(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101141
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】コイル、及びコイルを備える回転電機
(51)【国際特許分類】
H02K 3/34 20060101AFI20240722BHJP
【FI】
H02K3/34 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004912
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100207859
【弁理士】
【氏名又は名称】塩谷 尚人
(72)【発明者】
【氏名】中村 敦
【テーマコード(参考)】
5H604
【Fターム(参考)】
5H604BB01
5H604BB10
5H604BB13
5H604BB15
5H604CC01
5H604CC04
5H604DB07
5H604DB25
5H604PB02
(57)【要約】
【課題】絶縁テープにより表面を絶縁したコイルにおいて、絶縁テープが皺になることを抑制する。
【解決手段】コイル(41B)は、直線形状に形成された直線部(42)、及び曲がった形状に形成された曲部(44Bc)を含む環状の導体(42、44B)と、直線部の外面に巻回された第1絶縁テープ(61)と、曲部を含む部分の外面に巻回された第2絶縁テープ(62)と、を備える。第2絶縁テープの幅(W2)は、第1絶縁テープの幅(W1)よりも狭い。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線形状に形成された直線部(42)、及び曲がった形状に形成された曲部(43Bc、44Bc)を含む環状の導体(42、43B、44B)と、
前記直線部の外面に巻回された第1絶縁テープ(61)と、
前記曲部を含む部分の外面に巻回された第2絶縁テープ(62)と、を備えるコイル(41B)であって、
前記第2絶縁テープの幅(W2)は、前記第1絶縁テープの幅(W1)よりも狭い、コイル。
【請求項2】
前記導体は、導線(42a)の束を含み、
前記導線の長手方向に垂直な断面は矩形状であり、
前記導体の長手方向に垂直な断面の外形が矩形状になるように、前記導線が整列されている、請求項1に記載のコイル。
【請求項3】
前記導体は、複数回巻かれた導線により形成されており、
前記導線の両端部(46)は、前記直線部と前記曲部との境界部(45)から引き出されている、請求項1又は2に記載のコイル。
【請求項4】
前記導線は、絶縁膜(42b)により被覆されており、
前記第1絶縁テープ及び前記第2絶縁テープは、前記絶縁膜の外側に巻回されている、請求項2に記載のコイル。
【請求項5】
前記直線部は、第1直線部(42)であり、
前記導体は、前記第1直線部よりも短い直線形状に形成された第2直線部(43Bs、44Bs)を含み、
前記第2直線部の両端は、それぞれ前記曲部(43Bc、44Bc)に接続されており、
前記第2直線部及びその両端に接続された前記曲部に、前記第2絶縁テープが巻回されている、請求項1、2、4のいずれか1項に記載のコイル。
【請求項6】
前記直線部は、第1直線部(42)であり、
前記導体は、前記第1直線部よりも短い直線形状に形成された第2直線部(43Bs、44Bs)を含み、
前記第2直線部の両端は、それぞれ前記曲部(43Bc、44Bc)に接続されており、
前記第1直線部及び第2直線部に、前記第1絶縁テープが巻回され、
前記曲部に前記第2絶縁テープが巻回されている、請求項1、2、4のいずれか1項に記載のコイル。
【請求項7】
前記第2絶縁テープの伸縮性は、前記第1絶縁テープの伸縮性よりも高い、請求項1、2、4のいずれか1項に記載のコイル。
【請求項8】
前記第2絶縁テープは、前記第1絶縁テープが引き伸ばされた絶縁テープである、請求項1、2、4のいずれか1項に記載のコイル。
【請求項9】
請求項1、2,4のいずれか1項に記載のコイルを複数備え、
前記コイルの中に、鉄心が挿入されておらず、他の前記コイル(41A)の一部が挿入されている、回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁テープにより表面を絶縁したコイルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、絶縁被覆した導体の束にプリプレグマイカテープ(絶縁テープ)を巻回して形成したコイルがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のコイルは、直線形状に形成された直線部と、曲がった形状に形成された曲部とを備えている。コイルの曲部に巻回された絶縁テープは、皺になりやすい。その場合、絶縁テープが皺になった部分では皺になっていない部分よりも、絶縁テープにより形成される絶縁層の厚みが厚くなり、コイルを組み付けるために必要なスペースが拡大するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、絶縁テープにより表面を絶縁したコイルにおいて、絶縁テープが皺になることを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための第1の手段は、
直線形状に形成された直線部(42)、及び曲がった形状に形成された曲部(43Bc、44Bc)を含む環状の導体(42、43B、44B)と、
前記直線部の外面に巻回された第1絶縁テープ(61)と、
前記曲部を含む部分の外面に巻回された第2絶縁テープ(62)と、を備えるコイル(41B)であって、
前記第2絶縁テープの幅(W2)は、前記第1絶縁テープの幅(W1)よりも狭い。
【0007】
上記構成によれば、環状の導体は、直線形状に形成された直線部、及び曲がった形状に形成された曲部を含んでいる。ここで、前記直線部の外面に絶縁テープを巻回す際には、絶縁テープが皺になりにくい。一方、前記曲部を含む部分の外面に絶縁テープを巻回す際には、曲部において絶縁テープが皺になりやすい。この点、前記第2絶縁テープの幅は、前記第1絶縁テープの幅よりも狭い。このため、曲部に第1絶縁テープを巻回す場合と比較して、曲部において第2絶縁テープが皺になることを抑制することができる。さらに、直線部に第2絶縁テープを巻回す場合と比較して、直線部を覆うために必要な第1絶縁テープの巻回し回数を減らすことができる。
【0008】
第2の手段では、前記導体は、導線(42a)の束を含み、前記導線の長手方向に垂直な断面は矩形状であり、前記導体の長手方向に垂直な断面の外形が矩形状になるように、前記導線が整列されている。こうした構成によれば、長手方向に垂直な断面が矩形状である導線が整列されることにより、前記導体の長手方向に垂直な断面の外形が矩形状になっている。このため、導体の表面に凹凸ができることを抑制することができる。したがって、導体の外面に第1絶縁テープ及び第2絶縁テープを巻回しやすくなり、第1絶縁テープ及び第2絶縁テープを巻回す作業の効率を向上させることができる。
【0009】
第3の手段では、前記導体は、複数回巻かれた導線により形成されており、前記導線の両端部(46)は、前記直線部と前記曲部との境界部(45)から引き出されている。こうした構成によれば、直線部の外面に巻回す第1絶縁テープと、曲部に巻回す第2絶縁テープとを切り替える部分から、導線の両端部を引き出すことができる。したがって、導体の外面に絶縁テープを巻く際に、導線の両端部を引き出した引出線を避けやすくなる。
【0010】
導線同士の絶縁に必要な耐圧は、導体と対地(グランド)の絶縁に必要な耐圧、及び導体と導体との絶縁に必要な耐圧よりも低い。
【0011】
この点、第4の手段では、前記導線は、絶縁膜(42b)により被覆されており、前記第1絶縁テープ及び前記第2絶縁テープは、前記絶縁膜の外側に巻回されている。このため、導線同士を絶縁する絶縁膜と、導体と対地、及び導体と導体を絶縁する第1絶縁テープ及び第2絶縁テープとを分けることができ、絶縁膜、第1絶縁テープ及び第2絶縁テープを必要に応じた厚みにしやすくなる。したがって、コイルに含まれる絶縁層の厚みが厚くなることを抑制することができ、コイルを組み付けるために必要なスペースが拡大することを抑制することができる。
【0012】
第5の手段では、前記直線部は、第1直線部(42)であり、前記導体は、前記第1直線部よりも短い直線形状に形成された第2直線部(43Bs、44Bs)を含み、前記第2直線部の両端は、それぞれ前記曲部(43Bc、44Bc)に接続されており、前記第2直線部及びその両端に接続された前記曲部に、前記第2絶縁テープが巻回されている。
【0013】
上記構成によれば、導体は、第1直線部と、前記第1直線部よりも短い直線形状に形成された第2直線部とを含んでいる。前記第2直線部の両端は、それぞれ前記曲部に接続されている。この場合、第2直線部に第1絶縁テープを巻回し、第2直線部の両端に接続された曲部にそれぞれ第2絶縁テープを巻回すと、第1絶縁テープと第2絶縁テープとを切り替える手間が増え、絶縁テープを巻回す作業の効率が低下するおそれがある。
【0014】
この点、前記第2直線部及びその両端に接続された前記曲部に、前記第2絶縁テープが巻回されている。こうした構成によれば、第1直線部よりも短い第2直線部に第2絶縁テープを巻回すことにより、第1絶縁テープと第2絶縁テープとを切り替える手間を減らすことができ、絶縁テープを巻回す作業の効率を向上させることができる。その場合であっても、曲部には第2絶縁テープが巻回されているため、絶縁テープが皺になることを抑制することができる。
【0015】
第6の手段のように、前記直線部は、第1直線部(42)であり、前記導体は、前記第1直線部よりも短い直線形状に形成された第2直線部(43Bs、44Bs)を含み、前記第2直線部の両端は、それぞれ前記曲部(43Bc、44Bc)に接続されており、前記第1直線部及び第2直線部に、前記第1絶縁テープが巻回され、前記曲部に前記第2絶縁テープが巻回されている、といった構成を採用することもできる。
【0016】
第7の手段では、前記第2絶縁テープの伸縮性は、前記第1絶縁テープの伸縮性よりも高い。こうした構成によれば、第2絶縁テープの幅が第1絶縁テープの幅よりも狭いことだけでなく、第2絶縁テープの伸縮性が第1絶縁テープの伸縮性よりも高いことによっても、曲部において第2絶縁テープが皺になることを抑制することができる。
【0017】
第8の手段では、前記第2絶縁テープは、前記第1絶縁テープが引き伸ばされた絶縁テープである。こうした構成によれば、第1絶縁テープを引き伸ばすことにより、第2絶縁テープの幅を第1絶縁テープの幅よりも狭くすることができる。したがって、1種類の絶縁テープにより導体の直線部と曲部とを覆うことができ、絶縁テープを巻回す作業の効率を向上させることができる。
【0018】
第9の手段は、第1~第8のいずれか1手段に記載のコイルを複数備え、前記コイルの中に、鉄心が挿入されておらず、他の前記コイル(41A)の一部が挿入されている。こうした構成によれば、前記コイルが空芯コイルであり、前記コイルの中に、鉄心(例えばティース)が挿入されておらず、他のコイルの一部が挿入されているティースレス構造の回転電機において、コイルを組み付けるために必要なスペースが拡大することを抑制することができる。したがって、複数のコイルを高密度で配置することができ、回転電機の高効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図5】比較例における絶縁テープの巻回し態様を示す部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、車両動力源として用いられる回転電機に具現化した一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。ただし、回転電機は、産業用、車両用、航空機用、家電用、OA機器用、遊技機用などとして広く用いられることが可能となっている。
【0021】
図1は、回転電機10の縦断面図である。回転電機10は、アウタロータ式の表面磁石型多相交流モータであり、例えば車両のインホイールモータとして用いられる。以下の記載では、回転電機10において、回転軸線の延びる方向を軸方向とし、回転軸線の中心から放射状に延びる方向を径方向とし、回転軸線を中心として円周状に延びる方向を周方向としている。
【0022】
回転電機10は、回転子20と、回転子20の径方向内側に配置された固定子30とを備えている。回転子20及び固定子30は、それぞれ円筒状をなしており、円環状に延びるエアギャップを挟んで径方向に互いに対向配置されている。回転電機10は、回転子20に、不図示の車輪のホイールに固定されるハブ11が一体化される一方、固定子30に、不図示の車体に固定される略円柱状のスピンドル12が一体化された構成となっている。ハブ11は、一対の軸受13,14によりスピンドル12に対して回転可能に支持されている。
【0023】
回転子20は、略円筒状の回転子キャリア21と、その回転子キャリア21に固定された環状の磁石ユニット22とを有している。回転子キャリア21は、円筒状をなす円筒部23と、円筒部23の軸方向一端の側に設けられ、径方向に延びる端板部24とを有している。円筒部23の内周面には磁石ユニット22が固定されている。回転子キャリア21の軸方向他端側は開放されている。回転子キャリア21は、磁石保持部材として機能する。
【0024】
磁石ユニット22は、回転子キャリア21の円筒部23の内周面に固定された複数の磁石を有している。磁石ユニット22において、磁石は、回転子20の周方向に沿って極性が交互に変わるように並べられている。これにより、磁石ユニット22には、周方向に複数の磁極が形成されている。なお、回転電機10は、埋込磁石型の同期機(IPMSM)であってもよい。
【0025】
回転子キャリア21の開放側の軸方向端部には回転子カバー15が固定されている。回転子カバー15は、円環板状をなしており、固定子30との径方向対向部分に軸受16を介在させた状態で、回転子キャリア21に対してボルト等の固定具により固定されている。
【0026】
固定子30は、固定子巻線31と、固定子コア32と、固定子ホルダ33とを有している。固定子コア32及び固定子ホルダ33は、固定子コア32を径方向外側として一体化され、その径方向外側に固定子巻線31が組み付けられている。固定子30は、スロットを形成するためのティースを有していないティースレス構造を有しており、固定子コア32において径方向外側の外周面は凸部(ティース)の無い曲面となっている。固定子コア32は、円筒状をなし、バックヨークとして設けられている。固定子巻線31は、複数の相巻線を有し、相ごとに単位コイルである複数の部分巻線41を有する構成となっている。本実施形態では、固定子巻線31がU,V,W相の3相巻線で構成されている。
【0027】
次に、固定子30の構成を
図2及び
図3を用いてより具体的に説明する。
図2は、固定子30の構成を示す斜視図であり、
図3は、固定子30の分解斜視図である。
【0028】
固定子巻線31は、複数の部分巻線41が周方向に並ぶ状態で配置されることで構成されている。部分巻線41(コイル)は、導線(導線材)を多重に巻回する(複数回巻く)ことで構成された空芯コイルである。部分巻線41は、周方向に所定間隔を離して設けられる一対の中間導線部42と、一対の中間導線部42を軸方向両端でそれぞれ接続する一対の渡り部43,44とを有し、これら一対の中間導線部42と一対の渡り部43,44とにより環状に形成されている。そして、部分巻線41における一対の中間導線部42の間に、他相の部分巻線41における一対の中間導線部42のうち一方の中間導線部42が配置(挿入)されることで、各相の中間導線部42どうしが近接状態で周方向に並べて配置されている。例えば、部分巻線41Bの中に、鉄心が挿入されておらず、部分巻線41A(他のコイル)の中間導線部42(一部)が挿入されている。
【0029】
軸方向両側の各渡り部43,44は、それぞれコイルエンドに相当する部分として設けられ、各渡り部43,44のうち、一方の渡り部43は径方向に屈曲形成され、他方の渡り部44は径方向に屈曲されることなく形成されている。これにより、各部分巻線41は、側面視で略L字状をなすものとなっている。各部分巻線41には、渡り部43が径方向内側に屈曲された部分巻線41A(第1部分巻線)と、渡り部43が径方向外側に屈曲された部分巻線41B(第2部分巻線)とが含まれている。固定子30において、軸方向一端側(
図2の上側)のコイルエンドエリアCE1では、部分巻線41Aの渡り部43が径方向内側に屈曲され、軸方向他端側(
図2の下側)のコイルエンドエリアCE2では、部分巻線41Bの渡り部43が径方向外側に屈曲されている。渡り部43は、各中間導線部42に対して径方向に屈曲されてなる屈曲部であり、かつ径方向に凸となる湾曲形状をなしている。なお、以下の説明では、部分巻線41Aの渡り部43,44を「渡り部43A,44A」、部分巻線41Bの渡り部43,44を「渡り部43B,44B」とも称することとする。
【0030】
固定子巻線31において、軸方向一端側では部分巻線41Aの渡り部43Aが径方向内側に屈曲された内曲げ構造となり、軸方向他端側では部分巻線41Bの渡り部43Bが径方向外側に屈強された外曲げ構造となっている。この場合、固定子コア32及び固定子ホルダ33のアセンブリに対する各部分巻線41の組み付けが容易になっているとともに、回転子20の径方向内側への固定子30の組み付けが容易になっている。
【0031】
固定子ホルダ33は、固定子コア32の径方向内側に組み付けられる円筒部34と、軸方向一端側において円筒部34から径方向外側に向けて設けられた張出部36とを有している。固定子ホルダ33は金属材料により形成されており、金属材料としては例えば鉄、アルミニウムが用いられるとよい。
【0032】
本実施形態では、ティースレス構造の固定子30において、軸方向端部に設けられた位置規制部により各部分巻線41の位置規制を行う構成としており、以下に、その位置規制部の構成を説明する。
【0033】
図2及び
図3に示すように、コイルエンドエリアCE2側には、固定子ホルダ33の張出部36が位置規制部として設けられている。張出部36は、軸方向において固定子巻線31の外側、すなわち渡り部43,44の外側となる位置に、径方向外側に張り出すように設けられている。張出部36には、周方向に延びる環状の環状溝36aが設けられている。そして、張出部36の環状溝36aに部分巻線41Aの渡り部44Aが挿し入れられることにより、渡り部44Aの径方向の位置規制が可能になっている。また、張出部36には、軸方向に突出する突出部36bが設けられており、その突出部36bにより、部分巻線41Bにおける渡り部43Bの径方向及び周方向の位置規制が行われる構成となっている。
【0034】
コイルエンドエリアCE1側においては、部分巻線41Aの渡り部43Aと、部分巻線41Bの渡り部44Bとに対して、位置規制部材50による位置規制が行われるようになっている。位置規制部材50は環状に形成されており、固定子ホルダ33に対して軸方向から位置規制部材50が組み付けられることで、コイルエンドエリアCE1側の巻線端部の位置規制が行われるようになっている。
【0035】
位置規制部材50は、円環部51を有し、その円環部51に、固定子ホルダ33に対して係合可能なホルダ係合部52と、部分巻線41Aの渡り部43Aに対して係合可能な巻線係合部53と、部分巻線41Bの渡り部44Bに対して係合可能な巻線係合部54とが設けられている。ホルダ係合部52は、周方向に所定間隔で設けられ、固定子ホルダ33の軸方向端面に設けられた突起部33aに対して係合可能となっている。巻線係合部53は、周方向に所定間隔で設けられ、部分巻線41Aの渡り部43Aの内周部分に対して係合可能となっている。巻線係合部54は、周方向に所定間隔で設けられ、部分巻線41Bの渡り部44Bの外周部分に対して係合可能となっている。位置規制部材50は、ボルト等の固定具により固定子ホルダ33に対して固定されるようになっている。
【0036】
図1に示すように、固定子30の軸方向端部には、固定子巻線31の各部分巻線41に電気的に接続される円環状の配線モジュール55が設けられている。配線モジュール55は、導通部材として各相用、及び中性線用の複数のバスバーを有している。配線モジュール55により、各相の部分巻線41が相ごとに並列又は直列に接続され、かつ各相の相巻線が中性点接続されている。配線モジュール55は、固定子30の軸方向両側のコイルエンドエリアCE1,CE2のうちコイルエンドエリアCE1側に設けられている。不図示とするが、配線モジュール55には各相の電力線が接続されており、この電力線を通じて固定子巻線31とインバータとの間の電力の入出力が行われるようになっている。
【0037】
図4は、1つの部分巻線41Bを取り出して示す斜視図である。中間導線部42(第1直線部、直線部)は、直線形状(略直線形状)に形成されている。
【0038】
渡り部43Bは、2つの曲部43Bcと、第2直線部43Bsとを備えている。第2直線部43Bsは、直線形状(略直線形状)に形成されている。第2直線部43Bsは、中間導線部42よりも短い。曲部43Bcは、曲がった形状に形成されている。詳しくは、曲部43Bcは、軸方向から径方向へ曲がった部分と、径方向から周方向へ曲がった部分とを含んでいる。第2直線部43Bsの長手方向(周方向)の両端に、それぞれ曲部43Bcが接続されている。2つの中間導線部42の長手方向の一端(
図4における下端)と、第2直線部43Bsの長手方向の両端とが、それぞれ曲部43Bcにより接続されている。
【0039】
渡り部44Bは、2つの曲部44Bcと、第2直線部44Bsとを備えている。第2直線部44Bsは、直線形状(略直線形状)に形成されている。第2直線部44Bsは、中間導線部42よりも短い。曲部44Bcは、曲がった形状に形成されている。詳しくは、曲部44Bcは、軸方向から周方向へ曲がっている。第2直線部44Bsの長手方向(周方向)の両端に、それぞれ曲部44Bcが接続されている。2つの中間導線部42の長手方向の一端(
図4における上端)と、第2直線部44Bsの長手方向の両端とが、それぞれ曲部44Bcにより接続されている。
【0040】
ここで、部分巻線41Bの表面は、絶縁テープにより絶縁されている。
図5は比較例における絶縁テープの巻回し態様を示しており、
図6は本実施形態における絶縁テープの巻回し態様を示している。なお、
図1~4では、表面に設けられた絶縁テープを省略して部分巻線41を示している。
【0041】
図5に示すように、比較例では、部分巻線41Bの中間導線部42及び渡り部44Bの曲部44Bcに第1絶縁テープ61が巻回されている。第1絶縁テープ61は、例えば特許文献1に記載されたプリプレグマイカテープであり、基材とマイカペーパとが接着剤により接着されて形成されている。第1絶縁テープ61の幅は幅W1である。第1絶縁テープ61を中間導線部42に巻回す際には、中間導線部42の外面に第1絶縁テープ61を沿わせることができ、中間導線部42の外面と第1絶縁テープ61との間に隙間が生じにくい。このため、中間導線部42に巻回された第1絶縁テープ61は皺になりにくい。
【0042】
これに対して、第1絶縁テープ61を曲部44Bcに巻回す際には、曲部44Bcの外面に第1絶縁テープ61を沿わせにくい。このため、曲部44Bcの外面と第1絶縁テープ61との間に隙間が生じやすく、第1絶縁テープ61に余り部61a,61b,61cが生じやすい。そして、余り部61a,61b,61cを曲部44Bcの外面に押し付けることにより、第1絶縁テープ61が皺になりやすい。同図では、説明の便宜のために、第1絶縁テープ61を1巻きのみした状態を示しているが、実際には第1絶縁テープ61を1巻き毎に幅方向に所定ピッチずつずらしながら、部分巻線41Bの外面を覆うように第1絶縁テープ61を螺旋状に巻回す。
【0043】
図6に示すように、本実施形態では、部分巻線41Bの中間導線部42に第1絶縁テープ61が巻回され、渡り部44Bの曲部44Bcに第2絶縁テープ62が巻回されている。第1絶縁テープ61,第2絶縁テープ62は、例えば特許文献1に記載されたプリプレグマイカテープであり、基材とマイカペーパとが接着剤により接着されて形成されている。第1絶縁テープ61の幅は幅W1であり、第2絶縁テープ62の幅は幅W2である。第2絶縁テープ62の幅W2は、第1絶縁テープ61の幅W1よりも狭い(W2<W1)。第1絶縁テープ61を中間導線部42に巻回す際には、中間導線部42の外面に第1絶縁テープ61を沿わせることができ、中間導線部42の外面と第1絶縁テープ61との間に隙間が生じにくい。このため、中間導線部42に巻回された第1絶縁テープ61は皺になりにくい。
【0044】
また、第2絶縁テープ62を曲部44Bcに巻回す際には、第2絶縁テープ62の幅W2が狭いため、曲部44Bcの外面に第2絶縁テープ62を沿わせやすい。詳しくは、曲部44Bcの外面と第2絶縁テープ62との間に隙間が生じにくく、第2絶縁テープ62に余り部62aが生じたとしても上記余り部61a,61b,61cよりも小さくなる。このため、余り部62aを曲部44Bcの外面に押し付けたとしても、第2絶縁テープ62が皺になりにくい。同図では、説明の便宜のために、第1絶縁テープ61,第2絶縁テープ62を1巻きのみした状態を示しているが、実際には第1絶縁テープ61を1巻き毎に幅方向に所定ピッチずつずらしながら、中間導線部42の外面を覆うように第1絶縁テープ61を螺旋状に巻回す。また、第2絶縁テープ62を1巻き毎に幅方向に所定ピッチずつずらしながら、曲部44Bc及び第2直線部44Bsの外面を覆うように第2絶縁テープ62を螺旋状に巻回す。すなわち、中間導線部42の外面に第1絶縁テープ61が巻回されており、渡り部44Bの外面に第2絶縁テープ62が巻回されている。
【0045】
なお、第2直線部44Bsに第1絶縁テープ61を巻回し、第2直線部44Bsの両端に接続された曲部44Bcにそれぞれ第2絶縁テープ62を巻回すこともできる。ただし、その場合は、第1絶縁テープ61と第2絶縁テープ62とを切り替える手間が増え、絶縁テープ61,62を巻回す作業の効率が本実施形態よりも低下するおそれがある。
【0046】
上記のように、部分巻線41Bの中間導線部42に第1絶縁テープ61が巻回され、渡り部44Bに第2絶縁テープ62が巻回された構成によれば、部分巻線41Bを上記固定子コア32及び固定子ホルダ33のアセンブリに組み付けるために必要なスペースが拡大することを抑制することができる。詳しくは、渡り部44Bの外面に巻回された第2絶縁テープ62が皺になりにくいため、第2絶縁テープ62により形成される絶縁層の厚みが厚くなることを抑制することができる。このため、例えば部分巻線41Bの渡り部44Bの外周部分に対して係合する上記巻線係合部54を、第2絶縁テープ62に生じる皺の分だけ調整する必要性が小さくなる。また、部分巻線41Bの渡り部43Bにも、第2絶縁テープ62が巻回されている。このため、例えば部分巻線41Bにおける渡り部43Bの径方向及び周方向の位置規制を行う上記突出部36bを、第2絶縁テープ62に生じる皺の分だけ調整する必要性が小さくなる。その結果、固定子30において、部分巻線41A,41Bを配置することができるスペースが減ることを抑制することができる。また、部分巻線41Aにおいても、渡り部43A及び渡り部44Aに、第2絶縁テープ62が巻回されている。このため、部分巻線41Aを上記固定子コア32及び固定子ホルダ33のアセンブリに組み付けるために必要なスペースが拡大することを抑制することができる。
【0047】
図7は、
図4のVII-VII線断面を示す模式図である。上述したように、部分巻線41Bは、導線(導線材)を多重に巻回する(複数回巻く)ことで構成された空芯コイルである。このため、中間導線部42は、導線42aの束を含んでいる。導線42aの長手方向に垂直な断面は矩形状である。そして、中間導線部42の長手方向に垂直な断面の外形が矩形状になるように、束に含まれる導線42aが整列されている。例えば、導線42aの各面が互いに平行になっており、且つ各面の縦横方向の位置が互いに一致している。
【0048】
導線42aは、絶縁膜42bにより被覆されている。絶縁膜42bは、例えば絶縁性の樹脂により形成されている。そして、絶縁膜42bの外側に第1絶縁テープ61が巻回されている。導線42a同士の絶縁(相内絶縁)に必要な耐圧は、中間導線部42と対地(グランド)の絶縁(対地絶縁)に必要な耐圧、及び中間導線部42と他相の中間導線部42との絶縁(相間絶縁)に必要な耐圧よりも低い。このため、絶縁膜42bの厚みは第1絶縁テープ61の厚みよりも薄く、絶縁膜42bの絶縁耐圧は第1絶縁テープ61の絶縁耐圧よりも低い。
【0049】
図8は、部分巻線41Bの側面図である。部分巻線41Bは、多重に巻かれた導線(例えば導線42a)により形成されている。多重に巻かれた導線の両端部は、中間導線部42と渡り部44Bの曲部44Bcとの境界部45から径方向に引き出されて引出線46になっている。すなわち、引出線46は、第1絶縁テープ61が巻回される中間導線部42と、第2絶縁テープ62が巻回される渡り部44Bとの境界部45から引き出されている。
【0050】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。
【0051】
・環状の部分巻線41Bは、直線形状に形成された中間導線部42、及び曲がった形状に形成された曲部44Bcを含んでいる。ここで、中間導線部42の外面に絶縁テープを巻回す際には、絶縁テープが皺になりにくい。一方、曲部44Bcを含む部分の外面に絶縁テープを巻回す際には、曲部44Bcにおいて絶縁テープが皺になりやすい。この点、第2絶縁テープ62の幅W2は、第1絶縁テープ61の幅W1よりも狭い。このため、曲部44Bcに第1絶縁テープ61を巻回す場合と比較して、曲部44Bcにおいて第2絶縁テープ62が皺になることを抑制することができる。さらに、中間導線部42に第2絶縁テープ62を巻回す場合と比較して、中間導線部42を覆うために必要な第1絶縁テープ61の巻回し回数を減らすことができる。すなわち、幅が広い第1絶縁テープ61によれば、少ない巻回し回数で、中間導線部42の大面積を覆うことができる。
【0052】
・長手方向に垂直な断面が矩形状である導線42aが整列されることにより、部分巻線41Bの長手方向に垂直な断面の外形が矩形状になっている。このため、部分巻線41Bの表面に凹凸ができることを抑制することができる。したがって、部分巻線41Bの外面に第1絶縁テープ61及び第2絶縁テープ62を巻回しやすくなり、第1絶縁テープ61及び第2絶縁テープ62を巻回す作業の効率を向上させることができる。
【0053】
・多重に巻かれた導線42aの両端部は、中間導線部42と曲部44Bcとの境界部45から引き出されている。こうした構成によれば、中間導線部42の外面に巻回す第1絶縁テープ61と、曲部44Bcに巻回す第2絶縁テープ62とを切り替える部分から、導線42aの両端部を引き出すことができる。したがって、部分巻線41Bの外面に絶縁テープを巻く際に、導線の両端部を引き出した引出線46を避けやすくなる。
【0054】
・導線42aは、絶縁膜42bにより被覆されており、第1絶縁テープ61及び第2絶縁テープ62は、絶縁膜42bの外側に巻回されている。このため、導線42a同士を絶縁する絶縁膜42bと、部分巻線41Bと対地、及び部分巻線41Bと他相の部分巻線41Bを絶縁する第1絶縁テープ61及び第2絶縁テープ62とを分けることができ、絶縁膜42b、第1絶縁テープ61及び第2絶縁テープ62を必要に応じた厚みにしやすくなる。したがって、部分巻線41Bに含まれる絶縁層の厚みが厚くなることを抑制することができ、部分巻線41Bを組み付けるために必要なスペースが拡大することを抑制することができる。
【0055】
・第2直線部44Bs及びその両端に接続された曲部44Bcに、第2絶縁テープ62が巻回されている。こうした構成によれば、中間導線部42よりも短い第2直線部44Bsに第2絶縁テープ62を巻回すことにより、第1絶縁テープ61と第2絶縁テープ62とを切り替える手間を減らすことができ、絶縁テープを巻回す作業の効率を向上させることができる。その場合であっても、曲部44Bcには第2絶縁テープ62が巻回されているため、絶縁テープが皺になることを抑制することができる。
【0056】
・部分巻線41Bの中に、鉄心が挿入されておらず、他相の部分巻線41Aの一部が挿入されている。こうした構成によれば、部分巻線41Bが空芯コイルであり、部分巻線41Bの中に、鉄心(例えばティース)が挿入されておらず、他相の部分巻線41Aの一部が挿入されているティースレス構造の回転電機において、部分巻線41を組み付けるために必要なスペースが拡大することを抑制することができる。したがって、複数の部分巻線41を高密度で配置することができ、回転電機10の高効率化を図ることができる。
【0057】
なお、上記実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。上記実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0058】
・第2直線部44Bsに第1絶縁テープ61を巻回し、第2直線部44Bsの両端に接続された曲部44Bcにそれぞれ第2絶縁テープ62を巻回してもよい。その場合は、多重に巻かれた導線の両端部を、渡り部44Bの第2直線部44Bsと曲部44Bcとの境界部から引き出してもよい。この場合も、第2直線部44Bsの外面に巻回す第1絶縁テープ61と、曲部44Bcに巻回す第2絶縁テープ62とを切り替える部分から、導線の両端部を引き出すことができる。したがって、部分巻線41Bの外面に絶縁テープを巻く際に、導線の両端部を引き出した引出線を避けやすくなる。また、中間導線部42、第2直線部44Bs、及び曲部44Bcのいずれかから、導線の両端部を引き出す構成を採用することもできる。
【0059】
・多重に巻かれた導線42aの長手方向に垂直な断面は、矩形状以外の形状であってもよい。また、部分巻線41の長手方向に垂直な断面の外形が、矩形状以外の形状であってもよい。
【0060】
・第2絶縁テープ62の伸縮性が第1絶縁テープ61の伸縮性よりも高い、といった構成を採用することもできる。例えば、第2絶縁テープ62と第1絶縁テープ61とを、材質が異なり、伸縮性が異なる絶縁テープとすることができる。こうした構成によれば、第2絶縁テープ62の幅W2が第1絶縁テープ61の幅W1よりも狭いことだけでなく、第2絶縁テープ62の伸縮性が第1絶縁テープ61の伸縮性よりも高いことによっても、曲部44Bcにおいて第2絶縁テープ62が皺になることを抑制することができる。
【0061】
・第1絶縁テープ61及び第2絶縁テープ62は、プリプレグマイカテープに限らず、フッ素樹脂テープ等の絶縁テープであってもよい。第1絶縁テープ61及び第2絶縁テープ62は、必要な絶縁耐圧を確保することができる絶縁テープであればよく、その種類(材質)は任意である。
【0062】
・第2絶縁テープ62は、第1絶縁テープ61が引き伸ばされた絶縁テープである、といった構成を採用することもできる。詳しくは、中間導線部42に第1絶縁テープ61を巻く際に第1絶縁テープ61に加える張力よりも、渡り部44B(曲部44Bc)に第1絶縁テープ61を巻く際に第1絶縁テープ61に加える張力を大きくする。こうした構成によれば、第1絶縁テープ61が引き伸ばされて形成された第2絶縁テープ62により、第2絶縁テープ62の幅W2を第1絶縁テープ61の幅W1よりも狭くすることができる。したがって、1種類の第1絶縁テープ61により部分巻線41Bの中間導線部42と渡り部44B(曲部44Bc)とを覆うことができ、絶縁テープを巻回す作業の効率を向上させることができる。すなわち、第1絶縁テープ61と第2絶縁テープ62とを切り替える手間を省くことができる。
【0063】
・第1絶縁テープ61及び第2絶縁テープ62を巻回す導体の形状は、
図4に示す部分巻線41Bと異なる形状であってもよい。例えば、部分巻線41Bの渡り部43Bを、渡り部44Bに変更した形状であってもよい。また、部分巻線41Bの渡り部44Bを、渡り部43Bに変更した形状であってもよい。要するに、第1絶縁テープ61及び第2絶縁テープ62を巻回す導体は、直線形状に形成された直線部、及び曲がった形状に形成された曲部を含む環状の導体であればよい。
【0064】
・
図6に示すように、第1絶縁テープ61を1巻きずつ別々に巻回した構成を採用することもできる。同様に、第2絶縁テープ62を1巻きずつ別々に巻回した構成を採用することもできる。
【0065】
・アウタロータ式の回転電機10に限らず、インナロータ式の回転電機の部分巻線41(コイル)に対しても、上記実施形態及びその変更例の第1絶縁テープ61及び第2絶縁テープ62の巻回し方法(第1絶縁テープ61及び第2絶縁テープ62を備えるコイル)を適用することができる。
【0066】
・スロットを形成するためのティースを有していないティースレス構造の固定子30に限らず、スロットに挿入されるコイルに、上記実施形態及びその変更例の第1絶縁テープ61及び第2絶縁テープ62の巻回し方法(第1絶縁テープ61及び第2絶縁テープ62を備えるコイル)を適用することができる。
【0067】
なお、上記各実施形態及びその変更例を、組み合わせ可能な範囲で組み合わせて実施することもできる。
【0068】
以下、上述した実施形態及び変更例から抽出される特徴的な構成を記載する。
[構成1]
直線形状に形成された直線部(42)、及び曲がった形状に形成された曲部(43Bc、44Bc)を含む環状の導体(42、43B、44B)と、
前記直線部の外面に巻回された第1絶縁テープ(61)と、
前記曲部を含む部分の外面に巻回された第2絶縁テープ(62)と、を備えるコイル(41B)であって、
前記第2絶縁テープの幅(W2)は、前記第1絶縁テープの幅(W1)よりも狭い、コイル。
[構成2]
前記導体は、導線(42a)の束を含み、
前記導線の長手方向に垂直な断面は矩形状であり、
前記導体の長手方向に垂直な断面の外形が矩形状になるように、前記導線が整列されている、構成1に記載のコイル。
[構成3]
前記導体は、複数回巻かれた導線により形成されており、
前記導線の両端部(46)は、前記直線部と前記曲部との境界部(45)から引き出されている、構成1又は2に記載のコイル。
[構成4]
前記導線は、絶縁膜(42b)により被覆されており、
前記第1絶縁テープ及び前記第2絶縁テープは、前記絶縁膜の外側に巻回されている、構成2又は3に記載のコイル。
[構成5]
前記直線部は、第1直線部(42)であり、
前記導体は、前記第1直線部よりも短い直線形状に形成された第2直線部(43Bs、44Bs)を含み、
前記第2直線部の両端は、それぞれ前記曲部(43Bc、44Bc)に接続されており、
前記第2直線部及びその両端に接続された前記曲部に、前記第2絶縁テープが巻回されている、構成1~4のいずれか1つに記載のコイル。
[構成6]
前記直線部は、第1直線部(42)であり、
前記導体は、前記第1直線部よりも短い直線形状に形成された第2直線部(43Bs、44Bs)を含み、
前記第2直線部の両端は、それぞれ前記曲部(43Bc、44Bc)に接続されており、
前記第1直線部及び第2直線部に、前記第1絶縁テープが巻回され、
前記曲部に前記第2絶縁テープが巻回されている、構成1~4のいずれか1つに記載のコイル。
[構成7]
前記第2絶縁テープの伸縮性は、前記第1絶縁テープの伸縮性よりも高い、構成1~6のいずれか1つに記載のコイル。
[構成8]
前記第2絶縁テープは、前記第1絶縁テープが引き伸ばされた絶縁テープである、構成1~6のいずれか1つに記載のコイル。
[構成9]
構成1~8のいずれか1つに記載のコイルを複数備え、
前記コイルの中に、鉄心が挿入されておらず、他の前記コイル(41A)の一部が挿入されている、回転電機。
【符号の説明】
【0069】
10…回転電機、41B…部分巻線、42…中間導線部、43B…渡り部、43Bc…曲部、44B…渡り部、44Bc…曲部、61…第1絶縁テープ、62…第2絶縁テープ、W1…幅、W2…幅。