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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101148
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】プロジェクター
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/00 20060101AFI20240722BHJP
【FI】
G03B21/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004928
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】柏木 章宏
【テーマコード(参考)】
2K203
【Fターム(参考)】
2K203FA03
2K203FA23
2K203FA32
2K203FA44
2K203GA22
2K203GA35
2K203GC02
2K203GC05
2K203HA03
2K203HA08
2K203HA23
2K203HA62
2K203HA63
2K203HA67
2K203MA02
2K203MA04
(57)【要約】
【課題】画像の外周部の表示特性に優れるプロジェクターを提供する。
【解決手段】本発明のプロジェクターは、光源と、カラーフィルターを有し、光源からの光を変調してカラー画像光を生成する光変調素子と、光源からの光が入射する第1光学系と、第1光学系からの光を光変調素子に向けて射出する第2光学系と、カラー画像光を投写する投写光学装置と、を備える。第1光学系は、光入射部と、光入射部の面積よりも大きい面積を有する光射出部と、反射面と、を有し、光入射部から入射する光を反射面で反射させて光射出部から射出させる反射素子を備える。第2光学系は、正のパワーを有し、第1光学系から射出される光の一部が入射し、第1主点を有する第1レンズと、正のパワーを有し、第1光学系から射出される光の一部が入射し、光変調素子の光軸に沿う方向から見て、第1主点とは重ならない位置に第2主点を有する第2レンズと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を射出する光源と、
カラーフィルターを有し、前記光源から射出される前記光を画像情報に基づいて変調し、カラー画像光を生成する光変調素子と、
前記光源と前記光変調素子との間の前記光の光路上に設けられ、前記光源から射出される前記光が入射する第1光学系と、
前記第1光学系と前記光変調素子との間の前記光の光路上に設けられ、前記第1光学系から射出される前記光を前記光変調素子に向けて射出する第2光学系と、
前記光変調素子から射出される前記カラー画像光を投写する投写光学装置と、
を備え、
前記第1光学系は、
光入射部と、前記光入射部の面積よりも大きい面積を有する光射出部と、反射面と、を有し、前記光入射部から入射する前記光を前記反射面で反射させて前記光射出部から射出させる反射素子を備え、
前記第2光学系は、
正のパワーを有し、前記第1光学系から射出される前記光の一部が入射し、第1主点を有する第1レンズと、
正のパワーを有し、前記第1光学系から射出される前記光の一部が入射し、前記光変調素子の光軸に沿う方向から見て、前記第1主点とは重ならない位置に第2主点を有する第2レンズと、
を備える、プロジェクター。
【請求項2】
前記第1主点は、前記光軸上に位置する、請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項3】
前記第2光学系は、
正のパワーを有し、前記第1光学系から射出される前記光の一部が入射し、前記光軸に沿う方向から見て、前記第1主点および前記第2主点とは重ならない位置に第3主点を有する第3レンズをさらに備え、
前記光軸に沿う方向から見て、前記第2主点と前記第3主点とは、前記光軸を中心として回転対称の位置にある、請求項2に記載のプロジェクター。
【請求項4】
前記光軸に沿う方向から見て、前記光変調素子の有効表示領域は、長方形の形状を有し、
前記第2主点、前記第1主点、および前記第3主点は、前記長方形の長辺方向に沿って並んでいる、請求項3に記載のプロジェクター。
【請求項5】
前記第2光学系は、
正のパワーを有し、前記第1光学系から射出される前記光の一部が入射し、前記光軸に沿う方向から見て、前記第1主点、前記第2主点、および前記第3主点とは重ならない位置に第4主点を有する第4レンズと、
正のパワーを有し、前記第1光学系から射出される前記光の一部が入射し、前記光軸に沿う方向から見て、前記第1主点、前記第2主点、前記第3主点、および前記第4主点とは重ならない位置に第5主点を有する第5レンズと、
をさらに備え、
前記光軸に沿う方向から見て、前記第4主点と前記第5主点とは、前記光軸を中心として回転対称の位置にあり、
前記第4主点、前記第1主点、および前記第5主点は、前記長方形の短辺方向に沿って並んでいる、請求項4に記載のプロジェクター。
【請求項6】
前記光軸に沿う方向から見て、前記反射素子の前記光入射部および前記光射出部のそれぞれは、長方形の形状を有し、
前記反射面は、前記長方形の4つの辺のそれぞれに対応する第1反射面、第2反射面、第3反射面、および第4反射面を含み、
前記第1レンズの位置は、前記光入射部および前記光射出部の位置に対応し、
前記第2レンズの位置は、前記第1反射面の位置に対応し、
前記第3レンズの位置は、前記第2反射面の位置に対応し、
前記第4レンズの位置は、前記第3反射面の位置に対応し、
前記第5レンズの位置は、前記第4反射面の位置に対応する、請求項5に記載のプロジェクター。
【請求項7】
前記第2光学系を構成する各レンズは、凸レンズである、請求項1または請求項2に記載のプロジェクター。
【請求項8】
前記第2光学系を構成する各レンズは、フレネルレンズである、請求項1または請求項2に記載のプロジェクター。
【請求項9】
前記第2光学系を構成する各レンズは、一体の部材で構成されている、請求項1または請求項2に記載のプロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
光変調素子として1枚の液晶パネルを用いたプロジェクター、いわゆる単板式のプロジェクターが従来から知られている。下記の特許文献1に、光源と、テーパー状のリフレクターと、コリメーターレンズと、液晶パネルと、集束レンズと、ミラーと、イメージングレンズと、を備えるプロジェクターが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国実用新案第212515320号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発光ダイオード(LED)等の固体光源をプロジェクターに用いる場合、LEDの発光面は、一般的に液晶パネルのサイズよりも小さい。したがって、光源から射出される光を液晶パネルに入射させる際に光束幅を拡大する拡大光学系を用いる必要がある。特許文献1のプロジェクターにおいては、拡大光学系としてテーパー状のリフレクターが用いられている。すなわち、光源から射出される光は、リフレクターの内部で反射した後、光束幅が拡大した状態で液晶パネルに入射する。
【0005】
1つの光変調素子を備えるプロジェクターの場合、リフレクターの光軸方向の寸法をあまりにも大きくすると、プロジェクターのサイズが大幅に大きくなる虞がある。そのため、LEDから射出される光のうち、一部の光は、リフレクターの内部で反射した後、リフレクターから射出されるが、他の一部の光は、リフレクターの内部で反射することなく、リフレクターから射出される。このように、リフレクターで反射する光と反射しない光とが混在した光は、コリメーターレンズ等の後段の光学系に入射する。この場合、特に光変調素子の有効表示領域の外周部において光の入射角のばらつきが大きくなり、明るさの低下やコントラストの低下が生じやすい、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一つの態様のプロジェクターは、光を射出する光源と、カラーフィルターを有し、前記光源から射出される前記光を画像情報に基づいて変調し、カラー画像光を生成する光変調素子と、前記光源と前記光変調素子との間の前記光の光路上に設けられ、前記光源から射出される前記光が入射する第1光学系と、前記第1光学系と前記光変調素子との間の前記光の光路上に設けられ、前記第1光学系から射出される前記光を前記光変調素子に向けて射出する第2光学系と、前記光変調素子から射出される前記カラー画像光を投写する投写光学装置と、を備える。前記第1光学系は、光入射部と、前記光入射部の面積よりも大きい面積を有する光射出部と、反射面と、を有し、前記光入射部から入射する前記光を前記反射面で反射させて前記光射出部から射出させる反射素子を備える。前記第2光学系は、正のパワーを有し、前記第1光学系から射出される前記光の一部が入射し、第1主点を有する第1レンズと、正のパワーを有し、前記第1光学系から射出される前記光の一部が入射し、前記光変調素子の光軸に沿う方向から見て、前記第1主点とは重ならない位置に第2主点を有する第2レンズと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態のプロジェクターの概略構成図である。
図2】第1光軸に沿う方向から見た反射素子の正面図である。
図3】第1光軸に沿う方向から見たマルチレンズの正面図である。
図4】反射素子における光の反射の様子を示す模式図である。
図5】従来のプロジェクターにおいて、液晶パネル中央部における光の入射角分布を示す図である。
図6】従来のプロジェクターにおいて、液晶パネル中央部における反射素子による反射光の入射角分布を示す図である。
図7】従来のプロジェクターにおいて、液晶パネル外周部における光の入射角分布を示す図である。
図8】従来のプロジェクターにおいて、液晶パネル外周部における反射素子による反射光の入射角分布を示す図である。
図9】第1実施形態のプロジェクターにおいて、液晶パネル外周部における光の入射角分布を示す図である。
図10】第2実施形態のプロジェクターの概略構成図である。
図11】第2実施形態の第2光学系において、光がマルチレンズを透過する様子を示す模式図である。
図12】比較例のプロジェクターにおいて、光がフレネルレンズを透過する様子を示す模式図である。
図13】マルチレンズの他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、特徴となる部分を拡大して示す場合があり、各構成要素の寸法の比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0009】
本実施形態に係るプロジェクターの一例について説明する。
本実施形態のプロジェクター1は、スクリーン等の被投写面上にカラー画像を表示する投写型画像表示装置である。
【0010】
図1は、本実施形態のプロジェクター10の概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態のプロジェクター10は、光源11と、第1光学系12と、第2光学系13と、光変調装置14と、集光光学系15と、ミラー16と、投写光学装置17と、を備える。
【0011】
以下の説明では、必要に応じてXYZ直交座標系を用いる。X軸は、プロジェクター10の上下方向に沿う軸である。Y軸は、プロジェクター10の画像投写方向に沿い、プロジェクター10の前後方向に沿う軸である。Z軸は、プロジェクター10の左右方向に沿い、X軸およびY軸に直交する軸である。プロジェクター10における各部材の配置や形状を説明する際に、画像投写側からプロジェクター10を正面視した際の高さに相当するX軸方向と平行な方向を上下方向と称し、画像投写側からプロジェクター10を正面視した際の横方向に相当するZ軸方向と平行な方向を左右方向と称し、画像投写側からプロジェクター10を正面視した際の奥行に相当するY軸方向と平行な方向を前後方向と称する場合がある。これらの表記は、プロジェクター10の各構成部材の配置関係を説明するための定義であり、プロジェクター10の設置姿勢や方向を限定するものではない。
【0012】
本実施形態のプロジェクター10において、光源11から射出される光Lの主光線に沿い、光変調装置14の中心を通り、Z軸に平行な軸を第1光軸AX1と定義する。第1光軸AX1は、光変調装置14の光軸であり、特許請求の範囲の光軸に対応する。また、投写光学装置17の光軸に沿い、Y軸に平行な軸を第2光軸AX2と定義する。
【0013】
光源11は、第1光軸AX1上に設けられている。光源11は、例えば発光ダイオード(LED)から構成されている。光源11は、所定の発散角を有する非偏光の光Lを射出する。本明細書において、非偏光の光Lは、直線偏光、円偏光などの特定の偏光状態を持たない光として定義する。非偏光の光Lは、例えばランダム偏光である。光源11がLEDから構成されていることにより、プロジェクター10の小型化および軽量化が可能となる。光Lは発光面11aから等方的に射出されるため、光源11から射出される光Lの第1光軸AX1に垂直な断面形状は円形である。光源11は、後述する反射素子19の光入射面19aに固定されている。
【0014】
第1光学系12は、光源11と光変調素子28との間の光Lの光路上に設けられ、光源11から射出される光Lが入射する。第1光学系12は、四角錐台状の形状を有するガラス等の透光性材料からなる反射素子19から構成されている。すなわち、第1光軸AX1に沿う方向から見て、反射素子19の形状は、光源11から光変調素子28に向けて幅が広がった台形状である。第1光学系12は、第1光学系12から射出される光Lの発散角を、第1光学系12に入射する前の光Lの発散角よりも小さくして、第2光学系13に向けて射出する。
【0015】
図2は、第1光軸AX1に沿う方向から見た反射素子19の正面図である。
図2に示すように、反射素子19は、光入射面19aと、光射出面19bと、4つの反射面19cと、を有する。光入射面19aおよび光射出面19bのそれぞれは、長方形の形状を有する。光射出面19bの面積は、光入射面19aの面積よりも大きい。4つの反射面19cのそれぞれは、台形の形状を有する。本実施形態の反射素子19は、光入射面19aから入射する光Lを反射面19cで内部全反射させ、光射出面19bから射出させる。以下、4つの反射面19cのうち、光入射面19aおよび光射出面19bの外形である長方形の短辺に接する2つの反射面19cを第1反射面19eおよび第2反射面19fと称し、長方形の長辺に接する2つの反射面19cを第3反射面19gおよび第4反射面19hと称する。本実施形態の光入射面19aは、特許請求の範囲の光入射部に対応する。本実施形態の光射出面19bは、特許請求の範囲の光射出部に対応する。
【0016】
なお、本実施形態の反射素子19に代えて、内部が中空の矩形管状のリフレクターを用いてもよい。この場合、光Lが入射する側の開口は、光入射部に対応する。光Lが射出する側の開口は、光射出部に対応する。リフレクターの内周面は、光Lを反射する反射面に対応する。
【0017】
第2光学系13は、第1光学系12と光変調素子28との間の光Lの光路上に設けられている。第2光学系13は、第1光学系12から射出される光Lを光変調素子28に向けて射出する。第2光学系13は、互いに一体化された複数のレンズを有するマルチレンズ20から構成されている。第2光学系13は、第2光学系13から射出される光Lの発散角を、第2光学系13に入射する光Lの発散角よりも小さくし、平行光に近付けた状態で光変調素子28に向けて射出する。
【0018】
図3は、第1光軸AX1に沿う方向から見たマルチレンズ20の正面図である。
図3に示すように、マルチレンズ20は、5つのレンズから構成され、第1レンズ21と、第2レンズ22と、第3レンズ23と、第4レンズ24と、第5レンズ25と、を有する。第1レンズ21、第2レンズ22、第3レンズ23、第4レンズ24、および第5レンズ25のそれぞれは、正のパワーを有する凸レンズであり、第1光学系12から射出される光Lの一部が入射する。なお、5つのレンズは、必ずしも一体化されていなくてもよく、個別のレンズで構成されていてもよい。ただし、5つのレンズが一体化されている構成によれば、レンズ同士の位置合わせが不要であり、プロジェクター10の組立作業が容易になる。また、各レンズ21,22,23,24,25が凸レンズで構成されているため、第2光学系13を容易に製造することができる。
【0019】
第1光軸AX1に沿う方向から見て、マルチレンズ20は、全体として長方形の形状を有する。マルチレンズ20の外形をなす長方形の長辺方向は、反射素子19の光入射面19aおよび光射出面19bの外形をなす長方形の長辺方向と一致する。また、マルチレンズ20の外形をなす長方形の長辺方向は、光変調素子28の有効表示領域の外形をなす長方形の長辺方向と一致する。
【0020】
第1レンズ21、第2レンズ22、第3レンズ23、第4レンズ24、および第5レンズ25のそれぞれは、主点を有する。本明細書において、第1光軸AX1に平行な光線の高さを変化させながら光変調素子28の側から各光線を各レンズに入射させる場合に、入射前および射出後の光線をそれぞれ延長した2つの直線を想定し、2つの直線の交点が描く軌跡である主面と、第1光軸AX1と、が交差する点を主点と定義する。以下、第1レンズ21の主点を第1主点21sと称する。第2レンズ22の主点を第2主点22sと称する。第3レンズ23の主点を第3主点23sと称する。第4レンズ24の主点を第4主点24sと称する。第5レンズ25の主点を第5主点25sと称する。
【0021】
第1光軸AX1に沿う方向から見て、第1レンズ21は長方形の形状を有し、第1主点21sは長方形の中心に位置する。第2レンズ22は台形の形状を有し、第2主点22sは台形の内部に位置する。第3レンズ23は台形の形状を有し、第3主点23sは台形の内部に位置する。第4レンズ24は台形の形状を有し、第4主点24sは台形の内部に位置する。第5レンズ25は台形の形状を有し、第5主点25sは台形の内部に位置する。
【0022】
第1光軸AX1に沿う方向から見て、第1光学系12と第2光学系13とを重ね合わせると、第1レンズ21の位置および形状は、光入射面19aおよび光射出面19bの位置および形状に対応する。第2レンズ22の位置および形状は、第1反射面19eの位置および形状に対応する。第3レンズ23の位置および形状は、第2反射面19fの位置および形状に対応する。第4レンズ24の位置および形状は、第3反射面19gの位置および形状に対応する。第5レンズ25の位置および形状は、第4反射面19hの位置および形状に対応する。
【0023】
第1主点21sは、第1光軸AX1上に位置する。これに対して、第2主点22sは、第1主点21sとは重ならない位置にある。第3主点23sは、第1主点21sおよび第2主点22sとは重ならない位置にある。第4主点24sは、第1主点21s、第2主点22s、および第3主点23sとは重ならない位置にある。第5主点25sは、第1主点21s、第2主点22s、第3主点23s、および第4主点24sとは重ならない位置にある。すなわち、第2主点22s、第3主点23s、第4主点24s、および第5主点25sのそれぞれは、第1光軸AX1上から外れた位置にある。
【0024】
第1光軸AX1に沿う方向から見て、第2主点22sと第3主点23sとは、第1光軸AX1を中心として回転対称の位置にある。第2主点22s、第1主点21s、および第3主点23sは、光変調素子28の有効表示領域の外形をなす長方形の長辺方向に沿って並んでいる。また、第4主点24sと第5主点25sとは、第1光軸AX1を中心として回転対称の位置にある。第4主点24s、第1主点21s、および第5主点25sは、光変調素子28の有効表示領域の外形をなす長方形の短辺方向に沿って並んでいる。
【0025】
図1に示すように、光変調装置14は、入射側偏光板27と、光変調素子28と、射出側偏光板29と、を備える。
【0026】
入射側偏光板27は、第2光学系13と光変調素子28との間、すなわち光変調素子28の光入射側に設けられている。
【0027】
光変調素子28は、カラー表示が可能な1枚の透過型の液晶パネルから構成される。すなわち、光変調素子28は、カラーフィルターを有し、画像情報に基づいて光Lを変調し、カラー画像の元となるカラー画像光L1を生成する。液晶パネルの駆動方式としては、ツイステッド・ネマティック(TN)方式、垂直配向(VA)方式、横電界(IPS)方式等が用いられ、特に限定されない。
【0028】
射出側偏光板29は、光変調素子28と集光光学系15との間、すなわち光変調素子28の光射出側に設けられている。射出側偏光板29の偏光軸は、例えば第1光軸AX1に垂直な仮想面内において入射側偏光板27の偏光軸と直交する向きに配置されている。
【0029】
集光光学系15は、光変調装置14とミラー16との間、すなわち、光変調装置14の光射出側に設けられている。集光光学系15は、光変調装置14から射出されるカラー画像光L1を集束させる。本実施形態の場合、集光光学系15は、フレネルレンズ30から構成されている。フレネルレンズ30は、正のパワーを有する凸レンズとして機能する。集光光学系15がフレネルレンズ30から構成されることにより、集光光学系15を薄型化することができ、プロジェクター10の左右方向の寸法を小さくすることができる。
【0030】
ミラー16は、第1光軸AX1と第2光軸AX2とが交差する位置に設けられている。ミラー16は、第1光軸AX1および第2光軸AX2のそれぞれと45度の角度をなす向きに配置されている。ミラー16は、光変調装置14から射出されるカラー画像光L1の光路を90度折り曲げて投写光学装置17に入射させる。なお、投写光学装置17を第1光軸AX1に沿って配置するレイアウトを採用する場合、ミラー16は不要である。
【0031】
投写光学装置17は、投写レンズから構成されている。投写光学装置17を構成する投写レンズの数は、特に限定されない。投写光学装置17は、光変調装置14から射出されるカラー画像光L1をスクリーン等の被投写面に投写する。これにより、カラー画像が被投写面上に表示される。
【0032】
図4は、光源11から射出される光Lが反射素子19で反射する様子を示す模式図である。
図4に示すように、1つの光変調素子のみを備えるプロジェクターの場合、小型化を目的としていることから、反射素子19の光軸方向の寸法をあまりにも大きくすると、プロジェクターのサイズが大幅に大型化する虞がある。そのため、光源11から射出される光Lのうち、一部の光線LS1は、反射素子19の反射面19cで反射した後、反射素子19から射出される。これに対して、他の一部の光線LS2は、反射面19cで反射することなく、反射素子19から直接射出される。
【0033】
このように、反射素子19で反射した光線LS1と、反射しない光線LS2と、が混在した光は、反射素子19から射出された後、第2光学系13のマルチレンズ20に入射する。詳細に見ると、マルチレンズ20の中央部では、入射光の多くが反射素子19で反射しない光線LS2である。これに対して、マルチレンズ20の外周部では、入射光の多くが反射素子19で反射した光線LS1である。
【0034】
本発明者は、従来のプロジェクターにおいて、光変調素子への光の入射角分布に関するシミュレーションを行った。従来のプロジェクターは、マルチレンズからなる本実施形態の第2光学系に代えて、1つの凸レンズからなる第2光学系を備える。
【0035】
図5および図6は、シミュレーション結果を示す図であり、光変調素子の中心部における光の入射角分布を示している。図5は、反射素子で反射した光と反射しない光の双方を入射光とした場合のシミュレーション結果を示す。図6は、反射素子で反射した光のみを入射光とした場合のシミュレーション結果を示す。
図5および図6において、横軸はX軸方向に沿う入射角(度)を示し、縦軸はY軸方向に沿う入射角(度)を示す。中央の色の濃い領域は、光の強度が相対的に高い領域を示す。図5の符号Cで示す円は、中心に対して±8度を示す領域である。
【0036】
光変調素子の後段の光学系に入射可能な光の光変調素子への最大入射角を8度と設定する。すなわち、光変調素子に対して8度を超える入射角で入射する光は、光変調素子の後段の光学系に入射できない光であり、画像表示に寄与できない。図5に示すように、シミュレーションによれば、光強度が相対的に高い領域の多くは、円Cの内側に分布している。このことから、光変調素子の中心部において、強度が高い光の多くは、光変調素子の後段の光学系に入射できることが実証された。また、図6に示すように、反射素子で反射した光に着目すると、反射素子の4つの反射面に対応して、光強度が相対的に高い領域は、図6の上下左右、すなわち、入射角の大きい外側の4個所に分離して分布していることが判った。
【0037】
次に、図7および図8は、光変調素子の外周部(長辺方向の一端側)における光の入射角分布を示している。図7は、反射素子で反射した光と反射しない光の双方を入射光としたシミュレーション結果を示す。図8は、反射素子で反射した光のみを入射光としたシミュレーション結果を示す。グラフの縦軸および横軸は、図5および図6と同様である。
【0038】
図7に示すように、シミュレーションによれば、光強度が相対的に高い領域は、円Cの一方に偏り、かつ円の外側にまで広がっている。このことから、光変調素子の外周部に入射する強度が高い光の一部は、光変調素子の後段の光学系に入射できないことが判った。その結果、従来のプロジェクターにおいては、表示画像の外周部において明るさの低下やコントラストの低下が生じやすくなると推察される。また、図8図7と同様の傾向を示すことから、光強度の高い領域が一方に偏って分布しているのは、主に反射素子で反射した光に起因していることが判った。
【0039】
これに対し、本発明者は、本実施形態の構成において、光変調素子への光の入射角分布に関するシミュレーションを同様に行った。
図9は、シミュレーション結果を示す図であり、光変調素子の外周部における光の入射角分布を示している。図9は、反射素子で反射した光と反射しない光の双方を入射光としたシミュレーション結果を示す。図9においても、図5図8と同様、横軸はX軸方向に沿う入射角(度)を示し、縦軸はY軸方向に沿う入射角(度)を示す。色の濃い領域は、光の強度が相対的に高い領域を示す。符号Cで示す円は、中心に対して±8度を示す領域である。
【0040】
図9に示すように、シミュレーションによれば、本実施形態の場合、図7の結果とは異なり、光強度が相対的に高い領域は、円Cの内側に位置している。これにより、本実施形態の場合、光変調素子の外周部においても、強度が高い光の多くが光変調素子の後段の光学系に入射できることが実証された。本実施形態における第2光学系は、マルチレンズで構成され、第1光軸から外れた外周部に主点を有する複数のレンズを備える。そのため、これらのレンズの作用により、1つの凸レンズのみを用いた従来のプロジェクターに比べて、光変調素子の外周部における光の入射角を小さくできたと推察される。
【0041】
以下、第1光軸AX1から外れた位置にある主点、すなわち第2~第5主点の位置の決定方法の一例について説明する。
例えば光線のシミュレーションを用いて、図4に示すように、第2光学系13の特定のレンズ、例えば図4の左側のレンズに入射する光について、反射素子19において様々な角度で反射する多数の光線から、輝度の重心に対応する光線LS1を求める。求めた光線LS1を光入射側に延長すると、仮に反射素子19がない場合には、光線LS1は符号Kの位置から射出されたと見なすことができる。したがって、光源11と反射素子19とを1つの疑似的な光源と考えたとき、疑似光源は符号11Aの1点鎖線で示す部分となる。このとき、特定のレンズに対する光線LS1の入射位置を主点Sとすればよい。すなわち、マルチレンズ20の外周部に位置するレンズには反射素子19で反射した光が多く入射するため、疑似光源11Aから射出される光に着目して輝度の重心を求め、そこから主点Sの位置を求めればよい。
【0042】
より好ましくは、マルチレンズ20の特定のレンズに入射する光について、反射素子19において様々な角度で反射する多数の光線と、反射素子19で反射しない多数の光線との双方に基づいて、輝度の重心に対応する光線を求めてもよい。すなわち、マルチレンズ20の外周部に位置するレンズには、反射素子19で反射した光が多く入射するが、実際には反射素子19で反射しない光も入射する。そのため、疑似光源11Aと実際の光源11との双方から射出される光に着目して輝度の重心を求め、そこから主点の位置を求めればよい。
【0043】
[第1実施形態の効果]
本実施形態のプロジェクター10は、光Lを射出する光源11と、カラーフィルターを有し、光源11から射出される光Lを画像情報に基づいて変調し、カラー画像光L1を生成する光変調素子28と、光源11と光変調素子28との間の光Lの光路上に設けられ、光源11から射出される光Lが入射する第1光学系12と、第1光学系12と光変調素子28との間の光Lの光路上に設けられ、第1光学系12から射出される光Lを光変調素子28に向けて射出する第2光学系13と、光変調素子28から射出されるカラー画像光L1を投写する投写光学装置17と、を備える。第1光学系12は、光入射面19aと、光入射面19aの面積よりも大きい面積を有する光射出面19bと、反射面19cと、を有し、光入射面19aから入射する光Lを反射面19cで反射させて光射出面19bから射出させる反射素子19を備える。第2光学系13は、正のパワーを有し、第1光学系12から射出される光Lの一部が入射し、第1光軸AX1上に第1主点21sを有する第1レンズ21と、正のパワーを有し、第1光学系12から射出される光Lの一部が入射し、第1光軸AX1に沿う方向から見て、第1主点21sとは重ならない位置に第2主点22sを有する第2レンズ22と、正のパワーを有し、第1光学系12から射出される光Lの一部が入射し、第1光軸AX1に沿う方向から見て、第1主点21sおよび第2主点22sとは重ならない位置に第3主点23sを有する第3レンズ23と、正のパワーを有し、第1光学系12から射出される光Lの一部が入射し、第1光軸AX1に沿う方向から見て、第1主点21s、第2主点22s、および第3主点23sとは重ならない位置に第4主点24sを有する第4レンズ24と、正のパワーを有し、第1光学系12から射出される光Lの一部が入射し、第1光軸AX1に沿う方向から見て、第1主点21s、第2主点22s、第3主点23s、および第4主点24sとは重ならない位置に第5主点25sを有する第5レンズ25と、を備える。
【0044】
この構成によれば、第2光学系13が第1光軸AX1から外れた外周部にそれぞれ主点を有する第2レンズ22、第3レンズ23、第4レンズ24、および第5レンズ25を備えるため、1つの凸レンズのみを用いた従来のプロジェクターに比べて、光変調素子28の外周部における光の入射角のばらつきを小さく抑えることができる。その結果、光変調素子28の外周部における画像の明るさの低下、コントラストの低下等の問題を改善することができる。また、光変調素子28の外周部において大きな入射角で入射する光の量が減るため、この光に起因する直線偏光の回転量のばらつき、および偏光板における特性低下が抑えられ、コントラストを向上することができる。
【0045】
本実施形態の場合、第1主点21sが第1光軸AX1上に位置しているため、光変調素子の中央部においても、光の入射角のばらつきを小さく抑えることができる。そのため、光変調素子の全体にわたって画像の明るさの低下、コントラストの低下等を抑えることができる。
【0046】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について、図面を用いて説明する。
第2実施形態のプロジェクターの基本構成は第1実施形態と略同様である。
図10は、第2実施形態のプロジェクター40の概略構成図である。
図10において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0047】
図10に示すように、本実施形態のプロジェクター40は、光源11と、第1光学系12と、第2光学系43と、光変調装置14と、集光光学系15と、ミラー16と、投写光学装置17と、を備える。
【0048】
第2光学系43を構成するマルチレンズ50は、第1実施形態と同様、第1レンズと、第2レンズと、第3レンズと、第4レンズと、第5レンズと、を有する。第1レンズ、第2レンズ、第3レンズ、第4レンズ、および第5レンズのそれぞれは、正のパワーを有するレンズであり、第1光学系12から射出される光Lの一部が入射する。
【0049】
第1実施形態において、第1レンズ、第2レンズ、第3レンズ、第4レンズ、および第5レンズのそれぞれは、凸レンズで構成されていた。これに対し、本実施形態において、第1レンズ、第2レンズ、第3レンズ、第4レンズ、および第5レンズのそれぞれは、フレネルレンズで構成されている。
プロジェクター40のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0050】
[第2実施形態の効果]
本実施形態においても、第2光学系43の複数のレンズによって光変調素子28の外周部における光Lの入射角のばらつきを小さくできるため、光変調素子28の外周部における画像の明るさの低下、コントラストの低下等を抑えることができる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0051】
特に本実施形態の場合、第2光学系43のマルチレンズ50を構成する各レンズがフレネルレンズで構成されている。この構成によれば、第2光学系43の薄型化を図ることができ、さらに以下の効果を得ることができる。
【0052】
図12は、比較例のプロジェクターにおいて、光Lが第2光学系93を透過する様子を示す模式図である。比較例のプロジェクターは、1つのフレネルレンズ94からなる第2光学系93を備える。ここでは、点光源Pから光Lが射出されると仮定する。
【0053】
通常の凸レンズの場合、レンズ面は連続した1つの曲面で構成されているのに対し、 図12に示すように、フレネルレンズ94においては、凸レンズの1つの曲面が径方向に分割された形状のレンズ面を有する。すなわち、フレネルレンズ94は、複数の分割レンズ面94aと、隣り合う2つの分割レンズ面94aの間に位置する複数の接続面94bと、を有する。フレネルレンズ94に入射する光Lのうち、分割レンズ面94aに入射する光は、後段の光学系に入射できるが、接続面94bに入射する光は、迷光となりやすく後段の光学系に十分に入射させることができない虞がある。したがって、後段の光学系から見て、符号SD1で示す領域は光が射出されないシャドウ部である。また、フレネルレンズ94の外周にいく程、分割レンズ面94aの傾きが大きくなるとともに、接続面94bの高さが高くなるため、シャドウ部SD1の幅が広くなる。このように、フレネルレンズ94は、光学系を薄型化できるという利点を有する反面、接続面94bに起因して光の損失が生じるという問題がある。
【0054】
図11は、本実施形態のプロジェクター40において、光Lが第2光学系43を透過する様子を示す模式図である。
図11に示すように、本実施形態の場合、第2光学系43を構成するマルチレンズ50の外周部には、第1光軸AX1上に位置するフレネルレンズとは異なるフレネルレンズが存在する。そのため、本実施形態の構成では、図12に示す比較例のフレネルレンズ94に比べて、個々のフレネルレンズの有効径が小さくなる。このため、第2光学系の径方向の同じ位置で比較すると、本実施形態の分割レンズ面50aの幅は、比較例の分割レンズ面94aの幅より短くなる。よって、本実施形態の分割レンズ面50aの最大の傾きは、比較例の分割レンズ面94aの最大の傾きよりも小さくなるので、本実施形態の接続面50bの高さは、比較例の接続面94bの高さよりも低くなる。その結果、本実施形態のシャドウ部SD2の幅は、比較例のシャドウ部SD1の幅よりも狭くなる。また、本実施形態の場合、マルチレンズ50の外周部にもフレネルレンズの中央部、すなわち、接続面50bのないレンズ面が存在するため、シャドウ部SD2の割合も少なくなる。これにより、本実施形態によれば、第2光学系43に起因する光Lの損失を比較例に比べて少なくすることができる。
【0055】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。また、本発明の一つの態様は、上記実施形態および変形例の特徴部分を適宜組み合わせた構成とすることができる。
【0056】
上記実施形態において、第2光学系は、5つのレンズからなるマルチレンズを備えていたが、例えば図13に示すように、第2光学系63は、3つのレンズからなるマルチレンズ70を備えていてもよい。図13のマルチレンズ70は、第1レンズ71と、第2レンズ72と、第3レンズ73と、を備える。第1レンズ71の第1主点71sは、第1光軸AX1上に位置する。第2レンズ72の第2主点72sと第3レンズ73の第3主点73sとは、第1光軸AX1を中心として回転対称の位置にある。また、第2主点72sと第1主点71sと第3主点73sとは、光変調素子の有効表示領域の長辺方向に沿って並んでいる。
【0057】
図13の構成においても、光変調素子の外周部、特に長辺方向に対応する画像の左右方向の端部における画像の明るさの低下、コントラストの低下等を抑えることができる。
【0058】
さらに、図13の構成に代えて、第2光学系は、2つのレンズを備えていてもよい。2つのレンズの主点は、ともに第1光軸上に位置していなくてもよいが、光変調素子の有効表示領域の長辺方向に沿って並んでいることが望ましい。
【0059】
上記実施形態では、第1光学系を構成する反射素子の光軸に垂直な断面形状を長方形としたが、長方形の他、正方形、楕円等の形状であってもよい。
【0060】
その他、プロジェクターの各構成要素の形状、数、配置、材料などの具体的な記載については、上記実施形態に限らず、適宜変更が可能である。
【0061】
[本開示のまとめ]
以下、本開示のまとめを付記する。
【0062】
(付記1)
光を射出する光源と、
カラーフィルターを有し、前記光源から射出される前記光を画像情報に基づいて変調し、カラー画像光を生成する光変調素子と、
前記光源と前記光変調素子との間の前記光の光路上に設けられ、前記光源から射出される前記光が入射する第1光学系と、
前記第1光学系と前記光変調素子との間の前記光の光路上に設けられ、前記第1光学系から射出される前記光を前記光変調素子に向けて射出する第2光学系と、
前記光変調素子から射出される前記カラー画像光を投写する投写光学装置と、
を備え、
前記第1光学系は、
光入射部と、前記光入射部の面積よりも大きい面積を有する光射出部と、反射面と、を有し、前記光入射部から入射する前記光を前記反射面で反射させて前記光射出部から射出させる反射素子を備え、
前記第2光学系は、
正のパワーを有し、前記第1光学系から射出される前記光の一部が入射し、第1主点を有する第1レンズと、
正のパワーを有し、前記第1光学系から射出される前記光の一部が入射し、前記光変調素子の光軸に沿う方向から見て、前記第1主点とは重ならない位置に第2主点を有する第2レンズと、
を備える、プロジェクター。
【0063】
付記1の構成によれば、第2光学系が備える第1レンズと第2レンズとの作用により、光変調素子の外周部における光の入射角のばらつきを小さくできるため、光変調素子の外周部における画像の明るさの低下、コントラストの低下等を抑えることができる。
【0064】
(付記2)
前記第1主点は、前記光軸上に位置する、付記1に記載のプロジェクター。
【0065】
付記2の構成によれば、光変調素子の中央部においても、光の入射角のばらつきを小さくできるため、光変調素子の全体にわたって画像の明るさの低下、コントラストの低下等を抑えることができる。
【0066】
(付記3)
前記第2光学系は、
正のパワーを有し、前記第1光学系から射出される前記光の一部が入射し、前記光軸に沿う方向から見て、前記第1主点および前記第2主点とは重ならない位置に第3主点を有する第3レンズをさらに備え、
前記光軸に沿う方向から見て、前記第2主点と前記第3主点とは、前記光軸を中心として回転対称の位置にある、付記2に記載のプロジェクター。
【0067】
付記3の構成によれば、画像の明るさの低下、コントラスト等の表示特性について、光軸を中心として1つの方向に沿って回転対称の特性を得ることができる。
【0068】
(付記4)
前記光軸に沿う方向から見て、前記光変調素子の有効表示領域は、長方形の形状を有し、
前記第2主点、前記第1主点、および前記第3主点は、前記長方形の長辺方向に沿って並んでいる、付記3に記載のプロジェクター。
【0069】
付記4の構成によれば、画像の明るさの低下、コントラスト等の表示特性について、光変調素子の有効表示領域の長辺方向に沿って対称的な特性を得ることができる。
【0070】
(付記5)
前記第2光学系は、
正のパワーを有し、前記第1光学系から射出される前記光の一部が入射し、前記光軸に沿う方向から見て、前記第1主点、前記第2主点、および前記第3主点とは重ならない位置に第4主点を有する第4レンズと、
正のパワーを有し、前記第1光学系から射出される前記光の一部が入射し、前記光軸に沿う方向から見て、前記第1主点、前記第2主点、前記第3主点、および前記第4主点とは重ならない位置に第5主点を有する第5レンズと、
をさらに備え、
前記光軸に沿う方向から見て、前記第4主点と前記第5主点とは、前記光軸を中心として回転対称の位置にあり、
前記第4主点、前記第1主点、および前記第5主点は、前記長方形の短辺方向に沿って並んでいる、付記4に記載のプロジェクター。
【0071】
付記5の構成によれば、画像の明るさの低下、コントラスト等の表示特性について、光変調素子の有効表示領域の長辺方向と短辺方向との双方にわたって回転対称の特性を得ることができる。
【0072】
(付記6)
前記光軸に沿う方向から見て、前記反射素子の前記光入射部および前記光射出部のそれぞれは、長方形の形状を有し、
前記反射面は、前記長方形の4つの辺のそれぞれに対応する第1反射面、第2反射面、第3反射面、および第4反射面を含み、
前記第1レンズの位置は、前記光入射部および前記光射出部の位置に対応し、
前記第2レンズの位置は、前記第1反射面の位置に対応し、
前記第3レンズの位置は、前記第2反射面の位置に対応し、
前記第4レンズの位置は、前記第3反射面の位置に対応し、
前記第5レンズの位置は、前記第4反射面の位置に対応する、付記5に記載のプロジェクター。
【0073】
付記6の構成によれば、第2光学系の特性を反射素子の形状に合わせて最適化することができる。
【0074】
(付記7)
前記第2光学系を構成する各レンズは、凸レンズである、付記1から付記6までのいずれか一つに記載のプロジェクター。
【0075】
付記7の構成によれば、第2光学系を容易に製造することができる。
【0076】
(付記8)
前記第2光学系を構成する各レンズは、フレネルレンズである、付記1から付記6までのいずれか一項に記載のプロジェクター。
【0077】
付記8の構成によれば、第2光学系の光軸方向のサイズを小さくすることができる。また、第2光学系を1つのフレネルレンズで構成した場合に比べて、光の損失を少なくすることができる。
【0078】
(付記9)
前記第2光学系を構成する各レンズは、一体の部材で構成されている、付記1から付記8までのいずれか一項に記載のプロジェクター。
【0079】
付記9の構成によれば、レンズ同士の位置合わせが不要であり、プロジェクターの組立作業が容易になる。
【符号の説明】
【0080】
10,40…プロジェクター、11…光源、12…第1光学系、13,43…第2光学系、17…投写光学装置、19…反射素子、19a…光入射面(光入射部)、19b…光射出面(光射出部)、19c…反射面、19e…第1反射面、19f…第2反射面、19g…第3反射面、19h…第4反射面、21…第1レンズ、21s…第1主点、22…第2レンズ、22s…第2主点、23…第3レンズ、23s…第3主点、24…第4レンズ、24s…第4主点、25…第5レンズ、25s…第5主点、AX1…第1光軸(光軸)、L…光、L1…カラー画像光。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13