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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101167
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/593 20210101AFI20240722BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240722BHJP
   H01M 50/586 20210101ALI20240722BHJP
   H01M 50/282 20210101ALI20240722BHJP
【FI】
H01M50/593
H01M10/48 P
H01M50/586
H01M50/282
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004951
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社AESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】井澤 貴美
(72)【発明者】
【氏名】富 永亮
(72)【発明者】
【氏名】邵 永正
(72)【発明者】
【氏名】門野 大
【テーマコード(参考)】
5H030
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H030AA10
5H030FF43
5H030FF44
5H040AA18
5H040AY05
5H040CC05
5H040DD26
5H040JJ02
5H040LL06
5H040NN03
5H043AA04
5H043GA25
5H043HA02
5H043JA15
5H043LA21
(57)【要約】
【課題】収容体と、外部端子に電気的に接続する接続端子と、の電気的絶縁を確保する。
【解決手段】電池モジュール1Aは、電池セル100と、電池セル100に電気的に接続された正極バスバー230Aと、正極バスバー230Aの少なくとも一部分を露出し電池セル100を収容する収容体30Aと、正極バスバー230Aの当該少なくとも一部分の周囲において収容体30Aの少なくとも一部分を覆う絶縁体400Aと、を備えている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルと、
前記電池セルに電気的に接続された外部端子と、
前記外部端子の少なくとも一部分を露出し前記電池セルを収容する収容体と、
前記外部端子の前記少なくとも一部分の周囲において前記収容体の少なくとも一部分を覆う絶縁体と、
を備える電池モジュール。
【請求項2】
前記絶縁体が、前記外部端子の前記少なくとも一部分の周囲において前記収容体の縁の少なくとも一部分を覆っている、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記収容体が、前記外部端子の前記少なくとも一部分の周囲において前記絶縁体とともに折り返された折返し部を有している、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項4】
電池セルと、
前記電池セルに電気的に接続された外部端子と、
前記電池セルを収容する収容体と、
前記外部端子及び前記収容体を互いに隔てる絶縁体と、
を備える電池モジュール。
【請求項5】
前記絶縁体が、前記外部端子及び前記収容体の間から突出している、請求項4に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記電池セルに電気的に接続された電圧検出部と、
前記電圧検出部を保持する保持体と、
をさらに備え、
前記絶縁体が前記保持体の少なくとも一部分である、請求項4又は5に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な電池モジュールが開発されている。例えば特許文献1に記載されているように、電池モジュールは、所定方向に積層された複数の電池セルと、複数の電池セルを収容する収容体と、を備えている。特許文献1に記載の収容体は、アルミニウムを含む材質からなる冷却プレート、スチールを含む材質からなる前面カバー、スチールを含む材質からなる後面カバー、スチールを含む材質からなる左側面カバー、スチールを含む材質からなる右側面カバー及びスチールを含む材質からなる上面プレートを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2018-518032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電池モジュールは、所定の接続端子を介して、外部の電池モジュール等の外部機器と電気的に接続するためのバスバー等の外部端子を備えていることがある。この例において、外部端子には、接続端子の一端が電気的に接続されている。また、外部端子の少なくとも一部分が収容体から露出している。しかしながら、例えば、特許文献1に記載されているように、収容体が金属等の導体からなる場合、収容体及び接続端子の接触による収容体及び接続端子の短絡を抑制することが難しいことがある。
【0005】
本発明の目的の一例は、収容体と、外部端子に電気的に接続する接続端子と、の電気的絶縁を確保することにある。本発明の他の目的は、本明細書の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、以下のとおりである。
[1]
電池セルと、
前記電池セルに電気的に接続された外部端子と、
前記外部端子の少なくとも一部分を露出し前記電池セルを収容する収容体と、
前記外部端子の前記少なくとも一部分の周囲において前記収容体の少なくとも一部分を覆う絶縁体と、
を備える電池モジュール。
[2]
前記絶縁体が、前記外部端子の前記少なくとも一部分の周囲において前記収容体の縁の少なくとも一部分を覆っている、[1]に記載の電池モジュール。
[3]
前記収容体が、前記外部端子の前記少なくとも一部分の周囲において前記絶縁体とともに折り返された折返し部を有している、[1]に記載の電池モジュール。
[4]
電池セルと、
前記電池セルに電気的に接続された外部端子と、
前記電池セルを収容する収容体と、
前記外部端子及び前記収容体を互いに隔てる絶縁体と、
を備える電池モジュール。
[5]
前記絶縁体が、前記外部端子及び前記収容体の間から突出している、[4]に記載の電池モジュール。
[6]
前記電池セルに電気的に接続された電圧検出部と、
前記電圧検出部を保持する保持体と、
をさらに備え、
前記絶縁体が前記保持体の少なくとも一部分である、[4]又は[5]に記載の電池モジュール。
【発明の効果】
【0007】
本発明の上記態様によれば、収容体と、外部端子に電気的に接続する接続端子と、の電気的絶縁を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る電池モジュールの斜視図である。
図2】実施形態1に係る電池モジュールの分解斜視図である。
図3図1のA-A断面模式図である。
図4図3の第1の変形例を示す図である。
図5】上方プレートの前端部及び絶縁体の前端部が折り返されていない部分における上方プレート及び絶縁体の断面図である
図6図3の第2の変形例を示す図である。
図7】実施形態2に係る電池モジュールの斜視図である。
図8】実施形態2に係る電池モジュールの収容体を取り除いた状態の前方部分の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態及び変形例について、図面を用いて説明する。すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0010】
図1は、実施形態に係る電池モジュール1Aの斜視図である。図2は、実施形態1に係る電池モジュール1Aの分解斜視図である。
【0011】
各図には、説明のため、X方向、Y方向及びZ方向を示す矢印が示されている。以下、特に断りがない限り、X方向を示す矢印の先端側を電池モジュール1Aの後側とし、X方向を示す矢印の基端側を電池モジュール1Aの前側とする。Y方向は、X方向に直交している。Y方向は、電池モジュール1Aの左右方向である。以下、特に断りがない限り、Y方向を示す矢印の先端側を電池モジュール1Aの左側とし、Y方向を示す矢印の基端側を電池モジュール1Aの右側とする。Z方向は、X方向及びY方向の双方に直交している。Z方向は、電池モジュール1Aの上下方向である。以下、特に断りがない限り、Z方向を示す矢印の先端側を電池モジュール1Aの上側とし、Z方向を示す矢印の基端側を電池モジュール1Aの下側とする。以下、必要に応じて、X方向に垂直な方向をYZ平面方向といい、Y方向に垂直な方向をZX平面方向といい、Z方向に垂直な方向をXY平面方向という。なお、X方向、Y方向及びZ方向の各々と、電池モジュール1Aの前後方向、左右方向及び上下方向の各々と、の関係は、上述した例に限定されない。
【0012】
図1及び図2を参照して、電池モジュール1Aの構造について説明する。
【0013】
電池モジュール1Aは、セル積層体10、前方電圧検出装置20A、後方電圧検出装置20A´及び収容体30Aを備えている。
【0014】
図2に示すように、セル積層体10は、複数の電池セル100及び複数のコンプレッションパッド110を有している。複数の電池セル100及び複数のコンプレッションパッド110は、Y方向に交互に配列されている。各電池セル100のY方向の両側には、コンプレッションパッド110が配置されている。複数の電池セル100及び複数のコンプレッションパッド110は、後述する右方プレート330A及び左方プレート340AによってY方向に圧縮されている。よって、電池セル100のZX平面方向のずれを抑制することができる。
【0015】
図2に示すように、各電池セル100の長手方向は、X方向に対して略平行となっている。各電池セル100の短手方向は、Z方向に対して略平行となっている。各電池セル100の厚み方向は、Y方向に対して略平行となっている。複数の電池セル100は、Y方向に積層されている。なお、各電池セル100の形状は、この例に限定されない。
【0016】
各電池セル100は、不図示の電池要素、外装材102、正極タブ104及び負極タブ106を含んでいる。電池要素は、Y方向に交互に積層された不図示の複数の正極及び複数の負極と、Y方向に隣り合う正極及び負極の間に位置する不図示のセパレータと、を含んでいる。外装材102は、電池要素と、不図示の電解液と、を封止している。正極タブ104は、電池要素の正極に電気的に接続されている。正極タブ104は、外装材102のX方向の両側の辺の一方から引き出されている。負極タブ106は、電池要素の負極に電気的に接続されている。負極タブ106は、外装材102のX方向の両側の辺の他方から引き出されている。ただし、各電池セル100の構造は、この例に限定されない。
【0017】
実施形態1では、複数のセル群100Gが、Y方向の一端に位置するセル群100GからY方向の他端に位置するセル群100Gにかけて直列に接続されている。各セル群100Gは、並列に接続された複数の電池セル100を含んでいる。実施形態1において、各セル群100Gは、Y方向に隣り合う2つの電池セル100を含んでいる。各セル群100Gに含まれる2つの電池セル100から引き出された2つの正極タブ104は、X方向の同じ側に向けられている。各セル群100Gに含まれる2つの電池セル100から引き出された2つの負極タブ106は、X方向の同じ側に向けられている。Y方向に隣り合うセル群100Gの一方から引き出された正極タブ104及び負極タブ106と、Y方向に隣り合うセル群100Gの他方から引き出された正極タブ104及び負極タブ106と、はX方向において互いに反対側に向けられている。Y方向に隣り合う2つのセル群100Gは、当該2つのセル群100Gの前方又は後方に位置するタブ群108を含んでいる。タブ群108は、互いに接合された正極タブ104及び負極タブ106を含んでいる。タブ群108に含まれる正極タブ104及び負極タブ106は、例えばレーザ溶接によって互いに接合されている。よって、セル積層体10の前方に位置する複数のタブ群108と、セル積層体10の後方に位置する複数のタブ群108と、が互い違いに配置されている。
【0018】
実施形態1では、セル積層体10の右端に位置する電池セル100から前方に向けて正極タブ104が引き出されている。以下、必要に応じて、この正極タブ104を終端正極タブ104Tという。また、セル積層体10の左端に位置する電池セル100から後方に向けて負極タブ106が引き出されている。以下、必要に応じて、この負極タブ106を終端負極タブ106Tという。
【0019】
セル積層体10の構成は、上述の例に限定されない。例えば、各セル群100Gは、3つ以上の並列に接続された電池セル100を含んでいてもよい。或いは、単一の電池セル100が複数、Y方向の一端に位置する電池セル100からY方向の他端に位置する電池セル100にかけて直列に接続されていてもよい。また、終端正極タブ104T及び終端負極タブ106Tが配置される位置は、上述の例に限定されない。終端正極タブ104T及び終端負極タブ106Tの位置は、セル群100Gの数に応じて変化する。例えば、セル群100Gの数によっては、終端正極タブ104T及び終端負極タブ106Tの双方がセル積層体10の前方又は後方に配置される。
【0020】
前方電圧検出装置20Aは、前方保持体210A、複数の前方電圧検出部220A、複数の前方電圧検出線222A、前方コネクタ224A及び正極バスバー230Aを有している。
【0021】
前方保持体210Aは、セル積層体10の前方に配置されている。前方保持体210Aは、複数の前方開口212Aを画定している。セル積層体10の前方に位置する複数のタブ群108の各々は、複数の前方開口212Aの各々を通して前方に向けて露出されている。前方保持体210Aは、複数の前方電圧検出部220A及び複数の前方電圧検出線222Aを一体的に保持している。
【0022】
複数の前方電圧検出部220Aは、前方保持体210Aに取り付けられている。複数の前方電圧検出部220Aの各々は、セル積層体10の前方に位置する複数のタブ群108の各々の前面に例えばレーザ溶接によって接合されている。複数の前方電圧検出部220Aは、複数の前方電圧検出線222Aを介して前方コネクタ224Aに電気的に接続されている。複数の前方電圧検出線222Aは、前方保持体210Aを介して配策されている。実施形態1では、前方保持体210Aをセル積層体10に対して適当な位置に設置することで、複数の前方電圧検出部220Aの各々を、セル積層体10の前方に位置する複数のタブ群108の各々に対して適当な位置に配置することができる。
【0023】
正極バスバー230Aは、前方保持体210Aの右端部に配置されている。正極バスバー230Aは、略L字状となっている。具体的には、正極バスバー230Aは、前方横導体232A及び前方縦導体234Aを含んでいる。前方横導体232Aは、Y方向に対して略平行に延在している。前方縦導体234Aは、前方横導体232Aの右端部から下方に向けて、Z方向に対して略平行に延在している。
【0024】
前方横導体232Aの少なくとも一部分は、他の電池モジュール等の外部装置に電気的に接続するための外部端子として機能している。後述する前方カバー372Aが取り外された状態で、前方横導体232Aには、外部装置に電気的に接続された不図示の接続端子の一端が電気的に接続されている。具体的には、前方横導体232Aの左端部には、締結孔232aAが設けられている。締結孔232aAには、接続端子の一端を締結するための不図示の締結具が設置可能になっている。よって、前方横導体232A及び外部装置は、接続端子を介して電気的に互いに接続可能になっている。
【0025】
前方縦導体234Aは、終端正極タブ104Tに電気的に接続されている。終端正極タブ104Tは、前方縦導体234Aの右方に位置している。実施形態1において、終端正極タブ104T及び前方縦導体234Aは、レーザ溶接によって接合されている。ただし、終端正極タブ104T及び前方縦導体234Aの接合方法は、レーザ溶接に限定されない。
【0026】
後方電圧検出装置20A´は、以下の点を除いて、前方電圧検出装置20Aと同様である。後方電圧検出装置20A´は、後方保持体210A´、複数の後方電圧検出部220A´、複数の後方電圧検出線222A´、後方コネクタ224A´及び負極バスバー230A´を有している。
【0027】
後方保持体210A´は、セル積層体10の後方に配置されている。後方保持体210A´は、複数の後方開口212A´を画定している。セル積層体10の後方に位置する複数のタブ群108の各々は、複数の後方開口212A´の各々を通して後方に向けて露出されている。後方保持体210A´は、複数の後方電圧検出部220A´及び複数の後方電圧検出線222A´を一体的に保持している。
【0028】
複数の後方電圧検出部220A´は、後方保持体210A´に取り付けられている。複数の後方電圧検出部220A´の各々は、セル積層体10の後方に位置する複数のタブ群108の各々の後面に例えばレーザ溶接によって接合されている。複数の後方電圧検出部220A´は、複数の後方電圧検出線222A´を介して後方コネクタ224A´に電気的に接続されている。複数の後方電圧検出線222A´は、後方保持体210A´を介して配策されている。実施形態1では、後方保持体210A´をセル積層体10に対して適当な位置に設置することで、複数の後方電圧検出部220A´の各々を、セル積層体10の後方に位置する複数のタブ群108の各々に対して適当な位置に配置することができる。
【0029】
負極バスバー230A´は、後方保持体210A´の左端部に配置されている。負極バスバー230A´は、略L字状となっている。負極バスバー230A´は、後方横導体232A´及び後方縦導体234A´を含んでいる。後方横導体232A´は、Y方向に対して略平行に延在している。後方縦導体234A´は、後方横導体232A´の左端部から下方に向けて、Z方向に対して略平行に延在している。
【0030】
後方横導体232A´の少なくとも一部分は、前方横導体232Aと同様にして、他の電池モジュール等の外部装置に電気的に接続するための外部端子として機能している。前方横導体232Aと同様にして、後述する後方カバー374Aが取り外された状態で、後方横導体232A´には、外部装置に電気的に接続された不図示の接続端子の一端が電気的に接続されている。
【0031】
後方縦導体234A´は、終端負極タブ106Tに電気的に接続されている。終端負極タブ106Tは、後方縦導体234A´の左方に位置している。実施形態1において、終端負極タブ106T及び後方縦導体234A´は、レーザ溶接によって接合されている。ただし、終端負極タブ106T及び後方縦導体234A´の接合方法は、レーザ溶接に限定されない。
【0032】
収容体30Aは、前方プレート310A、後方プレート320A、右方プレート330A、左方プレート340A、下方プレート350A及び上方プレート360Aを有している。
【0033】
前方プレート310Aは、セル積層体10及び前方電圧検出装置20Aを前方から覆っている。前方プレート310Aは、樹脂等の絶縁材からなっている。
【0034】
後方プレート320Aは、セル積層体10及び後方電圧検出装置20A´を後方から覆っている。後方プレート320Aは、樹脂等の絶縁材からなっている。
【0035】
右方プレート330Aは、セル積層体10、前方電圧検出装置20A及び後方電圧検出装置20A´を右方から覆っている。右方プレート330Aは、金属等の導電材からなっている。
【0036】
左方プレート340Aは、セル積層体10、前方電圧検出装置20A及び後方電圧検出装置20A´を左方から覆っている。左方プレート340Aは、金属等の導電材からなっている。
【0037】
下方プレート350Aは、セル積層体10、前方電圧検出装置20A及び後方電圧検出装置20A´を下方から覆っている。下方プレート350Aは、金属等の導電材からなっている。下方プレート350Aの上面と、セル積層体10の下端と、の間には熱伝導性接着剤352が配置されている。このため、セル積層体10から発生した熱を、熱伝導性接着剤352を通して電池モジュール1Aの下方に向けて逃がすことができる。
【0038】
上方プレート360Aは、セル積層体10、前方電圧検出装置20A及び後方電圧検出装置20A´を上方から覆っている。上方プレート360Aは、金属等の導電材からなっている。
【0039】
Y方向から見て、上方プレート360Aの前端部は、略L字状に折り曲げられている。上方プレート360Aの前端部は、第1前方切欠き362A及び第2前方切欠き364Aを画定している。第1前方切欠き362Aは、前方横導体232Aの少なくとも一部分を露出している。具体的には、第1前方切欠き362Aは、前方横導体232Aの左端部を露出している。前方横導体232Aの当該左端部の上部は、前方カバー372Aによって覆われている。前方カバー372Aは、前方カバー372Aの右端部をX方向に略平行に通過する回転軸の周りに回転可能になっている。よって、前方から見て前方カバー372Aを当該回転軸の周りに反時計回りに回転させることで、前方横導体232Aの当該左端部の上部を前方カバー372Aから露出させることができる。実施形態では、第2前方切欠き364Aを介して前方コネクタ224Aが引き出されている。
【0040】
Y方向から見て、上方プレート360Aの後端部は、上方プレート360Aの前端部と同様、略L字状に折り曲げられている。上方プレート360Aの後端部は、第1後方切欠き366A及び第2後方切欠き368Aを画定している。第1後方切欠き366Aは、後方横導体232A´の少なくとも一部分を露出している。具体的には、第1後方切欠き366Aは、後方横導体232A´の右端部を露出している。後方横導体232A´の当該右端部の上部は、後方カバー374Aによって覆われている。前方カバー372Aについて説明した方法と同様の方法によって、後方横導体232A´の当該右端部の上部を後方カバー374Aから露出させることができる。第2後方切欠き368Aを介して後方コネクタ224A´が引き出されている。
【0041】
図3は、図1のA-A断面模式図である。図3では、説明の簡易のため、前方カバー372Aは図示されていない。図3において、Y方向を示すX付き白丸は、Y方向を示す矢印の基端から先端に向かう方向が紙面の手前から奥に向かう方向であることを示している。
【0042】
上方プレート360Aの下面には、右方プレート330A及び左方プレート340AとZ方向に重なる領域を除いて、絶縁体400Aが設けられている。絶縁体400Aは、例えば、上方プレート360Aの下面に貼り付けられた絶縁シートである。絶縁体400Aによって、上方プレート360A及び電池セル100を電気的に絶縁することができる。絶縁体400Aは、右方プレート330A及び左方プレート340AとZ方向に重なる領域に設けられていない。よって、絶縁体400Aが、上方プレート360Aの右端部及び右方プレート330Aの上端部の溶接等の接合や、上方プレート360Aの左端部及び左方プレート340Aの上端部の溶接等の接合へ影響を及ぼさなくすることができる。
【0043】
図3に示す例において、絶縁体400Aは、上方プレート360Aにおける第1前方切欠き362Aを画定する前縁を覆っている。具体的には、絶縁体400Aは、上方プレート360Aの当該前縁において、上方プレート360Aの下面から上面にかけて折り返されている。よって、絶縁体400Aは、前方横導体232Aの左端部の周囲において上方プレート360Aの少なくとも一部分を覆っている。したがって、上方プレート360Aと、正極バスバー230Aに電気的に接続する接続端子と、の電気的絶縁を確保することができる。
【0044】
一例において、絶縁体400Aは、上方プレート360Aに第1前方切欠き362Aが形成された後に、上方プレート360Aの下面に貼り付けられている。この例において、絶縁体400Aは、第1前方切欠き362Aから前方に向けて引き出される余長部を有している。絶縁体400Aのこの余長部を上方プレート360Aの上面に向けて折り返す。よって、絶縁体400Aは、上方プレート360Aにおける第1前方切欠き362Aを画定する前縁を覆っている。ただし、絶縁体400Aを上方プレート360Aに設ける方法はこの例に限定されない。
【0045】
図3に示す例では、絶縁体400Aによって、上方プレート360Aと、正極バスバー230Aに電気的に接続する接続端子と、の電気的絶縁を確保することについて説明した。しかしながら、図3を用いて説明した方法と同様の方法によって、絶縁体400Aによって、上方プレート360Aと、負極バスバー230A´に電気的に接続する接続端子と、の電気的絶縁を確保することもできる。
【0046】
実施形態1では、絶縁体400Aによって、上方プレート360Aと、正極バスバー230A又は負極バスバー230A´に電気的に接続する接続端子と、の電気的絶縁が確保されている。しかしながら、所定の絶縁体によって、収容体30Aの上方プレート360Aと異なる導電部と、セル積層体10に電気的に接続された所定の外部端子に電気的に接続する接続端子と、の電気的絶縁を確保してもよい。すなわち、絶縁体は、所定の外部端子の周囲の少なくとも一部分において収容体30Aの少なくとも一部分を覆うことができる。
【0047】
図4は、図3の第1の変形例を示す図である。図5は、上方プレート360A1の前端部及び絶縁体400A1の前端部が折り返されていない部分における上方プレート360A1及び絶縁体400A1の断面図である。図5は、図4に示す断面に対してY方向に対して略平行な方向にずれた位置における断面を示している。
【0048】
図4に示す例において、上方プレート360A1の前端部は、折返し部360aA1を含んでいる。折返し部360aA1は、第1前方切欠き362A1を画定している。具体的には、左方から見て、折返し部360aA1は、上方プレート360A1の角部361A1を中心に絶縁体400A1とともに後方に向けて反時計回りに折り返されている。よって、折返し部360aA1の前方に第1前方切欠き362A1が画定されている。図4に示す例では、上方プレート360Aの前端部の略L字状の折り曲げの形状が維持されたまま、折返し部360aA2が形成されている。図4に示す例においても、絶縁体400A1は、前方横導体232Aの左端部の周囲の少なくとも一部分において上方プレート360A1の少なくとも一部分を覆っている。したがって、上方プレート360A1と、正極バスバー230Aに電気的に接続する接続端子と、の電気的絶縁を確保することができる。
【0049】
一例において、折返し部360aA1は、上方プレート360A1の下面に絶縁体400A1が設けられた後に、絶縁体400A1とともに折り返されている。この例では、折返し部360aA1が形成される前、例えば図5に示す例と同様にして、上方プレート360A1の角部361A1の略直角の内面と絶縁体400A1との外面との間にクリアランスが設けられていてもよい。この場合、左方から見て、角部361A1を中心に上方プレート360A1の前端部及び絶縁体400A1の前端部を反時計回りに回転させても、角部361A1の周辺の絶縁体400A1が上方プレート360A1の角部361A1の周辺の折返し形状に完全に追従しなくさせることができる。よって、角部361A1の周辺の絶縁体400A1が上方プレート360A1の角部361A1の周辺の折返し形状に追従することで発生し得る絶縁体400A1の微小なクラック等の異常の発生を抑制することができる。図5に示すように、当該クリアランスは、上方プレート360A1の前端部及び絶縁体400A1の前端部が折り返されていない部分に残ることもある。ただし、折返し部360aA1を折り返した後に、上方プレート360A1の下面から折返し部360aA1の上面にかけて絶縁体400A1を設けてもよい。
【0050】
図6は、図3の第2の変形例を示す図である。
【0051】
図6に示す例において、上方プレート360A2の前端部は、折返し部360aA2を含んでいる。折返し部360aA2は、第1前方切欠き362A2を画定している。具体的には、折返し部360aA2は、絶縁体400A2とともに後方に向けて折り返されている。よって、折返し部360aA2の前方に第1前方切欠き362A2が画定されている。図6に示す例では、上方プレート360A2及び絶縁体400A2が折返し部360aA2において略180°折り返されている。図6に示す例においても、絶縁体400A2は、前方横導体232Aの左端部の周囲の少なくとも一部分において上方プレート360A2の少なくとも一部分を覆っている。したがって、上方プレート360A2と、正極バスバー230Aに電気的に接続する接続端子と、の電気的絶縁を確保することができる。
【0052】
図7は、実施形態2に係る電池モジュール1Bの斜視図である。図8は、実施形態2に係る電池モジュール1Bの収容体30Bを取り除いた状態の前方部分の拡大斜視図である。実施形態2に係る電池モジュール1Bは、以下の点を除いて、実施形態1に係る電池モジュール1Aと同様である。
【0053】
実施形態2に係る電池モジュール1Bは、実施形態1に係る電池モジュール1Aと同様にして、セル積層体10、前方電圧検出装置20B、不図示の後方電圧検出装置、収容体30Bを備えている。
【0054】
図8に示すように、実施形態2に係る前方電圧検出装置20Bは、実施形態1に係る前方電圧検出装置20Aと同様にして、前方保持体210B、複数の前方電圧検出部220B、複数の前方電圧検出線222B、前方コネクタ224B及び正極バスバー230Bを有している。実施形態2に係る前方保持体210Bは、実施形態1に係る前方保持体210Aと同様にして、複数の前方開口212Bを画定している。実施形態2に係る正極バスバー230Bは、実施形態1に係る正極バスバー230Aと同様にして、前方横導体232B及び前方縦導体234Bを含んでいる。実施形態2に係る前方横導体232Bには、実施形態1に係る前方横導体232Aと同様にして、締結孔232aBが設けられている。図7に示す例では、前方電圧検出装置20Bが収容体30Bに収容された状態において、前方横導体232Bの左端部に電気的に接続された端子が前方カバー372Bから露出している。実施形態2に係る後方電圧検出装置は、実施形態1に係る後方電圧検出装置20A´と同様にして、一部の構成を除いて、前方電圧検出装置20Bと同様の構成を有している。
【0055】
図7に示すように、実施形態2に係る収容体30Bは、実施形態1に係る収容体30Aと同様にして、前方プレート310B、後方プレート320B、右方プレート330B、左方プレート340B、下方プレート350B及び上方プレート360Bを含んでいる。
【0056】
図7及び図8に示すように、実施形態2に係る前方保持体210Bの右端部は、隔壁絶縁体214Bを有している。隔壁絶縁体214Bは、前方横導体232Bの後端部及び上方プレート360Bの前端部を互いに隔てている。よって、上方プレート360Bと、前方横導体232Bに電気的に接続する接続端子と、の電気的絶縁を確保することができる。
【0057】
図7及び図8に示すように、隔壁絶縁体214Bの上端部は、前方横導体232Bの後端部及び上方プレート360Bの前端部の間から上方に向けて突出している。すなわち、隔壁絶縁体214Bの上端のZ方向内の位置は、前方横導体232Bの上面の前端のZ方向内の位置及び上方プレート360Bの上面のZ方向の位置の双方より、Z方向において上方に位置している。よって、隔壁絶縁体214Bの上端のZ方向内の位置が前方横導体232Bの上面のZ方向内の位置又は上方プレート360Bの上面の前端のZ方向の位置よりZ方向において下方に位置する場合と比較して、隔壁絶縁体214Bによって、前方横導体232Bの後端部及び上方プレート360Bの前端部を互いに隔てやすくすることができる。
【0058】
実施形態2において、隔壁絶縁体214Bは、前方保持体210Bの少なくとも一部分となっている。よって、前方保持体210Bと別に隔壁絶縁体214Bを設ける場合と比較して、電池モジュール1Bの部品点数を減少させることができる。
【0059】
以上、図面を参照して本発明の実施形態及び変形例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0060】
1A,1B 電池モジュール
10 セル積層体
20A,20B 前方電圧検出装置
20A´ 後方電圧検出装置20A´
30A,30B 収容体
100 電池セル
100G セル群
102 外装材
104 正極タブ
104T 終端正極タブ
106 負極タブ
106T 終端負極タブ
108 タブ群
110 コンプレッションパッド
210A,210B 前方保持体
210A´ 後方保持体
212A,212B 前方開口
212A´ 後方開口
214B 隔壁絶縁体
220A,220B 前方電圧検出部
220A´ 後方電圧検出部
222A,222B 前方電圧検出線
222A´ 後方電圧検出線
224A,224B 前方コネクタ
224A´ 後方コネクタ
230A,230B 正極バスバー
230A´ 負極バスバー
232A,232B 前方横導体
232A´ 後方横導体
232aA,232aB 締結孔
234A,234B 前方縦導体
234A´ 後方縦導体
310A,310B 前方プレート
320A,320B 後方プレート
330A,330B 右方プレート
340A,340B 左方プレート
350A,350B 下方プレート
352 熱伝導性接着剤
360A,360A1,360A2,360B 上方プレート
360aA1,360aA2 折返し部
361A 角部
362A,362A1,362A2 第1前方切欠き
364A 第2前方切欠き
366A 第1後方切欠き
368A 第2後方切欠き
372A,372B 前方カバー
374A 後方カバー
400A,400A1,400A2 絶縁体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8