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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101145
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   B08B 3/02 20060101AFI20240722BHJP
   B08B 5/02 20060101ALI20240722BHJP
   B01L 99/00 20100101ALI20240722BHJP
【FI】
B08B3/02 D
B08B5/02 Z
B01L99/00
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004923
(22)【出願日】2023-01-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000114891
【氏名又は名称】ヤマト科学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】吉森 継男
(72)【発明者】
【氏名】池田 真一
(72)【発明者】
【氏名】牧嶋 一義
【テーマコード(参考)】
3B116
3B201
4G057
【Fターム(参考)】
3B116AA46
3B116AB03
3B116AB43
3B116BB23
3B116BB33
3B116BB43
3B116CC03
3B201AA46
3B201AB03
3B201AB43
3B201BB23
3B201BB33
3B201BB43
3B201BB94
3B201CB12
3B201CC12
4G057AF03
(57)【要約】
【課題】分液ロートのような管状の実験器具であっても、その内側まで、十分に洗浄できるようにする。
【解決手段】上部投入口SFbと下部抽出口SFdとを有する分液ロートSFを洗浄する洗浄装置であって、分液ロートSFの上下を逆にして上部投入口SFb側をホルダ68により保持した状態で、分液ロートSFの内側を洗浄する短洗浄ノズル63Sを有するスライド式ジェットラック60と、該スライド式ジェットラック60の、短洗浄ノズル63Sとは別の長洗浄ノズル63Lと分液ロートSFの下部抽出口SFdとを接続する接続ノズル70と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部投入口と下部抽出口とを有する実験器具を洗浄する洗浄装置であって、
前記実験器具の上下を逆にして前記上部投入口側を保持した状態で、前記実験器具の内側を洗浄する洗浄ノズルを有する洗浄用ラックと、
前記洗浄用ラックの、前記洗浄ノズルとは別の洗浄ノズルと前記実験器具の前記下部抽出口とを接続する接続ノズルと、
を備えたことを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記洗浄用ラックは、洗浄空間に対して着脱自在に設けられたスライド式ジェットラックであることを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記洗浄用ラックは、少なくとも長短2本の洗浄ノズルを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記少なくとも長短2本の洗浄ノズルのいずれか一方には、前記実験器具の前記上部投入口側を下向きにして保持する保持部材が設けられ、
前記少なくとも長短2本の洗浄ノズルのいずれか他方には、前記接続ノズルの一端側が接続される
ことを特徴とする請求項3に記載の洗浄装置。
【請求項5】
少なくとも、前記実験器具を保持する側の洗浄ノズルには、複数の液噴出用横孔が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記洗浄用ラックは、2本一組からなる複数組の洗浄ノズルを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の洗浄装置。
【請求項7】
前記複数組の洗浄ノズルにおいて、
各組の洗浄ノズルは、それぞれ、複数の液噴出用横孔を有し、
前記各組の洗浄ノズルのうち、いずれか一方の洗浄ノズルには、前記実験器具の前記上部投入口側を下向きにして保持する保持部材が設けられ、
前記各組の洗浄ノズルのうち、いずれか他方の洗浄ノズルには、前記接続ノズルの一端側が前記複数の液噴出用横孔を覆うようにして接続される
ことを特徴とする請求項6に記載の洗浄装置。
【請求項8】
前記複数組の洗浄ノズルのうち、洗浄に利用されない各組の洗浄ノズルには、前記複数の液噴出用横孔を覆うように、シリコン製のキャップの取り付けが可能とされていることを特徴とする請求項7に記載の洗浄装置。
【請求項9】
前記実験器具は、分液ロートであることを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分液漏斗(分液ロート)などの管状の実験器具の洗浄に好適な洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、研究所などの研究室や実験室においては、ビーカやフラスコなどの実験器具を自動洗浄するために、ウォッシャと称する洗浄装置が導入されている。
【0003】
洗浄装置を使用すれば、多種の実験器具を一度に大量、かつ、均一に洗浄することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-311232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の洗浄装置では、丸底フラスコや三角フラスコのような口側が胴体部分よりも狭い実験器具の内面(内側)を洗浄し難いという課題があった。
【0006】
特に、分液ロートの場合、その特殊な形状のため、洗浄装置による自動洗浄には適さないものであった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、分液ロートのような管状の実験器具であっても、その内側まで、十分に洗浄することが可能な洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するため、本発明の態様は、上部投入口と下部抽出口とを有する実験器具を洗浄する洗浄装置であって、前記実験器具の上下を逆にして前記上部投入口側を保持した状態で、前記実験器具の内側を洗浄する洗浄ノズルを有する洗浄用ラックと、前記洗浄用ラックの、前記洗浄ノズルとは別の洗浄ノズルと前記実験器具の前記下部抽出口とを接続する接続ノズルと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、分液ロートのような管状の実験器具であっても、その内側まで、十分に洗浄することが可能な洗浄装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る洗浄装置の外観を示す斜視図である。
図2】本実施形態に係る洗浄装置の一側面を示す外観図である。
図3】本実施形態に係る洗浄装置の洗浄槽内を例示するものであって、(a)は、内部を示す概略図であり、(b)は、底部を示す概略図である。
図4】本実施形態に係る洗浄装置で用いられるスライド式ジェットラックの概略図である。
図5図4に示したジェットラックの洗浄ノズルの構成図であって、(a)は、洗浄に用いる場合の洗浄ノズルを例示する概略図であり、(b)は、洗浄に用いない場合の洗浄ノズルを例示する概略図である。
図6】本実施形態に係る洗浄装置の洗浄方法を例示する概略図である。
図7】本実施形態に係る洗浄装置の接続ノズルの一例を示す概略図である。
図8】本実施形態に係る洗浄装置の接続ノズルの他例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係る洗浄装置について説明する。なお、実施の形態において、図面は、発明の概要を模式的に示すものであって、実際のものとは異なるものであることに留意すべきである。
【0012】
実施形態
図1,2は、本発明の実施形態に係る洗浄装置1の概略構成を模式的に示すもので、図1は、洗浄装置1の外観を示す斜視図であり、図2は、洗浄装置1の左側面(一側面)を示す外観図である。
【0013】
ここでは、ビーカや試験管などの実験器具を洗浄する洗浄装置1において、管状の実験器具として、分液ロート(分液漏斗)の洗浄を行う場合を例に説明する。
【0014】
洗浄装置1は、例えば図1に示すように、筐体(装置本体)10の正面に図示矢印方向に開閉する前傾式のドア11を備えている。ドア11には、閉時に筐体10の内側の洗浄槽(内部の洗浄空間)内の様子を目視できるように、ガラスなどからなる観察窓12が設けられている。
【0015】
そして、筐体10の前面で、ドア11の下方には、漏電ブレーカ機能付きの主電源スイッチ13が設けられている。
【0016】
また、筐体10の前面で、ドア11の上方には、非洗浄時などに一時的に操作する電源スイッチ14、操作部と表示部とを兼ねたタッチパネル15、および、洗浄時の工程の進行状況を表示する運転ランプ16が配置されている。
【0017】
なお、洗浄の各工程は、例えば、予備洗浄/本洗浄/すすぎ/純水すすぎ/予備乾燥の順で進行する。
【0018】
さらに、筐体10の上面には純水給水口(図示省略)が、筐体10の下面には底板に溜まった水を抜くためのドレイン17、および、洗浄装置1の水平を保つためのアジャスタ18が、それぞれ設けられている。
【0019】
一方、筐体10の左側面には、例えば図2に示すように、排気冷却ファン21、蒸気吹き出し口22、排水口23、排水口23に繋がれた排水ホース24、オーバーフロー25、水道水給水口26、および、温水給水口27が設けられている。排気冷却ファン21は、洗浄槽内を冷却するためのものである。蒸気吹き出し口22は、蒸気を外部に吹き出す(排気する)ためのものである。排水口23は、洗浄処理の各工程で用いた水を排水するためのものである。オーバーフロー25は、洗浄槽内の余剰な洗浄液を排水するためのものである。水道水給水口26は、洗浄槽内に水道水を供給するためのものである。温水給水口27は、洗浄槽内に温水を供給するためのものである。
【0020】
また、筐体10の左側面には、洗剤用チューブ30が個々に接続される洗剤ボトル接続口28および洗剤残量センサ端子接続口29と、専用の洗剤ボトル(図示省略)が搭載される洗剤収納ラック31と、が設けられている。
【0021】
図3は、本実施形態に係る洗浄装置1の筐体10内に設けられた洗浄槽を例示するものであって、(a)は、洗浄槽内を正面側より示す概略図であり、(b)は、洗浄槽の内下部(底部)を示す概略図である。
【0022】
洗浄槽内には、例えば図3(a)に示すように、温度センサ33および予備乾燥時空気吹き出し口34が設けられるとともに、ドア11により開閉される前面開口部の縁部に沿ってドアパッキン35が配設されている。温度センサ33は、洗浄槽内の温度を検知するためのものであり、乾燥空気を吹き出すための予備乾燥時空気吹き出し口34は、洗浄槽の背面(奥面)に設けられている。
【0023】
また、洗浄槽内には、内天井部分に回転しながら放水する上部スプレーアーム32が設けられている。
【0024】
さらに、洗浄槽内には、スライド式上段ラックベース51の使用時に回転しながら放水する中部スプレーアーム52と、スライド式下段ラックベース53の使用時に回転しながら放水する下部スプレーアーム54と、が着脱可能に設けられる。つまり、中部スプレーアーム52および下部スプレーアーム54は、ラックベース51,53の着脱に応じて、洗浄槽内に設置/非設置されるようになっている。
【0025】
スライド式上段ラックベース51およびスライド式下段ラックベース53は、洗浄する実験器具を載置したり、実験器具を収納するための、例えば図示省略のビーカラックや試験管ラックを搭載するためのものである。
【0026】
なお、詳細については後述するが、分液ロートの洗浄を行う場合、スライド式上段ラックベース51およびスライド式下段ラックベース53に代えて、スライド式ジェットラックが用いられる。
【0027】
洗浄槽の内下部には、例えば図3(b)の示すように、洗浄液を加温するためのヒータ36、洗浄時に出るごみなどを回収するための槽内フィルタ37および排水フィルタ38が設けられている。
【0028】
また、内下部側の背面には、給水口39、60Hz運転時に洗浄液を外部に排出するリリーフロ41、洗剤供給口42、洗浄槽内の余剰な洗浄液を排水するオーバーフロー43、および、洗浄槽内の水位を検知する水位センサ44が設けられている。給水口39は、スライド式下段ラックベース53の下部スプレーアーム54などを介して、洗浄槽内に水道水、温水、純水を供給するためのものである。
【0029】
図4は、本実施形態に係る洗浄装置1において、分液ロートの洗浄に用いられるスライド式ジェットラック(洗浄用ラック)60の概略構成を示すものである。
【0030】
スライド式ジェットラック60は、本来、メスフラスコ(丸底フラスコや三角フラスコなど)のような口側が胴体部分よりも狭い実験器具をジェット洗浄する際に用いられるものであって、実験器具の上下を逆にした下向きの状態で保持するようになっている。
【0031】
スライド式ジェットラック60は、例えば図4に示すように、スライドさせることによって、中部スプレーアーム52を介して洗浄槽内に給水するための給水口(図示省略)とワンタッチで離接可能な接続ユニット61を備えたラック部65を有している。
【0032】
ラック部65内には、接続ユニット61に繋がる給水路62が、例えばくし形状に配置されている。給水路62には、例えば、複数組の長短2本の洗浄ノズル(噴出ノズル)63が互いに一定の間隔を有して交互に起立した状態で配置されている。
【0033】
本実施形態においては、例えば、高さ(長さ)が200mmの18本の長洗浄ノズル63Lと、高さが100mmの18本の短洗浄ノズル63Sと、からなる全36本(全18組)の洗浄ノズル63が用意されている。洗浄ノズル63としては、少なくとも長洗浄ノズル63Lと短洗浄ノズル63Sとを1本ずつ有した構成であっても良い。
【0034】
そして、ラック部65の下面には複数のローラ66が設けられて、図示矢印方向にスライド自在とされている。
【0035】
洗浄ノズル63(63L,63S)には、例えば図5(a)に示すように、それぞれのノズル部63aの周面に10個程度の噴出口(洗浄液やすすぎ水などの液噴出用横孔)63bが、90度ずつ位置をずらしながら市松状に設けられている。
【0036】
また、ノズル部63aの、噴出口63bを除く先端部分には、ノズルキャップ(シリコン製のキャップ)64が着脱自在に取り付けられている。ノズルキャップ64は、その先端である頭頂部に、洗浄液やすすぎ水などを噴出するための噴出孔(図示省略)を有している。
【0037】
なお、このノズルキャップ64のうち、例えば図5(b)に示すように、後述する分液ロートSFの洗浄時に、洗浄に使用されない洗浄ノズル63のノズルキャップ64は、シリコンキャップ(閉栓)67に取り換えることが可能とされている。シリコンキャップ67は、全ての噴出口63bを塞ぐように、ノズル部63aの先端側に取り付けられる。これにより、分液ロートSFの洗浄に使用されない洗浄ノズル63からの無駄な噴出を抑えることが可能となる。したがって、洗浄に使用される洗浄ノズル63の噴出孔や噴出口63bからの、洗浄液やすすぎ水などの噴出を十分なものとすることができる。
【0038】
一方、各ノズル部63aの基端側には、例えば図5(a),(b)に示すように、洗浄する実験機器の口側の部分を保持するホルダ(保持部材)68が設けられている。即ち、実験機器は下向き、つまり、洗浄時には上下を逆にし、口側をホルダ68によって保持させた状態でセットされる。
【0039】
ホルダ68は、例えば十字の形状とされ、ノズル部63aに対して、図示矢印方向に摺動可能とされており、洗浄時には、保持する実験機器の胴体部分の中心にノズルキャップ64がくるように位置合わせされる。
【0040】
図6は、本実施形態に係る洗浄装置1による分液ロートSFの洗浄方法を例示するものである。
【0041】
ここで、分液ロートSFとは、上部投入口SFbにガラス栓(図示していない)を有し、下部抽出口SFdの胴体部分SFaの付け根側に二方コック部SFcを備えた漏斗で、互いに交じり合わない液体を分離するのに利用される。この分液ロートSFは、主に、ガラスなどの透明な素材により形成されている。
【0042】
分液ロートSFの洗浄時、分液ロートSFは、上下を逆さにした状態で上部投入口SFbが短洗浄ノズル63Sのホルダ68に保持されるようにセットされる。
【0043】
その際、上部投入口SFbのガラス栓および二方コック部SFcの活栓(図示していない)は、事前に取り外される。
【0044】
一方、分液ロートSFの下部抽出口SFdには、接続ノズル70を介して、短洗浄ノズル63Sとペアの長洗浄ノズル63Lが接続される。
【0045】
接続ノズル70は、チューブ(シリコンホース)71と、該チューブ71の一端に接続されたハーフエルボ72と、接続具73と、シリコン製のキャップ74と、を有してなる構成とされている。
【0046】
分液ロートSFの下部抽出口SFdは、先端部分が接続具73の内径に嵌め込まれ、その状態で、接続具73にシリコン製のキャップ74が被せられることにより、外れないように固定される。
【0047】
シリコン製のキャップ74には、下部抽出口SFdの内側のみでなく、下部抽出口SFdの外面(外側)を洗浄するために、下部抽出口SFdの外側に洗浄液やすすぎ水などが流れるようにするための噴出孔(図示省略)が設けられている。
【0048】
チューブ71の他端は、長洗浄ノズル63Lの先端のノズルキャップ64が取り外された状態において、全ての噴出口63bを塞ぐように、先端側よりノズル部63aに装着される。
【0049】
こうして、分液ロートSFの洗浄時、洗浄する分液ロートSFは、スライド式ジェットラック60に搭載され、スライド式ジェットラック60ごと洗浄装置1の洗浄槽内に装填される。そして、接続ユニット61および給水路62を介して洗浄液が供給されることにより、分液ロートSFの内側および外側が洗浄される。
【0050】
つまり、分液ロートSFは、その外側が、上部スプレーアーム32からの放水によって洗浄されると同時に、特に下部抽出口SFdの外側が、長洗浄ノズル63Lから接続ノズル70を介して供給され、シリコン製のキャップ74の部分より流れ出る洗浄液によって洗浄される。
【0051】
その一方で、分液ロートSFの内側が、短洗浄ノズル63Sの噴出口63bおよびノズルキャップ64の噴出孔より噴出する洗浄液と、長洗浄ノズル63Lから接続ノズル70を介して、分液ロートSFの下部抽出口SFdの内側に供給される洗浄液とによって、より効果的に洗浄される。
【0052】
このように、分液ロートSFの内側を、下方の上部投入口SFb側と上方の下部抽出口SFd側とから同時に洗浄することが可能となる。即ち、分液ロートSFの洗浄は、外側は上部スプレーアーム32からの放水と接続ノズル70からの洗浄液とによって、内側は、分液ロートSFの構造上の特徴である上部投入口SFbと下部抽出口SFdとを活用し、二方向から洗浄液を放水することにより良好に処理することが可能となる。
【0053】
特に、短洗浄ノズル63Sの噴出口63bおよびノズルキャップ64の噴出孔より噴出する洗浄液と、長洗浄ノズル63Lから接続ノズル70を介して、分液ロートSFの下部抽出口SFdの内側に供給される洗浄液とが、分液ロートSFの内側でぶつかることで、二方コック部SFcの両方の横穴にまで勢い良く洗浄液をいきわたらせることが可能となる。これにより、これまでは取れなかった汚れや臭いをもきれいに洗い流せるようになる。
【0054】
その結果、管状の実験器具である分液ロートSFの洗浄とすすぎとの工程において、より効果的に、かつ、より効率良く、処理できるようになる。
【0055】
本実施形態によれば、フラスコなどの実験器具を洗浄する洗浄装置1によって、分液ロートSFのような管状の実験器具であっても、その内側まで、十分に自動洗浄することが可能となる。
【0056】
しかも、洗浄に使用しない洗浄ノズル63S,63Lのノズルキャップ64を、閉栓としてのシリコンキャップ67との付け替えによって、洗浄に使用される洗浄ノズル63S,63Lからの噴出量をより十分なものとすることが容易に可能となる。
【0057】
本実施形態の場合、既存のスライド式ジェットラック60を適用し、分液ロートSFの洗浄を可能とするようにしたことにより、分液ロートSFだけでなく、フラスコなどを混同させた状態において、多種・多量の実験器具を一度に洗浄可能となる。これにより、大幅な仕様変更などを行うことなく、洗浄装置1の利便性や汎用性を向上できる。
【0058】
その他の実施形態
本実施形態に係る洗浄装置1において、例えば、50mlから500mlまでの分液ロートSFの洗浄が可能であるとした場合、分液ロートSFの大きさに応じて、接続ノズル70の、特に、下部抽出口SFd側との接続部分の構成を変更するようにしても良い。
【0059】
即ち、図7は、500mlの分液ロートSFの洗浄に用いられる接続ノズル70を例示するものであり、図8は、50ml~300mlの分液ロートSFの洗浄に用いられる接続ノズル70を例示するものである。
【0060】
このように、分液ロートSFが大きくて下部抽出口SFdの径が大きい場合には、例えば図7に示すように、同一の径を有する接続具73の先端側を覆うようにシリコン製のキャップ74が設けられる。
【0061】
これに対し、分液ロートSFが小さくて下部抽出口SFdの径が小さい場合には、例えば図8に示すように、接続具75の先端側の径を小さく(細く)し、その細部側を覆うようにシリコン製のキャップ76が設けられる。
【0062】
これにより、径が異なるような大きさの違う各種の分液ロートSFを、より確実に保持でき、より安定した洗浄処理を行い得るようになる。
【0063】
なお、分液ロートSFに限らず、管状の実験器具として、例えばピペットなどの洗浄にも適用できる。
【0064】
また、その他の実施形態としては、長洗浄ノズル63L側で分液ロートSFを保持し、短洗浄ノズル63S側が接続ノズル70を介して下部抽出口SFdと接続された状態において、分液ロートSFの洗浄を行う構成とすることも可能である。
【0065】
いずれの場合においても、例えば、分液ロートSFが保持される側の洗浄ノズル63(63L,63S)の、ノズル部63aの噴出口63bの個数を増加させるようにしても良い。
【0066】
また、スライド式ジェットラック60は、分液ロートSFの洗浄を行うためにだけに用いる専用のラックとして構成することもできる。即ち、接続ノズル70を常設させるようにした構成としても良い。
【0067】
特に、分液ロートSFの洗浄を行うための専用のラックとした場合においては、分液ロートSFが保持される側の洗浄ノズル63(63L,63S)の、ノズルキャップ64の噴出口の径を、流量調節の目的と分液ロートSFの破損防止の目的とから、より大きくすることも可能である。
【0068】
また、専用のラックとする場合においては、分液ロートSFが保持される側の洗浄ノズル63(63L,63S)のノズル部63aにのみ、噴出口63bを設ける構成としても良い。
【0069】
以上、実施の形態を例示して本発明の態様について説明したが、一例であり、特許請求の範囲に記載される発明の範囲は、発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更できるものである。
【符号の説明】
【0070】
1 洗浄装置
32 上部スプレーアーム
60 スライド式ジェットラック(洗浄用ラック)
61 接続ユニット
62 給水路
63 洗浄ノズル(噴出ノズル)
63L 長洗浄ノズル
63S 短洗浄ノズル
63a ノズル部
63b 噴出口(液噴出用横孔)
65 ラック部
67 シリコンキャップ(閉栓)
68 ホルダ(保持部材)
70 接続ノズル
71 チューブ(シリコンホース)
72 ハーフエルボ
73,75 接続具
74,76 シリコン製のキャップ
SF 分液ロート(実験器具)
SFa 胴体部分
SFb 上部投入口
SFd 下部抽出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-01-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部投入口と下部抽出口とを有する実験器具を洗浄する洗浄装置であって、
前記実験器具の上下を逆にして前記上部投入口側を保持した状態で、前記実験器具の内側を洗浄する、2本一組からなる複数組の洗浄ノズルを有する洗浄用ラックと、
前記洗浄用ラックの、前記複数組の洗浄ノズルの一方の洗浄ノズルとは別の他方の洗浄ノズルと前記実験器具の前記下部抽出口とを接続する接続ノズルと、
備え、
前記複数組の洗浄ノズルにおいて、
各組の洗浄ノズルは、それぞれ、複数の液噴出用横孔を有し、
前記各組の洗浄ノズルのうち、前記一方の洗浄ノズルには、前記実験器具の前記上部投入口側を下向きにして保持する保持部材が設けられ、
前記各組の洗浄ノズルのうち、前記他方の洗浄ノズルには、前記接続ノズルの一端側が前記複数の液噴出用横孔を覆うようにして接続される
ことを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
上部投入口と下部抽出口とを有する実験器具を洗浄する洗浄装置であって、
前記実験器具の上下を逆にして前記上部投入口側を保持した状態で、前記実験器具の内側を洗浄する、2本一組からなる複数組の洗浄ノズルを有する洗浄用ラックと、
前記洗浄用ラックの、前記複数組の洗浄ノズルの一方の洗浄ノズルとは別の他方の洗浄ノズルと前記実験器具の前記下部抽出口とを接続する接続ノズルと、
備え、
前記複数組の洗浄ノズルにおいて、
各組の洗浄ノズルは、それぞれ、複数の液噴出用横孔を有し、
前記各組の洗浄ノズルのうち、前記一方の洗浄ノズルには、前記実験器具の前記上部投入口側を下向きにして保持する保持部材が設けられ、
前記各組の洗浄ノズルのうち、前記他方の洗浄ノズルには、前記接続ノズルの一端側が前記複数の液噴出用横孔を覆うようにして接続されるとともに、
前記複数組の洗浄ノズルのうち、洗浄に利用されない各組の洗浄ノズルには、それぞれ、前記複数の液噴出用横孔を覆うように、シリコン製のキャップの取り付けが可能とされている
ことを特徴とする洗浄装置。
【請求項3】
前記洗浄用ラックは、洗浄空間に対して着脱自在に設けられたスライド式ジェットラックであることを特徴とする請求項1または2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
上部投入口と下部抽出口とを有する実験器具を洗浄する洗浄装置であって、
前記実験器具の上下を逆にして前記上部投入口側を保持した状態で、前記実験器具の内側を洗浄する、2本一組からなる複数組の洗浄ノズルを有する洗浄用ラックと、
前記洗浄用ラックの、前記複数組の洗浄ノズルの一方の洗浄ノズルとは別の他方の洗浄ノズルと前記実験器具の前記下部抽出口とを接続する接続ノズルと、
備え、
前記洗浄用ラックは、洗浄空間に対して着脱自在に設けられたスライド式ジェットラックであり、
前記複数組の洗浄ノズルにおいて、
各組の洗浄ノズルは、それぞれ、複数の液噴出用横孔を有し、
前記各組の洗浄ノズルのうち、前記一方の洗浄ノズルには、前記実験器具の前記上部投入口側を下向きにして保持する保持部材が設けられ、
前記各組の洗浄ノズルのうち、前記他方の洗浄ノズルには、前記接続ノズルの一端側が前記複数の液噴出用横孔を覆うようにして接続される
ことを特徴とする洗浄装置。
【請求項5】
前記複数組の洗浄ノズルのうち、洗浄に利用されない各組の洗浄ノズルには、前記複数の液噴出用横孔を覆うように、シリコン製のキャップの取り付けが可能とされていることを特徴とする請求項1または4に記載の洗浄装置。
【請求項6】
上部投入口と下部抽出口とを有する実験器具を洗浄する洗浄装置であって、
前記実験器具の上下を逆にして前記上部投入口側を保持した状態で、前記実験器具の内側を洗浄する、2本一組からなる複数組の洗浄ノズルを有する洗浄用ラックと、
前記洗浄用ラックの、前記複数組の洗浄ノズルの一方の洗浄ノズルとは別の他方の洗浄ノズルと前記実験器具の前記下部抽出口とを接続する接続ノズルと、
備え、
前記洗浄用ラックは、洗浄空間に対して着脱自在に設けられたスライド式ジェットラックであり、
前記複数組の洗浄ノズルにおいて、
各組の洗浄ノズルは、それぞれ、複数の液噴出用横孔を有し、
前記各組の洗浄ノズルのうち、前記一方の洗浄ノズルには、前記実験器具の前記上部投入口側を下向きにして保持する保持部材が設けられ、
前記各組の洗浄ノズルのうち、前記他方の洗浄ノズルには、前記接続ノズルの一端側が前記複数の液噴出用横孔を覆うようにして接続されるとともに、
前記複数組の洗浄ノズルのうち、洗浄に利用されない各組の洗浄ノズルには、それぞれ、前記複数の液噴出用横孔を覆うように、シリコン製のキャップの取り付けが可能とされている
ことを特徴とする洗浄装置。
【請求項7】
前記洗浄用ラックの前記各組の洗浄ノズルは、それぞれ、長短2本の洗浄ノズルを備えることを特徴とする請求項1、2、4または6のいずれか1項に記載の洗浄装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
上記課題を達成するため、本発明の態様は、上部投入口と下部抽出口とを有する実験器具を洗浄する洗浄装置であって、前記実験器具の上下を逆にして前記上部投入口側を保持した状態で、前記実験器具の内側を洗浄する、2本一組からなる複数組の洗浄ノズルを有する洗浄用ラックと、前記洗浄用ラックの、前記複数組の洗浄ノズルの一方の洗浄ノズルとは別の他方の洗浄ノズルと前記実験器具の前記下部抽出口とを接続する接続ノズルと、を備え、前記複数組の洗浄ノズルにおいて、各組の洗浄ノズルは、それぞれ、複数の液噴出用横孔を有し、前記各組の洗浄ノズルのうち、前記一方の洗浄ノズルには、前記実験器具の前記上部投入口側を下向きにして保持する保持部材が設けられ、前記各組の洗浄ノズルのうち、前記他方の洗浄ノズルには、前記接続ノズルの一端側が前記複数の液噴出用横孔を覆うようにして接続されることを特徴とする。
また、本発明の他の態様は、上部投入口と下部抽出口とを有する実験器具を洗浄する洗浄装置であって、前記実験器具の上下を逆にして前記上部投入口側を保持した状態で、前記実験器具の内側を洗浄する、2本一組からなる複数組の洗浄ノズルを有する洗浄用ラックと、前記洗浄用ラックの、前記複数組の洗浄ノズルの一方の洗浄ノズルとは別の他方の洗浄ノズルと前記実験器具の前記下部抽出口とを接続する接続ノズルと、を備え、前記複数組の洗浄ノズルにおいて、各組の洗浄ノズルは、それぞれ、複数の液噴出用横孔を有し、前記各組の洗浄ノズルのうち、前記一方の洗浄ノズルには、前記実験器具の前記上部投入口側を下向きにして保持する保持部材が設けられ、前記各組の洗浄ノズルのうち、前記他方の洗浄ノズルには、前記接続ノズルの一端側が前記複数の液噴出用横孔を覆うようにして接続されるとともに、前記複数組の洗浄ノズルのうち、洗浄に利用されない各組の洗浄ノズルには、それぞれ、前記複数の液噴出用横孔を覆うように、シリコン製のキャップの取り付けが可能とされていることを特徴とする。
また、本発明の他の態様は、上部投入口と下部抽出口とを有する実験器具を洗浄する洗浄装置であって、前記実験器具の上下を逆にして前記上部投入口側を保持した状態で、前記実験器具の内側を洗浄する、2本一組からなる複数組の洗浄ノズルを有する洗浄用ラックと、前記洗浄用ラックの、前記複数組の洗浄ノズルの一方の洗浄ノズルとは別の他方の洗浄ノズルと前記実験器具の前記下部抽出口とを接続する接続ノズルと、を備え、前記洗浄用ラックは、洗浄空間に対して着脱自在に設けられたスライド式ジェットラックであり、前記複数組の洗浄ノズルにおいて、各組の洗浄ノズルは、それぞれ、複数の液噴出用横孔を有し、前記各組の洗浄ノズルのうち、前記一方の洗浄ノズルには、前記実験器具の前記上部投入口側を下向きにして保持する保持部材が設けられ、前記各組の洗浄ノズルのうち、前記他方の洗浄ノズルには、前記接続ノズルの一端側が前記複数の液噴出用横孔を覆うようにして接続されることを特徴とする。
また、本発明の他の態様は、上部投入口と下部抽出口とを有する実験器具を洗浄する洗浄装置であって、前記実験器具の上下を逆にして前記上部投入口側を保持した状態で、前記実験器具の内側を洗浄する、2本一組からなる複数組の洗浄ノズルを有する洗浄用ラックと、前記洗浄用ラックの、前記複数組の洗浄ノズルの一方の洗浄ノズルとは別の他方の洗浄ノズルと前記実験器具の前記下部抽出口とを接続する接続ノズルと、を備え、前記洗浄用ラックは、洗浄空間に対して着脱自在に設けられたスライド式ジェットラックであり、前記複数組の洗浄ノズルにおいて、各組の洗浄ノズルは、それぞれ、複数の液噴出用横孔を有し、前記各組の洗浄ノズルのうち、前記一方の洗浄ノズルには、前記実験器具の前記上部投入口側を下向きにして保持する保持部材が設けられ、前記各組の洗浄ノズルのうち、前記他方の洗浄ノズルには、前記接続ノズルの一端側が前記複数の液噴出用横孔を覆うようにして接続されるとともに、前記複数組の洗浄ノズルのうち、洗浄に利用されない各組の洗浄ノズルには、それぞれ、前記複数の液噴出用横孔を覆うように、シリコン製のキャップの取り付けが可能とされていることを特徴とする。