(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101130
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】可変バンドパスフィルタ
(51)【国際特許分類】
H01P 1/213 20060101AFI20240722BHJP
H01P 1/205 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
H01P1/213 F
H01P1/205 J
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004888
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人東海国立大学機構
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】中島 拓
(72)【発明者】
【氏名】堀 裕一
(72)【発明者】
【氏名】小林 和宏
【テーマコード(参考)】
5J006
【Fターム(参考)】
5J006HC01
5J006JA01
5J006KB02
5J006MA12
(57)【要約】
【課題】、十分広い可変帯域幅を確保しつつ、製造や調整が容易なミリ波・サブミリ波帯の可変バンドパスフィルタを提供する。
【解決手段】可変バンドパスフィルタ1は、入力ポート12と、分岐ポート14と、0度出力ポート16と、90度出力ポート18と、を備えた90度ハイブリッドカプラ10と、入力ポート12または分岐ポート14の一方に接続された第1導波管21と、0度出力ポート16または90度出力ポート18の一方に接続された第2導波管22と、第2導波管22の90度ハイブリッドカプラ10と反対側端部に接続された第1電波吸収体31と、0度出力ポート16または90度出力ポート18の他方に接続された第2電波吸収体32と、を備える。第1導波管21および第2導波管22を構成する内壁は、導波管の遮断周波数が変わるように移動可能な可動壁である。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力ポートと、分岐ポートと、0度出力ポートと、90度出力ポートと、を備えた90度ハイブリッドカプラと、
前記入力ポートまたは前記分岐ポートの一方に接続された第1導波管と、
前記0度出力ポートまたは前記90度出力ポートの一方に接続された第2導波管と、
前記第2導波管の前記90度ハイブリッドカプラと反対側端部に接続された第1電波吸収体と、
前記0度出力ポートまたは前記90度出力ポートの他方に接続された第2電波吸収体と、
を備え、
前記第1導波管および前記第2導波管を構成する内壁は、当該導波管の遮断周波数が変わるように移動可能な可動壁であることを特徴とする可変バンドパスフィルタ。
【請求項2】
前記0度出力ポートまたは前記90度出力ポートの他方と、前記第2電波吸収体との間に第3導波管が接続されており、
前記第3導波管を構成する内壁は、当該導波管の遮断周波数が変わるように移動可能な可動壁であることを特徴とする請求項1に記載の可変バンドパスフィルタ。
【請求項3】
前記第1導波管、前記第2導波管および前記第3導波管は、当該導波管内を電磁波が伝搬する方向と垂直な方向の断面が長方形の方形導波管であり、
前記可動壁は、長方形断面の短辺を構成する内壁であることを特徴とする請求項2に記載の可変バンドパスフィルタ。
【請求項4】
前記第1導波管は、前記入力ポートに接続されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の可変バンドパスフィルタ。
【請求項5】
前記第1導波管は、前記分岐ポートに接続されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の可変バンドパスフィルタ。
【請求項6】
前記入力ポートには、ミリ波帯またはサブミリ波帯の信号が入力することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の可変バンドパスフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、可変バンドパスフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
ミリ波帯(波長1-10mm、周波数30-300GHz)、サブミリ波帯またはテラヘルツ波帯(波長0.1mm-1mm、周波数300GHz-3THz)の電磁波領域は、電磁波が「波」として扱われる周波数の低い(すなわち、波長の長い)「電波」と、「粒子」として扱われる周波数の高い(すなわち、波長の短い)「赤外線」との狭間に位置する。すなわちミリ波・サブミリ波帯は、主に電波を扱うエレクトロニクス技術から、赤外線を扱うフォトニクス技術に遷移する領域となっている。このため発振・伝送・検出のいずれもが難しく、「電磁波に残された最後のフロンティア」とも呼ばれている。
【0003】
ミリ波・サブミリ波帯のような高周波の電波は、大容量通信や人体に安全なセンシングなどの将来技術として応用が期待されており、例えば環境計測、情報通信、医療・バイオ、非破壊検査、セキュリティなど多様な分野での実用化が世界的に研究されている。
【0004】
そうした状況下で、限られた電波資源を有効に活用していくためには、使用する周波数帯域を適切に選択できるバンドパスフィルタ(帯域通過フィルタ)が不可欠である。バンドパスフィルタは、電波の送受信に用いる機器にはもちろん、ミリ波・サブミリ波帯のコンポーネントの開発に用いられる種々の測定機器などにも必須のデバイスである。特に様々な用途への汎用性や応用性を考えると、バンドパスフィルタは、通過帯域がチューナブル(可変)であることが望ましい。以下、このような通過帯域が可変なバンドパスフィルタを「可変バンドパスフィルタ」と呼ぶ。
【0005】
バンドパスフィルタは、ミリ波・サブミリ波帯より低い周波数の電波領域では広く用いられており、周波数可変バンドパスフィルタも様々な方式の物が実用化されている。しかしミリ波・サブミリ波帯は、同軸ケーブルや平面回路を用いて伝送する低周波の電波とは異なり、導波管という金属管による立体伝送路が使われるため、フィルタを実現する技術が大きく異なる。周波数が固定された導波管型バンドパスフィルタは既に実用化されているのに対し、周波数可変のバンドパスフィルタの報告例は少ない。ミリ波帯(ここでは>100GHz)の周波数領域で、可変バンドパスフィルタの技術として報告されている先行技術には、以下の4つがある。
【0006】
(導波管型フィルタバンク)
フィルタバンクとは、使用帯域を複数の帯域に分け、その帯域ごとの固定周波数のバンドパスフィルタをスイッチで切り替える方式である(例えば、非特許文献1参照)。非特許文献1は、140-190GHz、185-260GHz、255-315GHzの3つの周波数帯を用いた試作結果を開示している。バンドパスフィルタの個数はそれぞれ7個、9個、8個である。可動式のフィルタ部は、アクチュエータを用いて位置を制御する。1つのバンドパスフィルタの通過帯域幅は、約10GHzに固定されている。
【0007】
この方式は、個々のバンドパスフィルタの形状が各周波数に最適化されているため、周波数特性がよく、比帯域も30%程度と広いという利点がある。しかし、通過する周波数は離散的であり、連続的に変化させることはできない。また、入力・出力側導波管と可動式のフィルタ部とのアライメントが重要である、などといった欠点がある。
【0008】
(ファブリペロー共振器)
導波管内に向い合せた2枚の部分透過鏡を用いてファブリペロー共振器を構成し、アクチュエータを用いて鏡面間の経路長を変えることで共振器長を変化させ、フィルタの通過帯域の中心周波数を変化させる方式である(例えば、非特許文献1参照)。特許文献1は、70-90GHzおよび110-140GHzの2つの周波数帯を用いた試作結果を開示している。このときの通過帯域幅は、それぞれ240-400MHzおよび350-600MHzである。実現された比帯域は25%程度となっている。
【0009】
この方式は共振器が可動部品を含む複数の部品で構成されるため、組み立て・アライメント調整が難しいこと、可動鏡のアクチュエータの位置再現性±0.2μmがフィルタの中心周波数に±30MHz程度の誤差を引き起こすことなどの欠点がある。
【0010】
(圧電薄膜共振器)
導波管内にEvanescentCavityを通じて一対の共振器を配置し、アクチュエータを用いてそれらを繋ぐ導波管壁の片側の薄膜を微小量移動(変形)させることで、通過帯域の中心周波数を変化させる方式である(例えば、非特許文献2参照)。非特許文献2の実験結果では、中心周波数107GHzに対し比帯域10%程度(約102-112GHz)というごく狭い範囲で可変である結果が開示されている。
【0011】
(球状誘電体共振器)
マイクロストリップラインによる平面回路上に球状の誘電体を配置し、誘電体を挟むように左右に設置した金属板の間隔を変えることで、回路の共振周波数を変化させると、回路の通過帯域の中心周波数が変化することを利用したフィルタ方式である(例えば、非特許文献3参照)。非特許文献3の実験結果では、中心周波数107GHzに対し比帯域3%程度(103.5-106.5GHz)というごく狭い範囲で可変であることが開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】河村尚志、待鳥誠範、「ミリ波帯テラヘルツ波帯スペクトラムアナライザ実現のための可変フィルタ技術の紹介」、アンリツテクニカル、No.94、pp.37-43(2018.12)
【非特許文献2】T. Do, Yusha Bey and X. Liu, "A high-Q W band tunable bandpass filter," 2016 IEEE MTT-S International M icrowave Symposium (IMS), 2016, pp. 1-4 (2016.8)
【非特許文献3】U. Dey, J. G. Marin, and J. Hesselbarth, "Low-loss and tunable millimeterwave filters using spherical dielectric resonators", International Journal of Microwave and Wireless Technologies 13, pp. 751-755 (2020.11)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
以上のように、ミリ波帯・サブミリ波帯の可変バンドパスフィルタはまだ研究開発の途上にある。本開示はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、十分広い可変帯域幅を確保しつつ、製造や調整が容易なミリ波帯・サブミリ波帯の可変バンドパスフィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の可変バンドパスフィルタは、入力ポートと、分岐ポートと、0度出力ポートと、90度出力ポートと、を備えた90度ハイブリッドカプラと、入力ポートまたは分岐ポートの一方に接続された第1導波管と、0度出力ポートまたは90度出力ポートの一方に接続された第2導波管と、第2導波管の90度ハイブリッドカプラと反対側端部に接続された第1電波吸収体と、0度出力ポートまたは90度出力ポートの他方に接続された第2電波吸収体と、を備える。第1導波管および第2導波管を構成する内壁は、当該導波管の遮断周波数が変わるように移動可能な可動壁である。
【0015】
ある実施の形態の可変バンドパスフィルタは、0度出力ポートまたは90度出力ポートの他方と、第2電波吸収体との間に第3導波管が接続されていてもよい。このとき、第3導波管を構成する内壁は、当該導波管の遮断周波数が変わるように移動可能な可動壁である。
【0016】
ある実施の形態では、第1導波管、第2導波管および第3導波管は、当該導波管内を電磁波が伝搬する方向と垂直な方向の断面が長方形の方形導波管であってもよい。このとき、可動壁は、長方形断面の短辺を構成する内壁である。
【0017】
ある実施の形態では、第1導波管は、入力ポートに接続されていてもよい。
【0018】
ある実施の形態では、第1導波管は、分岐ポートに接続されていてもよい。
【0019】
ある実施の形態では、入力ポートには、ミリ波帯またはサブミリ波帯の信号が入力してもよい。
【0020】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、十分広い可変帯域幅を確保しつつ、製造や調整が容易なミリ波帯・サブミリ波帯の可変バンドパスフィルタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図3】導波管内を伝搬する電磁波の挿入損失と反射損失の周波数依存性を示すグラフである。
【
図4】方形導波管の空洞部分の模式的な斜視図である。
【
図5】可変ハイパスフィルタの正面図および断面図である。
【
図6】
図5の可変ハイパスフィルタの外観写真である。
【
図7】マイクロメータヘッドにより内壁を移動させて遮断周波数を変えたときの、空洞での電磁波の伝搬強度を示すグラフである。
【
図9】90度ハイブリッドカプラのさらなる模式図である。
【
図10】第1の実施の形態に係る可変バンドパスフィルタの模式図である。
【
図11】第2の実施の形態に係る可変バンドパスフィルタの模式図である。
【
図12】第2の実施の形態に係る可変バンドパスフィルタの外観写真である。
【
図13】第3の実施の形態に係る可変バンドパスフィルタの模式図である。
【
図14】第2の実施の形態に係る可変バンドパスフィルタの実験およびシミュレーションの結果を示す図である。
【
図15】第2の実施の形態に係る可変バンドパスフィルタの別の実験結果を示す図である。
【
図16】変形例に係る可変バンドパスフィルタの方形導波管の模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本開示を好適な実施の形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施の形態及び変形例では、同一又は同等の構成要素、部材には同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示す。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要でない部材の一部は省略して表示する。また、第1、第2などの序数を含む用語が多様な構成要素を説明するために用いられるが、こうした用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0024】
具体的な実施の形態を述べる前に、基礎となる知見を説明する。
[導波管]
導波管は、電磁波の伝送に使われる構造体であり、典型的には、導波管内を電磁波が伝搬する方向と垂直な方向の断面形状が方形(方形導波管)または円形(円形導波管)の、導体製(通常は金属製)の管である。言い換えれば導波管は、導体の内壁で囲まれたトンネル状の伝送線路である。電磁波は、管の形状、寸法、波長(周波数)などに応じた電磁場を形成(この態様は伝播モードと呼ばれる)しながら、この導波管内を伝播する。
図1は、断面が長方形の方形導波管の模式図である。
【0025】
導波管で伝送可能な電磁波の最低周波数は、遮断周波数と呼ばれる。
図2は、
図1の方形導波管の断面図である。
図2のように座標系を定めたとき、この方形導波管の断面形状は、幅(x方向の長さ)がa、高さ(y方向の長さ)がbの長方形である。この導波管内をz方向に伝搬する電磁波は、TEモードとTMモードとに大別される。さらに各モードは、x方向次数nとy方向次数mとによって細分される。基本モードであるTE
10モードでこの導波管内を伝搬できる電磁波の最低周波数νは、
ν=c/2a
である(cは光速)。以下、この最低周波数νを遮断周波数と呼ぶ。すなわち方形導波管の遮蔽周波数は、当該方形導波管の断面長方形の長辺の長さ(この例ではa)で定義される。
【0026】
周波数がν未満の電磁波は導波管内を伝搬できないことから、導波管はハイパスフィルタ(高域通過フィルタ)として機能する。
図3は、ある導波管内を伝搬する電磁波の挿入損失(信号を入力端子に入力したとき、出力端子に通過する信号強度)と反射損失(信号を入力端子に入力したとき、反射して入力端子に戻る信号強度)の周波数依存性を示すグラフである。
図3より、この導波管はν(遮断周波数)=77GHzのハイパスフィルタとして機能することが分かる。
【0027】
[導波管を用いた可変ハイパスフィルタ]
前述のように、方形導波管の遮蔽周波数は当該方形導波管の断面長方形の長辺の長さで定まるので、この長辺の長さを可変とすることにより、導波管を用いて遮蔽周波数が可変なハイパスフィルタ(可変ハイパスフィルタ)を実現できると考えられる。
【0028】
図4は、方形導波管の空洞部分の模式的な斜視図である。ただしこの方形導波管は単純な直方体でなく、より良好なインピーダンス整合を取る目的で、両端(z軸方向の両端)に向けて管幅(x軸方向の長さ)をステップ状に広げた構造をしている。
図4に示すように、この導波管の長方形断面の短辺(y軸に平行な辺)を構成する内壁(y-z平面に平行な内壁)にx軸方向に力を加えることにより、当該内壁をx軸方向に移動させ、管幅(x軸方向の長さ)を変えることができる。
【0029】
図5に、上記の可変ハイパスフィルタ100を示す。左図は正面図であり、右図は断面図である。
図6は、
図5の可変ハイパスフィルタ100の外観写真である。可変ハイパスフィルタ100は、真鍮製のブロック104で囲まれた空洞102を備える。空洞102は、導波管として機能する。空洞102の長方形断面を持つ。この長方形断面の短辺を構成する内壁の1つ106は、マイクロメータヘッド108に接続されている。マイクロメータヘッド108が内壁106を押す(または引く)と、内壁106は空洞102の幅を狭める(または広げる)ように移動する。これにより、空洞102で構成される導波管の遮断周波数が変わる。
【0030】
図7は、マイクロメータヘッド108により内壁106を50μmずつ移動させて遮断周波数を変えたときの、空洞102での電磁波の伝搬強度を示すグラフである。図示されるように、可変帯域幅が75-105GHzのハイパスフィルタが実現されている。
【0031】
[90度ハイブリッドカプラ]
次に90度ハイブリッドカプラ(既存技術)について説明する。
図8および
図9は、典型的な90度ハイブリッドカプラ200の模式図である。90度ハイブリッドカプラ200は、入力ポート202と、分岐ポート204と、0度出力ポート206と、90度出力ポート208と、を備える。
図8に示されるように、入力ポート202に入力した電磁波は、90度ハイブリッドカプラ200内で分離されて、0度出力ポート206および90度出力ポート208から出力する(分岐ポート204からは出力しない)。0度出力ポート206から出力する電磁波と90度出力ポート208から出力する電磁波は、ともに同じ強度を持ち、位相が互いに90度ずれている。一方、
図9に示されるように、0度出力ポート206および90度出力ポート208に入力した電磁波は、90度ハイブリッドカプラ200内で合波されて、分岐ポート204から出力する(入力ポート202からは出力しない)。
【0032】
本発明者らは、上記の可変ハイパスフィルタと90度ハイブリッドカプラとを利用することにより、可変バンドパスフィルタを実現できることに気が付いた。以下、実施の形態に沿って、提案する可変バンドパスフィルタについて説明する。
【0033】
[第1の実施の形態]
図10は、本開示の第1の実施の形態に係る可変バンドパスフィルタ1の模式図である。可変バンドパスフィルタ1は、90度ハイブリッドカプラ10と、第1導波管21と、第2導波管22と、第1電波吸収体31と、第2電波吸収体32と、を備える。
【0034】
90度ハイブリッドカプラ10は、入力ポート12と、分岐ポート14と、0度出力ポート16と、90度出力ポート18と、を備える。
【0035】
第1導波管21は、90度ハイブリッドカプラ10の入力ポート12に接続される。第2導波管22は、90度ハイブリッドカプラ10の0度出力ポート16に接続される。第1電波吸収体31は、第2導波管22の90度ハイブリッドカプラ10と反対側端部に接続される。第2電波吸収体32は、90度ハイブリッドカプラ10の90度出力ポート18(すなわち、第2導波管22が接続されていない方の出力ポート)に接続される。
【0036】
第1導波管21および第2導波管22を構成する内壁は、当該導波管の遮断周波数が変わるように動かすことのできる可動壁である。例えば第1導波管21および第2導波管22は、
図5のタイプの可変ハイパスフィルタで実現されてもよい。しかしこれに限られず、第1導波管21および第2導波管22は、その内壁が当該導波管の遮断周波数が変わるように動かすことのできる可動壁であるようなものであれば、任意の好適なタイプの導波管であってよい。
【0037】
図10では、第1導波管21は、90度ハイブリッドカプラ10の入力ポート12に接続されている。しかし後述するように、これとは逆に、第1導波管21は、90度ハイブリッドカプラ10の分岐ポート14に接続されていてもよい。
【0038】
図10では、第2導波管22は90度ハイブリッドカプラ10の0度出力ポート16に接続され、第2電波吸収体32は90度ハイブリッドカプラ10の90度出力ポート18に接続されている。しかしこれとは逆に、第2導波管22が90度ハイブリッドカプラ10の90度出力ポート18に接続され、第2電波吸収体32が90度ハイブリッドカプラ10の0度出力ポート16に接続されていてもよい。
【0039】
以下、第1導波管21の遮断周波数をν1、第2導波管22の遮断周波数をν2とする。前述のように、遮断周波数ν1、ν2はいずれも可変である。以下で説明する例では、ν1<ν2となるように第1導波管21および第2導波管22を調整しておく。外部から(
図10の左から)電磁波が第1導波管21に入力したとき、第1導波管21は、当該電磁波の周波数がν1未満であればこれを遮断して反射し、ν1以上であればこれを透過する。すなわち、周波数がν1以上の電磁波のみが、90度ハイブリッドカプラ10の入力ポート12に入力する。
【0040】
90度ハイブリッドカプラ10内で分離され、0度出力ポート16から出力した電磁波は、第2導波管22に入力する。第2導波管22は、当該電磁波の周波数がν2未満であればこれを遮断して反射し、ν2以上であればこれを透過する。
【0041】
周波数がν2未満の電磁波は、第2導波管22で反射された後、90度ハイブリッドカプラ10の0度出力ポート16に再入力し、分岐ポート14から出力する。その結果、分岐ポート14から出力する電磁波の周波数はν1以上ν2未満となる。
【0042】
一方、周波数がν1以上の電磁波は、第2導波管22を透過した後、第1電波吸収体31で吸収される。従って、周波数がν1以上の電磁波は、90度ハイブリッドカプラ10の0度出力ポート16に再入力することはない。
【0043】
90度ハイブリッドカプラ10内で分離され、90度出力ポート18から出力した電磁波は、第2電波吸収体32で吸収される。従って、90度出力ポート18から出力した電磁波は、90度ハイブリッドカプラ10の90度出力ポート18に再入力することはない。
【0044】
以上のことから、可変バンドパスフィルタ1は、入力した電磁波のうち周波数がν1以上ν2未満の電磁波のみを出力するバンドパスフィルタとして動作する。遮断周波数ν1、ν2はいずれも可変であるので、透過させる電磁波の中心周波数および帯域幅を自由に変えることができる。
【0045】
さらに可変バンドパスフィルタ1は、既存の90度ハイブリッドカプラ、
図5のようなシンプルな可変ハイパスフィルタおよび既存の電波吸収体を使って構成できるので、製造も調整も容易である。
【0046】
以上説明したように、本実施の形態によれば、十分広い可変帯域幅を確保しつつ、製造や調整が容易な可変バンドパスフィルタを提供することができる。
【0047】
[第2の実施の形態]
図11は、本開示の第1の実施の形態に係る可変バンドパスフィルタ2の模式図である。可変バンドパスフィルタ1は、90度ハイブリッドカプラ10と、第1導波管21と、第2導波管22と、第3導波管23と、第1電波吸収体31と、第2電波吸収体32と、を備える。すなわち可変バンドパスフィルタ2は、
図10の可変バンドパスフィルタ1に対して、第3導波管23を追加的に備える。可変バンドパスフィルタ2のその他の構成は、可変バンドパスフィルタ1の構成と共通である。
【0048】
第1導波管21は、90度ハイブリッドカプラ10の入力ポート12に接続される。第2導波管22は、90度ハイブリッドカプラ10の0度出力ポート16に接続される。第3導波管23は、90度ハイブリッドカプラ10の90度出力ポート18に接続される。第1電波吸収体31は、第2導波管22の90度ハイブリッドカプラ10と反対側端部に接続される。第2電波吸収体32は、第3導波管23の90度ハイブリッドカプラ10と反対側端部に接続される。
【0049】
第1導波管21、第2導波管22および第3導波管23を構成する内壁は、当該導波管の遮断周波数が変わるように動かすことのできる可動壁である。例えば第1導波管21、第2導波管22および第3導波管23は、
図5のタイプの可変ハイパスフィルタで実現されてもよい。しかしこれに限られず、第1導波管21、第2導波管22および第3導波管23は、その内壁が当該導波管の遮断周波数が変わるように動かすことのできる可動壁であるようなものであれば、任意の好適なタイプの導波管であってよい。
【0050】
図11では、第1導波管21は、90度ハイブリッドカプラ10の入力ポート12に接続されている。しかし後述するように、これとは逆に、第1導波管21は、90度ハイブリッドカプラ10の分岐ポート14に接続されていてもよい。
【0051】
図11では、第2導波管22は90度ハイブリッドカプラ10の0度出力ポート16に接続され、第3導波管23は90度ハイブリッドカプラ10の90度出力ポート18に接続されている。しかしこれとは逆に、第2導波管22が90度ハイブリッドカプラ10の90度出力ポート18に接続され、第3導波管23が90度ハイブリッドカプラ10の0度出力ポート16に接続されていてもよい。
【0052】
以下、第1導波管21の遮断周波数をν1、第2導波管22の遮断周波数をν2、第3導波管23の遮断周波数を第2導波管22と同じくν2とする。前述のように、遮断周波数ν1、ν2はいずれも可変である。以下で説明する例では、ν1<ν2となるように第1導波管21および第2導波管22を調整しておく。外部から(
図11の左から)電磁波が第1導波管21に入力したとき、第1導波管21は、当該電磁波の周波数がν1未満であればこれを遮断して反射し、ν1以上であればこれを透過する。すなわち、周波数がν1以上の電磁波のみが、90度ハイブリッドカプラ10の入力ポート12に入力する。
【0053】
90度ハイブリッドカプラ10内で分離され、0度出力ポート16から出力した電磁波は、第2導波管22に入力する。第2導波管22は、当該電磁波の周波数がν2未満であればこれを遮断して反射し、ν2以上であればこれを透過する。
【0054】
周波数がν2未満の電磁波は、第2導波管22で反射された後、90度ハイブリッドカプラ10の0度出力ポート16に再入力し、分岐ポート14から出力する。その結果、分岐ポート14から出力する電磁波の周波数はν1以上ν2未満となる。
【0055】
一方、周波数がν1以上の電磁波は、第2導波管22を透過した後、第1電波吸収体31で吸収される。従って、周波数がν1以上の電磁波は、90度ハイブリッドカプラ10の0度出力ポート16に再入力することはない。
【0056】
90度ハイブリッドカプラ10内で分離され、90度出力ポート18から出力した電磁波は、第3導波管23に入力する。第3導波管23は、当該電磁波の周波数がν2未満であればこれを遮断して反射し、ν2以上であればこれを透過する。
【0057】
周波数がν2未満の電磁波は、第3導波管23で反射された後、90度ハイブリッドカプラ10の90度出力ポート18に再入力し、分岐ポート14から出力する。その結果、分岐ポート14から出力する電磁波の周波数はν1以上ν2未満となる。
【0058】
一方、周波数がν2以上の電磁波は、第3導波管23を透過した後、第2電波吸収体32で吸収される。従って、周波数がν1以上の電磁波は、90度ハイブリッドカプラ10の0度出力ポート16に再入力することはない。
【0059】
このように、90度ハイブリッドカプラ10の分岐ポート14からは、周波数がν1以上ν2未満の電磁波(第2導波管22で反射された電磁波と、第3導波管23で反射された電磁波と、が合波されたもの)が出力する。すなわち可変バンドパスフィルタ2は、入力した電磁波のうち周波数がν1以上ν2未満の電磁波のみを出力するバンドパスフィルタとして動作する。遮断周波数ν1、ν2はいずれも可変であるので、透過電磁波の中心周波数および帯域幅を自由に変えることができる。
【0060】
さらに
図10の可変バンドパスフィルタ1では、90度ハイブリッドカプラ内で分岐され、90度出力ポート18から出力した電磁波は、すべて第2電波吸収体32で吸収される。従って90度出力ポート18から出力した電磁波は、周波数がν2未満のものであっても分岐ポート14に戻らない。結果として、これはフィルタの損失となる。一方、可変バンドパスフィルタ2では、90度出力ポート18から出力した電磁波も、周波数がν2未満であるものは第3導波管23で反射されて分岐ポート14に戻る。すなわち、可変バンドパスフィルタ2は、可変バンドパスフィルタ1に比べて、2倍程度効率が改善されている。
【0061】
以上説明したように、本実施の形態によれば、可変バンドパスフィルタの効率を改善することができる。
【0062】
図12に、
図5のタイプの可変ハイパスフィルタを用いて構成した可変バンドパスフィルタ2の外観写真を示す。
【0063】
[第3の実施の形態]
図13は、本開示の第3の実施の形態に係る可変バンドパスフィルタ3の模式図である。可変バンドパスフィルタ3は、90度ハイブリッドカプラ10と、第1導波管21と、第2導波管22と、第1電波吸収体31と、第2電波吸収体32と、を備える。
【0064】
90度ハイブリッドカプラ10は、入力ポート12と、分岐ポート14と、0度出力ポート16と、90度出力ポート18と、を備える。
【0065】
第1導波管21は、90度ハイブリッドカプラ10の分岐ポート14に接続される。第2導波管22は、90度ハイブリッドカプラ10の0度出力ポート16に接続される。第1電波吸収体31は、第2導波管22の90度ハイブリッドカプラ10と反対側端部に接続される。第2電波吸収体32は、90度ハイブリッドカプラ10の90度出力ポート18(すなわち、第2導波管22が接続されていない方の出力ポート)に接続される。
【0066】
第1導波管21および第2導波管22を構成する内壁は、当該導波管の遮断周波数が変わるように動かすことのできる可動壁である。例えば第1導波管21および第2導波管22は、
図5のタイプの可変ハイパスフィルタで実現されてもよい。しかしこれに限られず、第1導波管21および第2導波管22は、その内壁が当該導波管の遮断周波数が変わるように動かすことのできる可動壁であるようなものであれば、任意の好適なタイプの導波管であってよい。
【0067】
以下、第1導波管21の遮断周波数をν11、第2導波管22の遮断周波数をν12とする。前述のように、遮断周波数ν11、ν12はいずれも可変である。以下で説明する例では、ν11<ν12となるように第1導波管21および第2導波管22を調整しておく。外部から(
図13の左から)の電磁波は、90度ハイブリッドカプラ10の入力ポート11に入力する。入力ポート11にした電磁波は、90度ハイブリッドカプラ10内で分離される。
【0068】
90度ハイブリッドカプラ10内で分離され、0度出力ポート16から出力した電磁波は、第2導波管22に入力する。第2導波管22は、当該電磁波の周波数がν12未満であればこれを遮断して反射し、ν12以上であればこれを透過する。
【0069】
周波数がν12未満の電磁波は、第2導波管22で反射された後、90度ハイブリッドカプラ10の0度出力ポート16に再入力し、分岐ポート14から出力する。このとき分岐ポート14から出力する電磁波の周波数はν12未満である。
【0070】
90度ハイブリッドカプラ10内で分離され、90度出力ポート18から出力した電磁波は、第2電波吸収体32で吸収される。従って、90度出力ポート18から出力した電磁波は、90度ハイブリッドカプラ10の90度出力ポート18に再入力することはない。
【0071】
分岐ポート14から出力した周波数がν12未満の電磁波は、第1導波管21に入力する。第1導波管21は、当該電磁波の周波数がν11未満であればこれを遮断し、ν11以上であればこれを透過する。従って第1導波管21は、周波数がν11以上ν12未満の電磁波のみを外部に出力する。
【0072】
以上のことから、可変バンドパスフィルタ3は、入力した電磁波のうち周波数がν11以上ν12未満の電磁波のみを出力するバンドパスフィルタとして動作する。遮断周波数ν11、ν12はいずれも可変であるので、透過電磁波の中心周波数および帯域幅を自由に変えることができる。
【0073】
さらに可変バンドパスフィルタ3は、既存の90度ハイブリッドカプラ、
図5のようなシンプルな可変ハイパスフィルタおよび既存の電波吸収体を使って構成できるので、製造も調整も容易である。
【0074】
以上説明したように、本実施の形態によれば、十分広い可変帯域幅を確保しつつ、製造や調整が容易な可変バンドパスフィルタを提供することができる。
【0075】
以上説明した実施の形態全体を通じて、構成部品の導波管は、当該導波管内を電磁波が伝搬する方向と垂直な方向の断面が長方形の方形導波管であってよい。このとき、可動壁は、長方形断面の短辺を構成する内壁である。
【0076】
このように導波管の具体的な構成を定めることにより、可変バンドパスフィルタの製造をより容易にすることができる。
【0077】
[検証実験]
本発明者らは、本開示の可変バンドパスフィルタの性能を検証するための実験とシミュレーションを行った。このとき、上記の第2の実施の形態の可変バンドパスフィルタを用いた。
図14に結果を示す。実線は実測値であり、点線は電磁界シミュレーションによる解析結果である。実測値には若干の効率低下や波形の乱れがあるものの、ほぼシミュレーションと同等の結果が得られていることが分かる。これらの実験により、実施の形態の可変バンドパスフィルタは、中心周波数が75~105GHzの範囲で可変である(すなわち、可変帯域幅が30GHzである)ことが検証できた。
【0078】
図15に、実施の形態の可変バンドパスフィルタを用いた別の実験結果を示す。この実験では、導波管の遮断周波数を調整することにより、
図14の実験より狭い通過帯域幅を実現している。このように、実施の形態の可変バンドパスフィルタは、通過させる電磁波の中心周波数のみならず、帯域幅も自由に変えることができる。これらの実験により、実施の形態の可変バンドパスフィルタは、例えば中心周波数が90GHzのミリ波では、2.3~25.4GHzの通過周波数帯域幅を実現できることが検証できた。
【0079】
[本開示の各態様]
以下、本開示の各態様についてまとめる。本開示のある態様の可変バンドパスフィルタは、入力ポートと、分岐ポートと、0度出力ポートと、90度出力ポートと、を備えた90度ハイブリッドカプラと、入力ポートまたは分岐ポートの一方に接続された第1導波管と、0度出力ポートまたは90度出力ポートの一方に接続された第2導波管と、第2導波管の90度ハイブリッドカプラと反対側端部に接続された第1電波吸収体と、0度出力ポートまたは90度出力ポートの他方に接続された第2電波吸収体と、を備える。第1導波管および第2導波管を構成する内壁は、当該導波管の遮断周波数が変わるように移動可能な可動壁である。
【0080】
この態様によれば、十分広い可変帯域幅を確保しつつ、製造や調整が容易な可変バンドパスフィルタを提供することができる。
【0081】
ある態様では、形態可変バンドパスフィルタは、0度出力ポートまたは90度出力ポートの他方と、第2電波吸収体との間に第3導波管が接続されている。このとき、第3導波管を構成する内壁は、当該導波管の遮断周波数が変わるように移動可能な可動壁である。
【0082】
この態様によれば、可変バンドパスフィルタの効率を改善することができる。
【0083】
ある態様では、第1導波管、第2導波管および第3導波管は、当該導波管内を電磁波が伝搬する方向と垂直な方向の断面が長方形の方形導波管であってもよい。このとき、可動壁は、長方形断面の短辺を構成する内壁である。
【0084】
この態様によれば、導波管の具体的な構成を定めることができるので、可変バンドパスフィルタの製造がより容易となる。
【0085】
ある態様では、第1導波管は、入力ポートに接続されている。
【0086】
この態様によれば、十分広い可変帯域幅を確保しつつ、製造や調整が容易な可変バンドパスフィルタを提供することができる。
【0087】
ある態様では、第1導波管は、分岐ポートに接続されている。
【0088】
この態様によれば、十分広い可変帯域幅を確保しつつ、製造や調整が容易な可変バンドパスフィルタを提供することができる。
【0089】
ある態様では、入力ポートには、ミリ波帯またはサブミリ波帯の信号が入力する。
【0090】
この態様によれば、ミリ波帯またはサブミリ波帯の信号のための可変バンドパスフィルタを提供することができる。
【0091】
以上、本開示のいくつかの実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本開示の特許請求の範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本開示の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【0092】
[変形例1]
上記の実施の形態では、構成部品の導波管は、当該導波管内を電磁波が伝搬する方向と垂直な方向の断面が長方形の方形導波管であった。しかしこれに限られず、導波管は、その内壁が当該導波管の遮断周波数が変わるように移動可能な可動壁であれば、任意の好適な導波管であってよい。例えば、構成部品の導波管は、円形導波管であってもよい。
【0093】
この変形例によれば、構成の自由度を上げることができる。
【0094】
[変形例2]
図4の方形導波管では、長方形断面の長辺側についてのみ、管幅を、管の両端に向けてステップ状に広げた構造をしている。しかしこれに限られず、ステップは短辺側にも持たせてもよい。
図16に、長辺側および短辺側の両方にステップを設けた方形導波管を模式的に示す。
【0095】
この変形例によれば、長辺側・短辺側両方にステップを設けることによりインピーダンス整合がさらに改善されるので、可変バンドパスフィルタの反射特性のさらなる向上が期待できる。
【0096】
[変形例3]
図4および
図16の方形導波管は、管幅がステップ状に変化している。しかしこれに限られず、例えば管幅はテーパ状に変化していてもよい。
【0097】
この変形例によれば、構成の自由度を上げることができる。
【0098】
上述した各実施の形態と変形例の任意の組み合わせもまた本開示の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる各実施の形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【0099】
実施の形態および変形例を抽象化した技術的思想を理解するにあたり、その技術的思想は実施の形態および変形例の内容に限定的に解釈されるべきではない。前述した実施の形態および変形例は、いずれも具体例を示したものにすぎず、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。実施の形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施の形態」との表記を付して強調している。しかしながら、そのような表記のない内容でも設計変更が許容されることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本開示の試料観察台および試料計測装置は、ミリ波帯電波望遠鏡、大気観測装置、環境計測装置、情報通信、医療・バイオ、非破壊検査、セキュリティなどの産業分野に利用することができる。
【符号の説明】
【0101】
1・・可変バンドパスフィルタ、
2・・可変バンドパスフィルタ、
3・・可変バンドパスフィルタ、
10・・90度ハイブリッドカプラ、
12・・入力ポート、
14・・分岐ポート、
16・・0度出力ポート、
18・・90度出力ポート、
21・・第1導波管、
22・・第2導波管、
23・・第3導波管、
31・・第1電波吸収体、
33・・第2電波吸収体、
100・・可変ハイパスフィルタ、
102・・空洞、
104・・ブロック、
106・・内壁、
108・・マイクロメータヘッド、
200・・90度ハイブリッドカプラ、
202・・入力ポート、
204・・分岐ポート、
206・・0度出力ポート、
208・・90度出力ポート。