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特開2024-101178石膏キャップ及び石膏キャップの展開物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101178
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】石膏キャップ及び石膏キャップの展開物
(51)【国際特許分類】
   A42B 1/019 20210101AFI20240722BHJP
   A42B 1/00 20210101ALI20240722BHJP
【FI】
A42B1/019 Z
A42B1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004977
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】517408689
【氏名又は名称】株式会社HAMY
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】三輪 雅也
(57)【要約】
【課題】頭皮の加温及び加湿に優れた石膏キャップの提供。
【解決手段】本発明の石膏キャップ1は、利用者Uの頭部U1に被せられるクラウン状の本体部11を備える石膏キャップ1であって、本体部11は、利用者Uの頭部U1を覆うように配置される不織布製のシート状の底シート部2と、底シート部2を囲むように底シート部2の輪郭に沿いつつ、底シート部2から盛り上がった形で底シート部2上に設けられる縁枠部31、縁枠部31で囲まれた部分を複数の部分に区画するように底シート部2上に設けられる仕切り枠部32、縁枠部31と仕切り枠部32とで形成される複数の小枠部33を有する中間枠部3と、小枠部33の内側を埋めるように充填され、焼石膏及び二水石膏の混合石膏粉末を含む石膏組成物4と、石膏組成物4を覆うように中間枠部3に積層されるシート状の蓋シート部5とを有する積層物Mからなる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の頭部に被せられるクラウン状の本体部を備える石膏キャップであって、
前記本体部は、前記利用者の前記頭部を覆うように配置される不織布製のシート状の底シート部と、前記底シート部を囲むように前記底シート部の輪郭に沿いつつ、前記底シート部から盛り上がった形で前記底シート部上に設けられる縁枠部、前記縁枠部で囲まれた部分を複数の部分に区画するように前記底シート部上に設けられる仕切り枠部、前記縁枠部と前記仕切り枠部とで形成される複数の小枠部を有する中間枠部と、前記小枠部の内側を埋めるように充填され、焼石膏及び二水石膏の混合石膏粉末を含む石膏組成物と、前記石膏組成物を覆うように前記中間枠部に積層されるシート状の蓋シート部とを有する積層物からなる石膏キャップ。
【請求項2】
前記本体部から側方に張り出したシート状のツバ部を備え、
前記ツバ部は、内部に前記石膏組成物を含む請求項1に記載の石膏キャップ。
【請求項3】
前記蓋シート部は、弾性繊維からなる伸縮性の部材からなる請求項1又は請求項2に記載の石膏キャップ。
【請求項4】
利用者の頭部に被せられるクラウン状の本体部を備える石膏キャップの展開物であって、
前記展開物は、前記利用者の頭部中央を覆う中央部と、前記中央部の周縁から放射状に広がるように延びた複数の切片部と、各々が対応する前記切片部の表面及び/又は裏面に取り付けられ、隣り合った前記切片部同士を繋ぐように固定する複数の固定手段とを有する本体展開部を備え、
前記本体展開部における前記中央部及び複数の前記切片部は、前記利用者の前記頭部を覆うように配置される不織布製のシート状の底シート部と、前記底シート部を囲むように前記底シート部の輪郭に沿いつつ、前記底シート部から盛り上がった形で前記底シート部上に設けられる縁枠部、前記縁枠部で囲まれた部分を複数の部分に区画するように前記底シート部上に設けられる仕切り枠部、前記縁枠部と前記仕切り枠部とで形成される複数の小枠部を有する中間枠部と、前記小枠部の内側を埋めるように充填され、焼石膏及び二水石膏の混合石膏粉末を含む石膏組成物と、前記石膏組成物を覆うように前記中間枠部に積層されるシート状の蓋シート部とを有する積層物からなる石膏キャップの展開物。
【請求項5】
前記本体展開部に接続し、前記本体部から側方に張り出したシート状のツバ部を構成するツバ展開部を備え、
前記ツバ展開部は、内部に前記石膏組成物を含む請求項4に記載の石膏キャップの展開物。
【請求項6】
前記蓋シート部は、弾性繊維からなる伸縮性の部材からなる請求項4又は請求項5に記載の石膏キャップの展開物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石膏キャップ及び石膏キャップの展開物に関する。
【背景技術】
【0002】
頭髪の育毛や発毛を目的として、頭皮に薬剤を塗布することが行われている。この種の薬剤は、育毛や発毛の有効成分を含んでおり、その有効成分が頭皮の毛穴等から体内に浸透することで、育毛や発毛が促される。
【0003】
育毛や発毛を目的とした薬剤(有効成分)を効果的に頭皮に浸透させるためには、薬剤を塗布する直前又は薬剤を塗布した直後に、頭皮の血行を良くする等して、毛穴を開かせることが必要である。そのため、従来、頭皮に対して薬剤を塗布する直前又は薬剤を塗布した直後に、例えば、蒸しタオル(水分を含んだタオルを加熱したもの)を頭部に載せて頭皮の加温を行って、頭皮の毛穴を開かせることが行われていた。
【0004】
なお、本発明の関連技術として、例えば、小分けされた薬液と個別包装されたヘアキャップとを含む携行可能なヘアキャップ包装体(特許文献1参照)や、シート状パック材に含まれる有効成分を効果的に皮膚へ移行させる技術(特許文献2参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3100583号公報
【特許文献2】特開2006-169173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
頭皮に薬剤を塗布する際の準備として、その都度、蒸しタオルを用意する作業は煩わしく、問題となっていた。また、蒸しタオルを使用した頭皮の加温は、不均一になり易く、頭皮全体の毛穴が十分に開かない場合があった。しかも、蒸しタオルによる加温は、その持続時間が短いことも問題となっていた。
【0007】
なお、上述した2つの関連技術は、何れも基材(ヘアキャップ、シート状パック材)に予め保持させた薬剤を、効率的に頭皮等の皮膚側へ移動させる技術であり、頭皮に薬剤を浸透し易くするために、頭皮を加温するものではない。
【0008】
本発明の目的は、頭皮の加温性に優れた石膏キャップ及び石膏キャップの展開物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
<1> 利用者の頭部に被せられるクラウン状の本体部を備える石膏キャップであって、
前記本体部は、前記利用者の前記頭部を覆うように配置される不織布製のシート状の底シート部と、前記底シート部を囲むように前記底シート部の輪郭に沿いつつ、前記底シート部から盛り上がった形で前記底シート部上に設けられる縁枠部、前記縁枠部で囲まれた部分を複数の部分に区画するように前記底シート部上に設けられる仕切り枠部、前記縁枠部と前記仕切り枠部とで形成される複数の小枠部を有する中間枠部と、前記小枠部の内側を埋めるように充填され、焼石膏及び二水石膏の混合石膏粉末を含む石膏組成物と、前記石膏組成物を覆うように前記中間枠部に積層されるシート状の蓋シート部とを有する積層物からなる石膏キャップ。
【0010】
<2> 前記本体部から側方に張り出したシート状のツバ部を備え、前記ツバ部は、内部に前記石膏組成物を含む前記<1>に記載の石膏キャップ。
【0011】
<3> 前記蓋シート部は、弾性繊維からなる伸縮性の部材からなる前記<1>又は<2>に記載の石膏キャップ。
【0012】
<4> 利用者の頭部に被せられるクラウン状の本体部を備える石膏キャップの展開物であって、前記展開物は、前記利用者の頭部中央を覆う中央部と、前記中央部の周縁から放射状に広がるように延びた複数の切片部と、各々が対応する前記切片部の表面及び/又は裏面に取り付けられ、隣り合った前記切片部同士を繋ぐように固定する複数の固定手段とを有する本体展開部を備え、前記本体展開部における前記中央部及び複数の前記切片部は、前記利用者の前記頭部を覆うように配置される不織布製のシート状の底シート部と、前記底シート部を囲むように前記底シート部の輪郭に沿いつつ、前記底シート部から盛り上がった形で前記底シート部上に設けられる縁枠部、前記縁枠部で囲まれた部分を複数の部分に区画するように前記底シート部上に設けられる仕切り枠部、前記縁枠部と前記仕切り枠部とで形成される複数の小枠部を有する中間枠部と、前記小枠部の内側を埋めるように充填され、焼石膏及び二水石膏の混合石膏粉末を含む石膏組成物と、前記石膏組成物を覆うように前記中間枠部に積層されるシート状の蓋シート部とを有する積層物からなる石膏キャップの展開物。
【0013】
<5> 前記本体展開部に接続し、前記本体部から側方に張り出したシート状のツバ部を構成するツバ展開部を備え、前記ツバ展開部は、内部に前記石膏組成物を含む前記<4>に記載の石膏キャップの展開物。
【0014】
<6> 前記蓋シート部は、弾性繊維からなる伸縮性の部材からなる前記<4>又は<5>に記載の石膏キャップの展開物。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、頭皮の加温性に優れた石膏キャップ及び石膏キャップの展開物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態1の石膏キャップを利用者の頭部に装着した状態を示す説明図
図2】表面側から見た状態の石膏キャップの展開物を示す説明図
図3】裏面側から見た状態の石膏キャップの展開物を示す説明図
図4図2のA-A線断面図
図5】表面側から見た状態の底シート部を示す説明図
図6】表面側から見た状態の中間枠部を示す説明図
図7】表面側から見た状の蓋シート部を示す説明図
図8】底シート部の表面上に中間枠部が積層された状態を示す説明図
図9】底シート部上に形成された各小枠部及びツバ部用小枠部の内側に、石膏組成物が充填された状態を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態1>
本発明の実施形態1に係る石膏キャップ1を、図1図9を参照しつつ説明する。図1は、実施形態1の石膏キャップ1を利用者Uの頭部U1に装着した状態を示す説明図である。石膏キャップ1は、頭皮用の温熱パックとして使用されるものであり、通常、頭髪の育毛や発毛を目的とした有効成分を含む薬剤を、頭皮に塗布する直前又は頭皮に塗布した直後に、使用される。
【0018】
石膏キャップ1は、後述するように、半水石膏(焼石膏:CaSO・1/2HO)を含んでおり、その半水石膏と水との反応熱により、発熱する。発熱した石膏キャップ1による加温効果(温熱効果)により、頭皮の血行が促進されて頭皮の毛穴が開くこと等により、薬剤(有効成分)が頭皮に浸透し易くなる。
【0019】
このような石膏キャップ1は、利用者Uの頭部U1に被せられるクラウン状の本体部11と、この本体部11から張り出したツバ部(バイザー)12とを備える。
【0020】
本体部11は、全体的には、下方に開口した凹部状(クラウン状)をなしており、利用者Uの頭部U1を上方から全体的に覆うように頭部U1に被せられる。ツバ部12は、本体部11の開口縁から側方(石膏キャップ1を装着した利用者Uの前方)に向かって張り出した厚みのあるシート状をなしている。
【0021】
本実施形態の石膏キャップ1は、組立式であり、図2及び図3に示される面状に広がった展開物10が組み立てられたものからなる。図2は、表面10a側から見た状態の石膏キャップ1の展開物10を示す説明図であり、図3は、裏面10b側から見た状態の石膏キャップ1の展開物10を示す説明図である。
【0022】
展開物10は、本体部11を構成する部分である本体展開部110と、ツバ部12を構成する部分であるツバ展開部120とが一体的に形成されたものからなる。本体展開部110は、利用者Uの頭部中央(頭頂部)を覆う略円形状の中央部111と、その中央部111の周縁部から放射状に広がるように延びた複数の切片部112とを備える。
【0023】
本実施形態の場合、切片部112は、7個ある。これらの切片部112は、中央部111側から外側に向かうにつれて、扇のように幅広となる板片状をなしている。これらの切片部112のうち、利用者Uの前方側に配置される切片部112Aは、その他のものと比べて、約2倍の大きさ(幅方向の大きさ)に設定されている。なお、各切片部112の長さは、互いに略同じに設定されている。
【0024】
本明細書では、展開物10を表面10a側から見た状態において、この切片部112Aを基準として、時計回りに並ぶ残り6個の切片部112を、それぞれ「切片部112B」、「切片部112C」、「切片部112D」、「切片部112E」、「切片部112F」、及び「切片部112G」と称する。なお、切片部112同士を特に区別して説明する必要がない場合は、それらをまとめて「切片部112」と称する。
【0025】
ツバ展開部120は、ツバ部12を構成する部分であり、切片部112Aと一体的に形成されている。
【0026】
図2に示されるように、隣り合った切片部112の間には、根元側から先端側に向かうにつれて幅が徐々に広くなる、細長い切れ込み状の隙間Sが形成されている。本体展開部110において、この隙間Sを無くすように、その隙間Sを挟んで隣り合った切片部112の側縁同士を重ね合わせると、下方に開口した凹部状(クラウン状)をなす立体的な本体部11が得られる。
【0027】
重なり合った切片部112の側縁同士は、固定手段7を利用して固定される。本実施形態の場合、固定手段7は、一方がフック面(固定面)7a、他方がループ面(被固定面)7bを有する面ファスナーからなる。
【0028】
切片部112Bの表面において、切片部112Aに近い方の側縁側に、フック面7a1(7a)(図2参照)が設けられている。このフック面7a1は、切片部112Aと切片部112Bとを固定する際に、切片部112Aの裏面において、切片部112Bに近い方の側縁側に設けられたループ面7b1(7b)(図3参照)に重ね合わせられる。これにより、切片部112A及び切片部112Bは、切片部112Aの側縁が切片部112Bの側縁の上側に重なる形で、固定される。
【0029】
また、切片部112Cの表面において、切片部112Bに近い方の側縁側に、フック面7a2(7a)(図2参照)が設けられている。このフック面7a2は、切片部112Bと切片部112Cとを固定する際に、切片部112Bの裏面において、切片部112Cに近い方の側縁側に設けられたループ面7b2(7b)(図3参照)に重ね合わせられる。これにより、切片部112B及び切片部112Cは、切片部112Bの側縁が切片部112Cの側縁の上側に重なる形で、固定される。
【0030】
また、切片部112Dの表面において、切片部112Cに近い方の側縁側に、フック面7a3(7a)(図2参照)が設けられている。このフック面7a3は、切片部112Cと切片部112Dとを固定する際に、切片部112Cの裏面において、切片部112Dに近い方の側縁側に設けられたループ面7b3(7b)(図3参照)に重ね合わせられる。これにより、切片部112C及び切片部112Dは、切片部112Cの側縁が切片部112Dの側縁の上側に重なる形で、固定される。
【0031】
また、切片部112Eの表面において、切片部112Dに近い方の側縁側に、フック面7a4(7a)(図2参照)が設けられている。このフック面7a4は、切片部112Dと切片部112Eとを固定する際に、切片部112Dの裏面において、切片部112Eに近い方の側片側に設けられたループ面7b4(7b)(図3参照)に重ね合わせられる。これにより、切片部112D及び切片部112Eは、切片部112Dの側縁が切片部112Eの側縁の上側に重なる形で、固定される。
【0032】
また、切片部112Eの表面において、切片部112Fに近い方の側縁側に、フック面7a5(7a)(図2参照)が設けられている(つまり、切片部112Eは、フック面7a4以外に、フック面7a5を備えている)。このフック面7a5は、切片部112Eと切片部112Fとを固定する際に、切片部112Fの裏面において、切片部112Eに近い方の側縁側に設けられたループ面7b5(7b)(図3参照)に重ね合わせられる。これにより、切片部112E及び切片部112Fは、切片部112Fの側縁が切片部112Eの側縁の上側に重なる形で、固定される。
【0033】
また、切片部112Fの表面において、切片部112Gに近い方の側縁側に、フック面7a6(図2参照)が設けられている。このフック面7a6は、切片部112Fと切片部112Gとを固定する際に、切片部112Gの裏面において、切片部112Fに近い方の側縁側に設けられたループ面7b6(図3参照)に重ね合わせられる。これにより、切片部112F及び切片部112Gは、切片部112Gの側縁が切片部112Fの側縁の上側に重なる形で、固定される。
【0034】
また、切片部112Gの表面において、切片部112Aに近い方の側縁側に、フック面7a7(図2参照)が設けられている。このフック面7a7は、切片部112Gと切片部112Aとを固定する際に、切片部112Aの裏面において、切片部112Gに近い方の側縁側に設けられたループ面7b7(図3参照)に重ね合わせられる。これにより、切片部112A及び切片部112Gは、切片部112Aの側縁が切片部112Gの側縁の上側に重なる形で、固定される。
【0035】
なお、石膏キャップ1における本体部11全体の大きさは、例えば、隣り合った切片部112における側縁同士の重なり位置(つまり、フック面7aとループ面7bとが重なる位置)を適宜、設定することにより、調整することができる。
【0036】
ツバ展開部120は、上述したように、切片部112Aと一体的に形成されているため、そのツバ展開部120と切片部112Aとの境界部分Lで、ツバ展開部120が切片部112Aに対して所定の角度で折り曲げられると、図1に示されるような本体部11の開口縁から側方(利用者Uの前方)に延びたツバ部12が得られる。
【0037】
図4は、図2のA-A線断面図である。図4の上側が、石膏キャップ1の展開物10の表面10a側に対応し、図4の下側が、展開物10の裏面10b側に対応する。本実施形態の石膏キャップ1の展開物10(本体展開部110等)は、底シート部2、中間枠部3、石膏組成物4、蓋シート部5等からなる。
【0038】
底シート部2は、石膏キャップ1の使用時に、利用者Uの頭部に宛がわれる部分であり、展開物10の一部を構成する。図5は、表面2a側から見た状態の底シート部2を示す説明図である。底シート部2は、通気性を有する不織布製のシート状の部材であり、柔軟な可撓性を有する不織布からなる。また、底シート部2は、液体が浸透可能な素材で形成される。底シート部2の厚みは、本発明の目的を損なわない限り、特に制限はないが、例えば、0.2mm以上2mm以下の範囲に設定されてもよい。なお、本実施形態の場合、底シート部2の裏面2bにより、展開物10の裏面10bが構成される。
【0039】
本実施形態の底シート部2は、前後で2つに分けられている。底シート部2は、具体的には、前側底シート部2Aと、後側底シート部2Bとからなる。前側底シート部2Aは、本体展開部110の前側部分110A及びツバ展開部120における底シート部2に対応する。なお、本体展開部110の前側部分110Aは、中央部111の前側部分を構成する略半円形状の前側中央部111Aと、その前側中央部111Aの円弧状の周縁に接続する3つの切片部112A,112B,112Gとからなる。
【0040】
前側底シート部2Aのうち、本体展開部110の前側部分110Aに対応する部分は、前側中央部111Aに対応する前側中央底シート部2A1と、3つの切片部112A,112B,112Gに対応する3つの切片底シート部2A2,2A3,2A4とからなる。
【0041】
また、前側底シート部2Aは、ツバ展開部120に対応する部分として、ツバ底シート部2Cを備える。
【0042】
後側底シート部2Bは、本体展開部110の後側部分における底シート部2に対応する。なお、本体展開部110の後側部分110Bは、中央部111の後側部分を構成する略半円形状の後側中央部111Bと、その後側中央部111Bの円弧状の周縁に接続する4つの切片部112C,112D,112E,112Fとからなる。
【0043】
後側底シート部2Bは、後側中央部111Bに対応する後側中央底シート部2B1と、4つの切片部112C,112D,112E,112Fに対応する4つの切片底シート部2B2,2B3,2B4,2B5とからなる。
【0044】
中間枠部3は、図4に示されるように、底シート部2と蓋シート部5との間に介在される、平面視で枠状をなした部材である。中間枠部3は、底シート部2と蓋シート部5との間に、複数の石膏組成物4の充填スペースが確保されるように、複数の小型の枠が集合したような形をなしている。
【0045】
図6は、表面3a側から見た状態の中間枠部3を示す説明図である。中間枠部3は、平面視で所定の線幅を含むと共に、所定の厚みを有する立壁状をなし、かつ底シート部2の輪郭に沿うように底シート部2の表面2aに形成される縁枠部31と、平面視で所定の線幅を含むと共に、所定の厚みを有する立壁状をなし、かつ表面2aのうち縁枠部31で囲まれた部分を複数の部分に区画するように底シート部2の表面2aに形成される仕切り枠部32とを有する。そして、縁枠部31と仕切り枠部32とによって、複数の小枠部33が形成される。
【0046】
本実施形態の場合、中間枠部3は、底シート部2と同様、前後で2つに分けられている。中間枠部3は、具体的には、前側底シート部2Aに積層される前側中間枠部3Aと、後側底シート部2Bに積層される後側中間枠部3Bとからなる。なお、前側中間枠部3Aは、本体展開部110の前側部分110A及びツバ展開部120における中間枠部3に対応する。また、後側中間枠部3Bは、本体展開部110の後側部分110Bにおける中間枠部3に対応する。
【0047】
前側中間枠部3Aの縁枠部31は、前側底シート部2Aにおける前側中央底シート部2A1及び切片底シート部2A2,2A3,2A4を囲むように、前側中央底シート部2A1及び切片底シート部2A2,2A3,2A4の輪郭に沿いつつ、前側中央底シート部2A1及び切片底シート部2A2,2A3,2A4から盛り上がった形で、前側中央底シート部2A1上及び切片底シート部2A2,2A3,2A4上に設けられる。また、前側中間枠部3Aの縁枠部31で囲まれた部分を複数の部分に区画するように、前側中央底シート部2A1上及び切片底シート部2A2,2A3,2A4上に、前側中間枠部3A用の仕切り枠部32が形成されている。そして、前側中間枠部3Aの縁枠部31と仕切り枠部32とによって、前側中間枠部3Aにおける複数の小枠部33が形成される。
【0048】
後側中間枠部3Bの縁枠部31は、後側底シート部2Bにおける後側中央底シート部2B1及び切片底シート部2B2,2B3,2B4,2B5を囲むように、後側中央底シート部2B1及び切片底シート部2B2,2B3,2B4,2B5の輪郭に沿いつつ、後側中央底シート部2B1及び切片底シート部2B2,2B3,2B4,2B5から盛り上がった形で、後側中央底シート部2B1上及び切片底シート部2B2,2B3,2B4,2B5上に設けられる。また、後側中間枠部3Bの縁枠部31で囲まれた部分を複数の部分に区画するように、後側中央底シート部A1上及び切片底シート部2B2,2B3,2B4,2B5上に、後側中間枠部3B用の仕切り枠部32が形成される。そして、前側中間枠部3Aの縁枠部31と仕切り枠部32とによって、前側中間枠部3Aにおける複数の小枠部33が形成される。
【0049】
中間枠部3(前側中間枠部3A、後側中間枠部3B)の縁枠部31のうち、各切片部112の先端に対応する部分は、線幅が大きく(太く)なっている。このような縁枠部31の部分を、特に、幅広縁枠部311と称する。
【0050】
なお、幅広縁枠部311のうち、切片部112Aの先端に対応する部分は、ツバ部12を構成するツバ部用中間枠部312と接続している。このツバ部用中間枠部312は、全体的には、平面状に広がった形をなしており、その略中央にツバ部用小枠部313が形成されている。ツバ部用小枠部313は、ツバ部用中間枠部312を厚み方向に貫通する孔を囲む枠状の部分である。
【0051】
展開物10の本体展開部110が組み立てられて本体部11となった状態において、複数の幅広縁枠部311は、全体的に環状に並びつつ、本体部11の開口縁に配される。
【0052】
なお、幅広縁枠部311のうち、切片部112Aの先端に対応する部分は、ツバ部12を構成するツバ部用中間枠部312と接続している。ツバ部用中間枠部312は、全体的には、平面状に広がった形をなしており、その略中央に厚み方向に貫通する孔を囲むツバ部用小枠部313が形成されている。
【0053】
中間枠部3は、底シート部2と同様、柔軟な可撓性を有する不織布から構成されている。ただし、中間枠部3は、底シート部2に使用される不織布よりも、厚手の不織布から形成されている。中間枠部3は、所定の厚みを有するシート状の不織布に対して、適宜、くり貫き加工が施されることで得られる。
【0054】
底シート部2及び中間枠部3を構成する不織布の素材としては、本発明の目的を損なわない限り特に制限されないが、例えば、木綿等の天然繊維、合成繊維、合成樹脂等が挙げられる。これらの中でも、天然由来の天然繊維を用いることが、肌(皮膚)にとって好適である。なお、中間枠部3を構成する不織布の素材としては、特に、パルプが好ましい。パルプ製の中間枠部3は、乾燥状態では剛性を示すため、展開物10全体が変形し難く(へたれ難く)、取り扱い性に優れる。パルプ製の中間枠部3は、水分(水等)を十分に含むと柔軟性を示し、石膏キャップ1の本体部11全体が、利用者Uの頭部U1の表面形状に追従し易くなる。
【0055】
蓋シート部5は、展開物10の表面側に配されるシート状の部材であり、本体展開部110用の本体蓋シート部51と、ツバ展開部120用のツバ蓋シート部52とを備える。図7は、表面5a側から見た状の蓋シート部5を示す説明図である。蓋シート部5を構成する本体蓋シート部51及びツバ蓋シート部52は、1つに繋がっている。また、蓋シート部5は、図4等に示されるように、石膏組成物4を覆うように中間枠部3に積層される。本実施形態の場合、蓋シート部5の表面5aにより、展開物10の表面10aが構成される。蓋シート部5は、石膏キャップ1の使用時に、表面5aが外側を向く形で使用される。
【0056】
本体蓋シート部51は、本体展開部110の中央部111を構成する中央蓋シート部5511と、本体展開部110の各切片部112を構成する複数の切片蓋シート部512とを備える。
【0057】
蓋シート部5は、弾性繊維からなる伸縮性のシート状の部材であり、例えば、スパンデックス生地(ポリウレタン弾性繊維生地)からなる。なお、他の実施形態においては、底シート部2等と同様、不織布製であってもよい。ただし、本実施形態のように、蓋シート部5が、弾性繊維からなる伸縮性のシート状の部材からなると、石膏キャップ1の本体部11が、利用者Uの頭部U1の表面形状に追従し易くなる。
【0058】
蓋シート部5の厚みは、本発明の目的を損なわない限り、特に制限はないが、例えば、0.2mm以上2mm以下の範囲に設定されてもよい。
【0059】
石膏組成物4は、中間枠部3の縁枠部31と仕切り枠部32とで形成される複数の小枠部33の内側を埋めるように層状に充填される。石膏組成物4は、粉末状である。
【0060】
石膏組成物4は、焼石膏(CaSO・1/2HO)及び二水石膏(CaSO・2H0)の混合石膏粉末を含んでいる。石膏組成物4は、石膏成分としての混合石膏粉末を、石膏組成物4の全質量(100質量%)のうち、90質量%以上の割合で含有することが好ましい。
【0061】
また、混合石膏粉末は、焼石膏と二水石膏の合計100質量部に対する、焼石膏の配合割合が40~80質量部であることが好ましい。
【0062】
石膏キャップ1(展開物10)のうち、頭部U1に被せられる本体部11(本体展開部110)に含まれる石膏組成物4の量は、本発明の目的を損なわない限り特に制限はないが、例えば、1つの本体部11(本体展開部110)当たり、100g~300gの割合で含有することが好ましい。
【0063】
混合石膏粉末は、水と接触すると、粉末中の焼石膏が水と反応して発熱する。そのため、石膏キャップ1は、頭部用の温熱パックとして利用することができる。
【0064】
なお、石膏組成物4は、混合石膏粉末が水と接触した際に、焼石膏が発熱する温度を調整する温度調整剤を含んでもよい。温度調整剤としては、硫酸カリウム(KSO)、粉砕二水石膏、カリミョウバン(AlK(SO・12HO)等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、温度調整剤としては、硫酸カリウムが特に好ましい。
【0065】
更に石膏組成物4は、温度調整剤以外にも、増粘剤を含んでもよい。増粘剤としては、例えば、メチルセルロースが、焼石膏と二水石膏の合計100質量部に対して、0.1~1.0質量部含んでもよい。増粘剤を配合することにより、石膏キャップ1(展開物10)の小枠部33に充填された石膏組成物4のずれを抑制することができる。
【0066】
ここで、石膏キャップ1の展開物10の製造方法の一例を説明する。先ず、図5に示されるような、互いに分けられた前側底シート部2Aと後側底シート部2Bとからなる底シート部2を用意する。そして、前側底シート部2A及び後側底シート部2Bに対して、図6に示されるような、中間枠部3の前側中間枠部3A及び後側中間枠部3Bが、澱粉糊等の接着剤を介して重ね合わせる形で積層される。前側底シート部2Aの表面2a上には、前側中間枠部3Aが積層され、後側底シート部2Bの表面2a上には、後側中間枠部3Bが積層される。図8は、底シート部2の表面2a上に中間枠部3が積層された状態を示す説明図である。図8に示されるように、底シート部2の表面2a上に中間枠部3が接着剤を介して積層されると、底シート部2の表面2a上において、中間枠部3の縁枠部31と仕切り枠部32とで区画された複数の小枠部33が形成される。なお、ツバ展開部120に対応する部分には、ツバ部用中間枠部312が形成されており、このツバ部用中間枠部312が、接着剤を介して、前側底シート部2Aのツバ底シート部2C上に積層される。ツバ部用中間枠部312には、上述したように、ツバ部用小枠部313が形成されている。
【0067】
次に、図9に示されるように、底シート部2上に形成された各小枠部33及びツバ部用小枠部313の内側(セル)に、それぞれ石膏組成物4が充填される。図9は、底シート部2上に形成された各小枠部33及びツバ部用小枠部313の内側に、石膏組成物4が充填された状態を示す説明図である。石膏組成物4は、図4に示されるように、小枠部33(中間枠部3)の高さと同程度の高さとなる量が、小枠部33内に充填される。
【0068】
続いて、中間枠部3に対して蓋シート部5を、底シート部2の反対側から小枠部33内やツバ部用小枠部313内の石膏組成物4を覆うように、接着剤を介して重ね合わせて接着する。これにより、中間枠部3の内側(各小枠部33の各内側)が底シート部2及び蓋シート部5により閉じ込められると共に、内側の空間に石膏組成物4が充填された状態の積層物が得られる。
【0069】
得られた積層物において、底シート部2、中間枠部3及び蓋シート部5が重なった部分を、ミシンで縫製する。図2及び図3には、ミシンによる縫製ライン9が示されている。展開物10のうち、本体展開部110については、基本的に、縫製ライン9は、中間枠部3の形状をなぞるように形成されている。これにより、底シート部2、中間枠部3及び蓋シート部5が重なった部分が、縫製ライン9によって固定された、底シート部2、中間枠部3、石膏組成物4及び蓋シート部5を含む積層物が得られる。なお、ツバ展開部120については、主に、ツバ部用中間枠部312の周りやツバ部用小枠部313の周りを縁取るように、縫製ライン9が形成されている。
【0070】
前記積層物において、本体展開部110の前側部分110Aと後側部分110Bとが、互いに隣接しつつ、蓋シート部5により1つに繋がった状態となる。そして、得られた積層物の所定箇所に、固定手段7(フック面7a、ループ面7b)が縫製や接着剤等で取り付けられることにより、石膏キャップ1の展開物10が得られる。
【0071】
次いで、石膏キャップ1の使用方法を説明する。なお、利用者Uが石膏キャップ1を頭部U1に装着して使用する前に、利用者Uは、洗髪して頭皮を清潔な状態にしておくことが好ましい。そして、利用者Uは、洗髪後、育毛や発毛の有効成分を含む薬剤を頭皮に対して、適宜、塗布してもよい。なお、場合によっては、利用者Uが石膏キャップ1を頭部U1に装着して使用した後に、頭皮に対して、前記薬剤を塗布してもよい。
【0072】
使用前の石膏キャップ1は、図2及び図3に示されるように、面状に広がった展開物10の状態となっている。このような展開物10を、先ず、チャック付きのポリ袋の中に入れ、そして、そのポリ袋の中に、約45℃に温められたお湯を入れることで、お湯に展開物10を浸す。このようにして、展開物10内の石膏組成物4にお湯を浸透させる。展開物10における本体展開部110内及びツバ展開部120内には、それぞれ石膏組成物4が含まれており、それらの石膏組成物4にお湯が浸透するように、展開物10がお湯に浸される。お湯は、外部から、展開物10を構成する不織布製の底シート部2内や不織布製の中間枠部3(縁枠部31等)内を移動しつつ、石膏組成物4に到達する。
【0073】
展開物10内の石膏組成物4に浸透させる液体としては、水道水、井戸水、市販の飲料水等でもよいし、温泉水であってもよい。このような液体としては、温泉水が好ましい。また、前記液体としては、予め必要な分量だけを、袋等の容器に小分けしたものを用いてもよい。ここでは、予め必要な分量だけをポリ袋に小分けされた温泉水を使用する場合を説明する。このポリ袋入りの温泉水は、例えば、電子レンジを使用して約45℃に温めてもよい。
【0074】
上記のように石膏キャップ1の展開物10が入れられたポリ袋の中に、必要な分量のお湯(温泉水)が入れられた後、ポリ袋内の空気をなるべく外部へ排出した状態で、ポリ袋のチャックを閉じて、ポリ袋を密閉する。その後、ポリ袋内の展開物10を、ポリ袋越しに、握りこぶし等で上から軽く叩く等して、お湯(温泉水)を展開物10に対して全体的に行き渡らせて、展開物10内の石膏組成物4にお湯(温泉水)を十分になじませる。
【0075】
1分間程度、お湯(温泉水)になじませた後、チャックを開けてポリ袋を開封し、そのポリ袋内から展開物10を取り出し、展開物10の表面等に付着した余分なお湯(温泉水)をタオル等で、適宜、拭き取る。
【0076】
その後、展開物10の本体展開部110において、隣り合った切片部112同士を固定手段7により固定しつつ、複数の切片部112を環状に繋ぐことで、クラウン状の本体部11が得られる。そして、その本体部11の切片部112Aに対して、ツバ展開部120の根元側が折り曲げられると、本体部11の開口縁から張り出したツバ部12が得られる。このようにして、展開物10から立体的に組み上げられた石膏キャップ1が得られる。
【0077】
そして、得られた石膏キャップ1の本体部11が、利用者Uの頭部U1に被せられる。本体部11における内表面(底シート部2の裏面2b)が、利用者Uの頭皮側に配されるように、本体部11が頭部U1に被せられる。なお、石膏キャップ1の本体部11は、利用者Uの頭部U1に対して、直接、被せられてもよいし、例えば、シート状の他の部材が、予め頭部U1に載せられた状態で、その状態の頭部U1に対して、本体部11が被せられてもよい。
【0078】
石膏キャップ1の本体部11は、利用者Uの頭部U1に被せられた後、固定手段7におけるフック面7a及びループ面7bの重なり位置を、適宜、変更することで、本体部11のサイズ(つまり、頭皮と本体部11との密着具合)を調整することができる。
【0079】
本実施形態の石膏キャップ1は、本体部11以外に、ツバ部12を備えているため、利用者Uは、石膏キャップ1の本体部11を、頭部U1に装着し易い。ツバ部12内の石膏組成物4は、お湯と反応すると、発熱しつつ硬化するため、ツバ部12の強度(剛性)が高くなる。そのため、本実施形態の石膏キャップ1のツバ部12は、利用者Uが指先で摘まんで、その位置を操作し易い構造となっている。利用者Uは、このようなツバ部12を持ちつつ、そのツバ部12の位置を、適宜、動かすことで、頭部U1に対する本体部11の装着位置を、調整することができる。また、石膏キャップ1の使用後、利用者Uは、ツバ部12を持ちつつ、そのツバ部12の位置を持ち上げることで、頭部U1から本体部11を容易に外すことができる。
【0080】
本実施形態の石膏キャップ1は、クラウン状の本体部11を装着することにより、利用者Uの頭部U1(頭皮)が全体的に万遍なく温められる。また、石膏組成物4の含有量等を適宜、設定することにより、石膏キャップ1(本体部11)の温度や、加温(発熱)時間を、調整することができる。このような本実施形態の石膏キャップ1は、頭皮の加温性に優れ、頭皮の毛穴を開かせて、薬剤(発毛や育毛を目的とした有効成分等)を浸透し易くするのに有効である。
【0081】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0082】
(1)他の実施形態において、石膏キャップは、ツバ部の無い構成(つまり、利用者の頭部に装着されるクラウン状の本体部のみからなる構成)であってもよい。
【0083】
(2)他の実施形態において、石膏キャップは、複数のツバ部を備える構成であってもよい。
【0084】
(3)上記実施形態において、固定手段として、所謂、面ファスナー(フック面、ループ面)が利用されていたが、本発明を損なわない限り、固定手段として、互いの距離を調節しつつ着脱可能な他の機構が用いられてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1…石膏キャップ、2…底シート部、3…中間枠部、4…石膏組成物、5…蓋シート部、10…展開物、11…本体部、12…ツバ部、110…本体展開部、111…中央部、112…切片部、120…ツバ展開部、U…利用者、U1…頭部、M…積層物
図1
図2
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