおよびコンピューティングシステムは、クラウドベースのネットワーキングシステム、ソフトウェア・アズ・ア・サービス(software-as-a-service:SaaS)アーキテクチャ、もしくは他のタイプのネットワーク化
コンピューティングソリューションを用いて動作するように構成されてもよく、または、クラウドベースのネットワーキングシステム、SaaSアーキテクチャ、もしくは他のタイプのネットワーク化コンピューティングソリューションとして実現されてもよい。一実施形態においては、検出システムは、少なくとも本明細書中に開示される機能を提供するとともに、コンピュータネットワーク上で(サーバとして機能する)コンピューティングシステム100と通信するコンピューティングデバイス/端末を介して多くのユーザによってアクセスされる、集中型サーバ側アプリケーションの一部として実装される。
【0101】
一実施形態においては、EV検出システム100を含む本明細書で説明される構成要素のうちの1つ以上は、非一時的なコンピュータ可読媒体に格納されるプログラムモジュールとして構成される。プログラムモジュールは、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときにコンピューティングデバイスに本明細書中に記載の対応する機能を実行させる格納された命令で構成される。
【0102】
コンピューティングデバイスの実施形態
一実施形態においては、図5は、本電気自動車検出システム100の1つ以上の構成要素および本明細書中に記載される方法および/または同等例を用いる専用のコンピューティングデバイスとして構成および/またはプログラムされたコンピューティングデバイスを示す。
【0103】
例示的なコンピューティングデバイスは、ハードウェアプロセッサ510と、メモリ5
15と、バス525によって動作可能に接続された入出力ポート520とを含むコンピュータ505であり得る。一例においては、コンピュータ505は、図1図4を参照して図示および説明されるEV検出システム100で構成される。さまざまな例において、EV検出システム100は、ハードウェア、命令が格納された非一時的なコンピュータ可読媒体、ファームウェア、および/またはそれらの組合わせで実現されてもよい。
【0104】
一実施形態においては、EV検出システム100および/またはコンピュータ505は、上述のアクションを実行するための手段(たとえば、構造:ハードウェア、非一時的なコンピュータ可読媒体、ファームウェア)である。いくつかの実施形態においては、コンピューティングデバイスは、クラウドコンピューティングシステム内で動作するサーバ、ソフトウェア・アズ・ア・サービス(SaaS)アーキテクチャにおいて構成されたサーバ、スマートフォン、ラップトップ、タブレットコンピューティングデバイスなどであってもよい。
【0105】
EV検出システム100はまた、メモリ515に一時的に格納されるとともにその後プロセッサ510によって実行されるデータ540としてコンピュータ505に提示される、格納されたコンピュータ実行可能命令として実装されてもよい。
【0106】
コンピュータ505の例示的な構成を概略的に説明すると、プロセッサ510は、デュアルマイクロプロセッサおよび他のマルチプロセッサアーキテクチャを含む多種多様なプロセッサであってもよい。メモリ515は、揮発性メモリおよび/または不揮発性メモリを含み得る。不揮発性メモリは、たとえば、ROM、PROM、EPROM、EEPROM等を含んでいてもよい。揮発性メモリは、たとえば、RAM、SRAM、DRAM等を含んでいてもよい。
【0107】
ストレージディスク535は、たとえば、入出力(input/output:I/O)インターフェイス(たとえば、カード、デバイス)545および入出力ポート1020を介してコンピュータ505に動作可能に接続され得る。ディスク535は、たとえば、磁気ディスクドライブ、ソリッドステートディスクドライブ、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、テープドライブ、Zipドライブ、フラッシュメモリカード、メモリスティックなどであってもよい。さらに、ディスク535は、CD-ROMドライブ、CD-Rドライブ、CD-RWドライブ、DVD ROM等であってもよい。メモリ515は、たとえば、処理550および/またはデータ540を記憶することができる。ディスク535および/またはメモリ515は、コンピュータ505のリソースを制御するとともに割当てるオペレーティングシステムを記憶することができる。
【0108】
コンピュータ505は、I/Oインターフェイス545および入出力ポート520を介して入出力(I/O)デバイスと対話してもよい。プロセッサ510とI/Oインターフェイス545およびポート520との間の通信は、入出力コントローラ547によって管理される。入出力ポート520は、たとえば、シリアルポート、パラレルポートおよびUSBポートを含んでいてもよい。
【0109】
コンピュータ505は、ネットワーク環境において動作可能であり、このため、I/Oインターフェイス545および/またはI/Oポート520を介してネットワークデバイス555に接続され得る。コンピュータ505は、ネットワークデバイス555を介してネットワーク560と対話してもよい。コンピュータ505は、ネットワーク560を介してリモートコンピュータ565に論理的に接続されてもよい。コンピュータ505が対話し得るネットワークは、LAN、WAN、および他のネットワークを含むが、これらに限定されない。
【0110】
コンピュータ505は、I/Oポート520を介して1つ以上の出力デバイスまたは入力デバイスから情報および信号を送信および受信することができる。出力デバイスは、1つ以上のディスプレイ570、プリンタ572(インクジェット、レーザまたは3Dプリンタなど)、およびオーディオ出力デバイス574(スピーカまたはヘッドフォンなど)を含む。入力デバイスは、1つ以上のテキスト入力デバイス580(キーボードなど)、カーソルコントローラ582(マウス、タッチパッド、またはタッチスクリーンなど)、オーディオ入力デバイス584(マイクロフォンなど)、ビデオ入力デバイス586(ビデオおよびスチルカメラなど)、またはスキャナ588などの他の入力デバイスを含む。入出力デバイスはさらに、ディスク535、ネットワークデバイス555などを含んでいてもよい。場合によっては、コンピュータ505は、テキスト入力デバイス580、カーソルコントローラ582、音声入力デバイス584、ディスク535、およびネットワークデバイス555などによって、入力デバイスまたは出力デバイスによって生成または提供される情報または信号によって制御され得る。
【0111】
定義および他の実施形態
本明細書に記載または請求される機能はいずれも、人によって手動で実行されるものではなく、または精神意識により実行されるものではない。そのような解釈はいずれも本開示と矛盾する。
【0112】
一実施形態においては、説明される方法および/またはそれらの同等例は、格納されたコンピュータ実行可能命令で実装される。したがって、一実施形態においては、非一時的なコンピュータ可読/記憶媒体は、マシンによって実行されると、マシン(および/または関連する構成要素)に当該方法を実行させるアルゴリズム/実行可能アプリケーションのための格納されたコンピュータ実行可能命令で構成される。例示的なマシンは、プロセッサ、コンピュータ、クラウドコンピューティングシステムにおいて動作するサーバ、ソフトウェア・アズ・ア・サービス(SaaS)アーキテクチャにおいて構成されるサーバ、スマートフォン等を含むが、これらに限定されない。一実施形態においては、コンピューティングデバイスは、開示された方法のいずれかを実行するように構成された1つ以上の実行可能アルゴリズムで実装される。
【0113】
1つ以上の実施形態においては、開示された方法またはそれらの同等例は、方法を実行するように構成されたコンピュータハードウェア、または、非一時的なコンピュータ可読媒体もしくはメモリに格納されたモジュール内で具現化されるコンピュータ命令のうちいずれかによって実行される。当該命令は、コンピューティングデバイスの少なくともプロセッサによって実行されたときに当該方法を実行するように構成された実行可能アルゴリズムとして構成されている。
【0114】
説明を簡潔にするために、図に示される例示的な方法は、アルゴリズムの一連のブロックとして図示および説明されるものであるが、当該方法がブロックの順序によって限定されないことを理解されたい。いくつかのブロックは、図示および説明されたものとは異なる順序で、および/または他のブロックと同時に発生し得る。さらに、例示的な方法を実現するために、例示されたすべてのブロックよりも少ないブロックが用いられてもよい。ブロックは、組合わされるか、または複数のアクション/構成要素に分離されてもよい。さらに、付加的および/または代替的な方法は、ブロックには示されない追加のアクションを用いることができる。
【0115】
以下は、本明細書中で用いられる選択された用語の定義を含む。定義は、用語の範囲内にあるとともに実装のために用いられ得る構成要素のさまざまな例および/または形態を含む。これらの例は、限定するよう意図されたものではない。用語の単数形および複数形はともに、定義の範囲内であり得る。
【0116】
「一実施形態」、「或る実施形態」、「一例」、「或る例」などと言及する場合、それらは、そのように記載される実施形態または例が、特定の特徴、構造、特性、性質、要素または限定を含み得るが、すべての実施形態または例が必ずしもその特定の特徴、構造、特性、性質、要素または限定を含むわけではないことを示している。さらに、「一実施形態においては」という表現を繰返し用いる場合、必ずしも同じ実施形態を指すわけではないが、同じ実施形態である可能性もある。
【0117】
本明細書で用いられる「データ構造」は、メモリ、記憶装置、または他のコンピュータ化されたシステムに格納されるコンピューティングシステム内のデータの構成である。データ構造は、たとえば、データフィールド、データファイル、データ配列、データ記録、データベース、データテーブル、グラフ、ツリー、リンクされたリストなどのいずれか1つであってもよい。データ構造は、他の多くのデータ構造(たとえば、データベースは多くのデータ記録を含む)から形成され得るとともに、それらを含み得る。他の実施形態によれば、データ構造の他の例も同様に実現可能である。
【0118】
本明細書中で用いられる「コンピュータ可読媒体」または「コンピュータ記憶媒体」は、実行されたときに、開示される機能のうちの1つ以上を実行するように構成された命令および/またはデータを記憶する非一時的な媒体を指す。データは、いくつかの実施形態においては、命令として機能し得る。コンピュータ可読媒体は、不揮発性媒体および揮発性媒体を含む形態をとり得るが、これらに限定されない。不揮発性媒体は、たとえば、光ディスク、磁気ディスクなどを含み得る。揮発性媒体は、たとえば、半導体メモリ、ダイナミックメモリなどを含み得る。コンピュータ可読媒体の一般的な形態は、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、他の磁気媒体、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit:ASIC)、
プログラマブル論理デバイス、コンパクトディスク(compact disk:CD)、他の光媒体、ランダムアクセスメモリ(random access memory:RAM)、読取り専用メモリ(read
only memory:ROM)、メモリチップまたはカード、メモリスティック、ソリッドステートストレージデバイス(solid state storage device:SSD)、フラッシュドライブ、および、コンピュータ、プロセッサまたは他の電子デバイスが機能することができる他の媒体を含み得るが、これらに限定されない。一実施形態において実装のために選択される場合、媒体の各タイプは、開示されるおよび/または請求される機能のうちの1つ以上を実行するように構成されたアルゴリズムの命令が格納されていてもよい。
【0119】
本明細書で用いられる「論理」は、本明細書で開示した機能もしくはアクションのいずれかを実行するために、ならびに/または、本明細書で開示した別の論理、方法および/もしくはシステムからの機能もしくはアクションを実行させるために、コンピュータもしくは電気ハードウェア、実行可能なアプリケーションもしくはプログラムモジュールの命令が格納された非一時的な媒体、および/または、これらの組合わせで実施される構成要素を表す。同等の論理は、ファームウェア、アルゴリズムでプログラムされたマイクロプロセッサ、ディスクリート論理(たとえばASIC)、少なくとも1つの回路、アナログ回路、デジタル回路、プログラムされた論理デバイス、アルゴリズムの命令を含むメモリデバイス等を含み得るが、これらのうちのいずれかは、開示された機能のうちの1つ以上を実行するように構成され得る。一実施形態においては、論理は、1つ以上のゲート、ゲートの組合わせ、または開示された機能のうちの1つ以上を実行するように構成された他の回路構成要素を含み得る。複数の論理が説明される場合、複数の論理を1つの論理に組み込むことが可能であり得る。同様に、単一の論理が説明される場合、その単一の論理を複数の論理間で分配することが可能であり得る。一実施形態においては、これらの論理のうちの1つ以上は、開示および/または請求される機能を実行することに関連する対応する構造である。どのタイプの論理を実装するかの選択は、所望のシステム条件または仕様
に基づき得る。たとえば、より高い速度が考慮事項である場合、機能を実現するためにハードウェアが選択されることとなるだろう。より低いコストが考慮事項である場合、機能を実現するために、格納された命令/実行可能アプリケーションが選択されることとなるだろう。
【0120】
「動作可能な接続」、またはエンティティが「動作可能に接続される」接続は、信号、物理的通信および/または論理通信が送信および/または受信され得る接続である。動作可能な接続は、物理的インターフェイス、電気的インターフェイスおよび/またはデータインターフェイスを含み得る。動作可能な接続は、動作可能な制御を可能にするのに十分なインターフェイスおよび/または接続のさまざまな組合わせを含み得る。たとえば、2つのエンティティは、信号を互いに直接または1つ以上の中間エンティティ(たとえば、プロセッサ、オペレーティングシステム、論理、非一時的なコンピュータ可読媒体)を介して通信するように動作可能に接続することができる。論理通信チャネルおよび/または物理通信チャネルを用いて、動作可能な接続を作成することができる。
【0121】
本明細書で用いられる「ユーザ」は、1以上の人、コンピュータまたは他のデバイス、またはこれらの組合わせを含むが、これらに限定されない。
【0122】
開示された実施形態をかなり詳細に図示および説明してきたが、添付の特許請求の範囲をそのような詳細に制限するかまたは何らかの形で限定することは意図していない。当然、主題のさまざまな態様を説明する目的で、構成要素または方法論の考えられ得るすべての組合わせを説明することは不可能である。したがって、本開示は、図示および説明される特定の詳細または具体的な例に限定されない。したがって、本開示は、法的主題要件を満たす、添付の特許請求の範囲内に収まる変更、修正および変形を包含するよう意図されたものである。
【0123】
「含む(includes)」または「含んでいる(including)」という用語が詳細な説明ま
たは請求項で利用される限りにおいて、この用語が請求項の中で移行語として利用される場合に解釈されるように、「備えている(comprising)」という用語と同様に包括的であることが意図される。
【0124】
「または」という用語が詳細な説明または請求項で使用される(たとえば、AまたはB)限りにおいて、「AまたはBまたはそれら両方」を意味することが意図される。出願人が「AまたはBのみであり、両方ではない」ことを示すことを意図する場合、「AまたはBのみであり、両方ではない」という表現が使用されるだろう。したがって、本明細書における「または」という用語の使用は包括的な使用であり、排他的な使用ではない。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-11-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサを備えたコンピューティングデバイスによって実行されるコンピュータ実装方法であって、
電気消費の使用値の未知の時系列データを複数のアカウントから受信するステップを含み、アカウントに対応する前記未知の時系列データが、電気自動車(electric vehicle:EV)充電イベントを有するか否かは未知であり、前記コンピュータ実装方法はさらに、
前記複数のアカウントのうちの所与のアカウントについて、
前記未知の時系列データを、対応する使用値を含む複数の時間間隔のデータ構造に変換するステップと、
前記複数の時間間隔の各々を、対応する時間間隔中の電気消費のレベルを表す一連の記号のうちの1つの記号で符号化するステップとを含み、
前記符号化するステップで、複数の記号の符号化消費パターンを生成し、前記コンピュータ実装方法はさらに、
前記複数の記号の符号化消費パターンを用いて機械学習分類器を実行するステップを含み、前記機械学習分類器は、非充電モチーフから区別される電気自動車(EV)充電イベントを表す複数の記号のシーケンスを含む既知のEV充電モチーフのセットを識別するように訓練され、前記コンピュータ実装方法はさらに、
前記機械学習分類器が、前記所与のアカウントからの前記複数の記号の符号化消費パターンが、前記既知のEV充電モチーフのセットのうちの1つに類似する高使用記号の列を含むかどうかを検出するステップと、
前記機械学習分類器が、少なくとも前記検出するステップに基づいて、前記所与のアカウントに、電気自動車充電イベントを有するものとして、または電気自動車充電イベントを有さないものとしてマーク付けするステップとを含む、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記符号化するステップはさらに、
前記未知の時系列データ内の前記使用値の範囲に関して、低使用レベルから高使用レベルまでの前記電気消費のレベルを表す文字の符号化方式を適用するステップを含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記符号化するステップはさらに、
電気使用量の前記複数の時間間隔の各々を、所与の時間間隔での前記電気消費のレベルを表す前記一連の記号のうちの1つの記号に符号化するステップを含み、一連の連続する時間間隔は前記複数の記号の符号化消費パターンになる、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
前記マーク付けするステップはさらに、
前記複数の記号の符号化消費パターンが前記既知のEV充電モチーフのセットのうちの1つのモチーフに合致することを検出することに応答して、前記所与のアカウントを電気自動車を有するものとして識別するステップと、
前記複数の記号の符号化消費パターンが前記既知のEV充電モチーフのセットのうちの1つのモチーフに合致しないことを検出することに応答して、前記所与のアカウントを非電気自動車オーナーとして識別するステップとを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
前記複数の記号の符号化消費パターンが高使用記号の列を含むかどうかを検出するステップは、
1つ以上の既知のEV充電イベントからの1つ以上の充電特徴を前記未知の時系列データからの対応する充電特徴と比較して、合致が閾値内で見出されるかどうかを判断するステップと、
前記合致の結果に従って出力を生成するステップとを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記複数の記号の符号化消費パターンが高使用記号の列を含むかどうかを検出するステップは、
複数の時間間隔の持続期間にわたる高使用記号の記号パターンについて前記未知の時系列データから前記複数の記号の符号化消費パターンをサーチするステップと、
前記記号パターンを疑わしいEV充電イベントとして識別するステップと、
前記複数の時間間隔の持続期間における前記使用値から充電特徴を判断するステップと、
前記機械学習分類器により、前記疑わしいEV充電イベントの前記記号パターンおよび前記充電特徴が、既知のEV充電イベントの前記既知のEV充電モチーフおよび対応する既知の充電特徴のいずれかに合致するかどうかを判断するステップとを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
前記コンピュータ実装方法はさらに、
電子メッセージを生成し、前記アカウントに関連付けられたリモートデバイスに送信するステップを含み、前記電子メッセージはEV充電時間をオフピーク時間帯に変更するための命令を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
コンピューティングシステムであって、
少なくとも1つのメモリと、
前記少なくとも1つのメモリに接続された少なくとも1つのプロセッサと、
コンピュータ可読媒体に格納されるとともに命令を含む電気自動車検出モジュールとを含み、前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに、
電気消費の使用値の未知の時系列データを複数のアカウントのうちの所与のアカウントから受信することを実行させ、前記未知の時系列データが、電気自動車(EV)充電イベントを有するか否かは未知であり、前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサに、
前記未知の時系列データを、対応する使用値を含む複数の時間間隔のデータ構造に変換することと、
前記複数の時間間隔の各々を、対応する時間間隔中の電気消費のレベルを表す一連の記号のうちの1つの記号で符号化することと、をさらに実行させ、
前記符号化することで、複数の記号の符号化消費パターンを生成し、前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサに、
前記複数の記号の符号化消費パターンを用いて機械学習分類器を実行することをさらに実行させ、前記機械学習分類器は、非充電モチーフから区別される電気自動車(EV)充電イベントを表す複数の記号のシーケンスを含む既知のEV充電モチーフのセットを識別するように訓練され、前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサに、
前記機械学習分類器が、前記所与のアカウントからの前記複数の記号の符号化消費パターンが、前記既知のEV充電モチーフのセットのうちの1つに類似する高使用記号の列を含むかどうかを検出することと、
前記機械学習分類器が、少なくとも前記検出することに基づいて、前記所与のアカウントに、電気自動車充電イベントを有するものとして、または電気自動車充電イベントを有さないものとしてマーク付けすることと、をさらに実行させる、コンピューティングシステム。
【請求項9】
前記命令はさらに、前記少なくとも1つのプロセッサに、
前記電気自動車充電イベントを有するものとしてマーク付けされる前記複数のアカウントに基づいて電気グリッド内のEVオーナーの位置を識別することと、
複数のEVオーナーを有するエリアにおける負荷増加を表す、前記電気グリッド内のEVホットスポットを識別することと、を実行させるための命令を含む、請求項8に記載のコンピューティングシステム。
【請求項10】
請求項1~7のいずれか1項に記載の方法を少なくとも1つのプロセッサによって実行させるためのコンピュータ可読プログラム。
【外国語明細書】