(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101142
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】オフィス使用状況分析システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/10 20230101AFI20240722BHJP
【FI】
G06Q10/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004915
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000155469
【氏名又は名称】株式会社野村総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 準一
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 俊弥
(72)【発明者】
【氏名】亀津 敦
(72)【発明者】
【氏名】権藤 亜希子
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA11
5L049AA11
(57)【要約】
【課題】オフィス領域において利用者が自由に選択して使用でき配置やレイアウトも任意に設定・変更して使用される複数の什器について、流動的に変化する什器の使用状況等を正確に把握する。
【解決手段】オフィス管理者が操作するオフィス管理者装置30と、各什器40に対応して備えられる複数のセンサ50と、通信可能に接続されるオフィス使用状況分析サーバ10が、各センサ50から送信される使用状況データを受信する受信部、使用状況データに基づいて各什器40の利用者の有無を示す利用情報を生成する利用情報生成部、使用状況データに基づいてオフィス領域内における各什器40の構成及び配置を示すレイアウト情報を生成するレイアウト情報生成部を備え、さらに、オフィス領域内の全什器40を撮像可能なカメラ60と、各センサ50にワイヤレスで電力を供給する送電機70を備える構成としてある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のオフィス領域内に設置される移動可能な複数の什器の位置及び利用の有無を監視して、オフィスの使用状況を分析するためのオフィス使用状況分析システムであって、
前記複数の各什器に対応して備えられる複数のセンサと、
前記センサと通信可能に接続されるオフィス使用状況分析装置と、を備え、
前記オフィス使用状況分析装置は、
前記複数の各センサから送信される所定の使用状況データを受信する使用状況データ受信手段と、
受信された前記使用状況データに基づいて、前記複数の各什器を利用する利用者の有無を示す所定の利用情報を生成する利用情報生成手段と、
受信された前記使用状況データに基づいて、前記オフィス領域内における前記複数の各什器の構成及び配置を示す所定のレイアウト情報を生成するレイアウト情報生成手段と、を備える
ことを特徴とするオフィス使用状況分析システム。
【請求項2】
前記複数のセンサ及び前記オフィス使用状況分析装置と通信可能に接続される、前記オフィスを管理するオフィス管理者が操作するオフィス管理者装置を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のオフィス使用状況分析システム。
【請求項3】
前記複数の各センサに代えて、又は、前記複数の各センサとともに、
前記オフィス領域内の前記複数の全什器を撮像可能な撮像手段を備え、
前記レイアウト情報生成手段が、
前記撮像手段で撮像された前記複数の全什器の撮像データに基づいて、前記レイアウト情報を生成する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のオフィス使用状況分析システム。
【請求項4】
前記複数の各センサにワイヤレスで電力を供給するワイヤレス給電手段を備える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のオフィス使用状況分析システム。
【請求項5】
受信された前記使用状況データに基づいて、前記複数の各什器の移動を示す所定の移動情報を生成する移動情報生成手段を備える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のオフィス使用状況分析システム。
【請求項6】
受信された前記使用状況データに基づいて、前記複数の各什器の前記オフィス領域内の使用環境を示す所定の使用環境情報を生成する使用環境情報生成手段を備える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のオフィス使用状況分析システム。
【請求項7】
前記レイアウト情報に示される前記複数の各什器に対応する、利用者の実施業務又は利用者属性又は利用者感情の少なくともいずれかを示す所定の利用者関連情報を生成する利用者関連情報生成手段を備え、
前記レイアウト情報生成手段が、
前記利用者関連情報を、前記レイアウト情報とともに生成する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のオフィス使用状況分析システム。
【請求項8】
前記レイアウト情報生成手段が、
前記オフィス領域内における前記複数の各什器の異なる構成及び配置を示す、複数の異なる前記レイアウト情報を生成するとともに、
前記複数の異なるレイアウト情報の中から、所定の推奨レイアウト情報を抽出する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のオフィス使用状況分析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば企業や団体,組織等のオフィスに設置されるデスクや会議卓,椅子,テーブル,パーティションなど、複数の什器の使用状況を監視・分析するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、企業や団体,組織等では、そこに所属する社員や従業員,スタッフ,来訪客等が使用する各種の什器、例えばデスク,会議卓,椅子,テーブル,パーティションなどが設置されている。
ここで、会議スペースやレンタルオフィスなどの特定の用途に提供される領域を除いて、日常業務等が継続的に行われるオフィス等では、所定の領域に所定のレイアウトで設置された各種什器は、例えば汚れや破損,老朽化等の理由で交換されるまでは、一度設定・配置されたレイアウトで固定的に使用され、移動されたり配置が変更されたりすることは比較的少なかった。
【0003】
ところが、近年は働き方改革の進展やリモートワーク,在宅勤務などの普及もあって、オフィスの利用形態も変化しており、オフィスに備えられる各種什器の使用方法や使用状況も、これまでのような固定的・定常的な形態ではない、自由な使用方法・使用状況が広まっている。
例えば、オフィス領域内で固定的な席を定めずに、各人が空いている席を使用する所謂フリーアドレスと呼ばれる利用形態や、更に進んで、デスクや椅子,パーティションなどの什器自体を自由に移動させて、各人が好きな什器を好きな場所に移動して使用したり、使用人数に応じて配置やレイアウトを自由に変更したりするフリースペースの利用形態などが、積極的に取り入れられるようになってきている。
【0004】
このようなオフィス什器の自由な利用形態については、誰が、いつ、どの什器を、どのような配置やレイアウトで、何の目的で使用したか、といった実際の使用状況や使用方法が分かれば、必要(不必要)な什器の種類や数、頻繁に使用される(使用されない)什器、利用されることが多い(少ない)配置やレイアウトなどを把握することで、オフィス領域や什器の有効的な活用・管理等が可能となる。
ところが、そのようなオフィス什器の自由な利用形態について、日々行われる流動的な使用状況や使用方法を正しく把握することは非常に困難であり、これまで有効な手段や方法は提案されていなかった。
【0005】
例えば、オフィスに設置される什器の使用状況を監視するための技術として、特許文献1には「什器の利用状況を解析できる情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、およびプログラム」が提案されている。
この特許文献1で提案されている技術は、不特定の利用者が利用する共用スペースに設置された什器について、利用者の有無を監視することで、什器の利用状況・混雑状況などを把握できるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術を含めて、これまでのオフィス使用状況分析の支援技術には、更なる改良の余地があった。
例えば、上述した特許文献1の技術は、共用スペースに固定的に設置された机や椅子等の什器の利用状況・混雑状況を監視するというものであり、什器の種類や配置・レイアウトを自由に変更して使用するような利用形態については想定されていなかった。このため、流動的に変化する什器や利用者の使用状況や使用方法を把握するようなことは不可能であった。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するために提案されたものであり、所定のオフィス領域において利用者が自由に選択して使用でき、配置やレイアウトも任意に設定・変更して使用される複数の什器について、流動的に変化する什器の使用状況等を正確に把握することを可能とし、オフィスにおける複数の什器の活用や管理を効率的に行えるようにすることができるオフィス使用状況分析システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、所定のオフィス領域内に設置される移動可能な複数の什器の位置及び利用の有無を監視して、オフィスの使用状況を分析するためのオフィス使用状況分析システムであって、前記複数の各什器に対応して備えられる複数のセンサと、前記センサと通信可能に接続されるオフィス使用状況分析装置と、を備え、前記オフィス使用状況分析装置は、前記複数の各センサから送信される所定の使用状況データを受信する使用状況データ受信手段と、受信された前記使用状況データに基づいて、前記複数の各什器を利用する利用者の有無を示す所定の利用情報を生成する利用情報生成手段と、受信された前記使用状況データに基づいて、前記オフィス領域内における前記複数の各什器の構成及び配置を示す所定のレイアウト情報を生成するレイアウト情報生成手段と、を備える構成としてある。
【0010】
また、本発明は、上記のような本発明に係るオフィス使用状況分析システムで実行されるプログラムとして構成することができる。
さらに、本発明は、上記のような本発明に係るオフィス使用状況分析システム及びプログラムによって実施可能な方法として実施することもできる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、所定のオフィス領域において利用者が自由に選択して使用でき配置やレイアウトも任意に設定・変更して使用される複数の什器について、流動的に変化する什器の使用状況等を正確に把握することができるようになる。
これによって、オフィスにおける複数の什器の活用や管理を効率的に行えるようにすることができる支援システム等の提供が可能となる。
したがって、本発明によれば、例えばフリースペースやフリーアドレスが導入された什器の種類やレイアウト等を自由に選択可能なオフィス領域に好適なオフィス使用状況分析システム及びプログラム・方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係るオフィス使用状況分析システムの全体構成を模式的に示す説明図である。
【
図2】オフィス使用状況分析システムの対象となるオフィス領域の一例を模式的に示す正面図である。
【
図3】オフィス使用状況分析システムにおける各部の構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】オフィス使用状況分析システムの記憶手段に格納されるデータ構成を示す説明図であり、(a)は什器データベース、(b)は利用者データベースの各データ構成の一例を示している。
【
図5】オフィス使用状況分析システムにおける処理動作の概要を示すフローチャートであり、使用(着席)状況取得シーケンスの場合である。
【
図6】オフィス使用状況分析システムにおける処理動作の概要を示すフローチャートであり、レイアウト状況取得シーケンスの場合である。
【
図7】オフィス使用状況分析システムにおける処理動作の概要を示すフローチャートであり、移動情報取得シーケンスの場合である。
【
図8】オフィス使用状況分析システムにおいて生成・表示される利用情報の出力イメージの一例を示す説明図である。
【
図9】オフィス使用状況分析システムにおいて生成・表示される推奨レイアウト情報の出力イメージの一例を示す説明図であり、「スクール」型を推奨する場合である。
【
図10】オフィス使用状況分析システムにおいて生成・表示される推奨レイアウト情報の出力イメージの一例を示す説明図であり、「ブレスト+集中エリア」型を推奨する場合である。
【
図11】オフィス使用状況分析システムにおけるサーバ・管理者装置・利用者端末・外部システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るオフィス使用状況分析システムの実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
ここで、以下に示す本発明のオフィス使用状況分析システム(本システム)は、プログラム(ソフトウェア)の命令によりコンピュータで実行される処理,手段,機能によって実現される。プログラムは、コンピュータの各構成要素に指令を送り、以下に示す本発明に係る所定の処理や機能等を行わせることができる。すなわち、本発明における各処理や手段,機能は、プログラムとコンピュータとが協働した具体的手段によって実現される。
【0014】
なお、プログラムの全部又は一部は、例えば、磁気ディスク,光ディスク,半導体メモリ,その他任意のコンピュータで読取り可能な記録媒体により提供され、記録媒体から読み出されたプログラムがコンピュータにインストールされて実行される。また、プログラムは、記録媒体を介さず、通信回線を通じて直接にコンピュータにロードし実行することもできる。
また、本システムは、単一の情報処理装置(例えば一台のパーソナルコンピュータ等)で構成することもでき、複数の情報処理装置(例えば複数台のサーバコンピュータ群等)で構成することもできる。
【0015】
また、本システムを構成する装置群に含まれる各情報処理装置は、例えば
図11に示すように、CPU301、RAM302、ROM303、HDD304、入力装置305、表示装置(ディスプレイ)306、通信IF307等を含むハードウェアによって構成される。これらの構成要素はシステムバスで接続され、システムバスを介してデータのやり取りが行われる。CPU(Central Processing Unit)301は、中央処理装置とも呼ばれ、コンピュータの中心的な処理を行う部位であり、各装置の制御やデータの計算や加工を行う。RAM(Random Access Memory)302は、メモリ装置の一種で、データの消去や書き換えが可能なものである。ROM(Read Only Memory)303は、半導体などを用いたメモリ装置の一種で、データ書き込みは製造時1回のみで、利用時には記録されたデータの読み出しのみできるものである。HDD(Hard Disk Drive)304は、磁性体の性質を利用し、情報を記録し読み出す補助記憶装置である。なお、HDDに代えて、あるいはHDDとともに、例えばSSD(Solid State Drive)を記憶装置・記憶手段とすることもできる。入力装置305は、ユーザがコンピュータに対して操作指示を行うため、あるいは、文字等を入力するために使用され、具体的には、キーボード、マウス等で構成される。表示装置306は、例えば液晶ディスプレイ等で構成される。本システムにおける各装置は、入力装置305及び表示装置306が一体となったタッチパネル機能を有する装置を備えていてもよい。また、他の端末や情報処理装置等との通信が可能となる通信機能(通信IF307)を備えることもできる。通信IF(Inter Face)307は、所定の通信規格に従って他の装置と通信するための装置であり、例えばNIC(Network Interface Card)を含む。
【0016】
[システム構成]
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るオフィス使用状況分析システム1(以下「本システム1」という)は、オフィス使用状況分析サーバ10と、オフィス管理者装置30、一又は二以上の利用者端末80(80a~80n)とを備えて構成されている。
そして、これらオフィス使用状況分析サーバ10・オフィス管理者装置30・利用者端末80は、LAN・WAN等のネットワークを含むインターネット100を介して接続され、それぞれ相互にデータ通信が可能となっている。
また、オフィス使用状況分析サーバ10は、インターネット100を介して、本システム1の外部に設置されている所定の外部システム50とも通信可能に接続されるようになっている。
【0017】
ここで、オフィス使用状況分析サーバ10とオフィス管理者装置30は、例えば同一の組織・企業等に設置される情報処理装置によって構成することができる。この場合には、本システム1はオフィス使用状況分析サーバ10とオフィス管理者装置30によって構成されることになり、本システム1を、例えば同一の組織・企業単位で運用される社内システムとして機能させることができる。
また、オフィス使用状況分析サーバ10とオフィス管理者装置30は、それぞれ異なる組織・企業等に設置される情報処理装置によって構成することができる。この場合には、例えば、オフィス使用状況分析サーバ10は、本システム1をサービスとして顧客に提供する企業が運用する情報処理装置、オフィス管理者装置30(及び利用者端末80)は、本システム1を介してオフィスの使用状況の分析・管理のサービス提供を受ける一又は二以の各企業や組織・団体等に備えられる情報処理装置によって構成することもできる。この場合には、オフィス管理者装置30(及び利用者端末80)は、本システム1にネットワークを介して接続される外部装置として機能することになり、本システム1はオフィス使用状況分析サーバ10のみによって構成されることになる。
【0018】
そして、本システム1は、
図1~
図2に示すように、例えば、企業や団体,組織等の所定のオフィス領域2に設置されるデスクや会議卓,椅子,テーブル,パーティションなど、複数の什器40の管理者が操作するオフィス管理者装置30と、オフィス管理者装置30から所定の使用状況データを受信して管理対象となる什器40やその利用者の使用状況・使用方法等を把握・分析するオフィス使用状況分析サーバ10と、オフィス領域2において所望の什器40を利用する利用者が操作する利用者端末80の三者の間で、本発明に係るオフィス使用状況分析処理が実行されるようになっている。なお、
図2の正面図のデスクや椅子の後ろに配置しているのはパーティションであり、このパーティションにより各自の執務スペースが区切られている。また、
図2の天井に配設されている送電機70は天井の配電設備と接続して給電を受ける構成でもよいし、天井の配電設備と接続しない構成でもよい(例えば、送電機70自身も他の送電機から無線で給電を受ける構成等がある)。また、送電機70は既存の電気機器(照明、監視機器、空調機器、カメラなど)と一体となっている形態もある。
以下、本システム1を構成する各部及びオフィス使用状況分析処理の具体的な内容について、図面を参照しつつ説明する。
【0019】
[オフィス管理者装置]
オフィス管理者装置30は、
図1に示すように、例えば同一の組織・企業等において、所定のオフィス領域2内に設置される移動可能な複数の什器40(40a~40n)、例えばデスクや会議卓,椅子,テーブル,パーティション等を管理・運営しているオフィス管理者が操作する情報処理装置である。
具体的には、オフィス管理者装置30は、什器40が設置されるオフィス領域2内や、オフィス領域2とは別の領域・部屋などに設置される、例えばデスクトップPCやノートPC,タブレット端末,スマートフォンなど、一又は二以上の情報処理装置によって構成することができる。
【0020】
ここで、オフィス管理者装置30によって監視・管理されるオフィス領域2は、例えばオフィス領域内で固定的な席を定めずに各人が空いている席を自由に使用できるフリーアドレススペースや、デスクや椅子,パーティションなどの什器40を自由に移動させて使用できるフリースペースとなっている。
そして、そのようなオフィス領域2における什器40の使用状況が、オフィス管理者装置30を介して監視・把握されるようになっている。
【0021】
本システム1では、オフィス管理者装置30には、後述する複数の各什器40に対応して備えられる複数のセンサ50(50a~50n)で生成されるセンサデータや、オフィス領域2内の複数の全什器40を撮像したカメラ60(60a~60n)で生成される撮像データが、所定の使用状況データとして収集・取得されるようになっている。
具体的には、センサ50で検知・生成されるセンサデータが、オフィス領域2内の例えばWiFiや5Gなどの無線ネットワークを介して、あるいはそれらを経由するゲートウェイ端末等を介して、オフィス管理者装置30に送信され受信・記憶されるようなっている。なお、本実施形態では一例として、
図1又は
図2に図示する所定のオフィス例を一例として説明しているが、同じ企業又は組織体で複数のオフィス領域を本システムの対象として管理してよいし、その際にオフィス領域を識別する情報を後記する
図4の什器DB21及び/又は利用者DB22にデータ属性として付加する構成であってもよい。また、グループ企業で複数の企業を取りまとめている組織形態の場合には、
図4の什器DB21及び/又は利用者DB22のデータ属性として更に企業を識別する情報をデータ属性と有する構成であってもよい。
また、カメラ60で撮像・生成される撮像データについても、有線・無線のネットワークを介して、オフィス管理者装置30に送信され受信・記憶されるようになっている。
【0022】
そして、このオフィス管理者装置30から、インターネット100を経由してオフィス使用状況分析サーバ10に対してセンサ50・カメラ60で取得された所定の使用状況データが送信されることにより、管理対象となっている複数の什器40及びその利用者についての所定の使用状況分析処理が実行されるようになる。
さらに、使用状況分析サーバ10に対して、インターネット100を介して、オフィス管理者装置30や利用者端末80がアクセス・ログインすることにより、本システム1で提供されるAPI等を介して、オフィス領域2で所望の什器40を利用する利用者に対して提供される各種情報・データを送信/受信でき、出力・表示させることができるようになる。
【0023】
なお、センサ50・カメラ60で取得される所定の使用状況データを、オフィス管理者装置30やゲートウェイ端末を介さずに、直接オフィス使用状況分析サーバ10に対して送信して、データを受信・記憶されることも可能である。
その場合には、オフィス使用状況分析サーバ10を構成する情報処理装置が、オフィス管理者装置30も構成することになる。
【0024】
[センサ/カメラ/送電機]
[センサ]
センサ50(50a~50n)は、複数の各什器40に対応して備えられる複数のセンサ群からなる。
具体的に、センサ50は、什器40を構成する、例えばデスクや会議卓の天板やその裏面、椅子の背もたれ背面、パーティションの端面など、什器40の使用の妨げにならない所定箇所・部位に取り付けられ、オフィス領域2における各什器40の位置や利用者の有無、その他オフィス領域2内の環境などを監視・検知して、センサデータ(センサ信号)として出力・発信する小型のセンサ手段からなる。
【0025】
ここで、センサ50は、例えば位置センサや人感センサ,移動センサ(加速度センサ),温度/湿度センサ,照度センサ,騒音センサ,Co2センサなどで構成され、利用者の有無,什器40の位置・移動,オフィス内容の温度・湿度・照度等を示すセンサデータを生成・出力する。これら各種センサは、公知のセンサ手段・センシングデバイス等を使用することができる。ここで、後記しているように、天井等に設置したカメラではなく、各什器に配設した加速度センサ等のセンサを用いて複数の什器40のレイアウト情報を生成することができる。これは、加速度センサを用いてある領域においてどの位置にあるかを把握する技術を用いており、このような利用技術自体は周知慣用技術である。なお、什器40のレイアウト情報を加速度センサ等のセンサを用いて実施する場合には、各オフィスにおける各什器40の位置は把握するだけでなく、ある什器40と他の什器40とが追従して動いていることも把握することが可能であり(同様の加速度履歴になることで把握可能)、これにより、組み合わせで用いられている什器40の組み合せ利用を把握することも可能である。勿論、什器40の組み合せ利用はカメラによっても把握できる。
また、センサ50から出力・送信されるセンサデータには、例えば利用者の有無(人有り/無し)を示す信号、センサ50が取り付けられている什器40を特定するための識別情報(什器ID)等が含まれる。
【0026】
そして、複数の各センサ50は、それ自体には電池・電源等を備えず、ワイヤレス給電手段として構成される送電機70から無線・ワイヤレスで電力の供給を受けて駆動し、センサ50で検知・取得されたセンサデータが、所定の使用状況データとして、上述したように、無線ネットワークを介してオフィス管理者装置30/オフィス使用状況分析サーバ10に送信・提供されるようになる。
これによって、什器40の位置やレイアウト,利用者の有無,オフィス領域2の環境情報などが検出され分析できるようになっている。
【0027】
このように、センサ50が、それ自体に電源・電池等を備えることなく、ワイヤレス給電によって駆動・動作することで、複数の各センサ50についての電源管理や電池交換等が不要となるとともに、センサ50に対して電源を供給するためのワイヤ・ケーブル等が存在しないことから、センサ50を取り付けた各什器40は、自由に任意の場所に移動・配置することができ、自由な使用やレイアウトが可能となる。
したがって、本システム1では、什器40の移動や配置が自由に行えるオープンスペースやフリーアドレスのオフィスに最適な監視システムを実現できるようになる。
【0028】
[カメラ]
カメラ60(60a~60n)は、上述した複数の各センサ50に代えて、又は、複数の各センサ50とともに、本システム1に備えられる監視手段であり、所定のオフィス領域2内の複数の全什器40を撮像可能な1又は2以上の撮像手段である。
具体的には、カメラ60は、
図1,
図2に示すように、例えばオフィス領域2の天井に設置され、オフィス領域2の全景を撮像可能な、広角カメラ,全方位カメラ,180度カメラ,360度カメラなどで構成される。このような各種カメラは、公知のカメラ・撮像手段等で構成することができる。
【0029】
そして、カメラ60で撮像された撮像データが、所定の使用状況データとして、上述したように、無線ネットワークを介してオフィス管理者装置30/オフィス使用状況分析サーバ10に送信・提供され、撮像データが画像解析等されることで、什器40の位置やレイアウト,利用者の有無などが検出され分析されるようになっている。
なお、カメラ60は、例えばオフィス領域2の天井に設置されることで、ケーブル・ワイヤ等を介して電源の供給を受けることができることから、各什器40に取り付けられるセンサ50のように、ワイヤレス給電による電力供給を受けなくても、什器40の移動や配置変更等に影響を及ぼすことはない。
【0030】
したがって、カメラ60については、ワイヤレス給電手段となる送電機70から無線・ワイヤレスで電力の供給を受ける必要はない。
但し、カメラ60に対しても、送電機70によるワイヤレス給電によって電力を供給することも可能である。
以上のようなカメラ60を備えることで、本システム1では、什器40の移動や配置が自由に行えるオープンスペースやフリーアドレスのオフィスに最適な監視システムを実現できるようになる。
【0031】
[送電機]
送電機70(70a~70n)は、上述した複数の各センサ50にワイヤレスで電力を供給するワイヤレス給電手段である。
ワイヤレス給電は、電線や電源ケーブルの接続、金属電極の接触等を行わずに、供給対象に電力を伝送・供給する技術であり、ケーブルレスでバッテリ交換も不要となる電力供給技術として、近年は特にIoTやEVの普及に向けた技術の一つとして注目されている。
例えば、電波法施行規則の改正により、2022年からは、屋内でのマイクロ波方式の空間伝送の商用利用が解禁となり、5~10m離れた機器への電力伝送が実用化されるようになり、例えば配線やバッテリ交換の制約により難しかった工場などでの機器モニタリングやオフィス内での環境センシングを容易化する技術として期待されている。
【0032】
ワイヤレス給電の方式としては、電力をマイクロ波に変換・送電する「マイクロ波方式」、光を太陽電池に対して照射することで給電する「光伝送方式」、電磁誘導により給電を行う「電磁誘導方式」、コイルの共振状態を利用した(電磁誘導方式の派生形である)「磁界共鳴方式」などがあり、給電対象や電力の伝送距離、伝送環境等に応じて、各種給電方式が採用されている。
本システム1では、無指向性空中線又はワイドビームにより、物陰等の見通し外を含めた広範囲で、複数の供給対象に同時に送信を行うことができる、例えば920MHz帯での送電を行うマイクロ波方式のワイヤレス給電手段を想定している。
なお、マイクロ波方式のワイヤレス給電で使用される周波数帯域としては、例えば数年後には920MHz帯以外に、2.4Ghz帯や5.7GHz帯でも、オフィスのような有人環境で利用できるような制度改正が行われる可能性がある。したがって、本発明において、マイクロ波方式のワイヤレス給電で使用される周波数帯域としては、特に上述した920MHz帯には限定されるものではない。
【0033】
具体的には、本システム1では、
図1,
図2に示すように、所定のオフィス領域2の天井(や床下など)に設置した送電機70から、給電対象となる複数の各センサ50に取り付けた受電機(図示せず)にマイクロ波帯での給電を行うことで、空間伝送によって対象となるセンサ50に電力を伝送・供給できるようになっている。
このようなマイクロ波方式のワイヤレス給電では、例えば、給電可能なセンサ50(受電機)は送電機一台あたり5~10台程度を同時に給電可能であり、送電に必要な電力も数μW~数百μW程度であり、伝送距離も約5m程度と比較的長く、他の無線設備の利用も可能で、利用者がいる時でも送電が可能となる。このため、本システム1が対象とするオフィス領域2に適用するワイヤレス給電方式として好適に使用することができる。
【0034】
なお、本システム1では、送電機70のワイヤレス給電の対象としてセンサ50を想定しているが、上述したように、オフィス領域2の全体を撮像・監視するカメラ60につても、送電機70によるワイヤレス給電の対象とすることも勿論可能である。
また、本システム1では、マイクロ波方式のワイヤレス給電システムを採用することとしているが、例えばオフィス領域2の広さや環境、給電対象となるセンサ50や什器40の数や種類などに応じて、マイクロ波方式とともに、あるいは、マイクロ波方式に代えて、他の方式のワイヤレス給電システムを採用することも可能である。
【0035】
以上のようなワイヤレス給電システムにより、複数の什器40に備えられる複数の各センサ50は、電力・電源のための配線が不要となり、複数の什器40は任意の位置に移動・配置することができ、レイアウト変更等も自由に行えるようになる。
したがって、本システム1では、什器40の移動や配置が自由に行えるオープンスペースやフリーアドレスのオフィスに最適な監視システムを実現できるようになる。
【0036】
[オフィス使用状況分析サーバ]
オフィス使用状況分析サーバ10は、上述したオフィス管理者装置30で管理・運営されている、所定のオフィス領域内に設置される移動可能な複数の什器40の位置及び利用の有無を監視して、オフィスの使用状況を分析するための、本システム1の中核となる情報処理装置であり、本発明のオフィス使用状況分析装置を構成している。
このオフィス使用状況分析サーバ10は、例えば1又は2以上のサーバコンピュータやパーソナルコンピュータ、クラウドコンピューティングサービス上に構築された1又は2以上の仮想サーバからなるサーバシステム等、所定のプログラム(ソフトウェア)が実装された情報処理装置によって構成することができる。
したがって、オフィス使用状況分析サーバ10は、必ずしも「サーバ構成」や「サーバ・クライアント構成」に限定されるものではない。
【0037】
オフィス使用状況分析サーバ10には、図示しないOS(Operating System)やDBMS(DataBase Management System)などが備えられ、サーバコンピュータとして運用されるようになっている。
そして、オフィス使用状況分析サーバ10には、Webサーバプログラムなどのミドルウェア上で稼働するソフトウェアが実装されるようになっている。
このソフトウェアは、1又は2以上の利用者端末80に対して、インターネット100等のネットワークを介して、例えばAPI(Application Programming Interface)という形で利用可能なアプリケーションを公開、提供することができる。
これによって、各利用者端末80では、本システム1のサービスの提供を受けるために運用される専用のアプリケーションプログラムやウェブブラウザ等を呼び出してログインすることにより、オフィス使用状況分析サーバ10から提供・提案される、例えばオフィスの利用状況情報の確認や、推奨レイアウト情報の生成・受信など、本発明に係るオフィス使用状況分析システムの機能を実行させ使用することができるようになる。
【0038】
また、オフィス使用状況分析サーバ10には、情報・データの記憶手段として実装される後述する所定のオフィス使用状況分析データベース(DB)20が備えられており、本発明に係るオフィス使用状況分析システムの運用に必要となる所定の情報が記憶・蓄積・管理・更新等されるようになっている。
この記憶手段には、各種の情報リソースとして、本システム1における管理対象となる什器40や利用者に関する所定情報、例えば、什器40の識別情報や属性情報、利用者の識別情報や属性情報、その他の情報を含む必要な情報が記憶され、本システム1の運用に伴って随時必要な情報が読み出されて、記憶手段の情報として追加・更新等されるようになっている。
【0039】
具体的には、オフィス使用状況分析DB20には、什器DB21,利用者DB22が記憶されるようになっており、本システム1におけるオフィス使用状況分析処理に必要な所定のデータが記憶・管理されるようになっている。
そして、本実施形態に係るオフィス使用状況分析サーバ10は、オフィス使用状況分析DB20で記憶・管理されるデータに基づいて、
図3に示すように、使用状況データ受信部11,利用情報生成部12,レイアウト情報生成部13,移動情報生成部14,使用環境情報生成部15,利用者関連情報生成部16の各部として機能するように構成され、各処理動作が実行されることで、本発明に係るオフィス使用状況分析が実現できるになっている。
【0040】
オフィス使用状況分析サーバ10は、上述した
図11に示すハードウェア構成を含む。
図11に示すCPU301がサーバプログラムを実行している状態において、CPU301が、利用情報生成部12,レイアウト情報生成部13,移動情報生成部14,使用環境情報生成部15,利用者関連情報生成部16の一例であり、CPU301及び通信IF307が使用状況データ受信部11の一例であり、RAM302及びHDD304の少なくとも一方がオフィス使用状況分析記憶部20の一例である。
以下、オフィス使用状況分析サーバ10として構成・機能される各部について具体的に説明する。
【0041】
[使用状況データ受信部]
使用状況データ受信部11は、上述し所定のオフィス領域2で使用される什器40に対応して備えられる複数の各センサ50から送信される所定の使用状況データを受信する処理を実行する。
この使用状況データ受信部11が、本発明に係る使用状況データ受信手段を構成する。
具体的には、使用状況データ受信部11は、上述した複数の各什器40に対応して備えられた複数のセンサ50(50a~50n)で生成されるセンサデータ、オフィス領域2内の複数の全什器40を撮像したカメラ60(60a~60n)で生成される撮像データが、オフィス管理者30から送信されると、使用状況データとして受信し、オフィス使用状況分析DB20に蓄積・記憶させるようになっている。
【0042】
[利用情報生成部]
利用情報生成部12は、上述した使用状況データ受信部11で受信された使用状況データに基づいて、複数の各什器40を利用する利用者の有無を示す所定の利用情報を生成する処理を実行する。
この利用情報生成部12が、本発明に係る利用情報生成手段を構成する。
【0043】
具体的には、利用情報生成部12は、オフィス管理者装置30から送信された所定の使用状況データに基づいて、各什器40を利用する利用者の有無を示す情報,利用率を示す情報,当該什器の使用開始時刻/使用終了時刻を示す情報,各什器40の位置情報などを、利用情報として生成・出力するようになっている(
図4参照)。
この利用情報生成部12で生成される利用情報は、例えば各什器40の利用率を示す一覧表として(
図8参照)、あるいは、レイアウト情報生成部13で生成されるレイアウト情報とともに抽出・出力され(
図9及び
図10参照)、例えば本システム1にアクセス・ログインした利用者端末80やオフィス管理者装置30,外部システム50において、所望の情報を抽出・受信して出力・表示させることができるようになる。
【0044】
[レイアウト情報生成部]
レイアウト情報生成部13は、受信された使用状況データに基づいて、オフィス領域2内における複数の各什器40の構成及び配置を示す所定のレイアウト情報を生成する処理を実行する。
このレイアウト情報生成部13が、本発明に係るレイアウト情報生成手段を構成する。
【0045】
具体的には、レイアウト情報生成部13は、撮像手段で撮像された複数の全什器40の撮像データ、上述した利用情報生成部12で生成される利用情報に基づいて、例えばオフィス領域2の上方から見た、利用者を含む各什器40の配置・レイアウトを示すレイアウト情報を生成するようになっている(
図9及び
図10参照)。
また、レイアウト情報生成部13は、後述する利用者関連情報生成部16で生成される所定の利用者関連情報を、各什器40のレイアウト情報とともに生成・出力することができる。
さらに、レイアウト情報生成部13は、オフィス領域内における複数の各什器40の異なる構成及び配置を示す、複数の異なるレイアウト情報を生成するとともに、複数の異なるレイアウト情報の中から、所定の推奨レイアウト情報を抽出することもできる(
図9及び
図10参照)。
【0046】
具体的には、過去に生成されたレイアウト情報の中から、一定期間(1ヶ月,1年等)において使用回数の多いレイアウト情報や、使用頻度の高いレイアウト情報等を抽出し、お薦めの推奨レイアウト情報として出力・表示することができる。
また、特定の利用者に対して、例えば過去直近のレイアウト情報や他の利用者のレイアウト情報等を、当該利用者向けのお薦めのレイアウト情報として抽出して出力・表示することもできる。
そして、このようにレイアウト情報生成部13で生成・出力されるレイアウト情報(推奨レイアウト情報を含む)は、例えば本システム1にアクセス・ログインした利用者端末80やオフィス管理者装置30,外部システム50において、所望の情報を抽出・受信して出力・表示させることができるようになる。
【0047】
[移動情報生成部]
移動情報生成部14は、受信された使用状況データに基づいて、複数の各什器40の移動を示す所定の移動情報を生成する処理を実行する。
この移動情報生成部14が、本発明に係る移動情報生成手段を構成する。
【0048】
具体的には、移動情報生成部14は、オフィス管理者装置30から送信された所定の使用状況データに基づいて、各什器40の移動を示す情報,当該什器40の移動の開始/終了時刻を示す情報,各什器40の位置情報などを、利用情報として生成・出力するようになっている(
図4参照)。
この移動情報生成部14で生成される移動情報も、上述したレイアウト情報の中から対応するレイアウト情報とともに抽出・出力され、例えば本システム1にアクセス・ログインした利用者端末80やオフィス管理者装置30,外部システム50において、所望の情報を抽出・受信して出力・表示させることができるようになる。
【0049】
[使用環境情報生成部]
使用環境情報生成部15は、受信された使用状況データに基づいて、複数の各什器40のオフィス領域2内の使用環境を示す所定の使用環境情報を生成する処理を実行する。
この使用環境情報生成部15が、本発明に係る使用環境情報生成手段を構成する。
【0050】
具体的には、使用環境情報生成部15は、オフィス管理者装置30から送信された所定の使用状況データに基づいて、什器40が使用されるオフィス領域2の使用環境、例えば、オフィス内の温度・湿度・照度・騒音、Co2濃度などを、使用環境情報として生成・出力するようになっている(
図4参照)。
この使用環境情報生成部15で生成される使用環境情報についても、対応するレイアウト情報とともに抽出・出力され、利用者端末80やオフィス管理者装置30,外部システム50において、抽出・受信して出力・表示させることができるようになる。
【0051】
[利用者関連情報生成部]
利用者関連情報生成部16は、レイアウト情報に示される複数の各什器40に対応する、利用者の実施業務又は利用者属性又は利用者感情の少なくともいずれかを示す所定の利用者関連情報を生成する処理を実行する。
この利用者関連情報生成部16が、本発明に係る利用者関連情報生成手段を構成する。
【0052】
具体的には、利用者関連情報生成部16は、本システム1にログインした利用者端末80やオフィス管理者装置30を介して専用アプリ等から入力・送信される情報、例えば、利用者がオフィス内で什器40を使用した際のPC上で利用した業務アプリ(Web会議,文章編集,表計算,メールなど)、業務集中度、満足度など利用者感情のアンケート回答結果などを、利用者端末80やオフィス管理者装置30から受信し、利用者関連情報として生成・出力するようになっている(
図4参照)。
この利用者関連情報生成部16で生成される利用者関連情報についても、対応するレイアウト情報とともに抽出・出力され、利用者端末80やオフィス管理者装置30,外部システム50において、抽出・受信して出力・表示させることができるようになる。
【0053】
以上のような利用情報生成部12,レイアウト情報生成部13,移動情報生成部14,使用環境情報生成部15,利用者関連情報生成部16の各部で生成される情報に基づいて、本システム1では、オフィス領域2における、使用される什器40とそのレイアウト、什器40を利用する利用者の業務(利用業務アプリ等)、オフィスの周辺環境等の組み合せに基づいて、例えば利用者の行動パターンや感情などを分析することができるようになる。
例えば、本システム1によれば、利用者を特定したオフィス使用状況の分析処理を動作させることができる。
【0054】
具体的には、オフィスの利用者が操作する利用者端末80のアプリ使用状況から、どのような家具・什器を組み合わせて用いているか、また、複数ユーザの打ち合せ等はチーム作業か否か、作業は資料作成のみか、調査等の単独作業かなどを監視・検出することができる。
また、ユーザは、本システム1が対象とするオフィス領域2となるフレキシブルスペース専用アプリをインストールしたPCを利用して、フレキシブルスペース内でのチェックイン・チェックアウト処理、及び利用後に利用者感情を問うアンケートに回答することができる。
このようなチェックイン・チェックアウト処理により、例えば、椅子や机の上に表示された識別IDを入力する等によって、ユーザと使用什器・家具の一部を関連付けて把握・管理することが可能となる。
【0055】
また、例えばユーザが利用した文書作成ソフトや表計算ソフトなどの業務アプリの利用状況を、専用アプリによって自動的に収集することができる。
また、専用アプリからは、ユーザが使用した家具と時間、周辺環境(温湿度、照度、騒音、Co2濃度)とPC上で利用した業務アプリ(Web会議,文章編集,表計算,メールなど)、業務集中度、満足度など利用者感情のアンケート回答結果を本システム1のサーバに送信することができる。
【0056】
そして、以上のような本システム1における分析処理の結果、例えば、ポジティブな利用者感情が得られたレイアウト、利用業務アプリからお薦めレイアウト候補を提示したり、ネガティブな利用者感情に共通する要因(特異な周辺環境、レイアウト内で同時進行された業務アプリの組み合わせ)と発生条件を特定したり、といったことも可能となる。
以上のような本システム1における使用状況データ受信部11,利用情報生成部12,レイアウト情報生成部13,移動情報生成部14,使用環境情報生成部15,利用者関連情報生成部16の各部による具体的な処理動作については、
図5~
図9を参照しつつ更に後述する。
【0057】
[オフィス使用状況分析データベース]
オフィス使用状況分析DB20は、本システム1の管理対象となる所定のオフィス領域2で使用される複数の什器40やその利用者(ユーザ)に関する所定情報、例えば、什器40の種類や数、利用者を特定するための識別情報や属性情報、その他の情報を含む情報が、什器40単位,利用者単位で記憶・管理される記憶手段である。
また、オフィス使用状況分析DBには、インターネット100等のネットワークを介して各利用者端末80や外部システム50から所定の情報が入力・送信されて、それらの情報に応じてデータが随時格納・更新されるようなっている。
【0058】
オフィス使用状況分析DB20に格納・管理される所定の情報としては、本システム1の管理対象となる、上記のような複数の什器40や利用者に関する情報であり、具体的には、
図3に示すように、什器DB21,利用者DB22などの各種情報・データがある。
なお、以下に示すオフィス使用状況分析DB20に記憶される情報は、本システム1において処理対象となる情報の一例であって、特に以下の情報のみに限定されるものではなく、本システム1として必要な情報を追加・削除・変更等することができることは言うまでもない。
【0059】
具体的には、オフィス使用状況分析DB20の什器DB21,利用者DB22を構成する情報・データとしては、
図4に示すように、例えば以下のようなものがある。
[什器DB]
什器DBとしては、例えば什器の識別情報(氏名・ID等)別に、以下のようなデータが、データベース方式で記憶・管理できるようになっている。
1.什器名
2.什器ID
3.グループID
4.使用開始時刻
5.使用終了時刻
6.利用者ID
7.位置情報
8.使用環境情報
9.利用者アンケート情報
10.その他
なお、この什器DBのデータ構成としては、各什器の各利用の状況を把握するためのデータ構成としてもよいし、各什器の利用を集計化したデータ構成であってもよいとする。
【0060】
[利用者DB]
利用者DBとしては、例えば利用者の識別情報(氏名・ID等)別に、以下のようなデータが、データベース方式で記憶・管理できるようになっている。
1.利用者名
2.利用者ID
3.所属
4.利用履歴情報
5.利用者アンケート情報
6.その他
【0061】
以上のような、オフィス使用状況分析DB20で記憶・管理されるデータに基づいて、上述した使用状況データ受信部11,利用情報生成部12,レイアウト情報生成部13,移動情報生成部14,使用環境情報生成部15,利用者関連情報生成部16による各処理動作が実行され、本システム1に係るオフィス使用状況分析が実現されることになる。
【0062】
[利用者端末]
利用者端末80(30a~30n)は、インターネット100等のネットワークを介してオフィス使用状況分析サーバ10に接続可能な、本システム1の管理対象となるオフィス領域2のユーザとなる一又は二以上の利用者によって使用・操作される、例えばスマートフォンやノートPC,デスクトップPC,タブレット端末など、一又は二以上の情報処理装置によって構成することができる。
このような利用者端末80を介して、利用者端末80を使用するオフィスの利用者(ユーザ)は、インターネット100を介して、オフィス使用状況分析サーバ10にアクセス・ログインすることで、オフィスの利用状況や推奨レイアウト情報などの必要な各種情報を送信/受信でき、自ら操作する利用者端末80において、所望の情報を出力・表示させることができるようになる。
【0063】
[外部システム]
外部システム50は、インターネット100を介してオフィス使用状況分析サーバ10に接続されたシステムであり、例えば本システム1の監視対象となるオフィスに対して各種什器を含むオフィス設備やオフィス機器を提供・納入する、オフィス機器事業者や什器ベンダー等において設置・運営されるPCやサーバ群等によって構成される情報処理装置である。
この外部システム50を介して、例えばオフィス機器事業者は、本システム1で収集され管理・分析される各オフィスにおける什器40の利用状況や推奨レイアウト情報など、自己のオフィス機器の業務に有用となる情報を入手することができるようになる。
例えば、外部システム50は、上述した利用者端末80と同様に、インターネット100を介して、オフィス使用状況分析サーバ10にアクセス・ログインすることにより、オフィスの利用状況や推奨レイアウト情報などの必要な各種情報を送信/受信でき、自ら操作する利用者端末80において、所望の情報を出力・表示させることが可能である。
【0064】
[動作]
次に、以上のような本システム1における具体的な処理・動作(オフィス使用状況分析方法の実施)について、
図5~
図7を参照して説明する。
本システム1では、上述したオフィス使用状況分析サーバ10の使用状況データ受信部11,利用情報生成部12,レイアウト情報生成部13,移動情報生成部14,使用環境情報生成部15における一連の処理動作が実行されることにより、以下に示す「使用(着席)状況取得シーケンス」、「レイアウト状況取得シーケンス」、「移動情報取得シーケンス」の各処理が行われるようになる(
図5~
図7参照)。
これによって、オフィス領域2において複数の什器40や利用者の動向を監視・管理するオフィス管理者に対して、本発明に係るオフィス使用状況分析サービスを提供することができるようになる。
【0065】
[使用(着席)状況取得シーケンス]
図5に、本システム1における「使用(着席)状況取得シーケンス」のフローチャートを示す。
同図に示すように、使用(着席)状況取得の処理は、センサ50を構成する人感センサによる利用者の監視・検知によって開始する。
人感センサからなるセンサ50は、オフィス領域2内の各什器40に対応して備えられており、いずれかのセンサ50により利用者の存在(人有り)が検出されると(ステップ501)、利用者有りを示すセンサ信号とともに、センサ50が取り付けられている什器40の識別IDが、センサ50から出力・送信される(ステップ502)。
【0066】
その後は、センサ50で利用者の存在が監視・検知され、利用者がその場を離れていなくなると、利用者の不存在(人無し)が検出され(ステップ503)、利用者無しを示すセンサ信号とともに、センサ50が取り付けられている什器40の識別IDが、センサ50から出力・送信される(ステップ504)。
以降は、同様の処理が繰り返し行われる(ステップ505・・・)。
【0067】
センサ50から出力されたセンサ信号は、(ゲートウェイ端末を含む)オフィス管理者装置30で受信される。
まず、受信されたセンサ信号が利用者の存在を示す「人有り」の場合には、該当する什器40の識別情報(什器ID)が受信され(ステップ506)、オフィス管理者装置30では、その什器IDに関連付けて「使用開始時刻」を示す情報が生成・付与されて、什器IDとともに記憶される(ステップ507)。
また、受信されたセンサ信号が利用者の不存在を示す「人無し」の場合には、該当する什器40の識別情報(什器ID)が受信され(ステップ508)、オフィス管理者装置30では、その什器IDに関連付けて「使用終了時刻」を示す情報が生成・付与さて、什器IDとともに記憶される(ステップ509)。
以降は、同様の処理が繰り返し行われ、所定時間(例えば2時間ごと,午前1回・午後1回,1日1回)のタイミングで、オフィス管理者装置30で受信・記憶されたセンサ信号が、使用状況データとして本システム1(オフィス使用状況分析サーバ10)に送信される(ステップ510)。
【0068】
オフィス使用状況分析サーバ10では、オフィス管理者装置30から所定のタイミングで使用状況データが受信されると(ステップ511:使用状況データ受信部11)、識別情報(什器ID)で特定される什器40別の使用状況が抽出・把握され(ステップ512)、各什器40の利用情報が生成される(ステップ513:利用情報生成部12)。
生成された利用情報は、本システム1から利用者端末80やオフィス管理者装置30に出力・送信される(ステップ514)。
ここで生成・出力される利用情報としては、例えば、各什器40の利用率を示す一覧表や(
図8参照)、什器40の配置・レイアウトを示すレイアウト情報とともに抽出・出力され(
図9及び
図10参照)、本システム1にログインした利用者端末80やオフィス管理者装置30,外部システム50に対して、所定の情報が提供されるようになる。
以降は、同様の処理が繰り返し行われる(ステップ514・・・)。
【0069】
[レイアウト状況取得シーケンス]
図6に、本システム1における「レイアウト状況取得シーケンス」のフローチャートを示す。
同図に示すように、レイアウト状況取得の処理は、センサを構成するカメラ60によるオフィス領域2の撮像によって開始する。
カメラ60は、オフィス領域2内の全景・全什器40を撮像できるようになっており、所定間隔(例えば一定時間ごと)でオフィス領域2を撮像する(ステップ601)。
カメラ60で取得された撮像データは、所定間隔(例えば撮像されるごと・撮像後一定時間ごと)にカメラ60から出力・送信される(ステップ602)。
以降は、同様の処理が繰り返し行われる(ステップ603・・・)。
【0070】
カメラ60から出力された撮像データは、(ゲートウェイ端末を含む)オフィス管理者装置30で受信される。
まず、カメラ60から撮像データが受信されると(ステップ604)、オフィス管理者装置30では、その撮像データに関連付けて「撮像時刻」を示す情報が生成・付与されて、撮像データとともに記憶される(ステップ605)。
その後は、撮像データが受信される毎に、同様の処理が繰り返し行われ、所定時間(例えば2時間ごと,午前1回・午後1回,1日1回)のタイミングで、オフィス管理者装置30で受信・記憶された時刻情報を含む撮像データが、使用状況データとして本システム1(オフィス使用状況分析サーバ10)に送信される(ステップ606)。
【0071】
オフィス使用状況分析サーバ10では、オフィス管理者装置30から所定のタイミングで使用状況データが受信されると(ステップ607:使用状況データ受信部11)、カメラ60の撮像データで示されるオフィス領域2内の什器グループ別のレイアウト状況が抽出・把握され(ステップ608)、複数の什器40の配置・レイアウトを示すレイアウト情報が生成される(ステップ609:レイアウト情報生成部13)。
生成されたレイアウト情報は、本システム1から利用者端末80やオフィス管理者装置30に出力・送信される(ステップ610)。
【0072】
ここで生成・出力されるレイアウト情報としては、例えば、オフィス領域2の上方から見た利用者を含む各什器40の配置・レイアウトを示すレイアウト情報が生成されるようになっている(
図9及び
図10参照)。
また、レイアウト情報には、後述する所定の利用者関連情報を含めることもできる。
さらに、レイアウト情報には、オフィス領域内における複数の各什器40の異なる構成及び配置を示す複数の異なるレイアウト情報の中から抽出される、上述した所定の推奨レイアウト情報を含めることもできる(
図9及び
図10参照)。
そして、これらレイアウト情報は、本システム1にログインした利用者端末80やオフィス管理者装置30,外部システム50に対して、所定の情報が提供されるようになる。
以降は、同様の処理が繰り返し行われる(ステップ610・・・)。
【0073】
[移動情報取得シーケンス]
図7に、本システム1における「移動情報取得シーケンス」のフローチャートを示す。
同図に示すように、レイアウト状況取得の処理は、センサ50を構成する加速度センサによるオフィス領域2内における什器40の移動の監視・検出によって開始する。
加速度センサからなるセンサ50は、オフィス領域2内の各什器40に対応して備えられており、いずれかのセンサ50により什器40の移動(加速度)が検出されると(ステップ701)、什器40の位置情報を示すセンサ信号とともに、センサ50が取り付けられている移動された什器40の識別IDが、センサ50から出力・送信される(ステップ702)。
以降は、什器40の移動が検出される度に、同様の処理が繰り返し行われる(ステップ703・・・)。
【0074】
センサ50から出力されたセンサ信号は、(ゲートウェイ端末を含む)オフィス管理者装置30で受信される。
まず、移動された什器40を示す識別情報(什器ID)が受信されると(ステップ704)、オフィス管理者装置30では、その移動什器IDに関連付けて「移動時刻」を示す情報が生成・付与されて、移動什器IDやその位置情報とともに記憶される(ステップ705)。
その後は、移動什器IDが受信される毎に、同様の処理が繰り返し行われ、所定時間(例えば2時間ごと,午前1回・午後1回,1日1回)のタイミングで、オフィス管理者装置30で受信・記憶された時刻情報を含む移動された什器40のデータが、使用状況データとして本システム1(オフィス使用状況分析サーバ10)に送信される(ステップ706)。
【0075】
オフィス使用状況分析サーバ10では、オフィス管理者装置30から所定のタイミングで使用状況データが受信されると(ステップ707:使用状況データ受信部11)、識別情報(什器ID)で特定される什器40別の移動状況が抽出・把握され(ステップ708)、複数の什器40の配置・レイアウトを示すレイアウト情報が生成される(ステップ709:レイアウト情報生成部13)。
生成されたレイアウト情報は、本システム1から利用者端末80やオフィス管理者装置30に出力・送信される(ステップ710)。
【0076】
ここで生成・出力されるレイアウト情報としては、上述したカメラ60の撮像データから生成されるレイアウト情報と同様に、例えば、オフィス領域2の上方から見た利用者を含む各什器40の配置・レイアウトを示すレイアウト情報を生成することができ、上述した所定の推奨レイアウト情報を含めることもできる(
図9及び
図10参照)。
そして、これらレイアウト情報は、本システム1にログインした利用者端末80やオフィス管理者装置30,外部システム50に対して、所定の情報が提供できるようになる。
以降は、同様の処理が繰り返し行われる(ステップ710・・・)。
このようにして、センサ50として各什器40に対応する加速度センサを備える場合には、オフィス領域2の全景を撮像するためのカメラ60のような撮像手段を設けることなく、オフィス領域2で使用・移動される複数の什器40のレイアウト情報を得ることができるようになる。
【0077】
図8~
図10に、上述した本システム1のオフィス使用状況分析処理で生成・表示される出力イメージの一例を示す。
図8は、あるオフィス領域2で使用される複数の什器40利用情報の一例として、各什器40の利用率を一覧表で示したものである。
図9は、推奨レイアウト情報の一例として、「スクール」型を示したものである。
図10は、推奨レイアウト情報の一例として、「ブレスト+集中エリア」型を示したものである。
なお、これら
図8~
図10で示した表示は、本システム1で生成・表示される出力イメージの一例であって、特にこれらの出力イメージのみに限定されるものではなく、他の利用情報・レイアウト情報等を生成・表示できることは言うまでもない。
【0078】
以上説明したように、本発明に係るオフィス使用状況分析システム1によれば、所定のオフィス領域において自由に選択・配置・移動して利用できる什器の使用状況・使用方法を、簡易かつ正確に常時監視することができ、誰が、いつ、どの什器を、どのような配置やレイアウトで、何の目的で使用したか、といった実際の使用状況・使用方法を的確に把握して、自由な利用形態を分析・管理等することができるようになる。
【0079】
したがって、本システム1によれば、所定のオフィス領域において利用者が自由に選択して使用でき配置やレイアウトも任意に設定・変更して使用される複数の什器について、例えば必要(不必要)な什器の種類や数、頻繁に使用される(使用されない)什器、利用されることが多い(少ない)配置やレイアウトなどを把握することが可能となり、流動的に変化する什器の使用状況等を正確に把握することができるようになる。
これによって、オフィスにおける複数の什器の活用や管理を効率的に行えるようにすることができる支援システム等の提供が可能となり、特に、フリースペースやフリーアドレスが導入された什器の種類やレイアウト等を自由に選択可能なオフィス領域において、オフィスの使用状況を分析・把握することが可能となる。
【0080】
これに対して、例えば上述した特許文献1に係る技術では、家具やユーザの位置を把握するのに、それぞれビーコン(発信機)が必要であり、受信機の位置によっては位置把握の精度も悪くなり、場合によっては複数の受信機が必要となっていまう。
ビーコンは、発信機ごとに電源(電池)が必要となるだけでなく、通信範囲が狭く、他の電波の干渉や反射により通信精度が低下する等の問題があり、換言すれば、ビーコンの技術仕様によって、必要なビーコン配置や位置精度が大きく左右されることになる。
【0081】
一方、本システム1では、オフィス領域の全什器を撮像可能なカメラであれば、例えば1台のカメラだけで什器の使用状況を監視することができ、また、人感センサ及び/又は加速度センサを什器側のみに配置することで、例えば什器の使用状況や他の什器とのペア状況等も正確に把握することができるようになる。
したがって、本システム1では、上記のようなビーコンを介した特許文献1に係る技術のような複雑な構成や精度劣化などの問題が生じることなく、所望のオフィス領域における什器の自由な使用状況・使用方法を正確に分析・管理等することが可能となる。
なお、本発明においても、カメラの代替手段として、高精度で測位可能なビーコンなどの位置測位技術を採用することは勿論可能であり、ビーコン技術の利用を排除するものではない。
【0082】
以上、本発明について好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態では、本発明のオフィス使用状況分析の対象として、企業や会社などのオフィスのフリースペースで利用される各種什器を例にとって説明したが、本発明のオフィス使用状況分析の対象としては、特に企業等のオフィスのみに限定されるものではなく、例えば、学校の講堂や体育館、公民館、レンタル会議スペースなど、什器を自由な配置・レイアウトで使用できる空間・領域等であれば、そこで利用される各種什器や領域を、本発明の監視対象として適用することができる。
また、什器の使用や利用状況に限らず、例えば、オフィスサプライ品の補充や紙ごみ、ペットボトルなどの廃棄物入れが満杯になり交換が必要であることを管理者に通知するためのセンシングも含めた統合的なオフィス監視について、本発明を適用・発展させることも可能である。近年は在宅勤務やリモートワーク等の普及によって、オフィス管理者であってもリモートワークするケースが想定され、そのような場合にも、本発明に係るワイヤレス給電とセンサを活用したオフィス監視機能は有用な手段となり得る。
【0083】
また、本発明は、以下のような技術的な応用・発展・展開も期待できる。
例えば、デジタルサイネージを介して、余っている家具を用いて、使用シーンごとの提案を行ったり、家具のレイアウトをレーザで各家具の位置を指定したり、それらを組み合わせて、ユーザがオフィス領域に入ってきたら、その人にあった家具の組み合せと、その家具の今の位置と、それを置くべき位置を、デジタルサイネージで提示することができる。
また、例えば、明日のレイアウトを提示することで、作業者がオフィスの終業後に作業することができるようにすることもできる。特に、朝方使用されるレイアウトパターンの配置や整理などに好適である。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、例えば企業や団体,組織等のオフィスに設置されるデスクや会議卓,椅子,テーブル,パーティションなどの複数の什器の使用状況の監視・分析を支援するためのオフィス使用状況分析システムとして好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 オフィス使用状況分析システム
10 オフィス使用状況分析サーバ
11 使用状況データ受信部
12 利用情報生成部
13 レイアウト情報生成部
14 移動情報生成部
15 使用環境情報生成部
16 利用者関連情報生成部
20 オフィス使用状況分析データベース
21 什器データベース
22 利用者データベース
30 オフィス管理者装置
40 什器
50 センサ
60 カメラ
70 送電機
80 利用者端末
90 外部システム