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特開2024-101092情報処理方法、情報処理装置、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101092
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理装置、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/74 20060101AFI20240722BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20240722BHJP
   G09G 5/38 20060101ALI20240722BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
H04N5/74 Z
G09G5/00 X
G09G5/38
G09G5/00 555D
G09G5/00 510B
G03B21/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004816
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保田 真司
【テーマコード(参考)】
2K203
5C058
5C182
【Fターム(参考)】
2K203GB48
2K203GB53
2K203GC39
2K203MA23
5C058BA17
5C058BA21
5C058BA35
5C058EA02
5C058EA03
5C058EA26
5C182AA04
5C182AC13
5C182AC39
5C182BA01
5C182BA03
5C182BA14
5C182BA25
5C182BA26
5C182BA47
5C182BB04
5C182BB05
5C182BB12
5C182BB14
5C182BB23
5C182BB26
5C182BC11
5C182CA01
5C182CA21
5C182CA22
5C182CB02
5C182CB12
5C182CB42
5C182CB44
5C182CC03
5C182CC25
5C182CC26
(57)【要約】
【課題】投写画像の調整を行う機能を有するプロジェクターにおいて、より高品位の投写画像を投写することを可能とする。
【解決手段】第1プロジェクターが投写する第1投写画像の投写面における位置を初期位置に合わせる調整機能を、無効にするか有効にするかを示す第1の入力を受け付けることと、調整機能を無効にすることを示す第1の入力を受け付けた場合に、第1プロジェクターが有する表示パネルにおいて画像を描画可能な面積である描画面積を、第1の面積に決定することと、調整機能を有効にすることを示す第1の入力を受け付けた場合に、描画面積を第1の面積よりも小さい第2の面積に決定することと、を含む、情報処理方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1プロジェクターが投写する第1投写画像の投写面における位置を初期位置に合わせる調整機能を、無効にするか有効にするかを示す第1の入力を受け付けることと、
前記調整機能を無効にすることを示す前記第1の入力を受け付けた場合に、前記第1プロジェクターが有する表示パネルにおいて画像を描画可能な面積である描画面積を、第1の面積に決定することと、
前記調整機能を有効にすることを示す前記第1の入力を受け付けた場合に、前記描画面積を前記第1の面積よりも小さい第2の面積に決定することと、
を含む、情報処理方法。
【請求項2】
前記調整機能を有効にすることを示す前記第1の入力を受け付けた場合に、前記第2の面積の大きさを示す第2の入力を受け付けることをさらに含み、
前記描画面積を前記第2の面積に決定することは、前記第2の入力に基づいて前記第2の面積の大きさを決定することを含む、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記第2の入力は、前記表示パネルにおいて描画が行われない面積を示す入力である、請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記第2の面積が決定された場合に、前記第2の面積の画像を前記表示パネルに描画することによって、前記第2の面積に対応する面積を示す前記第1投写画像を前記投写面に投写する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記第2の面積が決定された場合に、前記第1の面積の画像を前記表示パネルに描画することによって、前記第1の面積に対応する面積を示す領域表示画像を前記投写面に投写することをさらに含む、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記初期位置を決定するための第3の入力を受け付けるユーザーインターフェースを表示することと、
前記第2の面積が決定されるまで、前記ユーザーインターフェースを無効にすることと、をさらに含む、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記第1プロジェクターに接続された情報処理装置から前記第1プロジェクターに、前記第2の面積を示す情報を送信することをさらに含む、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記投写面に第2投写画像を投写する第2プロジェクターに、前記第1プロジェクターから前記第2の面積を示す情報を送信することをさらに含む、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項9】
少なくとも1つのプロセッサーを含み、
第1プロジェクターが投写する第1投写画像の投写面における位置を初期位置に合わせる調整機能を、無効にするか有効にするかを示す第1の入力を受け付けることと、
前記調整機能を無効にすることを示す前記第1の入力を受け付けた場合に、前記第1プロジェクターが有する表示パネルにおいて、前記第1プロジェクターが画像を描画可能な面積である描画面積を、第1の面積に決定することと、
前記調整機能を有効にすることを示す前記第1の入力を受け付けた場合に、前記描画面積を前記第1の面積よりも小さい第2の面積に決定することと、
を実行する、情報処理装置。
【請求項10】
コンピューターにより実行可能なプログラムであって、
前記コンピューターに、
第1プロジェクターが投写する第1投写画像の投写面における位置を初期位置に合わせる調整機能を、無効にするか有効にするかを示す第1の入力を受け付けることと、
前記調整機能を無効にすることを示す前記第1の入力を受け付けた場合に、前記第1プロジェクターが有する表示パネルにおいて、前記第1プロジェクターが画像を描画可能な面積である描画面積を、第1の面積に決定することと、
前記調整機能を有効にすることを示す前記第1の入力を受け付けた場合に、前記描画面積を前記第1の面積よりも小さい第2の面積に決定することと、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法、情報処理装置、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクターの投写画像が初期位置からずれることを抑制する提案がなされている。例えば、特許文献1のプロジェクターは、プロジェクター本体が動いた場合に、投写画像が初期位置に投写されるように、表示パネルにおける画像を補正する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-92169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のプロジェクターは、表示パネルに形成されるパネル画像の座標変換を行うことにより、パネル画像を移動させる処理を含む。しかし、表示パネルの全体にパネル画像が形成された状態では、パネル画像を移動させることができない。仮に、パネル画像の移動を可能とする領域を確保するため、表示パネルにおいてパネル画像を形成しない領域を設けることを考えると、投写画像の補正を行う機能のために、表示パネルの全体をパネル画像の形成に使うことができないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、第1プロジェクターが投写する第1投写画像の投写面における位置を初期位置に合わせる調整機能を、無効にするか有効にするかを示す第1の入力を受け付けることと、前記調整機能を無効にすることを示す前記第1の入力を受け付けた場合に、前記第1プロジェクターが有する表示パネルにおいて画像を描画可能な面積である描画面積を、第1の面積に決定することと、前記調整機能を有効にすることを示す前記第1の入力を受け付けた場合に、前記描画面積を前記第1の面積よりも小さい第2の面積に決定することと、を含む、情報処理方法である。
【0006】
本開示の一態様は、少なくとも1つのプロセッサーを含み、第1プロジェクターが投写する第1投写画像の投写面における位置を初期位置に合わせる調整機能を、無効にするか有効にするかを示す第1の入力を受け付けることと、前記調整機能を無効にすることを示す前記第1の入力を受け付けた場合に、前記第1プロジェクターが有する表示パネルにおいて、前記第1プロジェクターが画像を描画可能な面積である描画面積を、第1の面積に決定することと、前記調整機能を有効にすることを示す前記第1の入力を受け付けた場合に、前記描画面積を前記第1の面積よりも小さい第2の面積に決定することと、を実行する、情報処理装置である。
【0007】
本開示の一態様は、コンピューターにより実行可能なプログラムであって、前記コンピューターに、第1プロジェクターが投写する第1投写画像の投写面における位置を初期位置に合わせる調整機能を、無効にするか有効にするかを示す第1の入力を受け付けることと、前記調整機能を無効にすることを示す前記第1の入力を受け付けた場合に、前記第1プロジェクターが有する表示パネルにおいて、前記第1プロジェクターが画像を描画可能な面積である描画面積を、第1の面積に決定することと、前記調整機能を有効にすることを示す前記第1の入力を受け付けた場合に、前記描画面積を前記第1の面積よりも小さい第2の面積に決定することと、を実行させる、プログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】表示システムの構成の一例を示す図。
図2】プロジェクターの構成の一例を示すブロック図。
図3】プロジェクターの動作の一例を示すフローチャート。
図4】プロジェクターの動作の一例を示すフローチャート。
図5】メニュー画面の表示例を示す図。
図6】メニュー画面の別の表示例を示す図。
図7】液晶パネルにおける描画領域を示す模式図。
図8】マージン表示の例を示す図。
図9】マージン表示の別の例を示す図。
図10】表示システムの初期設定を示す説明図。
図11】プロジェクターの動作の一例を示すフローチャート。
図12】(a)は、調整処理の前の液晶パネルにおける描画領域の位置を示す説明図。(b)は、調整処理の後の液晶パネルにおける描画領域の位置を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0010】
[1.表示システムの構成]
図1は、本実施形態に係る表示システム1の構成の一例を示す図である。
図1には、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を記載している。Z軸は、鉛直方向を示す。X軸、及びY軸は、水平方向と平行である。X軸は左右方向を示し、Y軸は前後方向を示す。X軸の正方向は、スクリーンSCに向かって右方向を示し、Y軸の正方向は、スクリーンSCに向かって前方向を示し、Z軸の正方向は、上方向を示す。
【0011】
本実施形態のシステムは、第1プロジェクター100Aと、第2プロジェクター100Bと、制御装置300と、を備える。制御装置300と、第1プロジェクター100Aと、第2プロジェクター100Bとは、有線によってデイジーチェーン接続される。
第1プロジェクター100A及び第2プロジェクター100Bは、スクリーンSCに画像光PLを投写することによって、スクリーンSCに画像を形成する。以下の説明では、第1プロジェクター100AがスクリーンSCに画像を形成すること、及び、第2プロジェクター100BがスクリーンSCに画像を形成することを、表示という。スクリーンSCは本開示の投写面の一例に対応する。
【0012】
制御装置300は、第1プロジェクター100Aに有線接続され、第1プロジェクター100Aに画像信号を出力する。第1プロジェクター100Aは、制御装置300及び第2プロジェクター100Bに有線接続され、制御装置300から入力される画像信号を第2プロジェクター100Bに出力する。制御装置300は、例えば、パーソナルコンピューター、タブレット端末等である。
【0013】
本実施形態では、制御装置300、第1プロジェクター100A及び第2プロジェクター100Bを有線接続した例について説明するが、制御装置300、第1プロジェクター100A及び第2プロジェクター100Bを無線により接続してもよい。また、第1プロジェクター100Aと、第2プロジェクター100Bとを、それぞれ制御装置300に有線接続する構成であってもよい。
【0014】
第1プロジェクター100Aは、プライマリー機として動作し、第2プロジェクター100Bは、セカンダリー機として動作する。プライマリー機である第1プロジェクター100Aは、後述する初期設定時に、セカンダリー機である第2プロジェクター100Bに指示を出力し、第2プロジェクター100Bの動作を制御する。
【0015】
第1プロジェクター100Aは、プロジェクター本体10Aと光学系ユニット400Aと第1カメラ200Aとを備える。プロジェクター本体10Aは、天井より吊り下げられて設置される。光学系ユニット400Aは、プロジェクター本体10Aの装着部105Aに、画像光PLAをスクリーンSCに投写可能に装着される。第1カメラ200Aは、プロジェクター本体10Aと通信可能に接続され、スクリーンSCに表示された第1投写画像PAを撮像可能に光学系ユニット400Aの取付部911Aに設置される。
【0016】
第2プロジェクター100Bは、プロジェクター本体10Bと光学系ユニット400Bと第2カメラ200Bとを備える。プロジェクター本体10Bは、天井より吊り下げられて設置される。光学系ユニット400Bは、プロジェクター本体10Bの装着部105Bに、画像光PLBをスクリーンSCに投写可能に装着される。第2カメラ200Bは、プロジェクター本体10Bと通信可能に接続され、スクリーンSCに表示された第2投写画像PBを撮像可能に光学系ユニット400Bの取付部911Bに設置される。
【0017】
プロジェクター本体10Aは、制御装置300から入力される画像信号に含まれる画像データを取り出し、取り出した画像データに対応する画像光PLAを生成する。光学系ユニット400Aは、プロジェクター本体10Aが生成した画像光PLAをスクリーンSCに投写する。第1カメラ200Aは、スクリーンSCに表示された第1投写画像PAを含むスクリーンSCの領域を撮像し、撮像画像を生成する。生成された撮像画像は、例えば、第1投写画像PAの色調整に用いられる。
【0018】
プロジェクター本体10Bは、第1プロジェクター100Aから入力される画像信号に含まれる画像データを取り出し、取り出した画像データに対応する画像光PLBを生成する。光学系ユニット400Bは、プロジェクター本体10Bが生成した画像光PLBをスクリーンSCに投写する。第1カメラ200Aは、スクリーンSCに表示された第1投写画像PAを含むスクリーンSCの領域を撮像し、撮像画像を生成する。生成された撮像画像は、例えば、第2投写画像PBの色調整に用いられる。
【0019】
図1は、第1プロジェクター100A及び第2プロジェクター100Bが、鉛直方向の壁に設置された長方形のスクリーンSCに対して、ユーザー側の天井から吊り下げられて設置されることを示す。ユーザーである視認者は、第1プロジェクター100A及び第2プロジェクター100Bの下方に位置するスクリーンSCに表示される画像を視認する。
【0020】
図1に示すシステム構成では、第1投写画像PAと第2投写画像PBとをスクリーンSCの左右方向に並べて表示し、一つの大きな横長の画像をタイリング表示する。第1投写画像PAと第2投写画像PBとをタイリング表示する場合、第1プロジェクター100A及び第2プロジェクター100Bは、第1投写画像PAと第2投写画像PBとが重畳する重畳領域DPAが生じるように、画像光PLA及び画像光PLBを投写する。
【0021】
図1のように、第1投写画像PAは、第1非重畳領域NDP1に対応する第1非重畳画像PA1と、重畳領域DPAに対応する第1重畳画像PA2とで構成される。第1非重畳領域NDP1は、第1投写画像PAに対応する領域のうち、重畳領域DPA以外の領域を示す。第2投写画像PBは、第2非重畳領域NDP2に対応する第2非重畳画像PB1と、重畳領域DPAに対応する第2重畳画像PB2とで構成される。第2非重畳領域NDP2は、第2投写画像PBに対応する領域のうち、重畳領域DPA以外の領域を示す。
第1重畳画像PA2の輝度は、第1非重畳画像PA1の輝度より低くなるように調整され、第2重畳画像PB2の輝度は、第2非重畳画像PB1の輝度より低くなるように調整される。このような、重畳領域DPAにおける輝度の調整処理は、エッジブレンディング処理と呼ばれる。
【0022】
第1投写画像PAと第2投写画像PBとをスクリーンSCの左右方向に並べて表示し、一つの大きな横長の画像をタイリング表示するため、制御装置300は、一つの大きな横長の画像の元となる画像データを第1プロジェクター100Aに供給する。
第1プロジェクター100Aは、制御装置300から供給される画像信号から画像データを取り出すと、範囲情報に従って第1プロジェクター100Aが投写する画像の範囲となる画像データを切り出す。切り出された範囲の画像データを第1部分画像データという。
第2プロジェクター100Bは、第1プロジェクター100Aから供給される画像信号から画像データを取り出すと、範囲情報に従って第2プロジェクター100Bが投写する画像の範囲となる画像データを切り出す。切り出された範囲の画像データを第2部分画像データという。
【0023】
範囲情報は、画像データのうち、第1プロジェクター100Aが画像を投写する範囲を示す情報と、第2プロジェクター100Bが画像を投写する範囲を示す情報と、を含む。
範囲情報は、例えば、操作者が制御装置300を操作して生成する。生成された範囲情報は、画像の投写を開始する前に、制御装置300から第1プロジェクター100Aに出力される。第1プロジェクター100Aは、制御装置300から入力される範囲情報を第2プロジェクター100Bに出力する。
【0024】
第1プロジェクター100Aと第2プロジェクター100Bとは、互いに略同一の構成を有する。本実施形態において、第1プロジェクター100Aと第2プロジェクター100Bとを区別しない場合には、プロジェクター100と記載する。また、プロジェクター本体10Aとプロジェクター本体10Bとを区別しない場合には、プロジェクター本体10と記載する。また、第1カメラ200Aと第2カメラ200Bとを区別しない場合には、カメラ200と記載する。また、光学系ユニット400Aと光学系ユニット400Bとを区別しない場合には、光学系ユニット400と記載する。また、画像光PLAと画像光PLBとを区別しない場合には、画像光PLと記載する。
【0025】
[2.プロジェクターの構成]
図2は、第1プロジェクター100Aの構成の一例を示す図である。
第1プロジェクター100Aは、プロジェクター本体10A、光学系ユニット400A及び第1カメラ200Aを備える。
【0026】
プロジェクター本体10Aは、投写部110A、駆動部120A、画像インターフェース131A、入力インターフェース133A、リモコン受光部135A、画像処理部140A、フレームメモリー145A及び制御部150Aを備える。以下、インターフェースをI/Fと略記する。画像I/F131A、入力I/F133A、画像処理部140A及び制御部150Aは、バス103Aを介して互いにデータ通信可能に接続される。
【0027】
投写部110Aは、光源111A及び光変調装置112Aを備え、光学的な画像の形成を行って画像光PLAを生成する。駆動部120Aは、光源駆動部121A及び光変調装置駆動部122Aを備える。
【0028】
光源111Aは、ハロゲンランプ、キセノンランプ、超高圧水銀ランプ等のランプ、又は、LED(Light Emitting Diode)やレーザー光源等の固体光源を備える。
光源駆動部121Aは、制御部150Aの指示に従って、光源111Aの光源を点灯及び消灯させる。
【0029】
光変調装置112Aは、透過する光を変調して画像光PLAを生成する液晶パネル115Aを備える。液晶パネル115Aは、赤色光に対応した液晶パネルと、緑色光に対応した液晶パネルと、青色光に対応した液晶パネルとを含む。光源111が発する光は赤、緑及び青の3色の色光に分離され、それぞれ対応する液晶パネル115Aに入射される。液晶パネル115の各々を透過して変調された画像光PLAは、クロスダイクロイックプリズム等の合成光学系によって合成され、光学系ユニット400Aに射出される。液晶パネル115Aは、本開示の表示パネルの一例に対応する。
【0030】
光変調装置駆動部122Aは、光変調装置112Aを駆動する。光変調装置駆動部122Aには、画像処理部140Aから赤、緑及び青の各原色に対応する画像データが入力される。光変調装置駆動部122Aは、入力された画像データを液晶パネル115Aの動作に適したデータ信号に変換する。光変調装置駆動部122Aは、変換したデータ信号に基づいて、液晶パネル115Aの各画素に電圧を印加し、液晶パネル115Aに画像を描画する。
【0031】
光学系ユニット400Aは、プロジェクター本体10Aの装着部105Aに装着され、投写部110Aが生成した画像光PLAをスクリーンSC上に結像させる、不図示のレンズやミラー等を備える。光学系ユニット400Aには、スクリーンSCに表示される投写画像Pを含む領域が撮像範囲となるように第1カメラ200Aが取付けられる。光学系ユニット400Aは、スクリーンSCに投写される画像を拡大又は縮小させるズーム機構や、フォーカスの調整を行うフォーカス調整機構等を備えてもよい。
【0032】
第1カメラ200Aは、撮像部210Aを備え、光学系ユニット400Aの取付部911Aに取りけられる。撮像部210Aは、レンズと、撮像素子とを備える。レンズは、撮像範囲からの入射光を撮像素子に結像させる。撮像素子は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等からなり、画像信号を生成する。
第1カメラ200Aは、プロジェクター本体10Aの制御に従って、スクリーンSCに表示された第1投写画像PAを撮像部210Aによって撮像し、撮像データをプロジェクター本体10Aの画像I/F141Aに出力する。
【0033】
画像I/F131Aは、コネクター及びインターフェース回路を備え、第1プロジェクター100Aに画像データを供給する制御装置300、及び、撮像画像を供給する第1カメラ200Aに有線接続される。
【0034】
入力I/F133Aは、インターフェース回路を備え、リモコン受光部135Aに接続される。
リモコン受光部135Aは、リモコン250が送信する赤外線信号を受光する。入力I/F133Aは、リモコン受光部135Aが受光した信号をデコードして、操作信号を生成し、制御部150Aに出力する。
【0035】
フレームメモリー145Aは、複数のバンクを備える記憶装置である。各バンクは、1フレーム分の画像データを書き込み可能な記憶容量を有する。
【0036】
画像処理部140Aは、制御装置300から入力される画像データをフレームメモリー145Aに展開する。画像I/F131Aは、外部装置から入力される画像信号から画像データを取り出し、取り出した画像データを画像処理部140Aに出力する。
画像処理部140Aは、フレームメモリー145Aに展開した画像データに対して、例えば、解像度変換処理、又はリサイズ処理、歪曲収差の補正、形状補正処理、デジタルズーム処理、画像の色合いや輝度の調整等の画像処理を行う。
【0037】
画像処理部140A及びフレームメモリー145Aは、例えば、集積回路により構成される。集積回路には、LSI(Large Scale Integrated Circuit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、SoC(System-on-a-chip)等が含まれる。また、集積回路の構成の一部にアナログ回路が含まれていてもよく、制御部150Aと集積回路とが組み合わされた構成であってもよい。
【0038】
制御部150Aは、記憶部160Aと、プロセッサー170Aとを備える。
記憶部160Aは、揮発性の記憶装置と、不揮発性の記憶装置と、を備える。揮発性の記憶装置は、例えば、RAM(Random Access Memory)等によって構成される。不揮発性の記憶装置は、例えば、ROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリー、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等により構成される。揮発性の記憶装置は、プロセッサー170Aの演算領域として使用される。不揮発性の記憶装置は、プロセッサー170Aが実行する制御プログラム165Aを記憶する。制御部150Aは情報処理装置の一例に対応し、コンピューターである。
【0039】
プロセッサー170Aは、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)等のプロセッサーを備える演算処理装置である。プロセッサー170Aは、単一のプロセッサーにより構成してもよいし、複数のプロセッサーにより構成することも可能である。また、プロセッサー170Aは、記憶部160Aの一部又は全部や、その他の回路と統合されたSoCにより構成してもよい。また、プロセッサー170Aは、プログラムを実行するCPUと、所定の演算処理を実行するDSP(Digital Signal Processor)との組合せにより構成してもよい。さらに、プロセッサー170Aの機能の全てをハードウェアに実装した構成としてもよく、プログラマブルデバイスを用いて構成してもよい。
【0040】
[3.表示システムの動作]
第1プロジェクター100A、及び第2プロジェクター100Bのそれぞれは、位置維持機能を有する。第1プロジェクター100Aの位置維持機能は、スクリーンSCにおける第1投写画像PAの位置を、指定された位置に維持する機能である。同様に、第2プロジェクター100Bの位置維持機能は、スクリーンSCにおける第2投写画像PBの位置を、指定された位置に維持する機能である。位置維持機能は、調整機能の一例に対応する。
【0041】
プロジェクター100の設置後に、プロジェクター本体10とスクリーンSCとの相対的な位置あるいは方向に微小な変化を生じることがある。この変化により、スクリーンSCにおける第1投写画像PA、第2投写画像PBの位置が変わることがある。そこで、第1プロジェクター100Aは、スクリーンSCにおける第1投写画像PAの位置が変化した場合に、位置維持機能によって第1投写画像PAの位置を初期位置に合わせて調整し、この調整により変化を相殺する。第2プロジェクター100Bも同様である。
【0042】
本実施形態の位置維持機能は、プロジェクター本体10や光学系ユニット400の移動及び変位をさせずに、液晶パネル115Aに描画される画像を補正することによって投写画像Pの位置を調整する機能である。
【0043】
第1プロジェクター100Aでは、ユーザーが、リモコン250等を操作することによって、位置維持機能に関する設定を行うことができる。この設定は、位置維持機能を有効にするか無効にするかを切り替えることを含む。第2プロジェクター100Bも同様である。ここで、位置維持機能の設定に関する動作を、図3図9の各図を参照し、ユーザーが第1プロジェクター100Aを操作する場合を例に挙げて説明する。
【0044】
図3及び図4は、表示システム1の動作を示すフローチャートである。図5及び図6はメニュー画面の表示例を示し、図7は、液晶パネル115Aにおける描画領域を示す模式図である。図8及び図9はマージン表示の例を示す。
図3は第1プロジェクター100Aの位置維持機能の設定に関する動作を示す。ステップS11~S24の動作は、プロセッサー170Aにより実行される。
【0045】
図3の操作は、第1プロジェクター100Aによりメニュー画面500を表示した状態で開始される。メニュー画面500は、第1プロジェクター100Aの機能に関する設定を行うための画面であり、例えば、OSD(On Screen Display)により表示される。プロセッサー170Aは、画像処理部140Aを制御して、メニュー画面500を表示するための表示データをフレームメモリー145Aに形成させ、液晶パネル115Aにメニュー画面500を描画する。
【0046】
制御部150Aは、設定の開始を指示する操作を受け付けて(ステップS11)、位置維持機能の設定を行うためのメニュー画面500を、制限状態で表示する(ステップS12)。ステップS12で表示されるメニュー画面500の表示例を図5に示す。
【0047】
図5に示すように、メニュー画面500は、機能選択部510、及び、入力部520を含む。機能選択部510には、メニュー画面500により設定する項目が並べて配置される。例えば、機能選択部510には、画質メニュー選択部511、映像メニュー選択部512、設定メニュー選択部513、ネットワークメニュー選択部514、初期化メニュー選択部515、及び、全体設定メニュー選択部516を含む。これらは設定項目を選択するための操作部として機能する。ユーザーがリモコン250等の操作により機能選択部510で選択を行うと、選択された操作部に対応する機能の設定が開始される。例えば、画質メニュー選択部511は第1投写画像PAの画質を設定する機能に対応する。映像メニュー選択部512は第1プロジェクター100Aが表示する映像を設定する機能に対応する。設定メニュー選択部513は第1プロジェクター100Aの基本的な設定を行う機能に対応する。ネットワークメニュー選択部514は第1プロジェクター100Aの通信設定を行う機能に対応する。初期化メニュー選択部515は第1プロジェクター100Aの初期化を指示する操作部である。全体設定メニュー選択部516は表示システム1の全体的な設定を行う機能に対応する。ステップS11で第1プロジェクター100Aが受け付ける操作は、例えば、設定メニュー選択部513を選択する操作である。
【0048】
入力部520には、機能選択部510で選択された機能に関する設定項目ごとに、設定値の入力や選択を行う入力部や指示部が配置される。図5の例では、位置維持機能に関する入力部および指示部が入力部520に配置されている。例えば、入力部520は、位置維持入力部521、マージン入力部522、タイリング設定部523、初期設定開始指示部524、及び、スケジュール入力部525を含む。
【0049】
位置維持入力部521は、位置維持機能を有効にするか無効にするかが入力される入力部であり、例えば、プルダウンメニューを選択する入力を受け付ける。マージン入力部522は、位置維持機能で使用するマージン領域の大きさの入力を受け付ける。タイリング設定部523は、第1プロジェクター100Aと第2プロジェクター100Bによるタイリングの設定を指示する指示部である。初期設定開始指示部524は位置維持機能の初期設定を指示する指示部である。初期設定開始指示部524を用いる入力は、第3の入力の一例に対応する。初期設定開始指示部524、或いは、初期設定開始指示部524を含む入力部520は、第3の入力を受け付けるユーザーインターフェースの一例に対応する。スケジュール入力部525は位置維持機能のスケジュール設定を指示する指示部である。
【0050】
ステップS12で、制御部150Aは、メニュー画面500を制限状態で表示させる。制限状態は、図5に示すように、入力部520において一部の設定項目の入力または指示を受け付けない状態を指す。図5の例では、マージン入力部522、タイリング設定部523、初期設定開始指示部524、及び、スケジュール入力部525が、入力や指示を受け付けない状態となっている。
【0051】
制限状態のメニュー画面500では、入力や指示を受け付けないことがユーザーに分かるように、入力や指示を受け付けない設定項目の表示態様が限定表示態様となっている。限定表示態様は、例えば、灰色またはその他の色で塗りつぶされた態様である。図5のメニュー画面500では、位置維持入力部521において位置維持機能を無効にする入力がなされている。マージン入力部522、タイリング設定部523、初期設定開始指示部524、及びスケジュール入力部525は、位置維持機能に関する設定項目である。位置維持機能が無効である場合は、設定の必要がない。換言すれば、ユーザーは、最初に位置維持入力部521で位置維持機能を有効にする入力を行い、その後に、マージン入力部522、タイリング設定部523、初期設定開始指示部524、及びスケジュール入力部525による入力または指示を行うことで、効率よく設定を行うことができる。制限状態でメニュー画面500を表示することは、操作の順序をユーザーに明示する効果がある。メニュー画面500を制限状態で表示すること、特に、初期設定開始指示部524を制限状態で表示することは、ユーザーインターフェースを無効にすることの一例に対応する。
【0052】
制限状態におけるマージン入力部522、タイリング設定部523、初期設定開始指示部524、及びスケジュール入力部525の表示態様は、図5の例に限定されない。これらの入力部および指示部を、例えば、制限状態においてメニュー画面500に表示しない態様とすることも可能である。また、制御部150Aは、制限状態においてマージン入力部522、タイリング設定部523、初期設定開始指示部524、及びスケジュール入力部525に対する入力を受け付けないよう動作してもよい。この場合、制限状態における表示態様を、後述する第1設定可能状態や第2設定可能状態と同じ態様で表示してもよい。
【0053】
図3に戻り、制御部150Aは、第1の入力を受け付ける(ステップS13)。ステップS13で、制御部150Aは、メニュー画面500を表示した状態で入力を受け付ける。第1の入力は、第1プロジェクター100Aの位置維持機能を有効にするか無効にするかを示す入力であり、例えば図5の位置維持入力部521に対する操作である。
【0054】
制御部150Aは、第1の入力が、位置維持機能を有効にする入力であるか否かを判定する(ステップS14)。第1の入力が位置維持機能を有効にする入力である場合(ステップS14/YES)、制御部150Aは、制限状態となっているメニュー画面500を、第1設定可能状態に更新する(ステップS15)。
【0055】
図6には、制限状態から第1設定可能状態に更新された場合のメニュー画面500を示す。第1設定可能状態のメニュー画面500では、位置維持入力部521には位置維持機能を有効にする入力が行われている。そして、マージン入力部522は入力が可能な状態で表示され、タイリング設定部523は指示が可能な状態で表示されている。第1設定可能状態のメニュー画面500では、初期設定開始指示部524及びスケジュール入力部525が、指示や入力ができない状態で表示されている。これらの指示部は、マージン入力部522に有効な値が入力された後に、指示可能となる。初期設定開始指示部524及びスケジュール入力部525の指示が可能な状態は、後述する第2設定可能状態に相当する。
【0056】
図3に戻り、制御部150Aは、第2の入力を受け付ける(ステップS16)。第2の入力は、マージン値を示す入力である。
【0057】
マージンとは、液晶パネル115Aにおいて光変調装置駆動部122Aが描画可能な領域のうち、位置維持機能を実行するために設けられる領域であり、液晶パネル115Aが描画に用いない領域をいう。マージン値は、マージンの面積あるいは大きさを示す値である。
【0058】
図7には1つの液晶パネル115Aにマージンを設けた例を模式的に示す。第1プロジェクター100Aは、赤色光を変調する液晶パネル115A、青色光を変調する液晶パネル115A、及び、緑色光を変調する液晶パネル115Aを備えている。これら3つの液晶パネル115Aにおいて、マージンは同様に設定される。このため、図7には1つの液晶パネル115Aを図示する。
【0059】
液晶パネル115Aにおいて、光変調装置駆動部122Aの制御により画像を形成可能な領域を、描画可能領域190とする。描画可能領域190には光変調装置駆動部122Aにより駆動される画素が配置され、これらの画素は光源111Aが発する光を変調する。
【0060】
第1プロジェクター100Aは、通常、描画可能領域190の全体を使用せず、描画可能領域190に設けられる有効領域191を、画像の描画に使用する。有効領域191に形成された画像は、その全体が第1投写画像PAとしてスクリーンSCに投写される。換言すれば、有効領域191は、第1プロジェクター100Aが第1投写画像PAを形成するために利用可能な領域である。第1プロジェクター100Aが、有効領域191の全体を使用して画像を形成する場合、第1投写画像PAに対応する画素の数が最も多く、最も高品位の画像といえる。描画可能領域190において有効領域191に含まれない領域は、例えば、第1プロジェクター100Aの製造工程において、第1プロジェクター100Aの個体差を解消するための調整等で利用される。
【0061】
第1プロジェクター100Aは、幾何補正を行う場合、有効領域191の一部を利用する。スクリーンSCに矩形の第1投写画像PAを表示するために幾何補正が行われると、液晶パネル115Aにおいては矩形を変形させた画像が描画される。このため、幾何補正後に液晶パネル115Aに画像を描画できる領域は、有効領域191よりも小さい。この領域を、画像形成領域193とする。図7の例は、幾何補正を行わないか、幾何補正をしても画像形成領域193を矩形とすることが可能な場合を示しており、有効領域191と画像形成領域193とが一致する。
【0062】
第1プロジェクター100Aが位置維持機能を実行する場合には、スクリーンSCにおける第1投写画像PAの位置を初期位置に合わせるために、液晶パネル115Aに描画する画像の位置を変更する。ここで、例えば、画像形成領域193の全体に画像を描画している状態では、その画像の位置を液晶パネル115Aにおいて移動させると、画像が画像形成領域193から逸脱してしまう。そこで、位置維持機能を実行するために、画像の移動に備えて、画像を描画しない領域を予め確保する。そのために、画像形成領域193より小さい領域を描画に使用する。
【0063】
第1プロジェクター100Aは、位置維持機能が有効である場合、画像形成領域193よりも小さい描画領域195を設定する。描画領域195は位置維持機能が有効である場合に光変調装置駆動部122Aによって画像が形成される領域である。画像形成領域193において描画領域195に含まれない領域が、上述したマージンである。
【0064】
マージン値は、マージンとする領域の大きさを指定する値であってもよいし、描画領域195の大きさや位置を指定する値であってもよい。マージン値は、画素数であってもよいし、画像形成領域193における面積または画素数の割合であってもよい。割合の単位は、例えば%が用いられる。描画領域195は、例えば、画像形成領域193と相似形である。描画領域195の位置は初期状態では画像形成領域193の中央とすることができる。画像形成領域193の面積は第1の面積の一例であり、描画領域195の面積は描画面積の一例である。位置維持機能が無効に設定される場合、描画領域195は画像形成領域193の全体であるので、描画面積は画像形成領域193の面積に一致する。つまり、位置維持機能が無効に設定される場合、描画領域195の面積は第1の面積に決定される。また、位置維持機能が有効に設定される場合、描画面積は画像形成領域193より小さい、第2の面積に決定される。マージン値、或いは、マージン値から求められる画像形成領域193の面積は、第2の面積を示す情報の一例である。第2の入力によってマージン値が指定される場合、この第2の入力は、第2の面積の大きさを示す第2の入力の一例に対応する。位置維持機能が有効にされる場合、液晶パネル115Aにおいて画像形成領域193より小さい描画領域195に画像が形成される。この画像は、第2の面積の画像の一例に対応する。
【0065】
図3に戻り、制御部150Aは、第2の入力に応じて、第1投写画像PAの表示態様を、マージン表示に切り替える(ステップS17)。
図8は、マージン表示の例を示す。図8に示す例では、メニュー画面500を含む第1投写画像PAに、第2の入力で指定されたマージンの大きさをユーザーが認識できるように、枠形状の画像である最大領域枠601が付加される。最大領域枠601は、図7の画像形成領域193の外縁を示す。また、マージン表示の実行時には、描画領域195の外縁を示す枠形状の画像である描画領域枠602が表示される。
【0066】
マージン表示の実行中、制御部150Aは、マージン入力部522のマージン値が入力または変更される毎に、描画領域195の大きさ、位置を変更する。制御部150Aは、変更後の描画領域195に合わせて描画領域枠602を更新する。
【0067】
マージン表示の実行中は、メニュー画面500を含む画像603が表示される。画像603は描画領域195に描画されるので、マージン入力部522のマージン値が入力または変更される毎に、描画領域枠602とともに画像603の面積が更新される。
【0068】
マージン表示中に表示されるメニュー画面500ではマージン入力部522への入力が可能である。従って、ユーザーは、画像603及び描画領域枠602と、最大領域枠601とを比較しながら、マージン入力部522に入力するマージン値を変更できる。
【0069】
制御部150Aは、ステップS16で第2の入力を受け付ける前に、マージン表示を開始してもよい。この場合、マージン表示の初期状態では、マージン値を初期値として描画領域枠602及び画像603が表示される。
【0070】
マージン表示を実行する場合に表示される最大領域枠601及び描画領域枠602の態様は、ユーザーが画像形成領域193と描画領域195を比較できればよく、適宜に変更可能である。描画領域枠602を含む第1投写画像PAは、第2の面積に対応する面積を示す第1投写画像の一例に対応し、最大領域枠601は領域表示画像の一例に対応し、描画領域枠602は第2の面積の画像の一例に対応する。最大領域枠601を含むスクリーンSCに投写することは、第1の面積に対応する面積を示す領域表示画像を投写面に投写することに相当する。第2の入力で指定されたマージンの大きさに基づいて第1投写画像PAをスクリーンSCに投写することは、第2の面積に対応する面積を示す第1投写画像を投写面に投写することに相当する。
【0071】
図9は、マージン表示の別の例を示す。図9の例では、最大領域枠601と描画領域枠602との間の領域が着色されている。この領域の表示色は画像603とは異なる色であることが好ましく、最大領域枠601と同じ色であってもよい。図9の例では、マージン値に対応する面積をユーザーが確認しやすいという利点がある。
また、最大領域枠601の内側を、蛍光色等の視認性の高い色で強調表示してもよいし、描画領域枠602を画像603と同じ色で表示してもよく、その他の各種の表示態様を採用できる。
【0072】
また、マージン表示の実行中に、マージン入力部522に入力されているマージン値を、メニュー画面500とは別の位置に、或いはメニュー画面500に重ねて拡大して、画像603の中に表示してもよい。
【0073】
図3に戻り、ユーザーが、マージン入力部522に入力したマージン値を決定する操作を行うと、制御部150Aはマージン値を決定する(ステップS18)。すなわち、マージン入力部522への入力に基づき描画領域195の面積の大きさを決定する。或いは、マージン入力部522への第2の入力は、液晶パネル115Aにおいて描画が行われない面積を示す入力といえる。制御部150Aは、第2プロジェクター100Bに対してマージン値を送信する(ステップS19)。ここで、第2プロジェクター100Bは、第1プロジェクター100Aが送信したマージン値に基づいて、第2プロジェクター100Bのマージン値を決定する。これにより、ユーザーは、プライマリー機である第1プロジェクター100Aにおいてマージン値を入力することによって、セカンダリー機である第2プロジェクター100Bにもマージン値を設定できる。また、タイリングを行う第1プロジェクター100Aと第2プロジェクター100Bの設定を整合させることができる。
【0074】
制御部150Aは、ステップS17において、第1投写画像PAをマージン表示させる間、或いは、第1投写画像PAのマージン表示が完了した後に、第2投写画像PBをマージン表示させてもよい。この場合、第2プロジェクター100Bが備える液晶パネルに、マージン値に従って描画領域195が設定され、液晶パネルの描画領域195及び画像形成領域193を示す態様で、第2投写画像PBが表示される。マージン表示の実行時に、第1投写画像PAと第2投写画像PBとが同時にスクリーンSCに表示されてもよいし、異なる表示タイミングで、第1投写画像PAと第2投写画像PBとが切り替えて表示されてもよい。
【0075】
続いて、制御部150Aは、メニュー画面500を、第2設定可能状態に更新する(ステップS20)。第2設定可能状態は、第1設定可能状態において指示できない表示とされた初期設定開始指示部524及びスケジュール入力部525を、指示可能にした状態である。ステップS18でマージン値が決定されたことにより、位置維持機能の初期設定が実行可能となるので、メニュー画面500を第2設定可能状態に移行させることが適切である。
【0076】
制御部150Aは、タイリング設定部523による指示に応じてタイリング設定を行う(ステップS21)。タイリング設定は、第1投写画像PAと第2投写画像PBとのタイリング表示に関する設定であり、例えば、重畳領域DPAの大きさ等の設定である。ステップS21では、第1カメラ200Aによって第1投写画像PA及び第2投写画像PBを撮影した撮影画像を利用して、自動的に設定を行ってもよい。
【0077】
制御部150Aは、初期設定開始指示部524による指示に従って、初期設定を実行する(ステップS22)。ステップS22の初期設定は、位置維持機能に関する設定である。初期設定の詳細については図4を参照して後述する。
【0078】
制御部150Aは、スケジュール入力部525への入力に基づきスケジュール設定を行う(ステップS23)。位置維持機能は、表示システム1の設置後に定期的に、或いは、決められた時間が経過する毎に実行することが好ましい。初期設定開始指示部524には、第1プロジェクター100Aが位置維持機能による調整を実行するタイミングを入力可能である。具体的には、調整を実行する日時、調整を実行する日または時間の間隔が挙げられる。ここで、時間とは、第1プロジェクター100Aの使用時間や第1投写画像PAを投写した時間の累積値であってもよい。
【0079】
また、位置維持入力部521に対する第1の入力が、位置維持機能を有効にする入力でない場合、すなわち位置維持機能を無効にすることを示す入力である場合(ステップS14/NO)、制御部150Aは、タイリング設定を実行する(ステップS24)。ステップS24では位置維持機能が無効であるので、制御部150Aは、マージン入力部522、初期設定開始指示部524、及びスケジュール入力部525を、例えば制限状態の表示態様で表示し、指示や入力を受け付けない状態とする。ステップS24で、制御部150Aは、第1投写画像PAと第2投写画像PBの位置の調整を行う。
【0080】
図4は、ステップS22の初期設定を詳細に示すフローチャートである。
制御部150Aは、第1カメラ200Aによる撮影を実行させ(ステップS31)、撮影画像を取得する。制御部150Aは、撮影画像から特徴点を検出する(ステップS32)。特徴点は、撮影画像における第1投写画像PAの位置の基準となる点である。制御部150Aは、撮影画像に対して、公知の画像処理手法により、特徴点抽出を行うことにより、撮影画像に含まれる特徴点を検出し、特徴点の撮影画像における座標を特定する。特徴点は、例えば、スクリーンSCに配置される実物体等を撮影した画像である。具体的には、スクリーンSC上、或いは、スクリーンSCの縁に、第1投写画像PAの位置の基準となるマーカーが配置された場合、撮影画像においてマーカーの画像が特徴点として検出される。マーカーは、円盤形状の物体、スクリーンSCの枠、スクリーンSCに貼付されたステッカー等である。ユーザーが初期設定を行う前に、スクリーンSCにマーカーを配置することが好ましい。撮影画像におけるマーカーの画像が所定以上のサイズである場合等、多数の特徴点が検出される場合には、制御部150Aは、公知の手法によって特徴点を絞り込んでもよい。
【0081】
制御部150Aは、撮影画像において特徴点があるか否かを判定する(ステップS33)。ステップS33で、制御部150Aは、初期設定を行うために必要な数の特徴点があるか否かを判定してもよい。特徴点があると判定した場合(ステップS33/YES)、制御部150Aは、ユーザーに対して特徴点の確認を要求する(ステップS34)。ここで、制御部150Aは、例えばスクリーンSCに位置設定画面530を表示することによって、ユーザーに、特徴点の位置の確認を要求する。
【0082】
図10は、表示システム1の初期設定を示す説明図であり、スクリーンSCに位置設定画面530が表示された状態を示す。位置設定画面530は、描画領域枠602とポインターMとを含む画像である。ポインターMは、制御部150Aが検出した特徴点の位置に合わせて配置された画像であり、図形やアイコンで構成される。位置設定画面530において、描画領域枠602の内側に、例えばメニュー画面500が表示されてもよい。
【0083】
ユーザーは、位置設定画面530のポインターMの位置が、ユーザーが意図したマーカーの位置と一致するか否かを確認する。ここで、ポインターMの位置がユーザーの意図と異なる場合、ユーザーは、第1プロジェクター100Aに初期設定のやり直しをさせればよい。
【0084】
特徴点の位置が確認された後、制御部150Aは、検出した特徴点の中から、第1投写画像PAの位置の決定に用いる特徴点を選択する(ステップS35)。具体的には、ステップS32において必要な数を上回る数の特徴点が検出された場合、制御部150Aは、自動的に必要数の特徴点を選択する。また、制御部150Aは、特徴点をユーザーに選択させてもよい。
【0085】
制御部150Aは、ステップS35で選択された特徴点の位置に合わせて第1投写画像PAの初期位置を決定する(ステップS36)。例えば、制御部150Aは、撮影画像における特徴点の座標を、液晶パネル115Aにおける座標に変換し、変換後の座標を描画領域195の頂点の座標とする。制御部150Aは、決定した初期位置に関する情報を、記憶部160Aに記憶させる。
【0086】
制御部150Aは、タイリング表示を行う全てのプロジェクター100で設定が完了したか否かを判定する(ステップS37)。例えば、図1に示した表示システム1において、制御部150Aは、第1プロジェクター100Aと第2プロジェクター100Bの両方で初期位置が決定されたか否かを判定する。全てのプロジェクター100で設定が完了した場合(ステップS37/YES)、制御部150Aは本処理を終了する。また、全てのプロジェクター100で設定が完了していない場合(ステップS37/NO)、制御部150Aは、設定が完了していないプロジェクター100にステップS31~S37を実行させる。
【0087】
また、ステップS33において特徴点がないと判定した場合(ステップS33/NO)、制御部150Aは、ユーザーに対して特徴点が不検出であったことを通知する(ステップS38)。ステップS38の通知は、例えば、第1プロジェクター100Aにより通知メッセージを表示することである。その後、制御部150Aは、タイリング表示を行う全てのプロジェクター100の初期位置の設定内容をクリアし(ステップS39)、ステップS31に戻る。
【0088】
ステップS38で通知を行った場合、ユーザーは、スクリーンSCにマーカーを再配置する等の操作を行う。この場合、マーカーの位置や数が変化するため、それ以前のマーカーを基準として決定された初期位置を使用しないことが好ましい。このため、制御部150Aは、ステップS39で設定をクリアし、設定内容とマーカーの位置との整合を維持する。
【0089】
図11は、プロジェクター100の動作の一例を示すフローチャートであり、位置維持機能によって投写画像Pの位置を調整する調整処理を示すフローチャートである。図11のフローチャートは、第1プロジェクター100A、及び、第2プロジェクター100Bのいずれも実行可能であり、以下では第1プロジェクター100Aが実行する場合を例に挙げて説明する。ステップS41~S46はプロセッサー170Aにより実行される。すなわち、図11に示す調整処理は、プロセッサー170Aの調整機能により実行される。
【0090】
制御部150Aは、第1カメラ200Aによる撮影を実行させ(ステップS41)、撮影画像を取得する。制御部150Aは、撮影画像から特徴点を検出する(ステップS42)。このときに検出される特徴点は、前述のマーカーの特徴点を含む。
制御部150Aは、撮影画像における特徴点の座標を、液晶パネル115Aにおける座標であるパネル座標に変換する(ステップS43)。
【0091】
制御部150Aは、変換後の特徴点の座標と、液晶パネル115Aにおける描画領域195の頂点の座標とを比較する(ステップS44)。ステップS44で、例えば、制御部150Aは、特徴点の座標と描画領域195の頂点の座標との差を算出する。
【0092】
制御部150Aは、液晶パネル115Aにおける描画領域195の位置を補正するための補正パラメーターを算出する(ステップS45)。ステップS45で、制御部150Aは、例えば、特徴点の座標と描画領域195の頂点の座標との差に基づいて、描画領域195の位置を特徴点の位置に合わせるための補正パラメーターを求める。補正パラメーターは、例えば、描画領域195の座標を、特徴点を基準とする座標に射影変換する射影変換パラメーターである。この補正パラメーターを用いることにより、描画領域195の頂点に限らず、描画領域195に含まれる複数の座標を、特徴点に合わせた座標に変換できる。制御部150Aは、補正パラメーターを用いて描画領域195の座標を変換することにより、液晶パネル115Aにおける描画領域195の位置を、特徴点を基準とする位置に補正する(ステップS46)。
【0093】
図12は、調整処理の説明図であり、液晶パネル115Aにおける描画領域195の位置を示す。図12(a)は、調整処理の前の液晶パネル115Aにおける描画領域195の位置等を模式的に示す。図12(b)は、調整処理の後の液晶パネル115Aにおける描画領域195の位置等を模式的に示す。
【0094】
図12(a)及び図12(b)に示す例では、有効領域191に配置された画像形成領域193が、幾何補正を行うことにより不均等な四角形となっている。描画領域195は、画像形成領域193と相似形である。図12(a)では描画領域195は画像形成領域193の中央に位置する。別の表現では、画像形成領域193の重心と描画領域195の重心とが一致するように、描画領域195が配置されている。画像形成領域193の面積に対する描画領域195の面積は、マージン値に従っている。
【0095】
図12(a)及び図12(b)には、液晶パネル115Aにおける特徴点の座標を符号SPで示す。図12(a)では、描画領域195の4つの頂点196A、196B、196C、196Dの座標と、4つの座標SPとが一致していない。これは、第1投写画像PAの位置が初期位置からずれたことを示している。
【0096】
図11に示した調整処理により、描画領域195の座標が、4つの座標SPに合わせた座標に変換される。これにより、図12(b)に示すように、頂点196A、196B、196C、196Dの座標が4つの座標SPに一致した状態となる。スクリーンSCにおいては、描画領域195に描画された画像が、図4の初期設定で決定された初期位置に表示される。この調整処理によれば、液晶パネル115Aにおける描画領域195を実質的に移動させることによって、第1投写画像PAの位置が初期位置に合わせて調整される。このため、第1投写画像PAが初期位置からずれるような要因が発生しても、スクリーンSCにおける第1投写画像PAの投写位置を維持できる。
【0097】
図12(a)及び図12(b)に示した例では、画像形成領域193が有効領域191と異なる形状となっているが、これは一例である。図12(a)及び図12(b)に示すように、画像形成領域193が有効領域191と一致しない場合には、マージン値は、描画領域195が有効領域191の面積未満の大きさになる値であればよい。この場合、画像形成領域193と有効領域191との間の領域を描画に利用することもできるので、位置維持機能によって画像を移動可能な範囲を広くすることができる。別の表現では、有効領域191において描画領域195となっていない領域を、位置維持機能によって画像を移動させる領域、すなわちマージンとして利用してもよい。また、例えば、画像形成領域193が有効領域191と一致する、すなわち、画像形成領域193が有効領域191の全体であるように、表示を行うことも勿論可能である。
【0098】
以上のように、本実施形態に係る表示システム1によれば、位置維持機能が有効に設定された場合は、画像形成領域193において、画像形成領域193の面積よりも小さい描画領域195を利用して画像が投写される。これにより、液晶パネル115Aにおいて描画領域195の座標を変換することにより、プロジェクター100の第1投写画像PA、第2投写画像PBの位置を、初期位置に維持することができる。また、位置維持機能を無効にする場合、液晶パネル115Aにおいて画像形成領域193の面積と同じ面積を有する描画領域195を利用して、画像を投写する。このため、液晶パネル115Aのより多くの画素を利用して、高品位の画像をスクリーンSCに投写できる。
【0099】
[4.他の実施形態]
上述した実施形態は、好適な実施の形態である。ただし、上述の実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形実施が可能である。
【0100】
第1実施形態では、表示システム1は、第1プロジェクター100Aと第2プロジェクター100Bを備え、第1投写画像PAと第2投写画像PBとを左右方向に並べてタイリング表示を行う例を示したが、本開示の実施形態はこれに限定されない。表示システム1は、複数のプロジェクター100の投写画像を上下方向に並べてタイリング表示を行ってもよい。さらに、3台以上のプロジェクター100により左右方向または上下方向にタイリング表示を行ってもよい。2台以上のプロジェクター100が、同じ画像を同じ位置に重ねて投写する、いわゆるスタッキング表示を行ってもよい。また、1台のプロジェクター100によりタイリング表示を行わない構成に本開示を適用してもよい。
【0101】
第1実施形態では、第1プロジェクター100Aがプライマリー機として機能し、第2プロジェクター100Bは、プライマリー機に従って動作するセカンダリー機である構成を説明した。これは一例であり、例えば、図3図4、及び図11の動作を、制御装置300が実行してもよい。この場合、制御装置300は、プロジェクター100によりメニュー画面500、位置設定画面530等を表示させる制御、プロジェクター100に対するユーザーの入力を受け付ける処理、プロジェクター100に対してマージン値や補正パラメーターを送信する処理等を実行する。制御装置300は、制御装置300が有するディスプレイにおいてマージン表示に相当する表示を行ってもよい。制御装置300が、プロジェクター100にマージン表示を実行させてもよい。この場合、制御装置300は情報処理装置の一例に対応し、制御装置300が図3図4、及び図11の動作を実行するためのプログラムは、本開示のプログラムの一例に対応する。
【0102】
本実施形態では、第1プロジェクター100Aが光変調素子として透過型の液晶パネル115Aを備え、第2プロジェクター100Bも同様に構成された例を説明したが、本開示の実施形態はこれに限定されない。光変調素子は反射型の液晶パネルであってもよいし、デジタルマイクロミラーデバイス(Digital Micromirror Device)であってもよい。また、光変調素子の数は3枚に限らず、1枚以上であればよい。
【0103】
また、図2の各々に示した各機能部は機能的構成を示すものであって、具体的な実装形態は特に制限されない。つまり、必ずしも各機能部に個別に対応するハードウェアが実装される必要はなく、一つのプロセッサーがプログラムを実行することで複数の機能部の機能を実現する構成とすることも勿論可能である。また、上記実施形態においてソフトウェアで実現される機能の一部をハードウェアで実現してもよく、或いは、ハードウェアで実現される機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。その他、プロジェクター100及びカメラ200の各々の他の各部の具体的な細部構成についても、趣旨を逸脱しない範囲で任意に変更可能である。
【0104】
[5.本開示のまとめ]
以下、本開示のまとめを付記する。
(付記1)
第1プロジェクターが投写する第1投写画像の投写面における位置を初期位置に合わせる調整機能を、無効にするか有効にするかを示す第1の入力を受け付けることと、前記調整機能を無効にすることを示す前記第1の入力を受け付けた場合に、前記第1プロジェクターが有する表示パネルにおいて画像を描画可能な面積である描画面積を、第1の面積に決定することと、前記調整機能を有効にすることを示す前記第1の入力を受け付けた場合に、前記描画面積を前記第1の面積よりも小さい第2の面積に決定することと、を含む、情報処理方法。
【0105】
これによれば、調整機能を有効にすることを示す第1の入力を受け付けた場合には、描画面積を第2の面積に決定することで、調整機能を実行することができる。調整機能を無効にすることを示す第1の入力を受け付けた場合には、描画面積を第2の面積よりも大きくすることで高品位の投写画像を投写することができる。従って、投写画像の調整機能を有するプロジェクターにおいて、より高品位の投写画像を投写することが可能となる。
【0106】
(付記2)
前記調整機能を有効にすることを示す前記第1の入力を受け付けた場合に、前記第2の面積の大きさを示す第2の入力を受け付けることをさらに含み、前記描画面積を前記第2の面積に決定することは、前記第2の入力に基づいて前記第2の面積の大きさを決定することを含む、付記1に記載の情報処理方法。
【0107】
これによれば、調整機能を有効にする場合に表示パネルにおいて描画する面積を、ユーザーの入力に基づき決定する。従って、調整機能を利用する場合の投写画像の品位と調整機能の能力とのバランスをユーザーの希望に合わせて決定できる。
【0108】
(付記3)
前記第2の入力は、前記表示パネルにおいて描画が行われない面積を示す入力である、付記2に記載の情報処理方法。
これにより、調整機能を有効にする場合に表示パネルにおいて描画しない面積を、ユーザーが容易に決定できる。
【0109】
(付記4)
前記第2の面積が決定された場合に、前記第2の面積の画像を前記表示パネルに描画することによって、前記第2の面積に対応する面積を示す前記第1投写画像を前記投写面に投写する、付記1から付記3のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【0110】
これによれば、調整機能を利用可能な状態で投写面に第1投写画像を投写できる。
【0111】
(付記5)
前記第2の面積が決定された場合に、前記第1の面積の画像を前記表示パネルに描画することによって、前記第1の面積に対応する面積を示す領域表示画像を前記投写面に投写することをさらに含む、付記1から付記4のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【0112】
これによれば、調整機能を有効にした場合に、調整機能のために描画面積を小さくした割合をユーザーに示すことができる。
【0113】
(付記6)
前記初期位置を決定するための第3の入力を受け付けるユーザーインターフェースを表示することと、前記第2の面積が決定されるまで、前記ユーザーインターフェースを無効にすることと、をさらに含む、付記1から付記5のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【0114】
これによれば、ユーザーが適切な順序で設定を行うことができ、利便性の向上を図ることができる。
【0115】
(付記7)
前記第1プロジェクターに接続された情報処理装置から前記第1プロジェクターに、前記第2の面積を示す情報を送信することをさらに含む、付記1から付記6のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【0116】
これによれば、第1プロジェクターが投写する第1投写画像に関する調整機能について、第1プロジェクターとは別の装置により設定を行うことができる。
【0117】
(付記8)
前記投写面に第2投写画像を投写する第2プロジェクターに、前記第1プロジェクターから前記第2の面積を示す情報を送信することをさらに含む、付記1から付記6のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【0118】
これによれば、複数のプロジェクターにおける設定を整合させることができる。
【0119】
(付記9)
少なくとも1つのプロセッサーを含み、第1プロジェクターが投写する第1投写画像の投写面における位置を初期位置に合わせる調整機能を、無効にするか有効にするかを示す第1の入力を受け付けることと、前記調整機能を無効にすることを示す前記第1の入力を受け付けた場合に、前記第1プロジェクターが有する表示パネルにおいて、前記第1プロジェクターが画像を描画可能な面積である描画面積を、第1の面積に決定することと、前記調整機能を有効にすることを示す前記第1の入力を受け付けた場合に、前記描画面積を前記第1の面積よりも小さい第2の面積に決定することと、を実行する、情報処理装置。
【0120】
これによれば、調整機能を有効にして投写画像の補正を有効にすることと、調整機能を無効にして描画面積を大きくして高品位の投写画像を投写することとを、ユーザーのニーズに合わせて選択できる。従って、投写画像の調整機能を有するプロジェクターにおいて、より高品位の投写画像を投写することが可能となる。
【0121】
(付記10)
コンピューターにより実行可能なプログラムであって、前記コンピューターに、第1プロジェクターが投写する第1投写画像の投写面における位置を初期位置に合わせる調整機能を、無効にするか有効にするかを示す第1の入力を受け付けることと、前記調整機能を無効にすることを示す前記第1の入力を受け付けた場合に、前記第1プロジェクターが有する表示パネルにおいて、前記第1プロジェクターが画像を描画可能な面積である描画面積を、第1の面積に決定することと、前記調整機能を有効にすることを示す前記第1の入力を受け付けた場合に、前記描画面積を前記第1の面積よりも小さい第2の面積に決定することと、を実行させる、プログラム。
【0122】
これによれば、調整機能を有効にして投写画像の補正を有効にすることと、調整機能を無効にして描画面積を大きくして高品位の投写画像を投写することとを、ユーザーのニーズに合わせて選択できる。従って、投写画像の調整機能を有するプロジェクターにおいて、より高品位の投写画像を投写することが可能となる。
【符号の説明】
【0123】
1…表示システム、10、10A、10B…プロジェクター本体、100…プロジェクター、100A…第1プロジェクター、100B…第2プロジェクター、105A、105B…装着部、110A、110B…投写部、111A…光源、112A…光変調装置、115A…液晶パネル(表示パネル)、120A…駆動部、121A…光源駆動部、122A…光変調装置駆動部、135A…リモコン受光部、140A…画像処理部、141A…画像I/F、145A…フレームメモリー、150A…制御部(情報処理装置)、160A…記憶部、165A…制御プログラム(プログラム)、170A…プロセッサー、190…描画可能領域、191…有効領域、193…画像形成領域、195…描画領域、200…カメラ、200A…第1カメラ、200B…第2カメラ、210A…撮像部、250…リモコン、300…制御装置、400、400A、400B…光学系ユニット、500…メニュー画面、510…機能選択部、511…画質メニュー選択部、512…映像メニュー選択部、513…設定メニュー選択部、514…ネットワークメニュー選択部、515…初期化メニュー選択部、516…全体設定メニュー選択部、520…入力部、521…位置維持入力部、522…マージン入力部、523…タイリング設定部、524…初期設定開始指示部、525…スケジュール入力部、530…位置設定画面、601…最大領域枠(領域表示画像)、602…描画領域枠、603…画像、911A、911B…取付部、PA…第1投写画像、PB…第2投写画像、PL、PLA、PLB…画像光、SC…スクリーン(投写面)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-02-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
プロジェクター本体10Bは、第1プロジェクター100Aから入力される画像信号に含まれる画像データを取り出し、取り出した画像データに対応する画像光PLBを生成する。光学系ユニット400Bは、プロジェクター本体10Bが生成した画像光PLBをスクリーンSCに投写する。第カメラ200は、スクリーンSCに表示された第投写画像Pを含むスクリーンSCの領域を撮像し、撮像画像を生成する。生成された撮像画像は、例えば、第2投写画像PBの色調整に用いられる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
光変調装置112Aは、透過する光を変調して画像光PLAを生成する液晶パネル115Aを備える。液晶パネル115Aは、赤色光に対応した液晶パネルと、緑色光に対応した液晶パネルと、青色光に対応した液晶パネルとを含む。光源111が発する光は赤、緑及び青の3色の色光に分離され、それぞれ対応する液晶パネル115Aに入射される。液晶パネル115の各々を透過して変調された画像光PLAは、クロスダイクロイックプリズム等の合成光学系によって合成され、光学系ユニット400Aに射出される。液晶パネル115Aは、本開示の表示パネルの一例に対応する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
第1カメラ200Aは、撮像部210Aを備え、光学系ユニット400Aの取付部911Aに取りけられる。撮像部210Aは、レンズと、撮像素子とを備える。レンズは、撮像範囲からの入射光を撮像素子に結像させる。撮像素子は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等からなり、画像信号を生成する。
第1カメラ200Aは、プロジェクター本体10Aの制御に従って、スクリーンSCに表示された第1投写画像PAを撮像部210Aによって撮像し、撮像データをプロジェクター本体10Aの画像I/F11Aに出力する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0070】
マージン表示を実行する場合に表示される最大領域枠601及び描画領域枠602の態様は、ユーザーが画像形成領域193と描画領域195を比較できればよく、適宜に変更可能である。描画領域枠602を含む第1投写画像PAは、第2の面積に対応する面積を示す第1投写画像の一例に対応し、最大領域枠601は領域表示画像の一例に対応し、描画領域枠602は第2の面積の画像の一例に対応する。最大領域枠601を含む第1投写画像PAをスクリーンSCに投写することは、第1の面積に対応する面積を示す領域表示画像を投写面に投写することに相当する。第2の入力で指定されたマージンの大きさに基づいて第1投写画像PAをスクリーンSCに投写することは、第2の面積に対応する面積を示す第1投写画像を投写面に投写することに相当する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0089
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0089】
図11は、プロジェクター100の動作の一例を示すフローチャートであり、位置維持機能によって投写画像Pの位置を調整する調整処理を示すフローチャートである。図11のフローチャートに示す調整処理は、第1プロジェクター100A、及び、第2プロジェクター100Bのいずれも実行可能であり、以下では第1プロジェクター100Aが調整処理を実行する場合を例に挙げて説明する。ステップS41~S46はプロセッサー170Aにより実行される。すなわち、図11に示す調整処理は、プロセッサー170Aの調整機能により実行される。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0095
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0095】
図12(a)及び図12(b)には、液晶パネル115Aにおける特徴点の座標を符号SPで示す。図12(a)では、描画領域195の4つの頂点196A、196B、196C、196Dの座標と、4つの特徴点の座標SPとが一致していない。これは、第1投写画像PAの位置が初期位置からずれたことを示している。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0103
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0103】
また、図2に示した各機能部は機能的構成を示すものであって、具体的な実装形態は特に制限されない。つまり、必ずしも各機能部に個別に対応するハードウェアが実装される必要はなく、一つのプロセッサーがプログラムを実行することで複数の機能部の機能を実現する構成とすることも勿論可能である。また、上記実施形態においてソフトウェアで実現される機能の一部をハードウェアで実現してもよく、或いは、ハードウェアで実現される機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。その他、プロジェクター100及びカメラ200の各々の他の各部の具体的な細部構成についても、趣旨を逸脱しない範囲で任意に変更可能である。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0123
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0123】
1…表示システム、10、10A、10B…プロジェクター本体、100…プロジェクター、100A…第1プロジェクター、100B…第2プロジェクター、105A、105B…装着部、110A、110B…投写部、111A…光源、112A…光変調装置、115A…液晶パネル(表示パネル)、120A…駆動部、121A…光源駆動部、122A…光変調装置駆動部、135A…リモコン受光部、140A…画像処理部、11A…画像I/F、145A…フレームメモリー、150A…制御部(情報処理装置)、160A…記憶部、165A…制御プログラム(プログラム)、170A…プロセッサー、190…描画可能領域、191…有効領域、193…画像形成領域、195…描画領域、200…カメラ、200A…第1カメラ、200B…第2カメラ、210A…撮像部、250…リモコン、300…制御装置、400、400A、400B…光学系ユニット、500…メニュー画面、510…機能選択部、511…画質メニュー選択部、512…映像メニュー選択部、513…設定メニュー選択部、514…ネットワークメニュー選択部、515…初期化メニュー選択部、516…全体設定メニュー選択部、520…入力部、521…位置維持入力部、522…マージン入力部、523…タイリング設定部、524…初期設定開始指示部、525…スケジュール入力部、530…位置設定画面、601…最大領域枠(領域表示画像)、602…描画領域枠、603…画像、911A、911B…取付部、PA…第1投写画像、PB…第2投写画像、PL、PLA、PLB…画像光、SC…スクリーン(投写面)。
【手続補正9】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
【手続補正10】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2