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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101037
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】靴および靴の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A43B 23/02 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
A43B23/02 101Z
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024087823
(22)【出願日】2024-05-30
(62)【分割の表示】P 2022130383の分割
【原出願日】2022-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】000000310
【氏名又は名称】株式会社アシックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 雄介
(72)【発明者】
【氏名】北見 亮太
(72)【発明者】
【氏名】岡田 宗敬
(57)【要約】
【課題】補強用の部材がアッパー本体の表面に配置された靴の生産効率を向上させる。
【解決手段】本開示に基づく靴1において、アッパー10は、着用時に着用者の足を挿入するための開口部10A、および、開口部10Aの前方に位置する紐締め領域10Lを有する。テープ部材200は、アッパー本体100より剛性が高い。第1帯状部210は、紐締め領域10Lに位置するとともにアッパー10の前後方向に沿って延びている。折曲げ部220は、第1帯状部210の前端部211および後端部212の少なくとも一方の端部と連続している。折曲げ部220は、第1帯状部210から見てテープ部材200が下方に折り曲げられることで形成されている。第2帯状部230は、折曲げ部220から下方に向かって延びている。第1帯状部210は、アッパー本体100との間に靴紐Lを通すための複数の隙間Gが形成されるように、アッパー本体100に縫い付けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソールと、
前記ソールの上側に位置し、着用時に着用者の足を挿入するための開口部、および、該開口部の前方に位置する紐締め領域を有する、アッパーとを備え、
前記アッパーは、
前記ソールとともに前記着用者の足を収容可能なアッパー本体と、
前記アッパー本体の外表面に縫い付けられた、該アッパー本体より剛性の高いテープ状のテープ部材とを有し、
前記テープ部材は、
前記紐締め領域に位置するとともに前記アッパーの前後方向に沿って延びる第1帯状部と、
前記第1帯状部の前端部および後端部の少なくとも一方の端部と連続し、前記第1帯状部から見て前記テープ部材が下方に折り曲げられることで形成された折曲げ部と、
前記折曲げ部から前記下方に向かって延びる第2帯状部とを有し、
前記下方は、前記ソールの接地面が地面に接するように前記ソールを平坦な地面に載置した場合において前記ソールから見たときの地面側の方向であり、
前記第1帯状部は、前記アッパー本体との間に靴紐を通すための複数の隙間が形成されるように、前記アッパー本体に縫い付けられている、靴。
【請求項2】
前記折曲げ部は、前記第1帯状部の前記前端部と連続する前側折曲げ部と、前記第1帯状部の前記後端部と連続する後側折曲げ部とを有し、
前記第2帯状部は、前記前側折曲げ部から前記下方に向かって延びる前側第2帯状部と、前記後側折曲げ部から前記下方に向かって延びる後側第2帯状部とを有する、請求項1に記載の靴。
【請求項3】
前記アッパーは、前記複数の隙間を形成するために前記第1帯状部が前記アッパー本体に縫い付けられることで設けられた、複数のステッチ部をさらに有し、
複数の前記ステッチ部は、前記第1帯状部の延在方向において互いに離隔するように並ぶことで、前記アッパー本体と前記第1帯状部との間の前記隙間に通された前記靴紐が、前記アッパー本体の前記外表面上で前記ステッチ部を中心に折り返し、かつ、その前記ステッチ部と係止することができるように、構成されている、請求項1に記載の靴。
【請求項4】
前記延在方向における複数の前記ステッチ部の各々の大きさは、複数の前記ステッチ部の互いの離隔距離より小さい、請求項3に記載の靴。
【請求項5】
前記延在方向に直交し、前記アッパー本体の前記外表面上に沿う方向である前記第1帯状部の幅方向において、複数の前記ステッチ部の各々は、その全体が前記第1帯状部に重なるように位置し、
複数の前記ステッチ部は、前記靴紐が前記ステッチ部と係止したときに、前記靴紐の折り返した部分の少なくとも一部が、前記アッパー本体と前記第1帯状部との間に位置しないように、構成されている、請求項3に記載の靴。
【請求項6】
前記延在方向に直交し、かつ、前記アッパー本体の前記外表面上に沿う方向である前記第1帯状部の幅方向において、複数の前記ステッチ部の各々は、その全体が前記第1帯状部に重なるように位置し、
前記靴紐が前記ステッチ部と係止したときに、前記靴紐の折り返した部分の全体が、前記アッパー本体と前記第1帯状部との間に位置するように、複数の前記ステッチ部が構成されている、請求項3に記載の靴。
【請求項7】
前記アッパーは、前記第1帯状部とともに前記アッパー本体を間に挟み込むように前記アッパー本体の内表面上に位置する、前記アッパー本体より剛性の高い第1補強部をさらに有し、
前記第1補強部は、前記第1帯状部とともに前記アッパー本体に縫い付けられている、請求項1に記載の靴。
【請求項8】
前記アッパーは、前記アッパー本体のうち、前記前側第2帯状部が固定された部分と前記後側第2帯状部が固定された部分との間の領域に固定され、前記アッパー本体に沿いつつ上下方向に沿って延びる、前記アッパー本体より剛性の高い第2補強部をさらに有する、請求項2に記載の靴。
【請求項9】
前記アッパーは、前記第1帯状部とともに前記アッパー本体を間に挟み込むように前記アッパー本体の内表面上に位置する、前記アッパー本体より剛性の高い第1補強部をさらに有し、
前記第1補強部は、前記第1帯状部とともに前記アッパー本体に縫い付けられており、
前記第2補強部は、前記アッパー本体の前記内表面上に位置して、前記第1補強部に接続され、前記第1補強部とともに単一の部材からなる、請求項8に記載の靴。
【請求項10】
前記テープ部材は、外足側において前記アッパー本体の前記外表面に取り付けられた外足側テープ部材と、内足側において前記アッパー本体の前記外表面に取り付けられた内足側テープ部材とを有する、請求項1に記載の靴。
【請求項11】
前記アッパー本体は、
外足側に位置する外足部と、
前記外足部と接続され、内足側に位置する内足部とで構成され、
前記アッパー本体は、前記外足部と前記内足部とが互いに分割するように前記開口部から前方に延びて前記紐締め領域に位置するスリットを有し、
前記外足部および前記内足部は、前記第1帯状部と前記アッパー本体との間の前記複数の隙間に通された前記靴紐を縛りあげることで、足幅方向において前記スリットの両側に位置する前記外足部と前記内足部とが互いに重なり合うように構成されている、請求項1に記載の靴。
【請求項12】
前記アッパー本体は、編物で構成されている、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の靴。
【請求項13】
ソールを準備する工程と、
着用時に着用者の足を挿入するための開口部、および、該開口部の前方に位置する紐締め領域を有するアッパーを製造する工程と、
前記アッパーを前記ソールの上側に接合する工程とを備え、
前記アッパーを製造する工程は、
前記ソールとともに前記着用者の足を収容可能なアッパー本体を準備する工程と、
前記アッパー本体より剛性の高いテープ状のテープ部材を、折曲げ箇所で折り曲げることで、折曲げ部を形成する工程と、
前記テープ部材のうち、前記折曲げ部から見て一方側の部分である第1帯状部を、前記紐締め領域に位置するとともに前記アッパーの前後方向に沿って延びるように、前記アッパー本体の外表面に縫い付ける工程と、
前記テープ部材のうち、前記折曲げ部から見て他方側の部分である第2帯状部を、前記折曲げ部から下方に向かって延びるように前記アッパー本体の前記外表面に取り付ける工程と、を有し、
前記下方は、前記ソールの接地面が地面に接するように、前記アッパーを接合した前記ソールを平坦な地面に載置した場合において、前記ソールから見たときの地面側の方向であり、
前記第1帯状部は、前記アッパー本体との間に靴紐を通すための複数の隙間が形成されるように、前記アッパー本体に縫い付けられる、靴の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は靴および靴の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2015/151195号(特許文献1)には、従来の靴が開示されている。当該靴のアッパーは、ソックと、外側および内側のハトメ飾りと、外側の少なくとも1つの補強材と、内側の少なくとも1つの補強材とを備えている。
【0003】
外側および内側のハトメ飾りは、ソックの開口の外側および内側の縁にそれぞれ配置される。外側および内側のハトメ飾りは、ソックを形成する部材よりも伸び難い。外側および内側のハトメ飾りは、シューレースが通る複数の孔を有する。ハトメ飾りを形成する素材としては、たとえばテープ材や人工皮革、あるいは、これらの2以上の素材が採用されてもよい。シューレースが通る複数の孔は人工皮革等に形成された小さな円形の孔であってもよいし、人工皮革等に縫い付けられたループ材であってもよい。
【0004】
外側の補強材は、ソックを形成する部材よりも伸び難い。また、外側の補強材は、外側のハトメ飾りからソールまたはヒールカウンタまで延びる。内側の補強材は、ソックを形成する部材よりも伸び難い。また、内側の補強材は、内側のハトメ飾りからソールまたはヒールカウンタまで延びる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2015/151195号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された靴においては、シューレースを通すための複数の孔を設けるため、ハトメ飾りに直接複数の孔を形成する、または、ハトメ飾りとは別の部材を準備する必要がある。さらに、上記複数の孔を設けるためには、補強用の部材(補強材)を所望の形状に成型する必要がある。このように、補強用の部材がアッパー本体の外表面に配置された靴においては、補強用の部材の加工および当該部材の構成そのものを単純化させて、生産効率を向上できる余地がある。
【0007】
本開示は上記の課題に鑑みてなされたものであり、補強用の部材がアッパー本体の表面に配置された靴について、生産効率の向上された靴および靴の製造方法を提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に基づく靴は、ソールと、アッパーとを備えている。アッパーは、ソールの上側に位置し、着用時に着用者の足を挿入するための開口部、および、開口部の前方に位置する紐締め領域を有する。アッパーは、アッパー本体と、テープ状のテープ部材とを有している。アッパー本体は、ソールとともに着用者の足を収容可能である。テープ部材は、アッパー本体の外表面に縫い付けられている。テープ部材は、アッパー本体より剛性が高い。テープ部材は、第1帯状部と、折曲げ部と、第2帯状部とを有している。第1帯状部は、紐締め領域に位置するとともにアッパーの前後方向に沿って延びている。折曲げ部は、第1帯状部の前端部および後端部の少なくとも一方の端部と連続している。折曲げ部は、第1帯状部から見てテープ部材が下方に折り曲げられることで形成されている。第2帯状部は、折曲げ部から下方に向かって延びている。第1帯状部は、アッパー本体との間に靴紐を通すための複数の隙間が形成されるように、アッパー本体に縫い付けられている。
【0009】
本開示に基づく靴の製造方法は、ソールを準備する工程と、着用時に着用者の足を挿入するための開口部、および、開口部の前方に位置する紐締め領域を有するアッパーを製造する工程と、アッパーをソールの上側に接合する工程とを備えている。アッパーを製造する工程は、ソールとともに着用者の足を収容可能なアッパー本体を準備する工程と、アッパー本体より剛性の高いテープ状のテープ部材を、折曲げ箇所で折り曲げることで、折曲げ部を形成する工程と、テープ部材のうち、折曲げ部から見て一方側の部分である第1帯状部を、紐締め領域に位置するとともにアッパーの前後方向に沿って延びるように、アッパー本体の外表面に縫い付ける工程と、テープ部材のうち、折曲げ部から見て他方側の部分である第2帯状部を、折曲げ部から下方に向かって延びるようにアッパー本体の外表面に取り付ける工程とを有している。第1帯状部は、アッパー本体との間に靴紐を通すための複数の隙間が形成されるように、アッパー本体に縫い付けられる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、アッパー本体の補強のための第1帯状部および第2帯状部が、テープ部材を折り曲げることで設けられる。このため、補強用の部材の加工および当該部材の構成そのものが単純化されている。また、靴紐を通すための複数の隙間が、第1帯状部がアッパー本体に縫い付けられることによって形成される。このため、第1帯状部の加工および靴紐を通すための構成そのものが単純化されている。したがって、本開示によれば、補強用の部材がアッパー本体の表面に配置され、かつ、生産効率の向上された靴および靴の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の実施形態1に係る靴を外足側から示す斜視図である。
図2】本開示の実施形態1に係る靴を内足側から示す斜視図である。
図3】本開示の実施形態1に係る靴を外足側から示す側面図である。
図4】本開示の実施形態1に係る靴を内足側から示す側面図である。
図5】本開示の実施形態1に係る靴を示す平面図である。
図6】本開示の実施形態1の第1変形例に係る靴を模式的に示す側面図である。
図7】本開示の実施形態1の第2変形例に係る靴を模式的に示す側面図である。
図8】本開示の実施形態1の第3変形例に係る靴を模式的に示す側面図である。
図9】本開示の実施形態1の第3変形例に係る靴を模式的に示す平面図である。
図10】本開示の実施形態1に係る靴を、アッパー本体の内表面上の構成を表しつつ外足側から示す斜視図である。
図11】本開示の実施形態1に係る靴を、アッパー本体の内表面上の構成を表しつつ内足側から示す斜視図である。
図12】本開示の実施形態1に係る靴を、アッパー本体の内表面上の構成を表しつつ示す平面図である。
図13】本開示の実施形態1に係る靴の製造方法を示すフロー図である。
図14】本開示の実施形態1に係る靴の製造方法において、折り曲げられる前の状態のテープ部材を示す平面図である。
図15】本開示の実施形態1に係る靴の製造方法において、折り曲げられた直後の状態のテープ部材を示す平面図である。
図16】本開示の実施形態2に係る靴を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の各実施形態に係る靴および靴の製造方法について、図面を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0013】
なお、本明細書における「上下方向」とは、接地面が地面に接するように靴底を平坦な地面に載置した場合において、地面に直交する方向を意味する。本明細書における「上方」は、ソールから見たときの地面側とは反対側の方向を意味する。本明細書における「下方」はソールから見たときの地面側の方向を意味する。本明細書における「前方」は、靴の着用者が向いている方向を意味する。本明細書における「後方」は、「前方」とは反対方向を意味する。本明細書における「前後方向」は、「前方」および「後方」に沿う方向である。本明細書における「足幅方向」は、「上下方向」および「前後方向」の両方におおよそ直交する方向である。
【0014】
また、本明細書において単に「内足側」という場合には、靴の足幅方向中心から見て、靴のうち、靴の着用者の内足側を収容する部分の側(解剖学的正位における正中側)を意味する。本明細書において単に「外足側」という場合には、靴の足幅方向中心から見て、靴のうち、靴の着用者の外足側(解剖学的正位における正中側とは反対側)を収容する部分の側を意味する。
【0015】
また、本明細書における靴の各構成の説明は、着用者が靴を着用しているときの状態の説明を除いて、着用者が着用していない状態における各構成についての説明である。
【0016】
(実施形態1)
[靴]
図1は、本開示の実施形態1に係る靴を外足側から示す斜視図である。図2は、本開示の実施形態1に係る靴を内足側から示す斜視図である。図3は、本開示の実施形態1に係る靴を外足側から示す側面図である。図4は、本開示の実施形態1に係る靴を内足側から示す側面図である。図5は、本開示の実施形態1に係る靴を示す平面図である。図1から図5に示すように、本開示の実施形態1に係る靴1は、ソール5と、アッパー10とを備えている。
【0017】
ソール5は、接地面5Gと、周側面5Sとを有している。周側面5Sは、接地面5Gの周端縁から、上方に延びている。
【0018】
ソール5を構成する材料は特に限定されないが、たとえば、生産効率向上の観点から、全体が単一のポリマー組成物からなることが好ましい。当該ポリマー組成物は、たとえば、緩衝性能向上の観点から、ファルネセンを構成単位として含む単重合体、または、ファルネセンを構成単位として含む共重合体の少なくともいずれか一方からなる成分を含んでいることがより好ましい。
【0019】
アッパー10は、ソール5の上側に位置している。アッパー10は、開口部10Aおよび紐締め領域10Lを有する。開口部10Aは、着用時に着用者の足を挿入するために形成されている。紐締め領域10Lは、開口部10Aの前方に位置している。紐締め領域10Lに配置される構成部材については後述する。
【0020】
アッパー10は、アッパー本体100と、少なくとも1つのテープ部材200と、複数のステッチ部300とを有している。
【0021】
まず、アッパー本体100について説明する。アッパー本体100は、ソール5とともに着用者の足を収容可能に構成されている。
【0022】
アッパー本体100は、外足部100Lと、内足部100Mとで構成されている。外足部100Lは、主に外足側に位置している。内足部100Mは、主に内足側に位置している。内足部100Mは、外足部100Lと接続されている。より具体的には、内足部100Mは、紐締め領域10Lより前方において、外足部100Lと接続されている。また、内足部100Mは、開口部10Aより後方において、外足部100Lと接続されている。
【0023】
アッパー本体100は、スリット101を有している。スリット101は、外足部100Lと内足部100Mとが互いに分割するように、開口部10Aから前方に延びて紐締め領域10Lに位置している(主に図5参照)。
【0024】
外足部100Lは、図5に示すように第1延出部110を有している。第1延出部110は、アッパー本体100のうち、スリット101から見て一方側に位置する部分である。すなわち、第1延出部110は、紐締め領域10Lに位置している。第1延出部110は、内足側に向かって伸びている。第1延出部110は、上方から見て、内足部100Mと重なることができるように構成されている。
【0025】
内足部100Mは、第2延出部120を有している。第2延出部120は、アッパー本体100のうち、スリット101から見て他方側に位置する部分である。すなわち、第2延出部120は、紐締め領域10Lに位置している。第2延出部120は、外足側に向かって延びている。第2延出部120は、上方から見て、外足部100Lと重なることができるように構成されている。
【0026】
アッパー本体100は、編物で構成されている。このため、本実施形態に係る靴は、着用者の足への足当たりが向上する。さらに、編物で構成されるアッパー本体100は、その製造過程において型抜きなどの外形形状の成型工程を省略することもできる。このため、靴1の生産効率を向上することができる。また、当該編物は、リサイクル性の観点から、ポリエステル系樹脂を主成分として含む繊維からなることが好ましい。
【0027】
次に、テープ部材200について説明する。テープ部材200の幅寸法は、その延在方向にかけて略一定である、テープ状の外形を有している。テープ部材200の幅寸法は、たとえば、3mm~50mmである。テープ部材200は、アッパー本体100の外表面SAに縫い付けられている。テープ部材200は、可撓性を有しつつも、アッパー本体100より剛性が高い。テープ部材200は、リサイクル性の観点から、ポリエステル系樹脂を主成分として含む樹脂組成物からなることが好ましい。当該ポリエステル系樹脂は、環境負荷低減の観点から、リサイクル原料からなることがより好ましく、リサイクル原料のみからなることがさらに好ましい。
【0028】
アッパー10は、少なくとも1つのテープ部材200を有していればよいが、本実施形態において、アッパー10は、複数のテープ部材200を有している。具体的には、テープ部材200は、外足側においてアッパー本体100の外表面SAに取り付けられた外足側テープ部材200Lと、内足側においてアッパー本体100の外表面SAに取り付けられた内足側テープ部材200Mとを含む。このため、本実施形態に係る靴1は、外足側および内足側のいずれにおいてもアッパー本体100にテープ部材200が設けられているため、靴1のフィット感がより向上する。
【0029】
本実施形態において、外足側テープ部材200Lと内足側テープ部材200Mとは、互いに別体のテープ部材から構成されているが、連続する単一のテープ部材から構成されていてもよい(この変形例については後述する)。また、外足側テープ部材200Lおよび内足側テープ部材200Mは、互いに異なる構成を有していてもよいが、本実施形態においては、外足側テープ部材200Lとおよび内足側テープ部材200Mは、互いに同一の構成を有している場合がある。このため、以下の本実施形態の説明において、単に「テープ部材200」という場合、テープ部材200は、外足側テープ部材200Lとして理解されてもよいし、内足側テープ部材200Mとして理解されてもよい。
【0030】
テープ部材200は、第1帯状部210と、少なくとも1つの折曲げ部220と、少なくとも1つの第2帯状部230とを有している。
【0031】
第1帯状部210は、紐締め領域10Lに位置するとともにアッパー10の前後方向に沿って延びている。より具体的には、第1帯状部210は、前後方向に沿って延びつつも、前方に向かうにしたがって下方に傾斜するように位置している(図3および図4参照)。また、第1帯状部210は、前後方向に沿って延びつつも、前方に向かうにしたがって足幅方向のいずれか一方向に傾斜していてもよい(図5参照)。
【0032】
第1帯状部210は、アッパー本体100との間に靴紐Lを通すための複数の隙間Gが形成されるように、アッパー本体100に縫い付けられている。具体的には、第1帯状部210は、複数のステッチ部300によってアッパー本体100に縫い付けられる(ステッチ部300の詳細については後述する)。
【0033】
外足部100Lおよび内足部100Mは、第1帯状部210とアッパー本体100との間の複数の隙間Gに通された靴紐Lを縛りあげることで、足幅方向においてスリット101の両側に位置する外足部100Lと内足部100Mとが互いに重なり合うように構成されている。これにより、アッパー10がシュータンをさらに有していなくても、紐締め領域10Lにおいて着用者の足をアッパー10で包むことができる。ひいては、上記構成により、紐締め領域10Lに係る部材の構成そのものが単純化されている。また、アッパー本体100の外足部100Lと内足部100Mとが互いに重なり合う構成になっているため、紐の締め上げによってアッパー本体100に皺が発生することが抑制される。ひいては、当該靴の着用者の足への足当たりおよびフィット感がより向上する。このとき、より具体的には、第1延出部110が内足部100Mと重なり、第2延出部120が外足部100Lと重なっている。
【0034】
折曲げ部220は、第1帯状部210の前端部211および後端部212の少なくとも一方の端部と連続している。本実施形態においては、テープ部材200は、2つの折曲げ部220を有している。より具体的には、折曲げ部220は、前側折曲げ部221と、後側折曲げ部222とを含んでいる。前側折曲げ部221は、第1帯状部210の前端部211と連続している。後側折曲げ部222は、第1帯状部210の後端部212と連続している。以下、本実施形態の説明において、単に「折曲げ部220」という場合、折曲げ部220は、前側折曲げ部221として理解されてもよいし、後側折曲げ部222として理解されてもよい。
【0035】
折曲げ部220は、第1帯状部210から見てテープ部材200が下方に折り曲げられることで形成されている(図3および図4参照)。より具体的には、折曲げ部220は、テープ部材200が紐締め領域10Lから離れる方向に折り曲げられることで形成されている。折曲げ部220は、テープ部材200が折り曲げられることでテープ部材200が重なり合う部分である。
【0036】
第2帯状部230は、折曲げ部220から下方に向かって延びている。本実施形態においては、テープ部材200は、2つの第2帯状部230を有している。より具体的には、第2帯状部230は、前側第2帯状部231と、後側第2帯状部232とを含んでいる。前側第2帯状部231は、前側折曲げ部221から下方に向かって延びている。後側第2帯状部232は、後側折曲げ部222から下方に向かって延びている。このため、アッパー本体100の補強のための前側第2帯状部231および後側第2帯状部232のいずれもが、テープ部材200を折り曲げることにより設けられる。ひいては、補強用の部材の加工および当該部材の構成そのものがより単純化される。なお、前側第2帯状部231は、靴1の前後方向における長さをLxとしたときに、たとえば、靴1の後端からの距離が0.6Lx~0.8Lxの範囲に設けられている。後側第2帯状部232は、たとえば、靴1の後端から0.2Lx~0.5Lxの範囲に設けられている。
【0037】
以下、本実施形態の説明において、単に「第2帯状部230」という場合、第2帯状部230は、前側第2帯状部231として理解されてもよいし、後側第2帯状部232として理解されてもよい。
【0038】
第2帯状部230は、より具体的には、折曲げ部220から下方に向かって延びつつ、後方に傾斜するように延びている。足幅方向から見たときに、後側第2帯状部232の後方への傾斜角度は、前側第2帯状部231の後方への傾斜角度より大きい。なお、このときの傾斜角度とは、足幅方向から見たときの、第2帯状部230の延びる方向と、上下方向とのなす角度である。また、第2帯状部230は、ソール5の周側面5Sに到達するまで延びている。
【0039】
第2帯状部230は、アッパー本体100に固定されている。第2帯状部230の固定方法は特に限定されないが、本実施形態においては、アッパー本体100に縫い付けられることで固定されている。これにより、第1帯状部210とともに第2帯状部230を縫い付けることで生産効率が向上する。なお、第2帯状部230は、縫い付け以外の方法、たとえば、接着剤によりアッパー本体100に固定されてもよい。
【0040】
なお、テープ部材200は、上述の構成に限定されない。図6は、本開示の実施形態1の第1変形例に係る靴を模式的に示す側面図である。図6に示すように、本開示の実施形態1の第1変形例に係る靴1aにおいては、折曲げ部220aが、第1帯状部210の前端部211とのみ連続していてもよい。すなわち、折曲げ部220aは、前側折曲げ部221のみであってもよい。第1帯状部210の後端部212aは、テープ部材200a全体の端部であってもよい。第2帯状部230aは、前側第2帯状部231のみであってもよい。
【0041】
図7は、本開示の実施形態1の第2変形例に係る靴を模式的に示す側面図である。図7に示すように、本開示の実施形態1の第2変形例に係る靴1bにおいては、折曲げ部220bが、第1帯状部210の後端部212とのみ連続していてもよい。すなわち、折曲げ部220bは、後側折曲げ部222のみであってもよい。第1帯状部210の前端部211bは、テープ部材200b全体の端部であってもよい。第2帯状部230bは、後側第2帯状部232のみであってもよい。
【0042】
図8は、本開示の実施形態1の第3変形例に係る靴を模式的に示す側面図である。図9は、本開示の実施形態1の第3変形例に係る靴を模式的に示す平面図である。図8および図9に示すように、本開示の実施形態1の第3変形例に係る靴1cにおいては、テープ部材200cが、逆折曲げ部240cと、接続帯状部250cとをさらに有していてもよい。なお、本変形例においては、2つの逆折曲げ部240cが、外足側テープ部材200Lおよび内足側テープ部材200Mのそれぞれに対応するように位置していてもよい。
【0043】
逆折曲げ部240cは、第1帯状部210の前端部211cと連続していてもよい。逆折曲げ部240cは、第1帯状部210から見てテープ部材200が上方に折り曲げられることで形成されていてもよい(図8参照)。より具体的には、逆折曲げ部240cは、テープ部材200cがアッパー10の足幅方向中央に向かう方向に折り曲げられることで形成されていてもよい(図9参照)。
【0044】
接続帯状部250cは、逆折曲げ部240cから足幅方向に沿って延びていてもよい。接続帯状部250cは、外足側テープ部材200Lにおける逆折曲げ部240c、および、内足側テープ部材200Mにおける逆折曲げ部240cの、両方と接続していてもよい。このため、本変形例においては、外足側テープ部材200Lおよび内足側テープ部材200Mが、連続する単一のテープ部材から構成されていてもよい。
【0045】
また、図1から図5に示すように、本実施形態において、アッパー10は、副テープ部材290をさらに備えている。副テープ部材290は、外足側テープ部材200Lにおける後側第2帯状部232の後側折曲げ部222側とは反対側の端部から、内足側テープ部材200Mにおける後側第2帯状部232の後側折曲げ部222側とは反対側の端部まで延びている。これにより、外足側テープ部材200Lと内足側テープ部材200Mとが単一のテープ部材からなるように見えるため、靴1の意匠性が向上する。
【0046】
また、副テープ部材290は、アッパー本体100の後方を周り込むように位置している。副テープ部材290は、その一部がアッパー本体100から離隔するように位置している。これにより、靴1の着用者は、靴1を着用する際に指を副テープ部材290に引っ掛けることにより、より容易に靴1を着用することができる。
【0047】
なお、テープ部材200と副テープ部材290とは、互いに別体のテープ部材から構成されていてもよい。これにより、ソール5近傍でテープ部材を折り曲げなくてもよく、ソール5とアッパー10との接合がテープ部材により阻害されることを抑制できる。また、テープ部材200は、単一の連続したテープ部材から構成されていてもよい。これにより、靴1を構成する部品点数を少なくすることができる。
【0048】
次に、複数のステッチ部300について説明する。図1から図5に示すように、複数のステッチ部300は、複数の隙間Gを形成するために、第1帯状部210がアッパー本体100に縫い付けられることで設けられる。複数のステッチ部300は、第1帯状部210の延在方向D1(図1および図2参照)において互いに離隔するように並ぶことで、アッパー本体100と第1帯状部210との間の隙間Gに通された靴紐Lが、アッパー本体100の外表面SA上でステッチ部300を中心に折り返し、かつ、そのステッチ部300と係止することができるように、構成されている。
【0049】
上記の構成によれば、着用者が靴紐Lを締める際に第1帯状部210がアッパー本体100から剥がれる方向に力がかかりにくい。また、靴紐Lと係止したステッチ部300が、アッパー本体100の外表面SAの面内方向に沿って、アッパー本体100および第1帯状部210を引っ張る。これにより、当該靴の着用者の足の外表面SAに沿って靴紐Lによる締め付けが実現されるため、当該靴を着用する着用者の足をよりしっかりとサポートできる。
【0050】
複数のステッチ部300の各々は、ステッチ部300を構成する糸状部材が、アッパー本体100とテープ部材200(第1帯状部210)とに対して、ジグザグ状に縫われることで形成される。ステッチ部300は、いわゆるジグザグステッチである。さらに、複数のステッチ部300各々は、ジグザグ状となり、かつ、糸状部材が互いに重なりあうように縫われることで、靴紐Lと係止可能となるように、強固に設けられる。
【0051】
複数のステッチ部300の各々は、延在方向D1に略直交する方向に延びている(図1および図2参照)。ただし、複数のステッチ部300の各々の延びる方向と、第1帯状部210の延在方向D1とは、互いに直交していなくてもよい。1つの第1帯状部210に設けられる複数のステッチ部300の数は、適宜調整される。
【0052】
延在方向D1における複数のステッチ部300の各々の大きさは、複数のステッチ部300の互いの離隔距離より小さい。換言すると、本実施形態において、複数のステッチ部300のステッチ幅(ステッチ部300全体における短手方向長さ)は、複数のステッチ部300の互いの離隔距離より小さい。
【0053】
上記の構成によれば、ユーザが靴紐Lを当該隙間Gに通した後、さらに、この靴紐Lをステッチ部300で折り返して、比較的離隔距離の大きい複数のステッチ部300同士の間に通しやすくなる。これにより、靴紐Lによる、靴の着用者の足の外表面SAに沿う方向の締め付けがより実現されやすくなる。
【0054】
第1帯状部210の幅方向において、複数のステッチ部300の各々は、その全体が第1帯状部210に重なるように位置している。なお、第1帯状部210の幅方向とは、延在方向D1に直交し、かつ、アッパー本体100の外表面SA上に沿う方向である。
【0055】
本実施形態において、複数のステッチ部300は、靴紐Lがステッチ部300と係止したときに、靴紐Lの折り返した部分L1の少なくとも一部が、アッパー本体100と第1帯状部210との間に位置しないように、構成されている。換言すれば、図5に示されるように、靴1を平面視したときに靴紐Lの折り返した部分L1の少なくとも一部が第1帯状部210からはみ出るように構成されている。この構成によれば、靴紐Lのうちステッチ部300での折り返した部分L1をユーザがつまみ上げやすくなり、ユーザによる靴紐Lの締め付けの調整が容易となる。具体的には、複数のステッチ部300の各々のステッチ長さ(ステッチ部300全体における長手方向長さ)は、たとえば、第1帯状部210の幅方向寸法のおよそ80%以上100%未満である。
【0056】
次に、本実施形態においてはアッパー本体100の内表面SB上に配置される構成について説明する。図10は、本開示の実施形態1に係る靴を、アッパー本体の内表面上の構成を表しつつ外足側から示す斜視図である。図11は、本開示の実施形態1に係る靴を、アッパー本体の内表面上の構成を表しつつ内足側から示す斜視図である。図12は、本開示の実施形態1に係る靴を、アッパー本体の内表面上の構成を表しつつ示す平面図である。
【0057】
図10から図12に示すように、アッパー10は、第1補強部400と、第2補強部500と、第3補強部600とをさらに有している。図10から図12においては、アッパー本体100の内表面SB上に位置する第1補強部400および第2補強部500を、比較的密なドット状で模式的に示している。また、アッパー本体100の内表面SB上に位置する第3補強部600を、比較的粗なドット状で示している。
【0058】
なお、本実施形態において、アッパー10は、2つの第1補強部400と、2つの第2補強部500とを有している。
【0059】
2つの第1補強部400は、外足側に位置する外足側第1補強部400Lと、内足側に位置する内足側第1補強部400Mとを含む。以下、単に「第1補強部400」という場合には、第1補強部400は、外足側第1補強部400Lと理解されてもよいし、内足側第1補強部400Mと理解されてもよい。
【0060】
また、2つの第2補強部500は、外足側に位置する外足側第2補強部500Lと、内足側に位置する内足側第2補強部500Mとを含む。以下、単に「第2補強部500」という場合には、第2補強部500は、外足側第2補強部500Lと理解されてもよいし、内足側第2補強部500Mと理解されてもよい。
【0061】
第1補強部400は、アッパー本体100より剛性が高い。また、第1補強部400は、第1帯状部210とともにアッパー本体100を間に挟み込むようにアッパー本体100の内表面SB上に位置している。より具体的には、第1補強部400は、第1帯状部210とともにアッパー本体100に縫い付けられている。これにより、アッパー本体100の剛性が比較的低くても、アッパー本体100の過剰な伸びを抑制して、第1帯状部210を強固にアッパー本体100に取り付けることができる。
【0062】
なお、第1補強部400は、リサイクル性の観点から、ポリエステル系樹脂を主成分とする樹脂組成物からなることが好ましい。また、第1補強部400は、シート状の部材からなる。第1補強部400の厚さは、テープ部材200の厚さより薄い。これにより、第1補強部400は、着用者のアッパー10へのフィット感を阻害することを抑制しつつ、アッパー10を補強できる。
【0063】
また、第1補強部400は、接着剤によりその全体がアッパー本体100の内表面SB上に接合されている。そして、第1補強部400は、第1帯状部210の延在方向に沿って延びている。第1補強部400は、アッパー本体100の厚み方向から見て、第1帯状部210とほぼ重なるように位置している。なお、第1補強部400は、後方に向かうにしたがって、幅寸法が大きくなるように構成されている。
【0064】
第2補強部500は、アッパー本体100より剛性が高い。第2補強部500は、アッパー本体100のうち、前側第2帯状部231が固定された部分と後側第2帯状部232が固定された部分との間の領域に固定されている。第2補強部500は、アッパー本体100に沿いつつ上下方向に沿って延びている。これにより、アッパー10を外表面SA側から見た時に、アッパー本体100のうち、前側第1帯状部210と、前側第2帯状部231と、後側第2帯状部232とで囲まれた領域が、靴紐Lの締め上げによりアッパー本体100の外表面SAに沿う方向に伸びすぎることを抑制できる。なお、第2補強部500は、ソール5の周側面5Sに至るまで延びている。
【0065】
第2補強部500は、前側第2補強部510と、後側第2補強部520と、少なくとも1つの中央第2補強部530とを有している。前側第2補強部510は、第2補強部500のうち最も前方に位置する部分である。
【0066】
後側第2補強部520は、第2補強部500のうち最も後方に位置する部分である。後側第2補強部520は、前側第2補強部510と離隔して位置している。これにより、前側第1帯状部210と、前側第2帯状部231と、後側第2帯状部232とで囲まれた領域において、アッパー本体100の伸びが過度に抑制されないようにして、当該領域のフィット感低下を抑制することができる。
【0067】
中央第2補強部530は、前側第2補強部510と後側第2補強部520との間に位置している。中央第2補強部530は、前側第2補強部510および後側第2補強部520の両方と離隔して位置している。これにより、前側第1帯状部210と、前側第2帯状部231と、後側第2帯状部232とで囲まれた領域において、アッパー本体100の伸びの抑制と、当該領域のフィット感低下の抑制とが、より適切に実現できる。
【0068】
第2補強部500は、リサイクル性の観点から、ポリエステル系樹脂を主成分とする樹脂組成物からなることが好ましい。また、第2補強部500は、シート状の部材からなる。第2補強部500の厚さは、テープ部材200の厚さより薄い。これにより、第2補強部500は、着用者のアッパー10へのフィット感を阻害することを抑制しつつ、アッパー10を補強できる。
【0069】
本実施形態において、第2補強部500は、アッパー本体100の内表面SB上に位置している。第2補強部500は、第1補強部400に接続されている。第2補強部500は、第1補強部400とともに単一の部材からなる。第1補強部400が第2補強部500とともに単一の部材からなるため、補強部の部材の加工および当該部材の構成そのものが単純化される。ひいては、靴1の生産効率を向上できる。
【0070】
より具体的には、前側第2補強部510は、第1補強部400の前端から、前側第2帯状部231に沿いつつ下方に向かって延びている。後側第2補強部520は、第1補強部400の後端から、第1補強部400に略平行となるように下方に向かって延びている。中央第2補強部530は、第1補強部400の略中央から、前側第2補強部510および後側第2補強部520の各々と平行となるように下方に向かって延びている。
【0071】
なお、第2補強部500は、上記の構成に限定されない。前側第2補強部510、後側第2補強部520、および、中央第2補強部530は、互いに離隔しておらず連続していてもよい。第2補強部500は、互いに離隔した複数の中央第2補強部530を有していてもよい。
【0072】
第3補強部600は、アッパー本体100の内表面SB上に位置している。また、第3補強部600は、アッパー本体100より剛性が高く、少なくともテープ部材200(具体的には前側第2帯状部231)より前方に位置している。これにより、着用者が靴1を着用したときに、テープ部材200より前方においても、比較的剛性の小さいアッパー本体100が伸びすぎることを抑制できる。
【0073】
より具体的には、第3補強部600は、アッパー本体100のうち、ソール5と接する部分に配置されている。第3補強部600は、ソール5の周側面5Sに沿って延びている。第3補強部600は、外足側第2補強部500Lから内足側第2補強部500Mに至るまで延びている。
【0074】
上述したとおり、本開示の実施形態1に係る靴1は、ソール5と、アッパー10とを備えている。アッパー10は、ソール5の上側に位置し、着用時に着用者の足を挿入するための開口部10A、および、開口部10Aの前方に位置する紐締め領域10Lを有する。アッパー10は、アッパー本体100と、テープ状のテープ部材200とを有している。アッパー本体100は、ソール5とともに着用者の足を収容可能である。テープ部材200は、アッパー本体100の外表面SAに縫い付けられている。テープ部材200は、アッパー本体100より剛性が高い。テープ部材200は、第1帯状部210と、折曲げ部220と、第2帯状部230とを有している。第1帯状部210は、紐締め領域10Lに位置するとともにアッパー10の前後方向に沿って延びている。折曲げ部220は、第1帯状部210の前端部211および後端部212の少なくとも一方の端部と連続している。折曲げ部220は、第1帯状部210から見てテープ部材200が下方に折り曲げられることで形成されている。第2帯状部230は、折曲げ部220から下方に向かって延びている。第1帯状部210は、アッパー本体100との間に靴紐Lを通すための複数の隙間Gが形成されるように、アッパー本体100に縫い付けられている。
【0075】
上記の構成によれば、アッパー本体100の補強のための第1帯状部210および第2帯状部230が、テープ部材200が折り曲げられることで設けられる。このため、補強用の部材の加工および当該部材の構成そのものが単純化されている。また、靴紐Lを通すための複数の隙間Gが、第1帯状部210がアッパー本体100に縫い付けられることによって形成される。このため、第1帯状部210の加工および靴紐Lを通す構成そのものが単純化されている。したがって、上記の構成によれば、補強用の部材がアッパー本体100の表面に配置された靴の生産効率を向上できる。
【0076】
[靴の製造方法]
次に、本開示の実施形態1に係る靴1の製造方法について説明する。図13は、本開示の実施形態1に係る靴の製造方法を示すフロー図である。図13に示すように、本開示の実施形態1に係る靴の製造方法は、ソールを準備する工程S1と、アッパーを製造する工程S2と、アッパーをソールの上側に接合する工程S3とを備えている。
【0077】
アッパーを製造する工程S2は、アッパー本体を準備する工程S21と、折曲げ部を形成する工程S22と、第1帯状部を縫い付ける工程S23と、第2帯状部を取り付ける工程S24と、アッパーを形成する工程S25とを有している。
【0078】
アッパー本体を準備する工程S21においては、具体的には、アッパー本体100を構成する、編物からなる複数の扁平状の部材を準備する。このため、アッパー本体100の準備過程において、型抜きなどの外形形状の成型工程を省略することもできる。ひいては、靴1の生産効率を向上させることができる。また、アッパー本体100の内表面SB上に所定の補強材(たとえば、第1補強部400、第2補強部500、および、第3補強部600など)を設ける場合は、これらの補強材が接着剤などにより上記部材に貼り合わされる。
【0079】
図14は、本開示の実施形態1に係る靴の製造方法において、折り曲げられる前の状態のテープ部材を示す平面図である。図15は、本開示の実施形態1に係る靴の製造方法において、折り曲げられた直後の状態のテープ部材を示す平面図である。図14および図15に示すように、折曲げ部を形成する工程S22においては、アッパー本体100より剛性の高いテープ状のテープ部材200を、折曲げ箇所Pで折り曲げることで、折曲げ部220が形成される。本実施形態においては、テープ部材を、複数の折曲げ箇所Pとして、第1の折曲げ箇所P1および第2の折曲げ箇所P2で折り曲げる。これにより、それぞれ、前側折曲げ部221および後側折曲げ部222が形成される。
【0080】
折曲げ部を形成する工程S22においては、上述のように折曲げ箇所Pで折り曲げられたテープ部材200が、さらに熱プレス装置を用いて加熱しつつ圧縮されてもよい。これにより、折曲げ部220の外形形状が安定的に維持される。ひいては、後の工程において、第1帯状部210および第2帯状部230をアッパー本体100に容易に縫い付けることができる。上記圧縮は複数回実施されてもよい。
【0081】
さらに、折曲げ部を形成する工程S22においては、仮縫いとして、折曲げ部220において互いに重なりあったテープ部材200を互いに縫い合わせてもよい。これにより、折曲げ部220の外形形状が安定的に維持される。ひいては、後の工程において、第1帯状部210および第2帯状部230をアッパー本体100に容易に縫い付けることができる。
【0082】
第1帯状部を縫い付ける工程S23においては、テープ部材200のうち、折曲げ部220から見て一方側の部分である第1帯状部210を、紐締め領域10Lに位置するとともにアッパー10の前後方向に沿って延びるように、アッパー本体100(具体的には編物からなる複数の扁平状の部材)の外表面SAに縫い付ける。第1帯状部210は、アッパー本体100との間に靴紐Lを通すための複数の隙間Gが形成されるように、アッパー本体100に縫い付けられる。第1帯状部を縫い付ける工程S23によって、複数のステッチ部300が形成される。
【0083】
第2帯状部を取り付ける工程S24においては、テープ部材200のうち、折曲げ部220から見て他方側の部分である第2帯状部230を、折曲げ部220から下方に向かって延びるようにアッパー本体100(具体的には編物からなる複数の扁平状の部材)の外表面SAに取り付ける。なお、本実施形態においては、第2帯状部230は、アッパー本体100に縫い合わされることで、アッパー本体100に取り付けられる。
【0084】
なお、第1帯状部を縫い付ける工程S23および第2帯状部を取り付ける工程S24の順序は特に限定されない。すなわち、第2帯状部を取り付ける工程S24の後で第1帯状部を縫い付ける工程S23が行われてもよいし、第1帯状部を縫い付ける工程S23および第2帯状部を取り付ける工程S24は、同時平行的に行われてもよい。
【0085】
アッパーを形成する工程S25においては、アッパー本体を構成する部材として準備した編み物からなる複数の扁平状の部材を、テープ部材200が縫い付けおよび取り付けられた状態にて、ラストに被せつつ上記部材の端縁同士を所定の箇所で縫い合わせる。これにより、本実施形態におけるアッパー10が製造される。
【0086】
最後に、工程S3にて、アッパー10をソール5の上側に接合する。当該接合の方法は特に限定されない。アッパー10をソール5の上側に接合する方法としては、従来公知の方法が採用され得る。このようにして、本開示の実施形態1に係る靴が製造される。
【0087】
上述したとおり、本開示の実施形態1に係る靴の製造方法は、ソール5を準備する工程S1と、着用時に着用者の足を挿入するための開口部10A、および、開口部10Aの前方に位置する紐締め領域10Lを有するアッパー10を製造する工程S2と、アッパー10をソール5の上側に接合する工程S3とを備えている。アッパー10を製造する工程S2は、ソール5とともに着用者の足を収容可能なアッパー本体100を準備する工程S21と、アッパー本体100より剛性の高いテープ状のテープ部材200を、折曲げ箇所Pで折り曲げることで、折曲げ部220を形成する工程S22と、テープ部材200のうち、折曲げ部220から見て一方側の部分である第1帯状部210を、紐締め領域10Lに位置するとともにアッパー10の前後方向に沿って延びるように、アッパー本体100の外表面SAに縫い付ける工程S23と、テープ部材200のうち、折曲げ部220から見て他方側の部分である第2帯状部230を、折曲げ部220から下方に向かって延びるようにアッパー本体100の外表面SAに取り付ける工程S24とを有している。第1帯状部210は、アッパー本体100との間に靴紐Lを通すための複数の隙間Gが形成されるように、アッパー本体100に縫い付けられる。
【0088】
上記の構成によれば、アッパー本体100の補強のための第1帯状部210および第2帯状部230が、テープ部材200が折り曲げられることで設けられる。このため、補強用の部材の加工および当該部材の構成そのものが単純化されている。また、靴紐Lを通すための複数の隙間Gが、第1帯状部210がアッパー本体100に縫い付けられることによって形成される。このため、第1帯状部210の加工および靴紐Lを通す構成そのものが単純化されている。したがって、上記の構成によれば、補強用の部材がアッパー本体100の表面に配置され、かつ、生産効率の向上した靴の製造方法を提供できる。
【0089】
(実施形態2)
以下、本開示の実施形態2に係る靴について説明する。本開示の実施形態2に係る靴は、ステッチ部の構成が、本開示の実施形態1に係る靴1と異なる。よって、本開示の実施形態1と同様の構成については説明を繰り返さない。
【0090】
図16は、本開示の実施形態2に係る靴を示す平面図である。なお、図16において、靴紐Lの折り返した部分L1は上方から視認されないが、当該部分L1は説明のため便宜上破線で示されている。図16に示すように、本開示の実施形態2に係る靴2においては、靴紐Lがステッチ部300xと係止したときに、靴紐Lの折り返した部分L1の全体が、アッパー本体100と第1帯状部210との間に位置するように、複数のステッチ部300xが構成されている。複数のステッチ部300xがこのように構成されていることで、靴紐Lのうちステッチ部300xでの折り返した部分L1が、外部の他の物品などと摩耗する機会が低減される。
【0091】
具体的には、複数のステッチ部300xのステッチ長さは、たとえば、第1帯状部210の幅方向寸法のおよそ25%以上50%未満である。
【0092】
[付記]
以上のように、本開示の実施形態は、以下のような開示を含む。
【0093】
本開示の第1の態様に係る靴は、
ソール(5)と、
前記ソール(5)の上側に位置し、着用時に着用者の足を挿入するための開口部(10A)、および、該開口部(10A)の前方に位置する紐締め領域(10L)を有する、アッパー(10)とを備え、
前記アッパー(10)は、
前記ソール(5)とともに前記着用者の足を収容可能なアッパー本体(100)と、
前記アッパー本体(100)の外表面(SA)に縫い付けられた、該アッパー本体(100)より剛性の高いテープ状のテープ部材(200)とを有し、
前記テープ部材(200)は、
前記紐締め領域(10L)に位置するとともに前記アッパー(10)の前後方向に沿って延びる第1帯状部(210)と、
前記第1帯状部(210)の前端部(211)および後端部(212)の少なくとも一方の端部と連続し、前記第1帯状部(210)から見て前記テープ部材(200)が下方に折り曲げられることで形成された折曲げ部(220)と、
前記折曲げ部(220)から下方に向かって延びる第2帯状部(230)とを有し、
前記第1帯状部(210)は、前記アッパー本体(100)との間に靴紐(L)を通すための複数の隙間(G)が形成されるように、前記アッパー本体(100)に縫い付けられている。
【0094】
本開示の第2の態様に係る靴は、上記第1の態様に係る靴であって、
前記折曲げ部(220)は、前記第1帯状部(210)の前記前端部(211)と連続する前側折曲げ部(221)と、前記第1帯状部(210)の前記後端部(212)と連続する後側折曲げ部(222)とを有し、
前記第2帯状部(230)は、前記前側折曲げ部(221)から下方に向かって延びる前側第2帯状部(231)と、前記後側折曲げ部(222)から下方に向かって延びる後側第2帯状部(232)とを有する。
【0095】
本開示の第3の態様に係る靴は、上記第1の態様または上記第2の態様に係る靴であって、
前記アッパー(10)は、前記複数の隙間(G)を形成するために前記第1帯状部(210)が前記アッパー本体(100)に縫い付けられることで設けられた、複数のステッチ部(300)をさらに有し、
複数の前記ステッチ部(300)は、前記第1帯状部(210)の延在方向(D1)において互いに離隔するように並ぶことで、前記アッパー本体(100)と前記第1帯状部(210)との間の前記隙間(G)に通された前記靴紐(L)が、前記アッパー本体(100)の前記外表面(SA)上で前記ステッチ部(300)を中心に折り返し、かつ、その前記ステッチ部(300)と係止することができるように、構成されている。
【0096】
本開示の第4の態様に係る靴は、上記第3の態様に係る靴であって、
前記延在方向(D1)における複数の前記ステッチ部(300)の各々の大きさは、複数の前記ステッチ部(300)の互いの離隔距離より小さい。
【0097】
本開示の第5の態様に係る靴は、上記第3の態様または上記第4の態様に係る靴であって、
前記延在方向(D1)に直交し、前記アッパー本体(100)の前記外表面(SA)上に沿う方向である前記第1帯状部(210)の幅方向において、複数の前記ステッチ部(300)の各々は、その全体が前記第1帯状部(210)に重なるように位置し、
複数の前記ステッチ部(300)は、前記靴紐(L)が前記ステッチ部(300)と係止したときに、前記靴紐(L)の折り返した部分(L1)の少なくとも一部が、前記アッパー本体(100)と前記第1帯状部(210)との間に位置しないように、構成されている。
【0098】
本開示の第6の態様に係る靴は、上記第3の態様または上記第4の態様のいずれか1つに係る靴であって、
前記延在方向(D1)に直交し、かつ、前記アッパー本体(100)の前記外表面(SA)上に沿う方向である前記第1帯状部(210)の幅方向において、複数の前記ステッチ部(300x)の各々は、その全体が前記第1帯状部(210)に重なるように位置し、
前記靴紐(L)が前記ステッチ部(300x)と係止したときに、前記靴紐(L)の折り返した部分(L1)の全体が、前記アッパー本体(100)と前記第1帯状部(210)との間に位置するように、複数の前記ステッチ部(300x)が構成されている。
【0099】
本開示の第7の態様に係る靴は、上記第1の態様から上記第6の態様のいずれか1つに係る靴であって、
前記アッパー(10)は、前記第1帯状部(210)とともに前記アッパー本体(100)を間に挟み込むように前記アッパー本体(100)の内表面(SB)上に位置する、前記アッパー本体(100)より剛性の高い第1補強部(400)をさらに有し、
前記第1補強部(400)は、前記第1帯状部(210)とともに前記アッパー本体(100)に縫い付けられている。
【0100】
本開示の第8の態様に係る靴は、上記第2の態様に係る靴であって、
前記アッパー(10)は、前記アッパー本体(100)のうち、前記前側第2帯状部(231)が固定された部分と前記後側第2帯状部(232)が固定された部分との間の領域に固定され、前記アッパー本体(100)に沿いつつ上下方向に沿って延びる、前記アッパー本体(100)より剛性の高い第2補強部(500)をさらに有する。
【0101】
本開示の第9の態様に係る靴は、上記第8の態様に係る靴であって、
前記アッパー(10)は、前記第1帯状部(210)とともに前記アッパー本体(100)を間に挟み込むように前記アッパー本体(100)の内表面(SB)上に位置する、前記アッパー本体(100)より剛性の高い第1補強部(400)をさらに有し、
前記第1補強部(400)は、前記第1帯状部(210)とともに前記アッパー本体(100)に縫い付けられており、
前記第2補強部(500)は、前記アッパー本体(100)の前記内表面(SB)上に位置して、前記第1補強部(400)に接続され、前記第1補強部(400)とともに単一の部材からなる。
【0102】
本開示の第10の態様に係る靴は、上記第1の態様から上記第9の態様のいずれか1つに係る靴であって、
前記テープ部材(200)は、外足側において前記アッパー本体(100)の前記外表面(SA)に取り付けられた外足側テープ部材(200L)と、内足側において前記アッパー本体(100)の前記外表面(SA)に取り付けられた内足側テープ部材(200Mとを有する。
【0103】
本開示の第11の態様に係る靴は、上記第1の態様から上記第10の態様のいずれか1つに係る靴であって、
前記アッパー本体(100)は、
外足側に位置する外足部(100L)と、
前記外足部(100L)と接続され、内足側に位置する内足部(100M)とで構成され、
前記アッパー本体(100)は、前記外足部(100L)と前記内足部(100M)とが互いに分割するように前記開口部(10A)から前方に延びて前記紐締め領域(10L)に位置するスリット(101)を有し、
前記外足部(100L)および前記内足部(100M)は、前記第1帯状部(210)と前記アッパー本体(100)との間の前記複数の隙間に通された前記靴紐(L)を縛りあげることで、足幅方向において前記スリット(101)の両側に位置する前記外足部(100L)と前記内足部(100M)とが互いに重なり合うように構成されている。
【0104】
本開示の第12の態様に係る靴は、上記第1の態様から上記第11の態様のいずれか1つに係る靴であって、
前記アッパー本体(100)は、編物で構成されている。
【0105】
本開示の第13の態様に係る靴の製造方法は、
ソール(5)を準備する工程(S1)と、
着用時に着用者の足を挿入するための開口部(10A)、および、該開口部(10A)の前方に位置する紐締め領域(10L)を有するアッパー(10)を製造する工程(S2)と、
前記アッパー(10)を前記ソール(5)の上側に接合する工程(S3)とを備え、
前記アッパーを製造する工程(S2)は、
前記ソール(5)とともに前記着用者の足を収容可能なアッパー本体(100)を準備する工程(S21)と、
前記アッパー本体(100)より剛性の高いテープ状のテープ部材(200)を、折曲げ箇所(P)で折り曲げることで、折曲げ部(220)を形成する工程(S22)と、
前記テープ部材(200)のうち、前記折曲げ部(220)から見て一方側の部分である第1帯状部(210)を、前記紐締め領域(10L)に位置するとともに前記アッパー(10)の前後方向に沿って延びるように、前記アッパー本体(100)の外表面(SA)に縫い付ける工程(S23)と、
前記テープ部材(200)のうち、前記折曲げ部(220)から見て他方側の部分である第2帯状部(230)を、前記折曲げ部(220)から下方に向かって延びるように前記アッパー本体(100)の前記外表面(SA)に取り付ける工程(S24)と、を有し、
前記第1帯状部(210)は、前記アッパー本体(100)との間に靴紐(L)を通すための複数の隙間(G)が形成されるように、前記アッパー本体(100)に縫い付けられる。
【0106】
上記の実施形態においては、互いに組み合わせ可能な構成を適宜組み合わせてもよい。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0107】
1,1a,1b,1c,2 靴、5 ソール、5G 接地面、5S 周側面、10 アッパー、10A 開口部、10L 紐締め領域、100 アッパー本体、100L 外足部、100M 内足部、101 スリット、110 第1延出部、120 第2延出部、200,200a,200b,200c テープ部材、200L 外足側テープ部材、200M 内足側テープ部材、210 第1帯状部、211,211b,211c 前端部、212,212a 後端部、220,220a,220b 折曲げ部、221 前側折曲げ部、222 後側折曲げ部、230,230a,230b 第2帯状部、231 前側第2帯状部、232 後側第2帯状部、240c 逆折曲げ部、250c 接続帯状部、290 副テープ部材、300,300x ステッチ部、400 第1補強部、400L 外足側第1補強部、400M 内足側第1補強部、500 第2補強部、500L 外足側第2補強部、500M 内足側第2補強部、510 前側第2補強部、520 後側第2補強部、530 中央第2補強部、600 第3補強部。
図1
図2
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図5
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図10
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