(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101133
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】画像読取装置および画像読取方法
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240722BHJP
H04N 1/04 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
H04N1/00 567M
H04N1/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004899
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096703
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 俊之
(72)【発明者】
【氏名】玉井 康平
【テーマコード(参考)】
5C062
5C072
【Fターム(参考)】
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA35
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB25
5C062AB38
5C062AB41
5C062AB42
5C062AB43
5C062AB44
5C062AC13
5C062AC14
5C062AC15
5C062AC22
5C062AC58
5C072AA01
5C072CA02
5C072EA04
5C072NA01
5C072NA04
5C072RA01
5C072UA13
5C072WA02
5C072XA01
(57)【要約】
【課題】搬送中の原稿を何らかの理由により停止させる場合に、原稿を適切な位置で停止するための改善が求められている。
【解決手段】画像読取装置は、一つのモーターで回転する給送ローラー、第1搬送ローラー、第2搬送ローラーを、搬送方向の上流から下流に沿って備え、モーターの駆動開始後であって、第1原稿が読取部による読取が終了する読取終了位置へ到達した後、第1原稿の次の第2原稿が載置部に載置されているか否かを判定し、第2原稿が有る場合、原稿を特定の位置で停止させるための停止指示を受けていればモーターの駆動を停止し、前記停止指示を受けていなければモーターの駆動を継続し、第2原稿が無い場合、第1原稿を第2搬送ローラーよりも下流へ排出した上でモーターの駆動を停止する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーターと、
原稿が載置される載置部と、
前記モーターから動力を受けて回転することにより、前記載置部に載置された前記原稿を所定の搬送方向へ搬送する給送ローラーと、
前記給送ローラーよりも前記搬送方向の下流に設けられて、前記モーターから動力を受けて回転することにより前記原稿を前記搬送方向へ搬送する第1搬送ローラーと、
前記第1搬送ローラーよりも前記下流に設けられて、前記モーターから動力を受けて回転することにより前記原稿を前記搬送方向へ搬送する第2搬送ローラーと、
前記搬送方向において前記第1搬送ローラーと前記第2搬送ローラーとの間に設けられて、搬送される前記原稿を読み取る読取部と、
前記載置部における前記原稿を検知する第1検知部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記モーターの駆動開始後であって、前記原稿である第1原稿が前記読取部による読取が終了する所定の読取終了位置へ到達した後、前記第1原稿の次の前記原稿である第2原稿が前記第1検知部により検知されているか否かを判定し、
前記第1検知部により前記第2原稿が検知されている場合、前記原稿を特定の位置で停止させるための停止指示を受けていれば前記モーターの駆動を停止し、前記停止指示を受けていなければ前記モーターの駆動を継続し、
前記第1検知部により前記第2原稿が検知されていない場合、前記第1原稿を前記第2搬送ローラーよりも前記下流へ排出した上で前記モーターの駆動を停止する、ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1検知部により前記第2原稿が検知されている場合、前記停止指示を受けていれば、前記モーターの駆動を停止することにより、前記第1原稿を前記読取終了位置で停止させ、前記第2原稿を、前記原稿の前記下流を向く端が前記搬送方向において前記給送ローラーと前記第1搬送ローラーとの間且つ前記原稿を検知する第2検知部よりも前記搬送方向の上流に在る読取前位置で停止させる、ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記停止指示は、読取のキャンセルの指示である、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記停止指示は、前記原稿の読取結果を所定の画面に表示するプレビューの指示である、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第1検知部により前記第2原稿が検知されている場合であって、前記第1原稿が前記読取終了位置を通過した後に前記停止指示を受けた場合は、
前記第2原稿の次の前記原稿である第3原稿が前記第1検知部により検知されなければ、前記第1原稿および前記第2原稿を前記第2搬送ローラーよりも前記下流へ排出した上で前記モーターの駆動を停止し、
前記第3原稿が前記第1検知部により検知されれば、前記第1原稿を前記第2搬送ローラーよりも前記下流へ排出し、前記第2原稿を前記読取終了位置で停止させ、前記第3原稿を前記読取前位置で停止させた上で前記モーターの駆動を停止する、ことを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項6】
設置面に置かれて本体部を支持する支持部と、
前記支持部に支持された状態で、姿勢を第1姿勢または第2姿勢に切り替えることが可能な前記本体部と、を備え、
前記本体部は、
モーターと、
原稿が載置される載置部と、
前記モーターから動力を受けて回転することにより、前記載置部に載置された前記原稿を所定の搬送方向へ搬送する給送ローラーと、
前記給送ローラーよりも前記搬送方向の下流に設けられて、前記モーターから動力を受けて回転することにより前記原稿を前記搬送方向へ搬送する第1搬送ローラーと、
前記第1搬送ローラーよりも前記下流に設けられて、前記モーターから動力を受けて回転することにより前記原稿を前記搬送方向へ搬送する第2搬送ローラーと、
前記搬送方向において前記第1搬送ローラーと前記第2搬送ローラーとの間に設けられて、搬送される前記原稿を読み取る読取部と、
前記姿勢が前記第1姿勢と前記第2姿勢とのいずれであるかを検知する姿勢検知部と、
前記第2搬送ローラーよりも前記下流に設けられて、湾曲経路を通過した前記原稿を排出する第1排出口と、
前記第2搬送ローラーよりも前記下流に設けられて、前記湾曲経路を通過しない前記原稿を排出する第2排出口と、
制御部と、を備え、
前記本体部は、
前記第1姿勢では、前記第1排出口から前記原稿を排出可能かつ前記第2排出口から前記原稿を排出不能であり、
前記第2姿勢では、前記第2排出口から前記原稿を排出可能かつ前記第1排出口から前記原稿を排出不能であり、
前記制御部は、
前記モーターの駆動開始後、読取のキャンセルの指示を受けた場合は、
前記姿勢検知部により前記第1姿勢が検知されていれば、前記モーターの駆動を停止し、
前記姿勢検知部により前記第2姿勢が検知されていれば、前記モーターの駆動を継続し、前記原稿を前記第2排出口から排出した上で前記モーターの駆動を停止する、ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
前記原稿の厚みを検知する厚み検知部を備え、
前記制御部は、前記キャンセルの指示を受け、前記姿勢検知部により前記第1姿勢が検知されている場合は、前記厚み検知部により所定厚み以上の厚みが検知されていれば前記モーターの駆動を停止する、ことを特徴とする請求項6に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記キャンセルの指示を受け、前記姿勢検知部により前記第1姿勢が検知されている場合は、前記原稿の種類としてプラスチックカードまたはパスポートが予め指定されていれば前記モーターの駆動を停止する、ことを特徴とする請求項6に記載の画像読取装置。
【請求項9】
設置面に置かれて本体部を支持する支持部と、
前記支持部に支持された状態で、姿勢を第1姿勢または第2姿勢に切り替えることが可能な前記本体部と、を備え、
前記本体部は、前記モーターと、前記載置部と、前記給送ローラーと、前記第1搬送ローラーと、前記第2搬送ローラーと、前記読取部と、前記第1検知部と、前記制御部と、更に、
前記姿勢が前記第1姿勢と前記第2姿勢とのいずれであるかを検知する姿勢検知部と、
前記第2搬送ローラーよりも前記下流に設けられて、湾曲経路を通過した前記原稿を排出する第1排出口と、
前記第2搬送ローラーよりも前記下流に設けられて、前記湾曲経路を通過しない前記原稿を排出する第2排出口と、を備え、
前記本体部は、
前記第1姿勢では、前記第1排出口から前記原稿を排出可能かつ前記第2排出口から前記原稿を排出不能であり、
前記第2姿勢では、前記第2排出口から前記原稿を排出可能かつ前記第1排出口から前記原稿を排出不能であり、
前記制御部は、
前記停止指示としての読取のキャンセルの指示を受けた場合に実行する制御として、第1制御または第2制御の選択を受け付けることが可能であり、
前記第1制御が選択された場合は、前記モーターの駆動開始後であって、前記第1原稿が前記読取終了位置へ到達した後、前記第2原稿が前記第1検知部により検知されているか否かを判定し、前記第1検知部により前記第2原稿が検知されている場合、前記キャンセルの指示を受けていれば前記モーターの駆動を停止し、
前記第2制御が選択された場合は、前記モーターの駆動開始後、前記キャンセルの指示を受けた場合は、前記姿勢検知部により前記第1姿勢が検知されていれば前記モーターの駆動を停止し、前記姿勢検知部により前記第2姿勢が検知されていれば前記モーターの駆動を継続し前記原稿を前記第2排出口から排出した上で前記モーターの駆動を停止する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項10】
画像読取装置が実行する画像読取方法であって、
前記画像読取装置は、
モーターと、
原稿が載置される載置部と、
前記モーターから動力を受けて回転することにより、前記載置部に載置された前記原稿を所定の搬送方向へ搬送する給送ローラーと、
前記給送ローラーよりも前記搬送方向の下流に設けられて、前記モーターから動力を受けて回転することにより前記原稿を前記搬送方向へ搬送する第1搬送ローラーと、
前記第1搬送ローラーよりも前記下流に設けられて、前記モーターから動力を受けて回転することにより前記原稿を前記搬送方向へ搬送する第2搬送ローラーと、
前記搬送方向において前記第1搬送ローラーと前記第2搬送ローラーとの間に設けられて、搬送される前記原稿を読み取る読取部と、を備え、
前記モーターの駆動開始後であって、前記原稿である第1原稿が前記読取部による読取が終了する所定の読取終了位置へ到達した後、前記第1原稿の次の前記原稿である第2原稿の前記載置部における有無を判定する判定工程と、
前記第2原稿が有ると判定された場合、前記原稿を特定の位置で停止させるための停止指示を受けていれば前記モーターの駆動を停止し、前記停止指示を受けていなければ前記モーターの駆動を継続し、一方、前記第2原稿が無いと判定された場合、前記第1原稿を前記第2搬送ローラーよりも前記下流へ排出した上で前記モーターの駆動を停止する停止制御工程と、を有することを特徴とする画像読取方法。
【請求項11】
画像読取装置が実行する画像読取方法であって、
前記画像読取装置は、
設置面に置かれて本体部を支持する支持部と、
前記支持部に支持された状態で、姿勢を第1姿勢または第2姿勢に切り替えることが可能な前記本体部と、を備え、
前記本体部は、
モーターと、
原稿が載置される載置部と、
前記モーターから動力を受けて回転することにより、前記載置部に載置された前記原稿を所定の搬送方向へ搬送する給送ローラーと、
前記給送ローラーよりも前記搬送方向の下流に設けられて、前記モーターから動力を受けて回転することにより前記原稿を前記搬送方向へ搬送する第1搬送ローラーと、
前記第1搬送ローラーよりも前記下流に設けられて、前記モーターから動力を受けて回転することにより前記原稿を前記搬送方向へ搬送する第2搬送ローラーと、
前記搬送方向において前記第1搬送ローラーと前記第2搬送ローラーとの間に設けられて、搬送される前記原稿を読み取る読取部と、
前記第2搬送ローラーよりも前記下流に設けられて、湾曲経路を通過した前記原稿を排出する第1排出口と、
前記第2搬送ローラーよりも前記下流に設けられて、前記湾曲経路を通過しない前記原稿を排出する第2排出口と、を備え、
前記本体部は、
前記第1姿勢では、前記第1排出口から前記原稿を排出可能かつ前記第2排出口から前記原稿を排出不能であり、
前記第2姿勢では、前記第2排出口から前記原稿を排出可能かつ前記第1排出口から前記原稿を排出不能であり、
前記モーターの駆動開始後、読取のキャンセルの指示を受けた場合に、前記姿勢が前記第1姿勢と前記第2姿勢とのいずれであるかを判定する判定工程と、
前記姿勢が前記第1姿勢であれば、前記モーターの駆動を停止し、一方、前記姿勢が前記第2姿勢であれば、前記モーターの駆動を継続し前記原稿を前記第2排出口から排出した上で前記モーターの駆動を停止する停止制御工程と、を有することを特徴とする画像読取方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置および画像読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
読取対象の原稿を搬送するためのローラーを、搬送経路における複数箇所に有し、各ローラーを回転させて原稿を搬送しながらイメージセンサーにより原稿を読み取るスキャナーが知られている。
【0003】
関連技術として、原稿搬送のための駆動系が単一の駆動モーターにより構成され、単一モーターで原稿搬送のためのローラーのすべてを駆動する原稿読取装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
原稿の供給から排出までの搬送を、一つのモーターで各ローラーを動かして実行する構成においては、原稿を適切な位置で停止させられないことがある。
例えば、ある原稿の読取中に読取のキャンセル指示を受けたことに応じて、読取を停止して当該原稿をイメージセンサーよりも下流の排出口から排出し搬送を停止したとする。この場合、排出した原稿よりも上流に在る次の原稿が、搬送経路の途中まで搬送されて停止することがある。搬送経路のある程度深い位置で原稿が停止すると、ユーザーが搬送経路から原稿を取り出す作業が必要となり、スキャンを再開するための手間が多くなる。
このような状況に対する改善を含め、搬送中の原稿を何らかの理由により停止させる場合に、原稿を適切な位置で停止するための改善が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
画像読取装置は、モーターと、原稿が載置される載置部と、前記モーターから動力を受けて回転することにより、前記載置部に載置された前記原稿を所定の搬送方向へ搬送する給送ローラーと、前記給送ローラーよりも前記搬送方向の下流に設けられて、前記モーターから動力を受けて回転することにより前記原稿を前記搬送方向へ搬送する第1搬送ローラーと、前記第1搬送ローラーよりも前記下流に設けられて、前記モーターから動力を受けて回転することにより前記原稿を前記搬送方向へ搬送する第2搬送ローラーと、前記搬送方向において前記第1搬送ローラーと前記第2搬送ローラーとの間に設けられて、搬送される前記原稿を読み取る読取部と、前記載置部における前記原稿を検知する第1検知部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記モーターの駆動開始後であって、前記原稿である第1原稿が前記読取部による読取が終了する所定の読取終了位置へ到達した後、前記第1原稿の次の前記原稿である第2原稿が前記第1検知部により検知されているか否かを判定し、前記第1検知部により前記第2原稿が検知されている場合、前記原稿を特定の位置で停止させるための停止指示を受けていれば前記モーターの駆動を停止し、前記停止指示を受けていなければ前記モーターの駆動を継続し、前記第1検知部により前記第2原稿が検知されていない場合、前記第1原稿を前記第2搬送ローラーよりも前記下流へ排出した上で前記モーターの駆動を停止する。
【0007】
画像読取装置は、設置面に置かれて本体部を支持する支持部と、前記支持部に支持された状態で、姿勢を第1姿勢または第2姿勢に切り替えることが可能な前記本体部と、を備え、前記本体部は、モーターと、原稿が載置される載置部と、前記モーターから動力を受けて回転することにより、前記載置部に載置された前記原稿を所定の搬送方向へ搬送する給送ローラーと、前記給送ローラーよりも前記搬送方向の下流に設けられて、前記モーターから動力を受けて回転することにより前記原稿を前記搬送方向へ搬送する第1搬送ローラーと、前記第1搬送ローラーよりも前記下流に設けられて、前記モーターから動力を受けて回転することにより前記原稿を前記搬送方向へ搬送する第2搬送ローラーと、前記搬送方向において前記第1搬送ローラーと前記第2搬送ローラーとの間に設けられて、搬送される前記原稿を読み取る読取部と、前記姿勢が前記第1姿勢と前記第2姿勢とのいずれであるかを検知する姿勢検知部と、前記第2搬送ローラーよりも前記下流に設けられて、湾曲経路を通過した前記原稿を排出する第1排出口と、前記第2搬送ローラーよりも前記下流に設けられて、前記湾曲経路を通過しない前記原稿を排出する第2排出口と、制御部と、を備え、前記本体部は、前記第1姿勢では、前記第1排出口から前記原稿を排出可能かつ前記第2排出口から前記原稿を排出不能であり、前記第2姿勢では、前記第2排出口から前記原稿を排出可能かつ前記第1排出口から前記原稿を排出不能であり、前記制御部は、前記モーターの駆動開始後、読取のキャンセルの指示を受けた場合は、前記姿勢検知部により前記第1姿勢が検知されていれば、前記モーターの駆動を停止し、前記姿勢検知部により前記第2姿勢が検知されていれば、前記モーターの駆動を継続し、前記原稿を前記第2排出口から排出した上で前記モーターの駆動を停止する。
【0008】
画像読取装置が実行する画像読取方法であって、前記画像読取装置は、モーターと、原稿が載置される載置部と、前記モーターから動力を受けて回転することにより、前記載置部に載置された前記原稿を所定の搬送方向へ搬送する給送ローラーと、前記給送ローラーよりも前記搬送方向の下流に設けられて、前記モーターから動力を受けて回転することにより前記原稿を前記搬送方向へ搬送する第1搬送ローラーと、前記第1搬送ローラーよりも前記下流に設けられて、前記モーターから動力を受けて回転することにより前記原稿を前記搬送方向へ搬送する第2搬送ローラーと、前記搬送方向において前記第1搬送ローラーと前記第2搬送ローラーとの間に設けられて、搬送される前記原稿を読み取る読取部と、を備え、前記モーターの駆動開始後であって、前記原稿である第1原稿が前記読取部による読取が終了する所定の読取終了位置へ到達した後、前記第1原稿の次の前記原稿である第2原稿の前記載置部における有無を判定する判定工程と、前記第2原稿が有ると判定された場合、前記原稿を特定の位置で停止させるための停止指示を受けていれば前記モーターの駆動を停止し、前記停止指示を受けていなければ前記モーターの駆動を継続し、一方、前記第2原稿が無いと判定された場合、前記第1原稿を前記第2搬送ローラーよりも前記下流へ排出した上で前記モーターの駆動を停止する停止制御工程と、を有する。
【0009】
画像読取装置が実行する画像読取方法であって、前記画像読取装置は、設置面に置かれて本体部を支持する支持部と、前記支持部に支持された状態で、姿勢を第1姿勢または第2姿勢に切り替えることが可能な前記本体部と、を備え、前記本体部は、モーターと、原稿が載置される載置部と、前記モーターから動力を受けて回転することにより、前記載置部に載置された前記原稿を所定の搬送方向へ搬送する給送ローラーと、前記給送ローラーよりも前記搬送方向の下流に設けられて、前記モーターから動力を受けて回転することにより前記原稿を前記搬送方向へ搬送する第1搬送ローラーと、前記第1搬送ローラーよりも前記下流に設けられて、前記モーターから動力を受けて回転することにより前記原稿を前記搬送方向へ搬送する第2搬送ローラーと、前記搬送方向において前記第1搬送ローラーと前記第2搬送ローラーとの間に設けられて、搬送される前記原稿を読み取る読取部と、前記第2搬送ローラーよりも前記下流に設けられて、湾曲経路を通過した前記原稿を排出する第1排出口と、前記第2搬送ローラーよりも前記下流に設けられて、前記湾曲経路を通過しない前記原稿を排出する第2排出口と、を備え、前記本体部は、前記第1姿勢では、前記第1排出口から前記原稿を排出可能かつ前記第2排出口から前記原稿を排出不能であり、前記第2姿勢では、前記第2排出口から前記原稿を排出可能かつ前記第1排出口から前記原稿を排出不能であり、前記モーターの駆動開始後、読取のキャンセルの指示を受けた場合に、前記姿勢が前記第1姿勢と前記第2姿勢とのいずれであるかを判定する判定工程と、前記姿勢が前記第1姿勢であれば、前記モーターの駆動を停止し、一方、前記姿勢が前記第2姿勢であれば、前記モーターの駆動を継続し前記原稿を前記第2排出口から排出した上で前記モーターの駆動を停止する停止制御工程と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】第1姿勢の画像読取装置の内部構成を側方からの視点により簡易的に示す図。
【
図3】第1実施形態にかかる画像読取処理を示すフローチャート。
【
図4】第1実施形態にかかる停止制御処理を示すフローチャート。
【
図5】第1原稿が読取終了位置に在り第2原稿が読取前位置に在る状態を側方からの視点により簡易的に示す図。
【
図6】課題を説明するための図であって、第1原稿が排出され第2原稿が読取前位置よりも下流に在る状態を側方からの視点により簡易的に示す図。
【
図7】第1実施形態の補足説明に対応する図であって、第1原稿が読取終了位置よりも下流に在り第2原稿が読取前位置よりも下流に在る状態を側方からの視点により簡易的に示す図。
【
図8】第1実施形態の補足説明に対応する図であって、第1原稿および第2原稿が排出された状態を側方からの視点により簡易的に示す図。
【
図9】第1実施形態の補足説明に対応する図であって、第1原稿が排出され、第2原稿が読取終了位置に在り第3原稿が読取前位置に在る状態を側方からの視点により簡易的に示す図。
【
図10】第2姿勢の画像読取装置の内部構成を側方からの視点により簡易的に示す図。
【
図11】第2実施形態にかかる停止制御処理を示すフローチャート。
【
図12】ステップS320の結果、第1原稿が排出され第2原稿がある程度搬送されて停止した状態を、側方からの視点により簡易的に示す図。
【
図13】第1変形例にかかる停止制御処理を示すフローチャート。
【
図14】第2変形例にかかる停止制御処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、各図を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお各図は、本実施形態を説明するための例示に過ぎない。各図は例示であるため、比率や形状が正確でなかったり、互いに整合していなかったり、一部が省略されていたりする場合がある。
【0012】
1.装置構成の概略説明:
図1は、本実施形態にかかる画像読取装置10の構成を簡易的に示している。画像読取装置10は、画像読取方法を実行する。画像読取装置10は、シートフィードタイプのスキャナーであり、制御部11、表示部13、操作受付部14、記憶部15、通信IF16、搬送部17、読取部18、第1検知部19、第2検知部20、姿勢検知部21等を備える。第1検知部19、第2検知部20はそれぞれ、原稿を検知可能なセンサーである。IFはインターフェイスの略である。制御部11は、プロセッサーとしてのCPU11a、ROM11b、RAM11c等を有する一つ又は複数のICや、その他の不揮発性メモリー等を含んで構成される。
【0013】
制御部11では、プロセッサーつまりCPU11aが、ROM11bや、その他のメモリー等に保存されたプログラム12に従った演算処理を、RAM11c等をワークエリアとして用いて実行することにより、本実施形態にかかる処理を実現する。プロセッサーは、一つのCPUに限られることなく、複数のCPUや、ASIC等のハードウェア回路により処理を行う構成としてもよいし、CPUとハードウェア回路とが協働して処理を行う構成としてもよい。
【0014】
表示部13は、視覚情報を表示するための手段であり、例えば、液晶ディスプレイや、有機ELディスプレイ等により構成される。表示部13は、ディスプレイと、ディスプレイを駆動するための駆動回路と、を含む構成であってもよい。
操作受付部14は、ユーザーによる操作や入力を受け付けるための手段であり、例えば、物理的なボタンや、タッチパネルや、マウスや、キーボード等によって実現される。タッチパネルとしての操作受付部14は、表示部13の一機能として実現される。
表示部13や操作受付部14は、画像読取装置10に対して外付けされた周辺機器であってもよい。
【0015】
記憶部15は、例えば、ハードディスクドライブや、ソリッドステートドライブや、その他のメモリーによる記憶手段である。制御部11が有するメモリーの一部を記憶部15と捉えてもよい。記憶部15を、制御部11の一部と捉えてもよい。
通信IF16は、公知の通信規格を含む所定の通信プロトコルに準拠して有線又は無線で不図示の外部装置と通信を実行するための一つまたは複数のIFの総称である。外部装置は、例えば、パーソナルコンピューター、サーバー、スマートフォン、タブレット型端末等といった各種端末である。
【0016】
搬送部17は、読取対象となる原稿を所定の搬送経路に沿って搬送するための手段である。搬送部17は、回転して原稿を搬送する後述の各ローラーや、回転の動力源としてのモーター17d等を備える。搬送部17は、原稿トレイに置かれた複数枚の原稿を一枚単位で順次搬送可能な、いわゆるADF(Auto Document Feeder)の機能を兼ね備えている。
【0017】
読取部18は、搬送部17が搬送する原稿を光学的に読み取る手段である。読取部18は、原稿を照射する光源、原稿からの反射光や透過光を受光して光電変換により読取結果としての電気信号を生成し出力するイメージセンサー、イメージセンサーからの出力をデジタル信号に変換等して画像データとするアナログフロントエンド等、スキャナーとして一般的な構成を有する。読取部18のイメージセンサーは、搬送方向と交差する幅方向に沿って並ぶ複数の撮像素子によるラインセンサーであり、1回の読取動作で幅方向に長尺な1ラインの画像を読み取る。搬送方向と幅方向との交差は、直交或いはほぼ直交と解してよい。読取部18は、1ライン分の読み取りを所定の頻度で繰り返すことにより2次元の画像データを得る。幅方向を主走査方向と呼び、搬送方向を副走査方向と呼んでもよい。
【0018】
図2は、画像読取装置10の主に内部構成を側方からの視点により簡易的に示している。
図2は、幅方向を向く視点による図示と言える。また
図2では、画像読取装置10の上下や前後の向きを示している。画像読取装置10は、後方かつ上方に、原稿2を載置するための載置部3を有する。載置部3は原稿トレイである。搬送部17は、載置部3に載置された原稿2を、載置部3から概ね前方かつ下方へ向かう搬送経路22で搬送する。搬送部17は、各ローラーとしての給送ローラー対17a、搬送ローラー対17b、排出ローラー対17cを含んでいる。ローラー対とは、搬送経路22を挟み込むように対向配置されたローラーの対であり、対を成すローラーで原稿2を挟持した状態で回転することにより原稿2を搬送する。搬送経路22は、原稿2の通り道であり空間であるが、実態的には、搬送部17としての各ローラーや図示しないプラテン等の部材によって形成されている。
図2では、搬送経路22の一部を、ごく簡単に破線で示している。
【0019】
給送ローラー対17aは、対向配置されたローラー17a1,17a2により構成される。また、搬送ローラー対17bは、対向配置されたローラー17b1,17b2により構成され、排出ローラー対17cは、対向配置されたローラー17c1,17c2により構成される。
図2では省略しているが、例えば、搬送経路22の下側に配置されるローラー17a1と、ローラー17b1と、ローラー17c1とが一つのモーター17dにそれぞれ連結されており、モーター17dから与えられる動力で回転する。ただし、搬送部17のローラーは、原稿2を搬送できればよく、ローラー対であることは必須ではない。
【0020】
搬送経路22に沿う方向が搬送方向D1である。搬送部17は、搬送方向D1へ原稿2を搬送する。搬送方向D1の上流、下流を、単に上流、下流と言う。また本実施形態では、原稿2の下流を向く端を“先端”、原稿2の上流を向く端を“後端”と呼ぶ。搬送経路22は一部が湾曲していても良い。そのため、搬送経路22に沿う搬送方向D1も、上流から下流に向かう行程の少なくとも一部で、その向きが変化する。給送ローラー対17aは、載置部3に近い位置に配置されており、載置部3から原稿2を一枚単位で搬送経路22へ引き込む。給送ローラー対17aや、給送ローラー対17aを構成するローラー17a1,17a2は、載置部3に載置された原稿2を搬送方向D1へ搬送する「給送ローラー」の具体例に該当する。
【0021】
搬送ローラー対17bや、搬送ローラー対17bを構成するローラー17b1,17b2は、給送ローラーよりも下流に設けられて原稿2を搬送方向D1へ搬送する「第1搬送ローラー」の具体例に該当する。排出ローラー対17cや、排出ローラー対17cを構成するローラー17c1,17c2は、第1搬送ローラーよりも下流に設けられて原稿2を搬送方向D1へ搬送する「第2搬送ローラー」の具体例に該当する。読取部18は、搬送ローラー対17bよりも下流かつ排出ローラー対17cよりも上流の位置に設けられている。
【0022】
第1検知部19は、載置部3近傍に設けられており、載置部3における原稿2を検知する。第1検知部19は、原稿2を検知できている状態では、原稿有りを意味するオン信号を出力し、原稿2を検知できていない状態では、原稿無しを意味するオフ信号を出力する。第2検知部20は、給送ローラー対17aよりも下流かつ搬送ローラー対17bよりも上流の位置に設けられており、原稿2を検知する。詳細には、第2検知部20は、搬送方向D1において、給送ローラー対17aが原稿2と接触する位置と搬送ローラー対17bが原稿2と接触する位置との間に設けられている。ローラー対が原稿2と接触する位置とは、ローラー対が原稿2を挟持する位置である。第2検知部20は、第1検知部19と同様に、原稿2を検知できている状態では、原稿有りを意味するオン信号を出力し、原稿2を検知できていない状態では、原稿無しを意味するオフ信号を出力する。
【0023】
図2の例では、読取部18は、搬送経路22を挟むようにして備えられており、原稿2の両面を同時に読み取り可能である。つまり、読取部18は、搬送経路22の上方に設けられたイメージセンサーにより原稿2の上面を読み取り、かつ、搬送経路22の下方に設けられたイメージセンサーにより原稿2の下面を読み取る。ただし、画像読取装置10が原稿2の両面を読み取り可能な製品であることは必須ではなく、画像読取装置10は、原稿2の両面のうち一方の面のみを読み取り可能な製品であってもよい。
【0024】
図1に示す各構成や、ここまでに
図2を参照して説明した各構成は、画像読取装置10の本体部1が有する。本体部1は、これら各構成と各構成を有する筐体とを含んだ概念である。
図2の例では、画像読取装置10は、さらに支持部4を有する。支持部4は、設置面5に置かれて、本体部1を支持する。
図2における本体部1の姿勢は「第1姿勢」に該当する。
【0025】
図2によれば、本体部1は、搬送経路22の一部としての湾曲経路22aを有する。湾曲経路22aは、搬送経路22のうち排出ローラー対17cよりも下流の部分であり、概略U字状にカーブしている。湾曲経路22aの出口は、本体部1の前方において上方を向いており、湾曲経路22aを通過した原稿2を排出する第1排出口22bとなっている。つまり、排出ローラー対17cにより下流へ搬送される原稿2は、湾曲経路22aを通過する過程で、湾曲経路22aを通過する前の向きに対してUターンした状態となって第1排出口22bから排出される。このように、原稿2を第1排出口22bから排出することを「Uターン排出」と称する。排出ローラー対17cよりも下流において、原稿2を湾曲経路22aに沿って案内し排出するための幾つかのローラー17e,17fが、湾曲経路22aに配置されていてもよい。ローラー17e,17fも、モーター17dからの動力で回転する。
【0026】
2.第1実施形態:
次に、画像読取装置10による第1実施形態を説明する。
図3は、第1実施形態において制御部11がプログラム12に従って実行する画像読取処理を、フローチャートにより示している。
図4は、第1実施形態において制御部11がプログラム12に従って実行する停止制御処理を、フローチャートにより示している。各フローチャートの説明が画像読取方法の説明となる。制御部11は、
図3、
図4それぞれのフローチャートを並行して実施する。各フローチャートは、制御部11が実行可能な処理の一部を示すに過ぎない。
【0027】
ユーザーは、操作受付部14や外部装置を操作して、画像読取装置10に原稿2のスキャン開始を指示する。スキャン開始の指示を受けた制御部11は、原稿2が載置部3に載置されていれば、つまり第1検知部19の出力がオン信号であれば、モーター17dの駆動を開始し、載置部3から原稿2を一枚搬送する処理を搬送部17に開始させる。制御部11は、載置部3からの1枚目の原稿2の搬送開始に伴い、
図3,4のフローチャートを開始する。
【0028】
図3のステップS100では、制御部11は、第2検知部20の出力がオン信号であるか否かを継続的に判定し、オン信号であれば“Yes”の判定からステップS110へ進む。つまり、原稿2の先端が第2検知部20の位置を通過したとき、第2検知部20の出力がオフ信号からオン信号へ切り替わり、ステップS100で“Yes”と判定することになる。
【0029】
ステップS110では、制御部11は、ステップS100の“Yes”の判定から所定の第1時間が経過した否かを判定し、第1時間が経過したタイミングで、“Yes”と判定してステップS120へ進む。
ステップS120では、制御部11は、読取部18に読取を開始させる。第1時間は、概ね原稿2の先端が第2検知部20から読取部18まで搬送される時間、またはそのような時間よりも短い時間である。第1時間は、搬送経路22における第2検知部20から読取部18までの距離や、搬送部17による搬送速度に基づいて予め決められている。なお、第1時間=0であってもよい。
【0030】
制御部11は、ステップS120において読取部18に読取を開始させたら、ステップS130において、第2検知部20の出力がオフ信号であるか否かを継続的に判定し、オフ信号であれば“Yes”の判定からステップS140へ進む。原稿2の後端が第2検知部20の位置を通過したとき、第2検知部20の出力がオン信号からオフ信号へ切り替わり、ステップS130で“Yes”と判定することになる。
【0031】
ステップS140では、制御部11は、ステップS130の“Yes”の判定から所定の第2時間が経過した否かを判定し、第2時間が経過したタイミングで“Yes”と判定してステップS150へ進む。
ステップS150では、制御部11は、読取部18に読取を終了させる。第2時間は、原稿2の後端が第2検知部20を通過してから読取部18を通過し終えるまでに要する時間であり、予め決められている。従って、ステップS150で読取部18に読取を終了させたとき、原稿2の先端から後端までの全ての読取が終了していることになる。
【0032】
ステップS120で開始してステップS150で終了した読取部18による読取の結果、原稿2の1ページ分の画像データが生成される。言うまでもなく、制御部11は、このような画像データについて所定の後処理を行うことができる。ここで言う所定の後処理とは、例えば、各種画像処理や、記憶部15やその他のメモリーへの保存や、通信IF16を介しての外部装置への転送や、不図示の印刷機能による印刷や、不図示の電子メール機能による電子メール送信や、不図示のファクシミリ機能によるファクシミリ送信である。
【0033】
ステップS160では、制御部11は、スキャンを継続するか否かを判定する。スキャン継続とは、次の原稿2を対象とした搬送や読取を行うことを指す。スキャン継続に関しては
図4も参照して後述する。制御部11は、スキャンを継続する場合は、ステップS160の“Yes”からステップS100の判定へ進み、スキャンを継続しない場合は、ステップS160の“Nо”から
図3のフローチャートを終了する。
【0034】
図4のステップS200では、制御部11は、原稿2が読取部18による読取が終了する所定の「読取終了位置」へ到達したか否かを、継続的に判定する。読取終了位置は、原稿2の後端が読取部18を通過したときの当該原稿2の位置と捉えることができるため、
図3のステップS150で読取を終了したとき、原稿2は読取終了位置に在ると言える。従って、ステップS140の“Yes”の判定と、ステップS200の“Yes”の判定は、実質的に同じである。
【0035】
複数枚の原稿2を区別するために、ある一枚の原稿2に注目して、これを「第1原稿2a」と呼んだとき、第1原稿2aの次の原稿2を「第2原稿2b」と呼ぶ。さらに、第2原稿2bの次の原稿2を「第3原稿2c」と呼ぶ。
図2の例では、搬送中かつ読取中の原稿2を第1原稿2aと捉え、載置部3に載置されている原稿2を第2原稿2bと捉える。
【0036】
ステップS200の“Yes”の判定後、制御部11は、ステップS210において、次の原稿2の有無を判定する。つまり、制御部11は、第1検知部19の出力がオン信号であれば、次の原稿2が載置部3に有ると言えるためステップS210で“Yes”と判定し、ステップS220へ進む。一方、第1検知部19の出力がオフ信号であれば、次の原稿2が載置部3に無いと言えるため、ステップS210で“Nо”と判定し、ステップS250へ進む。
【0037】
このようなステップS200,S210は、モーター17dの駆動開始後であって、第1原稿2aが読取終了位置へ到達した後、第2原稿2bの載置部3における有無を判定する「判定工程」に該当する。
ステップS210で“Nо”と判定した場合は、制御部11は、ステップS200において読取終了位置に到達したと判定された原稿2の排出動作を搬送部17に実行させて(ステップS250)、
図4のフローチャートを終了する。排出動作とは、原稿2を排出ローラー対17cよりも下流の排出口から排出した上でモーター17dの駆動を停止する処理である。
図2の例では、第1排出口22bから原稿2を排出する。
【0038】
図5は、
図2と同様に、画像読取装置10の主に内部構成を側方からの視点により簡易的に示している。
図5や後述の
図6,7,8,9については、
図2と共通する説明は適宜省略する。
図5によれば、第1原稿2a、第2原稿2bのそれぞれが、
図2に示す位置よりも下流へ進んでいる。具体的には、
図5では、第1原稿2aは読取終了位置に在り、後端近傍が排出ローラー対17cに挟持されている。また、第2原稿2bは、先端が給送ローラー対17aよりも下流へ進んでおり、第2検知部20には到達していない位置に在る。つまり、
図5は、第1原稿2aについてステップS200で“Yes”と判定した時点の状態を示している。
図5の状態では、当然、ステップS210において“Yes”と判定される。
【0039】
図2および
図5を比較すると、
図2から
図5へ遷移する過程で、第1原稿2aの方が、第2原稿2bよりも多くの距離を搬送されていることが解る。これは、給送ローラー対17aとそれ以外のローラーとの、時間あたりの搬送量の違いに起因している。つまり、各ローラーはいずれもモーター17dから動力を受けて回転するが、給送ローラー対17aは、搬送ローラー対17bや排出ローラー対17cと比較して時間あたりの搬送量が少なくなるように設計されている。
【0040】
ステップS220では、制御部11は、キャンセル指示またはプレビュー指示を受けているか否かを判定する。キャンセル指示とは、読取のキャンセルの指示である。プレビュー指示とは、原稿2の読取結果を所定の画面に表示するプレビューの指示である。所定の画面は外部装置の画面であるが、表示部13であってもよい。キャンセル指示やプレビュー指示は、外部装置におけるUI画面や、操作受付部14を介して任意に行うことができる。UIはユーザーインターフェイスの略である。ユーザーは、画像読取装置10に原稿2のスキャン開始を指示してから、読取結果としての画像データに対する所定の後処理が終了するまでの期間中、任意に画像読取装置10に対してキャンセル指示をすることができる。
【0041】
従って、制御部11は、ステップS220の判定を行う時点までに、キャンセル指示またはプレビュー指示を受けていれば、ステップS220で“Yes”と判定してステップS230へ進む。一方、制御部11は、ステップS220の判定を行う時点までに、キャンセル指示またはプレビュー指示のいずれも受けていなければ、ステップS220で“Nо”と判定してステップS240へ進む。キャンセル指示やプレビュー指示は、原稿2を特定の位置で停止させるための「停止指示」に該当する。ここで言う特定の位置とは、読取終了位置や、排出口による排出後の位置や、読取部18による読取前の位置等、幾つかの位置を含んだ概念である。
【0042】
ステップS230では、制御部11は、モーター17dの駆動を停止して、
図4のフローチャートを終了する。ステップS230でフローチャートを終える場合は、ステップS200において読取終了位置に到達したと判定された原稿2を、そのまま読取終了位置で停止させる。また、次の原稿2も、そのときの位置で停止させることになる。
【0043】
つまり、
図5に示す状態でステップS220において“Yes”と判定されると、そのまま、第1原稿2aは読取終了位置で停止し、第2原稿2bは先端が第2検知部20に達していない位置で停止する。
図5に示すような、先端が搬送方向D1において給送ローラー対17aと搬送ローラー対17bとの間且つ第2検知部20よりも上流に在る第2原稿2bの位置は「読取前位置」に該当する。
【0044】
フローチャートには特に示していないが、制御部11は、キャンセル指示を受けた場合は、読取部18に読取を停止させ、スキャン開始の指示を受けてからキャンセル指示を受けるまでの間に生成した画像データを破棄可能である。また、上述の後処理は実行しない。また、制御部11は、プレビュー指示を受けた場合は、ステップS220の時点までに実行済みの読取により得た画像データを、所定の画面にプレビュー表示すればよい。
【0045】
ステップS240では、制御部11は、スキャン継続を決定して、ステップS200の判定に戻る。ステップS240でスキャン継続を決定することで、
図3のステップS160の判定が“Yes”となる。スキャン継続を決定すると、当然にモーター17dの駆動は継続し、読取終了位置まで到達していた原稿2はそのまま搬送され、やがて排出口から排出されると共に、次の原稿2もそのまま搬送されて、やがて先端が第2検知部20に到達してステップS100で“Yes”と判定される。一方、ステップS210で“Nо”と判定したり、ステップS220で“Yes”と判定したりすることで、ステップS160の判定が“Nо”となる。
【0046】
このようなステップS220,S230,S240,S250は、第2原稿2bが有ると判定された場合(ステップS210“Yes”)、前記停止指示を受けていればモーター17dの駆動を停止し、前記停止指示を受けていなければモーター17dの駆動を継続し、一方、第2原稿2bが無いと判定された場合(ステップS210“Nо”)、第1原稿2aを第2搬送ローラーよりも下流へ排出した上でモーター17dの駆動を停止する「停止制御工程」に該当する。
【0047】
停止指示は、キャンセル指示のみを想定してもよいし、プレビュー指示のみを想定してもよい。つまり、ステップS220では、制御部11は、その時点までにキャンセル指示を受けているか否かに応じて、Yes/Nоの分岐をしてもよい。あるいは、ステップS220では、制御部11は、その時点までにプレビュー指示を受けているか否かに応じて、Yes/Nоの分岐をしてもよい。
【0048】
3.第1実施形態のまとめ:
このように第1実施形態によれば、画像読取装置10は、モーター17dと、原稿2が載置される載置部3と、モーター17dから動力を受けて回転することにより、載置部3に載置された原稿2を所定の搬送方向D1へ搬送する給送ローラーと、給送ローラーよりも搬送方向D1の下流に設けられて、モーター17dから動力を受けて回転することにより原稿2を搬送方向D1へ搬送する第1搬送ローラーと、第1搬送ローラーよりも下流に設けられて、モーター17dから動力を受けて回転することにより原稿2を搬送方向D1へ搬送する第2搬送ローラーと、搬送方向D1において第1搬送ローラーと第2搬送ローラーとの間に設けられて、搬送される原稿2を読み取る読取部18と、載置部3における原稿2を検知する第1検知部19と、制御部11と、を備える。制御部11は、モーター17dの駆動開始後であって、原稿2である第1原稿2aが読取部18による読取が終了する所定の読取終了位置へ到達した後、第1原稿2aの次の原稿2である第2原稿2bが第1検知部に19より検知されているか否かを判定し、第1検知部19により第2原稿2bが検知されている場合、原稿2を特定の位置で停止させるための停止指示を受けていればモーター17dの駆動を停止し、前記停止指示を受けていなければモーター17dの駆動を継続し、第1検知部19により第2原稿2bが検知されていない場合、第1原稿2aを第2搬送ローラーよりも下流へ排出した上でモーター17dの駆動を停止する。
【0049】
前記構成によれば、画像読取装置10は、一つのモーター17dで各ローラーを回転させて原稿2を搬送方向D1へ搬送する構成において、第1原稿2aが読取終了位置へ到達したとき、第2原稿2bが有るのであれば、例えば、キャンセル指示のような停止指示に応じてモーター17dの駆動を停止する。従って、停止指示を受けたとき、第2原稿2bの更なる搬送を抑制することができる。そのため、搬送経路22から第2原稿2bを取り出すユーザーの手間量を減らし、スキャンを再開するための手間も少なくなる。これは、原稿2を適切な位置で停止させていると言える。
【0050】
前記停止指示は、読取のキャンセルの指示であってもよい。
前記構成によれば、画像読取装置10が複数の原稿2を順次搬送する過程で、ユーザーが任意のタイミングでキャンセルの指示をしたとき、読取終了位置に到達した原稿2や、それよりも上流に在る原稿2の更なる搬送を抑制し、上述したようにユーザーの手間を減らすことができる。
【0051】
また、前記停止指示は、原稿2の読取結果を所定の画面に表示するプレビューの指示であってもよい。
前記構成によれば、画像読取装置10が複数の原稿2を順次搬送する過程で、ユーザーが任意のタイミングでプレビューの指示をしたとき、読取終了位置に到達した原稿2や、それよりも上流に在る原稿2の更なる搬送を抑制し、上述したようにユーザーの手間を減らすことができる。
【0052】
また、制御部11は、第1検知部19により第2原稿2bが検知されている場合、前記停止指示を受けていれば、モーター17dの駆動を停止することにより、第1原稿2aを読取終了位置で停止させ、第2原稿2bを、原稿2の下流を向く端が搬送方向D1において給送ローラーと第1搬送ローラーとの間且つ原稿2を検知する第2検知部20よりも搬送方向D1の上流に在る読取前位置で停止させる。
前記構成によれば、画像読取装置10は、第1原稿2aが読取終了位置へ到達したとき、第2原稿2bが有るのであれば、例えば、キャンセル指示のような停止指示に応じてモーター17dの駆動を停止し、
図5に示すように、第1原稿2aを読取終了位置で停止させ、第2原稿2bを読取前位置で停止させる。このように、第2原稿2bを読取前位置で停止させれば、第2原稿2bに対する読取は開始されていないため、第2原稿2bを搬送経路22から取り出す必要もなく、後に、そのまま第2原稿2bのスキャンを再開することができる。
【0053】
図6は、本件が想定する課題の一つを説明するための図であり、
図2と同様に画像読取装置10の主に内部構成を側方からの視点により簡易的に示している。
図5に示す状態の時点で、画像読取装置10は既にキャンセル指示を受けていたとする。この場合、従来であれば、画像読取装置10は引き続き搬送を行い、
図6のように第1原稿2aを排出口から排出して搬送を停止する。このような第1原稿2aの排出に伴い第2原稿2bの搬送も進み、
図6のように、先端を含む一部が読取部18を通過した状態で第2原稿2bが停止する。
【0054】
図6の状態では、ユーザーは、スキャンを再開するためには第2原稿2bを搬送経路22から取り出す必要がある。第2原稿2bを搬送経路22から取り出すには、本体部1の筐体の一部である前側のカバーを開く等の手順が必要となり、煩雑であった。第1実施形態によれば、このような
図6の状態で搬送を停止させず、
図5に示したように第2原稿2bを適切な位置で停止することができる。
【0055】
なお、第2検知部20の位置は、搬送ローラー対17bよりも下流かつ読取部18よりも上流の位置であってもよい。この場合、第2検知部20よりも上流かつ給送ローラー対17aよりも下流に先端が在るときの原稿2の位置が、読取前位置に該当する。
【0056】
第1実施形態について、補足説明する。
制御部11は、第1検知部19により原稿2が検知されている場合であって、第1原稿2aが読取終了位置を通過した後に前記停止指示を受けたとする。これは、
図4において、ステップS210“Yes”、ステップS220“Nо”、ステップS240と進んで、ステップS200で“Nо”の判定を繰り返している期間に、キャンセル指示またはプレビュー指示を受けた場合が該当する。この場合、制御部11は、第2原稿2bの次の原稿2である第3原稿2cが第1検知部19により検知されなければ、第1原稿2aおよび第2原稿2bを第2搬送ローラーよりも下流へ排出した上でモーター17dの駆動を停止する。一方、制御部11は、第3原稿2cが第1検知部19により検知されれば、第1原稿2aを第2搬送ローラーよりも下流へ排出し、第2原稿2bを読取終了位置で停止させ、第3原稿2cを読取前位置で停止させた上でモーター17dの駆動を停止する。
【0057】
図7,8,9は、第1実施形態の補足説明に対応する図であり、
図2と同様に画像読取装置10の主に内部構成を側方からの視点により簡易的に示している。
図7は、搬送中の第1原稿2aが読取終了位置よりも下流に在り、かつ、搬送中の第2原稿2bが読取前位置よりも下流に在る状態を示している。これは、ステップS240の後であって、第2原稿2bが読取終了位置に到達する前、つまりステップS200で“Nо”の判定を繰り返している期間に該当する。
【0058】
図7に示すタイミングで、制御部11がキャンセル指示を受けたとする。この場合、
図7において、仮に第3原稿2cが載置部3に存在していなければ、第2原稿2bの後端が第1検知部19を通過した後は、次の原稿2が第1検知部19により検知されないため、制御部11は、
図8に示すように第1原稿2aに続いて第2原稿2bも排出した上で、モーター17dの駆動を停止させる。
【0059】
一方、
図7に示すタイミングで制御部11がキャンセル指示を受け、仮に第3原稿2cが載置部3に存在していたとする。この場合は、第2原稿2bが読取終了位置に到達したら、制御部11は、ステップS200“Yes”、ステップS210“Yes”、ステップS220“Yes”、ステップS230と進んで、
図9に示すように、第1原稿2aを排出し、第2原稿2bを読取終了位置で停止させ、第3原稿2cを読取前位置で停止させた状態でモーター17dの駆動を停止する。このように、第1実施形態によれば、制御部11は、第1原稿2aが読取終了位置を通過した後に前記停止指示を受けた場合は、第2原稿2bを読取終了位置で停止させ、第3原稿2cを読取前位置で停止させることができる。そのため、第3原稿2cを搬送経路22から取り出す必要がなく、ユーザーの手間を低減することができる。
【0060】
4.第2実施形態:
次に、画像読取装置10による第2実施形態を説明する。第2実施形態では、第1実施形態で行った説明を適宜準用する。
第2実施形態では、本体部1は、支持部4に支持された状態で、姿勢を上述の第1姿勢または「第2姿勢」に切り替えることが可能であるとする。
【0061】
図10は、画像読取装置10の主に内部構成を側方からの視点により簡易的に示しており、本体部1の姿勢は第2姿勢である。
図10や後述の
図12についても、
図2と共通する説明は適宜省略する。これまでの
図2,5~9に示す本体部1は、いずれも第1姿勢であるが、
図10,12に示す本体部1は、第1姿勢であるときよりも全体が後方へ倒れた第2姿勢となっている。
【0062】
ユーザーは、支持部4に対する本体部1の角度を手動で切り替えることにより、本体部1の姿勢を第1姿勢としたり、第2姿勢としたりすることができる。シートフィードタイプのスキャナーにおいて、本体部の姿勢を切り替えるための構造は公知であるため詳細は省くが、本体部1は、後方かつ下方の部分で支持部4に対して回転可能に軸支されており、この軸支された部分を中心に回転することで姿勢を切り替える。
【0063】
図10を
図2と比較すると分かるように、第2姿勢においては、湾曲経路22aの底面を形成していた一部の部材が湾曲経路22aの入り口を塞ぐように変位している。このような部材の変位は、第2姿勢への切り替えに伴って自動で行われるとしてもよいし、ユーザーが手動で行うとしてもよい。この結果、第2姿勢においては、湾曲経路22aへの原稿2の進入は不可能となり、替わりに、本体部1の筐体底面に第2排出口22cが生じる。第1姿勢では、湾曲経路22aが第2排出口22cを隠しているため、原稿2が第2排出口22cから排出されることはない。第2姿勢においては、排出ローラー対17cから下流へ搬送される原稿2は、湾曲経路22aを通過せず、それまでの搬送経路22と同様にほぼストレートな軌道で第2排出口22cから排出される。このように、原稿2を第2排出口22cから排出することを「ストレート排出」と称する。
【0064】
このように本体部1は、第1姿勢では、第1排出口22bから原稿2を排出可能かつ第2排出口22cから原稿2を排出不能であり、第2姿勢では、第2排出口22cから原稿2を排出可能かつ第1排出口22bから原稿2を排出不能である。
図1に示す姿勢検知部21は、本体部1の姿勢が第1姿勢と第2姿勢とのいずれであるかを検知するセンサーである。
【0065】
第1姿勢と第2姿勢とに切り替え可能な製品では、プラスチックカードやパスポート等のように、硬い材質や厚い冊子といったUターン排出が不可能な原稿2のために、第2姿勢によるストレート排出が用いられる。そのため、従来の仕様のように、キャンセル指示を受けた際に、原稿2を排出しようとすると、仮に原稿2がプラスチックカードやパスポート等であって、本体部1の姿勢が第1姿勢であると、湾曲経路22aに対して原稿2の先端が接触して機体や原稿2に負荷がかかり、原稿2が破損する虞がある。第2実施形態では、このような課題を想定して、原稿2を適切に停止させる。
【0066】
図11は、第2実施形態において制御部11がプログラム12に従って実行する停止制御処理を、フローチャートにより示している。上述したように、ユーザーは、操作受付部14や外部装置を操作して、画像読取装置10に原稿2のスキャン開始を指示する。スキャン開始の指示を受けた制御部11は、原稿2が載置部3に載置されていれば、モーター17dの駆動を開始し、載置部3から原稿2を一枚搬送する処理を搬送部17に開始させると共に、
図11のフローチャートを開始する。
【0067】
ステップS300では、制御部11は、キャンセル指示を受けたか否かを継続的に判定する。仮に、ユーザーからキャンセル指示を受けることなく、載置部3にセットされた全ての原稿2の読取から排出までが完了した場合は、
図11のフローチャートを終了する。キャンセル指示を受けた場合、ステップS300の“Yes”の判定からステップS310へ進む。
【0068】
ステップ310では、制御部11は、本体部1の姿勢が第1姿勢であるか否かを判定する。制御部11は、姿勢検知部21による現在の検知結果を取得し、第1姿勢が検知されていれば“Yes”の判定からステップS330へ進み、一方、第2姿勢が検知されていれば“Nо”の判定からステップS320へ進む。
【0069】
ステップS320では、制御部11は、モーター17dの駆動を継続して原稿2を第2排出口22cから排出した上でモーター17dの駆動を停止し、
図11のフローチャートを終える。
図10を参照すると、第1原稿2aは搬送中かつ読取中であり、第2原稿2bが載置部3に載置されている。この状態でユーザーがキャンセル指示を入力したと仮定する。この場合、第1原稿2aに対して読取がキャンセルされたと捉えられる。そこで制御部11はステップS320において、
図12に示すように、第1原稿2aが第2排出口22cから排出されるまでモーター17dの駆動を継続した上で、モーター17dを停止させる。
【0070】
ステップS330の説明にも
図2を用いることにする。
図2を参照すると、第1原稿2aは搬送中かつ読取中であり、第2原稿2bが載置部3に載置されている。この状態でユーザーがキャンセル指示を入力したと仮定する。この場合、制御部11はステップS330において、即座にモーター17dの駆動を停止して、
図11のフローチャートを終える。つまり、第2実施形態では、
図2のように第1姿勢であれば、制御部11は、キャンセル指示を受けたことを認識したら即座にモーター17dを止め、
図2の状態のまま原稿2を停止させる。
【0071】
図11によれば、ステップS300,S310は、モーター17dの駆動開始後、読取のキャンセルの指示を受けた場合に、姿勢が第1姿勢と第2姿勢とのいずれであるかを判定する「判定工程」に該当する。また、ステップS330,S320は、姿勢が第1姿勢であれば、モーター17dの駆動を停止し、一方、姿勢が第2姿勢であれば、モーター17dの駆動を継続し原稿2を第2排出口22cから排出した上でモーター17dの駆動を停止する「停止制御工程」に該当する。
【0072】
このように第2実施形態によれば、画像読取装置10は、設置面5に置かれて本体部1を支持する支持部4と、支持部4に支持された状態で、姿勢を第1姿勢または第2姿勢に切り替えることが可能な本体部1と、を備える。本体部1は、モーター17dと、原稿2が載置される載置部3と、モーター17dから動力を受けて回転することにより、載置部3に載置された原稿2を所定の搬送方向D1へ搬送する給送ローラーと、給送ローラーよりも搬送方向D1の下流に設けられて、モーター17dから動力を受けて回転することにより原稿2を搬送方向D1へ搬送する第1搬送ローラーと、第1搬送ローラーよりも下流に設けられて、モーター17dから動力を受けて回転することにより原稿2を搬送方向D1へ搬送する第2搬送ローラーと、搬送方向D1において第1搬送ローラーと第2搬送ローラーとの間に設けられて、搬送される原稿2を読み取る読取部18と、姿勢が第1姿勢と第2姿勢とのいずれであるかを検知する姿勢検知部21と、第2搬送ローラーよりも下流に設けられて、湾曲経路22aを通過した原稿2を排出する第1排出口22bと、第2搬送ローラーよりも下流に設けられて、湾曲経路22aを通過しない原稿2を排出する第2排出口22cと、制御部11と、を備える。そして、本体部1は、第1姿勢では、第1排出口22bから原稿2を排出可能かつ第2排出口22cから原稿2を排出不能であり、第2姿勢では、第2排出口22cから原稿2を排出可能かつ第1排出口22bから原稿2を排出不能である。制御部11は、モーター17dの駆動開始後、読取のキャンセルの指示を受けた場合は、姿勢検知部21により第1姿勢が検知されていれば、モーター17dの駆動を停止し、姿勢検知部21により第2姿勢が検知されていれば、モーター17dの駆動を継続し、原稿2を第2排出口22cから排出した上でモーター17dの駆動を停止する。
【0073】
前記構成によれば、制御部11は、本体部1の姿勢が第1姿勢であれば、キャンセル指示を受けたことを認識したら即座にモーター17dを止め、原稿2の搬送を停止する。これにより、仮に原稿2がプラスチックカードやパスポート等であった場合に、上述したような原稿2と湾曲経路22aとの接触による負荷の発生や破損が、回避される。つまり、原稿2を適切な位置で停止させることができる。
【0074】
第2実施形態に関して、変形例を説明する。
第1変形例:
画像読取装置10は、原稿2の厚みを検知する「厚み検知部」を備えるとしてもよい。そして、制御部11は、キャンセルの指示を受け、姿勢検知部21により第1姿勢が検知されている場合は、厚み検知部により所定厚み以上の厚みが検知されていればモーター17dの駆動を停止する、としてもよい。
【0075】
厚み検知部は、原稿2の厚みを検知可能な手段やセンサーであればよく、制御部11が厚み検知部の全部あるいは一部を担っていてもよい。
図2等では、厚み検知部の一例として、いわゆる重送検知部23を破線で示している。重送検知部23は、搬送経路22を挟んで対向する、超音波を送信する送信部と超音波を受信する受信部とを有する。詳細は省くが、送信部が送信した超音波は、搬送経路22を搬送される原稿2を通過するとき、原稿2の重送の有無を含めた原稿2の厚みに応じて減衰するため、重送検知部23は、受信部が受信する超音波の信号レベルに応じて、原稿2の厚みを検知可能である。
あるいは、厚み検知部は、原稿2の先端を読み取った画像データ内に生じている、原稿先端の影の長さを解析することにより原稿2の厚みを検知してもよい。
【0076】
図13は、第1変形例にかかるフローチャートである。
図13は、
図11と比べると、ステップS310の“Yes”に続いてステップS312の判定を行う点で異なる。ステップS312では、制御部11は、厚み検知部により検知された原稿2の厚みが、所定厚み、つまり所定のしきい値以上であるか否かを判定する。そして、原稿2の厚みがしきい値以上であれば、ステップS312の“Yes”からステップS330へ進み、原稿2の厚みがしきい値未満であれば、ステップS312の“Nо”からステップS320へ進む。このような第1変形例によれば、制御部11は、第2実施形態においてステップS310で“Yes”と判定した場合であって、原稿2がUターン排出に適さない厚みを持った原稿2であるときに、ステップS330においてモーター17dを即時停止することができる。
【0077】
第2変形例:
制御部11は、キャンセルの指示を受け、姿勢検知部21により第1姿勢が検知されている場合は、原稿2の種類としてプラスチックカードまたはパスポートが予め指定されていればモーター17dの駆動を停止する、としてもよい。
図14は、第2変形例にかかるフローチャートである。
図14は、
図11と比べると、ステップS310の“Yes”に続いてステップS314の判定を行う点で異なる。
【0078】
ユーザーは、画像読取装置10に対してスキャン開始を指示する際に、操作受付部14やUI画面を通じて、原稿2の種類を指定することができる。従って、制御部11は、ユーザーによって予め指定された原稿2の種類を認識している場合がある。ステップS314では、制御部11は、原稿2の種類としてプラスチックカードまたはパスポートが予め指定されているか否かを判定する。そして、プラスチックカードまたはパスポートが指定されていれば、ステップS314の“Yes”からステップS330へ進み、プラスチックカードまたはパスポートのいずれも指定されていなければ、ステップS314の“Nо”からステップS320へ進む。このような第2変形例によれば、制御部11は、第2実施形態においてステップS310で“Yes”と判定した場合であって、原稿2がUターン排出に適さないプラスチックカードまたはパスポートであるときに、ステップS330においてモーター17dを即時停止することができる。
【0079】
第1変形例と第2変形例とを組み合わせることも当然に可能である。つまり、制御部11は、ステップS312の“Yes”またはステップS314“Yes”の少なくとも一方が成立することを条件に、ステップS330を実行するとしてもよい。
【0080】
5.その他の説明:
第1実施形態に関する説明として、
図2,5~9は全て第1姿勢の本体部1を記載しているが、第1実施形態は、本体部1が第1姿勢であっても第2姿勢であってもどちらでもよい。つまり、第1実施形態では、画像読取装置10は、本体部1の姿勢が第1姿勢に固定された製品であってもよいし、逆に、本体部1の姿勢が第2姿勢に固定された製品であってもよいし、あるいは、本体部1の姿勢を第1姿勢または第2姿勢に切り替え可能な製品であってもよい。
【0081】
第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせることも可能である。
ここでは、画像読取装置10は、本体部1の姿勢を第1姿勢と第2姿勢とに切り替え可能であり、第1実施形態を「第1制御」と呼び、第2実施形態を「第2制御」と呼ぶことにする。制御部11は、前記停止指示としての読取のキャンセルの指示を受けた場合に実行する制御として、第1制御または第2制御の選択を受け付けることが可能である。つまり、ユーザーは、キャンセル指示を受けた画像読取装置10が第1制御と第2制御とのどちらを実行すべきかを、予め操作受付部14やUI画面を通じて選択しておく。
【0082】
そして、制御部11は、第1制御が選択された場合は、第1実施形態を採用する。つまり、モーター17dの駆動開始後であって、第1原稿2aが読取終了位置へ到達した後、第2原稿2bが第1検知部19により検知されているか否かを判定し、第1検知部19により第2原稿2bが検知されている場合、キャンセルの指示を受けていれば(ステップS220“Yes”)、モーター17dの駆動を停止する。一方、制御部11は、第2制御が選択された場合は、第2実施形態を採用する。つまり、モーター17dの駆動開始後、キャンセルの指示を受けた場合は、姿勢検知部21により第1姿勢が検知されていれば(ステップS310“Yes”)、モーター17dの駆動を停止し、姿勢検知部21により第2姿勢が検知されていれば(ステップS310“Nо”)、モーター17dの駆動を継続し原稿2を第2排出口22cから排出した上でモーター17dの駆動を停止する。
このように、キャンセル指示を受けた画像読取装置10が実行すべき制御を、ユーザーが予め選択できるようにすることで、ユーザーにとっての利便性が向上する。
【0083】
特許請求の範囲においては、請求項同士の組み合わせの一部のみを記載しているが、本明細書は、独立請求項と従属請求項との一対一の組み合わせだけでなく、当然に複数の従属請求項の各種組み合わせを開示範囲に含める。
【0084】
本実施形態は、画像読取装置10以外にも、画像読取方法や、当該方法をプロセッサーと協働して実現するためのプログラム12を開示する。
例えば、画像読取装置10が実行する画像読取方法であって、画像読取装置10は、モーター17dと、原稿2が載置される載置部3と、モーター17dから動力を受けて回転することにより、載置部3に載置された原稿2を所定の搬送方向D1へ搬送する給送ローラーと、給送ローラーよりも搬送方向D1の下流に設けられて、モーター17dから動力を受けて回転することにより原稿2を搬送方向D1へ搬送する第1搬送ローラーと、第1搬送ローラーよりも下流に設けられて、モーター17dから動力を受けて回転することにより原稿2を搬送方向D1へ搬送する第2搬送ローラーと、搬送方向D1において第1搬送ローラーと第2搬送ローラーとの間に設けられて、搬送される原稿2を読み取る読取部18と、を備え、モーター17dの駆動開始後であって、原稿2である第1原稿2aが読取部18による読取が終了する所定の読取終了位置へ到達した後、第1原稿2aの次の原稿2である第2原稿2bの載置部3における有無を判定する判定工程と、第2原稿2bが有ると判定された場合、原稿2を特定の位置で停止させるための停止指示を受けていればモーター17dの駆動を停止し、前記停止指示を受けていなければモーター17dの駆動を継続し、一方、第2原稿2bが無いと判定された場合、第1原稿2aを第2搬送ローラーよりも下流へ排出した上でモーター17dの駆動を停止する停止制御工程と、を有する画像読取方法を把握することができる。
【0085】
また、画像読取装置10が実行する画像読取方法であって、画像読取装置10は、設置面5に置かれて本体部1を支持する支持部4と、支持部4に支持された状態で、姿勢を第1姿勢または第2姿勢に切り替えることが可能な本体部4と、を備え、本体部1は、モーター17dと、原稿2が載置される載置部3と、モーター17dから動力を受けて回転することにより、載置部3に載置された原稿2を所定の搬送方向D1へ搬送する給送ローラーと、給送ローラーよりも搬送方向D1の下流に設けられて、モーター17dから動力を受けて回転することにより原稿2を搬送方向D1へ搬送する第1搬送ローラーと、第1搬送ローラーよりも下流に設けられて、モーター17dから動力を受けて回転することにより原稿2を搬送方向D1へ搬送する第2搬送ローラーと、搬送方向D1において第1搬送ローラーと第2搬送ローラーとの間に設けられて、搬送される原稿2を読み取る読取部18と、第2搬送ローラーよりも下流に設けられて、湾曲経路22aを通過した原稿2を排出する第1排出口22bと、第2搬送ローラーよりも下流に設けられて、湾曲経路22aを通過しない原稿2を排出する第2排出口22cと、を備え、本体部1は、第1姿勢では、第1排出口22bから原稿2を排出可能かつ第2排出口22cから原稿2を排出不能であり、第2姿勢では、第2排出口22cから原稿2を排出可能かつ第1排出口22bから原稿2を排出不能であり、モーター17dの駆動開始後、読取のキャンセルの指示を受けた場合に、前記姿勢が第1姿勢と第2姿勢とのいずれであるかを判定する判定工程と、姿勢が第1姿勢であれば、モーター17dの駆動を停止し、一方、姿勢が第2姿勢であれば、モーター17dの駆動を継続し原稿2を第2排出口22cから排出した上でモーター17dの駆動を停止する停止制御工程と、を有する画像読取方法を把握することができる。
【符号の説明】
【0086】
1…本体部、2…原稿、2a…第1原稿、2b…第2原稿、2c…第3原稿、3…載置部、4…支持部、5…設置面、10…画像読取装置、11…制御部、12…プログラム、17…搬送部、17a…給送ローラー対、17b…搬送ローラー対、17c…排出ローラー対、17d…モーター、18…読取部、19…第1検知部、20…第2検知部、21…姿勢検知部、22…搬送経路、22a…湾曲経路、22b…第1排出口、22c…第2排出口、23…重送検知部