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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101129
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】コネクタ及び加締め圧着機
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6581 20110101AFI20240722BHJP
   H01R 43/048 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
H01R13/6581
H01R43/048 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004887
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹田 和也
【テーマコード(参考)】
5E021
5E063
【Fターム(参考)】
5E021FA08
5E021FC21
5E021LA09
5E021LA21
5E063XA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】シールドシェルと編組部材との間で高い保持力を得ること。
【解決手段】筒体10Aが設けられたシールドシェル10と、筒体の外周面10aに被せる筒状の編組部材20と、編組部材の上で加締めて編組部材を筒体に対して物理的且つ電気的に接続させる環状部材30と、を備え、筒体は、弧状の第1屈曲シールド部15と弧状の第2屈曲シールド部と弧状の第3屈曲シールド部17と弧状の第4屈曲シールド部とを有し、第1屈曲シールド部と第2屈曲シールド部と第3屈曲シールド部と第4屈曲シールド部は、それぞれの外周面側に編組部材で覆うエッジ部15a,17aを有し、環状部材は、環状の主体30Aの内周面30aから一周に亘って突出させ、かつ、編組部材を一周に亘って筒体に押し付ける環状突起30Bを有し、環状突起は、それぞれのエッジ部に編組部材を押し付けて食い込ませる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子付き電線を収容し且つ当該端子付き電線の電線を外方に引き出させたハウジングに外から被せる筒体が設けられたシールドシェルと、
前記筒体の外周面に被せ且つ前記ハウジングから引き出された前記電線に外から被せる筒状の編組部材と、
前記編組部材の上で加締めて前記編組部材を前記筒体に対して物理的且つ電気的に接続させる環状部材と、
を備え、
前記筒体は、互いに間隔を空けて対向配置された第1シールド部及び第2シールド部と、互いに間隔を空けて対向配置された第3シールド部及び第4シールド部と、前記第1シールド部及び前記第3シールド部の一端同士を繋ぐ弧状の第1屈曲シールド部と、前記第1シールド部の他端と前記第4シールド部の一端を繋ぐ弧状の第2屈曲シールド部と、前記第2シールド部の一端と前記第3シールド部の他端を繋ぐ弧状の第3屈曲シールド部と、前記第2シールド部及び前記第4シールド部の他端同士を繋ぐ弧状の第4屈曲シールド部と、で筒状に形成され、
前記第1屈曲シールド部と前記第2屈曲シールド部と前記第3屈曲シールド部と前記第4屈曲シールド部は、それぞれの外周面側に前記編組部材で覆うエッジ部を有し、
前記環状部材は、前記編組部材を一周に亘って覆う環状の主体と、前記主体の内周面から一周に亘って突出させ、かつ、前記編組部材を一周に亘って前記筒体に押し付ける環状突起と、を有し、
前記環状突起は、前記第1屈曲シールド部と前記第2屈曲シールド部と前記第3屈曲シールド部と前記第4屈曲シールド部のそれぞれの前記エッジ部に前記編組部材を押し付けて食い込ませることを特徴としたコネクタ。
【請求項2】
前記環状部材の前記主体は、前記第1屈曲シールド部と相似の弧状で且つ前記編組部材を前記第1屈曲シールド部に接続させる第1屈曲接続部と、前記第2屈曲シールド部と相似の弧状で且つ前記編組部材を前記第2屈曲シールド部に接続させる第2屈曲接続部と、前記第3屈曲シールド部と相似の弧状で且つ前記編組部材を前記第3屈曲シールド部に接続させる第3屈曲接続部と、前記第4屈曲シールド部と相似の弧状で且つ前記編組部材を前記第4屈曲シールド部に接続させる第4屈曲接続部と、を有し、
前記環状突起は、前記第1屈曲接続部の内周面から突出させ、前記編組部材を前記第1屈曲シールド部の前記エッジ部に押し付けて食い込ませる第1屈曲突起部と、前記第2屈曲接続部の内周面から突出させ、前記編組部材を前記第2屈曲シールド部の前記エッジ部に押し付けて食い込ませる第2屈曲突起部と、前記第3屈曲接続部の内周面から突出させ、前記編組部材を前記第3屈曲シールド部の前記エッジ部に押し付けて食い込ませる第3屈曲突起部と、前記第4屈曲接続部の内周面から突出させ、前記編組部材を前記第4屈曲シールド部の前記エッジ部に押し付けて食い込ませる第4屈曲突起部と、を有することを特徴とした請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第1屈曲突起部は、前記編組部材側の曲率が前記第1屈曲接続部の内周面の曲率よりも小さい弧状に形成され、
前記第2屈曲突起部は、前記編組部材側の曲率が前記第2屈曲接続部の内周面の曲率よりも小さい弧状に形成され、
前記第3屈曲突起部は、前記編組部材側の曲率が前記第3屈曲接続部の内周面の曲率よりも小さい弧状に形成され、
前記第4屈曲突起部は、前記編組部材側の曲率が前記第4屈曲接続部の内周面の曲率よりも小さい弧状に形成されることを特徴とした請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記エッジ部は、前記第1屈曲シールド部と前記第2屈曲シールド部と前記第3屈曲シールド部と前記第4屈曲シールド部のそれぞれに形成した貫通孔における外周面側の周縁部又は前記第1屈曲シールド部と前記第2屈曲シールド部と前記第3屈曲シールド部と前記第4屈曲シールド部のそれぞれの外周面に形成した溝における当該外周面側の周縁部であることを特徴とした請求項1,2又は3に記載のコネクタ。
【請求項5】
シールドシェルの筒体の外周面に被せた筒状の編組部材の上から更に被せた環状の環状部材を挟み込んで加圧し、前記編組部材の上で前記環状部材を加締めて前記編組部材を前記筒体に対して物理的且つ電気的に接続させる第1加締め型と第2加締め型を備え、
前記筒体は、互いに間隔を空けて対向配置された第1シールド部及び第2シールド部と、互いに間隔を空けて対向配置された第3シールド部及び第4シールド部と、前記第1シールド部及び前記第3シールド部の一端同士を繋ぐ弧状の第1屈曲シールド部と、前記第1シールド部の他端と前記第4シールド部の一端を繋ぐ弧状の第2屈曲シールド部と、前記第2シールド部の一端と前記第3シールド部の他端を繋ぐ弧状の第3屈曲シールド部と、前記第2シールド部及び前記第4シールド部の他端同士を繋ぐ弧状の第4屈曲シールド部と、で筒状に形成されたものであり、
前記第1屈曲シールド部と前記第2屈曲シールド部と前記第3屈曲シールド部と前記第4屈曲シールド部は、それぞれの外周面側に前記編組部材で覆うエッジ部を有するものであり、
前記環状部材は、前記編組部材を一周に亘って覆う環状の主体を有するものであり、
前記第1加締め型は、前記環状部材の前記主体の外周面に一方から圧を加えて当該主体を加締め変形させる上型加圧面と、前記上型加圧面から当該上型加圧面の周方向に沿って膨出させた上型突起と、を有し、
前記第2加締め型は、前記環状部材の前記主体の外周面に他方から圧を加えて当該主体を加締め変形させる下型加圧面と、前記下型加圧面から当該下型加圧面の周方向に沿って膨出させた下型突起と、を有し、
前記上型突起と前記下型突起は、前記環状部材の前記主体の外周面に圧を加えて当該主体の内周面から一周に亘って突出させ且つ前記編組部材を一周に亘って前記筒体に押し付ける環状突起を形成し、
前記上型突起は、前記環状突起を形成しながら当該環状突起で前記第1屈曲シールド部と前記第2屈曲シールド部のそれぞれの前記エッジ部に前記編組部材を押し付けて食い込ませ、
前記下型突起は、前記環状突起を形成しながら当該環状突起で前記第3屈曲シールド部と前記第4屈曲シールド部のそれぞれの前記エッジ部に前記編組部材を押し付けて食い込ませることを特徴とした加締め圧着機。
【請求項6】
前記環状部材の前記主体は、前記第1屈曲シールド部と相似の弧状で且つ前記編組部材を前記第1屈曲シールド部に接続させる第1屈曲接続部と、前記第2屈曲シールド部と相似の弧状で且つ前記編組部材を前記第2屈曲シールド部に接続させる第2屈曲接続部と、前記第3屈曲シールド部と相似の弧状で且つ前記編組部材を前記第3屈曲シールド部に接続させる第3屈曲接続部と、前記第4屈曲シールド部と相似の弧状で且つ前記編組部材を前記第4屈曲シールド部に接続させる第4屈曲接続部と、を有するものであり、
前記環状突起は、前記第1屈曲接続部の内周面から突出させ、前記編組部材を前記第1屈曲シールド部の前記エッジ部に押し付けて食い込ませる第1屈曲突起部と、前記第2屈曲接続部の内周面から突出させ、前記編組部材を前記第2屈曲シールド部の前記エッジ部に押し付けて食い込ませる第2屈曲突起部と、前記第3屈曲接続部の内周面から突出させ、前記編組部材を前記第3屈曲シールド部の前記エッジ部に押し付けて食い込ませる第3屈曲突起部と、前記第4屈曲接続部の内周面から突出させ、前記編組部材を前記第4屈曲シールド部の前記エッジ部に押し付けて食い込ませる第4屈曲突起部と、を有するものであり、
前記上型加圧面は、前記第1屈曲接続部の外周面と相似の弧状で且つ当該第1屈曲接続部を加締め変形させる第1上型屈曲加圧面と、前記第2屈曲接続部の外周面と相似の弧状で且つ当該第2屈曲接続部を加締め変形させる第2上型屈曲加圧面と、を有し、
前記下型加圧面は、前記第3屈曲接続部の外周面と相似の弧状で且つ当該第3屈曲接続部を加締め変形させる第1下型屈曲加圧面と、前記第4屈曲接続部の外周面と相似の弧状で且つ当該第4屈曲接続部を加締め変形させる第2下型屈曲加圧面と、を有し、
前記上型突起は、前記第1上型屈曲加圧面から膨出させ、かつ、前記第1屈曲突起部を形成する第1上型屈曲突起と、前記第2上型屈曲加圧面から膨出させ、かつ、前記第2屈曲突起部を形成する第2上型屈曲突起と、を有し、
前記下型突起は、前記第1下型屈曲加圧面から膨出させ、かつ、前記第3屈曲突起部を形成する第1下型屈曲突起と、前記第2下型屈曲加圧面から膨出させ、かつ、前記第4屈曲突起部を形成する第2下型屈曲突起と、を有し、
前記第1上型屈曲突起は、前記第1屈曲接続部側の曲率が前記第1上型屈曲加圧面の曲率よりも小さい弧状に形成され、
前記第2上型屈曲突起は、前記第2屈曲接続部側の曲率が前記第2上型屈曲加圧面の曲率よりも小さい弧状に形成され、
前記第1下型屈曲突起は、前記第3屈曲接続部側の曲率が前記第1下型屈曲加圧面の曲率よりも小さい弧状に形成され、
前記第2下型屈曲突起は、前記第4屈曲接続部側の曲率が前記第2下型屈曲加圧面の曲率よりも小さい弧状に形成されることを特徴とした請求項5に記載の加締め圧着機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ及び加締め圧着機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタにおいては、ハウジング内の端子金具や電線へのノイズの侵入を抑止するべく、そのハウジングに筒状のシールドシェルを被せた上で、このシールドシェルにシールド部材としての筒状の編組部材を被せる。そして、このコネクタにおいては、その編組部材の上から環状部材を加締めることによって、編組部材をシールドシェルに対して物理的且つ電気的に接続させる。この種のコネクタについては、例えば、下記の特許文献1から3に開示されている。
【0003】
ところで、コネクタにおいては、シールドシェルと編組部材の電気的な接続を維持するために、このシールドシェルと編組部材の物理的な接続を保つ必要がある。例えば、特許文献1の環状部材は、編組部材をシールドシェルに押し付ける凸部と、この凸部に設け、編組部材を突入させる貫通孔と、を平坦部分に有している。つまり、この特許文献1のコネクタにおいては、その平坦部分の貫通孔に編組部材を突入させることによって、凸部によるシールドシェルと編組部材との間の保持力を高めている。また、特許文献2のコネクタにおいては、シールドシェルと環状の導電部材の間にシールド部材を介在させ、これらを環状部材で加締めている。このコネクタにおいては、そのシールドシェルの平坦部分の凹部と導電部材の平坦部分の凸部とでシールド部材を挟み込むことによって、シールドシェルとシールド部材との間の保持力を高めている。また、特許文献3のコネクタにおいては、シールドシェルの外周面に環状溝を設け、かつ、この環状溝における平坦部分の溝底に突出部を設け、その環状溝の中で編組部材の上から環状部材を加締めることによって、シールドシェルと編組部材との間の保持力を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-252874号公報
【特許文献2】国際公開第2014/050849号
【特許文献3】特開2016-192317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のコネクタは、シールドシェルと編組部材との間で高い保持力を得る上で改善の余地がある。
【0006】
そこで、本発明は、シールドシェルと編組部材との間で高い保持力が得られるコネクタ及び加締め圧着機を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るコネクタは、端子付き電線を収容し且つ当該端子付き電線の電線を外方に引き出させたハウジングに外から被せる筒体が設けられたシールドシェルと、前記筒体の外周面に被せ且つ前記ハウジングから引き出された前記電線に外から被せる筒状の編組部材と、前記編組部材の上で加締めて前記編組部材を前記筒体に対して物理的且つ電気的に接続させる環状部材と、を備え、前記筒体は、互いに間隔を空けて対向配置された第1シールド部及び第2シールド部と、互いに間隔を空けて対向配置された第3シールド部及び第4シールド部と、前記第1シールド部及び前記第3シールド部の一端同士を繋ぐ弧状の第1屈曲シールド部と、前記第1シールド部の他端と前記第4シールド部の一端を繋ぐ弧状の第2屈曲シールド部と、前記第2シールド部の一端と前記第3シールド部の他端を繋ぐ弧状の第3屈曲シールド部と、前記第2シールド部及び前記第4シールド部の他端同士を繋ぐ弧状の第4屈曲シールド部と、で筒状に形成され、前記第1屈曲シールド部と前記第2屈曲シールド部と前記第3屈曲シールド部と前記第4屈曲シールド部は、それぞれの外周面側に前記編組部材で覆うエッジ部を有し、前記環状部材は、前記編組部材を一周に亘って覆う環状の主体と、前記主体の内周面から一周に亘って突出させ、かつ、前記編組部材を一周に亘って前記筒体に押し付ける環状突起と、を有し、前記環状突起は、前記第1屈曲シールド部と前記第2屈曲シールド部と前記第3屈曲シールド部と前記第4屈曲シールド部のそれぞれの前記エッジ部に前記編組部材を押し付けて食い込ませることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る加締め圧着機は、シールドシェルの筒体の外周面に被せた筒状の編組部材の上から更に被せた環状の環状部材を挟み込んで加圧し、前記編組部材の上で前記環状部材を加締めて前記編組部材を前記筒体に対して物理的且つ電気的に接続させる第1加締め型と第2加締め型を備え、前記筒体は、互いに間隔を空けて対向配置された第1シールド部及び第2シールド部と、互いに間隔を空けて対向配置された第3シールド部及び第4シールド部と、前記第1シールド部及び前記第3シールド部の一端同士を繋ぐ弧状の第1屈曲シールド部と、前記第1シールド部の他端と前記第4シールド部の一端を繋ぐ弧状の第2屈曲シールド部と、前記第2シールド部の一端と前記第3シールド部の他端を繋ぐ弧状の第3屈曲シールド部と、前記第2シールド部及び前記第4シールド部の他端同士を繋ぐ弧状の第4屈曲シールド部と、で筒状に形成されたものであり、前記第1屈曲シールド部と前記第2屈曲シールド部と前記第3屈曲シールド部と前記第4屈曲シールド部は、それぞれの外周面側に前記編組部材で覆うエッジ部を有するものであり、前記環状部材は、前記編組部材を一周に亘って覆う環状の主体を有するものであり、前記第1加締め型は、前記環状部材の前記主体の外周面に一方から圧を加えて当該主体を加締め変形させる上型加圧面と、前記上型加圧面から当該上型加圧面の周方向に沿って膨出させた上型突起と、を有し、前記第2加締め型は、前記環状部材の前記主体の外周面に他方から圧を加えて当該主体を加締め変形させる下型加圧面と、前記下型加圧面から当該下型加圧面の周方向に沿って膨出させた下型突起と、を有し、前記上型突起と前記下型突起は、前記環状部材の前記主体の外周面に圧を加えて当該主体の内周面から一周に亘って突出させ且つ前記編組部材を一周に亘って前記筒体に押し付ける環状突起を形成し、前記上型突起は、前記環状突起を形成しながら当該環状突起で前記第1屈曲シールド部と前記第2屈曲シールド部のそれぞれの前記エッジ部に前記編組部材を押し付けて食い込ませ、前記下型突起は、前記環状突起を形成しながら当該環状突起で前記第3屈曲シールド部と前記第4屈曲シールド部のそれぞれの前記エッジ部に前記編組部材を押し付けて食い込ませることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るコネクタは、環状部材の環状突起でシールドシェルの第1屈曲シールド部と第2屈曲シールド部と第3屈曲シールド部と第4屈曲シールド部のそれぞれのエッジ部に編組部材を押し付けて食い込ませており、シールドシェルと編組部材との間で高い保持力を得ることができる。また、本発明に係る加締め圧着機は、環状部材を編組部材とシールドシェルの筒体に加締め圧着させることによって、この環状部材に、シールドシェルの第1屈曲シールド部と第2屈曲シールド部と第3屈曲シールド部と第4屈曲シールド部のそれぞれのエッジ部に編組部材を押し付けて食い込ませる環状突起を形成することができる。このため、この加締め圧着機は、シールドシェルと編組部材との間で高い保持力が得られるコネクタを作り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態のコネクタのシールドシェルと編組部材と環状部材を示す斜視図である。
図2図2は、実施形態のコネクタのシールドシェルと編組部材と環状部材を示す平面図である。
図3図3は、図2のX-X線断面図である。
図4図4は、実施形態のコネクタにおけるシールドシェルと編組部材と環状部材の分解斜視図である。
図5図5は、シールドシェルを示す斜視図である。
図6図6は、シールドシェルを別角度から見た斜視図である。
図7図7は、環状部材を示す斜視図である。
図8図8は、環状部材の環状突起について説明する平面図である。
図9図9は、実施形態の第1加締め型と第2加締め型を示す斜視図である。
図10図10は、実施形態の第1加締め型と第2加締め型を別角度から見た斜視図である。
図11図11は、実施形態の第1加締め型と第2加締め型をコネクタと共に示す斜視図である。
図12図12は、第1加締め型の上型突起と第2加締め型の下型突起について説明する平面図である。
図13図13は、図3のA部で上型突起について説明する断面図である。
図14図14は、シールドシェルのエッジ部の変形形態を示す平面図である。
図15図15は、図14のX-X線断面の部分拡大図である。
図16図16は、シールドシェルのエッジ部の変形形態を示す平面図である。
図17図17は、図16のX-X線断面の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係るコネクタ及び加締め圧着機の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
[実施形態]
本発明に係るコネクタ及び加締め圧着機の実施形態の1つを図1から図17に基づいて説明する。
【0013】
図1から図6に示す符号1は、本実施形態のコネクタを示す。このコネクタ1は、端子付き電線(図示略)を収容し且つ当該端子付き電線の電線を外方に引き出させた絶縁性のハウジング(図示略)と、このハウジングに外から被せる筒体10Aが設けられたシールドシェル10と、その筒体10Aの外周面10aに被せ且つハウジングから引き出された電線に外から被せる筒状の導電性の編組部材20と、この編組部材20の上から更に被せ、この編組部材20の上で加締めて編組部材20を筒体10Aに対して物理的且つ電気的に接続させる導電性の環状部材30と、を備える(図1から図6)。このコネクタ1は、そのシールドシェル10と編組部材20でハウジング内の端子付き電線やハウジングから引き出された電線へのノイズの侵入を抑止するシールドコネクタである。
【0014】
シールドシェル10と編組部材20と環状部材30は、金属材料で成形されている。例えば、シールドシェル10は、金属板を母材としたプレス成形によって形作られる。また、編組部材20とは、導電性の素線を筒状で且つ網目状に編み上げたものである。また、環状部材30は、金属板を母材としたプレス成形で環状に形作られる。
【0015】
シールドシェル10の筒体10Aは、互いに間隔を空けて対向配置された第1シールド部11及び第2シールド部12と、互いに間隔を空けて対向配置された第3シールド部13及び第4シールド部14と、を有する(図3図5及び図6)。また、この筒体10Aは、第1シールド部11及び第3シールド部13の一端同士を繋ぐ弧状の第1屈曲シールド部15と、第1シールド部11の他端と第4シールド部14の一端を繋ぐ弧状の第2屈曲シールド部16と、第2シールド部12の一端と第3シールド部13の他端を繋ぐ弧状の第3屈曲シールド部17と、第2シールド部12及び第4シールド部14の他端同士を繋ぐ弧状の第4屈曲シールド部18と、を有する(図3図5及び図6)。この筒体10Aは、その第1シールド部11と第2シールド部12と第3シールド部13と第4シールド部14と第1屈曲シールド部15と第2屈曲シールド部16と第3屈曲シールド部17と第4屈曲シールド部18とで筒状に形成される。
【0016】
ここで示す筒体10Aは、第3シールド部13と第1屈曲シールド部15と第3屈曲シールド部17とによって構成され、第1シールド部11の一端と第2シールド部12の一端とを弧状に繋ぐ第1弧状シールド部19Aと、第4シールド部14と第2屈曲シールド部16と第4屈曲シールド部18とによって構成され、第1シールド部11の他端と第2シールド部12の他端とを弧状に繋ぐ第2弧状シールド部19Bと、を有している(図6)。そして、ここで示す筒体10Aは、第1シールド部11と第2シールド部12を長手方向とし、第1弧状シールド部19Aと第2弧状シールド部19Bを短手方向とする長円筒状に成形されている。
【0017】
第1屈曲シールド部15と第2屈曲シールド部16と第3屈曲シールド部17と第4屈曲シールド部18は、それぞれの外周面10a側に編組部材20で覆うエッジ部15a,16a,17a,18aを有している(図3図5及び図6)。
【0018】
このエッジ部15a,16a,17a,18aは、第1屈曲シールド部15と第2屈曲シールド部16と第3屈曲シールド部17と第4屈曲シールド部18のそれぞれに形成した貫通孔における外周面10a側の周縁部又は第1屈曲シールド部15と第2屈曲シールド部16と第3屈曲シールド部17と第4屈曲シールド部18のそれぞれの外周面10aに形成した溝における当該外周面10a側の周縁部である。この筒体10Aにおいては、第1屈曲シールド部15と第2屈曲シールド部16と第3屈曲シールド部17と第4屈曲シールド部18に貫通孔15b,16b,17b,18bを各々形成し、この貫通孔15b,16b,17b,18bにおける外周面10a側の周縁部をエッジ部15a,16a,17a,18aとする(図3図5及び図6)。ここでは、筒体10Aの周方向を長手方向とする矩形の貫通孔15b,16b,17b,18bが形成されている。
【0019】
環状部材30は、編組部材20を一周に亘って覆う環状の主体30Aと、この主体30Aの内周面30aから一周に亘って突出させ、かつ、編組部材20を一周に亘って筒体10Aに押し付ける環状突起30Bと、を有する(図1から図4図7及び図8)。
【0020】
主体30Aは、編組部材20を第1シールド部11に接続させる第1接続部31と、編組部材20を第2シールド部12に接続させる第2接続部32と、編組部材20を第3シールド部13に接続させる第3接続部33と、編組部材20を第4シールド部14に接続させる第4接続部34と、を有する(図1から図3図7及び図8)。また、この主体30Aは、第1屈曲シールド部15と相似の弧状で且つ編組部材20を第1屈曲シールド部15に接続させる第1屈曲接続部35と、第2屈曲シールド部16と相似の弧状で且つ編組部材20を第2屈曲シールド部16に接続させる第2屈曲接続部36と、第3屈曲シールド部17と相似の弧状で且つ編組部材20を第3屈曲シールド部17に接続させる第3屈曲接続部37と、第4屈曲シールド部18と相似の弧状で且つ編組部材20を第4屈曲シールド部18に接続させる第4屈曲接続部38と、を有する(図1から図3図7及び図8)。この主体30Aは、その第1接続部31と第2接続部32と第3接続部33と第4接続部34と第1屈曲接続部35と第2屈曲接続部36と第3屈曲接続部37と第4屈曲接続部38とで環状に形成される。
【0021】
ここで示す主体30Aは、第3接続部33と第1屈曲接続部35と第3屈曲接続部37とによって構成され、第1接続部31の一端と第2接続部32の一端とを弧状に繋ぐ第1弧状接続部39Aと、第4接続部34と第2屈曲接続部36と第4屈曲接続部38とによって構成され、第1接続部31の他端と第2接続部32の他端とを弧状に繋ぐ第2弧状接続部39Bと、を有している(図1図2図7及び図8)。そして、ここで示す主体30Aは、第1接続部31と第2接続部32を長手方向とし、第1弧状接続部39Aと第2弧状接続部39Bを短手方向とする長円環状に成形されている。
【0022】
環状突起30Bは、主体30Aの外周面30b側から内周面30a側へと環状に押し出された突起であり、後述する成形型によって形成される(図7及び図8)。ここでは、この環状突起30Bよりも突出量を低く抑えた仮形状の環状突起30Cが主体30Aに予め形成されており、この仮形状の環状突起30Cに環状部材30に対する成形型の位置決め機能を持たせている(図4)。
【0023】
この環状突起30Bは、編組部材20を第1シールド部11と第2シールド部12と第3シールド部13と第4シールド部14のそれぞれの外周面10aに押し付けることによって、この編組部材20をシールドシェル10の筒体10Aに対して物理的且つ電気的に接続させると共に、この物理的な接続状態を保持させる。更に、この環状突起30Bは、第1屈曲シールド部15と第2屈曲シールド部16と第3屈曲シールド部17と第4屈曲シールド部18のそれぞれのエッジ部15a,16a,17a,18aに編組部材20を押し付けて食い込ませることによって、編組部材20とシールドシェル10の筒体10Aとの間の保持力を高める。
【0024】
環状突起30Bは、第1接続部31の内周面30aから突出させ、編組部材20を第1シールド部11に押し付ける第1突起部31aと、第2接続部32の内周面30aから突出させ、編組部材20を第2シールド部12に押し付ける第2突起部32aと、第3接続部33の内周面30aから突出させ、編組部材20を第3シールド部13に押し付ける第3突起部33aと、第4接続部34の内周面30aから突出させ、編組部材20を第4シールド部14に押し付ける第4突起部34aと、を有する(図1から図3図7及び図8)。また、この環状突起30Bは、第1屈曲接続部35の内周面30aから突出させ、編組部材20を第1屈曲シールド部15のエッジ部15aに押し付けて食い込ませる第1屈曲突起部35aと、第2屈曲接続部36の内周面30aから突出させ、編組部材20を第2屈曲シールド部16のエッジ部16aに押し付けて食い込ませる第2屈曲突起部36aと、第3屈曲接続部37の内周面30aから突出させ、編組部材20を第3屈曲シールド部17のエッジ部17aに押し付けて食い込ませる第3屈曲突起部37aと、第4屈曲接続部38の内周面30aから突出させ、編組部材20を第4屈曲シールド部18のエッジ部18aに押し付けて食い込ませる第4屈曲突起部38aと、を有する(図1から図3図7及び図8)。この環状突起30Bは、その第1突起部31aと第2突起部32aと第3突起部33aと第4突起部34aと第1屈曲突起部35aと第2屈曲突起部36aと第3屈曲突起部37aと第4屈曲突起部38aとで環状に形成される。
【0025】
ここで示す環状突起30Bは、第3突起部33aと第1屈曲突起部35aと第3屈曲突起部37aとによって構成され、第1突起部31aの一端と第2突起部32aの一端とを弧状に繋ぐ第1弧状突起部39aと、第4突起部34aと第2屈曲突起部36aと第4屈曲突起部38aとによって構成され、第1突起部31aの他端と第2突起部32aの他端とを弧状に繋ぐ第2弧状突起部39bと、を有している(図7及び図8)。そして、ここで示す環状突起30Bは、第1突起部31aと第2突起部32aを長手方向とし、第1弧状突起部39aと第2弧状突起部39bを短手方向とする長円環状に成形されている。
【0026】
ここで、第1屈曲接続部35の内周面30aは、第1屈曲シールド部15の外周面10aの曲率と同等の曲率の壁面として形成されている。このため、第1屈曲突起部35aは、例えば、編組部材20側の曲率が第1屈曲接続部35の内周面30aの曲率よりも小さい弧状に形成される(図8)。これにより、この第1屈曲突起部35aは、編組部材20を第1屈曲シールド部15のエッジ部15aに押し付けて食い込ませることができる。ここで示す第1屈曲突起部35aは、第1屈曲シールド部15の外周面10a側から貫通孔15bに入り込ませることによって、編組部材20を第1屈曲シールド部15のエッジ部15aに押し付けて食い込ませる。
【0027】
また、第2屈曲接続部36の内周面30aは、第2屈曲シールド部16の外周面10aの曲率と同等の曲率の壁面として形成されている。このため、第2屈曲突起部36aは、例えば、編組部材20側の曲率が第2屈曲接続部36の内周面30aの曲率よりも小さい弧状に形成される(図8)。これにより、この第2屈曲突起部36aは、編組部材20を第2屈曲シールド部16のエッジ部16aに押し付けて食い込ませることができる。ここで示す第2屈曲突起部36aは、第2屈曲シールド部16の外周面10a側から貫通孔16bに入り込ませることによって、編組部材20を第2屈曲シールド部16のエッジ部16aに押し付けて食い込ませる。
【0028】
また、第3屈曲接続部37の内周面30aは、第3屈曲シールド部17の外周面10aの曲率と同等の曲率の壁面として形成されている。このため、第3屈曲突起部37aは、例えば、編組部材20側の曲率が第3屈曲接続部37の内周面30aの曲率よりも小さい弧状に形成される(図8)。これにより、この第3屈曲突起部37aは、編組部材20を第3屈曲シールド部17のエッジ部17aに押し付けて食い込ませることができる。ここで示す第3屈曲突起部37aは、第3屈曲シールド部17の外周面10a側から貫通孔17bに入り込ませることによって、編組部材20を第3屈曲シールド部17のエッジ部17aに押し付けて食い込ませる。
【0029】
また、第4屈曲接続部38の内周面30aは、第4屈曲シールド部18の外周面10aの曲率と同等の曲率の壁面として形成されている。このため、第4屈曲突起部38aは、例えば、編組部材20側の曲率が第4屈曲接続部38の内周面30aの曲率よりも小さい弧状に形成される(図8)。これにより、この第4屈曲突起部38aは、編組部材20を第4屈曲シールド部18のエッジ部18aに押し付けて食い込ませることができる。ここで示す第4屈曲突起部38aは、第4屈曲シールド部18の外周面10a側から貫通孔18bに入り込ませることによって、編組部材20を第4屈曲シールド部18のエッジ部18aに押し付けて食い込ませる。
【0030】
以上示したように、本実施形態のコネクタ1は、環状部材30の環状突起30Bでシールドシェル10の第1屈曲シールド部15と第2屈曲シールド部16と第3屈曲シールド部17と第4屈曲シールド部18のそれぞれのエッジ部15a,16a,17a,18aに編組部材20を押し付けて食い込ませており、シールドシェル10と編組部材20との間で高い保持力を得ることができる。
【0031】
また、本実施形態のコネクタ1は、シールドシェル10の第1屈曲シールド部15と第2屈曲シールド部16と第3屈曲シールド部17と第4屈曲シールド部18に形成した貫通孔15b,16b,17b,18b又は溝の周縁部をエッジ部15a,16a,17a,18aとする。このため、このコネクタ1は、シールドシェル10を鋳物としてではなくプレス成形で形作ることができるので、シールドシェル10の原価を低く抑えることができる。
【0032】
ところで、このコネクタ1においては、次のような加締め圧着機500が用いられる(図9から図12)。
【0033】
この加締め圧着機500は、環状部材30を挟み込んで加圧し、編組部材20の上で環状部材30を加締めて編組部材20をシールドシェル10の筒体10Aに対して物理的且つ電気的に接続させる第1加締め型510と第2加締め型520を備える(図9から図12)。例えば、ここでは、第2加締め型520を下型とし、この第2加締め型520に載せ置かれた環状部材30に向けて上型としての第1加締め型510を近づけながら、この第1加締め型510と第2加締め型520で環状部材30を挟み込んで加締めていく。
【0034】
第1加締め型510は、環状部材30の主体30Aの外周面30bに一方から圧を加えて当該主体30Aを加締め変形させる上型加圧面511と、この上型加圧面511から当該上型加圧面511の周方向に沿って膨出させた上型突起512と、を有する(図9から図12)。
【0035】
第2加締め型520は、環状部材30の主体30Aの外周面30bに他方から圧を加えて当該主体30Aを加締め変形させる下型加圧面521と、この下型加圧面521から当該下型加圧面521の周方向に沿って膨出させた下型突起522と、を有する(図9から図12)。
【0036】
上型加圧面511と下型加圧面521は、環状部材30の主体30Aの外周面30bに圧を加えて当該主体30Aを加締め変形させる。この上型加圧面511と下型加圧面521は、その主体30Aで編組部材20を一周に亘ってシールドシェル10の筒体10Aに押し付けるものであってもよく、そのような押し付けを行わない程度に主体30Aを加締め変形させるものであってもよい。
【0037】
上型加圧面511は、主体30Aの第1接続部31を加締め変形させる第1上型加圧面511aと、主体30Aの第3接続部33における第1接続部31側を加締め変形させる第2上型加圧面511bと、主体30Aの第4接続部34における第1接続部31側を加締め変形させる第3上型加圧面511cと、を有する(図9図10及び図12)。また、この上型加圧面511は、主体30Aの第1屈曲接続部35の外周面30bと相似の弧状で且つ当該第1屈曲接続部35を加締め変形させる第1上型屈曲加圧面511dと、主体30Aの第2屈曲接続部36の外周面30bと相似の弧状で且つ当該第2屈曲接続部36を加締め変形させる第2上型屈曲加圧面511eと、を有する(図9図10及び図12)。
【0038】
第1上型加圧面511aは、加締め変形させた第1接続部31で編組部材20を筒体10Aの第1シールド部11に押し付けるものであってもよく、そのような押し付けを行わない程度に第1接続部31を加締め変形させるものであってもよい。第2上型加圧面511bは、加締め変形させた第3接続部33における第1接続部31側で編組部材20を筒体10Aの第3シールド部13における第1シールド部11側に押し付けるものであってもよく、そのような押し付けを行わない程度に第3接続部33における第1接続部31側を加締め変形させるものであってもよい。第3上型加圧面511cは、加締め変形させた第4接続部34における第1接続部31側で編組部材20を筒体10Aの第4シールド部14における第1シールド部11側に押し付けるものであってもよく、そのような押し付けを行わない程度に第4接続部34における第1接続部31側を加締め変形させるものであってもよい。第1上型屈曲加圧面511dは、加締め変形させた第1屈曲接続部35で編組部材20を筒体10Aの第1屈曲シールド部15に押し付ける。第2上型屈曲加圧面511eは、加締め変形させた第2屈曲接続部36で編組部材20を筒体10Aの第2屈曲シールド部16に押し付ける。
【0039】
下型加圧面521は、主体30Aの第2接続部32を加締め変形させる第1下型加圧面521aと、主体30Aの第3接続部33における第2接続部32側を加締め変形させる第2下型加圧面521bと、主体30Aの第4接続部34における第2接続部32側を加締め変形させる第3下型加圧面521cと、を有する(図9図10及び図12)。また、この下型加圧面521は、主体30Aの第3屈曲接続部37の外周面30bと相似の弧状で且つ当該第3屈曲接続部37を加締め変形させる第1下型屈曲加圧面521dと、主体30Aの第4屈曲接続部38の外周面30bと相似の弧状で且つ当該第4屈曲接続部38を加締め変形させる第2下型屈曲加圧面521eと、を有する(図9図10及び図12)。
【0040】
第1下型加圧面521aは、加締め変形させた第2接続部32で編組部材20を筒体10Aの第2シールド部12に押し付けるものであってもよく、そのような押し付けを行わない程度に第2接続部32を加締め変形させるものであってもよい。第2下型加圧面521bは、加締め変形させた第3接続部33における第2接続部32側で編組部材20を筒体10Aの第3シールド部13における第2シールド部12側に押し付けるものであってもよく、そのような押し付けを行わない程度に第3接続部33における第2接続部32側を加締め変形させるものであってもよい。第3下型加圧面521cは、加締め変形させた第4接続部34における第2接続部32側で編組部材20を筒体10Aの第4シールド部14における第2シールド部12側に押し付けるものであってもよく、そのような押し付けを行わない程度に第4接続部34における第2接続部32側を加締め変形させるものであってもよい。第1下型屈曲加圧面521dは、加締め変形させた第3屈曲接続部37で編組部材20を筒体10Aの第3屈曲シールド部17に押し付ける。第2下型屈曲加圧面521eは、加締め変形させた第4屈曲接続部38で編組部材20を筒体10Aの第4屈曲シールド部18に押し付ける。
【0041】
また、上型突起512と下型突起522は、環状部材30の主体30Aの外周面30bに圧を加えて当該主体30Aの内周面30aから一周に亘って突出させ且つ編組部材20を一周に亘ってシールドシェル10の筒体10Aに押し付ける環状突起30Bを形成する。上型突起512は、更に、その環状突起30Bを形成しながら当該環状突起30Bで第1屈曲シールド部15と第2屈曲シールド部16のそれぞれのエッジ部15a,16aに編組部材20を押し付けて食い込ませる(図13)。下型突起522は、更に、その環状突起30Bを形成しながら当該環状突起30Bで第3屈曲シールド部17と第4屈曲シールド部18のそれぞれのエッジ部17a,18aに編組部材20を押し付けて食い込ませる。
【0042】
上型突起512は、第1上型加圧面511aから膨出させ、かつ、環状突起30Bの第1突起部31aを形成する第1上型突起512aと、第2上型加圧面511bから膨出させ、かつ、環状突起30Bの第3突起部33aにおける第1突起部31a側を形成する第2上型突起512bと、第3上型加圧面511cから膨出させ、かつ、環状突起30Bの第4突起部34aにおける第1突起部31a側を形成する第3上型突起512cと、を有する(図9図10及び図12)。また、この上型突起512は、第1上型屈曲加圧面511dから膨出させ、かつ、環状突起30Bの第1屈曲突起部35aを形成する第1上型屈曲突起512dと、第2上型屈曲加圧面511eから膨出させ、かつ、環状突起30Bの第2屈曲突起部36aを形成する第2上型屈曲突起512eと、を有する(図9図10及び図12)。
【0043】
下型突起522は、第1下型加圧面521aから膨出させ、かつ、環状突起30Bの第2突起部32aを形成する第1下型突起522aと、第2下型加圧面521bから膨出させ、かつ、環状突起30Bの第3突起部33aにおける第2突起部32a側を形成する第2下型突起522bと、第3下型加圧面521cから膨出させ、かつ、環状突起30Bの第4突起部34aにおける第2突起部32a側を形成する第3下型突起522cと、を有する(図9図10及び図12)。また、この下型突起522は、第1下型屈曲加圧面521dから膨出させ、かつ、環状突起30Bの第3屈曲突起部37aを形成する第1下型屈曲突起522dと、第2下型屈曲加圧面521eから膨出させ、かつ、環状突起30Bの第4屈曲突起部38aを形成する第2下型屈曲突起522eと、を有する(図9図10及び図12)。
【0044】
ここで、第1上型屈曲突起512dは、第1屈曲接続部35側の曲率が第1上型屈曲加圧面511dの曲率よりも小さい弧状に形成される(図12)。これにより、この第1上型屈曲突起512dは、編組部材20側の曲率が第1屈曲接続部35の内周面30aの曲率よりも小さい弧状の第1屈曲突起部35aを形成する。また、第2上型屈曲突起512eは、第2屈曲接続部36側の曲率が第2上型屈曲加圧面511eの曲率よりも小さい弧状に形成される(図12)。これにより、この第2上型屈曲突起512eは、編組部材20側の曲率が第2屈曲接続部36の内周面30aの曲率よりも小さい弧状の第2屈曲突起部36aを形成する。また、第1下型屈曲突起522dは、第3屈曲接続部37側の曲率が第1下型屈曲加圧面521dの曲率よりも小さい弧状に形成される(図12)。これにより、この第1下型屈曲突起522dは、編組部材20側の曲率が第3屈曲接続部37の内周面30aの曲率よりも小さい弧状の第3屈曲突起部37aを形成する。また、第2下型屈曲突起522eは、第4屈曲接続部38側の曲率が第2下型屈曲加圧面521eの曲率よりも小さい弧状に形成される(図12)。これにより、この第2下型屈曲突起522eは、編組部材20側の曲率が第4屈曲接続部38の内周面30aの曲率よりも小さい弧状の第4屈曲突起部38aを形成する。
【0045】
以上示した本実施形態の加締め圧着機500は、環状部材30を編組部材20とシールドシェル10の筒体10Aに加締め圧着させることによって、この環状部材30に、シールドシェル10の第1屈曲シールド部15と第2屈曲シールド部16と第3屈曲シールド部17と第4屈曲シールド部18のそれぞれのエッジ部15a,16a,17a,18aに編組部材20を押し付けて食い込ませる環状突起30Bを同じタイミングで形成する。このため、この加締め圧着機500は、シールドシェル10と編組部材20との間で高い保持力が得られるコネクタ1を作り出すことができる。
【0046】
ところで、ここまで例示してきたシールドシェル10においては、第1屈曲シールド部15と第2屈曲シールド部16と第3屈曲シールド部17と第4屈曲シールド部18にそれぞれ1つずつエッジ部15a,16a,17a,18aを設けている。但し、エッジ部15a,16a,17a,18aは、それぞれの第1屈曲シールド部15と第2屈曲シールド部16と第3屈曲シールド部17と第4屈曲シールド部18において少なくとも1つずつ設ければよい。
【0047】
図14及び図15に例示するシールドシェル10は、第1屈曲シールド部15と第2屈曲シールド部16と第3屈曲シールド部17と第4屈曲シールド部18に各々貫通孔115b,116b,117b,118bが3つずつ形成され、これらの貫通孔115b,116b,117b,118bにおける外周面10a側の周縁部をエッジ部115a,116a,117a,118aとするものである。つまり、このシールドシェル10の第1屈曲シールド部15と第2屈曲シールド部16と第3屈曲シールド部17と第4屈曲シールド部18は、それぞれの外周面10a側に編組部材20で覆うエッジ部115a,116a,117a,118aを3つずつ有している。その3つのエッジ部115a,116a,117a,118aは、シールドシェル10の筒体10Aの筒軸方向に並べられている。よって、シールドシェル10の筒体10Aは、その周方向に並ぶ第1屈曲シールド部15のエッジ部115aと第2屈曲シールド部16のエッジ部116aと第3屈曲シールド部17のエッジ部117aと第4屈曲シールド部18のエッジ部118aの組み合わせを3組有している。ここでは、筒体10Aの周方向を長手方向とする矩形の貫通孔115b,116b,117b,118bが形成されている。尚、ここでは、第3屈曲シールド部17のエッジ部117a及び貫通孔117bと第4屈曲シールド部18のエッジ部118a及び貫通孔118bの図示を省略している。
【0048】
この場合、第1加締め型510は、上型加圧面511から当該上型加圧面511の周方向に沿って膨出させた上型突起をエッジ部115a,116a,117a,118aの組み合わせ毎に設けている(図示略)。そして、第2加締め型520は、下型加圧面521から当該下型加圧面521の周方向に沿って膨出させた下型突起をエッジ部115a,116a,117a,118aの組み合わせ毎に設けている(図示略)。これにより、この第1加締め型510と第2加締め型520は、主体30Aの内周面30aから一周に亘って突出させ且つ編組部材20を一周に亘って筒体10Aに押し付ける環状突起を環状部材30に3つ形成する(図示略)。その3つの環状突起は、エッジ部115a,116a,117a,118aの組み合わせ毎に形成され、それぞれに編組部材20をエッジ部115a,116a,117a,118aに押し付けて食い込ませる。
【0049】
また、図16及び図17に例示するシールドシェル10は、第1屈曲シールド部15と第2屈曲シールド部16と第3屈曲シールド部17と第4屈曲シールド部18に各々溝215b,216b,217b,218bが3つずつ形成され、これらの溝215b,216b,217b,218bにおける外周面10a側の周縁部をエッジ部215a,216a,217a,218aとするものである。つまり、このシールドシェル10の第1屈曲シールド部15と第2屈曲シールド部16と第3屈曲シールド部17と第4屈曲シールド部18は、それぞれの外周面10a側に編組部材20で覆うエッジ部215a,216a,217a,218aを3つずつ有している。その3つのエッジ部215a,216a,217a,218aは、シールドシェル10の筒体10Aの筒軸方向に並べられている。よって、シールドシェル10の筒体10Aは、その周方向に並ぶ第1屈曲シールド部15のエッジ部215aと第2屈曲シールド部16のエッジ部216aと第3屈曲シールド部17のエッジ部217aと第4屈曲シールド部18のエッジ部218aの組み合わせを3組有している。ここでは、筒体10Aの周方向を長手方向とする矩形の溝215b,216b,217b,218bが形成されている。尚、ここでは、第3屈曲シールド部17のエッジ部217a及び溝217bと第4屈曲シールド部18のエッジ部218a及び溝218bの図示を省略している。
【0050】
この場合、第1加締め型510は、上型加圧面511から当該上型加圧面511の周方向に沿って膨出させた上型突起をエッジ部215a,216a,217a,218aの組み合わせ毎に設けている(図示略)。そして、第2加締め型520は、下型加圧面521から当該下型加圧面521の周方向に沿って膨出させた下型突起をエッジ部215a,216a,217a,218aの組み合わせ毎に設けている(図示略)。これにより、この第1加締め型510と第2加締め型520は、主体30Aの内周面30aから一周に亘って突出させ且つ編組部材20を一周に亘って筒体10Aに押し付ける環状突起を環状部材30に3つ形成する(図示略)。その3つの環状突起は、エッジ部215a,216a,217a,218aの組み合わせ毎に形成され、それぞれに編組部材20をエッジ部215a,216a,217a,218aに押し付けて食い込ませる。
【0051】
このように、本実施形態のコネクタ1及び加締め圧着機500は、シールドシェル10の筒体10Aにおけるエッジ部115a,116a,117a,118a(エッジ部215a,216a,217a,218a)の組み合わせ毎に、環状部材30の環状突起でシールドシェル10の第1屈曲シールド部15と第2屈曲シールド部16と第3屈曲シールド部17と第4屈曲シールド部18のそれぞれのエッジ部115a,116a,117a,118a(エッジ部215a,216a,217a,218a)に編組部材20を押し付けて食い込ませることができるので、シールドシェル10と編組部材20との間で高い保持力を得ることができる。
【符号の説明】
【0052】
1 コネクタ
10 シールドシェル
10A 筒体
10a 外周面
11 第1シールド部
12 第2シールド部
13 第3シールド部
14 第4シールド部
15 第1屈曲シールド部
15a エッジ部
16 第2屈曲シールド部
16a エッジ部
17 第3屈曲シールド部
17a エッジ部
18 第4屈曲シールド部
18a エッジ部
20 編組部材
30 環状部材
30A 主体
30B 環状突起
30a 内周面
30b 外周面
35 第1屈曲接続部
35a 第1屈曲突起部
36 第2屈曲接続部
36a 第2屈曲突起部
37 第3屈曲接続部
37a 第3屈曲突起部
38 第4屈曲接続部
38a 第4屈曲突起部
115a,116a,117a,118a,215a,216a,217a,218a エッジ部
500 加締め圧着機
510 第1加締め型
511 上型加圧面
511d 第1上型屈曲加圧面
511e 第2上型屈曲加圧面
512 上型突起
512d 第1上型屈曲突起
512e 第2上型屈曲突起
520 第2加締め型
521 下型加圧面
521d 第1下型屈曲加圧面
521e 第2下型屈曲加圧面
522 下型突起
522d 第1下型屈曲突起
522e 第2下型屈曲突起
図1
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