(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101076
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】センサユニットおよび導体劣化検出装置
(51)【国際特許分類】
G01N 27/90 20210101AFI20240722BHJP
【FI】
G01N27/90
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004764
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】滋野 弘崇
(72)【発明者】
【氏名】芦川 真也
【テーマコード(参考)】
2G053
【Fターム(参考)】
2G053AA14
2G053AB21
2G053BA03
2G053BA14
2G053BB03
2G053BC02
2G053BC14
2G053CA03
2G053DA01
2G053DA09
2G053DA10
(57)【要約】
【課題】励磁コイルと検出コイルとが重なり合うコイル間距離をより適正に調整することができるセンサユニットおよび導体劣化検出装置を提供することを目的とする。
【解決手段】センサユニット10は、励磁コイル13および検出コイル14を有したセンサ11と、励磁コイル13および検出コイル14を互いの軸方向Zが平行でありかつ軸方向Zと交差する電線Wの延在方向Xに沿って並びつつ軸方向Zから見た場合に互いに部分的に重なり合う状態で内部に収容すると共に、励磁コイル13および検出コイル14のうち一方を固定するケース12と、励磁コイル13および検出コイル14のうち他方を保持すると共に、ケース12に対して延在方向Xに沿って相対移動可能に支持されるホルダ15と、ホルダ15をケース12内で延在方向Xに沿って相対移動させる歯車機構16と、歯車機構16を操作するための操作部17と、を備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線の導体に渦電流を発生させる環状の励磁コイルと、前記導体で発生した渦電流に応じた磁界を検出する環状の検出コイルと、を有したセンサと、
前記励磁コイルおよび前記検出コイルを互いの軸方向が平行でありかつ前記励磁コイルおよび前記検出コイルが前記軸方向と交差する前記電線の延在方向に沿って並びつつ前記軸方向から見た場合に互いに部分的に重なり合う状態で内部に収容すると共に、前記励磁コイルおよび前記検出コイルのうち一方を固定するケースと、
前記励磁コイルおよび前記検出コイルのうち他方を保持すると共に、前記ケースに対して前記延在方向に沿って相対移動可能に支持されるホルダと、
前記ホルダを前記ケース内で前記延在方向に沿って相対移動させる歯車機構と、
前記歯車機構を操作するための操作部と、
を備えた、センサユニット。
【請求項2】
前記歯車機構は、
前記操作部と一体で前記軸方向に沿って延びる回転軸回りに回転する第1歯車と、
前記第1歯車と噛み合うことで前記回転軸と平行な中間軸回りに回転する中間歯車と、
前記ホルダに設けられ、前記中間歯車と噛み合うことで前記延在方向に沿って直動するラックギアと、
を有した、
請求項1に記載のセンサユニット。
【請求項3】
前記歯車機構の全体のギア比は、少なくとも1より大きい、
請求項2に記載のセンサユニット。
【請求項4】
前記操作部は、前記ケースの外壁に設けられた開口部を介して露出した状態に設けられ、
前記外壁の外側には、前記開口部を着脱可能に覆う蓋部材が設けられる、
請求項1または2に記載のセンサユニット。
【請求項5】
延在方向に沿って延在する電線の導体の劣化を検出するセンサユニットと、
前記電線が前記延在方向に沿って貫通すると共に、内部に前記センサユニットが設けられる筐体と、
前記筐体を前記電線に対して前記延在方向に沿って相対移動させる駆動機構と、
を備え、
前記センサユニットは、
前記導体に渦電流を発生させる環状の励磁コイルと、前記導体で発生した渦電流に応じた磁界を検出する環状の検出コイルと、を有したセンサと、
前記励磁コイルおよび前記検出コイルを互いの軸方向が平行でありかつ前記励磁コイルおよび前記検出コイルが前記軸方向と交差する前記延在方向に沿って並びつつ前記軸方向から見た場合に互いに部分的に重なり合う状態で内部に収容すると共に、前記励磁コイルおよび前記検出コイルのうち一方を固定するケースと、
前記励磁コイルおよび前記検出コイルのうち他方を保持すると共に、前記ケースに対して前記延在方向に沿って相対移動可能に支持されるホルダと、
前記ホルダを前記ケース内で前記延在方向に沿って相対移動させる歯車機構と、
前記歯車機構を操作するための操作部と、
を有した、導体劣化検出装置。
【請求項6】
前記駆動機構は、前記センサユニットの前記延在方向の両側に設けられ前記電線上を走行する一対のローラと、前記一対のローラを駆動するモータと、を有した、
請求項5に記載の導体劣化検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサユニットおよび導体劣化検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のセンサユニットに関する技術として、例えば、特許文献1には、電線の導体に渦電流を発生させる環状の励磁コイルと、導体で発生した渦電流に応じた磁界を検出する環状の検出コイルと、励磁コイルおよび検出コイルを互いに部分的に重なり合う状態で内部に収容するケースと、励磁コイルおよび検出コイルのうち一方を他方に対して軸方向と交差する方向に沿って相対移動させる移動機構と、を備えたセンサユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1に記載の導体劣化検出装置では、例えば、励磁コイルと検出コイルとが重なり合うコイル間距離を調整する場合に、移動機構の複数のねじ部材をねじ溝に挿入して同時に調整する必要があり、調整作業に比較的手間がかかってしまう虞があった。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、励磁コイルと検出コイルとが重なり合うコイル間距離をより適正に調整することができるセンサユニットおよび導体劣化検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るセンサユニットは、電線の導体に渦電流を発生させる環状の励磁コイルと、前記導体で発生した渦電流に応じた磁界を検出する環状の検出コイルと、を有したセンサと、前記励磁コイルおよび前記検出コイルを互いの軸方向が平行でありかつ前記励磁コイルおよび前記検出コイルが前記軸方向と交差する前記電線の延在方向に沿って並びつつ前記軸方向から見た場合に互いに部分的に重なり合う状態で内部に収容すると共に、前記励磁コイルおよび前記検出コイルのうち一方を固定するケースと、前記励磁コイルおよび前記検出コイルのうち他方を保持すると共に、前記ケースに対して前記延在方向に沿って相対移動可能に支持されるホルダと、前記ホルダを前記ケース内で前記延在方向に沿って相対移動させる歯車機構と、前記歯車機構を操作するための操作部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るセンサユニットおよび導体劣化検出装置は、操作部によって歯車機構を操作することによりホルダに保持された励磁コイルおよび検出コイルのうち一方をケースに固定された他方に対して延在方向に沿って相対移動させて励磁コイルと検出コイルとが軸方向に重なり合うコイル間距離を調整することができる。この結果、センサユニットおよび導体劣化検出装置は、励磁コイルおよび検出コイルのコイル間距離をより適正に調整することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るセンサユニットが適用される導体劣化検出装置の例示的な斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るセンサユニットが適用される導体劣化検出装置の例示的な断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るセンサユニットおよび駆動機構付近の例示的な斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るセンサユニットの例示的な分解斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るセンサユニットのロアケースから歯車機構が取り外された状態の例示的な平面図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る歯車機構の例示的な平面図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るセンサユニットの例示的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、下記実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。なお、本明細書では、序数は、部品や、部材、部位、位置、方向等を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0010】
[実施形態]
図1は、実施形態に係るセンサユニット10が適用される導体劣化検出装置1の斜視図であり、
図2は、導体劣化検出装置1の断面図である。なお、以下の説明では、互いに交差する第1方向、第2方向、および第3方向のうち、第1方向を「延在方向X」といい、第2方向を「幅方向Y」といい、第3方向を「軸方向Z」という。ここでは、延在方向Xと幅方向Yと軸方向Zとは、相互に略直交する。延在方向Xは、典型的には、導体劣化検出装置1による検査対象である電線Wが延在する方向、導体劣化検出装置1の前後方向(長手方向)、センサユニット10のホルダ15(
図5参照)が移動する方向、センサユニット10の励磁コイル13と検出コイル14とが並んでいる方向、言い換えれば、励磁コイル13と検出コイル14とが重なり合うコイル間距離A(
図6参照)の調整方向に相当する。幅方向Yは、典型的には、導体劣化検出装置1の左右方向(横幅方向)に相当する。軸方向Zは、典型的には、励磁コイル13および検出コイル14の軸方向、導体劣化検出装置1の高さ方向(縦幅方向)、検査対象である電線Wに導体劣化検出装置1を設置した状態で、電線Wが自重等によって撓む方向、言い換えれば、鉛直方向(上下方向)に相当する。また、以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、電線Wが導体劣化検出装置1に組み付けられた状態での方向として説明する。
【0011】
図1、2に示される本実施形態の導体劣化検出装置1は、いわゆる渦電流探傷法(ECT:EddyCurrent Testing)を用いて電線Wの導体W1の劣化を検出する検査装置である。電線Wは、導体劣化検出装置1によって導体W1の劣化が検査される検査対象(検体)である。電線Wは、導体W1と、絶縁被覆W2と、を含んで構成される。導体W1は、導電性を有する複数の金属素線を束ねたり撚り合せたりして構成される芯線である。絶縁被覆W2は、絶縁性を有する樹脂材料からなり、導体W1の外周面を覆い絶縁するものである。電線Wは、延在方向Xと直交する断面形状が略円形状に形成され、導体W1、絶縁被覆W2が延在方向Xに沿ってほぼ同じ径で線状に延びるように形成される。導体劣化検出装置1は、後述するセンサユニット10が発生させる磁界(磁束)によって電線Wの導体W1に渦電流を発生させ、当該渦電流に応じた磁界(磁束)を検出することで、導体W1の劣化を検出する。以下、各図を参照して導体劣化検出装置1の各構成について詳細に説明する。
【0012】
なお、導体劣化検出装置1によって検査する導体W1の劣化とは、典型的には、導体W1の腐食や導体W1の割れ等であり、例えば、経年変化等によって発生する。また、以下の説明では、導体劣化検出装置1によって検査する電線Wは、例えば、電柱等を介して空中に架けられた架空配電線であるものとして説明するがこれに限らない。
【0013】
図1、2に示されるように、導体劣化検出装置1は、例えば、センサユニット10と、筐体20と、駆動機構30と、弾性部材40と、クランプ部材50と、を備えている。センサユニット10や、駆動機構30、弾性部材40、クランプ部材50は、筐体20の内部に収容されている。導体劣化検出装置1は、例えば、当該導体劣化検出装置1を制御するコントローラとの間で、筐体20に設けられた入出力端子や無線通信モジュール等を介して有線、無線を問わず、各種駆動信号や検出信号等を授受(送受信)することが可能である。
【0014】
センサユニット10は、例えば、センサ11と、センサ11を収容するケース12と、を有している。センサ11は、上述した渦電流探傷法を用いたコイルセンサであり、それぞれ巻線が螺旋状や渦巻き状に巻回されることで構成される一対の励磁コイル13および検出コイル14(
図7参照)を含んでいる。励磁コイル13は、交流電流が印加されることによって磁界(磁束)を発生させるコイルであり、発生させた磁界によって導体W1に渦電流を発生させる。検出コイル14は、磁界(磁束)を検出するコイルであり、導体W1で発生した渦電流に応じた磁界の磁束変化により誘導電流が流れる。励磁コイル13による磁界発生、および検出コイル14による磁界検出は、電子回路等によって制御される。
【0015】
電子回路は、例えば、発振回路や検出回路等を含んで構成される。発振回路は、励磁コイル13を励磁させ、磁界を発生させる励磁回路である。発振回路は、励磁を励磁させる交流電流を生成し、当該交流電流を励磁コイル13に印加する。発振回路は、励磁コイル13に電気的に接続され、当該励磁コイル13に交流電流を印加する。発振回路は、励磁コイル13に電気的に接続され、当該励磁コイル13に交流電流を印加する。検出回路は、検出コイル14に流れる誘導電流を検出信号として検出する回路である。検出回路によって検出される検出信号(誘導電流)は、例えば、導体W1で発生した渦電流に応じた磁界の磁束変化等に応じて変化し、すなわち、導体W1で発生した渦電流等に応じた信号となる。検出回路は、検出コイル14に電気的に接続され、検出コイル14に流れる誘導電流を検出信号として検出する。検出回路は、検出コイル14に流れる誘導電流を検出信号として検出する。
【0016】
ケース12は、例えば、ロアケース12A(
図7参照)や、アッパケース12B、ギアカバー12C等の複数の部材が組み合わされて全体として中空箱状に形成される。ケース12は、ロアケース12A、アッパケース12B、およびギアカバー12Cによって区画される内部の空間部がセンサ11の励磁コイル13および検出コイル14が収容される収容空間部として機能する。また、ケース12は、例えば、電線Wに対して軸方向Zの一方側、すなわち上方側に対向して配置される。センサ11は、ケース12内における下壁12a上に搭載され、後述する弾性部材40(
図2参照)によって電線Wに対して下壁12aの軸方向Zの厚さ分だけ離れて位置される。
【0017】
筐体20は、内部にセンサユニット10が設けられる箱状の部材である。筐体20は、絶縁性を有する樹脂材料等によって構成される。筐体20は、例えば、延在方向Xが長辺方向となる略直方体の箱状に形成される。筐体20は、天壁部20aや、底壁部20b、一対の側壁部20c、一対の端壁部20d、一対の中壁部20e等の複数の壁部を有している。天壁部20aおよび底壁部20bは、いずれも、軸方向Z(上下方向)と直交する方向に沿って延びており、軸方向Zに間隔をあけて互いに平行に設けられている。天壁部20aは、筐体20の上端部を構成し、底壁部20bは、筐体20の下端部を構成している。
【0018】
一対の側壁部20cは、いずれも、幅方向Yと直交する方向に沿って延びており、幅方向Yに間隔をあけて互いに平行に設けられている。一対の側壁部20cのうち一方は、天壁部20aおよび底壁部20bの幅方向Yの一端部の間に渡り、筐体20の左端部を構成している。一対の側壁部20cのうち他方は、天壁部20aおよび底壁部20bの幅方向Yの他端部の間に渡り、筐体20の右端部を構成している。
【0019】
一対の端壁部20dは、いずれも、延在方向Xと直交する方向に沿って延びており、延在方向Xに間隔をあけて互いに平行に設けられている。一対の端壁部20dのうち一方は、天壁部20aおよび底壁部20bの延在方向Xの一端部の間に渡り、筐体20の前端部を構成している。一対の端壁部20dのうち他方は、天壁部20aおよび底壁部20bの延在方向Xの他端部の間に渡り、筐体20の後端部を構成している。
【0020】
そして、筐体20には、一対の端壁部20dを延在方向Xに沿って貫通する電線挿通孔20fが設けられている。電線挿通孔20fは、筐体20の内外に渡って電線Wを挿通させるための貫通孔である。電線挿通孔20fは、一対の端壁部20dの間に渡るように延在方向Xに沿って延びている。電線挿通孔20fは、例えば、筐体20のうち軸方向Zの略中央部よりも下方側の領域に形成され、延在方向Xの両側および下方側に開放されている。
【0021】
一対の中壁部20eは、いずれも、一対の側壁部20cの間に位置され、天壁部20aと底壁部20bとの間に渡るように設けられている。一対の中壁部20eは、例えば、第1部分20e1と、第2部分20e2と、第3部分20e3と、をそれぞれ含んで構成される。第1部分20e1は、底壁部20bから電線挿通孔20fと面するように軸方向Zに沿って延びている。第2部分20e2は、第1部分20e1の上端部から一対の側壁部20cに向けて幅方向Yに沿って延びている。第3部分20e3は、第2部分20e2の幅方向Yの両端部から天壁部20aに向けて軸方向Zに沿って延びている。
【0022】
ここで、筐体20内には、中壁部20eの第2部分20e2と第3部分20e3とによって囲まれた収容空間部20gが設けられている。収容空間部20gは、センサユニット10や、クランプ部材50、後述する駆動機構30のローラ31(
図3参照)等が配置される空間部である。収容空間部20gは、上述した電線挿通孔20fに対して上方側に対向して形成され、少なくとも上方側に開放されている。収容空間部20gは、中壁部20eからセンサユニット10が取り外された状態において、電線挿通孔20fと軸方向Zに連通する。
【0023】
図3は、導体劣化検出装置1のセンサユニット10および駆動機構30付近の斜視図である。
図3に示されるように、駆動機構30は、延在方向Xに沿って電線Wと上述した筐体20とを相対移動させるものである。本実施形態の駆動機構30は、電柱等を介して空中に架けられた電線Wに対して筐体20を延在方向Xに沿って移動させる。駆動機構30は、例えば、一対のローラ31と、モータ32と、ギア機構33と、プーリ34と、を含んで構成される。
【0024】
モータ32は、回転動力を発生させる動力源であり、ギア機構33を介して回転動力を一対のローラ31に伝達する。一対のローラ31は、筐体20の内部で電線Wと接触した状態で設けられ、モータ32が発生させる回転動力によって回転駆動するものである。一対のローラ31は、筐体20に対して幅方向Yに沿って延びる回転中心回りに回転可能に支持されている。本実施形態では、例えば、一対のローラ31のうちの一方が駆動ローラとして機能し、他方が従動ローラとして機能する。プーリ34は、一対のローラ31の間を連結し、駆動ローラの回転動力を従動ローラに伝達する。
【0025】
そして、駆動機構30は、回転駆動する一対のローラ31によって上述した電線挿通孔20fの延在方向Xの一端部から電線Wを筐体20の内部に引き込むと共に、延在方向Xの他端部から当該電線Wを筐体20の外部に送り出すようにして、導体劣化検出装置1を、電線W上を走行させる。これにより、駆動機構30は、電線Wに対して筐体20を延在方向Xに沿って相対移動させることができる。なお、本実施形態では、ローラ31は、センサユニット10の延在方向Xの両側に一対で設けられるものとして説明するがこれに限らない。
【0026】
また、センサユニット10は、例えば、ケース12の側壁から幅方向Yの両側に張り出した取付部12bを有している。取付部12bは、上述した中壁部20eの第2部分20e2に沿って延びており、当該第2部分20e2上に重ねられている。そして、本実施形態では、取付部12bは、第2部分20e2に弾性部材40を介して取り付けられている。弾性部材40は、例えば、ダンパねじ41によって構成される。
【0027】
ダンパねじ41は、例えば、第2部分20e2に立設され取付部12bを軸方向Zに貫通する軸部42や、軸部42の上端部に設けられる反力受け部43、軸部42に装着され反力受け部43と取付部12bとの間で弾性変形する弾性部材40(スプリング)等を含んで構成される。取付部12bは、弾性部材40によって第2部分20e2に対して軸部42(軸方向Z)に沿ってスライド可能に支持されている。ダンパねじ41は、センサユニット10の四隅に設けられている。
【0028】
本実施形態では、ダンパねじ41は、弾性部材40の弾性力によって取付部12bひいてはセンサユニット10を軸方向Zに沿って電線W側に押し付けた状態で、当該取付部12bを第2部分20e2に固定している。また、ダンパねじ41は、弾性部材40の弾性変形によって取付部12bひいてはセンサユニット10の軸方向Zの移動を許容し、当該取付部12bを第2部分20e2に対して軸方向Zに沿って移動可能に支持している。
【0029】
クランプ部材50は、電線Wのセンサユニット10やローラ31に対する軸方向Z(上下方向)の位置および幅方向Yの位置を保持するものである。クランプ部材50は、例えば、筐体20の延在方向Xの両端部に設けられる一対のクランプ部51と、一対のクランプ部51を連結する連結部52と、一対のクランプ部51に取り付けられる複数の回転体53と、を含んで構成される。
【0030】
クランプ部51は、上述した筐体20の一対の端壁部20dの内側に位置されている。クランプ部51は、例えば、下方側に開放された略U字状に形成され、電線Wを幅方向Yの両側から挟持可能である。また、クランプ部51には、それぞれ一対の回転体53が取り付けられている。回転体53は、例えば、延在方向Xに沿った電線Wと導体劣化検出装置1との相対移動に伴って当該電線Wの外面上を延在方向Xに沿って転動するローラ等である。一対の回転体53は、軸方向Zに沿って延びる回転中心回りに回転可能であり、クランプ部51において、幅方向Yに互いに間隔をあけて設けられている。
【0031】
回転体53は、クランプ部51と電線Wとの間の隙間を最小にしつつクランプ部51と電線Wとの間に生じる摩擦を低減することができる。ここでは、回転体53は、電線Wと接触する転動面が直線形状に形成されているがこれに限らない。本実施形態では、一対の回転体53の間に電線Wが挟持されることによって、電線Wのセンサユニット10やローラ31に対する位置を保持しつつ、電線Wとクランプ部51との間の摺動抵抗が低減される。また、クランプ部51における一対の回転体53の間の開口幅が比較的広めに確保され、これにより、直径が異なる複数の仕様の電線Wに対応することができるように構成されている。
【0032】
連結部52は、筐体20の上方に位置され、一対のクランプ部51を連結している。連結部52は、例えば、延在方向Xに沿って延びる二つの連結バー54を有しており、当該二つの連結バー54の開度(角度)を調節することによってクランプ部51を開閉可能である。具体的には、連結部52は、例えば、二つの連結バー54が開いた状態(
図1参照)では、クランプ部51を閉じ、二つの連結バー54が閉じた状態、言い換えると二つの連結バー54の幅方向Yの間隔が
図1よりも狭まった状態では、クランプ部51を開くことができる。
【0033】
また、連結部52は、例えば、コイルスプリング等によって二つの連結バー54が開く方向、すなわちクランプ部51が閉じる方向に付勢されている。作業者は、二つの連結バー54が閉じるように連結部52を把持することによって、クランプ部51を開くことができる。また、連結部52は、例えば、導体劣化検出装置1の運搬時において作業者の把持部としても機能する。
【0034】
導体劣化検出装置1は、上述したセンサユニット10が電線Wと密着した状態で電線W上を自走することで、延在方向Xに沿って電線Wの導体W1の劣化を検出する。電線Wの導体W1は、腐食や割れ等による劣化が存在すると、当該劣化部位において、励磁コイル13が発生させた磁界によって発生する渦電流の分布が変化し当該渦電流が相対的に少なくなる傾向にある。この結果、電線Wの導体W1は、腐食や割れ等による劣化が存在すると、当該劣化部位において、検出コイル14によって検出される検出値が相対的に小さくなる傾向にある。検出コイル14によって検出される検出値は、導体W1の劣化の度合いが相対的に大きくなるほど相対的に小さくなる傾向にある。このことを利用して、センサユニット10は、導体W1の劣化状況を検出することができる。
【0035】
図4は、センサユニット10の分解斜視図であり、
図5は、センサユニット10のロアケース12Aから歯車機構16が取り外された状態の平面図である。
図4、5に示されるように、ロアケース12Aは、例えば、軸方向Zの一方側、すなわち上方側が開放された有底筒状(トレイ状)に形成される。ロアケース12Aの下壁12aおよび側壁は、ケース12の収容空間部12rを区画するための構造体である。本実施形態では、収容空間部12rには、センサ11の励磁コイル13および検出コイル14や、ホルダ15、歯車機構16、操作部17等が収容される。
【0036】
励磁コイル13は、交流電圧が印加されることで、電線Wに渦電流を発生させるものである。励磁コイル13は、導電性を有する金属線(例えば銅線)を複数回、同心円状に巻いて束状にしたものであり、環状(リング状)に形成される。励磁コイル13は、交流電圧が印加されることにより交流電流が流れ、励磁コイル13の周囲に磁束を発生させる。この磁束は、交流電流により発生するものなので、磁束の向きが変化することとなる。したがって、電線Wは、励磁コイル13の磁束の変化による電磁誘導により、渦電流を発生することとなる。励磁コイル13は、例えば、後述するホルダ15によって保持される。
【0037】
検出コイル14は、電線Wに発生した渦電流による磁束を検出するものである。検出コイル14は、導電性を有する金属線(例えば銅線)を複数回、同心円状に巻いて束状にしたものであり、環状(リング状)に形成される。本実施形態における検出コイル14は、励磁コイル13と同一形状に形成される。ここで、電線Wは、渦電流を発生することで、磁束を発生する。検出コイル14は、渦電流の磁束による相互誘導により、検出コイル14の両端において誘導起電力を生じる。すなわち、検出コイル14は、誘導起電力による電圧値を渦電流による検出値として検出するものである。検出コイル14は、例えば、ロアケース12Aの下壁12aに設けられた凹部12eに嵌合固定される。
【0038】
ホルダ15は、励磁コイル13および検出コイル14のうち一方を保持するものである。ホルダ15は、例えば、円板状の中壁部15aと、中壁部15aの周縁部に設けられる凹部15bと、を有している。凹部15b(
図7参照)は、中壁部15aから軸方向Zの一方側、すなわち上方側に凹み、下方側に開放された段差形状に形成される。凹部15bには、例えば、励磁コイル13が嵌合固定され、当該励磁コイル13がホルダ15に保持される。なお、励磁コイル13は、凹部15bにテープ等によって固定されてもよい。
【0039】
本実施形態では、ロアケース12Aの凹部12eおよびホルダ15の凹部15bは、軸方向Zから見た場合に環状(リング状)に形成される。凹部12eおよび凹部15bは、各凹部12e、15bの中心が軸方向Zに沿って並んで形成される。また、凹部12eおよび凹部15bは、軸方向Zから見た場合に互いに部分的に重なり合うように形成される。すなわち、凹部12eおよび凹部15bは、励磁コイル13および検出コイル14を、互いの軸方向Zが平行であり、かつ軸方向Zから見た場合に励磁コイル13および検出コイル14が互いに部分的に重なり合いつつ延在方向Xに沿って並ぶように、励磁コイル13および検出コイル14を保持する。
【0040】
また、ホルダ15には、中壁部15aを軸方向Zに貫通する複数の開口部15c、15dが設けられている。開口部15dは、例えば、延在方向Xに沿って横長に延びたスリット状に形成される。本実施形態では、開口部15dは、開口部15cを間に挟んだ幅方向Yの両側に一対で設けられている。開口部15dには、ロアケース12Aの下壁12aから軸方向Zに沿って突出したガイド突起12iが挿入される。ガイド突起12iの延在方向Xに沿った幅は、開口部15dの延在方向Xに沿った幅よりも狭く設定され、ガイド突起12iと開口部15dの延在方向Xの両端部とが当接する範囲内で、ホルダ15がケース12に対して延在方向Xに沿って相対移動可能に支持されている。
【0041】
開口部15cは、例えば、延在方向Xに沿って横長に延びた長穴であり、中壁部15aの中心部に設けられている。開口部15cには、後述する歯車機構16のピニオンギア16c2(
図6参照)が挿入される。そして、本実施形態では、開口部15cの縁部には、ピニオンギア16c2と噛み合うラックギア16dが設けられている。これにより、歯車機構16の回転運動を直線運動に変換し、ホルダ15に保持された励磁コイル13をケース12に固定された検出コイル14に対して延在方向Xに沿って相対移動させることが可能となるよう構成されている。
【0042】
図6は、歯車機構16の平面図である。
図6に示されるように、歯車機構16は、例えば、第1歯車16aと、複数の中間歯車16b、16cと、ラックギア16dと、を含んで構成される。第1歯車16aは、例えば、ロアケース12A(
図7参照)に対して軸方向Zに沿って延びる回転軸Ax1回りに回転可能に支持された操作部17の下端部に固定されている。第1歯車16aは、操作部17の回転に伴って当該操作部17と一体に回転軸Ax1回りに回転可能である。
【0043】
中間歯車16bは、例えば、カウンターギア等によって構成され、ギアカバー12Cの第1カバー部12g(
図4参照)に軸方向Zに沿って延びる中間軸Ax2回りに回転可能に支持されている。中間軸Ax2は、回転軸Ax1と平行である。中間歯車16bは、例えば、第1歯車16aと噛み合う入力側のギア16b1と、中間歯車16cと噛み合う出力側のピニオンギア16b2と、を含んで構成される。中間歯車16bは、ギア16b1およびピニオンギア16b2の回転によって第1歯車16aの回転を減速する。
【0044】
中間歯車16cは、例えば、カウンターギア等によって構成され、ギアカバー12Cの第2カバー部12h(
図4参照)に軸方向Zに沿って延びる中間軸Ax3回りに回転可能に支持されている。中間軸Ax3は、回転軸Ax1および中間軸Ax2と平行である。中間歯車16cは、例えば、中間歯車16bのピニオンギア16b2と噛み合う入力側のギア16c1と、上述したラックギア16dと噛み合う出力側のピニオンギア16c2と、を含んで構成される。中間歯車16cは、ギア16c1およびピニオンギア16c2の回転によって中間歯車16bの回転を減速する。
【0045】
ラックギア16dは、上述したホルダ15の開口部15cの縁部に設けられている。ラックギア16dは、延在方向Xに沿って形成され、ピニオンギア16c2と噛み合うことで中間歯車16cの回転運動を直線運動に変換し、ホルダ15をケース12に対して延在方向Xに沿って相対移動させる。また、ラックギア16dは、中間歯車16cの回転を減速する。本実施形態では、歯車機構16の全体のギア比は、少なくとも1より大きくなるよう設定される。言い換えると、入力側の第1歯車16aの回転変位量に対して出力側のラックギア16dの直動変位量が小さくなるようギア比が設定される。これにより、操作部17を比較的大きく回転させてもホルダ15のケース12に対する延在方向Xに沿った移動量を微小にでき、ひいては励磁コイル13と検出コイル14とが軸方向Zに重なるコイル間距離Aをより精密に調整できる。なお、コイル間距離Aを精度よく調整するためには、好適には歯車機構16の全体のギア比は、30以上~40以下である。
【0046】
なお、ホルダ15には、ラックギア16dのピニオンギア16c2に対する取付位置の目印となるマーキングが設けられてもよい。マーキングは、例えば、ホルダ15がケース12に対して延在方向Xの一方側および他方側の双方に移動可能となる中間位置を示すことができる。センサユニット10は、上述した歯車機構16によってホルダ15をケース12に対して延在方向Xに沿って相対移動させることで、励磁コイル13および検出コイル14のコイル間距離Aを調整することが可能である。センサユニット10は、例えば、コイル間距離Aを検出コイル14の検出値に基づいた所定距離に調整することで、励磁コイル13の磁束が検出値に与える影響を小さくすることができ、これにより電線Wの導体W1の劣化の検出精度を向上することができる。
【0047】
図7は、センサユニット10の断面図である。
図7に示されるように、歯車機構16は、ギアカバー12Cによって軸方向Zの一方側、すなわち上方側から覆われている。ギアカバー12Cには、操作部17が軸方向Zに沿って貫通する筒状部12fや、歯車機構16の中間歯車16bを覆う第1カバー部12g(
図4参照)、中間歯車16cを覆う第2カバー部12h等を含んで構成される。ギアカバー12Cは、例えば、ロアケース12Aおよびアッパケース12Bと共に、絶縁性の合成樹脂等によって形成される。
【0048】
アッパケース12Bは、例えば、軸方向Zの他方側、すなわち下方側が開放された有底筒状(トレイ状)に形成される。アッパケース12Bの上壁12cおよび側壁は、ケース12の収容空間部を区画するための構造体である。本実施形態では、アッパケース12Bの上壁12cには、操作部17を露出させるための開口部12dが設けられている。開口部12dは、上壁12cを軸方向Zに沿って貫通する貫通孔であり、操作部17の外周面に沿った丸穴状に形成される。本実施形態では、上壁12cは、ケース12の外壁の一例である。
【0049】
また、本実施形態では、上壁12cの外側には、開口部12dを着脱可能に覆う蓋部材18が設けられている。蓋部材18は、例えば、下方側が開放された有底筒状(トレイ状)に形成される。蓋部材18は、アッパケース12Bに対してボルト19等によって着脱可能に結合される。ボルト19は、例えば、上壁12cの四隅に設けられている。蓋部材18は、ロアケース12A、アッパケース12B、およびギアカバー12Cと共に、ケース12の一部を構成している。
【0050】
また、操作部17の上端部には、ドライバー等の治具と係合可能な溝部17aが設けられている。溝部17aは、操作部17の上端面から下方側に凹み、上方側に向けて開放された凹部である。したがって、センサユニット10は、例えば、メンテナンス時等において、蓋部材18をケース12から取り外し、ドライバー等の治具を溝部17aに係合させて操作部17を軸方向Zに沿って延びる回転軸Ax1回りに回転させることにより、ケース12の外側から励磁コイル13および検出コイル14のコイル間距離Aを調整することができる。
【0051】
以上のように、本実施形態のセンサユニット10および導体劣化検出装置1は、励磁コイル13および検出コイル14を互いの軸方向Zが平行でありかつ励磁コイル13および検出コイル14が軸方向Zと交差する電線Wの延在方向Xに沿って並びつつ軸方向Zから見た場合に互いに部分的に重なり合う状態で内部に収容すると共に、励磁コイル13および検出コイル14のうち一方を固定するケース12と、励磁コイル13および検出コイル14のうち他方を保持すると共に、ケース12に対して延在方向Xに沿って相対移動可能に支持されるホルダ15と、ホルダ15をケース12内で延在方向Xに沿って相対移動させる歯車機構16と、歯車機構16を操作するための操作部17と、を備える。この構成により、センサユニット10および導体劣化検出装置1は、例えば、操作部17によって歯車機構16を操作することによりホルダ15をケース12に対して延在方向Xに沿って相対移動させて励磁コイル13と検出コイル14とが軸方向Zに重なり合うコイル間距離Aを調整することができる。この結果、センサユニット10および導体劣化検出装置1は、励磁コイル13および検出コイル14のコイル間距離Aをより適正に、すなわちより容易に精度よく調整することができる。
【0052】
また、本実施形態のセンサユニット10および導体劣化検出装置1では、歯車機構16は、操作部17と一体で軸方向Zに沿って延びる回転軸Ax1回りに回転する第1歯車16aと、第1歯車16aと噛み合うことで回転軸Ax1と平行な中間軸Ax2、Ax3回りに回転する中間歯車16b、16cと、ホルダ15に設けられ、中間歯車16b、16cと噛み合うことで延在方向Xに沿って直動するラックギア16dと、を有する。この構成により、センサユニット10および導体劣化検出装置1は、例えば、歯車機構16による第1歯車16aおよび中間歯車16b、16cの回転運動をラックギア16dの直線運動に変換し、ひいてはホルダ15に保持された励磁コイル13および検出コイル14のうち一方をケース12に固定された他方に対して延在方向Xに沿って相対移動させることができる。
【0053】
また、本実施形態のセンサユニット10および導体劣化検出装置1では、歯車機構16の全体のギア比は、少なくとも1より大きい。この構成により、センサユニット10および導体劣化検出装置1は、例えば、入力側の第1歯車16aの回転変位量に対して出力側のラックギア16dの直動変位量が小さくなる。この結果、センサユニット10および導体劣化検出装置1は、操作部17を比較的大きく回転させてもホルダ15のケース12に対する延在方向Xに沿った移動量を微小にでき、ひいては励磁コイル13および検出コイル14のコイル間距離Aをより精密に調整することができる。
【0054】
また、本実施形態のセンサユニット10および導体劣化検出装置1では、操作部17は、ケース12の上壁12c(外壁)に設けられた開口部12dを介して露出した状態に設けられ、上壁12cの外側には、開口部12dを着脱可能に覆う蓋部材18が設けられる。この構成により、センサユニット10および導体劣化検出装置1は、例えば、蓋部材18を取り外すことにより、操作部17をケース12の外側から操作して励磁コイル13および検出コイル14のコイル間距離Aを調整可能な構成とすることができる。
【0055】
また、本実施形態の導体劣化検出装置1では、駆動機構30は、センサユニット10の延在方向Xの両側に設けられ電線W上を走行する一対のローラ31と、一対のローラ31を駆動するモータ32と、を有する。この構成により、導体劣化検出装置1は、例えば、一対のローラ31によって電線W上を自走するタイプの導体劣化検出装置1において、センサユニット10の励磁コイル13および検出コイル14のコイル間距離Aをより適正に調整可能な構成とすることができる。
【0056】
また、本実施形態の導体劣化検出装置1は、延在方向Xに沿って電線W上を自走することから当該電線Wが比較的撓み易い。また、電線W上を自走することから当該電線W上の微細の凹凸を拾ってセンサユニット10と電線Wとの相対位置が変動する虞がある。その点、本実施形態によれば、弾性部材40の弾性力によってセンサユニット10を電線W側に押し付けて当該センサユニット10と電線Wとの間に隙間が空かないようにすることができる。この結果、導体劣化検出装置1は、導体W1の劣化の検出精度を向上することができる。
【0057】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、形式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 導体劣化検出装置
10 センサユニット
11 センサ
12 ケース
12c 上壁(外壁)
12d 開口部
13 励磁コイル
14 検出コイル
15 ホルダ
16 歯車機構
16a 第1歯車
16b 中間歯車
16c 中間歯車
16d ラックギア
17 操作部
18 蓋部材
20 筐体
30 駆動機構
31 ローラ
32 モータ
A コイル間距離
Ax1 回転軸
Ax2 中間軸
Ax3 中間軸
W 電線
W1 導体
X 延在方向
Y 幅方向
Z 軸方向