(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101124
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】グロメットおよびワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
H02G 3/22 20060101AFI20240722BHJP
H01B 17/58 20060101ALI20240722BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
H02G3/22
H01B17/58 C
B60R16/02 622
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004869
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 純平
【テーマコード(参考)】
5G333
5G363
【Fターム(参考)】
5G333AA09
5G333AB05
5G333AB28
5G333CB19
5G333CC04
5G333DA03
5G333DC03
5G333EA02
5G333EB08
5G363AA01
5G363BA02
5G363CB08
(57)【要約】
【課題】防水性を適正に確保することができるグロメットおよびワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【解決手段】グロメット2は、取付パネル100(取付対象)を軸線方向Xに沿って貫通する貫通孔101に嵌合し当該貫通孔101を止水するとともに内部に軸線方向Xに沿って配索材Wが挿通される挿通空間部25が設けられた本体部20と、本体部20の外周面20fに設けられ、貫通孔101の縁部101aに密着して本体部20の外周面20fと貫通孔101との間の環状の空間をシールする外周リップ部20dと、挿通空間部25の内周面25aに設けられ、配索材Wの外周面W1に密着して挿通空間部25の内周面25aと配索材Wとの間の環状の空間をシールし、かつ外周リップ部20dに対して軸線方向Xにずれて位置された内周リップ部20eと、を備えることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付対象を軸線方向に沿って貫通する貫通孔に嵌合し当該貫通孔を止水するとともに内部に前記軸線方向に沿って配索材が挿通される挿通空間部が設けられた本体部と、
前記本体部の外周面に設けられ、前記貫通孔の縁部に密着して前記本体部の前記外周面と前記貫通孔との間の環状の空間をシールする外周リップ部と、
前記挿通空間部の内周面に設けられ、前記配索材の外周面に密着して前記挿通空間部の前記内周面と前記配索材との間の環状の空間をシールし、かつ前記外周リップ部に対して前記軸線方向にずれて位置された内周リップ部と、
を備えることを特徴とする、グロメット。
【請求項2】
前記本体部には、前記軸線方向に並んで複数の前記外周リップ部が設けられ、
前記挿通空間部には、前記軸線方向に並んで複数の前記内周リップ部が設けられ、
前記複数の外周リップ部が集合した外周リップ領域と、前記複数の内周リップ部が集合した内周リップ領域と、が互いに前記軸線方向にずれて位置された、
請求項1に記載のグロメット。
【請求項3】
導電性を有する配索材と、
前記配索材に設けられるグロメットと、を備え、
前記グロメットは、
取付対象を軸線方向に沿って貫通する貫通孔に嵌合し当該貫通孔を止水するとともに内部に前記軸線方向に沿って配索材が挿通される挿通空間部が設けられた本体部と、
前記本体部の外周面に設けられ、前記貫通孔の縁部に密着して前記本体部の前記外周面と前記貫通孔との間の環状の空間をシールする外周リップ部と、
前記挿通空間部の内周面に設けられ、前記配索材の外周面に密着して前記挿通空間部の前記内周面と前記配索材との間の環状の空間をシールし、かつ前記外周リップ部に対して前記軸線方向にずれて位置された内周リップ部と、
を備えることを特徴とする、ワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グロメットおよびワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される従来のグロメットとして、例えば、特許文献1には、ワイヤハーネスが挿通される車体パネルに形成された貫通孔に取付けられるグロメットが開示されている。このグロメットは、車体パネルの貫通孔に嵌合し当該貫通孔を止水するとともに内部に配索材が挿通される挿通空間部が設けられた本体部と、本体部の外周面に設けられ貫通孔の縁部に密着する外周リップ部と、挿通空間部の内周面に設けられ配索材の外周面に密着する内周リップ部と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した従来のグロメットでは、例えば、防水性確保の点で更なる改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、防水性を適正に確保することができるグロメットおよびワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るグロメットは、取付対象を軸線方向に沿って貫通する貫通孔に嵌合し当該貫通孔を止水するとともに内部に前記軸線方向に沿って配索材が挿通される挿通空間部が設けられた本体部と、前記本体部の外周面に設けられ、前記貫通孔の縁部に密着して前記本体部の前記外周面と前記貫通孔との間の環状の空間をシールする外周リップ部と、前記挿通空間部の内周面に設けられ、前記配索材の外周面に密着して前記挿通空間部の前記内周面と前記配索材との間の環状の空間をシールし、かつ前記外周リップ部に対して前記軸線方向にずれて位置された内周リップ部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るグロメットおよびワイヤハーネスは、貫通孔の縁部と密着する外周リップ部と配索材の外周面と密着する内周リップ部とが互いに軸線方向にずれて配置されている。このため、グロメットおよびワイヤハーネスは、外周リップ部および内周リップ部への圧縮応力を分散させることができ、これにより外周リップ部および内周リップ部が摩耗することを抑制できる。この結果、グロメットおよびワイヤハーネスは、防水性を適正に確保することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るグロメットの例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るグロメットの例示的かつ模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[実施形態]
図1は、実施形態に係るグロメット2の斜視図であり、
図2は、グロメット2の断面図である。
図1、
図2に示すグロメット2は、車両等に配索されるワイヤハーネスWHに組み込まれるものである。ここで、ワイヤハーネスWHは、例えば、車両に搭載される各機器間の接続のために、複数の配索材Wを束にして集合部品とし、当該複数の配索材Wを各機器に接続するようにしたものである。本実施形態のワイヤハーネスWHは、導電性を有する配索材Wと、配索材Wに設けられるグロメット2と、を備える。なお、ワイヤハーネスWHは、この他、さらに、コルゲートチューブ、樹脂テープ、プロテクタ等の外装部材、電気接続箱、固定具など種々の構成部品を含んで構成されてもよい。
【0011】
ここで、配索材Wは、導電性を有し、車両に搭載される各機器間を接続し、電源供給や信号通信に用いられるものである。配索材Wは、例えば、金属棒、電線、電線束等によって構成される。金属棒は、導電性を有する棒状部材の外側を、絶縁性を有する被覆部によって覆ったものである。電線は、複数の導電性を有する金属素線からなる導体部(芯線)の外側を、絶縁性を有する被覆部によって覆ったものである。電線束は、当該電線を束ねたものである。
【0012】
そして、グロメット2は、取付対象である取付パネル100に形成された貫通孔101を介して当該取付パネル100を境界にして区画される2つの空間に渡って配索材Wを配索する際に当該貫通孔101に適用されるものである。取付パネル100は、例えば、車両のボデー等を構成する金属板であり、貫通孔101は、当該取付パネル100を板厚方向に沿って貫通する。取付パネル100を境界にして区画される2つの空間とは、典型的には、車内空間(例えば、キャビン)と車外空間(例えば、エンジンコンパートメント)である。そして、グロメット2は、ワイヤハーネスWHの配索材Wが挿通され当該配索材Wの周囲に外装された状態で貫通孔101に組み付けられることで、貫通孔101を通る配索材Wを保護するとともに当該貫通孔101を止水(防水)するものである。グロメット2は、貫通孔101の防水の他、防塵、遮音等の機能も有する。以下、各図を参照してグロメット2の構成について詳細に説明する。
【0013】
なお、以下の説明では、互いに交差する第1方向、第2方向、および第3方向のうち、第1方向を「軸線方向X」といい、第2方向を「第1交差方向Y」といい、第3方向を「第2交差方向Z」という。軸線方向Xと第1交差方向Yと第2交差方向Zとは、典型的には、相互に直交する。ここでは、軸線方向Xは、上述した取付パネル100の板厚方向に相当し、貫通孔101に対する配索材W、グロメット2の挿通方向に相当する。言い換えれば、軸線方向Xは、グロメット2に挿通された配索材Wの延在方向に沿う方向である。第1交差方向Y、および第2交差方向Zは、取付パネル100の延在方向に相当する。ここでは、説明をわかり易くするため便宜的に、配索材Wが軸線方向Xに沿って直線状に配索されるものとして説明するがこれに限らず、グロメット2が取付パネル100に取り付けられた状態で、軸線方向Xが屈曲した方向とされ、当該グロメット2および配索材Wが一部で屈曲されて設けられるものであってもよい。また、以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、グロメット2が取付パネル100に組み付けられた状態での方向として説明する。
【0014】
図1、
図2に示すように、本実施形態のグロメット2は、例えば、取付部材としての一対のブラケット3と一体化された状態で取付パネル100の貫通孔101に組み付けられている。ここでは、グロメット2および一対のブラケット3によってグロメット組立体1が構成されている。なお、
図1では、便宜上、一対のブラケット3のうちの一方のみを示している。
【0015】
一対のブラケット3は、例えば、互いに同一の仕様(形状)で形成された分割体であり、それぞれ、ベース部30と、突出部31と、取付部32と、を有している。一対のブラケット3は、互いに第1交差方向Yに隣接して設けられ、全体としてグロメット2の筒状部21の周囲を囲う略楕円の枠状に構成されている。
【0016】
ベース部30は、グロメット2の軸線方向Xの一端面20aに支持される部分である。ここでは、ベース部30は、グロメット2の第2交差方向Zの一端部と他端部との間の略全域を覆うように第2交差方向Zに沿って延びている。本実施形態では、一対のブラケット3のうち一方のベース部30は、筒状部21よりも第1交差方向Yの一方側で一端面20aに支持され、他方のベース部30は、筒状部21よりも第1交差方向Yの他方側で一端面20aに支持される。
【0017】
突出部31は、ベース部30と一体で第1交差方向Yに沿って突出して形成されグロメット2のポケット部22に挿入される部分である。ここでは、突出部31は、ベース部30から第1交差方向Yの中央側(ポケット部22側)に突出するように形成される。一対のブラケット3のうち一方の突出部31は、第1交差方向Yの両側に開放されたポケット部22のうちの一方に挿入され、他方の突出部31は、ポケット部22のうちの他方に挿入される。
【0018】
突出部31は、例えば、第1交差方向Yの中央側の先端面31aと、第2交差方向Zの両側の両端面31bと、を有し、軸線方向Xから見た場合に第1交差方向Yの中央側へ向けて先細りとなるテーパ状に構成されている。具体的には、先端面31aは、第1交差方向Yと直交した平坦面状に形成され、両端面31bは、筒状部21の外周面21aに沿って延びる円弧面状に形成されている。本実施形態では、このようなテーパ状の突出部31によって、ブラケット3のポケット部22への挿入性が高められている。
【0019】
取付部32は、ベース部30と一体で第2交差方向Zに沿って突出して形成され取付パネル100とベース部30とを結合するボルト等の結合具が軸線方向Xに貫通する部分である。ここでは、取付部32は、ベース部30の第2交差方向Zの両端部30cに設けられている。一対の取付部32は、両端部30cから第2交差方向Zにおいて互いに離れる方向に突出するように形成される。
【0020】
一対の取付部32には、それぞれ取付パネル100とブラケット3とを結合するボルト等の結合具が軸線方向Xに貫通する取付穴32a,32bが設けられている。ここでは、取付穴32a,32bは、第2交差方向Zにおいて互いに反対側の取付部32に設けられている。取付穴32bは、取付穴32aよりも大径の丸穴(通し穴)であり、他方のブラケット3の取付穴32aと軸線方向Xに重なって位置される。
【0021】
次に、グロメット2についてより詳しく説明する。
図1、
図2に示すように、グロメット2は、内部に配索材Wが軸線方向Xに沿って挿通され、取付パネル100の貫通孔101との間を止水可能なシール部材である。グロメット2は、本体部20と、一対の筒状部21と、ポケット部22と、を有し、これらが一体となって弾性体として形成される。グロメット2は、例えば、ゴムや熱可塑性エラストマー等、剛性が低く高い可撓性を有する絶縁性の弾性樹脂材料(例えば、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)等)により形成される。
【0022】
本体部20は、取付パネル100の貫通孔101に嵌合し当該貫通孔101を止水するとともに内部に軸線方向Xに沿って配索材Wが挿通される部分である。ここでは、本体部20は、例えば、
図2に示す嵌合溝部20cと、外周リップ部20dと、後述する内周リップ部20eと、を含んで構成される。
【0023】
嵌合溝部20cは、本体部20の外周面20fに形成される略環状の溝である。ここでは、嵌合溝部20cは、本体部20の軸線方向Xの他端面20b側(筒状部21とは反対側)に部分的に設けられている。言い換えると、本体部20は、嵌合溝部20cが設けられた小径部分と、嵌合溝部20cが設けられない大径部分と、を含んでいる。嵌合溝部20cは、本体部20が貫通孔101に嵌合した状態で、取付パネル100において貫通孔101を形成する縁部101aが嵌合される。
【0024】
外周リップ部20dは、嵌合溝部20cに沿って形成される襞状の止水部である。ここでは、外周リップ部20dは、嵌合溝部20c(本体部20)の外周面20fに沿って略円環状に形成される。本実施形態では、外周面20fには、軸線方向Xに並んで複数の外周リップ部20dが設けられており、これにより複数の外周リップ部20dが集合した外周リップ領域A1が形成されている。外周リップ領域A1は、外周リップ群や、外周リップ集合体、外周リップ密集体等とも称される。
【0025】
外周リップ領域A1における各外周リップ部20dは、貫通孔101の縁部101aが嵌合溝部20cに嵌合した状態で当該縁部101aの表面に接触し当該表面との間を止水する。外周リップ部20dは、弾性変形によって貫通孔101の縁部101aに密着し、貫通孔101の全周縁、すなわち縁部101aと外周面20fとの間の環状の空間をシールするよう構成される。
【0026】
図1に示すように、筒状部21は、本体部20と一体で筒状に形成され内部に軸線方向Xに沿って配索材Wが挿通される部分である。ここでは、本体部20には、第2交差方向Zに互いに間隔をあけて一対の筒状部21が設けられている。一対の筒状部21は、本体部20における第1交差方向Yの略中央部に位置されており、それぞれ内部に軸線方向Xに沿って配索材Wを挿通可能である。
【0027】
一対の筒状部21は、それぞれ本体部20の軸線方向Xの一端面20aから軸線方向Xに沿って一方側(嵌合溝部20cとは反対側)に突出するように形成される。筒状部21は、軸線方向Xに沿った中心軸を中心とした円筒状に形成され、軸線方向Xに沿って延在する。筒状部21は、軸線方向Xの一方側の端部が開口し、他方側の端部が本体部20に接続される。
【0028】
ポケット部22は、本体部20と一体で形成されたポケット構造であって内部に第1交差方向Yに沿ってブラケット3が挿入される部分である。本実施形態では、ポケット部22は、一対の筒状部21の間に渡って設けられている。ポケット部22には、一対のブラケット3に対して第1交差方向Yの両側に開放された一対の挿入空間部26が設けられている。
【0029】
上記のように構成されるグロメット2は、本体部20および筒状部21の内部空間部が挿通空間部25として機能する。挿通空間部25は、配索材Wが挿通される空間部であり、本体部20および筒状部21に渡って軸線方向Xに連続する。すなわち、グロメット2は、筒状部21および本体部20に渡って連通して形成される挿通空間部25に対して、軸線方向Xに沿って配索材Wを挿通可能である。
【0030】
また、
図2に示すように、挿通空間部25の内周面25aには、内周リップ部20eが設けられている。内周リップ部20eは、挿通空間部25に沿って形成される襞状の止水部である。ここでは、内周リップ部20eは、挿通空間部25の内周面25aに沿って略円環状に形成されている。
【0031】
また、本実施形態では、内周面25aには、軸線方向Xに並んで複数の内周リップ部20eが設けられており、これにより複数の内周リップ部20eが集合した内周リップ領域A2が形成されている。ここでは、軸線方向Xに互いに間隔をあけて複数の内周リップ領域A2が設けられている。内周リップ領域A2は、内周リップ群や、内周リップ集合体、内周リップ密集体等とも称される。
【0032】
内周リップ領域A2における各内周リップ部20eは、配索材Wが挿通空間部25に挿入された状態で配索材Wの外周面W1に接触し当該外周面W1との間を止水する。内周リップ部20eは、弾性変形によって配索材Wの外周面W1に密着し、配索材Wの全周縁、すなわち外周面W1と挿通空間部25の内周面25aとの間の環状の空間をシールするよう構成される。
【0033】
ここで、本実施形態では、内周リップ部20eは、上述した外周リップ部20dに対して軸線方向Xにずれて位置されている。具体的には、本実施形態では、上述した複数の外周リップ部20dを含む外周リップ領域A1に対して、複数の内周リップ部20eを含む内周リップ領域A2が軸線方向Xにずれて位置されている。外周リップ領域A1は、例えば、軸線方向Xに互いに間隔をあけて設けられた二つの内周リップ領域A2の間に配置されている。
【0034】
仮に、外周リップ部20dと内周リップ部20eとが軸線方向Xにおいて互いに同じ位置に設けられ、軸線方向Xと交差する第2交差方向Zに重なって配置された場合、外周リップ部20dおよび内周リップ部20eへの圧縮応力が高まってしまう虞がある。その点、本実施形態によれば、外周リップ部20dと内周リップ部20eとが軸線方向Xに互いにずれて配置されているため、外周リップ部20dおよび内周リップ部20eに圧縮応力が集中することを抑制できる。
【0035】
以上のように、本実施形態のグロメット2およびワイヤハーネスWHでは、貫通孔101の縁部101aと密着する外周リップ部20dと配索材Wの外周面W1と密着する内周リップ部20eとが互いに軸線方向Xにずれて配置されている。このため、グロメット2およびワイヤハーネスWHは、外周リップ部20dおよび内周リップ部20eへの圧縮応力を分散させることができ、これにより外周リップ部20dおよび内周リップ部20eが摩耗することを抑制できる。この結果、グロメット2およびワイヤハーネスWHは、防水性を適正に確保することができる。
【0036】
また、本実施形態のグロメット2およびワイヤハーネスWHでは、複数の外周リップ部20dが集合した外周リップ領域A1と、複数の内周リップ部20eが集合した内周リップ領域A2と、が互いに軸線方向Xにずれて位置されている。この構成により、グロメット2およびワイヤハーネスWHは、外周リップ領域A1および内周リップ領域A2への圧縮応力を分散させることができ、これにより複数の外周リップ部20dおよび複数の内周リップ部20eが摩耗することを抑制できる。この結果、グロメット2およびワイヤハーネスWHは、防水性をより一層適正に確保することができる。
【0037】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、形式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0038】
2 グロメット
20 本体部
20d 外周リップ部
20e 内周リップ部
20f 外周面
25 挿通空間部
25a 内周面
100 取付パネル(取付対象)
101 貫通孔
101a 縁部
A1 外周リップ領域
A2 内周リップ領域
W 配索材
W1 外周面
WH ワイヤハーネス
X 軸線方向