(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101100
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】留め具
(51)【国際特許分類】
A44C 1/00 20060101AFI20240722BHJP
【FI】
A44C1/00
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004828
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】523018139
【氏名又は名称】高木 真理子
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100161908
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 依子
(72)【発明者】
【氏名】高木 真理子
【テーマコード(参考)】
3B114
【Fターム(参考)】
3B114EB05
3B114EC13
(57)【要約】
【課題】装身具を簡単に脱着可能とする留め具を提供すること。
【解決手段】装身具の留め具1であって、装身具の一端と接続され、略V字形状に形成された内面部15を有する第1の部品10であって、内面部15は少なくとも一部に第1の磁石部17を有する第1の部品10と、装身具の他端と接続される第2の部品20であって、外面部26の少なくとも一部に第2の磁石部27を有し、第2の磁石部27は第1の部品10の内面部15側において第1の磁石部17に吸着可能である第2の部品と、を備える留め具。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装身具の留め具であって、
前記装身具の一端と接続され、略V字形状に形成された内面部を有する第1の部品であって、前記内面部は少なくとも一部に第1の磁石部を有する、第1の部品と、
前記装身具の他端と接続される第2の部品であって、外面部の少なくとも一部に第2の磁石部を有し、前記第2の磁石部は前記第1の部品の前記内面部側において前記第1の磁石部に吸着可能である、第2の部品と、
を備える留め具。
【請求項2】
前記第2の磁石部は、前記第1の磁石部と少なくとも部分的に面で吸着することが可能な形状である、請求項1に記載の留め具。
【請求項3】
前記第2の磁石部を有する前記第2の部品の外面部の少なくとも一部は、前記第1の部品の前記略V字形状に形成された内面部と略同一の形状である、請求項1に記載の留め具。
【請求項4】
前記第2の部品は2つの底面が略二等辺三角形である略三角柱形状であり、前記第2の磁石部は、前記略三角柱形状の2つの側面に設けられている、請求項1に記載の留め具。
【請求項5】
前記第2の部品の前記略二等辺三角形の底辺の一方の端部に突出部を有し、当該突出部に前記装身具の他端が接続されうる、請求項1に記載の留め具。
【請求項6】
前記第1の部品の外面部の少なくとも一部に非磁性物質が設けられる、請求項1に記載の留め具。
【請求項7】
前記第1の部品と前記第2の部品とは、厚みが略同一である、請求項1に記載の留め具。
【請求項8】
前記第1の部品の外面部は丸みを帯びた形状である、請求項1に記載の留め具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装身具の留め具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ネックレスなどの装身具に用いられる留め具として、例えば特許文献1のような装身具の留め具が開示されている。特許文献1に開示の留め具は、第一の部品と第二の部品とから構成されており、第一の部品は、略C字形状のリング状本体と、一端が当該リング状本体に当接するピン部材とから成り、第二の部品は係合孔を備える。ユーザが装身具を着用しようとする場合、ユーザは第一の部品と第二の部品とを左右それぞれの手に持ち、第一の部品のリング状本体とピン部材の一端とが当接していない状態で両者間の隙間に第二の部品の係合孔を通しつつピン部材を係合孔に貫通させた状態で、リング状本体とピン部材の一端とを当接させる。これにより第一の部材と第二の部材とが連結された状態となる。また、特許文献2には、留め具を構成する2つの部品のそれぞれに磁石が設けられており、当該2つの磁石が引き合うことで両部品が連結されるように構成された装身具の留め具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-155530号公報
【特許文献2】特開2003-61717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばユーザがネックレスを着脱する際、首の後ろで留め具を視認せずに留め具を連結させたり分離させたりすることが多い。また、特許文献1のような留め具の場合、ユーザは一般的に非常に小さな部品である第一の部品と第二の部品とを両手の指先でつまむようにして第一の部品と第二の部品とを連結させたり分離させることで装身具を着脱する。この時、第二の部品の係合孔に第一の部品のピン部材を貫通させたり分離させるために細かい手先の動作が必要となり失敗することも多く、装身具を着脱するのに時間がかかる等の問題があった。また、特許文献2の留め具の場合、装身具を装着している間に留め具の2つの部品を引き離すような方向の力が加わった場合、比較的簡単に両部品の磁石部分が離間することで装身具が落下する等の問題があった。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、装身具の留め具であって、前記装身具の一端と接続され、略V字形状に形成された内面部を有する第1の部品であって、前記内面部は少なくとも一部に第1の磁石部を有する、第1の部品と、前記装身具の他端と接続される第2の部品であって、外面部の少なくとも一部に第2の磁石部を有し、前記第2の磁石部は前記第1の部品の前記内面部側において前記第1の磁石部に吸着可能である、第2の部品と、を備える留め具である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係る留め具の外観の一例を示す図である。
【
図2】一実施形態に係る留め具の第1の部品と第2の部品とが連結した状態における正面図等の一例を示す図である。
【
図3】一実施形態に係る留め具の第1の部品と第2の部品とが離間している状態の斜視図の一例を示す図である。
【
図4】第1の部品の正面図等の一例を示す図である。
【
図5】第2の部品の正面図等の一例を示す図である。
【
図6】第1の部品と第2の部品とが離間している状態の留め具の正面図の一例を示す図である。
【
図7】第1の部品と第2の部品の厚みの例について説明する図である。
【
図8】一実施形態に係る留め具の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。本実施形態においては、装身具がネックレスである場合の留め具について説明するが、これに限定されない。本実施形態に係る留め具は様々な装身具に用いることが可能であり、特に、ネックレス、ペンダント、ブレスレット、アンクレット、等のように環状にして用いられる装身具に好適である。
【0009】
図1は、本実施形態に係る留め具の外観の一例を示す図である。本実施形態に係る装身具5の留め具1は、第1の部品10と、第2の部品20とによって構成される。第1の部品10は装身具5の一端51と接続され、第2の部品20は装身具5の他端52と接続される。また、
図1は、留め具1の第1の部品10と第2の部品20とが連結した状態を示しており、これにより装身具5は全体として環状となりうる。また、第1の部品10と第2の部品20とは、後述するように各部品に備えられた第1の磁石部と第2の磁石部とによって互いに吸着した状態で連結されうる。
【0010】
図2は、本実施形態に係る留め具1の第1の部品10と第2の部品20とが連結した状態における正面図、上面図、底面図、右側面図、および左側面図の一例を示す。
図2(a)は留め具1の正面図、
図2(b)は留め具1の上面図、
図2(c)は留め具1の底面図、
図2(d)は留め具1の右側面図、
図2(e)は留め具1の左側面図の一例である。
【0011】
図2(a)に示されるように、本例の留め具1は、第2の部品20と第2の部品20とが連結した状態において、全体として厚みのある略二等辺三角形の形状を有し、当該略二等辺三角形形状の頂点部分は丸みを帯びた形状となっている。なお、「略」とは厳密には合致していなくてもよいという意味であり、ある程度のズレは許容する趣旨である(本明細書の全体を通じて同様)。また、一例として留め具1の縦幅lは約14mm(ミリメートル)、横幅wは約6.4mm、厚みdは約3mmである。また、本例の留め具1は、第1の部品10と第2の部品20の厚みは略同一である。これにより
図2のように第1の部品10と第2の部品20とが連結した状態において、留め具1の板状形状の表面部において第1の部品10と第2の部品20との境界部分に段差がほとんど存在しない状態となり、当該板状形状の表面部は滑らかな外観となる。これにより、第1の部品10と第2の部品20は一体的な外観を呈し、見た目の美観に資する。
【0012】
また、
図3は、本実施形態に係る留め具1の第1の部品10と第2の部品20とが離間している状態の斜視図の一例を示す。
図3(a)は
図2における方向Aから留め具1を見た斜視図であり、
図3(b)は
図2における方向Bから留め具1を見た斜視図である。留め具1の第1の部品10は、装身具の一端51と接続されるための環状の第1の接続部12を備える。また、第1の部品10は、略V字形状に形成された内面部15を有する。また、内面部15は少なくとも一部に第1の磁石部17(斜線部17)を備える。本実施形態において、第1の磁石部17は、内面部15の略V字形状の2つの辺に当たる部分の一部にそれぞれに略長方形の磁石が2つ備えられることで構成されるが、あくまで一例である。第1の磁石部17は、例えば略V字形状の内面部15に沿うように略V字形状で形成されてもよい。
【0013】
また、本例において第2の部品20は、2つの底面が略二等辺三角形である略三角柱形状である。第2の部品20は、外面部26の少なくとも一部に第2の磁石部27(斜線部27)を備える。本例において、第2の磁石部27は、第2の部品20の略三角柱形状の2つの等しい辺を構成する2つの側面に設けられている。なお、本例においては、第2の磁石部27は2つの略長方形の磁石によって形成されているが、連続した1つの磁石部となっていてもよい。また、第2の部品20は、略二等辺三角形の底辺の一方の端部に突出部23を有している。また、第2の部品20は、装身具の他端52と接続されるための環状の第2の接続部22を備え、当該第2の接続部22は、突出部23に設けられている。これにより、第1の部品10と第2の部品20とが
図2に示されるように第1の磁石部17および第2の磁石部27によって互いに吸着した場合に、全体として略二等辺三角形の底辺の両端に装身具の2つの端部がそれぞれ接続されることになり、留め具1の略二等辺三角形状の対称軸を挟んで装身具を含めて左右対称となり美観に資する。また、装身具を着脱する際に、ユーザは片方の手で突出部23を握持することもできるため、突出部23を備えることは操作性にも資する。
【0014】
なお、本実施形態においては、第1の磁石部17および第2の磁石部27はそれぞれ、第1の部品10および第2の部品20に磁石が埋め込まれることで形成されている(詳細は後述する)。ただし、第1の磁石部17および第2の磁石部27はそれぞれ、磁石が第1の部品10および第2の部品20に貼付されることにより形成されてもよい。第1の磁石部17および第2の磁石部27の磁力は、例えば、3400ガウス(340ミリテスラ)である。
【0015】
また、本実施形態の留め具1は、装身具5とは第1の接続部12と第2の接続部22とによって連結されるようになっている。装身具5は第1の接続部12と第2の接続部22とにおいて留め具1から脱着可能となっていてもよいし、外すことができないように固定されていてもよい。
【0016】
また、第1の部品10の外面部16の少なくとも一部に非磁性物質が設けられていてもよい。
図2に示されるように、第2の部品20は第1の部品10の略V字形状の内面部15側において両側から挟まれるような形で吸着することが理想であるが、例えば第2の部品20が第1の部品10の外面部16側に吸着する場合がありうる。よって、第1の部品10の外面部26の少なくとも一部に非磁性物質が設けられていることにより、第2の部品20が第1の部品10の外面部16側に吸着しにくくなる。より具体的には、例えば、第1の部品10の外面部16の少なくとも一部が0.01~0.02mm程度の厚みのアルミ箔によって覆われていてもよい。
【0017】
また、
図4は、第1の部品10の正面図、上面図、底面図、右側面図、および左側面図の一例を示す。
図4(a)は第1の部品10の正面図、
図4(b)は第1の部品10の上面図、
図4(c)は第1の部品10の底面図、
図4(d)は第1の部品10の右側面図、
図4(e)は第1の部品10の左側面図の一例である。
【0018】
図4に示されるように、第1の部品10は、略V字形状に形成された内面部15を有し、2つの略V字形状の面を底面とする柱体形状を有する。また、全体としてV字の一方の辺102は他方の辺104よりも短くなっている。一方の辺102の短くなっている部分に第2の部品20の突出部23が嵌合した時に、
図2に示されるように留め具1の全体が、2つの辺が略同一の長さである略二等辺三角形状となるように、一方の辺102の長さと第2の部品20の突出部23の厚み(
図2の縦方向における長さ)が設計されている。また長い方の他方の辺104の、一方の辺102と接する一方の端部106とは異なる他方の端部108には、装身具の一端51と接続されるための環状の第1の接続部12が備えられている。本例においては第1の接続部12は環状(リング)となっているが、リングやチェーンを接続することが可能な孔などをもって第1の接続部12としてもよい。
【0019】
また、
図4(a)および
図4(c)に示されるように、2つの辺102、104が接する頂点部分(端部)106は丸みを帯びた形状となっており、頂点部分106には、チェーンなどを接続することが可能なように第3の接続部112が設けられている。
図4の例においては、第3の接続部112はリングやチェーンを接続可能であるように(
図1参照)2つの孔が設けられている。なお、第3の接続部112はチェーンを接続するためのリングが当該2つの孔に連結された状態をもって、第3の接続部112としてもよい。
【0020】
また、
図5は、第2の部品20の正面図、上面図、底面図、右側面図、および左側面図の一例を示す。
図5(a)は第2の部品20の正面図、
図5(b)は第2の部品20の上面図、
図5(c)は第2の部品20の底面図、
図5(d)は第2の部品20の右側面図、
図5(e)は第2の部品20の左側面図の一例である。
【0021】
図5に示されるように、第2の部品20は全体として略二等辺三角形状であるが、略二等辺三角形の底辺の一方の端部に突出部23を有している。突出部23の横方向の長さは、第1の部品10の辺102の厚み(
図4の横方向における幅)と略同一である。また、本実施形態においては、底辺以外の2つの辺であって、突出部23と接続されている一方の辺202の長さは、第1の部品10の辺102の内面部15側における長さと略同一であり、他方の辺204の長さは、第1の部品10の辺104の内面部15側における長さと略同一である。また、第2の磁石部27を有する第2の部品20の外面部16は、第1の部品10略V字形状に形成された内面部15と略同一の形状となっている(第1の部品10の略二等辺三角形状の頂角と、第2の部品20の略二等辺三角形状の頂角の大きさは略同一)。これにより、第2の部品20が、第1の部品10の略V字形状の内面部15側において両側から挟まれるような形で嵌合した場合、
図2に示されるように、第2の部品20の外面部26と第1の部品10の辺102および辺104(略V字形状)の内面部15とが全体的に密着するように嵌合しうる。これにより、第1の部品10と第2の部品20とが嵌合した場合には、留め具1全体が、
図2に示されるような略二等辺三角形状となり、留め具1の外観がバランスの良いものとなる。ただし、これはあくまで一例であって、第2の磁石部27は、第1の磁石部17と少なくとも部分的に面で吸着することが可能な形状であればよい。例えば、辺202の長さは第1の部品10の辺102の内面部15側における長さよりも長く、または短くなっていてもよい。また、辺204の長さは、第1の部品10の辺104の内面部15側における長さよりも長く、または短くなっていてもよい。これらの辺の長さは、第1の磁石部17と第2の磁石部27とが少なくとも一部で互いに接することが可能となるような長さとなっている。
【0022】
また、突出部23には、装身具の他端52と接続されるための環状の第2の接続部22が備えられている。なお、本例においては第2の接続部22は環状(リング)となっているが、リングやチェーンを接続することが可能な孔などをもって第2の接続部22としてもよい。
【0023】
図5の例示において、辺102および辺104に当たる外面部分にそれぞれ略長方形状の磁石が露出した領域271、272があり、これらの領域が第2の磁石部27を構成している(
図5(d)および
図5(e)参照)。ただし、第2の磁石部27はこれらの領域が一続きになっていることで1つの領域として構成されていてもよい。
【0024】
さらに、本実施形態に係る留め具1の構成例の詳細について説明する。
図6は、第1の部品10と第2の部品20とが離間した状態の留め具1の正面図の一例である。
本例における第1の部品10には2つの磁石17a、17bが埋め込まれており、各々の一部が略V字形状に形成された内面部15の一部である内面領域15a、15bにそれぞれ露出することで第1の磁石部17を形成している。なお、これは一例であり、例えば磁石17a、17bはそれぞれ、内面領域15a、15bの表面に貼付されて設けられていてもよい。また、本例では第1の磁石部17は2つの磁石17a、17bによって実現されているが、物理的に一続きとなっている1つの磁石によって実現されていてもよいし、3つ以上の磁石によって実現されてもよい。また、本例では第1の磁石部17は磁石17a、17bが内面部15の一部である内面領域15a、15bに露出するようにして設けられているが、内面部15の全体に渡って設けられていてもよい。
【0025】
また、本例における第2の部品20は、第2の磁石部27として、2つの底面が略台形である角柱(四角柱)形状の磁石27aが第2の部品20の内部に埋め込まれており、その一部が、第2の部品20の略三角柱形状の2つの側面の一部である外面領域26a、26bに露出することで実現されている。なお、これは一例であり、磁石27aに代えて、例えば2枚の薄い板状の磁石が外面領域26a、26bの表面にそれぞれ貼付されることで第2の磁石部27が実現されてもよい。また、本例では第2の磁石部27は1つの磁石27aによって構成されているが、物理的に2以上の複数の磁石によって実現されていてもよい。また、本例では第2の磁石部27は第2の部品20の略三角柱形状の2つの側面の一部分のみに設けられているが、当該2つの側面の全体に渡って設けられていてもよい。
【0026】
また、本実施形態において、磁石17a、17bの内面領域15a、15bにおける極性は互いに異なっており、磁石27aの外面領域26a、26bにおける極性は互いに異なる。また、例えば磁石17a、17bの内面領域15a、15bにおける極性がそれぞれN極とS極である場合には、磁石27aの外面領域26a、26bにおける極性はそれぞれS極とN極となっている。これにより、ユーザが装身具を着用しようとする際に、例えば左右の手にそれぞれ第1の部品10と第2の部品20とを握持して第1の部品10と第2の部品20とを近づけるだけで、内面領域15aと外面領域26aとが引き合うとともに内面領域15bと外面領域26bとが引き合い、第1の部品10が第2の部品20の内面部15の側で吸着し合いやすい。
【0027】
また、この時、磁石17a、17b、27aの磁力により、第2の部品20が第1の部品10の外面部16に吸着する可能性がある。しかしながら、第2の部品20が第1の部品10の内面部15の側でV字形の第1の部品10に挟まれるようにして吸着する場合と、第1の部品10の外面部16に吸着する場合では、両部品が互いに引き合う力は前者のほうが強い。よって、ユーザは直接留め具1を視認していなくても、左右の手にそれぞれ握持した第1の部品10と第2の部品20とが引き合う力を感じて、第2の部品20が第1の部品10の内面部15の側に吸着したか、第1の部品10の外面部16に吸着したかを判断することが可能である。もしくは、第2の部品20が第1の部品10の外面部16に吸着した場合、ユーザが第1の部品10と第2の部品20とが吸着したことを左右の手で感じた後に、左右に離れる方向(
図6の矢印40の方向)に軽く引っ張れば簡単に外れることで、第2の部品20が第1の部品10の外面部16に吸着したことを認識し、両部品を連結し直すこと等が可能である。
【0028】
また、本実施形態に係る留め具1は、ユーザが留め具1に接続された装身具を着用している時(第1の部品10と第2の部品とが連結している時)には、装身具の重みにより、主に
図6における平行方向(矢印40の方向)に引っ張る力が加わりやすい。しかしながら、この時、第1の磁石部17と第2の磁石部27とは、この引っ張る力とはほぼ真逆の方向へ互いを引き寄せるよう吸着しているため、第1の部品10と第2の部品20は離間しにくい。すなわち、装身具が脱落しにくい。一方で、ユーザが装身具を意図的に外そうとする場合は、第1の磁石部17と第2の磁石部27とが互いに引き合う力と直交する方向、すなわち
図6における垂直方向(矢印30の方向)に第2の部品20を引っ張ることで、強い力を加えなくても第1の部品10と第2の部品20とを比較的簡単に離間させることができる。すなわち、本実施形態に係る留め具1によれば、装身具を装着時には留め具1が外れて装身具が脱落する可能性が低い一方で、ユーザが装身具を意図的に着脱しようとする際には細かい作業が不要で簡単に装身具を着脱することが可能である。
(変形例)
以下、本実施形態に係る留め具1の変形例について説明する。
【0029】
上記説明した留め具1は、
図2、
図4、および
図5に示されるように、第1の部品10と第2の部品20の厚みは略同一であるとしたが、両者の厚みは異なっていてもよい。
図7は、第1の部品10と第2の部品20の厚みの例について説明する図である。
図7に示される各図は、第1の部品10と第2の部品20とが重なっている状態における側面図である。なお、
図7の各図は簡素化されて図示されている。上記の説明においては
図7(a)のように第1の部品10と第2の部品20の側面は略長方形であり厚みが略同一である場合について説明した。しかしながら、本実施形態に係る留め具1は、
図7(b)に例示されるように第2の部品20が第1の部品10よりも全体的に薄くなっていてもよい。また、
図7(c)に例示されるように第1の部品10と第2の部品20とが一方向に向かって先細りするようになっていてもよい。なお、
図7(c)の例では第1の部品10と第2の部品20とが下に向かって先細りしているが、上に向かって先細りしていてもよい。
【0030】
図8は、本実施形態に係る留め具1の他の変形例を示す図である。
図8(a)は、第2の部品20が突出部23を備えていない留め具1の構成例を示す。この場合、第1の部品10は、全体として左右対称の略V字形状であり、第2の部品20は、全体として左右対称の略二等辺三角形状である。また、本構成例における、装身具5の一端51および他端52とそれぞれ接続される留め具1の第1の接続部12と第2の接続部22の位置は、一例として
図8(a)に示されるようになっていてよい。
【0031】
また、
図8(b)は、第1の部品10および第2の部品20の形状は上述した実施形態に係る留め具1と同じであるが、第2の部品20の略三角柱形状の2つの底面206の一方または両方に文字50が付されている場合を示す。このように、例えばユーザのイニシャルの文字やメッセージ、図柄、等を付することで留め具1が当該ユーザのオリジナリティのあるものとなる。また、第2の部品20の略二等辺三角形状の底辺部分に当たる側面に真珠やダイヤモンド等の宝石などの飾り70を付してもよい。これにより、留め具1は単に留め具としての機能を果たすだけでなく、留め具1のデザイン性が向上して美観を備え、留め具1自体も装身具の一部となりうる。
【0032】
また、
図8(c)は、第1の部品10の全体の形状が略V字形状以外の形状である場合の一例を示す。
図8(c)の例において、第2の部品20の形状は
図8(b)と同様に突出部23を有する略二等辺三角形状である2つの底面を有する略三角柱形状である。また、第1の部品10は、略V字形状に形成された内面部15を備えつつ、柱体形状の外面部16は丸みを帯びた形状となっている。
図8(c)の例においては、柱体形状の底面は全体としてハート形となっている。このように第1の部品10の外面部16が丸みを帯びた形状である場合、第1の磁石部17と第2の磁石部27とが磁力により互いに引き合って第2の部品20が第1の部品10の外面部16に吸着したとしても(破線で示される第2の部品20´)第1の部品10と第2の部品20とが接する面積は小さくなる。これにより、第2の部品20は第1の部品10の外面部16には吸着しにくくなり、吸着したとしてもユーザが小さな力で第1の部品10と第2の部品20とを引っ張れば両部品は簡単に離間するため、ユーザが留め具1を直視しない状態であっても第2の部品20が第1の部品10の内面部15で吸着したか外面部16で吸着したか判断しやすい。また、第1の部品10の外面部16は他の形状であってもよい。例えば、外面部16は、星形、波型、等の直線的な形状以外の形状であってもよい。このような形状である場合も、第2の部品20は、第1の部品10と接する面積が小さくなるため、第2の部品20が誤って第1の部品10の外面部16には吸着しにくくなり、吸着したとしてもユーザが小さな力で第1の部品10と第2の部品20とを引っ張れば両部品は簡単に離間する。また、
図8(c)の変形例における第2の部品20の形状は、
図8(a)と同様に、突出部23を備えていない、全体として左右対称の略二等辺三角形状であってもよい。この場合、第1の部品10は、全体として左右対称の略V字形状となる。また、留め具1の第1の接続部12と第2の接続部22の位置は、
図8(a)と同様であってよい。
【0033】
図1に戻り、留め具1の使用方法についてさらに説明する。
図1に示されるように、留め具1は、装身具5の一端51と他端52と連結されうる。
図1の例では、装身具5の端部51、52は金、銀、プラチナ等の金属チェーンとして構成されており、これに続いて、宝石やミラーボール等の飾り55、金属チェーン56、宝石57の順で接続されている。また、留め具1の略二等辺三角形状の頂点部分には第3の接続部112が備えられている。第3の接続部112には、金属チェーン61、宝石やミラーボール等の飾り62、金属チェーン63、宝石やミラーボール等の飾り64が順に連結されている。また、第3の接続部112の部分は金属チェーン61が回転可能となっている。本例の留め具1は
図1のように構成されることで、単に留め具としての機能を果たすだけでなく、デザイン性が高いものとなっている。ユーザが装身具5を着用した場合、留め具1は、通常、ユーザの首の後ろ側に位置することになるが、
図1のようなデザインとなっていることで、留め具1自体もユーザの首筋を美しく装うものとなりうる。また、留め具1自体が第1の部品10と第2の部品20とが連結した状態では全体として左右対称の略二等辺三角形状となっている。これにより、第1の部品10の略V字形状の内面部15において第2の部品20の外面部26の少なくとも一部が面で吸着することで装身具5の装着時に外れにくいという高い機能を備えると同時に、美観をも兼ね備えた留め具となっている。
【0034】
また、上記説明において、各図面においては、留め具1の略二等辺三角形状の底辺が上となった状態(全体的にV字に見える状態)で留め具が図示されているが、説明の便宜上、このように図示されているにすぎない。上述した各実施態様における留め具1は、ネックレス、ペンダント、ブレスレット、アンクレット、等の様々な装身具に用いることが可能であるので、留め具1は使用状況に応じて、例えば、留め具1の略二等辺三角形状の底辺が上または下となる状態で使用されたり、横方向または斜め方向に向く状態等で使用されうる。
【0035】
ここまで、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【0036】
また、本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、各請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
(付記)
なお、以下のような構成も本発明の技術的範囲に属する。
(1)
装身具の留め具であって、
前記装身具の一端と接続され、略V字形状に形成された内面部を有する第1の部品であって、前記内面部は少なくとも一部に第1の磁石部を有する、第1の部品と、
前記装身具の他端と接続される第2の部品であって、外面部の少なくとも一部に第2の磁石部を有し、前記第2の磁石部は前記第1の部品の前記内面部側において前記第1の磁石部に吸着可能である、第2の部品と、
を備える留め具。
(2)
前記第2の磁石部は、前記第1の磁石部と少なくとも部分的に面で吸着することが可能な形状である、上記(1)の留め具。
(3)
前記第2の磁石部を有する前記第2の部品の外面部の少なくとも一部は、前記第1の部品の前記略V字形状に形成された内面部と略同一の形状である、上記(1)または(2)の留め具。
(4)
前記第2の部品は2つの底面が略二等辺三角形である略三角柱形状であり、前記第2の磁石部は、前記略三角柱形状の2つの側面に設けられている、上記(1)から(3)のいずれかに記載の留め具。
(5)
前記第2の部品の前記略二等辺三角形の底辺の一方の端部に突出部を有し、当該突出部に前記装身具の他端が接続されうる、上記(1)から(4)のいずれかに記載の留め具。
(6)
前記第1の部品の外面部の少なくとも一部に非磁性物質が設けられる、上記(1)から(5)のいずれかに記載の留め具。
(7)
前記第1の部品と前記第2の部品とは、厚みが略同一である、上記(1)から(6)のいずれかに記載の留め具。
(8)
前記第1の部品の外面部は丸みを帯びた形状である、上記(1)から(7)のいずれかに記載の留め具。
【符号の説明】
【0037】
1…留め具
5…装身具
10…第1の部品
12…第1の接続部
15…内面部
15a…内面領域
15b…内面領域
16…外面部
17…第1の磁石部
17a、17b…磁石
106…端部(頂点部分)
108…端部
112…第3の接続部
20…第2の部品
22…第2の接続部
23…突出部
26…外面部
26a、26b…外面領域
27…第2の磁石部
27a…磁石
271、272…磁石
50…文字
51、52…装身具の端部
55、62、64、70…飾り
56、61、63…金属チェーン
57…宝石