IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大和化成工業株式会社の特許一覧 ▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧 ▶ 富士重工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電子制御部品用ブラケット 図1
  • 特開-電子制御部品用ブラケット 図2
  • 特開-電子制御部品用ブラケット 図3
  • 特開-電子制御部品用ブラケット 図4
  • 特開-電子制御部品用ブラケット 図5
  • 特開-電子制御部品用ブラケット 図6
  • 特開-電子制御部品用ブラケット 図7
  • 特開-電子制御部品用ブラケット 図8
  • 特開-電子制御部品用ブラケット 図9
  • 特開-電子制御部品用ブラケット 図10
  • 特開-電子制御部品用ブラケット 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101096
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】電子制御部品用ブラケット
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/12 20060101AFI20240722BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
H05K7/12 C
H05K7/12 J
H05K5/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004823
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】308011351
【氏名又は名称】大和化成工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100131048
【弁理士】
【氏名又は名称】張川 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100174377
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 健吾
(74)【代理人】
【識別番号】100215038
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 友子
(72)【発明者】
【氏名】加藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】平川 勝也
(72)【発明者】
【氏名】小城 康人
【テーマコード(参考)】
4E353
4E360
【Fターム(参考)】
4E353AA21
4E353BB13
4E353CC01
4E353CC18
4E353CC25
4E353CC32
4E353DD05
4E353DD11
4E353DR13
4E353DR29
4E353DR36
4E353GG24
4E360AB09
4E360AC03
4E360EA03
4E360EA21
4E360EB02
4E360EC04
4E360EC05
4E360ED12
4E360ED13
4E360ED23
4E360EE02
4E360GA07
4E360GA14
4E360GA28
(57)【要約】
【課題】ECU等の電子制御部品を組付けたとき、その電子制御部品に対し予期しない外力が加わっても外れにくい電子制御部品用ブラケットを提供する。
【解決手段】 電子制御部品用ブラケット1に対し電子制御部品のケース10が組み付けられたとき、弾性延出部12の上端12Tが空隙S3に収容される形で抜け止め部31の底壁部2側に入り込む。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子制御部を内包するとともに、矩形状の上面及び下面とそれら上下面間の外周側を取り囲む四側面とを有し、それら四側面には、外向きに突出した先で外周方向に延び出し、先端が自由端となる弾性延出部が上下に幅を有して形成される組付け用側面が含まれる樹脂製のケースに対し組付けられる電子制御部品用ブラケットであって、
前記ケースの下面に対面して配置される底壁部と、前記底壁部から立ち上がり、対応する前記組付け用側面に対面して配置される側壁部と、を一体に有した樹脂射出成形体として形成され、
前記側壁部は、立ち上がり方向の先端側を開放して前記底壁部側に延びる2つの切り欠きに挟まれた、前記弾性延出部よりも低剛性の弾性壁部と、前記弾性壁部の前記立ち上がり方向の先端側から内向きに突出する抜け止め部と、を有し、
前記抜け止め部には、その突出先端側から前記底壁部側に突出し、前記弾性壁部との間に空隙を形成する下方突出部が形成され、
前記ケースを組付けるために前記組付け用側面が対応する前記側壁部に対面するよう前記ケースをその下面を先頭に前記底壁部に接近させるとき、前記弾性延出部が前記抜け止め部に対し乗り上げて前記弾性壁部に弾性変形を生じさせるとともに、前記弾性延出部が前記抜け止め部を乗り越えた後に当該弾性変形が解除され、その解除に伴い前記弾性延出部の上端が前記空隙に収容される形で前記抜け止め部の前記底壁部側に入り込むことにより、当該ケースが抜け止めされた組付け状態となることを特徴とする電子制御部品用ブラケット。
【請求項2】
前記組付け用側面として前記ケースの左側面及び右側面を有し、
前記側壁部は、前記底壁部の所定の幅方向における両側から立ち上がる壁部であり、一方が前記左側面に対面して配置される左側壁部、他方が前記右側面に対面して配置される右側面部である請求項1に記載の電子制御部品用ブラケット。
【請求項3】
前記底壁部は、前記組付け状態において前記ケースの下面を押し上げて、前記弾性延出部の上端を前記抜け止め部の下面に押し付けた係止状態に保持する押上弾性片を複数有し、
前記組付け状態においては、前記押上弾性片に押し上げ保持された前記ケースの下面が、前記底壁部の底面に対し、前記下方突出部の下方への突出長さよりも上方に浮いた位置をとる請求項1に記載の電子制御部品用ブラケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はECU等の電子制御部品を車体側に組付けるための電子制御部品用ブラケットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車両のECU(Electronic Control Unit)は、筐体(ECUケース)内に回路基板(電子制御部)を内包しており、ブラケットによって車体側のパネル部材に取り付けられる。特許文献1には、そうしたブラケットにおいて、車両の走行振動によってECUに加わる振動を抑制する技術について記載がある。一方で、こうしたブラケットにおいては、ECU等の電子制御部品を組付けた場合に、容易に外れないよう強固に組付けられることも望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-102480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、ECU等の電子制御部品を組付けたとき、その電子制御部品に対し予期しない外力が加わっても外れにくい電子制御部品用ブラケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0005】
上記課題を解決するための電子制御部品用ブラケットは、
電子制御部を内包するとともに、矩形状の上面及び下面とそれら上下面間の外周側を取り囲む四側面とを有し、それら四側面には、外向きに突出した先で外周方向に延び出し、先端が自由端となる弾性延出部が上下に幅を有して形成される組付け用側面が含まれる樹脂製のケースに対し組付けられる電子制御部品用ブラケットであって、
前記ケースの下面に対面して配置される底壁部と、前記底壁部から立ち上がり、対応する前記組付け用側面に対面して配置される側壁部と、を一体に有した樹脂射出成形体として形成され、
前記側壁部は、立ち上がり方向の先端側(上方)を開放して前記底壁部側(下方)に延びる2つの切り欠きに挟まれた、前記弾性延出部よりも低剛性の弾性壁部と、前記弾性壁部の前記立ち上がり方向の先端側(上側)から内向き(ケースの配置側)に突出する抜け止め部と、を有し、
前記抜け止め部には、その突出先端側から前記底壁部側(下方)に突出し、前記弾性壁部との間に空隙を形成する下方突出部が形成され、
前記ケースを組付けるために前記組付け用側面が対応する前記側壁部に対面するよう前記ケースをその下面を先頭に前記底壁部に接近させるとき、前記弾性延出部が前記抜け止め部に対し乗り上げて前記弾性壁部に弾性変形を生じさせるとともに、前記弾性延出部が前記抜け止め部を乗り越えた後に当該弾性変形が解除され、その解除に伴い前記弾性延出部の上端が前記空隙に収容される形で前記抜け止め部の前記底壁部側(下側)に入り込むことにより、当該ケースが抜け止めされた組付け状態となることを特徴とする。
【0006】
上記本発明において、電子制御部品用ブラケット(以下、ブラケットともいう)に対し電子制御部を内包する電子部品のケースを組付けるときには、低剛性の弾性壁部の上側が外向きに押し出される弾性変形を生じてケースの進入を許容することになる。組付けられたときには、弾性延出部の上端が抜け止め部の下側に入り込み、これによりケースが抜け止めされる。この組付け状態において、ケースに対し上方に向けた外力が加わると、弾性延出部の上端が弾性壁部の内側の位置で抜け止め部を押し上げる形となり、その結果、弾性壁部には、その上側に対し外向きに押し出す力が作用して、組付け時の弾性変形と同様の弾性変形を生じる可能性がある。ところが、上記本発明のブラケットによれば、この組付け状態において、弾性延出部の上端が、下方突出部と、その下方突出部が形成される弾性壁部の内壁面との間に挟まれる(前記空隙に収容される)。このため、弾性壁部の上側に生じる外向きの弾性変形は、弾性延出部によって妨げられる。また、弾性延出部は弾性壁部よりも高剛性であるため、その変形抑制効果は十分に発揮される。
【0007】
また、上記本発明のブラケットによれば、弾性延出部は、組付け用側面上から外向きに突出する基端部と、その先で向きを変えて外周方向に延び出す中間延出部と、その先で自由端となる先端部と、を有する。この場合、弾性延出部の上端が、下方突出部と、弾性壁部の内壁面との間に挟まれたとき(前記空隙に収容されたとき)、外周方向において下方突出部と基端部(の上端)とが対向する位置を取る。このため、ブラケットに対するケースの上記外周方向への移動を、下方突出部と基端部(の上端)との接触により規制することができる。
【0008】
前記組付け用側面として前記ケースの左側面及び右側面を有し、前記側壁部は、前記底壁部の所定の幅方向における両側から立ち上がる壁部であり、一方が前記左側面に対面して配置される左側壁部、他方が前記右側面に対面して配置される右側面部とすることができる。この構成によれば、左側壁部及び右側壁部にそれぞれ下方突出部を有した抜け止め部が形成され、それぞれの空隙に弾性延出部を収容できるから、左側壁部及び右側壁部の双方で、ケースの組付け状態における左右外向きに拡がる弾性変形を抑制でき、ケースの抜け防止を図ることができる。
【0009】
前記底壁部は、前記組付け状態において前記ケースの下面を押し上げて、前記弾性延出部の上端を前記抜け止め部の下面に押し付けた係止状態に保持する押上弾性片を複数有し、前記組付け状態においては、前記押上弾性片に押し上げ保持された前記ケースの下面が、前記底壁部の底面に対し、前記下方突出部の下方への突出長さよりも上方に浮いた位置をとるようにできる。この構成によれば、ブラケットに組付けられたケースの下面をブラケットの底壁部の底面に近接させるようにすることで、弾性延出部の上端を、下方突出部と弾性壁部の内壁面との間の空隙から下方に離脱させることができる。この状態とすることで、弾性壁部には外向きの弾性変形が許容される状態となり、外向きに弾性変形させることでケースを抜き取ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の電子制御部品用ブラケットに対し電子制御部品のケースが組付けられた状態を示す斜視図。
図2図1の電子制御部品用ブラケットを車体側に組付けた状態を平面視にて示した断面図。
図3図1の分解斜視図。
図4図1のケースの平面図。
図5図1の電子制御部品用ブラケットの側壁部を内側から見た図。
図6図3のVI部拡大図。
図7図1を抜け止め部の位置で上下に切断した断面図。
図8図1を下方突出部の位置で切断した部分拡大断面図。
図9図7のIX部分拡大図を用いて、図1の電子制御部品用ブラケットへの電子制御部品のケースの組付け方法を説明する説明図。
図10図7のIX部分拡大図を用いて、図1の電子制御部品用ブラケットに組付けられた電子制御部品のケースの取り外し方法を説明する説明図。
図11図10に続く説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例を、図面を参照して説明する。
【0012】
本実施例の電子制御部品用ブラケット1は、電子制御部品100(ECU)を車体側に取り付けるための部品であり、図1に示すように、電子制御部品100(ECU)の樹脂製のケース10に対し組付けられる。
【0013】
なお、以下で用いる上下方向Z10、左右方向Y10、前後方向X10は、電子制御部品100及びケース10に関して互いに直交する方向として定められている。これらの方向はケース10の三次元形状を説明するために便宜的に設定した軸方向であり、使用時等において実際の上下方向(重力方向)、左右方向、前後方向と必ずしも一致している必要はない。
【0014】
電子制御部品100は、電子制御部(図示なし)をケース10が内包する形で構成される。ケース10は、図3及び図4に示すように、矩形状(ここでは正方形状)の上面10a及び下面10bと、それら上下面10a、10b間の外周側を取り囲む外周側面10c、10d、10e、10fと、を有する。ここでの外周側面10c、10d、10e、10fは、上面10a及び下面10bの四辺に対応した上下方向Z10に立ち上がる四側面10c、10d、10e、10fであり、ケース10は直方体状をなす。各側面10c、10d、10e、10fには、外向きに突出した先で外周方向Rに延び出し、先端が自由端となる弾性延出部12が上下方向Z10に幅を有して形成される組付け用側面10c、10d、10eが含まれる。
【0015】
なお、本発明における組付け用側面10c、10d、10eは、少なくとも1以上あればよい。
【0016】
本実施例における組付け用側面10c、10d、10eは、四側面10c、10d、10e、10fのうち、左側面10c、右側面10d、後方側面(背面)10eの3側面である。残りの前方側面10f(正面)には所定形状の開口が形成されており、その開口からは、内包する電子制御部品(ECU)の接続部11(コネクタ)が露出する。
【0017】
弾性延出部12は、図4に示すように、組付け用側面10c、10d、10eから外向きに突出する基端部12C(固定端)と、基端部12C(固定端)の突出先端から組付け用側面10c、10d、10eと平行に延出する中間延出部12Bと、中間延出部12Bの延出先端からその延出方向に向かって延びる先端部12A(自由端)と、を有する。ここでの先端部12Aは、組付け用側面10c、10d、10eに近づくよう傾斜して延びる傾斜片をなし、延出方向の先端ほど厚みの薄い(薄肉)な先細り形状をなす。
【0018】
組付け用側面10c、10d、10eとそれらに形成される弾性延出部12の先端部12Aとは、それら弾性延出部12の自然状態において近接状態(非接触状態)にある。それら弾性延出部12は、基端部12C側を支点とし、それぞれの先端側(先端部12A側)を対応する組付け用側面10c、10d、10eに対し接近離間させる方向に揺動させる弾性変形が可能である。
【0019】
また、ここでの各弾性延出部12は、組付け用側面10c、10d、10eにおいて外周方向Rに並ぶ形で対をなして形成され、対をなすそれぞれが互いに接近する方向側(互いに離間する方向側でもよい)に延びた先にそれぞれの先端部12A(自由端)を有する。
【0020】
電子制御部品用ブラケット1は、図1図3に示すように、ケース10の下面10bに対面して配置される底壁部2(図3参照)と、底壁部2から立ち上がり、対応する組付け用側面10c、10dに対面して配置される側壁部3C、3Dと、を一体に有した樹脂射出成形体として形成される。ここでの側壁部3C、3Dは、底壁部2(底面2b)の所定の幅方向Y1(ブラケット左右幅方向)における両側から立ち上がる壁部(立ち上がり方向Z1)であり、一方がケース10の左側面10cに対面して配置される左側壁部3C、他方がケース10の右側面10dに対面して配置される右側壁部3Dである。
【0021】
また、電子制御部品用ブラケット1は、電子制御部品100を車体側に組付けるための車体側組付け部として、係合部5、6(図2参照)を有する。
【0022】
係合部5、6のうちの第一係合部5は、図2に示すように、ここでは車体側のパネル部材200の第一固定孔201に挿入され、挿入された先で(奥側から)当該固定孔201の周辺部に対し係止する形で係合固定される挿通係合部である。ここでの第一係合部5は、右側壁部3Dから外向きに突出形成された係合支持部5Cと、その先端側で外向き方向に直交する方向側に突出形成された支柱部5Bと、支柱部5Bの外向き方向側において支柱部5Bの先端側から基端側に向けて延び出す弾性係止片5Aと、を有する。第一係合部5は、支柱部5B及び弾性係止片5Aが第一固定孔201に挿入され、その際に支柱部5B側に弾性変形した弾性係止片5Aが第一固定孔201を通過後に弾性復帰することにより第一固定孔201の周辺部に対し係止し、抜け止め状態となることで係合固定(挿入固定)される。
【0023】
係合部5、6のうちの第二係合部6は、図2に示すように、ここでは左側壁部3Cから外向きに延び出し、その先がフック状部6Aを有する。第二係合部6は、先端側(フック状部6A側)が外向き方向に直交する方向に弾性変形可能な弾性アームである。ここでの第二係合部6は、車体側のパネル部材200の第二固定孔202に対し、第一係合部5の第一固定孔201への挿入方向と同方向に向けて挿入されると、フック状部6Aがパネル部材200の裏側に回り込み、第二固定孔202の周辺部に対し係止(接触)する回り込み係止部である。
【0024】
第一及び第二係合部5、6をパネル部材200に取り付ける際には、まずは第二係合部6を、パネル部材200の第二固定孔202に挿通する。その上で、第一係合部5をパネル部材200の第一固定孔201に挿通する。その結果、第二係合部6のフック状部6Aの先端がパネル部材200を挿入方向の奥側から手前側に押し付けつつ、第一係合部5が第一固定孔201に係合固定(挿入固定)された状態となる。この状態が、電子制御部品用ブラケット1がパネル部材200に取り付けられた状態である。ここでは、電子制御部品用ブラケット1がパネル部材200に取り付けられた状態において、電子制御部品用ブラケット1に組付けられている電子制御部品100(樹脂製のケース10)は、パネル部材200の貫通孔、凹部、切り欠き等の開口(符号203)に挿入された状態で配置される。
【0025】
なお、係合部5、6は、本実施例のものに限られるものではなく、別の形状、別の係合方法で車体側に組付けられるものでもよい。また、その際の組付け対象はパネル部材に限らずともよい。
【0026】
側壁部3C、3Dは、図5に示すように、立ち上がり方向Z1の先端側(上方)を開放して底壁部2側(下方)に延びる2つの切り欠きV3に挟まれた、弾性延出部12よりも低剛性の弾性壁部30と、弾性壁部30の方向Z10先端側(上側)から内向き(ケース10の配置側)に突出する抜け止め部31と、を有する。ここでは主に弾性壁部30の厚みや切り欠きV3の存在によって弾性壁部30が弾性延出部12よりも撓み易くなっている。ケース10と電子制御部品用ブラケット1を形成する樹脂材料の違い等によって弾性壁部30が弾性延出部12よりも撓み易くなっていてもよい。抜け止め部31には、その突出先端側から底壁部2側(下方)に突出し、弾性壁部30との間に空隙S3(図9参照)を形成する下方突出部32(突起部)が形成される。ここでの弾性壁部30は、側壁部3C、3Dの幅方向X1(ブラケット前後幅方向)に並んで2つ形成される。2つ並んだ弾性壁部30、30の間には、立ち上がり方向Z1に延びる補強リブ35L、35Lを有した中央壁部35が形成される。
【0027】
なお、図5は、側壁部3Dを示しているが、弾性壁部30、抜け止め部31、中央壁部35については側壁部3Cにおいても同様に形成される。
【0028】
電子制御部品用ブラケット1に対するケース10の組付けについて説明する。なお、図8及び図9は側壁部3D側を示しているが、逆側の側壁部3Cについても同様である。
【0029】
電子制御部品用ブラケット1に対しケース10を組付ける際には、まずは図8に示すように、ケース10の組付け用側面10c、10dが側壁部3C、3Dに対面するようケース10を、下面10bを先頭に底壁部2に接近させていく。このとき、弾性延出部12が抜け止め部31に対し乗り上げて弾性壁部30の先端側に外向きの弾性変形(撓み)を生じさせる。この弾性変形は、弾性延出部12が抜け止め部31を乗り越えた後に解除(弾性延出部12が自然状態まで復帰する必要はない)され、その解除に伴い弾性延出部12の上端12Tが空隙S3(図9参照)に収容される形で抜け止め部31の底壁部2側(下側)に入り込む(図7参照)。これにより、電子制御部品用ブラケット1に対しケース10(電子制御部品)が抜け止めされた組付け状態となる。
【0030】
ここでの底壁部2は、図3及び図7に示すように、押上弾性片20を複数有する。それら押上弾性片20は、上記の組付け状態においてケース10の下面10bを押し上げて、弾性延出部12の上端を抜け止め部31の裏面31b(抜け止め部31の下面)に押し付けた係止状態に保持する(図7参照)。ここで押上弾性片20は、底壁部2の底面2b上で対称性を有するよう4つ設けられる。
【0031】
上記組付け状態においては、図7に示すように、それら押上弾性片20に押し上げ保持されたケース10の下面10bが、底壁部2の底面2bに対し、下方突出部32の下方への突出長さd(図6参照)よりも上方に浮いた位置をとる。即ち、ケース10の下面10bは、底壁部2の底面2bから高さdの位置よりもさらに上に位置する。
【0032】
また、底壁部2は、図3に示すように、側壁部3C、3Dの立ち上がり方向Z1に貫通する複数の貫通孔2hを有し、各押上弾性片20は、対応する貫通孔2hの周辺部を基端側として貫通孔2h上を斜め上方へ片持ち状態で延び出し、先端側が自由端となって上下方向に弾性変形可能に形成される。上記組付け状態(図7参照)においては、各押上弾性片20が下方に撓んでおり、ケース10(電子制御部品)を常時上方に押し上げる状態に保持される。各押上弾性片20は、下方に撓んだときに底壁部2の底面2bと干渉せず、貫通孔2h内に入り込む。なお、図7に示す押上弾性片20の破線は、自然状態(非弾性変形状態)の押上弾性片20を示している。
【0033】
また、ここでの側壁部3C、3Dは、底壁部2の左右両側から立ち上がり、互いに対面するように形成される左側壁部3C及び右側壁部3Dである。それら左右の側壁部3C、3Dには、弾性壁部30と抜け止め部31とが形成され、抜け止め部31には、立ち上がり方向Z1の先端に、内側(ケース10の配置側)に向かって底壁部2側(下方)へ下るガイド斜面3a(図6参照)が形成される。
【0034】
電子制御部品用ブラケット1にケース10(電子制御部品)を組付ける際、ケース10の各弾性延出部12は、図9に示すように、対応する弾性壁部30に形成された抜け止め部31のガイド斜面3aと当接する。そして、このガイド斜面3aを底壁部2側(下方)に押し付けることで側壁部3C、3Dの各弾性壁部30の上端側を外向き(図9の矢印Q1方向)に押し広げる弾性変形を生じさせ、それら側壁部3C、3Dの対向間を押し広げ、奥(下方)へと進入する。
【0035】
ケース10が奥(下方)へと進入し、各弾性延出部12が抜け止め部31を乗り越える(ガイド斜面3aを通過完了する)と、側壁部3C、3Dの各弾性壁部30は弾性復帰する。この弾性復帰に伴いケース10の各弾性延出部12は、図7に示すように、対応する弾性壁部30に形成された抜け止め部31の下側に入り込む。このとき、ケース10は押上弾性片20によって上方に押し上げられた状態であり、この押し上げにより、各弾性延出部12の上端12Tが対応する抜け止め部31の裏面31bに押し付けられ、かつ対応する隙間3S(図9参照)に収容された状態に維持される。
【0036】
この収容状態において、下方突出部32は、図9に示すように、組付け用側面10c、10dと弾性延出部12(基端部12C、中間延出部12B、先端部12A)とに取り囲まれた状態となる。空隙S3に収容されるのは、主に弾性延出部12の中間延出部12Bであり、先端部12Aは、空隙S3から外に出た状態になる。
【0037】
一方、ここでの下方突出部32は、図8に示すように、抜け止め部31の裏面31b(図7参照)において、弾性壁部30の幅方向X1(前後方向)の一方に偏った位置に形成され、他方側には非形成とされている。上記の収容状態においては、抜け止め部31の裏面31b側における下方突出部32の非形成側が、弾性延出部12の基端部12Cの通過部(配置位置)となっており、抜け止め部31の裏面31bの非形成側とその基端部12Cとが当接している。
【0038】
電子制御部品用ブラケット1に組付けたケース10を取り外しについて説明する。なお、図10及び図11は側壁部3D側を示しているが、逆側の側壁部3Cについても同様である。
【0039】
電子制御部品用ブラケット1に組付けたケース10を取り外す際には、図10に示すように、まずはケース10を下方に押し下げ、底壁部2に対し接触ないし近接した状態とする。具体的には、ケース10を距離d(下方突出部32の突出長さ:図6参照)よりも下方に位置するよう押し下げる。これにより、ケース10の各弾性延出部12は、上端部12Tが空隙S3を脱して下方突出部32の先端(下端)よりも下側に位置することになり、各弾性壁部30は、立ち上がり方向Z1の先端側(図10の上端側)の外向き(図10の矢印Q2方向)への弾性変形が可能になる。
【0040】
次に、図11に示すように、各弾性壁部30の先端側を外向き(ケース10の左右方向Y10の外向き)に押し広げる弾性変形を生じさせて抜け止め部31を弾性延出部12よりも外側に到達させる。そして、その弾性変形状態でケース10を立ち上がり方向Z1(上方向)へと引き上げる。これにより、ケース10は、抜け止め部31に干渉されることなく側壁部3C、3Dの対向間から引き上げられ、電子制御部品用ブラケット1から取り外される。
【0041】
なお、図7図11の各断面図に示すケース10内には、電子制御部としての各種回路基板が配置されるが、ここでは図示を省略している。
【0042】
以上、本発明の一実施例を説明したが、これはあくまでも例示にすぎず、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、追加及び省略等の種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 電子制御部品用ブラケット
2 底壁部
3C、3D 側壁部
30 弾性壁部
31 抜け止め部
32 下方突出部
S3 空隙
V3 切り欠き
10 ケース
10a 上面
10b 下面
10c、10d、10e 組付け用側面
12 弾性延出部
12T 弾性延出部の上端
Z1 立ち上がり方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11