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特開2024-101115フィルム搬送機、フィルム搬送方法、及びフィルム製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101115
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】フィルム搬送機、フィルム搬送方法、及びフィルム製造装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 23/032 20060101AFI20240722BHJP
   B29C 48/08 20190101ALI20240722BHJP
   B29C 48/305 20190101ALI20240722BHJP
   B29C 48/395 20190101ALI20240722BHJP
   B29C 48/88 20190101ALI20240722BHJP
   B29C 48/25 20190101ALI20240722BHJP
   B29C 55/14 20060101ALI20240722BHJP
   B29C 55/20 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
B65H23/032
B29C48/08
B29C48/305
B29C48/395
B29C48/88
B29C48/25
B29C55/14
B29C55/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004857
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】澤田 朋樹
【テーマコード(参考)】
3F104
4F207
4F210
【Fターム(参考)】
3F104AA03
3F104CA00
3F104CA07
3F104CA27
3F104CA36
4F207AJ08
4F207KK11
4F207KK64
4F207KL84
4F207KW41
4F210AJ08
4F210QA02
4F210QA03
4F210QC06
4F210QL14
(57)【要約】
【課題】フィルムを自動的に送るフィルム搬送機等を提供できる。
【解決手段】フィルム搬送機はフィルム83を上流から下流に向けて送る。フィルム搬送機は、先端部の下側にコンベア711を有するロボットアーム715と、コンベアの下方に設けられ、複数のロールを有する下ロール台720と、を含む送り機構70を備える。送り機構70は、下ロール台が上昇することで、上流から送られるフィルムを載せて、ロボットアームは先端部を下降させることで、コンベアと下ロール台との間にフィルムを把持しながら、コンベアの回転により、フィルムを下流に向けて搬送するように構成され得る。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムを上流から下流に向けて送るフィルム搬送機であって、
先端部の下側にコンベアを有するロボットアームと、
前記コンベアの下方に設けられ、複数のロールを有する下ロール台と、
を含む送り機構
を備えたフィルム搬送機。
【請求項2】
前記送り機構は、前記下ロール台に、上流から送られるフィルムを載せて、
前記ロボットアームは前記先端部を下降させることで、前記コンベアと前記下ロール台との間にフィルムを把持しながら、前記コンベアの回転により、前記フィルムを下流に向けて搬送するように構成されている、請求項1に記載のフィルム搬送機。
【請求項3】
前記送り機構より上流の縦延伸領域に設けられ、フィルムを縦延伸するとともに下流に向けて搬送する縦延伸機と、
前記送り機構より下流の横延伸領域に設けられ、フィルムを横延伸するとともに下流に向けて搬送する横延伸機と、を更に備える、請求項1に記載のフィルム搬送機。
【請求項4】
フィルムのしわを検知するしわ検知部と、
前記ロボットアームは、フィルムの撮像画像に基づいて、前記下ロール台の上に載せられたフィルムに対して、前記コンベアを押し付けながら鉛直方向の軸回転を行うように構成されている、請求項1に記載のフィルム搬送機。
【請求項5】
フィルムのしわを検知するしわ検知部と、
前記ロボットアームは、フィルムの撮像画像に基づいて、前記下ロール台の上に載せられたフィルムに対して、前記コンベアを押し付けながらフィルムの側端部に向かって前記コンベアを移動するように構成されている、請求項1に記載のフィルム搬送機。
【請求項6】
フィルムの蛇行の有無を検知する蛇行検知部と、
前記蛇行が検知された場合に、前記ロボットアームは、検知結果に基づいて、前記下ロール台の上に載せられたフィルムに対して、前記コンベアを押し付けながら鉛直方向の軸回転を行うように構成されている、請求項3に記載のフィルム搬送機。
【請求項7】
前記下ロール台は、駆動源と接続され、前記コンベアの回転と同期して、前記複数のロールが回転するように構成されている、請求項1に記載のフィルム搬送機。
【請求項8】
前記下ロール台は、左右に配列された複数の左ロール及び複数の右ロールを含み、
前記ロボットアームの下側には、前記複数の左ロールに対応した第1コンベアと、前記複数の右ロールに対応した第2コンベアと、を有し、前記第1コンベア及び第2コンベアは、それぞれ鉛直方向軸に対して回転可能に構成されている、請求項1に記載のフィルム搬送機。
【請求項9】
先端部の下側にコンベアを有するロボットアームと、前記コンベアの下方に設けられた下ロール台であって、複数のロームを有する下ロール台と、を備えたフィルム搬送機を用いて、フィルムを上流から下流に向けて送るフィルム搬送方法であって、
前記下ロール台に、上流から送られたフィルムを載せて、
前記ロボットアームが下降することで、前記コンベアと前記下ロール台との間に前記フィルムを把持しながら、前記コンベアの回転により、前記フィルムを下流に向けて搬送する、フィルム搬送方法。
【請求項10】
投入された樹脂原料を溶融させて押し出す押出機と、
前記押出機に連結され、溶融樹脂をフィルム状に成形するダイと、
前記ダイから押し出されたフィルム状の前記溶融樹脂を冷却しつつ、前記溶融樹脂が固化した樹脂フィルムを搬出する冷却ロールと、
前記冷却ロールより下流に設けられ、フィルムを縦延伸するとともに下流に向けて送る縦延伸機と、
先端部の下側にコンベアを有するロボットアーム、及び、前記コンベアの下方に設けられ、複数のロールを有する下ロール台、を含む、前記フィルムを下流に送る送り機構と、
前記送り機構より下流に設けられ、フィルムを横延伸するとともに下流に向けて送る横延伸機と、を備える、フィルム製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム搬送機、フィルム搬送方法、及びフィルム製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、押出成形されたフィルムを搬送し、フィルムを延伸する延伸機及びフィルムをクリップにより把持させるクリップ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-187788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これまで、縦延伸領域と横延伸領域との間においては、フィルムを送ることができないため、複数人による手作業でフィルムを送っていた。こうした手作業は、面倒で非効率である。
【0005】
本開示は、このような問題点を解決するためになされたものであり、フィルムを自動的に送るフィルム搬送機等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係るフィルム搬送機では、
フィルムを上流から下流に向けて送るフィルム搬送機であって、
先端部の下側にコンベアを有するロボットアームと、
前記コンベアの下方に設けられ、複数のロールを有する下ロール台と、
を含む送り機構
を備える。
【0007】
一実施形態に係るフィルム搬送方法では、
先端部の下側にコンベアを有するロボットアームと、前記コンベアの下方に設けられた下ロール台であって、複数のロームを有する下ロール台と、を備えたフィルム搬送機を用いて、フィルムを上流から下流に向けて送るフィルム搬送方法であって、
前記下ロール台は上昇することで、上流から送られたフィルムを載せて、
前記ロボットアームが下降することで、前記コンベアと前記下ロール台との間に前記フィルムを把持しながら、前記コンベアの回転により、前記フィルムを下流に向けて搬送する。
【0008】
一実施形態に係るフィルム製造装置では、
投入された樹脂原料を溶融させて押し出す押出機と、
前記押出機に連結され、溶融樹脂をフィルム状に成形するダイと、
前記ダイから押し出されたフィルム状の前記溶融樹脂を冷却しつつ、前記溶融樹脂が固化した樹脂フィルムを搬出する冷却ロールと、
前記冷却ロールより下流に設けられ、フィルムを縦延伸するとともに下流に向けて送る縦延伸機と、
先端部の下側にコンベアを有するロボットアーム、及び、前記コンベアの下方に設けられ、複数のロールを有する下ロール台、を含む、前記フィルムを下流に送る送り機構と、
前記送り機構より下流に設けられ、フィルムを横延伸するとともに下流に向けて送る横延伸機と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一実施形態によれば、フィルムを自動的に送るフィルム搬送機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態に係るフィルム搬送機及びフィルム製造装置の全体構成を示す模式的斜視図である。
図2】第1の実施形態に係るフィルムの送り機構の構成を示す模式的斜視図である。
図3】第1の実施形態に係るフィルムの送り機構の動作を示す模式的斜視図である。
図4】他の実施形態に係るフィルムの送り機構及びクリップ装置を示す模式的斜視図である。
図5】ベルトコンベアによるしわ伸ばし動作を説明する上面図である。
図6】ベルトコンベアによるしわ伸ばし動作を説明する上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜簡略化されている。
【0012】
(第1の実施形態)
<フィルム製造装置の全体構成>
まず、図1を参照して、第1の実施形態に係る樹脂フィルム搬送機を含むフィルム製造装置の全体構成について説明する。図1は、第1の実施形態に係るフィルム製造装置の全体構成を示す模式的斜視図である。
【0013】
なお、図1及びその他の図面に示したxyz直交座標は、構成要素の位置関係を説明するための便宜的なものである。通常、z軸正向きが鉛直上向き、xy平面が水平面であり、図面間で共通である。また、本明細書において、フィルムは、樹脂フィルムであり得、樹脂シートを含み得る。
【0014】
図1に示すように、フィルム製造装置1は、押出機10、Tダイ20、冷却機30、縦延伸機40、送り機構70、横延伸機50、及び巻取機60を備えている。第1の実施形態に係るフィルム製造装置は、押出機10に連結されたTダイ20のリップ間の隙間からフィルム状の溶融樹脂82aを押し出す押出成形タイプのフィルム製造装置である。なお、図1では、ロボット機構71及び下ロール機構72の詳細部分は省略されている。
【0015】
図1に示した押出機10は、スクリュー式押出機である。押出機10では、x軸方向に延設されたシリンダ11の内部にx軸方向に延設されたスクリューが収容されている。シリンダ11のx軸負方向側端部の上側に、樹脂フィルム83の原料である樹脂ペレットを投入するためのホッパ13が設けられている。
【0016】
ホッパ13から供給された樹脂ペレットは、回転するスクリューの根元から先端に向かって、すなわちx軸正方向に搬送される。また、樹脂ペレットは、シリンダ11の内部において、加熱されると共に回転するスクリューによってせん断されて溶融し、溶融樹脂82に変化する。
【0017】
なお、図示しないが、スクリューには、例えば、減速機を介してモータが駆動源として連結される。また、シリンダ11の外周面には、長手方向の略全域に亘り、シリンダ11の内部を加熱するためのヒータが設けられており、シリンダ11の内部に投入された樹脂ペレットが加熱される。
【0018】
図1に示すように、Tダイ20は、押出機10の先端部(x軸正方向側端部)の下側に連結されている。Tダイ20の下端に位置するリップの隙間からフィルム状の溶融樹脂82aが下向き(z軸負方向)に押し出される。ここで、Tダイ20のリップ間隔を調整できる。製造される樹脂フィルム83の幅方向(y軸方向)における厚みが均一になるように、リップの長手方向(y軸方向)に沿った複数箇所において、Tダイ20のリップ間隔を調整できる。
【0019】
図1に示すように、冷却機30は、冷却ロールCR1~CR4を備える。
冷却ロールCR1は、Tダイ20から押し出されたフィルム状の溶融樹脂82aを冷却しつつ、フィルム状の溶融樹脂82aが固化した樹脂フィルム83を冷却ロールCR2に搬出する。冷却ロールCR1は、キャストロールとも呼ばれる。
【0020】
そして、図1に示すように、冷却ロールCR2~CR4は、この順に樹脂フィルム83を冷却しつつ搬送する。冷却ロールCR1~CR4のそれぞれは、図示しない駆動源によって駆動される駆動ロールでもよい。駆動源は、例えばサーボモータ等の可変速モータである。
【0021】
なお、冷却ロールCR1~CR4のそれぞれは、樹脂フィルム83を冷却するための冷却機構を備えていてもよい。また、冷却ロールCR1~CR4のそれぞれは、樹脂フィルム83を加熱するための加熱機構を備えていてもよい。冷却機30は、樹脂フィルム83を搬送する駆動ロールを複数備えるため、本実施形態に係るフィルム搬送機の一形態になり得る。
【0022】
図1に示すように、縦延伸機40は、冷却機30から搬出された樹脂フィルム83を搬送しつつ、長手方向に延伸する。図1に示した縦延伸機40は、11個のロールR1~R11を備えている。ロールR1~R11のそれぞれは、図示しない駆動源によって駆動される駆動ロールである。駆動源は、例えばサーボモータ等の可変速モータである。縦延伸機40は、本実施形態に係るフィルム搬送機の一形態である。
【0023】
なお、縦延伸機40は、樹脂フィルム83を搬送する複数の駆動ロールを備えればよく、縦延伸機40が備える駆動ロールの個数、配置は、適宜決定される。また、ロールR1~R11のそれぞれは、樹脂フィルム83を冷却するための冷却機構及び樹脂フィルム83を加熱するための加熱機構の少なくとも一方を備えてもよい。さらに、縦延伸機40は、樹脂フィルム83をロールR1~R11のいずれかに押し当てるためのニップロールを単数又は複数備えていてもよい。ニップロールは、駆動ロールではない。なお、フィルムの搬送経路において、縦延伸機40によりフィルムの縦延伸が行われる領域は、縦延伸領域とも呼ばれる。
【0024】
送り機構70は、縦延伸機40から搬出された樹脂フィルム83を、後続の横延伸機50に自動的に送る。これまで、縦延伸機40と横延伸機50とは、それぞれの送り機構が異なるため、縦延伸機40から搬出された樹脂フィルム83を、後続の横延伸機50に送るためには、複数人による手作業が必要であった。しかし、この作業は面倒で非効率あるので、本開示では、フィルムを把持する機能と送る機能を有するフィルムの送り機構70を新たに設けている。この送り機構70の詳細は、後述する。送り機構70は、本実施形態に係るフィルム搬送機の一形態になり得る。
【0025】
横延伸機50は、送り機構70から搬出された樹脂フィルム83をその幅方向(y軸方向)に延伸する。より詳細には、横延伸機50は、一対のレールRL1、RL2を備えている。そして、レールRL1、RL2の全体に、図示しない多数のクリップがスライド可能に並設されている。
【0026】
図1において、レールRL1、RL2に示した矢印は、クリップの移動方向を示している。図1に示すように、レールRL1、RL2は、クリップが樹脂フィルム83の搬送方向(x軸正方向)に進む往路とその逆方向(x軸負方向)に進む復路とを備えたループ構造を有している。すなわち、横延伸機50では、ループ構造を有するレールRL1、RL2に沿って、クリップが周回する。図1には示されていないが、クリップクローザ(図4の501)により、フィルムに対し、テンタークリップを閉じる動作が行われる。図1に示すように、レールRL1、RL2は、xz平面に平行な面に対して対称な構成を有している。
【0027】
図1に示すように、レールRL1及びレールRL2はいずれも、搬送方向(x軸正方向)に進む往路とその逆方向(x軸負方向)に進む復路とにおいて略平行に設けられている。レールRL1の復路は、樹脂フィルム83の幅方向外側(y軸負方向側)に設けられている。レールRL2の復路も、樹脂フィルム83の幅方向外側(y軸正方向側)に設けられている。
【0028】
図1に示すように、レールRL1、RL2の往路は、長手方向(x軸方向)の両端部に、x軸に平行な一対の平行部を備えると共に、両平行部の間に、y軸方向に斜行する斜行部を備えている。レールRL1の斜行部はy軸負方向に斜行し、レールRL2の斜行部はy軸正方向に斜行している。すなわち、レールRL1、RL2の往路の斜行部では、レールRL1とレールRL2とのy軸方向の間隔が、x軸正方向に進行するにつれて広くなっている。
【0029】
ここで、図1に示すレールRL1、RL2の往路において、樹脂フィルム83と接触した部分では、クリップが樹脂フィルム83の幅方向(y軸方向)両端部を把持しつつ、レールRL1、RL2に沿ってx軸正方向に移動する。そのため、図1に示すように、レールRL1、RL2の往路の斜行部では、樹脂フィルム83がx軸正方向に搬送されつつ、幅方向(y軸方向)に延伸される。他方、レールRL1、RL2の往路の平行部では、樹脂フィルム83はx軸正方向に搬送されるのみであって、幅方向(y軸方向)に延伸されない。
【0030】
図1に示す横延伸機50は、樹脂フィルム83を搬送するためのクリップを駆動させる駆動源を有している。駆動源は、例えばサーボモータ等の可変速モータである。横延伸機50は、本実施形態に係るフィルム搬送機の一形態になり得る。
【0031】
横延伸機50から搬出された樹脂フィルム83は、巻取機60によって巻き取られる。巻取機60は図示しない駆動源によって駆動される駆動ロールである。なお、巻取機60は、駆動源によって駆動される複数の駆動ロールを含んでもよい。その場合、巻取機60は、本実施形態に係るフィルム搬送機の一形態になり得る。なお、フィルムの搬送経路において、横延伸機50によりフィルムの横延伸が行われる領域は、横延伸領域とも呼ばれる。
【0032】
以上説明したように、本実施形態に係るフィルム搬送機は、冷却機30、縦延伸機40、送り機構70、横延伸機50、及び巻取機60の一部又は全部が、本実施形態に係るフィルム搬送機の一態様であり得る。
【0033】
<送り機構の全体構成>
図2は、フィルムの送り機構の構成を示す模式的斜視図である。一例として、送り機構70は、フィルムの搬送経路において、縦延伸機40の下流で、かつ横延伸機50の上流に設けられ得る。
【0034】
送り機構70は、先端部の下側にベルトコンベア711を有するロボットアーム715と、ベルトコンベア711の下に設けられ、複数のロールを有する昇降可能な下ロール台720と、を含む。下ロール台720は、昇降機構725により鉛直方向に昇降することができる。図2では、昇降機構725は、同期して昇降可能な3つの昇降ユニットを含む。下ロール台720は、フィルムを載せて送ることができるように、2列に配列された複数の右下ロールRUR及び左下ロールLURを含む。
【0035】
ロボットアーム715は、6軸の垂直多関節型ロボットアームであり得る。ロボットアーム715は、床上に固定されたベース部7150と、ベース部7150に旋回可能かつ傾動可能に設けられた第1リンク7151と、第1リンク7151の先端に傾動可能かつ傾動可能に設けられた第2リンク7152と、第2リンク7152の先端に傾動可能に設けられた手首部7153を含む。ロボットアームは、既知の様々なロボットアームを使用することもできる。
【0036】
ベルトコンベア711は、ロボットアーム715の先端部に取付部712を介して接続されている。ベルトコンベア711は、両端に設けられた複数のロール711R、711Rと、複数のロールに架け渡されたベルト7111を含む。ロール711Rは、モータ内蔵ロールである。ベルトコンベアは、既知の様々なベルトコンベアを使用することもできる。
【0037】
縦延伸機40から送られたフィルムをガイドするためのガイドロール729、729が設けられている。また、ガイドロール729、729の後には、2つの蛇行検知部90が設けられている。1つ以上の蛇行検知部90は、縦延伸機40の直後か、縦延伸機40と横延伸機50との間に配置され得る。
【0038】
<送り機構の動作>
図3は、フィルムの送り機構の動作を示す模式的斜視図である。
図3に示すように、送り機構70は、下ロール台720が上昇することで、上流から送られるフィルム83を載せる。次いで、ロボットアーム715がその先端部を下降させることで、ベルトコンベア711と下ロール台720との間にフィルム83を把持しながら、ベルトコンベア711の回転により、フィルム83を下流に向けて搬送するように構成されている。
【0039】
図1に示したように、縦延伸機40から送られるフィルム83は、経路両端に設けられたガイドロール729、729に沿って下ローラ機構72の下ロール台720の上方まで送られる。昇降機構725が駆動し、下ロール台720が所定位置まで上昇し、下ロール台720上にフィルム83を載せることができる。フィルム83は、縦延伸機40により、下ロール台720のロール上を下流に向かって移動する。下ロール台720上のロールは、2列に配列された複数の右下ロールRURと複数の左下ロールLURを含み得る。各ロールは、図示しない駆動源によって駆動される駆動ロールであってもよいし、駆動源を有しないフリーロールであってもよい。
【0040】
フィルム83が縦延伸機40(又は駆動ロール)により、下ロール台720のロール上の所定位置まで送られると、ロボットアーム715は、その先端部のベルトコンベア711を下降させる。具体的には、ベルトコンベア711は、図3に示すように、下ロール台720の複数の右下ロールRURに、略平行に下降し、その間にフィルム83を把持する。ベルトコンベア711は、複数のロール711R、711Rを駆動させると、ベルト7111と複数の右下ロールRURに把持されたフィルム83は、下流に送られる。なお、複数の右下ロールRURが駆動源を有する場合には、当該複数の右下ロールRURは、ベルトコンベア711の複数のロール711Rと同期して回転してもよい。
【0041】
図2及び図3では、複数の右下ロールRURに対応する一つのロボット機構71を示したが、複数の左下ロールLURに対応するもう一つの別のロボット機構を設けてもよい。あるいは、ロボット機構71は、複数の右下ロールRUR及び左下ロールLURにそれぞれ対応して、分岐した2つの第2リンク7152、7152を有してもよい。いくつかの実施形態では、ロボットアームの下側には、複数の左ロールに対応した第1コンベアと、複数の右ロールに対応した第2コンベアと、を有してもよい。この場合、第1コンベア及び第2コンベアは、それぞれ鉛直方向軸に対して回転可能に構成されている。
【0042】
上記のように、複数の右下ロールRURと、ベルトコンベア711との間に把持しながら、フィルムを下流に送ることで、フィルムのしわを伸ばすこともできる。
【0043】
いくつかの実施形態では、下ロール台720の上方に、フィルムの蛇行の有無を検知する蛇行検知部90(例えば、カメラ、レーザセンサ、エッジセンサなどの各種センサ)を設けてもよい。例えば、図2では、蛇行検知部90は、縦延伸領域後のフィルムの両端部を検知するエッジセンサである。蛇行検知部90により、フィルムの蛇行が検知された場合に、ロボットアーム715は、検知結果に基づいて、下ロール台720の上に載せられたフィルム83に対して、ベルトコンベア711を押し付けながら鉛直方向の軸回転を行ってもよい。例えば、フィルムが進行方向に対して左側に蛇行していた場合は、ロボットアーム715は、下ロール台720の上に載せられたフィルム83に対して、ベルトコンベア711を押し付けながら鉛直方向の右周りに軸回転を行う。これにより、フィルムの蛇行を修正することができ、後続するクリップクローザ501(図4)によるクリップを閉じる動作及び横延伸を適切に行うことができる。なお、ロボットアーム715の動作は、不図示の制御部により制御されている。当該制御部は、蛇行検知部90など各種センサからのセンサ信号を受信し、センサ信号に基づき、ロボットアーム等に関する各種駆動部を駆動させるように制御し得る。制御部は、記憶部に格納された各種プログラムに基づいて、各種制御を実行することができ、中央演算処理装置(CPU)、読出専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、入出力ポート(I/O)等により実現される。
【0044】
図4は、他の実施形態に係るフィルムの送り機構及びクリップ装置を示す模式的斜視図である。
前述の送り機構70の後には、フィルムの両端部にクリップ装置800が配置される。図4では、フィルムの左端部のためのクリップ装置800のみが図示されているが、フィルムの右端部のためのクリップ装置800も略対称にも配置され得る。
【0045】
送り機構70は、前述した通り、ベルトコンベア711と下ロール台720により、フィルムを把持しながら、クリップクローザ501の位置まで送る。一方のクリップクローザ501は、把持されたフィルムの一方の端部にクリップを閉じる。ついで、他方のクリップクローザ501は、把持されたフィルムの他方の端部にクリップを閉じる。左右に配置されたクリップクローザ501、501は、フィルムの両端部にクリップを閉じた後、送り機構70は、フィルムを下流に移動させることができる。このように、送り機構70は、横延伸のための、クリップクローザのクリップ留め動作を助けることができる。これにより、複数人による手作業が不要となり、フィルムの円滑な搬送を可能にすることができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、下ロール台720の上方に(例えば、ロボットアーム715の取付部712の下部に)、フィルム83のしわを検知するしわ検知部7121(例えば、カメラ)を設けてもよい。しわ検知部7121(例えば、カメラやエッジセンサ)は、ロボットアーム715とは離れた場所(例えば、天井など)であって、縦延伸機40とロボットアーム715との間に設けてもよい。ロボットアーム715は、フィルムの撮像画像に基づいて、下ロール台720の上に載せられたフィルム83に対して、図5に示すように、ベルトコンベア711を押し付けながら鉛直方向の軸回転を行うこともできる。これにより、フィルムの局所的なしわを除去することができる。他の実施形態では、2つのベルトコンベア711、711は、フィルムを抑えながら、図6に示すように左右に広がるように移動することで、フィルムのしわを除去することができる。なお、2つのベルトコンベアのうち、一方のベルトコンベアをフィルムの一方のエッジ付近に固定したまま、他方のベルトコンベアだけをフィルムの他方のエッジに向けて移動させて、フィルムのしわを除去してもよい。なお、ロボットアーム715の動作は、不図示の制御部により制御されている。当該制御部は、しわ検知部7121など各種センサからのセンサ信号を受信し、センサ信号に基づき、ロボットアーム等に関する各種駆動部を駆動させるように制御し得る。
【0047】
上述の例において、プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、又はその他の形式の伝搬信号を含む。
【0048】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。例えば、上記実施形態では、ベルトコンベアについて説明したが、ロールコンベアであってもよい。フィルムのしわ伸ばしの観点からは、ベルトコンベアを用いたほうが好適である。
【0049】
いくつかの実施形態では、先端部の下側にコンベアを有するロボットアームと、フィルムの下方に設けられた昇降可能な下ロール台であって、複数のロームを有する下ロール台と、を備えたフィルム搬送機を用いて、フィルムを上流から下流に向けて送るフィルム搬送方法は、前記下ロール台は上昇することで、上流から送られたフィルムを載せて、前記ロボットアームが下降することで、前記コンベアと前記下ロール台との間に前記フィルムを把持しながら、前記コンベアの回転により、前記フィルムを下流に向けて搬送する。
【0050】
いくつかの実施形態では、フィルム製造装置は、投入された樹脂原料を溶融させて押し出す押出機と、前記押出機に連結され、溶融樹脂をフィルム状に成形するダイと、前記ダイから押し出されたフィルム状の前記溶融樹脂を冷却しつつ、前記溶融樹脂が固化した樹脂フィルムを搬出する冷却ロールと、前記冷却ロールより下流に設けられ、フィルムを縦延伸するとともに下流に向けて送る縦延伸機と、先端部の下側にコンベアを有するロボットアーム、及び、前記コンベアの下に設けられ、複数のロールを有する昇降可能な下ロール台、を含む、前記フィルムを下流に送る送り機構と、前記送り機構より下流に設けられ、フィルムを横延伸するとともに下流に向けて送る横延伸機と、を備える。
【符号の説明】
【0051】
1 フィルム製造装置
10 押出機
11 シリンダ
13 ホッパ
20 Tダイ
30 冷却機
40 縦延伸機
50 横延伸機
60 巻取機
70 送り機構
71 ロボット機構
72 下ローラ機構
82a 溶融樹脂
83 フィルム
90 蛇行検知部
501 クリップクローザ
711 ベルトコンベア
712 取付部
715 ロボットアーム
720 下ロール台
725 昇降機構
729 ガイドロール
CR1~CR4 冷却ロール
R1~R11 ロール
RL1、RL2 レール
RUR 右下ロール
LUR 左下ロール
図1
図2
図3
図4
図5
図6