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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024101186
(43)【公開日】2024-07-29
(54)【発明の名称】アンモニアの回収方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 15/00 20060101AFI20240722BHJP
   C02F 1/28 20230101ALI20240722BHJP
【FI】
B01D15/00 P
C02F1/28 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004992
(22)【出願日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】飯野 浩成
【テーマコード(参考)】
4D017
4D624
【Fターム(参考)】
4D017AA01
4D017BA11
4D017CA05
4D017CB01
4D017DA01
4D017DB02
4D017DB03
4D017DB10
4D017EA03
4D624AA04
4D624AB13
4D624BA07
4D624BB01
4D624BC01
4D624CA01
4D624DA10
4D624DB01
4D624DB06
4D624DB19
(57)【要約】
【課題】アンモニア性窒素を含む消化液から効率よくアンモニアを回収すること。
【解決手段】アンモニアの回収方法は、吸着材が充填された反応容器にアンモニア性窒素を含む消化液を注入し、湿った状態にある吸着材を含む反応容器内の圧力を第1の圧力に減圧し、反応容器に所定のガスを供給しながら、反応容器内の圧力を第1の圧力よりも大きい第2の圧力に加圧し、反応容器に所定のガスを供給しながら、反応容器内の圧力を第2の圧力よりも小さい第3の圧力に減圧し、反応容器に所定のガスを供給しながら反応容器内の加圧と減圧とを繰り返し、反応容器から排出されるアンモニアを回収する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着材が充填された反応容器にアンモニア性窒素を含む消化液を注入し、
湿った状態にある前記吸着材を含む前記反応容器内の圧力を第1の圧力に減圧し、
前記反応容器に所定のガスを供給しながら、前記反応容器内の圧力を前記第1の圧力よりも大きい第2の圧力に加圧し、
前記反応容器に前記所定のガスを供給しながら、前記反応容器内の圧力を前記第2の圧力よりも小さい第3の圧力に減圧し、
前記反応容器に前記所定のガスを供給しながら前記反応容器内の加圧と減圧とを繰り返し、前記反応容器から排出されるアンモニアを回収する、アンモニアの回収方法。
【請求項2】
前記反応容器内の圧力を前記第1の圧力に減圧するとき、前記反応容器に前記所定のガスが供給される、請求項1に記載のアンモニアの回収方法。
【請求項3】
前記反応容器に供給される前記所定のガスは、空気である、請求項1または請求項2に記載のアンモニアの回収方法。
【請求項4】
反応容器内を第2の圧力に加圧するとき、前記所定のガスは、前記反応容器に供給される前に加熱される、請求項1または請求項2に記載のアンモニアの回収方法。
【請求項5】
さらに、前記消化液に、アルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンの少なくとも1つを添加する、請求項1に記載のアンモニアの回収方法。
【請求項6】
前記吸着材は、多孔質材料である、請求項1に記載のアンモニアの回収方法。
【請求項7】
前記多孔質材料の細孔径は、0.8nm以下である、請求項6に記載のアンモニアの回収方法。
【請求項8】
前記多孔質材料は、ゼオライトである、請求項7に記載のアンモニアの回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、アンモニア性窒素を含む消化液からアンモニアを回収する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、化石燃料の枯渇、および化石燃料による環境破壊などの問題により、バイオマスの利用が促進されている。バイオマスプラントでは、家畜ふん尿または食品廃棄物などの有機廃棄物(バイオマス)を回収し、固形燃料(例えば、木質ペレット)、液体燃料(例えば、バイオエタノール)、または気体燃料(例えば、メタン)などのエネルギーを生成する。具体的には、再生エネルギーとしてメタンを生成する場合、メタン発酵法が利用される。メタン発酵法とは、酸素の存在しない嫌気性条件下においてメタン発酵微生物により、有機廃棄物を分解し、再生エネルギーであるメタンを回収する技術である。メタン発酵法では、メタンを回収した後に、メタン発酵消化液(以下、「消化液」という。)が原料である有機廃棄物とほぼ同量生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-130656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
消化液は、少なくともアンモニア性窒素を含む。消化液に含まれるアンモニア性窒素を処理する方法として、加熱法、イオン交換法、およびアンモニアストリッピング法が知られている。しかしながら、これらの方法では、高温の熱量もしくは特殊な薬剤またはこれらを生成するための装置が必要となる。すなわち、消化液に含まれるアンモニア性窒素の処理は困難であり、消化液を単に廃棄物として処理する場合であっても、廃棄処理に要するエネルギーおよびコストが発生してしまう。一方で、アンモニアは、窒素肥料の原料として重要である。そのため、アンモニア性窒素を含む消化液からアンモニアを効率よく回収することができれば、アンモニア性窒素をほとんど含まない消化液として処理することができるため、消化液の処理が簡易化される。また、回収されたアンモニアを窒素肥料の原料として有効に利用することができる。
【0005】
本発明の一実施形態は、アンモニア性窒素を含む消化液から効率よくアンモニアを回収することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係るアンモニアの回収方法は、吸着材が充填された反応容器にアンモニア性窒素を含む消化液を注入し、湿った状態にある吸着材を含む反応容器内の圧力を第1の圧力に減圧し、反応容器に所定のガスを供給しながら、反応容器内の圧力を第1の圧力よりも大きい第2の圧力に加圧し、反応容器に所定のガスを供給しながら、反応容器内の圧力を第2の圧力よりも小さい第3の圧力に減圧し、反応容器に所定のガスを供給しながら反応容器内の加圧と減圧とを繰り返し、反応容器から排出されるアンモニアを回収する。
【0007】
反応容器内の圧力を第1の圧力に減圧するとき、反応容器に所定のガスが供給されてもよい。
【0008】
反応容器に供給される所定のガスは、空気であってもよい。
【0009】
所定のガスは、反応容器に供給される前に加熱されてもよい。
【0010】
消化液に、アルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンの少なくとも1つを添加してもよい。
【0011】
吸着材は、多孔質材料であってもよい。多孔質材料の細孔径は、0.8nm以下であってもよい。多孔質材料は、ゼオライトであってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一実施形態に係るアンモニアの回収方法によれば、消化液に含まれるアンモニア性窒素を吸着材に吸着させ、吸着材から効率よくアンモニアを回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るアンモニア回収装置の構成を示す模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係るアンモニアの回収方法を説明するフローチャートである。
図3A】本発明の一実施形態に係るアンモニアの回収方法において、アンモニア性窒素の吸着および脱離を説明する模式図である。
図3B】本発明の一実施形態に係るアンモニアの回収方法において、アンモニア性窒素の吸着および脱離を説明する模式図である。
図3C】本発明の一実施形態に係るアンモニアの回収方法において、アンモニア性窒素の吸着および脱離を説明する模式図である。
図4A】本発明の一実施形態に係るアンモニアの回収方法において、吸着材におけるアンモニア回収装置のバルブの開閉および配管の接続状態を説明する模式図である。
図4B】本発明の一実施形態に係るアンモニアの回収方法において、吸着材におけるアンモニア回収装置のバルブの開閉および配管の接続状態を説明する模式図である。
図4C】本発明の一実施形態に係るアンモニアの回収方法において、吸着材におけるアンモニア回収装置のバルブの開閉および配管の接続状態を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、実施形態はあくまで一例にすぎず、当業者が、発明の主旨を保ちつつ適宜変更することによって容易に想到し得るものについても、当然に本発明の範囲に含まれる。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、または形状などが模式的に表される場合がある。しかし、図示された形状などはあくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0015】
本明細書および図面において、同一または類似する複数の構成は、同一の符号を用いて表記される。但し、複数の構成のそれぞれが区別される場合、複数の構成のそれぞれは、大文字のアルファベットが添えられて表記される場合がある。また、1つの構成が複数の部分に区別される場合、複数の部分は、小文字のアルファベットが添えられて、またはハイフンと自然数を用いて表記される場合がある。
【0016】
本明細書において、「消化液」とは、家畜ふん尿または食品廃棄物などの有機廃棄物を発酵させた後に得られる液体をいう。「消化液」は、例えば、メタン発酵法によって生成されるメタン発酵消化液であるが、これに限られない。
【0017】
本明細書において、「アンモニア性窒素」とは、アンモニウム塩で存在する窒素成分をいう。アンモニア性窒素は、NH-NまたはNH-Nで表される。アンモニウム性窒素は、アンモニウム態窒素ともいう。但し、本明細書では、説明の便宜上、消化液に含まれるアンモニア性窒素から生成される気体のアンモニアについても、アンモニウム性窒素として説明する場合がある。
【0018】
本明細書において、「減圧」とは、大気圧よりも小さい圧力をいう。例えば、減圧は、0.4気圧以上1気圧未満の範囲内の圧力をいう。また、本明細書において、「加圧」とは、大気圧よりも大きい圧力をいう。例えば、加圧は、1気圧より大きく10気圧未満の範囲内の圧力をいう。
【0019】
以下、本発明の一実施形態として、アンモニア回収装置10を説明し、続いて、アンモニア回収装置10を利用するアンモニアの回収方法について説明する。なお、本発明の実施形態は、様々な態様で実施することが可能であり、以下で説明される実施形態に限定されるものではない。
【0020】
[1.アンモニア回収装置10の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係るアンモニア回収装置10の構成を示す模式図である。
【0021】
図1に示すように、アンモニア回収装置10は、反応容器100、吸蔵装置200、脱臭装置300、真空ポンプ400、高圧送風機500、低圧送風機502、連成計600、および圧力伝送器602を含む。アンモニア回収装置10では、反応容器100内において消化液に含まれるアンモニア性窒素を分離し、反応容器100から排出されるアンモニアを、吸蔵装置200に吸蔵して回収する。以下、アンモニア回収装置10の各構成および構成の接続関係について説明する。
【0022】
反応容器100では、消化液に含まれるアンモニア性窒素を分離することができる。反応容器100の上部には配管P1が接続され、反応容器100の下部には配管P2が接続されている。また、反応容器100の内部は空間を有する。反応容器100は、内部に、吸着材110、支持床120、散気管130、および整流板140を含む。アンモニア性窒素を含む消化液は、配管P1から反応容器100に注入され、反応容器100の内部を通過する過程でアンモニア性窒素が分離され、配管P2から排水される。
【0023】
配管P1は、バルブV1を介して配管P3と接続されている。また、配管P1は、バルブV2を介して配管P4と接続されている。さらに、配管P1は、バルブV3を介して吸蔵装置200へと繋がる配管P5と接続され、バルブV4を介して低圧送風機502へと繋がる配管P6と接続されている。一方、配管P2は、バルブV5を介して配管P7と接続されている。また、配管P2は、バルブV6を介して配管P8と接続されている。反応容器100の上部には、配管P1と異なる配管P9が接続されている。配管P9は、バルブV7を介して配管P7と接続されている。
【0024】
消化液は、配管P3から供給され、配管P7から排水される。消化液を反応容器100に注水するとき、バルブV1、バルブV5、およびバルブV7を開き、かつ、バルブV2~バルブV4、およびバルブV6を閉じる。この場合、配管P3から供給された消化液は、配管P1を通って反応容器100内に貯蔵されつつ、反応容器100から配管P2および配管P7を通って排水される。なお、このとき、バルブV7は全閉にするのではなく、調整されて半開とすることが好ましい。バルブV7を半開とすることにより、反応容器100内の空気が押し出されるように配管P9を通って配管P7から排出された後、反応容器100が消化液で満たされると、消化液の一部が、配管P9を通って配管P7から排出される。すなわち、配管P9が、空気抜き用の配管として機能するとともに、消化液の排水のバイパス配管として機能する。また、バルブV5およびバルブV7の開閉を調整することにより、反応容器100内に貯属される消化液の量を調整することができる。
【0025】
上記では、消化液の注入と排水とが同時に行われる構成を説明したが、消化液の注入と排水とは別々に行われてもよい。この場合、バルブV1およびバルブV7を開き、かつ、バルブV2~バルブV6を閉じる。このとき、反応容器100内に消化液が貯蔵されるとともに、反応容器100内の空気が押し出されるように配管P9を通って配管P7から排出される。また、消化液が反応容器100内に満杯となるまで貯蔵されると、消化液は、配管P9を通って配管P7から排水される。一方、反応容器100内の消化液を排水するとき、バルブV4およびバルブV5を開き、かつ、バルブV1~バルブV3、バルブV6、およびバルブV7を閉じる。また、低圧送風機502を作動し、配管P6に空気を送り込む。これにより、反応容器100内に貯蔵された消化液は、配管P6を通って配管P1から反応容器100内に流入する空気に押し出され、配管P2を通って配管P7から排水される。
【0026】
また、本実施形態では、反応容器100内を洗浄することができる。反応容器100内への消化液の注入を繰り返すと、後述する吸着材110の充填状態などが変化し、通水抵抗が増加する場合がある。このとき、反応容器100内を洗浄することにより、通水抵抗の増加を改善することができる。配管P4および配管P8は、反応容器100内の洗浄用の配管である。反応容器100内を洗浄するとき、バルブV2およびバルブV6を開き、かつ、バルブV1、バルブV3~バルブV5、およびバルブV7を閉じる。洗浄用の水は、配管P8から供給される。配管P8から供給された水は、配管P2から反応容器100に注入され、反応容器100内に貯蔵される。反応容器100内に水が注入され続けると、水は、配管P1を介して配管P4から排水される。このとき、反応容器100内の吸着材110は、注入される水によって動かされ、吸着材110が密になりすぎないように充填状態がリセットされる。なお、反応容器100内の洗浄の終了後は、バルブV4およびバルブV5を開き、かつ、バルブV1~バルブV3、バルブV6、およびバルブV7を閉じる。また、低圧送風機502を作動し、配管P6に空気を送り込む。これにより、反応容器100内に貯蔵された水は、配管P6を通って配管P1から反応容器100内に流入する空気に押し出され、配管P2を介して配管P7から排水される。
【0027】
なお、上述した洗浄方法は一例であり、反応容器100内の洗浄は、多段流動法などを用いてもよい。
【0028】
詳細は後述するが、本実施形態では、反応容器100内の圧力を、大気圧よりも大きくしたり、または大気圧よりも小さくしたりすることができる。そのため、反応容器100内の正圧または負圧を測定することができるように、反応容器100と接続される配管P1に連成計600が接続されている。また、配管P1には、圧力伝送器602が接続され、反応容器100内の圧力が一定に保持されるように、所定のバルブを制御することができる。
【0029】
なお、図示しないが、反応容器100には、反応容器100内の吸着材110を加熱するヒータが設けられていてもよい。本実施形態では、ヒータは、吸着材110を100℃未満に加熱することができればよい。詳細は後述するが、本実施形態では、加熱法のような高温を必要としない。
【0030】
反応容器100には、吸着材110が充填される。吸着材110は、少なくともアンモニア性窒素を吸着する材料である。反応容器100に注入された消化液は、吸着材110によってアンモニア性窒素が吸着される。すなわち、吸着材110によって、消化液からアンモニア性窒素が分離される。吸着材110の一例は、多孔質材料である。多孔質材料は、多数の細孔を有する。多孔質材料の細孔は、ミクロポアまたはマクロポアなど様々な大きさを有する。アンモニア性窒素は、吸着の結合力が大きく、物理的吸着力の強いミクロポア内に吸着されたアンモニア性窒素を脱離させることは難しい。一方、マクロポアは、ミクロポアと比べて物理的吸着力が弱い。そのため、本実施形態では、主に、マクロポアに吸着されたアンモニア性窒素を脱離させる。また、様々な成分を含む消化液からアンモニア性窒素を選択的に吸着するためには、分子篩効果を利用する。多孔質材料の細孔径が大きすぎると、アンモニア性窒素以外の他の成分が多く吸着されてしまう。以上のことから、本実施形態における多孔質材料の細孔径は、例えば、0.4nm以上1.4nm以下であり、好ましくは0.7nm以上1.0nm以下であり、さらに好ましくは0.7nm以上0.8nm以下である。但し、本実施形態では、上記範囲を超える細孔径を有する多孔質材料も含み得る。上記範囲を超える細孔径を有する多孔質材料は、アンモニア性窒素の吸着効率は低下するものの、アンモニア性窒素の拡散速度が大きいため、脱着反応効率が向上する。そのため、上記範囲を超える細孔径を有する多孔質材料であっても、結果として、アンモニアの回収効率が向上する。吸着材110として多孔質材料が用いられる場合、吸着材110は、例えば、ゼオライトである。吸着材110として用いられるゼオライトは、10員環構造または12員環構造を有することが好ましい。
【0031】
支持床120は、反応容器100内の底部に形成されている。吸着材110は、支持床120の上に敷き詰められている。支持床120は、複数の粒状部材で構成され、1つの粒状部材は、1つの吸着材110よりも大きい。支持床120は、大きさが同様な複数の粒状部材の単層構造を有していてもよく、または大きさの異なる複数の粒状部材が積層された積層構造を有していてもよい。支持床120が積層構造を有する場合、下から上に向かって粒状部材の大きさが小さくなるように積層される。消化液の排水時において、支持床120は、吸着材110が排出されることを防止する。また、反応容器100内の洗浄時において、支持床120は、配管P2から注入される水を拡散し、反応容器100内全体に水が行き渡るようにする。
【0032】
散気管130は、吸着材110と支持床120との間付近であって、支持床120内上部に設置されている。但し、散気管130の設置位置は、これに限られず、散気管130が支持床120中に埋設されていてもよい。散気管130は、所定のガスが供給される配管P10と接続されている。配管P10から供給された所定のガスは、反応容器100内全体に拡散されるように散気管130から放出される。所定のガスは、例えば、空気であるが、これに限られない。なお、以下では、便宜上、配管P10から反応容器100に供給される所定のガスが空気であるとして説明する。
【0033】
配管P10は、バルブV8を介して、高圧送風機500と接続されている。また、配管P10は、バルブV9を介して、低圧送風機502と接続されている。高圧送風機500は、大気圧よりも大きい圧力を有する空気(加圧空気)を供給することができる。また、低圧送風機502は、大気圧にほぼ等しい圧力を有する空気(常圧空気)を供給することができる。加圧空気および常圧空気の切り替えは、バルブV8およびバルブV9を用いて行うことができる。バルブV8を開き、かつ、バルブV9を閉じると、高圧送風機500から加圧空気を反応容器100内に供給することができる。これにより、反応容器100内の圧力を大きくすることができる。また、バルブV8を閉じ、かつ、バルブV9を開くと、低圧送風機502から常圧空気を反応容器100内に供給することができる。
【0034】
詳細は後述するが、加圧空気は、吸着材110に窒素分子を吸着させるために利用される。この時に僅かではあるが、吸着材110に吸着されたアンモニア性窒素が、気体のアンモニアとして脱離し、加圧空気とともに配管P1から排出される場合がある。加圧空気は、加温されていてもよい。すなわち、高圧送風機500は、所定の温度に調整された加圧空気を生成することができる。一方、常圧空気は、反応容器100内の洗浄において、反応容器100内に貯蔵された水の中に放出される。水の中に放出された気泡が反応容器100内の吸着材110の充填状態を変化させることにより、洗浄効果が向上する。
【0035】
また、配管P10には、バルブV10を介して配管P11が接続されている。配管P11からは外気取入口として機能し、バルブV10の開閉を調整することにより、配管P10から反応容器100内に外気(空気)を取り入れることができる。
【0036】
整流板140は、吸着材110の上方に設けられている。整流板140は、消化液の注水時において、配管P1からの噴流を減勢して吸着材110の巻き上がりを抑制し、さらに整流効果により吸着材110表層に均等な水流を生成する。これにより、消化液が吸着層全体に均等に流れるようになり、反応容器100内に充填されている吸着材110を無駄なく使用することができる。なお、整流板140は、取り外し可能に反応容器100内に取り付けられていることが好ましい。この場合、反応容器100内の吸着材110の交換において、整流板140が取り外される。
【0037】
吸蔵装置200は、アンモニアを吸蔵する。吸蔵装置200内には、アンモニアを吸蔵することができる薬液210(例えば、硫酸または塩酸など)が充填されている。反応容器100内の吸着材110に吸着されたアンモニア性窒素は、配管P1からアンモニアとして排出され、吸蔵装置200内で吸蔵される。配管P1は、バルブV3およびバルブV11を介して吸蔵装置200と接続されている。また、配管P1は、バルブV3、バルブV12、およびバルブV13を介して吸蔵装置200と接続されている。反応容器100内が加圧されているとき、配管P1から排出されたアンモニアは、バルブV3およびバルブV11を介して吸蔵装置200内に設置された配管P12から薬液210中に放出される。また、詳細は後述するが、本実施形態では、主に、反応容器100内が減圧されているときに、アンモニアを回収することができ、反応容器100内が加圧されているときと同様に、配管P1から排出されたアンモニアは、吸蔵装置200内に設置された配管P12から薬液210中に放出される。これにより、薬液210にアンモニアが吸蔵され、消化液に含まれるアンモニア性窒素をアンモニアとして回収することができる。なお、吸蔵装置200は、上述した薬液方式の構成に限られない。吸蔵装置200は、アンモニアを貯蔵する構成であればよく、活性炭またはゼオライトを用いる構成であってもよい。
【0038】
なお、吸蔵装置200は、バルブV14を介して配管P13と接続されている。配管P13は薬液210を回収するための配管である。すなわち、バルブV14を開き、吸蔵装置200内のアンモニアが吸蔵された薬液210を回収することができる。
【0039】
脱臭装置300は、吸蔵装置200と配管P14を介して接続され、アンモニア臭、およびその他の悪臭物質を除去する。吸蔵装置200で吸蔵されなかったアンモニアは、たとえ微量であっても外部に放出されるとアンモニア臭として強烈な臭いを放つ。また、消化液に含まれる悪臭物質の一部もアンモニアとともに回収されている。そのため、吸蔵装置200に脱臭装置300を接続し、吸蔵装置200から漏出される微量のアンモニアおよび悪臭物質を脱臭装置300に充填された脱臭材310で捕集する。これにより、脱臭装置300の上部に接続された配管P15からは清浄な空気が放出される。配管P14は、アンモニア臭が脱臭装置300内の脱臭材310を通り抜けるように、脱臭装置300の下部に接続されている。また、脱臭装置300の下部には、配管P13とは異なる配管P16が接続されている。配管P16は、脱臭装置300内に水が溜まったときの排水用の配管である。
【0040】
真空ポンプ400の吸入口は、バルブV3およびバルブV12を介して配管P1と接続されている。また、真空ポンプ400の吸入口は、バルブV13を介して吸蔵装置200と接続されている。一方、真空ポンプ400の排気口は、バルブV15を介して配管P12と接続されている。真空ポンプ400は、反応容器100内を減圧にする。反応容器100内を減圧にするとき、バルブV1、バルブV2、バルブV4~バルブV9、バルブV11、およびバルブV14を閉じ、かつ、バルブV3、バルブV10、バルブV12、バルブV13、およびバルブV15を開く。なお、バルブV10の開閉は、調整されることが好ましい。これにより、反応容器100内の減圧を保持しつつ、反応容器100内に外気(空気)を取り入れる。また、反応容器100内の空気が、配管P1を介して真空ポンプ400により排気される。なお、反応容器100内の空気は、水分を含んでいるため、真空ポンプ400は、水封式真空ポンプであることが好ましい。
【0041】
真空ポンプ400は、バルブV13を介して吸蔵装置200からシール水(薬液210を含む。)を吸い込み、バルブV15を介して吸蔵装置200へ排水し、シール水を循環している。このとき、配管P1からの排出されたアンモニアを、シール水に溶け込ますことができる。このようにすることで、アンモニアがシール水と撹拌混合され、アンモニアの溶解効率が向上する。また、アンモニアが吸蔵装置200で冷却されるため、シール水の水温上昇が抑制され、真空度が安定する。なお、シール水の循環に寄与するバルブV13およびバルブV15の開閉を調整することにより、真空度を調整することができる。
【0042】
図示しないが、アンモニア回収装置10には、適宜、逆止弁または圧力調整弁が設けられていてもよい。
【0043】
続いて、アンモニア回収装置10を利用したアンモニアの回収方法について説明する。
【0044】
[2.アンモニアの回収方法]
図2は、本発明の一実施形態に係るアンモニアの回収方法を説明するフローチャートである。また、図3A図3Cの各々は、本発明の一実施形態に係るアンモニアの回収方法において、吸着材110におけるアンモニア性窒素の吸着および脱離を説明する模式図である。また、図4A図4Cの各々は、本発明の一実施形態に係るアンモニアの回収方法において、アンモニア回収装置10のバルブの開閉および配管の接続状態を説明する模式図である。以下では、適宜、図3A図3Cおよび図4A図4Cを参照しながら、図2のフローチャットのステップの順序に従って、アンモニアの回収方法について説明する。図2には、ステップS110~ステップS150が示されているが、アンモニアの回収方法は、これに限られない。アンモニアの回収方法は、さらなるステップを含んでいてもよい。また、図3A図3Cには、吸着材110の細孔が示されている。図3A図3Cにおいて、黒丸の記号はアンモニア性窒素またはアンモニアを表し、小さい白丸の記号は炭酸イオンまたは二酸化炭素(以下では、単に、二酸化炭素という。)を表し、三角の記号はアルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオン(以下では、単に、アルカリ金属イオンという。)を表し、斜線のハッチングまたは四角中に斜線のハッチングを含む記号は水または水蒸気を表し、および大きい白丸中に点を含む記号は窒素分子を表している。
【0045】
ステップS110は、反応容器100に消化液を注入して、吸着材110にアンモニア性窒素を吸着させるステップである。ステップS110では、バルブV1、バルブV5、およびバルブV7を開き、かつ、バルブV2~バルブV4、バルブV6、およびバルブV8~バルブV15を閉じる(図4A参照)。但し、バルブV5およびバルブV7の開閉は調整されることが好ましい。また、図4Aでは、バルブV11~バルブV15が閉じられた状態を示したが、バルブV11~バルブV15は開いた状態であってもよい。なお、図示しないが、バルブV4を開き、配管P6を介して低圧送風機502から反応容器100内に空気を送り込んでもよい。
【0046】
アンモニア性窒素を含む消化液は、配管P3から供給される。消化液は、配管P1から反応容器100に注入され、反応容器100内に貯蔵されながら、配管P2を通って配管P7から排水される。反応容器100内において、吸着材110は消化液によって浸漬される。このとき、反応容器100内の空気は、配管P9を通り、バルブV7を介して配管P9と接続される配管P7から排気される。消化液は、アンモニア性窒素だけでなく、二酸化炭素およびアルカリ金属イオンなどを含む。そのため、図3Aに示すように、吸着材110の細孔には、水が入り込むとともに、アンモニア性窒素、二酸化炭素、およびアルカリ金属イオンが吸着される。また、アンモニア性窒素、二酸化炭素、およびアルカリ金属イオンは、イオン半径が小さいため、これらは吸着材110の細孔の奥にまで入り込んで、吸着されやすい。
【0047】
反応容器100に注入される消化液には、アルカリ金属イオンが添加されてもよい。詳細は後述するが、本実施形態では、吸着材110からアンモニア性窒素を脱離するとき、消化液に含まれているアルカリ金属イオンを利用する。そのため、消化液に含まれているアルカリ金属イオンが少ない場合には、消化液にアルカリ金属イオンを添加することが好ましい。アルカリ金属イオンは、反応容器100に注入される前の消化液に添加されてもよく、反応容器100内に貯蔵されている消化液に添加されてもよい。
【0048】
本実施形態では、ステップS110の終了後の吸着材110は乾燥されておらず、湿った状態である。すなわち、図3Aに示すように、吸着材110の細孔中には、アンモニア性窒素が吸着されるとともに、消化液(主に、水)が残っている。
【0049】
ステップS120は、反応容器100に空気を供給しながら、反応容器100内を減圧するステップである。ステップS120では、バルブV3、バルブV10、バルブV12、バルブV13、およびバルブV15を開き、かつ、バルブV1、バルブV2、バルブV4~バルブV9、バルブV11、およびバルブV14を閉じる(図4B参照)。但し、バルブV10、バルブV13、およびバルブV15の開閉は調整されることが好ましい。反応容器100内の空気は、配管P1から排出され、真空ポンプ400によって吸引される。このとき、吸蔵装置200内の薬液210は、真空ポンプ400によって循環される。そのため、配管P1から排出された空気は、真空ポンプ400によって循環される薬液210と撹拌、混合されながら、配管P12から吸蔵装置200内に放出される。
【0050】
反応容器100内には、配管P10および配管P11を通って空気が取り込まれる。反応容器100内の圧力は、バルブV10の圧力損失と、バルブV13およびバルブV15によって設定する真空吸引力とによって決定される。配管P1には圧力伝送器602が接続されている。そのため、ステップS120では、反応容器100内の圧力が大気圧よりも小さい所定の圧力となるように、圧力伝送器602によってバルブV10の開閉が制御される。
【0051】
ステップS120では、反応容器100内が減圧されることにより、図3Bに示すように、吸着材110の細孔内に入り込んだ消化液の水分が蒸発する。このとき、消化液中に溶解しているアルカリ金属イオンは除去されないため、消化液の水分蒸発に伴い、消化液中のアルカリ金属イオンの濃度が高くなる。その結果、濃縮されたアルカリ金属イオンが交換性カチオンとして機能する。すなわち、アルカリ金属イオンとアンモニア性窒素との間で交換反応が生じ、吸着材110に吸着されたアンモニア性窒素が脱離する。このように、ステップS120は、アルカリ金属イオンの濃縮によって吸着材110に吸着されたアンモニア性窒素を脱離するステップであり、配管P1から排出される空気にアンモニアが含まれる。上述したように、配管P1から排出された空気は、吸蔵装置200内の薬液210と混合されるため、吸着材110から脱離したアンモニアが薬液210内で吸蔵される。
【0052】
なお、消化液には、吸着材110に吸着されずに溶解した状態のアンモニア性窒素が含まれている。ステップS120では、消化液の水分の蒸発にしたがって、消化液に溶解されているアンモニア性窒素もアンモニアとして放出され、薬液210内で吸蔵される。
【0053】
また、ステップS120では、反応容器100内の減圧により、吸着材110に吸着された二酸化炭素も脱離したり、空気中の窒素が吸着されたりする(図3B参照)。二酸化炭素が脱離すると、消化液のアルカリ度が高くなり、上述した交換反応が促進される。したがって、アルカリ性のアンモニア性窒素の脱離が促進される。
【0054】
さらに、ステップS120では、吸着材110の細孔内に存在する窒素、水、二酸化炭素などの脱着ガスは、それらの脱着ガス流により、細孔内を攪乱しアンモニアの脱離を促進する。また、これらの脱着ガスは、アンモニアのキャリアガスとして、アンモニアを細孔外に速やかに輸送し、アンモニアの再吸着を抑制する。
【0055】
なお、ステップS120では、減圧によって吸着材110の細孔内に入り込んでいた水が水蒸気となって排出されるが、完全には排出されない。そのため、ステップS120における処理後(すなわち、ステップS130における処理前)も、吸着材110の細孔内には水が残っている。本明細書では、このような吸着材110も、湿った状態として説明する。
【0056】
ステップS130は、反応容器100に空気を供給しながら、反応容器100内を加圧するステップである。ステップS130では、バルブV3、バルブV8、およびバルブV11を開き、かつ、バルブV1、バルブV2、バルブV4~バルブV7、バルブV9、およびバルブV12~バルブV15を閉じる(図4C参照)。但し、バルブV11の開閉は調整されることが好ましい。また、図4Cでは、バルブV13が閉じられた状態を示したが、バルブV13は開いた状態であってもよい。高圧送風機500によって生成される空気は、バルブV8を介して高圧送風機500と接続される配管P10から反応容器100内に供給される。また、反応容器100内の空気は、配管P1から排出され、バルブV3およびバルブV11を介して配管P1と接続される配管P11から吸蔵装置200内の薬液210中に放出される。ステップS130では、反応容器100内の圧力が大気圧よりも大きい所定の圧力となるように、圧力伝送器602によってバルブV11が制御される。
【0057】
ステップS130では、反応容器100内が加圧されることにより、図3Cに示すように、空気に含まれる窒素分子が吸着材110の細孔に入り込み、窒素分子が吸着材110に吸着される。このとき、僅かだが、アンモニア性窒素が脱離する場合がある。このような場合であっても、反応容器100から排出されるアンモニアを含む空気は、配管P12を介して薬液210に放出されるため、僅かなアンモニアであっても吸蔵装置200内で吸蔵することができる。
【0058】
高圧送風機500によって生成される空気は、加熱されていてもよい。この場合、送り込まれた空気を通じて、吸着材110が温められる。そのため、ステップS120において、減圧によって水蒸気が放出されることに伴う蒸発潜熱による吸着材110の温度が低下した場合であっても、吸着材110を加熱し、吸着材110の温度を一定に保持することができる。
【0059】
ステップS140は、反応容器100に空気を供給しながら、反応容器100内を減圧するステップである。ステップS140におけるアンモニア回収装置10の各バルブの制御処理は、ステップS120と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0060】
ステップS120では、図3Bのように、吸着材110粒子表面に多くの消化液が残った状態であるのに対し、ステップS140では、ステップS120よりも吸着材110の細孔内の消化液がより濃縮され、ステップS120よりもステップS140の方が、吸着材110粒子表面がより乾燥した状態である。いずれも吸着材110は湿った状態であるが、ステップS140では、ステップS130により、吸着材110の細孔内には、アンモニア性窒素、二酸化炭素、およびアルカリ金属イオンだけでなく、窒素分子が吸着されている(図3C参照)。ステップS140では、反応容器100内が減圧されることにより、吸着の結合力の弱い二酸化炭素および窒素分子が優先的に脱離される。しかしながら、二酸化炭素および窒素分子が脱離される際に、吸着材110の細孔内において脱離ガス流が発生する。脱離ガス流は、吸着材110の細孔内を撹拌し、その結果、吸着材110の細孔内に吸着されているアンモニア性窒素の脱離を促進し、アンモニアを速やかに細孔外に輸送し、再吸着および再溶解を抑制する。このように、ステップS140は、減圧によって吸着材110に吸着されたアンモニア性窒素を脱離するステップであり、配管P1から排出される空気にアンモニアが含まれる。上述したように、配管P1から排出された空気は、配管P12から吸蔵装置200内の薬液210中に放出されるため、吸着材110から脱離したアンモニアが薬液210内で吸蔵される。
【0061】
なお、ステップS140においても、反応容器100内に供給される空気が加熱されていてもよい。供給される空気によって吸着材110が温められるため、吸着材110の細孔内の脱離ガス流の撹拌が激しくなり、アンモニア性窒素の脱離が促進される。
【0062】
本実施形態では、ステップS130の加圧によるアンモニア性窒素の脱離およびステップS140の減圧によるアンモニア性窒素の脱離を繰り返す。これにより、吸着材110に吸着されたアンモニア性窒素が脱離し、効率よくアンモニアを回収することができる。
【0063】
ステップS150は、吸蔵装置200の薬液210を取り出すステップである。ステップS150では、バルブV14を開き、薬液210を回収する。これにより、アンモニアが吸蔵された薬液210を取り出すことができる。
【0064】
なお、吸蔵装置200が薬液210を用いる構成ではなく、活性炭またはゼオライトを用いる構成である場合には、吸蔵装置200からアンモニアが吸着された活性炭またはゼオライトを取り出せばよい。
【0065】
以上説明したように、本実施形態に係るアンモニアの回収方法は、消化液に含まれるアンモニア性窒素を吸着材110に吸着させた(ステップS100)後に、減圧により消化液中に含まれるアルカリ金属イオンを濃縮してアンモニア性窒素を脱離させるステップ(ステップS120)、加圧により窒素ガスを吸着材110に吸着させるステップ(ステップS130)、および減圧によりアンモニア性窒素を脱離させるステップ(ステップS140)を含む。従来のアンモニアの回収方法、例えば、水蒸気蒸留などでは、反応容器に送り込む作用ガスの大部分が反応容器を通り抜けてしまうため、アンモニアの回収効率が低い。一方、本実施形態に係るアンモニアの回収方法では、反応容器100に送り込む窒素ガスを加圧により吸着材110に吸着させ、減圧により吸着材110から脱離させる。これにより、吸着材110の内部が断熱圧縮熱によって加温されるとともに、吸着材110に対して窒素ガスが直接作用してアンモニアの脱離を促進させる。すなわち、本実施形態に係るアンモニアの回収方法は、吸着材110に吸着されたアンモニア性窒素の脱離を促進するステップを含み、これらのステップにより、効率よくアンモニアを回収することができる。
【0066】
上述した実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜構成を組み合わせて実施することができる。また、実施形態を基にして、当業者が適宜構成の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略、もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0067】
上述した実施形態によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0068】
10:アンモニア回収装置、 100:反応容器、 110:吸着材、 120:支持床、 130:散気管、 140:整流板、 200:吸蔵装置、 210:薬液、 300:脱臭装置、 310:脱臭材、 400:真空ポンプ、 500:高圧送風機、 502:低圧送風機、 600:連成計、 602:圧力伝送器、 P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7、P8、P9、P10、P11、P12、P13、P14、P15、P16:配管、 V1、V2、V3、V4、V5、V6、V7、V8、V9、V10、V11、V12、V13、V14、V15:バルブ
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C