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特開2024-101168飲食物搬送装置用自動扉および飲食物搬送装置
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  • 特開-飲食物搬送装置用自動扉および飲食物搬送装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101168
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】飲食物搬送装置用自動扉および飲食物搬送装置
(51)【国際特許分類】
   A47G 23/08 20060101AFI20240722BHJP
【FI】
A47G23/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004952
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】390010319
【氏名又は名称】株式会社石野製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石野 晴紀
(72)【発明者】
【氏名】松井 智史
(72)【発明者】
【氏名】北村 鉄治
【テーマコード(参考)】
3B115
【Fターム(参考)】
3B115AA28
3B115CB07
3B115DC01
(57)【要約】
【課題】本発明は、客席と搬送路との間を扉材で仕切る自動扉を、限られたスペースであっても設置可能にすることを解決課題とする。
【解決手段】本発明は、客席が搬送路の左右両側に配置される飲食物搬送装置の自動扉であって、搬送路のうち客席が左右両側に配置される所定箇所において搬送方向に沿って延在するように搬送路の上方から垂下される扉材と、扉材を搬送路上で左右両側へスライド移動させることが可能な駆動機構と、飲食物搬送装置が搬送する飲食物の搬送先に応じて、扉材を駆動機構で搬送路の左右何れかへスライドさせる制御装置と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
客席が搬送路の左右両側に配置される飲食物搬送装置の自動扉であって、
前記搬送路のうち前記客席が左右両側に配置される所定箇所において搬送方向に沿って延在するように前記搬送路の上方から垂下される扉材と、
前記扉材を前記搬送路上で左右両側へスライド移動させることが可能な駆動機構と、
前記飲食物搬送装置が搬送する飲食物の搬送先に応じて、前記扉材を前記駆動機構で前記搬送路の左右何れかへスライドさせる制御装置と、を備える、
飲食物搬送装置用自動扉。
【請求項2】
前記扉材は、前記搬送路の飲食物を前記客席から覆い隠すことが可能な板材である、
請求項1に記載の飲食物搬送装置用自動扉。
【請求項3】
前記搬送路の左右両側には、前記客席に対応する部位に開口部を設けた壁材が立設されており、
前記扉材は、前記開口部を塞ぐことが可能な大きさを有する、
請求項2に記載の飲食物搬送装置用自動扉。
【請求項4】
前記制御装置は、前記飲食物搬送装置が飲食物を搬送する左右何れか一方の客席とは反対側へ前記扉材を前記駆動機構でスライドさせる、
請求項3に記載の飲食物搬送装置用自動扉。
【請求項5】
飲食物を搬送する飲食物搬送装置であって、
複数の客席沿いに搬送路を形成する搬送機構と、
前記搬送路沿いの各客席部分に設けられる請求項1から4の何れか一項に記載の飲食物搬送装置用自動扉と、を備える、
飲食物搬送装置。
【請求項6】
前記飲食物搬送装置用自動扉は、前記搬送機構が飲食物を搬送先の客席に搬送すると、前記扉材を飲食物の搬送先の客席の方へスライドさせる、
請求項5に記載の飲食物搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食物搬送装置用自動扉および飲食物搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、飲食店においては、搬送装置を使った飲食物の提供が行なわれている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-189211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
飲食物を機械で搬送する仕組みとしては、例えば、厨房から客席へ至るベルトコンベアに飲食物の皿を載せて搬送するものや、厨房と客席との間を往復する台車に飲食物の皿を載せて搬送するもの、店内を循環する循環搬送路に飲食物の皿を載せて搬送するものがある。しかし、何れの仕組みも複数の客席沿いに設けられた搬送路で飲食物を搬送するので、搬送路がカバー等で覆われていない場合、搬送途中の注文飲食物を他の客が誤って取る可能性がある。そこで、特許文献1に開示されているような自動開閉式のゲートを客席付近に設置し、搬送途中の注文飲食物を他の客が誤って取るのを防ぐ手段を講ずることが考えられる。
【0005】
ところが、このようなゲートの場合、客席側の空間と搬送路側の空間との間を遮断することができない。よって、例えば、審美性の観点や、飛沫等の飛散防止といった衛生上の観点から搬送路を客席から覆い隠したい場合に、このようなゲートを採用することはできない。そこで、このようなゲートに代わり、例えば、横開き式の自動扉を設置することも考えられるが、開いた扉を格納するための戸袋やスライド機構の設置スペースを確保する必要が生じるため、限られたスペースに客席を適切に配置したい場合に障害となる。
【0006】
そこで、本発明は、客席と搬送路との間を扉材で仕切る自動扉を、限られたスペースであっても設置可能にすることを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明では、搬送路のうち客席が左右両側に配置される所定箇所において搬送方向に沿って延在するように搬送路の上方から垂下される扉材を、飲食物搬送装置が搬送する飲食物の搬送先に応じて搬送路の左右何れかへスライドさせることにした。
【0008】
詳細には、本発明は、客席が搬送路の左右両側に配置される飲食物搬送装置の自動扉であって、搬送路のうち客席が左右両側に配置される所定箇所において搬送方向に沿って延在するように搬送路の上方から垂下される扉材と、扉材を搬送路上で左右両側へスライド移動させることが可能な駆動機構と、飲食物搬送装置が搬送する飲食物の搬送先に応じて、扉材を駆動機構で搬送路の左右何れかへスライドさせる制御装置と、を備える。
【0009】
上記の自動扉であれば、搬送路の上方から垂下される扉材が、飲食物搬送装置が搬送する飲食物の搬送先に応じて搬送路の左右何れかへスライドされるので、例えば、横開き式の扉のように開いた扉を収納する戸袋やスライド機構の設置スペースが不要である。よっ
て、上記の自動扉であれば、客席と搬送路との間を扉材で仕切る自動扉を、限られたスペースであっても設置することが可能となる。
【0010】
なお、扉材は、搬送路の飲食物を客席から覆い隠すことが可能な板材であってもよい。これによれば、搬送路の飲食物を客席から板材で覆い隠すことができるため、客席の客が飲食物に誤って触れる可能性を無くすことが可能となる。
【0011】
また、搬送路の左右両側には、客席に対応する部位に開口部を設けた壁材が立設されており、扉材は、開口部を塞ぐことが可能な大きさを有していてもよい。これによれば、搬送路が客席から壁在と扉材で完全に覆うことが可能となるため、客席の客が飲食物に誤って触れる可能性を無くすことが可能となる。
【0012】
また、制御装置は、飲食物搬送装置が飲食物を搬送する左右何れか一方の客席とは反対側へ扉材を駆動機構でスライドさせてもよい。これによれば、搬送路の飲食物を、搬送先ではない客席から扉材で覆うことができるため、搬送先ではない客席の客が飲食物に誤って触れる可能性を無くすことが可能となる。
【0013】
また、本発明は、飲食物搬送装置の側面から捉えることもできる。本発明は、例えば、飲食物を搬送する飲食物搬送装置であって、複数の客席沿いに搬送路を形成する搬送機構と、搬送路沿いの各客席部分に設けられる請求項1から4の何れか一項に記載の飲食物搬送装置用自動扉と、を備えるものであってもよい。この場合、飲食物搬送装置用自動扉は、搬送機構が飲食物を搬送先の客席に搬送すると、扉材を飲食物の搬送先の客席の方へスライドさせるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
上記の飲食物搬送装置用自動扉および飲食物搬送装置であれば、客席と搬送路との間を扉材で仕切る自動扉を、限られたスペースであっても設置可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施形態に係る注文飲食物搬送装置の全体構成図である。
図2図2は、客席付近を拡大した図である。
図3図3は、自動扉の斜視図である。
図4図4は、駆動機構の構造図である。
図5図5は、自動扉の動作の様子を示した図である。
図6図6は、飲食物の搬送状態を示した図である。
図7図7は、変形例に係る飲食物の搬送状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本願発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、本願発明の一態様であり、本願発明の技術的範囲を限定するものではない。以下に示す各実施形態や変形例は、例えば、寿司や飲料物、そばやうどんといった丼物、から揚げや天ぷら、焼肉といった各種の飲食物を提供する飲食店に好適である。
【0017】
図1は、実施形態に係る注文飲食物搬送装置1の全体構成図である。注文飲食物搬送装置1は、客の注文を受けて用意された飲食物Fを飲食店の厨房5から客席3へ搬送する装置であり、図1に示すように、客が飲食する客席3が搬送路11の左右両側に配置されている。そして、注文飲食物搬送装置1は、飲食店の厨房5側から客席3へ至る搬送路11により、飲食物Fを搬送する。搬送路11は、飲食物Fを載せて搬送する走行台車が厨房5と客席3との間を往復する形態であってもよいし、或いは、飲食物Fを載せたベルトコンベアで搬送する形態であってもよい。また、搬送路11は、図1に示すような直線状の
形態に限定されるものではなく、例えば、カーブやコーナー部分等を有するものであってもよい。また、図1では、搬送路11は、食器を載せたトレーの飲食物Fを載せることが可能な横幅を有しているが、寿司皿等の小さい皿を載せることが可能な横幅の小さいものであってもよい。なお、以下、不特定の客席3について言及する場合は客席3と称するが、特定の客席3について特に言及する場合は、図1の符号に示すとおり、符号31~34を用いる。
【0018】
搬送路11は、飲食物Fを搭載可能な横幅を有する。搬送路11には、回転制御可能な駆動モータ、飲食物Fを載せる台車、台車を案内するガイド、台車を走行させるための駆動ベルト、センサ等が設けられている。そして、駆動モータは、図示しない制御装置に繋がっており、操作パネルに入力された操作内容や各センサからの信号に基づいて制御される。
【0019】
注文飲食物搬送装置1には、自動扉2が設けられている。自動扉2は、搬送路11の経路上に複数設置されている。自動扉2は、搬送路11と客席3との間を扉板21で遮る装置であり、注文飲食物搬送装置1の制御装置に連動して駆動機構22が扉板21を動かす。
【0020】
図2は、客席3付近を拡大した図である。図2を見ると判るように、搬送路11の左右両側にはパネルWが立設されており、パネルWに設けられた開口部OP以外の部分は搬送路11が客席3側からパネルWで覆い隠された状態になっている。自動扉2は、この開口部OPの部分を扉板21で開閉する装置である。扉板21を動かす駆動機構22は、搬送路11の上部にある棚板4に組み込まれるように設置されている。自動扉2は、搬送路11で搬送される飲食物Fの搬送先が搬送路11の左右両側の何れであるかに応じて、扉板21を搬送路11の左右両側の何れかへ駆動機構22で動かす。よって、例えば、注文飲食物搬送装置1は、客席3に設置された注文端末等を介して注文が受け付けられ、厨房5で用意された注文品の飲食物Fを搬送路11で搬送するための搬送開始操作が行われると、飲食物Fの搬送先にある客席3付近の開口部OPが開いた状態となるように扉板21を駆動機構22で動かした後、飲食物Fを搬送路11で搬送する。
【0021】
扉板21は、開口部OPの部分で客席3側から搬送路11の飲食物Fを覆い隠すものであるため、非透明な板材が好適であるが、例えば、透明な板材であってもよい。また、扉板21は、硬質な板材ではなく、例えば、カーテンのような柔軟な垂れ幕であってもよい。
【0022】
なお、図2では、湯呑みや調味料、お品書き等を乗せる棚板4が搬送路11の上側に図示されているが、注文飲食物搬送装置1は、このような形態に限定されるものではない。注文飲食物搬送装置1は、棚板4を省略したものであってもよい。また、図2では、ボックス席タイプの客席3が図示されているが、客席3は、例えば、カウンター席タイプであってもよい。
【0023】
図3は、自動扉2の斜視図である。自動扉2は、搬送路11上で扉板21を駆動機構22でスライド可能とするべく、次のように構成されている。
【0024】
すなわち、自動扉2は、パネルWの開口部OPを塞ぐための扉板21、扉板21をスライドさせるための各種駆動機構類を有する駆動機構22、駆動機構22を搬送路11の上方に設置するための支持構造材23を備える。支持構造材23によって搬送路11の上方に支持される駆動機構22が、駆動機構22から垂下する扉板21を搬送路11の進行方向に対して横方向にスライド移動させることにより、扉板21を搬送路11の左右両側の何れかへスライドさせる。
【0025】
図4は、駆動機構22の構造図である。駆動機構22には、扉板21を垂下するためのスライダ2A、スライダ2Aを横方向(スライド方向)に案内するガイドレール2B、スライダ2Aが締結された駆動ベルト2Cが設けられている。また、駆動機構22には、客席3付近に到着した飲食物Fを明るく照らすための照明2Iが設けられている。また、駆動機構22には、駆動ベルト2Cが引き回される案内プーリ2F,2G、駆動プーリ2D、テンションプーリ2Jが設けられている。テンションプーリ2Jは、テンショナ2Kにより位置調整可能となっており、駆動ベルト2Cに適度な張力を付与する。
【0026】
スライダ2Aは、扉板21を保持する部材である。スライダ2Aは、扉板21が客席3側から押されても、多少の力であれば扉板21が傾かないように扉板21を保持する。スライダ2Aは、扉板21を着脱可能になっており、扉板21に過大な力が加わった場合には扉板21がスライダ2Aから外れるようになっている。スライダ2Aと扉板21との間の固定機構としては、例えば、過大な力が加わった場合に外れやすいマグネット、マジックテープ(登録商標)等が挙げられるが、ネジで固定するような機構であってもよい。
【0027】
ガイドレール2Bは、スライダ2Aをスライド可能に保持するレールである。ガイドレール2Bとしては、例えば、スライダ2Aに設けられたボールが転動するリニアガイドが好適である。スライダ2Aのボールがガイドレール2Bの溝に嵌合する形態のリニアガイドであれば、スライダ2Aをガイドレール2Bの延在方向にスライド可能でありながら、スライダ2Aに加わる非スライド方向の荷重に耐えてスライダ2Aを保持し、スライダ2Aが垂下する扉板21が傾くのを抑制することができる。
【0028】
駆動ベルト2Cは、ガイドレール2Bによってスライド可能に保持されているスライダ2Aが締結されるベルトである。よって、駆動ベルト2Cが動くと、スライダ2Aはガイドレール2Bの長手方向に沿ってスライドされる。
【0029】
案内プーリ2Fと案内プーリ2Gは、駆動ベルト2Cの一部をガイドレール2Bに沿って張り渡す役割を担う。駆動プーリ2Dは、駆動モータ2Eの動力で動くプーリである。ここで、駆動機構22を下から見た図4の下面図を見ると判るように、駆動機構22には、スライダ2Aや駆動ベルト2Cといった上記の部材が、図4において2点鎖線で示す中心線を挟んで線対称に設けられている。よって、スライダ2Aや駆動ベルト2C、駆動プーリ2D等の各部材が駆動機構22に2つずつ備わっているが、2つある駆動プーリ2Dについては、それぞれの駆動プーリ2Dに一体化された駆動ギヤ2H同士が噛み合うことで、一方の駆動プーリ2Dの回転軸に直結された駆動モータ2Eの動力が、他方の駆動プーリ2Dへ駆動ギヤ2Hを介して伝達されるようになっている。故に、駆動機構22には駆動モータ2Eが一つだけ備わっており、単体の駆動モータ2Eが作動すると、駆動機構22に2つあるスライダ2Aが共に等速でスライドする。これにより、駆動機構22は、駆動機構22に2つあるスライダ2Aから垂下される1つの扉板21を、扉板21の板面を搬送路11の進行方向に延在させた状態を保ったままスライドさせることができる。
【0030】
駆動機構22が上記のように構成されているため、駆動機構22に2つあるスライダ2A同士が位置ずれするのを防ぐため、駆動ベルト2Cは、歯付きベルトが好ましい。駆動ベルト2Cに歯付きベルトを採用する場合、案内プーリ2Fと案内プーリ2G、駆動プーリ2Dは、歯付きベルトに対応したプーリを用いる。
【0031】
図5は、自動扉2の動作の様子を示した図である。自動扉2は、上記のような装置構成となっているため、図5に示したような動作を実現可能である。すなわち、自動扉2は、駆動モータ2Eを作動させることにより、駆動機構22が扉板21を駆動機構22の下側で横方向にスライドし、図5において(A)から(B)を経由して(C)の順、或いは、
図5において(C)から(B)を経由して(A)の順に扉板21をスライド移動させることが可能である。
【0032】
図6は、飲食物Fの搬送状態を示した図である。図6(A)に示されるように、厨房5において注文飲食物搬送装置1の搬送路11に飲食物Fが置かれて搬送開始操作が行われると、搬送路11上にある各自動扉2が、注文飲食物搬送装置1が飲食物Fを搬送する左右何れか一方の客席3とは反対側の方へ扉板21を駆動機構22でスライドさせる。図6では、飲食物Fの搬送先が客席32である場合の搬送状態を示している。この場合であれば、自動扉2は、図6において(A)(B)(C)の順に示すように、客席31,32側にあった扉板21を駆動機構22で客席33,34側にスライドする。そして、扉板21のスライドが完了すると、図6(C)に示されるように、搬送路11を形成する搬送機構が作動し、搬送路11に置かれた飲食物Fが厨房5から客席3の方へ移動を開始する。そして、図6(D)に示されるように、指定の搬送先の客席32に飲食物Fが到着して搬送機構が停止すると、客席32の客は、客席32に対応する部分に設けられた開口部OPを通じて搬送路11から飲食物Fを取り出し可能になる(図6(D)で「OK」の矢印で示す側の客席32)。客席32の客が飲食物Fを搬送路11から取り出すと、注文飲食物搬送装置1は、次の飲食物Fを搬送可能な状態になる。注文飲食物搬送装置1におけるこれら一連の動作は、光学式センサ等からの信号に基づいて制御信号を発する注文飲食物搬送装置1の制御装置が、注文飲食物搬送装置1に備わるモータやソレノイド等の各種電動部品、自動扉2の駆動モータ2E等を作動させることによって実現される。なお、注文飲食物搬送装置1は、飲食物Fが指定の搬送先へ到着した際、例えば、飲食物Fの到着を音や光で客に知らせるようにしてもよい。
【0033】
このような自動扉2を注文飲食物搬送装置1に設けておけば、搬送先の客席3とは搬送路11を挟んで反対側の客席3の客が誤って飲食物Fに触れる可能性が無い(図6(D)で「NG」の矢印で示す側の客席34)。よって、衛生面や審美性を向上させることが可能である。また、上記の自動扉2であれば、例えば、横開き式の扉のように開いた扉を格納するための戸袋やスライド機構の設置スペースを確保する必要が無いため、店舗内の限られたスペースに客席3を適切に配置するにあたり、自動扉2が店舗レイアウトの障害にならない。よって、このような自動扉2であれば、限られた店舗スペースの注文飲食物搬送装置1にも適用可能である。
【0034】
また、自動扉2は、扉板21を垂下する駆動機構22を支持構造材23で搬送路11の上方に設置する形態を採っているため、注文飲食物搬送装置1が設置される店舗のレイアウト変更に応じて、搬送路11の長手方向沿いの適宜の位置に移設することも可能である。
【0035】
また、自動扉2は、搬送先の客席3に到着した搬送路11上の飲食物Fを扉板21で客席3の方へ押して飲食物Fを移送する移送装置として用いてもよい。図7は、変形例に係る飲食物Fの搬送状態を示した図である。上記の注文飲食物搬送装置1は、例えば、図7(A)に示すように、搬送路11上の飲食物Fが搬送先の客席32に到着した場合、図7(B)に示すように、扉板21を搬送先の客席32の方へスライドさせてもよい。これによれば、図7(C)に示すように、飲食物Fが扉板21に押されて客席32へ乗り移るので、搬送路11上の飲食物Fを客が自ら取らなくて済む。なお、この場合、扉板21とスライダ2Aとの間の固定機構や、スライダ2Aをスライドさせるための駆動モータ2E等は、飲食物Fを押す際の荷重に耐えられる程度の強度を有することが好ましい。
【符号の説明】
【0036】
1・・注文飲食物搬送装置
2・・自動扉
3・・客席
4・・棚板
5・・厨房
W・・パネル
F・・飲食物
11・・搬送路
21・・扉板
22・・駆動機構
23・・支持構造材
2A・・スライダ
2B・・ガイドレール
2C・・駆動ベルト
2D・・駆動プーリ
2E・・駆動モータ
2F,2G・・案内プーリ
2H・・駆動ギヤ
2I・・照明
2J・・テンションプーリ
2K・・テンショナ
31~34・・客席
OP・・開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7